半導体集積回路装置
【課題】SOI基板に形成されたMOSトランジスタを含む半導体集積回路装置において、半導体集積回路装置に入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、回路動作を安定させる。
【解決手段】MOSトランジスタM1〜M9は、シリコン基板、BOX酸化膜及びシリコン活性層を有するSOI基板に形成され、かつ、ソース拡散層の底部及びドレイン拡散層の底部がBOX酸化膜に到達して形成されている。エンハンスメント型PchMOSトランジスタM3,M4、M5,M7は、デプリーション型NchMOSトランジスタM10を介して、電源電圧が入力される電源端子VDDに接続されている。MOSトランジスタM10は、ソース、ゲート及びボディが結線されて定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。
【解決手段】MOSトランジスタM1〜M9は、シリコン基板、BOX酸化膜及びシリコン活性層を有するSOI基板に形成され、かつ、ソース拡散層の底部及びドレイン拡散層の底部がBOX酸化膜に到達して形成されている。エンハンスメント型PchMOSトランジスタM3,M4、M5,M7は、デプリーション型NchMOSトランジスタM10を介して、電源電圧が入力される電源端子VDDに接続されている。MOSトランジスタM10は、ソース、ゲート及びボディが結線されて定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置に関し、特にSOI(Silicon on Insulator)基板を用いた半導体集積回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit、集積回路)の省電力化を図るために、SOI基板を用いたMOS(metal oxide semiconductor)トランジスタが開発されている(例えば特許文献1,2を参照。)。SOI基板は、シリコン活性層に形成されるMOSトランジスタのソース及びドレインの底部がBOX酸化膜に到達して形成されていると、そのMOSトランジスタにおける接合容量を軽減できる。
【0003】
図7は、SOI基板に形成されたMOSトランジスタを示す概略的な断面図である。SOI基板内に形成されるMOSトランジスタは、電圧印加部分としてソース101、ドレイン103、ゲート105、ボディ107及びシリコン基板109の5端子をもつ。符号111はBOX酸化膜を示す。符号113は素子分離酸化膜を示す。符号115はゲート酸化膜を示す。ソース101、ドレイン103、ボディ107及び素子分離酸化膜113はSOI基板のシリコン活性層に形成されたものである。ソース101及びドレイン103の底部はBOX酸化膜111に接している。
【0004】
図8は、SOI基板に形成されたMOSトランジスタによって構成される集積回路の一例としての電源電圧監視用回路を示す回路図である。
エンハンスメント型のNch(Nチャネル)MOSトランジスタM1とデプリーション型のNchMOSトランジスタM2が設けられている。
【0005】
NchMOSトランジスタM1に関して、ドレインはPch(Pチャネル)MOSトランジスタM3を介して電源端子VDDに接続され、ソースとボディは接地端子GNDに接続され、ゲートは端子Vsenceと接地端子との間に直列に接続された抵抗R1,R2の間の端子に接続されている。端子Vsenceは電源電圧監視用回路の入力端子である。
NchMOSトランジスタM2に関して、ドレインはPchMOSトランジスタM4を介して電源端子VDDに接続され、ソースとボディとゲートは接地端子GNDに接続されている。
【0006】
PchMOSトランジスタM3,M4はともにエンハンスメント型である。PchMOSトランジスタM3,M4のゲート電極は互いに接続され、PchMOSトランジスタM4のドレインに接続されている。PchMOSトランジスタM3,M4のソースとボディは電源端子VDDに接続されている。PchMOSトランジスタM3,M4はカレントミラー回路を構成し、定電流負荷として機能する。MOSトランジスタM1,M2,M3,M4は差動増幅器OPA1を構成する。
【0007】
電源端子VDDと接地端子GNDとの間にPchMOSトランジスタM5とNchMOSトランジスタM6がその順に直列に接続されている。MOSトランジスタM5,M6は、ともにエンハンスメント型であり、インバータinv1を構成する。MOSトランジスタM5,M6のゲートは、MOSトランジスタM1とM3の間の端子に接続されている。
【0008】
電源端子VDDと接地端子GNDとの間にPchMOSトランジスタM7とNchMOSトランジスタM8がその順に直列に接続されている。MOSトランジスタM7,M8は、ともにエンハンスメント型であり、インバータinv2を構成する。MOSトランジスタM7,M8のゲートは、MOSトランジスタM5とM6の間の端子、すなわちインバータinv1の出力端子に接続されている。
【0009】
電源端子VDDと接地端子GNDとの間に抵抗R3とNchMOSトランジスタM9がその順に直列に接続されている。NchMOSトランジスタM9はエンハンスメント型である。NchMOSトランジスタM9のゲートは、MOSトランジスタM7とM8の間の端子、すなわちインバータinv2の出力端子に接続されている。NchMOSトランジスタM9のボディは接地端子GNDに接続されている。
抵抗R3とNchMOSトランジスタM9の間の端子に端子Vdetが接続されている。端子Vdetは電源電圧監視用回路の出力端子である。
【0010】
この電源電圧監視用回路は、監視の対象であって端子Vsenseに入力される電源電圧を抵抗R1と抵抗R2で分割した電圧を監視する。抵抗R1と抵抗R2で分割した電圧が、エンハンスメント型NchMOSトランジスタM1とデプリーション型NchMOSトランジスタM2で構成される基準電圧より低くなると、抵抗R3でプルアップされたNchMOSトランジスタM9がオンして端子Vdetから出力される信号が「High」から「Low」に切り替わる。これにより、電源電圧監視用回路は、端子Vsenseに入力される電源電圧の異常を知らせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明者はSOI基板に形成されたMOSトランジスタの電気的特性を調べた。NchMOSトランジスタについては、ゲート電圧及びドレイン電圧を5V(ボルト)に設定し、ソース電圧及びボディ電圧を接地電位に設定し、シリコン基板電圧を0V(接地電位)から−50Vの間で10V単位で変化させた。PchMOSトランジスタについては、ゲート電圧及びドレイン電圧を−5Vに設定し、ソース電圧及びボディ電圧を接地電位に設定し、シリコン基板電圧を0V(接地電位)から−50Vの間で10V単位で変化させた。
【0012】
図9はNchエンハンスメント型MOSトランジスタの電気的特性、図10はNchデプリーション型MOSトランジスタの電気的特性、図11はPchエンハンスメント型MOSトランジスタの電気的特性を示す。縦軸はドレイン電流(単位はA(アンペア))、横軸はシリコン基板電位(単位はV(ボルト))を示す。各MOSトランジスタについて、30℃、50℃、75℃、100℃、125℃の温度条件で測定を行なった。
【0013】
SOI基板に形成されたMOSトランジスタは、BOX酸化膜111の下層の支持基板であるシリコン基板109に印加する電圧を変化させると、ソース101とボディ107を同じ電位にして基板バイアス効果をなくして動作させているにもかかわらず、オン時の動作電流が変化することが判明した。シリコン基板109に印加される電圧が低いほど、NchMOSトランジスタは飽和電流が減少し、PchMOSトランジスタは飽和電流が増加した。これは、SOI基板のシリコン基板を接地電位に接続した状態で、そのSOI基板に形成されたMOSトランジスタをソースフォロア回路で使用すると、電源電圧が高くなるほど、NchMOSトランジスタは飽和電流が減少し、PchMOSトランジスタは飽和電流が増加することを意味する。また、PchMOSトランジスタはNchMOSトランジスタよりも電気的特性の変化が大きいことが判明した。
【0014】
SOI基板に形成されたMOSトランジスタのこのような電気的特性は集積回路において不具合を招くことがある。
例えば、図8に示した電源電圧監視用回路において、電源端子VDDに入力される電源電圧を大きくすると、PchMOSトランジスタM3,M4のソース電位がシリコン基板電位と離れていき、図11に示すようにPchMOSトランジスタM3,M4の飽和電流が増加し、ついにはPchMOSトランジスタM3,M4はデプリーション型NchMOSトランジスタM2の飽和電流をカレントミラーすることができなくなる。また、差動増幅回路OPA1の出力先のインバータinv1,inv2の閾値電圧が変化し、誤検知することも問題となる。
【0015】
SOI基板に形成されたMOSトランジスタの電気的特性の変化を緩和する方法として、SOI基板のBOX酸化膜を厚くし、また、SOI基板のシリコン層を厚くしてソース及びドレインの底部をBOX酸化膜まで届かせないようにすることが考えられる。
しかし、BOX酸化膜を厚くすると、シリコン基板のそりなどの製造方法の不具合が生じる。
