説明

半導体装置

【課題】抵抗値を調整可能な半導体装置をコンパクト化する。
【解決手段】基板接続領域と、外部配線接続領域と、基板接続領域と外部配線接続領域との間に設置される抵抗調整領域とを、1つの電極パッドに形成し、コンパクト化する。電極パッドの抵抗調整領域に対してトリミングを行うことによって、電極パッドの基板接続領域と外部配線接続領域との間の抵抗値を調整することができる。これによって、抵抗値を調整可能な半導体装置をコンパクト化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板と外部配線とを導通させ、半導体基板に給電するための電極パッドを備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の特性を必要に応じて微調整したり、半導体素子の主セルに流れる電流を検知するセンスセルに流れる検知電流値を調整したりするために、半導体装置の電極の抵抗値等を調整する技術が開発されている。特許文献1には、半導体基板上に設置された電極層の抵抗値等を調整可能な半導体装置90が開示されている。半導体装置90は、図21に示すように、半導体基板91と、半導体基板の給電部分92と、シリコン酸化膜93と、シリコン酸化膜93の表面に形成されたワイヤボンディング用電極パッド94および抵抗調整電極層95と、半導体装置91の最表面を被覆する絶縁膜96とを備えている。絶縁膜96には、孔部961が設けられており、ワイヤボンディング用電極パッド94の一部が露出している。孔部961に露出したワイヤボンディング用電極パッド94に対してワイヤボンディングを行う。ワイヤボンディング用電極パッド94は、給電部分92と電気的に接続している。抵抗調整電極層95には、トリミング部951が設けられている。半導体装置90は、シリコン酸化膜93の表面にワイヤボンディング用電極パッド94および抵抗調整電極層95を形成した後、レーザトリミングを行って、抵抗調整電極層95にトリミング部951を形成する。トリミング部951を形成する際は、抵抗調整電極層95に、測定装置に接続された測定針を当て、抵抗値を測定しながらレーザトリミングを行い、半導体装置の抵抗値等を調整する。その後、図21のように抵抗調整電極層95の表面上を絶縁膜96によって被覆する。抵抗調整電極層95は、絶縁膜96によって保護する必要がある電極層の一部であり、ワイヤボンディング用電極パッド94とは別に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−293970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、半導体装置の給電部分と外部配線とを接続するための電極パッドと、トリミングによって抵抗を調整可能な電極層とをそれぞれ別々に設けている。抵抗を調整するために、抵抗調整用の電極層を追加する必要があるため、抵抗調整機能のない半導体装置と比較して、半導体装置のサイズが大きくなってしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明では、半導体基板と、半導体基板の表面に設けられた絶縁膜と、半導体基板および絶縁膜の表面に設けられた電極パッドとを備えた半導体装置であって、電極パッドは、絶縁膜を貫通して半導体基板と電気的に接続する基板接続領域と、外部配線がその表面に電気的に接続される外部配線接続領域と、基板接続領域と外部配線接続領域との間に設けられた抵抗調整領域とを備えている半導体装置を提供する。
【0006】
本発明では、基板接続領域と、抵抗調整領域と、外部配線接続領域とが、1つの電極パッドに形成されているため、従来のように、半導体基板と外部配線とを接続するための電極パッドと、トリミングによって抵抗を調整可能な電極層とをそれぞれ設ける必要がなく、半導体装置のコンパクト化に寄与できる。
【0007】
本発明の抵抗調整領域は、例えば、基板接続領域から外部配線接続領域に延びる複数の導電部を備えている。このような構成によれば、複数の導電部の少なくとも1つを切断することによって、抵抗調整領域の抵抗値を高くすることができる。
【0008】
さらに、複数の導電部の少なくとも一つが、他の導電部とは抵抗が異なることが好ましい。調整したい抵抗値の大きさに応じて、抵抗の異なる導電部の中から適宜トリミングすべき導電部を選択することができるため、より適切に電極パッドの抵抗値を調整するができる。
【0009】
