反射電極の形成方法並びに駆動基板および表示装置
【課題】簡易な工程で反射電極を形成することが可能な方法を提供する。
【解決手段】アクティブマトリクス素子4を形成した基板10上に、層間絶縁膜16および密着層17を設けたのち、第1触媒層18のパターンを形成する。続いて、第1無電解めっき処理を施し、第1触媒層18を基に第1めっき層19を成長させる。次いで、第2触媒層20を形成し、この第2触媒層20および第1めっき層19を触媒として、第2無電解めっき処理を施す。これにより第2めっき層21が形成され、表面に凹凸を有する反射電極5が形成される。
【解決手段】アクティブマトリクス素子4を形成した基板10上に、層間絶縁膜16および密着層17を設けたのち、第1触媒層18のパターンを形成する。続いて、第1無電解めっき処理を施し、第1触媒層18を基に第1めっき層19を成長させる。次いで、第2触媒層20を形成し、この第2触媒層20および第1めっき層19を触媒として、第2無電解めっき処理を施す。これにより第2めっき層21が形成され、表面に凹凸を有する反射電極5が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置などの表示装置に用いる反射電極の形成方法、並びにこの反射電極を備えた駆動基板および表示装置に関する。
【0002】
現在、モバイル機器などに使われている反射型液晶装置は、いわゆるバックライトを搭載した透過型液晶装置と異なり、周辺環境からの入射光を利用することによって表示が行われる。そのため、この周辺環境からの入射光をなるべくロスさせることなく観察者側に反射させる必要がある。
【0003】
反射型液晶装置に使用される反射層としては、液晶セル内拡散反射板方式、液晶セル外部反射板方式、前方散乱反射板方式などのものが知られているが、特に得られる表示特性が優れていることから液晶セル内拡散反射板方式を用いる場合が多い。
【0004】
この液晶セル内拡散反射板方式に用いられる反射電極は、画素電極であるアルミニウム(Al)あるいは銀(Ag)などの金属薄膜の表面形状を凹凸にすることにより得ることができる。具体的には以下の方法が挙げられる。すなわち、例えば基板上にTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)を作製した後、このTFT上に層間絶縁膜を形成し、その層間絶縁膜の表面をフォトリソグラフィ法を用いたパターニングしたのち、熱処理を施すことにより凹凸を形成する。そののち、基板全面に反射電極となる金属薄膜を真空成膜によって形成し、この金属薄膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングする(特許文献1,2)。また、次のような方法もある。この方法では、基板上にTFTを作製した後、このTFT上に層間絶縁膜を間にして樹脂膜を形成し、この樹脂膜をフォトリソグラフィ法により縞状にパターニングし、このパターニングされた樹脂膜を熱処理プロセスを経て変形させる。そののち、変形させた樹脂膜上に、更に樹脂を塗布することでなだらかな凹凸表面を形成し、基板全面に反射電極となる金属薄膜を真空成膜によって形成した後、フォトリソグラフィ法によりこの金属薄膜をパターニングする(特許文献3)。
【0005】
これらの方法は、電極表面を直接にサンドブラスト法などで粗面化する方法や二酸化ケイ素(SiO2)などをテーパーエッチングした後、金属薄膜を形成する方法などと比較して、素子のプロセスダメージがないという利点がある。また、なだらかな形状を制御しやすいことから広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3895059号公報
【特許文献2】特許第3866522号公報
【特許文献3】特開2002−229060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の方法では、層間絶縁膜の形状制御や金属材料成膜後のパターニングのために、レジスト(感光性樹脂)材料を用いたフォトリソグラフィ法を利用する必要があり、この手法では工程数が増加してしまうという問題がある。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な工程で形成することが可能な反射電極の形成方法、並びにこの反射電極を用いた駆動基板および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による反射電極の形成方法は、以下の(A1)〜(D1)の工程を含むものである。
(A1)電極形成領域を有する基板の電極形成領域のうちの第1領域に第1触媒層を形成する工程
(B1)第1無電解めっき処理を施すことにより前記第1触媒層に第1めっき層を形成する工程
(C1)少なくとも前記電極形成領域の前記第1領域以外の領域(第2領域)に第2触媒層を形成する工程
(D1)第2無電解めっき処理を施すことにより前記第2触媒層に第2めっき層を形成し、表面に凹凸を有する反射電極を形成する工程
【0010】
本発明の駆動基板は、電極形成領域に、表面に凹凸を有する反射電極を備えた基板を含み、反射電極が以下(A2)〜(D2)の構成要素を備えたものである。
(A2)電極形成領域のうちの第1領域に設けられた第1触媒層と、
(B2)第1触媒層に形成された第1めっき層と、
(C2)少なくとも前記電極形成領域の前記第1領域以外の領域(第2領域)に設けられた第2触媒層
(D2)第2触媒層に形成された第2めっき層
【0011】
本発明の表示装置は、電極形成領域に反射電極を有する駆動基板と、上記反射電極により反射された入射光を用いて表示を行う表示部とを備えたものである。
【0012】
この表示装置においては、外部からの入射光は、第1および第2めっき層により形成された反射電極の凹凸部分により効率良く反射され、液晶層等の表示部側に送られ、これにより表示が行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の反射電極の形成方法によれば、基板上の電極形成領域のうちの第1領域に対して選択的に第1無電解めっき処理を施すことにより第1めっき層を形成したのち、残りの第2領域に対して第2無電解めっき処理を施すようにしたので、所望の領域に凹凸を有する反射電極を形成することができる。よって、従来のフォトリソグラフィ法を用いた場合と比較して簡易な工程で反射電極を形成することができる。また、感光性樹脂の使用量を抑えることができ、コストを低減させることが可能となる。従って、この方法を用いることにより安価な駆動基板および表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した反射電極の形成方法を工程順に表す断面図である。
【図3】図2に続く工程を表す断面図である。
【図4】図3に続く工程を表す断面図である。
【図5】第2の実施の形態に係る反射電極の形成工程を表す断面図である。
【図6】第3の実施の形態に係る反射電極の形成工程を表す断面図である。
【図7】第4の実施の形態に係る反射電極の形成工程を表す断面図である。
【図8】触媒層の形成領域の例を表す図である。
【図9】パターニングした金属パターンの例を表す図である。
【図10】本発明の反射電極の形成方法による段差構造(A)と従来のフォトリソグラフィ法を用いて形成した段差構造(B)を表す図である。
【図11】比較例1の反射電極の形成方法を工程順に表す断面図である。
【図12】比較例2の反射電極の形成方法を工程順に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
(1)液晶表示装置の全体構成
(2)反射電極の形成方法1(第1めっき層と第2めっき層との間に第2触媒層が介在する例)
2.第2の実施の形態(第1めっき層と第2めっき層との間に第2触媒層が介在しない例)
3.第3の実施の形態(第3めっき層(Ag層)を有する例)
4.第4の実施の形態(同上)
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る液晶セル内拡散反射板方式の液晶表示装置の断面構成を表すものである。この液晶表示装置は、駆動基板1と対向基板2との間に液晶層3を備えている。駆動基板1は、基板10上に例えば逆スタガ構造のa−Si TFTを含むアクティブマトリクス素子4および反射電極5を有している。
