説明

半導体洗浄用組成物およびこれを用いた半導体装置の製造方法

【課題】アルミニウム合金配線層にエッチングなどのダメージを与えることなく、側壁堆積物やレジスト残渣を洗浄除去できる半導体洗浄用組成物並びに、その半導体洗浄用組成物を用いた半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】有機酸とアンモニアとフッ素化合物の混合水溶液からなることを特徴とする半導体洗浄用組成物を用いる。また、無機酸とフッ素化合物の混合水溶液からなることを特徴とする半導体洗浄用組成物を用いる。さらにこれらの半導体洗浄用組成物を用いてアルミニウム合金から構成される金属配線層3の側壁堆積物6やレジスト残渣を洗浄除去する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体洗浄用組成物および半導体装置の製造技術に関し、特に、レジスト膜をマスクとして金属配線層をドライエッチング加工する際に発生する反応生成物を除去する洗浄工程に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大規模集積回路などの半導体装置においては、半導体基板の主面(素子形成面)上にAl(アルミニウム)や、Al−Si(シリコン)合金、Al−Cu(銅)合金、Al−Cu−Si合金などのアルミニウムを主成分とするアルミニウム合金を用いた配線層(配線)が形成される。例えばアルミニウム合金による配線層の製造工程は以下の通りである。
【0003】
まず、トランジスタ等の半導体素子及び絶縁膜等が形成された半導体基板(例えばシリコン基板)の主面上に、スパッタ法によってアルミニウム合金から構成される層(アルミニウム合金層)を形成する。次いで、アルミニウム合金層上にレジスト膜を塗布し、リソグラフィ及び現像によってレジスト膜をパターニングする。次いで、パターニングされたレジスト膜をマスクとして、塩素系(Cl、BCl、CCl等)ガスによってアルミニウム合金層をドライエッチングし、アルミニウム合金層から構成される配線層を形成する。次いで、アッシングによりレジスト膜を除去する。
【0004】
ここで、ドライエッチング時には、被エッチング材であるアルミニウム合金のエッチングされた側壁部分にドライエッチングで除去されたアルミニウム合金の一部やAlCl等のドライエッチング生成物、ドライエッチングによって削られたレジスト残渣などが堆積する(以下、側壁堆積物と総称する)。
【0005】
この側壁堆積物中には、エッチングガス中のClラジカルやイオンも取り込まれる。これらエッチングガス起因のCl化合物(AlCl等)やClラジカル・イオンは、空気中の水分と反応して酸を生じ、配線材としてのアルミニウム合金を腐食させ、配線の抵抗増加や断線等を生じる。そのため、エッチング終了後は速やかに側壁堆積物を除去する事が望ましい。また、ドライエッチング雰囲気に曝されたレジスト膜は変性し、アッシングだけでは十分な除去効果が得られず、配線層の上面に残留して配線の導通不良を生じる恐れがあるため、レジスト残渣も除去する事が望ましい。
【0006】
このような側壁堆積物を除去するために、薬液(半導体洗浄用組成物)を用いたウェット洗浄方法が一般に用いられている。特開平11−243085号公報(特許文献1)には、0.01重量%乃至15重量%の硫酸と、0.01重量%乃至20重量%の過酸化水素と、0.1ppm乃至100ppmのフッ化物含有化合物とを含む半導体洗浄用組成物が開示されている。
【0007】
また、本発明者らは、発明した結果に基づき、有機酸とアンモニアとフッ素化合物との混合水溶液から構成する半導体洗浄用組成物の観点で先行技術調査を行った。その結果、特開平09−134899号公報(特許文献2)、特開平11−80787号公報(特許文献3)、特開平11−87290号公報(特許文献4)、特開平11−97401号公報(特許文献5)、特開平11−97406号公報(特許文献6)、特開2002−16119号公報(特許文献7)が抽出された。
【特許文献1】特開平11−243085号公報
【特許文献2】特開平09−134899号公報
【特許文献3】特開平11−80787号公報
【特許文献4】特開平11−87290号公報
【特許文献5】特開平11−97401号公報
【特許文献6】特開平11−97406号公報
【特許文献7】特開2002−16119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、側壁堆積物を除去する洗浄工程において、例えば前記特許文献1に記載の硫酸、過酸化水素、およびフッ化物含有化合物を含む半導体洗浄用組成物(薬液)を用いた。しかしながら、この半導体洗浄用組成物を用いた場合、厚い側壁堆積物の除去性を得るために長時間のエッチング(たとえば液に3分浸漬)を行うと、硫酸およびフッ化物含有化合物によってアルミニウム合金配線層自身をエッチングする結果、配線抵抗の増大や断線を招く恐れがあった。
【0009】
また、硫酸、過酸化水素、およびフッ化物含有化合物を含む半導体洗浄用組成物ではなく、例えば前記特許文献2〜7に記載の有機酸とアンモニアとフッ素化合物との混合水溶液から構成する半導体洗浄用組成物を単に用いた場合も同様に、配線抵抗の増大や断線を招く場合があることが考えられる。
【0010】
本発明の目的は、金属配線の腐食を抑制し、かつ側壁堆積物を除去できる半導体洗浄用組成物を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、金属配線の腐食を抑制し、かつ側壁堆積物を除去できる半導体装置の製造技術を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
本発明の一実施の形態は、半導体洗浄用組成物において、有機酸、アンモニア、フッ素化合物を含む混合水溶液のpHを3以上9以下の範囲とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
この一実施の形態によれば、半導体洗浄用組成物の組成が最適化されているので、金属配線の腐食を抑制し、かつ側壁堆積物を除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法について図面を参照して説明する。本実施の形態1における半導体装置は、半導体素子として、例えばMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を備えているものである。このMISFETは、周知の方法によって例えばシリコン基板からなる半導体基板(以下、基板という)の主面(素子形成面)に形成される。以下は、基板の主面にMISFETが形成された後の工程について説明する。なお、本実施の形態1では、MISFETを例示するが、これに限らず、その他の半導体素子であっても良い。
