説明

半導体装置の製造方法

【課題】パターン内のボイドの発生を抑制する。
【解決手段】下層配線30に達するビアホール33を形成し、バリアメタル層34及びシード層35aを形成した後、電解めっき法により、ビアホール33内をめっき層で埋め込む。その際、シード層35a形成後に、ビアホール33の間口にオーバーハング101bが形成されることを想定し、例えば開口径70nm以下のビアホール33であれば、シード層35a形成後のビアホール33の開口径W2を20nm以上にする。これにより、そのシード層35aを用いた電解めっき時に、ビアホール33内がめっき層で埋まる前にその間口が塞がってボイドが発生するのを回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、配線又はビアの形成プロセスを含む半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体装置においては、配線及びビアの材料として銅(Cu)が広く利用されている。Cuを用いた配線及びビアは、ダマシン法を用いて形成するのが主流となっている(例えば、特許文献1〜6参照。)。
【0003】
Cuを用いたダマシン法による配線又はビアの形成では、例えば、まず、絶縁層に配線溝又はビアホール(凹部)が形成され、その凹部内壁を含む絶縁層表面に、高融点金属等を用いたバリアメタル層が形成される。そして、そのバリアメタル層上に、PVD(Physical Vapor Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法等を用いて、Cuを用いたシード層が形成され、そのシード層を用いた電解めっき法により、凹部にCuのめっき層が埋め込まれる。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により、絶縁層上に形成された不要なCu及びバリアメタル層が除去されることで、Cuを用いた配線又はビアが形成される。
【特許文献1】特開2001−244216号公報
【特許文献2】特開2004−014816号公報
【特許文献3】特開2005−217346号公報
【特許文献4】特開2006−148074号公報
【特許文献5】特開2006−148075号公報
【特許文献6】特開2007−227819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
凹部へのめっき層の埋め込みに際しては、ボイドの発生がしばしば問題になる。ボイドは、配線或いはビアの電気的特性の劣化、短命化の原因になり得る。ボイドの発生原因の1つとして、凹部へのめっき層の埋め込み前のシード層の凹部内壁での成膜が不均一になり易いことが挙げられる。
【0005】
例えば、シード層が、凹部の間口を狭めるように突出したオーバーハング形状になって形成されると、電解めっきの際、凹部がめっき層で完全に埋め込まれる前にその間口が塞がれ、ボイドが発生してしまう場合がある。このようなボイドの発生は、微小な配線或いはビアを形成する場合ほど、より起こり易くなる。
【0006】
また、形成したシード層に、凹部の側壁等、膜厚の薄い部分や未形成領域が存在していると、電解めっきの際、そのような薄い部分がめっき液に溶解したり未形成領域が広がったりして、めっき層の埋め込み不良が発生し、ボイドが発生してしまう場合がある。たとえ電解めっきの際には凹部がめっき層で十分に埋め込まれていたとしても、後の熱処理工程等を経て、そのようなシード層の薄かった部分や未形成領域を起点にボイドが発生してくる場合もある。このようなボイドの発生は、絶縁層に低誘電率(Low−k)材料を用いていて、エッチングにより凹部がボーイング形状となって形成されるような場合に起こり易い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
方法の一観点によれば、絶縁層に開口寸法50nm以上70nm以下の凹部を形成する工程と、前記凹部内壁及び前記絶縁層の上方に第1金属層を形成し、前記第1金属層形成後の前記凹部の開口寸法が20nm以上となるようにする工程と、前記第1金属層上に前記凹部を埋める第2金属層を形成する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
また、方法の別の観点によれば、絶縁層にボーイング形状を有する凹部を形成する工程と、前記凹部内を含む前記絶縁層の上方に、前記凹部の側壁部における膜厚が10nm以上で、かつ、前記凹部に開口を残して、第1金属層を形成する工程と、前記第1金属層上に前記凹部を埋める第2金属層を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の半導体装置の製造方法によれば、ボイドの発生を効果的に抑えることができ、高性能かつ高信頼性の半導体装置が実現可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して詳細に説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
はじめに、配線及びビアを備えた半導体装置の一例について説明する。
【0011】
図1は半導体装置の一例の部分断面模式図である。
図1に例示する半導体装置1は、半導体基板2にSTI(Shallow Trench Isolation)法等により形成された素子分離絶縁膜3で画定された素子領域に、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ4が形成された構造を有している。
【0012】
MOSトランジスタ4は、ゲート絶縁膜4aを介して形成されたゲート電極4b、ゲート電極4bの側壁に形成された側壁絶縁膜4c、ゲート電極4bの両側の半導体基板2内に形成されたソース・ドレイン領域4d,4eを備えている。
【0013】
このようなMOSトランジスタ4が形成された半導体基板2上には、配線5,6,7及びビア8を含む多層配線が形成されている。
下層の配線5,6はそれぞれ、層間絶縁膜9を貫通して形成された導電プラグ10,11を介して、MOSトランジスタ4のソース・ドレイン領域4d,4eに接続されている。配線5,6には、層間絶縁膜12との間にバリアメタル層13,14が形成されており、配線5,6及び層間絶縁膜12の上には、キャップ層15が形成されている。
【0014】
さらに、下層の配線5,6のうち、一方の配線6は、層間絶縁膜16を貫通して形成されたビア8を介して、上層の配線7に接続されている。ビア8には、層間絶縁膜16との間にバリアメタル層17が形成されている。ビア8及び層間絶縁膜16の上には、キャップ層18が形成されている。また、配線7には、層間絶縁膜19との間にバリアメタル層20が形成されている。
【0015】
このような多層配線のさらに上層には、半導体装置1の種類に応じ、同様の構成の配線層が必要な層数だけ形成され、最上層には、外部接続用の電極パッド等が形成されるようになる。
【0016】
なお、ここでは、配線5,6,7及びビア8がいずれもシングルダマシン法によって形成されている場合を例示している。
続いて、上記のような構成を有する半導体装置に適用可能な配線及びビアの形成方法について説明する。
【0017】
まず、一例として、シングルダマシン法によるビアの形成方法について述べる。ビアは、例えば、次のような流れで形成される。
図2はビアホール形成工程の要部断面模式図、図3はバリアメタル層形成工程の要部断面模式図、図4はシード層形成工程の要部断面模式図、図5はめっき層形成後の一例の要部断面模式図である。
【0018】
ビアを形成する際には、まず、下層配線30上に、キャップ層31及び絶縁層32を形成する。キャップ層31には、例えば、シリコンカーバイド(SiC)や炭素含有シリコン酸化膜(SiOC)等を用いることができる。また、絶縁層32には、その全部或いは一部に、例えば、酸化シリコン(SiO)や、有機系又は無機系のLow−k材料(ポーラス構造のものを含む)等を用いることができる。そして、キャップ層31及び絶縁層32の形成後は、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用い、図2に示すように、それら絶縁層32及びキャップ層31を貫通して下層配線30に達するビアホール33を形成する。
