説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】貫通電極とパッド電極との接続信頼性を高める。
【解決手段】一方の面と、前記一方の面と対向する他方の面とを有する半導体基板と、前記半導体基板の前記一方の面に設けられた絶縁膜と、前記半導体基板と前記絶縁膜とを貫通する貫通孔と、前記貫通孔の内壁に設けられ、平面視において前記貫通孔と重なる位置に接続孔を有する樹脂膜と、前記絶縁膜上に設けられ、平面視において前記貫通孔と重なる位置に第1凹部を有する配線層と、前記配線層に接続され、前記第1凹部内と前記樹脂膜を介して前記貫通孔内とに設けられた貫通電極とを含む半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元実装技術として、半導体基板に貫通電極を形成する技術が一般的に知られている。貫通電極は、半導体基板に貫通孔を形成し、貫通孔に貫通電極を設けることで形成される。また、貫通電極と半導体基板との間には、絶縁性を確保するために、シリコン酸化膜を設けることが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−128353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では貫通電極と半導体基板の貫通孔との間にシリコン酸化膜を形成しているが、このシリコン酸化膜の代わりに樹脂を用いることも考えられる。この場合、半導体装置に熱変化、特に冷却されて低温となった場合に、樹脂は半導体基板および貫通電極と比べて大きく収縮する。樹脂の収縮によって、貫通電極に負荷が掛かってしまう。その結果、貫通電極と面接続している配線との間の接続面を剥離する方向に負荷が発生する。最悪の場合には接続面の剥離、すなわち電気的な導通が取れなくなってしまう。しかし、樹脂はコスト削減には有効であり、上記の課題解決が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも上述の課題の一つを解決するように、下記の形態または適用例として実現され得る。
【0006】
〔適用例1〕本適用例の半導体装置は、一方の面と、前記一方の面と対向する他方の面とを有する半導体基板と、前記半導体基板の前記一方の面に設けられた絶縁膜と、前記半導体基板と前記絶縁膜とを貫通する貫通孔と、前記貫通孔の内壁に設けられ、平面視において前記貫通孔と重なる位置に接続孔を有する樹脂膜と、前記絶縁膜上に設けられ、平面視において前記貫通孔と重なる位置に第1凹部を有する配線層と、前記配線層に接続され、前記第1凹部内と前記樹脂膜を介して前記貫通孔内とに設けられた貫通電極とを含むことを特徴とする。
【0007】
上述の適用例によれば、配線層に接続され、第1凹部内と樹脂膜を介して貫通孔内とに設けられた貫通電極を含む。このため、半導体装置に熱ストレスがかかり、貫通電極と第1配線層との接続面の周辺に位置する樹脂膜の熱収縮による変形(変位)が生じても、貫通電極と配線層との接続面の剥離を抑制することができる。その結果、貫通電極と配線層との接続信頼性を高めることができる。
【0008】
〔適用例2〕上述の適用例において、前記配線層は、さらに、第2凹部を有し、前記貫通電極は、前記第1凹部と、前記第2凹部と、前記樹脂膜を介して前記貫通孔とに設けられていることを特徴とする。
【0009】
上述の適用例によれば、貫通電極は第1凹部と、第2凹部と、樹脂膜を介して貫通孔内とに設けられている。そのため、貫通電極と配線層との接続面の剥離を、より抑制することができる。
【0010】
〔適用例3〕上述の適用例において、前記配線層は、前記絶縁膜上に形成された第1バリア膜と、前記第1バリア膜上に形成された金属膜と、前記金属膜上に形成された第2バリア膜と、を有し、前記第1凹部に設けられた前記貫通電極の一部は、前記金属膜と直接接していることを特徴とする。
【0011】
上述の適用例によれば、第1凹部に設けられた貫通電極の一部が金属膜と直接接している。そのため、貫通電極と配線層との接続信頼性をより高めることができる。
【0012】
〔適用例4〕上述の適用例において、前記金属膜は、Al膜を有し、前記半導体基板は、シリコン基板であり、前記樹脂膜は、エポキシ樹脂またはポリイミドであり、前記貫通電極は、CuまたはAuであることを特徴とする。
【0013】