【0019】
図1に示すように、基板(図示しない)の主面上に、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として成膜されるシリコン酸化膜などの絶縁層1を形成する。次いで、例えばスパッタ法を用いて形成されたTi/TiNからなるバリアメタル層2、金属配線となる例えばスパッタ法を用いて形成されたAl−Cu−Si合金からなる金属配線層3、例えばスパッタ法を用いて形成されたTiNからなる反射防止膜4を順に積層する。次いで、ポジ型レジスト膜をスピンコートで塗布形成し、フォトマスクを用いて露光し、現像する事で、所望のパターンのレジスト構造物5を得る。すなわち、このような工程を経て得られたレジストパターニング基板が図1に示されている。
【0020】
続いて、図2に示すように、レジスト構造物5をマスクとして、塩素系ガス(たとえばBClガス、BClとClの混合ガス)を用いてドライエッチングで金属配線層3を加工する。すなわち、このような工程を経て得られたドライエッチ加工基板が図2に示されている。このとき、加工された金属配線層3の側壁部分には、ドライエッチングされたレジスト構造物5の変性物、ドライエッチングで除去されたAl−Cu−Si合金の一部、AlCl等のドライエッチング生成物などからなる側壁堆積物6が付着する。
【0021】
続いて、図3に示すように、酸素アッシングによってレジスト構造物5を除去する。このとき側壁堆積物6の大半は酸素アッシングでは除去されずに残留する。すなわち、このような工程を経て得られた側壁堆積物6が残留した金属配線層基板が図3に示されている。
【0022】
続いて、図4に示すように、アッシング後も残留している側壁堆積物6を以下に説明する本実施の形態1における半導体洗浄用組成物(薬液)を用いて洗浄(除去)する。具体的には、半導体洗浄用組成物をタンク(図示しない)に満たして循環させながら、図3に示すアッシング後も側壁堆積物6の残留した基板を2分間浸漬し、超純水を10L/分でオーバフローしているオーバフロー槽(図示しない)で10分間リンスした後、スピン乾燥機(図示しない)を用いて乾燥させる。その結果図4に示すように側壁堆積物6を除去した基板を得る事ができる。すなわち、このような工程(洗浄工程)を経て得られた金属配線層基板が図4に示されている。さらに多層配線基板の場合には配線層の数だけ上記プロセスを繰り返す事も可能である。
【0023】
アッシング後も残留している側壁堆積物6を、半導体洗浄用組成物を用いて洗浄するプロセスとしては、半導体洗浄用組成物をタンク等に入れ、側壁堆積物6が付着した基板を浸漬処理する方法がある。このときタンクに入れた半導体洗浄用組成物は撹拌や循環等で流動させることが好ましい。また基板を揺動させることも好ましい。また、アッシング後も残留している側壁堆積物6を、半導体洗浄用組成物を用いて洗浄するもうひとつのプロセスとしては、基板表面にアッシング後も残留している側壁堆積物6に対して半導体洗浄用組成物をノズル等でスプレーする方法がある。この場合基板を回転させる、ノズルを揺動させる等の方法により、半導体洗浄用組成物が基板に均一にスプレーされるようにすることはより好ましい。
【0024】
いずれの方法によっても半導体洗浄用組成物で処理した後は、水、好ましくは純水、より好ましくは超純水ですすいだ後、乾燥させる。アッシング後も残留している側壁堆積物6を、本発明の実施の形態1における半導体洗浄用組成物を用いて洗浄するプロセスは上記に限定されるものではなく、方法のいかんによらず、側壁堆積物6に半導体洗浄用組成物を接触させることによって、達成される。
【0025】
ここで、本発明の実施の形態1における半導体洗浄用組成物として、有機酸とアンモニアとフッ素化合物の混合水溶液からなる半導体洗浄用組成物について図表を参照して説明する。図5に、種々の組成で構成される混合水溶液からなる半導体洗浄用組成物を用いた場合の洗浄結果の表を示す。
【0026】
本実施の形態1における有機酸とアンモニアとフッ素化合物の混合水溶液からなる半導体洗浄用組成物の一例として、図5の表に示す組成の実施例1から4の半導体洗浄用組成物を作成し、アッシング後も残留している側壁堆積物6に対する除去性(洗浄性)、およびアルミニウム合金から構成される金属配線層3に対する腐食性を評価した。また、本実施の形態1における半導体洗浄用組成物の効果を明らかにするために、比較例としてフッ素化合物を含まない有機酸とアンモニアと残余の水からなる水溶液(比較例1)および従来技術であるところの硫酸と過酸化水素とフッ化水素酸と残余の水からなる水溶液(比較例2)を作成し、同様にアッシング後も残留している側壁堆積物6に対する除去性(洗浄性)、およびアルミニウム合金から構成される金属配線層3に対する腐食性を評価した。なお、図5の表には、半導体洗浄用組成物のpHも併せて示されている。
【0027】
本実施の形態1における半導体洗浄用組成物を構成する組成物は、有機酸として100重量%の氷酢酸、アンモニアとして28重量%のアンモニア水溶液、フッ素化合物として50重量%のフッ化水素酸水溶液および40重量%のフッ化アンモニウム水溶液、過酸化水素として30重量%の過酸化水素水、無機酸として95重量%の硫酸を用いた。
【0028】
半導体洗浄用組成物の評価を行うにあたり、実施例1から4および比較例1、2の洗浄液組成物をタンクに満たし、図3に示す側壁堆積物6が付着したアルミ合金配線形成基板を3分間揺動しながら浸漬処理した。このとき洗浄液組成物の液温は23℃とした。その後10L/分で超純水をオーバフローさせているオーバフロー槽で10分間リンスした後、スピン乾燥した。乾燥後のアルミ合金配線形成基板表面を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率5万倍で金属配線部分の側壁付着物の有無ならびに金属配線層の腐食の有無を観察・評価した。なお、洗浄液温や洗浄時間は、上記実施例になんら限定されることはなく、種々変更して実施することが可能である。
【0029】
図5の表の側壁堆積物除去性の欄において、○印は側壁堆積物の残渣が残っていないこと、×印は側壁堆積物の残渣が残っていることを示す。また、金属配線腐食性の欄においては、○印は金属配線の腐食がないこと、×印は金属配線表面が腐食されてピットや面荒れを生じていることを示す。
【0030】
図5の表から比較例1の酢酸、アンモニア、残余の水からなる半導体洗浄用組成物で洗浄した場合、金属配線腐食性の評価結果は「○」であり、金属配線に対する腐食によるピットや面荒れは認められなかった。しかし、側壁堆積物除去性の評価結果は「×」であり、金属配線側壁に付着した側壁堆積物の一部残留が認められた。また、比較例2の硫酸、過酸化水素、フッ化水素酸、残余の水からなる半導体洗浄用組成物で洗浄した場合、側壁堆積物除去性の評価結果は「○」であり、金属配線側壁に付着した側壁堆積物の残留は認められなかった。しかし、金属配線腐食性の評価結果は「×」であり、金属配線に対する腐食による部分的ピットの発生ならびに面荒れが認められた。