【0019】
ビアホール33の形成後は、図3に示すように、例えば、スパッタリング法を用いて、ビアホール33の壁面を含む絶縁層32の表面に、ビアホール33に通じる開口を残すようにして、バリアメタル層34を形成する。バリアメタル層34には、タンタル(Ta),チタン(Ti),タングステン(W),ジルコニウム(Zr),ルテニウム(Ru)等の高融点金属を用いることができる。バリアメタル層34には、Ta,Ti,W,Zr,Ruのうちの1種、又はこれらの金属のうち少なくとも1種を含む合金、或いはこれらの金属や合金の窒素化合物を用いることができる。さらに、バリアメタル層34は、これらの金属、合金、窒素化合物の単層、或いはそれらを組み合わせた積層構造とすることができる。
【0020】
バリアメタル層34の形成後は、図4に示すように、例えば、スパッタリング法を用いて、バリアメタル層34上に、ビアホール33に通じる開口を残すようにして、シード層35aを形成する。Cuを用いてビアを形成する場合、シード層35aには、例えば、Cu、或いはCuとアルミニウム(Al),Ti,Zr,ニッケル(Ni),銀(Ag),パラジウム(Pd),マンガン(Mn),マグネシウム(Mg)のうちの少なくとも1種とを含むCu合金等を用いる。シード層35aは、Cu又はCu合金の単層、CuとCu合金の積層構造、或いはCu合金とCu合金の積層構造とすることができる。
【0021】
シード層35aの形成後は、シード層35aを用いた電解めっき法により、Cu等の配線材料のめっき層35bをビアホール33内に形成する。なお、めっき層35bの形成後は、通常、CMPにより、絶縁層32上の不要なめっき層35b、シード層35a及びバリアメタル層34が除去される。
【0022】
ここで、電解めっき法によるめっき層35bの形成時には、図5に示すように、めっき層35b内にボイド100が発生してしまう場合がある。ボイド100は、最終的に得られるビアの抵抗増加、容量増加、信号遅延といった電気的特性の劣化や、寿命の短命化等を引き起こす可能性がある。このようなボイド100の発生には、めっき層35bに先立って形成されるバリアメタル層34及びシード層35aの形成状態が影響してくる。
【0023】
即ち、バリアメタル層34及びシード層35aには、それぞれ図3及び図4に示したように、ビアホール33の間口にオーバーハング101a,101bが形成される場合がある。なお、シード層35aのオーバーハング101bは、シード層35aの前に形成されるバリアメタル層34のオーバーハング101aにより助長され易い。バリアメタル層34及びシード層35aにこのようなオーバーハング101a,101bが形成されると、その分、ビアホール33内に通じる間口の開口寸法(径)は狭くなる。そのため、シード層35aを用いた電解めっき時には、ビアホール33内にめっき層35bが十分埋め込まれる前に、その間口が塞がってしまい、ボイド100が発生するという現象が起こり易くなる。
【0024】
また、図6はめっき層形成後の別例の要部断面模式図である。
バリアメタル層34或いはシード層35aの形成工程後のビアホール33内、特にその側壁には、それらの未形成領域102や、それらが殆ど形成されていない極薄領域103ができてしまう場合がある。さらに、一旦は形成されたシード層35aが、その後の電解めっき時にめっき液に溶解してしまい、未形成領域102ができてしまう場合もある。未形成領域102や極薄領域103が存在すると、ビアホール33内にめっき層35bが十分に埋め込まれずにボイド104が発生してしまい易くなる。また、一見ビアホール33内がめっき層35bで十分に埋め込まれているようであっても、その後の工程(熱処理工程等)を経たときにボイドが発生してくる場合もある。
【0025】
近年、ビアや配線等のパターンは微細化が進んでいるが、そのパターンサイズが縮小するにつれ、上記のようなパターン間口の閉塞によるボイド100の発生や、パターン内壁の被覆不良によるボイド104の発生は起こり易くなる。特に、直径70nm以下のビアや、幅70nm以下の配線を形成しようとする場合には、そのようなボイド100,104の発生が一層起こり易くなる。
【0026】
そこで、ここでは、種々の条件で上記のようなめっき層35bの形成を行い、そのめっき層35bによるビアホール33の埋め込み状態について検証する。
ビアホール33の埋め込み状態の検証のため、まず、図2に示したように、絶縁層32に、開口径(直径)Wが70nmで、所定深さ、例えば深さ250nmのビアホール33を複数形成する。
【0027】
次いで、ビアホール33を複数形成した絶縁層32の全面に対し、図3及び図4に示したように、バリアメタル層34及びシード層35aを、スパッタリング法を用いて順に形成する。その際、バリアメタル層34及びシード層35aを種々の条件で形成し、バリアメタル層34形成後のビアホール33の開口径W1、及びシード層35a形成後のビアホール33の開口径W2をそれぞれ調整する。なお、開口径W1,W2は、オーバーハング101a,101bによってビアホール33の間口が最も狭くなっている部分の径である。
【0028】
このようにして各条件で開口径W1のバリアメタル層34及び開口径W2のシード層35aを形成した後、電解めっき法により、一定の条件で、めっき層35bを形成する。
そして、形成しためっき層35b内のボイドの有無を、高分解能SEM(Scanning Electron Microscope)を用いた断面観察により確認する。この断面観察の結果から、複数のビアホール33のうち、ボイドが発生していないビアホール33の数を求め、次式(1)より、その比率(埋め込み達成率)を求める。
【0029】
埋め込み達成率(%)=ボイド無しビアホールの個数/全ビアホール数×100 ・・・(1)
バリアメタル層34及びシード層35aの形成条件と形成後の開口径W1,W2、並びにめっき層35b形成後の埋め込み達成率を調査した結果の一例を表1に示す。また、表2に、表1の調査に用いたバリアメタル層34及びシード層35aの形成条件を示す。
【0030】
なお、埋め込み不良の形態として、前述のように、めっき層35bで十分に埋め込まれる前にビアホール33の開口が閉塞することによってボイドが発生してしまうものがある(図5)。また、埋め込み不良の別の形態として、前述のように、ビアホール33の内壁におけるバリアメタル層34やシード層35aの被覆不良によってボイドが発生してしまうものがある(図6)。ここでは、電解めっき時のビアホール33の開口閉塞によって発生する埋め込み不良を調査対象とし、そのような埋め込み不良を選択的に検出するため、ビアホール33の内壁におけるバリアメタル層34やシード層35aの被覆が十分確保できる条件を設定している。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
バリアメタル層34は、表2に示したように、2種類の条件BRM(a),(b)で形成している。条件BRM(a),(b)ではいずれも、バリアメタル層34を、その形成途中でターゲット電力及び基板(ビアホール33の形成後でバリアメタル層34の形成前の基板)のバイアス電力を2ステップで変化させて形成する(マルチ・ステップ・スパッタリング法)。条件BRM(a)では、第1ステップで膜厚10nm、第2ステップで膜厚5nmの、計15nmの膜厚のバリアメタル層34を形成する。また、条件BRM(b)では、第1ステップで膜厚5nm、第2ステップで膜厚2nmの、計7nmの膜厚のバリアメタル層34を形成する。なお、膜厚は、絶縁層32表面のフィールド部における値である。
【0034】
一方、シード層35aは、表2に示したように、3種類の異なるターゲット電力とバイアス電力の条件Seed(a)〜(c)で、いずれも60nmの膜厚で、形成している。なお、膜厚は、絶縁層32表面のフィールド部における値である。
【0035】
表2に示したような条件BRM(a),(b)及び条件Seed(a)〜(c)を組み合わせ、複数のビアホール33に対して表1に示したような範囲の開口径W1,W2でバリアメタル層34及びシード層35aを形成した試料A〜Fを得る。そして、各試料A〜Fについて、一定条件で電解めっきを行ってめっき層35bを形成し、SEMを用いた断面観察を行って埋め込み達成率を求める。
【0036】
