説明

半導体装置及びヒューズの切断方法

【課題】レーザーで切断されるヒューズの下方に半導体素子を配置することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体装置は、半導体基板1に形成された放電用の不純物領域7aと、半導体基板1上又は上方に形成された第1の絶縁膜8と、第1の絶縁膜8上に形成された遮光用導電膜10cと、遮光用導電膜10cを不純物領域7aに接地させる接地用配線9と、第1の絶縁膜8及び遮光用導電膜10cの上、又は上方に形成された第2の絶縁膜11と、第2の絶縁膜11上に形成され、遮光用導電膜11の上方に位置するヒューズ13とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びヒューズの切断方法に関する。特に本発明は、レーザーで切断されるヒューズの下方に半導体素子を配置しても半導体素子が破壊されることを抑制できる半導体装置及びヒューズの切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の半導体装置の構成を説明する為の断面図である。本図に示す半導体装置は、シリコン基板101に素子分離膜2及びトランジスタ(図示せず)が形成されている。素子分離膜2及び前記したトランジスタ上には層間絶縁膜108,111が形成されている。層間絶縁膜108上にはAl合金配線(図示せず)が形成されている。層間絶縁膜111上には、素子分離膜2の上方に位置するAl合金ヒューズ113が形成されている。Al合金ヒューズ113及び層間絶縁膜111上には、パッシベーション膜114が形成されている。パッシベーション膜114には、Al合金ヒューズ113上に位置する開口部114aが形成されている。
【0003】
Al合金ヒューズ113を切断する場合、開口部114aから露出しているAl合金ヒューズ113にレーザーを照射する。これにより、Al合金ヒューズ113は溶断する(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−44281号公報(図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体素子の集積率を高めるためには、ヒューズの下方に半導体素子を配置するのが好ましい。しかし、ヒューズをレーザーで溶断する場合、レーザーの一部は、ヒューズの下方に到達する。このため、ヒューズの下方に半導体素子を配置した場合、半導体素子がレーザーによって破壊される可能性がある。
【0005】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ヒューズの下方に半導体素子を配置しても半導体素子が破壊されることを抑制できる半導体装置及びヒューズの切断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、半導体基板に形成された放電用の不純物領域と、
前記半導体基板上又は上方に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に形成され、前記不純物領域に接続された遮光用導電膜と、
前記第1の絶縁膜及び前記遮光用導電膜の上、又は上方に形成された第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上に形成され、前記遮光用導電膜の上方に位置するヒューズと、
前記遮光用導電膜の下方に位置する第1の半導体素子とを具備する。
【0007】
この半導体装置によれば、ヒューズを溶断するための照射されたレーザーは、遮光用導電膜によって遮断され、前記半導体素子には到達しない。従って、前記半導体素子を前記ヒューズの下方に配置しても、レーザーによって前記半導体素子が破壊されることを防止できる。
【0008】
また、前記遮光用導電膜は前記不純物領域に接続している。従って、レーザー照射によって前記遮光用導電膜に電荷が発生しても、この電荷を放電することができる。
【0009】
前記第1の半導体素子はトランジスタである場合、前記不純物領域は、前記トランジスタのソース又はドレインであってもよい。また、前記半導体基板に形成され、前記ヒューズの下方以外の領域に形成されたトランジスタを有している場合、前記不純物領域は、前記トランジスタのソース又はドレインであってもよい。また、前記不純物領域は、前記半導体基板に形成されたダイオードの一部であってもよい。
【0010】
前記半導体基板に形成された第2の半導体素子を更に具備し、前記遮光用導電膜は、前記第2の半導体素子に電圧を印加する配線を兼ねている場合、前記遮光用導電膜から前記第2の半導体素子に至る電気的経路の途中に、前記不純物領域が接続されているのが好ましい。このようにすると、レーザー照射によって前記遮光用導電膜に電荷が発生しても、この電荷は前記第2の半導体素子に到達する前に、前記不純物領域から放電される。従って、前記第2の半導体素子にダメージが加わることを抑制できる。