【0031】
一方、本実施の形態1における半導体洗浄用組成物の実施例1から4では、いずれの組成の半導体洗浄用組成物で洗浄した場合にも、側壁堆積物除去性の評価結果は「○」、金属配線腐食性の評価結果は「○」であり、側壁堆積物を良好に除去でき、金属配線層を腐食させることもない。
【0032】
本実施の形態1における半導体洗浄用組成物は図5の表に示した組成に限定されることはなく、以下に示す範囲で種々変更して実施することが可能である。本実施の形態1における半導体洗浄用組成物は、主に有機酸とアンモニアの組成比を調整する事によってpHの範囲を3以上9以下としている。さらにフッ素化合物としてフッ化水素酸を用いる場合は、有機酸とフッ化水素酸とアンモニアの組成比の調整によってpHの範囲を3以上9以下としている。以下、有機酸として酢酸を用い、フッ素化合物としてフッ化水素酸を用いた場合の、酢酸、フッ化水素酸、アンモニアの各々の重量%での組成とそのとき得られた半導体洗浄用組成物のpHを示す。pHが3以上9以下の範囲にある半導体洗浄用組成物を得るための組成の一例としては以下の組成がある。
【0033】
pH3の半導体洗浄用組成物の一例として、酢酸1重量%とアンモニア0.01重量%とフッ化水素酸0.0001重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH3の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH3の半導体洗浄用組成物が得られる。また別の一例として、酢酸50重量%とアンモニア0.6重量%とフッ化水素酸0.1重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH3の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH3の半導体洗浄用組成物が得られる。酢酸とフッ化水素酸の重量%濃度の合計と、アンモニアの重量%濃度との比がおおよそ100:1の範囲でpH3の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH3の半導体洗浄用組成物が得られる。
【0034】
また、pH9の半導体洗浄用組成物の一例として、酢酸5重量%とアンモニア2重量%とフッ化水素酸0.001重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH9の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH9の半導体洗浄用組成物が得られる。さらにまた別の一例として、酢酸27重量%とアンモニア12重量%とフッ化水素酸1重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH9の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH9の半導体洗浄用組成物が得られる。酢酸とフッ化水素酸の重量%濃度の合計と、アンモニアの重量%濃度との比がおおよそ25:10の範囲でpH9の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH9の半導体洗浄用組成物が得られる。
【0035】
このように、酢酸1重量%以上50重量%以下、アンモニア0.01重量%以上12重量%以下、フッ化水素酸0.0001重量%以上1重量%以下の範囲で、酢酸とフッ化水素酸の重量%濃度の合計と、アンモニアの重量%濃度との比がおおよそ100:1の範囲から25:10の範囲で組成を調整する事により、pHが3以上9以下の範囲にある半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpHが3以上9以下の範囲にある半導体洗浄用組成物が得られる。
【0036】
半導体洗浄用組成物のpHを3以上9以下の範囲にあるようにする事によって半導体洗浄用組成物によるアルミニウム合金配線層のエッチングを防止するとともに、側壁堆積物に対して除去効果のあるフッ素化合物を添加する事によって、アルミニウム合金配線層のエッチングや腐食等のダメージを防止しつつ側壁堆積物の洗浄性を向上させた半導体洗浄用組成物を得ることができる。
【0037】
本発明に基づくより好ましい半導体洗浄用組成物は、主に有機酸とアンモニアの組成比の調整によってpHの範囲を4以上6以下としている。さらにフッ素化合物としてフッ化水素酸を用いる場合は、有機酸とフッ化水素酸とアンモニアの組成比の調整によってpHの範囲を4以上6以下としている。pHが4以上6以下の範囲にある半導体洗浄用組成物を得るための組成の一例としては以下の組成がある。
【0038】
pH4の半導体洗浄用組成物の一例として、酢酸1.5重量%とアンモニア0.1重量%とフッ化水素酸0.0001重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH4の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH4の半導体洗浄用組成物が得られる。また別の一例として、酢酸49重量%とアンモニア2.6重量%とフッ化水素酸0.05重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH4の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH4の半導体洗浄用組成物が得られる。酢酸とフッ化水素酸の重量%濃度の合計と、アンモニアの重量%濃度との比がおおよそ15:1の範囲でpH4の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH4の半導体洗浄用組成物が得られる。
【0039】
また、pH6の半導体洗浄用組成物の一例として、酢酸5.2重量%とアンモニア1.5重量%とフッ化水素酸0.001重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH6の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH6の半導体洗浄用組成物が得られる。さらにまた別の一例として、酢酸34重量%とアンモニア9.5重量%とフッ化水素酸0.05重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH6の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH4の半導体洗浄用組成物が得られる。酢酸とフッ化水素酸の重量%濃度の合計と、アンモニアの重量%濃度との比がおおよそ35:10の範囲でpH6の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH4の半導体洗浄用組成物が得られる。
