説明

半導体装置

【課題】複数の電圧レベルの電源電圧が供給される入出力バッファ回路に対して、従来よりも少ない電源配線スペースで十分な電源供給を可能にする。
【解決手段】半導体装置3において、入出力バッファ回路BFは電圧レベルの変換を行なう。第1の電源配線HVLは、入出力バッファ回路BFの第1の回路部分HCと接続され、第1の回路部分HCに第1の電源電圧VCC1を供給する。第2の電源配線LVLは、入出力バッファ回路BFの第2の回路部分LCと接続され、第2の回路部分LCに第2の電源電圧VCC2を供給する。複数のスイッチ部SWは、第3の電源配線SVLに沿った複数箇所にそれぞれ設けられる。複数のスイッチ部SWの各々は、内部回路10から出力された制御信号に応じて、第1および第2の電源配線HVL,LVLのうち選択された一方の電源配線と第3の電源配線SVLとを接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板上に複数の半導体素子が集積された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路では、電源配線の電流供給能力が十分でないと電源電圧の低下によって回路の遅延時間が長くなり、その結果、回路が誤動作する場合がある。半導体集積回路の電流消費量は回路セルごとにさらには各回路セルの動作モードによって異なっているのが通常であるが、回路を確実に動作させるために、従来、最も電流消費量が多い回路セルおよび動作モードに合わせて電源配線の配線幅および配線数が決定されていた。このため、電源配線の占める面積が増大することになってしまい、チップ面積の増加を招いていた。半導体集積回路を確実に動作させるに必要な電源供給能力を確保しながらもチップ面積の増加を抑制する技術が、たとえば、以下の特許文献に開示されている。
【0003】
特開平6−151713号公報(特許文献1)は、データ記憶回路から複数のデータを読み出してデータ出力端子を介して外部に出力する半導体集積回路装置に関するものである。この装置において、データ記憶回路から読み出される複数のデータのうち1つのデータの論理レベルが切替わるとき、該データは電流供給能力が大きい第1の電源供給用配線から供給される電源でもってデータ出力端子に出力される。このとき、他のデータは電流供給能力が小さい第2の電源供給用配線によってそのデータレベルが保持される。このため、データの論理レベルの切替わり時に第1の電源供給用配線の電圧が変動したとしても、他のデータには影響を与えることがない。
【0004】
特開2008−277788号公報(特許文献2)に記載された半導体装置は、第1の方向に配線された複数の基本電源配線と、第1の方向とは交差する方向に配線された複数のローカル電源配線と、複数の通常電源スイッチセルと、複数の回路セルと、電源スイッチ付電源強化セルとを備える。複数の通常電源スイッチセルは、複数の基本電源配線と複数のローカル電源配線との交差点にそれぞれ対応して設けられ、それぞれ対応する基本電源配線とローカル電源配線とを接続する。複数の回路セルは、ローカル電源配線に接続される。電源スイッチ付電源強化セルは、複数の回路セルのうち消費電流が多い特定の回路セルに対応して設けられ、特定の回路セルが接続されるローカル電源配線に電源を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−151713号公報
【特許文献2】特開2008−277788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、半導体チップ内部の回路の電源電圧レベルと外部の電源電圧レベルが異なる場合には、半導体チップに設けられた入出力バッファ回路において入出力信号の電圧レベルの変換を行なう必要がある。この場合、入出力バッファ回路には、半導体チップ内部の回路で用いられる内部電源電圧と外部で用いられる外部電源電圧との両方が供給される。通常、外部にデータを出力する場合には外部電源電圧が供給される回路部分の消費電流のほうが、内部電源電圧が供給される回路部分の消費電流よりも多くなる。逆に外部からデータが入力される場合には、内部電源電圧が供給される回路部分の消費電流のほうが、外部電源電圧が供給される回路部分の消費電流よりも多くなる。
【0007】
上記のような構成の従来の入出力バッファ回路では、外部電源電圧を供給するための電源配線の幅をデータ出力時の消費電力に基づいて決定し、内部電源電圧を供給するための電源配線の幅をデータ入力時の消費電力に基づいて決定していたので、電源配線のためにかなりのレイアウト面積を要することになっていた。
