説明

化学療法によって引き起こされる皮膚及び毛髪損傷を保護及び治療するためのフリーラジカル捕捉剤の使用

本発明は、化学療法治療によって引き起こされる皮膚又は毛髪損傷を保護又は治療するための局所用薬剤組成物の調製のための、予防上又は治療上有効な物質としての1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤及び5〜200μmの範囲の平均粒径を有する微粒子の使用に関する。本発明はまた、化学療法によって引き起こされる哺乳類の皮膚及び毛髪損傷を保護又は治療する方法に関する。本発明は更に、微粒子をフリーラジカル捕捉剤と共に含む局所用組成物と、有効な毛髪洗浄及び毛髪治療の支援のための洗髪剤とからなる、化学療法治療によって引き起こされる毛髪損傷を保護又は治療するためのキットに関する。微粒子をフリーラジカル捕捉剤と共に含む局所用組成物と、有効な皮膚洗浄及び皮膚治療の支援のためのクレンジング乳液とからなる、化学療法によって引き起こされる皮膚損傷を保護又は治療するためのキットは本発明の更なる目的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学療法治療によって引き起こされる皮膚及び/又は毛髪障害を保護又は治療するための局所用薬剤組成物の調製のための、予防上又は治療上有効な物質としての1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤及び5〜200μの範囲の平均粒径を有する微粒子の使用に関する。
【0002】
本発明はまた、化学療法によって引き起こされる哺乳類の皮膚及び毛髪障害を保護又は治療する方法に関する。本発明は更に、フリーラジカル捕捉剤と共に微粒子を含む局所用組成物と、有効な毛髪洗浄及び毛髪治療の支援のための洗髪剤とからなる、化学療法治療によって引き起こされる毛髪損傷を保護又は治療するためのキットに関する。フリーラジカル捕捉剤と共に微粒子を含む局所用組成物と、有効な皮膚洗浄及び皮膚治療の支援のためのクレンジング乳液とからなる、化学療法によって引き起こされる皮膚損傷を保護又は治療するためのキットが本発明の更なる主題である。
【背景技術】
【0003】
発癌性疾患を治療する場合には、腫瘍細胞、及び、ウイルスなどの病原体、及び、真菌感染と闘う際に、いわゆる化学療法又は細胞増殖抑制療法治療の一環として化学療法物質の使用が広まっている。中でも、急性又は慢性白血病、悪性リンパ腫又は腸、肺、胸部及びその他の臓器におけるその他の腫瘍に関して化学療法が用いられる。病気の種類及び患者の状態に応じて種々の医薬が用いられる。化学療法において用いられることが多く、重篤な副作用を引き起こす細胞増殖抑制剤として、例えば、アントラサイクリン類(antracyclines)がある。それらとしては、ダウノルビシン(セルビジン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン、ルベックス)、エピルビシン(エレンス、ファルモルビシン)及びイダルビシン(イダマイシン)が挙げられる。
一般に、急性若しくは長期の副作用又は化学療法に関連して後に生ずる副作用、例えば、患者の皮膚及び粘膜に対する副作用の発生が知られている。化学療法治療の更なる結果として、ヘルペスウイルス又は真菌感染に対する感受性の増大もある。
【0004】
皮膚に対する副作用としては、乾燥肌又は鱗状の皮膚、敏感肌腫脹、紅斑、水脹れの形成、低レベルの機械的衝撃での皮膚病変、アレルギー、注射血管に沿った皮膚変色、しみ、手足症候群(PPE)などが挙げられる。
【0005】
中程度及び重症の場合の(例えば、ウイルス増殖が停止した帯状疱疹の場合における)皮膚の医薬による治療は除き、通常、患者は、適した衣類を着用すること、アレルギーの可能性のある化粧用製品を避けることによって機械的刺激物を避けるよう、又はカレンジュラクリームなどの肌を落ち着かせる皮膚治療を使用するよう単純に助言される。これらの手順は満足できるものではないことが多い。
【0006】
更に、化学療法は、毛髪、特に、頭部毛髪の一時的な部分的又は全体的な喪失(脱毛症)を伴うことが多く、これが、特に女性の間に重大な精神的ダメージをもたらし得ることが解っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、化学療法治療の際の皮膚及び毛髪障害を大幅に減少すること又は完全に防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、化学療法治療の前、化学療法治療の間及び/又は化学療法治療後に、哺乳類の関連皮膚又は頭皮領域に適用する、予防上又は治療上有効な物質として1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤と、担体物質として5〜200μmの範囲の平均粒径を有する微粒子とを含む、局所用薬剤組成物によって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
全身投与又は静脈内投与される化学療法物質は、汗によってインサイドアウトから皮膚上に迅速に浸透し、横への拡散によって皮膚表面上に均一に分配されることが解った。次いで、それらは局所適用された物質と同様の方法で外側から皮膚に浸透する。全身に及び静脈内に適用された物質の濃度は、時間に関して、これらの物質の血中濃度と相関する。皮膚上の化学療法物質の最高濃度は、高濃度の汗腺が生ずる場所、例えば、額、脇の下及び手及び足の母指球上で観察された。皮膚刺激の大部分もここで起こる。理論に拘束されようとは思わないが、これがPPE形成の理由であるようであると考えられる。
【0010】
更に、化学療法物質は毛包に蓄積することが多いということが解った。それらはそこで一部は皮脂腺から押し出される脂肪と共に排出されるが、これと同時に化学療法治療の間の急速な脱毛も起こる。
【0011】
今では、抗酸化剤又はラジカル捕捉剤として知られるような物質が、微粒子と共に、化学療法の前、化学療法の間、化学療法後に皮膚に対して有効であり得る場合は、皮膚に対する又は毛髪に対する化学療法物質からの副作用の発生を防ぐか、又は大幅に減少させることができるということが解った。有効な保護又は治療を確実にするには、皮膚又は頭皮表面上のフリーラジカルを、それらが外側から再度皮膚に浸透し、そこで長期間に亘り保存され、上記の副作用を引き起こす前に中和することが必要であるようであるということは明らかである。このために、本発明によれば、フリーラジカル捕捉剤及び抗酸化剤を、5〜200μmの平均粒径を有する微粒子と共に投与し、皮膚又は頭皮表面上のフリーラジカルを、それらが外側から再度皮膚に浸透する前に確実に中和した。
【0012】
「皮膚に対する副作用」、「皮膚副作用」又は「皮膚損傷」は、序論に記載した作用のすべて、並びに、明確に列挙されていないが一般に知られている更なる副作用、例えば、「シュバイツェリッシェ・ルンドシャウ・フュア・メディツィン(Schweizerische Rundschau fur Medizin)」91(2002)24号、1063〜1087頁において命名されたものとして理解される。「毛髪副作用」又は「毛髪損傷」は、身体の毛髪、特に、頭部毛髪のすべて又は一部の喪失、毛髪脆化、毛髪変色、毛髪の色の喪失及び同様のその他の作用であると理解される。
