半導体装置
【課題】第1不純物領域−第2不純物領域間(たとえば、ソース−ドレイン間)の電位分布を均一にすることができる半導体装置を提供すること。
【解決手段】半導体装置1のLDMOSFET6において、エピタキシャル層3の表面におけるドレイン領域11とボディ領域7との間の部分に、ボディ領域7と間隔を空けてフィールド絶縁膜12を形成する。フィールド絶縁膜12上に、フローティングプレート17を、V1/D1=V2/D2を満たすように配置するとともに、各フローティングプレート17をそれぞれ一定電位に保持する。上記定義値は、V1:ドレインコンタクトプラグ23とフローティングプレート17との電位差、D1:ドレインコンタクトプラグ23とフローティングプレート17との間隔、V2:ゲート電極14とフローティングプレート17との電位差、D2:ゲート電極14とフローティングプレート17との間隔とする。
【解決手段】半導体装置1のLDMOSFET6において、エピタキシャル層3の表面におけるドレイン領域11とボディ領域7との間の部分に、ボディ領域7と間隔を空けてフィールド絶縁膜12を形成する。フィールド絶縁膜12上に、フローティングプレート17を、V1/D1=V2/D2を満たすように配置するとともに、各フローティングプレート17をそれぞれ一定電位に保持する。上記定義値は、V1:ドレインコンタクトプラグ23とフローティングプレート17との電位差、D1:ドレインコンタクトプラグ23とフローティングプレート17との間隔、V2:ゲート電極14とフローティングプレート17との電位差、D2:ゲート電極14とフローティングプレート17との間隔とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LDMOSFET(Lateral Double diffused Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーMOSFETに用いられる高耐圧素子として、LDMOSFETが知られている。
図4は、従来のLDMOSFETを備える半導体装置の模式的な断面図である。
半導体装置101は、シリコン基板102を備えている。シリコン基板102上には、N-型のエピタキシャル層103が積層されている。エピタキシャル層103の表面には、素子形成領域105を取り囲む環状の素子分離膜104が選択的に形成されている。
【0003】
素子形成領域105には、LDMOSFET106が形成されている。具体的には、素子形成領域105において、エピタキシャル層103には、素子分離膜104の周縁に沿う環状のボディ領域107がその全厚にわたって形成されている。ボディ領域107は、P型不純物を高濃度に含んだP型の半導体領域である。
エピタキシャル層103において、ボディ領域107に囲まれる部分は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、N-型のドリフト領域108をなしている。
【0004】
ボディ領域107の表層部には、ドリフト領域108と間隔を空けた位置に、N+型のソース領域109と、P+型のボディコンタクト領域110とが互いに隣接して形成されている。ドリフト領域108の表層部には、図4の左右方向略中央部に、N+型のドレイン領域111が形成されている。
ドリフト領域108の表面には、ドレイン領域111とボディ領域107との間の部分に、ボディ領域107と間隔を空けてフィールド酸化膜112が形成されている。
【0005】
エピタキシャル層103の表面には、ソース領域109とフィールド酸化膜112との間において、ボディ領域107およびドリフト領域108に跨るゲート酸化膜113が形成されている。ゲート酸化膜113上には、ゲート電極114が形成されている。ゲート電極114は、ゲート酸化膜113を介してボディ領域107およびドリフト領域108に対向している。
【0006】
フィールド酸化膜112上には、ゲート電極114と一体をなすフィールドプレート115が、フィールド酸化膜112の周縁部に乗り上がって形成されている。また、フィールド酸化膜112上には、フィールドプレート115から幅方向内側に間隔を空けた位置に、導電性材料からなる3つのフローティングプレート116が形成されている。3つのフローティングプレート116は、ドレイン領域111に接続されるドレイン配線121(後述)とゲート電極114との間を等間隔に分割するように配置されている。各フローティングプレート116は、フィールド酸化膜112を介して、ドリフト領域108に対向している。
【0007】
シリコン基板102上は、酸化シリコンからなる層間絶縁膜117で覆われている。層間絶縁膜117には、ソース領域109およびボディコンタクト領域110に臨むソースコンタクトホール118が貫通して形成されている。また、層間絶縁膜117には、ドレイン領域111に臨むドレインコンタクトホール119が貫通して形成されている。
層間絶縁膜117上には、ソース配線120およびドレイン配線121が形成されている。ソース配線120は、ソースコンタクトホール118を介して、ソース領域109およびボディコンタクト領域110に接続されている。ドレイン配線121は、ドレインコンタクトホール119を介して、ドレイン領域111に接続されている。また、ゲート電極114には、ゲート配線122が接続されている。
【0008】
ソース配線120を接地し、ドレイン配線121に正極性の電圧(ドレイン電圧)を印加しつつ、ゲート電極114の電位を制御することにより、ボディ領域107におけるゲート酸化膜113との界面近傍にチャネルを形成し、ドリフト領域108を介して、ソース領域109とドレイン領域111との間(ソース−ドレイン間)に電流を流すことができる。
【特許文献1】特開2005−5443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
LDMOSFETに代表される高耐圧素子では、ソース−ドレイン間に高電圧が印加されるため、耐圧を確保するための対策が必要である。
この対策として、半導体装置101では、フィールド酸化膜112上に、3つのフローティングプレート116を設けている。フローティングプレート116の設置により、フィールド酸化膜112上には、ドレイン配線121およびフローティングプレート116、互いに隣接する1対のフローティングプレート116、ならびにフローティングプレート116およびゲート電極114を、それぞれ対向電極とする4つのキャパシタ(互いに隣接する1対のフローティングプレート116を対向電極とするキャパシタについては2つ)が形成される。
【0010】
3つのフローティングプレート116を等間隔に配置することにより、各キャパシタの容量を等しくすることができ、各キャパシタの対向電極間に一様な電界を形成し、この電界の影響により、ドリフト領域108の電位分布を均一にすることができると考えられる。電位分布の均一化により、ソース−ドレイン間における局所的な電界集中を解消することができるので、素子耐圧の向上が期待される。
【0011】
しかし、フローティングプレート116が他から絶縁分離されたフローティング電極であり、また、高電圧の印加によりドリフト領域108内に高電界が生じている。そのため、フローティングプレート116を等間隔に設けただけでは、フローティングプレートの電位が安定せず、実際には各キャパシタの対向電極間の電界が一様とならず、ドリフト領域108内の電位分布を均一にすることができない。
【0012】
本発明の目的は、第1不純物領域−第2不純物領域間(たとえば、ソース−ドレイン間)の電位分布を均一にすることができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、第1導電型の半導体材料からなる半導体層と、前記半導体層の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域と、前記半導体層の表層部に前記第1不純物領域と間隔を空けて形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域と、前記半導体層の表面における前記第1不純物領域と前記ボディ領域との間の部分に、前記ボディ領域と間隔を空けて形成されたフィールド絶縁膜と、前記第2不純物領域と前記フィールド絶縁膜との間において、前記半導体層の表面上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、前記フィールド絶縁膜上に前記第1不純物領域および前記ゲート電極と間隔を空けて形成されたN(N≧1)個のフローティングプレートと、前記フローティングプレートに電圧を印加するための配線と、前記第1不純物領域に接続され、前記フィールド絶縁膜の表面に沿う方向に前記フローティングプレートに対向するコンタクト電極とを含み、前記N個のフローティングプレートは、V1/D1=V2/D2(V1:前記コンタクト電極と前記フローティングプレートとの電位差、D1:前記コンタクト電極と前記フローティングプレートとの間隔、V2:前記ゲート電極と前記フローティングプレートとの電位差、D2:前記ゲート電極と前記フローティングプレートとの間隔)を満たすように、前記フィールド絶縁膜上に配置されるとともに、それぞれ一定電位に保持される、半導体装置である。
