説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】製造コストを上げることなく、かつ、貫通穴が原因となって生じる歩留を向上させ、薄膜デバイスに適用可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、表面から裏面までを貫通する貫通穴を有するアンドープGaN層102と、アンドープGaN層102の表面上および貫通穴内に形成された、導電性を有するアルミニウム層103とを備え、アルミニウム層103における貫通穴内に形成された領域のうち、裏面側に露出している絶縁領域106は、化学変化により絶縁化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、薄膜デバイスに発生する貫通穴に絶縁体が形成された半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
厚さが数ミクロン程度である薄膜半導体デバイスは、軽量、かつ、コンパクトであり、さらには、フレキシブルなデバイスとすることもできるため、従来のデバイスにはない様々な用途展開が期待される。また、厚さが非常に薄いため、製造時における環境への負荷が小さいことも利点であり、近年の省エネルギーおよび環境への配慮に対して理想的なデバイスであるといえる。
【0003】
しかしながら、薄膜デバイス製造における問題点として、貫通穴が挙げられる。結晶成長時におけるダストの付着や一部の異常成長などによって、成長膜にピットなどが発生することがある。通常のデバイスでは、下地基板があるため、少々のピットがあったとしてもあまり問題にならないことが多いが、薄膜デバイスの場合、下地基板がないため、ピットは貫通穴となってしまう。また、薄膜は機械的に弱いものであるため、製造時におけるハンドリングなどにおいて傷が付き、これが貫通穴となってしまう場合もある。
【0004】
貫通穴がある状態のままデバイス作製を行うと、様々な致命的な問題が発生する。その最たる問題点は、貫通穴を通じた電流の短絡である。膜の両面に電極を形成する場合、貫通穴を通して両面に形成した電極金属が接触してしまう。
【0005】
解決方法として結晶成長の均一性およびカバレッジを向上させることが挙げられる。これにより、貫通穴の発生する確率を低減させることができる。また、特許文献1には、貫通穴により露出した電極領域に電着法を利用して選択的に絶縁物を付着させる技術が記載されている。これにより、膜の両面に電極を形成した場合、電極間の短絡を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−185148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術では、以下のような課題がある。
【0008】
まず、結晶成長の均一性およびカバレッジを向上させる方法によれば、確かに、チップサイズの小さなデバイスでは、ほぼ上記の問題を解決することが可能である。しかしながら、屋外用の薄膜太陽電池などといった大面積を必要とするものでは、これだけでは解決することができない。
【0009】
たとえば、1平方センチメートルの領域に貫通穴が発生する確率を1ppmと仮定した場合、小チップデバイスの歩留としては微々たるものであるが、1平方メートルサイズの屋外用の太陽電池では、歩留は37%にまで低下してしまう。また、結晶成長技術が非常に洗練されたとしても、ダストや異常成長は起こりうるものであり、1平方メートルのデバイスにおいて、たった1つの貫通穴によってそれを破棄しなければならないとすれば、環境への負荷も計り知れないものである。そのため、結晶成長技術の向上とともに、形成されてしまった貫通穴による短絡を防止するようなプロセス開発も必要不可欠である。
【0010】
また、特許文献1に記載の技術では、貫通穴の露出した電極領域に絶縁物を付着させるため、平面の平坦性が失われる恐れがあり、薄膜デバイスに適用するには好ましくない。
【0011】
そこで、本発明は、製造コストを上げることなく、かつ、貫通穴が原因となって生じる歩留を向上させ、薄膜デバイスに適用可能な半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の半導体装置は、互いに対向する第1主面および第2主面と、当該第1主面から当該第2主面までを貫通する貫通穴とを有する半導体膜と、前記半導体膜の前記第1主面上および前記貫通穴内に形成された、導電性又は半導電性を有する第1膜とを備え、前記第1膜における前記貫通穴内に形成された領域のうち、前記第2主面側に露出している領域は、化学変化により絶縁化されている。
【0013】
これにより、貫通穴を介して第1膜が第2主面側に露出している場合であっても、露出した領域が絶縁化されているので、貫通穴を介した短絡の発生などを減少させることができ、貫通穴が原因となって生じる歩留を向上させることができる。
【0014】
また、前記半導体膜は、不規則に散在した複数の前記貫通穴を有してもよい。
【0015】
これにより、規則正しく形成された貫通穴だけでなく、不規則に形成された貫通穴の全てに絶縁領域が形成されているので、貫通穴を介した短絡の発生などをより減少させることができ、貫通穴が原因となって生じる歩留を向上させることができる。
【0016】
また、前記化学変化により絶縁化された領域の前記第2主面側への露出面の形状は、前記貫通穴の前記第2主面側への開口の形状に等しくてもよい。
【0017】
これにより、貫通穴の開口の形状と同じ形状の絶縁物が形成されているので、貫通穴を介した短絡の発生などをより減少させることができ、貫通穴が原因となって生じる歩留を向上させることができる。
【0018】
また、前記半導体膜の前記第2主面と、前記化学変化により絶縁化された領域の前記第2主面側への露出面とは、平坦であってもよい。
【0019】
これにより、第2主面側に導電層などの層を容易に形成することができる。
【0020】
また、前記化学変化は、前記第2主面側から施されていてもよい。
【0021】
これにより、絶縁化したい第2主面側から化学変化処理を施すことができるので、第1主面側などに化学変化による影響が及びにくくすることができる。
【0022】
また、前記化学変化は、酸化又は窒化であってもよい。
【0023】
これにより、容易に絶縁化させることができる。
【0024】
また、前記半導体装置は、さらに、前記半導体膜の前記第2主面上に形成された、導電性を有する第2膜を備えてもよい。
【0025】
これにより、第1膜と第2膜とは貫通穴を介して接触するが、接触する領域に絶縁領域が形成されているので、第1膜と第2膜との間で通電することを防ぐことができる。したがって、多くのデバイスに利用することができるので、本発明は非常に汎用性が高い。
【0026】
また、前記半導体膜は、前記第2主面側から順に、第1導電型の半導体、アンドープ半導体、および、前記第1導電型とは異なる第2導電型の半導体が積層した多層膜であり、前記第1膜は、前記半導体膜の前記第1主面上に、前記第1導電型のアモルファス半導体、アンドープアモルファス半導体、および、前記第2導電型のアモルファス半導体が順に積層した多層膜であり、前記貫通穴内に形成された前記第1導電型のアモルファス半導体のうち前記第2主面側に露出している領域は、化学変化により絶縁化されており、前記化学変化により絶縁化された領域と前記第2膜とは、接していてもよい。
【0027】
これにより、例えば、本発明をタンデム型太陽電池などとして利用することができるので、本発明は、非常に汎用性が高い。
【0028】
また、前記半導体膜は、第1導電型の半導体と、前記第1導電型とは異なる第2導電型の半導体とが積層した多層膜であってもよい。