【0013】
用語「局所適用すること」とはまた、特に頭部及び頸部領域の粘膜への適用を含む。
【0014】
化学療法治療は、抗癌剤として使用するのに適している、薬剤製剤、合成製剤又は微生物によって製造された製剤又は混合物から単離した製剤の全身投与又は静脈投与であると理解される。幹細胞移植はこの治療と同等であると考えられており、皮膚に対して同様の作用を引き起こし得る。この性質の化学療法物質としては、フルオロウラシル(Fluoruracil)、フルオルデスオキシウラシル(Fluordesoxyuracil)、ロイコボリン、タキソール、ゲムズール(Gemzur)、ドキソルビシン及び例えば、シュバイツェリッシェ・ルンドシャウ・フュア・メディツィン(Schweizerische Rundschau fur Medizin)」91(2002)24号、1078ffにおいて命名されたものが挙げられる。手足症候群に至る化学療法物質としては、特に、ビノレルビン(Vinorelbin)、メトトレキサート(Methotrexat)及びエトポシドが挙げられる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、フリーラジカルを捕獲する能力の高い捕捉剤を局所用製剤に用い、それによって、製剤のラジカル保護係数が、電子スピン共鳴(ESR)を用い、以下の比
RPF=(RC×RF)/PI
[式中、RF=(S1−S2)/S1、RC=試験物質の濃度(ラジカル/ml)、PI=活性物質製剤の濃度(mg/ml)、S2は酸化防止剤の信号振幅]
に従って製剤のESR測定結果と比較して、試験物質溶液中のフリーラジカル数(S1)を求めることによって測定され、製剤1mg当たり少なくとも85×1014ラジカルをなす。
【0016】
ラジカル保護係数(RPF)は、試験物質に対する抗酸化剤又は捕捉剤によるフリーラジカルの結合についての活性を示す。
【0017】
本発明によれば、すべての一般に知られている酵素的及び非酵素的抗酸化物質を、それらを局所用製剤に製剤でき、対応するラジカル保護係数を含む限りは、フリーラジカル捕捉剤として使用できる。
【0018】
用いる抗酸化物質は、例えば、トコフェロール及びその誘導体、特にα-トコフェロール又はα-トコフェリルエステル、特に酢酸トコフェリル、トコフェリルアシレート、ラウリル酸トコフェリル、ミリスチン酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリル、オレイン酸トコフェリル又はリノール酸トコフェリル;ビタミンA及びその誘導体、特にパルミチン酸レチニル;ビタミンC及びその誘導体、特に、イソアスコルビン酸塩、(2−又は3−又は6−)o−アルキルアスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、例えば、酢酸アスコルビル、リン酸アスコルビル、6−o−ラウロイル−、ミリストイル−、パルミトイル−、オレオイル−又はリノレオイル−L−アスコルビン酸;葉酸及びその誘導体からなるビタミンの群から選択される。
【0019】
本発明に従って使用できる更なる捕捉剤は、フラボン、フラボノール、フラバノナル(flavanonal)及びチャコンを含むフラボノイド、特に柑橘類フラボノイド、例えば、ルチン、ナリンギン及びネオヘスペリジン;カロチノイド及びカロチン、例えば、α−カロチン及びβ−カロチン;α−リポン酸(lipon acid)、リポン酸アミド;アミノ酸、例えば、ヒスチジン、グリシン、チロシン、トリプトファン及びアミノ酸誘導体;α−ヒドロキシ酸、例えば、クエン酸(citron acid)、乳酸(milk acid)、リンゴ酸(apple acid);尿酸及びその誘導体、ルチン酸(rutin acid)、α−グルコシルルチン;フェノールカルボン酸(phenolcarbon acid)、例えば、ローズマリー酸(rosemary acid)又はフェルラ酸(ferula acid);フミン酸(humin acid);没食子酸及び没食子酸誘導体、例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、アミル−、ブチル−及びラウリルガレート:没食子性抽出物;不飽和脂肪酸;ユビキノン(ubichinon)、ユビキノール(ubichinol);亜鉛及びその塩;セレン化合物;コエンザイムQ10;ウロカニン酸(urocanin acid);レシチン;アントシアン;ポリフェノレン(polyphenolenes);テトラヒドロジフェルロイルメタン(THC)からなる群から選択されている。
【0020】
高いラジカル保護係数を有する植物抽出物由来の製剤(RPF複合体として設計された)は、WO99/66881、WO01/26617及びDE10325156A1に記載されている(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)。これらの製剤もまた、本発明において抗酸化物質として使用できる。
【0021】
本発明においてフリーラジカル捕捉剤として有用である更なる有利な植物抽出物として、アセロラ抽出物、柑橘類の果皮又は葉抽出物[セビリアオレンジ(Citrus bigaradia)、コブミカン(Citrus hystrix)、ライム(Citrus aurantifolia)、シトロフルツネラ・ミクロカルパ(Citrofurtunella microcarpa)、ダイダイ(Citrus aurantium)、ポンカン(Citrus reticulata)]、ビターオレンジ抽出物(果皮又は果実)、スパニッシュ・チェリー(Spanish cherries)由来のチェリー抽出物、キウイ抽出物[キウイフルーツ(Actinidia chinensis)]、パパヤフルーツ抽出物[カリカエ・パパヤエ(Caricae papayae)]、茶抽出物[緑茶又は紅茶から得た葉、ソリチャ(セアンザス・ベルチナス(Ceanthus velutinus))から得た葉又は樹皮]、未焙煎の豆又は焙煎豆由来のコーヒー豆抽出物、例えば、アンズ(Prunus armeniaca)、アーモンド(Prunus dulcis)、モモ(Prunus persica)、プルーン(Prunus domestica)、スピノサスモノ(Prunus spinosa)、ワイルドチェリー(Prunus serotina)、チョークチェリー(Prunus virginiana)由来のサクラ属抽出物、メキシカンスキンツリー(Mexican skin tree)[ミモザ(Mimosa tenuiflora)]の樹皮由来の抽出物、アンジェリカルート抽出物[ヨーロッパトウキ(Angelica archangelica)]、クロヨナ(Pongamia pinnata)抽出物及びトマト抽出物がある。
【0022】
