説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置において、電気的特性の向上を図ることのできる技術を提供する。
【解決手段】チップ搭載部2は、底部と、この底部を囲むように形成された側壁部を有する凹形状部を備えており、半導体チップ3の裏面とチップ搭載部2の底部表面とを対向させて、チップ搭載部2の底部の中央位置に半導体チップ3を接合した後、底部裏面側から成型金型に樹脂を注入することによりチップ搭載部2の凹形状部の内側に空気層7を残し、その空気層7で半導体チップ3の周囲を覆うことで、半導体チップ3の上面および側面と接触しない封止体6を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、半導体パッケージおよびその製造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体パッケージの製造方法として、樹脂保持金型上に不可逆性硬化樹脂を塗布し、不可逆性硬化樹脂の表面に、半導体チップをキャビティ内に収容したパッケージ基板のキャビティの開口部を接触させた後、加熱処理によりキャビティ内の空気膨張で不可逆性硬化樹脂を半球面状に膨張させて、内面を凹面とし、外面を平面とする不可逆性硬化樹脂からなるキャップ部材を形成する技術が特開2002−368028号公報(特許文献1)に記載されている。
【特許文献1】特開2002−368028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
様々な製品用途に対応するため、半導体チップに形成される半導体素子の品種に応じて、半導体チップを搭載した半導体装置(半導体パッケージ)の構造または製法に要求される項目も異なっている。そのため、半導体素子の品種に応じた半導体装置の開発が必要とされている。
【0004】
本願発明者らは、高周波モジュールなどに使用される高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置の開発を行っている。しかしながら、本願発明者らの検討によれば、高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置では、以下に説明する種々の技術的課題が存在することが分かった。
【0005】
一般に、上記半導体装置の電気的特性を向上させるためには、半導体チップの寄生容量を低減して、高周波向けの半導体素子に与えるノイズの影響を小さくすることが必要とされている。しかし、半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置では、半導体素子を保護するために、例えばエポキシ樹脂からなる封止体により半導体チップの主面を覆っている。そのため、封止体と半導体チップとの界面において寄生容量が生成され、この生成された寄生容量の影響により高周波向けの半導体素子のノイズ耐性が低下して、高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置において所望する電気的特性が得られない問題がある。
【0006】
半導体チップの寄生容量を低減するためには、半導体チップを誘電率の低い物質で覆うことが望ましく、半導体チップを空気層で覆うことが最も好ましい態様として考えられる。なお、半導体チップの主面上に空気層を形成する方法として、例えば前記特許文献1に記載された半導体装置の製造方法がある。しかし、この製造方法により形成された半導体装置は、第1基板上に搭載された半導体チップを覆うように、半導体チップの周囲に設けられた第2基板とキャップ部材とを接合する構成であり、半導体チップの主面上に空気層を形成するための部材(封止体)を1つの部材で形成する構成とはなっていない。そのため、例えば実装基板上に、完成した半導体装置を搭載する際のリフロー工程において、熱の影響により第2基板とキャップ部材との接合部が剥離する恐れがある。これにより、半導体装置の高い信頼性が確保できないと考えられる。
【0007】
そこで、信頼性を低下させることなく、半導体チップの主面上に空気層を形成することによる良好な電気特性を有する半導体装置の検討が必要となった。
【0008】
本発明の目的は、半導体装置の電気的特性の向上を図ることのできる技術を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、半導体装置の信頼性を低下させることなく、電気的特性の向上を図ることのできる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、一実施例を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
本実施例は、チップ搭載部と、外縁部に設けられた第1リード電極(ドレイン用リード)と、外縁部に、チップ搭載部を挟んで第1リード電極と対向して設けられた第2リード電極(ゲート用リード)と、第1リード電極と第2リード電極との間に配置され、チップ搭載部と一体に形成されて外縁部まで延びる第3リード電極(ソース用リード)と、チップ搭載部の中央位置にダイボンド材を介して接合された半導体チップと、半導体チップの主面に形成された第1パッド電極と第1リード電極とを電気的に接続する第1ワイヤと、半導体チップの主面に形成された第2パッド電極と第2リード電極とを電気的に接続する第2ワイヤと、半導体チップの主面に形成された第3パッド電極と第3リード電極とを電気的に接続する第3ワイヤと、チップ搭載部、第1、第2および第3リード電極の一部、半導体チップ、第1、第2および第3ワイヤを封止する封止体とにより構成された半導体装置である。チップ搭載部は、底部と、この底部を囲むように形成された側壁部を有する凹形状部を備えており、半導体チップの裏面とチップ搭載部の底部表面とを対向させて、チップ搭載部の底部の中央位置に半導体チップが接合されている。また、封止体の内部のチップ搭載部の凹形状部の内側には空気層が形成されており、半導体チップの主面と側面は、封止体と接触していない。
【0013】
本実施例は、表面および表面と反対側の裏面を有するチップ搭載部と、チップ搭載部の周囲に配置された第1リード電極(ドレイン用リード)と、チップ搭載部の周囲に配置され、チップ搭載部を介して第1リード電極と対向する第2リード電極(ゲート用リード)と、チップ搭載部と一体に形成され、第1リード電極と第2リード電極との間に配置された第3リード電極(ソース用リード)と、第1、第2および第3リード電極のそれぞれと一体に形成された枠部とを有する基板を準備する工程と、半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および主面と反対側の裏面を有する半導体チップを、半導体チップの裏面がチップ搭載部の表面と対向するように、チップ搭載部上に接合する工程と、第1リード電極と半導体チップの第1パッド電極とを第1ワイヤを介して電気的に接続し、第2リード電極と半導体チップの第2パッド電極とを第2ワイヤを介して電気的に接続し、第3リード電極と半導体チップの第3パッド電極とを第3ワイヤを介して電気的に接続する工程と、キャビティ面、および前記キャビティ面を囲むように形成された側面からなる凹形状のキャビティ部を備えた下金型、ゲート部を備える上金型を有する成型金型を準備する工程、チップ搭載部の裏面が上金型のゲート部と対向するように、基板を上金型と下金型との間に配置する工程、基板の枠部を上金型および下金型によりクランプする工程、上金型のゲート部を介してキャビティ部の内部に樹脂を注入して、半導体チップの主面側に位置する上面、上面と反対側の下面、および上面と下面との間に位置する側面を有する封止体を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、一実施例によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
半導体装置の信頼性を低下させることなく、電気的特性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0017】
また、本実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、本実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、本実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0018】
また、本実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、本実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
本実施の形態1による高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置を図1および図2を用いて説明する。図1(a)、(b)および(c)はそれぞれ半導体装置の要部平面図、同図(a)のA−A′線における要部断面図および同図(a)のB−B′線における要部断面図である。図2(a)、(b)および(c)はそれぞれ半導体装置の上面図、側面図および底面図である。本実施の形態1では、高周波向けの半導体素子として高周波パワーMIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタを例示する。
【0020】
図1に示すように、半導体装置1は、チップ搭載部2と、外縁部に設けられた第1リード電極(ドレイン用リード)2Dと、外縁部に、チップ搭載部2を挟んで第1リード電極と対向して設けられた第2リード電極(ゲート用リード)2Gと、第1リード電極と第2リード電極との間に配置され、チップ搭載部2と一体に形成されて外縁部まで延びる第3リード電極(ソース用リード)2Sと、チップ搭載部2の中央位置にダイボンド材を介して接合された半導体チップ3と、半導体チップ3の主面(回路形成面)に形成された第1パッド電極(ドレイン用電極)4Dと第1リード電極2Dとを電気的に接続する第1ワイヤ(ドレイン用ワイヤ)5Dと、半導体チップ3の主面に形成された第2パッド電極(ゲート用電極)4Gと第2リード電極2Gとを電気的に接続する第2ワイヤ(ゲート用ワイヤ)5Gと、半導体チップ3の主面に形成された第3パッド電極(ソース用電極)4Sと第3リード電極2Sとを電気的に接続する第3ワイヤ(ソース用ワイヤ)5Sと、チップ搭載部2、リード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)の一部、半導体チップ3、ワイヤ(第1ワイヤ5D、第2ワイヤ5Gおよび第3ワイヤ5S)を封止する封止体6とにより構成されている。なお、本実施の形態1では、第3リード電極2Sが複数本、形成されており、詳細に説明すると、図1に示すように、チップ搭載部2の両側に2つ形成されている。
【0021】
チップ搭載部2は、底部と、この底部を囲むように形成された側壁部とを有する凹形状を有しており、半導体チップ3の裏面(主面と反対側の面)とチップ搭載部2の底部表面とを対向させて、チップ搭載部2の底部の中央位置に半導体チップ3が接合されている。
【0022】
半導体チップ3には、高周波パワーMISトランジスタが形成されており、半導体チップ3の主面に形成された第1パッド電極4Dは高周波パワーMISトランジスタのドレインと電気的に接続されたドレイン用電極、半導体チップ3の主面に形成された第2パッド電極4Gは高周波パワーMISトランジスタのゲートと電気的に接続されたゲート用電極、半導体チップ3の主面に形成された第3パッド電極4Sは高周波パワーMISトランジスタのソースと電気的に接続されたソース用電極である。
【0023】
封止体6の素材は樹脂、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等である。図2に示すように、封止体6の平面の外形は、例えば一辺を約3mmとする四角形であり、封止体6は、半導体チップ3の主面側に位置する上面、上面と反対側の下面(実装面)および上面と下面との間に位置する側面を有している。また、封止体6の4側面の外縁部からは、第1の方向に1つの第1リード電極2D、第1の方向と反対の方向に1つの第2リード電極2G、第1の方向と直交する第2の方向に1つの第3リード電極2S、第2の方向と反対の方向に他の1つの第3リード電極2Sとが突出している。
【0024】
封止体6の内部には空気層7からなる隙間が設けられている。空気層7はチップ搭載部2の凹形状内に形成されており、その空気層7により半導体チップ3の周囲が覆われている。すなわち、半導体チップ3は、半導体チップ3の主面、主面の反対側に位置してチップ搭載部2の底部表面と接合する裏面、および主面と裏面との間に位置する側面とを有しているが、半導体チップ3の主面および側面は空気層7により覆われており、半導体チップ3の主面および側面は、樹脂を素材とする封止体6とは接触していない。
【0025】
このように、半導体チップ3を樹脂ではなく、誘電率の低い空気層(ε≒1)により覆うことで、半導体チップ3の寄生容量を低減することができる。これにより、半導体チップ3に形成された高周波パワーMISトランジスタがノイズの影響を受け難くなり、半導体装置1の電気的特性が向上する。
【0026】
次に、本実施の形態1による高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置の製造方法を図3〜図20を用いて工程順に説明する。図3は半導体装置の製造方法の全体工程の流れを説明する工程図、図4は多数個取り基板の一例を示す外形平面図、図5は多数個取り基板の他の一例を示す外形平面図、図6(a)、(b)および(c)はそれぞれ多数個取り基板を構成する単位基板の要部平面図、同図(a)のC−C′線における要部断面図および同図(a)のD−D′線における要部断面図、図7は半導体装置の製造方法の一工程であるモールド工程の流れを説明する工程図、図8は半導体装置の製造方法のモールド工程における樹脂成形金型の構成の一例を示す部分断面図、図9は半導体装置の製造方法のモールド工程における基板セット状態の一例を示す部分断面図、図10は樹脂成形金型のエアベントレス構造の下金型の一例を示す斜視図、図11は樹脂成形金型のエアベント構造の下金型の一例を示す斜視図、図12および図13はそれぞれ半導体装置の製造方法のモールド工程における中間型セット状態およびタブレットセット状態の一例を示す部分断面図、図14(a)および(b)はそれぞれ図10のE−E′線に沿って切断した構造の一例を示す要部断面図およびF−F′線に沿って切断した構造の一例を示す要部断面図、図15は半導体装置の製造方法のモールド工程におけるレジン注入状態の一例を示す部分断面図、図16は、図15のG領域を拡大して示す要部断面図、図17、図18、図19および図20はそれぞれ半導体装置の製造方法のモールド工程におけるレジンキュア状態、クランプ開状態、中間型と基板取り出し状態および中間型離型状態の一例を示す部分断面図である。
【0027】
