双方向通信機能付車輪用軸受
【課題】回転側と固定側間の双方向に通信が行えて、部品点数の削減が図れ、また回転中,回転停止時を問わず荷重センサの検出信号の通信が行え、配線も容易な双方向通信機能付車輪用軸受を提供する。
【解決手段】固定輪である外方部材1と回転輪である内方部材2との間に複列の転動体5を介在させる。外方部材1と内方部材2の間で、非接触で双方向に通信する双方向通信手段21を設ける。内方部材2またはこの内方部材2に取付けられる部材には、ホイールの接地荷重を検出する荷重センサ18を設ける。この荷重センサ18に対して、前記双方向通信手段21を介して電源の供給およびセンサ出力の送信を行う双方向通信補助手段を前記内方部材2に設ける。双方向通信手段21は、例えば、固定輪に設置された1次コイル22と、回転輪に設置された2次コイル24とを有し、交流電流の印加により電磁誘導で電力やデータを伝達する。
【解決手段】固定輪である外方部材1と回転輪である内方部材2との間に複列の転動体5を介在させる。外方部材1と内方部材2の間で、非接触で双方向に通信する双方向通信手段21を設ける。内方部材2またはこの内方部材2に取付けられる部材には、ホイールの接地荷重を検出する荷重センサ18を設ける。この荷重センサ18に対して、前記双方向通信手段21を介して電源の供給およびセンサ出力の送信を行う双方向通信補助手段を前記内方部材2に設ける。双方向通信手段21は、例えば、固定輪に設置された1次コイル22と、回転輪に設置された2次コイル24とを有し、交流電流の印加により電磁誘導で電力やデータを伝達する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転輪と固定輪との間で非接触で信号や電力の受け渡しを行う双方向通信機能、および荷重検出機能を備えた双方向通信機能付車輪用軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の安定性向上のために、各車輪に作用する荷重を検出し、検出値に応じて姿勢制御を図ることが行われている。車輪の荷重を検出には、例えば、タイヤのトレッド部に感圧導電ゴム体等のセンサを設け、タイヤ接地力を検出するものが提案されている(特許文献1)。また、制動時および加速時に駆動輪に加わるトルクを、ハブフランジに設けた歪みゲージ等で検出するものが提案されている(特許文献2)。この他に、タイヤ空気圧センサを設け、タイヤ空気圧によって作用荷重を検出するものが提案されている(特許文献3)。これらの各例のように、回転側へセンサを設置する場合には、回転側に電源とセンサ出力信号の送信手段を設ける必要がある。
【0003】
このような要望に応えるものとして、タイヤの回転側に電磁コイル、非回転側に磁界発生手段を設けたタイヤ電源供給装置が提案されている(例えば、特許文献4)。また、車輪用軸受に発電装置を組み込んだ車輪用軸受装置が提案されている(特許文献5)。また、軸受に非接触信号伝達機構を設けた非接触信号伝達機構付き軸受が提案されている(例えば、特許文献6)。その他、スリップリングや無線給電などの方法で回転側へ電力を供給する手段が挙げられる。
【特許文献1】特開2005−082010号
【特許文献2】特開2003‐246201号
【特許文献3】特開2005−257297号
【特許文献4】特開2006‐232195号
【特許文献5】特開2002‐055113号
【特許文献6】特開2002‐130262号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献4の回転側に電磁コイル,非回転側に磁界発生手段を設けたタイヤ電源供給装置や、特許文献5の車輪用軸受に発電装置を組み込んだものでは、いずれも、回転側への電力供給しか行えない。そのため、別途に光や無線等でセンサ出力を伝達する手段を設ける必要があり、部品点数が多くなり、設計の自由度が狭くなる。特許文献5では、車輪用軸受で発電しているが、回転側への電力供給や通信手段として用いられていない。また、特許文献4、5の構成は、いずれも回転中しか電力を供給することができない。特許文献6の構成ではコネクタを搭載していないため、回転側での配線が困難である。なお、スリップリングを利用した場合、摩擦や配線の取り回しが問題となる。
【0005】
この発明の目的は、荷重センサを回転側に設けるにつき、回転側と固定側間の双方向に通信が行えて、部品点数の削減、設計の自由度向上が図れ、また回転中,回転停止時を問わず検出信号の通信が行え、配線も容易で、通信のための摩擦の増大の問題のない双方向通信機能付車輪用軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の双方向通信機能付車輪用軸受は、複列の転走面が形成された固定輪と、この固定輪の転走面と対向する転走面を形成した回転輪と、対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、
前記固定輪と前記回転輪の間で、非接触で双方向に通信する双方向通信手段を設け、前記回転輪に取付けられるホイールに作用する接地荷重を検出する荷重センサを、前記回転輪またはこの回転輪に取付けられる部材に設け、この荷重センサに対して前記双方向通信手段を介して電源の供給およびセンサ出力の送信を行う双方向通信補助手段を前記回転輪に設け、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、前記双方向通信手段に接続されたコネクタを設けたことを特徴とする。
【0007】
この構成によると、固定輪と回転輪の間で双方向の通信を行う双方向通信手段を設けたため、回転側に取付けた荷重センサの信号を、双方向通信手段を介して固定側に伝達することで、荷重センサの信号を無線で送信する手段を設けることが不要となる。また、接地荷重をリアルタイムで検出することができる。多数の荷重センサがあっても、中継機でまとめてバスにデータを流すことも可能であるため、必要な数だけの荷重センサを少ない配線で接続することができる。その場合、例えば通信データをCAN(Controller Area Network)バスなどのシリアル通信プロトコルに基づくインタフェース等を使用することで、やり取りすれば良い。また、双方向通信手段を利用することで、固定側から回転側への電力供給を容易に行うことができる。双方向通信手段は、発電機と異なり、回転しなくても電力の供給が可能となる。そのため、タイヤなどに取り付けたセンサに必要な無線給電機能、電池、単体での発電機能、などを不要にできる。また、固定輪または回転輪の少なくとも一方にコネクタを設けたため、車輪用軸受と車体側の配線または車輪用軸受とタイヤやホイール側への配線が容易となる。車輪用軸受を車体やホイールに組み込んだ後でも配線できるため、組立てが容易になる。双方向通信手段は非接触で通信を行うものであるため、摩擦の増大の問題も生じない。
このように、回転側と固定側間の双方向に通信が行えて、部品点数の削減、設計の自由度向上が図れ、また回転中,回転停止時を問わず荷重センサの検出信号の通信が行え、配線も容易で、通信のための摩擦の増大の問題も生じない。
【0008】
この発明において、前記双方向通信手段は、前記固定輪に設けられるコアに巻回された1次コイルと、前記回転輪に設けられるコアに巻回された2次コイルとでなり、前記1次コイルと前記2次コイルとで磁気回路を構成するものであっても良い。いわゆるロータリトランスとする。これにより、回転体である回転輪を有する車輪用軸受に適した構造となる。
【0009】
このように、1次コイルおよび2次コイルを用いた場合に、前記双方向通信手段は、データの通信と電力の伝達とを互いに異なる周波数で行うものとしても良い。例えば、電力の伝送を低周波側で行い、データの伝送を高周波側で行う。これにより、共通の1次コイルおよび2次コイルを用いて、データと電力の通信が行える。
【0010】
上記のようにデータの通信と電力の伝達とを互いに異なる周波数で行うものとする場合に、前記1次コイルおよび2次コイルのコアを、低周波側のコアと高周波側のコアとに分割して設けても良い。このようにコアを周波数に応じて分割することで、伝達の効率を上げることができる。
【0011】
前記荷重センサは、結果として、前記回転輪に取付けられるホイールに作用する荷重を検出できるセンサを言い、その直接の検出対象は、圧力、歪み、トルクなど、特に問わない。
例えば、前記荷重センサは、タイヤのトレッド部に設けられて作用圧力によって抵抗値が変化する感圧導電体であっても良い。感圧導電体には感圧導電ゴム体等が使用でき、タイヤに埋め込み状態に設置しても良い。また、この感圧導電体からなる荷重センサは、タイヤのトレッド部における円周方向および幅方向の複数箇所に設けても良い。複数の荷重センサを設ける場合、この発明の利点がより一層効果的に発揮される。
【0012】
前記荷重センサは、前記回転輪に取付けられたホイールのタイヤの空気圧を検出する圧力センサであっても良い。タイヤ空気圧の変化によっても、ホイールに作用する荷重が検出できる。
【0013】
また、記荷重センサは、前記回転輪、この回転輪に取付けられたホイール、および前記回転輪に取付けられたブレーキロータのうちのいずれかの歪みを検出する歪みセンサであっても良い。これらの部材の歪みの検出によっても、ホイールに作用する荷重が検出できる。
【0014】
さらに、前記荷重センサは、前記回転輪にブレーキロータが取付けられたブレーキのトルクを検出するものであっても良い。ブレーキのトルクを検出することで、車両進行方向の荷重が検出できる。
【0015】
この発明において、前記コネクタは、前記回転輪または前記固定輪に固定しても良い。コネクタを回転輪または固定輪に固定すれば、ホイールなどの組立時に配線が邪魔にならず、タイヤ側や車体側への配線も容易に行える。
【0016】
タイヤやホイール側へ配線を接続するコネクタを、回転輪の内径部または回転輪に設けられたフランジに配置しても良い。これによりタイヤやホイールへの通信が容易となる。また、コネクタが回転輪の内径部またはフランジに配置されることで、コネクタが周辺部品の邪魔とならず、配線も行い易い。
【0017】