【0011】
前記第2の絶縁膜及び前記ヒューズ上に形成された第3の絶縁膜と、前記第3の絶縁膜に形成され、前記ヒューズ上に位置する開口部とを具備する場合、前記遮光用導電膜と前記開口部の平面的配置関係において、前記開口部は前記遮光用導電膜の内側に配置されているのが好ましい。
【0012】
本発明に係るヒューズの切断方法は、
半導体基板に形成された放電用の不純物領域と、
前記半導体基板上又は上方に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に形成され、前記不純物領域に接続された遮光用導電膜と、
前記第1の絶縁膜及び前記遮光用導電膜の上、又は上方に形成された第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上に形成され、前記遮光用導電膜の上方に位置するヒューズと、
前記遮光用導電膜の下方に位置する第1の半導体素子と、
を具備する半導体装置を準備する工程と、
前記ヒューズにレーザーを照射することにより前記ヒューズを切断する工程と、
を具備する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1の各図は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図である。本実施形態に係る半導体装置は、レーザーで溶断されるヒューズを有しているが、ヒューズの下方には、トランジスタ及びこのトランジスタをレーザーから保護する遮光用Al合金膜を有している。遮光用Al合金膜は、トランジスタのソース又はドレインとなる不純物領域に接続されている。
【0014】
まず、図1(A)に示すように、シリコン基板1にウェル1a、及び素子分離膜2を形成する。素子分離膜2は例えばLOCOS法により形成されるが、トレンチアイソレーション法によりシリコン基板1に埋め込まれてもよい。次いで、シリコン基板1を熱酸化する。これにより、ウェル1aにはゲート酸化膜3aが形成される。次いで、ゲート酸化膜3a上を含む全面上にポリシリコン膜をCVD法により形成し、このポリシリコン膜をパターニングする。これにより、ゲート酸化膜3a上に位置するゲート電極4aが形成される。
【0015】
次いで、素子分離膜2及びゲート電極4aをマスクとして、シリコン基板1に不純物イオンを注入する。これにより、ウェル1aには低濃度不純物領域6a,6bが形成される。次いで、ゲート電極4a上を含む全面上に酸化シリコン膜をCVD法により形成し、この酸化シリコン膜をエッチバックする。これにより、ゲート電極4aの側壁はサイドウォール5で覆われる。次いで、素子分離膜2、ゲート電極4a、及びサイドウォール5をマスクとしてシリコン基板1に不純物イオンを注入する。これにより、ウェル1aには、ソース又はドレインとなる不純物領域7a,7bが形成される。これにより、ウェル1aにはトランジスタが形成される。
【0016】
次いで、トランジスタ上を含む全面上に、酸化シリコンを主成分とする層間絶縁膜8を形成する。次いで、層間絶縁膜8の表面をCMP法により平坦化した後、層間絶縁膜8上にフォトレジスト膜を塗布する。次いで、このフォトレジスト膜を露光及び現像する。これにより、層間絶縁膜8上にはレジストパターンが形成される。次いで、このレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜8をエッチングする。これにより、層間絶縁膜8には、不純物領域7a上に位置する接続孔8aが形成される。接続孔8aは、遮光用Al合金膜と不純物領域7aを接続するためのものである。なお、本エッチング工程において、ゲート電極4a及び不純物領域7a,7bそれぞれを配線に接続するための接続孔(図示せず)も形成される。その後、レジストパターンを除去する。
【0017】
次いで、接続孔それぞれの中及び層間絶縁膜8上に、タングステン膜をCVD法により形成し、層間絶縁膜8上に位置するタングステン膜をCMP法により研磨除去する。これにより、接続孔8aの中にはタングステンプラグ9が埋め込まれる。なお、図示していない他の接続孔にもタングステンプラグ(図示せず)が埋め込まれる。
【0018】
次いで、層間絶縁膜8上及びタングステンプラグそれぞれ上に、Al合金膜をスパッタリング法により形成する。次いで、Al合金膜上にフォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像する。これにより、Al合金膜上にはレジストパターンが形成される。次いで、このレジストパターンをマスクとしてAl合金膜をエッチングする。これにより、Al合金膜はパターニングされ、層間絶縁膜8上に位置するAl合金配線10a,10b及び遮光用Al合金膜10cが形成される。遮光用Al合金膜10cは、トランジスタの上方及びその周囲に位置している。また、本工程によって、図示しないタングステンプラグを介して、ゲート電極4a及び不純物領域7a,7bそれぞれに接続する配線(図示せず)も形成される。その後、レジストパターンを除去する。