ここでは、図4および図5に示す複数のデバイス領域がマトリクス配置された多数個取り基板8,9を用いて半導体装置を形成する場合について説明する。図4に示す多数個取り基板8は、例えばフープラインで使用することを想定した配線基板である。多数個取り基板8の外周部には、一の方向に並んで複数の位置決め用の貫通孔10が形成されている。この複数の位置決め用の貫通孔10が並ぶ方向(x軸方向)を行とし、この列の方向と直交する方向(y軸方向)を列とすると、多数個取り基板8は、半導体製品1つ分に該当する単位基板11が9行2列に配置された構成となっている。図5に示す多数個取り基板9は、例えばジョブショップラインで使用することを想定した配線基板である。多数個取り基板9の外周部にも、前述の図4に示した多数個取り基板8と同様に、一の方向に並んで複数の位置決め用の貫通孔10が形成されている。この複数の位置決め用の貫通孔10が並ぶ方向(x軸方向)を行とし、この行の方向と直交する方向(y軸方向)を列とすると、多数個取り基板9は、半導体製品1つ分に該当する単位基板11が9行8列に配置された構成となっている。多数個取り基板8,9を構成する単位基板11の間にはスリット12が設けられているが、これはモールド工程においてモールド樹脂の流入に伴う多数個取り基板8,9の歪みを緩和するものである。なお、本実施の形態1におけるマトリクス配置された多数個取り基板8,9とは、行と列のそれぞれの中に単位基板11を2つ以上有するものである。
【0028】
図6に示すように、単位基板11は、ダイボンディング工程において半導体チップが搭載される凹形状のチップ搭載部2と、チップ搭載部2と一体に形成されて、y軸方向に延びる2つの第3リード電極2Sと、チップ搭載部2と離れて形成されて、上記第3リード電極2Sが延びる方向と交差するx軸方向に延びる第1リード電極2Dおよび第2リード電極2Gなどを含んでいる。
【0029】
まず、半導体チップ3の主面と反対側の裏面と、多数個取り基板9(以下の説明では前述した多数個取り基板9を例示するが、これに代えて前述した多数個取り基板8を用いてもよい)のチップ搭載部2の底部表面とを対向させて、チップ搭載部2の底部の中央位置に半導体チップ3を搭載する(図3のダイボンディング工程P1)。半導体チップ3の裏面と多数個取り基板9のチップ搭載部2の底部表面との接合には、例えばAu/Sn共晶接合、ペースト状の接着剤(例えばAgペースト)を用いた接合、またはフィルム状の接着剤(DAF(Die Attach Film))を用いた接合などを用いることができる。
【0030】
次に、例えば熱圧着に超音波振動を併用したネイルヘッドボンディング(ボールボンディング)法により、半導体チップ3の主面に形成された第1パッド電極4Dと多数個取り基板9の第1リード電極2Dとを第1ワイヤ5Dで電気的に接続し、半導体チップ3の主面に形成された第2パッド電極4Gと多数個取り基板9の第2リード電極2Gとを第2ワイヤ5Gで電気的に接続し、半導体チップ3の主面に形成された第3パッド電極4Sと多数個取り基板9の第3リード電極2Sとを第3ワイヤ5Sで電気的に接続する(図3のワイヤボンディング工程P2)。ワイヤ(第1ワイヤ5D、第2ワイヤ5Gおよび第3ワイヤ5S)には、例えば15〜20μmφの金線を用いる。
【0031】
次に、図7に示す工程図に従って、チップ搭載部2、リード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)の一部、半導体チップ3、ワイヤ(第1ワイヤ5D、第2ワイヤ5Gおよび第3ワイヤ5S)を封止する封止体6を形成する(図3のモールド工程P3)。本実施の形態1では、上金型と下金型とを備える成形金型を用いて封止体6は形成されるが、上金型に設けられたゲート部から樹脂を注入するトップゲート方式により樹脂モールディングは行われる。
【0032】
まず、封止体6の形成に用いる成形金型(上金型および下金型)をブラッシングする(図7の工程S1)。図8に示すように、成形金型13は、下金型14と上金型15とを備えている。また、上金型15は、中間型15Mと、この中間型15Mよりもさらに上側に位置する上型15Uとを備えている。
【0033】
下金型14には、樹脂を押し出すプランジャ14aと、プランジャ14aが配置されたポット14bと、封止体6を形成するキャビティ部14cとが形成されており、金型クランプ時に下金型14によって中間型15Mを支持するため、中間型15Mを配置するためのオフセット加工が施されている。
【0034】
一方、上金型15の中間型15Mには、ゲート部15aが形成されている。成形金型13はトップゲート方式であるため、成形金型13に多数個取り基板9を配置した時に、ゲート部15aの樹脂流路15bの注入口15cが下金型14のキャビティ部14cの中央部に位置するように、ゲート部15aは形成されている。ゲート部15aの樹脂流路15bは、下金型14のキャビティ部14cの主面に向かうにつれて口径が小さくなるような円錐状に形成されている。注入口15cの直径は、例えばφ=0.3〜0.8mm程度である。
【0035】
また、上金型15の上型15Uには、複数のイジェクタピン15dが可動自在に設けられている。さらに、上型15Uの押圧面15eには、中間型15Mのゲート部15aの樹脂流路15bに連通するカル部15fやランナ部15gが形成されている。なお、トップゲート方式に用いられる樹脂成形金型に関しては、例えば倉冨らの日本国特許出願第2006−350480(2006.12.26出願)などに開示されている。
【0036】
次に、図9に示すように、半導体チップ3が搭載され、かつワイヤボンディング済みの多数個取り基板9を成形金型13の下金型14上に配置する基板セットを行う(図7の工程S2)。下金型14には、キャビティ面、およびキャビティ面を囲むように形成された側面からなる凹形状のキャビティ部14cが複数形成されており、キャビティ部14cの外側の周囲には、多数個取り基板9の主面の周縁部を押圧する押圧面14dを有している。ここでは、キャビティ部14cの外側の周囲に有する押圧面14dと、多数個取り基板9の主面の周縁部とを合わせることにより、下金型14に形成されたキャビティ部14c内にチップ搭載部2、半導体チップ3およびワイヤ(第1ワイヤ5D、第2ワイヤ5Gおよび第3ワイヤ5S)等が配置されるように、多数個取り基板9を下金型14上に配置する。また、搬送ブロック16の支持部16aによって保持されて搬送された多数個取り基板9を、下金型14の押圧面14d上に、位置決めピン14eによって位置決めして配置する。これにより、多数個取り基板9のチップ搭載部2は、凹形状を逆さまにした態様でキャビティ部14c内に配置されることになる。
【0037】
下金型14には、例えば図10に示すエアベントを有しないエアベントレス構造の下金型14Aを用いる。下金型14Aには、底面14fおよび底面14fの周りを囲むように形成された4つの側面14gから成るキャビティ部14cが形成され、さらに、多数個取り基板9の第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2Sを配置する溝部14hが、キャビティ部14cの4つの側面14gにそれぞれ繋がってキャビティ部14cの外側の周囲の押圧面14dに形成されている。金型クランプ時には、キャビティ部14cの外側の周囲の押圧面14dと多数個取り基板9の主面の周縁部とが密着するので、キャビティ部14c内の空気がキャビティ部14c内に留まり易くなっている。
【0038】
また、下金型には、例えば図11に示すエアベントを有するエアベント構造の下金型14Bを用いることもできる。下金型14Bには、前述の下金型14Aと同様に、底面14fおよび底面14fの周りを囲むように形成された4つの側面14gから成るキャビティ部14cが形成され、さらに、多数個取り基板9の第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2Sを配置する溝部14hが、キャビティ部14cの4つの側面14gにそれぞれ繋がってキャビティ部14cの外側の周囲の押圧面14dに形成されている。さらに、所定の長さのエアベント14iが、キャビティ部14cの4つのコーナ部のそれぞれから対角線上で外側に向かってキャビティ部14cの外側の周囲の押圧面14dに形成されている。エアベント14iを配置することにより、金型クランプ時に、キャビティ部14c内に残留する空気の量を制御することが可能となる。
【0039】
次に、図12に示すように、搬送ブロック16の支持部16aによって保持されて搬送され、かつ予め外部で150℃前後に加熱された中間型15Mを下金型14上に配置する。配置後、上型15U、中間型15Mおよび下金型14を所望の温度(例えば170〜180℃)に加熱する(本加熱)。すなわち、中間型15Mが170〜180℃に確実になるように、予め外部で150℃前後に予備加熱しておき、予熱状態の中間型15Mを下金型14上に配置する。
【0040】
上型15U、中間型15Mおよび下金型14を、例えば170〜180℃に本加熱した後、上型15Uと下金型14とでその間に中間型15Mを配置した状態で金型クランプする直前に、図13に示すように、タブレット搬送部17によってタブレット18を搬入し、下金型14のポット14b内にタブレット18を配置する。
【0041】
タブレット18の配置後、直ちに上型15Uと下金型14とで中間型15Mを挟んで金型クランプ(型締め)を行う(図7の工程S3)。これにより、図14に示すように、多数個取り基板9のチップ搭載部2は、凹形状を逆さまにした態様でキャビティ部14c内に配置される。クランプ圧力は、例えば588kNとすることができる。
【0042】
この状態で、図15に示すように、金型温度によって溶融した封止用樹脂19を成形金型13の下金型14のポット14b内に配置されたプランジャ14aによって押し出す。その後、プランジャ14aによって押し出された封止用樹脂19を、中間型15Mのゲート部15aの注入口15cを介して、下金型14のキャビティ部14c内へ注入する(図7の工程S4)。封止用樹脂19の最低溶融粘度は、例えば30Pa・sであり、封止用樹脂19の注入圧力は、例えば10MPaとすることができる。
【0043】
すなわち、金型温度で封止用樹脂19を溶融しながらプランジャ14aで封止用樹脂19を押し出し、さらに、上型15Uの押圧面15eに形成されたカル部15f、ランナ部15gおよび中間型15Mのゲート部15aの樹脂流路15bの注入口15cを介して下金型14のそれぞれのキャビティ部14c内に封止用樹脂19を充填していく。封止用樹脂19は、例えば熱硬化性で、かつ難燃性のハロゲンフリーレジンを用いる。
【0044】
これにより、図16に示すように、トップゲート方式を採用しているので、キャビティ部14c内にゲート部15aから注入された封止用樹脂19が、多数個取り基板9の裏面側から多数個取り基板9の主面側に向かって、キャビティ部14c内の空気を追いやるように流れる。さらに、多数個取り基板9のチップ搭載部2が凹形状を逆さまにした態様でキャビティ部14c内に配置されているので、封止用樹脂19に追われた空気層7は、多数個取り基板9のチップ搭載部2の内側へ追われて、ここに残存する。これにより、チップ搭載部2の底面に接合された半導体チップ3の周囲は空気層7により覆われる。
【0045】
例えば前述の図10に示したエアベントレス構造の下金型14Aを用いた場合では、キャビティ部14c内の空気を外部へ排除することができないので、金型クランプ時にキャビティ部14c内に閉じこめられた空気のほとんどをチップ搭載部2の内側に残存させることができて、半導体チップ3の周囲を空気層7で覆うことができる。また、例えば前述の図11に示したエアベント構造の下金型14Bを用いた場合であっても、キャビティ部14c内の空気の一部は外部へ排除されるが、金型クランンプ時にチップ搭載部2の内側に在った空気を、封止用樹脂19の注入時にチップ搭載部2の内側に残存させることができるので、半導体チップ3の周囲を空気層7で覆うことができる。
【0046】
下金型14のそれぞれのキャビティ部14c内に封止用樹脂19を充填した後、図17に示すように、封止用樹脂19を硬化させて封止体6を形成する。ここでは、例えば100秒程度そのまま放置し、成型金型13上で封止用樹脂19をプリキュア(仮硬化または半硬化)させる(図7の工程S5)。これにより、多数個取り基板9のチップ搭載部2の内側に空気層7からなる隙間が形成されて、半導体チップ3の主面および側面は接触しない封止体6が形成される。なお、封止体6の内部に搭載されている半導体チップ3の主面および側面には空気層7が残存しているが、外見上、封止体6の全体形状は、従来の封止体とは変わらず、1つの封止用樹脂19から構成されているので、これ以降の工程においては、従来の封止体と同様に扱うことができる。
【0047】
次に、図18に示すように、成形金型13を開放(型開き)する(図7の工程S6)。すなわち、カルレジン20およびランナレジン21に対してイジェクタピン15dを押し当てて上型15Uを上方に離型させ、これによって型開きを行う。
【0048】
次に、図19に示すように、封止用樹脂19(カルレジン20、ランナレジン21およびゲートレジン22)が半硬化の状態で、多数個取り基板9を中間型15Mごと上型15Uと下型14から取り出す。ここでは、搬送ブロック16の支持部16aによって中間型15Mを把持し、中間型15Mごと多数個取り基板9と封止用樹脂19を取り出す。
【0049】
さらに、取り出した中間型15M、多数個取り基板9および封止用樹脂19をブレイク用ステージ上に移載し、ブレイク用ステージ上で封止用樹脂19を完全硬化させる。すなわち、下金型14上では熱があるため封止用樹脂19を完全硬化させることはできない。封止用樹脂19が完全硬化していないと、ゲートブレイクもできない。従って、半硬化状態の封止用樹脂19を別のステージであるブレイク用ステージに移載することで封止用樹脂19を冷やすことができ、封止用樹脂19を完全硬化させることができる。これにより、ゲートブレイク時に、樹脂が分離し易くなる。
【0050】
封止用樹脂19を完全硬化させた後、ブレイク用ステージ上でゲートレジン22と封止体6の底面とを切断分離する。その際、ゲート部15aの内周面によって形成される樹脂流路15bに充填されたゲートレジン22をひねって回転させることにより、ゲート部15aの注入口15c付近でゲートレジン22と封止体6の底面とを切断分離する。
【0051】
次に、中間型15M上に残存するカルレンジ20、ランナレジン21およびゲートレジン22を除去した後、図20に示すように、中間型15Mで摺動する複数の離型ピン23によって多数個取り基板9を押圧して中間型15Mと封止体6とを離型する(図7の工程S7)。すなわち、ブレイク用ステージ24上で、成形金型13の中間型15Mに組み込まれた複数の離型ピン23によって多数個取り基板9を押圧して中間型15Mを多数個取り基板9および封止体6から離型させる。その際多数個取り基板9はブレイク用ステージ24上で位置決めピン24aによって位置決めされている。
【0052】
その後、搬送ブロック16の支持部16aによって中間型15Mを支持して中間型15Mを待機位置に戻してトップゲート方式による樹脂モールディングが完了する。
【0053】