前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、これら固定輪と回転輪の対向する周面から軸受外部に配線を出すための配線孔または配線溝を設けても良い。このような配線孔または配線溝を設けると、配線を外部に引き出すことが容易となり、また車輪用軸受に等速ジョイントを組み付けるときなどに、配線を断線することが防止される。
前記配線孔または前記配線溝の一部をモールドしても良い。配線孔や配線溝の一部をモールドすることで、内部へ水等の異物が侵入することが防止できる。
【0018】
この発明において、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、伝達する電力の安定化を行う制御回路を設けても良い。この制御回路は、例えば、整流回路、レギュレータ、インバータ等を含む回路とされる。このような制御回路を設けることで安定した電力を供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の双方向通信機能付車輪用軸受は、複列の転走面が形成された固定輪と、この固定輪の転走面と対向する転走面を形成した回転輪と、対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、前記固定輪と前記回転輪の間で、非接触で双方向に通信する双方向通信手段を設け、前記回転輪に取付けられるホイールに作用する接地荷重を検出する荷重センサを、前記回転輪またはこの回転輪に取付けられる部材に設け、この荷重センサに対して前記双方向通信手段を介して電源の供給およびセンサ出力の送信を行う回転側送受信回路を前記回転輪に設け、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、前記双方向通信手段に接続されたコネクタを設けたため、回転側と固定側間の双方向に通信が行えて、部品点数の削減、設計の自由度向上が図れ、また回転中,回転停止時を問わず荷重センサの検出信号の通信が行え、配線も容易で、通信のための摩擦増大の問題も生じないという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明の一実施形態を図1ないし図4と共に説明する。図1は、この実施形態の双方向通信機能付車輪用軸受をナックル60に固定した組立図を示す。図2は図3のI−O−I′線に沿う断面図である。この実施形態の双方向通信機能付車輪用軸受は、第3世代型の内輪回転タイプで、駆動輪支持用の車輪用軸受に適用したものである。なお、この明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
この双方向通信機能付車輪用軸受における軸受は、図2に断面図で示すように、内周に複列の転走面3を形成した外方部材1と、これら各転走面3に対向する転走面4を形成した内方部材2と、これら外方部材1および内方部材2の転走面3,4間に介在した複列の転動体5とで構成される。この車輪用軸受は、複列のアンギュラ玉軸受型とされていて、転動体5はボールからなり、各列毎に保持器6で保持されている。上記転走面3,4は断面円弧状であり、各転走面3,4は接触角が背面合わせとなるように形成されている。外方部材1と内方部材2との間の軸受空間の両端は、密封装置となるシール7,8によってそれぞれ密封されている。
【0021】
外方部材1は固定輪であり、車体の懸架装置(図示せず)におけるナックル60(図1)に取付ける車体取付用のフランジ1aを外周に有し、全体が一体の部品とされている。フランジ1aには、周方向の複数箇所に車体取付用のボルト孔14が設けられ、このボルト孔14に螺合するボルト61(図1)でフランジ1aがナックル60に連結される。
内方部材2は回転輪であって、車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部のインボード側端の外周に嵌合した内輪10とでなる。これらハブ輪9および内輪10に、前記各列の転走面4が形成されている。ハブ輪9のインボード側端の外周には段差を持って小径となる内輪嵌合面12が設けられ、この内輪嵌合面12に内輪10が嵌合している。図1では、ハブ輪9のインボード側端が、内輪10を加締固定する加締部9cとされているが、図2のように加締めによらず内輪10を内輪嵌合面12に固定しても良い。ハブ輪9の中心には貫通孔11が設けられている。この貫通孔11に、図1のように、等速ジョイント62の外輪63のステム部63aを挿通し、ステム部63aの基端周辺の段面と先端のナット64との間で内方部材2を挟み込むことで、車輪用軸受と等速ジョイント62とを連結している。ハブフランジ9aには、周方向複数箇所にハブボルトの圧入孔16が設けられている。ハブ輪9のハブフランジ9aの根元部付近には、ブレーキロータ40とホイール50(図1)を案内する円筒状のパイロット部13がアウトボード側に突出している。このパイロット部13の案内により、前記ハブフランジ9aにブレーキロータ40とホイール50とを重ね、ハブボルト15(図1)で固定する。ホイール50にはタイヤ50aが取付けられている。
【0022】
この車輪用軸受に、固定輪である外方部材1と回転輪である内方部材2の間で非接触で双方向に通信する双方向通信手段21が設けられている。双方向通信手段21は、複列の転走面3,3(4,4)間に配置されている。また、回転輪である内方部材2のハブフランジ9aに、車輪用軸受に作用する荷重を検出する荷重センサ18が設けられている。
【0023】
図2に示すように、双方向通信手段21は、1次コイル22、ステータコア23、2次コイル24、ロータコア25、および配線26,27から構成される。1次コイル22および2次コイル24は互いに一つの磁気回路を構成するように設けられる。ステータコア23は、内径面に溝があるリング状部材からなり、その溝部内に1次コイル22が巻かれている。ロータコア25は外径面に溝があるリング状部材からなり、その溝部内に2次コイル24が巻かれている。ステータコア23およびロータコア25の一部には、配線を通すための配線孔(図示せず)が設けられている。ステータコア23および1次コイル22は、固定輪である外方部材1の内径面に、またロータコア25および2次コイル24は、回転輪である内方部材2の外径面に、お互いがラジアル方向に対向するように設置されている。ステータコア23およびロータコア25は、外方部材1および内方部材2に対して圧入または接着などの方法で固定される。なお、ステータコア23およびロータコア25のアキシャル方向の位置決めをするために、外方部材1の内径面や内方部材2の外径面に、段差や突起(図示せず)などを設けてもよい。
【0024】
固定輪である外方部材1には、1次コイル22に接続された配線26を通す配線孔28が、内径面から外径面に貫通して設けられている。回転輪である内方部材2のハブ輪9には、2次コイル24に接続された配線27を通す配線孔29が外径面から内径面に貫通して設けられ、内径面の円周方向の一部に、上記配線27を軸方向に沿って内部に這わす配線溝30が設けられている。1次コイル22およびステータコア23を組立てる場合、配線26を予め配線孔28に通した状態で、軸方向から外方部材1の内径面に嵌合すれば良い。
【0025】
各配線26,27の先端には、車体側および回転輪2のハブフランジ9aに配線26,27を接続するためのコネクタ31,32を設けている。ハブフランジ9aに設けられる荷重センサ18へ連結するコネクタ32は、内方部材2におけるハブ輪9の、パイロット部13よりも内径部でアウトボード側端面に固定されている。車体側へ連結するためのコネクタ31は、外方部材1の外径面に固定されない状態で設けられている。なお、このコネクタ31は、図1に示すように、外方部材1に固定されていてもよい。
【0026】
コネクタ31,32は、上記配線26,27として、固定側から回転側へ電力を供給する電源線と、回転側から固定側へセンサ等の出力信号を送信する信号線の両方を接続している。
【0027】
コネクタ31,32は、一対のコネクタを互いに差し込み接続する差し込み接続型のコネクタ対における片方のものであり、プラグ型およびソケット型のうちのいずれであっても良い。コネクタ31,32は、多極のものであっても、同軸のものであっても良い。
図4は、ハブ輪9に固定したコネクタ32と、このコネクタ32に接続されるハブフランジ9a側の配線34のコネクタ33の一例を、概略図で示す。
【0028】
上記固定側のコネクタ31および回転側のコネクタ32は、これら各コネクタ31,32に差し込み接続されたコネクタ35,33およびその配線37,34を介して、固定側および回転側の双方向通信補助手段38,39に接続される。これら双方向通信補助手段38,39を介して、電源や荷重センサ18に接続される。双方向通信補助手段39から荷重センサ18に至る配線70は、図1に示すように、ホイール50の内径部およびハブフランジ9aの根元部を軸方向に貫通して、ハブフランジ9aのインボード側を向く側面の根元部に配置される荷重センサ18に接続される。
荷重センサ18は、ホイール50のタイヤ50aに作用する接地荷重を検出するセンサであれば良く、直接に検出する検出対象は特に問わない。この実施形態では、荷重センサ18は、車輪用軸受のハブフランジ9aの歪みを検出する歪みゲージ等の歪みセンサとされている。荷重センサ18は、この他にハブフランジ9aまたは他の部材の変位等を検出する超音波センサや変位センサであっても良い。また、図示の例では、荷重センサ18をハブフランジ9aに設置しているが、荷重センサ18の設置場所や、個数は、自由に設計すれば良い。
【0029】
双方向通信補助手段38,39は、荷重センサ18に対して双方向通信手段21を介して電源の供給およびセンサ出力の送信を行うための電気回路であり、例えば電力を伝達するための交流電圧を発生する手段や、データを送信するための搬送波の発生および搬送波への信号の重畳等の処理を行う。
固定側から回転側の荷重センサ18へ電力を送信し、回転側から荷重センサ18のデータを外部に送信する場合の例を説明する。この場合、固定側の双方向通史補助手段38は、電源(図示せず)の直流電流を、双方向通信手段21を介して伝達するための周波数の交流電流に変換する交流電流発生機能部と、受信した電流から信号成分を抽出する復調手段等を備えるものとされる。回転側の双方向通信補助手段39は、受信した交流電流を荷重センサ18の電源として利用するために直流電流に変換する整流手段と、荷重センサ18の出力信号を搬送波に重畳させる変調手段とを有するものとされる。