【0019】
次いで、図1(B)に示すように、層間絶縁膜8、Al合金配線10a,10b及び遮光用Al合金膜10c上に、酸化シリコンを主成分とする層間絶縁膜11を形成する。次いで、層間絶縁膜11の表面をCMP法により平坦化した後、層間絶縁膜11上にフォトレジスト膜を塗布する。次いで、このフォトレジスト膜を露光及び現像する。これにより、層間絶縁膜11上にはレジストパターンが形成される。次いで、このレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜11をエッチングする。これにより、層間絶縁膜11には、Al合金配線10a,10bそれぞれ上に位置する接続孔11a,11bが形成される。その後、レジストパターンを除去する。
【0020】
次いで、接続孔それぞれの中及び層間絶縁膜11上に、タングステン膜をCVD法により形成し、層間絶縁膜11上に位置するタングステン膜をCMP法により研磨除去する。これにより、接続孔11a,11bの中にはタングステンプラグ12a,12bが埋め込まれる。
【0021】
次いで、層間絶縁膜11上及びタングステンプラグそれぞれ上に、Al合金膜をスパッタリング法により形成する。次いで、Al合金膜上にフォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像する。これにより、Al合金膜上にはレジストパターンが形成される。次いで、このレジストパターンをマスクとしてAl合金膜をエッチングする。これにより、Al合金膜はパターニングされ、層間絶縁膜11上に位置するAl合金ヒューズ13が形成される。Al合金ヒューズ13は、トランジスタの上方に位置しており、タングステンプラグ12a,12bを介してAl合金配線10a,10bに接続している。
【0022】
次いで、層間絶縁膜11上及びAl合金ヒューズ13上に、パッシベーション膜14をCVD法により形成する。パッシベーション膜14は、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜をこの順に積層した膜である。次いで、パッシベーション膜14上にフォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像する。これにより、パッシベーション膜14には、Al合金ヒューズ13上に位置する開口部14aが形成する。平面配置において、開口部14aは遮光用Al合金膜10cの内側に位置している。
【0023】
その後、必要に応じてAl合金ヒューズ13にレーザーを照射し、開口部14a内に位置するAl合金ヒューズ13を溶断する。この際、照射されたレーザーの一部がAl合金ヒューズ13の下方に漏れるが、平面配置において、開口部14aは遮光用Al合金膜10cの内側に位置しているため、漏れたレーザーは遮光用Al合金膜10cによって遮断される。従って、Al合金ヒューズ13の下方にトランジスタを配置しても、レーザーによってトランジスタが破壊されることが防止される。
【0024】
また、遮光用Al合金膜10cは、タングステンプラグ9を介して、ウェル1aに形成された不純物領域7aに接続している。このため、レーザー照射によって遮光用Al合金膜10cに電荷が発生しても、発生した電荷を、不純物領域7aを介してウェル1aに放電できる。
【0025】
以上、本発明の第1の実施形態によれば、Al合金ヒューズ13の下方に遮光用Al合金膜10cを配置したため、Al合金ヒューズ13の下方に位置するシリコン基板1にトランジスタを形成しても、Al合金ヒューズ13をレーザーで溶断する時に、トランジスタがレーザーにより破壊されることを防止できる。従って、半導体装置の集積率を上げることができる。
【0026】
また、遮光用Al合金膜10cを不純物領域7aに接続したため、レーザー照射によって遮光用Al合金膜10cに電荷が発生しても、発生した電荷を、不純物領域7aを介してウェル1aに放電できる。
また、不純物領域7aはトランジスタのソース又はドレインを兼ねているため、放電用の不純物領域を他の領域に形成する必要がない。従って半導体装置の集積率は低下しない。
【0027】
図2の各図は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図である。本実施形態は、シリコン基板1にダイオードが形成され、遮光用Al合金膜10cが不純物領域7aではなくダイオードに接続されている点を除いて、第1の実施形態と同一である。以下、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0028】