【0014】
この構成によれば、半導体層の表層部には、第2導電型のボディ領域および半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域が、互いに間隔を空けて形成されている。ボディ領域の表層部には、半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域が形成されている。また、半導体層の表面における第1不純物領域とボディ領域との間の部分には、ボディ領域と間隔を空けてフィールド絶縁膜が形成されている。第2不純物領域とフィールド絶縁膜との間において、半導体層の表面上には、ゲート絶縁膜が形成されており、このゲート絶縁膜上にはゲート電極が形成されている。
【0015】
たとえば、第2不純物領域を接地し、第1不純物領域に正極性の電圧を印加しつつ、ゲート電極の電位を制御することにより、ボディ領域におけるゲート絶縁膜との界面近傍にチャネルを形成し、半導体層におけるボディ領域と第1不純物領域との間の部分を介して、第2不純物領域と第1不純物領域との間(第1不純物領域−第2不純物領域間)に電流を流すことができる。
【0016】
そして、請求項1に記載の半導体装置では、フィールド絶縁膜上に、第1不純物領域およびゲート電極と間隔を空けて、N(N≧1)個のフローティングプレートが設けられている。また、第1不純物領域にコンタクト電極が接続されており、このコンタクト電極は、フィールド絶縁膜の表面に沿ってフローティングプレートに対向している。これにより、フィールド絶縁膜上には、コンタクト電極およびフローティングプレート、ならびにフローティングプレートおよびゲート電極を、それぞれ対向電極とするキャパシタが少なくとも2つ形成される。
【0017】
フィールド絶縁膜上に形成される各キャパシタの対向電極間に生じる電界が一様であれば、半導体層における対向電極間下方の部分の電位分布を均一にすることができる。
そこで、請求項1に記載の半導体装置では、フローティングプレートは、V1/D1=V2/D2を満たすように、フィールド絶縁膜上に配置されるとともに、それぞれ一定電位に保持される。ただし、各定義値の内容は、以下の通りである。
【0018】
V1:コンタクト電極とフローティングプレートとの電位差
D1:コンタクト電極とフローティングプレートとの間隔
V2:ゲート電極とフローティングプレートとの電位差
D2:ゲート電極とフローティングプレートとの間隔
たとえば、N=1の場合、コンタクト電極とゲート電極との間隔をD3とし(つまり、D1+D2=D3)、上記条件式に基づき、フローティングプレートに関する上記定義値V1およびV2を求めると(ただし、コンタクト電極とゲート電極との電位差をVdとする。)、V1=D1Vd/D3、V2=D2Vd/D3が導かれる。
【0019】
すなわち、コンタクト電極およびフローティングプレート、ならびにフローティングプレートおよびゲート電極を、それぞれ対向電極とするキャパシタの対向電極間の電位差が、対向電極間の間隔D1およびD2に比例する電位差となる。そのため、各キャパシタの対向電極間に一様な電界を強制的に生じさせることができる。さらに、フローティングプレートの電位が一定電位に保持されるので、半導体層に生じる電界の影響を受けることなく、第1不純物領域−第2不純物領域間の電位分布を均一にすることができ、耐圧を向上させることができる。
【0020】
また、たとえば、N=2の場合、コンタクト電極と一方のフローティングプレート(コンタクト電極に近い側)との間隔をd1、一方のフローティングプレートと他方のフローティングプレートとの間隔をd2、他方のフローティングプレートとゲート電極との間隔をd3とする(つまり、D3=d1+d2+d3)。そして、上記条件式に基づき、一方のフローティングプレートに関する上記定義値V1およびV2を求めると、V1=d1Vd/D3、V2=(d2+d3)Vd/D3が導かれる。
【0021】
同様に、他方のフローティングプレートに関する上記定義値V1およびV2を求めると、V1=(d1+d2)Vd/D3、V2=d3Vd/D3が導かれる。
これにより、コンタクト電極および一方のフローティングプレート、一方のフローティングプレートおよび他方のフローティングプレート、ならびに他方のフローティングプレートおよびゲート電極を、それぞれ対向電極とする3つのキャパシタの対向電極間の電位差が、それぞれd1Vd/D3、d2Vd/D3およびd3Vd/D3と導かれる。
【0022】
すなわち、上記3つのキャパシタの対向電極間の電位差が、対向電極間のd1、d2およびd3に比例する電位差となる。そのため、各キャパシタの対向電極間に一様な電界を強制的に生じさせることができる。さらに、フローティングプレートの電位が一定電位に保持されるので、半導体層に生じる電界の影響を受けることなく、第1不純物領域−第2不純物領域間の電位分布を均一にすることができ、耐圧を向上させることができる。なお、N≧3の場合も、N=2の場合と同様に考えることができる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明は、前記フローティングプレートが設けられる領域と絶縁分離された領域に、互いに所定間隔を空けて配置された第1配線および第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との間を等間隔に分割するように配置された、前記フローティングプレートと同数の導電体とをさらに備え、前記第1配線には、前記コンタクト電極と同じ電圧が印加され、前記第2配線には、前記ゲート電極と同じ電圧が印加され、前記導電体は、前記第1配線側から順に、前記コンタクト電極側から順に並ぶ前記フローティングプレートに1対1で接続されている、請求項1に記載の半導体装置である。
【0024】
この構成によれば、フローティングプレートが設けられる領域と絶縁分離された領域において、第1配線と第2配線との間に、フローティングプレートと同数の導電体が設けられている。これにより、当該領域には、第1配線および導電体、ならびに導電体および第2配線を、それぞれ対向電極とするキャパシタが少なくとも2つ形成される。
さらに、導電体が第1配線と前記第2配線との間を等間隔に分割するように配置されていることから、上記キャパシタの対向電極間の距離を一定にすることができる。したがって、第1配線にコンタクト電極と同じ電圧が印加され、第2配線にゲート電極と同じ電圧が印加されると、2つ以上のキャパシタの対向電極間に均等な電位差が生じる。さらに、これらのキャパシタは、フローティングプレートが設けられる領域と絶縁分離された領域に形成されるので、半導体層内の電界の影響を受けない。したがって、対向電極間の電位が一定に保持される。
【0025】
そして、導電体が、第1配線側から順に、コンタクト電極側から順に並ぶフローティングプレートに1対1で接続されているため、互いに接続される導電体およびフローティングプレートの電位が同電位になる。その結果、フィールド絶縁膜上のキャパシタの対向電極間の電位を一定に保持することができる。
また、請求項3記載の発明は、前記フローティングプレートは、前記コンタクト電極と前記ゲート電極との間を等間隔に分割するように配置されている、請求項1または2に記載の半導体装置である。
【0026】
この構成によれば、フローティングプレートが、コンタクト電極とゲート電極との間を等間隔に分割するように配置されている。そのため、第1不純物領域−第2不純物領域間における電位分布の均一化の効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るLDMOSFETを備える半導体装置の模式的な平面図である。図2は、図1の半導体装置をII−IIで示す切断線で切断したときの断面図である。
半導体装置1は、シリコン基板2を備えている。シリコン基板2上には、N-型のエピタキシャル層3が積層されている。半導体層としてのエピタキシャル層3の表面には、素子形成領域5を取り囲む環状の素子分離膜4が選択的に形成されている。素子分離膜4は、たとえば、酸化シリコンからなり、たとえば、0.5〜1.5μmの厚さT1を有している。
【0028】
素子形成領域5には、LDMOSFET6が形成されている。具体的には、素子形成領域5には、図1および図2の左右方向をゲート長方向とするユニットセルが同方向に沿って複数並べられてなるLDMOSFET6が形成されている。