局所用製剤中のこれらの植物抽出物の量は、0.05〜45重量%、好ましくは0.1〜40重量%、特に、1.5〜20重量%の間であり得、これによってこれらの抽出物の混合物も、有効物質製剤中に含めることができることが好ましい。濃度は、抽出物又は捕捉剤のラジカル保護係数に応じて変わる。このように、10000〜90000の間の極めて高いラジカル保護係数を有する抽出物は、それらが数週間から数ヶ月という長期間に亘って対応するRPFを維持する場合、0.1重量%という比較的低い濃度で含めることができる。
【0023】
組成物の全重量に関して、3〜33重量%、特には、9〜26重量%という局所用組成物中の捕捉剤の含有量レベルが特別に好ましい。
【0024】
製剤のラジカル保護係数は、製剤1mg当たり少なくとも110×1014ラジカル、好ましくは、製剤1mg当たり少なくとも300×1014ラジカル、特には、製剤1mg当たり少なくとも500×1014ラジカルをなすことが有利である。
【0025】
製剤のラジカル保護係数が、製剤1mg当たり200〜12000×1014ラジカルの間である本発明の実施形態が特別に好ましい。
【0026】
約1〜約40重量%というラジカル捕捉剤又はラジカル捕捉剤混合物の濃度が好ましい。
【0027】
0.1〜2重量%の間の未焙煎コーヒー豆の抽出物と、0.1〜2重量%の間のカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)の葉の抽出物と、0.1〜2重量%の間のクロヨナ(Pongamia pinnata)の抽出物と0.1〜2重量%のヨーロッパトウキ(Angelica archangelica)の根の抽出物と100重量%までの一価C2〜C5アルコールからの残部からなる植物抽出物の混合物(RPF複合体III)が特に好ましい。抽出物混合物はリポソームを含まず、1mg当たり1400〜2900×1014ラジカルの範囲のラジカル保護係数を有する。この抽出物混合物は、製剤の全重量に関して、8〜25重量%の間、好ましくは、10〜15重量%の間の割合で、本発明の製剤中に含めることができることが好ましい。
【0028】
更なる好ましい捕捉剤は、上記のWO99/66881(例えば、実施例1又は2から)又はWO01/26617由来のRPF複合体Iである。これは、ケブラチョ・ブランコ(Quebracho blanco)の樹皮の抽出及びそれに続く酵素的加水分解から得られ、マイクロカプセル中に、少なくとも90重量%のプロアントシアニジンオリゴマーと最大10重量%の没食子酸とを含む生成物と、ペプチドセクロピン、アミノ酸及びビタミン混合物を含む、抽出から得られたカイコ抽出物と、非イオン性、陽イオン性又は陰イオン性ハイドロゲル又はハイドロゲルの混合物と1種又は複数のリン脂質と水とを含有する有効物質製剤からなり(RPF2400)、必要に応じて、シクロデキストリン及び後に記載する酵母消化物を補給する(RPF4800)。
【0029】
有利な捕捉剤としてまた、酵素及びビタミンの混合物、特に、超音波処理によって生成する酵母由来の消化物があり、これによって消化物はSOD、プロテアーゼ、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD2及びビタミンEを含む。少なくとも150U/mlのSOD、プロテアーゼ並びにビタミンB及びDを含み、これによって国際単位として比SOD:プロテアーゼは少なくとも3:1〜8:1の間の範囲にある(RPF2020×1014ラジカル/mg)ことが好ましい。酵素/ビタミン混合物は、超音波を用いる抽出法を用いて製造するが、これはDE4241154C1に記載されており、これでは、細胞分散物又は懸濁液を超音波スローフローセルにおいて超音波領域に通し、ここでは、ソノトロードがその長さの最大半分〜2/3、スローフローセル中に突き出ており、音響的に照射されるよう媒体に浸漬している。本明細書において、ソノトロードは80.5〜88.5°という角度を有し、mmでのソノトロードの浸漬長さ対mlでの音響照射容積の比は、1:1.1〜1:20の間に設定されている。音響的に照射される媒体中の固体物質の割合は、1:0.02〜1:2.2(重量%)の間の範囲である。
【0030】
酵母、例えば、パン酵母、醸造用酵母、ワイン酵母及び特別に処理した酵母、例えば、SODが豊富な酵母を、細胞分散として使用できる。使用できることが有利である細胞分散としては、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisia)を含む。
【0031】
例えば、パン酵母又は有機酵母由来のこの性質の酵母消化物を1〜10重量%添加することで、別の酸化剤由来の既存のラジカル保護係数を相乗的に高めることができる。
【0032】
更に好ましいラジカル捕捉剤(括弧内は「×1014ラジカル/mg」をつけないRPF値である)としては、トマト抽出物(1000)、ニンジン抽出物(300)、シクロデキストリン中、RPF複合体+ビタミンE(7200)、安定化ビタミンC(8290)、パン酵母由来の超音波酵母消化物(2020)、ナタネ抽出物(67000)、シクロデキストリン中、RPF複合体I(720)、オレガノオイル[オリガノックス(Origanox)](90306)、ハナハッカ(Origanum vulgare)抽出物(80000)、タンニン酸(310000)、マツ樹皮抽出物(12500)、ヒモサタス・スクルバ(Himothatus sucruba)抽出物(700)、エンプリカ(Emplica)(登録商標)(Merck)(42400)、ブドウ果皮・白(53000)、ブドウ果皮・赤(95100)、赤ワイン由来フラボノイド抽出物(6000)、ローズマリー酸(rosemary acid)(36000〜68000)、カレー抽出物(12500)、サフラン抽出物(900)、オレンジピール抽出物(24000)、ナタネオイル(2550)、ストロベリーオイル(1300)、緑茶抽出物(21500)、グレープフルーツ抽出物(53000)、リン酸アスコルビルナトリウム(natrium-ascorbyl-phosphate)(35000)、エーデルワイス抽出物(15500)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)抽出物(840)が挙げられる。
【0033】
本発明によれば、局所用組成物は、5〜200μm、好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜50μm及び特に好ましくは、8〜40μmの平均径を有する微粒子を含む。理論に拘束されようとは思わないが、フリーラジカル捕捉剤を保持する微粒子の皮膚への浸透を防ぐために、及び/又は捕捉している可能性がある化学療法物質を保持する微粒子の皮膚への浸透を防ぐために、粒径は重要であるようである。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、微粒子は多孔質材、シクロデキストリン又はそれらの混合物から選択される。多孔質材は、粉末にした天然有機化合物、例えば、粉末にした定着藻又は角質海綿など、粉にした植物又はその一部、例えば竹粉、デンプン粒など、色素、酸化鉄、ケイ酸塩、マイカ、カオリン、マンガンを含有するクレイ、白土、シリカゲル炭酸カルシウム、滑石粉、オキシ塩化ビスマス、活性炭、セラミック粒子、SiO2、ZnO、SrO2、TiO2又はそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。本発明の目的には、角質海綿、好ましくは、ユースポンギア・オフィシナリス(Euspongia officinalis)、スポンギア・ウシタチシマ(Spongia usitatissima)、ヒッポスポンギア・エキナ(Hippospongia equina)の種類の角質海綿又はそれらの混合物、竹粉、カオリン、白土、SiO2、炭酸カルシウム、シリカゲル、ケイ酸塩、活性炭又はそれらの混合物が特に好ましい。