双方向通信補助手段38,39は、この例では、データの通信と電力の伝達とを互いに異なる周波数で行うものとされる。この場合に、電力を低周波側で、データを高周波側で行うようにする。
【0030】
また、回転側に複数の荷重センサ18や別種のセンサを設ける場合は、回転側の双方向通信補助手段39に中継機を設け、この中継機に、複数のセンサ出力等の通信データをシリアル通信で受信するためのインタフェースを設ける。このインタフェースとしては、例えば、CANなどのシリアル通信プロトコルを用いるものとされる。固定側の双方向通信補助手段38には、シリアル通信で送信された信号を個々のセンサの出力として抽出する手段を設ける。
なお、固定側の双方向通信補助手段38は、独立して設けられたものであっても、また自動車の電気制御ユニット(ECU)等に組み込まれたものであっても良い。また、回転側の双方向通信補助手段39は、独立して設けられたものであっても、荷重センサ18と一体の部品として組まれたものであっても良い。
【0031】
また、前記双方向通信手段21による通信が正常に確立されているか否かを確認する確認手段49を設けても良い。確認手段49は、例えば、固定側の双方向通信補助手段38に設けても良く、また固定側のコネクタ31や、このコネクタ31と1次コイル22との間等に設けても良い。
【0032】
上記構成の双方向通信機能付車輪用軸受によると、双方向通信手段21と荷重センサ18とを設けたため、例えば、固定輪である外方部材1側から回転輪である内方部材2側に電力を供給する場合、1次コイル22に交流電圧を加えると、コア23,25に発生した磁束により、誘導電力として2次コイル24に伝達される。そのため、非接触で回転側の荷重センサ18への電力供給を行うことができる。この場合に、双方向通信手段21は、発電機と異なり、回転しなくても電力の供給が可能となる。そのため、回転輪である内方部材2に取り付けた荷重センサ18に必要な無線給電機能、電池、単体での発電機能、などを不要にできる。
【0033】
また、双方向通信手段21により、回転側に取付けた荷重センサ18の検出信号を、双方向通信手段21を介して固定側に伝達することで、荷重センサ18の検出信号を無線で送信する手段を設けることが不要となる。多数の荷重センサ18もしくは別種のセンサがあっても、上記のように中継機でまとめてバスにデータを流すことも可能であるため、必要な数だけのセンサを少ない配線で接続することができる。その場合、上記のように通信データをCANバスなどのシリアル通信プロトコルに基づくインタフェース等を使用することで、やり取りすれば良い。
【0034】
コネクタ31,32は、嵌合状態となる差し込み接続状態で防水性を有するものを使用すると良い。そうすることで、自動車の足回りのような環境が悪い条件でも使用できる。また、ハブ輪9側の配線27は、配線溝30に固定しておくと良い。そうすれば、等速ジョイント62を組み込む際にも、配線27が邪魔にならず、断線することなく組み込むことが可能となる。配線孔28,29や配線溝30の一部をモールド樹脂(図示せず)等でモールドしておけば、軸受内部へ水などが浸入することを防止できる。1次コイル22および2次コイル24には、保護用の隔壁となる樹脂等のカバー(図示せず)で覆っても良く、これによりコイル22,24を保護することが出来る。
【0035】
なお、この実施形態では、双方向通信手段21として1次コイル22と2次コイル24からなるロータリトランス構造を示しているが、双方向通信手段21は、非接触でデータの通信や電力の供給が可能なものであれば良く、この他に、赤外線、光、電波、超音波、容量カップリング、磁気結合、などを利用して電力を伝送するものであっても良い。ただし、車輪用軸受のような回転体の場合は、この実施形態のようなロータリトランス構造が適していると考えられる。
【0036】
図5は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態では、荷重センサ18をホイール50のアウトボード側を向く表面に配置している。双方向通信補助手段39と配線70は、ホイール50の荷重センサ配置面に配置される。荷重センサ18は、車輪用軸受に作用する荷重によるホイールの歪みを検出する歪みゲージからなる。ホイール50における荷重センサ18の設置場所や設置個数は、任意に設計すれば良い。
【0037】
この実施形態では、双方向通信手段21がコネクタ32を介してホイール50に配置される荷重センサ18と連結されるので、車輪用軸受をホイール50へ設置する際に配線が邪魔にならず、車輪用軸受を設置する前でもホイール50での配線を行うことが可能になる。
【0038】
図6および図7は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、荷重センサ18は、ホイール50のタイヤ50aの内部に配置されている。具体的には、タイヤ50aのトレッド部50aaの内部に設置されている。この場合の荷重センサ18には、タイヤ50aの歪みを検出する歪みセンサ、またはタイヤ50aの圧力を検出する感圧センサ、またはタイヤ50a内の空気圧を検出する空気圧センサであっても良い。感圧センサとする場合、作用圧力によって抵抗値が変化する感圧導電ゴム体等の感圧導電体が用いられる。なお、荷重センサ18は、タイヤ50a内に埋め込んでも良い。
また、この実施形態では、双方向通信手段21として、第1および第2の双方向通信手段部211 ,212 を備える。また、第1の双方向通信手段部211 は、図2と共に前述した双方向通信手段21と同じである。
図7に一部を拡大して示すように、第2の双方向通信手段212 は、1次コイル22Bおよび2次コイル24Bを、固定輪である外方部材1の外周と回転輪である内方部材2の外周とに位置させ、互いに軸方向に対向させている。ステータコア23Bは外方部材1の外径面に固定し、ロータコア25Bはハブフランジ9aの側面に固定している。ステータコア23Bおよびロータコア25Bは、側面に溝を有するリング状とされ、それぞれ溝内に1次コイル22Bおよび2次コイル24Bを収容している。1次コイル22Bは、そのステータコア23Bに取付けられたコネクタ31′に配線(図示せず)で接続されている。2次コイル24Bは、配線27′を介してコネクタ32′に接続されている。配線27′は、ハブフランジ9aに設けられた配線孔42内に挿通され、コネクタ32′は、ハブフランジ9aの側面に固定されている。なお、ハブフランジ9aに重ねて取付けられるホイール50およびブレーキロータ40には、コネクタ32′が内部に入る逃がし溝(図示せず)を成形する。コネクタ32′には、コネクタ33’、配線70’を介してタイヤ50a内の荷重センサ18に接続される。配線70’はホイール50のアウトボード側を向く表面から、ホイール50に開けられた孔80を貫通してタイヤ50a内の荷重センサ18に接続される。孔80にはシールコネクタ(図示せず)等を設け、シール性を持たせる。
【0039】
このように、荷重センサ18がタイヤ50aのトレッド部50aに設置されたものである場合、接地荷重が直接に検出できる。また、この実施形態のように、双方向通信手段21として、2系統の双方向通信手段部211 ,212 を設けた場合、いずれか片方、例えば第2の双方向通信手段部212 を、電力の伝達用に用い、もう片方となる第1の双方向通信手段部211 を、データの送信および受信に用いることができる。この場合に、電力の伝達とデータの通信とで周波数を異ならせ、電力を低周波側で、データを高周波側で伝達するようにしても良い。これにより、効率の良い伝達を行うことができる。
【0040】
図8は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、荷重センサ18は、ブレーキロータ40に配置され、制動時のブレーキトルクを検出するものとしている。荷重センサ18には歪みゲージ等が用いられる。荷重センサ18の設置場所は、ブレーキトルクを検出できる場所であれば良く、図示の箇所に限らない。荷重センサ18の個数につていも、適宜設計すれば良い。
双方向通信手段には、図6および図7に示す実施形態における第2の双方向通信手段部と同様な構成の双方向通信手段部212 を設けている。この双方向通信手段部212 を、コネクタ32’,33’、配線34’、双方向通信補助手段39、配線70’を介して、荷重センサ18に接続している。図6,図7の実施形態におけるる第1の双方向通信手段部211 は省略されている。この実施形態の場合、1つの双方向通信手段部212 で、電力の伝達とセンサ出力の送信が行われる。その他の構成は図6および図7に示す実施形態の場合と同様である。
【0041】
図9は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、図2に示す実施形態において、双方向通信手段21における1次コイル22および2次コイル24を、互いがアキシャル方向に対向するように設置したものである。ステータコア23Aおよびロータコア25Aは、L字形断面となるリング状部材とし、その内部に1次コイル22および2次コイル24が巻かれている。
1次コイル22または2次コイル24に交流電圧を加えた場合の磁路つまり磁気回路は、回転輪を構成するハブ輪9の一部を含んでいる。このように磁気回路がハブ輪9の一部を含むように構成すれば、磁気回路を構成し易く、ロータコア25Aやステータコア23Aの形状を簡素化できる。その他の構成,効果については、図2の実施形態と同様である。
【0042】