LDMOSFET6は、エピタキシャル層3において、P型のボディ領域7と、N-型のドリフト領域8とを備えている。
【0029】
ボディ領域7は、ユニットセルごとに環状に形成され、その厚さがエピタキシャル層3の表面からシリコン基板2の表面に至っている。つまり、ボディ領域7は、エピタキシャル層3の全厚にわたって形成されている。ボディ領域7は、たとえば、1E16〜1E17cm-3の不純物濃度を有している。
ドリフト領域8は、エピタキシャル層3においてエピタキシャル成長後のままの状態が維持された領域であって、ボディ領域7に囲まれている。ドリフト領域8は、たとえば、1E14〜1E16cm-3の不純物濃度を有している。
【0030】
ボディ領域7の表層部には、ドリフト領域8と間隔を空けた位置に、第2不純物領域としてのN+型のソース領域9と、P+型のボディコンタクト領域10とが互いに隣接して(接して)形成されている。ソース領域9の不純物濃度は、ドリフト領域8の不純物濃度よりも高く、たとえば、1E19〜1E20cm-3である。
ドリフト領域8の表層部には、ボディ領域7と間隔を空けた位置に、第1不純物領域としてのドレイン領域11が形成されている。ドレイン領域11は、ゲート長に沿う横方向(以下、この方向を単に「横方向」ということがある。)略中央部において、横方向に直交するゲート幅に沿う縦方向(以下、この方向を単に「縦方向」ということがある。)に直線状に延びている。ドレイン領域11の不純物濃度は、ドリフト領域8の不純物濃度よりも高く、たとえば、1E19〜1E20cm-3である。
【0031】
ドリフト領域8の表面には、ドレイン領域11とボディ領域7との間の部分に、ボディ領域7と間隔を空けてフィールド絶縁膜12が形成されている。フィールド絶縁膜12は、LDMOSFET6における各ユニットセルを他から絶縁分離するための酸化膜であって、たとえば、LOCOS法により形成される。また、フィールド絶縁膜12の厚さT2は、素子分離膜4の厚さT1と同じ厚さ(たとえば、0.5〜1.5μm)である。
【0032】
エピタキシャル層3の表面には、ソース領域9とフィールド絶縁膜12との間において、ボディ領域7およびドリフト領域8に跨るゲート絶縁膜13が形成されている。ゲート絶縁膜13は、たとえば、酸化シリコンからなる。
また、エピタキシャル層3上には、ゲート絶縁膜13およびフィールド絶縁膜12に跨るゲート電極14が形成されている。ゲート電極14は、ボディ領域7の周方向に沿う環状に形成され、電極部15と、フィールドプレート部16とを一体的に有している。
【0033】
電極部15は、ゲート絶縁膜13上に形成され、ゲート絶縁膜13を介してボディ領域7およびドリフト領域8に対向している。一方、フィールドプレート部16は、フィールド絶縁膜12の周縁部に乗り上がって形成されている。
フィールド絶縁膜12上には、3つのフローティングプレート17が、ゲート電極14と別体で形成されている。各フローティングプレート17は、ゲート電極14の外周よりも小さい外周を有し、それぞれ相似比の異なる相似形の環状に形成されている。つまり、各フローティングプレート17は、それぞれ大きさが異なっている。なお、本実施形態の説明において、大きさの異なるフローティングプレートを特に区別する場合に、最も大きいプレートから順に、第1フローティングプレート17a、第2フローティングプレート17bおよび第3フローティングプレート17cとすることがある。
【0034】
各フローティングプレート17の相似比は、基準となるフローティングプレート17とそれよりも一段大きいプレート(ゲート電極14を含む)との相似比が、基準となるフローティングプレート17とそれよりも一段小さいプレートとの相似比と同じになるように設定される。たとえば、ゲート電極14と第1フローティングプレート17aとの相似比が、第1フローティングプレート17aと第2フローティングプレート17bとの相似比と同じになるように設定される。なお、各フローティングプレート17の幅は、それぞれ同じである。
【0035】
そして、ゲート電極14に対する相似比の異なる3つのフローティングプレート17は、ゲート電極14とドレインコンタクトプラグ23(後述)との間を等間隔に分割するように配置されている。具体的には、より相似比の大きいフローティングプレート17が横方向外側(ゲート電極14に近い側)に位置するように、かつ、隣接するプレート(ゲート電極14およびドレインコンタクトプラグ23を含む)の間隔が一定間隔dとなるように配置されている。これにより、横方向におけるゲート電極14とドレインコンタクトプラグ23との間が一様に、等間隔に分割される。各フローティングプレート17は、フィールド絶縁膜12を介してドリフト領域8に対向している。
【0036】
エピタキシャル層3上は、酸化シリコンからなる層間絶縁膜18で覆われている。
層間絶縁膜18には、縦方向に沿うボディ領域7の直線部に対向する部分に、ソース領域9およびボディコンタクト領域10に臨むソースコンタクトホール19が貫通して形成されている。ソースコンタクトホール19は、縦方向に互いに間隔を空けて複数個形成されている。
【0037】
ソースコンタクトホール19には、ソースコンタクトプラグ20が埋設されている。そして、層間絶縁膜18上には、ソースコンタクトプラグ20を覆うように、ソース配線21が形成されている。ソース配線21は、ボディ領域7の周方向に沿う環状に形成され、互いに隣接するユニットセルのソース配線21と一体をなし、それらユニットセル間で共有されている。ソース配線21は、ソースコンタクトプラグ20を介して、ソース領域9およびボディコンタクト領域10に電気的に接続される。
【0038】
また、層間絶縁膜18には、ドレイン領域11に対向する部分に、ドレイン領域11に臨むドレインコンタクトホール22が貫通して形成されている。ドレインコンタクトホール22は、縦方向に互いに間隔を空けて複数個形成されている。
ドレインコンタクトホール22には、コンタクト電極としてのドレインコンタクトプラグ23が埋設されている。そして、層間絶縁膜18上には、ドレインコンタクトプラグ23を覆うように、ドレイン配線24が形成されている。ドレイン配線24は、ドレイン領域11に沿う縦方向直線状に形成され、各ユニットセルに個別に設けられている。ドレイン配線24は、ドレインコンタクトプラグ23を介して、ドレイン領域11に電気的に接続される。
【0039】
層間絶縁膜18には、縦方向に沿うゲート電極14の直線部に対向する部分に、ゲート電極14のフィールドプレート部16に臨むゲートコンタクトホール25が貫通して形成されている。ゲートコンタクトホール25は、縦方向に互いに間隔を空けて複数個形成されている。
ゲートコンタクトホール25には、ゲートコンタクトプラグ26が埋設されている。そして、層間絶縁膜18上には、ゲートコンタクトプラグ26を覆うように、ゲート配線27が形成されている。ゲート配線27は、ゲート電極14の周方向に沿う環状に形成され、各ユニットセルに個別に設けられている。ゲート配線27は、ゲートコンタクトプラグ26を介して、ゲート電極14に電気的に接続される。
【0040】
また、層間絶縁膜18には、各フローティングプレート17における縦方向に沿う直線部に対向する部分に、各フローティングプレート17に臨むプレートコンタクトホール28が貫通して形成されている。プレートコンタクトホール28は、縦方向に互いに間隔を空けて複数個形成されている。
プレートコンタクトホール28には、プレートコンタクトプラグ29が埋設されている。そして、層間絶縁膜18上には、プレートコンタクトプラグ29を覆うように、プレート配線30が形成されている。プレート配線30は、各フローティングプレート17の周方向に沿う環状に形成され、各フローティングプレート17a〜17cに対応して1つずつ設けられている。つまり、第1フローティングプレート17aに対応して第1プレート配線30aが設けられ、第2フローティングプレート17bに対応して第2プレート配線30bが設けられ、第3フローティングプレート17cに対応して第3プレート配線30cが設けられている。各プレート配線30は、互いに絶縁されている。プレート配線30は、プレートコンタクトプラグ29を介して、フローティングプレート17に電気的に接続される。また、同じ分類同士のプレート配線30a〜30cは、全てのユニットセル間において、図示しない位置において共通接続される。
【0041】
図3は、図1に示す半導体装置のフィールド領域の模式的な断面図である。
半導体装置1において、エピタキシャル層3上には、素子分離膜4により素子形成領域5と絶縁分離されたフィールド領域31が形成されている。
フィールド領域31において、層間絶縁膜18上には、ドレイン配線24に接続される第1配線32と、ゲート配線27に接続される第2配線33とが形成されている。第1配線32および第2配線33は、互いに所定の間隔を空けて配置されている。
