説明

半導体装置及び半導体装置の作製方法

【課題】膜の剥がれの度合いを低減することで、半導体装置の防水性を向上させ且つ信頼性を高めることを課題とする。
【解決手段】基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設け、第2の無機絶縁層は、半導体素子層に設けられた開口部で第1の無機絶縁層と接して設け、第3の無機絶縁層は、有機絶縁層に設けられた開口部で第2の無機絶縁層と接して設け、第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層が接する面において、第2の無機絶縁層に、複数の凹凸または開口部を設ける。また、第2の無機絶縁層に設けられた複数の凹凸または開口部と重畳する領域の第3の無機絶縁層の表面に複数の凹凸を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個々の対象物にID(個体識別番号)を与えることで、その対象物の履歴等の情報を明確にし、生産、管理等に役立てるといった個体認識技術が注目されている。その中でも、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置(RFID(Radio Frequency Identification)タグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RF(Radio Frequency)タグ、無線タグ、電子タグ、無線チップとも呼ばれる。)が企業内、市場等で導入され始めている。非接触でデータの送受信が可能な半導体装置(以下、半導体装置という)の薄型化が製品の小型化を図る上で重要な要素となっており、技術開発が進んでいる。薄型化された半導体装置はある程度フレキシブルなため湾曲したものに貼付して使用することができる。
【0003】
一例として特許文献1には、耐熱性を有する基板上に形成した薄膜トランジスタを含む半導体素子層を基板から剥離し、他の基材、例えばプラスチック基板などに転置して半導体装置を作製する方法について記載されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−311342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、酸化珪素膜や窒化珪素膜のような無機絶縁層を積層することで形成される薄膜トランジスタを含む半導体素子層は、絶縁層間の密着性が低く、膜の剥がれが生じやすいといった問題がある。薄膜トランジスタを含む半導体素子層のおける膜の剥がれは、水分等の侵入により半導体装置の信頼性を損なうといった問題がある。
【0006】
例えば、上記の手法等により貼りあわせたTFTを有する薄膜集積回路と可撓性基板とを、複数に切断すると、切断された面において、絶縁層間の断面が露出される。切断された面において露出される絶縁層が、酸化珪素膜や窒化珪素膜のような無機絶縁層で形成されている場合、高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、露出面から水分等が侵入し、下地絶縁層から可撓性基板が剥れるという問題が生じてしまう。また、切断された面において露出される絶縁層が酸化珪素膜で形成されている場合、高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、酸化珪素膜の露出面から水分等が侵入しやすく、薄膜集積回路が正常な動作をしないという問題が生じてしまう。
【0007】
本発明の一態様は、膜の剥がれの度合いを低減することで信頼性の高めた半導体装置、及び半導体装置の作製方法を提供するものである。本発明の一態様は、高温度且つ高湿度の環境下での保存試験時の膜の剥がれの度合いを低減することで信頼性の高めた半導体装置、及び半導体装置の作製方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、基板上に第1の無機絶縁層、薄膜トランジスタを含む半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、及び第3の無機絶縁層を順に積層して形成される半導体装置において、第2の無機絶縁層は半導体素子層に設けられた開口部で第1の無機絶縁層と接して設けられ、第3の無機絶縁層は、有機絶縁層に設けられた開口部で第2の無機絶縁層と接して設けられ、第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層が接する面における第2の無機絶縁層の表面には複数の凹凸、または複数の開口部が設けられることを要旨とする。
【0009】
本発明の一態様は、基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、第2の無機絶縁層は、半導体素子層に設けられた開口部で第1の無機絶縁層と接して設けられており、第3の無機絶縁層は、有機絶縁層に設けられた開口部で第2の無機絶縁層と接して設けられており、第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層が接する面において、第2の無機絶縁層の表面には、複数の凹凸が設けられる半導体装置である。
【0010】
また本発明の一態様は、基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、第2の無機絶縁層は、半導体素子層に設けられた開口部で第1の無機絶縁層と接して設けられており、第3の無機絶縁層は、有機絶縁層に設けられた開口部で第2の無機絶縁層と接して設けられており、第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層が接する面において、第2の無機絶縁層の表面には、複数の凹凸が設けられ、第2の無機絶縁層に設けられた複数の凹凸と重畳する領域の第3の無機絶縁層の表面には、複数の凹凸が設けられる半導体装置である。
【0011】
また本発明の一態様は、基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、第2の無機絶縁層は、半導体素子層に設けられた開口部で第1の無機絶縁層と接して設けられており、第3の無機絶縁層は、有機絶縁層に設けられた開口部で第2の無機絶縁層と接して設けられており、第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層が接する面において、第2の無機絶縁層には複数の開口部が設けられ、複数の開口部では、第1の無機絶縁層と第3の無機絶縁層とが接して設けられる半導体装置である。
【0012】
また本発明の一態様は、基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、第2の無機絶縁層は、半導体素子層に設けられた開口部で第1の無機絶縁層と接して設けられており、第3の無機絶縁層は、有機絶縁層に設けられた開口部で第2の無機絶縁層と接して設けられており、第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層が接する面において、第2の無機絶縁層には複数の開口部が設けられ、複数の開口部では、第1の無機絶縁層と第3の無機絶縁層とが接して設けられ、第2の無機絶縁層に設けられた複数の開口部と重畳する領域の第3の無機絶縁層の表面には、複数の凹凸が設けられる半導体装置である。
【0013】
また本発明の一態様は、基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、導電層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、第2の無機絶縁層は、半導体素子層に設けられた開口部で第1の無機絶縁層と接して設けられており、第3の無機絶縁層は、有機絶縁層に設けられた開口部で第2の無機絶縁層と接して設けられており、導電層は、有機絶縁層及び第2の無機絶縁層に設けられた開口部で半導体素子層と電気的に接して設けられており、第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層が接する面において、第2の無機絶縁層の表面には、複数の開口部が設けられている半導体装置である。
【0014】
また本発明の一態様は、基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、導電層及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、第2の無機絶縁層は、半導体素子層に設けられた開口部で第1の無機絶縁層と接して設けられており、第3の無機絶縁層は、有機絶縁層に設けられた開口部で第2の無機絶縁層と接して設けられており、導電層は、有機絶縁層及び第2の無機絶縁層に設けられた開口部で半導体素子層と電気的に接して設けられており、第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層が接する面において、第2の無機絶縁層には複数の開口部が設けられ、複数の開口部では、第1の無機絶縁層と第3の無機絶縁層とが接して設けられる半導体装置である。
【0015】