【0017】
より具体的には、基板10上にはゲート電極11、絶縁膜12、半導体層(チャネル)13およびソース・ドレイン電極14がこの順に形成され、これらソース・ドレイン電極14上に保護膜15および層間絶縁膜16が形成されている。層間絶縁膜16にはコンタクトホール16Aが形成されており、このコンタクトホール16Aの内部(底部および側壁)並びに層間絶縁膜16上には密着層17を介して反射電極5が形成されている。反射電極5は、本実施の形態では後述のように無電解めっき法を用いて形成されたものであり、第1触媒層18、第1めっき層19、第2触媒層20および第2めっき層21により構成されている。
【0018】
基板10は、例えば、シリコン、合成石英、ガラス、金属、樹脂または樹脂フィルムなどの材料から構成されている。ゲート電極11は、例えば、クロム(Cr)やモリブデン(Mo)などの材料から形成され、絶縁膜12は、例えば、酸化シリコン(SiOx)や窒化シリコン(SiNx)などの材料から形成されている。半導体層13はa−Si(非晶質シリコン)などの半導体材料、ソース・ドレイン電極14は、例えばアルミニウム(Al)などの金属材料によりそれぞれ形成されている。保護膜15は例えば窒化ケイ素(SiNx)などの絶縁材料により形成されている。層間絶縁膜16は、絶縁膜12と同様にSiNxなどの材料により形成されているが、低誘電率、耐熱性、機械強度、さらに配線金属の拡散を防止する効果等を有する材料であればよい。
【0019】
密着層17は、第1触媒層18および第2触媒層20の層間絶縁膜16に対する密着性を高めるものである。この密着層17の構成材料としては、シラン系カップリング剤、例えば、アミノ系シラン化合物、メルカプト系シラン化合物、フェニル系シラン化合物、アルキル系シラン化合物などの化合物のうち少なくとも1つ以上を含んだものが挙げられる。密着層17としては第1触媒層18および第2触媒層20および層間絶縁膜16を構成する材料に応じて適切なものを選択すればよい。なお、シランカップリング剤として、具体的には、例えば信越化学工業(株)製のKBM−603(N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン)(商品名)を用いることができる。
【0020】
本実施の形態では、層間絶縁膜16の表面およびコンタクトホール16Aの内部領域が電極形成領域となっており、この電極形成領域に、表面に凹凸を有する反射電極5が形成されている。反射電極5のうち第1触媒層18は、層間絶縁膜16上に所定のパターンで分散して設けられている。なお、この第1触媒層18は、ここでは断面形状は複数に分離されているが、その平面形状は例えば図7(A)に示したような網目状のパターンとなっている。このパターンの形状は任意であり、例えば縞状でもよく、あるいは島状となっていてもよい。なお、ここでは電極形成領域のうち、第1触媒層18のパターンが形成される領域を第1領域、第1領域を除く他の領域を第2領域と称する。
【0021】
第1触媒層18の厚みは例えば数nm〜10nm程度である。なお、この第1触媒層18は、パターニング精度、密着層17との密着性、材料の使用量などから考えると、無電解めっき触媒として機能するものである限り、薄い方が好ましい。第2触媒層20は、層間絶縁膜16上の第1めっき層19上、および第1触媒層18間の領域(第2領域)における密着層17上に、第1触媒層18と同様に設けられている。第1触媒層18および第2触媒層20は、それぞれ後述の無電解めっき処理の触媒材料、例えばパラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)などのうち少なくとも1種を含んで構成されている。
【0022】
第1めっき層19は、パターニングされた第1触媒層18を基に成長したものであり、例えば数十nm〜数百nmの厚みを有する。第2めっき層21は、第1触媒層18上に形成された第1めっき層19と第2触媒層20とを覆うように形成され、例えば数百nmの厚みを有している。第1めっき層19および第2めっき層21は、それぞれ後述の無電解めっき処理により析出されるめっき層である。
【0023】
このような第1めっき層19および第2めっき層21を構成する無電解めっき材料としては、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、白金(Pt)、インジウム(In)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)などの金属単体を用いることができる。加えて、これらの金属と共析可能な金属、例えばリン(P)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、タングステン(W)、レニウム(Re)、チタン(Ti)、硫黄(S)、バナジウム(V)などをさらに用いるようにしてもよい。
【0024】
但し、第1めっき層19および第2めっき層21の構成材料は、無電解めっき処理の触媒として機能する第1触媒層18および第2触媒層20の構成材料との関係によって適宜選択される。
【0025】
なお、このような反射電極5の構成は、次に示した(1)〜(5)のいずれかの方法により、容易に特定することができる。
(1)反射電極5の断面形状を、例えば走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により観察する。
(2)反射電極5の断面を、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により観察し、無電解めっき処理の触媒材料(第1触媒層18および第2触媒層20)を検出する。
(3)反射電極5に共析可能な金属が含まれているかどうかを、例えばSIMS(Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometer)、X線光電子分光法(XPS:X-rayPhotoelectron Spectroscopy)などにより検出する。例えば、第1めっき層19および第2めっき層21がニッケルを含んで構成されている場合には、これに加えてホウ素やリンなどが含まれているかどうかを検出する。
(4)反射電極5中に、無電解めっき処理で使用される有機化合物などの添加剤が含まれているかを、例えばSIMSにより検出する。
(5)表面の粗さを、例えば原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope )、触針計などにより観察する。但し、無電解めっき処理の後に何らかの表面処理を行っている場合には、評価は困難である。
【0026】
因みに、図9は、本実施の形態の反射電極5の金属パターンの一例をシミュレーションしたものである。また、図10は、本実施の形態の2段階めっき法を用いた場合(A)と、めっき層を形成したのち、フォトリソグラフィとエッチングを用いてパターニングした場合(B)の段差の形状をSEMによって観察したものである。(A)では段差の側面も上部から連続した膜となっているのに対して、(B)ではエッチングされた側面が上部との表面と連続していないことがわかる。
【0027】
対向基板2は、例えばガラス基板22上に偏光板23、位相差板24、カラーフィルタ25および透明電極(共通電極)26を有するものである。
【0028】
[製造方法]
次に、図2〜図5を参照して上記反射電極5を備えた駆動基板1の製造方法を説明する。
【0029】
(1.TFTの形成)
まず、図2(A)に示したように上述の材料よりなる基板10上にCr,Moなどの金属を例えばスパッタリング法により成膜し、この金属膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングすることによりゲート電極11を形成する。
【0030】
続いて、図2(B)〜(E)に示したように、例えばSiNxからなるゲート絶縁膜12を形成したのち、半導体層13として、チャネルとなるa−Si層およびソース・ドレイン電極14とのコンタクト層(図示せず)となるn+a−Si層を連続成膜する。続いて、この半導体層13を、レジストマスクを用いたエッチングにより島状にパターニングする。更に、ソース・ドレイン電極14となる金属(例えばAl)を真空プロセスにより成膜したのち、この金属膜を、レジストマスクを用いたエッチングにより所望の形状にパターニングし、TFTのソース・ドレイン電極14とする。