〔適用例5〕本適用例の半導体装置の製造方法は、半導体基板の一方の面に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に配線層を形成する工程と、前記半導体基板に第1貫通孔を形成する工程と、前記絶縁膜に第2貫通孔を形成する工程と、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とで構成される貫通孔によって露出する前記配線層に、第1開口を有するマスクを形成する工程と、前記マスクを用いて、前記配線層に第1凹部を形成する工程と、前記マスクを除去する工程と、前記貫通孔の側壁に、平面視において前記第1凹部と重なる接続孔を有する樹脂膜を形成する工程と、前記第1凹部内と前記樹脂膜を介して前記貫通孔内とに、貫通電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
上述の適用例によれば、第1凹部内の樹脂膜を介して、貫通孔内とに貫通電極を形成する工程を含む。このため、半導体装置に熱ストレスがかかり、樹脂膜の熱収縮による変形(変位)が生じても、貫通電極と配線層との接続面の剥離を抑制することができる。その結果、貫通電極と配線層との接続面の剥離を抑止できるため、貫通電極と配線層との接続信頼性を高めることができる。
【0015】
〔適用例6〕上述の適用例において、前記樹脂膜に前記マスクを形成する工程において、さらに、前記マスクに第2開口部が形成され、前記配線層に前記第1凹部を形成する工程において、前記マスクを用いて、さらに、前記配線層に第2凹部が形成され、前記貫通電極を形成する工程において、前記貫通電極は、前記第1凹部内と、前記第2凹部内と、前記樹脂膜を介して前記貫通孔内とに形成されることを特徴とする。
【0016】
上述の適用例によれば、貫通電極は第1凹部内と、第2凹部内と、樹脂膜を介して貫通孔とに形成される。そのため、貫通電極と配線層との接続面の剥離を、より抑制することができる。
【0017】
〔適用例7〕上述の適用例において、前記配線層は、前記絶縁膜上に形成された第1バリア膜と、前記第1バリア膜上に形成された金属膜と、前記金属膜上に形成された第2バリア膜とを有し、前記第1凹部に設けられた前記貫通電極の一部は、前記金属膜と直接接していることを特徴とする。
【0018】
上述の適用例によれば、貫通電極は、配線層に有する凹部の底部に露出した金属膜と直接接するように形成されるため、貫通電極と配線層との接続信頼性をより高めることができる。
【0019】
〔適用例8〕上述の適用例において、前記配線層は、Al膜を有し、前記半導体基板は、シリコン基板であり、前記樹脂膜は、エポキシ樹脂またはポリイミドであり、前記貫通電極は、CuまたはAuであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態を示す概略断面図。
【図2】実施形態における凹部平面視形状の実施例を示す。
【図3】実施形態のフローチャートを示す。
【図4】実施形態における貫通電極接合部形成工程のフローチャートを示す。
【図5】実施形態の製造工程を示す概略断面図。
【図6】実施形態の製造工程を示す概略断面図。
【図7】実施形態の製造工程を示す概略断面図。
【図8】変形例を示す断面図。
【図9】変形例における凹部平面視形状の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
【0022】
(実施形態)
図1は、本実施形態における半導体装置の概要を示す部分断面図を示す。本実施形態の半導体装置100は、半導体基板10(以下、基板10という)を有する。基板10としては、シリコン基板などが用いられる。また、基板10は、一方の面10a(以下、表面10aという)と、一方の面10aと対向する他方の面10b(以下、裏面10b)とを有し、表面10aには、図示しないが、トランジスター等の素子が形成されている。
【0023】
基板10の表面10a上には、絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20は、無機膜、例えばシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜などが用いられる。
【0024】
基板10には、基板10を貫通する第1貫通孔が形成されている。また、絶縁膜20には、絶縁膜20を貫通する第2貫通孔が形成されている。即ち、基板10および絶縁膜20には、第1貫通孔および第2貫通孔から構成される貫通孔10cが形成されている。
【0025】
