説明

半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】配線信頼性を向上させるとともに配線の高抵抗化を防ぐ半導体装置の製造方法および半導体装置を提供する。
【解決手段】基板11上に下層側に酸素含有絶縁層21aを有する層間絶縁膜21を形成する。次に、層間絶縁膜21の上層側に配線溝22を形成し、酸素含有絶縁層21aに接続孔23を形成する。次いで、接続孔23の側壁が露出するように配線溝22の内壁を覆う状態で、層間絶縁膜21上に、第1のバリア膜24を形成する。次に、配線溝22と接続孔23の内壁を覆う状態で、CuMn合金膜25を形成する。続いて、配線溝22と接続孔23とを埋め込む状態で、CuMn合金膜25上に銅を含む導電層26を形成する。その後、熱処理を行い、CuMn合金膜25中のMnを拡散させて、酸素含有絶縁層21a中の酸素と反応させることで、接続孔23の側壁に、金属含有酸化物からなる第2のバリア膜27を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法および半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関し、さらに詳しくは、銅(Cu)配線を備えた多層配線構造を形成するのに好適な半導体装置の製造方法およびこれにより得られる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコン(Si)の半導体集積回路において、高速化と高集積化のために銅(Cu)配線と低誘電率絶縁膜とを用いたCu配線構造が開発されている。このCu配線構造を形成するために、一般的にCuのドライエッチングが容易でないことから、シングルダマシン法、デュアルダマシン法などのいわゆる溝配線法が有望視されている。特に、デュアルダマシン法は、基板上に設けられた絶縁膜に、配線溝とこの配線溝の底部に連通する接続孔を形成した後、同一工程で、配線溝と接続孔とをCu層で埋め込む。これにより、配線とヴィアの形成を同一工程で行うことから、製造工程が簡略化できるため、注目されている。
【0003】
しかし、Cu配線構造を実現する場合、集積回路の製造工程で行われる各種熱処理中において、配線中のCuが周辺の絶縁層中に拡散し易い。特に、上述したデュアルダマシン法等の溝配線法により配線構造を製造する場合には、絶縁膜に配線溝または接続孔を形成した後、Cu層を埋め込むため、絶縁膜中へのCuの拡散がより顕著となる。
【0004】
このため、Cu層の形成に先立って、Cu層に接触する配線溝および接続孔の内壁を覆う状態で、タンタル(Ta)や窒化タンタル(TaN)などのCuの拡散を防止するバリア膜が形成されている。バリア膜は、通常、スパッタリング法により、配線溝および接続孔の内壁を覆う状態で形成される。
【0005】
上述したCu配線構造の信頼性を確保するためには、現状のプロセス技術では厚さ5nm程度のバリア膜が必要であるが、今後の配線幅の縮小化に伴う配線抵抗の低減化を図るために、バリア膜の厚さを世代毎に薄膜化することが要求されている。
【0006】
一方、上記バリア膜の形成工程を一切省略したバリアレスプロセスが提案されている。バリアレスプロセスとしては、酸素を含む絶縁膜に凹部を形成し、この凹部に埋め込まれたCu層に例えばマンガン(Mn)からなる合金元素を添加する。次いで、熱処理によって絶縁膜との界面にこの合金元素を拡散させ、酸素を含む絶縁層と反応させて金属酸化物からなる安定性の高い自己拡散バリア層を形成するという方法である(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
【非特許文献1】第65回応用物理学会学術講演会講演予稿集,2004年,p.711,2p−M−19
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述したデュアルダマシン法によるCu配線構造において、スパッタリング法による従来のバリア膜の形成方法では、バリア膜を配線溝や接続孔の内壁に均一且つ均質に堆積することが難しい。特に、配線溝の底部に連通する接続孔の側壁には、成膜成分が到達し難く、バリア膜が形成され難い。このため、接続孔内に形成されるヴィアから絶縁膜にCuが拡散してしまうだけでなく、絶縁膜とヴィアとの密着性が悪いため、エレクトロマイグレーション耐性が確保できない、という配線信頼性上の問題が顕在化している。特に、接続孔が形成される絶縁膜が酸素を含有している場合には、ヴィアと接触することで絶縁層中の酸素によりCuが酸化されてしまい、配線抵抗が高くなる。