次に、余分な樹脂およびバリを取り除く(図3のバリ取り工程P4)。この後、実装基板に搭載した際、実装基板の電極と半導体装置1のリード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)との間に設けられる半田材(鉛フリー半田材を含む)の濡れ性が向上するように、半導体装置1のリード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)の表面(封止体6から露出した表面)に外装メッキを行う必要がある。しかし、本実施の形態1に示す半導体装置1は、半導体チップ3の周辺(主面)が空気で覆われている構造(封止体6が接触していない構造)のため,腐食やマイグレーションにより,製品特性に悪影響を与えやすい特徴を持っている。このマイグレーションを引き起こす要因は,大量に水を使用するメッキ工程により発生する。
【0054】
そこで、半導体装置1の信頼性を向上するためには、半導体チップ3を実装し、封止体6を形成した後には、このようなメッキ工程を使用しないことが好ましい。そこで、フレーム加工の段階でメッキ工程により外装メッキを施しておく、所謂、先付けメッキが望ましい。なお、メッキの種類としては、耐食性にも優れ,マイグレーションを起しにくい金や金パラジウム合金等が望ましい。
【0055】
続いて、多数個取り基板9の第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2Sを切断することにより、QFN(Quad Flat Non-leaded Package:リードがパッケージの4側面から取り出されたパッケージ)構造の半導体装置1が完成する(図3のリードカット工程P5)。
【0056】
次に、外観検査において外観不良と判断された半導体装置1を取り除いた後(図3の選別工程P6)、キャリアテープに予め形成されている窪みに半導体装置1を収納する(図3のテーピング工程P7)。続いて、キャリアテープをリールに巻き取り、防湿された袋にリールを収納し(図3の梱包工程P8)、この状態で出荷する。
【0057】
このように、本実施の形態1によれば、チップ搭載部2の内部に搭載された半導体チップ3の主面および側面は、誘電率の低い空気層により覆われているので、半導体チップ3の寄生容量を低減することができる。これにより、半導体チップ3に形成された高周波向けの半導体素子、例えば高周波パワーMISトランジスタがノイズの影響を受け難くなり、半導体装置1の電気的特性が向上する。また、封止体6は1つの部材(封止用樹脂19)から構成されているので、例えばモールド工程後の工程において熱処理が施されても、封止体6は壊れにくく高い信頼性を確保することができる。その結果、信頼性を低下させることなく、半導体装置1の電気的特性の向上を図ることができる。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態2による半導体装置は、前述した実施の形態1と同様であり、チップ搭載部の内側に搭載された半導体チップの主面および側面を、誘電率の低い空気層により覆い、さらにその空気層を樹脂により覆うことで、半導体チップの寄生容量を低減するものであるが、その製造方法が前述した実施の形態1の半導体装置の製造方法と相違する。
【0059】
本実施の形態2による半導体装置の製造方法を図21〜図24を用いて工程順に説明する。図21は半導体装置の製造方法の全体工程の流れを説明する工程図、図22〜図24は半導体装置の製造方法の一例を示す部分断面図である。
【0060】
まず、単位基板が複数形成された多数個取り基板を準備する。ここでの単位基板は、例えば前述した実施の形態1の図6に示した単位基板11であって、半導体チップが搭載される凹形状のチップ搭載部2と、チップ搭載部2と一体に形成されて、y軸方向に延びる2つの第3リード電極2Sと、チップ搭載部2と離れて形成されて、上記第3リード電極2Sが延びる方向と交差するx軸方向に延びる第1リード電極2Dおよび第2リード電極2Gなどを含んでいる。さらに、チップ搭載部2は、底部と、この底部を囲むように形成された側壁部を有する凹形状を有している。
【0061】
次に、単位基板11が複数形成された多数個取り基板のチップ搭載部2の底部の中央位置に半導体チップ3を搭載した後(図21のダイボンディング工程P1)、半導体チップ3の主面に形成されたパッド電極(第1パッド電極4D、第2パッド電極4Gおよび第3パッド電極4S)と多数個取り基板の主面に形成されたリード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)とをワイヤ(第1ワイヤ5D、第2ワイヤ5Gおよび第3ワイヤ5S)で電気的に接続する(図21のワイヤボンディング工程P2)。なお、ダイボンディング工程およびワイヤボンディング工程における製造過程は、前述した実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0062】
次に、図22に示すように、半導体チップ3が搭載され、かつワイヤボンディング済みの多数個取り基板を、多数個取り基板のチップ搭載部2の凹形状を逆さまにした態様、すなわち、チップ搭載部2の底部を上に、開口部を下にして、液状レジン25に浸す(図21のキャスティング工程P3)。このとき、多数個取り基板の全体を液状レジン25に浸すのではなく、チップ搭載部2の底面に接合されている半導体チップ3は浸さず、かつチップ搭載部2の側壁部の上部が液状レジン25に浸るように、多数個取り基板を液状レジン25に浸す。従って、半導体チップ3の主面および側面は液状レジン25とは接触せずに、空気層26に覆われている。液状レジン25は、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等であり、その室温での粘度は、例えば3〜9Pa・s程度である。
【0063】
次に、図23に示すように、液状レジン25から多数個取り基板を引き上げて、チップ搭載部2の上部に液状レジン25からなるレジン膜からなるキャップ25aを形成する。このとき、キャップ25aは、表面張力により、チップ搭載部2の外側に向かって凸形状となり、チップ搭載部2の底面に接合されている半導体チップ3を覆う空気層26は、形成されたキャップ25aと、チップ搭載部2の底面および側壁部とで囲まれた領域に閉じこめられる。続いて、多数個取り基板9に、例えば150℃の熱処理を施すことにより、キャップ25aを固める(図21のキュア工程P4)。固められたキャップ25aの厚さは、例えば0.1mm程度である。これにより、半導体チップ3の主面および側面が空気層26で覆われた状態を保持することができる。
【0064】
次に、図24に示すように、チップ搭載部2、リード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)、半導体チップ3、ワイヤ(第1ワイヤ5D、第2ワイヤ5Gおよび第3ワイヤ5S)を封止する封止体27を形成する(図21のモールド工程P5)。この封止体27は、例えば前述した本実施の形態1において説明した前述の成形金型13を用いて、前述の図7に示したモールド工程の流れを説明する工程図に従って形成することができる。封止体27の素材である封止用樹脂は、例えば30Pa・sの最低溶融粘度を有しており、例えば170℃の熱処理により硬化させることができる。
【0065】
ところで、本実施の形態2のモールド工程における製造過程は、前述した実施の形態1と同様であることから、その説明を省略するが、すでに多数個取り基板のチップ搭載部の内側には、キャップ25aにより空気層26が閉じこめられているので、前述した実施の形態1で示したモールド工程において空気層7を形成する必要がない。従って、本実施の形態2では、前述した実施の形態1で示したモールド工程のように、多数個取り基板のチップ搭載部2を、凹形状を逆さまにした態様でキャビティ内に配置させる必要はない。また、キャビティ内に封止体27の素材である封止用樹脂を注入する際には、キャビティ部の内部から空気を排除することによってキャビティ部の内部におけるボイドの発生を防ぐことが望ましいので、下金型または上金型にエアベントを有する構造の成形金型を使用することが望ましい。
【0066】
次に、余分な樹脂およびバリを取り除く(図21のバリ取り工程P6)。この後、半導体装置1のリード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)の表面(封止体6から露出した表面)に外装メッキを行う必要がある。しかし、前述の実施の形態1で説明したように、半導体装置1の信頼性を向上するためには、フレーム加工の段階でメッキ工程により外装メッキを施しておく、所謂、先付けメッキが望ましい。
【0067】
続いて、多数個取り基板のリード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)を切断することにより、QFP(Quad Flat Package:リードがパッケージの4側面から取り出され、かつパッケージの外側でガルウイング型に屈曲成形されたパッケージ)構造の半導体装置1Aが完成する(図21のリードカット工程P7)。
【0068】
次に、外観検査において外観不良と判断された半導体装置1Aを取り除いた後(図21の選別工程P8)、キャリアテープに予め形成されている窪みに半導体装置1Aを収納する(図21のテーピング工程P9)。続いて、キャリアテープをリールに巻き取り、防湿された袋にリールを収納し(図21の梱包工程P10)、この状態で出荷する。
【0069】
なお、本実施の形態2では、QFP構造の半導体装置を製造方法の一例を示したが、QFN構造の半導体装置を製造することもできる。図25に、QFN構造の半導体装置の一例を説明する要部断面図を示す。QFNは、QFPよりもリード電極の長さを短くすることができるので、QFN構造を採用することにより、高周波モジュールに必要とされる高速化(耐ノイズ性)の点でQFP構造の半導体装置1Aよりも優れた半導体装置1Bを得ることができる。
【0070】
このように、本実施の形態2によれば、前述した実施の形態1と同様に、チップ搭載部2の内側に搭載された半導体チップ3の主面および側面は、誘電率の低い空気層により覆われているので、半導体チップ3の寄生容量を低減することができる。これにより、半導体チップ3に形成された高周波向けの半導体素子、例えば高周波パワーMISトランジスタがノイズの影響を受け難くなり、半導体装置1A,1Bの電気的特性が向上する。
【0071】
(実施の形態3)
本実施の形態3による半導体装置は、前述した実施の形態1または実施の形態2と同様であり、チップ搭載部の内側に搭載された半導体チップの主面および側面を、誘電率の低い空気層により覆い、さらにその空気層を樹脂により覆うことで、半導体チップの寄生容量を低減するものであるが、その製造方法が前述した実施の形態1または実施の形態2の半導体装置の製造方法と相違する。
【0072】
本実施の形態3による半導体装置の製造方法を図26〜図28を用いて工程順に説明する。図26は半導体装置の製造方法の全体工程の流れを説明する工程図、図27および図28は半導体装置の製造方法の一例を示す部分断面図である。
【0073】
まず、単位基板が複数形成された多数個取り基板を準備する。ここでの単位基板は、例えば前述した実施の形態1の図6に示した単位基板11であって、半導体チップが搭載される凹形状のチップ搭載部2と、チップ搭載部2と一体に形成されて、y軸方向に延びる2つの第3リード電極2Sと、チップ搭載部2と離れて形成されて、上記第3リード電極2Sが延びる方向と交差するx軸方向に延びる第1リード電極2Dおよび第2リード電極2Gなどを含んでいる。さらに、チップ搭載部2は、底部と、この底部を囲むように形成された側壁部を有する凹形状を有している。
【0074】
次に、単位基板11が複数形成された多数個取り基板のチップ搭載部2の底部の中央位置に半導体チップ3を搭載した後(図26のダイボンディング工程P1)、半導体チップ3の主面に形成されたパッド電極(第1パッド電極4D、第2パッド電極4Gおよび第3パッド電極4S)と多数個取り基板の主面に形成されたリード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)とをワイヤ(第1ワイヤ5D、第2ワイヤ5Gおよび第3ワイヤ5S)で電気的に接続する(図26のワイヤボンディング工程P2)。なお、ダイボンディング工程およびワイヤボンディング工程における製造過程は、前述した実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0075】
次に、図27に示すように、キャビティ面、およびキャビティ面を囲むように形成された側面からなる凹形状のキャビティ部を備え、キャビティ部の内部に液状レジン29が供給された金型28を準備する。続いて、半導体チップ3が搭載され、かつワイヤボンディング済みの多数個取り基板を、多数個取り基板のチップ搭載部2の凹形状を逆さまにした態様、すなわち、チップ搭載部2の底部を上に、開口部を下にして、金型28に形成されたキャビティ部の内部に満たした液状レジン29に浸す(図26のキャスティング工程P3)。液状レジン29は、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等であり、その室温での粘度は、例えば3〜9Pa・s程度である。なお、金型28に形成されたキャビティ部の構造が、完成した半導体装置の構造(半導体パッケージの構造)となる。
【0076】
このとき、リード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)の裏面は液状レジン29に浸さないようにする。多数個取り基板のチップ搭載部2が凹形状を逆さまにした態様で液状レジン29に浸されるので、チップ搭載部2内の空気はそのままチップ搭載部2の内側に留まり、チップ搭載部2の底面に接合された半導体チップ3の周囲は空気層30により覆われる。従って、半導体チップ3の主面および側面は液状レジン29とは接触せずに、空気層30に覆われている。
【0077】
次に、図28に示すように、金型28のキャビティ部の内部の液状レジン29に、リード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)の裏面以外の部位を浸した状態で、例えば150℃の熱処理を施すことにより、液状レジン29を固めて、リード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)の裏面以外の部位を封止する封止体31を形成する(図26のキュア工程P4)。その後、金型28と、封止体31とを離型する。
【0078】
次に、余分な樹脂およびバリを取り除く(図26のバリ取り工程P5)。この後、半導体装置1Cのリード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)の表面(封止体31から露出した表面)に外装メッキを行う必要がある。しかし、前述の実施の形態1で説明したように、半導体装置1Cの信頼性を向上するためには、フレーム加工の段階でメッキ工程により外装メッキを施しておく、所謂、先付けメッキが望ましい。
【0079】
続いて、多数個取り基板のリード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)を切断することにより、QFN構造の半導体装置1Cが完成する(図26のリードカット工程P6)。
【0080】
次に、外観検査において外観不良と判断された半導体装置1Cを取り除いた後(図26の選別工程P7)、キャリアテープに予め形成されている窪みに半導体装置1Cを収納する(図26のテーピング工程P8)。続いて、キャリアテープをリールに巻き取り、防湿された袋にリールを収納し(図26の梱包工程P19)、この状態で出荷する。
