説明

半導体素子の製造方法

【課題】半導体基板の損傷を最大限抑制して素子の漏洩電流発生が防止できる半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】第1のコンタクトホールと、無結晶のポリシリコン膜及びPMD膜26を順次に形成してイオンを注入した後、金属配線を形成することによって、第1のコンタクトホールを用いてコーディングするので、その他のコーディング領域が別に必要でなくチップ面積を縮小することができ、PMDの蒸着前に第1のコンタクトホールを形成するので、半導体基板20の損傷を減らして漏洩電流が減少し、通常のROMコーディングとは反対にOFF特性で反対タイプのイオン注入によりON特性を有するようにし、金属配線の蒸着時に金属配線層の下部にポリシリコン膜が形成されて金属配線の断絶が最小化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体素子の製造方法に関するもので、より詳しくは、オープンベース特性を用いてソース/ドレイン不純物領域を形成し、ソース/ドレインを連結する高濃度の不純物イオンを注入した後、第1のコンタクトホールと、無結晶のポリシリコン膜及びPMD膜を順次に形成してイオンを注入した後、金属配線を形成することによって、第1のコンタクトホールを用いてコーディングするので、その他のコーディング領域が別に必要でなくてチップ面積を縮小することができ、PMDの蒸着前に第1のコンタクトホールを形成するので、半導体基板の損傷を減らして漏洩電流が減少し、通常のROMコーディングとは反対にOFF特性で反対タイプのイオン注入によりON特性を有するようにして、金属配線の蒸着時に金属配線層の下部にポリシリコン膜が形成され、金属配線の断絶が最小化できる半導体素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、マスクROMはディプレション型トランジスター(depletion type transistor)とエンハンスメント型トランジスター(enhancement type transistor)との組合せからなる。
【0003】
まず、ディプレション型トランジスターは、ディプレションイオンの注入によりネガティブ(−)のスレッシュホールド電圧を有し、ゲート電極に‘0V’の電圧を印加すればオン(ON)状態を維持する。
【0004】
そして、エンハンスメント型トランジスターは、コード(Code)イオンの注入工程を経てディプレション型トランジスターをチャネル領域にカウンタードーピング(Count−Dopings)し、それによって約0.7Vのスレッシュホールド電圧を有するようになるので、マスクROMのオフ(OFF)トランジスターとして作用することができる。
【0005】
図1(a)は一般的なディプレション型トランジスターの動作特性を示すグラフであり、図1(b)は一般的なエンハンスメント型トランジスターの動作特性を示すグラフである。
【0006】
図1(a)に示すように、ディプレション型トランジスターは、ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが形成されることを示し、図1(b)に示すように、エンハンスメント型トランジスターは、ゲート電極に臨界電圧以上の電圧を印加しないとチャネルが形成されないことを示す。
【0007】
次に、図2を参照して従来の半導体素子の製造方法について説明する。
【0008】
図2は従来の半導体素子の製造方法を示す工程断面図である。まず、図2(a)に示すように、n型半導体基板11にフィールド領域と活性領域とを規定した後、フィールド領域にフィールドイオンを注入して、互いに一定の間隔を有する複数のフィールド酸化膜12を形成する。
【0009】
そして、フィールド酸化膜12を含む半導体基板11の全面にフォト工程及びディプレション(Depletion)イオンの注入を行う。
【0010】
この時、使用する不純物としては、NMOSデフレーションモードにおいてはチャネルをN型にしなければならないので、N型不純物であるアーセニック(As)イオンを使用する。
【0011】
次に、図2(b)に示すようにフィールド酸化膜12を含む半導体基板11の全面に、ゲート絶縁膜13及び多結晶シリコン層を形成した後、フォトリソグラフィ工程を行ってパターニングし、半導体基板11の活性領域に複数のゲート絶縁膜13及びゲート電極14を形成する。
【0012】
そして、ゲート電極14を含む半導体基板11の全面に絶縁膜を蒸着した後、エッチバック(etch back)してゲート電極14の両側面に側壁スペーサー15を形成する。
【0013】
次に、ゲート電極14及び側壁スペーサー15をマスクとして用いるソース/ドレインのイオン注入工程を行って、ゲート電極14の両側の半導体基板11にソース/ドレイン不純物領域16を形成する。