図10は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、例えば図5に示す実施形態において、双方向通信手段21が、回転輪を構成するハブ輪9のハブフランジ9aの基端と、固定輪となる外方部材1のアウトボード側端の内径面との間に配置されている。1次コイル22と2次コイル24は、アキシャル方向に対向するように配置されている。回転輪のハブフランジ9aと外方部材1のアウトボード側の端面との間には密封装置7Bを設けている。ハブフランジ9aの円周方向の一部には、2次コイルの配線27を這わす配線溝36が設けられており、ハブフランジ9aの外径面から配線27に連結されたコネクタ32を外に出している。この配線27のハブフランジ9aから外に出された部分は、ブレーキロータ40の一部に配線孔41を設けて外径側へ引き出すと良い。それ以外の構成は、図9と共に前述した実施形態と同じである。
【0043】
図11は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、例えば図10の実施形態において、回転輪を構成する内方部材2のハブ輪9と、固定輪である外方部材1に、それぞれ制御回路53,54を設置している。制御回路53,54は、回路基板に回路素子を実装したもの、または回路チップからなり、ハブ輪9のハブフランジ9aの側面、および外方部材1の外径面に固定されている。これら制御回路53,54は、伝達する電力の安定化を行うものであり、整流回路、レギュレータ、インバータなどを含む。例えば、固定輪である外方部材1側の制御回路54にインバータ、回転輪を構成するハブ輪9側に整流回路およびレギュレータを設ける。これにより、車体側からの直流電圧を交流電圧に変換し、1次コイル22に交流電圧を加える。1次コイル22に交流電圧を加えると、誘導電力として2次コイル24に伝達されるため、2次コイル24で発生した交流電圧を整流回路で直流電圧に変換し、レギュレータで平滑、定電圧化して出力すれば、タイヤやホイールに設置したセンサへ安定した電力を供給できる。ハブフランジ9aに設ける配線27の案内用の溝36は、ハブフランジの内径部から、制御回路53の取付位置までとされている。この実施形態におけるその他の構成は、図10に示す実施形態と同様である。
なお、制御回路53,54は、図2と共に前述した回転側の双方向通信補助手段39および固定側の双方向通信補助手段38の機能を備えるものであっても良い。
【0044】
図12は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この双方向通信機能付車輪用軸受は、例えば図2に示す実施形態において、双方向通信手段21が、ステータコア23に設けられた送信用1次コイル22aおよび受信用1次コイル22bと、ロータコア25に設けられた送信用2次コイル24aおよび受信用2次コイル24bとでなる。
ステータコア23は、内周に2本の溝があるリング状部材であり、各溝内に送信用1次コイル22aおよび受信用1次コイル22bが収容されて、これら送信用および受信用の1次コイル22a,22bに共通のものとされている。ロータコア25は、外周に2本の溝があるリング状部材であり、各溝内に送信用2次コイル24aおよび受信用2次コイル24bが収容されて、これら送信用および受信用の2次コイル24a,24bに共通のものとされている。
【0045】
ステータコア23は、固定輪である外方部材1の内周面に取付けられ、ロータコア25は回転輪を構成するハブ輪9の外周面に取付けられている。ステータコア23の送信用1次コイル22aとロータコア25の送信用2次コイル24aとが互いに対向して磁気回路を構成し、またステータコア23の受信用1次コイル22bとロータコア25の受信用2次コイル24bとが互いに対向して磁気回路を構成する。
【0046】
固定側の配線26は電力配線およびデータ配線を有し、電力配線が送信用1次コイル22aに接続され、データ配線が受信用1次コイ22bに接続されている。回転側の配線27は、電源線および信号線を有し、電源線が送信用2次コイル24aに接続され、信号線が受信用2次コイ24bに接続されている。
【0047】
この実施形態の場合、電力が1次コイル22a,2次コイル24a間で伝達され、データが1次コイル22b,2次コイル24b間で伝送される。この実施形態におけるその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0048】
図13は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、例えば図6および図7に示す実施形態において、第1の双方向通信手段部211 を、図12に共に前述した双方向通信手段21と同じ構成としたものである。
【0049】
なお、上記各実施形態では、双方向通信手段21を複列の転走面3,3間か、または車輪用軸受装置のアウトボード側端に配置したが、車輪用軸受装置のインボード側部に双方向通信手段21を設け、等速ジョイントに設置したセンサに対して電力供給および出力信号の伝達を行うようにしても良い。その場合、固定輪となる外方部材1のインボード側端面に1次コイル22を設置し、内輪10に2次コイル24を設けても良い。
また、上記各実施形態は、外方部材1が固定輪としたが、この発明は内方部材が固定輪で外方部材が回転輪となる車輪用軸受装置にも適用することができる。
さらに、この発明は、駆動輪用の車輪用軸受に限らず、従動輪用の車輪用軸受に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかる双方向通信機能付車輪用軸受のホイール組付け状態の断面図である。
【図2】同双方向通信機能付車輪用軸受の軸受部分を示す一部を変形した例の拡大断面図である。
【図3】同双方向通信機能付車輪用軸受をインボード側から見た側面図である。
【図4】コネクタの一例を示す概略図である。
【図5】この発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】この発明のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図7】同双方向通信機能付車輪用軸受の部分拡大断面図である。
【図8】この発明のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図11】この発明のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図12】この発明のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図13】この発明のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1…外方部材(固定輪)
2…内方部材(回転輪)
3,4…転走面
5…転動体
18…荷重センサ
21…双方向通信手段
22…1次コイル
23…ステータコア
24…2次コイル
25…ロータコア
26,27…配線
28,29…配線孔
30…配線溝
31,32…コネクタ
38,39…双方向通信補助手段
50…ホイール
50a…タイヤ
50aa…トレッド
53,54…制御回路
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転輪と固定輪との間で非接触で信号や電力の受け渡しを行う双方向通信機能、および荷重検出機能を備えた双方向通信機能付車輪用軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の安定性向上のために、各車輪に作用する荷重を検出し、検出値に応じて姿勢制御を図ることが行われている。車輪の荷重を検出には、例えば、タイヤのトレッド部に感圧導電ゴム体等のセンサを設け、タイヤ接地力を検出するものが提案されている(特許文献1)。また、制動時および加速時に駆動輪に加わるトルクを、ハブフランジに設けた歪みゲージ等で検出するものが提案されている(特許文献2)。この他に、タイヤ空気圧センサを設け、タイヤ空気圧によって作用荷重を検出するものが提案されている(特許文献3)。これらの各例のように、回転側へセンサを設置する場合には、回転側に電源とセンサ出力信号の送信手段を設ける必要がある。
【0003】
このような要望に応えるものとして、タイヤの回転側に電磁コイル、非回転側に磁界発生手段を設けたタイヤ電源供給装置が提案されている(例えば、特許文献4)。また、車輪用軸受に発電装置を組み込んだ車輪用軸受装置が提案されている(特許文献5)。また、軸受に非接触信号伝達機構を設けた非接触信号伝達機構付き軸受が提案されている(例えば、特許文献6)。その他、スリップリングや無線給電などの方法で回転側へ電力を供給する手段が挙げられる。
【特許文献1】特開2005−082010号
【特許文献2】特開2003‐246201号
【特許文献3】特開2005−257297号
【特許文献4】特開2006‐232195号
【特許文献5】特開2002‐055113号
【特許文献6】特開2002‐130262号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献4の回転側に電磁コイル,非回転側に磁界発生手段を設けたタイヤ電源供給装置や、特許文献5の車輪用軸受に発電装置を組み込んだものでは、いずれも、回転側への電力供給しか行えない。そのため、別途に光や無線等でセンサ出力を伝達する手段を設ける必要があり、部品点数が多くなり、設計の自由度が狭くなる。特許文献5では、車輪用軸受で発電しているが、回転側への電力供給や通信手段として用いられていない。また、特許文献4、5の構成は、いずれも回転中しか電力を供給することができない。特許文献6の構成ではコネクタを搭載していないため、回転側での配線が困難である。なお、スリップリングを利用した場合、摩擦や配線の取り回しが問題となる。
【0005】
この発明の目的は、荷重センサを回転側に設けるにつき、回転側と固定側間の双方向に通信が行えて、部品点数の削減、設計の自由度向上が図れ、また回転中,回転停止時を問わず検出信号の通信が行え、配線も容易で、通信のための摩擦の増大の問題のない双方向通信機能付車輪用軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の双方向通信機能付車輪用軸受は、複列の転走面が形成された固定輪と、この固定輪の転走面と対向する転走面を形成した回転輪と、対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、