また、シリコン層を厚くすると、ソース及びドレインの底部部分に接合容量が発生して接合容量が増加するので、接合容量を減少させて省電力化を図ることができない。
【0016】
本発明は、SOI基板に形成されたMOSトランジスタを含む半導体集積回路装置において、半導体集積回路装置に入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、回路動作を安定させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明にかかる半導体集積回路装置は、シリコン基板、BOX酸化膜及びシリコン活性層を有するSOI基板に形成された複数のMOSトランジスタを含む半導体集積回路装置である。上記MOSトランジスタは、ソース拡散層の底部及びドレイン拡散層の底部が上記BOX酸化膜に到達して形成されている。複数の上記MOSトランジスタとして、少なくともデプリーション型NchMOSトランジスタとエンハンスメント型PchMOSトランジスタが含まれている。上記エンハンスメント型PchMOSトランジスタは、上記デプリーション型NchMOSトランジスタを介して、電源電圧が入力される電源端子に接続されている。上記デプリーション型NchMOSトランジスタは、ソース、ゲート及びボディが結線されて定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。
【0018】
複数のエンハンスメント型PchMOSトランジスタを備えている場合、PchMOSトランジスタごとに定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタが配置されてもよいし、複数のPchMOSトランジスタで共通の定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタが配置されてもよい。
また、本発明の半導体集積回路装置に形成された回路には、定電流源として機能する定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタの他にデプリーション型NchMOSトランジスタを含んでいてもよいし、エンハンスメント型NchMOSトランジスタ、デプリーション型PchMOSトランジスタを含んでいてもよい。
【0019】
本発明の半導体集積回路装置において、上記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタは、上記ソース及び上記ゲートが結線され、上記ボディが接地電位に接続されるようにしてもよい。
【0020】
本発明の半導体集積回路装置の回路構成の一例は、上記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを電源として動作し、上記エンハンスメント型PchMOSトランジスタを含むレギュレータ回路を備えている。ただし、本発明の半導体集積回路装置の回路構成はこれに限定されない。本発明の半導体集積回路装置は、電源端子に接続されるエンハンスメント型PchMOSトランジスタを含む回路に対して、上記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを電源として配置するようにすれば、どのような回路にも適用することができる。例えば、本発明の半導体集積回路装置は、差動増幅回路やインバータ回路にも適用できる。
【0021】
上記レギュレータ回路の一例は、上記レギュレータ回路は、上記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタとは別途設けられたデプリーション型NchMOSトランジスタとエンハンスメント型NchMOSトランジスタが直列接続されてなる基準電圧発生回路と、一対の差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタ及び一対の能動負荷用エンハンスメント型NchMOSトランジスタを含む差動増幅回路と、出力を調整するドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタと、上記ドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタに直列接続された分割抵抗回路とを備え、一方の上記差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタのゲートに上記基準電圧発生回路の出力が接続され、他方の上記差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタのゲートに上記分割抵抗回路の出力が接続されており、上記基準電圧発生回路と上記差動増幅回路は別々の上記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを介して上記電源端子に接続されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の半導体集積回路装置では、エンハンスメント型PchMOSトランジスタはデプリーション型NchMOSトランジスタを介して電源端子に接続されているようにし、そのデプリーション型NchMOSトランジスタは、ソース、ゲート及びボディが結線されて定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっているようにしたので、電源端子に入力される電源電圧をデプリーション型NchMOSトランジスタによって降圧された電圧をPchMOSトランジスタに供給できる。PchMOSトランジスタを含む回路は定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタによって降圧された電圧で動作するので、本発明の半導体集積回路装置は、半導体集積回路装置に入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、回路動作を安定させることができる。さらに、回路で使用される電源電圧を下げることで省電力化にも貢献ができる。
【0023】
本発明の半導体集積回路装置において、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタの基板バイアス効果が少ない場合には、デプリーション型NchMOSトランジスタのソース及びゲートが結線され、ボディが接地電位に接続されるようにしても、同様の効果が得られる。
【0024】
本発明の半導体集積回路装置は、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを電源として動作し、上記エンハンスメント型PchMOSトランジスタを含むレギュレータ回路を備えているようにすれば、デプリーション型NchMOSトランジスタにより降圧した電源電圧でレギュレータ回路を安定動作させ、レギュレータ回路により安定した電源を同一SOI基板に形成された他の回路に供給できる。なお、上記他の回路を構成するMOSトランジスタは、レギュレータ回路、及び定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを介して電源端子に接続されることになる。
【0025】
上記レギュレータ回路の一例は、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタとは別途設けられたデプリーション型NchMOSトランジスタとエンハンスメント型NchMOSトランジスタが直列接続されてなる基準電圧発生回路と、一対の差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタ及び一対の能動負荷用エンハンスメント型NchMOSトランジスタを含む差動増幅回路と、出力を調整するドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタと、ドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタに直列接続された分割抵抗回路とを備え、基準電圧発生回路と差動増幅回路は別々の定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを介して上記電源端子に接続されているようにした。PchMOSトランジスタを含む差動増幅回路は、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを介して電源端子に接続されているので、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタによって降圧された電圧で動作する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図2】他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図3】さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図4】さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図5】さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図6】さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図7】SOI基板に形成されたMOSトランジスタを示す概略的な断面図である。