【0029】
これにより、例えば、本発明を発光ダイオードなどの発光素子として利用することができるので、本発明は、非常に汎用性が高い。
【0030】
また、前記第1膜は、シリコン、水素化アモルファスシリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニッケル、およびパラジウムのいずれかを主成分としてもよい。
【0031】
これにより、例えば、これらの物質は、熱酸化などの化学変化に要する温度はそれほど高くなく、かつ、生成される化合物は高抵抗であるので、効率良く短絡を防ぐことができる。したがって、より歩留を向上させることができる。
【0032】
また、前記半導体膜は、窒化物半導体であってもよい。
【0033】
これにより、例えば、窒化物半導体を用いた短波長用薄膜光デバイスに利用することができる。なお、窒化物半導体は、c軸に配向しやすいため、面内方向の面方位はa軸又はm軸となる。窒化物半導体はc軸への成長性が高いため、GaAsなど他の半導体に比べて面内方向に対しては成長しにくく、貫通穴が発生しやすくなる。本技術を用いることにより、貫通穴を絶縁領域によって塞ぐことができ、歩留を劇的に向上させることができる。
【0034】
また、前記半導体膜の前記第1主面は、(0001)面であってもよい。
【0035】
これにより、窒化物半導体薄膜の上面は(0001)面が露出しやすいため、この(0001)面に第1膜を効率的に形成することができる。そして、貫通穴を絶縁領域によって塞ぐことができるため、歩留を劇的に向上させることができる。
【0036】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体装置の製造方法であって、基板上に、互いに対向する第1主面と第2主面とを有する半導体膜を、前記基板と前記第2主面とが接するように成膜する半導体膜成膜ステップを含み、前記半導体膜成膜ステップで成膜された半導体膜には、前記第1主面から前記第2主面までを貫通する貫通穴が形成されており、前記半導体装置の製造方法は、さらに、前記半導体膜の前記第1主面上および前記貫通穴内に、導電性又は半導電性を有する第1膜を形成する第1膜形成ステップと、前記基板を前記半導体膜の前記第2主面から剥離する基板剥離ステップと、前記半導体膜の前記第2主面側から、前記貫通穴内に形成された第1膜を化学変化させることで、前記貫通穴内に形成された第1膜の領域のうち、少なくとも前記第2主面側に露出した領域を絶縁化する絶縁化ステップとを含む。
【0037】
これにより、貫通穴に形成された第1膜を第2主面側から化学変化させることで第1膜を絶縁化するので、貫通穴内に絶縁領域を容易に形成することができる。よって、例えば、第2主面側に導電性を有する膜などを形成した場合であっても、貫通穴を介した短絡を防ぐことができる。したがって、製造コストを上げることなく、かつ、貫通穴が原因となって生じる歩留を向上させ、薄膜デバイスに適用可能な半導体装置を製造することができる。
【0038】
また、前記半導体装置の製造方法は、さらに、前記絶縁化ステップの後に、前記半導体膜の前記第2主面上に、導電性を有する第2膜を形成する第2膜形成ステップを含んでもよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、製造コストを上げることなく、かつ、貫通穴が原因となって生じる歩留を向上させ、薄膜デバイスに適用可能な半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施の形態1の半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【図2】実施の形態1の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図3】(a)実施の形態1の結晶成長後の表面電子顕微鏡像である。(b)実施の形態1の結晶成長後の裏面電子顕微鏡像である。(c)実施の形態1の金属蒸着後の裏面電子顕微鏡像である。(d)実施の形態1の選択酸化後の裏面電子顕微鏡像である。(e)実施の形態1の金属蒸着後の裏面電子顕微鏡像の一部拡大図である。(f)実施の形態1の選択酸化後の裏面電子顕微鏡像の一部拡大図である。
【図4】実施の形態1の半導体装置の電流−電圧特性を測定した結果を示す図である。
【図5】GaN層上にAl組成25%で厚さ40nmのAlGaN層を成膜した試料を3フッ化窒素(NF3)ガスに暴露した場合のフッ素濃度プロファイルを示す図である。
【図6】GaNの格子間位置にフッ素が存在する場合の電子状態を第一原理的に計算した結果を示す図である。
【図7】実施の形態2の半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【図8】実施の形態2の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図9】実施の形態3の半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【図10】実施の形態3の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下では、本発明の半導体装置およびその製造方法について、実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0042】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置は、貫通穴を有する半導体膜と、当該半導体膜の上面に形成された第1導電膜と、下面に形成された第2導電膜とを備え、第1導電膜が化学変化により絶縁化された絶縁領域が貫通穴の下面側に露出し、第2導電膜と接していることを特徴とする。以下では、まず、本実施の形態の半導体装置の構造について、図1を用いて説明する。
【0043】
図1は、本実施の形態の半導体装置100の構造の一例を示す断面図である。半導体装置100は、GaN低温バッファ層101と、アンドープGaN層102と、アルミニウム層103と、上部電極104と、裏面電極105とを備える。アンドープGaN層102には、貫通穴が形成されており、貫通穴内には、絶縁領域106が形成されている。なお、半導体装置100では、GaN低温バッファ層101などの成長に用いる成長基板は剥離されている。
【0044】
GaN低温バッファ層101は、成長基板上に島状に形成された半導体層の一例であって、例えば、厚さ20nmの低温で成長させたGaNから構成される。なお、GaN低温バッファ層101の厚さは、平坦成長時の厚さであって、図1に示すように島状に成長した場合、厚さは少し異なっている。
【0045】
アンドープGaN層102は、成長基板およびGaN低温バッファ層101上に形成された半導体層の一例であって、例えば、厚さ0.5μmのアンドープGaN層から構成される。アンドープGaN層102には、1つ以上の貫通穴が不規則に散在して形成されている。
【0046】
アルミニウム層103は、アンドープGaN層102上に形成された導電性を有する層であって、例えば、厚さ200nmのアルミニウムから構成される。また、アルミニウム層103は、アンドープGaN層102を貫通する貫通穴内にも形成されている。
【0047】
上部電極104は、アルミニウム層103上に形成された導電性を有する層であって、例えば、厚さ200nmの白金と厚さ300nmの金とが積層された構造を有する。
【0048】
裏面電極105は、アンドープGaN層102の裏面に形成された導電性を有する層であって、例えば、厚さ200nmのアルミニウムと、厚さ200nmの白金と、厚さ300nmの金とが積層された構造を有する。