また本発明の一態様は、基板上に剥離層を形成し、剥離層上に第1の無機絶縁層を形成し、第1の無機絶縁層上に半導体素子層を形成し、半導体素子層に開口部を形成し、半導体素子層に設けられた開口部によって露出した第1の無機絶縁層の表面及び半導体素子層上に第2の無機絶縁層を形成し、第2の無機絶縁層を介した半導体素子層上に有機絶縁層を形成し、有機絶縁層に開口部を形成し、有機絶縁層に設けられた開口部を含む露出した第2の無機絶縁層の表面に、複数の開口部を形成し、複数の開口部上及び有機絶縁層上に第3の無機絶縁層を形成する半導体装置の作製方法である。
【0016】
また本発明の一態様は、基板上に剥離層を形成し、剥離層上に第1の無機絶縁層を形成し、第1の無機絶縁層上に半導体素子層を形成し、半導体素子層に開口部を形成し、半導体素子層に設けられた開口部によって露出した第1の無機絶縁層の表面及び半導体素子層上に第2の無機絶縁層を形成し、第2の無機絶縁層を介した半導体素子層上に有機絶縁層を形成し、有機絶縁層に開口部を形成し、有機絶縁層に設けられた開口部を含む露出した第2の無機絶縁層の表面に、複数の開口部を形成し、半導体素子層上に設けられた複数の開口部及び有機絶縁層上には、導電層が形成され、複数の開口部上、導電層上、及び有機絶縁層上に第3の無機絶縁層を形成する半導体装置の作製方法である。
【0017】
また本発明の一態様は、基板上に剥離層を形成し、剥離層上に第1の無機絶縁層を形成し、第1の無機絶縁層上に半導体素子層を形成し、半導体素子層に開口部を形成し、半導体素子層に設けられた開口部によって露出した第1の無機絶縁層の表面及び半導体素子層上に第2の無機絶縁層を形成し、第2の無機絶縁層を介した半導体素子層上に有機絶縁層を形成し、有機絶縁層に開口部を形成し、有機絶縁層に設けられた開口部を含む露出した第2の無機絶縁層の表面に、複数の開口部を形成し、複数の開口部上及び有機絶縁層上に第3の無機絶縁層を形成し、第3の無機絶縁層上に、繊維体及び有機樹脂層を含む第1の封止層を形成し、基板及び剥離層を物理的に剥離し、剥離層を剥離したことにより露出した第1の無機絶縁層の表面に、第2の封止層を形成し、第2の無機絶縁層に形成された複数の開口部が設けられた領域で切断する半導体装置の作製方法である。
【0018】
また本発明の一態様は、基板上に剥離層を形成し、剥離層上に第1の無機絶縁層を形成し、第1の無機絶縁層上に半導体素子層を形成し、半導体素子層に開口部を形成し、半導体素子層に設けられた開口部によって露出した第1の無機絶縁層の表面及び半導体素子層上に第2の無機絶縁層を形成し、第2の無機絶縁層を介した半導体素子層上に有機絶縁層を形成し、有機絶縁層に開口部を形成し、有機絶縁層に設けられた開口部を含む露出した第2の無機絶縁層の表面に、複数の開口部を形成し、半導体素子層上に設けられた複数の開口部及び有機絶縁層上には、導電層が形成され、複数の開口部上、導電層上、及び有機絶縁層上に第3の無機絶縁層を形成し、第3の無機絶縁層上に、繊維体及び有機樹脂層を含む第1の封止層を形成し、基板及び剥離層を物理的に剥離し、剥離層を剥離したことにより露出した第1の無機絶縁層の表面に、第2の封止層を形成し、第2の無機絶縁層に形成された複数の開口部が設けられた領域で切断する半導体装置の作製方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様により作製される半導体装置は、特に第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層の密着性を高めることができ、特に高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、端部からの膜の剥がれの度合いを低減することができる。そのため、第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層の界面から半導体素子層に水分が侵入することを抑制することができる。すなわち、耐熱性及び耐湿性を向上させることができ、信頼性を高めた半導体装置及び半導体装置の作製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】半導体装置を説明する断面図。
【図2】半導体装置を説明する断面図。
【図3】半導体装置を説明する断面図。
【図4】半導体装置を説明する断面図。
【図5】半導体装置を説明する断面図。
【図6】半導体装置を説明する断面図。
【図7】半導体装置を説明する断面図。
【図8】半導体装置を説明する断面図。
【図9】半導体装置を説明する断面図。
【図10】半導体装置を説明する上面図。
【図11】半導体装置における凹凸の効果を説明するための写真。
【図12】半導体装置を説明するブロック図。
【図13】半導体装置を説明する図。
【図14】半導体装置を説明する上面図。
【図15】半導体装置を説明する上面図。
【図16】半導体装置を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態を、図1乃至図4、図14を用いて説明する。なお図14は図1に示した断面図に対応する上面図である。
【0023】
まず、基板101上に第1の無機絶縁層102を形成する(図1(A)、図14(A)参照)。
【0024】
基板101としては、ガラス基板、石英基板、セラミック基板、絶縁層が少なくとも一表面に形成された金属基板、有機樹脂基板等を用いることができる。一例としては、基板101としてガラス基板を用いる。
【0025】
第1の無機絶縁層102は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層又は積層で形成する。単層で用いる際の第1の無機絶縁層102に用いる無機化合物としては、窒化珪素(SiN)、窒化酸化珪素(SiN)(x>y)がある。なお第1の無機絶縁層102を積層構造としてもよい。積層で用いる際の第1の無機絶縁層に用いる無機化合物としては、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiO)(x>y)、窒化酸化珪素(SiN)(x>y)がある。第1の無機絶縁層102が2層構造の場合、例えば、1層目(基板101と接する層)として酸化窒化珪素膜を形成し、2層目として窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁層が3層構造の場合、1層目(基板101と接する層)の絶縁膜として酸化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として窒化珪素膜を形成するとよい。第1の無機絶縁層102は、窒化珪素または窒化酸化珪素を含む層を含むことにより、第1の無機絶縁層102の上に形成される半導体素子層103への不純物及び水分の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
【0026】
なお、酸化窒化珪素とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、Siが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化珪素とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、Siが25〜35原子%、水素が10〜25原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化珪素または窒化酸化珪素を構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、Si及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
【0027】
なお本明細書にて用いる第1、第2、第3、乃至第N(Nは自然数)という用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0028】
次に、第1の無機絶縁層102上に半導体素子層103を形成し、半導体素子層103を覆うように第2の無機絶縁層104を形成する(図1(B)、図14(B)参照)。なお図示しないが本実施の形態では、半導体素子層103を半導体装置として機能する素子層毎に第1の無機絶縁層102上に設け、後で切断することで複数の半導体装置を得ることを想定して説明をする。なお本実施の形態で示す構成は、第1の無機絶縁層の上に1つの半導体素子層103を形成する場合についても、特に高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、端部での膜の剥がれの度合いを低減することができ、信頼性を高めることができる。
【0029】
半導体素子層103の一例として、図2に第1の無機絶縁層102上に薄膜トランジスタ201を有する半導体素子層103を示す。なお、図2では図示しないが、半導体素子層103は、第1の無機絶縁層102の上において、薄膜トランジスタを複数具備する構成である。
【0030】
下地膜202上に形成される薄膜トランジスタ201は、ソース領域、ドレイン領域、及びチャネル形成領域を有する半導体層204、ゲート絶縁層205、並びにゲート電極206で構成される。
【0031】