【0035】
本発明の好ましいシクロデキストリンとしては、β-又はγ-シクロデキストリンがある。本発明の微粒子は市販されているか、先行技術においてよく知られているように容易に得ることができる。
【0036】
組成物中の微粒子の濃度は、組成物の全重量に関して、0.1〜10重量%、好ましくは、0.6〜8重量%、より好ましくは、1〜6重量%の範囲である。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、局所用組成物は、微粒子を、対応するフリーラジカル捕捉剤(類)の水溶液又はエマルションを用いて浸漬することと、この相を室温(18〜25℃)でゆっくりと(50〜200rpm)攪拌することによって、局所用組成物の製剤に必要な補助剤及び更なる成分に添加することとによって調製できる。
【0038】
本発明の組成物は、この種の製剤においてよく用いられるように、捕捉剤及び微粒子と一緒に、その他の皮膚科用補助剤、例えば、水、保存料、着色料、増粘剤、湿潤物質、アルコール、多価アルコール、電解液、ゲル形成物質、極性及び非極性オイル、重合体、共重合体、乳化剤及び安定剤を含み得る。本発明の好ましい一実施形態では、局所用製剤は、抗酸化物質の安定剤を含む。
【0039】
捕捉剤を局所適用するために、それらを通常の方法で補助剤と共に、皮膚に適用できる固体製剤、例えば、クリーム、ゲル、軟膏又はエマルションに、又は皮膚に適用できる液体製剤、例えば、溶液、懸濁液、ローション、セラム又はオイルに製剤する。
【0040】
微粒子と共に抗酸化物質を含む経皮システム、例えば、絆創膏、プラスター又は救急絆も、局所製剤として使用できる。
【0041】
有利な治療用製剤としてまた、チンキ剤の形の水性システム(例えば、粘膜用の)又は浴槽の製剤用に設計された乾燥物質(浴用濃縮物)がある。
【0042】
調製物が含み得る更なる成分として、3000〜5000エルステッド(Oerstedt)という高いコエルシティブ(coercitive)力場を有し、50〜900nm、好ましくは、50〜250nmの範囲の粒径を有する、細かく分布した、硬質磁性単範囲粒子(単結晶)があり、このためこれらの硬質磁性粒子としては、特に、急冷硝子溶解物から単結晶を育てることによる硝子結晶化技術を用いて製造される、バリウム及び/又はストロンチウムヘキサフェライトがある(WO95/−03061、例えば、実施例2又は3、並びに、WO98/44895、例えば、実施例1C参照のこと)。単結晶の割合は、0.1〜5重量%の間であり得る。
【0043】
本発明の製剤は更に、湿潤剤、例えば、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール又はこれらの混合物を含み得る。
【0044】
本発明の局所用製剤に用いるオイルは標準化粧用オイル、例えば、鉱油、水素化ポリソブテン(polysobutene)、合成によって製造された、又は天然産物由来のスクワラン、分岐又は非分岐、飽和又は不飽和であり得る化粧用エステル又はエーテル、植物オイルあるいはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。特に適したオイルとしては、例えば、シリコンオイル、鉱油、水素化ポリイソブテン、ポリイソプレン、スクアラン、トリデシルトリメリテート、トリメチルプロパン−トリイソステアレート、イソデシルシトレート、ネオペンチルグリコール−ジヘプタノエート、PPG−15−ステアリルエーテル及び植物オイル、例えば、カレンジュラオイル、ホホバオイル、アボカドオイル、マカデミアナッツオイル、オリーブオイル、ヒマシ油、ココアバター、ココナッツオイル、トウモロコシオイル、綿実油、オリーブオイル、パーム核油、ナタネオイル、サフローオイル(saflor oil)、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、グレープシードオイル、ククイナッツオイル、アザミオイル及びこれらの混合物がある。
【0045】
どのオイルを選択するかに応じて、固定化組成物(fixed composition)の皮膚科学的特性、例えば、透明度の程度、柔らかさ、硬さ及び塗布特性は影響を受ける。
【0046】
本発明の製剤はO/WエマルションであってもW/Oエマルションであってもよい。O/Wエマルションに適した乳化剤としては、例えば、直鎖C8〜C22脂肪アルコールへの、C12〜C22脂肪酸及びC8〜C15アルキルフェノールへの2〜30モルの酸化エチルからの吸着生成物、グリセリンへの1〜30モルの酸化エチルからの吸着生成物から得られるC12〜C22脂肪酸モノ及びジエステルがある。
【0047】
W/Oエマルションに適した乳化剤としては、例えば、ヒマシ油への2〜15モルの酸化エチルからの吸着生成物、C12〜C22脂肪酸及びグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスライト、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、ポリグルコシド(例えば、セルロース);ポリアルキル−グリコール;羊毛脂アルコール、ポリシロキサン−ポリアルキルポリエーテルの共重合体から得られるエステルがある。
【0048】
既に記載したように、ラジカル保護係数(RPF)により、試験物質に対するフリーラジカルの結合についての物質の活性が定まる。この試験物質は、すべての既知抗酸化剤と反応する、高度に反応性の、半安定ラジカルからなる。このようなラジカルとしては、窒素酸化物、例えば、プロキソ(proxo)(2,2,5,5−テトラメチル−1−ジヒドロピロリノキシ−ニトロキシド)、テンポール(tempol)(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジノキシ−4−オル−ニトロキシド)、DTBN(ジ−t−ブチル−ニトロキシド又は好ましくは、DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリル−ヒドラジル)が挙げられる。
【0049】