また、抵抗調整領域は、基板接続領域と外部配線接続領域とを接続する主導電部と、主導電部を短絡させる複数の副導電部とを備えており、複数の副導電部は主導電部を異なる位置で短絡させる。そして、複数の副導電部のいずれかを適宜トリミングによって切断することによって、基板接続領域と外部配線接続領域との間の抵抗値を調整することができるようにしてもよい。このような抵抗調整領域としては、例えば、基板接続領域から外部配線接続領域に向けてサーペンタイン状に蛇行した主導電部と、蛇行する主導電部を短絡させる副導電部とを用いることができる。
【0010】
また、本発明の抵抗調整領域は、半導体装置の表面に露出していることが好ましい。半導体装置の表面に露出した抵抗調整領域に対してトリミングを行うことによって、電極パッドの基板接続領域と外部配線接続領域との間の抵抗値を調整することができるため、例えば、半導体装置の電気特性の検査工程など、完成した半導体装置の検査工程においてトリミングを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体基板と外部配線とを接続するための電極パッドに抵抗調整領域を設けているため、半導体装置の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施例の半導体装置(電極パッド)の平面図。
【図2】本実施例の半導体装置の断面図であり、図1のII−II線断面図。
【図3】図1の電極パッドの抵抗調整領域に設けられた導電部を切断した図。
【図4】本実施例の変形例に係る半導体装置の電極パッドの平面図。
【図5】本実施例の他の変形例に係る半導体装置の電極パッドの平面図。
【図6】図5のVI−VI線断面から矢印方向に見た図。
【図7】本実施例の他の変形例に係る半導体装置の電極パッドの平面図。
【図8】本実施例の他の変形例に係る半導体装置の電極パッドの平面図。
【図9】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図。
【図10】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図。
【図11】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図であり、図12のXI−XI線断面図。
【図12】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図。
【図13】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図であり、図14のXIII−XIII線断面図。
【図14】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図。
【図15】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図。
【図16】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図。
【図17】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図であり、図18のXVII−XVII線断面図。
【図18】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図。
【図19】本実施例の半導体装置の電極パッドの製造工程を示す図。
【図20】本実施例の他の変形例に係る半導体装置の電極パッドの平面図。
【図21】従来例の半導体装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に説明する実施例の主要な特徴を以下に列記する。
(特徴1)半導体基板の表面に形成された絶縁膜は、絶縁膜の表面に形成された電極パッドの抵抗調整領域から基板接続領域まで延びている。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の実施例1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例に係る半導体装置10の平面図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。ただし、図1及び図2では、電極パッドが形成された領域のみを図示している(図3〜20において同様)。半導体装置10は、半導体基板1と、半導体基板1に形成された給電部分2と、半導体基板1の表面を被覆する絶縁膜3と、半導体基板1および絶縁膜3の表面を被覆する電極パッド4とを備えている。半導体基板1の裏面には、電極6が形成されている。ここで、給電部分とは、半導体基板上において、電極パッドを通して、外部配線から給電が行われる部分を意味する。例えば、半導体素子の活性領域である主セルや、主セルの電流を検知するためのセンスセル等のコンタクト領域が、給電部分に該当する。