なお下地膜202及び第1の無機絶縁層102におけるガラス基板と接しない側の層の膜は、半導体素子層における半導体層204への不純物の侵入を防止するブロッキング膜、及び第1の無機絶縁層102と半導体層204との密着性を向上させるための膜として機能する。下地膜202としては、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜の単層または積層膜を用いることができる。なお、下地膜202は、下地膜202の機能を第1の無機絶縁層が兼ねることで、省略することもできる。また半導体層204上にゲート絶縁層を介して設けられるゲート電極206は、金属膜等の導電膜の単層または積層構造を用いて形成すればよい。一例として本実施の形態では、窒化タンタル膜とタングステン膜の積層膜を用いて形成することができる。
【0032】
薄膜トランジスタ201を覆って、層間絶縁膜207、層間絶縁膜208、及び層間絶縁膜209が形成されている。また、層間絶縁膜209上に、半導体層204中のソース領域及びドレイン領域に接する配線210が形成される。なおゲート絶縁層205、層間絶縁膜207、層間絶縁膜208、及び層間絶縁膜209は、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜のいずれかの膜を用いればよい。本実施の形態では、ゲート絶縁層205として酸化窒化珪素膜、層間絶縁膜207として酸化窒化珪素膜、層間絶縁膜208として窒化酸化珪素膜、層間絶縁膜209として酸化窒化珪素膜を形成する。また層間絶縁膜209上に形成される配線210は、金属膜等の導電膜の単層または積層構造を用いて形成すればよい。一例として本実施の形態では、チタン膜、アルミニウム膜、チタン膜の三層積層膜を用いて形成する。
【0033】
なお、半導体素子層103は、図2で説明したように薄膜トランジスタで構成するものに限らず、半導体特性を利用して形成される複数の素子を含む層のことをいう。例えば薄膜トランジスタの他に、ダイオード素子や、抵抗素子、容量素子、またはメモリ素子等の素子を複数含む層であってもよい。
【0034】
図1(B)の説明に戻る。図2で説明した配線210まで形成した半導体素子層103は、下地膜202、ゲート絶縁層205、層間絶縁膜207、層間絶縁膜208、及び層間絶縁膜209をエッチングされ、図1(B)で示すように、半導体素子層103の間に開口部105を形成する。半導体素子層103を覆うように形成される第2の無機絶縁層104は、開口部105において、第1の無機絶縁層102と接して設けられる。本実施の形態においては、窒化珪素または窒化酸化珪素を含む第1の無機絶縁層102及び第2の無機絶縁層104により、半導体素子層103を囲むことができるので、不純物及び水分の侵入をより抑制し、さらに信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0035】
第2の無機絶縁層104は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層又は積層で形成する。単層で用いる際の第2の無機絶縁層104に用いる無機化合物としては、窒化珪素(SiN)、窒化酸化珪素(SiN)(x>y)がある。なお第2の無機絶縁層104を積層構造としてもよい。積層で用いる際の第2の無機絶縁層104に用いる無機化合物としては、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiO)(x>y)、窒化酸化珪素(SiN)(x>y)がある。第2の無機絶縁層104は、窒化珪素または窒化酸化珪素を含む層とすることにより、第2の無機絶縁層104の下に形成される半導体素子層103への不純物及び水分の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
【0036】
次に、第2の無機絶縁層104上に有機絶縁層106を形成し、第2の無機絶縁層104を介した半導体素子層103上に有機絶縁層106を残してエッチング処理することにより、開口部107を形成する(図1(C)、図14(C)参照)。なお図1(C)では半導体素子層103上であり、且つ第1の無機絶縁層102及び第2の無機絶縁層104が直接接して重畳する領域以外の第2の無機絶縁層104上に有機絶縁層106を設ける構成としたがこれに限らず、別の構成でもよい。なお例としては、図3(A)に示すように有機絶縁層106の開口部107の面積を第1の無機絶縁層102及び第2の無機絶縁層104が直接接して重畳する領域より大きく取る構成としてもよい。また図3(B)に示すように、有機絶縁層106の開口部107の面積を第1の無機絶縁層102及び第2の無機絶縁層104が直接接して重畳する領域より小さく取る構成としてもよい。なお図3(A)及び図3(B)に示すように、有機絶縁層のエッチング処理による加工の際、端部の断面形状をテーパーを有する形状とすることが好ましい。端部のテーパーを有する形状とすることにより、段差形状による配線の段切れを防ぐことができる。本実施の形態で示す構成においては、窒化珪素または窒化酸化珪素を含む第1の無機絶縁層102及び第2の無機絶縁層104により、半導体素子層103を囲む構造を取るため、図3(A)または図3(B)に示す構成であっても、有機絶縁層からの不純物または水分の半導体素子層103への侵入を防止することができる。なお本実施の形態では、有機絶縁層106を第2の無機絶縁層104を介した半導体素子層103上に残して開口部107を形成することを想定して説明をする。
【0037】
次に、第1の無機絶縁層102及び第2の無機絶縁層104が直接接して重畳する領域の第2の無機絶縁層104の表面に、複数の凹凸108を形成する(図1(D)、図14(D)参照)。なお、複数の凹凸108は、リソグラフィー技術を用いて、フォトレジストと呼ばれる感光性樹脂を用いたレジスト塗布、パターン露光、現像、レジストをマスクとした異方性エッチングによる選択的なエッチング、レジスト剥離といった工程によって形成すればよい。なお、複数の凹凸108の表面の断面の形状は図1(D)に示すように、凸部の先端が柱状となるように形成してもよい。また、図4(A)に示すように、複数の凹凸108の先端が丸みを帯びた形状となるように形成してもよい。また、図4(B)に示すように、複数の凹凸108の先端が概略尖形形状となるように形成してもよい。なお、図14(D)に示す上面図において、複数の凹凸108が設けられる領域を半導体素子層103が設けられる領域の形状に応じて矩形状としているがこれに限定されない。例えば、図14(F)に示すように半導体素子層103が占める領域の形状として角部が面取りされた形状、及びその周りを囲むように複数の凹凸108が設けられる領域とする構成とすることでも、特に高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、膜の剥がれの度合いを低減することができる。
【0038】
次に、複数の凹凸108が形成された第2の無機絶縁層104及び有機絶縁層106を覆って、第3の無機絶縁層109を形成する(図1(E)、図14(E)参照)。第3の無機絶縁層109は、半導体素子層への水分及び不純物の侵入を抑制することができる。また、第2の無機絶縁層104に複数の凹凸108が形成されることより、第2の無機絶縁層104と第3の無機絶縁層109とが直接接する面積を増加させることができる。そのため、第2の無機絶縁層104と第3の無機絶縁層109との密着性を高めることができる。
【0039】
なお第3の無機絶縁層109は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層又は積層で形成する。単層で用いる際の第3の無機絶縁層109に用いる無機化合物としては、窒化珪素(SiN)、窒化酸化珪素(SiN)(x>y)がある。なお第3の無機絶縁層109を積層構造としてもよい。積層で用いる際の第3の無機絶縁層109に用いる無機化合物としては、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiO)(x>y)、窒化酸化珪素(SiN)(x>y)がある。第3の無機絶縁層109は、窒化珪素または窒化酸化珪素を含む層とすることにより、第1の無機絶縁層102及び第2の無機絶縁層104に囲まれた半導体素子層103への不純物及び水分の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
【0040】
また第2の無機絶縁層104に設けられた複数の凹凸108と重畳する領域の第3の無機絶縁層109の表面には、複数の凹凸110が設けられている。なお、図1(E)に示すように、第3の無機絶縁層109の表面に形成される複数の凹凸110の断面は、上述した第2の無機絶縁層104に設けられる複数の凹凸108における凹部の広さまたは深さ、若しくは第3の無機絶縁層109の膜厚または段差被膜性に応じて、凹部の広さまたは深さが異なるものとなる。第3の無機絶縁層109の表面に複数の凹凸110を有する構成をすることにより、第3の無機絶縁層109の表面と第3の無機絶縁層109上に形成される膜との密着性を高めることができる。
【0041】