【0081】
なお、本実施の形態3では、QFN構造の半導体装置を製造方法の一例を示したが、QFP構造またはSOP(Small Outline Package:リードがパッケージの2側面から取り出され、かつパッケージの外側でガルウイング型に屈曲成形されたパッケージ)構造の半導体装置を製造することもできる。本実施の形態3で説明した半導体装置の製造方法では、液状レジン29に、チップ搭載部2、リード電極(第1リード電極2D、第2リード電極2Gおよび第3リード電極2S)の裏面以外の部位、半導体チップ3、ワイヤ(第1ワイヤ5D、第2ワイヤ5Gおよび第3ワイヤ5S)を浸して封止体31を形成するため、封止体31の実装面(裏面)31aに液状レジン29の液面が反映される。その結果、封止体31の実装面31aの平坦性が、例えば前述した実施の形態1または実施の形態2で説明した成型金型を用いて形成される封止体6の実装面の平坦性よりも劣ることが考えられる。このため、本実施の形態3による半導体装置1Cは、QFN構造よりも、QFP構造またはSOG構造の半導体装置への適用が有用であると考えられる。
【0082】
このように、本実施の形態3によれば、前述した実施の形態1と同様に、チップ搭載部2の内側に搭載された半導体チップ3の主面および側面は、誘電率の低い空気層により覆われているので、半導体チップ3の寄生容量を低減することができる。これにより、半導体チップ3に形成された高周波向けの半導体素子、例えば高周波パワーMISトランジスタがノイズの影響を受け難くなり、半導体装置1Cの電気的特性が向上する。また、封止体31は1つの部材(液状レジン29)から構成されているので、例えばモールド工程後の工程において熱処理が施されても、封止体31は壊れにくく高い信頼性を確保することができる。その結果、信頼性を低下させることなく、半導体装置1Cの電気的特性の向上を図ることができる。
【0083】
また、前述した実施の形態2におけるモールド工程では、液状レジン25からなるキャップ25aを形成する工程と、封止体27を形成する工程との2つの工程が必要であるが、本実施の形態3では1つの工程により封止体31が形成できるので、前述した実施の形態2よりもモールド工程のTAT(Turn Around Time)が短くなる。
【0084】
(実施の形態4)
本実施の形態4による半導体装置は、半導体チップの主面上の周縁部に絶縁体からなる壁を形成し、半導体チップの主面を配線基板に向けて、バンプを介して配線基板上に半導体チップを搭載することにより(フェイスダウン実装方式)、半導体チップの主面を上記壁および上記配線基板に囲まれた領域内の誘電率の低い空気層と接触させることで、半導体チップの寄生容量を低減するものである。
【0085】
本実施の形態4による高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置の第1例を図29および図30を用いて説明する。図29(a)、(b)および(c)はそれぞれ半導体装置の上面図、側面図および底面図であり、図30は図29(a)のH−H′線における要部断面図である。
【0086】
図29および図30に示すように、半導体装置41は、半導体チップ42と、半導体チップ42の主面(回路形成面)上に形成された複数のAu/Snバンプ43と、Au/Snバンプ43を介して半導体チップ42が接続された配線基板44と、半導体チップ42と配線基板44との間を封止するように、半導体チップ42の外周に形成された絶縁体からなるシール45と、配線基板44を挟んでAu/Snバンプ43と対向して設けられた半田バンプ46等とを有するパッケージ構造となっている。
【0087】
半導体チップ42は、その厚さ方向と交差する平面形状が、例えば四角形になっている。半導体チップ42の主面には高周波向けの半導体素子、例えば高周波パワーMISトランジスタが形成されており、高周波パワーMISトランジスタのドレインと電気的に接続された1つの第1パッド電極(ドレイン電極)、高周波パワーMISトランジスタのゲートと電気的に接続された1つの第2パッド電極(ゲート電極)および高周波パワーMISトランジスタのソースと電気的に接続された2つの第3パッド電極(ソース電極)が表面保護膜から露出して形成されている。
【0088】
配線基板44は、その厚さ方向と交差する平面形状が、例えば四角形になっている。配線基板44は、これに限定されないが、主にコア材と、このコア材の主面を覆うようにして形成された保護膜と、このコア材の主面と反対側に位置する裏面を覆うようにして形成された保護膜とを有する構成となっており、コア材は、例えばその主面、裏面および内面に配線を有する多層配線構造になっている。
【0089】
配線基板44の主面44aには、4つの表面電極48が配置されている。これら表面電極48は、半導体チップ42の主面に形成された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極と対向する位置に、それぞれ配置されている。また、これら表面電極48は、配線基板44のコア材に形成された複数の最上層配線のそれぞれの一部分で構成され、コア材の主面上に保護膜から露出して形成されている。
【0090】
配線基板44の裏面44bには、4つの裏面電極49が配置されている。これら裏面電極49は、配線基板44のコア材に形成された複数の最下層配線のそれぞれの一部分で構成され、コア材の裏面上に保護膜から露出して配置されている。コア材に形成された複数の最上層配線と複数の最下層配線とは、コア材を貫通する複数の貫通孔50の内部に形成されるAuめっき膜51によってそれぞれ電気的に接続されている。配線基板44の裏面44bに形成された複数の裏面電極49には、それぞれ半田バンプ46が電気的にかつ機械的に接続されている。半田バンプ46としては、鉛を実質的に含まない鉛フリー半田組成の半田バンプが用いられる。
【0091】
半導体チップ42は、その主面が配線基板44へ向くように配置されている。半導体チップ42の主面に形成された第1、第2および第3パッド電極はそれぞれAu/Snバンプ43を介して、配線基板44の主面44aに形成された表面電極48と電気的に接続されている。さらに、半導体チップ42の周縁部には、半導体チップ42と配線基板44との間を封止するように、絶縁体からなるシール45が設けられており、このシール45と、配線基板44の主面とで囲まれた領域には空気が閉じこめられている。すなわち、半導体チップ42の主面が、このシール45と、配線基板44の主面44aとで囲まれた領域に面しており、半導体チップ42の主面は誘電率の低い空気層52と接触している。
【0092】
本実施の形態4による高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置の第2例を図31および図32を用いて説明する。図31(a)、(b)および(c)はそれぞれ半導体装置の上面図、側面図および底面図であり、図32は図31(a)のI−I′線における要部断面図である。
【0093】
図31および図32に示すように、半導体装置53は、半導体チップ54と、半導体チップ54の主面(回路形成面)上の周囲に配置された異方性導電フィルム55と、異方性導電フィルム55を介して半導体チップ54が接続された配線基板56等とを有するパッケージ構造となっている。
【0094】
半導体チップ54および配線基板56は、それぞれ前述した半導体チップ42および配線基板44と同様であるため、その説明を省略するが、半導体チップ54の主面に形成された第1、第2および第3パッド電極の表面には、所定の厚さのAuめっき層58が形成されている。
【0095】
配線基板56の主面56aには、4つの表面電極が配置されている。これら表面電極は、半導体チップ54の主面に形成された第1、第2および第3パッド電極と対向する位置にそれぞれ配置されている。また、これら表面電極は、配線基板56のコア材に形成された複数の最上層配線のそれぞれの一部分で構成され、コア材の主面上に保護膜から露出して形成されている電極上に形成されており、さらに、これら表面電極の表面には所定の厚さのAuめっき層59が形成されている。
【0096】
配線基板56の裏面56bには、4つの裏面電極が配置されている。これら裏面電極は、配線基板56のコア材に形成された複数の最下層配線のそれぞれの一部分で構成され、コア材の裏面上に保護膜から露出して配置されている。さらに、これら裏面パッド電極の表面には所定の厚さのAuめっき層61が形成されている。コア材に形成された複数の最上層配線と複数の最下層配線とは、コア材を貫通する複数の貫通孔の内部に形成されるAuめっき膜によってそれぞれ電気的に接続されている。
【0097】
半導体チップ54は、その主面が配線基板56へ向くように配置されている。半導体チップ54の主面に形成された第1パッド電極(実際には、第1パッド電極の表面に形成されたAuめっき層58)、第2パッド電極(実際には、第2パッド電極の表面に形成されたAuめっき層58)および第3パッド電極(実際には、第3パッド電極の表面に形成されたAuめっき層58)は、それぞれ異方性導電フィルム55を介して、配線基板56の主面に形成された表面電極(実際には、表面電極の表面に形成されたAuめっき層59)と電気的に接続されている。
【0098】
異方性導電フィルム55は、半導体チップ54の主面に配置された第1、第2および第3パッド電極(実際には、第1、第2および第3パッド電極の表面に形成されたAuめっき層58)を全て覆うように、半導体チップ54の主面の周囲に形成されている。異方性導電フィルム55は、熱硬化性樹脂に導電性を持つ微細な金属粒子を混ぜ合わせて成型したフィルムである。半導体チップ54の主面上のAuめっき層58と配線基板56の主面上のAuめっき層59との間に異方性導電フィルム55を挟み、熱をかけながら加圧すると、圧力がかかった部分において(半導体チップ54の主面上のAuめっき層58と配線基板56の主面上のAuめっき層59との間)、異方性導電フィルム55内に分散していた金属粒子が接触しながら重なり、押し付けられることで金属粒子の表面の絶縁層が剥がれて金属粒子同士が引き合うことで導電する経路が形成される。圧力がかからなかった部分にある金属粒子は絶縁層を保持しているので、横に位置するAuめっき層58,59間の絶縁は保持される。
【0099】
半導体チップ54の周縁部に設けられた異方性導電フィルム55、半導体チップ54の主面に形成されたAuめっき層58および配線基板56の主面に形成されたAuめっき層59により囲まれた領域には空気が閉じこめられている。すなわち、半導体チップ54の主面が、この異方性導電フィルム55と、配線基板56の主面とで囲まれた領域に面しており、半導体チップ54の主面は誘電率の低い空気層64と接触している。
【0100】
このように、本実施の形態4による半導体装置41では、フェイスダウン実装方式により、半導体チップ42の主面と配線基板44の主面44aとを向かい合わせて実装し、かつ両者の間にAu/Snバンプ43を形成し、さらに半導体チップ43の周縁部に、半導体チップ42と配線基板44との間を封止するシール45を形成することにより、半導体チップ42の主面を誘電率の低い空気層52により覆っている。また、本実施の形態4による半導体装置53では、フェイスダウン実装方式により、半導体チップ54の主面と配線基板56の主面56aとを向かい合わせて実装し、かつ両者の間の一部に異方性導電フィルム55を挟むことにより、半導体チップ54の主面を誘電率の低い空気層64により覆っている。これにより、半導体チップ42,54の寄生容量を低減することができるので、半導体チップ42,54に形成された高周波向けの半導体素子、例えば高周波パワーMISトランジスタがノイズの影響を受け難くなり、半導体装置41,53の電気的特性が向上する。
【0101】
次に、本実施の形態4による半導体装置41(第1例の半導体装置)の製造方法を図33に示す全体工程の流れを説明する工程図を用いて説明する。
【0102】
まず、配線基板44がマトリックス状に配列された基板を準備する。基板の長手方向を列とし、この列の方向と直交する方向を行とすると、単位フレームである配線基板44が複数行複数列に配置された構成となっている。続いて、各々の配線基板44の主面上の所定の位置に、Auバンプ43を介して半導体チップ42をAu/Sn共晶接合により固定する(図33のダイボンディング工程P1)。ここでは、半導体チップ42の主面が下方を向き、裏面が上方を向くように、半導体チップ42は搭載されて、半導体チップ42の主面に形成された第1、第2および第3パッド電極と、配線基板44の主面に形成された表面電極48とがそれぞれAuバンプ43を介して電気的に接合される。
【0103】
次に、半導体チップ42と配線基板44との間の半導体チップ42の周縁部にシール45を形成する(図33のシール工程P2)。シール45は、例えば液状レジンを用いることができる。液状レジンは、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等であり、その室温での粘性は、例えば100〜150Pa・s程度である。続いて、例えば150℃の熱処理を施すことにより、シール45を固める(図33のキュア工程P3)。
【0104】
次に、配線基板44の裏面に露出する裏面電極49に半田バンプ46を接続した後、配線基板44がマトリックス状に配列された基板から1個1個の半導体装置41に切り分ける(図33の個片切断工程P4)。続いて、外観検査において外観不良と判断された半導体装置41を取り除いた後(図33の選別工程P5)、キャリアテープに予め形成されている窪みに半導体装置41を収納する(図33のテーピング工程P6)。続いて、キャリアテープをリールに巻き取り、防湿された袋にリールを収納し(図33の梱包工程P7)、この状態で出荷する。
【0105】
次に、本実施の形態4による半導体装置53(第2例の半導体装置)の製造方法を図34に示す全体工程の流れを説明する工程図を用いて説明する。
【0106】
まず、配線基板56がマトリックス状に配列された基板を準備する。基板の長手方向を列とし、この列の方向と直交する方向を行とすると、単位フレームである配線基板56が複数行複数列に配置された構成となっている。また、配線基板56の主面に形成された表面電極の表面には所定の厚さのAuめっき層59が形成され、配線基板56の裏面に形成された裏面電極の表面には所定の厚さのAuめっき層61が形成されている。続いて、各々の配線基板56の主面上の所定の位置に異方性導電フィルム55を配置し、この異方性導電フィルム55を介して半導体チップ54を接着する(図34のダイボンディング工程+シール工程P1)。接着温度は、例えば180℃であり、接着圧力は、例えば3MPaである。ここでは、半導体チップ54の主面が下方を向き、裏面が上方を向くように、半導体チップ54は搭載されて、半導体チップ54の主面に形成された第1、第2および第3パッド電極(実際には、第1、第2および第3パッド電極の表面に形成されたAuめっき層58)と、配線基板56の主面に形成された表面電極(実際には表面電極の表面に形成されたAuめっき層59)とがそれぞれ異方性導電フィルム55を介して電気的に接合される。
【0107】