【0049】
絶縁領域106は、アルミニウム層103における貫通穴内に形成された領域のうち、アンドープGaN層102の裏面側に露出している領域であり、アルミニウム層103が化学変化して絶縁化された領域である。絶縁領域106は、例えば、アルミナから構成される。また、絶縁領域106の裏面側への露出面の形状は、貫通穴の裏面側への開口の形状と等しくなる。また、絶縁領域106は、アンドープGaN層102の裏面側に露出しているために、裏面電極105と接している。
【0050】
以上のように、本実施の形態の半導体装置100は、上部に形成されたアルミニウム層103が化学変化して絶縁化した領域である絶縁領域106が、貫通穴内に形成されている。これにより、上側電極と下側電極との間が導通してしまうことを防止する。なお、絶縁領域106は、貫通穴に形成された導電性膜(ここでは、アルミニウム層103)が化学変化されることで形成される領域であるため、絶縁領域106には、導電性膜に含まれる原子(アルミニウム)を含んでいる。
【0051】
続いて、本実施の形態の半導体装置100の製造方法について説明する。つまり、アンドープGaN層102に形成された貫通穴をふさぐ実験の手順およびその結果について述べていく。
【0052】
図2は、本実施の形態の半導体装置100の製造方法の一例を示す工程断面図である。なお、以下の説明では、製造途中の半導体装置100のことを単に“デバイス”と記載する場合がある。
【0053】
まず、図2(a)に示すように、成長基板の一例である(0001)面配向したグラファイト基板110の上に、GaN低温バッファ層101を有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)にて結晶成長する。ここで、GaN低温バッファ層101の膜厚は、平坦成長時において20nm相当としている。何も処理を施していないグラファイト基板上には他原子の吸着が起こりにくいため、図2(a)に示すように、GaN低温バッファ層101は島状に形成される。
【0054】
引き続き、MOCVD法を用いて、厚さ0.5μm相当のアンドープGaN層102を結晶成長する。ここで、図2(a)では、2ヶ所の貫通穴111がある例を示しており、貫通穴111では、下地のグラファイト基板110が露出している。なお、本実験では、本実施の形態の方法の有効性を確認するために、わざと貫通穴の多い試料を作製している。
【0055】
次に、本デバイスに対し、図2(b)に示すように、蒸着法又はスパッタ法などにより、厚さ200nmのアルミニウム層103を蒸着し、引き続き、厚さ200nmの白金および厚さ300nmの金を上部電極104として蒸着する。ここで、図2(b)に示すように、2ヶ所あった貫通穴111は、アルミニウム層103によって埋められている。
【0056】
引き続き、図2(c)に示すように、以上のようにして結晶成長させた窒化物半導体(GaN低温バッファ層101およびアンドープGaN層102)および金属(アルミニウム層103および上部電極104)の積層構造のデバイスを、下地のグラファイト基板110から剥離する。剥離は、例えば、グラファイト基板110を物理的に引っ張ることで、非常に簡単に行うことができる。これは、グラファイトの(0001)面表面には、炭素のπ電子が垂直に対称性良く分布しているため、他の原子とあまり強固な吸着が起こらないためである。
【0057】
したがって、剥離したグラファイト基板110には、窒化物半導体は付着しておらず、また上の金属層も付着していない。これは、グラファイトへの吸着エネルギーよりも、金属同士あるいは窒化物半導体同士の吸着エネルギーが遙かに大きいためである。剥離したグラファイト基板110は、原子層オーダにて平坦性を保持しているため、再び結晶成長に用いることが可能である。このようにグラファイト基板110を再利用することができるので、本実施の形態の半導体装置100の製造コストを低くすることができる。
【0058】
次に、図2(c)にて示した積層構造のデバイスに対し、選択酸化処理を行う。ここでは酸化装置として、ランプ加熱の急速熱アニール装置を用いている。酸化条件としては、使用ガスを酸素ガスとし、流量10slm、1気圧、アニール温度500℃である。ここではアニール時間を15分とした。アニール温度についてであるが、450℃〜550℃が適切であることが知られている。この温度範囲よりも低いと酸化速度が非常に遅く、逆に高い場合は、アルミニウムが軟化してしまい、上部の上部電極104が破れてしまうなどの問題が発生する。
【0059】
アルミニウムは酸化しやすい物質であり、酸化すると非常に絶縁性の高いアルミナとなる。したがって、図2(d)に示すように、酸化によって得られたアルミナからなる絶縁領域106が形成される。
【0060】
なお、図2(d)に示すように、貫通穴111から露出された部分のみアルミナに変化している。これは、アルミニウム層103のうち、貫通穴111に形成された領域のみが酸素に暴露されるためである。アルミニウム層103においてアンドープGaN層102と接触している領域は、アンドープGaN層102が障壁となるため、酸化されない。さらに、アルミニウム層103の上部電極104は、白金および金によって構成されているため、これらも酸素暴露による酸化は発生しない。その結果、貫通穴111から露出した部分のみ酸化され、図2(d)に示すように、アルミナからなる絶縁領域106が形成される。
【0061】
さらに、図2(e)に示すように、蒸着法又はスパッタ法などを用いて、裏面から電極金属を蒸着することで、裏面電極105を形成する。裏面電極105は、本実験では、厚さ200nmのアルミニウム、厚さ200nmの白金、厚さ300nmの金の順に蒸着している。以上の手順によって本実験検証に用いる半導体装置100が完成した。
【0062】
以上のように、デバイスを裏面側から化学変化を施すので、裏面電極105と接触する領域(貫通穴111内のアルミニウム層103の裏面側に露出した領域)を、より確実に絶縁化することができる。
【0063】
続いて、以上の製造方法により製造された本実施の形態の半導体装置100を評価した結果を示す。
【0064】
次に、図3に、電子顕微鏡によって本実施の形態の半導体装置100を観察した写真を示す。図3(a)は、グラファイト基板110上に結晶成長した試料(図2(a)に示すデバイス)の上面電子顕微鏡写真である。図3(a)を見て分かるように、無数の六角錐状の単結晶アイランドがあり、それらがお互いにつながっていることが分かる。
【0065】
また図3(b)は、結晶成長直後にグラファイト基板110を剥離した後の試料を、試料裏面(グラファイト基板)側から観察したものである。図3(b)を見て明らかなように、GaN低温バッファ層101およびアンドープGaN層102が灰色の領域として見えており、一方、その間の黒い領域は貫通穴111として見えている。このように図3(b)より、本試料は、非常に貫通穴の多い試料となっていることが分かる。
【0066】
次に、図3(c)は、本実験手順においてグラファイト基板の剥離まで行った試料(図2(c)に示すデバイス)を、裏面から観察した電子顕微鏡像である。図3(b)において見えていた黒い貫通穴111は全て消失しており、その代わり、白っぽい領域が見られる。これは、貫通穴111にアルミニウム層103が入り込んだものが裏面より見えているためである。このように、全ての貫通穴111へ効率よくアルミニウムを配置することができている。また、図3(c)において、黒い粒状のものが見られるが、これは下地のグラファイト基板110が一部付いているためであり、これらは貫通穴ではない。
【0067】