貫通孔10cの内壁と、基板10の裏面10b上とには、樹脂膜50が形成されている。樹脂膜50には、第1配線層31と後述する貫通電極40との電気的接続を行うために、接続孔50aが形成されている。樹脂膜50としては、エポキシ樹脂、ポリイミドなどが用いられる。
【0026】
絶縁膜20上には、貫通孔10cに対応する位置に第1配線層31が設けられている。第1配線層31は、平面視において接続孔50aと重なる位置に複数の凹部31aが形成されている。平面視とは、半導体基板の裏面10bの法線方向から見る場合をいう。なお、凹部31aは、後述する第1配線層エッチング工程によって形成される形状であり、図示されているように、凹部31aの側面と底面とが垂直になっているような形状に限定されない。例えば、凹部31aは、一部に曲面等を有する形状であってもよい。また、凹部31aの側面は、凹部31aの底面に対して垂直でなくても良い。例えば、凹部31aの側面は、凹部31aの底面に対して傾斜していても良い。また、凹部31aの幅wは特に限定されず、凹部31a内に貫通電極40を形成することができる幅であれば良い。
【0027】
第1配線層31の膜厚は、例えば、300nm〜1500nmの範囲とすることができる。凹部31aの深さとしては、例えば、100nm〜200nmの範囲とすることができる。また、第1配線層31は、単層の金属層であっても良いし、複数の金属層であってもよい。単層の金属層である場合は、AlやCuなどが用いられる。複数の金属層である場合は、例えば、基板10に近い側から第1バリア膜、金属膜、第2バリア膜の順に積層した積層膜が用いられる。第1バリア膜としては、例えば、基板10に近い側からTi、TiN、Tiの順に積層した積層膜が用いられ、金属膜としては、例えば、Al膜が用いられ、第2バリア膜としては、例えば、基板10に近い側からTi、TiNの順に積層した積層膜が用いられる。
【0028】
第1配線層31上には、第1プラグ61を介して第2配線層32が形成されている。第2配線層32上には、第2プラグ62を介して、第3配線層33が形成されている。
【0029】
第1配線層31と第2配線層32との間には、第1層間絶縁膜71が形成されている。第2配線層32と第3配線層33との間には第2層間絶縁膜72が形成されている。第3配線層33上には、保護膜73が形成されている。保護膜73には開口部が形成され、開口部によって露出された第3配線層33は、パッド電極として機能する。
【0030】
第2配線層32および第3配線層33として用いられる金属層の構成や材料は、第1配線層31と同様である。第1プラグ61および第2プラグ62としては、W膜が用いられる。または、TiやTiNなどのバリア膜とW膜との積層膜が用いられる。第1層間絶縁膜71や第2層間絶縁膜72として、シリコン酸化膜などの絶縁膜が用いられる。保護膜73として、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜やポリイミド膜などの絶縁膜が用いられる。
【0031】
貫通孔10c内には、樹脂膜50を介して貫通電極40が形成されている。また、貫通電極40は、複数の凹部31a内にも形成されている。さらに、貫通電極40は、接続孔50aを介して第1配線層31の凹部31aを含む面と接続されている。また、貫通電極40は、基板10の裏面10b上に形成された樹脂膜50の一部の上にも、形成されている。
【0032】
貫通電極の材料として、例えば、CuやAuなどが用いられる。また、樹脂膜50と貫通電極40との間には、貫通電極40の材料が基板10に拡散することを防止する目的でバリア層を設けても良い。バリア層としてはTiW(チタンタングステン)膜を形成するのが好ましい。
【0033】
また、上述の凹部31aの平面視の形状は、図2のような形状とすることができる。図2(a)は凹部31aの平面視の形状が長方形の場合、図2(b)は凹部31aの平面視の形状が格子状の場合、図2(c)は凹部31aの平面視の形状が円形の場合、を示している。なお、図2(a)において、凹部31aが3つ形成されているが、これに限定されず、例えば、凹部31aが2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。図2(c)においても、図示された凹部31aの数に限定されない。
【0034】
次に、上述の半導体装置の製造方法について説明する。図3および図4は、本実施形態の半導体装置の製造方法のフローチャートを示す。図5、図6、図7および図8は、各製造工程における半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【0035】