【0008】
この発明は上記の課題を考慮してなされたものであり、その目的は、複数の電圧レベルの電源電圧が供給される入出力バッファ回路に対して、従来よりも少ない電源配線スペースで十分な電源供給を可能にする半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の実施の一形態による半導体装置は、内部回路と、入出力バッファ回路と、第1〜第3の電源配線と、複数のスイッチ部とを備える。入出力バッファ回路は、半導体装置の外部から入力された第1の電源電圧の電圧レベルの信号を第2の電源電圧の電圧レベルの信号に変換して内部回路に出力し、内部回路から受けた第2の電源電圧の電圧レベルの信号を第1の電源電圧の電圧レベルの信号に変換して半導体装置の外部に出力する。入出力バッファ回路は、第1の電源電圧で動作する第1の回路部分と、第2の電源電圧で動作する第2の回路部分とを含む。第1の電源配線は、第1の回路部分と接続され、第1の回路部分に第1の電源電圧を供給する。第2の電源配線は、第2の回路部分と接続され、第2の回路部分に第2の電源電圧を供給する。複数のスイッチ部は、第3の電源配線に沿った複数箇所にそれぞれ設けられる。複数のスイッチ部の各々は、内部回路から出力された制御信号に応じて、第1および第2の電源配線のうち選択された一方の電源配線と第3の電源配線とを接続する。
【発明の効果】
【0010】
上記の実施の形態によれば、第3の電源配線を第1の電源電圧の供給用と第2の電源電圧の供給用とに切替えて使用することができるので、入出力バッファ回路に対して、従来よりも少ない電源配線スペースで十分な電源供給が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の一形態による半導体装置3の構成を概念的に示すブロック図である。
【図2】図1の半導体装置3において、半導体基板SUBの端部と内部回路10との間の部分を拡大して模式的に示した平面図である。
【図3】図2の入出力バッファ回路BFの構成の一例を示す図である。
【図4】図1の半導体装置3の動作の一例を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0013】
[半導体装置の全体構成]
図1は、この発明の実施の一形態による半導体装置3の構成を概念的に示すブロック図である。
【0014】
図1を参照して、半導体装置3は、パッケージに収納されたLSI(Large Scale Integration)チップであって、プリント基板1上に実装される。プリント基板1には、半導体装置3の他にSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)装置2などが実装される。この実施の形態の例では、SDRAM装置2は、DDR(Double-Data-Rate)モードと呼ばれる高速なデータ転送機能を有しており、電源電圧VCC1(ここでは、1.8Vとする)で動作するものとする。一方、半導体装置3の内部回路10は、消費電力を低減するためにより低い電源電圧VCC2(ここでは、1.2Vとする)で動作するものとする。なお、SDRAM装置2は、半導体装置3との間でデータ転送を行なう回路の一例として示したものであり、この発明はSDRAM装置との間のデータ転送に限られるものでない。
【0015】
半導体装置3は、シリコンなどの半導体基板SUB上に形成される。図1に示すように、半導体装置3は、半導体基板SUBの端部付近に設けられた複数のパッドPD(PD1〜PD7)と、内部回路10と、パッドPDと内部回路10との間に設けられた複数の入出力バッファ回路BFおよび複数のスイッチ部SWとを含む。
【0016】
複数のパッドPDには、接地電圧GND(0V)を受けるためのパッドPD1と、電源電圧VCC1(1.8V)を受けるためのパッドPD2と、電源電圧VCC2(1.2V)を受けるためのパッドPD3と、SDRAM装置2との間でデータ信号の入出力を行なうためのパッドPD4〜PD7とが含まれる。
【0017】