【図8】SOI基板に形成されたMOSトランジスタによって構成される集積回路の一例としての電源電圧監視用回路を示す回路図である。
【図9】SOI基板に形成されたNchエンハンスメント型MOSトランジスタについてシリコン基板電位を変化させたときの電気的特性を示す図である。
【図10】SOI基板に形成されたNchデプリーション型MOSトランジスタについてシリコン基板電位を変化させたときの電気的特性を示す図である。
【図11】SOI基板に形成されたPchエンハンスメント型MOSトランジスタについてシリコン基板電位を変化させたときの電気的特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、一実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。以下に説明する実施例はSOI基板に形成されている。また、SOI基板のシリコン活性層にMOSトランジスタのソース拡散層の底部及びドレイン拡散層の底部はBOX酸化膜に到達している。SOI基板の支持基板を構成するシリコン基板は接地電位に接続される。
【0028】
電源電圧監視用IC1は、電源端子VDD、接地端子GND、端子Vsense及び端子Vdetを備えている。電源端子VDDには電源が接続される。接地端子GNDは接地電位に接続される。端子Vsenseには監視すべき電源電圧が入力される。端子Vdetからは、端子Vsenseに入力される電源電圧が所定の電圧以上であるときには「High」レベルの信号、所定の電圧よりも低いときには「Low」レベルの信号が出力される。
【0029】
電源電圧監視用IC1は、MOSトランジスタM1,M2,M3,M4からなる差動増幅回路OPA1、MOSトランジスタM5,M6からなるインバータ回路inv1、MOSトランジスタM7,M8からなるインバータ回路inv2、トランジスタM9、及び抵抗R1,R2,R3を備えている。これらの構成は図8に示した電源電圧監視用回路と同じである。
【0030】
電源電圧監視用IC1は、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10をさらに備えている。MOSトランジスタM10は、ソース、ゲート及びボディが結線されて定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。MOSトランジスタM10は、差動増幅器OPA1及びインバータinv1,inv2と電源端子VDDとの間に設けられている。これにより、エンハンスメント型PchMOSトランジスタM3,M4,M5,M7は、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10を介して、電源端子VDDに接続されている。MOSトランジスタM10は、差動増幅器OPA1及びインバータinv1,inv2で消費される電流を流すことができるサイズを持っている。
【0031】
PchMOSトランジスタM3,M4,M5,M7を含む回路OPA1,inv1,inv2は定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10によって降圧された電圧で動作するので、電源電圧監視用IC1の電源端子VDDに入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、回路OPA1,inv1,inv2の回路動作を安定させることができる。さらに、回路OPA1,inv1,inv2で使用される電源電圧を下げることで省電力化にも貢献ができる。
【0032】
図2は、他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
この実施例では、図1に示した電源電圧監視用IC1と比較して、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10のボディが接地電位に接続される。図2で、便宜上、MOSトランジスタM10のボディは接地電位に接続された状態で図示されているが、実際にはMOSトランジスタM10のボディは接地端子GNDに接続されている。ボディが接地電位に接続される定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10も、定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。
【0033】
NchMOSトランジスタM10に関して、例えば、電源電圧が大きい時に、基板バイアス効果が大きいために負荷電流を通過できない場合には図1に示すようにボディとソース同じ電圧にし、基板バイアス効果が小さいために線形領域で動作する場合には図2に示すようにボディを接地電位にする。
【0034】
図1に示した実施例及び図2に示した実施例では、MOSトランジスタM9は抵抗R3を介して電源端子VDDに接続されているが、MOSトランジスタM9は抵抗R3及びMOSトランジスタM10を介して電源端子VDDに接続されているようにしてもよい。
【0035】
図3は、さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
この実施例は、図1に示した電源電圧監視用IC1と比較して、レギュレータ回路3をさらに備えている。レギュレータ回路3は、デプリーション型NchMOSトランジスタM11、エンハンスメント型NchMOSトランジスタM12、エンハンスメント型PchMOSトランジスタM13,M14、デプリーション型NchトランジスタM15、抵抗R4,R5を備えている。
【0036】
NchMOSトランジスタM11に関して、ドレインはPch(Pチャネル)MOSトランジスタM13のドレインに接続され、ソースとボディとゲートは接地端子GND(図では接地電位)に接続される。
端子GNDに接続され、
NchMOSトランジスタM12に関して、ドレインはPchMOSトランジスタM14のドレインに接続され、ソースとボディは接地端子GND(図では接地電位)に接続され、ゲートは直列に接続された抵抗R4とR5の間の端子に接続されている。
【0037】
PchMOSトランジスタM13,M14のゲート電極は互いに接続され、PchMOSトランジスタM13のドレインに接続されている。PchMOSトランジスタM13,M14のソースとボディは定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10のソースに接続されている。PchMOSトランジスタM13,M14はカレントミラー回路を構成し、定電流負荷として機能する。
【0038】
NchMOSトランジスタM15、抵抗R4,R5はその順に電源端子VDDと接地端子GND(図では接地電位)に直列に接続されている。NchMOSトランジスタM15はレギュレータ回路3の出力トランジスタを構成する。NchMOSトランジスタM15はデプリーション型であるが、これはレギュレータ回路3が動作していないときにも電源電圧を出力する必要があるためである。NchMOSトランジスタM15のゲートはPchMOSトランジスタM14のドレインに接続されている。抵抗R4,R5は分割抵抗回路を構成する。
【0039】
NchMOSトランジスタM15と抵抗R4の間の端子がレギュレータ回路3の出力となる。レギュレータ回路3は抵抗R4,R5で負帰還をかけて出力電圧を安定化する。レギュレータ回路3から出力された電圧は差動増幅回路OPA1、インバータinv1,inv2に供給される。
【0040】
レギュレータ回路3のPchMOSトランジスタM13,M14は定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10によって降圧された電圧で動作するので、電源電圧監視用IC1の電源端子VDDに入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、レギュレータ回路3の回路動作を安定させることができる。さらに、レギュレータ回路3及びその後段の回路OPA1,inv1,inv2で使用される電源電圧を下げることで省電力化にも貢献ができる。
【0041】
図4は、さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
この実施例は、図3に示した電源電圧監視用IC1と比較して、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10のボディが接地端子GND(図では設置電位)に接続されている。ボディが接地電位に接続される定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10も、定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。これにより、この実施例は、図3に示した実施例と同様の作用及び効果が得られる。
【0042】