まず、図2(A)に示すように、シリコン基板1にウェル1a,1bを形成し、更に素子分離膜2を形成する。次いで、ゲート酸化膜3a、ゲート電極4a、低濃度不純物領域6a,6b、及びサイドウォール5を形成する。これらの形成方法は第1の実施形態と同一である。次いで、シリコン基板1に不純物イオンを注入する。これにより、不純物領域7a,7bが形成され、かつウェル1bに位置する不純物領域7cが形成される。不純物領域7c及びウェル1bによって、放電用のダイオードが形成される。
【0029】
次いで、層間絶縁膜8、接続孔8a、及びタングステンプラグ9、Al合金配線10a,10b及び遮光用Al合金膜10cを形成する。これらの形成方法は第1の実施形態と同一である。ただし、接続孔8a及びタングステンプラグ9は、不純物領域7c上に位置する。
【0030】
次いで、図2(B)に示すように、層間絶縁膜11、接続孔11a,11b、タングステンプラグ12a,12b、Al合金ヒューズ13、パッシベーション膜14、及び開口部14aを形成する。これらの形成方法は第1の実施形態と同一である。
【0031】
以上、本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用により、Al合金ヒューズ13の下方に位置するシリコン基板1にトランジスタを形成しても、Al合金ヒューズ13をレーザーで溶断する時にトランジスタが破壊されることを防止できる。従って、半導体装置の集積率を上げることができる。また、遮光用Al合金膜10cをダイオードの不純物領域7cに接続したため、レーザー照射によって遮光用Al合金膜10cに電荷が発生しても、発生した電荷を、不純物領域7cを介してウェル1bに放電できる。
【0032】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置を説明する為の断面図である。本実施形態に係る半導体装置は、第2の実施形態によって製造される半導体装置に類似しているが、ウェル1bにダイオードではなくトランジスタが形成されている点、及び、このトランジスタのソース又はドレインとなる不純物領域7dに遮光用Al合金膜10cが接続されている点が、第2の実施形態とは異なる。ウェル1bに位置するトランジスタは、ゲート酸化膜3b、ゲート電極4b、サイドウォール5、低濃度不純物領域6d,6e、及び不純物領域7d,7eを有している。以下、第2の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0033】
本実施形態に係る半導体装置は、以下のようにして形成される。まず、シリコン基板1にウェル1a,1b、及び素子分離膜2を形成する。これらの形成方法は第2の実施形態と同一である。次いで、ウェル1a,1bそれぞれにトランジスタを形成する。ゲート酸化膜3aはゲート酸化膜3bと同一工程で形成され、ゲート電極4bはゲート電極4aと同一工程で形成される。また、低濃度不純物領域6d,6eは低濃度不純物領域6a,6bと同一工程で形成され、不純物領域7d,7eは不純物領域7a,7bと同一工程で形成される。
【0034】
これ以降の工程は、第2の実施形態と同一である。
本実施形態によっても、第3の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0035】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図である。本実施形態によって製造される半導体装置は、第2の実施形態によって製造される半導体装置に類似しているが、以下の点で異なる。まず、Al合金ヒューズ13の下方以外のシリコン基板1に、ウェル1c及びトランジスタが形成されている。また、遮光用Al合金膜10cが配線としても機能し、タングステンプラグを介してウェル1cのトランジスタのゲート電極24にも接続されている。また、第2の実施形態ではAl合金配線層は2層であったが、本実施形態では3層である。
以下、第2の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0036】
まず、シリコン基板1にウェル1a,1b,1cを形成し、その後素子分離膜2を形成する。平面配置において、ウェル1bはウェル1aとウェル1cの間に位置している。素子分離膜2の形成方法は第2の実施形態と同一である。次いで、シリコン基板1を熱酸化する。これにより、ウェル1a,1c上にはゲート酸化膜3a,23が形成される。なお、ウェル1bにも熱酸化膜(図示せず)が形成される。
【0037】
次いで、ゲート電極4aを形成し、かつゲート酸化膜23上に位置するゲート電極24を形成する。これらの形成方法は、第2の実施形態においてゲート電極4aを形成する方法と同一である。
【0038】