【0014】
続いて、図2(c)に示すようにカスタマーのニーズに応じてコードイオンを注入するが、そのためにはオフ(OFF)トランジスターを作るのに必要とするゲート電極14を除いた他の領域をマスキングしなければならない。
【0015】
すなわち、ゲート電極14を含む半導体基板11の全面にフォトレジスト17を塗布した後、オフトランジスターを形成するのに必要とするゲート電極14のみが露出されるように、露光及び現像工程でパターニングする。
【0016】
そして、パターニングしたフォトレジスト17をマスクとして用い、ゲート電極14を介してコードイオンを注入する。
【0017】
したがって、図2(d)に示すように、フォトレジスト17を除去すればオン(ON)トランジットとコードイオンの注入によりなされたオフトランジスターが作られることで、データコーディングが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2001−244440号公報
【特許文献2】特開2001−223356号公報
【特許文献3】特開2001−217431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、このような従来技術において、アクティブ領域にイオンを注入するROMコーディング方法では漏洩電流が発生する問題点がある。
【0020】
したがって、このような問題点を解決するための本発明は、オープンベース特性を用いてソース/ドレイン不純物領域を形成し、ソース/ドレインを連結する高濃度の不純物イオンを注入した後、第1のコンタクトホールと、無結晶のポリシリコン膜及びPMD膜を順次に形成してイオンを注入した後、金属配線を形成することによって、第1のコンタクトホールを用いてコーディングするので、その他のコーディング領域が別に必要でなくチップ面積を縮小することができ、PMDの蒸着前に第1のコンタクトホールを形成するので、半導体基板の損傷を減らして漏洩電流が減少し、通常のROMコーディングとは反対にOFF特性で反対タイプのイオン注入によりON特性を有するようにし、金属配線の蒸着時に金属配線層の下部にポリシリコン膜が形成され、金属配線の断絶が最小化できる半導体素子の製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述の目的を達成するために、本発明の半導体素子の製造方法は、所定の下部構造を有する半導体基板上にゲート酸化膜を蒸着する段階と、前記ゲート酸化膜上のROMコーディング領域として使用する領域をウェットエッチングして、素子を電気的に連結する第1のコンタクトホールを形成する段階と、前記第1のコンタクトホールが形成された結果物上にドープポリシリコン膜を蒸着する段階と、前記ポリシリコン膜の金属配線として使用する部分をパターニングしてゲート電極及び第1の金属配線を形成する段階と、前記ゲート電極の両側の半導体基板上にソース/ドレイン不純物領域が形成されるようにソース/ドレインを連結する低濃度の不純物イオンを注入する段階と、前記半導体基板の全面に窒化膜を蒸着した後、全面エッチングしてゲート電極の両側面に窒化膜スペーサーを形成する段階と、前記窒化膜スペーサーが形成された前記結果物上にROMコーディングしようとする部分をマスクした後、ROMコーディングトランジスター以外の領域に高濃度の不純物イオンを注入する段階と、前記高濃度の不純物イオンが注入された前記結果物上にPMDを蒸着し、フォトリソグラフィ工程を行って第2のコンタクトホールを形成する段階と、前記第2のコンタクトホールが形成された前記結果物上にレジストパターンを形成した後、レジストパターンをマスクとしてイオンを注入してROMコーディングを形成する段階と、前記結果物における金属配線として使用するメタルを蒸着した後、フォトリソグラフィ工程によりパターニングして第2の金属配線を形成する段階と、を含むことを特徴とする。
【0022】
また、前記第1のコンタクトホールが形成された前記結果物上にドープポリシリコン膜を蒸着する段階は、無結晶のシリコン膜を蒸着することが好ましい。
【0023】
また、前記第1のコンタクトホールは、ゲート電極の形成前に形成することが好ましい。
【0024】
さらに、前記素子と金属配線とを連結するためのメタル蒸着膜であるポリシリコン膜の代わりに、ゲート電極として使用するポリシリコンを使用することが好ましい。
【0025】
さらに、前記第1の金属配線として使用するポリシリコン膜の厚さは、2000Å〜4000Åであることが好ましい。
【0026】
またさらに、前記イオンの注入を行ってROMコーディングを形成する段階は、素子のソース及びドレイン領域にイオンが注入されないように50KeVないし100KeVのエネルギーで行うことが好ましい。
【0027】