図5は、さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
この実施例は、図1に示した電源電圧監視用IC1と比較して、レギュレータ回路5と定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM22をさらに備えている。レギュレータ回路5は、基準電圧発生回路Vref、差動増幅回路OPA3、デプリーション型NchトランジスタM15、抵抗R4,R5を備えている。デプリーション型NchトランジスタM15、抵抗R4,R5の構成は、図3、図4に示したレギュレータ回路3と同じである。
【0043】
基準電圧発生回路Vrefは直列接続されたデプリーション型NchMOSトランジスタM16とエンハンスメント型NchMOSトランジスタM17で構成されている。MOSトランジスタM16のソース、ゲート、ボディ及びMOSトランジスタM17のドレイン及びゲートは互いに接続されている。MOSトランジスタM16のドレインはMOSトランジスタM22を介して電源端子VDDに接続されている。MOSトランジスタM17のソース及びボディは接地端子GND(図では接地電位)に接続されている。MOSトランジスタM16とM17の間の電位が基準電圧発生回路Vrefの出力になる。
【0044】
基準電圧発生回路Vrefの定電流源として機能するデプリーション型NchMOSトランジスタM22に関して、ソース、ゲート及びボディはMOSトランジスタM16のドレインに接続され、ドレインは電源端子VDDに接続されている。MOSトランジスタM22は、基準電圧発生回路Vrefで消費される電流を流すことができるサイズを持ち、かつ、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。
【0045】
差動増幅回路OPA3は、差動入力用の一対のエンハンスメント型PchMOSトランジスタM18,M19と能動負荷用の一対のエンハンスメント型NchMOSトランジスタM20,M21によって構成されている。MOSトランジスタM18のゲートに基準電圧発生回路Vrefの出力が入力される。MOSトランジスタM19のゲートに帰還抵抗を構成する抵抗M4とM5の間の端子の電位が入力される。MOSトランジスタM19のドレインの電位が差動増幅回路OPA3の出力となる。差動増幅回路OPA3の出力はMOSトランジスタM15のゲートに入力される。差動増幅回路OPA3は定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10と接地端子GND(図では接地電位)の間に直列接続されている。
【0046】
レギュレータ回路5は、基準電圧発生回路Vrefからの基準電圧と、抵抗R4,R5の間の電圧を差動増幅回路OPA3で比較し、負帰還をかけて出力電圧を安定化する。出力された電圧は、差動増幅回路OPA1、インバータinv1,inv2に供給される。
【0047】
レギュレータ回路5は、一般的に定電流源としてPchMOSトランジスタを用いるが、上述のようにSOI基板に形成されたPchMOSトランジスタは電流変動が大きいので、電流変動が比較的少ないデプリーション型NchMOSトランジスタM10,M22を定電流源として使用したことを特徴としている。レギュレータ回路5のPchMOSトランジスタM18,M19は定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10によって降圧された電圧で動作するので、電源電圧監視用IC1の電源端子VDDに入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、レギュレータ回路5の回路動作を安定させることができる。さらに、レギュレータ回路5及びその後段の回路OPA1,inv1,inv2で使用される電源電圧を下げることで省電力化にも貢献ができる。
【0048】
図6は、さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
この実施例は、図5に示した電源電圧監視用IC1と比較して、デプリーション型NchMOSトランジスタM10,M15,M16,M22のボディが接地端子GND(図では設置電位)に接続されている。ボディが接地電位に接続される定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10,M22も、定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。これにより、この実施例は、図5に示した実施例と同様の作用及び効果が得られる。
【0049】
図5に示した実施例及び図6に示した実施例では、差動増幅回路OPA3と基準電圧発生回路Vrefに対して定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10,M22を設けているが、回路OPA3,Vrefで共通の定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを設けるようにしてもよい。
【0050】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本発明が適用される回路は、電源電圧監視用回路やレギュレータ回路に限定されるものではなく、SOI基板に形成された回路であって、PchMOSトランジスタを備えた回路であれば、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば電源電圧監視用IC、リチウムイオン電池保護IC、基準電圧IC、リアルタイムクロックなど、常時、動作している回路での低消費電力化が必要な半導体集積回路装置に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 電源電圧監視用IC
3,5 レギュレータ回路
M1,M6,M8,M9 エンハンスメント型NchMOSトランジスタ
M2 デプリーション型NchMOSトランジスタ
M3,M4,M5,M7 エンハンスメント型PchMOSトランジスタ
M10 定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタ
M11,M15,M16 デプリーション型NchMOSトランジスタ
M12,M17,M20,M21 エンハンスメント型NchMOSトランジスタ
M13,M14,M18,M19 エンハンスメント型PchMOSトランジスタ
M22 定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタ
R1,R2,R3,R4,R5 抵抗
VDD 電源端子
GND 接地端子
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2002−134752号公報
【特許文献2】特開2001−119031号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置に関し、特にSOI(Silicon on Insulator)基板を用いた半導体集積回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit、集積回路)の省電力化を図るために、SOI基板を用いたMOS(metal oxide semiconductor)トランジスタが開発されている(例えば特許文献1,2を参照。)。SOI基板は、シリコン活性層に形成されるMOSトランジスタのソース及びドレインの底部がBOX酸化膜に到達して形成されていると、そのMOSトランジスタにおける接合容量を軽減できる。
【0003】
図7は、SOI基板に形成されたMOSトランジスタを示す概略的な断面図である。SOI基板内に形成されるMOSトランジスタは、電圧印加部分としてソース101、ドレイン103、ゲート105、ボディ107及びシリコン基板109の5端子をもつ。符号111はBOX酸化膜を示す。符号113は素子分離酸化膜を示す。符号115はゲート酸化膜を示す。ソース101、ドレイン103、ボディ107及び素子分離酸化膜113はSOI基板のシリコン活性層に形成されたものである。ソース101及びドレイン103の底部はBOX酸化膜111に接している。
【0004】
図8は、SOI基板に形成されたMOSトランジスタによって構成される集積回路の一例としての電源電圧監視用回路を示す回路図である。
エンハンスメント型のNch(Nチャネル)MOSトランジスタM1とデプリーション型のNchMOSトランジスタM2が設けられている。
【0005】
NchMOSトランジスタM1に関して、ドレインはPch(Pチャネル)MOSトランジスタM3を介して電源端子VDDに接続され、ソースとボディは接地端子GNDに接続され、ゲートは端子Vsenceと接地端子との間に直列に接続された抵抗R1,R2の間の端子に接続されている。端子Vsenceは電源電圧監視用回路の入力端子である。
NchMOSトランジスタM2に関して、ドレインはPchMOSトランジスタM4を介して電源端子VDDに接続され、ソースとボディとゲートは接地端子GNDに接続されている。
【0006】