【0031】
(2.層間絶縁膜16および密着層17の形成)
次に、図3(A),(B)に示したように、半導体層13中のn+a−Si層をエッチングし(図示せず)、例えばSiNxからなる保護膜15を形成したのち、例えばSiNxからなる層間絶縁膜16を形成する。続いて、図3(C)に示したように、層間絶縁膜16をフォトリソグラフィ法によってパターニングし、コンタクトホール16Aを形成する。次いで、図3(D)に示したように、層間絶縁膜16の表面に、上述の材料よりなるシランカップリング剤を用いた気相法やスピンコート法によって表面処理を施すことにより密着層17を形成する。なお、スピンコート法を用いた場合は、シランカップリング剤を溶媒で希釈して使用し、処理後に大気中で、例えば5分間以上、120℃に加熱するとよい。また、気相法を用いた場合には、TFTが形成された基板10とシランカップリング剤をテフロン(登録商標)製の容器に入れ、大気中で、容器全体を例えば12時間程度、120℃で処理する。なお、気相法によるシラン化合物層を基板上に形成したのち、余分なシラン化合物を除去するためにエタノールやイソプロピルアルコール(IPA)などの溶剤を用いて超音波洗浄を行い、乾燥させてもよい。
【0032】
(3.反射電極5の形成)
次に、図4(A)に示したように、例えば反転オフセット法によるパターニングにより数十nm程度の厚みの第1触媒層18を形成したのち、無電解めっき液に浸漬し、第1めっき層19を形成する。なお、パターニング方法としてはこれに限ったものではなく、第1めっき層19を形成したい部分にパターニングできる方法であれば、凸版印刷など種々の印刷やパターニング法を用いることができる。めっき液としては、例えばニッケル(Ni)をめっき層として析出させる場合には、例えば上村工業社製のNi−B成膜用めっき液BEL−801(商品名)を用いることができる。めっき浴の温度は例えば60℃とし、浸漬時間は所望の膜厚によって適宜設定する。また、成膜レートは例えば100nm/分とする。
【0033】
最後に、図4(B)に示したように、第2めっき層21を形成する。すなわち、まず、上述の第1触媒層18と同様に、例えば反転オフセット法により、第2触媒層20を、基板10の表面全面(第1めっき層19上および密着層17上)に形成する。次いで、無電解めっき液に浸漬することにより、第2触媒層20に基づき第2めっき層21を形成する。これにより表面に凹凸を有する反射電極5が形成される。このとき、めっき浴と同程度の温度の温水で基板10を暖めてからめっき浴に浸漬することが好ましい。これにより、成膜されためっき層の応力によってめっき層が剥離することを防ぐことができる。因みに、この場合の第2触媒層20のパターンは、例えば図7(B)に示したようになる。
【0034】
この反射電極5を備えた駆動基板1は、別途作製された対向基板2と対向させて封止されたのち、これら駆動基板1と対向基板2との間に液晶が注入されて液晶層3が形成される。これにより図1に示した液晶表示装置が完成する。
【0035】
この液晶表示装置においては、外部(周辺環境)からの入射光が第1めっき層19および第2めっき層21により形成された反射電極5の凹凸部分により効率良く液晶層3側に反射(乱反射)され、これにより表示が行われる。
【0036】
[第2の実施の形態]
(反射電極5の他の構成例)
上記第1の実施の形態においては、第1めっき層19上に第2触媒層20が形成されているので、第2触媒層20の厚さや、使用する無電解めっき液、プロセス条件によっては、第1めっき層19と第2めっき層21との密着性が損なわれる可能性がある。
【0037】
本実施の形態は、この第1めっき層19と第2めっき層21との密着性を改善するものである。なお、図2〜図4(B)までの工程は第1の実施の形態と共通するので、その説明は省略する。本実施の形態では、図4(B)に示したように第1触媒層18上に第1めっき層19を形成したのち、第2触媒層20を、図5に示したように第1触媒層18間の領域(第2領域)の密着層17上に形成する。すなわち、第2触媒層20を第1めっき層19上には形成することなく、第1めっき層19間の第2領域のみに形成する。これにより、第1触媒層18および第2触媒層20はそれぞれ密着層17に接触し、かつ第1めっき層19と第2めっき層21との間には第2触媒層20が介在することがなくなる。その結果、第1めっき層19と第2めっき層21との密着力が向上する。
【0038】
なお、反射電極5の断面は、第1触媒層18および第2触媒層20の各パターン形状と、第1めっき層19および第2めっき層21の各成膜時間を制御することにより所望の形状とすることができる。また、第2めっき層21を形成したのち、真空中、例えば200℃で熱処理することによって第2めっき層21の抵抗値が下がり、電極として使用可能となる。さらに、第2めっき層21は、第1めっき層19を触媒として析出される、いわゆる自己触媒型のめっき層となっている。
【0039】
次に、比較例1,2を参照して上記反射電極5およびその形成方法による作用・効果について説明する。
【0040】
図11は、比較例1としての反射電極100の形成方法を表すものである。なお、上記実施の形態と同一構成要素については同一符号を付すと共に、ゲート電極11から層間絶縁膜16を形成するまでの工程(図2〜図3(D))は上記実施の形態と共通するためその説明は省略する。
【0041】
この比較例1においては、図3(D)の工程で形成された層間絶縁膜16に対して図11(A)に示したようにフォトリソグラフィ法によってフォトレジスト膜(図示せず)を塗布形成したのち選択的にエッチングし、パターニングする。続いて、図11(B)に示したように熱処理により溶融し、更に図11(C)に示したように第2層間絶縁膜101を形成したのちコンタクトホール101Aを形成する。次に、図11(D)に示したように第2層間絶縁膜101上に真空蒸着法またはスパッタ法により金属膜を形成したのち、この金属膜をパターニングして反射電極100を形成する。
【0042】
比較例2は、層間絶縁膜16のパターニングを図12(A)〜(C)に示したようにハーフトーンマスク(または2段階露光)を用いたフォトリソグラフィ法によって行うものである。すなわち、層間絶縁膜16にコンタクトホール16Aと共に深さの異なる凹凸部201を形成する。その後の工程は比較例1と同様である。
【0043】
このように比較例1,2による反射電極100の形成プロセスでは、2回乃至3回のフォトレジストを用いたエッチングなどの工程を経る必要があり、工程数が増加してしまう。加えて、フォトリソグラフィを行うごとにフォトレジストを消費するため、コストが高くなるという問題があった。
【0044】
これに対して、本実施の形態では、まず、駆動基板1上の所定の領域(第1領域)に、めっき層を形成するための第1触媒層18を形成して、この第1触媒層18上に第1無電解めっき処理を施すことにより第1めっき層19を形成する。その後、駆動基板1上の少なくとも第1触媒層18間の領域(第2領域)に第2触媒層20を形成し、この第2触媒層20上に第2無電解めっき処理を施すことにより第2めっき層21を形成する。これにより、所望の領域に凹凸を有する反射電極5を形成することができる。
【0045】
すなわち、本実施の形態では、2段階の無電解めっき処理によって、反射電極5の凹凸形状をエッチングなどの工程を経ることなく形成するものである。従って、比較例1,2のようにフォトリソグラフィ法を用いた場合と比較して、成膜後のパターニング工程が不要となり、簡易な工程で反射電極に凹凸形状を形成することが可能となる。加えて、感光性樹脂(レジスト)の使用量を抑えることができるためコストを低減することができると共に、エッチング液やエッチングガスなどを使用しないことから、環境負荷を減らすることも可能となる。
【0046】
また、本実施の形態では、第1触媒層18、第2触媒層20、第1めっき層19および第2めっき層21厚み等を適宜設定することにより、反射電極5に対して所望の凹凸形状を容易に形成することができる。
【0047】