またさらに、前記第2のコンタクトホールの形成段階は、第1の金属配線が約1/10の厚さに達するまでエッチングすることが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
以上のように本発明によれば、オープンベース特性を用いてソース/ドレイン不純物領域を形成し、ソース/ドレインを連結する高濃度の不純物イオンを注入した後、第1のコンタクトホールと、無結晶のポリシリコン膜及びPMD膜を順次に形成してイオンを注入した後、金属配線を形成することによって、第1のコンタクトホールを用いてコーディングするので、その他のコーディング領域が別に必要でなくチップ面積を縮小することができ、PMDの蒸着前に第1のコンタクトホールを形成するので、半導体基板の損傷を減らして漏洩電流が減少し、通常のROMコーディングとは反対にOFF特性で反対タイプのイオン注入によりON特性を有するようにして、金属配線の蒸着時に金属配線層の下部にポリシリコン膜が形成されて、金属配線の断絶が最小化できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】一般的なディプレション型トランジスター及びエンハンスメント型トランジスターの動作特性を示すグラフである。
【図2】従来技術に係る半導体素子の製造方法を示す工程断面図である。
【図3】本発明に係る半導体素子の製造方法を示す工程断面図である。
【図4】本発明に係る半導体素子の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】本発明に係る半導体素子の製造方法を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。また、本発明の目的及びそれ以外の目的と特徴は、添付図面に基づいて行う次の説明と請求範囲中で指摘したその新規事項を読めば明白になるであろう。本実施の形態においては、従来の構成と同一な部分は同一符号及び名称を使用する。
【0031】
図3ないし図5は本発明に係る半導体素子の製造方法を示す工程断面図である。
【0032】
まず、図3(a)に示すように半導体基板20上にゲート酸化膜21を蒸着する。次に図3(b)に示すようにレジストパターン(不図示)を用いたフォトリソグラフィ工程を行ってゲート酸化膜21をパターニングし、素子を電気的に連結する第1のコンタクトホールAを形成した後、ゲートと第1の金属配線及びROMコーディング領域として使用するポリシリコン膜22を蒸着する。この時、第1のコンタクトホールAはゲート酸化膜21上のROMコーディング領域として使用する領域をウェットエッチングして形成する。また、ドーピングされたポリシリコン膜22の蒸着は無結晶シリコン膜を蒸着して行う。また、第1の金属配線として使用するポリシリコン膜22の厚さは2000Å〜4000Å(200nm〜400nm)になるように形成する。
【0033】
次に、図4(a)に示すように、ポリシリコン膜22をパターニングしてゲート電極23及び第1の金属配線24を形成する。素子と第1の金属配線24とを連結するためのメタル蒸着膜であるポリシリコン膜の代りに、ゲート電極として使用するポリシリコンを使用することができる。
【0034】
次に図4(b)に示すように、レジストパターン(不図示)をマスクとしてソース/ドレインイオンを連結する低濃度の不純物イオンを注入し、ゲート電極23の両側の半導体基板20上にソース/ドレイン不純物領域(不図示)を形成する。続いて、半導体基板20の全面に窒化膜を蒸着した後、全面エッチングしてゲート電極23の両側面に窒化膜スペーサー25を形成する。
【0035】
次に窒化膜スペーサー25が形成された結果物上にROMコーディングしようとする部分をマスクした後、ROMコーディングトランジスター以外の領域に高濃度の不純物イオンを注入する。
【0036】
次に図4(c)に示すように、ゲートと金属配線とを分離するPMD26を蒸着し、フォトリソグラフィ工程を行って第2のコンタクトホールBを形成する。この第2のコンタクトホールBは、第1の金属配線24の厚さを1/10に達するまでエッチングすることによって形成する。
【0037】
続いて図5(a)に示すように、レジストパターン27を形成した後、レジストパターン27をマスクとしてイオンを注入してROMコーディングを形成する。この時、ROMコーディングは、素子のソース及びドレイン領域にイオンが注入されないように、50KeV〜100KeVのエネルギーで施す。その後、図5(b)に示すように、第2の金属配線として使用するメタルを蒸着した後、フォトリソグラフィ工程を行ってパターニングする。それによって、第2の金属配線28が形成される。
【0038】
この時、ROMトランジスターがOFF特性を有しているが、コーディング時に所定の領域にソース/ドレイン領域のようなタイプのイオンを注入し、オン特性を有するようにする。