次に、配線基板56がマトリックス状に配列された基板から1個1個の半導体装置53に切り分ける(図34の個片切断工程P2)。続いて、外観検査において外観不良と判断された半導体装置53を取り除いた後(図34の選別工程P3)、キャリアテープに予め形成されている窪みに半導体装置53を収納する(図34のテーピング工程P4)。続いて、キャリアテープをリールに巻き取り、防湿された袋にリールを収納し(図34の梱包工程P5)、この状態で出荷する。
【0108】
(実施の形態5)
本実施の形態5による半導体装置は、半導体チップの周囲に、半導体チップの主面および側面から所定の間隔を設けてキャップを設置し、半導体チップの主面および側面を上記キャップに囲まれた領域内の誘電率の低い空気層と接触させることで、半導体チップの寄生容量を低減するものである。
【0109】
本実施の形態5による高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置の第1例を図35〜図38を用いて説明する。第1例である半導体装置は、半導体チップの主面を配線基板と反対側に向けて、配線基板上に半導体チップが搭載されたフェイスアップ実装方式を採用している。図35は半導体装置の要部平面図、図36は半導体装置の斜視図、図37は図36のJ−J′線における要部断面図、図38は半導体装置に搭載される半導体チップの主面に形成されたパッド電極の配置例を示す要部平面図である。
【0110】
図35〜図37に示すように、半導体装置65は、チップ搭載部66と、外縁部に設けられた第1リード電極(ドレイン用リード)67Dと、外縁部にチップ搭載部66を挟んで第1リード電極67Dと対向して設けられた第2リード電極(ゲート用リード)67Gと、第1リード電極67Dと第2リード電極67Gとの間に配置され、チップ搭載部66と一体に形成されて外縁部まで延びる第3リード電極(ソース用リード)67Sと、チップ搭載部66の中央位置にダイボンド材を介して接合された半導体チップ68と、半導体チップ68の主面に形成されたドレイン用の第1パッド電極69Dと電気的に接続する第1電極70Dと、半導体チップ68の主面に形成されたゲート用の第2パッド電極69Gと電気的に接続する第2電極70Gと、半導体チップ68の主面に形成されたソース用の第3パッド電極(図示は省略)と電気的に接続する第3電極70Sと、第1電極70Dと第1リード電極67Dとを電気的に接続する第1ワイヤ71Dと、第2電極70Gと第2リード電極67Gとを電気的に接続する第2ワイヤ71Gと、第3電極70Sと第3リード電極67Sとを電気的に接続する第3ワイヤ71Sと、半導体チップ68の主面および側面から所定の間隔を設けて、半導体チップ68の主面および側面を囲むように配置された絶縁体からなる凹形状を上下反転した形状のキャップ(カバーケース)72と、キャップ72をチップ搭載部66に固定するシール(接合材)73と、リード電極(第1リード電極67D、第2リード電極67Gおよび第3リード電極67S)の一部、半導体チップ68、ワイヤ(第1ワイヤ71D、第2ワイヤ71Gおよび第3ワイヤ71S)およびキャップ72等を封止する封止体74により構成されている。
【0111】
半導体チップ68は、その厚さ方向と交差する平面形状が、例えば四角形になっており、その一辺の寸法は、例えば0.3mm程度である。半導体チップ68には、高周波パワーMISトランジスタが形成されており、図38に示すように、半導体チップ68の主面には、高周波パワーMISトランジスタのドレインと電気的に接続された第1パッド電極69Dと、高周波パワーMISトランジスタのゲートと電気的に接続された第2パッド電極69Gと、高周波パワーMISトランジスタのソースと電気的に接続された第3パッド電極69Sとが、保護膜から露出して形成されている。ソース用パッドである第3パッド電極69Sが半導体チップ68の主面の中央部分を一方向に延びて形成されており、第3パッド電極69Sの両脇に、ドレイン用パッドである第1パッド電極69Dと、ゲート用パッドである第2パッド電極69Gとが配置されている。
【0112】
半導体チップ68の主面と反対側の裏面にチップ搭載部66の表面を対向させて、チップ搭載部66に半導体チップ68が接合されている。半導体チップ68の主面に形成された第1パッド電極69Dに接続する第1電極70Dの上部は、キャップ72に開口した穴から外側へ突出し、その突出した第1電極70Dの上部と、第1リード電極67Dとが第1ワイヤ71Dにより電気的に接続されている。同様に、第2パッド電極69Gに接続する第2電極70Gの上部は、キャップ72に開口した穴から外側は突出し、その突出した第2電極70Gの上部と、第2リード電極67Gとが第2ワイヤ71Gにより電気的に接続され、第3パッド電極69Sに接続する第3電極70Sの上部は、キャップ72に開口した穴から外側へ突出し、その突出した第3電極70Sの上部と、第3リード電極67Sとが第3ワイヤ71Sにより電気的に接続されている。
【0113】
半導体チップ68の主面および側面は、所定の間隔を設けてキャップ72により覆われており、半導体チップ68とキャップ72との間には空気層75が封止されている。すなわち、半導体チップ68の主面および側面は空気層75に覆われており、キャップ72とは接触していない。
【0114】
封止体74の素材は樹脂、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等である。封止体74の平面の外形は四角形であり、封止体74の4側面の外縁部から第1の方向に1つの第1リード電極67D、第1の方向と反対の方向に1つの第2リード電極67S、第1の方向と直交する第2の方向に1つの第3リード電極67G、第2の方向と反対の方向に1つの第3リード電極67Sが突出している。
【0115】
本実施の形態5による高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置の第2例を図39を用いて説明する。第2例である半導体装置は、半導体チップの主面を配線基板側に向けて、配線基板上に半導体チップが搭載されたフェイスダウン実装方式を採用している。図39は半導体装置の要部断面図である。
【0116】
図39に示すように、半導体装置76は、半導体チップ78と、半導体チップ78の主面に形成されたドレイン用の第1パッド電極79Dと電気的に接続する第1電極80Dと、半導体チップ78の主面に形成されたゲート用の第2パッド電極79Gと電気的に接続する第2電極80Gと、半導体チップ78の主面に形成されたソース用の第3パッド電極(図示は省略)と電気的に接続する第3電極(図示は省略)と、電極(第1電極80D、第2電極80Gおよび第3電極)を介して半導体チップ78が接続された配線基板77と、半導体チップ78の主面および側面から所定の間隔を設けて配置された絶縁体からなる第1キャップ81aと、半導体チップ78の裏面から所定の間隔を設けて配置され、第1キャップ81aの内側を閉じる絶縁体からなる第2キャップ81bと、配線基板77を挟んで電極(第1電極80D、第2電極80Gおよび第3電極)と対向して設けられた半田バンプ82と、第1キャップ81aおよび第2キャップ81b等の外側を封止する封止体83により構成されている。
【0117】
半導体チップ78は、その主面が配線基板77へ向くように配置されている。半導体チップ78の主面に形成された第1パッド電極79Dに接続する第1電極80Dは、第1キャップ81aに開口した穴から外側へ突出し、その突出した第1電極80Dの上部と、配線基板77の主面に形成された第1表面電極77Dとが電気的に接続されている。同様に、第2パッド電極79Gに接続する第2電極80Gは、第1キャップ81aに開口した穴から外側へ突出し、その突出した第2電極80Gの上部と、配線基板77の主面に形成された第2表面電極77Gとが電気的に接続され、第3パッド電極79Sに接続する第3電極の上部は、第1キャップ81aに開口した穴から外側へ突出し、その突出した第3電極の上部と、配線基板77の主面に形成された第3表面電極とが電気的に接続されている。
【0118】
半導体チップ78は、前述した半導体チップ68と同様であり、高周波パワーMISトランジスタが形成されている。半導体チップ78の主面および側面は、所定の間隔を設けて第1キャップ81aにより囲まれ、半導体チップ78の裏面は、所定の間隔を設けて第2キャップ81bにより囲まれており、第1キャップ81aと第2キャップ81bとが接着されることにより、半導体チップ78の主面、裏面および側面が第1キャップ81aおよび第2キャップ81bにより囲まれる。半導体チップ78と第1キャップ81aまたは第2キャップ81bとの隙間には空気層84が封止されている。すなわち、半導体チップ78は空気層84に覆われており、第1キャップ81aおよび第2キャップ81bとは接触していない。
【0119】
封止体83の素材は樹脂、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等である。封止体83の平面の外形は四角形であり、第1キャップ81aおよび第2キャップ81bの外側を封止して、配線基板77の表面上に形成されている。
【0120】
このように、本実施の形態5による半導体装置65では、フェイスアップ実装方式により、半導体チップ68をチップ搭載部66に実装し、半導体チップ68から所定の間隔を設けて半導体チップ68の主面および側面をキャップ72により囲むことにより、半導体チップ68の主面を誘電率の低い空気層75により覆っている。また、本実施の形態5による半導体装置76では、フェイスダウン実装方式により、半導体チップ78を実装しているが、半導体チップ78から所定の間隔を設けて半導体チップ78の周囲(主面、裏面および側面)を第1キャップ81aおよび第2キャップ81bにより囲むことにより、半導体チップ78の周囲を誘電率の低い空気層84により覆っている。これにより、半導体チップ68,78の寄生容量を低減することができるので、半導体チップ68,78に形成された高周波向けの半導体素子、例えば高周波パワーMISトランジスタがノイズの影響を受け難くなり、半導体装置65,76の電気的特性が向上する。
【0121】
次に、本実施の形態5による半導体装置65(第1例の半導体装置)の製造方法を図40に示す全体工程の流れを説明する工程図を用いて説明する。
【0122】
まず、例えばQFN向けのマトリックス型の多数個取り基板を用意する。多数個取り基板の長手方向を列とし、この列の方向と直交する方向を行とすると、半導体装置1つ分に該当する単位フレームが複数行複数列に配置された構成となっている。各単位フレームの中央部分には平坦なチップ搭載部66が設けられ、チップ搭載部66と一体に形成された第3リード電極67Sと、チップ搭載部66を挟んで対向する位置に形成された第1リード電極67Dおよび第2リード電極67Gとが設けられている。
【0123】
次に、チップ搭載部66上にダイボンド材を載せて、そのダイボンド材上に半導体チップ68を軽く落ち着けた後、ダイボンディング材の硬化処理を行うことにより、半導体チップ68とチップ搭載部66とを機械的に固定する(図40のダイボンディング工程P1)。
【0124】
次に、第1電極70D、第2電極70Gおよび第3電極70Sが装着されたキャップ72を準備する。続いて、半導体チップ68の主面および側面を囲むように、キャップ72を設置する。ここでは、まず、半導体チップ68の主面に形成された第1パッド電極69Dとキャップ72に装着した第1電極70D、第2パッド電極69Gとキャップ72に装着した第2電極70G、第3パッド電極69Sとキャップ72に装着した第3電極70Sとをそれぞれ接触させて位置合わせをした後、共晶接合によりそれぞれを接合する。その後、半導体チップ68の周縁部にシール73を形成して、キャップ72を固定する(図40のバンプ接合工程+シール工程P2)。シール73は、例えば液状レジンを用いることができる。液状レジンは、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等であり、その室温での粘性は、例えば100〜150Pa・s程度である。続いて、例えば150℃の熱処理を施すことにより、シール73を固める(図40のキュア工程P3)。
【0125】
次に、例えば熱圧着に超音波振動を併用したネイルヘッドボンディング(ボールボンディング)法により、半導体チップ68の主面に形成された第1パッド電極69Dと接続されている第1電極70Dと、第1リード電極67Dとを第1ワイヤ71Dで電気的に接続し、半導体チップ68の主面に形成された第2パッド電極69Gと接続されている第2電極70Gと、第2リード電極67Gとを第2ワイヤ71Gで電気的に接続し、半導体チップ68の主面に形成された第3パッド電極69Sと接続されている第3電極70Sと、第3リード電極67Sとを第3ワイヤ71Sで電気的に接続する(図40のワイヤボンディング工程P4)。ワイヤ(第1ワイヤ71D、第2ワイヤ71Gおよび第3ワイヤ71S)には、例えば15〜20μmφの金線を用いる。
【0126】
次に、チップ搭載部66、リード電極(第1リード電極67D、第2リード電極67Gおよび第3リード電極67S)の一部、半導体チップ68、ワイヤ(第1ワイヤ71D、第2ワイヤ71Gおよび第3ワイヤ71S)を上金型および下金型からなる成型金型にセットした後、溶融した樹脂を送圧して成型金型に流し込み、熱を加えて硬化させることで、封止体74を形成する(図40のモールド工程P5)。ここで、この封止体74は、例えば前述した本実施の形態1において説明した成形金型13を用いて、図7に示したモールド工程の流れを説明する工程図に従って形成することができる。封止体74の素材である封止用樹脂は、例えば30Pa・sの最低溶融粘度を有しており、例えば170℃の熱処理により硬化させることができる。
【0127】
ところで、本実施の形態5のモールド工程における製造過程は、前述した実施の形態1と同様であることから、その説明を省略するが、既にキャップ72及びシール73により中空構造を形成しているので、前述した実施の形態1で示したモールド工程において空気層7を形成する必要がない。従って、本実施の形態5では、前述した実施の形態1で示したモールド工程のように、凹形状のチップ搭載部2を逆さまにした状態(チップ搭載部2における半導体チップ2の支持面を成形金型13の下金型14と対向する状態)で成形金型13のキャビティ14cの内部に配置させる必要はない。また、キャビティ14cの内部に封止体6の素材である封止用樹脂を注入する際には、キャビティ14cの内部から空気を排除することによって、封止体74にボイドが形成されるのを防ぐことが望ましいので、下金型14、または上金型15にエアベントを有する構造の成形金型13を使用することが望ましい。
【0128】
次に、余分な樹脂およびバリを取り除く(図40のバリ取り工程P6)。この後、半導体装置65のリード電極(第1リード電極67D、第2リード電極67Gおよび第3リード電極67S)の表面(封止体74から露出した表面)に外装メッキを行う必要がある。しかし、前述の実施の形態1で説明したように、半導体装置65の信頼性を向上するためには、フレーム加工の段階でメッキ工程により外装メッキを施しておく、所謂、先付けメッキが望ましい。
【0129】
続いて、リード電極(第1リード電極67D、第2リード電極67Gおよび第3リード電極67S)を切断することにより、QFN構造の半導体装置65が完成する(図40のリードカット工程P7)。
【0130】