PchMOSトランジスタM3,M4はともにエンハンスメント型である。PchMOSトランジスタM3,M4のゲート電極は互いに接続され、PchMOSトランジスタM4のドレインに接続されている。PchMOSトランジスタM3,M4のソースとボディは電源端子VDDに接続されている。PchMOSトランジスタM3,M4はカレントミラー回路を構成し、定電流負荷として機能する。MOSトランジスタM1,M2,M3,M4は差動増幅器OPA1を構成する。
【0007】
電源端子VDDと接地端子GNDとの間にPchMOSトランジスタM5とNchMOSトランジスタM6がその順に直列に接続されている。MOSトランジスタM5,M6は、ともにエンハンスメント型であり、インバータinv1を構成する。MOSトランジスタM5,M6のゲートは、MOSトランジスタM1とM3の間の端子に接続されている。
【0008】
電源端子VDDと接地端子GNDとの間にPchMOSトランジスタM7とNchMOSトランジスタM8がその順に直列に接続されている。MOSトランジスタM7,M8は、ともにエンハンスメント型であり、インバータinv2を構成する。MOSトランジスタM7,M8のゲートは、MOSトランジスタM5とM6の間の端子、すなわちインバータinv1の出力端子に接続されている。
【0009】
電源端子VDDと接地端子GNDとの間に抵抗R3とNchMOSトランジスタM9がその順に直列に接続されている。NchMOSトランジスタM9はエンハンスメント型である。NchMOSトランジスタM9のゲートは、MOSトランジスタM7とM8の間の端子、すなわちインバータinv2の出力端子に接続されている。NchMOSトランジスタM9のボディは接地端子GNDに接続されている。
抵抗R3とNchMOSトランジスタM9の間の端子に端子Vdetが接続されている。端子Vdetは電源電圧監視用回路の出力端子である。
【0010】
この電源電圧監視用回路は、監視の対象であって端子Vsenseに入力される電源電圧を抵抗R1と抵抗R2で分割した電圧を監視する。抵抗R1と抵抗R2で分割した電圧が、エンハンスメント型NchMOSトランジスタM1とデプリーション型NchMOSトランジスタM2で構成される基準電圧より低くなると、抵抗R3でプルアップされたNchMOSトランジスタM9がオンして端子Vdetから出力される信号が「High」から「Low」に切り替わる。これにより、電源電圧監視用回路は、端子Vsenseに入力される電源電圧の異常を知らせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明者はSOI基板に形成されたMOSトランジスタの電気的特性を調べた。NchMOSトランジスタについては、ゲート電圧及びドレイン電圧を5V(ボルト)に設定し、ソース電圧及びボディ電圧を接地電位に設定し、シリコン基板電圧を0V(接地電位)から−50Vの間で10V単位で変化させた。PchMOSトランジスタについては、ゲート電圧及びドレイン電圧を−5Vに設定し、ソース電圧及びボディ電圧を接地電位に設定し、シリコン基板電圧を0V(接地電位)から−50Vの間で10V単位で変化させた。
【0012】
図9はNchエンハンスメント型MOSトランジスタの電気的特性、図10はNchデプリーション型MOSトランジスタの電気的特性、図11はPchエンハンスメント型MOSトランジスタの電気的特性を示す。縦軸はドレイン電流(単位はA(アンペア))、横軸はシリコン基板電位(単位はV(ボルト))を示す。各MOSトランジスタについて、30℃、50℃、75℃、100℃、125℃の温度条件で測定を行なった。
【0013】
SOI基板に形成されたMOSトランジスタは、BOX酸化膜111の下層の支持基板であるシリコン基板109に印加する電圧を変化させると、ソース101とボディ107を同じ電位にして基板バイアス効果をなくして動作させているにもかかわらず、オン時の動作電流が変化することが判明した。シリコン基板109に印加される電圧が低いほど、NchMOSトランジスタは飽和電流が減少し、PchMOSトランジスタは飽和電流が増加した。これは、SOI基板のシリコン基板を接地電位に接続した状態で、そのSOI基板に形成されたMOSトランジスタをソースフォロア回路で使用すると、電源電圧が高くなるほど、NchMOSトランジスタは飽和電流が減少し、PchMOSトランジスタは飽和電流が増加することを意味する。また、PchMOSトランジスタはNchMOSトランジスタよりも電気的特性の変化が大きいことが判明した。
【0014】
SOI基板に形成されたMOSトランジスタのこのような電気的特性は集積回路において不具合を招くことがある。
例えば、図8に示した電源電圧監視用回路において、電源端子VDDに入力される電源電圧を大きくすると、PchMOSトランジスタM3,M4のソース電位がシリコン基板電位と離れていき、図11に示すようにPchMOSトランジスタM3,M4の飽和電流が増加し、ついにはPchMOSトランジスタM3,M4はデプリーション型NchMOSトランジスタM2の飽和電流をカレントミラーすることができなくなる。また、差動増幅回路OPA1の出力先のインバータinv1,inv2の閾値電圧が変化し、誤検知することも問題となる。
【0015】
SOI基板に形成されたMOSトランジスタの電気的特性の変化を緩和する方法として、SOI基板のBOX酸化膜を厚くし、また、SOI基板のシリコン層を厚くしてソース及びドレインの底部をBOX酸化膜まで届かせないようにすることが考えられる。
しかし、BOX酸化膜を厚くすると、シリコン基板のそりなどの製造方法の不具合が生じる。
また、シリコン層を厚くすると、ソース及びドレインの底部部分に接合容量が発生して接合容量が増加するので、接合容量を減少させて省電力化を図ることができない。
【0016】
本発明は、SOI基板に形成されたMOSトランジスタを含む半導体集積回路装置において、半導体集積回路装置に入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、回路動作を安定させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明にかかる半導体集積回路装置は、シリコン基板、BOX酸化膜及びシリコン活性層を有するSOI基板に形成された複数のMOSトランジスタを含む半導体集積回路装置である。上記MOSトランジスタは、ソース拡散層の底部及びドレイン拡散層の底部が上記BOX酸化膜に到達して形成されている。複数の上記MOSトランジスタとして、少なくともデプリーション型NchMOSトランジスタとエンハンスメント型PchMOSトランジスタが含まれている。上記エンハンスメント型PchMOSトランジスタは、上記デプリーション型NchMOSトランジスタを介して、電源電圧が入力される電源端子に接続されている。上記デプリーション型NchMOSトランジスタは、ソース、ゲート及びボディが結線されて定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。
【0018】
複数のエンハンスメント型PchMOSトランジスタを備えている場合、PchMOSトランジスタごとに定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタが配置されてもよいし、複数のPchMOSトランジスタで共通の定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタが配置されてもよい。
また、本発明の半導体集積回路装置に形成された回路には、定電流源として機能する定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタの他にデプリーション型NchMOSトランジスタを含んでいてもよいし、エンハンスメント型NchMOSトランジスタ、デプリーション型PchMOSトランジスタを含んでいてもよい。
【0019】
本発明の半導体集積回路装置において、上記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタは、上記ソース及び上記ゲートが結線され、上記ボディが接地電位に接続されるようにしてもよい。
【0020】
本発明の半導体集積回路装置の回路構成の一例は、上記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを電源として動作し、上記エンハンスメント型PchMOSトランジスタを含むレギュレータ回路を備えている。ただし、本発明の半導体集積回路装置の回路構成はこれに限定されない。本発明の半導体集積回路装置は、電源端子に接続されるエンハンスメント型PchMOSトランジスタを含む回路に対して、上記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを電源として配置するようにすれば、どのような回路にも適用することができる。例えば、本発明の半導体集積回路装置は、差動増幅回路やインバータ回路にも適用できる。
【0021】