まず、図5(a)の通り、基板10の表面10aに、絶縁膜20、第1配線層31、第1層間絶縁膜71、第1プラグ61、第2配線層32、第2層間絶縁膜72、第2プラグ62、第3配線層33、保護膜73を形成する。図示しないが、基板10の表面10aには、トランジスター等の素子が形成されている。また、これらは、通常の半導体プロセスを用いて形成される。
【0036】
〔基板貫通孔形成工程〕
まず、基板10に貫通電極形成のための貫通孔を形成する基板貫通孔形成工程(S101)を実施する。図5(b)は貫通孔を形成するための準備工程として、基板10を薄型化する工程を示す。
【0037】
基板10の表面10a側に、サポートガラス200を接着剤300により接着固定する。サポートガラス200は、基板10の裏面10bを研磨などの方法により、基板10の厚みを約100μmまで薄型化するための、図示しない研磨装置への固定部および加工時の強度確保のバックアップの機能を担う。
【0038】
また、接着剤300は特に限定されないが、上述の薄型化加工に対して十分な接着強度を有し、後述する最終工程でサポートガラス200から基板10を容易に剥離することができるものであることが要求される。
【0039】
サポートガラス200が接着された基板10を、図5(c)に示すように、裏面10bにフォトレジストによりマスク400を形成する。マスク400には基板10の貫通孔形成部に対応する開口部400aが設けられている。この開口部400aからドライエッチングにより、基板の貫通孔10c(第1貫通孔)が形成され、基板の貫通孔10c(第1貫通孔)の底部には絶縁膜20が露出する。
【0040】
基板の貫通孔10c(第1貫通孔)の形成のドライエッチングは、RIE(反応性イオンエッチング)が好適である。更にはICP−RIEがより好適である。また、ボッシュプロセスによる形成も可能である。
【0041】
〔絶縁膜除去工程〕
次に、露出した絶縁膜20に対して、絶縁膜20の貫通孔10c(第2貫通孔)を形成する絶縁膜除去工程(S102)に移行する。絶縁膜としてシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などを用いることができる。本実施形態では絶縁膜20として、シリコン酸化膜が用いられている。
【0042】
基板10の貫通孔10c(第1貫通孔)の底部に露出した絶縁膜20を、ドライエッチングにより、図6(d)に示すように絶縁膜20に最も近い第1配線層31が露出するまで絶縁膜20を除去する。エッチングにはフッ素系ガス、例えばC26、CF4、CHF3などを用いる。絶縁膜20の除去により、基板10と絶縁膜20とを貫通する貫通孔10cが形成される。
【0043】
〔第1配線層凹部形成工程〕
次に絶縁膜除去工程(S102)によって貫通孔10cから露出した第1配線層31に、凹部31aを形成する第1配線層凹部形成工程(S103)に移行する。図4は、第1配線層凹部形成工程(S103)で行われる個々の工程のフローチャートである。
【0044】
(第1配線層エッチングマスク形成工程)
第1配線層エッチングマスク形成工程(S103a)では、図6(e)に示すように、貫通孔10cによって露出する配線層に、開口500aを有するエッチングマスク500を形成する。開口500aを有するエッチングマスク500は、例えば、レジスト剤を塗布およびベークしてレジスト層を形成し、レジスト層を露光および現像することにより形成される。
【0045】
(第1配線層エッチング工程)
第1配線層エッチング工程(S103b)では、図6(f)に示すようにエッチングマスク500の開口500aに露出した第1配線層31を、エッチングにより食刻し凹部31aを形成する。
【0046】
凹部31aは、100nm〜200nmの深さでエッチングされる。また、第1配線層31の膜厚300nm〜1500nmの範囲内で形成される。
【0047】
第1配線層31のエッチングには、例えばCl2ガスあるいはBCl3ガスを用いてドライエッチングにより好適に凹部31aを形成することができる。
【0048】
(エッチングマスク除去工程)
エッチングマスク500として塗布したレジスト剤を除去するエッチングマスク除去工程(S103c)に移行し、第1配線層凹部形成工程(S103)が終了する。
【0049】
〔樹脂膜形成工程〕