【0009】
本発明は、配線信頼性を向上させるとともに配線の高抵抗化を防止する半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述したような目的を達成するために、本発明の半導体装置の製造方法は、基板上の絶縁膜に設けられた凹部に銅を含む導電層を埋め込む半導体装置の製造方法において、次のような工程を順次行うことを特徴としている。まず、第1工程では、基板上に設けられた酸素含有絶縁層を有する絶縁膜に、基板に達する凹部を形成する。次に、第2工程では、酸素含有絶縁層を部分的に露出するように凹部の内壁を覆う状態で、絶縁膜上に、導電層からの銅の拡散を防止する第1のバリア膜を形成する。次いで、第3工程では、第1のバリア膜が設けられた凹部の内壁を覆う状態で、銅と銅以外の金属との合金膜を形成する。続いて、第4工程では、凹部を埋め込む状態で、合金膜上に銅を含む導電層を形成するとともに、熱処理を行い、合金膜中の銅以外の金属を凹部の内壁に露出した酸素含有絶縁層中の酸素と反応させて、第1のバリア膜から露出した凹部の内壁を覆う状態で、導電層からの銅の拡散を防止する金属酸化物からなる第2のバリア膜を形成する。
【0011】
このような半導体装置の製造方法によれば、熱処理を行い、合金膜中の銅以外の金属を拡散させて、凹部の内壁に露出した酸素含有絶縁層中の酸素と反応させることで、第1のバリア膜から露出した凹部の内壁を覆う状態で、金属酸化物からなる第2のバリア膜が形成される。これにより、第1のバリア膜の未形成領域を補完する状態で第2のバリア膜が形成されるため、絶縁膜と導電層との間に第1のバリア膜または第2のバリア膜が確実に介在する。よって、凹部内に埋め込まれたCuを含む導電層からのCuの拡散が防止される。
【0012】
また、本発明の半導体装置は、基板上に設けられた酸素含有絶縁層を有する絶縁膜と、絶縁膜に設けられた基板に達する凹部を埋め込む銅を含む導電層と、絶縁膜と導電層との間に部分的に設けられるとともに、導電層からの銅の拡散を防止する第1のバリア膜と、酸素含有絶縁層と導電層との間に第1のバリア膜の未形成領域を補完する状態で設けられるとともに、導電層からの銅の拡散を防止する金属含有酸化物からなる第2のバリア膜とを備えたことを特徴としている。
【0013】
このような半導体装置によれば、酸素含有絶縁層と凹部に埋め込まれたCuを含む導電層との間に第1のバリア膜の未形成領域を補完する状態で第2のバリア膜が設けられていることから、絶縁膜と導電層との間に第1のバリア膜または第2のバリア膜が確実に介在する。よって、凹部内に埋め込まれたCuを含む導電層からのCuの拡散が防止される。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、本発明の半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、凹部内に埋め込まれた導電層からのCuの拡散が防止されることから、凹部が配線溝または接続孔である場合に、この方法により形成された半導体装置のエレクトロマイグレーションを確保できるとともに配線信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。各実施形態においては、半導体装置の構成を製造工程順に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
本発明の半導体装置の製造方法に係わる実施の形態の一例を、図1〜図2の製造工程断面図によって説明する。ここでは、例えばデュアルダマシン法により、Cuの多層配線構造を製造する例について説明する。
【0017】
図1(a)に示すように、トランジスタ等の半導体素子が形成された基板11上には、酸化シリコンからなる下地絶縁膜12を介して、例えばメチルシルセスキオキサン(MSQ)からなる層間絶縁膜13aと例えば酸化シリコン(SiO2)からなる層間絶縁膜13bとが順次積層されている。層間絶縁膜13a、13bには配線溝14が設けられており、配線溝14内にはバリア膜15を介して銅からなる下層配線16が設けられていることとする。また、この下層配線16上を含む層間絶縁膜13b上を覆う状態で、例えばSiOCNからなる保護絶縁膜17が10nm〜35nmの膜厚で設けられている。ここまでの構成が請求項の基板に相当する。