次いで、素子分離膜2、及びゲート電極4a,24をマスクとしてシリコン基板1に不純物イオンを注入する。これにより、低濃度不純物領域6a,6bが形成され、かつウェル1cに低濃度不純物領域26a,26bが形成される。その後、サイドウォール5を形成する。サイドウォール5の形成方法は第2の実施形態と同一であるが、ゲート電極24の側壁にもサイドウォール5が形成される。なお、サイドウォールを形成するときのエッチバック処理により、ウェル1bに位置する熱酸化膜が除去される。
【0039】
次いで、素子分離膜2、ゲート電極4a,24、及びサイドウォール5をマスクとしてシリコン基板1に不純物イオンを注入する。これにより、不純物領域7a,7b,7cが形成され、かつウェル1cに、トランジスタのソース又はドレインとして機能する不純物領域27a,27bが形成される。
【0040】
このようにして、ウェル1a,1cそれぞれにトランジスタが形成され、かつウェル1bには、ウェル1bと不純物領域7cからなる放電用のダイオードが形成される。平面配置において、放電用のダイオードは2つのトランジスタの相互間に位置している。
【0041】
次いで、層間絶縁膜8、接続孔8a,8b、及びタングステンプラグ9,29を形成する。接続孔8bはゲート電極24上に位置しており、タングステンプラグ29は接続孔8b内に埋め込まれている。これらの形成方法は、第2の実施形態において層間絶縁膜8、接続孔8a、及びタングステンプラグ9を形成する方法と同一である。
【0042】
次いで、遮光用Al合金膜10cを形成する。遮光用Al合金膜10cは、タングステンプラグ9,29を介して不純物領域7c,27aに接続している。遮光用Al合金膜10cの形成方法は第2の実施形態と同一である。ただし、第2の実施形態とは異なり、図2に示したAl合金配線10a,10bは形成されない。
【0043】
次いで、図4(B)に示すように、層間絶縁膜11、接続孔11c及びタングステンプラグ12cを形成する。接続孔11cは遮光用Al合金膜10c上に位置しており、タングステンプラグ12cは接続孔11cの中に埋め込まれている。これらの形成方法は、第2の実施形態において接続孔11a,11b及びタングステンプラグ12a,12bを形成する方法と同一である。なお、本工程において、遮光用Al合金膜10c上には、遮光用Al合金膜10cに電圧を印加するために、図示しない接続孔及びタングステンプラグが形成されている。
【0044】
次いで、層間絶縁膜11上にAl合金配線15a,15b及び遮光用Al合金膜15cを形成する。遮光用Al合金膜15cは、ウェル1aに形成されたトランジスタ及びその周囲上に位置している。Al合金配線15a,15b及び遮光用Al合金膜15cの形成方法は、遮光用Al合金膜10cの形成方法と同一である。
【0045】
次いで、図4(C)に示すように、層間絶縁膜11上、Al合金配線15a,15b上、及び遮光用Al合金膜15c上に、酸化シリコンを主成分とする層間絶縁膜16を形成する。次いで、層間絶縁膜16の表面をCMP法により平坦化する。次いで、層間絶縁膜16に接続孔16a,16bを形成する。接続孔16a,16bは、それぞれAl合金配線15a,15b上に位置している。次いで、接続孔16a,16bの中にタングステンプラグ17a,17bを埋め込む。接続孔16a,16b及びタングステンプラグ17a,17bの形成方法は、接続孔11c及びタンスグテンプラグ12cの形成方法と同一である。
【0046】
次いで、層間絶縁膜16上にAl合金ヒューズ13、パッシベーション膜14、及び開口部14aを形成する。これらの形成方法は第2の実施形態と同一である。
【0047】
本実施形態によっても、第2の実施形態と同一の効果を得ることができる。また、遮光用Al合金膜10cを、ゲート電極24に接続する配線として利用することができる。
【0048】
更に、不純物領域7cは、遮光用Al合金膜10cとゲート電極24を天気的に接続する経路の途中に位置している。このため、レーザー照射によって遮光用Al合金膜10cで発生した電荷は、ゲート電極24に到達する前に不純物領域7cから放電される。従って、Al合金ヒューズ13を溶断するときに、遮光用Al合金膜10cで発生した電荷によってゲート酸化膜23がダメージを受けることを抑制できる。
【0049】
図5の各図は、第5の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の断面図である。図6及び図7の各図は、図5に示した半導体装置が有する各層のパターンの形状を、タングステンプラグの配置とともに示す図である。なお、図5(A)が示す断面は、図6及び図7のA−A断面に相当し、図5(B)が示す断面は、図6及び図7のB−B断面に相当する。
【0050】
この半導体装置は、シリコン基板1に素子分離膜2、p型トランジスタ50a、及びn型トランジスタ50bを有している。これらトランジスタの上には、層間絶縁膜58,61,64,67がこの順に積層されている。それぞれの層間絶縁膜上にはAl合金配線層が設けられている。最上層のAl合金配線層にはAl合金ヒューズ68が設けられている。最上層の層間絶縁膜67上及びAl合金ヒューズ68上には、パッシベーション膜69が形成されている。パッシベーション膜69には、Al合金ヒューズ68上に位置する開口部69aが形成されている。