表1より、埋め込み達成率が100%、即ち、複数のビアホール33が全てボイド無しでめっき層35bにより埋め込まれるのは、試料D,Eである。試料D,Eでは、それらの全ビアホール33について、シード層35a形成後(めっき層35b形成前)の開口径W2が20nm以上になっている。
【0037】
これに対し、埋め込み達成率が100%未満となる試料A〜C,Fでは、表1に示したように、複数のビアホール33の中にシード層35a形成後の開口径W2が20nm未満となるものが含まれている。但し、試料A〜C,Fでも、複数のビアホール33のうち、シード層35a形成後の開口径W2が20nm以上になっているものについては、ボイドの発生は認められない。
【0038】
このように、シード層35a形成後の開口径W2を20nm以上にすることにより、ビアホール33内のボイドの発生を効果的に抑えることができるようになる。
また、表1より、バリアメタル層34を条件BRM(a)で形成し、その形成後の開口径W1が50nm未満となるときには、シード層35aの形成条件によらず、全ビアホール33のシード層35a形成後の開口径W2が20nm以上になるということがない。
【0039】
ここで、バリアメタル層34形成後の開口径W1と、シード層35a形成後の開口径W2との関係について説明する。
表3に、バリアメタル層34及びシード層35aの形成条件と形成後の開口径W1,W2を調査した結果の一例を示す。また、表4に、表3の調査に用いたバリアメタル層34及びシード層35aの形成条件を示す。
【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
ここでは、バリアメタル層34は、表4に示したように、その形成途中でターゲット電力及びバイアス電力を2ステップで変化させる条件BRM(c)で形成している。条件BRM(c)では、第1ステップで膜厚5nm、第2ステップで膜厚1nmの、計6nmの膜厚のバリアメタル層34を形成する。なお、膜厚は、絶縁層32表面のフィールド部における値である。この条件BRM(c)でバリアメタル層34を形成すると、その形成後の開口径W1を50nm以上にすることができる。
【0043】
一方、シード層35aは、表4に示したように、3種類の異なるターゲット電力とバイアス電力の条件Seed(d)〜(f)で、いずれも60nmの膜厚で、形成している。なお、膜厚は、絶縁層32表面のフィールド部における膜厚である。
【0044】
条件BRM(c)及び条件Seed(d)〜(f)を組み合わせ、複数のビアホール33に対して表3に示したような範囲の開口径W1,W2でバリアメタル層34及びシード層35aを形成した試料G〜Iを得る。
【0045】
表3より、バリアメタル層34形成後の開口径W1が50nm以上であっても、シード層35aの形成条件によっては、全ビアホール33のシード層35a形成後の開口径W2を20nm以上にすることができない場合があることがわかる。従って、シード層35a形成後の開口径W2を20nm以上にする場合、バリアメタル層34形成後の開口径W1を50nm以上にすると共に、シード層35aの形成条件を最適化することも重要になってくるということができる。
【0046】
なお、ここでは、シングルダマシン法によりビアを形成する場合を例にして説明したが、シングルダマシン法による配線の形成も、上記のビアの形成フローと同様に行うことができる。
【0047】
また、ここでは、直径70nmのビアホール33を例にしてその埋め込み状態を調査した結果について説明した。同様の形成フローで、幅70nmの配線溝を形成し、そこにバリアメタル層及びシード層を介してめっき層を埋め込む場合にも、このビアホール33について得られたのと同様の結果が得られる。開口幅Wが70nmの配線溝の場合、シード層形成後の開口幅W2を20nm以上にし、また、バリアメタル層形成後の開口幅W1を50nm以上にすると共にシード層形成後の開口幅W2を20nm以上にすればよい。なお、配線溝の開口幅W,W1,W2は、配線溝の間口が最も狭くなっている部分の幅である。
【0048】
このように、第1の実施の形態では、開口寸法が70nmのパターン(ビアホール、配線溝)を形成し、そこにバリアメタル層及びシード層を介してめっき層を形成する。その際、めっき層形成直前のパターン間口の開口寸法(開口径、開口幅)が20nm以上になるようにする。これにより、ボイドの発生を効果的に抑えて、パターンにめっき層を埋め込むことができるようになる。その結果、電気的特性の劣化、短命化、信号遅延等を抑えた配線層が形成可能になり、高性能かつ高信頼性の半導体装置が実現可能になる。
【0049】
以上の説明では、開口寸法が70nmのパターンを例にして説明したが、上記手法が適用可能なパターンの開口寸法は、70nmに限定されるものではない。特に、開口寸法が70nmを下回る、より微小なパターン(例えば開口寸法50nm〜70nm)については、同様にめっき層形成直前のパターン間口の開口径が20nm以上になるようにすることで、パターン内のボイドの発生を効果的に抑えることができる。開口寸法が70nmを上回るパターン(例えば開口寸法100nm)であっても、上記手法によれば、同様にパターン内のボイドの発生を効果的に抑えることが可能である。
【0050】
なお、シード層を形成する際には、シード層形成後のパターン間口の開口寸法が、20nm以上で、かつ、元々のパターン開口寸法の65%以下となるように、シード層を形成することが好ましい。これは、65%を上回るような範囲では、シード層が薄くなり、後の電解めっき時にシード層がめっき液に溶解し、それに起因したボイドの発生が起こる可能性が高まるためである。
【0051】
以下、上記手法を用いた実施例について説明する。
(第1実施例)
まず、第1実施例について説明する。図7〜図11は、第1実施例のビア形成工程の説明図である。以下、図7〜図11を参照して各工程を順に説明する。
【0052】
図7は第1実施例のビアホール形成工程の要部断面模式図である。
まず、図7に示すように、半導体基板に形成されているMOSトランジスタ等の素子に電気的に接続されている下層配線40上に、キャップ層41、層間絶縁膜42及びハードマスク43を順に形成する。キャップ層41及びハードマスク43はそれぞれ、例えば、SiCやSiOC等を、CVD法により、数十nmの膜厚で形成する。層間絶縁膜42は、例えば、有機系又は無機系のLow−k膜(ポーラス構造のものを含む)等を、塗布法やCVD法により、100nm〜数百nmの膜厚で形成する。例えば、キャップ層41、層間絶縁膜42及びハードマスク43を、合計膜厚140nm程度で形成する。
【0053】
キャップ層41、層間絶縁膜42及びハードマスク43の形成後は、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、それらハードマスク43、層間絶縁膜42及びキャップ層41を貫通して下層配線40に達する、直径(開口径W)70nmのビアホール44を形成する。例えば、ビアホール44の形成には、フルオロカーボンを含むガス(CF系ガス)、アンモニアを含むガス(NH3系ガス)、及び窒素(N2)及び水素(H2)を含むガス(N2/H2ガス)等をエッチングガスとして用いたプラズマエッチングが利用可能である。
【0054】
図8は第1実施例のバリアメタル層形成工程の要部断面模式図である。
ビアホール44の形成後は、図8に示すように、例えば、スパッタリング法を用いて、層間絶縁膜42上(ビアホール44の壁面)及びハードマスク43上に、ビアホール44に通じる開口を残して、バリアメタル層45を形成する。ここでは、バリアメタル層45形成後の開口径W1が50nm以上となるように、バリアメタル層45を形成する。
【0055】
なお、バリアメタル層45をスパッタリング法により形成する場合には、基板にバイアスを印加しないノンバイアス・スパッタリング法と、基板にバイアスを印加しながらスパッタリングを行うバイアス・スパッタリング法の、いずれも用いることができる。また、バリアメタル層45は、その形成を終始一定の条件で形成する方法のほか、形成途中でターゲット電力及び基板のバイアス電力を変化させるマルチ・ステップ・スパッタリング法により形成することもできる。
【0056】
バリアメタル層45を2ステップで形成する場合の条件の一例を次に示す。
<第1ステップ>
膜厚(ハードマスク43上):3nm〜5nm
ターゲット電力:5kW〜40kW