次に、図3(d)は、選択酸化を行った後の試料(図2(d)に示すデバイス)の裏面からの電子顕微鏡像である。図3(c)において見られた白っぽい領域のコントラストが低くなり、周囲の窒化物半導体領域のコントラストに近くなっている。これらの変化は、図3(c)および図3(d)の一部をそれぞれ拡大した、図3(e)および図3(f)を見るとよく分かる。
【0068】
図3(e)において矢印により示される白っぽい領域は、貫通穴を介してアルミニウム層103が裏面に露出している部分である。これに選択酸化を行うと、図3(f)の矢印にて示されるように、コントラストが劇的に低下する。これは、アルミニウムが酸化されてアルミナとなったためである。すなわち、アルミナ化することで密度が低下し、なおかつ電子濃度も低下するために、電子顕微鏡観察における反射電子の飛来数が減少する結果、コントラストが低下したためである。一方、窒化物半導体の領域は選択酸化前後においてもコントラストは変化しておらず、窒化物半導体に対しては酸化が発生していないことが分かる。
【0069】
このように、本実施の形態では、上述の選択酸化技術により、貫通穴111より露出したアルミニウムのみを酸化することができ、酸化された領域を絶縁化することができた。また、図3(d)において、黒い粒状に見られるグラファイトの残滓は、図3(c)に比べてかなり減少している。これは、アニール時に炭素が酸素と結合した結果、二酸化炭素あるいは一酸化炭素のガスとして除去されたものと考えられる。
【0070】
次に、図4に、本実施の形態の半導体装置100の電流−電圧特性を測定した結果を示す。なお、図4に示す電流−電圧特性は、上部電極104と裏面電極105との間に電圧を印加したときに流れる電流を示している。
【0071】
図4に示すように、熱酸化しなかった場合の電流−電圧特性(“熱酸化なし”)は、縦軸とほとんど重なっており、貫通穴111のアルミニウムを介して短絡してしまっていることがわかる。一方、熱酸化を行った場合の電流−電圧特性(“熱酸化あり”)は、カーブの傾きが非常に小さくなり、高抵抗化していることが分かる。これは、貫通穴111のアルミニウムが酸化により絶縁化された結果、短絡によるリークパスがなくなったためと考えられる。
【0072】
図3(a)および図3(b)を見て明らかなように、本試料は、非常に貫通穴が多いにもかかわらず、非常にうまく短絡を防止していることが分かる。なお、図4において、“熱酸化あり”の試料では、4Vあたりから電流値が非線形に増大しているが、これは窒化物半導体中を電流が通っているためであると考えられる。
【0073】
以上より、本実施の形態の技術によって貫通穴による短絡を効率よくなくすことができることが実証された。また、本実施の形態の技術は表面および裏面蒸着の工程の間に酸化処理工程を足すだけであるため、プロセスへの負担が少なく、なおかつ非常に汎用性に富む技術である。
【0074】
なお、本実施の形態では、意図せず不規則に散在して形成された貫通穴に絶縁領域を形成する方法について説明したが、これに限らず、意図して形成した貫通穴に絶縁領域を形成してもよい。
【0075】
また、ここでは、酸素との化学変化による絶縁化について示したが、窒化による絶縁化も可能である。たとえば、窒化による絶縁化は、ジメチルヒドラジンなどといったヒドラジン系化合物を導入しつつ加熱することで実現される。すなわち、ヒドラジン系化合物の熱分解によって発生した原子状窒素と貫通穴より露出しているアルミニウムとが化学反応し、窒化アルミニウムとなることで、貫通穴の短絡を防止することが可能となる。このとき、ヒドラジン系化合物による窒化物半導体への影響は、ほとんどないことも特徴である。
【0076】
また、酸化および窒化以外の金属の絶縁化として、金属と化学反応し、なおかつ絶縁化するものとして、ハロゲン系ガスを利用することが挙げられる。特に、フッ素は反応性が高く、フッ化後は様々な元素において非常に安定な絶縁体を形成する場合が多い。
【0077】
しかしながら、窒化物半導体をフッ素暴露した場合、窒化物半導体の中にフッ素が入り込み、トラップ準位を形成してしまうという問題点がある。図5は、GaN上にAl組成25%で厚さ40nmのAlGaN層を成膜した試料を3フッ化窒素(NF3)ガスに暴露した場合のフッ素濃度プロファイルである。NF3ガスの暴露時間は30分とし、温度を室温(約25℃)および350℃としている。
【0078】
図5に示すように、室温ではフッ素が窒化物半導体中にほとんど入り込んでいないのに対し、350℃では非常に多くのフッ素が入り込んでおり、濃度として3E20/cm3にも達している。この劇的な違いは、NF3の熱分解温度によって説明できる。NF3の熱分解温度は約300℃であり、その温度以下では、フッ素はほとんど遊離しない。
【0079】
一方、300℃以上に熱するとNF3は熱分解を起こし、原子状フッ素が遊離される。原子状フッ素は原子半径が小さいため、窒化物半導体中に容易に入り込むと考えられる。このように、フッ素が原子状に遊離すると、容易に窒化物半導体中へ入り込むことが分かっている。
【0080】
また、窒化物半導体中のフッ素であるが、350℃では窒化物半導体の結晶構造は熱的に変化しないことから、格子間に存在しているものと考えられる。GaNの格子間位置にフッ素が存在する場合の電子状態を第一原理的に調べた結果が、図6のグラフである。
【0081】
図6では、格子間フッ素の荷電状態を変えて系の全エネルギーを計算し、電子の化学ポテンシャル(図6では横軸)を変化させた際の安定性を調べている。図6では、エネルギーの低い方が安定であることを意味している。
【0082】
図6より、電子化学ポテンシャルが変化するに従って最低エネルギーを与える荷電状態qが変化することが分かる。電子化学ポテンシャルが価電子上端(EVBM)近傍にある場合、+2の荷電状態が最安定となる。このことはすなわち、フッ素から電子が2個ホスト側へ提供されたことを意味している。
【0083】
次に、電子化学ポテンシャルが禁制帯幅の0.2あたりに来ると、荷電状態が0の場合が最安定となる。このとき、フッ素は電気的に中性であることを意味している。さらに電子化学ポテンシャルが上昇していくと、−1の荷電状態が最安定となる。これはすなわち、フッ素がホスト側から電子を1個受け取ることを意味している。
【0084】
以上より、格子間フッ素は、電子過剰状態(n型)では電子を捕獲し、正孔過剰状態(p型)では正孔を捕獲(電子を提供)することが分かる。これはすなわち、キャリアのトラップとして働くことを意味する。フッ素を用いた短絡防止技術を特に光デバイスへ応用する場合、非発光再結合中心となってしまうため、発光効率を著しく低下させてしまうことになる。そのため、絶縁化させる場合にはフッ素系ガスは不向きである。
【0085】
また、金属を化学反応させる元素として、炭素やシリコンがあるが、これらは大抵導体となってしまうため不向きである。炭素やシリコンはイオン性が小さく、ほとんど共有結合のみによって金属と結合するため、禁制帯幅が開かないことが原因である。
【0086】
以上のことから、本実施の形態では、絶縁化を起こす化学変化として、酸化、又は窒化が望ましい。
【0087】
(実施の形態2)
本実施の形態の半導体装置は、タンデム型太陽電池であって、2つの電極間に、窒化物半導体の多層膜で構成され、短波長の光を吸収する太陽電池と、アモルファス半導体の多層膜で構成され、長波長の光を吸収する太陽電池とが積層された構造を有する。さらに、窒化物半導体には貫通穴が形成されており、この貫通穴内には、アモルファス半導体が化学変化されて絶縁化した絶縁領域が形成されている。以下では、まず、本実施の形態のタンデム型太陽電池である半導体装置の構造について、図7を用いて説明する。
【0088】
