説明

半導体装置の製造方法

【課題】半導体基板の表面に洗浄液を供給しながら当該表面をブラシを用いて洗浄する際に、基板表面にスクラッチが形成されてしまうことを防止しつつ、基板上の異物を十分に除去できるようにする。
【解決手段】半導体基板100の表面に洗浄液402を供給しながら当該表面をブラシ300を用いて洗浄する際に、半導体基板100の表面におけるブラシ300と最初に接触する箇所に予め洗浄液402を供給しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体基板の洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体基板の洗浄方法では、回転するブラシ等を半導体基板の表面に押し付けて半導体基板上の異物の除去を行うブラシスクラブ洗浄が用いられてきた。このとき、合わせて、半導体基板を回転させながらその表面に薬液等の洗浄液を供給することも行われてきた。また、ブラシスクラブ洗浄を用いずに、ジェット水流等を半導体基板に向けて噴射して半導体基板上の異物の除去を行うジェットスクラブ洗浄も用いられてきた。
【特許文献1】特開平8−31780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、薬液等の洗浄液による洗浄とブラシスクラブ洗浄とを同時に行う従来の洗浄方法においては、半導体基板上の異物を十分に除去できないという問題と、基板表面にスクラッチが形成されてしまうという問題とが生じる。
【0004】
前記に鑑み、本発明は、半導体基板の表面に洗浄液を供給しながら当該表面をブラシを用いて洗浄する際に、基板表面にスクラッチが形成されてしまうことを防止しつつ、基板上の異物を十分に除去できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するために、従来の洗浄方法において、半導体基板上の異物を十分に除去できないという問題と、基板表面にスクラッチが形成されてしまうという問題とが生じる原因について本願発明者らが検討を行った結果、次のような知見を得た。
【0006】
図5(a)は、従来の洗浄方法における半導体基板と薬液供給スプレーバーとの位置関係を示している。図5(a)に示すように、薬液供給スプレーバー11に設けられた複数の薬液ノズル12から噴射される薬液は、半導体基板10上における薬液滴下箇所13に滴下される。
【0007】
図5(b)は、従来の洗浄方法における半導体基板表面に付着した異物と洗浄用の薬液との位置関係を示している。尚、図5(b)は、図5(a)の破線領域の断面図に相当する。図5(b)に示すように、半導体基板10上に薬液20が滴下されたとき、薬液20によって半導体基板10表面からリフトオフされる異物21と、リフトオフされずに半導体基板10表面に付着したままの異物22とが混在した状態が生じる。
【0008】
図5(c)は、従来の洗浄方法において洗浄用の薬液を半導体基板に滴下した後にブラシ洗浄を行っている様子を示している。図5(c)に示すように、半導体基板10上から異物22が脱離する前にブラシ30が半導体基板10に接触すると、ブラシ30が異物22を半導体基板10の内部に押し込んでスクラッチ31を発生させてしまう。また、ブラシ30に薬液20が浸透していない箇所がある場合には、当該箇所に異物23が付着した後に当該箇所が半導体基板10に再度接触することによって、異物23が半導体基板10に再付着してしまう。このようにして半導体基板表面に生じたスクラッチや半導体基板表面に再付着した異物の分布を図6に示す。図6に示すように、半導体基板10の表面には、スクラッチや再付着異物が同心円状に分布している。また、図6に示すスクラッチや再付着異物の分布と、図5(a)に示す半導体基板10上における薬液滴下箇所13の配置(つまり図5(b)に示す半導体基板10表面に付着したままの異物22の分布)との間には明らかな相関が見られる。
【0009】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであって、具体的には、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の表面に洗浄液を供給しながら当該表面をブラシを用いて洗浄する洗浄工程を備え、前記洗浄工程において、前記半導体基板の表面における前記ブラシと最初に接触する箇所に予め前記洗浄液を供給する。
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、半導体基板表面におけるブラシとの接触箇所に予め洗浄液を供給しているため、半導体基板表面に付着した異物を洗浄液によってリフトオフしてから半導体基板にブラシを接触させることができると共に、ブラシに付着している異物の半導体基板への再付着を防止することができる。このため、半導体基板表面に付着した異物をブラシが半導体基板内部に押し込んでスクラッチが発生する事態を阻止しながら、半導体基板上の異物を洗浄液により十分に除去することができる。