【0015】
電極パッド4は、図1および図2に示すように、半導体装置10の最表面に露出している。電極パッド4は、絶縁膜3を貫通して給電部分2に電気的に接続している。電極パッド4は、給電部分2の上方に位置する基板接続領域41、外部配線(ワイヤ)と接続する外部配線接続領域43、基板接続領域41と外部配線接続領域43との間に設けられた抵抗調整領域45とを備えている。図2に示すように、抵抗調整領域45および外部配線接続領域43は、絶縁膜3の上方となる位置に設けられている。絶縁膜3は、抵抗調整領域45を越えて基板接続領域41の一部まで延びており、給電部分2に接していない。電極パッド4の材料としては、例えばアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の導電材を用いることができる。
【0016】
図1に示すように、本実施例の電極パッド4には、複数の導電部451からなる抵抗調整領域45が設けられている。複数の導電部451は、基板接続領域41から外部配線接続領域43に向けて延びている。隣接する複数の導電部451の間には、孔部452が設けられている。孔部452は、抵抗調整領域45の非導電部として機能する。なお、孔部452が設けられている位置には、非導電性の材料を充填してもよい。
【0017】
複数の導電部451は、図1および図2に示す長さL、幅W、厚さDが等しくなるように形成されている。複数の導電部451のうち、いくつかの導電部451をトリミングにより切断することによって、抵抗調整領域45の抵抗値を調整することができる。例えば、図1に示すように、6本の導電部451が設けられている場合には、そのうちの1本をトリミングによって図3に示すように切断すれば、抵抗調整領域45の抵抗値が20%大きくなる。
【0018】
本実施例によれば、基板接続領域と、抵抗調整領域と、外部配線接続領域とが、1つの電極パッドに形成されている。このため、従来のように、半導体装置の給電部分と外部配線とを接続するための電極パッドと、トリミングによって抵抗を調整可能な電極パッドとをそれぞれ設ける必要がなく、抵抗調整領域を設置することによって半導体装置が大型化することを抑制できる。
【0019】
また、半導体装置の表面に露出した電極パッドに抵抗調整領域が設けられており、この抵抗調整領域に対してトリミングを行うことによって、電極パッドの基板接続領域と外部配線接続領域との間の抵抗値を調整することができる。このため、例えば半導体装置の電気特性の検査工程など、完成した半導体装置の検査工程においてトリミングを行うことが可能となる。半導体基板や電極層が絶縁膜で保護された状態になった後で、トリミングを行うことができるため、トリミングに起因する半導体装置の特性低下を防止することができる。トリミングを行う抵抗調整領域の下方となる位置には、絶縁膜が存在しており、絶縁膜は、抵抗調整領域を越えて基板接続領域の一部まで延びている。このため、抵抗調整領域に対してトリミングを行っても、その下方となる位置に設置された半導体基板等を損傷しにくい。
【0020】
上記の実施例では、電極パッド4の抵抗調整領域45に設けられた複数の導電部451は、全て同じ材料、同じ形状、同じ大きさであったが、材料、形状、大きさが異なる複数の導電部を組み合わせてもよい。これによって、抵抗値の異なる導電部の組合せを得ることができる。
【0021】
例えば、図4に示すように、長さおよび厚さは全て同じで、幅が異なる導電部453a〜導電部453dを組み合わせることができる。導電部453aの幅はWであり、導電部453bの幅はWであり、導電部453cの幅はWであり、導電部453dの幅はWであって、幅W〜Wの大きさは、W>W>W>Wである。図1と同様に、隣接する導電部の間には、孔部が設けられている。導電部453a〜導電部453dの厚さをDとすれば、導電部453a〜導電部453dを基板接続領域41から外部配線接続領域43に向かう方向に垂直な面で切断した断面積は、導電部453aではDW、導電部453bではDW、導電部453cではDW、導電部453dではDWとなり、DW>DW>DW>DWである。導電部453a〜導電部453dの長さは全てLであり、同一であるから、導電部453a〜導電部453dの抵抗値は、導電部453aが最も小さく、導電部453b、導電部453c、導電部453dの順に大きくなる。
【0022】
このように、導電部453a〜導電部453dはそれぞれ抵抗値が異なっているから、トリミングを行う導電部によって、抵抗調整領域45の抵抗値の増加量が異なる。抵抗値の異なる導電部453a〜導電部453dのうちから、適宜選択し、トリミングを実施することによって、抵抗調整領域45の抵抗値の増加量を調整することができる。