図7は、本実施の形態の半導体装置200の構造の一例を示す断面図である。半導体装置200は、タンデム型太陽電池であって、AlN層201と、p型AlGaN/GaN超格子層202と、アンドープInGaN層203と、n型AlGaN/GaN超格子層204と、p型水素化アモルファスシリコン層205と、アンドープ水素化アモルファスシリコン層206と、n型水素化アモルファスシリコン層207と、上部電極208と、裏面電極209と、電極コンタクト210とを備える。また、図7に示すように、AlN層201と、p型AlGaN/GaN超格子層202と、アンドープInGaN層203と、n型AlGaN/GaN超格子層204とを貫通する貫通穴が形成されている。そして、貫通穴には、AlN層201の下面側に絶縁領域211が形成されている。なお、半導体装置200では、AlN層201などの成長に用いる成長基板は、剥離されている。
【0089】
AlN層201は、成長基板との格子不整合を緩和するためなどに用いられるバッファ層の一例であって、例えば、厚さ20nmの窒化アルミニウム(AlN)から構成される。
【0090】
p型AlGaN/GaN超格子層202は、AlN層201上に形成された正孔過剰な半導体層の一例であって、例えば、20周期のp型AlGaN/GaN超格子層である。Al組成比は、例えば、20%である。また、AlGaN層とGaN層との厚さはそれぞれ、例えば、5nmと8nmである。なお、AlGaN層およびGaN層をp型半導体にするため、それぞれの層には、マグネシウム(Mg)がドーピングされている。ドーピング濃度は、例えば、1E19/cm3である。
【0091】
アンドープInGaN層203は、p型AlGaN/GaN超格子層202上に形成された光吸収層の一例であって、入射した光を吸収し、電子および正孔を生成する。生成した電子は、n型AlGaN/GaN超格子層204に移動し、生成した正孔は、p型AlGaN/GaN超格子層202に移動する。アンドープInGaN層203の厚さは、例えば、300nmである。また、In組成比は、例えば、25%である。
【0092】
n型AlGaN/GaN超格子層204は、アンドープInGaN層203上に形成された電子過剰な半導体層の一例であって、例えば、20周期のn型AlGaN/GaN超格子層である。Al組成比は、例えば、10%である。また、AlGaN層とGaN層との厚さはそれぞれ、例えば、3nmと8nmである。なお、AlGaN層およびGaN層をn型半導体にするため、それぞれの層には、シリコン(Si)がドーピングされている。ドーピング濃度は、例えば、3E18/cm3である。
【0093】
なお、AlN層201、p型AlGaN/GaN超格子層202、アンドープInGaN層203、およびn型AlGaN/GaN超格子層204が、タンデム型太陽電池を構成する1つの太陽電池層である窒化物半導体の多層膜の一例である。
【0094】
p型水素化アモルファスシリコン層205は、n型AlGaN/GaN超格子層204上に形成された正孔過剰なアモルファス半導体層の一例であって、例えば、厚さ200nmである。なお、水素化アモルファスシリコン層をp型半導体にするため、ボロン(B)がドーピングされている。
【0095】
アンドープ水素化アモルファスシリコン層206は、p型水素化アモルファスシリコン層205上に形成された光吸収層の一例であって、入射した光を吸収し、電子および正孔を生成する。このとき、アンドープ水素化アモルファスシリコン層206は、アンドープInGaN層203が吸収する光の波長とは異なる波長の光を吸収する。また、生成した電子は、n型水素化アモルファスシリコン層207に移動し、生成した正孔は、p型水素化アモルファスシリコン層205に移動する。アンドープ水素化アモルファスシリコン層206の厚さは、例えば、1μmである。
【0096】
n型水素化アモルファスシリコン層207は、アンドープ水素化アモルファスシリコン層206上に形成された電子過剰なアモルファス半導体層の一例であって、例えば、厚さ200nmである。なお、水素化アモルファスシリコン層をn型半導体にするため、リン(P)がドーピングされている。
【0097】
なお、p型水素化アモルファスシリコン層205、アンドープ水素化アモルファスシリコン層206、およびn型水素化アモルファスシリコン層207が、タンデム型太陽電池を構成する1つの太陽電池層であるアモルファス半導体の多層膜の一例である。
【0098】
上部電極208は、n型水素化アモルファスシリコン層207上に形成された導電層であって、例えば、厚さ100nmのアルミニウム、厚さ200nmの白金、厚さ300nmの金が積層された多層膜である。
【0099】
裏面電極209は、成長基板を剥離した後にAlN層201の裏面に形成された導電性膜である。なお、本実施の形態の半導体装置200では、裏面側から光が入射するので、裏面電極209は、光透過性を有する。例えば、裏面電極209は、厚さ10nmの酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)である。なお、裏面電極209は、酸化インジウム亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)でもよい。
【0100】
電極コンタクト210は、裏面電極209の下面の所定の領域に形成された導電層であって、例えば、金などの金属から構成される。なお、本実施の形態の半導体装置200では、裏面側から光が入射するので、入射光をできるだけ遮らないように形成される。
【0101】
絶縁領域211は、貫通穴内に形成された絶縁領域であって、水素化アモルファス半導体層が化学変化して絶縁化された領域である。例えば、絶縁領域211は、酸化シリコン、又は窒化シリコンである。
【0102】
以上の構成に示すように、本実施の形態の半導体装置200は、タンデム型太陽電池であって、窒化物半導体からなる太陽電池とアモルファスシリコンからなる太陽電池とが積層した構造を有する。そして、窒化物半導体の層には、貫通穴が形成されており、この貫通穴には、アモルファスシリコンの層が埋め込まれている。そして、埋め込まれたアモルファスシリコン層が酸化された絶縁領域211が形成されている。
【0103】
このように、アモルファスシリコン層と裏面電極209との間には絶縁領域211が形成されているので、太陽電池としての性能の劣化を低減することができる。
【0104】
続いて、本実施の形態の半導体装置200の製造方法について、図8を用いて説明する。なお、以下の説明では、製造途中の半導体装置200のことを単に“デバイス”と記載する場合がある。
【0105】
図8は、本実施の形態の半導体装置200の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【0106】
まず、図8(a)に示すように、MOCVD法によってグラファイト基板220上に窒化物半導体を成長させる。具体的には、AlN層201、p型AlGaN/GaN超格子層202、アンドープInGaN層203、n型AlGaN/GaN超格子層204を順次結晶成長していく。
【0107】
まず、グラファイト基板220上に、厚さ20nmのAlN層201を成長した後、引き続き、20周期のp型AlGaN/GaN超格子層202を成長する。AlGaNのAl組成比は20%であり、AlGaNおよびGaNの膜厚はそれぞれ、5nmおよび8nmである。また、p型化のためにMgを添加しており、Mg濃度は、1E19/cm3である。なお、このとき、p型AlGaN/GaN超格子層202は、1〜2E18/cm3程度の正孔を生成する。
【0108】
次に、厚さ300nmでIn組成比が25%のアンドープInGaN層203を成長した後、20周期のn型AlGaN/GaN超格子層204を成長する。AlGaNのAl組成比は10%であり、AlGaNおよびGaNの膜厚はそれぞれ、3nmおよび8nmである。また、n型化のためにSiを添加しており、Si濃度は3E18/cm3である。