本実施の形態においては、第2の無機絶縁層104と第3の無機絶縁層109の膜、及び第3の無機絶縁層109の表面と第3の無機絶縁層109上に形成される膜と、の密着性を高めることができるため、特に高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、その端部における膜の剥がれの度合いを低減することができる。すなわち、防水性を向上させ且つ信頼性を高めた半導体装置とすることができる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態で示す半導体装置は、第2の無機絶縁層104と第3の無機絶縁層109の膜、及び第3の無機絶縁層109の表面と第3の無機絶縁層109上に形成される膜の密着性を高めることができ、特に高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、その端部における膜の剥がれの度合いを低減することができる。そのため、第2の無機絶縁層及び第3の無機絶縁層の界面から半導体素子層に水分が侵入することを抑制することができる。すなわち、耐熱性及び耐湿性を向上させることができ、信頼性を高めた半導体装置及び半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0043】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0044】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、上記実施の形態1で示した半導体装置とは異なる例について示し、図5、図6を用いて説明する。
【0045】
上記実施の形態1で説明したように、まず基板101上に第1の無機絶縁層102を形成する。そして、第1の無機絶縁層102上に半導体素子層103が形成され、半導体素子層103間には開口部105が形成される。そして半導体素子層103を覆うように第2の無機絶縁層104を形成する。そして第2の無機絶縁層104上に有機絶縁層106を形成され、第2の無機絶縁層104を介した半導体素子層103上に有機絶縁層106を残してエッチング処理することにより、開口部107が形成される(図5(A))。
【0046】
なお、基板101、第1の無機絶縁層102、半導体素子層103、開口部105、第2の無機絶縁層104、有機絶縁層106、及び開口部107に関する説明については、上記実施の形態の図1(A)乃至(C)について説明した記載と同様であり、ここでは詳細な説明については省略する。
【0047】
次に、第1の無機絶縁層102及び第2の無機絶縁層104が直接接して重畳する領域の第2の無機絶縁層104の表面に、複数の開口部501を形成する(図5(B))。なお、複数の開口部501は、リソグラフィー技術を用いて、フォトレジストと呼ばれる感光性樹脂を用いたレジスト塗布、パターン露光、現像、レジストをマスクとした異方性エッチングによる選択的なエッチング、レジスト剥離といった工程によって形成すればよい。なお、複数の開口部501の表面の形状は図5(B)に示すように、開口部501の断面の形状が柱状となるように形成してもよい。また、図6(A)に示すように、複数の開口部501の断面の形状が丸みを帯びた形状となるように形成してもよい。また、図6(B)に示すように、複数の開口部501の断面の形状が概略尖形形状となるように形成してもよい。
【0048】
次に、複数の開口部501が形成された第2の無機絶縁層104及び有機絶縁層106を覆って、第3の無機絶縁層109を形成する(図5(C))。第3の無機絶縁層109は、実施の形態1と同様に、有機絶縁層106からの水分及び不純物の拡散を防ぐことができる。また、第2の無機絶縁層104に複数の開口部501が形成されることより、第2の無機絶縁層104と第3の無機絶縁層109とが直接接する面積を増加させることができる。そのため、第2の無機絶縁層104と第3の無機絶縁層109との密着性を高めることができる。
【0049】
また本実施の形態においては、第2の無機絶縁層104に設けられた複数の開口部501が形成されることにより、第1の無機絶縁層102と第3の無機絶縁層109とが直接接する領域を形成することができる。そのため、第1の無機絶縁層102と第3の無機絶縁層109との密着性を高めることができる。
【0050】
なお、第3の無機絶縁層109に関する説明については、上記実施の形態の図1(E)について説明した記載と同様であり、ここでは詳細な説明については省略する。
【0051】
また第2の無機絶縁層104に設けられた複数の開口部501と重畳する領域の第3の無機絶縁層109の表面には、複数の凹凸110が設けられている。なお、図5(C)に示すように、第3の無機絶縁層109の表面に形成される複数の凹凸110の断面は、上述した第2の無機絶縁層104に設けられる複数の開口部501における開口の大きさまたは深さ、若しくは第3の無機絶縁層109の膜厚または段差被膜性に応じて、開口の大きさまたは深さが異なるものとなる。第3の無機絶縁層109の表面に複数の凹凸110を有する構成をすることにより、第3の無機絶縁層109の表面と第3の無機絶縁層109上に形成される膜との密着性を高めることができる。
【0052】
本実施の形態においては、第2の無機絶縁層104と第3の無機絶縁層109の膜、第1の無機絶縁層102と第3の無機絶縁層109の膜、及び第3の無機絶縁層109の表面と第3の無機絶縁層109上に形成される膜、の密着性を高めることができるため、特に高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、その端部における膜の剥がれの度合いを低減することができる。すなわち、防水性を向上させ且つ信頼性を高めた半導体装置とすることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態で示す半導体装置は、第2の無機絶縁層104と第3の無機絶縁層109の膜、第1の無機絶縁層102と第3の無機絶縁層109の膜、及び第3の無機絶縁層109の表面と第3の無機絶縁層109上に形成される膜の密着性を高めることができ、特に高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、その端部における膜の剥がれの度合いを低減することができる。そのため、第1の無機絶縁層102と第3の無機絶縁層109の膜、第2の無機絶縁層104及び第3の無機絶縁層109、並びに第3の無機絶縁層109の表面と第3の無機絶縁層109上に形成される膜、の界面から半導体素子層に水分が侵入することを抑制することができる。すなわち、防水性を向上させ且つ信頼性を高めた半導体装置及び半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0054】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0055】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、上記実施の形態2で説明した半導体装置について具体的に示し、その作製方法について説明する。
【0056】
本実施の形態を、図7、図15を用いて説明する。なお図15は、図7に示した断面図に対応する上面図である。
【0057】
まず、基板701上に第1の無機絶縁層702を形成する(図7(A)、図15(A)参照)。
【0058】
なお、基板701、第1の無機絶縁層702に関する説明については、上記実施の形態1の図1(A)で説明した基板101及び第1の無機絶縁層102に関する記載と同様であり、ここでは詳細な説明については省略する。
【0059】
次に第1の無機絶縁層702上に薄膜トランジスタ703を形成する。なお薄膜トランジスタ703は第1の無機絶縁層702上に形成せず、下地膜(図示せず)を形成した上で、下地膜上に薄膜トランジスタを形成する構成としてもよい。
【0060】
次に第1の無機絶縁層702上に形成される薄膜トランジスタ703は、ソース領域、ドレイン領域、及びチャネル形成領域を有する半導体層704、ゲート絶縁層705、並びにゲート電極706で構成される。そして薄膜トランジスタ703を覆って、層間絶縁膜707が形成されている。また、層間絶縁膜707上に、半導体層704中のソース領域及びドレイン領域に接する配線708が形成される。配線708まで形成したら、ゲート絶縁層705及び層間絶縁膜707を半導体装置毎に分離するようエッチングし、薄膜トランジスタ703の間に開口部709を形成しておく(図7(B)、図15(B)参照)。
【0061】
なお、ゲート絶縁層705、ゲート電極706、層間絶縁膜707、及び配線708に関する説明については、上記実施の形態1の図2で説明したゲート絶縁層205、ゲート電極206、層間絶縁膜207、層間絶縁膜208、層間絶縁膜209、及び配線210に関する記載と同様であり、ここでは詳細な説明について省略する。
【0062】
なお本実施の形態で示す半導体装置は、実施の形態1の図2での説明と同様に、薄膜トランジスタを有する構成に限らず、半導体特性を利用して形成される複数の素子を含むものであってもよい。例えば薄膜トランジスタの他に、ダイオード素子や、抵抗素子、容量素子、またはメモリ素子等を含むものであってもよい。