次に、外観検査において外観不良と判断された半導体装置65を取り除いた後(図40の選別工程P8)、キャリアテープに予め形成されている窪みに半導体装置65を収納する(図40のテーピング工程P9)。続いて、キャリアテープをリールに巻き取り、防湿された袋にリールを収納し(図40の梱包工程P10)、この状態で出荷する。
【0131】
(実施の形態6)
本実施の形態6による半導体装置は、チップ搭載部の周囲に、予め壁状のケースを形成し、チップ搭載部に半導体チップを接合した後に、上記ケースにキャップをはめることにより、半導体チップの主面を上記ケースおよび上記キャップに囲まれた誘電率の低い空気層と接触させることで、半導体チップの寄生容量を低減するものである。
【0132】
本実施の形態6による高周波向けの半導体素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置の一例を図41を用いて説明する。図41は半導体装置の要部断面図である。
【0133】
図41に示すように、半導体装置85は、チップ搭載部86と、外縁部に設けられた第1リード電極(ドレイン用リード)と、外縁部にチップ搭載部86を挟んで第1リード電極と対向して設けられた第2リード電極(ゲート用リード)と、第1リード電極と第2リード電極との間に配置され、チップ搭載部86と一体に形成されて外縁部まで延びる第3リード電極(ソース用リード)87Sと、チップ搭載部86の中央位置にダイボンド材を介して接合された半導体チップ88と、半導体チップ88の主面に形成された第1パッド電極と第1リード電極とを電気的に接続する第1ワイヤと、半導体チップ88の主面に形成された第2パッド電極と第2リード電極とを電気的に接続する第2ワイヤと、半導体チップ88の主面に形成された第3パッド電極89Sと第3リード電極87Sとを電気的に接続する第3ワイヤ90Sと、チップ搭載部86の周りを囲む壁状のケース(ダム部)91と、ケース91の外側(上方)から装着して、ケース91にかしめるキャップ(カバーケース)92と、半導体チップ88およびワイヤ(第1ワイヤ、第2ワイヤおよび第3ワイヤ90S)を閉じこめるケース91およびキャップ92を封止する封止体93により構成されている。
【0134】
ケース91およびキャップ92のそれぞれの素材は樹脂、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等である。キャップ92を金属により形成することも可能ではあるが、金属キャップ起因によるノイズや、ケース91または封止体93との接触不良が発生することが考えられるため、キャップ92には絶縁性の樹脂を用いることが望ましい。ケース91とキャップ92との間に接触不良による隙間が形成されると、この隙間から封止体93の素材である樹脂が、ケース91およびキャップ92により閉じこめられた領域に注入されて、半導体チップ88の主面を樹脂が覆うことが懸念される。このため、ケース91とキャップ92とは隙間無く締め付けて固定する必要がある。
【0135】
このように、本実施の形態6による半導体装置85では、半導体チップ86およびワイヤ(第1ワイヤ、第2ワイヤおよび第3ワイヤ90S)をケース91およびキャップ92で囲むことにより、同時に空気層94を閉じこめることができるので、半導体チップ86の主面および側面は、誘電率の低い空気層94により覆われる。これにより、半導体チップ88の寄生容量を低減することができるので、半導体チップ88に形成された高周波向けの半導体素子、例えば高周波パワーMISトランジスタがノイズの影響を受け難くなり、半導体装置85の電気的特性が向上する。
【0136】
次に、本実施の形態6による半導体装置85の製造方法を図42〜図46を用いて説明する。図42は半導体装置の製造方法の全体工程の流れを説明する工程図、図43〜図46は半導体装置の要部断面図である。
【0137】
まず、例えばQFN向けのマトリックス型の多数個取り基板を用意する。多数個取り基板は、例えば前述した実施の形態1のマトリックス型の多数個取り基板8,9と同様なものであって、平坦に加工されたチップ搭載部86を有している。すなわち、長手方向を列とし、この列の方向と直交する方向を行とすると、半導体装置1つ分に該当する単位フレームが複数行複数列に配置された構成となっている。各単位フレームの中央部分には平坦なチップ搭載部86が設けられ、チップ搭載部86と一体に形成された第3リード電極87Sと、チップ搭載部86を挟んで対向する位置に形成された第1リード電極および第2リード電極とが設けられている。
【0138】
次に、図43に示すように、多数個取り基板8、9を、図示しないが、上金型および下金型からなる成形金型にセットした後、半導体チップ88が搭載される領域を囲むように、リング状(中央部がくり抜かれた円柱形状)のケース91を形成する。このケース91の製造過程は前述の実施の形態5と同様であることからその説明を省略するが、前述の封止体74を形成する方法と同一の方法により形成する。さらに、余分な樹脂およびバリを取り除く(図40のバリ取り工程P2)。
【0139】
次に、図44に示すように、チップ搭載部86上にダイボンド材を載せて、そのダイボンド材上に半導体チップ88を軽く落ち着けた後、ダイボンディング材の硬化処理を行うことにより、半導体チップ88とチップ搭載部86とを機械的に固定する(図40のダイボンディング工程P3)。
【0140】
次に、例えば熱圧着に超音波振動を併用したネイルヘッドボンディング(ボールボンディング)法により、半導体チップ88の主面に形成された第1パッド電極と第1リード電極とを第1ワイヤで電気的に接続し、半導体チップ88の主面に形成された第2パッド電極と第2リード電極とを第2ワイヤで電気的に接続し、半導体チップ88の主面に形成された第3パッド電極89Sと第3リード電極87Sとを第3ワイヤ90Sで電気的に接続する(図40のワイヤボンディング工程P4)。ワイヤ(第1ワイヤ、第2ワイヤおよび第3ワイヤ90S)には、例えば15〜20μmφの金線を用いる。
【0141】
次に、図45に示すように、絶縁性の樹脂を素材とするキャップ92をケース91の外側から被せて、ケース91を締め付けるように機械的に固定する。(図40のキャップ付け工程P5)。
【0142】
次に、チップ搭載部86、リード電極(第1リード電極、第2リード電極および第3リード電極87S)の一部、半導体チップ88、ワイヤ(第1ワイヤ、第2ワイヤおよび第3ワイヤ90S)を上金型および下金型からなる成型金型にセットした後、封止体93を形成する。この封止体93の製造過程は、前述の実施の形態5と同様であることからその説明を省略するが、前述の封止体74を形成する方法と同一の方法により形成する(図40のモールド工程P6)。
【0143】
次に、余分な樹脂およびバリを取り除く(図40のバリ取り工程P7)。この後、半導体装置85のリード電極(第1リード電極、第2リード電極および第3リード電極87S)の表面(封止体74から露出した表面)に外装メッキを行う必要がある。しかし、前述の実施の形態1で説明したように、半導体装置85の信頼性を向上するためには、フレーム加工の段階でメッキ工程により外装メッキを施しておく、所謂、先付けメッキが望ましい。
【0144】
続いて、リード電極(第1リード電極、第2リード電極および第3リード電極87S)を切断することにより、QFN構造の半導体装置85が完成する(図40のリードカット工程P8)。
【0145】
次に、外観検査において外観不良と判断された半導体装置85を取り除いた後(図40の選別工程P9)、キャリアテープに予め形成されている窪みに半導体装置85を収納する(図40のテーピング工程P10)。続いて、キャリアテープをリールに巻き取り、防湿された袋にリールを収納し(図40の梱包工程P11)、この状態で出荷する。
【0146】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0147】
例えば、前記実施の形態では、本発明者らによってなされた発明をその背景となった利用分野である高周波向けの半導体素子である高周波パワーMISトランジスタを搭載する半導体装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、寄生容量の低減が必要とされる半導体素子を搭載する半導体装置に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、高周波パワーMISトランジスタ等のような高周波向けの半導体素子を搭載する半導体装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】(a)、(b)および(c)はそれぞれ本実施の形態1による半導体装置の要部平面図、同図(a)のA−A′線における要部断面図および同図(a)のB−B′線における要部断面図である。
【図2】(a)、(b)および(c)はそれぞれ本実施の形態1による半導体装置の上面図、側面図および底面図である。
【図3】本実施の形態1による半導体装置の製造方法の一例を説明する工程図である。
【図4】本実施の形態1による多数個取り基板の一例を示す外形平面図である。
【図5】本実施の形態1による多数個取り基板の他の一例を示す外形平面図である。
【図6】(a)、(b)および(c)はそれぞれ本実施の形態1による多数個取り基板を構成する単位基板の要部平面図、同図(a)のC−C′線における要部断面図および同図(a)のD−D′線における要部断面図である。
【図7】本実施の形態1による半導体装置の製造方法のモールド工程の流れを説明する工程図である。
【図8】本実施の形態1による半導体装置の製造方法のモールド工程における樹脂成形金型の構成の一例を示す部分断面図である。
【図9】本実施の形態1による半導体装置の製造方法のモールド工程における基板セット状態の一例を示す部分断面図である。
【図10】本実施の形態1による樹脂成形金型のエアベントレス構造の下金型の一例を示す斜視図である。
【図11】本実施の形態1による樹脂成形金型のエアベント構造の下金型の一例を示す斜視図である。
【図12】本実施の形態1による半導体装置の製造方法のモールド工程における中間型セット状態の一例を示す部分断面図である。
【図13】本実施の形態1による半導体装置の製造方法のモールド工程におけるタブレットセット状態の一例を示す部分断面図である。
【図14】本実施の形態1による半導体製造方法のモールド工程における基板セット状態を示す断面図であり、(a)および(b)はそれぞれ図10のE−E′線に沿って切断した構造の一例を示す要部断面図および図10のF−F′線に沿って切断した構造の一例を示す要部断面図である。
【図15】本実施の形態1による半導体装置の製造方法のモールド工程におけるレジン注入状態の一例を示す部分断面図である。
【図16】図15のG領域を拡大して示す要部断面図である。
【図17】本実施の形態1による半導体装置の製造方法のモールド工程におけるレジンキュア状態の一例を示す部分断面図である。
【図18】本実施の形態1による半導体装置の製造方法のモールド工程におけるクランプ開状態の一例を示す部分断面図である。
【図19】本実施の形態1による半導体装置の製造方法のモールド工程における中間型および基板取り出し状態の一例を示す部分断面図である。
【図20】本実施の形態1による半導体装置の製造方法のモールド工程における中間型離型状態の一例を示す部分断面図である。
【図21】本実施の形態2による半導体装置の製造方法の一例を説明する工程図である。
【図22】本実施の形態2による半導体装置の製造方法の一例を示す要部断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図25】本実施の形態2による半導体装置の他の例を示す要部断面図である。
【図26】本実施の形態3による半導体装置の製造方法の一例を説明する工程図である。
【図27】本実施の形態3による半導体装置の製造方法の一例を示す要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図29】(a)、(b)および(c)はそれぞれ本実施の形態4による第1例の半導体装置を示す上面図、側面図および底面図である。
【図30】図29(a)のH−H′線における要部断面図である。
【図31】(a)、(b)および(c)はそれぞれ本実施の形態4による第2例の半導体装置を示す上面図、側面図および底面図である。
【図32】図31(a)のI−I′線における要部断面図である。
【図33】本実施の形態4による第1例の半導体装置の製造方法を説明する工程図である。
【図34】本実施の形態4による第2例の半導体装置の製造方法を説明する工程図である。
【図35】本実施の形態5による第1例の半導体装置を示す要部平面図である。
【図36】本実施の形態5による第1例の半導体装置を示す透過斜視図である。
【図37】本実施の形態5による第1例の半導体装置を示す要部断面図である。
【図38】本実施の形態5による第1例の半導体装置に搭載される半導体チップの主面に形成されたパッド電極の配置例を示す要部平面図である。
【図39】本実施の形態5による第2例の半導体装置を示す要部断面図である。
【図40】本実施の形態5による第1例の半導体装置の製造方法の一例を説明する工程図である。
【図41】本実施の形態6による半導体装置を示す断面図である。
【図42】本実施の形態6による半導体装置の製造方法の一例を説明する工程図である。
【図43】本実施の形態6による半導体装置の製造方法の一例を示す要部断面図である。
【図44】図43に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図45】図44に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図46】図45に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【符号の説明】
【0150】
1,1A,1B,1C 半導体装置
2 チップ搭載部
2D 第1リード電極(ドレイン用リード)
2G 第2リード電極(ゲート用リード)
2S 第3リード電極(ソース用リード)
3 半導体チップ
4D 第1パッド電極(ドレイン用電極)
4G 第2パッド電極(ゲート用電極)
4S 第3パッド電極(ソース用電極)
5D 第1ワイヤ(ドレイン用ワイヤ)
5G 第2ワイヤ(ゲート用ワイヤ)
5S 第3ワイヤ(ソース用ワイヤ)
6 封止体
7 空気層
8,9 多数個取り基板
10 貫通孔
11 単位基板
12 スリット
13 成形金型
14,14A,14B 下金型
14a プランジャ
14b ポット
14c キャビティ部
14d 押圧面
14e 位置決めピン
14f 底面
14g 側面
14h 溝部
14i エアベント
15 上金型
15M 中間型
15U 上型
15a ゲート部
15b 樹脂流路
15c 注入口
15d イジェクタピン
15e 押圧面
15f カル部
15g ランナ部
16 搬送ブロック
16a 支持部
17 タブレット搬送部
18 タブレット
19 封止用樹脂
20 カルレジン
21 ランナレジン
22 ゲートレジン
23 離型ピン
24 ブレイク用ステージ
24a 位置決めピン
25 液状レジン
25a キャップ
26 空気層
27 封止体
28 金型
29 液状レジン
30 空気層
31 封止体
31a 実装面(裏面)
41 半導体装置