【0042】
第1配線32と第2配線33との間には、3つの電位制御配線34が、これらの間を等間隔に分割するように形成されている。つまり、隣接する配線の間隔が一定間隔d2となるように配置されている。
導電体としての電位制御配線34は、各プレート配線30a〜30cに対応して1つずつ設けられている。つまり、第1プレート配線30aに対応して第1電位制御配線34aが設けられ、第2プレート配線30bに対応して第2電位制御配線34bが設けられ、第3プレート配線30cに対応して第3電位制御配線34cが設けられている。各電位制御配線34a〜34cは、各プレート配線30a〜30cに1対1で接続されている。
【0043】
そして、ソース配線21を接地し、ドレイン配線24に正極性の電圧(ドレイン電圧)を印加しつつ、ゲート電極14の電位を制御することにより、ボディ領域7におけるゲート絶縁膜13との界面近傍にチャネルを形成し、ドリフト領域8を介して、ソース領域9とドレイン領域11との間(ソース−ドレイン間)に電流を流すことができる。
以上のように、半導体装置1では、フィールド絶縁膜12上に、ゲート電極14と別体をなす3つのフローティングプレート17が設けられている。これにより、フィールド絶縁膜12上には、ゲート電極14および第1フローティングプレート17a、第1フローティングプレート17aおよび第2フローティングプレート17b、第2フローティングプレート17bおよび第3フローティングプレート17c、ならびに第3フローティングプレート17cおよびドレインコンタクトプラグ23を、それぞれ対向電極とする4つのキャパシタが形成される。
【0044】
フィールド絶縁膜12上に形成されるキャパシタの対向電極間に生じる電界が一様であれば、エピタキシャル層3(ドリフト領域8)における対向電極間下方の部分の電位分布を均一にすることができる。
そこで、半導体装置1では、3つのフローティングプレート17は、V1/D1=V2/D2を満たすように、フィールド絶縁膜12上に配置されるとともに、それぞれ一定電位に保持される。ただし、各定義値の内容は、以下の通りである。
【0045】
V1:ドレインコンタクトプラグ23と各フローティングプレート17との電位差
D1:ドレインコンタクトプラグ23と各フローティングプレート17との間隔
V2:ゲート電極14と各フローティングプレート17との電位差
D2:ゲート電極14と各フローティングプレート17との間隔
たとえば、第1フローティングプレート17aに関する上記定義値D1およびD2は、それぞれ、D1=3d、D2=dである。そして、上記条件式に基づき、第1フローティングプレート17に関する上記定義値V1およびV2を求めると(ただし、ゲート電極14とドレインコンタクトプラグ23との電位差をVdとする。)、V1=3Vd/4、V2=Vd/4が導かれる。
【0046】
同様に、第2フローティングプレート17bに関するV1およびV2を求めると、V1=2Vd/4、V2=2Vd/4となる。さらに、第3フローティングプレート17cに関するV1およびV2を求めると、V1=Vd/4、V2=3Vd/4が導かれる。
これにより、図2に示すように、上記4つのキャパシタの対向電極間の電位差がVd/4となる。
【0047】
そして、この実施形態では、図3に示すように、素子形成領域5と絶縁分離されたフィールド領域31において、層間絶縁膜18上に、3つの電位制御配線34が設けられている。これにより、層間絶縁膜18上には、第2配線33および第1電位制御配線34a、第1電位制御配線34aおよび第2電位制御配線34b、第2電位制御配線34bおよび第3電位制御配線34c、ならびに第3電位制御配線34cおよび第1配線32を、それぞれ対向電極とする4つのキャパシタが形成される。
【0048】
これらキャパシタにおいて、隣接する配線の間隔が一定間隔d2となるように配置されていることから、キャパシタの対向電極間の距離がd2で一定となる。したがって、ゲート電極14とドレインコンタクトプラグ23との間の電位差Vdに応じて、第2配線33と第1配線32との電位差がVdになると、4つのキャパシタの対向電極間に均等な電位差Vd/4が生じる。さらに、4つのキャパシタは、フィールド領域31に形成されるので、ドリフト領域8に発生する高電界の影響を受けない。したがって、対向電極間の電位が一定に保持される。
【0049】
そして、各電位制御配線34a〜34cが、各プレート配線30a〜30cに1対1で接続されていることにより、互いに接続される電位制御配線34およびフローティングプレート17の電位が同電位になる。そのため、フィールド絶縁膜12上のキャパシタの対向電極間の電位を一定電位Vd/4に保持することができる。
その結果、素子形成領域5において、各キャパシタの対向電極間に一様な電界を強制的に生じさせることができるので、ソース−ドレイン間における電位分布を均一にすることができる。つまり、ソース−ドレイン間における等電位線の間隔を等しくすることができる。よって、耐圧を向上させることができる。
【0050】
また、3つのフローティングプレート17が、ドレインコンタクトプラグ23とゲート電極14との間において、隣接するプレート(ゲート電極14およびドレインコンタクトプラグ23を含む)の間隔が一定間隔dとなるように配置されている。つまり、ゲート電極14とドレインコンタクトプラグ23との間を等間隔に分割するように配置されている。そのため、ソース−ドレイン間における電位分布の均一化の効果を向上させることができる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、フローティングプレート17は、ドレインコンタクトプラグ23とゲート電極14との間を、等間隔に分割するように配置されていなくてもよい。
また、フローティングプレート17の数は、1つや2つであってもよいし、4つ以上あってもよい。
【0052】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るLDMOSFETを備える半導体装置の模式的な平面図である。
【図2】図1の半導体装置をII−IIで示す切断線で切断したときの断面図である。
【図3】図1に示す半導体装置のフィールド領域の模式的な断面図である。
【図4】従来のLDMOSFETを備える半導体装置の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 半導体装置
3 エピタキシャル層(半導体層)
7 ボディ領域
9 ソース領域(第2不純物領域)
11 ドレイン領域(第1不純物領域)
12 フィールド絶縁膜
13 ゲート絶縁膜
14 ゲート電極
17 フローティングプレート
23 ドレインコンタクトプラグ(コンタクト電極)
30 プレート配線
31 フィールド領域
32 第1配線
33 第2配線
34 電位制御配線(導電体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、LDMOSFET(Lateral Double diffused Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーMOSFETに用いられる高耐圧素子として、LDMOSFETが知られている。
図4は、従来のLDMOSFETを備える半導体装置の模式的な断面図である。
半導体装置101は、シリコン基板102を備えている。シリコン基板102上には、N-型のエピタキシャル層103が積層されている。エピタキシャル層103の表面には、素子形成領域105を取り囲む環状の素子分離膜104が選択的に形成されている。
【0003】
素子形成領域105には、LDMOSFET106が形成されている。具体的には、素子形成領域105において、エピタキシャル層103には、素子分離膜104の周縁に沿う環状のボディ領域107がその全厚にわたって形成されている。ボディ領域107は、P型不純物を高濃度に含んだP型の半導体領域である。
エピタキシャル層103において、ボディ領域107に囲まれる部分は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、N-型のドリフト領域108をなしている。
【0004】
ボディ領域107の表層部には、ドリフト領域108と間隔を空けた位置に、N+型のソース領域109と、P+型のボディコンタクト領域110とが互いに隣接して形成されている。ドリフト領域108の表層部には、図4の左右方向略中央部に、N+型のドレイン領域111が形成されている。
ドリフト領域108の表面には、ドレイン領域111とボディ領域107との間の部分に、ボディ領域107と間隔を空けてフィールド酸化膜112が形成されている。
【0005】