【0051】
図5(A)及び図6(A)に示すように、p型トランジスタ50aは、シリコン基板1のn型ウェル1dに形成されており、ゲート酸化膜53a、ゲート電極54a、ソースとなるp型不純物領域57a、及びドレインとなるp型不純物領域57bを有している。p型不純物領域57a,57bは、それぞれ複数交互に隙間を空けて配置されている。ゲート酸化膜53a及びゲート電極54aは、複数のp型不純物領域57a,57b相互間それぞれに配置されている。複数のゲート電極54aは、同一のゲート配線54cに接続されている。また、n型ウェル1dには、n型ウェル1dに電位を与えるためのn型不純物領域57eが形成されている。
【0052】
また、図5(B)及び図6(A)に示すように、n型トランジスタ50bは、シリコン基板1のp型ウェル1eに形成されており、ゲート酸化膜53b、ゲート電極54b、ソースとなるn型不純物領域57c、及びドレインとなるn型不純物領域57dを有している。n型不純物領域57c,57dは、それぞれ複数交互に隙間を空けて配置されている。ゲート酸化膜53b及びゲート電極54bは、複数のn型不純物領域57c,57d相互間それぞれに配置されている。複数のゲート電極54bは、同一のゲート配線54dに接続されている。また、p型ウェル1eには、p型ウェル1eに電位を与えるためのp型不純物領域57fが形成されている。
【0053】
また、p型トランジスタ50a及びn型トランジスタ50b上に位置する層間絶縁膜58には、タングステンプラグ59a,59b,59c,59d,59e、59f,59g,59hがそれぞれ複数埋め込まれている。タングステンプラグ59a,59b,59gは、それぞれp型不純物領域57a,57b,57f上に位置しており、タングステンプラグ59c,59e,59fは、それぞれn型不純物領域57e,57c,57d上に位置している。また、タングステンプラグ59d,59hは、それぞれゲート配線54c,54d上に位置している。
【0054】
図5(A),(B)及び図6(B)に示すように、層間絶縁膜58上にはAl合金配線60a,60b,60c,60dが形成されている。Al合金配線60aは、p型トランジスタ50aのn型ウェル1d及びソースとなるp型不純物領域57aに電圧を印加するための配線であり、タングステンプラグ59a,59c上に位置している。Al合金配線60bは、p型トランジスタ50aのドレインとなるp型不純物領域57b、及びn型トランジスタ50bのn型不純物領域57dに電圧を印加するための配線であり、タングステンプラグ59b,上59fそれぞれに位置している。Al合金配線60cは、n型トランジスタ50bのp型ウェル1e及びソースとなるn型不純物領域57cに電圧を印加するための配線であり、タングステンプラグ59e,59gそれぞれ上に位置している。Al合金配線60dは、p型トランジスタ50aのゲート電極54a、及びn型トランジスタ50bのゲート電極54bに電圧を印加するための配線であり、タングステンプラグ59d,59h上に位置している。
【0055】
また、層間絶縁膜58上及びAl合金配線60a,60b,60c,60d上に位置する層間絶縁膜61には、タングステンプラグ62a,62b,62cが埋め込まれている。タングステンプラグ62aはAl合金配線60a上に位置しており、タングステンプラグ62bはAl合金配線60b上に位置しており、タングステンプラグ62cはAl合金配線60c上に位置している。なお、Al合金配線60dは、図示しないタングステンプラグに接続しており、このタングステンプラグを介して電圧が印加される。
【0056】
図5(A),(B)及び図7(A)に示すように、層間絶縁膜61上には遮光用Al合金膜63a,63c及びAl合金配線63bが形成されている。遮光用Al合金膜63aは、p型トランジスタ50aをヒューズ溶断用のレーザーから保護するための遮光膜と、Al合金配線60aに電圧を印加する配線とを兼ねている。遮光用Al合金膜63aは、p型トランジスタ50a及びその周囲の上方、かつタングステンプラグ62a上に位置している。Al合金配線62bはAl合金配線60bに電圧を印加する配線であり、タングステンプラグ62b上に位置している。遮光用Al合金膜63cは、n型トランジスタ50bをレーザーから保護するための遮光膜と、Al合金配線60cに電圧を印加する配線とを兼ねている。遮光用Al合金膜63cは、n型トランジスタ50b及びその周囲の上方、かつタングステンプラグ62c上に位置している。
【0057】