【0023】
同様に、導電部の長さおよび幅は全て同じで、厚さを変えることによっても、抵抗値の異なる導電部の組合せを得ることができる。図5は変形例に係る電極パッド4の平面図であり、図6は、図5のVI−VI線断面から矢印方向に見た図である。図5および図6に示すように、長さおよび幅は全て同じで、厚さが異なる導電部454a〜導電部454cを用いることによって、上記と同様に、基板接続領域41から外部配線接続領域43に向かう方向に垂直な面で切断した断面積がそれぞれ異なる導電部454a〜導電部454cを得ることができる。尚、図1と同様に、隣接する導電部の間には、孔部が設けられている。図5に示すように、導電部454aの厚さはDであり、導電部454bの厚さはDであり、導電部454cの厚さはDであって、厚さD〜Dの大きさは、D>D>Dである。基板接続領域41から外部配線接続領域43に向かう方向に垂直な面で切断した断面積は、導電部454aが最も大きく、導電部454b、導電部454cの順に小さくなる。このため、導電部454a〜導電部454cの抵抗値は、それぞれ異なり、導電部454aが最も小さく、導電部454b、導電部454cの順に大きくなる。抵抗値の異なる導電部454a〜導電部454cのうちから、適宜選択し、トリミングを実施することによって、抵抗調整領域45の抵抗値の増加量を調整することができる。
【0024】
導電部の幅Wおよび厚さDは全て同じで、長さを変えることによっても、抵抗値の異なる導電部の組合せを得ることができる。図7に示すように、幅および厚さは全て同じで、長さが異なる複数の導電部455a〜導電部455eと、複数の導電部455a〜455dのそれぞれが接続される定抵抗部47とを備えた抵抗調整領域45とすれば、導電部455a〜導電部455eの抵抗値をそれぞれ異ならせることができる。尚、図1と同様に、隣接する導電部の間には、孔部が設けられている。抵抗値の異なる導電部455a〜導電部455eのうちから、適宜選択し、トリミングを実施することによって、抵抗調整領域45の抵抗値の増加量を調整することができる。
【0025】
また、導電部の材質を変えることによって、抵抗値の異なる導電部の組合せを得ることもできる。図8に示す導電部456aは、比較的抵抗の低い材料によって形成されている。導電部456bは、比較的抵抗の高い材料によって形成されている。図1と同様に、隣接する導電部の間には、孔部が設けられている。表1に、電極材料として用いられる代表的な金属の比抵抗を示す。比較的抵抗の低い材料としては、例えば、Al、Cuなどを好適に用いることができる。比較的抵抗の高い材料としては、例えば、プラチナ(Pt)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、クロム(Cr)などを好適に用いることができる。尚、図8においては、導電部456aと、電極パッド4の基板接続領域41および外部配線接続領域43は同じ材料を用いている。
【表1】

【0026】
導電部456aと導電部456bは、図1に示す導電部451と同様に同じ大きさ、同じ形状であるから、抵抗の高い材料で形成された導電部456bの抵抗値は、抵抗の低い材料で形成された導電部456aよりも高い。抵抗値の異なる導電部456a、導電部456bのうちから、適宜選択し、トリミングを実施することによって、抵抗調整領域45の抵抗値の増加量を調整することができる。
【0027】
尚、導電部に用いる金属材料は、2種類以上選んでもよい。例えば、表2に示す全ての金属材料について、それぞれ1つずつ導電部を設けてもよい。また、導電部に用いる材料と電極パッドの基板接続領域および外部配線接続領域に用いる材料が異なっていてもよい。
【0028】
次に、本実施例に係る半導体装置10の電極パッド4の製造工程について説明する。尚、半導体装置10のその他の製造工程(すなわち、電極パッド4以外の構造の製造工程)については、一般的な半導体装置の製造方法を利用することができるため、ここではその詳細な説明は省略する。本実施例に係る半導体装置10の電極パッド4は、レジストを用いた電極パターニング技術によって製造することができる。
【0029】
図1および図2に示す電極パッド4の製造工程の一例について説明する。まず、図9に示すように、半導体基板1上に、絶縁膜3を形成し、給電部分2の上方に位置する絶縁膜3をエッチングによって除去する。次に、図10に示すように、半導体基板1および絶縁膜3の表面に、電極パッド34を形成する。
【0030】