上記レギュレータ回路の一例は、上記レギュレータ回路は、上記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタとは別途設けられたデプリーション型NchMOSトランジスタとエンハンスメント型NchMOSトランジスタが直列接続されてなる基準電圧発生回路と、一対の差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタ及び一対の能動負荷用エンハンスメント型NchMOSトランジスタを含む差動増幅回路と、出力を調整するドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタと、上記ドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタに直列接続された分割抵抗回路とを備え、一方の上記差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタのゲートに上記基準電圧発生回路の出力が接続され、他方の上記差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタのゲートに上記分割抵抗回路の出力が接続されており、上記基準電圧発生回路と上記差動増幅回路は別々の上記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを介して上記電源端子に接続されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の半導体集積回路装置では、エンハンスメント型PchMOSトランジスタはデプリーション型NchMOSトランジスタを介して電源端子に接続されているようにし、そのデプリーション型NchMOSトランジスタは、ソース、ゲート及びボディが結線されて定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっているようにしたので、電源端子に入力される電源電圧をデプリーション型NchMOSトランジスタによって降圧された電圧をPchMOSトランジスタに供給できる。PchMOSトランジスタを含む回路は定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタによって降圧された電圧で動作するので、本発明の半導体集積回路装置は、半導体集積回路装置に入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、回路動作を安定させることができる。さらに、回路で使用される電源電圧を下げることで省電力化にも貢献ができる。
【0023】
本発明の半導体集積回路装置において、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタの基板バイアス効果が少ない場合には、デプリーション型NchMOSトランジスタのソース及びゲートが結線され、ボディが接地電位に接続されるようにしても、同様の効果が得られる。
【0024】
本発明の半導体集積回路装置は、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを電源として動作し、上記エンハンスメント型PchMOSトランジスタを含むレギュレータ回路を備えているようにすれば、デプリーション型NchMOSトランジスタにより降圧した電源電圧でレギュレータ回路を安定動作させ、レギュレータ回路により安定した電源を同一SOI基板に形成された他の回路に供給できる。なお、上記他の回路を構成するMOSトランジスタは、レギュレータ回路、及び定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを介して電源端子に接続されることになる。
【0025】
上記レギュレータ回路の一例は、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタとは別途設けられたデプリーション型NchMOSトランジスタとエンハンスメント型NchMOSトランジスタが直列接続されてなる基準電圧発生回路と、一対の差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタ及び一対の能動負荷用エンハンスメント型NchMOSトランジスタを含む差動増幅回路と、出力を調整するドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタと、ドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタに直列接続された分割抵抗回路とを備え、基準電圧発生回路と差動増幅回路は別々の定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを介して上記電源端子に接続されているようにした。PchMOSトランジスタを含む差動増幅回路は、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを介して電源端子に接続されているので、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタによって降圧された電圧で動作する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図2】他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図3】さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図4】さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図5】さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図6】さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
【図7】SOI基板に形成されたMOSトランジスタを示す概略的な断面図である。
【図8】SOI基板に形成されたMOSトランジスタによって構成される集積回路の一例としての電源電圧監視用回路を示す回路図である。
【図9】SOI基板に形成されたNchエンハンスメント型MOSトランジスタについてシリコン基板電位を変化させたときの電気的特性を示す図である。
【図10】SOI基板に形成されたNchデプリーション型MOSトランジスタについてシリコン基板電位を変化させたときの電気的特性を示す図である。
【図11】SOI基板に形成されたPchエンハンスメント型MOSトランジスタについてシリコン基板電位を変化させたときの電気的特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、一実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。以下に説明する実施例はSOI基板に形成されている。また、SOI基板のシリコン活性層にMOSトランジスタのソース拡散層の底部及びドレイン拡散層の底部はBOX酸化膜に到達している。SOI基板の支持基板を構成するシリコン基板は接地電位に接続される。
【0028】
電源電圧監視用IC1は、電源端子VDD、接地端子GND、端子Vsense及び端子Vdetを備えている。電源端子VDDには電源が接続される。接地端子GNDは接地電位に接続される。端子Vsenseには監視すべき電源電圧が入力される。端子Vdetからは、端子Vsenseに入力される電源電圧が所定の電圧以上であるときには「High」レベルの信号、所定の電圧よりも低いときには「Low」レベルの信号が出力される。
【0029】
電源電圧監視用IC1は、MOSトランジスタM1,M2,M3,M4からなる差動増幅回路OPA1、MOSトランジスタM5,M6からなるインバータ回路inv1、MOSトランジスタM7,M8からなるインバータ回路inv2、トランジスタM9、及び抵抗R1,R2,R3を備えている。これらの構成は図8に示した電源電圧監視用回路と同じである。
【0030】
電源電圧監視用IC1は、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10をさらに備えている。MOSトランジスタM10は、ソース、ゲート及びボディが結線されて定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。MOSトランジスタM10は、差動増幅器OPA1及びインバータinv1,inv2と電源端子VDDとの間に設けられている。これにより、エンハンスメント型PchMOSトランジスタM3,M4,M5,M7は、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10を介して、電源端子VDDに接続されている。MOSトランジスタM10は、差動増幅器OPA1及びインバータinv1,inv2で消費される電流を流すことができるサイズを持っている。
【0031】
PchMOSトランジスタM3,M4,M5,M7を含む回路OPA1,inv1,inv2は定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10によって降圧された電圧で動作するので、電源電圧監視用IC1の電源端子VDDに入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、回路OPA1,inv1,inv2の回路動作を安定させることができる。さらに、回路OPA1,inv1,inv2で使用される電源電圧を下げることで省電力化にも貢献ができる。