また、層間絶縁膜61、遮光用Al合金膜63a,63c及びAl合金配線63bそれぞれ上に位置する層間絶縁膜64には、遮光用Al合金膜63c上に位置するタングステンプラグ65が埋め込まれている。遮光用Al合金膜63a及びAl合金配線63bは、それぞれ図示しないタングステンプラグに接続しており、これらのタングステンプラグを介して電圧が印加される。
【0058】
図5(A),(B)及び図7(B)に示すように、層間絶縁膜64上には遮光用Al合金膜66が形成されている。遮光用Al合金膜66は、p型トランジスタ50a及びn型トランジスタ50bをヒューズ溶断用のレーザーから保護するための遮光膜と、Al合金膜63cに電圧を印加するための配線を兼ねている。遮光用Al合金膜66は、p型トランジスタ50a,n型トランジスタ50b及びこれらの周囲の上方、かつタングステンプラグ65上に位置している。
【0059】
また、上記したように、層間絶縁膜64上及び遮光用Al合金膜66上に位置する層間絶縁膜67には、Al合金ヒューズ68及びパッシベーション膜69が形成されている。
図5(A),(B)及び図7(C)に示すように、Al合金ヒューズ68は、p型トランジスタ50a及びn型トランジスタ50bそれぞれの上方に位置している。パッシベーション膜69に形成された開口部69aも、p型トランジスタ50a及びn型トランジスタ50bそれぞれの上方に位置している。
【0060】
図8は、図5に示した半導体装置の配線を模式的に説明する為の図である。本図では説明のため、タングステンプラグは省略している。p型トランジスタ50aのソースとなるp型不純物領域57a、n型ウェル1dに電圧を印加するためのn型不純物領域57eには、Al合金配線60a及び遮光用Al合金膜63aを介して、電圧Vddが印加される。また、n型トランジスタ50bのソースとなるn型不純物領域57c、及びp型ウェル1eに電圧を印加するためのp型不純物領域57fには、Al合金配線60c及び遮光用Al合金膜63c,66を介して、Vssが印加される。p型トランジスタ50aのゲート電極54a及びn型トランジスタのゲート電極54bには、Al合金配線60dを介して信号Inが入力される。また、p型トランジスタ50aのドレインとなるp型不純物領域57b及びn型トランジスタのドレインとなるn型不純物領域57dからは、Al合金配線60b,63bを介して外部に信号Outが出力される。
【0061】
以上、本発明の第5の実施形態によれば、p型トランジスタ50aの上方には遮光用Al合金膜66,63aが配置されており、n型トランジスタ50bの上方には遮光用Al合金膜66,63cが配置されている。このため、p型トランジスタ50a及びn型トランジスタ50bをAl合金ヒューズ68の下方に配置しても、これらトランジスタが、Al合金ヒューズ68を溶断するためのレーザーによって破壊されることを防止できる。
【0062】
また、遮光用Al合金膜66,63cはn型不純物領域57c及びp型不純物領域57fに接続しており、遮光用Al合金膜63aはp型不純物領域57a及びn型不純物領域57eに接続している。従って、レーザー照射によって遮光用Al合金膜63a,63c,66に電荷が発生しても、これら電荷はn型ウェル1d又はp型ウェル1eに放電される。
【0063】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば上記した各実施形態において、遮光用導電膜が形成された層とヒューズが形成された層の間に、Al合金配線層及び層間絶縁膜が更に追加されてもよい。また、遮光用導電膜が形成された層とヒューズが形成された層の間に、Al合金配線層及び層間絶縁膜が更に追加されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】(A)は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図、(B)は(A)の次の工程を説明する為の断面図、(C)は(B)の次の工程を説明する為の断面図。
【図2】(A)は第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図、(B)は(A)の次の工程を説明する為の断面図。
【図3】第3の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の断面図。
【図4】(A)は第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図、(B)は(A)の次の工程を説明する為の断面図、(C)は(B)の次の工程を説明する為の断面図。
【図5】(A),(B)は、第5の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の断面図。
【図6】(A),(B)は、図5に示した半導体装置が有する各層のパターンの形状を、タングステンプラグの配置とともに示す図。