次に、図11および図12に示すように、電極パッド34の表面にレジスト35を形成する。図11は図10に対してレジスト35を積層した状態を示す図であり、図12は図11の状態での平面図である。図11は図12のXI−XI線断面図に相当する。レジスト35は、図1に示す電極パッド4の形状に合わせてパターニングされている。すなわち、レジスト35には開口部351が設けられる。開口部351の位置は、図1に示す孔部452の位置に対応している。
【0031】
次に、RIE(Reactive Ion Etching)法等によって、レジスト35の開口部351に位置する電極パッド34の一部分をエッチングによって除去する。エッチング終了後、レジストを除去する。このように電極パッド34をパターニングすることによって、図1および図2に示す電極パッド4を製造することができる。
【0032】
図4〜図7に示す電極パッド4についても、上記の方法を用いて製造することができる。図4〜図7に示す電極パッド4は、図11および図12に示すレジスト35を図4〜図7に合わせてパターニングすることによって製造することができる。図5および図6に示す厚さの異なる導電部454a〜454cを有する電極パッド4は、例えば、適宜パターニングしたレジストを用いて図10〜図12に示す製造工程を3回繰返すことによって製造することができる。
【0033】
また、図8に示すような異なる材料の導電部456aと導電部456bを備えた電極パッド4は、リフトオフ法によって製造することができる。リフトオフ法では、図9に示す状態(絶縁膜3の一部を除去した状態)とした後、図13および図14に示すように、半導体基板1および絶縁膜3の表面にレジスト36を形成する工程を行う。図13は図9に対してレジスト36を積層した状態を示す図であり、図14は図13の状態での平面図である。図13は図14のXIII−XIII線断面図に相当する。レジスト36には、開口部361が設けられている。開口部361の位置は、図8に示す比較的抵抗の高い材料を用いた導電部456bの位置に対応している。
【0034】
次に、図15に示すように、導電部456bに用いる材料によって導電膜38を形成し、その後、レジスト36を除去する。これにより、図16に示すように、導電部456bの位置の導電膜38のみが残る。次に、図17および図18に示すように、レジスト37を形成する。図17は図16に対してレジスト37を積層した状態を示す図であり、図18は図17の状態での平面図である。図17は図18のXVII−XVII線断面図に相当する。レジスト37は、図8に示す比較的抵抗の低い材料を用いた導電部456aと、電極パッド4の基板接続領域41と、外部配線接続領域43の位置を除いた部分に形成する。次に、図19に示すように、導電部456a等に用いる材料によって導電膜39を形成し、その後、レジストを除去する。このように電極パッド34をパターニングすることによって、図8に示す電極パッド4を製造することができる。
【0035】
上記のとおり、本実施例に係る電極パッドは、従来の半導体装置の製造工程に用いられている技術を応用して製造することができる。従来の半導体装置の製造工程を大幅に変更することなく製造できるため、製造工程での手間やコスト、時間を大幅に増大させることなく、製造することが可能である。
【0036】
また、本実施例では、トリミングによって抵抗を調整した後に、絶縁膜を形成する工程などを行う必要がないため、抵抗を調整した後に行う工程によって半導体装置の特性が再びばらついてしまうこともない。完成した半導体装置の特性に応じて抵抗値を調整できるため、半導体装置の特性をより適切に調整することができる。
【実施例2】
【0037】
実施例2に係る半導体装置20では、図20に示すように、電極パッド24は、基板接続領域41と外部配線接続領域43との間に設けられた抵抗調整領域55を備えている。なお、実施例1と共通の部分については重複説明を省略する。
【0038】
抵抗調整領域55は、基板接続領域41から外部配線接続領域43に向けてサーペンタイン状に蛇行した主導電部551と、主導電部551を短絡させる副導電部553aおよび副導電部553bとを備えている。
【0039】
副導電部553a、副導電部553bの少なくとも1つを切断することによって、抵抗調整領域55を流れる電流の経路が長くなるため、抵抗調整領域55の抵抗値を高くすることができる。
【0040】
尚、実施例2に係る半導体装置20の電極パッド24についても、実施例1において説明した電極パッド4の製造方法と同様の方法によって製造することができる。例えば、図11および図12に示すレジスト35を図20に合わせてパターニングすることによって製造することが可能である。