【0063】
次に、層間絶縁膜707、配線708、及び開口部709を覆うように第2の無機絶縁層711を形成する。そして第2の無機絶縁層711上に有機絶縁層712を形成し、第2の無機絶縁層711を介した薄膜トランジスタ703上の有機絶縁層712を残してエッチング処理することにより、開口部713を形成する。また有機絶縁層712には、後に薄膜トランジスタ703の配線708との電気的な接続を行うための開口714を形成しておく(図7(C)、図15(C)参照)。本実施の形態は、上記実施の形態1と同様に、第1の無機絶縁層702及び第2の無機絶縁層711により、薄膜トランジスタ703を囲むことができるので、半導体層704への不純物及び水分の侵入をより抑制し、さらに信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0064】
なお、第2の無機絶縁層711、及び有機絶縁層712に関する説明については、上記実施の形態2の図5(A)で説明した第2の無機絶縁層104、有機絶縁層106に関する記載と同様であり、ここでは詳細な説明については省略する。
【0065】
次に、後に薄膜トランジスタ703の配線708との電気的な接続を行うための開口714に、配線708に達する開口715を形成するためのエッチング処理を行うと同時に、第1の無機絶縁層702及び第2の無機絶縁層711が直接接して重畳する領域である開口部713における第2の無機絶縁層711に複数の開口部716を形成する(図7(D)、図15(D)参照)。なお、複数の開口部716は、リソグラフィー技術を用いて、フォトレジストと呼ばれる感光性樹脂を用いたレジスト塗布、パターン露光、現像、レジストをマスクとした異方性エッチングによる選択的なエッチング、レジスト剥離といった工程によって形成すればよい。なお、複数の開口部716の表面の形状は上記実施の形態2の図6を用いて説明したように特に限定されない。
【0066】
本実施の形態の構成では、配線708に達する開口715を形成するためのエッチング処理と同時に、第2の無機絶縁層711に、複数の開口部716を形成することができる。そのため、第2の無機絶縁層に複数の開口部を設けるための、リソグラフィー技術を行うフォトマスクを新たに用いることはない。そのため、半導体装置を作製するためのフォトマスク数を削減することができる。
【0067】
次に、開口714、開口715、及び有機絶縁層712上に、配線708と電気的に接続された導電層717を形成する(図7(E)、図15(E)参照)。本実施の形態では、導電層717はチタン膜とアルミニウム膜の積層膜を用いて形成する。なお導電層717は、一例として、外部から無線信号を受信するためのアンテナとして機能するものである。
【0068】
次に第2の無機絶縁層711、有機絶縁層712、導電層717を覆って、第3の無機絶縁層718を形成する。そして上記実施の形態2で述べたように、第2の無機絶縁層711に設けられた複数の開口部716と重畳する領域の第3の無機絶縁層718の表面には、複数の凹凸719が設けられる(図7(F)、図15(F)参照)。第3の無機絶縁層718の表面に複数の凹凸719を有する構成をすることにより、特に高温度且つ高湿度の環境下での保存試験における、第3の無機絶縁層718の表面と第3の無機絶縁層718上に形成される膜との密着性を高めることができる。
【0069】
第3の無機絶縁層718は、実施の形態1と同様に、第1の無機絶縁層702及び第2の無機絶縁層711に囲まれた薄膜トランジスタ703及び導電層717への不純物及び水分の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態で示す半導体装置は、第2の無機絶縁層711と第3の無機絶縁層718の膜、第1の無機絶縁層702と第3の無機絶縁層718の膜、及び第3の無機絶縁層718の表面と第3の無機絶縁層718上に形成される膜の密着性を高めることができ、特に高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、その端部における膜の剥がれの度合いを低減することができる。そのため、第1の無機絶縁層702及び第3の無機絶縁層718、第2の無機絶縁層711及び第3の無機絶縁層718、並びに第3の無機絶縁層718の表面と第3の無機絶縁層718上に形成される膜、の界面から薄膜トランジスタ703に水分が侵入することを抑制することができる。すなわち、耐熱性及び耐湿性を向上させることができ、信頼性を高めた半導体装置及び半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0071】
加えて、本実施の形態の構成では、配線708に達する開口715を形成するためのエッチング処理と同時に、第2の無機絶縁層711に、複数の開口部716を形成することができる。そのため、第2の無機絶縁層に複数の開口部を設けるための、リソグラフィー技術を行うフォトマスクを新たに用いることなく、フォトマスク数を削減することができる半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0072】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0073】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態3で説明した半導体装置の作製方法について、別の構成について説明する。
【0074】
本実施の形態を、図8乃至図11を用いて説明する。
【0075】
図8(A)に示す半導体装置の断面構造は、上記実施の形態3の図7(F)で示した断面構造において、基板701と第1の無機絶縁層702との間に剥離層801を追加した図である。図8(A)には、基板701、第1の無機絶縁層702、半導体層704、ゲート絶縁層705、ゲート電極706、層間絶縁膜707、配線708、第2の無機絶縁層711、有機絶縁層712、複数の開口部716、導電層717、第3の無機絶縁層718、複数の凹凸719について示している。なお第1の無機絶縁層702より第3の無機絶縁層718を積層する作製工程については、実施の形態3と同様であるので本実施の形態においてはその説明を省略する。
【0076】
剥離層801は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、厚さ30nm〜200nmのタングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及び珪素(Si)の中から選択された元素、又は元素を主成分とする合金材料、又は元素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層または複数の層を積層させて形成する。珪素を含む層の構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。なお、塗布法は、溶液を被処理物上に吐出させて成膜する方法であり、例えばスピンコーティング法や液滴吐出法を含む。また、液滴吐出法とは微粒子を含む組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状のパターンを形成する方法である。
【0077】
剥離層801が単層構造の場合、好ましくは、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
【0078】
剥離層801が積層構造の場合、好ましくは、1層目として金属層を形成し、2層目として金属酸化物層を形成する。代表的には、1層目の金属層として、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の窒化物、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化窒化物、又はタングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の窒化酸化物を含む層を形成する。
【0079】
次に図8(A)の状態まで作製した後、繊維体及び有機樹脂層を含む第1の封止層802を、第3の無機絶縁層718及び複数の凹凸719上に形成し、プレスにより接着する(図8(B)参照)。
【0080】
第1の封止層802は、繊維体及び有機樹脂層を含むものである。繊維体は、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布である。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率が高い繊維である。または、ヤング率が高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維である。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維を用いることができる。なお、繊維体は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0081】
また繊維体として、カーボン繊維を用いて、繊維体に導電性を持たせると、静電破壊を抑制することができる。
【0082】