【0040】
このように、酢酸1.5重量%以上50重量%以下、アンモニア0.1重量%以上10重量%以下、フッ化水素酸0.0001重量%以上0.05重量%以下の範囲で酢酸とフッ化水素酸の重量%濃度の合計と、アンモニアの重量%濃度との比がおおよそ15:1の範囲から35:10の範囲で組成を調整する事により、pHが4以上6以下の範囲にある半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpHが4以上6以下の範囲にある半導体洗浄用組成物が得られる。
【0041】
pHが4以上6以下の範囲にある半導体洗浄用組成物であるところの、pH5の半導体洗浄用組成物の一例として、酢酸5重量%とアンモニア0.7重量%とフッ化水素酸0.001重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH5の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH5の半導体洗浄用組成物が得られる。さらにまた別の一例として、酢酸9重量%とアンモニア1.5重量%とフッ化水素酸0.01重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH5の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH5の半導体洗浄用組成物が得られる。さらにまた別の一例として、酢酸9重量%とアンモニア1.5重量%とフッ化水素酸0.02重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH5の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH5の半導体洗浄用組成物が得られる。さらにまた別の一例として、酢酸40重量%とアンモニア6重量%とフッ化水素酸0.05重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH5の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH5の半導体洗浄用組成物が得られる。酢酸とフッ化水素酸の重量%濃度の合計と、アンモニアの重量%濃度との比がおおよそ6:1の範囲でpH5の半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH5の半導体洗浄用組成物が得られる。
【0042】
さらに好ましくは、pHが4以上6以下の範囲に緩衝領域を持つようにしている。一例として、酢酸9.1重量%とアンモニア1.1重量%とフッ化水素酸0.0001重量%と残余の水からなる水溶液によって、pH4.5付近に緩衝領域を持つ半導体洗浄用組成物が得られる。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH4.5付近に緩衝領域を持つ半導体洗浄用組成物が得られる。前記pH4.5付近に緩衝領域を持つ半導体洗浄用組成物に対してフッ化水素酸を0.0001重量%以上0.05重量%以下の範囲で加えて得られる半導体洗浄用組成物のpHは4.5であり、フッ化水素酸を加えてもpHが変動しないことから、pH4.5で緩衝領域を持っている。さらに前記混合水溶液に酸化剤として0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素水を加えてもpH4.5付近に緩衝領域を持つ半導体洗浄用組成物が得られる。
【0043】
以上の例はいずれも有機酸として酢酸を用い、フッ素化合物としてフッ化水素酸を用いた場合を例にとって示したが、有機酸としてギ酸を用いた場合、フッ素化合物としてフッ化アンモニウムを用いた場合にも、同様の効果を得る事ができる。また酸化剤としてオゾンを用いた場合にも、同様の効果を得る事ができる。
【0044】
本発明の実施の形態1における半導体洗浄用組成物は、有機酸とアンモニアの混合水溶液からなる半導体洗浄用組成物であって、フッ素化合物を含有することを特徴とし、特に有機酸とアンモニアの混合水溶液にフッ素化合物を加えた水溶液のpHが3以上9以下の範囲にあることを特徴とする。アルミニウムおよびアルミニウム合金は概略pH4から8の範囲で不動態化するため、半導体洗浄用組成物のpHを3以上9以下の範囲にする事によって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線層が半導体洗浄用組成物によって腐食やエッチングされることを防止できる。
【0045】
より好ましくは有機酸とアンモニアの混合水溶液にフッ素化合物を加えた水溶液のpHが4以上6以下の範囲にあることを特徴とする。アルミニウムおよびアルミニウム合金は概略pH4から8の範囲で不動態化するため、半導体洗浄用組成物のpHを4以上8以下の範囲にする事によって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線層が半導体洗浄用組成物によって腐食やエッチングされることを防止できる。さらに好ましくは有機酸とアンモニアの混合水溶液にフッ素化合物を加えた水溶液のpHが4以上6以下の範囲に緩衝領域を持つことを特徴とする。半導体洗浄用組成物のpHが4以上6以下の範囲に緩衝領域を持つならば、洗浄時に側壁堆積物に取り込まれたエッチングガス由来のClラジカルやイオンおよびエッチング時に生成したCl化合物(AlCl等)が半導体洗浄用組成物に溶出した場合に塩酸となってアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線層をエッチングする事も防止できる。
【0046】
有機酸としては、酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方が好適に使用できる。特に半導体対応グレードの酢酸がより好ましく使用できる。
【0047】
フッ素化合物としては、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方が好適に使用できる。特に半導体対応グレードのフッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方が好適に使用できる。
【0048】