【0011】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記洗浄工程では、前記半導体基板の表面に前記洗浄液を供給するための複数のノズルを用い、前記各ノズルの配置間隔は、前記半導体基板となるウェハの直径の1/10以下であることが好ましい。このようにすると、スクラッチの発生を確実に防止することができる。
【0012】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記洗浄工程では、前記ブラシが前記半導体基板の表面と接触する前に、前記ブラシに前記洗浄液を供給することが好ましい。このようにすると、ブラシに付着している異物をブラシ内に洗浄液を浸透させることによって脱離させてから半導体基板表面にブラシを接触させることができる。このため、半導体基板表面にブラシが接触したときに、ブラシに付着した異物が半導体基板表面に再付着する事態をより確実に阻止できるので、異物の除去能力をさらに向上させることができる。この場合、前記洗浄工程では、前記半導体基板の表面に前記洗浄液を供給するための複数の第1ノズルと、前記ブラシに前記洗浄液を供給するための複数の第2ノズルとを用い、前記各ノズルの配置間隔は、前記半導体基板となるウェハの直径の1/10以下であることが好ましい。このようにすると、異物の除去能力を確実に向上させることができる。尚、この場合、前記第1ノズルと前記第2ノズルとは交互に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、半導体基板上からリフトオフされていない異物がブラシ接触によって半導体基板内部に押し込まれてスクラッチが発生する事態を阻止することが可能になる。
【0014】
また、本発明によると、半導体基板表面にブラシを接触させる前に、ブラシに付着している異物を除去することができるため、半導体基板とブラシとの接触時にブラシから半導体基板表面に異物が再付着することが可能になる。
【0015】
従って、本発明によると、半導体基板の表面に洗浄液を供給しながら当該表面をブラシを用いて洗浄する際に、基板表面にスクラッチが形成されてしまうことを防止しつつ、基板上の異物を十分に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造装置及び製造方法ついて、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1(a)は、本実施形態に係る半導体装置の製造装置、具体的には洗浄装置の概略図である。図1(a)に示すように、本実施形態の洗浄装置は、半導体基板(ウェハ)100を垂直に載置した状態で当該半導体基板100の両主面を挟むように移動可能な一対のブラシ300と、半導体基板100の各主面に対して設けられており且つ洗浄液402を噴射する複数のノズル401をそれぞれ有する一対の洗浄液供給スプレーバー400とを備えている。ここで、各洗浄液供給スプレーバー400は、対応する半導体基板100の各主面から50〜300mm程度離れた箇所に配置されている。
【0018】
図1(b)は、図1(a)に示す本実施形態の洗浄装置を半導体基板100の一主面側から見た図である。図1(b)に示すように、洗浄液供給スプレーバー400に設けられた複数のノズル401から噴射される洗浄液402は、半導体基板100上における洗浄液滴下箇所403に滴下される。洗浄液滴下箇所403は、ブラシ300との接触箇所よりも10〜40mm程度上方に設定される。洗浄液滴下箇所403に滴下された洗浄液402はその自重で半導体基板100の表面に沿ってブラシ300との接触箇所まで流れる。このとき、洗浄液402がブラシ300との接触箇所に到達するまでの間に、各ノズル401から各洗浄液滴下箇所403に滴下された洗浄液402は、洗浄液供給スプレーバー400の延びる方向に沿って30mm程度拡がる。
【0019】
一方、図1(b)に示すように、本実施形態の洗浄装置においては、洗浄液402を噴射するノズル401の配置ピッチは例えば28mmであり、従来の洗浄装置(図5(a)参照)と比べて、ノズル401の配置数が多い。
【0020】
すなわち、本実施形態によると、ブラシ300を半導体基板100に接触させる前に、洗浄液供給スプレーバー400に設けられた複数のノズル401から半導体基板100の表面に洗浄液402を噴射しておくことによって、半導体基板100におけるブラシ300と最初に接触する箇所に洗浄液402を予め均一に供給しておくことが可能になる。従って、洗浄時における半導体基板100に対するブラシ300の摩擦は均一になる。また、半導体基板100の表面に付着した異物を洗浄液402によってリフトオフしてから半導体基板100にブラシ300を接触させることができると共に、ブラシ300に付着している異物の半導体基板100への再付着を防止することができる。このため、半導体基板100の表面に付着した異物をブラシ300が半導体基板100の内部に押し込んでスクラッチが発生する事態を阻止しながら、半導体基板100上の異物を洗浄液402により十分に除去することができる。
