説明

半導体装置、表示装置、電子機器、及び半導体装置の製造方法

【課題】発光特性に優れた発光素子を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】絶縁膜16に形成された第1の凹部又は開口部16aと、第1の凹部又は開口部16aの周囲に位置する絶縁膜16上、並びに第1の凹部又は開口部16a内に位置し、第1の凹部又は開口部16aと共に第2の凹部17aを形成する第1の電極17と、第1の電極17上に形成され、第2の凹部17aと共に第3の凹部18aを形成する第1導電型の半導体層18と、第1導電型の半導体層18上に形成され、第3の凹部18aと共に第4の凹部19aを形成する発光層19と、発光層19上に形成され、第4の凹部19aと共に第5の凹部20aを形成する第2導電型の半導体層20と、第5の凹部20aの底面及び側面を構成する第2導電型の半導体層20上に形成された第2の電極21とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光特性に優れた発光素子を有する半導体装置、表示装置、電子機器、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図16は、従来の発光素子の構造を説明する為の図である。従来の発光素子は、絶縁膜1000上に、下部電極1002、第1導電型半導体層1004、発光層1006、第2導電型半導体層1008、及び上部電極1010をこの順に積層した構造である。下部電極1002及び上部電極1010それぞれに所定の電位を与えると、発光層1006で励起子が再結合し、再結合時に放出されるエネルギーが光として射出する。
【0003】
発光素子を用いてディスプレイを形成する場合、発光素子の上面から光を放出させる必要がある。上部電極1010を金属で形成する場合、上部電極1010の膜厚を5〜200nmとすることにより、上面から光を放出させる方法がある。この方法によれば、Niからなる上部電極1010の膜厚を15nmにすると、発光素子が発光した紫外光の透過率が70%以上になる(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−221132号公報(第43段落及び第57段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来技術によれば、上部電極の膜厚を薄くする(例えば15nm)にすることにより、発光された光の透過率が70%以上になる。しかし、発光素子をディスプレイとして用いる場合、上部電極の光透過率は80%以上であることが望まれている。
【0005】
また、上部電極としてITO、ZnO等の透明電極を用いる方法もあるが、透明電極は抵抗が高いため、透明電極で電力が消費され、発光素子の発光効率が低下してしまう。また、発光層としてZnOを用いて紫外光を発光させた場合、上部電極としてZnOを用いると、発光した紫外光が上部電極で吸収されてしまう。
【0006】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、上面への発光効率が優れた発光素子を有する半導体装置、表示装置、電子機器、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部と、第1の凹部又は開口部の周囲に位置する絶縁膜上、並びに第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、第1の凹部内又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、第1の電極上に形成され、第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、第1導電型の半導体層上に形成され、第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、発光層上に形成され、第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、第5の凹部の底面及び側面を構成する第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極とを具備する。
【0008】
この半導体装置によれば、第1の電極、第1導電型の半導体層、発光層、及び第2導電型の半導体層が、絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部の底面及び側面に沿って形成されている。このため、発光層が発光した光は第2導電型の半導体層を透過した後に、発光素子の上面から射出される。従って、発光層が発光した光は、効率よく発光素子の上面から射出される。
【0009】
第2導電型の半導体層のバンドギャップは発光層のバンドギャップ以下である場合、第2導電型の半導体層の厚さは発光層の厚さより薄いのが好ましい。このようにすると、発光層から発光された光が第2導電型の半導体層に吸収されることを抑制できる。
【0010】
本発明に係る他の半導体装置は、絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部と、第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、第1の凹部又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、第1の電極上に形成され、第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、第1導電型の半導体層上に形成され、第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、発光層上に形成され、第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、第5の凹部の底面及び側面を構成する第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極とを具備し、絶縁膜の表面に対する発光層の端面の角度が90°超270°未満である。
【0011】
この半導体装置によれば、絶縁膜の表面に対する発光層の端面の角度が90°超270°未満であるため、発光層が発光した光は該発光層の端面から上方に向けて射出される。従って、発光層が発光した光は、効率よく発光素子の上面から射出される。
【0012】
発光層は、バンドギャップが3eV以上の物質から構成されていてもよい。この場合、発光層を構成する物質は、ZnO、ZnS、GaN、SiC、又はMg1−XZnOである。
【0013】
第1導電型の半導体層を構成する物質、及び第2導電型の半導体層を構成する物質それぞれは、発光層を構成する物質よりバンドギャップが大きいのが好ましい。この場合、発光層の発光効率が高くなる。また発光層の厚さを10nm以下にすると、量子井戸構造となるため、発光層の発光効率が更に高くなる。なお、発光層を構成する物質がZnOである場合、第1導電型の半導体層を構成する物質、及び第2導電型の半導体層を構成する物質は、不純物が導入されたMg1−XZnOにすることができる。
【0014】
第1の電極は、発光層が発光した光の反射率が90%以上であるのが好ましい。この場合、発光層から下方に向けて射出された光が第1の電極で反射され、発光素子の上面から射出される。従って、発光層が発光した光は、更に効率よく発光素子の上面から射出される。
【0015】
本発明に係る他の半導体装置は、基板に形成された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタの上又は上方に位置する絶縁膜と、絶縁膜上に形成され、薄膜トランジスタによって発光が制御される発光素子と、を具備し、発光素子は、絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部と、第1の凹部又は開口部の周囲に位置する絶縁膜上、並びに第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、第1の凹部内又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、第1の電極上に形成され、第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、第1導電型の半導体層上に形成され、第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、発光層上に形成され、第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、第5の凹部の底面及び側面を構成する第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極とを具備する。
【0016】
本発明に係る他の半導体装置は、基板に形成された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタの上又は上方に位置する絶縁膜と、絶縁膜上に形成され、薄膜トランジスタによって発光が制御される発光素子と、を具備し、発光素子は、第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、第1の凹部又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、第1の電極上に形成され、第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、第1導電型の半導体層上に形成され、第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、発光層上に形成され、第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、第5の凹部の底面及び側面を構成する第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極とを具備し、絶縁膜の表面に対する発光層の端面の角度が90°超270°未満である。
【0017】