バイアス電力:0W〜500W
圧力:4×10-2Pa
<第2ステップ>
膜厚(ハードマスク43上):0nm〜3nm
ターゲット電力:0.1kW〜5kW
バイアス電力:0W〜500W
圧力:4×10-2Pa
このような条件を用いることにより、ビアホール44の壁面に被覆不良を発生させずに、かつ、バリアメタル層45形成後の開口径W1を50nm以上にすることができる。
【0057】
図9は第1実施例のシード層形成工程の要部断面模式図である。
バリアメタル層45の形成後は、図9に示すように、例えば、スパッタリング法を用いて、バリアメタル層45上に、ビアホール44に通じる開口を残して、Cuのシード層46aを形成する。ここでは、シード層46a形成後の開口径W2が20nm以上となるように、シード層46aを形成する。
【0058】
なお、シード層46aには、Cuのほか、銅アルミニウム(CuAl)、銅チタン(CuTi)等の合金を用いることもできる。
シード層46aをスパッタリング法により形成する場合には、ノンバイアス・スパッタリング法とバイアス・スパッタリング法のいずれも用いることができる。
【0059】
シード層46aの形成条件の一例を次に示す。
膜厚(ハードマスク43上):30nm〜100nm
ターゲット電力:5kW〜30kW
バイアス電力:0W〜200W
圧力:1×10-5Pa〜10Pa
このような条件を用いることにより、バリアメタル層45の表面に被覆不良を発生させずに、かつ、シード層46a形成後の開口径W2を20nm以上にすることができる。
【0060】
なお、シード層46aは、マルチ・ステップ・スパッタリング法により形成することもできる。
図10は第1実施例のめっき層形成工程の要部断面模式図である。
【0061】
シード層46aの形成後は、図10に示すように、シード層46aを用いた電解めっき法により、配線材料であるCuのめっき層46bをビアホール44内に埋め込む。例えば、硫酸銅浴に浸漬し、電流密度7A/cm2〜30A/cm2の条件で、膜厚500nm〜1500nmのめっき層46bを形成する。
【0062】
この電解めっき時には、上記のように、予めバリアメタル層45形成後の開口径W1を50nm以上とし、かつ、シード層46a形成後の開口径W2を20nm以上としている。そのため、間口の閉塞によってビアホール44内にボイドを発生させることなく、ビアホール44内にめっき層46bを埋め込むことができる。
【0063】
図11は第1実施例のCMP工程の要部断面模式図である。
めっき層46bの形成後は、図11に示すように、CMPにより、ハードマスク43上の不要なめっき層46b、シード層46a及びバリアメタル層45を除去する。これにより、ビアホール44内にバリアメタル層45を介してシード層46a及びめっき層46bが形成されたビア46が得られる。なお、CMP後のビア46の最小径(バリアメタル層45を除く部分の径)W3は、50nm以上になる。
【0064】
(第2実施例)
次に、第2実施例について説明する。なお、この第2実施例では、上記第1実施例で述べたビアホール形成工程(図7)は同じであるため、それ以後の工程について、次の図12〜図15を参照して順に説明する。
【0065】
図12は第2実施例のシード層形成工程の要部断面模式図である。
ここでは、上記図7に示したようにビアホール44を形成した後、バリアメタル層を形成することなく、図12に示すように、Cu及びMnを含むシード層46c、例えば、銅マンガン(CuMn)合金のシード層46cを形成する。シード層46cは、例えば、スパッタリング法を用い、層間絶縁膜42上(ビアホール44の壁面)及びハードマスク43上に、ビアホール44に通じる開口を残して、形成する。ここでは、シード層46c形成後の開口径W2が20nm以上となるように、シード層46cを形成する。
【0066】
シード層46cをスパッタリング法により形成する場合には、ノンバイアス・スパッタリング法とバイアス・スパッタリング法のいずれも用いることができる。
シード層46cの形成条件の一例を次に示す。
【0067】
膜厚(ハードマスク43上):30nm〜100nm
ターゲット電力:5kW〜30kW
バイアス電力:0W〜200W
圧力:1×10-5Pa〜10Pa
Mn添加量:0.1atom%〜10atom%
このような条件を用いることにより、ビアホール44の壁面に被覆不良を発生させずに、かつ、シード層46c形成後の開口径W2を20nm以上にすることができる。
【0068】
なお、シード層46cは、マルチ・ステップ・スパッタリング法により形成することもできる。
図13は第2実施例のめっき層形成工程の要部断面模式図である。
【0069】
シード層46cの形成後は、図13に示すように、シード層46cを用いた電解めっき法により、Cuのめっき層46bをビアホール44内に埋め込む。
電解めっき時には、上記のように、予めシード層46c形成後の開口径W2を20nm以上としているため、ボイドを発生させずにビアホール44内にめっき層46bを埋め込むことができる。
【0070】
図14は第2実施例の熱処理工程の要部断面模式図である。
めっき層46bの形成後は、熱処理を行い、シード層46cに添加したMnを熱拡散させる。シード層46c中のMnは、熱処理により、シード層46cと層間絶縁膜42との界面に拡散し、層間絶縁膜42内のSiやOと反応してMnSixyやMnOxといったMn酸化物を形成する。このMn酸化物は、層間絶縁膜42中へのCuの拡散をブロックするに十分なバリア性を有している。
【0071】
このように、バリアメタル層を形成することなく、Mnを含有するシード層46cを形成し、めっき層46bの形成後、熱処理を行うことにより、配線材料と層間絶縁膜42との界面には、図14に示すように、自己整合的にバリア層50が形成される。バリア層50は、ビアホール44の側壁に、例えば、5nm以下程度の膜厚で形成される。
【0072】
このようにMnを拡散させてバリア層50を形成するための熱処理は、例えば、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、大気雰囲気、微量酸素雰囲気等の雰囲気下で、温度150℃以上、時間30秒以上の条件で行うことができる。
【0073】
図15は第2実施例のCMP工程の要部断面模式図である。
バリア層50を形成する熱処理後は、図15に示すように、CMPにより、ハードマスク43上の不要なめっき層46b、シード層46c及びバリア層50を除去する。これにより、ビアホール44内に自己整合的に形成されたバリア層50を介してシード層46c及びめっき層46bが形成されたビア46が得られる。なお、CMP後のビア46の最小径(バリア層50を除く部分の径)W3は、膜厚5nm以下のバリア層50が形成されている場合、60nm以上になる。
【0074】
なお、バリア層50は、上記図14で述べた熱処理工程を経ずにCMPを行ってビア46を形成した後、他工程の熱処理、例えば、より上層の絶縁膜を形成する際の熱等を利用して、形成することも可能である。
【0075】
(第3実施例)
次に、第3実施例について説明する。なお、この第3実施例では、上記第1実施例で述べたビアホール44の形成工程(図7)及びバリアメタル層45の形成工程(図8)までは同じであるため、それ以後の工程について、次の図16〜図19を参照して順に説明する。
【0076】
図16は第3実施例のシード層形成工程の要部断面模式図である。
上記図7及び図8に示したようにビアホール44の形成、及びバリアメタル層45の形成を行った後、図16に示すように、所定の条件でスパッタリングを行い、バリアメタル層45上に、Cu及びMnを含むシード層46cを形成する。シード層46cは、シード層46c形成後の開口径W2が20nm以上となるように形成する。
【0077】
図17は第3実施例のめっき層形成工程の要部断面模式図である。
シード層46cの形成後は、図17に示すように、所定の条件で電解めっきを行い、Cuのめっき層46bをビアホール44内に埋め込む。この電解めっき時には、予めバリアメタル層45形成後の開口径W1を50nm以上とし、かつ、シード層46c形成後の開口径W2を20nm以上としているため、ボイドを発生させずにビアホール44内にめっき層46bを埋め込むことができる。
【0078】
図18は第3実施例の熱処理工程の要部断面模式図である。