【0021】
図2(a)及び(b)はそれぞれ、CMP(chemical mechanical polishing )による銅(Cu)膜の埋め込み後に従来の洗浄方法及び本実施形態の洗浄方法をそれぞれ実施した場合における洗浄後の半導体基板(ウェハ)上の欠陥数を示している。図2(a)及び(b)に示すように、従来の洗浄方法を用いた場合の半導体基板上の欠陥数と比較して、本実施形態の洗浄方法を用いた場合の半導体基板上の欠陥数が低減されていることがわかる。特に、本実施形態の洗浄方法を用いた場合には、図2(b)に示すように、同心円状に分布する欠陥が大きく低減されており、このことから、ブラシ接触前にブラシ接触箇所に対して均一な洗浄液供給を実施することの効果を確認することができる。また、前述のCu−CMPに限られず、絶縁膜CMP、特にセリアスラリー(ceria slurry)を用いたSTI(shallow trench isolation)−CMP等の後の洗浄に本発明を実施した場合にも、図2(b)に示す効果と同様の効果が期待される。
【0022】
以上に述べたような本発明の効果により、欠陥数が抑制された生産プロセスを安定して確保することができ、それにより、高い歩留まりを維持することができる。
【0023】
尚、本実施形態において、半導体基板100におけるブラシ300と最初に接触する箇所の全面に洗浄液402を予め供給しておくことが好ましいことは言うまでもないが、スクラッチの発生やブラシ300からの異物の再付着が十分に防止できれば、半導体基板100におけるブラシ300と最初に接触する箇所のうち一部に洗浄液402が供給されていなくてもよい。すなわち、本実施形態においては、半導体基板100におけるブラシ300と最初に接触する箇所のほぼ全面に洗浄液402が供給されていればよい。
【0024】
また、本実施形態において、半導体基板100におけるブラシ300と最初に接触する箇所に予め洗浄液402を均一に供給するためには、洗浄液供給スプレーバー400に設けられるノズル401の配置間隔は、半導体基板100となるウェハの直径の1/10程度以下であることが好ましい。また、ブラシ300の長さが半導体基板100となるウェハの直径とほぼ同等である場合には、洗浄液供給スプレーバー400に設けられるノズル401の配置間隔は、ブラシ300の長さの1/10程度以下であってもよい。また、半導体基板100上での洗浄液滴下箇所403の配置や、ブラシ300との接触箇所に到達するまでの半導体基板100上での洗浄液402の拡がり方等に応じて、ノズル401の配置間隔を調整してもよい。
【0025】
また、本実施形態において、半導体基板100の洗浄時におけるブラシ300の回転数は特に限定されるものではないが、例えば200〜500rpm程度であってもよい。また、半導体基板100の洗浄時における半導体基板100の回転数も特に限定されるものではないが、例えば20〜60rpm程度であってもよい。
【0026】
また、本実施形態において、洗浄液402の種類は特に限定されるものではないが、例えば純水や各種薬液等を用いることができる。
【0027】
(比較例)
以下、比較例に係る半導体装置の製造装置及び製造方法ついて、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図3は、比較例に係る半導体装置の製造装置、具体的には洗浄装置を、半導体基板の一主面側から見た図である。尚、図3において、図1(a)及び(b)に示す第1の実施形態に係る洗浄装置と同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、重複する説明を省略する。図3に示すように、比較例においては、洗浄液供給スプレーバー400に設けられた複数のノズル401から噴射される洗浄液402は、半導体基板100上における洗浄液滴下箇所403に滴下される。洗浄液滴下箇所403は、第1の実施形態と同様に、ブラシ300との接触箇所よりも10〜40mm程度上方に設定される。洗浄液滴下箇所403に滴下された洗浄液402はその自重で半導体基板100の表面に沿ってブラシ300との接触箇所まで流れる。このとき、洗浄液402がブラシ300との接触箇所に到達するまでの間に、各ノズル401から各洗浄液滴下箇所403に滴下された洗浄液402は、洗浄液供給スプレーバー400の延びる方向に沿って20〜35mm程度拡がる。
【0029】
一方、図3に示すように、比較例の洗浄装置においては、洗浄液402を噴射するノズル401の配置ピッチは例えば56mmであり、ノズル401の配置数は従来の洗浄装置(図5(a)参照)と同程度である。
【0030】