前記固定輪と前記回転輪の間で、非接触で双方向に通信する双方向通信手段を設け、前記回転輪に取付けられるホイールに作用する接地荷重を検出する荷重センサを、前記回転輪またはこの回転輪に取付けられる部材に設け、この荷重センサに対して前記双方向通信手段を介して電源の供給およびセンサ出力の送信を行う双方向通信補助手段を前記回転輪に設け、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、前記双方向通信手段に接続されたコネクタを設けたことを特徴とする。
【0007】
この構成によると、固定輪と回転輪の間で双方向の通信を行う双方向通信手段を設けたため、回転側に取付けた荷重センサの信号を、双方向通信手段を介して固定側に伝達することで、荷重センサの信号を無線で送信する手段を設けることが不要となる。また、接地荷重をリアルタイムで検出することができる。多数の荷重センサがあっても、中継機でまとめてバスにデータを流すことも可能であるため、必要な数だけの荷重センサを少ない配線で接続することができる。その場合、例えば通信データをCAN(Controller Area Network)バスなどのシリアル通信プロトコルに基づくインタフェース等を使用することで、やり取りすれば良い。また、双方向通信手段を利用することで、固定側から回転側への電力供給を容易に行うことができる。双方向通信手段は、発電機と異なり、回転しなくても電力の供給が可能となる。そのため、タイヤなどに取り付けたセンサに必要な無線給電機能、電池、単体での発電機能、などを不要にできる。また、固定輪または回転輪の少なくとも一方にコネクタを設けたため、車輪用軸受と車体側の配線または車輪用軸受とタイヤやホイール側への配線が容易となる。車輪用軸受を車体やホイールに組み込んだ後でも配線できるため、組立てが容易になる。双方向通信手段は非接触で通信を行うものであるため、摩擦の増大の問題も生じない。
このように、回転側と固定側間の双方向に通信が行えて、部品点数の削減、設計の自由度向上が図れ、また回転中,回転停止時を問わず荷重センサの検出信号の通信が行え、配線も容易で、通信のための摩擦の増大の問題も生じない。
【0008】
この発明において、前記双方向通信手段は、前記固定輪に設けられるコアに巻回された1次コイルと、前記回転輪に設けられるコアに巻回された2次コイルとでなり、前記1次コイルと前記2次コイルとで磁気回路を構成するものであっても良い。いわゆるロータリトランスとする。これにより、回転体である回転輪を有する車輪用軸受に適した構造となる。
【0009】
このように、1次コイルおよび2次コイルを用いた場合に、前記双方向通信手段は、データの通信と電力の伝達とを互いに異なる周波数で行うものとしても良い。例えば、電力の伝送を低周波側で行い、データの伝送を高周波側で行う。これにより、共通の1次コイルおよび2次コイルを用いて、データと電力の通信が行える。
【0010】
上記のようにデータの通信と電力の伝達とを互いに異なる周波数で行うものとする場合に、前記1次コイルおよび2次コイルのコアを、低周波側のコアと高周波側のコアとに分割して設けても良い。このようにコアを周波数に応じて分割することで、伝達の効率を上げることができる。
【0011】
前記荷重センサは、結果として、前記回転輪に取付けられるホイールに作用する荷重を検出できるセンサを言い、その直接の検出対象は、圧力、歪み、トルクなど、特に問わない。
例えば、前記荷重センサは、タイヤのトレッド部に設けられて作用圧力によって抵抗値が変化する感圧導電体であっても良い。感圧導電体には感圧導電ゴム体等が使用でき、タイヤに埋め込み状態に設置しても良い。また、この感圧導電体からなる荷重センサは、タイヤのトレッド部における円周方向および幅方向の複数箇所に設けても良い。複数の荷重センサを設ける場合、この発明の利点がより一層効果的に発揮される。
【0012】
前記荷重センサは、前記回転輪に取付けられたホイールのタイヤの空気圧を検出する圧力センサであっても良い。タイヤ空気圧の変化によっても、ホイールに作用する荷重が検出できる。
【0013】
また、記荷重センサは、前記回転輪、この回転輪に取付けられたホイール、および前記回転輪に取付けられたブレーキロータのうちのいずれかの歪みを検出する歪みセンサであっても良い。これらの部材の歪みの検出によっても、ホイールに作用する荷重が検出できる。
【0014】
さらに、前記荷重センサは、前記回転輪にブレーキロータが取付けられたブレーキのトルクを検出するものであっても良い。ブレーキのトルクを検出することで、車両進行方向の荷重が検出できる。
【0015】
この発明において、前記コネクタは、前記回転輪または前記固定輪に固定しても良い。コネクタを回転輪または固定輪に固定すれば、ホイールなどの組立時に配線が邪魔にならず、タイヤ側や車体側への配線も容易に行える。
【0016】
タイヤやホイール側へ配線を接続するコネクタを、回転輪の内径部または回転輪に設けられたフランジに配置しても良い。これによりタイヤやホイールへの通信が容易となる。また、コネクタが回転輪の内径部またはフランジに配置されることで、コネクタが周辺部品の邪魔とならず、配線も行い易い。
【0017】
前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、これら固定輪と回転輪の対向する周面から軸受外部に配線を出すための配線孔または配線溝を設けても良い。このような配線孔または配線溝を設けると、配線を外部に引き出すことが容易となり、また車輪用軸受に等速ジョイントを組み付けるときなどに、配線を断線することが防止される。
前記配線孔または前記配線溝の一部をモールドしても良い。配線孔や配線溝の一部をモールドすることで、内部へ水等の異物が侵入することが防止できる。
【0018】
この発明において、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、伝達する電力の安定化を行う制御回路を設けても良い。この制御回路は、例えば、整流回路、レギュレータ、インバータ等を含む回路とされる。このような制御回路を設けることで安定した電力を供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の双方向通信機能付車輪用軸受は、複列の転走面が形成された固定輪と、この固定輪の転走面と対向する転走面を形成した回転輪と、対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、前記固定輪と前記回転輪の間で、非接触で双方向に通信する双方向通信手段を設け、前記回転輪に取付けられるホイールに作用する接地荷重を検出する荷重センサを、前記回転輪またはこの回転輪に取付けられる部材に設け、この荷重センサに対して前記双方向通信手段を介して電源の供給およびセンサ出力の送信を行う回転側送受信回路を前記回転輪に設け、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、前記双方向通信手段に接続されたコネクタを設けたため、回転側と固定側間の双方向に通信が行えて、部品点数の削減、設計の自由度向上が図れ、また回転中,回転停止時を問わず荷重センサの検出信号の通信が行え、配線も容易で、通信のための摩擦増大の問題も生じないという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明の一実施形態を図1ないし図4と共に説明する。図1は、この実施形態の双方向通信機能付車輪用軸受をナックル60に固定した組立図を示す。図2は図3のI−O−I′線に沿う断面図である。この実施形態の双方向通信機能付車輪用軸受は、第3世代型の内輪回転タイプで、駆動輪支持用の車輪用軸受に適用したものである。なお、この明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
この双方向通信機能付車輪用軸受における軸受は、図2に断面図で示すように、内周に複列の転走面3を形成した外方部材1と、これら各転走面3に対向する転走面4を形成した内方部材2と、これら外方部材1および内方部材2の転走面3,4間に介在した複列の転動体5とで構成される。この車輪用軸受は、複列のアンギュラ玉軸受型とされていて、転動体5はボールからなり、各列毎に保持器6で保持されている。上記転走面3,4は断面円弧状であり、各転走面3,4は接触角が背面合わせとなるように形成されている。外方部材1と内方部材2との間の軸受空間の両端は、密封装置となるシール7,8によってそれぞれ密封されている。
【0021】
外方部材1は固定輪であり、車体の懸架装置(図示せず)におけるナックル60(図1)に取付ける車体取付用のフランジ1aを外周に有し、全体が一体の部品とされている。フランジ1aには、周方向の複数箇所に車体取付用のボルト孔14が設けられ、このボルト孔14に螺合するボルト61(図1)でフランジ1aがナックル60に連結される。
内方部材2は回転輪であって、車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部のインボード側端の外周に嵌合した内輪10とでなる。これらハブ輪9および内輪10に、前記各列の転走面4が形成されている。ハブ輪9のインボード側端の外周には段差を持って小径となる内輪嵌合面12が設けられ、この内輪嵌合面12に内輪10が嵌合している。図1では、ハブ輪9のインボード側端が、内輪10を加締固定する加締部9cとされているが、図2のように加締めによらず内輪10を内輪嵌合面12に固定しても良い。ハブ輪9の中心には貫通孔11が設けられている。この貫通孔11に、図1のように、等速ジョイント62の外輪63のステム部63aを挿通し、ステム部63aの基端周辺の段面と先端のナット64との間で内方部材2を挟み込むことで、車輪用軸受と等速ジョイント62とを連結している。ハブフランジ9aには、周方向複数箇所にハブボルトの圧入孔16が設けられている。ハブ輪9のハブフランジ9aの根元部付近には、ブレーキロータ40とホイール50(図1)を案内する円筒状のパイロット部13がアウトボード側に突出している。このパイロット部13の案内により、前記ハブフランジ9aにブレーキロータ40とホイール50とを重ね、ハブボルト15(図1)で固定する。ホイール50にはタイヤ50aが取付けられている。