薄膜トランジスタは、島状のZnO膜と、ZnO膜に形成され、薄膜トランジスタのソース又はドレインとなる不純物領域とを具備してもよい。この場合、薄膜トランジスタの半導体層をスパッタリング法により形成することができる。従って、基板として、フレキシブル基板又はプラスチック基板を用いることができる。
【0018】
本発明に係る表示装置は、基板に形成された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタの上又は上方に位置する絶縁膜と、絶縁膜上に形成され、紫外光を発光し、薄膜トランジスタによって発光が制御される発光素子と、発光素子の上又は上方に位置し、発光素子が発光した紫外光を吸光して可視光を発光する蛍光体と、を具備し、発光素子は、絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部と、第1の凹部又は開口部の周囲に位置する絶縁膜上、並びに第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、第1の凹部内又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、第1の電極上に形成され、第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、第1導電型の半導体層上に形成され、第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、発光層上に形成され、第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、第5の凹部の底面及び側面を構成する第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極とを有する。
【0019】
本発明に係る他の表示装置は、基板に形成された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタの上又は上方に位置する絶縁膜と、絶縁膜上に形成され、紫外光を発光し、薄膜トランジスタによって発光が制御される発光素子と、発光素子の上又は上方に位置し、発光素子が発光した紫外光を吸光して可視光を発光する蛍光体と、を具備し、発光素子は、絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部と、第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、第1の凹部又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、第1の電極上に形成され、第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、第1導電型の半導体層上に形成され、第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、発光層上に形成され、第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、第5の凹部の底面及び側面を構成する第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極とを有し、絶縁膜の表面に対する発光層の端面の角度が90°超270°未満である。
【0020】
薄膜トランジスタは、島状のZnO膜と、ZnO膜に形成され、薄膜トランジスタのソース又はドレインとなる不純物領域とを具備してもよい。この場合、基板としてフレキシブル基板又はプラスチック基板を用いることができる。
【0021】
本発明に係る電子機器は、上記したいずれかの半導体装置又は表示装置を具備する。
【0022】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、絶縁膜に第1の凹部又は開口部を形成し、絶縁膜上並びに第1の凹部又は開口部の底面及び側面に第1の導電膜を形成することにより、第1の凹部内又は開口部内に位置する第2の凹部を形成し、第1の導電膜上に第1導電型の半導体層を形成することにより、第2の凹部内に位置する第3の凹部を形成し、第1導電型の半導体層上に発光層を形成することにより、第3の凹部内に位置する第4の凹部を形成し、発光層上に第2導電型の半導体層を形成することにより、第4の凹部内に位置する第5の凹部を形成し、第2導電型の半導体層上に第2の導電膜を形成し、第1及び第2の導電膜、第1導電型の半導体層、第2導電型の半導体層、及び発光層のうち、絶縁膜上に位置する部分を選択的なエッチングにより除去するものである。
【0023】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、絶縁膜に第1の凹部又は開口部を形成し、絶縁膜上並びに第1の凹部又は開口部の底面及び側面に第1の導電膜を形成することにより、第1の凹部内又は開口部内に位置する第2の凹部を形成し、第1の導電膜上に第1導電型の半導体層を形成することにより、第2の凹部内に位置する第3の凹部を形成し、第1導電型の半導体層上に発光層を形成することにより、第3の凹部内に位置する第4の凹部を形成し、発光層上に第2導電型の半導体層を形成することにより、第4の凹部内に位置する第5の凹部を形成し、第2導電型の半導体層上に第2の導電膜を形成し、第1及び第2の導電膜、第1導電型の半導体層、第2導電型の半導体層、及び発光層のうち、絶縁膜上に位置する部分を研磨又はエッチバックにより除去するものである。
【0024】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、基板上に薄膜トランジスタを形成し、薄膜トランジスタ上に絶縁膜を形成し、絶縁膜に、薄膜トランジスタの上方に位置する第1の凹部を形成し、第1の凹部の底面に、薄膜トランジスタのソース又はドレイン上に位置する接続孔を形成し、絶縁膜上及び第1の凹部の底面及び側面に、接続孔を介してソース又はドレインに電気的に接続する第1の導電膜を形成することにより、第1の凹部内に位置する第2の凹部を形成し、第1の導電膜上に第1導電型の半導体層を形成することにより、第2の凹部内に位置する第3の凹部を形成し、第1導電型の半導体層上に発光層を形成することにより、第3の凹部内に位置する第4の凹部を形成し、発光層上に第2導電型の半導体層を形成することにより、第4の凹部内に位置する第5の凹部を形成し、第2導電型の半導体層上に第2の導電膜を形成し、第1及び第2の導電膜、第1導電型の半導体層、第2導電型の半導体層、及び発光層のうち、絶縁膜上に位置する部分を選択的なエッチングにより除去するものである。
【0025】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、基板上に薄膜トランジスタを形成し、薄膜トランジスタ上に絶縁膜を形成し、絶縁膜に、薄膜トランジスタの上方に位置する第1の凹部を形成し、第1の凹部の底面に、薄膜トランジスタのソース又はドレイン上に位置する接続孔を形成し、絶縁膜上及び第1の凹部の底面及び側面に、接続孔を介してソース又はドレインに電気的に接続する第1の導電膜を形成することにより、第1の凹部内に位置する第2の凹部を形成し、第1の導電膜上に第1導電型の半導体層を形成することにより、第2の凹部内に位置する第3の凹部を形成し、第1導電型の半導体層上に発光層を形成することにより、第3の凹部内に位置する第4の凹部を形成し、発光層上に第2導電型の半導体層を形成することにより、第4の凹部内に位置する第5の凹部を形成し、第2導電型の半導体層上に第2の導電膜を形成し、第1及び第2の導電膜、第1導電型の半導体層、第2導電型の半導体層、及び発光層のうち、絶縁膜上に位置する部分を研磨又はエッチバックにより除去するものである。
【発明の効果】
【0026】
上記したように本発明によれば、発光層が発光した光を効率よく発光素子の上面から射出することができる。また、上面に射出する光の単位面積あたりの強度を強くすることができる。また、発光素子が発光した紫外光を蛍光フィルム等が吸光し、この蛍光フィルムがR,G,Bを発光する表示装置を形成できる。このため、表示装置の発光効率を高くすることができる。また有機ELを用いる場合と比較して表示装置の寿命を長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係る発光素子の構成を説明する為の断面図であり、図1(B)はこの発光素子の平面図である。なお、図1(A)は図1(B)のA−A´断面を示している。この発光素子において、基板10上には絶縁膜16が形成されている。基板10は、例えばガラス基板である。絶縁膜16は、例えば酸化シリコン膜であり、厚さが例えば0.5μm以上1.5μm以下である。絶縁膜16には開口部16aが形成されている。開口部16aの底面は、例えば一辺が2.5μmの正方形である。
【0028】
開口部16aの周囲に位置する絶縁膜16上、並びに開口部16aの底面及び側面上には、下部電極17が形成されている。下部電極17は、開口部16aと共に第1の凹部17aを形成している。このような構成は、開口部16aの形状に対する下部電極17の膜厚を調整することにより実現できる。下部電極17の膜厚は、例えば100nm以上300nm以下(例えば200nm)である。なお、下部電極17は、発光層19が発光する光に対する反射率が十分に高い(例えば90%以上)である物質で構成されるのが望ましい。発光層19が紫外光を発光する場合、下部電極17は例えばAlにより構成される。
【0029】
下部電極17上には、p型半導体層18、発光層19、及びn型半導体層20が、この順に積層されている。p型半導体層18は第1の凹部17aの内部に位置する第2の凹部18aを有しており、発光層19は第2の凹部18aの内部に位置する第3の凹部19aを有しており、n型半導体層20は第3の凹部19aの内部に位置する第4の凹部20aを有している。このような構成は、p型半導体層18、発光層19、及びn型半導体層20それぞれの膜厚を調整することにより実現できる。p型半導体層18の厚さは例えば100nm以上500nm以下(例えば200nm)であり、発光層19の厚さは例えば500nm以上10000nm以下(例えば500nm)であり、n型半導体層20の厚さは例えば100nm以上500nm以下(例えば200nm)である。ただし、n型半導体層20の膜厚は発光層19の膜厚より薄くするのが好ましく、特に1/2以下にするのが好ましい。このようにすると、後述するように発光層19からの光がn型半導体層20で吸収されることが抑制され、例えばn型半導体層20のバンドギャップが発光層19のバンドギャップ以下である場合でも光が効率よく発光素子上面から射出する。