エピタキシャル層103の表面には、ソース領域109とフィールド酸化膜112との間において、ボディ領域107およびドリフト領域108に跨るゲート酸化膜113が形成されている。ゲート酸化膜113上には、ゲート電極114が形成されている。ゲート電極114は、ゲート酸化膜113を介してボディ領域107およびドリフト領域108に対向している。
【0006】
フィールド酸化膜112上には、ゲート電極114と一体をなすフィールドプレート115が、フィールド酸化膜112の周縁部に乗り上がって形成されている。また、フィールド酸化膜112上には、フィールドプレート115から幅方向内側に間隔を空けた位置に、導電性材料からなる3つのフローティングプレート116が形成されている。3つのフローティングプレート116は、ドレイン領域111に接続されるドレイン配線121(後述)とゲート電極114との間を等間隔に分割するように配置されている。各フローティングプレート116は、フィールド酸化膜112を介して、ドリフト領域108に対向している。
【0007】
シリコン基板102上は、酸化シリコンからなる層間絶縁膜117で覆われている。層間絶縁膜117には、ソース領域109およびボディコンタクト領域110に臨むソースコンタクトホール118が貫通して形成されている。また、層間絶縁膜117には、ドレイン領域111に臨むドレインコンタクトホール119が貫通して形成されている。
層間絶縁膜117上には、ソース配線120およびドレイン配線121が形成されている。ソース配線120は、ソースコンタクトホール118を介して、ソース領域109およびボディコンタクト領域110に接続されている。ドレイン配線121は、ドレインコンタクトホール119を介して、ドレイン領域111に接続されている。また、ゲート電極114には、ゲート配線122が接続されている。
【0008】
ソース配線120を接地し、ドレイン配線121に正極性の電圧(ドレイン電圧)を印加しつつ、ゲート電極114の電位を制御することにより、ボディ領域107におけるゲート酸化膜113との界面近傍にチャネルを形成し、ドリフト領域108を介して、ソース領域109とドレイン領域111との間(ソース−ドレイン間)に電流を流すことができる。
【特許文献1】特開2005−5443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
LDMOSFETに代表される高耐圧素子では、ソース−ドレイン間に高電圧が印加されるため、耐圧を確保するための対策が必要である。
この対策として、半導体装置101では、フィールド酸化膜112上に、3つのフローティングプレート116を設けている。フローティングプレート116の設置により、フィールド酸化膜112上には、ドレイン配線121およびフローティングプレート116、互いに隣接する1対のフローティングプレート116、ならびにフローティングプレート116およびゲート電極114を、それぞれ対向電極とする4つのキャパシタ(互いに隣接する1対のフローティングプレート116を対向電極とするキャパシタについては2つ)が形成される。
【0010】
3つのフローティングプレート116を等間隔に配置することにより、各キャパシタの容量を等しくすることができ、各キャパシタの対向電極間に一様な電界を形成し、この電界の影響により、ドリフト領域108の電位分布を均一にすることができると考えられる。電位分布の均一化により、ソース−ドレイン間における局所的な電界集中を解消することができるので、素子耐圧の向上が期待される。
【0011】
しかし、フローティングプレート116が他から絶縁分離されたフローティング電極であり、また、高電圧の印加によりドリフト領域108内に高電界が生じている。そのため、フローティングプレート116を等間隔に設けただけでは、フローティングプレートの電位が安定せず、実際には各キャパシタの対向電極間の電界が一様とならず、ドリフト領域108内の電位分布を均一にすることができない。
【0012】
本発明の目的は、第1不純物領域−第2不純物領域間(たとえば、ソース−ドレイン間)の電位分布を均一にすることができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、第1導電型の半導体材料からなる半導体層と、前記半導体層の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域と、前記半導体層の表層部に前記第1不純物領域と間隔を空けて形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域と、前記半導体層の表面における前記第1不純物領域と前記ボディ領域との間の部分に、前記ボディ領域と間隔を空けて形成されたフィールド絶縁膜と、前記第2不純物領域と前記フィールド絶縁膜との間において、前記半導体層の表面上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、前記フィールド絶縁膜上に前記第1不純物領域および前記ゲート電極と間隔を空けて形成されたN(N≧1)個のフローティングプレートと、前記フローティングプレートに電圧を印加するための配線と、前記第1不純物領域に接続され、前記フィールド絶縁膜の表面に沿う方向に前記フローティングプレートに対向するコンタクト電極とを含み、前記N個のフローティングプレートは、V1/D1=V2/D2(V1:前記コンタクト電極と前記フローティングプレートとの電位差、D1:前記コンタクト電極と前記フローティングプレートとの間隔、V2:前記ゲート電極と前記フローティングプレートとの電位差、D2:前記ゲート電極と前記フローティングプレートとの間隔)を満たすように、前記フィールド絶縁膜上に配置されるとともに、それぞれ一定電位に保持される、半導体装置である。
【0014】
この構成によれば、半導体層の表層部には、第2導電型のボディ領域および半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域が、互いに間隔を空けて形成されている。ボディ領域の表層部には、半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域が形成されている。また、半導体層の表面における第1不純物領域とボディ領域との間の部分には、ボディ領域と間隔を空けてフィールド絶縁膜が形成されている。第2不純物領域とフィールド絶縁膜との間において、半導体層の表面上には、ゲート絶縁膜が形成されており、このゲート絶縁膜上にはゲート電極が形成されている。
【0015】
たとえば、第2不純物領域を接地し、第1不純物領域に正極性の電圧を印加しつつ、ゲート電極の電位を制御することにより、ボディ領域におけるゲート絶縁膜との界面近傍にチャネルを形成し、半導体層におけるボディ領域と第1不純物領域との間の部分を介して、第2不純物領域と第1不純物領域との間(第1不純物領域−第2不純物領域間)に電流を流すことができる。
【0016】
そして、請求項1に記載の半導体装置では、フィールド絶縁膜上に、第1不純物領域およびゲート電極と間隔を空けて、N(N≧1)個のフローティングプレートが設けられている。また、第1不純物領域にコンタクト電極が接続されており、このコンタクト電極は、フィールド絶縁膜の表面に沿ってフローティングプレートに対向している。これにより、フィールド絶縁膜上には、コンタクト電極およびフローティングプレート、ならびにフローティングプレートおよびゲート電極を、それぞれ対向電極とするキャパシタが少なくとも2つ形成される。
【0017】
フィールド絶縁膜上に形成される各キャパシタの対向電極間に生じる電界が一様であれば、半導体層における対向電極間下方の部分の電位分布を均一にすることができる。
そこで、請求項1に記載の半導体装置では、フローティングプレートは、V1/D1=V2/D2を満たすように、フィールド絶縁膜上に配置されるとともに、それぞれ一定電位に保持される。ただし、各定義値の内容は、以下の通りである。
【0018】
V1:コンタクト電極とフローティングプレートとの電位差
D1:コンタクト電極とフローティングプレートとの間隔
V2:ゲート電極とフローティングプレートとの電位差
D2:ゲート電極とフローティングプレートとの間隔
たとえば、N=1の場合、コンタクト電極とゲート電極との間隔をD3とし(つまり、D1+D2=D3)、上記条件式に基づき、フローティングプレートに関する上記定義値V1およびV2を求めると(ただし、コンタクト電極とゲート電極との電位差をVdとする。)、V1=D1Vd/D3、V2=D2Vd/D3が導かれる。
【0019】