上記実施の形態では第1めっき層19および第2めっき層21としてNi−B層を形成したが、その表面により光反射率のよい金属、例えばAg層を形成することにより、反射電極5の反射率を向上させることができる。以下、その例について説明する。
【0048】
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、図6(A)に示した反射電極5(すなわち第1の実施の形態(図4(B))の第2めっき層21(Ni−B層)の上に、図6(B)に示したように、無電解Agめっきにより第3めっき層27(Ag層)を形成する。Agめっきは例えば、ワールドメタル製「シルバー7」を用いることにより可能である。
【0049】
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、図7(A)に示した反射電極5(すなわち第2の実施の形態(図5)の第2めっき層21(Ni−B層)の上に、図7(B)に示したように、無電解Agめっきにより第3めっき層28(Ag層)を形成する。第3めっき層28は、第2めっき層21を形成後、水洗した後に95℃に加熱したシルバー7めっき液に浸漬させて形成する。また、第3めっき層28を形成する場合は、第2めっき層21を形成するめっき液として例えば、ワールドメタル製のNi−Bめっき液である「ニボロンMF」を用いてもよい。
【0050】
(実施例)
以下、具体的な実施例について説明する。
【0051】
まず、基板10上にゲート電極11となる金属(Cr)をスパッタリング法により成膜し、フォトリソグラフィ法によりゲート電極11のパターニングを行った。次に、ゲート絶縁膜12となる材料(SiNx)を成膜し、さらに半導体層13としてa−Si層(チャネル)と、ソース・ドレイン電極14とのコンタクト層(図示せず)となるn+a−Si層を連続成膜した。続いて、成膜された半導体層13を、レジストマスクを用いたエッチングにより島状にパターニングした。次に、ソース・ドレイン電極14となる金属(例えばAl)を真空プロセスにより成膜後、レジストマスクを用いたエッチングにより所望の形状にパターニングし、ソース・ドレイン電極14とした。次に、a−Si層の上に成膜したn+a−Si層をエッチングし(図示せず)、保護膜15(SiNx)を形成したのち、その上に層間絶縁膜16(SiNx)を形成した。
【0052】
続いて、層間絶縁膜16をフォトリソグラフィー法によってパターニングし、TFTのコンタクトホール16Aとなる部分に凹部を形成したのち、層間絶縁膜16の表面に、上述の材料よりなるシランカップリング剤を用いたスピンコート法によって表面処理を施すことにより密着層17を形成した。このときシランカップリング剤を溶媒で希釈して使用し、処理後に大気中で、5分間以上、120℃に加熱した。密着層17となるアミノ系シランカップリング剤は、信越化学工業株式会社のKBM−603(製品名)を用いた。なお、気相法によるシラン化合物層を基板上へ形成後、余分なシラン化合物を除去するためにエタノールやイソプロピルアルコール(IPA)などの溶剤を用いて超音波洗浄を行い、乾燥させた。
【0053】
次に、触媒としてパラジウム微粒子を用いて第1触媒層18を、反転オフセット法によるパターニングにより形成したのち、これを無電解めっき液に浸漬し、第1めっき層19を形成した。めっき液は、上村工業社製のNi−B成膜用めっき液BEL−801(商品名)を用いた。めっき浴の温度は60℃とし、3分間浸漬させることで、およそ450nmの厚さのNi−Bめっき層を形成した。次に、第2めっき層21を形成した。まず、上述の第1触媒層18と同様に、反転オフセット法により第2触媒層20を第1めっき層19および密着層17上に形成し、無電解めっき液に2分間浸漬させることで必要な領域に、約200nmの第2めっき層21を形成した。このプロセスにより凹部と凸部の段差が約450nmの反射電極5を形成した。なお、第1めっき層19を形成したのち、真空中、200℃で熱処理を施すことによって第1めっき層19の抵抗値を下げた。
【0054】
以上、第1〜4の実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、ソース・ドレイン電極14とのコンタクト性が問題となる場合には、密着層17を形成することなく、層間絶縁膜16上に直接にめっき層を形成してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態においては第1めっき層19および第2めっき層21を同種金属(例えばNi−B)により形成するようにしているが、互いに異なる金属材料により形成するようにしてもよい。例えば、第2めっき層21をAg、第1めっき層19を他の金属(Ni等)により形成するようにしてもよい。
【0056】
加えて、上記実施の形態等では、バックライトからの照明光ではなく反射電極において反射させた光を利用して表示を行う反射型の液晶ディスプレイを例に挙げて説明したが、本発明の表示装置はこれに限定されない。例えば、有効表示領域の一部の領域にのみ反射電極を配設すると共に、液晶パネルの背面にバックライトを設けることにより、外光による反射光とバックライトからの照明光とを併用して表示を行う、いわゆる半透過型の液晶ディスプレイであってもよい。
【0057】
更に、上記実施の形態等において説明した各構成要素の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料・厚みとしてもよく、また他の成膜方法および成膜条件を用いてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…駆動基板、2…対向基板、3…液晶層、4…アクティブマトリクス素子、5…反射電極、10…基板、11…ゲート電極、12…ゲート絶縁膜、13…半導体層(チャネル)、14…ソース・ドレイン電極、15…保護膜、16…層間絶縁膜、16A…コンタクトホール、17…密着層、18…第1触媒層、19…第1めっき層、20…第2触媒層、21…第2めっき層
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置などの表示装置に用いる反射電極の形成方法、並びにこの反射電極を備えた駆動基板および表示装置に関する。
【0002】
現在、モバイル機器などに使われている反射型液晶装置は、いわゆるバックライトを搭載した透過型液晶装置と異なり、周辺環境からの入射光を利用することによって表示が行われる。そのため、この周辺環境からの入射光をなるべくロスさせることなく観察者側に反射させる必要がある。
【0003】
反射型液晶装置に使用される反射層としては、液晶セル内拡散反射板方式、液晶セル外部反射板方式、前方散乱反射板方式などのものが知られているが、特に得られる表示特性が優れていることから液晶セル内拡散反射板方式を用いる場合が多い。
【0004】
この液晶セル内拡散反射板方式に用いられる反射電極は、画素電極であるアルミニウム(Al)あるいは銀(Ag)などの金属薄膜の表面形状を凹凸にすることにより得ることができる。具体的には以下の方法が挙げられる。すなわち、例えば基板上にTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)を作製した後、このTFT上に層間絶縁膜を形成し、その層間絶縁膜の表面をフォトリソグラフィ法を用いたパターニングしたのち、熱処理を施すことにより凹凸を形成する。そののち、基板全面に反射電極となる金属薄膜を真空成膜によって形成し、この金属薄膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングする(特許文献1,2)。また、次のような方法もある。この方法では、基板上にTFTを作製した後、このTFT上に層間絶縁膜を間にして樹脂膜を形成し、この樹脂膜をフォトリソグラフィ法により縞状にパターニングし、このパターニングされた樹脂膜を熱処理プロセスを経て変形させる。そののち、変形させた樹脂膜上に、更に樹脂を塗布することでなだらかな凹凸表面を形成し、基板全面に反射電極となる金属薄膜を真空成膜によって形成した後、フォトリソグラフィ法によりこの金属薄膜をパターニングする(特許文献3)。
【0005】
これらの方法は、電極表面を直接にサンドブラスト法などで粗面化する方法や二酸化ケイ素(SiO2)などをテーパーエッチングした後、金属薄膜を形成する方法などと比較して、素子のプロセスダメージがないという利点がある。また、なだらかな形状を制御しやすいことから広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3895059号公報