本実施の形態1における半導体洗浄用組成物の組成は、有機酸として1重量%以上50重量%以下の酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方と、0.01重量%以上12重量%以下のアンモニアと、フッ素化合物として0.0001重量%以上1重量%以下のフッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、残余の水からなる水溶液で、pHが3以上9以下の範囲にあることを特徴とする。フッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方の濃度が0.0001重量%以下では、側壁堆積物の除去効果が低下し、1重量%よりも多いとアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線層に対するエッチングを生じる。
【0049】
より好ましくは有機酸として1.5重量%以上50重量%以下の酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方と、0.1重量%以上10重量%以下のアンモニアと、フッ素化合物として0.0001重量%以上0.05重量%以下のフッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、残余の水からなる水溶液で、pHが4以上6以下の範囲にあることを特徴とする。フッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方の濃度を0.0001重量%以上0.05重量%以下とする事により、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線層に対するエッチングをより低減する事ができる。
【0050】
さらに好ましくは有機酸として1.5重量%以上50重量%以下の酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方と、0.1重量%以上10重量%以下のアンモニアと、フッ素化合物として0.0001重量%以上0.05重量%以下のフッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、残余の水からなる水溶液で、pHが4以上6以下の範囲に緩衝領域を持つことを特徴とする。
【0051】
さらに好ましくは有機酸として5重量%以上20重量%以下の酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方と、0.5重量%以上5重量%以下のアンモニアと、フッ素化合物として0.001重量%以上0.03重量%以下のフッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、酸化剤として0.00重量%以上8重量%以下の過酸化水素と、残余の水からなる水溶液で、pHが4以上6以下の範囲あることを特徴とする。発明者等が詳細に検討した結果によれば、前記組成範囲の混合水溶液によるアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる薄膜のエッチングレートは10nm/分以下であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線層が半導体洗浄用組成物によって腐食やエッチングされることを防止できる。
【0052】
また、本実施の形態1における半導体洗浄用組成物の組成は、有機酸とアンモニアの混合水溶液からなる半導体洗浄用組成物において、フッ素化合物および酸化剤を含有することを特徴とし、酸化剤としては過酸化水素、オゾンから選ばれるいずれか一方もしくは両方が好適に使用される。酸化剤の濃度としては、過酸化水素0.01重量%以上15重量%以下、オゾン0.1重量ppm以上30ppm以下の範囲で好適に使用できる。
【0053】
このような本実施の形態1における半導体洗浄用組成物は、アルミニウム合金配線層のエッチングを防止するとともに、側壁堆積物に対して除去効果のあるフッ素化合物を添加する事によって、アルミニウム合金配線層のエッチングや腐食等のダメージを防止しつつ側壁堆積物の洗浄性を向上させることができる。
【0054】
さらにこれらの半導体洗浄用組成物を用いて、アルミニウム合金配線層の側壁に付着した側壁堆積物を除去する事によって、アルミニウム合金配線層のエッチングや腐食による配線抵抗の増大や断線等の発生を防止した半導体装置の製造方法を得ることができる。
【0055】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法は、前記実施の形態1で示した半導体装置の製造方法の洗浄工程以外の工程が、前記実施の形態1で示した工程と同様である。すなわち、本実施の形態2では、図1〜図3を参照して説明した工程は同様であり、本実施の形態2における半導体洗浄用組成物を用いた洗浄工程が異なる。なお、本実施の形態2における半導体洗浄用組成物を用いた場合も、図4で示したような金属配線層基板を得ることができる。
【0056】
本発明の実施の形態2における半導体洗浄用組成物として、無機酸とフッ素化合物の混合水溶液からなる半導体洗浄用組成物について図表を参照して説明する。図6に、種々の組成で構成される混合水溶液からなる半導体洗浄用組成物を用いた場合の洗浄結果の表を示す。
【0057】
本実施の形態2における無機酸とフッ素化合物の混合水溶液からなる半導体洗浄用組成物の一例として、図6の表に示す組成の実施例5から7の半導体洗浄用組成物を作成し、アッシング後も残留している側壁堆積物6に対する除去性(洗浄性)、およびアルミニウム合金から構成される金属配線層3に対する腐食性を評価した。また、本実施の形態2の半導体洗浄用組成物の効果を明らかにするために、比較例としてフッ素化合物を含まない無機酸と過酸化水素と残余の水からなる水溶液(比較例3)および無機酸を含まないフッ素化合物と過酸化水素と残余の水からなる水溶液(比較例4)を作成し、同様にアッシング後も残留している側壁堆積物6に対する洗浄性、およびアルミニウム合金から構成される金属配線層3に対する腐食性を評価した。
【0058】
本実施の形態2における半導体洗浄用組成物を構成する組成物は、無機酸として85重量%のリン酸水溶液、フッ素化合物として50重量%のフッ化水素酸水溶液、過酸化水素として30重量%の過酸化水素水溶液を用いた。
【0059】
半導体洗浄用組成物の評価を行うにあたり、実施例5から7および比較例3、4の洗浄液組成物をタンクに満たし、図3に示す側壁堆積物6が付着したアルミ合金配線形成基板を1分間揺動しながら浸漬処理した。このとき洗浄液組成物の液温は23℃とした。その後10L/分で超純水をオーバフローさせているオーバフロー槽で10分間リンスした後、スピン乾燥した。乾燥後のアルミ合金配線形成基板表面を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率5万倍で金属配線部分の側壁付着物の有無ならびに金属配線層の腐食の有無を観察・評価した。なお、洗浄液温や洗浄時間は、上記実施例になんら限定されることはなく、種々変更して実施することが可能である。