【図7】(A),(B),(C)は、図5に示した半導体装置が有する各層のパターンの形状を、タングステンプラグの配置とともに示す図。
【図8】半導体装置の配線を模式的に説明する為の図。
【図9】従来の半導体装置の構成を説明する為の断面図。
【符号の説明】
【0065】
1,101…シリコン基板、1a,1b,1c…ウェル、1d…n型ウェル、1e…p型ウェル、2…素子分離膜、3a,3b,23,53a,53b…ゲート酸化膜、4a,4b,24,54a,54b…ゲート電極、5…サイドウォール、6a,6b,6d,6e,26a,26b…低濃度不純物領域、7a〜7e,27a,27b…不純物領域、8,11,16,58,61,64,67,108,111…層間絶縁膜、8a,8b,11a〜11c,16a,16b…接続孔、9,12a〜12c,17a,17b,29,59a〜59h,62a〜62c,65…タングステンプラグ、10a,10b,15a,15b,60a〜60c、63b…Al合金配線、10c,15c,63a,63c…遮光用Al合金膜、13,68,113…Al合金ヒューズ、14,69,114…パッシベーション膜、14a,69a,114a…開口部、50a…p型トランジスタ、50b…n型トランジスタ、54c,54d…ゲート配線、57a,57b,57f…p型不純物領域、57c,57d,57e…n型不純物領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に形成された放電用の不純物領域と、
前記半導体基板上又は上方に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に形成され、前記不純物領域に接続された遮光用導電膜と、
前記第1の絶縁膜及び前記遮光用導電膜の上、又は上方に形成された第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上に形成され、前記遮光用導電膜の上方に位置するヒューズと、
前記遮光用導電膜の下方に位置する第1の半導体素子と、
を具備する半導体装置。
【請求項2】
前記第1の半導体素子はトランジスタであり、
前記不純物領域は、前記トランジスタのソース又はドレインである請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板に形成され、前記ヒューズの下方以外の領域に形成されたトランジスタを有し、
前記不純物領域は、前記トランジスタのソース又はドレインである請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記遮光用導電膜は、前記不純物領域に電圧を印加する配線を兼ねている請求項2又は3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記不純物領域は、前記半導体基板に形成されたダイオードの一部である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板に形成された第2の半導体素子を更に具備し、
前記遮光用導電膜は、前記第2の半導体素子に電圧を印加する配線を兼ねており、
前記遮光用導電膜から前記第2の半導体素子に至る電気的経路の途中に、前記不純物領域が接続されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の絶縁膜及び前記ヒューズ上に形成された第3の絶縁膜と、
前記第3の絶縁膜に形成され、前記ヒューズ上に位置する開口部と、
を具備し、
前記遮光用導電膜と前記開口部の平面的配置関係において、前記開口部は前記遮光用導電膜の内側に配置されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体基板に形成された放電用の不純物領域と、
前記半導体基板上又は上方に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に形成され、前記不純物領域に接続された遮光用導電膜と、
前記第1の絶縁膜及び前記遮光用導電膜の上、又は上方に形成された第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上に形成され、前記遮光用導電膜の上方に位置するヒューズと、
前記遮光用導電膜の下方に位置する第1の半導体素子と、
を具備する半導体装置を準備する工程と、
前記ヒューズにレーザーを照射することにより前記ヒューズを切断する工程と、
を具備するヒューズの切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−66983(P2007−66983A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247867(P2005−247867)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】