【0030】
p型半導体層18、発光層19、及びn型半導体層20は、例えばp型ZnO層、不純物が導入されていないZnO層(バンドギャップは3.4eV)、及びn型ZnO層である。p型ZnOは、例えばリンが導入されたZnOであり、n型ZnO層は、例えばAl又はGaが導入されたZnOである。なお発光層19としてはZnS層(バンドギャップは3.68eV)、GaN層(同3.36eV)、SiC層(3.0eV)、又はMg1−XZnO(MgOとZnOの混晶半導体:バンドギャップが3.4eV以上7.8eV以下)を用いることもできる。発光層19のバンドギャップが3eV以上である場合、紫外光を発光することができる。また発光層19がGaAs(バンドギャップは1.42eV)の場合、p型半導体層18としては、GaAsとAlAsの混晶であるAl1−XGaAs(バンドギャップは1.42eV以上2.17eV以下)にZnを導入したものが使用でき、n型半導体層20としてはAl1−XGaAsにSiを導入したものが使用できる。この構造では、赤外域の光が放射される。
【0031】
また、p型半導体層18及びn型半導体層20を、発光層19よりバンドギャップが大きい物質で構成すると、発光層19の発光効率を高くすることができる。またこの場合、発光層19の膜厚を薄くする(例えば10nm以下)ことにより、量子井戸構造にすることができるため、特に発光効率を高くすることができる。発光層19がZnOで形成されている場合、p型半導体層18としてAl又はGaが導入されたMg1−XZnOを使用し、かつn型半導体層20としてリンが導入されたMg1−XZnOを使用すると、p型半導体層18及びn型半導体層20のバンドギャップを発光層19より高くすることができる。
【0032】
なお下部電極17上には、n型半導体層20、発光層19、及びp型半導体層18が、この順に積層されていてもよい。この場合は、p型半導体層18の膜厚は発光層19の膜厚より薄くする(100nm以上500nm以下)のが好ましく、特に1/2以下にするのが好ましい。
【0033】
第4の凹部20a内及びその周囲に位置するn型半導体層20上には、上部電極21が形成されている。上部電極21は、Al等の金属から構成されており、第4の凹部20aの側面及び底面を構成するn型半導体層20の全面に接触している。ただし上部電極21は、基板10に垂直な方向から見た場合に、発光層19のうち基板10に略垂直な方向に延伸している部分とは重ならないようにする必要がある。つまり、基板10に垂直な方向から見た場合に、パターニングによって形成された上部電極21の端部が、第3の凹部19aの内側にくるように上部電極21を形成する。このようにすると、後述するように発光層19が発光した光が効率よく発光素子の上面から射出される。
【0034】
本図に示す発光素子を発光させる場合、例えば上部電極21を接地させ、かつ下部電極17に正方向の電位を与える。これにより、発光層19で励起子が再結合し、結合時に放出されるエネルギーが光として放射される。上部電極21が発光層19のうち図中上方向に延伸している部分とは重なっていないため、図中上方に放射された光はn型半導体層20を透過した後に、発光素子の上面から射出される。また、図中下方に放射された光は下部電極17で反射し、発光素子の上面から射出される。なお、上記したようにn型半導体層20の膜厚は発光層19の膜厚より薄いため、発光層19からの光がn型半導体層20で吸収されることが抑制され、光が効率よく上面に射出する。
【0035】
なお、発光層19のうち発光する領域は、下部電極17及び上部電極21の間に挟まれた領域、すなわち第3の凹部19aを形成している部分である。このため、発光する領域を基板10に対して垂直な方向で稼ぐことができるため、上面に射出する光の単位面積あたりの強度が強くなる。
【0036】
次に、図1(A)、(B)に示した発光素子の製造方法について説明する。まず基板10上に絶縁膜16をCVD法により形成する。次いで、絶縁膜16上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして絶縁膜16を選択的にエッチングする。これにより、絶縁膜16には開口部16aが形成される。その後、レジストパターンを除去する。
【0037】
次いで、絶縁膜16の全面上及び開口部16aの底面及び側面に、下部電極17をスパッタリング法により形成する。ターゲットには、例えばAlターゲットが用いられる。次いで、下部電極17上にp型半導体層18をスパッタリング法により形成する。ターゲットには、例えばリンが含まれているZnOターゲットが用いられる。
【0038】
次いで、p型半導体層18の全面上に発光層19をスパッタリング法により形成する。ターゲットには、例えばZnOターゲットが用いられ、雰囲気には窒素雰囲気が用いられる。次いで、発光層19の全面上にn型半導体層20をスパッタリング法により形成する。ターゲットには、例えばGa又はAlが含まれているZnOターゲットが用いられる。次いで、n型半導体層20の全面上に上部電極21をスパッタリング法により形成する。ターゲットには、例えばAlターゲットが用いられる。
【0039】
なお、p型半導体層18の形成方法は、半導体層をスパッタリング法で形成した後にリン等の不純物を導入する方法であってもよい。また、n型半導体層20の形成方法は、半導体から構成されるターゲット(例えばZnOターゲット)上に、導入すべき不純物から構成されるチップ(例えばAl片又はGa片)を載置して、これらを同時にスパッタリングする方法であってもよい。
【0040】
次いで、上部電極21上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして上部電極21を選択的にエッチングする。これにより上部電極21は、第4の凹部20a内及びその周囲に位置する部分を除いて除去される。その後、レジストパターンを除去する。
【0041】
次いで、上部電極21上及びn型半導体層20上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとしてn型半導体層20、発光層19、p型半導体層18、及び下部電極17を選択的にエッチングする。これによりn型半導体層20、発光層19、p型半導体層18、及び下部電極17は、開口部16a内及びその周囲に位置する部分を除いて除去される。その後、レジストパターンを除去する。
【0042】
以上、本発明の第1の実施形態によれば、発光素子を構成している下部電極17、p型半導体層18、発光層19、及びn型半導体層20が、絶縁膜16に形成された開口部16aの底面及び側面に沿って形成されている。また、上部電極21は、第4の凹部20a内及びその周囲に形成されているが、発光層19のうち図中上方向に延伸している部分とは重なっていない。このため、発光層19が発光した光はn型半導体層20を透過した後に、発光素子の上面から射出される。
【0043】
従って、発光層19が発光した光は、効率よく発光素子の上面から射出される。また、下部電極17を、発光層19が発光する光を反射する物質から形成しているため、発光層19が発光した光は、更に効率よく発光素子の上面から射出される。
【0044】
また、発光層19のうち発光する領域を基板10に対して垂直な方向で稼ぐことができる。従って、上面に射出する光の単位面積あたりの強度を強くすることができる。
【0045】
また、p型半導体層18、発光層19、及びn型半導体層20を、それぞれ、例えばp型ZnO層、不純物が導入されていないZnO層、及びn型ZnO層など、スパッタリング法で形成できる物質にした場合、これらの成膜温度を低くすることができるため、基板10としてガラス基板より耐熱温度が低い基板、例えばフレキシブル基板又はプラスチック基板を用いることができる。
【0046】
なお、発光層19の屈折率をp型半導体層18の屈折率及びn型半導体層20の屈折率それぞれより高くすると、発光層19をレーザー発振させることができる。この場合、発光効率が高い半導体レーザー発振素子を得ることができる。
【0047】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る発光素子の駆動回路の構成を説明する為の回路図である。本実施形態において、発光素子904は、第1の実施形態で説明した発光素子と同様の構成を有しており、対向電極908は図1(A),(B)の上部電極21に相当する。下部電極17に相当する電極は、駆動用TFT(薄膜トランジスタ)901を介して電源線907に電気的に接続している。駆動用TFT901のゲート電極は、スイッチング用TFT902を介して信号線906に電気的に接続されている。スイッチング用TFT902のゲート電極は走査線905に電気的に接続されている。なお、駆動用TFT901のゲート電極は、容量素子903を介して電源線907にも接続している。
【0048】
このような回路において、走査線905に所定の信号が入力されると、スイッチング用TFT902がオンになり、信号線906と駆動用TFT901のゲート電極が接続される。この状態において信号線906に所定の信号が入力されると、駆動用TFT901がオンになり、電源線907と発光素子904が接続される。この状態において発光素子904が発光する。なお、容量素子903を設けたことにより、駆動用TFT901のゲート電極の電位が保持されやすくなる。
【0049】
発光素子904は、第1の実施形態で説明した発光素子と同様の構成を有している。従って、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果、例えば発光素子の上面から射出される光の強度が高いという効果を得ることができる。
【0050】
(第3の実施形態)
図3(A)は、第3の実施形態に係る発光素子の構成を説明する為の断面図であり、図3(B)はこの発光素子の平面図である。なお、図3(A)は図3(B)のA−A´断面を示している。本実施形態に示す発光素子は、図1(A),(B)に示した発光素子において、絶縁膜16の表面より上方に突出している部分を除去した構造である。このため、第1の実施形態において説明した内容は、発光した光が発光層19の端面から直接射出される点を除いて、本実施形態においても適用される。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0051】