すなわち、コンタクト電極およびフローティングプレート、ならびにフローティングプレートおよびゲート電極を、それぞれ対向電極とするキャパシタの対向電極間の電位差が、対向電極間の間隔D1およびD2に比例する電位差となる。そのため、各キャパシタの対向電極間に一様な電界を強制的に生じさせることができる。さらに、フローティングプレートの電位が一定電位に保持されるので、半導体層に生じる電界の影響を受けることなく、第1不純物領域−第2不純物領域間の電位分布を均一にすることができ、耐圧を向上させることができる。
【0020】
また、たとえば、N=2の場合、コンタクト電極と一方のフローティングプレート(コンタクト電極に近い側)との間隔をd1、一方のフローティングプレートと他方のフローティングプレートとの間隔をd2、他方のフローティングプレートとゲート電極との間隔をd3とする(つまり、D3=d1+d2+d3)。そして、上記条件式に基づき、一方のフローティングプレートに関する上記定義値V1およびV2を求めると、V1=d1Vd/D3、V2=(d2+d3)Vd/D3が導かれる。
【0021】
同様に、他方のフローティングプレートに関する上記定義値V1およびV2を求めると、V1=(d1+d2)Vd/D3、V2=d3Vd/D3が導かれる。
これにより、コンタクト電極および一方のフローティングプレート、一方のフローティングプレートおよび他方のフローティングプレート、ならびに他方のフローティングプレートおよびゲート電極を、それぞれ対向電極とする3つのキャパシタの対向電極間の電位差が、それぞれd1Vd/D3、d2Vd/D3およびd3Vd/D3と導かれる。
【0022】
すなわち、上記3つのキャパシタの対向電極間の電位差が、対向電極間のd1、d2およびd3に比例する電位差となる。そのため、各キャパシタの対向電極間に一様な電界を強制的に生じさせることができる。さらに、フローティングプレートの電位が一定電位に保持されるので、半導体層に生じる電界の影響を受けることなく、第1不純物領域−第2不純物領域間の電位分布を均一にすることができ、耐圧を向上させることができる。なお、N≧3の場合も、N=2の場合と同様に考えることができる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明は、前記フローティングプレートが設けられる領域と絶縁分離された領域に、互いに所定間隔を空けて配置された第1配線および第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との間を等間隔に分割するように配置された、前記フローティングプレートと同数の導電体とをさらに備え、前記第1配線には、前記コンタクト電極と同じ電圧が印加され、前記第2配線には、前記ゲート電極と同じ電圧が印加され、前記導電体は、前記第1配線側から順に、前記コンタクト電極側から順に並ぶ前記フローティングプレートに1対1で接続されている、請求項1に記載の半導体装置である。
【0024】
この構成によれば、フローティングプレートが設けられる領域と絶縁分離された領域において、第1配線と第2配線との間に、フローティングプレートと同数の導電体が設けられている。これにより、当該領域には、第1配線および導電体、ならびに導電体および第2配線を、それぞれ対向電極とするキャパシタが少なくとも2つ形成される。
さらに、導電体が第1配線と前記第2配線との間を等間隔に分割するように配置されていることから、上記キャパシタの対向電極間の距離を一定にすることができる。したがって、第1配線にコンタクト電極と同じ電圧が印加され、第2配線にゲート電極と同じ電圧が印加されると、2つ以上のキャパシタの対向電極間に均等な電位差が生じる。さらに、これらのキャパシタは、フローティングプレートが設けられる領域と絶縁分離された領域に形成されるので、半導体層内の電界の影響を受けない。したがって、対向電極間の電位が一定に保持される。
【0025】
そして、導電体が、第1配線側から順に、コンタクト電極側から順に並ぶフローティングプレートに1対1で接続されているため、互いに接続される導電体およびフローティングプレートの電位が同電位になる。その結果、フィールド絶縁膜上のキャパシタの対向電極間の電位を一定に保持することができる。
また、請求項3記載の発明は、前記フローティングプレートは、前記コンタクト電極と前記ゲート電極との間を等間隔に分割するように配置されている、請求項1または2に記載の半導体装置である。
【0026】
この構成によれば、フローティングプレートが、コンタクト電極とゲート電極との間を等間隔に分割するように配置されている。そのため、第1不純物領域−第2不純物領域間における電位分布の均一化の効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るLDMOSFETを備える半導体装置の模式的な平面図である。図2は、図1の半導体装置をII−IIで示す切断線で切断したときの断面図である。
半導体装置1は、シリコン基板2を備えている。シリコン基板2上には、N-型のエピタキシャル層3が積層されている。半導体層としてのエピタキシャル層3の表面には、素子形成領域5を取り囲む環状の素子分離膜4が選択的に形成されている。素子分離膜4は、たとえば、酸化シリコンからなり、たとえば、0.5〜1.5μmの厚さT1を有している。
【0028】
素子形成領域5には、LDMOSFET6が形成されている。具体的には、素子形成領域5には、図1および図2の左右方向をゲート長方向とするユニットセルが同方向に沿って複数並べられてなるLDMOSFET6が形成されている。
LDMOSFET6は、エピタキシャル層3において、P型のボディ領域7と、N-型のドリフト領域8とを備えている。
【0029】
ボディ領域7は、ユニットセルごとに環状に形成され、その厚さがエピタキシャル層3の表面からシリコン基板2の表面に至っている。つまり、ボディ領域7は、エピタキシャル層3の全厚にわたって形成されている。ボディ領域7は、たとえば、1E16〜1E17cm-3の不純物濃度を有している。
ドリフト領域8は、エピタキシャル層3においてエピタキシャル成長後のままの状態が維持された領域であって、ボディ領域7に囲まれている。ドリフト領域8は、たとえば、1E14〜1E16cm-3の不純物濃度を有している。
【0030】
ボディ領域7の表層部には、ドリフト領域8と間隔を空けた位置に、第2不純物領域としてのN+型のソース領域9と、P+型のボディコンタクト領域10とが互いに隣接して(接して)形成されている。ソース領域9の不純物濃度は、ドリフト領域8の不純物濃度よりも高く、たとえば、1E19〜1E20cm-3である。
ドリフト領域8の表層部には、ボディ領域7と間隔を空けた位置に、第1不純物領域としてのドレイン領域11が形成されている。ドレイン領域11は、ゲート長に沿う横方向(以下、この方向を単に「横方向」ということがある。)略中央部において、横方向に直交するゲート幅に沿う縦方向(以下、この方向を単に「縦方向」ということがある。)に直線状に延びている。ドレイン領域11の不純物濃度は、ドリフト領域8の不純物濃度よりも高く、たとえば、1E19〜1E20cm-3である。
【0031】
ドリフト領域8の表面には、ドレイン領域11とボディ領域7との間の部分に、ボディ領域7と間隔を空けてフィールド絶縁膜12が形成されている。フィールド絶縁膜12は、LDMOSFET6における各ユニットセルを他から絶縁分離するための酸化膜であって、たとえば、LOCOS法により形成される。また、フィールド絶縁膜12の厚さT2は、素子分離膜4の厚さT1と同じ厚さ(たとえば、0.5〜1.5μm)である。
【0032】
エピタキシャル層3の表面には、ソース領域9とフィールド絶縁膜12との間において、ボディ領域7およびドリフト領域8に跨るゲート絶縁膜13が形成されている。ゲート絶縁膜13は、たとえば、酸化シリコンからなる。
また、エピタキシャル層3上には、ゲート絶縁膜13およびフィールド絶縁膜12に跨るゲート電極14が形成されている。ゲート電極14は、ボディ領域7の周方向に沿う環状に形成され、電極部15と、フィールドプレート部16とを一体的に有している。
【0033】
電極部15は、ゲート絶縁膜13上に形成され、ゲート絶縁膜13を介してボディ領域7およびドリフト領域8に対向している。一方、フィールドプレート部16は、フィールド絶縁膜12の周縁部に乗り上がって形成されている。
フィールド絶縁膜12上には、3つのフローティングプレート17が、ゲート電極14と別体で形成されている。各フローティングプレート17は、ゲート電極14の外周よりも小さい外周を有し、それぞれ相似比の異なる相似形の環状に形成されている。つまり、各フローティングプレート17は、それぞれ大きさが異なっている。なお、本実施形態の説明において、大きさの異なるフローティングプレートを特に区別する場合に、最も大きいプレートから順に、第1フローティングプレート17a、第2フローティングプレート17bおよび第3フローティングプレート17cとすることがある。
【0034】