内部回路10は、CPU(Central Processing Unit)11と、DMA(Direct Memory Access)コントローラ12と、SRAM(Static Random Access Memory)装置13と、メモリ制御回路20とを含む。これらの各要素は内部バス14を介して相互に接続される。SRAM装置13はCPU11の主記憶装置として用いられる。DMAコントローラ12は、SDRAM装置2と外部のSRAM装置13との間でCPU11を介さずに行なわれるデータ転送を制御する。
【0018】
メモリ制御回路20は、内部バス14と接続されるバスインターフェース回路23と、バスインターフェース回路23と接続されるデータ制御回路21およびI/O制御回路22とを含む。データ制御回路21は、CPU11およびDMAコントローラ12の指令に従って、SRAM装置13から外部のSDRAM装置2への書込データWDの転送、および外部のSDRAM装置2からSRAM装置13への読出データRDの転送を制御する。I/O制御回路22は、SRAM装置13と外部のSDRAM装置2との間でデータ転送を行なう際に、入出力バッファ回路BFおよび各スイッチ部SWを制御する。
【0019】
入出力バッファ回路BFは、インピーダンス変換、電圧レベルの変換、およびデジタル信号の整形などを行なう。図1の場合には、入出力バッファ回路BFは、外部のSDRAM装置2から対応のパッドPDを介して入力されたVCC1(1.8V)の電圧レベルの信号(読出データ信号RD)をVCC2(1.2V)の電圧レベルの信号に変換してデータ制御回路21に出力する。入出力バッファ回路BFは、さらに、データ制御回路21から出力されたVCC2(1.2V)の電圧レベルの信号(書込データ信号WD)をVCC1(1.8V)の電圧レベルの信号に変換して対応のパッドPDを介して外部のSDRAM装置2へ出力する。
【0020】
上記の電圧レベルの変換を行なうために入出力バッファ回路BFには電源電圧VCC1(1.8V)および電源電圧VCC2(1.2V)の両方が供給される。図1において、電源電圧VCC1(1.8V)で動作する回路部分は半導体基板SUBの端部寄りの領域(破線24と破線25の間の領域)であり、電源電圧VCC2(1.2V)で動作する回路部分はそれより内側の領域(破線24の内側)である。
【0021】
半導体装置3とSDRAM装置2との間で書込データWDおよび読出データRDの転送が行なわれるとき入出力バッファ回路BFでの消費電流が増加する。したがって、入出力バッファ回路BFに電源電圧VCC1,VCC2を供給するための電源配線の電流供給能力が十分でないと、電源電圧の低下によって回路の遅延時間が長くなり、回路が誤動作するおそれがある。図1に示す半導体装置3では、従来よりも少ない電源配線スペースで十分な電源供給を可能にするために、スイッチ部SWによって一部の電源配線が電源電圧VCC1の供給用と電源電圧VCC2の供給用とに切替えられる。以下、詳しく説明する。
【0022】
[入出力バッファ回路BF用の電源配線とスイッチ部について]
図2は、図1の半導体装置3において、半導体基板SUBの端部と内部回路10との間の部分を拡大して模式的に示した平面図である。図2において、半導体基板の端部EGに沿った方向をX軸方向とし、端部EGに垂直な方向をY軸方向とする。
【0023】
図2を参照して、半導体装置3には、入出力バッファ回路BF用として、X軸方向に延在する電源配線HVL1,HVL2,SVL,LVL1,LVL2,LVL3と、X軸方向に延在する接地配線GL1,GL2とが設けられる。配線HVL1,HVL2,SVL,GL1,LVL1,LVL2,LVL3,GL2は、この順で半導体基板SUBの端部側から内部側に向かって配置される。
【0024】
電源配線HVL1,HVL2は電源電圧VCC1(1.8V)の供給用であり、半導体基板上の領域17において、パッドPD2からY軸方向に延在する配線72と接続される。電源配線HVL1,HVL2は、各入出力バッファ回路BF内の電源電圧VCC1で動作する回路部分HCと接続される。
【0025】
電源配線LVL1,LVL2,LVL3は電源電圧VCC2(1.2V)の供給用であり、半導体基板上の領域18において、パッドPD3からY軸方向に延在する配線73と接続される。電源配線LVL1〜LVL3は、各入出力バッファ回路BF内の電源電圧VCC2で動作する回路部分LCと接続される。
【0026】
接地配線GL1,GL2は、半導体基板上の領域16において、パッドPD1からY軸方向に延在する配線71と接続される。接地配線GL1,GL2は、各入出力バッファ回路BF内の回路部分HCおよびLCで共通に用いられる。
【0027】