RPFは、抗酸化剤/捕捉剤との混合の前後に、電子スピン共鳴(ESR/EPR)によって生じた試験ラジカルの信号振幅が測定され、RPFがこれから算出されるような方法で測定する。一連の標準抗酸化剤のRPFは公知であり、オールトランスレチノールについては、827であり、オールトランスレチノールアセテートについては196であり、DL−α−トコフェロールについては41200であり、α−トコフェリルアセテートについては48である(何れの場合も×1014ラジカル/mg)。
【0050】
ラジカル保護係数の正確な測定手順は、コンフェレンス・マテリアルス「モダン・チャレンジズ・トゥー・ザ・コスメティック・フォーミュレーション」(Conference Materials "Modern Challenges To The Cosmetic Formulation")5.5.−7−5.97、デュッセルドルフ、150〜155頁、Verlag f. chem. Ind. 1997においてヘルリング(Herrling)、グロス(Groth)、フックス(Fuchs)及びザストロー(Zastrow)によって記載されている。本明細書において、既知濃度の試験物質(ここでは、DPPH)又はそのフリーラジカル数(ml当たりのラジカル)、信号振幅S1をESRスペクトロメーターを用いて測定する。試験ラジカルを抗酸化剤と同様の方法で、水/アルコール溶液(例えば、0.1m)に溶解する。次いで、抗酸化剤の信号増幅S2を測定する。2つの信号振幅間の正規化差が減少係数RFである
RF=(S1−S2)/S1
試験物質のラジカル減少の結果RC×RFを、製品投入量PI(mg/ml)に関して正規化する。ここで、RCは、試験物質の量、すなわち、試験物質の公知のラジカル数である。ラジカル保護係数は以下の方程式に従って算出する。
【0051】
【数1】

【0052】
この結果、
RPF=N×1014[1mg当たりのラジカル]
これによりNは正の実数であり、RPFは省略した数値Nに減少させることができる。本発明の実施例では、この省略形を用いる。
【0053】
ラジカル保護係数はESRスペクトロメーター(GALENUS GmbH、ベルリン、ドイツ)を用いて求めることができ、生成物を、フリーラジカルと結合するその能力に関して分類するための値である。手順はin−vitro手順であり、ユーザーの個々の特徴は抗酸化物質に影響を及ぼさない。
【0054】
ラジカル保護係数0を有するシクロデキストリンを加えることによって、驚くべきことに、1.3〜10倍のこの係数の更なる増大を観察することができる。シクロデキストリンとして、標準α−、β−又はγ−シクロデキストリン(Wacker−Chemie)又はこれらの混合物を使用できる。シクロデキストリンは、有効な薬剤物質及び化粧用物質のための封入材料として知られており、したがって、また、本明細書においても捕捉剤の封入のために使用できる。
【0055】
本発明はまた、脱毛、特に、化学療法の副作用としての脱毛症の保護又は治療のための捕捉物質の使用に関する。化学療法の間に、同時に、治療製剤1mg当たり100〜10000×1014、好ましくは、100〜2600×1014ラジカルの少なくとも1種のRPFを含む混合物を用いて、毛髪、特に、頭部毛髪を治療する場合には、予想される脱毛は起こらないか、限定された程度に生ずるだけである。毛髪損傷の保護又は治療にとって特に好ましい捕捉剤として、クルミ又はヘーゼルナッツの葉の水性抽出物がある。
【0056】
捕捉物質の使用はヘアパック、ヘアジェル、ヘアウォーター、ヘアエマルション、ヘアスプレー、ヘア用石鹸泡、タンパク質パック、毛髪構造、ビタライザー(vitaliser)、コーミングエイド(combing aid)又は何らかのその他の形として達成されることが好ましい。これは毛髪に、1日に少なくとも2回、特に、1日に3〜5回新しく適用される。ヘアパック又はヘアトリートメントについては、製品を頭皮及び毛髪上に少なくとも1〜2時間残し、その後、すすいで除く。また、ヘアパックを頭皮上に1日又は複数日残しておくことも可能である。
【0057】
ヘアトリートメントは、化学療法治療の前、化学療法治療と同時に、又は化学療法治療に続いて実施するが、化学療法治療の少なくとも6〜7日後、特に、14〜60日後又は細胞増殖抑制剤を用いる次の治療までが好ましい。
【0058】
本発明の製剤の使用は、製剤が適用される部位での更なるマッサージ、特に、好ましくは5〜10分の頭皮のマッサージによって支援される。
【0059】
本発明はまた、哺乳類の関連皮膚及び/又は頭皮領域に、5〜200μmの範囲の平均粒径を有する微粒子を含む局所用薬剤組成物の形で投与される予防上又は治療上有効な量の1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤を局所投与することを含む、化学療法治療によって引き起こされる哺乳類の皮膚及び毛髪損傷を保護又は治療する方法に関する。
【0060】
本発明に従って治療される皮膚損傷としては、例えば、手掌−足底紅斑異感覚症候群(PPE)、紅斑及び乾燥肌がある。
【0061】
毛髪への化学療法治療の重篤な副作用として脱毛症がある。本発明によれば、細胞増殖抑制剤を用いる化学療法治療の前、化学療法治療の間及び/又は化学療法治療後に、好ましくは、化学療法治療の1日前、治療の間及び化学療法治療の少なくとも6〜7日後、好ましくは、14〜60日後又は細胞増殖抑制剤を用いる次の治療まで、局所用組成物を関連皮膚及び/又は頭皮領域に投与する。局所用組成物は、関連皮膚又は頭皮領域に少なくとも1日2回、好ましくは、1日3〜5回、少なくとも2mg/cm2、好ましくは、2〜10mg/cm2の量で投与すべきである。
【0062】
a) 1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤及び平均粒径が5〜200μmの範囲の微粒子を含み、組成物中のラジカル捕捉剤(類)の濃度が0.05〜45重量%の範囲であり、組成物中の微粒子(類)の濃度が0.1〜10重量%の範囲である局所用組成物と、
b) 洗髪剤の全重量の最大2重量%のフリーラジカル捕捉剤を含む洗髪剤と
からなる化学療法治療によって引き起こされる毛髪損傷を保護又は治療するためのキットが、本発明の更なる目的である。好ましい一実施形態では、キットの局所用組成物のラジカル保護係数RFは、少なくとも85×1014ラジカル/組成物1mgでなくてはならない。
【0063】
本発明はまた、
a) 1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤及び平均粒径が5〜200μmの範囲の微粒子を含み、組成物中のラジカル捕捉剤(類)の濃度が0.05〜45重量%の範囲であり、組成物中の微粒子(類)の濃度が0.1〜10重量%の範囲である局所用組成物と、
b) クレンジング乳液の全重量の最大2重量%のフリーラジカル捕捉剤を含むクレンジング乳液と
からなる化学療法治療によって引き起こされる皮膚損傷を保護又は治療するためのキットに関する。好ましい一実施形態では、このキットの局所用組成物のラジカル保護係数RFは、少なくとも85×1014ラジカル/組成物1mgでなくてはならない。
【0064】
