説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】ゲート電極間の間隔が狭い場合においても、ゲート電極間のシリサイドブロック膜の抜け性を向上させる。
【解決手段】ゲート電極14と抵抗素子24とが同一半導体基板1上に混載された半導体装置において、シリサイドブロック膜25を介して抵抗素子24の側面にサイドウォール17を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、トランジスタと抵抗素子とが同一基板上に混載された半導体装置において、絶縁膜によってシリサイドブロックすることで抵抗素子を形成する方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化および回路素子の高速化を図る方法として、素子領域をシリサイド化することにより配線抵抗を低減する技術が知られている。一方、抵抗素子をシリサイド化すると、抵抗素子として用いるには比抵抗が非常に小さくなる。このため、トランジスタと抵抗素子とが同一基板上に混載された半導体装置では、シリサイドブロック膜にて抵抗素子を覆った状態でトランジスタ部のシリサイドブロック膜を除去し、抵抗素子をシリサイド化しない方法が一般に用いられる(特許文献1)。
しかしながら、半導体装置の微細化が進展すると、ゲート電極間の間隔が非常に狭くなり、ゲート電極の側面にサイドウォールが形成された後にシリサイドブロック膜を形成すると、ゲート電極間においてシリサイドブロック膜の抜け性を確保(除去)するのが困難になる。この結果、トランジスタ部のシリサイド形成を阻害し、配線抵抗の高抵抗化を引き起こし、歩留まりを劣化させるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−153060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ゲート電極間の間隔が狭い場合においても、ゲート電極間のシリサイドブロック膜の抜け性を向上させることが可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、半導体基板上に形成された抵抗素子と、前記抵抗素子を覆うシリサイドブロック膜と、前記シリサイドブロック膜を介して前記抵抗素子の側面に形成されたサイドウォールとを備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0006】
本発明の一態様によれば、半導体基板上に形成された抵抗素子と、前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記抵抗素子を覆うシリサイドブロック膜と、前記シリサイドブロック膜を介して前記抵抗素子の側面に形成されるとともに、前記シリサイドブロック膜を介することなく前記ゲート電極の側面に形成されたサイドウォールと、前記ゲート電極を両側に配置されるようにして前記半導体基板に形成された不純物拡散層と、前記不純物拡散層の表層に形成されたシリサイド層とを備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0007】
本発明の一態様によれば、半導体基板上に形成された抵抗素子と、前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記抵抗素子の側面にN(Nは2以上の整数)層分だけ形成された第1の絶縁膜と、前記ゲート電極の側面にM(MはNより小さな整数)層分だけ形成された第2の絶縁膜とを備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0008】
本発明の一態様によれば、抵抗素子およびゲート電極を半導体基板上に形成する工程と、前記抵抗素子および前記ゲート電極を覆うシリサイドブロック膜を前記半導体基板上に形成する工程と、前記シリサイドブロック膜にて前記抵抗素子が覆われたまま、前記ゲート電極を覆うシリサイドブロック膜を除去する工程と、前記シリサイドブロック膜および前記ゲート電極を覆う絶縁膜を前記半導体基板上に形成する工程と、前記絶縁膜の異方性エッチングを行うことで、前記抵抗素子を覆う前記シリサイドブロック膜の側面および前記ゲート電極の側面にサイドウォールを形成する工程と、前記サイドウォールおよび前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板にイオン注入を行うことにより、前記ゲート電極を両側に配置された不純物拡散層を前記半導体基板に形成する工程と、前記不純物拡散層をシリサイド化する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゲート電極間の間隔が狭い場合においても、ゲート電極間のシリサイドブロック膜の抜け性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
図1において、半導体基板11にはトランジスタ形成領域R1および抵抗形成領域R2が設けられ、トランジスタ形成領域R1および抵抗形成領域R2には素子分離絶縁層12が形成されている。なお、半導体基板11の材料は、例えば、Si、Ge、SiGe、GaAs、InP、GaP、GaN、SiC、GaInAsPなどを用いることができる。また、素子分離絶縁層12としては、STI(Shallow Trench Isolation)を用いるようにしてもよいし、LOCOS(Local Oxidation Of Silicon)を用いるようにしてもよい。また、素子分離絶縁層12の材料は、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。
【0013】