【0022】
この車輪用軸受に、固定輪である外方部材1と回転輪である内方部材2の間で非接触で双方向に通信する双方向通信手段21が設けられている。双方向通信手段21は、複列の転走面3,3(4,4)間に配置されている。また、回転輪である内方部材2のハブフランジ9aに、車輪用軸受に作用する荷重を検出する荷重センサ18が設けられている。
【0023】
図2に示すように、双方向通信手段21は、1次コイル22、ステータコア23、2次コイル24、ロータコア25、および配線26,27から構成される。1次コイル22および2次コイル24は互いに一つの磁気回路を構成するように設けられる。ステータコア23は、内径面に溝があるリング状部材からなり、その溝部内に1次コイル22が巻かれている。ロータコア25は外径面に溝があるリング状部材からなり、その溝部内に2次コイル24が巻かれている。ステータコア23およびロータコア25の一部には、配線を通すための配線孔(図示せず)が設けられている。ステータコア23および1次コイル22は、固定輪である外方部材1の内径面に、またロータコア25および2次コイル24は、回転輪である内方部材2の外径面に、お互いがラジアル方向に対向するように設置されている。ステータコア23およびロータコア25は、外方部材1および内方部材2に対して圧入または接着などの方法で固定される。なお、ステータコア23およびロータコア25のアキシャル方向の位置決めをするために、外方部材1の内径面や内方部材2の外径面に、段差や突起(図示せず)などを設けてもよい。
【0024】
固定輪である外方部材1には、1次コイル22に接続された配線26を通す配線孔28が、内径面から外径面に貫通して設けられている。回転輪である内方部材2のハブ輪9には、2次コイル24に接続された配線27を通す配線孔29が外径面から内径面に貫通して設けられ、内径面の円周方向の一部に、上記配線27を軸方向に沿って内部に這わす配線溝30が設けられている。1次コイル22およびステータコア23を組立てる場合、配線26を予め配線孔28に通した状態で、軸方向から外方部材1の内径面に嵌合すれば良い。
【0025】
各配線26,27の先端には、車体側および回転輪2のハブフランジ9aに配線26,27を接続するためのコネクタ31,32を設けている。ハブフランジ9aに設けられる荷重センサ18へ連結するコネクタ32は、内方部材2におけるハブ輪9の、パイロット部13よりも内径部でアウトボード側端面に固定されている。車体側へ連結するためのコネクタ31は、外方部材1の外径面に固定されない状態で設けられている。なお、このコネクタ31は、図1に示すように、外方部材1に固定されていてもよい。
【0026】
コネクタ31,32は、上記配線26,27として、固定側から回転側へ電力を供給する電源線と、回転側から固定側へセンサ等の出力信号を送信する信号線の両方を接続している。
【0027】
コネクタ31,32は、一対のコネクタを互いに差し込み接続する差し込み接続型のコネクタ対における片方のものであり、プラグ型およびソケット型のうちのいずれであっても良い。コネクタ31,32は、多極のものであっても、同軸のものであっても良い。
図4は、ハブ輪9に固定したコネクタ32と、このコネクタ32に接続されるハブフランジ9a側の配線34のコネクタ33の一例を、概略図で示す。
【0028】
上記固定側のコネクタ31および回転側のコネクタ32は、これら各コネクタ31,32に差し込み接続されたコネクタ35,33およびその配線37,34を介して、固定側および回転側の双方向通信補助手段38,39に接続される。これら双方向通信補助手段38,39を介して、電源や荷重センサ18に接続される。双方向通信補助手段39から荷重センサ18に至る配線70は、図1に示すように、ホイール50の内径部およびハブフランジ9aの根元部を軸方向に貫通して、ハブフランジ9aのインボード側を向く側面の根元部に配置される荷重センサ18に接続される。
荷重センサ18は、ホイール50のタイヤ50aに作用する接地荷重を検出するセンサであれば良く、直接に検出する検出対象は特に問わない。この実施形態では、荷重センサ18は、車輪用軸受のハブフランジ9aの歪みを検出する歪みゲージ等の歪みセンサとされている。荷重センサ18は、この他にハブフランジ9aまたは他の部材の変位等を検出する超音波センサや変位センサであっても良い。また、図示の例では、荷重センサ18をハブフランジ9aに設置しているが、荷重センサ18の設置場所や、個数は、自由に設計すれば良い。
【0029】
双方向通信補助手段38,39は、荷重センサ18に対して双方向通信手段21を介して電源の供給およびセンサ出力の送信を行うための電気回路であり、例えば電力を伝達するための交流電圧を発生する手段や、データを送信するための搬送波の発生および搬送波への信号の重畳等の処理を行う。
固定側から回転側の荷重センサ18へ電力を送信し、回転側から荷重センサ18のデータを外部に送信する場合の例を説明する。この場合、固定側の双方向通史補助手段38は、電源(図示せず)の直流電流を、双方向通信手段21を介して伝達するための周波数の交流電流に変換する交流電流発生機能部と、受信した電流から信号成分を抽出する復調手段等を備えるものとされる。回転側の双方向通信補助手段39は、受信した交流電流を荷重センサ18の電源として利用するために直流電流に変換する整流手段と、荷重センサ18の出力信号を搬送波に重畳させる変調手段とを有するものとされる。
双方向通信補助手段38,39は、この例では、データの通信と電力の伝達とを互いに異なる周波数で行うものとされる。この場合に、電力を低周波側で、データを高周波側で行うようにする。
【0030】
また、回転側に複数の荷重センサ18や別種のセンサを設ける場合は、回転側の双方向通信補助手段39に中継機を設け、この中継機に、複数のセンサ出力等の通信データをシリアル通信で受信するためのインタフェースを設ける。このインタフェースとしては、例えば、CANなどのシリアル通信プロトコルを用いるものとされる。固定側の双方向通信補助手段38には、シリアル通信で送信された信号を個々のセンサの出力として抽出する手段を設ける。
なお、固定側の双方向通信補助手段38は、独立して設けられたものであっても、また自動車の電気制御ユニット(ECU)等に組み込まれたものであっても良い。また、回転側の双方向通信補助手段39は、独立して設けられたものであっても、荷重センサ18と一体の部品として組まれたものであっても良い。
【0031】
また、前記双方向通信手段21による通信が正常に確立されているか否かを確認する確認手段49を設けても良い。確認手段49は、例えば、固定側の双方向通信補助手段38に設けても良く、また固定側のコネクタ31や、このコネクタ31と1次コイル22との間等に設けても良い。
【0032】
上記構成の双方向通信機能付車輪用軸受によると、双方向通信手段21と荷重センサ18とを設けたため、例えば、固定輪である外方部材1側から回転輪である内方部材2側に電力を供給する場合、1次コイル22に交流電圧を加えると、コア23,25に発生した磁束により、誘導電力として2次コイル24に伝達される。そのため、非接触で回転側の荷重センサ18への電力供給を行うことができる。この場合に、双方向通信手段21は、発電機と異なり、回転しなくても電力の供給が可能となる。そのため、回転輪である内方部材2に取り付けた荷重センサ18に必要な無線給電機能、電池、単体での発電機能、などを不要にできる。
【0033】
また、双方向通信手段21により、回転側に取付けた荷重センサ18の検出信号を、双方向通信手段21を介して固定側に伝達することで、荷重センサ18の検出信号を無線で送信する手段を設けることが不要となる。多数の荷重センサ18もしくは別種のセンサがあっても、上記のように中継機でまとめてバスにデータを流すことも可能であるため、必要な数だけのセンサを少ない配線で接続することができる。その場合、上記のように通信データをCANバスなどのシリアル通信プロトコルに基づくインタフェース等を使用することで、やり取りすれば良い。
【0034】
コネクタ31,32は、嵌合状態となる差し込み接続状態で防水性を有するものを使用すると良い。そうすることで、自動車の足回りのような環境が悪い条件でも使用できる。また、ハブ輪9側の配線27は、配線溝30に固定しておくと良い。そうすれば、等速ジョイント62を組み込む際にも、配線27が邪魔にならず、断線することなく組み込むことが可能となる。配線孔28,29や配線溝30の一部をモールド樹脂(図示せず)等でモールドしておけば、軸受内部へ水などが浸入することを防止できる。1次コイル22および2次コイル24には、保護用の隔壁となる樹脂等のカバー(図示せず)で覆っても良く、これによりコイル22,24を保護することが出来る。
【0035】
なお、この実施形態では、双方向通信手段21として1次コイル22と2次コイル24からなるロータリトランス構造を示しているが、双方向通信手段21は、非接触でデータの通信や電力の供給が可能なものであれば良く、この他に、赤外線、光、電波、超音波、容量カップリング、磁気結合、などを利用して電力を伝送するものであっても良い。ただし、車輪用軸受のような回転体の場合は、この実施形態のようなロータリトランス構造が適していると考えられる。
【0036】
図5は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態では、荷重センサ18をホイール50のアウトボード側を向く表面に配置している。双方向通信補助手段39と配線70は、ホイール50の荷重センサ配置面に配置される。荷重センサ18は、車輪用軸受に作用する荷重によるホイールの歪みを検出する歪みゲージからなる。ホイール50における荷重センサ18の設置場所や設置個数は、任意に設計すれば良い。
【0037】
この実施形態では、双方向通信手段21がコネクタ32を介してホイール50に配置される荷重センサ18と連結されるので、車輪用軸受をホイール50へ設置する際に配線が邪魔にならず、車輪用軸受を設置する前でもホイール50での配線を行うことが可能になる。