本実施形態に係る発光素子の製造方法は、以下の通りである。まず、基板10上に絶縁膜16及び開口部16aを形成し、更に、下部電極17、p型半導体層18、発光層19、n型半導体層20、及び上部電極21を形成する。これらの形成方法は、第1の実施形態と同様である。
【0052】
次いで、下部電極17、p型半導体層18、発光層19、n型半導体層20、及び上部電極21のうち絶縁膜16上に位置している部分を、CMP法又はエッチバックにより除去する。これにより、下部電極17、p型半導体層18、発光層19、n型半導体層20、及び上部電極21それぞれの端面が、絶縁膜16の表面に対して略面一になる。このため、絶縁膜16に垂直な方向から見た場合に、発光層19の端面が見える状態になり、発光層19から発光した光が発光層19の端面から直接上方に射出される。
【0053】
なお、絶縁膜16の表面に対する発光層19の端面の角度は、本図においては180°である。ここで、「絶縁膜16の表面に対する発光層19の端面の角度」とは、例えば、「絶縁膜16の表面」と「発光層19の端面」に対して垂直な断面を考え、該断面における「絶縁膜16の表面」による線分と「発光層19の端面」による線分を考えた場合に、その一方を延長して他方と交わる点を頂点として上記2つの線分がなす角度をいうものとする。この角度が90°超270°未満である場合、すなわち、発光層19の端面が上方から視認できる角度である場合、上記した効果を得ることができる。
【0054】
以上、本実施形態よれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、発光層19から発光した光が発光層19の端面から直接上方に射出されるため、発光効率が更に向上する。
【0055】
なお、絶縁膜16の厚さは、第1の実施形態より厚いのが好ましい。このようにすると、絶縁膜16上に位置している部分が除去されても、上部電極21がn型半導体層20に接触する面積を十分に大きくすることができる。
また、図2に示した回路において、発光素子904を本実施形態で説明した発光素子と同様の構成にしてもよい。
【0056】
(第4の実施形態)
図4は、第4の実施形態に係る表示装置が有する画素42の構成を説明する為の斜視概略図である。本実施形態に係る表示装置では、複数の画素42がマトリックス状に配置されている。画素42には、複数の発光素子41がマトリックス状に配置されている。発光素子41は、第1〜第3の実施形態のいずれかに係る発光素子と同様の構成を有している。従って、第1〜第3の実施形態で説明した内容は、本実施形態においても適用が可能である。
【0057】
なお、画素42が一辺50μmの正方形であり、発光素子41が一辺4.5μmの正方形である場合、画素42には、6×6個の発光素子41を配置することができる。この場合、発光素子41の配置間隔は3.5μmとなる。発光素子41を一辺4.5μmの正方形とする場合、図1及び図3に示した開口部16aを一辺2.5μmの正方形として、下部電極17、p型半導体層18、発光層19、及びn型半導体層20の厚さを、それぞれ200nm、200nm、500nm、及び200nmとすればよい。
【0058】
本実施形態によれば、画素42の発光素子41は第1〜第3の実施形態のいずれかに示した発光素子と同様の構成を有しているため、発光効率が高い表示装置を得ることができる。
【0059】
また、複数の発光素子41により画素42を構成しているため、発光素子41の明るさにばらつきがあっても、画素42の明るさにばらつきが生じることを抑制できる。なお、発光素子41の明るさにばらつきが生じる原因には、発光素子41そのもののばらつきと、発光素子41の発光を制御する素子(例えばTFT)のばらつきとが含まれる。
【0060】
(第5の実施形態)
図5、図6、図7及び図8は、本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の図である。本製造方法では、第1の実施形態で説明した発光素子と、この発光素子の駆動用TFT(例えば図2で示した駆動用TFT901)及びスイッチング用TFT(例えば図2で示したスイッチング用TFT902)とが同一基板上に形成される。このため、第1の実施形態において説明した内容は本実施形態においても適用できる。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
まず、図5(A)の断面図に示すように、基板10上にタングステン膜をスパッタリング法により形成する。タングステン膜の厚さは、例えば150nmである。次いで、タングステン膜上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンを用いてタングステン膜を選択的にエッチングする。これにより、基板10上には駆動用トランジスタのゲート電極11a、及びスイッチング用トランジスタのゲート電極11bが形成される。その後、レジストパターンを除去する。
【0062】
次いで、図5(B)の断面図に示すように、ゲート電極11a,11b上及び基板10上に、ゲート絶縁膜12を、スパッタリング法又はCVD法により形成する。ゲート絶縁膜12の厚さは例えば100nmである。基板10としてフレキシブル基板又はプラスチック基板を用いる場合、成膜温度を基板10の耐熱温度より低くする必要があるため、スパッタリング法を用いるのが好ましい。ただし、成膜温度を基板10の耐熱温度より低くできる場合は、CVD法を用いることもできる。
【0063】
次いで、図5(C)の断面図に示すように、ゲート絶縁膜12上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとしてゲート絶縁膜12を選択的にエッチングする。これにより、ゲート絶縁膜12には、ゲート電極11a上に位置する接続孔30が形成される。その後、レジストパターンを除去する。
【0064】
次いで、ゲート絶縁膜12上に半導体膜を形成する。この半導体膜の厚さは、例えば100nmである。半導体膜は、例えばZnO膜であるが、ポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜であってもよい。半導体膜がZnO膜である場合、半導体膜はスパッタリング法により形成される。この場合、成膜温度が低いため、基板10としてフレキシブル基板又はプラスチック基板を用いることができる。
【0065】
次いで、半導体膜上にレジストパターンを形成し、半導体膜を選択的にエッチングする。半導体膜がZnO膜である場合、半導体膜は例えばフッ酸水溶液を用いたウェットエッチングによりエッチングされる。これにより、ゲート絶縁膜12上には、駆動用トランジスタとなる島状の半導体膜13a、スイッチング用トランジスタとなる島状の半導体膜13b、及び島状の半導体膜13cが形成される。半導体膜13bは、接続孔30を介してゲート電極11aに電気的に接続している。半導体膜13cは、ゲート電極11a及びゲート絶縁膜12と共に、容量素子23を構成する。なお、半導体膜13cは、本図に図示していない部分で半導体膜13aに繋がっている。その後、レジストパターンを除去する。
【0066】
次いで、図5(D)の断面図に示すように、半導体膜13a〜13cそれぞれ上及びゲート絶縁膜12上に第1層間絶縁膜14を、例えばスパッタリング法により形成する。第1層間絶縁膜14は例えば酸化シリコン膜であり、その厚さは例えば500nmである。次いで、第1層間絶縁膜14上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして第1層間絶縁膜14を選択的にエッチングする。これにより、第1層間絶縁膜14には、半導体膜13b上に位置する接続孔31、及び半導体膜13c上に位置する接続孔32(図6に示す)が形成される。その後、レジストパターンを除去する。
【0067】
次いで、第1層間絶縁膜14上に導電膜をスパッタリング法により形成する。導電膜は例えばAl−Ti合金であるが、この場合スパッタリングターゲットとしてAl−Ti合金ターゲットが用いられる。導電膜の厚さは例えば200nmである。次いで、導電膜上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして導電膜を選択的にエッチングする。これにより、信号線15及び電源線22(図6に示す)が形成される。信号線15は接続孔31を介して半導体膜13bに電気的に接続し、電源線22は接続孔32を介して半導体膜13a,13cに電気的に接続する。その後、レジストパターンを除去する。
【0068】
このようにして、発光素子を制御するスイッチング用TFT及び駆動用TFTが形成される。これらのTFTはボトムゲート型のTFTであるが、トップゲート型のTFTであってもよい。
【0069】
ここで、図6の平面図を用いて、スイッチング用TFT24及び駆動用TFT25の構成を説明する。スイッチング用TFT24は、ゲート電極11b、ゲート絶縁膜12(本図では図示を省略)及び半導体膜13bで構成されている。半導体膜13bは、複数の接続孔31を介して信号線15に接続しており、かつ複数の接続孔30を介してゲート電極11aに接続している。駆動用TFT25はゲート電極11a、ゲート絶縁膜12及び半導体膜13aで構成されている。半導体膜13aは半導体膜13cに繋がっている。半導体膜13cは、複数の接続孔32を介して電源線22に電気的に接続している。このように、半導体膜13aは、半導体膜13cを介して電源線22に電気的に接続している。なお、信号線15及び電源線22は互いに平行かつ並んでおり、ゲート電極11bは信号線15及び電源線22に直交している。
【0070】
半導体膜13cの一部は、ゲート絶縁膜12を介してゲート電極11aの一部と重なっており、容量素子23として機能する。容量素子23は、電源線22とゲート電極11aに電気的に接続する容量として機能する。
【0071】