次に、樹脂膜形成工程(S104)に移行する。樹脂膜形成工程(S104)では、図7(g)に示すように、基板10の裏面10bから基板10の貫通孔10cの内壁を介して第1配線層31に至り、且つ、平面視において凹部31aと重なる接続孔50aを有する樹脂膜50が形成される。接続孔50aを有する樹脂膜50は、まず、基板10の裏面10bから基板10の貫通孔10cの内壁を介して第1配線層31に至るように樹脂を形成し、次にフォトリソグラフィー等の方法により、第1配線層31に形成された凹部31aが露出するように樹脂に接続孔50aを形成することで、形成される。
【0050】
樹脂膜50は、感光性の樹脂材料を印刷法、スピンコーティング法、あるいはスプレーコーティング法などにより2μm〜5μm程度に成膜される。なお基板10の裏面10bには寄生容量を低減するために5μm以上、好ましくは10μm以上に成膜する。
【0051】
〔貫通電極形成工程〕
次に、第1配線層31の凹部内に形成され、且つ、貫通孔10c内に樹脂膜50を介して第1配線層31から基板10の裏面10bに至る貫通電極を形成する貫通電極形成工程(S105)に移行する。貫通電極形成工程(S105)では、図7(h)に示すように、第1配線層31の絶縁膜20側から基板10の裏面10bまでの貫通孔に電極材料として、例えばCuをめっき法などにより充填形成し、貫通電極40を形成する。このとき、貫通電極40と樹脂膜50との間に、基板10のシリコンへの電極材料の拡散を防止するバリア層を設けても良い。バリア層としては、例えばTiWをスパッタリングもしくはCVDにより300nm程度の膜厚で成膜すればよい。
【0052】
貫通電極40の第1配線層31との接続部Mは、第1配線層31に形成された凹部31aに食い込むように形成される。これにより貫通電極40と第1配線層31との接合面積を大幅に増やすことができる。したがって、貫通電極40と第1配線層31との接合強度を高くすることができ、接合部Mの接合信頼性を高めることができる。
【0053】
更に、上述の実施形態のように樹脂膜50が感光性樹脂であることから、温度変化による膨張・収縮が大きく、貫通電極40と第1配線層31との接合部Mに剪断方向、すなわち貫通電極40の貫通方向に直交する方向に応力負荷がかかり、接合部Mに損傷を与える虞がある。しかし、貫通電極40と第1配線層31は接合部Mの特に凹部31aにおいて剪断方向に対して直交する方向に噛合った形態に構成されているため、剪断方向の応力負荷に対して強く固定されるため、高い信頼性を維持することができる。
【0054】
上述の貫通電極形成工程(S105)において、貫通電極40の形成と同時に基板10の裏面10b側の樹脂膜50b上に配線層を形成することもできる。その場合には、配線形成用のレジストを、導電体の形成後で貫通電極40の形成前に裏面10b側の樹脂膜50b上に形成する。
【0055】
次に、サポートガラス200を、接着剤300と共に剥離し、貫通電極を備える半導体装置100が完成する。
【0056】
上記の半導体装置100においては、貫通電極40と第1配線層31の電気的接続面は、樹脂膜50の接続孔50aが形成される範囲内で、第1配線層31の凹部31aに形成されている。つまり、貫通電極40と第1配線層31との電気的接続面の周辺には樹脂膜50は形成されていない。このため、半導体装置100に熱ストレスがかかったとしても、貫通電極40と第1配線層31の接続面の周辺には樹脂膜50が配置されていないことで、樹脂膜50の熱収縮が貫通電極40と第1配線層31の接続面には影響しない。その結果、貫通電極40と第1配線層31との接続面の剥離を抑制できるため、貫通電極40と第1配線層31との接続信頼性を高めることができる。
【0057】
なお、上記の半導体装置においては、基板10から見て第1層目の第1配線層31に、貫通電極40が接続される凹部31aの底部が形成される形態について説明したが、これに限定されることなく、第2層目など、他の層の配線層に貫通電極接続される凹部31aの底部が形成される形態であっても良い。
【0058】
また、上記の貫通電極は、素子が形成されていない基板に対しても適用することができる。この場合、その基板は、他の装置同士の電気的接続をとるための中継基板として用いることができる。
【0059】
(変形例)
上述の第1実施形態で説明した、第1配線層31に形成される凹部31aは、図1に示す複数の凹部を形成する構成に限定されず、図8に示すように一つの凹部31bより構成しても良い。この場合、凹部31bの平面視の形状は限定されない。例えば図9に示すように、(a)の円形、(b)の矩形、(c)の多角形、(d)の歯車状などが適用できる。
【符号の説明】
【0060】