【特許文献2】特許第3866522号公報
【特許文献3】特開2002−229060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の方法では、層間絶縁膜の形状制御や金属材料成膜後のパターニングのために、レジスト(感光性樹脂)材料を用いたフォトリソグラフィ法を利用する必要があり、この手法では工程数が増加してしまうという問題がある。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な工程で形成することが可能な反射電極の形成方法、並びにこの反射電極を用いた駆動基板および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による反射電極の形成方法は、以下の(A1)〜(D1)の工程を含むものである。
(A1)電極形成領域を有する基板の電極形成領域のうちの第1領域に第1触媒層を形成する工程
(B1)第1無電解めっき処理を施すことにより前記第1触媒層に第1めっき層を形成する工程
(C1)少なくとも前記電極形成領域の前記第1領域以外の領域(第2領域)に第2触媒層を形成する工程
(D1)第2無電解めっき処理を施すことにより前記第2触媒層に第2めっき層を形成し、表面に凹凸を有する反射電極を形成する工程
【0010】
本発明の駆動基板は、電極形成領域に、表面に凹凸を有する反射電極を備えた基板を含み、反射電極が以下(A2)〜(D2)の構成要素を備えたものである。
(A2)電極形成領域のうちの第1領域に設けられた第1触媒層と、
(B2)第1触媒層に形成された第1めっき層と、
(C2)少なくとも前記電極形成領域の前記第1領域以外の領域(第2領域)に設けられた第2触媒層
(D2)第2触媒層に形成された第2めっき層
【0011】
本発明の表示装置は、電極形成領域に反射電極を有する駆動基板と、上記反射電極により反射された入射光を用いて表示を行う表示部とを備えたものである。
【0012】
この表示装置においては、外部からの入射光は、第1および第2めっき層により形成された反射電極の凹凸部分により効率良く反射され、液晶層等の表示部側に送られ、これにより表示が行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の反射電極の形成方法によれば、基板上の電極形成領域のうちの第1領域に対して選択的に第1無電解めっき処理を施すことにより第1めっき層を形成したのち、残りの第2領域に対して第2無電解めっき処理を施すようにしたので、所望の領域に凹凸を有する反射電極を形成することができる。よって、従来のフォトリソグラフィ法を用いた場合と比較して簡易な工程で反射電極を形成することができる。また、感光性樹脂の使用量を抑えることができ、コストを低減させることが可能となる。従って、この方法を用いることにより安価な駆動基板および表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した反射電極の形成方法を工程順に表す断面図である。
【図3】図2に続く工程を表す断面図である。
【図4】図3に続く工程を表す断面図である。
【図5】第2の実施の形態に係る反射電極の形成工程を表す断面図である。
【図6】第3の実施の形態に係る反射電極の形成工程を表す断面図である。
【図7】第4の実施の形態に係る反射電極の形成工程を表す断面図である。
【図8】触媒層の形成領域の例を表す図である。
【図9】パターニングした金属パターンの例を表す図である。
【図10】本発明の反射電極の形成方法による段差構造(A)と従来のフォトリソグラフィ法を用いて形成した段差構造(B)を表す図である。
【図11】比較例1の反射電極の形成方法を工程順に表す断面図である。
【図12】比較例2の反射電極の形成方法を工程順に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
(1)液晶表示装置の全体構成
(2)反射電極の形成方法1(第1めっき層と第2めっき層との間に第2触媒層が介在する例)
2.第2の実施の形態(第1めっき層と第2めっき層との間に第2触媒層が介在しない例)
3.第3の実施の形態(第3めっき層(Ag層)を有する例)
4.第4の実施の形態(同上)
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る液晶セル内拡散反射板方式の液晶表示装置の断面構成を表すものである。この液晶表示装置は、駆動基板1と対向基板2との間に液晶層3を備えている。駆動基板1は、基板10上に例えば逆スタガ構造のa−Si TFTを含むアクティブマトリクス素子4および反射電極5を有している。
【0017】
より具体的には、基板10上にはゲート電極11、絶縁膜12、半導体層(チャネル)13およびソース・ドレイン電極14がこの順に形成され、これらソース・ドレイン電極14上に保護膜15および層間絶縁膜16が形成されている。層間絶縁膜16にはコンタクトホール16Aが形成されており、このコンタクトホール16Aの内部(底部および側壁)並びに層間絶縁膜16上には密着層17を介して反射電極5が形成されている。反射電極5は、本実施の形態では後述のように無電解めっき法を用いて形成されたものであり、第1触媒層18、第1めっき層19、第2触媒層20および第2めっき層21により構成されている。
【0018】
基板10は、例えば、シリコン、合成石英、ガラス、金属、樹脂または樹脂フィルムなどの材料から構成されている。ゲート電極11は、例えば、クロム(Cr)やモリブデン(Mo)などの材料から形成され、絶縁膜12は、例えば、酸化シリコン(SiOx)や窒化シリコン(SiNx)などの材料から形成されている。半導体層13はa−Si(非晶質シリコン)などの半導体材料、ソース・ドレイン電極14は、例えばアルミニウム(Al)などの金属材料によりそれぞれ形成されている。保護膜15は例えば窒化ケイ素(SiNx)などの絶縁材料により形成されている。層間絶縁膜16は、絶縁膜12と同様にSiNxなどの材料により形成されているが、低誘電率、耐熱性、機械強度、さらに配線金属の拡散を防止する効果等を有する材料であればよい。
【0019】
密着層17は、第1触媒層18および第2触媒層20の層間絶縁膜16に対する密着性を高めるものである。この密着層17の構成材料としては、シラン系カップリング剤、例えば、アミノ系シラン化合物、メルカプト系シラン化合物、フェニル系シラン化合物、アルキル系シラン化合物などの化合物のうち少なくとも1つ以上を含んだものが挙げられる。密着層17としては第1触媒層18および第2触媒層20および層間絶縁膜16を構成する材料に応じて適切なものを選択すればよい。なお、シランカップリング剤として、具体的には、例えば信越化学工業(株)製のKBM−603(N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン)(商品名)を用いることができる。
【0020】
本実施の形態では、層間絶縁膜16の表面およびコンタクトホール16Aの内部領域が電極形成領域となっており、この電極形成領域に、表面に凹凸を有する反射電極5が形成されている。反射電極5のうち第1触媒層18は、層間絶縁膜16上に所定のパターンで分散して設けられている。なお、この第1触媒層18は、ここでは断面形状は複数に分離されているが、その平面形状は例えば図7(A)に示したような網目状のパターンとなっている。このパターンの形状は任意であり、例えば縞状でもよく、あるいは島状となっていてもよい。なお、ここでは電極形成領域のうち、第1触媒層18のパターンが形成される領域を第1領域、第1領域を除く他の領域を第2領域と称する。
【0021】
第1触媒層18の厚みは例えば数nm〜10nm程度である。なお、この第1触媒層18は、パターニング精度、密着層17との密着性、材料の使用量などから考えると、無電解めっき触媒として機能するものである限り、薄い方が好ましい。第2触媒層20は、層間絶縁膜16上の第1めっき層19上、および第1触媒層18間の領域(第2領域)における密着層17上に、第1触媒層18と同様に設けられている。第1触媒層18および第2触媒層20は、それぞれ後述の無電解めっき処理の触媒材料、例えばパラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)などのうち少なくとも1種を含んで構成されている。