その結果、比較例においては、ブラシ300を半導体基板100に接触させる前に、洗浄液供給スプレーバー400に設けられた複数のノズル401から半導体基板100の表面に洗浄液402を噴射したとしても、半導体基板100におけるブラシ300と最初に接触する箇所に洗浄液402を均一に供給することはできない。言い換えると、半導体基板100におけるブラシ300と最初に接触する箇所にも、洗浄液402が供給されていない領域404が存在する。従って、洗浄時における半導体基板100に対するブラシ300の摩擦は不均一になる。また、半導体基板100上に、洗浄液402が供給されていない領域404が存在するため、半導体基板100上には、異物がリフトオフされて除去される領域と、リフトオフされない異物が残存する領域とが混在することになる。このため、リフトオフされない異物が残存する領域がブラシ300との接触箇所である場合には、当該異物をブラシ300が半導体基板100の内部に押し込んだ状態で半導体基板100が回転するので、半導体基板100の表面に同心円状にスクラッチが発生してしまう。
【0031】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造装置及び製造方法ついて、図面を参照しながら説明する。
【0032】
図4(a)は、本実施形態に係る半導体装置の製造装置、具体的には洗浄装置の概略図である。図4(a)に示すように、本実施形態の洗浄装置は、半導体基板(ウェハ)100を垂直に載置した状態で当該半導体基板100の両主面を挟むように移動可能な一対のブラシ300と、半導体基板100の各主面に対して設けられており且つ洗浄液503の噴射角度が異なる第1ノズル501及び第2ノズル502をそれぞれ有する一対の洗浄液供給スプレーバー500とを備えている。尚、各洗浄液供給スプレーバー500において第1ノズル501及び第2ノズル502はそれぞれ複数設けられていると共に第1ノズル501と第2ノズル502とは交互に例えば28mmピッチで配置されている。ここで、第1ノズル501は洗浄液503を半導体基板100に噴射するために用いられ、第2ノズル502は洗浄液503をブラシ300に噴射するために用いられる。また、各洗浄液供給スプレーバー500は、対応する半導体基板100の各主面から50〜300mm程度離れた箇所に配置されている。
【0033】
図4(b)は、図4(a)に示す本実施形態の洗浄装置を半導体基板100の一主面側から見た図である。図4(b)に示すように、洗浄液供給スプレーバー500に設けられた複数の第1ノズル501から噴射される洗浄液503は、半導体基板100上における第1洗浄液滴下箇所504に滴下される。第1洗浄液滴下箇所504は、ブラシ300との接触箇所よりも10〜40mm程度上方に設定される。第1洗浄液滴下箇所504に滴下された洗浄液503はその自重で半導体基板100の表面に沿ってブラシ300との接触箇所まで流れる。このとき、洗浄液503がブラシ300との接触箇所に到達するまでの間に、各第1ノズル501から各第1洗浄液滴下箇所504に滴下された洗浄液503は、洗浄液供給スプレーバー500の延びる方向に沿って30mm程度拡がる。
【0034】
一方、洗浄液供給スプレーバー500に設けられた複数の第2ノズル502から噴射される洗浄液503は、ブラシ300上における第2洗浄液滴下箇所505に滴下される。これにより、ブラシ300が半導体基板100と最初に接触する前に、ブラシ300に洗浄液503を十分に浸透させることができる。また、ブラシ300が半導体基板100と最初に接触する際には、半導体基板100上のブラシ300との接触箇所にブラシ300から洗浄液503を供給することができる。
【0035】
尚、本実施形態においては、第1ノズル501と第2ノズル502との配置ピッチを例えば28mmに設定することにより、半導体基板100とブラシ300との接触箇所に、各第1ノズル501から各第1洗浄液滴下箇所504を経由して洗浄液503が供給される領域と、各第2ノズル502から各第2洗浄液滴下箇所505を経由して洗浄液503が供給される領域とを交互に重なり合うように配置する。これにより、洗浄時における半導体基板100に対するブラシ300の摩擦は均一になる。
【0036】
以上に説明した、本実施形態によると、ブラシ300に付着している異物をブラシ300内に洗浄液503を浸透させることによって脱離させてから半導体基板100の表面にブラシ300を接触させることができる。このため、半導体基板100の表面にブラシ300が接触したときに、ブラシ300に付着した異物が半導体基板100の表面に再付着する事態をより確実に阻止できるので、異物の除去能力をさらに向上させることができる。また、ブラシ300が半導体基板100に接触した際に、ブラシ300に付着した異物が半導体基板100の内部に押し込まれてスクラッチが発生する事態を阻止することができる。
【0037】