本発明の更なる目的は、化学療法治療によって引き起こされる皮膚及び毛髪損傷を保護又は治療するための局所用薬剤組成物の調製のための予防上又は治療上有効な物質としての1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤の使用、並びに哺乳類の関連皮膚及び頭皮領域に、局所用薬剤組成物の形で投与される予防上又は治療上有効な量の1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤を局所適用することを含む化学療法治療によって引き起こされる哺乳類の皮膚及び毛髪損傷を保護又は治療する方法である。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例に関連して説明する。すべてのデータは、その他の情報が示されない限り、重量パーセンテージとして示されている。
【0066】
実施例1 抗ラジカルクリームI
相A
イソプロピルミリステート3.0、; ステアレス−2 2.3、ステアレス−21 1.5、PPG−15ステアリルエーテル3.0
相B
水100まで適量、EDTA 0.04、カルボマー(carbomere)0.3、水/NaOH 0.3、グリセリン2.0、カオリン0.1(粒径5〜50μm)、竹粉0.5(粒径5〜50μm)
相C
ジメチコン 2.0
相D
保存剤0.1
β−カロチン(carotine)5.0
別個に調製した相A及びBを75℃に加熱し、攪拌によって合わせる。攪拌によってこの混合物に相Cを加え、約40℃に冷却する。35℃で攪拌によって相Dを加え、混合物をホモゲナイズする。
RPF=1270×1014ラジカル/mg。
【0067】
実施例2 抗ラジカルクリームII
相A及びCは実施例1におけるものに相当する。
相B
水100まで適量、EDTA0.04、カルボマー(carbomere)0.3、水/NaOH0.3、グリセリン2.0、角質海綿1.0(粒径5〜50μm)、シクロデキストリン0.01
相D
保存剤0.08
β−カロチン(carotine)3.0
RPF−複合体I1/シクロデキストリン10.0
ローズマリー酸(rosemary acid)0.5
1WO99/66881による(実施例1の活性物質複合体)
製剤は実施例1におけるものに相当する。
RPF=3820×1014ラジカル/mg。
【0068】
実施例3 抗ラジカルクリームIII
相A及びCは、実施例1におけるものに相当する。
相B
水100まで適量、EDTA0.04、カルボマー(carbomere)0.3、NaOH0.3、グリセリン2.0、
相D
保存剤0.08
RPF−複合体I15.0
1WO99/66881による(実施例1の活性物質複合体)
相E
角質海綿2.0(平均粒径10〜40μm)、β−カロチン(carotine)(液体)1.5
ローズマリー酸(rosemary acid)(液体)0.5
β−カロチン(carotine)及びローズマリー酸(rosemary acid)を混合する。室温(18〜25℃)でこの混合物に角質海綿を加える。微粒子を浸漬するために、約10分間ゆっくりと(50〜200rpm)攪拌する。
次いで、別個に調製した相A、B、C及びDを一緒に混合する。室温(18〜25℃)で、ゆっくりと(50〜200rpm)攪拌することによって相Eを加える。
【0069】
実施例4 抗ラジカルクリームIV
相A及びCは実施例1におけるものに相当する。
相B
水100まで適量、EDTA0.04、カルボマー(carbomere)0.3、水/NaOH0.3、グリセリン2.0、角質海綿1.0(粒径8〜40μm)、竹粉0.1(粒径8〜40μm)、SiO20.2(粒径5〜50μm)
相D
保存剤0.09
RPF−複合体I210.0
赤ブドウの果皮抽出物2.0
オリガノックス(Origanox)(登録商標)WS1.0
安定化ビタミンC2.0、
製剤は実施例1におけるものに相当する
RPF=6310×1014ラジカル/mg
2 WO01/26617による(実施例1の活性物質複合体)。
【0070】
実施例5 抗ラジカルクリームV
相A及びCは実施例1におけるものに相当する。
相B
水100まで適量、EDTA0.04、カルボマー(carbomere)0.3、水/NaOH0.3、グリセリン2.0、白土1.0(平均粒径約5μm)、カオリン0.1(平均粒径50μm)
相D
保存剤0.1
トマト抽出物2.0
マツ樹皮抽出物0.5
RPF−複合体I1/シクロデキストリン10.0
1WO99/66881による(実施例1の活性物質複合体)
製剤は実施例1におけるものに相当する。
RPF=4040×1014ラジカル/mg。
【0071】
実施例6 クレンジング乳液
相A
水100まで適量、プロピレングリコール3.0、グリセリン2.0、カルボマー(carbomere)0.5
相B
セチルアルコール3.0、シアバター0.1
中和剤/pH調整剤:トリエタノールアミン0.5
防腐剤:2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール 0.1
変性アルコール(99.2)、クロヨナ(Pongamia Pinnata)種子抽出物(0.2)、ヨーロッパトウキ(Angelica Archangelica)根抽出物(0.2)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)葉抽出物(0.2)、アラビカコーヒー(Coffea Arabica)(コーヒー)葉/種子抽出物(0.2)からなるRPF−複合体III3
(プロセンテージ(procentages)はRPF−複合体の全重量に関連している)
3DE10325156A1の実施例1の抽出物混合物による
製剤
主容器に相Aを入れ、45〜50℃に加熱する。カルボマー(carbomere)をゆっくりと加え、完全にホモジナイズする。ここで、相Aを65℃に加熱する。相Bを65℃に別個に加熱し、均一まで攪拌する。次いで、主容器中に入れた相A中に相Bを加え、十分にホモジナイズする。攪拌を継続する。次いで、攪拌下、50〜55℃に冷却する。その後、トリエタノールアミンを加え十分にホモジナイズする。ここで、攪拌下、40℃より低く冷却し、RPF−複合体及び防腐剤を均一まで加える。室温への冷却を続け、pH及び粘度などのパラメータを制御する。
【0072】
実施例7 パーマネントヘアリンス
水100まで適量、カルボマー(carbonere)0.08、トリエタノールアミン0.08、RPF−複合体I1(リポソーム)2.0、RPF複合体I2 2.0、β−カロチン(carotine)1.0、赤ブドウの果皮の濃縮物3.0、α−酢酸トコフェロール1.0、安定化ビタミンC1.5、角質海綿1.0(平均粒径40μm)、白土0.1(平均粒径5μm)。
これらの成分を一緒に混合する。得られたリンスは、1630×1014ラジカル/mgというRPFを有する。
【0073】
実施例8 ヘアパックI