【0060】
図6の表の側壁堆積物除去性の欄において、○印は側壁堆積物の残渣が残っていないこと、×印は側壁堆積物の残渣が残っていることを示す。また金属配線腐食性の欄においては、○印は金属配線の腐食がないこと、×印は金属配線表面が腐食されてピットや面荒れを生じていることを示す。
【0061】
図6の表から比較例3のリン酸、過酸化水素、残余の水からなる半導体洗浄用組成物で洗浄した場合、金属配線腐食性の評価結果は「○」であり、金属配線に対する腐食によるピットや面荒れは認められなかった。しかし、側壁堆積物除去性の評価結果は「×」であり、金属配線側壁に付着した側壁堆積物の一部残留が認められた。また、比較例4のフッ化水素酸、過酸化水素、残余の水からなる半導体洗浄用組成物で洗浄した場合、側壁堆積物除去性の評価結果は「○」であり、金属配線側壁に付着した側壁堆積物の残留は認められなかった。しかし、金属配線腐食性の評価結果は「×」であり、金属配線に対する腐食による部分的ピットの発生ならびに面荒れが認められた。
【0062】
一方、本実施の形態2における半導体洗浄用組成物の実施例5から7では、いずれの組成の半導体洗浄用組成物で洗浄した場合にも、側壁堆積物除去性の評価結果は「○」、金属配線腐食性の評価結果は「○」であり、側壁堆積物を良好に除去でき、金属配線層を腐食させることもない。
【0063】
本実施の形態2における半導体洗浄用組成物は図6の表に示した組成に限定されることはなく、以下に示す範囲で種々変更して実施することが可能である。本実施の形態2における半導体洗浄用組成物の組成は、無機酸とフッ素化合物の混合水溶液からなる半導体洗浄用組成物であって、無機酸がリン酸であることを特徴とする。フッ素化合物としては、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方が好適に使用できる。また、無機酸とフッ素化合物の混合水溶液からなる半導体洗浄用組成物において、酸化剤を含有することを特徴とし、酸化剤としては過酸化水素、オゾンから選ばれるいずれか一方もしくは両方が好適に使用できる。
【0064】
本実施の形態2における半導体洗浄用組成物の組成は、リン酸1重量%以上50重量%以下、フッ素化合物としてフッ化水素酸0.0001重量%以上1重量%以下もしくはフッ化アンモニウム0.0001重量%以上1重量%以下から選ばれるいずれか一方もしくは両方、を含む水溶液であることを特徴とする。リン酸濃度が1重量%以下もしくは50重量%よりも多いとアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線層に対するエッチングを生じる。また、フッ素化合物であるフッ化水素酸、フッ化アンモニウムの濃度が0.0001重量%以下では、側壁堆積物の除去効果が低下し、1重量%よりも多いとアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線層に対するエッチングを生じる。
【0065】
より好ましくはリン酸1重量%以上30重量%以下、フッ素化合物としてフッ化水素酸0.0005重量%以上0.03重量%以下もしくはフッ化アンモニウム0.0005重量%以上0.03重量%以下から選ばれるいずれか一方もしくは両方、を含む水溶液であることを特徴とする。前記組成範囲の混合水溶液によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線層に対するエッチングをより低減しながら、側壁堆積物の除去を行う事ができる。
【0066】
さらに好ましくは、リン酸5重量%以上30重量%以下、フッ素化合物としてフッ化水素酸0.0005重量%以上0.02重量%以下もしくはフッ化アンモニウム0.0005重量%以上0.02重量%以下から選ばれるいずれか一方もしくは両方、を含む水溶液であることを特徴とする。前記組成範囲の混合水溶液によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線層に対するエッチングをさらに低減しながら、側壁堆積物の除去を行う事ができる。
【0067】
また、リン酸1重量%以上50重量%以下、フッ素化合物としてフッ化水素酸0.0001重量%以上1重量%以下もしくはフッ化アンモニウム0.0001重量%以上1重量%以下から選ばれるいずれか一方もしくは両方、過酸化水素0.01重量%以上15重量%以下を含む水溶液も好適に使用できる。
【0068】
より好ましくはリン酸1重量%以上30重量%以下、フッ素化合物としてフッ化水素酸0.0005重量%以上0.03重量%以下もしくはフッ化アンモニウム0.0005重量%以上0.03重量%以下から選ばれるいずれか一方もしくは両方、過酸化水素0.01以上15重量%以下を含む水溶液であることを特徴とする。
【0069】
さらに好ましくは、リン酸5重量%以上30重量%以下、フッ素化合物としてフッ化水素酸0.0005重量%以上0.02重量%以下もしくはフッ化アンモニウム0.0005重量%以上0.02重量%以下から選ばれるいずれか一方もしくは両方、過酸化水素0.1重量%以上5重量%以下を含む水溶液であることを特徴とする。
【0070】
このような本実施の形態2における半導体洗浄用組成物は、その主成分をアルミニウム合金配線層がエッチングされにくい酸とする事によって、アルミニウム合金配線層のエッチングを防止するとともに、側壁堆積物に対して除去効果のあるフッ素化合物を添加する事によって、アルミニウム合金配線層のエッチング等のダメージを防止しつつ側壁堆積物の洗浄性を向上させることができる。さらに半導体洗浄用組成物の組成範囲を限定する事によって、アルミニウム合金配線層のエッチング等のダメージを防止しつつ側壁堆積物の洗浄性を向上させることができる。
【0071】
さらにこれらの半導体洗浄用組成物を用いて、アルミニウム合金配線層の側壁に付着した側壁堆積物を除去する事によって、アルミニウム合金配線層のエッチングや腐食による配線抵抗の増大や断線等の発生を防止した半導体装置の製造方法を得ることができる。
【0072】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0073】
例えば、前記実施の形態では、金属配線層としてAl−Cu−Si合金層を適用した場合について説明したが、Al単層やAl−Cu合金層、Al−Si合金層を適用することができる。
【0074】