【0038】
図6および図7は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、荷重センサ18は、ホイール50のタイヤ50aの内部に配置されている。具体的には、タイヤ50aのトレッド部50aaの内部に設置されている。この場合の荷重センサ18には、タイヤ50aの歪みを検出する歪みセンサ、またはタイヤ50aの圧力を検出する感圧センサ、またはタイヤ50a内の空気圧を検出する空気圧センサであっても良い。感圧センサとする場合、作用圧力によって抵抗値が変化する感圧導電ゴム体等の感圧導電体が用いられる。なお、荷重センサ18は、タイヤ50a内に埋め込んでも良い。
また、この実施形態では、双方向通信手段21として、第1および第2の双方向通信手段部211 ,212 を備える。また、第1の双方向通信手段部211 は、図2と共に前述した双方向通信手段21と同じである。
図7に一部を拡大して示すように、第2の双方向通信手段212 は、1次コイル22Bおよび2次コイル24Bを、固定輪である外方部材1の外周と回転輪である内方部材2の外周とに位置させ、互いに軸方向に対向させている。ステータコア23Bは外方部材1の外径面に固定し、ロータコア25Bはハブフランジ9aの側面に固定している。ステータコア23Bおよびロータコア25Bは、側面に溝を有するリング状とされ、それぞれ溝内に1次コイル22Bおよび2次コイル24Bを収容している。1次コイル22Bは、そのステータコア23Bに取付けられたコネクタ31′に配線(図示せず)で接続されている。2次コイル24Bは、配線27′を介してコネクタ32′に接続されている。配線27′は、ハブフランジ9aに設けられた配線孔42内に挿通され、コネクタ32′は、ハブフランジ9aの側面に固定されている。なお、ハブフランジ9aに重ねて取付けられるホイール50およびブレーキロータ40には、コネクタ32′が内部に入る逃がし溝(図示せず)を成形する。コネクタ32′には、コネクタ33’、配線70’を介してタイヤ50a内の荷重センサ18に接続される。配線70’はホイール50のアウトボード側を向く表面から、ホイール50に開けられた孔80を貫通してタイヤ50a内の荷重センサ18に接続される。孔80にはシールコネクタ(図示せず)等を設け、シール性を持たせる。
【0039】
このように、荷重センサ18がタイヤ50aのトレッド部50aに設置されたものである場合、接地荷重が直接に検出できる。また、この実施形態のように、双方向通信手段21として、2系統の双方向通信手段部211 ,212 を設けた場合、いずれか片方、例えば第2の双方向通信手段部212 を、電力の伝達用に用い、もう片方となる第1の双方向通信手段部211 を、データの送信および受信に用いることができる。この場合に、電力の伝達とデータの通信とで周波数を異ならせ、電力を低周波側で、データを高周波側で伝達するようにしても良い。これにより、効率の良い伝達を行うことができる。
【0040】
図8は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、荷重センサ18は、ブレーキロータ40に配置され、制動時のブレーキトルクを検出するものとしている。荷重センサ18には歪みゲージ等が用いられる。荷重センサ18の設置場所は、ブレーキトルクを検出できる場所であれば良く、図示の箇所に限らない。荷重センサ18の個数につていも、適宜設計すれば良い。
双方向通信手段には、図6および図7に示す実施形態における第2の双方向通信手段部と同様な構成の双方向通信手段部212 を設けている。この双方向通信手段部212 を、コネクタ32’,33’、配線34’、双方向通信補助手段39、配線70’を介して、荷重センサ18に接続している。図6,図7の実施形態におけるる第1の双方向通信手段部211 は省略されている。この実施形態の場合、1つの双方向通信手段部212 で、電力の伝達とセンサ出力の送信が行われる。その他の構成は図6および図7に示す実施形態の場合と同様である。
【0041】
図9は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、図2に示す実施形態において、双方向通信手段21における1次コイル22および2次コイル24を、互いがアキシャル方向に対向するように設置したものである。ステータコア23Aおよびロータコア25Aは、L字形断面となるリング状部材とし、その内部に1次コイル22および2次コイル24が巻かれている。
1次コイル22または2次コイル24に交流電圧を加えた場合の磁路つまり磁気回路は、回転輪を構成するハブ輪9の一部を含んでいる。このように磁気回路がハブ輪9の一部を含むように構成すれば、磁気回路を構成し易く、ロータコア25Aやステータコア23Aの形状を簡素化できる。その他の構成,効果については、図2の実施形態と同様である。
【0042】
図10は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、例えば図5に示す実施形態において、双方向通信手段21が、回転輪を構成するハブ輪9のハブフランジ9aの基端と、固定輪となる外方部材1のアウトボード側端の内径面との間に配置されている。1次コイル22と2次コイル24は、アキシャル方向に対向するように配置されている。回転輪のハブフランジ9aと外方部材1のアウトボード側の端面との間には密封装置7Bを設けている。ハブフランジ9aの円周方向の一部には、2次コイルの配線27を這わす配線溝36が設けられており、ハブフランジ9aの外径面から配線27に連結されたコネクタ32を外に出している。この配線27のハブフランジ9aから外に出された部分は、ブレーキロータ40の一部に配線孔41を設けて外径側へ引き出すと良い。それ以外の構成は、図9と共に前述した実施形態と同じである。
【0043】
図11は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、例えば図10の実施形態において、回転輪を構成する内方部材2のハブ輪9と、固定輪である外方部材1に、それぞれ制御回路53,54を設置している。制御回路53,54は、回路基板に回路素子を実装したもの、または回路チップからなり、ハブ輪9のハブフランジ9aの側面、および外方部材1の外径面に固定されている。これら制御回路53,54は、伝達する電力の安定化を行うものであり、整流回路、レギュレータ、インバータなどを含む。例えば、固定輪である外方部材1側の制御回路54にインバータ、回転輪を構成するハブ輪9側に整流回路およびレギュレータを設ける。これにより、車体側からの直流電圧を交流電圧に変換し、1次コイル22に交流電圧を加える。1次コイル22に交流電圧を加えると、誘導電力として2次コイル24に伝達されるため、2次コイル24で発生した交流電圧を整流回路で直流電圧に変換し、レギュレータで平滑、定電圧化して出力すれば、タイヤやホイールに設置したセンサへ安定した電力を供給できる。ハブフランジ9aに設ける配線27の案内用の溝36は、ハブフランジの内径部から、制御回路53の取付位置までとされている。この実施形態におけるその他の構成は、図10に示す実施形態と同様である。
なお、制御回路53,54は、図2と共に前述した回転側の双方向通信補助手段39および固定側の双方向通信補助手段38の機能を備えるものであっても良い。
【0044】
図12は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この双方向通信機能付車輪用軸受は、例えば図2に示す実施形態において、双方向通信手段21が、ステータコア23に設けられた送信用1次コイル22aおよび受信用1次コイル22bと、ロータコア25に設けられた送信用2次コイル24aおよび受信用2次コイル24bとでなる。
ステータコア23は、内周に2本の溝があるリング状部材であり、各溝内に送信用1次コイル22aおよび受信用1次コイル22bが収容されて、これら送信用および受信用の1次コイル22a,22bに共通のものとされている。ロータコア25は、外周に2本の溝があるリング状部材であり、各溝内に送信用2次コイル24aおよび受信用2次コイル24bが収容されて、これら送信用および受信用の2次コイル24a,24bに共通のものとされている。
【0045】
ステータコア23は、固定輪である外方部材1の内周面に取付けられ、ロータコア25は回転輪を構成するハブ輪9の外周面に取付けられている。ステータコア23の送信用1次コイル22aとロータコア25の送信用2次コイル24aとが互いに対向して磁気回路を構成し、またステータコア23の受信用1次コイル22bとロータコア25の受信用2次コイル24bとが互いに対向して磁気回路を構成する。
【0046】
固定側の配線26は電力配線およびデータ配線を有し、電力配線が送信用1次コイル22aに接続され、データ配線が受信用1次コイ22bに接続されている。回転側の配線27は、電源線および信号線を有し、電源線が送信用2次コイル24aに接続され、信号線が受信用2次コイ24bに接続されている。
【0047】
この実施形態の場合、電力が1次コイル22a,2次コイル24a間で伝達され、データが1次コイル22b,2次コイル24b間で伝送される。この実施形態におけるその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0048】
図13は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、例えば図6および図7に示す実施形態において、第1の双方向通信手段部211 を、図12に共に前述した双方向通信手段21と同じ構成としたものである。
【0049】
なお、上記各実施形態では、双方向通信手段21を複列の転走面3,3間か、または車輪用軸受装置のアウトボード側端に配置したが、車輪用軸受装置のインボード側部に双方向通信手段21を設け、等速ジョイントに設置したセンサに対して電力供給および出力信号の伝達を行うようにしても良い。その場合、固定輪となる外方部材1のインボード側端面に1次コイル22を設置し、内輪10に2次コイル24を設けても良い。