【0109】
なお、図8(a)では、カバレッジ不良のために2ヶ所の貫通穴221が形成されているものとして図示している。
【0110】
次に、窒化物半導体層の上に水素化アモルファス半導体膜を成長していく。具体的には、p型水素化アモルファスシリコン層205、アンドープ水素化アモルファスシリコン層206、n型水素化アモルファスシリコン層207を順次成長していく。
【0111】
図8(b)において、まず、厚さ200nmのp型水素化アモルファスシリコン層205を成膜した後、厚さ1μmのアンドープ水素化アモルファスシリコン層206を成膜する。そして、最後に厚さ200nmのn型水素化アモルファスシリコン層207を成膜する。ここで、アモルファス半導体層のn型化およびp型化のためのドーパントとして、それぞれ、PおよびBを用いている。
【0112】
このように水素化アモルファス半導体膜を成長させることで、図8(b)に示すように、2つの貫通穴はアモルファスシリコンによって埋められた形状となっている。つまり、p型水素化アモルファスシリコン層205は、貫通穴221を介してグラファイト基板220に接している。
【0113】
さらに、図8(c)に示すように、n型水素化アモルファスシリコン層207の上に上部電極208を形成する。具体的には、下層から順に、厚さ100nmのアルミニウム、厚さ200nmの白金、厚さ300nmの金となるように、スパッタ法、または蒸着法などにより、各金属を全面蒸着する。ここで、アルミニウムは可視光領域において高い反射率を有しているため、裏面電極209側から入射した透過光を反射することにより、さらに、アンドープInGaN層203およびアンドープ水素化アモルファスシリコン層206などの光吸収層を透過させることができる。このように、上部電極208は、光電変換効率を向上させる働きも有する。
【0114】
そして、図8(d)に示すように、成長基板であるグラファイト基板220を剥離する。剥離については前述の通りで、窒化物半導体を簡単にグラファイト基板から分離することができる。
【0115】
次に、図8(e)に示すように、貫通穴による短絡を防ぐために、絶縁領域211を形成する。ここでは、裏面側に露出した水素化アモルファス半導体層の絶縁化、例えば、選択酸化を行う。図8(e)に示す例では、貫通穴221内のp型水素化アモルファスシリコン層205とアンドープ水素化アモルファスシリコン層206とが酸化される。特に、p型水素化アモルファスシリコン層205の領域のうち、少なくとも裏面側に露出している領域は酸化される。
【0116】
アモルファスシリコンを熱酸化する場合、1000℃程度の高熱を要するため、下地のアンドープInGaN層203に対して熱的劣化が引き起こされてしまう。そのため、熱を用いない酸化プロセスが必要である。
【0117】
ここでは、一例として、陽極酸化法を用いている。具体的には、リン酸水溶液中で、図8(d)に示すデバイスを陽極とし、白金を対抗電極(陰極)として用いる。このとき、リン酸水溶液には、デバイスの裏面のみが曝露される。
【0118】
そして、通電することで、貫通穴から裏面側に露出している水素化アモルファスシリコン層を選択酸化する。ここでは、窒化物半導体層を陽極酸化させず、水素化アモルファスシリコン層のみを選択的に陽極酸化させるため、例えば、黄色の光(波長:570〜590nm)を照射しながら陽極酸化を行なっている。これは、水素化アモルファスシリコンの禁制帯幅が約1.8eVであることから、赤色よりも短波長の光を吸収できるためである。
【0119】
これにより、水素化アモルファスシリコン層のみに電子正孔対を発生させることにより、効率よく液面との正孔受け渡しが実現できる結果、貫通穴に露出している水素化アモルファスシリコン層を陽極酸化することができる。陽極酸化の結果、露出部は酸化シリコンとなって絶縁化される。このようにして、絶縁領域211が形成される。
【0120】
一方、窒化物半導体も同様に陽極酸化されることが懸念されるが、窒化物半導体層は黄色の光を吸収できないため、電子正孔対が生成されない。なぜならば、窒化物半導体層の禁制帯幅は、黄色光の光子エネルギーよりも十分に大きいためである。そのため、水素化アモルファスシリコン層に比べて正孔の受け渡しはほとんど起こらないため、酸化されることはない。
【0121】
このように、陽極酸化法と照射光の波長選択とによって、貫通穴から露出している部分のみを選択的に酸化させることができる。
【0122】
最後に、図8(f)に示すように、裏面へ厚さ10nmのITOを蒸着することで裏面電極209を形成する。さらに、シャドウマスクを用いることで、裏面電極209の所定の領域に電極コンタクト210を形成する。
【0123】
以上の工程を経て、薄膜窒化物タンデム太陽電池である半導体装置200を製造することができる。
【0124】
以上のように、本実施の形態の半導体装置200では、窒化物半導体の成膜時に形成される貫通穴に絶縁領域を形成することで、上部電極と裏面電極との間の通電を防止する。絶縁領域は、窒化物半導体上に成膜するアモルファス半導体のうち、貫通穴内にも形成された領域を化学変化により絶縁化することで形成される。
【0125】
(実施の形態3)
本実施の形態の半導体装置は、発光ダイオードなどの発光素子であって、2つの電極間に、窒化物半導体で構成された発光層が形成されている。さらに、窒化物半導体には貫通穴が形成されており、この貫通穴内には、上部電極が化学変化されて絶縁化した絶縁領域が形成されている。以下では、まず、本実施の形態の発光素子である半導体装置の構造について、図9を用いて説明する。
【0126】
図9は、本実施の形態の半導体装置300の構造の一例を示す断面図である。半導体装置300は、発光ダイオードなどの発光素子であって、GaN低温バッファ層301と、p型GaN層302と、InGaN活性層303と、GaN層304と、AlGaN層305と、n型GaN層306と、アルミニウム層307と、上部電極308と、裏面電極309と、電極コンタクト310とを備える。
【0127】
なお、GaN低温バッファ層301と、p型GaN層302と、InGaN活性層303と、GaN層304と、AlGaN層305と、n型GaN層306とを含む半導体層には貫通穴が形成されており、貫通穴内には絶縁領域311が形成されている。なお、半導体装置300では、GaN低温バッファ層301などの成長に用いる成長基板は、剥離されている。
【0128】
GaN低温バッファ層301は、成長基板上に島状に形成された半導体層であって、例えば、厚さ20nmの低温で成長させたGaN層である。なお、GaN低温バッファ層301の厚さは、平坦成長時の厚さであって、図9に示すように島状に成長した場合、厚さは少し異なっている。
【0129】
p型GaN層302は、成長基板およびGaN低温バッファ層301上に形成された正孔過剰な半導体層の一例であって、例えば、厚さ1μmのp型GaN層から構成される。なお、GaN層をp型半導体にするため、Mgがドーピングされている。ドーピング濃度は、例えば、1E19/cm3である。なお、図9に示すように、GaNの(1−101)面を斜面とする六角錐として形成される。
【0130】
InGaN活性層303は、p型GaN層302上に形成される活性層であって、電子と正孔とが再結合することで発光する。InGaN活性層303は、例えば、厚さ200nmのInGaN層から構成される。なお、図9に示すように、InGaN活性層303は、p型GaN層302の斜面である(1−101)面の方が、平坦面である(1000)面上より分厚く、かつ、In組成も大きい。
【0131】