めっき層46bの形成後は、所定の条件で熱処理を行い、配線材料と層間絶縁膜42及びバリアメタル層45との界面に、図14に示すように、膜厚5nm以下程度のバリア層50を自己整合的に形成する。
【0079】
ここで、この第3実施例におけるバリア層50の形成状態について説明する。
図19はビアホール側壁部におけるバリア層の形成状態の説明図である。
層間絶縁膜42にビアホール44を形成し、バリアメタル層45を形成した後には、その形成条件によっては、ビアホール44の側壁にバリアメタル層45の未形成領域200が生じてしまう場合がある。また、製造環境や製造時の取り扱いによっては、続くシード層46cの形成までの間に、バリアメタル層45が酸化して変質してしまった変質バリアメタル層45aがビアホール44の側壁に生成されてしまう可能性もある。
【0080】
しかし、このような場合であっても、Mnを含有するシード層46cを形成すると、後の熱処理時には、拡散したMnと未形成領域200の層間絶縁膜42内のSi,Oとの反応や、拡散したMnと変質バリアメタル層45a表面のOとの反応が起こる。それにより、未形成領域200や変質バリアメタル層45a上にバリア層50が形成されるようになる。また、同様に、拡散したMnとバリアメタル層45表面に存在するOとの反応が起こると、バリアメタル層45上にもバリア層50が形成される。
【0081】
この結果、元々形成されているバリアメタル層45と、新たに形成されたバリア層50とにより、配線材料であるCuの層間絶縁膜42内への拡散を効果的にブロックすることが可能になる。
【0082】
このようなバリア層50を形成する熱処理を行った後は、CMPにより、ハードマスク43上の不要なめっき層46b、シード層46c、バリア層50及びバリアメタル層45を除去することで、ビア46が得られる。なお、CMP後のビア46の最小径(バリアメタル層45及びバリア層50を除く部分の径)W3は、膜厚5nm以下のバリア層50が形成されている場合、40nm以上になる。
【0083】
なお、以上の説明では、バリアメタル層及びシード層をスパッタリング法を用いて形成する場合を例にして述べたが、スパッタリング法のほか、PVD法、CVD法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を用いることもできる。
【0084】
また、以上の説明では、シングルダマシン法を用いたパターン形成を例にして述べたが、ビアホールと配線溝を同時に埋め込むデュアルダマシン法を用いてパターン形成を行う場合も、上記同様の手法を用いることが可能である。
【0085】
次に、第2の実施の形態について説明する。
近年では、配線及びビアのパターン材料に、主に低抵抗化を目的としてCuが利用され、また、層間絶縁膜材料には、主に容量低減を目的としてLow−k材料が利用されることが多くなってきている。
【0086】
しかしながら、Low−k膜は、プラズマ耐性が弱いという性質を有している。そのため、Low−k膜の層間絶縁膜に、キャップ層やハードマスク等の他の絶縁材料と共に、配線溝及びビアホールをプラズマエッチングにより形成しようとすると、層間絶縁膜にサイドエッチングが生じ、ボーイングが形成されてしまう場合がある。
【0087】
ここで、図20〜図24は、層間絶縁膜材料にLow−k材料を用いた場合の配線形成工程の一例を説明する図である。図20はバリアメタル層及びシード層形成後の状態の一例を示す図、図21はめっき層形成初期段階の一例を示す図、図22はめっき層形成後の状態の一例を示す図、図23は熱処理後の状態の一例を示す図、図24はCMP後の状態の一例を示す図である。
【0088】
例えば、図20に示すように、まず、MOSトランジスタ等の素子を形成した半導体基板上方に、テトラエトキシシラン(TEOS)を用いてSiO膜(TEOS膜)70をCVD法により形成する。続いて、膜厚30nm程度のSiC膜をキャップ層71として形成する。その後、キャップ層71上に、塗布法やCVD法により、膜厚130nm程度のLow−k膜(ポーラス構造のものを含む)の層間絶縁膜72を形成する。そして、所定膜厚のSiC膜73aとSiO膜73bとを積層してハードマスク73を形成した後、プラズマエッチングにより、ハードマスク73、層間絶縁膜72及びキャップ層71を順にエッチングしていき、所定寸法の配線溝74を形成する。例えば、幅50nm〜100nm、深さ150nm〜400nm程度(アスペクト比>2.5)の配線溝74を形成する。また、その形成時のエッチングガスには、CF系ガス、NH3系ガス、N2/H2ガス等を用いる。
【0089】
このような配線溝74の形成時において、層間絶縁膜72をLow−k膜により形成していると、ハードマスク73やキャップ層71とのエッチングレートの違いにより、層間絶縁膜72にサイドエッチングが生じ、ボーイング72aが発生する場合がある。
【0090】
配線溝74の形成後は、例えば、スパッタリング法により、図20に示したように、Ta等が堆積されてバリアメタル層75が形成され、Cu等の堆積成分76cが堆積されてシード層76aが形成される。バリアメタル層75及びシード層76aは、ハードマスク73上(フィールド部)に比べ、配線溝74の側壁部には薄く形成され易い。特に、上記のように配線溝74にボーイング72aが発生していると、その形状のために、バリアメタル層75やシード層76aの形成条件によっては、配線溝74の側壁部のバリアメタル層75やシード層76aの膜厚が非常に薄くなってしまう。なお、図20には、シード層76aが部分的に薄くなって形成されている場合を例示している。
【0091】
このような状態から電解めっきを行うと、図21に示すように、シード層76aがめっき液77に溶解して未形成領域(溶解部分)300ができる、といった現象が起こり易くなる。また、未形成領域300は形成されなくとも、シード層76aがめっき液77への溶解で薄くなり、バリアメタル層75との密着力が低下する、といった現象が起こる場合もある。
【0092】
シード層76aがめっき液77に溶解した状態でも電解めっきは進行し、図22に示すように、めっき層76bが配線溝74内に十分に埋め込まれた状態を得ることは可能である。しかし、その後、熱処理雰囲気に晒すと、図23に示すように、シード層76aの未形成領域300や、バリアメタル層75との密着力が弱い部分を起点に、ボイド301が発生してくる場合がある。この場合、CMP後には、ボイド301が残った不良の配線76が形成されてしまうようになる。
【0093】
なお、このようなボイド301の発生は、配線76形成時の熱処理のほか、配線76形成後の他工程の熱処理(より上層の絶縁膜を形成する際の熱等)によっても、同様に起こり得る。
【0094】
そこで、次のようなシード層76aの形成方法を採用し、層間絶縁膜72にボーイング72aが発生しているような場合であっても、シード層76aのめっき液77への溶解による未形成領域300の発生等を抑え、ボイド301の発生を抑制する。
【0095】
図25は配線溝形成工程の要部断面模式図、図26はめっき層形成初期段階の要部断面模式図、図27はめっき層形成工程の要部断面模式図、図28は熱処理工程の要部断面模式図、図29はCMP工程の要部断面模式図である。
【0096】
ここでは、図25に示すように、配線溝74の形成後、まず、スパッタリング法により、バリアメタル層75としてTa膜等を形成する。その際は、例えば、ターゲット電力が1.0kW〜20kW、基板のバイアス電力が0W〜300W、圧力が4×10-2Paの条件でスパッタリングを行い、フィールド部の膜厚が3nm〜20nm程度となるようにバリアメタル層75を形成する。
【0097】
次いで、このようにして形成したバリアメタル層75上に、スパッタリング法により、シード層76aを形成する。その際は、例えば、ターゲット電力が2.0kW〜5.0kW、基板のバイアス電力が50W〜150W、圧力が1×10-5Pa〜10Paの条件でスパッタリングを行い、シード層76aを形成する。シード層76aは、例えば、フィールド部の膜厚が3nm〜25nm程度となるように形成する。
【0098】
一般にスパッタリング法では、例えば、アルゴン(Ar)をプラズマ化してターゲットに衝突させ、その衝突によってターゲットから発生した堆積成分(Cu原子、Cuイオン等)が基板に衝突することで、基板上に堆積成分が堆積されていく。その際、スパッタリング条件によっては、堆積成分の基板上への堆積と共に、一旦堆積された堆積成分がArイオンの衝突等によりエッチングされる現象(再スパッタリング)が起こる。