【0018】
続いて、保護絶縁膜17上に、層間絶縁膜21を形成する。ここで、この層間絶縁膜21の最下層側となる配線層間絶縁膜として、酸素を含む絶縁層(酸素含有絶縁層)21aを70nm〜120nmの膜厚で形成する。酸素含有絶縁層21aとしては、例えば、MSQ、ハイドロシルセスキオキサン(HSQ)およびこれらを多孔質化したポーラスMSQ、ポーラスHSQ等のSiO2よりも誘電率の低い無機材料膜が用いられることとする。後述するように、この酸素含有絶縁層21aには、接続孔が形成される。
【0019】
次いで、酸素含有絶縁層21a上に、配線間絶縁膜として、酸素を含まない絶縁層(酸素非含有絶縁層)21bを60nm〜120nmの膜厚で形成する。酸素非含有絶縁層21bとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン等の有機系ポリマーおよびこのポーラス膜等の有機材料膜、またはα−カーボン膜およびこのポーラス膜等の無機材料膜からなるSiO2よりも誘電率の低い低誘電率膜が用いられることとする。この酸素非含有絶縁層21bには、後工程で配線溝が形成されることとする。
【0020】
次に、酸素非含有絶縁層21b上に、例えばSiO2からなる保護絶縁層21cを100nm〜140nmの膜厚で形成する。この保護絶縁層21cは、後工程で、酸素含有絶縁層21a、酸素非含有絶縁層21bおよび保護絶縁層21cが順次積層された層間絶縁膜21に、配線溝と配線溝の底部に連通する接続孔を形成し、これらを導電層で埋め込んだ後、CMP法により研磨する際にCMP耐性の低い酸素非含有絶縁層21bの保護膜として形成されるものである。よって、この保護絶縁層21cにも、配線溝が形成される。以上のようにして、ハイブリッド構造の層間絶縁膜21を形成する。
【0021】
次いで、多段階のドライエッチングを行うことにより、保護絶縁層21c、酸素非含有絶縁層21bに配線溝22を形成するとともに、酸素含有絶縁層21aおよび保護絶縁膜17に配線溝22の底部に連通し、下層配線16に達する接続孔23を形成する。
【0022】
次いで、図1(b)に示すように、例えば遠距離スパッタリング法等の物理的気相成長(Physical Vapor Deposition(PVD))法により、第1のバリア膜24を形成する。この際、スパッタリング法により形成するため、配線溝22の底部に連通する接続孔23の側壁には、成膜成分が到達し難く、接続孔23の側壁を露出するように配線溝22の内壁を覆う状態で、保護絶縁層21c上に第1のバリア膜24が形成される。この際、接続孔23の底部にも第1のバリア膜24は形成される。
【0023】
ここで、後工程で形成される第2のバリア膜は、層間絶縁膜21中の酸素と反応させて形成されるため、この第1のバリア膜24は、酸素非含有絶縁層21bが露出される配線溝22の内壁を十分に覆う状態で、例えば5nm程度の膜厚で形成されることとする。この際、配線溝22の側壁の下層側が十分に覆われるように第1のバリア膜24を形成する。
【0024】
なお、ここでは、通常の遠距離スパッタリング法により第1のバリア膜24を形成するが、スパッタリング法により、基板11の法線方向よりも傾斜させた状態の浅い角度から成膜成分を配線溝22に入射して、配線溝22の内壁のみに第1のバリア膜24を形成することが好ましい。この場合には、接続孔23の側壁を確実に露出させることができるとともに、接続孔23の底部に第1のバリア膜24はほとんど形成されない。
【0025】
ここで、後述するように、配線溝22内にはCu配線が形成されることから、上記第1のバリア膜24には、Cuの拡散を防止するとともにCuとの密着性に優れた材料が用いられる。このような材料としては、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、窒化チタンシリサイド(TiSiN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)などが適用できる。また、これらの膜を2種以上組み合わせた積層膜で第1のバリア膜24を形成してもよい。
【0026】