GaN層304は、InGaN活性層303上に形成され、例えば、厚さ10nmのGaNから構成される。
【0132】
AlGaN層305は、GaN層304上に形成され、例えば、Al組成比が8%のAlGaNから構成される。(1000)面のAlGaNの厚さは約7nmであり、(1−101)面のAlGaNの厚さは約2nmである。
【0133】
n型GaN層306は、AlGaN層305上に形成された電子過剰な半導体層の一例であって、例えば、厚さ200nmのGaN層から構成される。
【0134】
アルミニウム層307は、n型GaN層306上に形成された導電性を有する層であって、例えば、厚さ200nmのアルミニウムから構成される。
【0135】
上部電極308は、アルミニウム層307上に形成された導電性を有する層であって、例えば、厚さ200nmの白金および厚さ300nmの金が積層された構造を有する。
【0136】
裏面電極309は、p型GaN層302の裏面に形成された導電性を有する層であって、例えば、厚さ10nmの酸化インジウムスズから構成される。なお、InGaN活性層303で発光した光を外に取り出すために、裏面電極309は光透過性を有する必要がある。
【0137】
電極コンタクト310は、裏面電極309に形成されたリブ状の電極であって、例えば、厚さ10nmのニッケル、厚さ50nmの白金、厚さ300nmの金が積層された構造を有する。
【0138】
絶縁領域311は、アルミニウム層307における貫通穴内に形成された領域のうち、裏面側に露出している領域であり、アルミニウム層307が化学変化して絶縁化された領域である。絶縁領域311は、例えば、アルミナから構成される。また、絶縁領域311は、裏面電極309と接している。
【0139】
以上の構成に示すように、本実施の形態の半導体装置300は、2つの電極間に形成された、窒化物半導体からなる発光層を備える発光素子である。発光層には、貫通穴が形成されており、この貫通穴には、上部電極308が埋め込まれている。そして、埋め込まれた上部電極が酸化された絶縁領域311が形成されている。
【0140】
このように、上部電極308と裏面電極309との間には絶縁領域311が形成されているので、電極間での短絡を防止することができる。
【0141】
続いて、本実施の形態の半導体装置300の製造方法について、図10を用いて説明する。なお、以下の説明では、製造途中の半導体装置300のことを単に“デバイス”と記載する場合がある。
【0142】
図10は、薄膜半極性面窒化物発光ダイオードに応用した場合の実施例である。
【0143】
まず、図10(a)に示すように、MOCVD法によってグラファイト基板320上に窒化物半導体を成長させる。具体的には、GaN低温バッファ層301、p型GaN層302、InGaN活性層303、GaN層304、AlGaN層305、n型GaN層306を順次結晶成長していく。
【0144】
まず、グラファイト基板320上に、厚さ20nm(平坦成長換算時)のGaN低温バッファ層301を成長する。このとき、上述したようにグラファイトと他原子との吸着は起こりにくいため、グラファイト基板320上にはGaN低温バッファ層301は、島状に存在する。
【0145】
次に、引き続き、グラファイト基板320およびGaN低温バッファ層301上に、約1μmのp型GaN層302を成長する。なお、p型化にはMgを添加しており、Mg濃度は1E19/cm3である。このとき、GaN結晶のグレインサイズは1μm程度であり、なおかつアンモニア(NH3)流量を下げているため、p型GaN層302は互いにあまり癒合せず、(1−101)面を斜面とする六角錐として形成される。
【0146】
次に、発明者が特願2008−291544号において開示したように、トリエチルアミンを用いて、p型GaN層302上にInGaN活性層303を結晶成長する。このとき、特願2008−291544号にて開示したように、InGaN活性層303は、p型GaN層302の斜面である(1−101)面へ優先的に結晶成長される。発明者の実験によると、(1−101)面のInGaN成長速度は、(0001)面の3〜4倍程度増大し、インジウム組成も(0001)面に比べて1.5倍程度増大させることができる。
【0147】
次に、アンモニアを用いた単独成長によって、InGaN活性層303上に厚さ10nmのGaN層304を成長した後、Al組成比が8%のAlGaN層305を成長する。なお、(1−101)面におけるAlGaN成長速度は、(0001)面に比べておおよそ1/3程度しかないことが知られている。そのため、図10(a)で示したように、(0001)面上のAlGaNは厚く、7nmであるのに対して、(1−101)面のAlGaNは約2nmと薄くなる。
【0148】
さらに、AlGaN層305上に、約200nmのn型GaN層306を結晶成長する。なお、n型化のためにSiを添加しており、Si濃度は3E18/cm3である。本実施の形態の成長方法では六角錐を意図的に露出させる結果、カバレッジが劣るため、図10(a)に示すように1ヶ所の貫通穴321が開いているものとしている。
【0149】
次に、本デバイスに対して図10(b)に示すように、厚さ200nmのアルミニウムを蒸着することで、アルミニウム層307を形成する。引き続き、厚さ200nmの白金および厚さ300nmの金を蒸着することで上部電極308を形成する。
【0150】
さらに、図10(c)に示すように、グラファイト基板320をデバイスから剥離する。剥離方法については前述の通りで、グラファイト基板320と窒化物半導体層とを容易に分離することが可能である。
【0151】
さらに、図10(c)にて示したデバイスに対して、選択酸化処理を行う。具体的な酸化手順は、図2を用いて説明した通りである。すなわち、酸素ガスを用いたアニーリング法で、流量10slm、温度500℃、時間15分、圧力1atmとしている。この選択酸化の結果、アルミニウム層307のうち、貫通穴321から露出している部分は酸化され、図10(d)に示されるような酸化アルミニウムからなる絶縁領域311が形成される。
【0152】
さらに、図10(e)に示すように、デバイスの裏面側に裏面電極309を形成する。例えば、厚さ10nmの酸化インジウムスズ膜を蒸着することで、裏面電極309を形成する。そして、蒸着法又はスパッタ法などにより、シャドウマスクを用いてリブ状に電極コンタクト310を形成する。電極コンタクト310は、厚さ10nmのニッケル、厚さ50nmの白金および厚さ300nmの金の積層構造を有する。
【0153】
以上のようにして、本実施の形態の発光素子である半導体装置300が製造される。
【0154】
なお、ここでは、アルミニウムを選択酸化させる金属材料として書いているが、n型GaN層306と低い抵抗にて電気的接合の取れるチタン、ハフニウム、ジルコニウムを主成分とする金属材料であってもよい。ただし、これらの金属を用いた場合、熱酸化温度は高めとなり、約600℃が適切な温度条件となる。
【0155】
また、本実施の形態では、下側をp型、上側をn型とする半導体装置300について説明したが、下側をn型層とし、InGaN活性層303の上側をp型層としてもよい。この場合、p型層に対して低抵抗な接合を形成できるニッケル、パラジウム、あるいはそれらを主成分とする金属材料であることが望ましい。ニッケルおよびパラジウムは酸化物を形成することができ、それらは絶縁体として機能する。ニッケルは約600℃にて酸化されるが、パラジウムはさらに低温で、300℃近傍から熱酸化が開始される。ただし、パラジウムを使用する場合、水素による脆化に気を付ける必要がある。
【0156】