尚、本実施形態において、各洗浄液供給スプレーバー500において第1ノズル501と第2ノズル502とを交互に配置したが、第1ノズル501及び第2ノズル502の配置の仕方は特に限定されるものではない。但し、前述の効果を得るためには、半導体基板100とブラシ300との接触箇所に、各第1ノズル501から各第1洗浄液滴下箇所504を経由して洗浄液503が供給される領域と、各第2ノズル502から各第2洗浄液滴下箇所505を経由して洗浄液503が供給される領域とが実質的に連続して配置されることが好ましい。従って、洗浄液供給スプレーバー500において互いに隣接するノズル同士の間隔は、半導体基板100となるウェハの直径の1/10程度以下であることが好ましい。また、ブラシ300の長さが半導体基板100となるウェハの直径とほぼ同等である場合には、ノズル間隔は、ブラシ300の長さの1/10程度以下であってもよい。また、半導体基板100上での第1洗浄液滴下箇所504の配置や、ブラシ300との接触箇所に到達するまでの半導体基板100上での洗浄液503の拡がり方や、ブラシ300上での第2洗浄液滴下箇所505の配置や、ブラシ300内部での洗浄液503の浸透の仕方等に応じて、ノズル間隔を調整してもよい。
【0038】
また、本実施形態において、半導体基板100の洗浄時におけるブラシ300の回転数は特に限定されるものではないが、例えば200〜500rpm程度であってもよい。また、半導体基板100の洗浄時における半導体基板100の回転数も特に限定されるものではないが、例えば20〜60rpm程度であってもよい。
【0039】
また、本実施形態において、洗浄液503の種類は特に限定されるものではないが、例えば純水や各種薬液等を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、半導体基板の表面に洗浄液を供給しながら当該表面をブラシを用いて洗浄する洗浄工程に適用した場合には、基板表面にスクラッチが形成されてしまうことを防止しつつ、基板上の異物を十分に除去することができ、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造装置の概略図であり、図1(b)は、図1(a)に示す製造装置を半導体基板の一主面側から見た図である。
【図2】図2(a)及び(b)はそれぞれ、CMPによるCu膜の埋め込み後に従来の洗浄方法及び本発明の第1の実施形態の洗浄方法をそれぞれ実施した場合における洗浄後の半導体基板(ウェハ)上の欠陥数を示す図である。
【図3】図3は、比較例に係る半導体装置の製造装置を半導体基板の一主面側から見た図である。
【図4】図4(a)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造装置の概略図であり、図4(b)は、図4(a)に示す製造装置を半導体基板の一主面側から見た図である。
【図5】図5(a)は、従来の洗浄方法における半導体基板と薬液供給スプレーバーとの位置関係を示す図であり、図5(b)は、従来の洗浄方法における半導体基板表面に付着した異物と洗浄用の薬液との位置関係を示す図であり、図5(c)は、従来の洗浄方法において洗浄用の薬液を半導体基板に滴下した後にブラシ洗浄を行っている様子を示す図である。
【図6】図6は従来の洗浄方法において半導体基板表面に生じたスクラッチや半導体基板表面に再付着した異物の分布を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
100 半導体基板
300 ブラシ
400 洗浄液供給スプレーバー
401 ノズル
402 洗浄液
403 洗浄液滴下箇所
500 洗浄液供給スプレーバー
501 第1ノズル
502 第2ノズル
503 洗浄液
504 第1洗浄液滴下箇所
505 第2洗浄液滴下箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面に洗浄液を供給しながら当該表面をブラシを用いて洗浄する洗浄工程を備え、
前記洗浄工程において、前記半導体基板の表面における前記ブラシと最初に接触する箇所に予め前記洗浄液を供給することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記洗浄工程では、前記半導体基板の表面に前記洗浄液を供給するための複数のノズルを用い、
前記各ノズルの配置間隔は、前記半導体基板となるウェハの直径の1/10以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記洗浄工程では、前記ブラシが前記半導体基板の表面と接触する前に、前記ブラシに前記洗浄液を供給することを半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記洗浄工程では、前記半導体基板の表面に前記洗浄液を供給するための複数の第1ノズルと、前記ブラシに前記洗浄液を供給するための複数の第2ノズルとを用い、
前記各ノズルの配置間隔は、前記半導体基板となるウェハの直径の1/10以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1ノズルと前記第2ノズルとは交互に配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−98237(P2010−98237A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269847(P2008−269847)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】