スイッチ部SW(SW1,SW2)は、電源配線SVLに沿って複数個所に設けられる。各スイッチ部SWは、半導体スイッチ素子Q1,Q2を含む。半導体スイッチ素子Q1は、I/O制御回路22から出力された制御信号CTL1に応じて、電源配線SVLと電源配線HVL1,HVL2との間を導通状態または非導通状態に切替える。半導体スイッチ素子Q2は、I/O制御回路22から出力された制御信号CTL2に応じて、電源配線SVLと電源配線LVL1〜LVL3との間を導通状態または非導通状態に切替える。I/O制御回路22は、CPU11およびDMAコントローラ12の指令に従って制御信号CTL1,CTL2を出力する。これによって、電源電圧VCC1供給用の電源配線群HVL1,HVL2と電源電圧VCC2供給用の電源配線群LVL1〜LVL3とのうちで選択された一方の電源配線群が、電源配線SVLに接続される。
【0028】
通常、半導体装置3から外部のSDRAM装置2に書込データ信号WDを出力する場合には電源電圧VCC1(1.8V)が供給される回路部分HCの消費電流のほうが、電源電圧VCC2(1.2V)が供給される回路部分LCの消費電流よりも多くなる。逆に外部のSDRAM装置2から読出データ信号RDが半導体装置3に入力される場合には、電源電圧VCC2(1.2V)が供給される回路部分LCの消費電流のほうが、電源電圧VCC1(1.8V)が供給される回路部分HCの消費電流よりも多くなる。
【0029】
従来の入出力バッファ回路BFでは、電源電圧VCC1を入出力バッファ回路BFに供給するための電源配線の幅および本数をデータ出力時の消費電流に基づいて決定し、電源電圧VCC1を入出力バッファ回路BFに供給するための電源配線の幅および本数をデータ入力時の消費電流に基づいて決定していたので、電源配線のためにかなりのレイアウト面積を要することになっていた。
【0030】
この実施の形態による半導体装置3では、複数のスイッチ部SWを切替えることによって、SDRAM装置2に書込データ信号WDを出力する場合には電源配線SVLは電源電圧VCC1の供給用として用いられ、SDRAM装置2から読出データ信号RDの入力を受ける場合には電源配線SVLは電源電圧VCC2の供給用として用いられる。これによって、電源配線の電流供給能力を増加させることができるので、従来よりも少ない電源配線スペースで入出力バッファ回路BFに対して十分な電源供給が行なえる。
【0031】
[入出力バッファ回路BFの構成の一例]
図3は、図2の入出力バッファ回路BFの構成の一例を示す図である。図3を参照して、入出力バッファ回路BFは、レベルシフタ41〜44と、ESD(Electro-Static Discharge)保護回路30と、入力バッファ34と、出力バッファ60と、スリーステートバッファ50と、プリバッファ56,57とを含む。上記の構成要素のうちレベルシフタ41〜44の各一部が電源電圧VCC2(1.2V)で動作する回路部分LCであり、その他の部分が電源電圧VCC1(1.8V)で動作する回路部分HCである。
【0032】
レベルシフタ41,43,44は、図1のメモリ制御回路20から出力された電源電圧VCC2(1.2V)の電圧レベルの信号を、電源電圧VCC1(1.8V)の電圧レベルの信号に変換して出力する。レベルシフタ42は、入力バッファ34から受けた電源電圧VCC1(1.8V)の電圧レベルの信号を、電源電圧VCC2(1.2V)の電圧レベルの信号に変換して出力する。
【0033】
ESD保護回路30は、半導体装置3をパッドPDを介して入力される静電気から保護するための回路であり、抵抗素子33と、ダイオード31,32とを含む。抵抗素子33は、パッドPDと内部のノードNDとの間に接続され、ESDサージを減衰させる。ダイオード31は電源ノード(電源電圧VCC1を受ける)とパッドPDとの間に逆バイアス方向に接続され、ダイオード32は接地ノード(接地電圧GNDを受ける)との間に逆バイアス方向に接続される。これらのダイオード31,32は、高電圧のESDサージを電源配線およびグランド配線に流すために設けられる。
【0034】
入力バッファ34は、レベルシフタ41を介して図1のI/O制御回路22から受けた読出許可信号REがローレベル(Lレベル)のときアクティブ状態となる。入力バッファ34は、アクティブ状態のとき、パッドPDおよびノードNDを介して外部のSDRAM装置2から受けた読出データ信号RDをレベルシフタ42に出力する。入力バッファ34は、読出許可信号REがハイレベルのとき非アクティブ状態となって、その出力がハイ・インピーダンスとなる。