次いで、図7(A)に示すように、信号線15上、電源線22(図6に示す)上、及び第1層間絶縁膜14上に、絶縁膜16を、例えばスパッタリング法により形成する、絶縁膜16は例えば酸化シリコン膜であり、その厚さは例えば1000nm以上1500nm以下である。次いで、絶縁膜16にレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとして絶縁膜16をエッチングする。これにより、絶縁膜16には、半導体膜13aの上方に位置する凹部16bが形成される。凹部16bは、第1の実施形態における開口部16aの代わりになるものであり、その深さは例えば600nm以上1000nm以下である。その後、レジストパターンを除去する。
【0072】
次いで、凹部16b内及び絶縁膜16上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、絶縁膜16及び第1層間絶縁膜14をエッチングする。これにより、凹部16bの底面に位置する絶縁膜16及び第1層間絶縁膜14には、半導体膜13a上に位置する接続孔33が形成される。その後、レジストパターンを除去する。
【0073】
次いで、図7(B)に示すように、凹部16b内に下部電極17を形成する。下部電極17の形成方法は第1の実施形態と同様である。なお、下部電極17を形成するときに、下部電極17の一部が接続孔33内に埋め込まれるため、下部電極17は接続孔33を介して半導体膜13aに電気的に接続する。
【0074】
その後、p型半導体層18、発光層19、n型半導体層20、及び上部電極21を形成する。これらの形成方法は第1の実施形態と同様である。
【0075】
次いで、図8に示すように、p型半導体層18、発光層19、n型半導体層20、及び上部電極21を選択的に除去する。これらの除去方法は第1の実施形態と同様である。
【0076】
以上、第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、発光素子の発光効率を高くすることができる。また、TFTを構成する半導体膜13a,13bを、スパッタリング法で形成されるZnOにしたため、基板10に加わる熱負荷を小さくすることができる。このため、基板10としてフレキシブル基板又はプラスチック基板を用いることができる。基板10としてフレキシブル基板を用いた場合、シートディスプレイを実現できる。また、基板10としてプラスチック基板を用いた場合、プラスチック基板はガラス基板と比較して安価かつ軽量であるため、半導体装置の製造コストを低くすることができ、かつ半導体装置を軽量化することができる。
【0077】
また、駆動用TFT25の半導体膜13a、及びスイッチング用TFT24の半導体膜13bは、それぞれZnOで形成されているが、ZnOのバンドギャップは3.4eVと高い。従って、Si系(バンドギャップが1.1eV)のTFTとは異なり、可視光が照射されても駆動用TFT25及びスイッチング用TFT24には、キャリアの光励起に起因した誤動作が生じない。
【0078】
また、Znは地殻中に多く含まれ(70mg/kg)、入手が容易で安価であるため、TFT及び発光素子の双方にZnOを用いることにより、半導体装置の材料コストを低くすることができる。
【0079】
なお、基板10として耐熱性がある基板を用いる場合は、半導体膜13a,13bとしてポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜を用いることができる。また、半導体膜13a,13bとしてはペンタセン及びオリゴチオフェンなどの有機半導体膜を用いることもできる。
【0080】
また、ZnOは全透過率が90%以上と高いため、ゲート電極11a,11b、信号線15及び電源線22を透明導電体(例えばITO、GZO(Gaを導入したZnO)、又はAZO(Alを導入したZnO))で形成することにより、半導体装置を透明にすることができる。この場合、透明ディスプレイを実現できる。
【0081】
また、発光素子の構造を、第3の実施形態で示した構造にしてもよい。
【0082】
(第6の実施形態)
図9は、第6の実施形態に係る表示装置の回路構成を説明する為の回路図であり、図10は各画素が有する蛍光フィルムの色の配列を説明する為の平面図である。この表示装置は、マトリックス状に配置された複数の画素を有する。各画素は、図9に示すように第2の実施形態と同様の構成を有する回路910を有し、かつ図10に示すように回路910内の発光素子904の上方に蛍光フィルム912r,912g,912bのいずれかを配置したものである。このため、第2の実施形態で説明した内容は本実施形態においても適用できる。各画素の具体的な構造は、例えば第5の実施形態で説明した構成と同様である。
【0083】
本実施形態において発光素子904は紫外光を発光し、蛍光フィルムは発光素子904が発光した紫外光を吸光して赤色、緑色、又は青色の光を発光する。以下、第2の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。また、本実施形態に係る表示装置は、例えば第3の実施形態において説明した方法により、蛍光フィルム912r,912g,912b以外の構成が製造される。その後、蛍光フィルム912r,912g,912bを所定の位置に配置すればよい。
【0084】
なお、蛍光フィルム912rは赤色の光を発光するフィルムであり、例えばYS:Eu3+、LaS:Eu3+、Li(Eu,Sm)W、又はBaMgSi:Eu2+,Mn2+を用いることができる。また、蛍光フィルム912gは緑色の光を発光するフィルムであり、ZnS:Cu,Al、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、又はSrGa:Eu2+を用いることができる。また、蛍光フィルム912bは青色の光を発光するフィルムであり、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu2+、又は(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+を用いることができる。
【0085】
また、発光素子904は、例えば第1の実施形態と同様の構成であるが、第3の実施形態と同様の構成であってもよい。また、赤、青、緑の配列、すなわち蛍光フィルム912r,912g,912bの配列は、図10に示した例に限定されるものではなく、他の配列であってもよい。
【0086】
本実施形態によれば、発光素子904が発光する光が効率よく上面から射出されるため、消費電力を抑えたまま表示装置を明るくすることができる。また、発光素子904、スイッチング用TFT902及び駆動用TFT901をZnOで形成した場合、製造時に基板に加わる温度を低くすることができるため、基板としてフレキシブル基板又はプラスチック基板を用いることができる。前者の場合、シートディスプレイを実現でき、後者の場合、表示装置の製造コストを安価にすることができる。
【0087】
また、蛍光フィルム912r,912g,912bが紫外光を吸光して赤色、緑色、又は青色の光を発光するため、白色発光ダイオード又は白色EL素子等の白色光源上にカラーフィルターを設ける場合と比べて赤色、緑色、及び青色の発光効率が高い。また、無機材料で形成された発光素子904が発光源であるため、有機ELを用いた表示装置と比較して長寿命であり、かつ信頼性が高い。
【0088】
また、有機ELを用いた表示装置は、各色を発光する発光層を形成する必要があるが、本実施形態において発光層は一種類の材料で形成される。従って、有機ELを用いる場合と比較して製造コストを低くすることができる。
【0089】
また、本実施形態のように各画素にTFTを設けると低電圧駆動ができるため、画素密度が増えた場合に有利である。
【0090】
なお、本実施形態では、各画素にTFTが設けられるアクティブマトリクス型の表示装置について説明したが、パッシブマトリクス型の発光装置としてもよい。パッシブマトリクス型の表示装置は、各画素にTFTが設けられていないため、高開口率にすることができる。発光した光が発光積層体の両側に射出する表示装置の場合、パッシブマトリクス型にすると透過率が高まる。
【0091】
(第7の実施形態)
図11(A)は第7の実施形態に係るパネルの上面図であり、図11(B)は図11(A)のA−A´断面図である。このパネルは中央に、複数の画素がマトリックス状に配置された画素部4002を有している。画素部4002が有する各画素の構成は、例えば第6の実施形態が有する表示装置の画素と同様であり、各画素が有する発光素子4011の構成は、例えば第1又は第3の実施形態で示した発光素子と同様である。また、各画素は、第4の実施形態で示したように複数の発光素子4011を有していてもよい。なお、画素を駆動する回路の構成は、第2の実施形態で示した回路と同様である。
【0092】
発光素子4011は、層間絶縁膜4007に覆われている。層間絶縁膜4007上には透明電極4006が形成されている。透明電極4006は、層間絶縁膜4007に形成された接続孔を介して、発光素子4011の上部電極に電気的に接続している。また、透明電極4006上には蛍光フィルム4012が配置されている。蛍光フィルム4012上には対向基板4013が配置されている。
【0093】
なお、層間絶縁膜4007としては酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜を用いることができる。また、対向基板4013としてはガラス基板を用いることができる。また、透明電極4006としてはITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、ITSO(酸化シリコンを含むインジウム錫合金)、IZO(酸化インジウム酸化亜鉛:Indium Zinc Oxide)、GZO(Gaを導入したZnO)、又はAZO(Alを導入したZnO)を用いることができる。
【0094】
また、基板4001には、画素部4002と、画素部4002の周囲に位置する信号線駆動回路4003及び走査線駆動回路4004が設けられている。画素部4002、信号線駆動回路4003、及び走査線駆動回路4004は、それぞれTFTを複数有している。図11(B)では、画素部4002が有するTFT4010と、信号線駆動回路4003が有するTFT4008が図示されている。なお、本図ではトップゲート型のTFTを図示しているが、ボトムゲート型のTFT(第5の実施形態に例示)としてもよい。なお、TFT4010のソース又はドレインは、発光素子4011の下部電極に電気的に接続している。