なお、ここでは、遠距離スパッタリング法により第1のバリア膜24を形成することとしたが、イオン化スパッタリング法、遠距離イオン化スパッタリング法、高圧イオン化スパッタリング法等の他のPVD法により形成してもよい。
【0027】
続いて、図1(c)に示すように、上記第1のバリア膜24が設けられた配線溝22と接続孔23との内壁を覆う状態で、Cuとマンガン(Mn)との合金膜(CuMn合金膜)25を形成する。ここで、Cuとの合金膜を形成する金属材料としては、Cu中の拡散速度がCuより速く、その酸化物がCuの拡散防止効果を有するとともにCuとの密着性の高い金属材料を用いることとする。これにより、後工程で、配線溝22および接続孔23にCu層を埋め込んだ後の熱処理により、Cuが接続孔23の側壁に露出された酸素含有絶縁層21aに拡散される前に、Mnが拡散される。そして、Mnが酸素含有絶縁層21a中の酸素と反応することで、Mn含有酸化物からなる第2のバリア膜が形成される。
【0028】
なお、ここでは、合金膜を構成するCu以外の金属材料としてMnを用いることとするが、Cu中の拡散速度がCuより速く、その酸化物がCuの拡散防止効果を有するとともにCuとの密着性が高い金属材料であれば、これに限定されるものではない。このような金属材料としては、上記Mnの他に、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、イットリウム(Y)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)等が挙げられる。
【0029】
このCuMn合金膜25は、後述する電界メッキのシード層としても機能するため、膜厚は配線寸法に応じて埋め込み配線達成に適当な厚さ5nm〜80nmに調整する。ここでは、60nmの膜厚のCuMn合金膜25を形成することとする。この際、接続孔23の側壁は覆われるように、CuMn合金膜25を形成する。ただし、後工程で、熱処理によりCuMn合金膜25中のMnを拡散させて、酸素含有絶縁層21a中の酸素と反応させることで、Mn含有酸化物からなる第2のバリア膜を形成するため、接続孔23の内壁を覆うCuMn合金膜25は均一な膜厚でなくてもよい。
【0030】
ここでは、Cu中にMnを原子濃度0.5%〜20%となるように添加したCuMn合金ターゲットを用いて、スパッタリング法により成膜する。上記範囲の原子濃度でMnをCuMn合金ターゲット中に含有させることで、Cu中にMnを固溶状態で存在させることができる。また、上記範囲内でMnが高濃度で含有される方が、微細化にともないシード層が薄くなった場合にも、Mn含有酸化物からなる第2のバリア膜を確実に形成できるため、好ましい。ここでは、例えば2atm%Mnターゲットを用いることとする。なお、ここではスパッタリング法によりCuMn合金膜25を形成することとしたが、化学的気相成長(Chemical Vapor Deposition(CVD))法または原子層蒸着(Atomic Layer Deposition(ALD))法により形成してもよい。
【0031】
次いで、図2(d)に示すように、電解メッキ法により、配線溝22および接続孔23を埋め込む状態で、0.5μm〜1.2μmのCuからなる導電層26を堆積する。なお、ここでは、Cuからなる導電層26を形成することとするが、導電層26はCuのCu以外の金属との合金膜であってもよく、Cu以外の金属としては、Cu中に含有させても配線が高抵抗化しない材料を用いることとする。
【0032】
次いで、図2(e)に示すように、200℃〜400℃で5分〜30分、例えば300℃で5分の熱処理を行う。この際、この熱処理を酸素を含む不活性ガス雰囲気下で、行うことが好ましく、ここでは、酸素を体積比で1ppm〜10%含む窒素雰囲気下で熱処理を行うこととする。
【0033】
これにより、CuMn合金膜25(前記図2(d)参照)からMnが拡散されて、接続孔23の内壁に露出する酸素含有絶縁層21a中の酸素と反応する。そして、第1のバリア膜24から露出した接続孔23の側壁に、Mn含有酸化物からなる第2のバリア膜27が2nm〜4nmの膜厚で形成される。ここでは、酸素含有絶縁層21aがMSQで形成されており、MnがSiとも反応するため、上記第2のバリア膜27を構成するMn含有酸化物の組成は、MnxSiyz(x:y:zが1:1:3乃至1:3:5)で表される。
【0034】