【0099】
ここでは、シード層76aを形成する際、堆積成分76cの堆積と共に、そのような再スパッタリングが起こるような条件を用いる。そして、バリアメタル層75上へのシード層76aの堆積を行いながら、配線溝74の底部に堆積されたシード層76aの一部の堆積成分76cを再スパッタリングして、配線溝74の側壁部に堆積させるようにする。これにより、ボーイング72aが発生している、シード層76aの膜厚が薄くなり易かった配線溝74の側壁部において、シード層76aを一定以上の膜厚に確保する。なお、このようなスパッタリング法を用いたシード層76aの形成方法の詳細については後述する。
【0100】
配線溝74の側壁部におけるシード層76aの膜厚を一定以上とすることにより、続く電解めっきの際には、図26に示すように、未形成領域や密着力低下を生じさせるようなシード層76aのめっき液77への溶解が抑えられるようになる。
【0101】
このように、シード層76aの膜厚を一定以上にし、未形成領域等を生じさせるような電解めっき時の溶解を抑えるようにすることにより、図27に示すように、めっき層76bが配線溝74内に十分に埋め込まれていく。そして、めっき層76bの形成後、熱処理を行っても、図28に示すように、ボイドの発生は効果的に抑えられ、CMP後も、図29に示すように、ボイドの無い、良好な配線76が得られるようになる。
【0102】
なお、層間絶縁膜72のボーイング72aの程度は、次のような値で評価することが可能である。図30は層間絶縁膜のボーイングの説明図である。
例えば、図30に示すように、バリアメタル層75の形成後で、シード層76aの形成前の状態を想定する。ここで、バリアメタル層75を形成した状態での配線溝74の側方への膨らみが開始する部分から、その膨らみが終了する部分までの高さをh、膨らみが開始する部分(又は膨らみが終了する部分)から最も大きく膨らんだ部分までの幅をwとする。この場合に、次式(2)により得られる値を、ボーイング72aの程度を示すボーイング率とする。
【0103】
ボーイング率(%)=w/h×100 ・・・(2)
ボーイング率が大きいものほど、膨らみの程度、即ちボーイング72aの程度が大きいことになる。
【0104】
なお、ここではシード層76aの形成前(めっき層76bの形成直前)の状態でh,wを定義したが、例えば、バリアメタル層75の形成前の状態で、同様にh,wを定義し、ボーイング率を求めるようにしても構わない。
【0105】
続いて、シード層76aの形成方法について、より詳細に説明する。
ここでは、配線溝74の底部に堆積されたシード層76aの一部が再スパッタリングによって配線溝74の側壁部に堆積されるような条件のバイアス・スパッタリング法によりシード層76aを形成する。そこで、まず、このようにシード層76aをバイアス・スパッタリング法により形成した場合に得られるシード層76aの膜厚と、ノンバイアス・スパッタリング法により形成した場合に得られるシード層76aの膜厚との違いについて述べる。
【0106】
図31はスパッタリング法によるシード層の膜厚の違いを説明する図であって、(A)はノンバイアス・スパッタリング法を用いた場合の説明図、(B)はバイアス・スパッタリング法を用いた場合の説明図である。
【0107】
ノンバイアス・スパッタリング法によりシード層76aを形成した場合には、図31(A)に示すように、フィールド部には比較的厚く、配線溝74の側壁部には比較的薄く、シード層76aが形成される。一方、バイアス・スパッタリング法によりシード層76aを形成した場合には、図31(B)に示すように、フィールド部には比較的薄く、配線溝74の側壁部には比較的厚く、シード層76aが形成される。
【0108】
バイアス・スパッタリング法では、ノンバイアス・スパッタリング法に比べ、堆積成分76cやArイオンがバイアスによって強く加速され、堆積後のシード層76aの再スパッタリングが強く現れる。ノンバイアス・スパッタリング法では、そのような再スパッタリングが抑えられ、シード層76aの堆積が優勢になっている。このような再スパッタリング効果により、バイアス・スパッタリング法では、ノンバイアス・スパッタリング法に比べ、フィールド部におけるシード層76aの膜厚が薄くなる。
【0109】
そして、バイアス・スパッタリング法の場合には、配線溝74の底部の再スパッタリングされたシード層76aの一部の堆積成分76cが、ノンバイアス・スパッタリング法では薄くなってしまう配線溝74の側壁部に堆積する。そのため、バイアス・スパッタリング法では、ノンバイアス・スパッタリング法に比べ、配線溝74の側壁部におけるシード層76aの膜厚が厚くなる。
【0110】
今、ノンバイアス・スパッタリング法により形成したシード層76aと、バイアス・スパッタリング法により形成したシード層76aとの、フィールド部における膜厚の差分をエッチ量Δdとする。
【0111】
図32はエッチ量と配線溝側壁部のシード層膜厚との関係の一例を示す図である。なお、ここでは、上記式(2)のボーイング率が7%〜9%程度の試料について得られた、エッチ量Δdと配線溝74の側壁部におけるシード層76aの膜厚との関係の一例を示している。
【0112】
上記のように、再スパッタリングが起こるような条件でバイアス・スパッタリング法によりシード層76aの形成を行うと、ノンバイアス・スパッタリング法によりシード層76aを形成した場合に対し、フィールド部においてエッチ量Δdが生じる。そして、図32に示すように、そのようなエッチ量Δdの増加に伴い、配線溝74の側壁部におけるシード層76aの膜厚は厚くなる傾向が見られる。
【0113】
このように、バイアス・スパッタリング法によりシード層76aを形成することにより、配線溝74の側壁部におけるシード層76aの膜厚を厚くすることができる。また、配線溝74の側壁部におけるシード層76aの膜厚は、フィールド部におけるエッチ量Δdによって制御することが可能であるということができる。
【0114】
シード層76aをバイアス・スパッタリング法で形成する場合、フィールド部におけるシード層76aの堆積速度(形成速度)Dと、その再スパッタリングによるエッチング速度(除去速度)Eとの比D/Eは、2.0〜5.0の範囲に設定することが好ましい。
【0115】
ノンバイアス・スパッタリング法の場合、通常、比D/Eは5.0を上回るような範囲となる。比D/Eが5.0を上回る範囲では、シード層76aの堆積が優勢となって、配線溝74の底部に堆積されたシード層76aの一部を再スパッタリングして配線溝74の側壁部に一定以上の膜厚で堆積させることが難しくなる。
【0116】
また、比D/Eが2.0を下回る範囲では、配線溝74内に堆積されたシード層76a、特に配線溝74の底部に堆積されたシード層76aが、再スパッタリングによって薄くなり、未形成領域等を生じさせるようなシード層76aの溶解が起こる可能性が高くなる。なお、比D/Eが1.0の場合は、シード層76aの堆積と再スパッタリングとが均衡する条件となるが、シード層76aを形成する際、この条件でバイアス・スパッタリングを行うのみでは、配線溝74の底部及び側壁部の全体にシード層76aを形成することは難しい。
【0117】
上記のように、比D/Eを2.0〜5.0の範囲に設定することにより、配線溝74の底部、或いは底部及び側壁部への堆積を行いつつ、配線溝74の底部に堆積したシード層76aの一部を再スパッタリングにより側壁部に堆積させることができる。それにより、配線溝74の底部及び側壁部の全体に一定膜厚のシード層76aを形成することができる。
【0118】
形成するシード層76aの膜厚は、ボイドの発生原因となるシード層76aの未形成領域や密着力低下を生じさせるようなめっき液77への溶解を回避できる範囲に設定すればよい。続いて、シード層76aの膜厚について調査した結果について説明する。
【0119】
まず、シード層76aのめっき液77への溶解の程度を評価する方法について述べる。なお、ここでは、上記式(2)のボーイング率が7%〜9%程度の試料を用いている。
図33はシード層の溶解の程度を評価する方法の説明図であって、(A)は配線溝の断面模式図、(B)は配線溝側壁部の部分拡大図である。
【0120】