【0022】
第1めっき層19は、パターニングされた第1触媒層18を基に成長したものであり、例えば数十nm〜数百nmの厚みを有する。第2めっき層21は、第1触媒層18上に形成された第1めっき層19と第2触媒層20とを覆うように形成され、例えば数百nmの厚みを有している。第1めっき層19および第2めっき層21は、それぞれ後述の無電解めっき処理により析出されるめっき層である。
【0023】
このような第1めっき層19および第2めっき層21を構成する無電解めっき材料としては、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、白金(Pt)、インジウム(In)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)などの金属単体を用いることができる。加えて、これらの金属と共析可能な金属、例えばリン(P)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、タングステン(W)、レニウム(Re)、チタン(Ti)、硫黄(S)、バナジウム(V)などをさらに用いるようにしてもよい。
【0024】
但し、第1めっき層19および第2めっき層21の構成材料は、無電解めっき処理の触媒として機能する第1触媒層18および第2触媒層20の構成材料との関係によって適宜選択される。
【0025】
なお、このような反射電極5の構成は、次に示した(1)〜(5)のいずれかの方法により、容易に特定することができる。
(1)反射電極5の断面形状を、例えば走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により観察する。
(2)反射電極5の断面を、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により観察し、無電解めっき処理の触媒材料(第1触媒層18および第2触媒層20)を検出する。
(3)反射電極5に共析可能な金属が含まれているかどうかを、例えばSIMS(Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometer)、X線光電子分光法(XPS:X-rayPhotoelectron Spectroscopy)などにより検出する。例えば、第1めっき層19および第2めっき層21がニッケルを含んで構成されている場合には、これに加えてホウ素やリンなどが含まれているかどうかを検出する。
(4)反射電極5中に、無電解めっき処理で使用される有機化合物などの添加剤が含まれているかを、例えばSIMSにより検出する。
(5)表面の粗さを、例えば原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope )、触針計などにより観察する。但し、無電解めっき処理の後に何らかの表面処理を行っている場合には、評価は困難である。
【0026】
因みに、図9は、本実施の形態の反射電極5の金属パターンの一例をシミュレーションしたものである。また、図10は、本実施の形態の2段階めっき法を用いた場合(A)と、めっき層を形成したのち、フォトリソグラフィとエッチングを用いてパターニングした場合(B)の段差の形状をSEMによって観察したものである。(A)では段差の側面も上部から連続した膜となっているのに対して、(B)ではエッチングされた側面が上部との表面と連続していないことがわかる。
【0027】
対向基板2は、例えばガラス基板22上に偏光板23、位相差板24、カラーフィルタ25および透明電極(共通電極)26を有するものである。
【0028】
[製造方法]
次に、図2〜図5を参照して上記反射電極5を備えた駆動基板1の製造方法を説明する。
【0029】
(1.TFTの形成)
まず、図2(A)に示したように上述の材料よりなる基板10上にCr,Moなどの金属を例えばスパッタリング法により成膜し、この金属膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングすることによりゲート電極11を形成する。
【0030】
続いて、図2(B)〜(E)に示したように、例えばSiNxからなるゲート絶縁膜12を形成したのち、半導体層13として、チャネルとなるa−Si層およびソース・ドレイン電極14とのコンタクト層(図示せず)となるn+a−Si層を連続成膜する。続いて、この半導体層13を、レジストマスクを用いたエッチングにより島状にパターニングする。更に、ソース・ドレイン電極14となる金属(例えばAl)を真空プロセスにより成膜したのち、この金属膜を、レジストマスクを用いたエッチングにより所望の形状にパターニングし、TFTのソース・ドレイン電極14とする。
【0031】
(2.層間絶縁膜16および密着層17の形成)
次に、図3(A),(B)に示したように、半導体層13中のn+a−Si層をエッチングし(図示せず)、例えばSiNxからなる保護膜15を形成したのち、例えばSiNxからなる層間絶縁膜16を形成する。続いて、図3(C)に示したように、層間絶縁膜16をフォトリソグラフィ法によってパターニングし、コンタクトホール16Aを形成する。次いで、図3(D)に示したように、層間絶縁膜16の表面に、上述の材料よりなるシランカップリング剤を用いた気相法やスピンコート法によって表面処理を施すことにより密着層17を形成する。なお、スピンコート法を用いた場合は、シランカップリング剤を溶媒で希釈して使用し、処理後に大気中で、例えば5分間以上、120℃に加熱するとよい。また、気相法を用いた場合には、TFTが形成された基板10とシランカップリング剤をテフロン(登録商標)製の容器に入れ、大気中で、容器全体を例えば12時間程度、120℃で処理する。なお、気相法によるシラン化合物層を基板上に形成したのち、余分なシラン化合物を除去するためにエタノールやイソプロピルアルコール(IPA)などの溶剤を用いて超音波洗浄を行い、乾燥させてもよい。
【0032】
(3.反射電極5の形成)
次に、図4(A)に示したように、例えば反転オフセット法によるパターニングにより数十nm程度の厚みの第1触媒層18を形成したのち、無電解めっき液に浸漬し、第1めっき層19を形成する。なお、パターニング方法としてはこれに限ったものではなく、第1めっき層19を形成したい部分にパターニングできる方法であれば、凸版印刷など種々の印刷やパターニング法を用いることができる。めっき液としては、例えばニッケル(Ni)をめっき層として析出させる場合には、例えば上村工業社製のNi−B成膜用めっき液BEL−801(商品名)を用いることができる。めっき浴の温度は例えば60℃とし、浸漬時間は所望の膜厚によって適宜設定する。また、成膜レートは例えば100nm/分とする。
【0033】
最後に、図4(B)に示したように、第2めっき層21を形成する。すなわち、まず、上述の第1触媒層18と同様に、例えば反転オフセット法により、第2触媒層20を、基板10の表面全面(第1めっき層19上および密着層17上)に形成する。次いで、無電解めっき液に浸漬することにより、第2触媒層20に基づき第2めっき層21を形成する。これにより表面に凹凸を有する反射電極5が形成される。このとき、めっき浴と同程度の温度の温水で基板10を暖めてからめっき浴に浸漬することが好ましい。これにより、成膜されためっき層の応力によってめっき層が剥離することを防ぐことができる。因みに、この場合の第2触媒層20のパターンは、例えば図7(B)に示したようになる。
【0034】
この反射電極5を備えた駆動基板1は、別途作製された対向基板2と対向させて封止されたのち、これら駆動基板1と対向基板2との間に液晶が注入されて液晶層3が形成される。これにより図1に示した液晶表示装置が完成する。
【0035】
この液晶表示装置においては、外部(周辺環境)からの入射光が第1めっき層19および第2めっき層21により形成された反射電極5の凹凸部分により効率良く液晶層3側に反射(乱反射)され、これにより表示が行われる。
【0036】
[第2の実施の形態]
(反射電極5の他の構成例)
