説明

受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、および光学センサ装置

【課題】CMOS等と接続してハイブリッド型検出装置を形成するときオープン不良を生じにくい、受光素子アレイ等を提供する。
【解決手段】化合物半導体の受光素子アレイは、CMOS等との接続のためにバンプが設けられた電極が複数配列されており、電極が配列された領域は、中心から距離に応じて領域S,S,Sに分けられており、外側の領域の、領域面積当たりのバンプの占有面積が中心側の領域のそれより大きくなるように、外側の領域のバンプの個数の密度が、中心側の領域のそれより大きいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外域での受光を対象とする、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、および光学センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近赤外域は、動植物などの生体や環境に関連した吸収スペクトル域に対応するため、受光層にIII−V族化合物半導体を用いた近赤外光の検出器の開発が盛んに行われている。検出器にはシリコンに形成されたCMOS等の読み出し回路(ROIC:Read-out IC)が用いられ、別々に作製した、受光素子アレイセンサとICとが組み合わされることから、ハイブリッド型検出装置と呼ばれる。従来、受光素子アレイと読み出し回路の電極同士を、バンプを介在させて熱圧着するとき、つぎの問題を生じていた。モジュール基板にバンプを形成する時、またマザー基板への実装時に、加熱によって変形し、バンプの接合不良や、絶縁不良を引き起こしていた。
【0003】
この問題を解決するために、方形モジュール基板上にバンプを格子状に配置したボールグリッドアレイにおいて、バンプの外周縁の配置の輪郭を曲線状にした配置方法が提案されている(特許文献1)。とくに外周縁に位置する電極とバンプとの間にはがれを生じることで起こるオープン不良が問題となっていた。また、同特許文献1では、このオープン不良を解決するため、方形モジュール基板の中央部分にバンプを配置しない部分を設ける方法の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−162531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板の外周縁に生じるオープン不良問題の本質は、III−V族化合物半導体とシリコンとの熱膨張率の相違によって、熱圧着して冷却したあとに熱応力を生じることにある。すなわち、化合物半導体の受光素子アレイの画素電極と、CMOSの読み出し電極とを、バンプを介在させて熱圧着したあと、冷却過程で熱膨張率の相違に起因して、両電極間、とくにバンプ/電極の界面に熱応力が発生する。この結果、バンプ/電極の界面にはがれ(オープン)が発生する。このような熱膨張の相違に起因する熱応力では、とくに電極配列の外側領域ほど、大きな熱応力を発生する。この結果、基板中心から外側へと離れるに従って、オープン不良が生じ易くなる。
【0006】
本発明は、半導体受光素子アレイと読み出し回路とを、電極同士、バンプを用いてオープン不良等を生じないように接続することが容易な、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、および光学センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の受光素子アレイは、読み出し回路と接続されてハイブリッド型検出装置を構成するためにバンプが設けられた電極が複数配列され、化合物半導体に形成されている。この受光素子アレイでは、電極が配列された領域は、中心から距離に応じて2つ以上の領域に分けられており、外側の領域の、領域面積当たりのバンプの占有面積が、中心側の領域のそれより大きいことを特徴とする。
【0008】
化合物半導体の受光素子アレイとシリコンに形成された読み出し回路とを組み合わせてハイブリッド型検出装置を形成したとき、熱膨張差に起因する熱応力は、外側の領域においてが大きく現れる。上記の構成によれば、熱応力をバンプの占有面積に均して割り当てることができる。これにより、外側の領域の熱応力を低減することができ、この結果、電極間のオープン不良を抑制することができる。
ここで、受光素子アレイにおける上記の電極は画素電極をいう。また、領域面積当たりのバンプの占有面積とは、各領域の平均的な部分において、(複数個のバンプについてのバンプ断面積/その複数個のバンプが位置する領域の面積)、についての平均値である。上記の測定は、パラメータ(バンプ個数、領域面積など)を2条件以上変えて、パラメータ条件ごとに5回以上、行い、その平均値をとるのがよい。バンプは電極上に設けられ、領域に接して占有しているわけではないが、平面的に見れば占有していると見ることができるので、上記の表現「占有」を用いることができる。
また、領域の数、領域の区切りなどは、受光素子アレイに明記されているわけではない。電極配列の中心から、または最外縁から、(1)バンプ径、(2)バンプ)電極のx方向およびy方向のピッチ、(3)領域の単位面積当たりのバンプ(電極数)、などを見て、およその領域の区分けをして、さらに精度を高めて、最終的に領域を特定することができる。
たとえば領域の数が2つの場合、中心を含む連続した第1の領域と、その第1の領域を取り囲む第2の領域(2つの場合最も外側の領域でもある)とからなり、当該第2の領域は、連続した一つの領域の場合と、コーナー部のみに限定した例えば4つに分かれた領域の場合がある。この4つに分かれた領域が、中心から同等の距離だけ離れているとき、または同等の外側の領域のとき、ひとまとめにして第2の領域という。領域の数が3の場合には、中心を含む第1の領域およびその外側の第2の領域は、それぞれ連続した一つの領域とする場合が多いが、これらの外側の第3の領域については、領域が2つの場合の最も外側の領域の場合と同様に、連続した一つの領域の場合と、例えばコーナー部に限定した4つに分かれた領域の場合とがある。