【0095】
また、パネルには引き回し配線4014が設けられている。引き回し配線4014は、信号線駆動回路4003及び走査線駆動回路4004に、信号又は電源電圧を供給するための配線である。引き回し配線4014は、引き回し配線4015a,4015bを介して、基板4001の周辺部に位置する接続端子4016に接続している。接続端子4016は、FPC(フレキシブルプリントサーキット)4018が有する端子と異方性導電膜4019を介して電気的に接続している。
【0096】
本実施形態によれば、第6の実施形態と同様の効果、例えば発光効率が高いという効果を得ることができる。
【0097】
なお、信号線駆動回路4003は基板4001上に形成されていなくてもよい。この場合、スイッチング機能を有するTFTが基板4001上に形成され、このTFTに接続するICがFPC等を用いてパネルに実装される構成(モジュール)になる。なお、このICは、TFTにビデオ信号を入力し、かつTFTを制御する機能を有している。
【0098】
(第8の実施形態)
図12の各図及び図13のそれぞれは、第8の実施形態に係るパネル又はモジュールの回路構成を説明する為の回路図である。これらの図は、第7の実施形態で示したパネル又はモジュールの回路構成の変形例を示すものである。発光素子1405は、第7の実施形態における発光素子4011に相当する。また、スイッチング用TFT1401、駆動用TFT1404、及び容量素子1402は、それぞれ第2の実施形態におけるスイッチング用TFT902、駆動用TFT901、及び容量素子903に相当する。従って、第2の実施形態で説明した内容は本実施形態においても適用可能である。
【0099】
スイッチング用TFT1401は画素に対するビデオ信号の入力を制御するTFTであり、スイッチング用TFT1401がオンになると、画素内にビデオ信号が入力される。すると、入力されたビデオ信号の電圧が容量素子1402に保持される。なお、ビデオ信号の電圧を保持する容量がゲート容量等で十分な場合には、容量素子1402を設けなくてもよい。
【0100】
図12(A)に示す回路は、列方向に信号線1410及び電源線1411,1412が延伸しており、行方向に走査線1414が延伸している。また、駆動用TFT1404と発光素子1405の間に電流制御用TFT1403が直列に接続されている。電流制御用TFT1403のゲート電極は電源線1412に電気的に接続されている。
【0101】
図12(B)に示す回路は、電源線1412が行方向に延伸している点を除いて、図12(A)に示す回路と同様の構成である。つまり、図12(B)は、図12(A)の等価回路図である。しかし、電源線1412が列方向に延伸する場合(図12(A)の場合)と行方向に延伸する場合(図12(B)の場合)とでは、電源線1412は互いに異なる層に設けられる。ここでは、電源線1412が異なる層に配置されていることを示すために、図12(A),(B)に分けて記載している。
【0102】
図12(A),(B)に示す回路の特徴として、画素内で駆動用TFT1404と電流制御用TFT1403が直列に接続されていることがある。電流制御用TFT1403は飽和領域で動作し、発光素子1405に流れる電流値を制御する機能を有している。電流制御用TFT1403のチャネル幅(W1)に対するチャネル長(L1)の比率(L1/W1)は、駆動用TFT1404のチャネル幅(W2)に対するチャネル長(L2)の比率(L2/W2)の5000倍以上6000倍以下にするのが好ましい。
【0103】
これら2つのTFT1403,1404は、同一の導電型(例えばnチャネル型TFT)を有しているのが製造工程上好ましい。また駆動用TFT1404はエンハンスト型TFTのみではなく、ディプレション型TFTも適用可能である。なぜならば、電流制御用TFT1403が飽和領域で動作するために、駆動用TFT1404のVgsの細かな変動は発光素子1405に流れる電流値に影響を及ぼさないためである。すなわち、発光素子1405の電流値は飽和領域で動作する電流制御用TFT1403により決定される。このような構成にすると、TFTの特性ばらつきに起因した発光特性のばらつきを抑制することができる。なお、第4の実施形態で示したように各画素を複数の発光素子で形成するようにすると、画素間の発光ばらつきを更に抑制できるため、パネルの画質と信頼性を更に向上させることができる。
【0104】
図12(C)に示す回路は、TFT1406及び走査線1415が追加されている点を除いて、図12(A)に示した回路と同様の構成である。また図12(D)に示す回路は、TFT1406及び走査線1415が追加されている点を除いて、図12(B)に示した回路と同様の構成である。走査線1415は行方向に延伸している。
【0105】
TFT1406は、容量素子1402と並列に設けられている。またTFT1406は、ゲート電極が走査線1415に電気的に接続しており、走査線1415によりオンオフが制御される。TFT1406がオンになると、容量素子1402に保持された電荷が放電し、駆動用TFT1404がオフになる。すなわちTFT1406を設けることにより、発光素子1405に電流が流れない状態を強制的に作ることができる。このため、TFT1406を消去TFTと呼ぶことができる。
【0106】
このように図12(C),(D)に示す回路では、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができるため、デューティー比を向上させることができる。
【0107】
図12(E)に示す回路は、電源線1412及び電流制御用TFT1403が設けられていない点を除いて、図12(C),(D)に示した回路と同様の構成である。このようにしても、図12(C),(D)に示した回路と同様にデューティー比を向上させることができる。
【0108】
図13に示す回路は、画素部1500にスイッチング用TFT1401、容量素子1402、駆動用TFT1404、及び発光素子1405が設けられている。信号線1410にはダイオード1561,1562が接続されている。ダイオード1561,1562は、例えばスイッチング用TFT1401及び駆動用TFT1404と同一工程で形成され、ゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極等を有する。ダイオード1561,1562は、ゲート電極と、ドレイン電極又はソース電極とが互いに電気的に接続することにより、ダイオードとして動作する。
【0109】
ダイオード1561は、ゲート電極並びにドレイン電極及びソース電極の一方が共通電位線1554に電気的に接続しており、ドレイン電極及びソース電極の他方が信号線1410に接続している。ダイオード1562は、ゲート電極並びにドレイン電極及びソース電極の一方が信号線1410に電気的に接続しており、ドレイン電極及びソース電極の他方が共通電位線1555に接続している。共通電位線1554,1555はゲート電極と同じレイヤーに配置されており、ゲート電極と同一工程で形成されている。このため、ダイオード1561,1562のソース電極又はドレイン電極と共通電位線を接続するためには、ゲート絶縁膜に接続孔を形成する必要がある。
【0110】
また、走査線1414にもダイオード及び共通電位線が形成されているが、これらの構成は、ダイオード1561,1562及び共通電位線1554,1555と同様の構成である。
【0111】
図13に示す回路によれば、保護ダイオードを各TFTと同一工程で形成することができる。なお、保護ダイオードを形成する位置はこれに限定されず、駆動回路と画素の間に形成することもできる。
【0112】
(第9の実施形態)
第9の実施形態に係る電子機器について、図14及び図15を参照しつつ説明する。この電子機器は、第6〜第8のいずれかの実施形態で説明した表示装置又はパネルを有している。この電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図14及び図15に示す。
【0113】
図14(A)はテレビ受像器又はパーソナルコンピュータのモニターである。筺体3001、表示部3003、スピーカー部3004等を含む。表示部3003にはアクティブマトリクス型の表示装置が設けられている。表示装置には、第6〜第8の実施形態で説明した表示装置又はパネルが用いられている。表示装置又はパネルが有する発光素子は、蛍光フィルムを介してR(赤)、G(緑)、又はB(青)に発色しているため、カラーフィルターを用いる場合と比較して発光効率が高い。また、発光素子に無機半導体が用いられているため、有機ELを用いた場合と比較して長寿命である。なお、第4の実施形態で示したように画素ごとに発光素子を複数有する構成にすると、画素間の発光ばらつきが抑制されるため表示斑が小さくなり、画質と信頼性の高いテレビ又はモニターを得ることができる。
【0114】
図14(B)は携帯電話機であり、本体3101、筐体3102、表示部3103、音声入力部3104、音声出力部3105、操作キー3106、アンテナ3108等を含む。表示部3103には、アクティブマトリクス型の表示装置が設けられている。この表示装置には、第6〜第8の実施形態で説明した表示装置又はパネルが用いられている。表示装置又はパネルが有する発光素子は、蛍光フィルムを介してR、G、又はBに発色しているため、カラーフィルターを用いる場合と比較して発光効率が高い。また、発光素子に無機半導体が用いられているため、有機ELを用いた場合と比較して長寿命である。なお、第4の実施形態で示したように画素ごとに発光素子を複数有する構成にすると、画素間の発光ばらつきが抑制されるため表示斑が小さくなり、画質と信頼性の高い携帯電話機を得ることができる。
【0115】
図14(C)はコンピュータである。本体3201には、キーボード3204、外部接続ポート3205、ポインティングマウス3206等が設けられている。また、本体3201には、表示部3203を有する筐体3202が取り付けられている。表示部3203には、アクティブマトリクス型の表示装置が設けられている。この表示装置には、第6〜第8の実施形態で説明した表示装置又はパネルが用いられている。表示装置又はパネルが有する発光素子は、蛍光フィルムを介してR、G、又はBに発色しているため、カラーフィルターを用いる場合と比較して発光効率が高い。また、発光素子に無機半導体が用いられているため、有機ELを用いた場合と比較して長寿命である。なお、第4の実施形態で示したように画素ごとに発光素子を複数有する構成にすると、画素間の発光ばらつきが抑制されるため表示斑が小さくなり、画質と信頼性の高いコンピュータを得ることができる。