【0041】
上記のとおり、本発明に係る実施例1および実施例2によれば、基板接続領域と、抵抗調整領域と、外部配線接続領域とが、1つの電極パッドに形成されている。このため、従来のように、半導体装置の給電部分と外部配線とを接続するための電極パッドと、トリミングによって抵抗を調整可能な電極パッドとをそれぞれ設ける必要がなく、抵抗調整領域を設置することによって半導体装置が大型化することを抑制できる。
【0042】
また、上記の実施例1および実施例2によれば、半導体装置の表面に露出した電極パッドに抵抗調整領域が設けられており、この抵抗調整領域に対してトリミングを行うことによって、電極パッドの基板接続領域と外部配線接続領域との間の抵抗値を調整することができる。このため、例えば半導体装置の電気特性の検査工程など、完成した半導体装置の検査工程においてトリミングを行うことが可能となる。半導体基板や電極層が絶縁膜で保護された状態になった後で、トリミングを行うことができるため、トリミングに起因する半導体装置の特性低下を防止することができる。すなわち、トリミングを行う抵抗調整領域の下方となる位置には、絶縁膜が存在しており、絶縁膜は、抵抗調整領域から基板接続領域まで延びている。このため、抵抗調整領域に対してトリミングを行っても、その下方となる位置に設置された半導体基板等を損傷しにくい。
【0043】
また、トリミングによって抵抗を調整した後に、絶縁膜を形成する工程などを行う必要がないため、抵抗を調整した後に行う工程によって半導体装置の特性が再びばらついてしまうこともない。完成した半導体装置の特性に応じて抵抗値を調整できるため、半導体装置の特性をより適切に調整することができる。
【0044】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0045】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
1 半導体基板
2 給電部分
3 絶縁膜
4、24、34 電極パッド
6 電極層
10、20 半導体装置
35、36、37 レジスト
38、39 導電膜
41 基板接続領域
43 外部配線接続領域
45、55 抵抗調整領域
47 定抵抗部
351、361 開口部
451 導電部
452 孔部
453a〜453d 導電部
454a〜454c 導電部
455a〜455e 導電部
456a、457b 導電部
551 主導電部
553a、553b 副導電部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板の表面に設けられた絶縁膜と、前記半導体基板および前記絶縁膜の表面に設けられた電極パッドとを備えた半導体装置であって、
前記電極パッドは、前記絶縁膜を貫通して前記半導体基板と電気的に接続する基板接続領域と、外部配線がその表面に電気的に接続される外部配線接続領域と、前記基板接続領域と前記外部配線接続領域との間に設けられた抵抗調整領域とを備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記抵抗調整領域は、前記基板接続領域から前記外部配線接続領域に延びる複数の導電部を備えており、
前記複数の導電部の少なくとも1つが切断可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の導電部の少なくとも一つが、他の導電部とは抵抗が異なることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記抵抗調整領域は、前記基板接続領域と前記外部配線接続領域とを接続する主導電部と、前記主導電部を短絡させる複数の副導電部とを備えており、
前記複数の副導電部は、主導電部を異なる位置で短絡させるものであり、それら複数の副導電部の少なくとも1つが切断可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記主導電部は、サーペンタイン状に蛇行した導電部であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記抵抗調整領域が半導体装置の表面に露出していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−177226(P2010−177226A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14924(P2009−14924)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】