水100まで適量、カルボマー(carbomere)2.5、トリエタノールアミン2.5、未焙煎コーヒーオイル2.0、ナタネオイル3.0、オレガノオイル2.0、エタノール4.0、WO98/44895実施例1Cの硬質磁性粒子100〜300nm 0.1、RPF複合体I1 2.0、RPF複合体I2 2.0、β−カロチン(carotine)1.0、赤ブドウ果皮の濃縮物3.0、カバノキ樹皮抽出物2.0、ポリエチレン球300〜900nm 3.0、竹粉0.01(粒径100〜200μm)、SiO2 3.0(粒径100〜200μm)、白土0.01(粒径約100μm)、シリカゲル 0.1(粒径100〜150μm)。
これらの成分を一緒に混合する。得られる組成物は、2410×1014ラジカル/mgというRPFを有する。
【0074】
実施例9 ヘアパックII
水100まで適量、カルボマー(carbomere)2.5、トリエタノールアミン 2.5、未焙煎コーヒーオイル2.0、ナタネオイル2.0、カレンジュラオイル2.0、エタノール4.0、WO98/44895実施例1Cの硬質磁性粒子100〜300nm、DE4241154 C1のパン酵母由来の酵母抽出生成物 2.2、マツ樹皮抽出物 2.0、シリカゲル 2.7(平均粒径5μm)、角質海綿0.5(粒径50〜80μm)、カオリン 0.1(粒径100〜200μm)、竹粉0.5(平均粒径100μm)、活性炭 0.01(粒径150〜200μm)。製剤は実施例7において記載されたとおり実施する、RPF=2590×1014ラジカル/mg。
【0075】
実施例10 洗髪剤
水100まで適量、RPF I1 1.0、塩化ナトリウム 0.1、フラグランス(Flagrance) 1.2、防腐剤 0.8、水酸化ナトリウム(10%) 0.5。
これらの成分を室温で混合する(パートA)。
D−パンテノール0.2、酢酸トコフェロール0.5、プロピレングリコール2.0、ラウレス硫酸ナトリウム15.00、ラウリル硫酸TEA10.00、クオタニウム80/プロピレングリコール3.0、クエン酸0.09、コカミドプロピルベタイン10.00。
これらの成分を室温で混合し、パートAに加える。
【0076】
実施例11 PPEの保護
実施例1のクリームを、ドキソルビシンを用いて6ヶ月間治療されなければならなかった8人の女性癌患者に投与した。クリームの投与は、ドキソルビシンを用いる最初の治療の前日に開始した。この日に各患者に、朝及び晩に掌及び足底領域にクリームを塗った。翌日、化学療法の当日、各患者に、朝及び晩に、1日2回クリームを塗った。ドキソルビシンを用いる治療の翌日開始し、各患者は毎日朝及び晩に少なくとも6又は7日間、好ましくは、次のドキソルビシンを用いる治療まで毎日クリームを塗った。通常、クリームの各反復投与の前に、関連領域は、実施例6のクレンジング乳液で清潔にしておいた。8人の患者のうち1人もPPEを発生しなかった。
【0077】
比較により、6ヶ月間ドキソルビシンを用いて治療されなければならなかった3人の患者には、担体粒子(竹粉及びカオリン)を含まない実施例1のクリームを、上記の投与計画に従って、化学療法治療の前、化学療法治療の間、化学療法治療後に与えた。これら3人の患者は、紅斑で示される低レベルのPPEを発生した。
【0078】
2人の更なる女性癌患者は、フリーラジカル捕捉剤を含まず、且つ、担体粒子も含まない実施例1のクリームを用い、上記の投与計画に従って治療した。これらの2人の患者は強力なPPEを発生した。
【0079】
実施例12 PPEの治療
3ヶ月のエピルビシンを用いる化学療法の後に、掌及び/又は足底領域にPPEを発生した7人の女性癌患者に実施例3のクリームを投与した。クリームは、関連領域に3日間1日3回投与し、皮膚損傷は3日以内に完全に治った。通常、クリームの各反復投与の前に、関連領域は、実施例6のクレンジング乳液で清潔にしておいた。
【0080】
比較により、3ヶ月の化学療法の後に同一領域にPPEを有する3人の女性癌患者に、微粒子(角質海綿)を含まない実施例3のクリームを、同一の治療計画で与えた。3日後、改善が認められ、8日後には皮膚損傷が完全に消失した。
【0081】
3ヶ月の化学療法後に同一領域にPPEを有する2人の女性癌患者に、ラジカル捕捉剤を含まず、且つ、微粒子を含まない実施例3のクリームを、上記と同一の治療計画で与えた。最大10日の投与で改善は認められなかった。
【0082】
実施例13 脱毛症の保護
実施例7のパーマネントヘアリンスを、タキソールを用いて3ヶ月という期間の間治療された5人の女性の癌患者に投与した。タキソールは3週間毎に適用した。
【0083】
パーマネントヘアリンスは、3ヶ月の治療期間の前日及び治療期間の間、1日2回頭皮領域に投与した。5日毎に頭皮を実施例10の洗髪剤を用いて洗浄した。
【0084】
タキソール治療後の最初の5日の間、実施例9のヘアパックIIを晩に適用した。
【0085】
通常、タキソール治療の最初の2週間の間にすべての患者は毛髪を喪失する。
【0086】
本場合では、脱毛症を3ヶ月間大幅に減少させた。タキソール治療の3ヶ月後毎に、約50%の毛髪が頭皮上に残っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学療法治療によって引き起こされる皮膚及び毛髪障害の保護又は治療用の局所用薬剤組成物を調製するための、平均粒径が5〜200μmの範囲の微粒子と共の、予防上又は治療上有効な物質としての1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤の使用。
【請求項2】
組成物のラジカル保護係数が、電子スピン共鳴(ESR)を用い、以下の比
RPF=(RC×RF)/PI
[式中、RF=(S1−S2)/S1、RC=試験物質の濃度(ラジカル/ml)、PI=活性物質組成物の濃度(mg/ml)、S2=酸化防止剤の信号振幅)]
に従って組成物のESR測定結果と比較して、試験物質溶液中のフリーラジカル数(S1)を求めることによって測定され、組成物1mg当たり少なくとも85×1014ラジカルをなす、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
組成物のラジカル保護係数が、組成物1mg当たり200〜12000×1014ラジカルである、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
組成物中の1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤の濃度が、組成物の全重量に関して0.05〜45重量%、好ましくは、1〜40重量%、より好ましくは、3〜33重量%、特に好ましくは、9〜26重量%の範囲である、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
フリーラジカル捕捉剤として、水溶性及び/又は脂溶性抗酸化剤、酵素、又は、それらの混合物を用いる、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