また、繊維体は、繊維(単糸)の束(以下、糸束という)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布で構成されてもよい。
【0083】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。繊維糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした繊維糸束を用いてもよい。開繊加工をした繊維糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、繊維糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化しやすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体の厚さを薄くすることが可能である。このため、封止層の厚さを薄くすることが可能であり、薄型の半導体装置を作製することができる。繊維の糸束径は4μm以上400μm以下、さらには4μm以上200μm以下であればよいが、原理上は更に薄くてもよい。また、繊維の太さは、4μm以上20μm以下であればよいが、原理上は更に細くても良く、それらは繊維の材料に依存する。
【0084】
また、第1の封止層802の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μmが好ましい。このような厚さの封止層を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0085】
なお繊維体及び有機樹脂層を含む第1の封止層802を、第3の無機絶縁層718及び複数の凹凸719上に接着するためのプレス工程は、一例として示すと、真空雰囲気中で、温度を室温から100℃まで30分間で上昇させ、その後、第1の封止層802を第3の無機絶縁層718に均一に固着させるために、0.3MPaの圧力下で、温度を135℃で15分間維持し、その後195℃に昇温して60分間維持することを行えばよい。
【0086】
次いで第1の封止層802上に、光または熱により剥離可能な粘着テープ803を設けて、粘着テープ803上にローラ804を回転させながら(図8(C)参照)、剥離層801より剥離することで、基板701及び剥離層801を物理的に分離する(図8(D)参照)。
【0087】
次いで、剥離層801を剥離することにより露出した第1の無機絶縁層702の表面に接して繊維体と有機樹脂層を有する第2の封止層805を設けて、プレスにより接着する(図9(A)参照)。なお粘着テープ803は、第2の封止層805を設けた後に剥離してもよいし、第2の封止層805を設ける前に剥離してもよい。
【0088】
なお、第2の封止層805に関する説明は、第1の封止層802と同様であり、詳細な説明については省略する。
【0089】
そして素子と素子との間の領域、すなわち半導体素子層の間にある第2の無機絶縁層の表面に形成された複数の開口部716が設けられた領域毎に、レーザ(図中の矢印)を照射することによって切断し、チップを切りだす(図9(B)参照)ことで複数の半導体装置806を得ることができる(図9(C)参照)。
【0090】
以上が、半導体装置の作製例の一である。
【0091】
なお本実施の形態で示す半導体装置は、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置として機能するものである。例えば、本実施の形態で説明した導電層717は、アンテナとして機能する。また半導体層704、ゲート絶縁層705、ゲート電極706等により構成される薄膜トランジスタを含む層については、論理回路等を構成する半導体素子層として機能する。図10に基板より剥離し、切り分けることで半導体装置を形成する際の上面図について示したものである。なお、図10に示す上面図は、上述の断面図における図9(B)に対応するものである。
【0092】
図10に示す上面図は、封止層1001内に半導体素子層1002、アンテナ1003、複数の開口部が形成された領域1004を示している。複数の開口部が形成された領域1004がレーザの照射で切断されることにより、複数の開口部が形成された領域1004で半導体素子層1002及びアンテナ1003を切り分けることができる。上記実施の形態で述べたように複数の開口部が形成された領域1004は、第2の無機絶縁層711と第3の無機絶縁層718の膜、第1の無機絶縁層702と第3の無機絶縁層718の膜、及び第3の無機絶縁層718の表面と第1の封止層802の密着性を高めることができ、特に高温度且つ高湿度の環境下での保存試験において、その端部における膜の剥がれの度合いを低減することができる。そのため、第1の無機絶縁層702及び第3の無機絶縁層718、第2の無機絶縁層711及び第3の無機絶縁層718、並びに第3の無機絶縁層718の表面と第1の封止層802、の界面から半導体素子層1002及びアンテナ1003に水分が侵入することを抑制することができる。すなわち、防水性を向上させ且つ信頼性を高めた半導体装置及び半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0093】
なお上述の図9(C)に示す断面図では、第1の封止層802及び第2の封止層805に挟持されるトランジスタとして、トランジスタを一つ具備する構成を図示して説明を行ったがこの構成に限定されない。例えば、pチャネル型トランジスタ及びnチャネル型トランジスタ、並びにダイオード素子、抵抗素子、容量素子、またはメモリ素子等の素子を複数含む場合には、素子数が数万に有する構成となる。一例として、図16にソース領域またはドレイン領域にp型の導電性を付与する元素が添加された半導体層704A及びソース領域またはドレイン領域にn型の導電性を付与する元素が添加された半導体層704Bを具備するpチャネル型トランジスタ及びnチャネル型トランジスタが、第1の封止層802及び第2の封止層805に挟持される構成について示す。なお図16には、pチャネル型トランジスタ及びnチャネル型トランジスタを一つずつ図示しているが、実際の半導体装置では横方向、奥行き方向にpチャネル型トランジスタ及びnチャネル型トランジスタが複数配設された構成となる。
【0094】
ここで、半導体装置における複数の開口部の効果について説明する写真を図11(A)、図11(B)に示す。なお、図11(A)、図11(B)は本実施の形態で説明した構造を実験的に再現したサンプルの写真を示している。図11(A)には、高温度且つ高湿度の環境下での保存試験後の、複数の開口部がないサンプルの写真について示したものである。また図11(B)には、高温度且つ高湿度の環境下での保存試験後の、複数の開口部を有するサンプルの写真について示したものである。なお図11(A)、図11(B)に示す写真は、製図法に従って描くことが極めて困難であるために、製図法で示すことを略し、写真にて示したものである。
【0095】
なお本明細書でいう高温度且つ高湿度の環境下での保存試験は、温度85℃、湿度85%の環境下で500時間後の変化について、目視及び光学顕微鏡を用いて観察する試験である。
【0096】
図11(A)に示す写真及び図11(B)に示す写真を見ると、複数の開口部がない半導体装置(図11(A))より、複数の開口部がある半導体装置は、高温度且つ高湿度の環境下での保存試験後の膜の剥がれの度合いを低減することができる様子がわかる。すなわち、防水性を向上させ且つ信頼性の高めた半導体装置、及び半導体装置の作製方法を提供するものである。
【0097】
上記図11(A)及び図11(B)では、複数の開口部の有することによる高温度且つ高湿度の環境下での保存試験後の膜の剥がれの度合いを低減できる効果について述べた。また、第1の無機絶縁層102として窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜を積層して設ける構成とすることにより、高温度且つ高湿度の環境下での保存試験後の膜の剥がれの度合いをより低減できる効果を確認できた。また、第1の無機絶縁層102として窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜を積層して設ける構成とし、且つ繊維体及び有機樹脂層を含む封止層でトランジスタを挟持する構成とすることで、高温度且つ高湿度の環境下での保存試験後の膜剥がれの防止を光学顕微鏡で確認できた。
【0098】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0099】
(実施の形態5)
本実施の形態では、半導体装置の応用例を示す。ここでは、半導体装置の応用例の1つとして、RFID(ICタグともいう)について説明する。
【0100】
はじめに、半導体装置を応用したRFIDの回路構成例について説明する。図12に、RFIDのブロック回路図を示す。
【0101】
図12のRFIDの仕様は、国際標準規格のISO15693に準拠し、近傍型で、交信信号周波数は13.56MHzである。また、受信はデータ読み出し命令のみ対応し、送信のデータ伝送レートは約13kHzであり、データ符号化形式はマンチェスタコードを用いている。
【0102】