そして、トランジスタ形成領域R1では、ゲート絶縁膜13を介してゲート電極14が半導体基板11上に形成されている。なお、ゲート電極14は、素子分離絶縁層12の間に配置することができる。また、ゲート絶縁膜13の材料は、シリコン酸化膜を用いるようにしてもよいし、HfまたはPLZTなどの高誘電体膜を用いるようにしてもよい。また、ゲート電極14の材料は、例えば、多結晶シリコンを用いることができる。あるいは、ゲート電極14の材料として、Ti、W、Alなどの金属材料を選択するようにしてもよい。
【0014】
そして、ゲート電極14の側面には、オフセット絶縁膜15、エッチストップ膜16およびサイドウォール17が順次形成されている。オフセット絶縁膜15としては、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。また、オフセット絶縁膜15の膜厚は、LDD層18形成後のLDD層18の横方向への拡散分に対応させることができる。なお、オフセット絶縁膜15は必ずしも形成される必要が無く、形成する素子の特性に応じて適宜変更することが可能である。また、エッチストップ膜16およびサイドウォール17の材料は互いに異なるように選択することができ、例えば、エッチストップ膜16の材料としてシリコン酸化膜、サイドウォール17の材料としてシリコン窒化膜を用いることができる。そして、エッチストップ膜16は、サイドウォール17をエッチングにて形成する際のストッパとして機能させることができる。
【0015】
また、半導体基板11には、オフセット絶縁膜15、エッチストップ膜16およびサイドウォール17下に配置されるようにしてLDD層18が形成されている。さらに、半導体基板11には、サイドウォール17の横に配置されるようにして高濃度不純物拡散層19が形成されている。そして、ゲート電極14および高濃度不純物拡散層19の表層にはシリサイド層20が形成されている。なお、シリサイド形成用の金属膜としては、例えば、Ni、Co、W、Moなどを用いることができる。
【0016】
一方、抵抗形成領域R2では、抵抗素子24が半導体基板11上に形成されている。なお、抵抗素子24は、素子分離絶縁層12上に配置することができる。また、抵抗素子24の材料は、例えば、多結晶シリコンを用いることができる。そして、抵抗素子24の側面にはオフセット絶縁膜15が形成されている。そして、オフセット絶縁膜15および抵抗素子24が覆われるようにシリサイドブロック膜25が半導体基板11上に形成されている。なお、シリサイドブロック膜25は、トランジスタ形成領域R1にシリサイド層20が形成される時に、抵抗素子24の表層がシリサイド化されるのを防止することができる。シリサイドブロック膜25の材料としては、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を用いることができる。そして、シリサイドブロック膜25の側面にはエッチストップ膜16およびサイドウォール17が順次形成されている。
【0017】
ここで、抵抗形成領域R2のサイドウォール17下にシリサイドブロック膜25を配置することにより、ゲート電極14の側面にサイドウォール17が形成される前にトランジスタ形成領域R1のシリサイドブロック膜25を除去することができる。このため、サイドウォール17にてゲート電極14間の間隔が狭められることなく、ゲート電極14間のシリサイドブロック膜25を除去することができ、ゲート電極14間の間隔が狭い場合においても、ゲート電極14間のシリサイドブロック膜25の抜け性を向上させることができる。この結果、ゲート電極14間の高濃度不純物拡散層19の表層にシリサイド層20を安定して形成することができ、コンタクト抵抗または配線抵抗が高くなるのを抑制して、歩留まりを向上させることができる。
【0018】
(第2実施形態)
図2および図3は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図2(a)において、半導体基板11のトランジスタ形成領域R1および抵抗形成領域R2に素子分離絶縁層12を形成する。
【0019】
次に、図2(b)に示すように、素子分離絶縁層12で分離された半導体基板11上にゲート絶縁膜13を形成する。次に、CVDなどの方法を用いることにより、ゲート絶縁膜13上に多結晶シリコン膜を成膜する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて多結晶シリコン膜をパターニングすることにより、ゲート絶縁膜13上にゲート電極14を形成するとともに、素子分離絶縁層12上に抵抗素子24を形成する。
【0020】
次に、ゲート電極14および抵抗素子24の表面を熱酸化することにより、ゲート電極14および抵抗素子24の表面にオフセット絶縁膜15を形成する。そして、オフセット絶縁膜15の異方性エッチングを行うことにより、ゲート電極14および抵抗素子24の上面のオフセット絶縁膜15を除去する。なお、オフセット絶縁膜15は、CVDなどの方法にて形成するようにしてもよい。
【0021】
次に、図2(c)に示すように、CVDなどの方法にてゲート電極14および抵抗素子24が覆われるように半導体基板11上にシリサイドブロック膜25を形成する。
【0022】
次に、図2(d)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いることにより、トランジスタ形成領域R1が露出されるようにして抵抗形成領域R2を覆うレジスト膜Rを半導体基板11上に形成する。
【0023】
次に、図3(a)に示すように、レジスト膜Rをマスクとしてシリサイドブロック膜25をエッチングすることにより、トランジスタ形成領域R1のシリサイドブロック膜25を除去する。そして、オフセット絶縁膜15が側面に形成されたゲート電極14をマスクとして半導体基板11にイオン注入を行うことにより、半導体基板11にLDD層18を形成する。ここで、サイドウォール17がゲート電極14の側面に形成される前に、シリサイドブロック膜25をエッチング除去することにより、ゲート電極14間でのシリサイドブロック膜25の抜け性を向上させることができ、ゲート電極14間の間隔が狭い場合においても、ゲート電極14間にシリサイドブロック膜25が残るのを防止することができる。