42 半導体チップ
43 Au/Snバンプ
44 配線基板
44a 主面
44b 裏面
45 シール
46 半田バンプ
48D,48G,48S 表面電極
49 裏面電極
50 貫通孔
51 Auめっき膜
52 空気層
53 半導体装置
54 半導体チップ
55 異方性導電フィルム
56 配線基板
56a 主面
56b 裏面
58,59 Auめっき層
61 Auめっき層
64 空気層
65 半導体装置
66 チップ搭載部
67D 第1リード電極
67G 第2リード電極
67S 第3リード電極
68 半導体チップ
69D 第1パッド電極
69G 第2パッド電極
69S 第3パッド電極
70D 第1電極
70G 第2電極
70S 第3電極
71D 第1ワイヤ
71G 第2ワイヤ
71S 第3ワイヤ
72 キャップ(カバーケース)
73 シール(接合材)
74 封止体
75 空気層
76 半導体装置
77 配線基板
77D 第1表面電極
77G 第2表面電極
78 半導体チップ
79D 第1パッド電極
79G 第2パッド電極
80D 第1バンプ電極
80G 第2バンプ電極
81a 第1キャップ
81b 第2キャップ
82 半田バンプ
83 封止体
84 空気層
85 半導体装置
86 チップ搭載部
87S 第3リード電極
88 半導体チップ
89S 第3パッド電極
90S 第3ワイヤ
91 ケース(ダム部)
92 キャップ(カバーケース)
93 封止体
94 空気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面および前記表面と反対側の裏面を有するチップ搭載部と、
前記チップ搭載部の周囲に配置された第1リード電極と、
前記チップ搭載部の周囲に配置され、前記チップ搭載部を介して前記第1リード電極と対向する第2リード電極と、
前記チップ搭載部と一体に形成され、前記第1リード電極と前記第2リード電極との間に配置された第3リード電極と、
半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有し、前記裏面が前記チップ搭載部の前記表面と対向するように、前記チップ搭載部上に配置された半導体チップと、
前記第1リード電極と前記半導体チップの前記第1パッド電極とを電気的に接続する第1導電性部材と、
前記第2リード電極と前記半導体チップの前記第2パッド電極とを電気的に接続する第2導電性部材と、
前記第3リード電極と前記半導体チップの前記第3パッド電極とを電気的に接続する第3導電性部材と、
前記半導体チップの前記主面側に位置する上面、前記上面と反対側の下面、および前記上面と前記下面との間に位置する側面を有し、前記半導体チップの前記主面上に空気層が形成されるように、前記半導体チップ、前記第1導電性部材、前記第2導電性部材および前記第3導電性部材を封止する封止体と、
を含み、
前記封止体は、前記半導体チップの前記主面とは接触していないことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、前記チップ搭載部は、底部、および前記底部を囲むように形成された側壁部を有する凹形状部を備えており、
前記半導体チップは、前記チップ搭載部の前記凹形状部の前記底部上に搭載されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、前記半導体チップの前記主面と前記封止体との間には、前記封止体に接してキャップが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、前記キャップは、室温での粘度が10Pa・s以下の樹脂により形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体チップの前記主面から所定の間隔を設けて形成された上部と、前記半導体チップの側面から所定の間隔を設けて形成された側壁部とを有する凹形状を上下反転した形状のキャップと、
をさらに含み、
前記半導体チップと前記キャップとの間に空気層が形成されており、前記キャップの外側に前記封止体が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置において、前記キャップの前記上部に複数の貫通孔が形成され、さらに各々の前記貫通孔には、前記貫通孔を通じて前記キャップの外側と前記キャップの内側とに突出する第1電極、第2電極および第3電極が形成されており、
前記第1リード電極と前記キャップの外側に突出した前記第1電極とが前記第1導電性部材を介して電気的に接続し、前記キャップの内側に突出した前記第1電極と前記半導体チップの前記第1パッド電極とが電気的に接続し、
前記第2リード電極と前記キャップの外側に突出した前記第2電極とが前記第2導電性部材を介して電気的に接続し、前記キャップの内側に突出した前記第2電極と前記半導体チップの前記第2パッド電極とが電気的に接続し、
前記第3リード電極と前記キャップの外側に突出した前記第3電極とが前記第3導電性部材を介して電気的に接続し、前記キャップの内側に突出した前記第3電極と前記半導体チップの前記第3パッド電極とが電気的に接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項5記載の半導体装置において、前記キャップの側壁部の一部が、前記半導体チップの周縁部に形成されたシールにより、前記チップ搭載部の前記表面に固定されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、
前記チップ搭載部の前記表面の周りを囲む壁状のケースと、
前記ケースの外側から装着して、前記ケースを締めて固定するキャップと、
をさらに含み、
前記ケースおよび前記キャップの内側に空気層が形成されており、前記ケースおよび前記キャップの外側に前記封止体が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、前記ケースはエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂であり、前記キャップはプラスチップであることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置において、前記第1リード電極、前記第2リード電極、前記第3リード電極、前記半導体チップ、前記第1導電性部材、前記第2導電性部材および前記第3導電性部材は、前記封止体で封止され、
前記第1、第2および第3リード電極のそれぞれの一部は、前記封止体の下面から露出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置において、前記第1リード電極、前記第2リード電極、前記第3リード電極、前記半導体チップ、前記第1導電性部材、前記第2導電性部材および前記第3導電性部材は、前記封止体で封止され、
前記第1、第2および第3リード電極のそれぞれの一部は、前記封止体の側面から突出し、前記封止体の外側において屈曲していることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1記載の半導体装置において、前記第3リード電極と前記半導体チップの前記第3パッド電極とは、複数の前記第3導電性部材を介して電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1記載の半導体装置において、前記第1、第2および第3導電性部材は、ボンディングワイヤであることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1記載の半導体装置において、前記半導体チップの前記裏面と前記チップ搭載部の前記表面とは、Au/Sn共晶、ペースト状の接着材またはフィルム状の接着材により接合されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
表面および前記表面と反対側の裏面を有するチップ搭載部を備える基板と、
前記チップ搭載部の前記表面に露出して、互いに異なる領域に配置された第1表面電極、第2表面電極および第3表面電極と、
半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有し、前記主面が前記チップ搭載部の前記表面と対向するように、前記チップ搭載部上に配置された半導体チップと、
前記第1表面電極と前記半導体チップの前記第1パッド電極とを電気的に接続する第1導電性部材と、
前記第2表面電極と前記半導体チップの前記第2パッド電極とを電気的に接続する第2導電性部材と、
前記第3表面電極と前記半導体チップの前記第3パッド電極とを電気的に接続する第3導電性部材と、
を含み、
前記半導体チップの前記主面は、前記チップ搭載部の前記表面とは接触していないことを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置において、前記半導体チップの周縁部に、前記半導体チップと前記チップ搭載部との間を封止するようにシールが設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置において、前記シールは、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項16記載の半導体装置において、前記第1、第2および第3導電性部材は、Au/Snバンプ電極であることを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項15記載の半導体装置において、前記第1、第2および第3導電性部材は、前記チップ搭載部の周辺に一体形成された異方性導電フィルムの一部からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
表面および前記表面と反対側の裏面を有するチップ搭載部を備える基板と、
前記チップ搭載部の前記表面に露出して、互いに異なる領域に配置された第1表面電極、第2表面電極および第3表面電極と、
半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有し、前記主面が前記チップ搭載部の前記表面と対向するように、前記チップ搭載部上に配置された半導体チップと、
前記半導体チップの前記主面から所定の間隔を設けて形成された下部、および前記下部を囲み、前記半導体チップの側面から所定の間隔を設けて形成された側壁部を有する凹形状の第1キャップと、
前記第1キャップ上に置かれて前記第1キャップの内側を閉じる第2キャップと、
前記第1キャップの前記下部に複数の貫通孔が形成され、さらに各々の前記貫通孔には、前記貫通孔を通じて前記第1キャップの外側と前記第1キャップの内側とに突出する第1電極、第2電極および第3電極と、
を含み、
前記半導体チップの前記第1パッド電極と前記チップ搭載部の前記第1表面電極とが前記第1電極を介して電気的に接続し、
前記半導体チップの前記第2パッド電極と前記チップ搭載部の前記第2表面電極とが前記第2電極を介して電気的に接続し、
前記半導体チップの前記第3パッド電極と前記チップ搭載部の前記第3表面電極とが前記第3電極を介して電気的に接続し、
前記半導体チップは、前記第1キャップとは接触しておらず、前記第1キャップおよび前記第2キャップの外側に封止体が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
請求項20記載の半導体装置において、前記第1、第2および第3電極は、Au/Snバンプ電極であることを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)表面および前記表面と反対側の裏面を有するチップ搭載部と、前記チップ搭載部の周囲に配置された第1リード電極と、前記チップ搭載部の周囲に配置され、前記チップ搭載部を介して前記第1リード電極と対向する第2リード電極と、前記チップ搭載部と一体に形成され、前記第1リード電極と前記第2リード電極との間に配置された第3リード電極と、前記第1、第2および第3リード電極のそれぞれと一体に形成された枠部とを有する基板を準備する工程;
(b)半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有する半導体チップを、前記半導体チップの裏面が前記チップ搭載部の前記表面と対向するように、前記チップ搭載部上に接合する工程;
(c)前記第1リード電極と前記半導体チップの前記第1パッド電極とを第1導電性部材を介して電気的に接続し、前記第2リード電極と前記半導体チップの前記第2パッド電極とを第2導電性部材を介して電気的に接続し、前記第3リード電極と前記半導体チップの前記第3パッド電極とを第3導電性部材を介して電気的に接続する工程;
(d)前記半導体チップの前記主面上に空気層が形成されるように、前記半導体チップ、前記第1導電性部材、前記第2導電性部材および前記第3導電性部材を樹脂で封止し、前記半導体チップの前記主面側に位置する上面、前記上面と反対側の下面、および前記上面と前記下面との間に位置する側面を有する封止体を形成する工程、
ここで、前記封止体は、以下の工程により形成される;
(d1)キャビティ面、および前記キャビティ面を囲むように形成された側面からなる凹形状のキャビティ部を備えた下金型、および前記下金型の前記キャビティ部の前記キャビティ面の中央部に対向する位置に形成されたゲート部を備える上金型を有する成型金型を準備する工程;
(d2)前記(b)工程から前記(c)工程まで行った前記基板を準備し、前記チップ搭載部の前記裏面が前記上金型の前記ゲート部と対向するように、前記基板を前記上金型と前記下金型との間に配置する工程;
(d3)前記基板の前記枠部を前記上金型および前記下金型によりクランプする工程;
(d4)前記上金型の前記ゲート部を介して前記キャビティ部の内部に樹脂を注入する工程。
【請求項23】
請求項22記載の半導体装置の製造方法において、前記チップ搭載部は、底部、および前記底部を囲むように形成された側壁部を有する凹形状部を備えており、
前記半導体チップは、前記チップ搭載部の前記凹形状部の前記底部上に搭載されており、
前記空気層は、前記半導体チップの前記主面上で、かつ前記チップ搭載部の前記凹形状部の内側に形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項22記載の半導体装置の製造方法において、前記(d3)工程により、前記上金型と前記下金型との間は密閉されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項25】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)表面および前記表面と反対側の裏面を有する底部、および前記底部を囲むように形成された側壁部を有する凹形状部を備えるチップ搭載部と、前記チップ搭載部の周囲に配置された第1リード電極と、前記チップ搭載部の周囲に配置され、前記チップ搭載部を介して前記第1リード電極と対向する第2リード電極と、前記チップ搭載部と一体に形成され、前記第1リード電極と前記第2リード電極との間に配置された第3リード電極と、前記第1、第2および第3リード電極のそれぞれと一体に形成された枠部とを有する基板を準備する工程;