シード層76aの溶解の程度を評価するに当たっては、配線溝74及びバリアメタル層75の形成後、シード層76aを形成した試料を、ごく短時間、めっき液77に浸漬する。その後、その試料の配線溝74のSEMを用いた断面観察を行い、その断面の所定領域74aについて、配線溝74の側壁部分と、めっき液77への浸漬によってシード層76aが溶解した溶解部分(未形成領域)300との面積の比率を求め、次式(3)より、シード層溶解率を求める。
【0121】
シード層溶解率(%)=シード層溶解部分の面積/配線溝側壁部分の面積×100 ・・・(3)
シード層76aを種々の条件で形成し、エッチ量Δd(配線溝74の側壁部におけるシード層76aの膜厚)の異なる複数の試料について、このようなシード層溶解率を求める。
【0122】
図34はエッチ量とシード層溶解率との関係の一例を示す図である。
図34に示すように、エッチ量Δdを増加させるほど、シード層溶解率を低く抑えることができる。例えば、エッチ量Δdを23nm以上とすると、シード層溶解率を5%以下に抑えることができる。
【0123】
エッチ量Δdを23nm以上とした場合、上記図32の知見によれば、配線溝74の側壁部におけるシード層76aの膜厚が10nm以上となる。換言すれば、エッチ量Δdを制御して配線溝74の側壁部における膜厚が10nm以上となるようにシード層76aを形成すれば、電解めっき時のめっき液77へのシード層溶解率を低く抑えることが可能になるということができる。
【0124】
図35はシード層溶解率とボイド発生数との関係の一例を示す図である。
図35には、まず、シード層溶解率が33.0%、エッチ量Δdが3nm、配線溝74の側壁部におけるシード層76aの膜厚が5nmの場合に、めっき層76bの形成からCMPまで行ったときの、その試料のボイド発生数を示している。また、図35には、シード層溶解率が0%、エッチ量Δdが23nm、配線溝74の側壁部におけるシード層76aの膜厚が10nmの場合に、めっき層76bの形成からCMPまで行ったときの、その試料のボイド発生数を示している。
【0125】
図35に示したように、シード層76aの配線溝74の側壁部における膜厚を10nmと厚く形成している場合には、5nmと薄く形成している場合に比べて、シード層溶解率を低く抑え、ボイド発生数を大幅に低減することができる。
【0126】
シード層溶解率を5%以下に抑えることにより、同様にボイド発生数を大幅に低減することが可能であり、シード層76aの配線溝74の側壁部における膜厚を10nm以上とすることにより、同様にボイドの発生を効果的に抑制することができる。
【0127】
なお、シード層76aの配線溝74の側壁部における膜厚は、15nm以下となるように設定しておくことが好ましい。これは、15nmを上回るような膜厚で形成すると、元々の配線溝74の開口幅にもよるが、間口が狭まり、電解めっき時に配線溝74内に十分にめっき層76bが埋め込まれる前に間口が塞がってボイドが発生する、といった現象が起こる可能性が高まるためである。特に、開口幅が50nm〜70nmといった微小な配線溝74を形成する場合には、このような現象が起こり易くなる。シード層76aの配線溝74の側壁部における膜厚の上限値については、配線溝74の開口幅やそれに起因したボイドの発生の可能性等を考慮し、適宜設定することが望ましい。
【0128】
以上説明したように、第2の実施の形態では、シード層を形成する際のスパッタリング条件を調整し、配線溝の底部、或いは底部及び側壁部への堆積を行いつつ、配線溝の底部に堆積したシード層の一部を再スパッタリングにより側壁部に堆積させる。それにより、配線溝の底部及び側壁部の全体に一定膜厚のシード層を形成することができ、未形成領域や密着力低下を生じさせるようなシード層のめっき液への溶解を抑制することができるようになる。その結果、ボイドの発生を効果的に抑え、電気的特性の劣化、短命化、信号遅延等を抑えた配線層が形成可能になり、高性能かつ高信頼性の半導体装置が実現可能になる。
【0129】
なお、第2の実施の形態では、配線を形成する場合を例にして述べたが、上記手法は、ビアを形成する場合にも、同様に適用可能である。上記手法が適用可能な配線の幅やビアの径は特に限定されるものではない。例えば、開口幅が50nm〜70nmの配線溝から形成する配線や、開口径が50nm〜70nmのビアホールから形成するビアといった、比較的微小な開口寸法のパターンに対しても適用可能である。
【0130】
また、第2の実施の形態では、シングルダマシン法により配線を形成する場合を例にして述べたが、デュアルダマシン法を用いて配線とビアを同時に形成する場合にも、同様に適用可能である。
【0131】
また、第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態で述べたのと同様に、バリアメタル層を形成せずに、或いはバリアメタル層を形成した上で、Cu及びMnを含むシード層を形成するようにしてもよい。この場合、そのようなCu及びMnを含むシード層の形成に、この第2の実施の形態で述べたような手法を用いることができる。Cu及びMnを含むシード層を形成することにより、熱処理によって配線溝或いはバリアメタル層との界面に自己整合的にMnSixy等のバリア層が形成されるようになる。
【0132】
以上説明した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 絶縁層に開口寸法50nm以上70nm以下の凹部を形成する工程と、
前記凹部内壁及び前記絶縁層の上方に第1金属層を形成し、前記第1金属層形成後の前記凹部の開口寸法が20nm以上となるようにする工程と、
前記第1金属層上に前記凹部を埋める第2金属層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0133】
(付記2) 前記第1金属層形成後の前記凹部の開口寸法が、20nm以上で、かつ、前記絶縁層に形成した前記凹部の開口寸法の65%以下となるように、前記第1金属層を形成することを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【0134】
(付記3) 前記第1金属層の形成前に、前記凹部内を含む前記絶縁層上に、前記凹部に開口を残して、バリア層を形成する工程をさらに含み、
前記バリア層上に前記第1金属層を形成し、
前記バリア層及び前記第1金属層形成後の前記凹部の開口寸法が20nm以上となるように前記第1金属層を形成することを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【0135】
(付記4) 前記絶縁層に開口寸法70nmの前記凹部を形成する場合に、前記バリア層形成後で前記第1金属層形成前の前記凹部の開口寸法が50nm以上となるように前記バリア層を形成することを特徴とする付記3記載の半導体装置の製造方法。
【0136】
(付記5) 前記第1金属層は、複数種の元素を含み、
前記第1金属層に含まれる前記複数種の元素のうち、所定の元素を、前記第1金属層に隣接する他層との界面に拡散させる熱処理を行う工程をさらに含むことを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0137】
(付記6) 前記第1金属層は、CuとMnとを含むことを特徴とする付記5記載の半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記第1金属層を、スパッタリング法、PVD法、CVD法又はALD法により形成し、
前記第2金属層を、前記第1金属層を用いた電解めっき法により形成することを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0138】
(付記8) 前記第1金属層をバイアス・スパッタリング法により形成し、
前記第2金属層を、前記第1金属層を用いた電解めっき法により形成することを特徴とする付記1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0139】
(付記9) 絶縁層にボーイング形状を有する凹部を形成する工程と、
前記凹部内を含む前記絶縁層の上方に、前記凹部の側壁部における膜厚が10nm以上で、かつ、前記凹部に開口を残して、第1金属層を形成する工程と、