また、上記熱処理を酸素を含む雰囲気下で行うことで、第2のバリア膜27の形成に必要なMn以外の過剰なMnは、導電層26の表面で雰囲気中の酸素と反応し、MnO膜27’が形成される。このMnO膜27’は後工程で除去されるため、配線またはヴィア中にMnが残存することによる高抵抗化が防止される。
【0035】
その後、図2(f)に示すように、例えば化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing(CMP))法により、保護絶縁層21cの中程まで、MnO膜27’(前記図2(e)参照)、導電層26(前記図2(e)参照)、第1のバリア膜24および保護絶縁層21cを研磨して除去することで、配線溝22および接続孔23にCuからなる配線28とヴィア29とをそれぞれ形成する。以上説明した図1(a)〜図2(f)までの工程を繰り返すことで、Cuの多層配線構造を完成させる。
【0036】
このような半導体装置の製造方法およびこれにより得られた半導体装置によれば、熱処理を行い、CuMn合金膜中25のMnを拡散させて、接続孔23の側壁に露出した酸素含有絶縁層21a中の酸素と反応させる。これにより、第1のバリア膜24から露出した接続孔23の側壁を覆う状態で、Mn含有酸化物からなる第2のバリア膜27が形成される。よって、層間絶縁膜21と配線28およびヴィア29の間に第1のバリア膜24または第2のバリア膜27が確実に介在するため、配線28およびヴィア29からのCuの拡散が防止されるとともに、Cuの酸化が防止される。したがって、この方法により形成された半導体装置のエレクトロマイグレーション耐性を確保し、配線信頼性を向上させることができるとともに、配線の高抵抗化を防ぐことができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、MnOからなる第2のバリア膜27とCuからなる配線28およびヴィア29との密着性が高いことから、これによってもエレクトロマイグレーション耐性を確保することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、図2(e)を用いて説明したように、CuMn合金膜が設けられた配線溝22および接続孔23を導電層26で埋め込んだ後、熱処理を行い、第2のバリア膜27を形成する例について説明したが、CuMn合金膜を形成した後、配線溝22および接続孔23を導電層26で埋め込む前に熱処理を行い、Mnを接続孔23の側壁に露出した酸素含有絶縁層21a中の酸素と反応させて、Mn含有酸化物からなる第2のバリア膜27を形成してもよい。ただし、この場合には、熱処理によりシード層が凝集して、その後の埋め込み不良を起こさないように、熱処理の温度および時間を調整することが好ましい。
【0039】
また、本実施形態では、層間絶縁膜21が酸素非含有絶縁層21bを含む例について説明したが、層間絶縁膜21が酸素を含有する絶縁層のみで形成されていても本発明は適用可能である。
【0040】
また、本実施形態では、下層配線16上よりも上層の配線28およびヴィア29の形成方法を例にとって説明したが、同様の方法により、下層配線16とその底部に連通するヴィア(図示省略)を形成することも可能である。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図3〜図4の製造工程断面図を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の番号を付して説明し、第1のバリア膜24を形成するまでの工程は同様に行なわれることとする。
【0042】
図3(a)に示すように、第1実施形態と同様に、配線溝22の内壁と接続孔23の底部を覆う状態で、保護絶縁層21c上に第1のバリア膜24を形成する。
【0043】
次に、図3(b)に示すように、アルゴン(Ar)を用いた逆スパッタリング法、または反応性イオンエッチング(RIE)法により、接続孔23の底部に設けられた第1のバリア膜を除去する。これにより、後工程で接続孔23の内部に形成するヴィアと下層配線16との間に第1のバリア膜24が介在しないため、第1実施形態と比較して配線の低抵抗化を図ることができるため、好ましい。
【0044】