フリーラジカル捕捉剤が、(1)未焙煎コーヒー豆、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、クロヨナ(Pongamia pinnata)及びヨーロッパトウキ(Angelica archangelica)のアルコール性抽出物混合物、(2)a)マイクロカプセル中の、少なくとも90重量%のプロアントシアニジンオリゴマーと最大10重量%の没食子酸とを含むケブラチョ・ブランコ(Quebracho blanco)の樹皮の抽出とそれに続く酵素的加水分解とによって得られる生成物、b)ペプチドセクロピン、アミノ酸及びビタミン混合物を含む、抽出によって得られたカイコの抽出物、c)非イオン性、陽イオン性又は陰イオン性ハイドロゲル又はハイドロゲルの混合物、d)1種又は複数のリン脂質、及びe)水の混合物、(3)β−及びγ−シクロデキストリンから選択される1種又は複数のシクロデキストリンを含む(2)と、少なくとも150ユニット/mlのスーパーオキシドジスムターゼを含む、パン酵母又は醸造用酵母の超音波分解生成物とからなる生成物、並びに、(1)〜(3)の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
微粒子が多孔質材、シクロデキストリン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6の1項に記載の使用。
【請求項8】
微粒子の多孔質材が、角質海綿、好ましくは、ユースポンギア・オフィシナリス(Euspongia officinalis)、スポンギア・ウシタチシマ(Spongia usitatissima)、ヒッポスポンギア・エキナ(Hippospongia equina)の種類の角質海綿又はそれらの混合物、竹粉、カオリン、白土、SiO2、炭酸カルシウム、シリカゲル、ケイ酸塩、活性炭又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
シクロデキストリンとしてβ-及び/又はγ-シクロデキストリンを用いる、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
組成物中の微粒子(類)の濃度が、組成物の全重量に関して、0.1〜10重量%、好ましくは、0.6〜8重量%、より好ましくは、1〜6重量%の範囲である、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
5〜100μm、好ましくは、5〜50μm、最も好ましくは、8〜40μmの範囲の微粒子を用いる、請求項1に記載の使用。
【請求項12】
クリーム、ローション、軟膏、ゲル又はエマルションの調製のための、請求項1に記載の使用。
【請求項13】
製薬上許容される助剤を加える、請求項1に記載の使用。
【請求項14】
化学療法治療によって引き起こされる哺乳類の皮膚及び毛髪障害を保護又は治療する方法であって、哺乳類の関係皮膚及び頭皮領域に、予防上又は治療上有効な量の1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤を局所投与するステップを含み、フリーラジカル捕捉剤が、5〜200μmの範囲の平均粒径を有する微粒子を含む局所用薬剤組成物の形で投与される方法。
【請求項15】
化学療法治療によって引き起こされる皮膚損傷が手掌−足底紅斑異感覚症候群(PPE)、紅斑及び乾燥肌である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
化学療法治療によって引き起こされる毛髪損傷が脱毛症である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
局所用組成物中の1種又は複数のラジカル捕捉剤の濃度が、組成物の全重量に関して0.05〜45重量%の範囲である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
局所用組成物中の微粒子の濃度が、組成物の全重量に関して0.1〜10重量%の範囲である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
組成物を、細胞増殖抑制剤と共に、化学療法治療の前、化学療法治療の間及び/又は化学療法治療後に、好ましくは、治療の1日前、治療の間及び治療の少なくとも6〜7日後に哺乳類の関連皮膚及び/又は頭皮領域に投与する、請求項14に記載の皮膚及び毛髪障害を保護する方法。
【請求項20】
組成物を、少なくとも1日2回、好ましくは、少なくとも2mg/cm2の量で、特に、2〜10mg/cm2の量で関連皮膚又は頭皮領域に投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
組成物の頭皮への局所投与が、好ましくは5〜10分の頭皮のマッサージを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
a) 1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤と平均粒径が5〜200μmの範囲の微粒子とを含み、組成物中のラジカル捕捉剤の濃度が0.05〜45重量%の範囲であり、組成物中の微粒子の濃度が0.1〜10重量%の範囲である局所用組成物と、
b) 洗髪剤の全重量の最大2重量%のフリーラジカル捕捉剤を含む洗髪剤と
からなる化学療法治療によって引き起こされる毛髪損傷を保護又は治療するためのキット。
【請求項23】
a) 1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤と平均粒径が5〜200μmの範囲の微粒子とを含み、組成物中のラジカル捕捉剤の濃度が0.05〜45重量%の範囲であり、組成物中の微粒子の濃度が0.1〜10重量%の範囲である局所用組成物と、
b) クレンジング乳液の全重量の最大2重量%のフリーラジカル捕捉剤を含むクレンジング乳液と
からなる化学療法治療によって引き起こされる皮膚損傷を保護又は治療するためのキット。
【請求項24】
化学療法治療によって引き起こされる皮膚及び毛髪損傷を保護又は治療するための局所用薬剤組成物を調製するための予防上又は治療上有効な物質としての1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤の使用。
【請求項25】
化学療法治療によって引き起こされる哺乳類の皮膚及び毛髪損傷を保護又は治療する方法であって、哺乳類の関連皮膚及び頭皮領域に、予防上又は治療上有効な量の1種又は複数のフリーラジカル捕捉剤を局所投与するステップを含み、フリーラジカル捕捉剤が局所用薬剤組成物の形で投与される方法。

【公表番号】特表2008−540387(P2008−540387A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509457(P2008−509457)
【出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062076
【国際公開番号】WO2006/117405
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507134471)コティ プレスティゲ ランカスター グループ ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】