【0032】
図2は、他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
この実施例では、図1に示した電源電圧監視用IC1と比較して、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10のボディが接地電位に接続される。図2で、便宜上、MOSトランジスタM10のボディは接地電位に接続された状態で図示されているが、実際にはMOSトランジスタM10のボディは接地端子GNDに接続されている。ボディが接地電位に接続される定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10も、定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。
【0033】
NchMOSトランジスタM10に関して、例えば、電源電圧が大きい時に、基板バイアス効果が大きいために負荷電流を通過できない場合には図1に示すようにボディとソース同じ電圧にし、基板バイアス効果が小さいために線形領域で動作する場合には図2に示すようにボディを接地電位にする。
【0034】
図1に示した実施例及び図2に示した実施例では、MOSトランジスタM9は抵抗R3を介して電源端子VDDに接続されているが、MOSトランジスタM9は抵抗R3及びMOSトランジスタM10を介して電源端子VDDに接続されているようにしてもよい。
【0035】
図3は、さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
この実施例は、図1に示した電源電圧監視用IC1と比較して、レギュレータ回路3をさらに備えている。レギュレータ回路3は、デプリーション型NchMOSトランジスタM11、エンハンスメント型NchMOSトランジスタM12、エンハンスメント型PchMOSトランジスタM13,M14、デプリーション型NchトランジスタM15、抵抗R4,R5を備えている。
【0036】
NchMOSトランジスタM11に関して、ドレインはPch(Pチャネル)MOSトランジスタM13のドレインに接続され、ソースとボディとゲートは接地端子GND(図では接地電位)に接続される。
端子GNDに接続され、
NchMOSトランジスタM12に関して、ドレインはPchMOSトランジスタM14のドレインに接続され、ソースとボディは接地端子GND(図では接地電位)に接続され、ゲートは直列に接続された抵抗R4とR5の間の端子に接続されている。
【0037】
PchMOSトランジスタM13,M14のゲート電極は互いに接続され、PchMOSトランジスタM13のドレインに接続されている。PchMOSトランジスタM13,M14のソースとボディは定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10のソースに接続されている。PchMOSトランジスタM13,M14はカレントミラー回路を構成し、定電流負荷として機能する。
【0038】
NchMOSトランジスタM15、抵抗R4,R5はその順に電源端子VDDと接地端子GND(図では接地電位)に直列に接続されている。NchMOSトランジスタM15はレギュレータ回路3の出力トランジスタを構成する。NchMOSトランジスタM15はデプリーション型であるが、これはレギュレータ回路3が動作していないときにも電源電圧を出力する必要があるためである。NchMOSトランジスタM15のゲートはPchMOSトランジスタM14のドレインに接続されている。抵抗R4,R5は分割抵抗回路を構成する。
【0039】
NchMOSトランジスタM15と抵抗R4の間の端子がレギュレータ回路3の出力となる。レギュレータ回路3は抵抗R4,R5で負帰還をかけて出力電圧を安定化する。レギュレータ回路3から出力された電圧は差動増幅回路OPA1、インバータinv1,inv2に供給される。
【0040】
レギュレータ回路3のPchMOSトランジスタM13,M14は定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10によって降圧された電圧で動作するので、電源電圧監視用IC1の電源端子VDDに入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、レギュレータ回路3の回路動作を安定させることができる。さらに、レギュレータ回路3及びその後段の回路OPA1,inv1,inv2で使用される電源電圧を下げることで省電力化にも貢献ができる。
【0041】
図4は、さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
この実施例は、図3に示した電源電圧監視用IC1と比較して、定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10のボディが接地端子GND(図では設置電位)に接続されている。ボディが接地電位に接続される定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10も、定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。これにより、この実施例は、図3に示した実施例と同様の作用及び効果が得られる。
【0042】
図5は、さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
この実施例は、図1に示した電源電圧監視用IC1と比較して、レギュレータ回路5と定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM22をさらに備えている。レギュレータ回路5は、基準電圧発生回路Vref、差動増幅回路OPA3、デプリーション型NchトランジスタM15、抵抗R4,R5を備えている。デプリーション型NchトランジスタM15、抵抗R4,R5の構成は、図3、図4に示したレギュレータ回路3と同じである。
【0043】
基準電圧発生回路Vrefは直列接続されたデプリーション型NchMOSトランジスタM16とエンハンスメント型NchMOSトランジスタM17で構成されている。MOSトランジスタM16のソース、ゲート、ボディ及びMOSトランジスタM17のドレイン及びゲートは互いに接続されている。MOSトランジスタM16のドレインはMOSトランジスタM22を介して電源端子VDDに接続されている。MOSトランジスタM17のソース及びボディは接地端子GND(図では接地電位)に接続されている。MOSトランジスタM16とM17の間の電位が基準電圧発生回路Vrefの出力になる。
【0044】
基準電圧発生回路Vrefの定電流源として機能するデプリーション型NchMOSトランジスタM22に関して、ソース、ゲート及びボディはMOSトランジスタM16のドレインに接続され、ドレインは電源端子VDDに接続されている。MOSトランジスタM22は、基準電圧発生回路Vrefで消費される電流を流すことができるサイズを持ち、かつ、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。
【0045】
差動増幅回路OPA3は、差動入力用の一対のエンハンスメント型PchMOSトランジスタM18,M19と能動負荷用の一対のエンハンスメント型NchMOSトランジスタM20,M21によって構成されている。MOSトランジスタM18のゲートに基準電圧発生回路Vrefの出力が入力される。MOSトランジスタM19のゲートに帰還抵抗を構成する抵抗M4とM5の間の端子の電位が入力される。MOSトランジスタM19のドレインの電位が差動増幅回路OPA3の出力となる。差動増幅回路OPA3の出力はMOSトランジスタM15のゲートに入力される。差動増幅回路OPA3は定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10と接地端子GND(図では接地電位)の間に直列接続されている。
【0046】
レギュレータ回路5は、基準電圧発生回路Vrefからの基準電圧と、抵抗R4,R5の間の電圧を差動増幅回路OPA3で比較し、負帰還をかけて出力電圧を安定化する。出力された電圧は、差動増幅回路OPA1、インバータinv1,inv2に供給される。
【0047】
レギュレータ回路5は、一般的に定電流源としてPchMOSトランジスタを用いるが、上述のようにSOI基板に形成されたPchMOSトランジスタは電流変動が大きいので、電流変動が比較的少ないデプリーション型NchMOSトランジスタM10,M22を定電流源として使用したことを特徴としている。レギュレータ回路5のPchMOSトランジスタM18,M19は定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10によって降圧された電圧で動作するので、電源電圧監視用IC1の電源端子VDDに入力される電源電圧が高い場合であっても、SOI基板のBOX酸化膜やシリコン層を厚くすることなく、レギュレータ回路5の回路動作を安定させることができる。さらに、レギュレータ回路5及びその後段の回路OPA1,inv1,inv2で使用される電源電圧を下げることで省電力化にも貢献ができる。