この後の工程は、第1実施形態と同様の方法により行うこととする。すなわち、図3(c)に示すように、上記第1のバリア膜24が設けられた配線溝22と接続孔23との内壁を覆う状態で、Cuとマンガン(Mn)との合金膜(CuMn合金膜)25を形成する。次いで、図4(d)に示すように、電解メッキ法により、配線溝22および接続孔23を埋め込む状態で、Cuからなる導電層26を堆積する。続いて、図4(e)に示すように、熱処理を行うことで、酸素含有絶縁層21aが露出された接続孔23の側壁を覆う状態で、Mn含有酸化物からなる第2のバリア膜27を形成する。その後、図4(f)に示すように、保護絶縁層21cの途中までを研磨により除去することで、配線溝22および接続孔23に配線28とヴィア29とをそれぞれ形成する。Cuの多層配線構造を完成させる。
【0045】
このような半導体装置の製造方法およびこれにより得られた半導体装置であっても、層間絶縁膜21と配線28およびヴィア29の間に第1のバリア膜24または第2のバリア膜27が確実に介在するため、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、下層配線16とヴィア29との間に第1のバリア膜24が介在しないため、配線を低抵抗化できる。
【0047】
(変形例1)
第2実施形態の変形例1として、図5に示すように、酸素含有絶縁層21aと酸素非含有絶縁層21bとの間に、例えば窒化シリコン(SiN)または炭化シリコン(SiC)からなるエッチングストッパー膜31を形成し、エッチングストッパー膜31と酸素含有絶縁層21aと保護絶縁膜17に下層配線16に達する接続孔23を形成した構成であってもよい。
【0048】
このような半導体装置の製造方法および半導体装置であっても、層間絶縁膜21と配線28およびヴィア29の間に第1のバリア膜24または第2のバリア膜27が確実に介在するため、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、SiO2よりも比誘電率の高いSiNまたはSiCからなるエッチングストッパー膜31が設けられることにより、配線間容量は増大するものの、加工制御性よく、配線溝22と接続孔23とを形成することができる。
【0049】
(変形例2)
第2実施形態の変形例2として、変形例1と同様に、酸素含有絶縁層21aと酸素非含有絶縁層21bとの間に、SiNまたはSiCからなるエッチングストッパー膜31を形成し、配線28が形成される配線間絶縁膜を酸素非含有絶縁層21bのみで形成する構成であってもよい。この場合には、酸素非含有絶縁層21bにCMP耐性の高い材料が用いられることとする。
【0050】
このような半導体装置の製造方法および半導体装置であっても、層間絶縁膜21と配線28およびヴィア29の間に第1のバリア膜24または第2のバリア膜27が確実に介在するため、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、変形例1の半導体装置と比較して、比誘電率が比較的高いSiO2からなる保護絶縁層21c(前記図5参照)が設けられていないことから、配線間容量を低減させることができる。
【0051】
(変形例3)
第2実施形態の変形例3として、配線28が形成される配線間絶縁膜を酸素非含有絶縁層21bのみで形成する構成であってもよい。この場合には、酸素非含有絶縁層21bにCMP耐性の高い材料が用いられることとする。
【0052】
このような半導体装置の製造方法および半導体装置であっても、層間絶縁膜21と配線28およびヴィア29の間に第1のバリア膜24または第2のバリア膜27が確実に介在するため、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態の半導体装置と比較して、SiO2からなる保護絶縁層21c(前記図2(f)参照が設けられていないことから、配線間容量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その1)である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その2)である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施形態を説明するための製造工程断面図(その1)である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施形態を説明するための製造工程断面図(その2)である。