【0116】
図14(D)はモバイルコンピュータであり、本体3301、表示部3302、スイッチ3303、操作キー3304、赤外線ポート3305等を含む。表示部3302にはアクティブマトリクス型の表示装置が設けられている。この表示装置には、第6〜第8の実施形態で説明した表示装置又はパネルが用いられている。表示装置又はパネルが有する発光素子は、蛍光フィルムを介してR、G、又はBに発色しているため、カラーフィルターを用いる場合と比較して発光効率が高い。また、発光素子に無機半導体が用いられているため、有機ELを用いた場合と比較して長寿命である。なお、第4の実施形態で示したように画素ごとに発光素子を複数有する構成にすると、画素間の発光ばらつきが抑制されるため表示斑が小さくなり、画質と信頼性の高いモバイルコンピュータを得ることができる。
【0117】
図14(E)は携帯型のゲーム機であり、筐体3401、表示部3402、スピーカー部3403、操作キー3404、記録媒体挿入部3405等を含む。表示部3402にはアクティブマトリクス型の表示装置が設けられている。この表示装置には、第6〜第8の実施形態で説明した表示装置又はパネルが用いられている。表示装置又はパネルが有する発光素子は、蛍光フィルムを介してR、G、又はBに発色しているため、カラーフィルターを用いる場合と比較して発光効率が高い。また、発光素子に無機半導体が用いられているため、有機ELを用いた場合と比較して長寿命である。なお、第4の実施形態で示したように画素ごとに発光素子を複数有する構成にすると、画素間の発光ばらつきが抑制されるため表示斑が小さくなり、画質と信頼性の高い携帯型のゲーム機を得ることができる。
【0118】
図15はペーパーディスプレイであり、本体3110、画素部3111、ドライバIC3112、受信装置3113、フィルムバッテリー3114等を含む。受信装置3113では図14(B)に示した携帯通信端末が有する赤外線通信ポート(図示せず)からの信号を受信することができる。画素部3111にはアクティブマトリクス型の表示装置が設けられている。この表示装置には、第6〜第8の実施形態で説明した表示装置又はパネルが用いられている。表示装置又はパネルが有する発光素子は、蛍光フィルムを介してR、G、又はBに発色しているため、カラーフィルターを用いる場合と比較して発光効率が高い。また、発光素子に無機半導体が用いられているため、有機ELを用いた場合と比較して長寿命である。なお、第4の実施形態で示したように画素ごとに発光素子を複数有する構成にすると、画素間の発光ばらつきが抑制されるため表示斑が小さくなり、画質と信頼性の高いペーパーディスプレイを得ることができる。
【0119】
このように本発明の適用範囲はきわめて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。
【0120】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】(A)は第1の実施形態に係る発光素子の構成を説明する為の断面図、(B)は平面図。
【図2】第2の実施形態に係る発光素子の駆動回路の構成を説明する為の回路図。
【図3】(A)は第3の実施形態に係る発光素子の構成を説明する為の断面図、(B)は平面図。
【図4】第4の実施形態に係る表示装置が有する画素42の構成を説明する為の斜視概略図。
【図5】第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の図。
【図6】第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の図。
【図7】第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の図。
【図8】第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の図。
【図9】第6の実施形態に係る表示装置の回路構成を説明する為の回路図。
【図10】各画素が有する蛍光フィルムの色の配列を説明する為の平面図。
【図11】(A)は第7の実施形態に係るパネルの上面図、(B)は(A)のA−A´断面図。
【図12】第8の実施形態に係るパネル又はモジュールの回路構成を説明する為の回路図。
【図13】第8の実施形態に係るパネル又はモジュールの回路構成を説明する為の回路図。
【図14】第9の実施形態に係る電子機器の構成を説明する為の斜視図。
【図15】第9の実施形態に係る電子機器の構成を説明する為の斜視図。
【図16】従来の発光素子の構成を説明する為の断面図。
【符号の説明】
【0122】
10…基板、16…絶縁層、16a…開口部、16b…溝、17…下部電極、17a…第
1の凹部、18…p型半導体層、18a…第2の凹部、19…発光層、19a…第3の凹
部、20…n型半導体層、20a…第4の凹部、21…上部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部と、
前記第1の凹部又は開口部の周囲に位置する前記絶縁膜上、並びに前記第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、前記第1の凹部内又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、
前記第1の電極上に形成され、前記第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層上に形成され、前記第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、
前記発光層上に形成され、前記第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、
前記第5の凹部の底面及び側面を構成する前記第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極と、
を具備する半導体装置。
【請求項2】
前記第2導電型の半導体層のバンドギャップは前記発光層のバンドギャップ以下であり、
前記第2導電型の半導体層の厚さは前記発光層の厚さより薄い請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部と、
前記第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、該第1の凹部又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、
前記第1の電極上に形成され、前記第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層上に形成され、前記第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、
前記発光層上に形成され、前記第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、
前記第5の凹部の底面及び側面を構成する前記第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極と、
を具備し、前記絶縁膜の表面に対する前記発光層の端面の角度が90°超270°未満である半導体装置。
【請求項4】
前記発光層は、バンドギャップが3eV以上の物質から構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記発光層を構成する物質は、ZnO、ZnS、GaN、SiC、又はMg1−XZnOである請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1導電型の半導体層を構成する物質、及び前記第2導電型の半導体層を構成する物質それぞれは、前記発光層を構成する物質よりバンドギャップが大きい請求項1、3〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記発光層の厚さは10nm以下である請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記発光層を構成する物質はZnOであり、前記第1導電型の半導体層を構成する物質、及び前記第2導電型の半導体層を構成する物質は、不純物が導入されたMg1−XZnOである請求項6又は7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の電極は、前記発光層が発光した光の反射率が90%以上である請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
基板に形成された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタの上又は上方に位置する絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成され、前記薄膜トランジスタによって発光が制御される発光素子と、
を具備し、
前記発光素子は、
前記絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部と、
前記第1の凹部又は開口部の周囲に位置する前記絶縁膜上、並びに前記第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、前記第1の凹部内又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、
前記第1の電極上に形成され、前記第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層上に形成され、前記第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、
前記発光層上に形成され、前記第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、
前記第5の凹部の底面及び側面を構成する前記第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極と、