各フローティングプレート17の相似比は、基準となるフローティングプレート17とそれよりも一段大きいプレート(ゲート電極14を含む)との相似比が、基準となるフローティングプレート17とそれよりも一段小さいプレートとの相似比と同じになるように設定される。たとえば、ゲート電極14と第1フローティングプレート17aとの相似比が、第1フローティングプレート17aと第2フローティングプレート17bとの相似比と同じになるように設定される。なお、各フローティングプレート17の幅は、それぞれ同じである。
【0035】
そして、ゲート電極14に対する相似比の異なる3つのフローティングプレート17は、ゲート電極14とドレインコンタクトプラグ23(後述)との間を等間隔に分割するように配置されている。具体的には、より相似比の大きいフローティングプレート17が横方向外側(ゲート電極14に近い側)に位置するように、かつ、隣接するプレート(ゲート電極14およびドレインコンタクトプラグ23を含む)の間隔が一定間隔dとなるように配置されている。これにより、横方向におけるゲート電極14とドレインコンタクトプラグ23との間が一様に、等間隔に分割される。各フローティングプレート17は、フィールド絶縁膜12を介してドリフト領域8に対向している。
【0036】
エピタキシャル層3上は、酸化シリコンからなる層間絶縁膜18で覆われている。
層間絶縁膜18には、縦方向に沿うボディ領域7の直線部に対向する部分に、ソース領域9およびボディコンタクト領域10に臨むソースコンタクトホール19が貫通して形成されている。ソースコンタクトホール19は、縦方向に互いに間隔を空けて複数個形成されている。
【0037】
ソースコンタクトホール19には、ソースコンタクトプラグ20が埋設されている。そして、層間絶縁膜18上には、ソースコンタクトプラグ20を覆うように、ソース配線21が形成されている。ソース配線21は、ボディ領域7の周方向に沿う環状に形成され、互いに隣接するユニットセルのソース配線21と一体をなし、それらユニットセル間で共有されている。ソース配線21は、ソースコンタクトプラグ20を介して、ソース領域9およびボディコンタクト領域10に電気的に接続される。
【0038】
また、層間絶縁膜18には、ドレイン領域11に対向する部分に、ドレイン領域11に臨むドレインコンタクトホール22が貫通して形成されている。ドレインコンタクトホール22は、縦方向に互いに間隔を空けて複数個形成されている。
ドレインコンタクトホール22には、コンタクト電極としてのドレインコンタクトプラグ23が埋設されている。そして、層間絶縁膜18上には、ドレインコンタクトプラグ23を覆うように、ドレイン配線24が形成されている。ドレイン配線24は、ドレイン領域11に沿う縦方向直線状に形成され、各ユニットセルに個別に設けられている。ドレイン配線24は、ドレインコンタクトプラグ23を介して、ドレイン領域11に電気的に接続される。
【0039】
層間絶縁膜18には、縦方向に沿うゲート電極14の直線部に対向する部分に、ゲート電極14のフィールドプレート部16に臨むゲートコンタクトホール25が貫通して形成されている。ゲートコンタクトホール25は、縦方向に互いに間隔を空けて複数個形成されている。
ゲートコンタクトホール25には、ゲートコンタクトプラグ26が埋設されている。そして、層間絶縁膜18上には、ゲートコンタクトプラグ26を覆うように、ゲート配線27が形成されている。ゲート配線27は、ゲート電極14の周方向に沿う環状に形成され、各ユニットセルに個別に設けられている。ゲート配線27は、ゲートコンタクトプラグ26を介して、ゲート電極14に電気的に接続される。
【0040】
また、層間絶縁膜18には、各フローティングプレート17における縦方向に沿う直線部に対向する部分に、各フローティングプレート17に臨むプレートコンタクトホール28が貫通して形成されている。プレートコンタクトホール28は、縦方向に互いに間隔を空けて複数個形成されている。
プレートコンタクトホール28には、プレートコンタクトプラグ29が埋設されている。そして、層間絶縁膜18上には、プレートコンタクトプラグ29を覆うように、プレート配線30が形成されている。プレート配線30は、各フローティングプレート17の周方向に沿う環状に形成され、各フローティングプレート17a〜17cに対応して1つずつ設けられている。つまり、第1フローティングプレート17aに対応して第1プレート配線30aが設けられ、第2フローティングプレート17bに対応して第2プレート配線30bが設けられ、第3フローティングプレート17cに対応して第3プレート配線30cが設けられている。各プレート配線30は、互いに絶縁されている。プレート配線30は、プレートコンタクトプラグ29を介して、フローティングプレート17に電気的に接続される。また、同じ分類同士のプレート配線30a〜30cは、全てのユニットセル間において、図示しない位置において共通接続される。
【0041】
図3は、図1に示す半導体装置のフィールド領域の模式的な断面図である。
半導体装置1において、エピタキシャル層3上には、素子分離膜4により素子形成領域5と絶縁分離されたフィールド領域31が形成されている。
フィールド領域31において、層間絶縁膜18上には、ドレイン配線24に接続される第1配線32と、ゲート配線27に接続される第2配線33とが形成されている。第1配線32および第2配線33は、互いに所定の間隔を空けて配置されている。
【0042】
第1配線32と第2配線33との間には、3つの電位制御配線34が、これらの間を等間隔に分割するように形成されている。つまり、隣接する配線の間隔が一定間隔d2となるように配置されている。
導電体としての電位制御配線34は、各プレート配線30a〜30cに対応して1つずつ設けられている。つまり、第1プレート配線30aに対応して第1電位制御配線34aが設けられ、第2プレート配線30bに対応して第2電位制御配線34bが設けられ、第3プレート配線30cに対応して第3電位制御配線34cが設けられている。各電位制御配線34a〜34cは、各プレート配線30a〜30cに1対1で接続されている。
【0043】
そして、ソース配線21を接地し、ドレイン配線24に正極性の電圧(ドレイン電圧)を印加しつつ、ゲート電極14の電位を制御することにより、ボディ領域7におけるゲート絶縁膜13との界面近傍にチャネルを形成し、ドリフト領域8を介して、ソース領域9とドレイン領域11との間(ソース−ドレイン間)に電流を流すことができる。
以上のように、半導体装置1では、フィールド絶縁膜12上に、ゲート電極14と別体をなす3つのフローティングプレート17が設けられている。これにより、フィールド絶縁膜12上には、ゲート電極14および第1フローティングプレート17a、第1フローティングプレート17aおよび第2フローティングプレート17b、第2フローティングプレート17bおよび第3フローティングプレート17c、ならびに第3フローティングプレート17cおよびドレインコンタクトプラグ23を、それぞれ対向電極とする4つのキャパシタが形成される。
【0044】
フィールド絶縁膜12上に形成されるキャパシタの対向電極間に生じる電界が一様であれば、エピタキシャル層3(ドリフト領域8)における対向電極間下方の部分の電位分布を均一にすることができる。
そこで、半導体装置1では、3つのフローティングプレート17は、V1/D1=V2/D2を満たすように、フィールド絶縁膜12上に配置されるとともに、それぞれ一定電位に保持される。ただし、各定義値の内容は、以下の通りである。
【0045】
V1:ドレインコンタクトプラグ23と各フローティングプレート17との電位差
D1:ドレインコンタクトプラグ23と各フローティングプレート17との間隔
V2:ゲート電極14と各フローティングプレート17との電位差
D2:ゲート電極14と各フローティングプレート17との間隔
たとえば、第1フローティングプレート17aに関する上記定義値D1およびD2は、それぞれ、D1=3d、D2=dである。そして、上記条件式に基づき、第1フローティングプレート17に関する上記定義値V1およびV2を求めると(ただし、ゲート電極14とドレインコンタクトプラグ23との電位差をVdとする。)、V1=3Vd/4、V2=Vd/4が導かれる。
【0046】
同様に、第2フローティングプレート17bに関するV1およびV2を求めると、V1=2Vd/4、V2=2Vd/4となる。さらに、第3フローティングプレート17cに関するV1およびV2を求めると、V1=Vd/4、V2=3Vd/4が導かれる。
これにより、図2に示すように、上記4つのキャパシタの対向電極間の電位差がVd/4となる。
【0047】