前記第1金属層上に前記凹部を埋める第2金属層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0140】
(付記10) 前記凹部の側壁部における膜厚が10nm以上15nm以下の前記第1金属層を形成することを特徴とする付記9記載の半導体装置の製造方法。
(付記11) 前記第1金属層を形成する際には、スパッタリング法を用い、前記凹部の底部に前記第1金属層を形成しつつ、前記凹部の底部に形成された前記第1金属層の一部を除去して前記凹部の側壁部に付着させることを特徴とする付記9又は10に記載の半導体装置の製造方法。
【0141】
(付記12) 前記第1金属層を形成する際には、形成された前記第1金属層の除去速度に対する、前記第1金属層の形成速度の比を、2.0以上5.0以下とすることを特徴とする付記11記載の半導体装置の製造方法。
【0142】
(付記13) 前記第1金属層をバイアス・スパッタリング法により形成し、
前記第2金属層を、前記第1金属層を用いた電解めっき法により形成することを特徴とする付記9乃至12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0143】
(付記14) 前記絶縁層は、低誘電率材料を用いて形成されていることを特徴とする付記9乃至13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】半導体装置の一例の部分断面模式図である。
【図2】ビアホール形成工程の要部断面模式図である。
【図3】バリアメタル層形成工程の要部断面模式図である。
【図4】シード層形成工程の要部断面模式図である。
【図5】めっき層形成後の一例の要部断面模式図である。
【図6】めっき層形成後の別例の要部断面模式図である。
【図7】第1実施例のビアホール形成工程の要部断面模式図である。
【図8】第1実施例のバリアメタル層形成工程の要部断面模式図である。
【図9】第1実施例のシード層形成工程の要部断面模式図である。
【図10】第1実施例のめっき層形成工程の要部断面模式図である。
【図11】第1実施例のCMP工程の要部断面模式図である。
【図12】第2実施例のシード層形成工程の要部断面模式図である。
【図13】第2実施例のめっき層形成工程の要部断面模式図である。
【図14】第2実施例の熱処理工程の要部断面模式図である。
【図15】第2実施例のCMP工程の要部断面模式図である。
【図16】第3実施例のシード層形成工程の要部断面模式図である。
【図17】第3実施例のめっき層形成工程の要部断面模式図である。
【図18】第3実施例の熱処理工程の要部断面模式図である。
【図19】ビアホール側壁部におけるバリア層の形成状態の説明図である。
【図20】バリアメタル層及びシード層形成後の状態の一例を示す図である。
【図21】めっき層形成初期段階の一例を示す図である。
【図22】めっき層形成後の状態の一例を示す図である。
【図23】熱処理後の状態の一例を示す図である。
【図24】CMP後の状態の一例を示す図である。
【図25】配線溝形成工程の要部断面模式図である。
【図26】めっき層形成初期段階の要部断面模式図である。
【図27】めっき層形成工程の要部断面模式図である。
【図28】熱処理工程の要部断面模式図である。
【図29】CMP工程の要部断面模式図である。
【図30】層間絶縁膜のボーイングの説明図である。
【図31】スパッタリング法によるシード層の膜厚の違いを説明する図であって、(A)はノンバイアス・スパッタリング法を用いた場合の説明図、(B)はバイアス・スパッタリング法を用いた場合の説明図である。
【図32】エッチ量と配線溝側壁部のシード層膜厚との関係の一例を示す図である。
【図33】シード層の溶解の程度を評価する方法の説明図であって、(A)は配線溝の断面模式図、(B)は配線溝側壁部の部分拡大図である。
【図34】エッチ量とシード層溶解率との関係の一例を示す図である。
【図35】シード層溶解率とボイド発生数との関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0145】
1 半導体装置
2 半導体基板
3 素子分離絶縁膜
4 MOSトランジスタ
4a ゲート絶縁膜
4b ゲート電極
4c 側壁絶縁膜
4d,4e ソース・ドレイン領域
5,6,7,76 配線
8,46 ビア
9,12,16,19,42,72 層間絶縁膜
10,11 導電プラグ
13,14,17,20,34,45,75 バリアメタル層
15,18,31,41,71 キャップ層
30 下層配線
32 絶縁層
33,44 ビアホール
35a,46a,46c,76a シード層
35b,46b,76b めっき層
40 下層配線
43,73 ハードマスク
45a 変質バリアメタル層
50 バリア層
70 TEOS膜
72a ボーイング
73a SiC膜
73b SiO膜
74 配線溝
74a 所定領域
76c 堆積成分
77 めっき液
100,104,301 ボイド
101a,101b オーバーハング
102,200,300 未形成領域
103 極薄領域
h 高さ
w 幅
W,W1,W2,W3 開口径
W3 最小径
Δd エッチ量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層に開口寸法50nm以上70nm以下の凹部を形成する工程と、
前記凹部内壁及び前記絶縁層の上方に第1金属層を形成し、前記第1金属層形成後の前記凹部の開口寸法が20nm以上となるようにする工程と、
前記第1金属層上に前記凹部を埋める第2金属層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1金属層の形成前に、前記凹部内を含む前記絶縁層上に、前記凹部に開口を残して、バリア層を形成する工程をさらに含み、
前記バリア層上に前記第1金属層を形成し、
前記バリア層及び前記第1金属層形成後の前記凹部の開口寸法が20nm以上となるように前記第1金属層を形成することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁層に開口寸法70nmの前記凹部を形成する場合に、前記バリア層形成後で前記第1金属層形成前の前記凹部の開口寸法が50nm以上となるように前記バリア層を形成することを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1金属層は、複数種の元素を含み、
前記第1金属層に含まれる前記複数種の元素のうち、所定の元素を、前記第1金属層に隣接する他層との界面に拡散させる熱処理を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1金属層を、スパッタリング法、PVD法、CVD法又はALD法により形成し、
前記第2金属層を、前記第1金属層を用いた電解めっき法により形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
絶縁層にボーイング形状を有する凹部を形成する工程と、
前記凹部内を含む前記絶縁層の上方に、前記凹部の側壁部における膜厚が10nm以上で、かつ、前記凹部に開口を残して、第1金属層を形成する工程と、
前記第1金属層上に前記凹部を埋める第2金属層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1金属層を形成する際には、スパッタリング法を用い、前記凹部の底部に前記第1金属層を形成しつつ、前記凹部の底部に形成された前記第1金属層の一部を除去して前記凹部の側壁部に付着させることを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1金属層を形成する際には、形成された前記第1金属層の除去速度に対する、前記第1金属層の形成速度の比を、2.0以上5.0以下とすることを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2010−103162(P2010−103162A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270959(P2008−270959)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】