(b)半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有する半導体チップを、前記半導体チップの裏面が前記チップ搭載部の前記底部の前記表面と対向するように、前記チップ搭載部上に接合する工程;
(c)前記第1リード電極と前記半導体チップの前記第1パッド電極とを第1導電性部材を介して電気的に接続し、前記第2リード電極と前記半導体チップの前記第2パッド電極とを第2導電性部材を介して電気的に接続し、前記第3リード電極と前記半導体チップの前記第3パッド電極とを第3導電性部材を介して電気的に接続する工程;
(d)前記(b)工程から前記(c)工程まで行った前記基板を準備する工程;
(e)液状レジンを準備する工程;
(f)前記半導体チップの前記主面を前記液状レジンと対向させて、前記チップ搭載部上に接合されている前記半導体チップは浸さず、かつ前記チップ搭載部の前記側壁部の上部が浸るように、前記基板を前記液状レジンに浸す工程;
(g)前記基板を前記液状レジンから取り出して硬化させ、前記チップ搭載部の内側を閉じるキャップを形成する工程。
【請求項26】
請求項25記載の半導体装置の製造方法において、前記(g)工程の後に、さらに以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(h)前記半導体チップの前記主面側に位置する上面、前記上面と反対側の下面および前記上面と前記下面との間に位置する側面を有する封止体を形成する工程。
【請求項27】
請求項25記載の半導体装置の製造方法において、前記液状レジンの室温での粘性が、10Pa・s以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項28】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)表面および前記表面と反対側の裏面を有する底部、および前記底部を囲むように形成された側壁部を有する凹形状部を備えるチップ搭載部と、前記チップ搭載部の周囲に配置された第1リード電極と、前記チップ搭載部の周囲に配置され、前記チップ搭載部を介して前記第1リード電極と対向する第2リード電極と、前記チップ搭載部と一体に形成され、前記第1リード電極と前記第2リード電極との間に配置された第3リード電極と、前記第1、第2および第3リード電極のそれぞれと一体に形成された枠部とを有する基板を準備する工程;
(b)半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有する半導体チップを、前記半導体チップの裏面が前記チップ搭載部の前記底部の前記表面と対向するように、前記チップ搭載部上に接合する工程;
(c)前記第1リード電極と前記半導体チップの前記第1パッド電極とを第1導電性部材を介して電気的に接続し、前記第2リード電極と前記半導体チップの前記第2パッド電極とを第2導電性部材を介して電気的に接続し、前記第3リード電極と前記半導体チップの前記第3パッド電極とを第3導電性部材を介して電気的に接続する工程;
(d)前記(b)工程から前記(c)工程まで行った前記基板を準備する工程;
(e)キャビティ面、および前記キャビティ面を囲むように形成された側面からなる凹形状のキャビティ部を備え、前記キャビティ部の内部に液状レジンが供給された金型を準備する工程;
(f)前記半導体チップの前記主面が前記金型と対向するように、前記基板を前記金型の前記キャビティ部の内部の前記液状レジンへ浸す工程;
(g)前記液状レジンを熱硬化させて、前記半導体チップの前記主面側に位置する上面、前記上面と反対側の下面および前記上面と前記下面との間に位置する側面を有する封止体を形成する工程。
【請求項29】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)表面および前記表面と反対側の裏面を有するチップ搭載部と、前記チップ搭載部の前記表面に露出して、互いに異なる領域に配置された第1表面電極、第2表面電極および第3表面電極とを有する基板を準備する工程;
(b)半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有する半導体チップを準備する工程;
(c)前記主面が前記チップ搭載部の前記表面と対向するように、前記チップ搭載部上に前記半導体チップを搭載する工程;
(d)前記半導体チップの前記主面と前記チップ搭載部の前記表面との間に空気層を有する空間を形成して、前記第1表面電極と前記半導体チップの前記第1パッド電極とを第1導電性部材を介して電気的に接続し、前記第2表面電極と前記半導体チップの前記第2パッド電極とを第2導電性部材を介して電気的に接続し、前記第3表面電極と前記半導体チップの前記第3パッド電極とを第3導電性部材を介して電気的に接続する工程;
(e)前記半導体チップの周縁部に、前記半導体チップと前記チップ搭載部との間を封止するようにシールを形成する工程。
【請求項30】
請求項29記載の半導体装置の製造方法において、前記半導体チップの前記主面、前記チップ搭載部の前記表面および前記シールにより、前記空気層を有する前記空間が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項31】
請求項29記載の半導体装置の製造方法において、前記シールは、前記半導体チップの前記主面とは接触していないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項32】
請求項29記載の半導体装置の製造方法において、前記シールは、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項33】
請求項29記載の半導体装置の製造方法において、前記第1、第2および第3導電性部材は、Au/Snバンプ電極であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項34】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)表面および前記表面と反対側の裏面を有するチップ搭載部と、前記チップ搭載部の前記表面に露出して、互いに異なる領域に配置された第1表面電極、第2表面電極および第3表面電極とを有し、前記第1表面電極、前記第2表面電極および前記第3表面電極の表面にそれぞれ所定の厚さを有する第1めっき層が形成された基板を準備する工程;
(b)半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有し、前記第1パッド電極、前記第2パッド電極および前記第3パッド電極の表面にそれぞれ所定の厚さを有する第2めっき層が形成された半導体チップを準備する工程;
(c)前記主面が前記チップ搭載部の前記表面と対向するように、前記チップ搭載部上に前記半導体チップを搭載する工程;
(d)前記半導体チップの前記主面と前記チップ搭載部の前記表面との間に空気層を有する空間を形成して、前記第1表面電極の表面に形成された前記第1めっき層と前記半導体チップの前記第1パッド電極の表面に形成された前記第2めっき層とを第1導電性部材を介して電気的に接続し、前記第2表面電極の表面に形成された前記第1めっき層と前記半導体チップの前記第2パッド電極の表面に形成された前記第2めっき層とを第2導電性部材を介して電気的に接続し、前記第3表面電極の表面に形成された前記第1めっき層と前記半導体チップの前記第3パッド電極の表面に形成された前記第2めっき層とを第3導電性部材を介して電気的に接続する工程、
ここで、前記第1、第2および第3導電性部材は、前記チップ搭載部の周辺に一体形成された異方性導電フィルムの一部からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項35】
請求項34記載の半導体装置の製造方法において、前記半導体チップの前記主面、前記チップ搭載部の前記表面および前記異方性導電フィルムにより、前記空気層を有する前記空間が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項36】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)表面および前記表面と反対側の裏面を有するチップ搭載部と、前記チップ搭載部の周囲に配置された第1リード電極と、前記チップ搭載部の周囲に配置され、前記チップ搭載部を介して前記第1リード電極と対向する第2リード電極と、前記チップ搭載部と一体に形成され、前記第1リード電極と前記第2リード電極との間に配置された第3リード電極と、前記第1、第2および第3リード電極のそれぞれと一体に形成された枠部とを有する基板を準備する工程;
(b)半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有する半導体チップを準備する工程;
(c)前記半導体チップの裏面が前記チップ搭載部の前記表面と対向するように、前記半導体チップを前記チップ搭載部上に接合する工程;
(d)上部と、前記上部の周囲に形成された側壁部とからなる凹形状を上下反転した形状を有し、前記上部に複数の貫通孔が形成され、さらに各々の前記貫通孔には、前記貫通孔を通じて前記上部の内側と前記上部の外側とに突出する第1電極、第2電極および第3電極が形成されたキャップを準備する工程;
(e)前記半導体チップの前記主面と前記キャップの内側面との間に空気層を有する空間を形成して、前記キャップの前記上部の前記内側面が前記半導体チップの前記主面と対向するように、前記キャップを配置する工程;
(f)前記半導体チップの前記第1パッド電極と前記キャップの前記内側に突出した前記第1電極とを電気的に接続し、前記半導体チップの前記第2パッド電極と前記キャップの前記内側に突出した前記第2電極とを電気的に接続し、前記半導体チップの前記第3パッド電極と前記キャップの前記内側に突出した前記第3電極とを電気的に接続する工程;
(g)前記半導体チップの周縁部にシールを形成して、前記キャップを前記シールにより前記チップ搭載部と固定する工程;
(h)前記第1リード電極と前記キャップの前記外側に突出した前記第1電極とを第1導電性部材により電気的に接続し、前記第2リード電極と前記キャップの前記外側に突出した前記第2電極とを第2導電性部材により電気的に接続し、前記第3リード電極と前記キャップの前記外側に突出した前記第3電極とを第3導電性部材により電気的に接続する工程;
(i)前記キャップの前記外側に、前記半導体チップの前記主面側に位置する上面、前記上面と反対側の下面、および前記上面と前記下面との間に位置する側面を有する封止体を形成する工程。
【請求項37】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)表面および前記表面と反対側の裏面を有するチップ搭載部と、前記チップ搭載部の前記表面に露出して、互いに異なる領域に配置された第1表面電極、第2表面電極および第3表面電極とを有する基板を準備する工程;
(b)半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有する半導体チップを準備する工程;
(c)下部と、前記下部の周囲に形成された側壁部とからなる凹形状を有し、前記下部に複数の貫通孔が形成され、さらに各々の前記貫通孔には、前記貫通孔を通じて前記下部の内側と前記下部の外側に突出する第1電極、第2電極および第3電極が形成された第1キャップを準備する工程;
(d)前記半導体チップの前記主面と前記第1キャップの内側面との間に空気層を有する空間を形成して、前記第1キャップの前記下部の前記内側面が前記半導体チップの前記主面と対向するように、前記第1キャップを配置する工程;
(f)前記半導体チップの前記第1パッド電極と前記第1キャップの前記内側に突出した前記第1電極とを電気的に接続し、前記半導体チップの前記第2パッド電極と前記第1キャップの前記内側に突出した前記第2電極とを電気的に接続し、前記半導体チップの前記第3パッド電極と前記第1キャップの前記内側に突出した前記第3電極とを電気的に接続する工程;
(g)前記半導体チップの前記裏面と所定の間隔を有して、第2キャップを前記第1キャップ上に接合する工程;
(h)前記チップ搭載部の前記第1表面電極と前記第1キャップの前記外側に突出した前記第1電極とを電気的に接続し、前記チップ搭載部の前記第2表面電極と前記第1キャップの前記外側に突出した前記第2電極とを電気的に接続し、前記チップ搭載部の前記第3表面電極と前記第1キャップの前記外側に突出した前記第3電極とを電気的に接続する工程;
(i)第1および第2キャップの外側に、前記半導体チップの前記裏面側に位置する上面、前記上面と反対側の下面および前記上面と前記下面との間に位置する側面を有する封止体を形成する工程。
【請求項38】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)表面および前記表面と反対側の裏面を有するチップ搭載部と、前記チップ搭載部の周囲に配置された第1リード電極と、前記チップ搭載部の周囲に配置され、前記チップ搭載部を介して前記第1リード電極と対向する第2リード電極と、前記チップ搭載部と一体に形成され、前記第1リード電極と前記第2リード電極との間に配置された第3リード電極と、前記第1、第2および第3リード電極のそれぞれと一体に形成された枠部とを有する基板を準備する工程;
(b)前記チップ搭載部の前記表面の周りを囲む壁状のケースを形成する工程;
(c)半導体素子のドレイン、ゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続された第1パッド電極、第2パッド電極および第3パッド電極が形成された主面、および前記主面と反対側の裏面を有する半導体チップを、前記半導体チップの裏面が前記チップ搭載部の前記表面と対向するように、前記チップ搭載部上に接合する工程;
(d)前記第1リード電極と前記半導体チップの前記第1パッド電極とを第1導電性部材を介して電気的に接続し、前記第2リード電極と前記半導体チップの前記第2パッド電極とを第2導電性部材を介して電気的に接続し、前記第3リード電極と前記半導体チップの前記第3パッド電極とを第3導電性部材を介して電気的に接続する工程;
(e)前記半導体チップの前記主面上に空気層が形成されるように、前記ケースを締めて固定するキャップを前記ケースの外側から装着する工程;
(f)前記ケースおよび前記キャップの外側に、前記半導体チップの前記主面側に位置する上面、前記上面と反対側の下面および前記上面と前記下面との間に位置する側面を有する封止体を形成する工程。
【請求項39】
請求項38記載の半導体装置の製造方法において、前記ケースの素材は樹脂であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項40】
請求項38記載の半導体装置の製造方法において、前記キャップの素材はプラスチックであることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2009−238897(P2009−238897A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80943(P2008−80943)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】