【0035】
出力バッファ60は、電源ノード(電源電圧VCC1を受ける)とノードNDとの間に接続されたPMOS(Positive-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ61と、接地ノード(接地電圧GNDを受ける)とノードNDとの間に接続されたNMOS(Negative-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ62とを含む。PMOSトランジスタ61とNMOSトランジスタ62とはゲートに入力された信号に応じてオン状態またはオフ状態に切替わる。
【0036】
スリーステートバッファ50は、NANDゲート51と、NORゲート52と、インバータ53〜55とを含む。NANDゲート51およびNORゲート52の各第1の入力ノードにはデータ制御回路21から出力された書込データ信号WDがレベルシフタ43を介して入力される。NANDゲート51の第2の入力ノードには、I/O制御回路22から出力された書込許可信号WEがレベルシフタ44およびインバータ53を介して入力される。NORゲート52の第2の入力ノードには、I/O制御回路22から出力された書込許可信号WEがレベルシフタ44を介して入力される。NANDゲート51の出力信号はインバータ54およびプリバッファ56を介して出力バッファ60を構成するPMOSトランジスタ61のゲートに入力される。NORゲート52の出力信号はインバータ55およびプリバッファ57を介して出力バッファ60を構成するNMOSトランジスタ62のゲートに入力される。
【0037】
上記の構成のスリーステートバッファ50によれば、書込許可信号WEがハイレベル(Hレベル)のとき、出力バッファ60を構成するPMOSトランジスタ61のゲートに入力される信号がHレベルとなり、NMOSトランジスタ62のゲートに入力される信号がLレベルとなるので、出力バッファ60の出力はハイ・インピーダンスとなる。書込許可信号WEがLレベルのとき、出力バッファ60はアクティブ状態となって書込データ信号WDに応じた論理レベルの信号を出力する。
【0038】
[半導体装置の動作の一例]
図4は、図1の半導体装置3の動作の一例を示すタイミング図である。
【0039】
図1、図2、図4を参照して、図4の時刻t1から時刻t3までが、図1のCPU11またはDMAコントローラ12から書込命令が出力された場合の動作を示し、時刻t4から時刻t6までが、CPU11またはDMAコントローラ12から読出命令が出力された場合の動作を示す。
【0040】
図4の時刻t2で、書込命令に応答して、I/O制御回路22は、制御信号CTL1をHレベルにし、制御信号CTL2をLレベルにする。これらの制御信号CTL1,CTL2に応答して、各スイッチ部SWの半導体スイッチ素子Q1がオン状態になり、半導体スイッチ素子Q2がオフ状態になる。これによって、図2の電源配線SVLは電源電圧VCC1(1.8V)を入出力バッファ回路BFに供給するために用いられる。さらに、I/O制御回路22は、書込許可信号WEをLレベルにすることによって出力バッファ60がアクティブ状態になり、出力バッファ60から書込データ信号WDが出力される。
【0041】
時刻t3で、I/O制御回路22は、書込許可信号WEをHレベルに戻すことによって出力バッファ60が非アクティブ状態になるので、出力バッファ60の出力はハイ・インピーダンス(High−Z)に戻る。
【0042】
時刻t5で、読出命令に応答して、I/O制御回路22は、制御信号CTL1をLレベルにし、制御信号CTL2をHレベルにする。これらの制御信号CTL1,CTL2に応答して、各スイッチ部SWの半導体スイッチ素子Q1がオフ状態になり、半導体スイッチ素子Q2がオン状態になる。これによって、図2の電源配線SVLは電源電圧VCC2(1.2V)を入出力バッファ回路BFに供給するために用いられる。さらに、I/O制御回路22は、読出許可信号REをLレベルにすることによって入力バッファ34がアクティブ状態になり、入力バッファ34から読出データ信号RDが出力される。
【0043】
時刻t6で、I/O制御回路22は、読出許可信号REをHレベルに戻すことによって入力バッファ34が非アクティブ状態になるので、入力バッファ34の出力はハイ・インピーダンス(High−Z)に戻る。
【0044】
[変形例]