また、例えば、前記実施の形態では、レジストにはポジ型レジストを適用した場合について説明したが、必要に応じてネガ型レジストも使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態1における製造工程中の半導体装置の要部断面図である。
【図2】図1に続く製造工程中の半導体装置の要部断面図である。
【図3】図2に続く製造工程中の半導体装置の要部断面図である。
【図4】図3に続く製造工程中の半導体装置の要部断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における半導体洗浄用組成物を用いた場合の洗浄結果を示す表である。
【図6】本発明の実施の形態2における半導体洗浄用組成物を用いた場合の洗浄結果を示す表である。
【符号の説明】
【0077】
1 絶縁層
2 バリアメタル層
3 金属配線層
4 反射防止膜
5 レジスト構造物
6 側壁堆積物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸と、アンモニアと、フッ素化合物とを含む混合水溶液から構成される半導体洗浄用組成物であって、
前記混合水溶液のpHが3以上9以下の範囲にあることを特徴とする半導体洗浄用組成物。
【請求項2】
前記混合水溶液のpHが4以上6以下の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項3】
前記混合水溶液は、pHが4以上6以下の範囲に緩衝領域を持つことを特徴とする請求項2記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項4】
前記有機酸が、酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方であることを特徴とする請求項1、2または3記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項5】
前記フッ素化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項6】
前記有機酸として、1重量%以上50重量%以下の酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
0.01重量%以上12重量%以下の前記アンモニアと、
前記フッ素化合物として、0.0001重量%以上1重量%以下のフッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
を含む前記混合水溶液であることを特徴とする請求項1記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項7】
前記有機酸として、1.5重量%以上50重量%以下の酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
0.1重量%以上10重量%以下の前記アンモニアと、
前記フッ素化合物として、0.0001重量%以上0.05重量%以下のフッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
を含む前記混合水溶液であることを特徴とする請求項2記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項8】
前記有機酸として、1.5重量%以上50重量%以下の酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
0.1重量%以上10重量%以下の前記アンモニアと、
前記フッ素化合物として、0.0001重量%以上0.05重量%以下のフッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
を含む前記混合水溶液は、pHが4以上6以下の範囲に緩衝領域を持つことを特徴とする請求項2記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項9】
前記混合水溶液が、酸化剤を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項10】
前記酸化剤が、過酸化水素、オゾンから選ばれるいずれか一方もしくは両方であることを特徴とする請求項9記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項11】
前記酸化剤が、0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素、0.1重量ppm以上30重量ppm以下のオゾンから選ばれるいずれか一方もしくは両方であることを特徴とする請求項10記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項12】
前記有機酸として、5重量%以上20重量%以下の酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
0.5重量%以上5重量%以下の前記アンモニアと、
前記フッ素化合物として、0.001重量%以上0.03重量%以下のフッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
酸化剤として、0.00重量%以上8重量%以下の過酸化水素と、
を含む前記混合水溶液のpHが4以上6以下の範囲にあることを特徴とする請求項2〜11のいずれか一項に記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項13】
リン酸と、フッ素化合物とを含む混合水溶液から構成される半導体洗浄用組成物であって、
前記フッ素化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方であることを特徴とする半導体洗浄用組成物。
【請求項14】
1重量%以上50重量%以下の前記リン酸と、
前記フッ素化合物として、0.0001重量%以上1重量%以下の前記フッ化水素酸、もしくは0.0001重量%以上1重量%以下の前記フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
を含む前記混合水溶液であることを特徴とする請求項13記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項15】
1重量%以上30重量%以下の前記リン酸と、
前記フッ素化合物として、0.0005重量%以上0.03重量%以下の前記フッ化水素酸、もしくは0.0005重量%以上0.03重量%以下の前記フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