【0048】
図6は、さらに他の実施例としての電源電圧監視用ICを示す回路図である。
この実施例は、図5に示した電源電圧監視用IC1と比較して、デプリーション型NchMOSトランジスタM10,M15,M16,M22のボディが接地端子GND(図では設置電位)に接続されている。ボディが接地電位に接続される定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10,M22も、定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっている。これにより、この実施例は、図5に示した実施例と同様の作用及び効果が得られる。
【0049】
図5に示した実施例及び図6に示した実施例では、差動増幅回路OPA3と基準電圧発生回路Vrefに対して定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタM10,M22を設けているが、回路OPA3,Vrefで共通の定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを設けるようにしてもよい。
【0050】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本発明が適用される回路は、電源電圧監視用回路やレギュレータ回路に限定されるものではなく、SOI基板に形成された回路であって、PchMOSトランジスタを備えた回路であれば、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば電源電圧監視用IC、リチウムイオン電池保護IC、基準電圧IC、リアルタイムクロックなど、常時、動作している回路での低消費電力化が必要な半導体集積回路装置に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 電源電圧監視用IC
3,5 レギュレータ回路
M1,M6,M8,M9 エンハンスメント型NchMOSトランジスタ
M2 デプリーション型NchMOSトランジスタ
M3,M4,M5,M7 エンハンスメント型PchMOSトランジスタ
M10 定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタ
M11,M15,M16 デプリーション型NchMOSトランジスタ
M12,M17,M20,M21 エンハンスメント型NchMOSトランジスタ
M13,M14,M18,M19 エンハンスメント型PchMOSトランジスタ
M22 定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタ
R1,R2,R3,R4,R5 抵抗
VDD 電源端子
GND 接地端子
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2002−134752号公報
【特許文献2】特開2001−119031号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板、BOX酸化膜及びシリコン活性層を有するSOI基板に形成された複数のMOSトランジスタを含む半導体集積回路装置において、
前記MOSトランジスタは、ソース拡散層の底部及びドレイン拡散層の底部が前記BOX酸化膜に到達して形成されており、
複数の前記MOSトランジスタとして、少なくともデプリーション型NchMOSトランジスタとエンハンスメント型PchMOSトランジスタが含まれており、
前記エンハンスメント型PchMOSトランジスタは、前記デプリーション型NchMOSトランジスタを介して、電源電圧が入力される電源端子に接続されており、
前記デプリーション型NchMOSトランジスタは、ソース、ゲート及びボディが結線されて定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタは、前記ソース及び前記ゲートが結線され、前記ボディが接地電位に接続される請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを電源として動作し、前記エンハンスメント型PchMOSトランジスタを含むレギュレータ回路を備えている請求項1又は2に記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記レギュレータ回路は、前記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタとは別途設けられたデプリーション型NchMOSトランジスタとエンハンスメント型NchMOSトランジスタが直列接続されてなる基準電圧発生回路と、一対の差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタ及び一対の能動負荷用エンハンスメント型NchMOSトランジスタを含む差動増幅回路と、出力を調整するドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタと、前記ドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタに直列接続された分割抵抗回路とを備え、
一方の前記差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタのゲートに前記基準電圧発生回路の出力が接続され、他方の前記差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタのゲートに前記分割抵抗回路の出力が接続されており、
前記基準電圧発生回路と前記差動増幅回路は別々の前記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを介して前記電源端子に接続されている請求項4に記載の半導体集積回路装置。
【請求項1】
シリコン基板、BOX酸化膜及びシリコン活性層を有するSOI基板に形成された複数のMOSトランジスタを含む半導体集積回路装置において、
前記MOSトランジスタは、ソース拡散層の底部及びドレイン拡散層の底部が前記BOX酸化膜に到達して形成されており、
複数の前記MOSトランジスタとして、少なくともデプリーション型NchMOSトランジスタとエンハンスメント型PchMOSトランジスタが含まれており、
前記エンハンスメント型PchMOSトランジスタは、前記デプリーション型NchMOSトランジスタを介して、電源電圧が入力される電源端子に接続されており、
前記デプリーション型NchMOSトランジスタは、ソース、ゲート及びボディが結線されて定電流源として機能し、ソース電位がシリコン基板電位よりも高くなることで飽和電流が減少する電気的特性をもっていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタは、前記ソース及び前記ゲートが結線され、前記ボディが接地電位に接続される請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを電源として動作し、前記エンハンスメント型PchMOSトランジスタを含むレギュレータ回路を備えている請求項1又は2に記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記レギュレータ回路は、前記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタとは別途設けられたデプリーション型NchMOSトランジスタとエンハンスメント型NchMOSトランジスタが直列接続されてなる基準電圧発生回路と、一対の差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタ及び一対の能動負荷用エンハンスメント型NchMOSトランジスタを含む差動増幅回路と、出力を調整するドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタと、前記ドライバトランジスタ用デプリーション型NchMOSトランジスタに直列接続された分割抵抗回路とを備え、
一方の前記差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタのゲートに前記基準電圧発生回路の出力が接続され、他方の前記差動入力用エンハンスメント型PchMOSトランジスタのゲートに前記分割抵抗回路の出力が接続されており、
前記基準電圧発生回路と前記差動増幅回路は別々の前記定電流源用デプリーション型NchMOSトランジスタを介して前記電源端子に接続されている請求項4に記載の半導体集積回路装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−38930(P2012−38930A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177943(P2010−177943)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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