【0039】
このように本発明では、オープンベース特性に基づいたコンタクトホールを用いてROMコーディングするので、コーディングを要する領域が別に必要でなくチップ面積を縮小することができる。また、PMD蒸着前に第1のコンタクトホールを形成することによって、半導体基板の損傷を最大限抑制して素子の漏洩電流発生が防止できる。
【符号の説明】
【0040】
20 半導体基板、21 ゲート酸化膜、22 ポリシリコン膜、23 ゲート電極、24 第1の金属配線、25 窒化膜スペーサー、26 PMD膜、27 レジストパターン、28 第2の金属配線、A 第1のコンタクトホール、B 第2のコンタクトホール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の下部構造を有する半導体基板上にゲート酸化膜を蒸着する段階と、
前記ゲート酸化膜上のROMコーディング領域として使用する領域をウェットエッチングして、素子を電気的に連結する第1のコンタクトホールを形成する段階と、
前記第1のコンタクトホールが形成された結果物上にドープポリシリコン膜を蒸着する段階と、
前記ポリシリコン膜の金属配線として使用する部分をパターニングして、ゲート電極及び第1の金属配線を形成する段階と、
前記ゲート電極の両側の半導体基板上にソース/ドレイン不純物領域が形成されるようにソース/ドレインを連結する低濃度の不純物イオンを注入する段階と、
前記半導体基板の全面に窒化膜を蒸着した後、全面エッチングしてゲート電極の両側面に窒化膜スペーサーを形成する段階と、
前記窒化膜スペーサーが形成された前記結果物上にROMコーディングしようとする部分をマスクした後、ROMコーディングトランジスター以外の領域に高濃度の不純物イオンを注入する段階と、
前記高濃度の不純物イオンが注入された前記結果物上にPMDを蒸着し、フォトリソグラフィ工程を行って第2のコンタクトホールを形成する段階と、
前記第2のコンタクトホールが形成された前記結果物上にレジストパターンを形成した後、レジストパターンをマスクとしてイオンを注入してROMコーディングを形成する段階と、
前記結果物における金属配線として使用するメタルを蒸着した後、フォトリソグラフィ工程によりパターニングして第2の金属配線を形成する段階と、
を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記第1のコンタクトホールが形成された前記結果物上にドープポリシリコン膜を蒸着する段階は、無結晶のシリコン膜を蒸着することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記第1のコンタクトホールは、ゲート電極の形成前に形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記素子と金属配線とを連結するためのメタル蒸着膜であるポリシリコン膜の代わりに、ゲート電極として使用するポリシリコンを使用することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1の金属配線として使用するポリシリコン膜の厚さは、2000Å〜4000Åであることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記イオンの注入を行ってROMコーディングを形成する段階は、素子のソース及びドレイン領域にイオンが注入されないように、50KeVないし100KeVのエネルギーで行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記第2のコンタクトホールの形成段階は、第1の金属配線が約1/10の厚さに達するまでエッチングすることを特徴とする請求項1記載の半導体素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−16414(P2010−16414A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244548(P2009−244548)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【分割の表示】特願2002−306495(P2002−306495)の分割
【原出願日】平成14年10月22日(2002.10.22)
【出願人】(505087780)マグナチップセミコンダクター有限会社 (125)
【氏名又は名称原語表記】MAGNACHIP SEMICONDUCTOR LTD
【住所又は居所原語表記】1 Hyangjeong−dong,Heungduk−gu,Cheongju City,Chung Cheong Bok−do,Korea
【Fターム(参考)】