さらに、熱酸化の代わりに陽極酸化を用いる方法もある。例えば、アルミニウムに対してはリン酸やシュウ酸を混合したグリコール液に浸けて陽極酸化することで絶縁領域311が形成される。これにより、ポーラスアルミナの名で知られているように、良質かつ緻密な酸化物を形成することが可能である。
【0157】
以上のように、本実施の形態の半導体装置300では、窒化物半導体の成膜時に形成される貫通穴に絶縁領域を形成することで、上部電極と裏面電極との間の導電を防止する。絶縁領域は、窒化物半導体上に形成する上部電極のうち、貫通穴内にも形成された領域を化学変化により絶縁化することで形成される。
【0158】
以上、本発明の半導体装置およびその製造方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を当該実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0159】
例えば、各実施の形態では、成長基板上に成長させる半導体として、GaN、AlN、AlGaNおよびInGaNなどを用いて説明したが、その他の窒化物半導体でもよく、また、窒化物半導体以外の化合物半導体や単一元素からなる半導体でもよい。また、成長基板は、グラファイト基板に限らず、シリコンなどの半導体基板や、モリブデンなどの金属基板、又は、ガラス、石英、サファイヤ基板であってもよい。
【0160】
つまり、本発明は、貫通穴内部に埋め込まれた導電性又は半導電性(半絶縁性)を有する領域を化学変化することで絶縁化させる方法であって、どのような材料を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明の半導体装置およびその製造方法は、製造コストを上げることなく、かつ、歩留を劇的に向上させることができるという効果を奏し、発光素子、受光素子および太陽電池などの半導体装置およびその製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0162】
100、200、300 半導体装置
101、301 GaN低温バッファ層
102 アンドープGaN層
103、307 アルミニウム層
104、208、308 上部電極
105、209、309 裏面電極
106、211、311 絶縁領域
110、220、320 グラファイト基板
111、221、321 貫通穴
201 AlN層
202 p型AlGaN/GaN超格子層
203 アンドープInGaN層
204 n型AlGaN/GaN超格子層
205 p型水素化アモルファスシリコン層
206 アンドープ水素化アモルファスシリコン層
207 n型水素化アモルファスシリコン層
210、310 電極コンタクト
302 p型GaN層
303 InGaN活性層
304 GaN層
305 AlGaN層
306 n型GaN層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1主面および第2主面と、当該第1主面から当該第2主面までを貫通する貫通穴とを有する半導体膜と、
前記半導体膜の前記第1主面上および前記貫通穴内に形成された、導電性又は半導電性を有する第1膜とを備え、
前記第1膜における前記貫通穴内に形成された領域のうち、前記第2主面側に露出している領域は、化学変化により絶縁化されている
半導体装置。
【請求項2】
前記半導体膜は、不規則に散在した複数の前記貫通穴を有する
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記化学変化により絶縁化された領域の前記第2主面側への露出面の形状は、前記貫通穴の前記第2主面側への開口の形状に等しい
請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体膜の前記第2主面と、前記化学変化により絶縁化された領域の前記第2主面側への露出面とは、平坦である
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記化学変化は、前記第2主面側から施されている
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記化学変化は、酸化又は窒化である
請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置は、さらに、
前記半導体膜の前記第2主面上に形成された、導電性を有する第2膜を備える
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体膜は、前記第2主面側から順に、第1導電型の半導体、アンドープ半導体、および、前記第1導電型とは異なる第2導電型の半導体が積層した多層膜であり、
前記第1膜は、前記半導体膜の前記第1主面上に、前記第1導電型のアモルファス半導体、アンドープアモルファス半導体、および、前記第2導電型のアモルファス半導体が順に積層した多層膜であり、
前記貫通穴内に形成された前記第1導電型のアモルファス半導体のうち前記第2主面側に露出している領域は、化学変化により絶縁化されており、
前記化学変化により絶縁化された領域と前記第2膜とは、接している
請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体膜は、第1導電型の半導体と、前記第1導電型とは異なる第2導電型の半導体とが積層した多層膜である
請求項7記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1膜は、シリコン、水素化アモルファスシリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニッケル、およびパラジウムのいずれかを主成分とする
請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体膜は、窒化物半導体である
請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体膜の前記第1主面は、(0001)面である
請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
半導体装置の製造方法であって、
基板上に、互いに対向する第1主面と第2主面とを有する半導体膜を、前記基板と前記第2主面とが接するように成膜する半導体膜成膜ステップを含み、
前記半導体膜成膜ステップで成膜された半導体膜には、前記第1主面から前記第2主面までを貫通する貫通穴が形成されており、
前記半導体装置の製造方法は、さらに、
前記半導体膜の前記第1主面上および前記貫通穴内に、導電性又は半導電性を有する第1膜を形成する第1膜形成ステップと、
前記基板を前記半導体膜の前記第2主面から剥離する基板剥離ステップと、
前記半導体膜の前記第2主面側から、前記貫通穴内に形成された第1膜を化学変化させることで、前記貫通穴内に形成された第1膜の領域のうち、少なくとも前記第2主面側に露出した領域を絶縁化する絶縁化ステップとを含む
半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記半導体装置の製造方法は、さらに、
前記絶縁化ステップの後に、前記半導体膜の前記第2主面上に、導電性を有する第2膜を形成する第2膜形成ステップを含む
請求項13記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−267940(P2010−267940A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120403(P2009−120403)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】