また、上記各実施形態は、外方部材1が固定輪としたが、この発明は内方部材が固定輪で外方部材が回転輪となる車輪用軸受装置にも適用することができる。
さらに、この発明は、駆動輪用の車輪用軸受に限らず、従動輪用の車輪用軸受に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかる双方向通信機能付車輪用軸受のホイール組付け状態の断面図である。
【図2】同双方向通信機能付車輪用軸受の軸受部分を示す一部を変形した例の拡大断面図である。
【図3】同双方向通信機能付車輪用軸受をインボード側から見た側面図である。
【図4】コネクタの一例を示す概略図である。
【図5】この発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】この発明のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図7】同双方向通信機能付車輪用軸受の部分拡大断面図である。
【図8】この発明のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図11】この発明のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図12】この発明のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図13】この発明のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1…外方部材(固定輪)
2…内方部材(回転輪)
3,4…転走面
5…転動体
18…荷重センサ
21…双方向通信手段
22…1次コイル
23…ステータコア
24…2次コイル
25…ロータコア
26,27…配線
28,29…配線孔
30…配線溝
31,32…コネクタ
38,39…双方向通信補助手段
50…ホイール
50a…タイヤ
50aa…トレッド
53,54…制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複列の転走面が形成された固定輪と、この固定輪の転走面と対向する転走面を形成した回転輪と、対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、
前記固定輪と前記回転輪の間で、非接触で双方向に通信する双方向通信手段を設け、前記回転輪に取付けられるホイールに作用する接地荷重を検出する荷重センサを、前記回転輪またはこの回転輪に取付けられる部材に設け、この荷重センサに対して前記双方向通信手段を介して電源の供給およびセンサ出力の送信を行う双方向通信補助手段を前記回転輪に設け、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、前記双方向通信手段に接続されたコネクタを設けたことを特徴とする双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項2】
請求項1において、前記双方向通信手段は、前記固定輪に設けられるコアに巻回された1次コイルと、前記回転輪に設けられるコアに巻回された2次コイルとでなり、前記1次コイルと前記2次コイルとで磁気回路を構成することを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項3】
請求項2において、前記双方向通信手段は、データの通信と電力の伝達とを互いに異なる周波数で行うものであることを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記荷重センサは、タイヤのトレッド部に設けられて作用圧力によって抵抗値が変化する感圧導電体であることを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記荷重センサは、前記回転輪に取付けられたホイールのタイヤの空気圧を検出する圧力センサであることを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記荷重センサは、前記回転輪、この回転輪に取付けられたホイール、および前記回転輪に取付けられたブレーキロータのうちのいずれかの歪みを検出する歪みセンサであることを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記荷重センサは、前記回転輪にブレーキロータが取付けられたブレーキのトルクを検出するものであることを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記コネクタは、前記回転輪または前記固定輪に固定したことを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記コネクタとして、タイヤまたはホイール側へ配線を接続するコネクタを有し、このコネクタは前記回転輪の内径部に配置したことを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記コネクタとして、タイヤまたはホイール側へ配線を連結するコネクタを有し、このコネクタは前記回転輪に設けられたフランジに配置したことを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、これら固定輪と回転輪の対向する周面から軸受外部に配線を出すための配線孔または配線溝を有することを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、前記双方向通信手段が電力を伝達する機能を有し、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、伝達する電力の安定化を行う制御回路を有することを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項1】
複列の転走面が形成された固定輪と、この固定輪の転走面と対向する転走面を形成した回転輪と、対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、
前記固定輪と前記回転輪の間で、非接触で双方向に通信する双方向通信手段を設け、前記回転輪に取付けられるホイールに作用する接地荷重を検出する荷重センサを、前記回転輪またはこの回転輪に取付けられる部材に設け、この荷重センサに対して前記双方向通信手段を介して電源の供給およびセンサ出力の送信を行う双方向通信補助手段を前記回転輪に設け、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、前記双方向通信手段に接続されたコネクタを設けたことを特徴とする双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項2】
請求項1において、前記双方向通信手段は、前記固定輪に設けられるコアに巻回された1次コイルと、前記回転輪に設けられるコアに巻回された2次コイルとでなり、前記1次コイルと前記2次コイルとで磁気回路を構成することを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項3】
請求項2において、前記双方向通信手段は、データの通信と電力の伝達とを互いに異なる周波数で行うものであることを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記荷重センサは、タイヤのトレッド部に設けられて作用圧力によって抵抗値が変化する感圧導電体であることを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記荷重センサは、前記回転輪に取付けられたホイールのタイヤの空気圧を検出する圧力センサであることを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記荷重センサは、前記回転輪、この回転輪に取付けられたホイール、および前記回転輪に取付けられたブレーキロータのうちのいずれかの歪みを検出する歪みセンサであることを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記荷重センサは、前記回転輪にブレーキロータが取付けられたブレーキのトルクを検出するものであることを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記コネクタは、前記回転輪または前記固定輪に固定したことを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記コネクタとして、タイヤまたはホイール側へ配線を接続するコネクタを有し、このコネクタは前記回転輪の内径部に配置したことを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記コネクタとして、タイヤまたはホイール側へ配線を連結するコネクタを有し、このコネクタは前記回転輪に設けられたフランジに配置したことを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、これら固定輪と回転輪の対向する周面から軸受外部に配線を出すための配線孔または配線溝を有することを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、前記双方向通信手段が電力を伝達する機能を有し、前記固定輪および前記回転輪のいずれか一方または両方に、伝達する電力の安定化を行う制御回路を有することを特徴とした双方向通信機能付車輪用軸受。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−260449(P2008−260449A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105584(P2007−105584)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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