【0024】
次に、図3(b)に示すように、CVDなどの方法にてゲート電極14およびシリサイドブロック膜25が覆われるように半導体基板11上にエッチストップ膜16および絶縁膜17´を順次形成する。
【0025】
次に、図3(c)に示すように、エッチストップ膜16をストッパとして絶縁膜17´の異方性エッチングを行うことにより、オフセット絶縁膜15およびエッチストップ膜16を介してゲート電極14の側面にサイドウォール17を形成するとともに、オフセット絶縁膜15、シリサイドブロック膜25およびエッチストップ膜16を介して抵抗素子24の側面にサイドウォール17を形成する。次に、エッチストップ膜16のエッチングを行うことにより、半導体基板11およびゲート電極14の表面を露出させる。
【0026】
次に、図3(d)に示すように、サイドウォール17が側面に形成されたゲート電極14をマスクとして半導体基板11にイオン注入を行うことにより、半導体基板11に高濃度不純物拡散層19を形成する。
【0027】
次に、図1に示すように、スパッタや蒸着などの方法を用いることで、シリサイド形成用金属膜をトランジスタ形成領域R1および抵抗形成領域R2に形成する。そして、シリサイド形成用金属膜が形成された半導体基板11の熱処理を行うことにより、シリサイド形成用金属膜をその下の半導体基板11およびゲート電極14と反応させ、ゲート電極14および高濃度不純物拡散層19の上層にシリサイド層20を形成する。そして、未反応のシリサイド形成用金属膜を半導体基板11上から除去する。
【0028】
なお、図2(d)の工程でトランジスタ形成領域R1のシリサイドブロック膜25を除去することなく、シリサイドブロック膜25を介してゲート電極14の側面にサイドウォール17を形成する方法も考えられる。ただし、この場合には、シリサイドブロック膜25がゲート電極14の側面に残る分だけゲート電極14間の間隔が狭くなり、トランジスタ形成領域R1のシリサイドブロック膜25を除去する方法に比べて絶縁膜17´の抜け正が低下する。
【符号の説明】
【0029】
11 半導体基板、12 素子分離絶縁層、13 ゲート絶縁膜、14 ゲート電極、15 オフセット絶縁膜、16 エッチストップ膜、17 サイドウォール、17´ 絶縁膜、18 LDD層、19 高濃度不純物拡散層、20 シリサイド層、24 抵抗素子、25 シリサイドブロック膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された抵抗素子と、
前記抵抗素子を覆うシリサイドブロック膜と、
前記シリサイドブロック膜を介して前記抵抗素子の側面に形成されたサイドウォールとを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記シリサイドブロック膜と前記サイドウォールの間に形成されたエッチストップ膜をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体基板上に形成された抵抗素子と、
前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記抵抗素子を覆うシリサイドブロック膜と、
前記シリサイドブロック膜を介して前記抵抗素子の側面に形成されるとともに、前記シリサイドブロック膜を介することなく前記ゲート電極の側面に形成されたサイドウォールと、
前記ゲート電極を両側に配置されるようにして前記半導体基板に形成された不純物拡散層と、
前記不純物拡散層の表層に形成されたシリサイド層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記シリサイドブロック膜と前記サイドウォールの間に形成されたエッチストップ膜をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上に形成された抵抗素子と、
前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記抵抗素子の側面にN(Nは2以上の整数)層分だけ形成された第1の絶縁膜と、
前記ゲート電極の側面にM(MはNより小さな整数)層分だけ形成された第2の絶縁膜とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
抵抗素子およびゲート電極を半導体基板上に形成する工程と、
前記抵抗素子および前記ゲート電極を覆うシリサイドブロック膜を前記半導体基板上に形成する工程と、
前記シリサイドブロック膜にて前記抵抗素子が覆われたまま、前記ゲート電極を覆うシリサイドブロック膜を除去する工程と、
前記シリサイドブロック膜および前記ゲート電極を覆う絶縁膜を前記半導体基板上に形成する工程と、
前記絶縁膜の異方性エッチングを行うことで、前記抵抗素子を覆う前記シリサイドブロック膜の側面および前記ゲート電極の側面にサイドウォールを形成する工程と、
前記サイドウォールおよび前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板にイオン注入を行うことにより、前記ゲート電極を両側に配置された不純物拡散層を前記半導体基板に形成する工程と、
前記不純物拡散層をシリサイド化する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−159842(P2011−159842A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20901(P2010−20901)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】