そして、この実施形態では、図3に示すように、素子形成領域5と絶縁分離されたフィールド領域31において、層間絶縁膜18上に、3つの電位制御配線34が設けられている。これにより、層間絶縁膜18上には、第2配線33および第1電位制御配線34a、第1電位制御配線34aおよび第2電位制御配線34b、第2電位制御配線34bおよび第3電位制御配線34c、ならびに第3電位制御配線34cおよび第1配線32を、それぞれ対向電極とする4つのキャパシタが形成される。
【0048】
これらキャパシタにおいて、隣接する配線の間隔が一定間隔d2となるように配置されていることから、キャパシタの対向電極間の距離がd2で一定となる。したがって、ゲート電極14とドレインコンタクトプラグ23との間の電位差Vdに応じて、第2配線33と第1配線32との電位差がVdになると、4つのキャパシタの対向電極間に均等な電位差Vd/4が生じる。さらに、4つのキャパシタは、フィールド領域31に形成されるので、ドリフト領域8に発生する高電界の影響を受けない。したがって、対向電極間の電位が一定に保持される。
【0049】
そして、各電位制御配線34a〜34cが、各プレート配線30a〜30cに1対1で接続されていることにより、互いに接続される電位制御配線34およびフローティングプレート17の電位が同電位になる。そのため、フィールド絶縁膜12上のキャパシタの対向電極間の電位を一定電位Vd/4に保持することができる。
その結果、素子形成領域5において、各キャパシタの対向電極間に一様な電界を強制的に生じさせることができるので、ソース−ドレイン間における電位分布を均一にすることができる。つまり、ソース−ドレイン間における等電位線の間隔を等しくすることができる。よって、耐圧を向上させることができる。
【0050】
また、3つのフローティングプレート17が、ドレインコンタクトプラグ23とゲート電極14との間において、隣接するプレート(ゲート電極14およびドレインコンタクトプラグ23を含む)の間隔が一定間隔dとなるように配置されている。つまり、ゲート電極14とドレインコンタクトプラグ23との間を等間隔に分割するように配置されている。そのため、ソース−ドレイン間における電位分布の均一化の効果を向上させることができる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、フローティングプレート17は、ドレインコンタクトプラグ23とゲート電極14との間を、等間隔に分割するように配置されていなくてもよい。
また、フローティングプレート17の数は、1つや2つであってもよいし、4つ以上あってもよい。
【0052】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るLDMOSFETを備える半導体装置の模式的な平面図である。
【図2】図1の半導体装置をII−IIで示す切断線で切断したときの断面図である。
【図3】図1に示す半導体装置のフィールド領域の模式的な断面図である。
【図4】従来のLDMOSFETを備える半導体装置の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 半導体装置
3 エピタキシャル層(半導体層)
7 ボディ領域
9 ソース領域(第2不純物領域)
11 ドレイン領域(第1不純物領域)
12 フィールド絶縁膜
13 ゲート絶縁膜
14 ゲート電極
17 フローティングプレート
23 ドレインコンタクトプラグ(コンタクト電極)
30 プレート配線
31 フィールド領域
32 第1配線
33 第2配線
34 電位制御配線(導電体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体材料からなる半導体層と、
前記半導体層の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域と、
前記半導体層の表層部に前記第1不純物領域と間隔を空けて形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域と、
前記半導体層の表面における前記第1不純物領域と前記ボディ領域との間の部分に、前記ボディ領域と間隔を空けて形成されたフィールド絶縁膜と、
前記第2不純物領域と前記フィールド絶縁膜との間において、前記半導体層の表面上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記フィールド絶縁膜上に前記第1不純物領域および前記ゲート電極と間隔を空けて形成されたN(N≧1)個のフローティングプレートと、
前記第1不純物領域に接続され、前記フィールド絶縁膜の表面に沿う方向に前記フローティングプレートに対向するコンタクト電極とを含み、
前記N個のフローティングプレートは、V1/D1=V2/D2(V1:前記コンタクト電極と前記フローティングプレートとの電位差、D1:前記コンタクト電極と前記フローティングプレートとの間隔、V2:前記ゲート電極と前記フローティングプレートとの電位差、D2:前記ゲート電極と前記フローティングプレートとの間隔)を満たすように、前記フィールド絶縁膜上に配置されるとともに、それぞれ一定電位に保持される、半導体装置。
【請求項2】
前記フローティングプレートが設けられる領域と絶縁分離された領域に、互いに所定間隔を空けて配置された第1配線および第2配線と、
前記第1配線と前記第2配線との間を等間隔に分割するように配置された、前記フローティングプレートと同数の導電体とをさらに備え、
前記第1配線には、前記コンタクト電極と同じ電圧が印加され、
前記第2配線には、前記ゲート電極と同じ電圧が印加され、
前記導電体は、前記第1配線側から順に、前記コンタクト電極側から順に並ぶ前記フローティングプレートに1対1で接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記フローティングプレートは、前記コンタクト電極と前記ゲート電極との間を等間隔に分割するように配置されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項1】
第1導電型の半導体材料からなる半導体層と、
前記半導体層の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域と、
前記半導体層の表層部に前記第1不純物領域と間隔を空けて形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域と、
前記半導体層の表面における前記第1不純物領域と前記ボディ領域との間の部分に、前記ボディ領域と間隔を空けて形成されたフィールド絶縁膜と、
前記第2不純物領域と前記フィールド絶縁膜との間において、前記半導体層の表面上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記フィールド絶縁膜上に前記第1不純物領域および前記ゲート電極と間隔を空けて形成されたN(N≧1)個のフローティングプレートと、
前記第1不純物領域に接続され、前記フィールド絶縁膜の表面に沿う方向に前記フローティングプレートに対向するコンタクト電極とを含み、
前記N個のフローティングプレートは、V1/D1=V2/D2(V1:前記コンタクト電極と前記フローティングプレートとの電位差、D1:前記コンタクト電極と前記フローティングプレートとの間隔、V2:前記ゲート電極と前記フローティングプレートとの電位差、D2:前記ゲート電極と前記フローティングプレートとの間隔)を満たすように、前記フィールド絶縁膜上に配置されるとともに、それぞれ一定電位に保持される、半導体装置。
【請求項2】
前記フローティングプレートが設けられる領域と絶縁分離された領域に、互いに所定間隔を空けて配置された第1配線および第2配線と、
前記第1配線と前記第2配線との間を等間隔に分割するように配置された、前記フローティングプレートと同数の導電体とをさらに備え、
前記第1配線には、前記コンタクト電極と同じ電圧が印加され、
前記第2配線には、前記ゲート電極と同じ電圧が印加され、
前記導電体は、前記第1配線側から順に、前記コンタクト電極側から順に並ぶ前記フローティングプレートに1対1で接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記フローティングプレートは、前記コンタクト電極と前記ゲート電極との間を等間隔に分割するように配置されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2010−80891(P2010−80891A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250779(P2008−250779)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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