10…半導体基板(基板)、20…絶縁膜、31…第1配線層、32…第2配線層、33…第3配線層、40…貫通電極、50…樹脂膜、61…第1プラグ、62…第2プラグ、71…第1層間絶縁膜、72…第2層間絶縁膜、73…保護膜、100…半導体装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面と、前記一方の面と対向する他方の面とを有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記一方の面に設けられた絶縁膜と、
前記半導体基板と前記絶縁膜とを貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の内壁に設けられ、平面視において前記貫通孔と重なる位置に接続孔を有する樹脂膜と、
前記絶縁膜上に設けられ、平面視において前記貫通孔と重なる位置に第1凹部を有する配線層と、
前記配線層に接続され、前記第1凹部内と前記樹脂膜を介して前記貫通孔内とに設けられた貫通電極と、を含む、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記配線層は、さらに、第2凹部を有し、
前記貫通電極は、前記第1凹部と、前記第2凹部と、前記樹脂膜を介して前記貫通孔とに設けられている、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記配線層は、前記絶縁膜上に形成された第1バリア膜と、前記第1バリア膜上に形成された金属膜と、前記金属膜上に形成された第2バリア膜と、を有し、
前記第1凹部に設けられた前記貫通電極の一部は、前記金属膜と直接接している、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
前記金属膜は、Al膜を有し、
前記半導体基板は、シリコン基板であり、
前記樹脂膜は、エポキシ樹脂またはポリイミドであり、
前記貫通電極は、CuまたはAuである、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
半導体基板の一方の面に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に配線層を形成する工程と、
前記半導体基板に第1貫通孔を形成する工程と、
前記絶縁膜に第2貫通孔を形成する工程と、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とで構成される貫通孔によって露出する前記配線層に、第1開口を有するマスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて、前記配線層に第1凹部を形成する工程と、
前記マスクを除去する工程と、
前記貫通孔の側壁に、平面視において前記第1凹部と重なる接続孔を有する樹脂膜を形成する工程と、
前記第1凹部内と前記樹脂膜を介して前記貫通孔内とに、貫通電極を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記樹脂膜に前記マスクを形成する工程において、さらに、前記マスクに第2開口部が形成され、
前記配線層に前記第1凹部を形成する工程において、前記マスクを用いて、さらに、前記配線層に第2凹部が形成され、
前記貫通電極を形成する工程において、前記貫通電極は、前記第1凹部内と、前記第2凹部内と、前記樹脂膜を介して前記貫通孔内とに形成される、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5において、
前記配線層は、前記絶縁膜上に形成された第1バリア膜と、前記第1バリア膜上に形成された金属膜と、前記金属膜上に形成された第2バリア膜とを有し、
前記第1凹部に設けられた前記貫通電極の一部は、前記金属膜と直接接している、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項において、
前記配線層は、Al膜を有し、
前記半導体基板は、シリコン基板であり、
前記樹脂膜は、エポキシ樹脂またはポリイミドであり、
前記貫通電極は、CuまたはAuである、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−119432(P2011−119432A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275223(P2009−275223)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】