上記第1の実施の形態においては、第1めっき層19上に第2触媒層20が形成されているので、第2触媒層20の厚さや、使用する無電解めっき液、プロセス条件によっては、第1めっき層19と第2めっき層21との密着性が損なわれる可能性がある。
【0037】
本実施の形態は、この第1めっき層19と第2めっき層21との密着性を改善するものである。なお、図2〜図4(B)までの工程は第1の実施の形態と共通するので、その説明は省略する。本実施の形態では、図4(B)に示したように第1触媒層18上に第1めっき層19を形成したのち、第2触媒層20を、図5に示したように第1触媒層18間の領域(第2領域)の密着層17上に形成する。すなわち、第2触媒層20を第1めっき層19上には形成することなく、第1めっき層19間の第2領域のみに形成する。これにより、第1触媒層18および第2触媒層20はそれぞれ密着層17に接触し、かつ第1めっき層19と第2めっき層21との間には第2触媒層20が介在することがなくなる。その結果、第1めっき層19と第2めっき層21との密着力が向上する。
【0038】
なお、反射電極5の断面は、第1触媒層18および第2触媒層20の各パターン形状と、第1めっき層19および第2めっき層21の各成膜時間を制御することにより所望の形状とすることができる。また、第2めっき層21を形成したのち、真空中、例えば200℃で熱処理することによって第2めっき層21の抵抗値が下がり、電極として使用可能となる。さらに、第2めっき層21は、第1めっき層19を触媒として析出される、いわゆる自己触媒型のめっき層となっている。
【0039】
次に、比較例1,2を参照して上記反射電極5およびその形成方法による作用・効果について説明する。
【0040】
図11は、比較例1としての反射電極100の形成方法を表すものである。なお、上記実施の形態と同一構成要素については同一符号を付すと共に、ゲート電極11から層間絶縁膜16を形成するまでの工程(図2〜図3(D))は上記実施の形態と共通するためその説明は省略する。
【0041】
この比較例1においては、図3(D)の工程で形成された層間絶縁膜16に対して図11(A)に示したようにフォトリソグラフィ法によってフォトレジスト膜(図示せず)を塗布形成したのち選択的にエッチングし、パターニングする。続いて、図11(B)に示したように熱処理により溶融し、更に図11(C)に示したように第2層間絶縁膜101を形成したのちコンタクトホール101Aを形成する。次に、図11(D)に示したように第2層間絶縁膜101上に真空蒸着法またはスパッタ法により金属膜を形成したのち、この金属膜をパターニングして反射電極100を形成する。
【0042】
比較例2は、層間絶縁膜16のパターニングを図12(A)〜(C)に示したようにハーフトーンマスク(または2段階露光)を用いたフォトリソグラフィ法によって行うものである。すなわち、層間絶縁膜16にコンタクトホール16Aと共に深さの異なる凹凸部201を形成する。その後の工程は比較例1と同様である。
【0043】
このように比較例1,2による反射電極100の形成プロセスでは、2回乃至3回のフォトレジストを用いたエッチングなどの工程を経る必要があり、工程数が増加してしまう。加えて、フォトリソグラフィを行うごとにフォトレジストを消費するため、コストが高くなるという問題があった。
【0044】
これに対して、本実施の形態では、まず、駆動基板1上の所定の領域(第1領域)に、めっき層を形成するための第1触媒層18を形成して、この第1触媒層18上に第1無電解めっき処理を施すことにより第1めっき層19を形成する。その後、駆動基板1上の少なくとも第1触媒層18間の領域(第2領域)に第2触媒層20を形成し、この第2触媒層20上に第2無電解めっき処理を施すことにより第2めっき層21を形成する。これにより、所望の領域に凹凸を有する反射電極5を形成することができる。
【0045】
すなわち、本実施の形態では、2段階の無電解めっき処理によって、反射電極5の凹凸形状をエッチングなどの工程を経ることなく形成するものである。従って、比較例1,2のようにフォトリソグラフィ法を用いた場合と比較して、成膜後のパターニング工程が不要となり、簡易な工程で反射電極に凹凸形状を形成することが可能となる。加えて、感光性樹脂(レジスト)の使用量を抑えることができるためコストを低減することができると共に、エッチング液やエッチングガスなどを使用しないことから、環境負荷を減らすることも可能となる。
【0046】
また、本実施の形態では、第1触媒層18、第2触媒層20、第1めっき層19および第2めっき層21厚み等を適宜設定することにより、反射電極5に対して所望の凹凸形状を容易に形成することができる。
【0047】
上記実施の形態では第1めっき層19および第2めっき層21としてNi−B層を形成したが、その表面により光反射率のよい金属、例えばAg層を形成することにより、反射電極5の反射率を向上させることができる。以下、その例について説明する。
【0048】
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、図6(A)に示した反射電極5(すなわち第1の実施の形態(図4(B))の第2めっき層21(Ni−B層)の上に、図6(B)に示したように、無電解Agめっきにより第3めっき層27(Ag層)を形成する。Agめっきは例えば、ワールドメタル製「シルバー7」を用いることにより可能である。
【0049】
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、図7(A)に示した反射電極5(すなわち第2の実施の形態(図5)の第2めっき層21(Ni−B層)の上に、図7(B)に示したように、無電解Agめっきにより第3めっき層28(Ag層)を形成する。第3めっき層28は、第2めっき層21を形成後、水洗した後に95℃に加熱したシルバー7めっき液に浸漬させて形成する。また、第3めっき層28を形成する場合は、第2めっき層21を形成するめっき液として例えば、ワールドメタル製のNi−Bめっき液である「ニボロンMF」を用いてもよい。
【0050】
(実施例)
以下、具体的な実施例について説明する。
【0051】
まず、基板10上にゲート電極11となる金属(Cr)をスパッタリング法により成膜し、フォトリソグラフィ法によりゲート電極11のパターニングを行った。次に、ゲート絶縁膜12となる材料(SiNx)を成膜し、さらに半導体層13としてa−Si層(チャネル)と、ソース・ドレイン電極14とのコンタクト層(図示せず)となるn+a−Si層を連続成膜した。続いて、成膜された半導体層13を、レジストマスクを用いたエッチングにより島状にパターニングした。次に、ソース・ドレイン電極14となる金属(例えばAl)を真空プロセスにより成膜後、レジストマスクを用いたエッチングにより所望の形状にパターニングし、ソース・ドレイン電極14とした。次に、a−Si層の上に成膜したn+a−Si層をエッチングし(図示せず)、保護膜15(SiNx)を形成したのち、その上に層間絶縁膜16(SiNx)を形成した。
【0052】
続いて、層間絶縁膜16をフォトリソグラフィー法によってパターニングし、TFTのコンタクトホール16Aとなる部分に凹部を形成したのち、層間絶縁膜16の表面に、上述の材料よりなるシランカップリング剤を用いたスピンコート法によって表面処理を施すことにより密着層17を形成した。このときシランカップリング剤を溶媒で希釈して使用し、処理後に大気中で、5分間以上、120℃に加熱した。密着層17となるアミノ系シランカップリング剤は、信越化学工業株式会社のKBM−603(製品名)を用いた。なお、気相法によるシラン化合物層を基板上へ形成後、余分なシラン化合物を除去するためにエタノールやイソプロピルアルコール(IPA)などの溶剤を用いて超音波洗浄を行い、乾燥させた。
【0053】
次に、触媒としてパラジウム微粒子を用いて第1触媒層18を、反転オフセット法によるパターニングにより形成したのち、これを無電解めっき液に浸漬し、第1めっき層19を形成した。めっき液は、上村工業社製のNi−B成膜用めっき液BEL−801(商品名)を用いた。めっき浴の温度は60℃とし、3分間浸漬させることで、およそ450nmの厚さのNi−Bめっき層を形成した。次に、第2めっき層21を形成した。まず、上述の第1触媒層18と同様に、反転オフセット法により第2触媒層20を第1めっき層19および密着層17上に形成し、無電解めっき液に2分間浸漬させることで必要な領域に、約200nmの第2めっき層21を形成した。このプロセスにより凹部と凸部の段差が約450nmの反射電極5を形成した。なお、第1めっき層19を形成したのち、真空中、200℃で熱処理を施すことによって第1めっき層19の抵抗値を下げた。