【図5】本発明の半導体装置に係る第2実施形態の変形例1を説明するための断面図である。
【図6】本発明の半導体装置に係る第2実施形態の変形例2を説明するための断面図である。
【図7】本発明の半導体装置に係る第2実施形態の変形例3を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0054】
11…基板、21…層間絶縁膜、21a…酸素含有絶縁層、21b…酸素非含有絶縁層、22…配線溝、23…接続孔、24…第1のバリア膜、25…CuMn合金膜、27…第2のバリア膜、28…配線、29…ヴィア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の絶縁膜に設けられた凹部に銅を含む導電層を埋め込む半導体装置の製造方法において、
前記基板上に設けられた酸素含有絶縁層を有する前記絶縁膜に、前記基板に達する前記凹部を形成する第1工程と、
前記酸素含有絶縁層を部分的に露出するように、前記凹部の内壁を覆う状態で、前記絶縁膜上に、前記導電層からの銅の拡散を防止する第1のバリア膜を形成する第2工程と、
前記第1のバリア膜が設けられた前記凹部の内壁を覆う状態で、銅と銅以外の金属とからなる合金膜を形成する第3工程と、
前記凹部を埋め込む状態で、前記合金膜上に銅を含む前記導電層を形成するとともに、熱処理を行い、前記合金膜中の銅以外の金属を前記凹部の内壁に露出した前記酸素含有絶縁層中の酸素と反応させて、前記第1のバリア膜から露出した前記凹部の内壁に、前記導電層からの銅の拡散を防止する金属含有酸化物からなる第2のバリア膜を形成する第4工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属はマンガンである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第4工程では、前記導電層を形成した後、前記第2のバリア膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程の前に、基板上に少なくとも下層側が前記酸素含有絶縁層からなる前記絶縁膜を形成する工程を行い、
前記第1工程では、前記絶縁膜の上層側に配線溝を形成するとともに、前記下層側の前記酸素含有絶縁層に前記配線溝の底部に連通する接続孔を形成することで、前記配線溝と前記接続孔とからなる前記凹部を形成し、
前記第2工程では、前記接続孔の側壁を露出するように、前記配線溝の内壁を覆う状態で、前記第1のバリア膜を形成し、
前記第4工程では、前記第1のバリア膜から露出した前記接続孔の側壁に、第2のバリア膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2工程と前記第3工程との間に、
前記接続孔の底部に形成された前記第1のバリア膜を除去する工程を行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁膜の上層側は、酸素非含有絶縁層を有している
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記酸素含有絶縁層は無機系材料で構成されており、
前記酸素非含有絶縁層は有機系材料で構成されている
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
基板上に設けられた酸素含有絶縁層を有する絶縁膜と、
前記絶縁膜に設けられた前記基板に達する凹部を埋め込む銅を含む導電層と、
前記絶縁膜と前記導電層との間に部分的に設けられるとともに、前記導電層からの銅の拡散を防止する第1のバリア膜と
前記酸素含有絶縁層と前記導電層との間に前記第1のバリア膜の未形成領域を補完する状態で設けられるとともに、前記導電層からの銅の拡散を防止する金属含有酸化物からなる第2のバリア膜とを備えた
ことを特徴とする半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−59660(P2007−59660A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243944(P2005−243944)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】