を含む前記混合水溶液であることを特徴とする請求項13記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項16】
5重量%以上30重量%以下の前記リン酸と、
前記フッ素化合物として、0.0005重量%以上0.02重量%以下の前記フッ化水素酸、もしくは0.0005重量%以上0.02重量%以下の前記フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
を含む前記混合水溶液であることを特徴とする請求項13記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項17】
前記混合水溶液が、酸化剤を含むことを特徴とする請求項13記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項18】
前記酸化剤が、過酸化水素、オゾンから選ばれるいずれか一方もしくは両方であることを特徴とする請求項17記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項19】
1重量%以上50重量%以下の前記リン酸と、
前記フッ素化合物として、0.0001重量%以上1重量%以下の前記フッ化水素酸、もしくは0.0001重量%以上1重量%以下の前記フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
前記酸化剤として、0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素と、
を含む前記混合水溶液であることを特徴とする請求項17記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項20】
1重量%以上30重量%以下の前記リン酸と、
前記フッ素化合物として、0.0005重量%以上0.03重量%以下の前記フッ化水素酸、もしくは0.0005重量%以上0.03重量%以下の前記フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
前記酸化剤として、0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素と、
を含む前記混合水溶液であることを特徴とする請求項17記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項21】
5重量%以上30重量%以下の前記リン酸と、
前記フッ素化合物として、0.0005重量%以上0.02重量%以下の前記フッ化水素酸、もしくは0.0005重量%以上0.02重量%以下の前記フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
前記酸化剤として、0.1重量%以上5重量%以下の過酸化水素と、
を含む前記混合水溶液であることを特徴とする請求項17記載の半導体洗浄用組成物。
【請求項22】
(a)半導体基板の主面上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属配線層を形成する工程、
(b)前記金属配線層上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜をパターニングする工程、
(c)パターニングされた前記レジスト膜をマスクとして、前記金属配線層をエッチングする工程、
(d)前記工程(c)の後、前記レジスト膜を除去した前記半導体基板の主面に対して、半導体洗浄用組成物を用いて洗浄する工程、
を含む半導体装置の製造方法であって、
前記半導体洗浄用組成物は、有機酸と、アンモニアと、フッ素化合物とを含む混合水溶液から構成されており、
前記混合水溶液のpHが3以上9以下の範囲にあることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
前記有機酸として、1.5重量%以上50重量%以下の酢酸、ギ酸から選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
0.1重量%以上10重量%以下の前記アンモニアと、
前記フッ素化合物として、0.0001重量%以上0.05重量%以下のフッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
を含む前記混合水溶液は、pHが4以上6以下の範囲に緩衝領域を持つことを特徴とする請求項22記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
(a)半導体基板の主面上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属配線層を形成する工程、
(b)前記金属配線層上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜をパターニングする工程、
(c)パターニングされた前記レジスト膜をマスクとして、前記金属配線層をエッチングする工程、
(d)前記工程(c)の後、前記レジスト膜を除去した前記半導体基板の主面に対して、半導体洗浄用組成物を用いて洗浄する工程、
を含む半導体装置の製造方法であって、
前記半導体洗浄用組成物は、リン酸と、フッ素化合物とを含む混合水溶液から構成されており、
前記フッ素化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項25】
1重量%以上50重量%以下の前記リン酸と、
前記フッ素化合物として、0.0001重量%以上1重量%以下の前記フッ化水素酸もしくは0.0001重量%以上1重量%以下の前記フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
を含む前記混合水溶液であることを特徴とする請求項24記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
1重量%以上50重量%以下の前記リン酸と、
前記フッ素化合物として、0.0001重量%以上1重量%以下の前記フッ化水素酸、もしくは0.0001重量%以上1重量%以下の前記フッ化アンモニウムから選ばれるいずれか一方もしくは両方と、
0.01重量%以上15重量%以下の過酸化水素と、
を含む前記混合水溶液であることを特徴とする請求項24記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−94286(P2009−94286A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263527(P2007−263527)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】