【0054】
以上、第1〜4の実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、ソース・ドレイン電極14とのコンタクト性が問題となる場合には、密着層17を形成することなく、層間絶縁膜16上に直接にめっき層を形成してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態においては第1めっき層19および第2めっき層21を同種金属(例えばNi−B)により形成するようにしているが、互いに異なる金属材料により形成するようにしてもよい。例えば、第2めっき層21をAg、第1めっき層19を他の金属(Ni等)により形成するようにしてもよい。
【0056】
加えて、上記実施の形態等では、バックライトからの照明光ではなく反射電極において反射させた光を利用して表示を行う反射型の液晶ディスプレイを例に挙げて説明したが、本発明の表示装置はこれに限定されない。例えば、有効表示領域の一部の領域にのみ反射電極を配設すると共に、液晶パネルの背面にバックライトを設けることにより、外光による反射光とバックライトからの照明光とを併用して表示を行う、いわゆる半透過型の液晶ディスプレイであってもよい。
【0057】
更に、上記実施の形態等において説明した各構成要素の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料・厚みとしてもよく、また他の成膜方法および成膜条件を用いてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…駆動基板、2…対向基板、3…液晶層、4…アクティブマトリクス素子、5…反射電極、10…基板、11…ゲート電極、12…ゲート絶縁膜、13…半導体層(チャネル)、14…ソース・ドレイン電極、15…保護膜、16…層間絶縁膜、16A…コンタクトホール、17…密着層、18…第1触媒層、19…第1めっき層、20…第2触媒層、21…第2めっき層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極形成領域を有する基板の前記電極形成領域のうちの第1領域に第1触媒層を形成する工程と、
第1無電解めっき処理を施すことにより前記第1触媒層に第1めっき層を形成する工程と、
少なくとも前記電極形成領域の前記第1領域以外の領域(第2領域)に第2触媒層を形成する工程と、
第2無電解めっき処理を施すことにより前記第2触媒層に第2めっき層を形成し、表面に凹凸を有する反射電極を形成する工程と
を含む反射電極の形成方法。
【請求項2】
前記基板に駆動素子および層間絶縁膜をこの順に形成したのち、前記層間絶縁膜に前記駆動素子に達するコンタクトホールを形成する工程を有し、前記コンタクトホールの内部および前記層間絶縁膜の上を含む領域に前記反射電極を形成する、請求項1記載の反射電極の形成方法。
【請求項3】
前記第1触媒層上に第1めっき層を形成したのち、前記第2触媒層を前記電極形成領域全面にわたって形成し、そののち第2無電解めっき処理を施す、請求項1記載の反射電極の形成方法。
【請求項4】
前記第1触媒層上に第1めっき層を形成したのち、前記第2触媒層を前記第2領域にのみに形成し、そののち第2無電解めっき処理を施す、請求項1記載の反射電極の形成方法。
【請求項5】
電極形成領域に、表面に凹凸を有する反射電極を備えた基板を含み、
前記反射電極は、
前記電極形成領域のうちの第1領域に設けられた第1触媒層と、
前記第1触媒層に形成された第1めっき層と、
少なくとも前記電極形成領域の前記第1領域以外の領域(第2領域)に設けられた第2触媒層と、
前記第2触媒層に形成された第2めっき層と
を含む駆動基板。
【請求項6】
前記基板に駆動素子および層間絶縁膜をこの順に有すると共に、前記層間絶縁膜に前記駆動素子に達するコンタクトホールが形成され、前記コンタクトホールの内部および前記層間絶縁膜の上を含む領域に前記反射電極を有する、請求項5記載の駆動基板。
【請求項7】
電極形成領域に、表面に凹凸を有する反射電極を備えた駆動基板と、
前記反射電極により反射された入射光を用いて表示を行う表示部とを備え、
前記反射電極は、
前記電極形成領域のうちの第1領域に設けられた第1触媒層と、
前記第1触媒層に形成された第1めっき層と、
少なくとも前記電極形成領域の前記第1領域以外の領域(第2領域)に設けられた第2触媒層と、
前記第2触媒層に形成された第2めっき層と
を備えた表示装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記駆動基板に対向配置されると共に透明電極を有する対向基板を備え、前記駆動基板と対向基板との間に液晶層を有する、請求項7記載の表示装置。
【請求項1】
電極形成領域を有する基板の前記電極形成領域のうちの第1領域に第1触媒層を形成する工程と、
第1無電解めっき処理を施すことにより前記第1触媒層に第1めっき層を形成する工程と、
少なくとも前記電極形成領域の前記第1領域以外の領域(第2領域)に第2触媒層を形成する工程と、
第2無電解めっき処理を施すことにより前記第2触媒層に第2めっき層を形成し、表面に凹凸を有する反射電極を形成する工程と
を含む反射電極の形成方法。
【請求項2】
前記基板に駆動素子および層間絶縁膜をこの順に形成したのち、前記層間絶縁膜に前記駆動素子に達するコンタクトホールを形成する工程を有し、前記コンタクトホールの内部および前記層間絶縁膜の上を含む領域に前記反射電極を形成する、請求項1記載の反射電極の形成方法。
【請求項3】
前記第1触媒層上に第1めっき層を形成したのち、前記第2触媒層を前記電極形成領域全面にわたって形成し、そののち第2無電解めっき処理を施す、請求項1記載の反射電極の形成方法。
【請求項4】
前記第1触媒層上に第1めっき層を形成したのち、前記第2触媒層を前記第2領域にのみに形成し、そののち第2無電解めっき処理を施す、請求項1記載の反射電極の形成方法。
【請求項5】
電極形成領域に、表面に凹凸を有する反射電極を備えた基板を含み、
前記反射電極は、
前記電極形成領域のうちの第1領域に設けられた第1触媒層と、
前記第1触媒層に形成された第1めっき層と、
少なくとも前記電極形成領域の前記第1領域以外の領域(第2領域)に設けられた第2触媒層と、
前記第2触媒層に形成された第2めっき層と
を含む駆動基板。
【請求項6】
前記基板に駆動素子および層間絶縁膜をこの順に有すると共に、前記層間絶縁膜に前記駆動素子に達するコンタクトホールが形成され、前記コンタクトホールの内部および前記層間絶縁膜の上を含む領域に前記反射電極を有する、請求項5記載の駆動基板。
【請求項7】
電極形成領域に、表面に凹凸を有する反射電極を備えた駆動基板と、
前記反射電極により反射された入射光を用いて表示を行う表示部とを備え、
前記反射電極は、
前記電極形成領域のうちの第1領域に設けられた第1触媒層と、
前記第1触媒層に形成された第1めっき層と、
少なくとも前記電極形成領域の前記第1領域以外の領域(第2領域)に設けられた第2触媒層と、
前記第2触媒層に形成された第2めっき層と
を備えた表示装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記駆動基板に対向配置されると共に透明電極を有する対向基板を備え、前記駆動基板と対向基板との間に液晶層を有する、請求項7記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−204168(P2010−204168A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46626(P2009−46626)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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