RFIDの回路部1212は、大別して、電源部1260、信号処理部1261から構成される。電源部1260は、整流回路1262と保持容量1263を有する。また、電源部1260に、アンテナ1211から受信した電力が過剰であった場合、内部回路を保護するための保護回路部(リミッタ回路部ともいう)と、保護回路部を動作させるかどうかを制御するための保護回路制御回路部とを設けてもよい。当該回路部を設けることにより、RFIDと通信機との通信距離が極端に短い状況等においてRFIDが大電力を受信することによって生じる不具合を防ぐことができ、RFIDの信頼性の向上を図ることができる。すなわち、RFID内部の素子の劣化や、RFID自体を破壊することなく、RFIDを正常に動作させることができる。
【0103】
回路部1212は、実施の形態1及び実施の形態2で述べられた半導体素子層103内に形成される。
【0104】
なお、ここでは、通信機とはRFIDと無線通信により情報の送受信を行う手段を有していればよく、例えば、情報を読み取るリーダや、読み取り機能及び書き込み機能を備えたリーダ/ライタ等が挙げられる。また、読み取り機能と書き込み機能の一方又は両方を備える携帯電話やコンピュータ等も含まれる。
【0105】
整流回路1262は、アンテナ1211で受信された搬送波を整流し、直流電圧を生成する。保持容量1263は、整流回路1262で生成された直流電圧を平滑化する。電源部1260において生成された直流電圧は電源電圧として、信号処理部1261の各回路に供給される。
【0106】
信号処理部1261は、復調回路1264、クロック生成/補正回路1265、認識/判定回路1266と、メモリコントローラ1267、マスクROM1268、符号化回路1269、および変調回路1270を有する。
【0107】
復調回路1264はアンテナ1211で受信した信号を復調する回路である。復調回路1264で復調された受信信号はクロック生成/補正回路1265と認識/判定回路1266に入力される。
【0108】
クロック生成/補正回路1265は信号処理部1261の動作に必要なクロック信号を生成し、さらにそれを補正する機能を有する。例えば、クロック生成/補正回路1265は、電圧制御発振回路(以下、VCO(Voltage Controlled Oscillator)回路)を有し、VCO回路の出力を帰還信号にして、供給される信号との位相比較し、入力される信号と帰還信号が一定の位相になるよう負帰還により出力信号の調整を行う。
【0109】
認識/判定回路1266は、命令コードを認識し判定する。認識/判定回路1266が認識し、判定する命令コードは、フレーム終了信号(EOF、end of frame)、フレーム開始信号(SOF、start of frame)、フラグ、コマンドコード、マスク長(mask length)、マスク値(mask value)等である。また、認識/判定回路1266は、送信エラーを識別する巡回冗長検査(CRC、cyclic redundancy check)機能も含む。
【0110】
メモリコントローラ1267は、認識/判定回路1266で処理された信号を基に、マスクROM1268からデータを読み出す。また、マスクROM1268は、IDなどが記憶されている。マスクROM1268を搭載することで、複製や改ざんが不可能な読み取り専用のRFIDとして構成される。このような読み取り専用のRFIDを紙に抄き込むことで、偽造防止の紙を提供することができる。
【0111】
符号化回路1269はメモリコントローラ1267がマスクROM1268から読み出したデータを符号化する。符号化されたデータは変調回路1270で変調される。変調回路1270で変調されたデータはアンテナ1211から搬送波として送信される。
【0112】
次に、RFIDの使用例について示す。RFIDはあらゆる紙媒体及びフィルム媒体に使用できる。特に、上記実施の形態で説明した構成を具備するRFIDは、偽造防止が要求されるあらゆる紙媒体に使用することができる。例えば、紙幣、戸籍謄本、住民票、パスポート、免許証、身分証、会員証、鑑定書、診察券、定期券、手形、小切手、貨物引換証、船貨証券、倉庫証券、株券、債券、商品券、チケット、抵当証券などである。
【0113】
また、上記実施の形態で説明した構成を具備するRFIDは、紙媒体上で視覚的に示される情報以上の多くの情報を紙媒体及びフィルム媒体に持たせることができるため、商品ラベルなどに適用することで、商品の管理の電子システム化や、商品の盗難の防止に利用できる。以下、図13(A)〜図13(E)を用いて、紙の使用例を説明する。
【0114】
図13(A)は、RFID1301を抄き込んだ紙を使用した無記名債券類1311の一例である。無記名債券類1311には、切手、切符、チケット、入場券、商品券、図書券、文具券、ビール券、おこめ券、各種ギフト券、各種サービス券等が含まれるが、勿論これらに限定されるものではない。また、図13(B)は、RFID1301を抄き込んだ紙を使用した証書類1312(例えば、住民票、戸籍謄本)の一例である。
【0115】
図13(C)は、上記実施の形態で説明した構成を具備するRFIDをラベルに適用した一例である。ラベル台紙(セパレート紙)1313上に、RFID1301が抄き込まれた紙でラベル1314(IDシール)が形成されている。ラベル1314は、ボックス1315内に収納されている。ラベル1314上には、その商品や役務に関する情報(商品名、ブランド、商標、商標権者、販売者、製造者等)が印刷されている。さらに、RFID1301には、その商品(又は商品の種類)固有のIDナンバーが記憶されているため、偽造や、商標権、特許権等の知的財産権侵害、不正競争等の不法行為を容易に把握することができる。RFID1301には、商品の容器やラベルに明記しきれない多大な情報、例えば、商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格、生産方法、使用方法、生産時期、使用時期、賞味期限、取扱説明、商品に関する知的財産情報等を入力しておくことができる。そのため、取引者や消費者は、簡易な通信機によって、それらの情報にアクセスすることができる。また、生産者側からは容易に書換え、消去等も可能であるが、取引者、消費者側からは書換え、消去等ができない仕組みになっている。
【0116】
図13(D)は、RFID1301を抄き込んだ紙またはフィルムでなるタグ1316を示している。RFID1301を抄き込んだ紙またはフィルムでタグ1316を作製することで、プラスチックの筐体を使用した従来のIDタグよりも安価に製造することができる。図13(E)は、RFIDを表紙に用いた書籍1317であり、表紙にRFID1301が抄き込まれている。
【0117】
半導体装置の一例であるRFIDを搭載したラベル1314やタグ1316を商品に取り付けておくことで、商品管理が容易になる。例えば、商品が盗難された場合に、商品の経路を辿ることによって、その犯人を迅速に把握することができる。このように、RFIDをIDタグとして用いることで、商品の原材料や産地、製造や加工、流通、販売などに至るまでの履歴管理や、追跡照会を可能にする。すなわち、商品のトレーサビリティを可能にする。
【0118】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。すなわち本発明により、防水性を向上させ且つ信頼性の高めた半導体装置、及び半導体装置の作製方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0119】
101 基板
102 第1の無機絶縁層
103 半導体素子層
104 第2の無機絶縁層
105 開口部
106 有機絶縁層
107 開口部
108 凹凸
109 第3の無機絶縁層
110 凹凸
201 薄膜トランジスタ
202 下地膜
204 半導体層
205 ゲート絶縁層
206 ゲート電極
207 層間絶縁膜
208 層間絶縁膜
209 層間絶縁膜
210 配線
303 半導体素子層
501 開口部
701 基板
702 第1の無機絶縁層
703 薄膜トランジスタ
704 半導体層
704A 半導体層
704B 半導体層
705 ゲート絶縁層
706 ゲート電極
707 層間絶縁膜
708 配線
709 開口部
711 第2の無機絶縁層
712 有機絶縁層
713 開口部
714 開口
715 開口
716 開口部
717 導電層
718 第3の無機絶縁層
719 凹凸
801 剥離層
802 第1の封止層
803 粘着テープ
804 ローラ
805 第2の封止層
806 半導体装置
1001 封止層
1002 半導体素子層
1003 アンテナ
1004 領域
1211 アンテナ
1212 回路部
1260 電源部
1261 信号処理部
1262 整流回路
1263 保持容量
1264 復調回路
1265 クロック生成/補正回路
1266 認識/判定回路
1267 メモリコントローラ
1268 マスクROM
1269 符号化回路
1270 変調回路
1301 RFID
1311 無記名債券類
1312 証書類
1313 ラベル台紙(セパレート紙)
1314 ラベル
1315 ボックス
1316 タグ
1317 書籍
603a 下層下地膜
603b 上層下地膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、