上記の実施の形態では、図2に示す入出力バッファ回路BFには、電源配線SVLに直接接続される回路部分がないものとして説明した。電源配線SVLに直接接続される回路部分SCがある場合には、それらの回路部分SCと電源配線SVLとの間にスイッチを設ける必要がある。たとえば、回路部分SCが電源電圧VCC1(1.8V)で動作するものとすれば、電源配線SVLを電源電圧VCC2(1.2V)の供給用として用いる場合には、回路部分SCと電源配線SVLとの接続が切断され、回路部分SCに電源配線HVL1,HVL2から電源電圧VCC1が直接供給されるように接続が切替えられる。逆にそれらの回路部分SCが電源電圧VCC2(1.2V)で動作するものとすれば、電源配線SVLを電源電圧VCC1(1.8V)の供給用として用いる場合に、回路部分SCと電源配線SVLとの接続が切断され、回路部分SCに電源配線LVL1〜LVL3から電源電圧VCC2が直接供給されるように接続が切替えられる。
【0045】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
1 プリント基板、2 SDRAM装置、3 半導体装置、10 内部回路、11 CPU、12 DMAコントローラ、13 SRAM装置、14 内部バス、20 メモリ制御回路、21 データ制御回路、22 I/O制御回路、23 バスインターフェース回路、BF 入出力バッファ回路、EG 半導体基板の端部、GL1,GL2 接地配線、HC,LC 回路部分、HVL1,HVL2 電源配線、SVL 電源配線、LVL1〜LVL3 電源配線、PD(PD1〜PD7) パッド、Q1,Q2 半導体スイッチ素子、SUB 半導体基板、SW スイッチ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
内部回路と、
前記半導体装置の外部から入力された第1の電源電圧の電圧レベルの信号を第2の電源電圧の電圧レベルの信号に変換して前記内部回路に出力し、前記内部回路から受けた前記第2の電源電圧の電圧レベルの信号を前記第1の電源電圧の電圧レベルの信号に変換して前記半導体装置の外部に出力する入出力バッファ回路とを備え、
前記入出力バッファ回路は、
前記第1の電源電圧で動作する第1の回路部分と、
前記第2の電源電圧で動作する第2の回路部分とを含み、
前記半導体装置は、さらに、
前記第1の回路部分と接続され、前記第1の回路部分に前記第1の電源電圧を供給するための第1の電源配線と、
前記第2の回路部分と接続され、前記第2の回路部分に前記第2の電源電圧を供給するための第2の電源配線と、
第3の電源配線と、
前記第3の電源配線に沿った複数箇所にそれぞれ設けられた複数のスイッチ部とを備え、
前記複数のスイッチ部の各々は、前記内部回路から出力された制御信号に応じて、前記第1および第2の電源配線のうち選択された一方の電源配線と前記第3の電源配線とを接続する、半導体装置。
【請求項2】
前記半導体装置は基板上に形成され、
前記第1〜第3の電源配線は、それぞれ前記基板の端部に沿う方向に延在し、前記第1、第3および第2の電源配線の順番で前記基板の端部側から前記基板の内部側に向かって配置され、
前記内部回路は、前記第2の電源配線よりも前記基板の内部側に設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記内部回路は、前記第1の電源配線と前記第3の電源配線とを接続するように前記複数のスイッチ部の各々に対して前記制御信号を出力した後、前記入出力バッファ回路を介して前記半導体装置の外部に信号を出力し、
前記内部回路は、前記第2の電源配線と前記第3の電源配線とを接続するように前記複数のスイッチ部の各々に対して前記制御信号を出力した後、前記入出力バッファ回路を介して前記半導体装置の外部から信号を受け取る、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記内部回路は、前記第2の電源電圧で動作し、
前記入出力バッファ回路は、前記半導体装置の外部に設けられた前記第1の電源電圧で動作する回路との間で信号の入出力を行なう、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−129395(P2012−129395A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280413(P2010−280413)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】