を具備する半導体装置。
【請求項11】
基板に形成された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタの上又は上方に位置する絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成され、前記薄膜トランジスタによって発光が制御される発光素子と、
を具備し、
前記発光素子は、
第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、該第1の凹部又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、
前記第1の電極上に形成され、前記第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層上に形成され、前記第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、
前記発光層上に形成され、前記第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、
前記第5の凹部の底面及び側面を構成する前記第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極と、
を具備し、前記絶縁膜の表面に対する前記発光層の端面の角度が90°超270°未満である半導体装置。
【請求項12】
前記薄膜トランジスタは、
島状のZnO膜と、
前記ZnO膜に形成され、前記薄膜トランジスタのソース又はドレインとなる不純物領域と、
を具備する請求項10又は11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記基板はフレキシブル基板又はプラスチック基板である請求項10〜12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
基板に形成された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタの上又は上方に位置する絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成され、紫外光を発光し、前記薄膜トランジスタによって発光が制御される発光素子と、
前記発光素子の上又は上方に位置し、前記発光素子が発光した紫外光を吸光して可視光を発光する蛍光体と、
を具備し、
前記発光素子は、
前記絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部と、
前記第1の凹部又は開口部の周囲に位置する前記絶縁膜上、並びに前記第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、前記第1の凹部内又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、
前記第1の電極上に形成され、前記第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層上に形成され、前記第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、
前記発光層上に形成され、前記第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、
前記第5の凹部の底面及び側面を構成する前記第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極と、
を有する表示装置。
【請求項15】
基板に形成された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタの上又は上方に位置する絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成され、紫外光を発光し、前記薄膜トランジスタによって発光が制御される発光素子と、
前記発光素子の上又は上方に位置し、前記発光素子が発光した紫外光を吸光して可視光を発光する蛍光体と、
を具備し、
前記発光素子は、
前記絶縁膜に形成された第1の凹部又は開口部と、
前記第1の凹部又は開口部の底面及び側面に形成され、該第1の凹部又は開口部内に位置する第2の凹部を有する第1の電極と、
前記第1の電極上に形成され、前記第2の凹部内に位置する第3の凹部を有する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層上に形成され、前記第3の凹部内に位置する第4の凹部を有する発光層と、
前記発光層上に形成され、前記第4の凹部内に位置する第5の凹部を有する第2導電型の半導体層と、
前記第5の凹部の底面及び側面を構成する前記第2導電型の半導体層上に形成された第2の電極と、
を有し、前記絶縁膜の表面に対する前記発光層の端面の角度が90°超270°未満である表示装置。
【請求項16】
前記薄膜トランジスタは、
島状のZnO膜と、
前記ZnO膜に形成され、前記薄膜トランジスタのソース又はドレインとなる不純物領域と、
を具備する請求項14又は15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記基板はフレキシブル基板又はプラスチック基板である請求項14〜16のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の半導体装置を具備する電子機器。
【請求項19】
請求項14〜17のいずれか一項に記載の表示装置を具備する電子機器。
【請求項20】
絶縁膜に第1の凹部又は開口部を形成し、
前記絶縁膜上並びに前記第1の凹部又は開口部の底面及び側面に第1の導電膜を形成することにより、前記第1の凹部内又は開口部内に位置する第2の凹部を形成し、
前記第1の導電膜上に第1導電型の半導体層を形成することにより、前記第2の凹部内に位置する第3の凹部を形成し、
前記第1導電型の半導体層上に発光層を形成することにより、前記第3の凹部内に位置する第4の凹部を形成し、
前記発光層上に第2導電型の半導体層を形成することにより、前記第4の凹部内に位置する第5の凹部を形成し、
前記第2導電型の半導体層上に第2の導電膜を形成し、
前記第1及び第2の導電膜、前記第1導電型の半導体層、前記第2導電型の半導体層、及び前記発光層のうち、前記絶縁膜上に位置する部分を選択的なエッチングにより除去する、半導体装置の製造方法。
【請求項21】
絶縁膜に第1の凹部又は開口部を形成し、
前記絶縁膜上並びに前記第1の凹部又は開口部の底面及び側面に第1の導電膜を形成することにより、前記第1の凹部内又は開口部内に位置する第2の凹部を形成し、
前記第1の導電膜上に第1導電型の半導体層を形成することにより、前記第2の凹部内に位置する第3の凹部を形成し、
前記第1導電型の半導体層上に発光層を形成することにより、前記第3の凹部内に位置する第4の凹部を形成し、
前記発光層上に第2導電型の半導体層を形成することにより、前記第4の凹部内に位置する第5の凹部を形成し、
前記第2導電型の半導体層上に第2の導電膜を形成し、
前記第1及び第2の導電膜、前記第1導電型の半導体層、前記第2導電型の半導体層、及び前記発光層のうち、前記絶縁膜上に位置する部分を研磨又はエッチバックにより除去する、半導体装置の製造方法。
【請求項22】
基板上に薄膜トランジスタを形成し、
前記薄膜トランジスタ上に絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜に、前記薄膜トランジスタの上方に位置する第1の凹部を形成し、
前記第1の凹部の底面に、前記薄膜トランジスタのソース又はドレイン上に位置する接続孔を形成し、
前記絶縁膜上及び前記第1の凹部の底面及び側面に、前記接続孔を介して前記ソース又はドレインに電気的に接続する第1の導電膜を形成することにより、前記第1の凹部内に位置する第2の凹部を形成し、
前記第1の導電膜上に第1導電型の半導体層を形成することにより、前記第2の凹部内に位置する第3の凹部を形成し、
前記第1導電型の半導体層上に発光層を形成することにより、前記第3の凹部内に位置する第4の凹部を形成し、
前記発光層上に第2導電型の半導体層を形成することにより、前記第4の凹部内に位置する第5の凹部を形成し、
前記第2導電型の半導体層上に第2の導電膜を形成し、
前記第1及び第2の導電膜、前記第1導電型の半導体層、前記第2導電型の半導体層、及び前記発光層のうち、前記絶縁膜上に位置する部分を選択的なエッチングにより除去する、半導体装置の製造方法。
【請求項23】
基板上に薄膜トランジスタを形成し、
前記薄膜トランジスタ上に絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜に、前記薄膜トランジスタの上方に位置する第1の凹部を形成し、
前記第1の凹部の底面に、前記薄膜トランジスタのソース又はドレイン上に位置する接続孔を形成し、
前記絶縁膜上及び前記第1の凹部の底面及び側面に、前記接続孔を介して前記ソース又はドレインに電気的に接続する第1の導電膜を形成することにより、前記第1の凹部内に位置する第2の凹部を形成し、
前記第1の導電膜上に第1導電型の半導体層を形成することにより、前記第2の凹部内に位置する第3の凹部を形成し、
前記第1導電型の半導体層上に発光層を形成することにより、前記第3の凹部内に位置する第4の凹部を形成し、
前記発光層上に第2導電型の半導体層を形成することにより、前記第4の凹部内に位置する第5の凹部を形成し、
前記第2導電型の半導体層上に第2の導電膜を形成し、
前記第1及び第2の導電膜、前記第1導電型の半導体層、前記第2導電型の半導体層、及び前記発光層のうち、前記絶縁膜上に位置する部分を研磨又はエッチバックにより除去する、半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−194596(P2007−194596A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331814(P2006−331814)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】