前記第2の無機絶縁層は、前記半導体素子層に設けられた開口部で前記第1の無機絶縁層と接して設けられており、
前記第3の無機絶縁層は、前記有機絶縁層に設けられた開口部で前記第2の無機絶縁層と接して設けられており、
前記第2の無機絶縁層及び前記第3の無機絶縁層が接する面において、前記第2の無機絶縁層の表面には、複数の凹凸が設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、
前記第2の無機絶縁層は、前記半導体素子層に設けられた開口部で前記第1の無機絶縁層と接して設けられており、
前記第3の無機絶縁層は、前記有機絶縁層に設けられた開口部で前記第2の無機絶縁層と接して設けられており、
前記第2の無機絶縁層及び前記第3の無機絶縁層が接する面において、前記第2の無機絶縁層の表面には、複数の凹凸が設けられ、
前記第2の無機絶縁層に設けられた前記複数の凹凸と重畳する領域の前記第3の無機絶縁層の表面には、複数の凹凸が設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、
前記第2の無機絶縁層は、前記半導体素子層に設けられた開口部で前記第1の無機絶縁層と接して設けられており、
前記第3の無機絶縁層は、前記有機絶縁層に設けられた開口部で前記第2の無機絶縁層と接して設けられており、
前記第2の無機絶縁層及び前記第3の無機絶縁層が接する面において、前記第2の無機絶縁層には複数の開口部が設けられ、
前記複数の開口部では、前記第1の無機絶縁層と前記第3の無機絶縁層とが接して設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、
前記第2の無機絶縁層は、前記半導体素子層に設けられた開口部で前記第1の無機絶縁層と接して設けられており、
前記第3の無機絶縁層は、前記有機絶縁層に設けられた開口部で前記第2の無機絶縁層と接して設けられており、
前記第2の無機絶縁層及び前記第3の無機絶縁層が接する面において、前記第2の無機絶縁層には複数の開口部が設けられ、
前記複数の開口部では、前記第1の無機絶縁層と前記第3の無機絶縁層とが接して設けられ、
前記第2の無機絶縁層に設けられた前記複数の開口部と重畳する領域の前記第3の無機絶縁層の表面には、複数の凹凸が設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、導電層、及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、
前記第2の無機絶縁層は、前記半導体素子層に設けられた開口部で前記第1の無機絶縁層と接して設けられており、
前記第3の無機絶縁層は、前記有機絶縁層に設けられた開口部で前記第2の無機絶縁層と接して設けられており、
前記導電層は、前記有機絶縁層及び前記第2の無機絶縁層に設けられた開口部で前記半導体素子層と電気的に接して設けられており、
前記第2の無機絶縁層及び前記第3の無機絶縁層が接する面において、前記第2の無機絶縁層には、複数の開口部が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
基板上に、第1の無機絶縁層、半導体素子層、第2の無機絶縁層、有機絶縁層、導電層及び第3の無機絶縁層が順次積層して設けられており、
前記第2の無機絶縁層は、前記半導体素子層に設けられた開口部で前記第1の無機絶縁層と接して設けられており、
前記第3の無機絶縁層は、前記有機絶縁層に設けられた開口部で前記第2の無機絶縁層と接して設けられており、
前記導電層は、前記有機絶縁層及び前記第2の無機絶縁層に設けられた開口部で前記半導体素子層と電気的に接して設けられており、
前記第2の無機絶縁層及び前記第3の無機絶縁層が接する面において、前記第2の無機絶縁層には複数の開口部が設けられ、
前記複数の開口部では、前記第1の無機絶縁層と前記第3の無機絶縁層とが接して設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、前記第1の無機絶縁層、前記第2の無機絶縁層、及び前記第3の無機絶縁層は、窒化珪素または窒化酸化珪素を含む層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、前記半導体素子層は、薄膜トランジスタを含む層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
基板上に剥離層を形成し、
前記剥離層上に第1の無機絶縁層を形成し、
前記第1の無機絶縁層上に半導体素子層を形成し、
前記半導体素子層に開口部を形成し、
前記半導体素子層に設けられた前記開口部によって露出した前記第1の無機絶縁層の表面及び前記半導体素子層上に第2の無機絶縁層を形成し、
前記第2の無機絶縁層を介した前記半導体素子層上に有機絶縁層を形成し、
前記有機絶縁層に開口部を形成し、
前記有機絶縁層に設けられた前記開口部を含む露出した前記第2の無機絶縁層の表面に、複数の開口部を形成し、
前記複数の開口部上及び前記有機絶縁層上に第3の無機絶縁層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項10】
基板上に剥離層を形成し、
前記剥離層上に第1の無機絶縁層を形成し、
前記第1の無機絶縁層上に半導体素子層を形成し、
前記半導体素子層に開口部を形成し、
前記半導体素子層に設けられた前記開口部によって露出した前記第1の無機絶縁層の表面及び前記半導体素子層上に第2の無機絶縁層を形成し、
前記第2の無機絶縁層を介した前記半導体素子層上に有機絶縁層を形成し、
前記有機絶縁層に開口部を形成し、
前記有機絶縁層に設けられた前記開口部を含む露出した前記第2の無機絶縁層の表面に、複数の開口部を形成し、
前記半導体素子層上に設けられた前記複数の開口部及び前記有機絶縁層上には、導電層が形成され、
前記複数の開口部上、前記導電層上、及び前記有機絶縁層上に第3の無機絶縁層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項11】
基板上に剥離層を形成し、
前記剥離層上に第1の無機絶縁層を形成し、
前記第1の無機絶縁層上に半導体素子層を形成し、
前記半導体素子層に開口部を形成し、
前記半導体素子層に設けられた前記開口部によって露出した前記第1の無機絶縁層の表面及び前記半導体素子層上に第2の無機絶縁層を形成し、
前記第2の無機絶縁層を介した前記半導体素子層上に有機絶縁層を形成し、
前記有機絶縁層に開口部を形成し、
前記有機絶縁層に設けられた前記開口部を含む露出した前記第2の無機絶縁層の表面に、複数の開口部を形成し、
前記複数の開口部上及び前記有機絶縁層上に第3の無機絶縁層を形成し、
前記第3の無機絶縁層上に、繊維体及び有機樹脂層を含む第1の封止層を形成し、
前記基板及び前記剥離層を物理的に剥離し、
前記剥離層を剥離したことにより露出した前記第1の無機絶縁層の表面に、第2の封止層を形成し、
前記第2の無機絶縁層に形成された複数の開口部が設けられた領域で切断することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項12】
基板上に剥離層を形成し、
前記剥離層上に第1の無機絶縁層を形成し、
前記第1の無機絶縁層上に半導体素子層を形成し、
前記半導体素子層に開口部を形成し、
前記半導体素子層に設けられた前記開口部によって露出した前記第1の無機絶縁層の表面及び前記半導体素子層上に第2の無機絶縁層を形成し、
前記第2の無機絶縁層を介した前記半導体素子層上に有機絶縁層を形成し、
前記有機絶縁層に開口部を形成し、
前記有機絶縁層に設けられた前記開口部を含む露出した前記第2の無機絶縁層の表面に、複数の開口部を形成し、
前記半導体素子層上に設けられた前記複数の開口部及び前記有機絶縁層上には、導電層が形成され、
前記複数の開口部上、前記導電層上、及び前記有機絶縁層上に第3の無機絶縁層を形成し、
前記第3の無機絶縁層上に、繊維体及び有機樹脂層を含む第1の封止層を形成し、
前記基板及び前記剥離層を物理的に剥離し、
前記剥離層を剥離したことにより露出した前記第1の無機絶縁層の表面に、第2の封止層を形成し、
前記第2の無機絶縁層に形成された複数の開口部が設けられた領域で切断することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項13】
請求項9乃至請求項12のいずれか一において、前記第1の無機絶縁層、前記第2の無機絶縁層、及び前記第3の無機絶縁層は、窒化珪素または窒化酸化珪素を含む層であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項14】
請求項9乃至請求項13のいずれか一において、前記半導体素子層は、薄膜トランジスタを含む層であることを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−278072(P2009−278072A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94062(P2009−94062)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】