【0009】
電極の個数の密度を全領域において均等とし、外側の領域のバンプの径を、中心側の領域のそれより大きくすることができる。これによって、受光素子アレイの製造を容易にしながら、電極に設けるバンプ径を調整することで、外側領域の熱応力を低減してオープン不良を抑制することができる。
なお、電極の個数の密度は、領域面積当たりの電極の個数をいう。
【0010】
バンプの径を同じとして、外側の領域の電極の個数の密度を、中心側の領域のそれより大きくすることができる。これによって、外側領域では大きさの等しいバンプが、より多くの個数で、熱応力を負担することができる。この結果、外側の領域での各バンプの熱応力の大きさを低減することができる。
【0011】
電極は、ダミーの電極を含み、ダミーの電極の個数の密度を、外側の領域ほど大きくできる。これによって、外側のバンプにおける熱応力を低減することができる。
【0012】
電極が配列される領域は方形であり、分けられた領域が、該方形の辺に平行な境界で分けられていることができる。これによって、熱応力の大きさにしたがって、領域を明確に区分けすることができ、電極密度の配列、領域ごとのバンプ径の配置が、しやすくなる。
【0013】
電極が配列される領域は方形であり、該方形の4つのコーナー部を中心から最も外側に位置する領域とすることができる。方形のコーナー部のバンプには最も大きな熱応力が生じる。これは、熱膨張率の相違が、バンプの熱圧着における加熱−冷却の後で、受光素子アレイ/読み出し回路、の端の部分に、熱応力として大きく現れることによる。このため、方形のコーナー部を特別扱いにして、熱応力が小さくなるように、上記のバンプ径や電極配列を設定することは、非常に有効である。問題が生じやすい箇所を局所的に狙いうちして対策をとることに通じる。
【0014】
化合物半導体の積層体がInP基板上に形成され、かつ受光層がタイプ2型の多重量子井戸構造であり、その多重量子井戸構造が、(GaAsSb/InGaAs)、(GaAsSb/InGaAsN)、(GaAsSb/InGaAsNSb)、および(GaAsSb/InGaAsNP)のうちのいずれか1つの繰り返しである構成とすることができる。これによって、近赤外域の長波長域に受光感度を有する受光素子アレイを備えたハイブリッド検出装置をオープン不良なく製造することができる。
【0015】
本発明のハイブリッド型検出装置は、上記のいずれかの受光素子アレイと、シリコンに形成された読み出し回路とを備えたハイブリッド型検出装置であって、受光素子アレイに配列された電極ごとに、読み出し回路の読出電極とが、バンプを介在させて導電接続されていることを特徴とする。
これによって、オープン不良のない高品位の画素情報を得ることができる検出装置を得ることができる。
なお、バンプについては、上記の電極間に、少なくとも受光素子アレイの電極に設けられたバンプを介在させるが、読み出し回路の読み出し電極にもバンプを設けておいて、両方のバンプを介在させる場合も、とうぜん、含まれる。
【0016】
本発明の光学センサ装置は、上記のいずれかの受光素子アレイ、または上記のハイブリッド検出装置を用いたことを特徴とする。これによって、オープン不良のない高品位の画素情報をもたらす光学センサ装置を得ることができる。
上記の光学センサ装置は、受光素子アレイやハイブリッド型検出装置のいずれかと、光学素子、たとえば分光器、レンズ等の光学系とを、組み合わせたものであり、波長分布測定を遂行したり、撮像装置として用いたり、多くの有用な実用製品を得ることができる。上記の光学センサ装置の具体例としては、(i)視界支援もしくは監視をするための撮像装置、(ii)生体成分検査装置、水分検査装置、食品品質検査装置、などの検査装置、(iii)燃焼ガスの成分把握などのためのモニタリング装置、などを挙げることができる。要は、上記の受光素子、受光素子アレイ、もしくはハイブリッド型検出装置と、レンズ、フィルタ、光ファイバ、回折格子、分光レンズなどの光学素子とを、組み合わせた装置であれば何でもよい。画面表示や判定をする場合は、さらにマイコンや画面表示装置等を加えることができる。
【0017】
既存の製造方法を用いて、近赤外域に高感度を有する受光素子アレイまたはその製造に用いられる半導体ウエハを、容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、半導体受光素子アレイと読み出し回路の電極同士を、バンプを用いて、オープン不良等を生じないで接続することが容易な、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、および光学センサ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は本発明の実施の形態1における受光素子アレイを示し、(b)は(a)に示す受光素子アレイを用いたハイブリッド型検出装置を示し、(a)のIB−IB線に沿う図である。
【図2】(a)は本発明の実施の形態2における受光素子アレイを示し、(b)は(a)に示す受光素子アレイを用いたハイブリッド型検出装置を示し、(a)のIIB−IIB線に沿う図である。
【図3】(a)は本発明の実施の形態3における受光素子アレイを示し、(b)は(a)に示す受光素子アレイを用いたハイブリッド型検出装置を示し、(a)のIIIB−IIIB線に沿う図である。
【図4】実施例の試験体における領域の区分けを示し、(a)は本発明例(a)、(b)は本発明例(b)、(c)は比較例(c)を示す図である。
【図5】実施例における評価結果である、画像データを示し、(a)は本発明例(a)の画像データ、(b)は比較例(c)の画像データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
図1(a)は、本発明の実施の形態1における受光素子アレイ50を示す図である。この受光素子アレイ50において、電極配列の領域は、中心Oから外側へと順に、S,S,Sの3つの領域に分かれている。領域(第1の領域)Sは中心Oを含む連続した一つの領域であり、第2の領域Sは領域Sを取り囲み、第3の領域Sは領域Sを取り囲んでおり、どの領域も連続した一つの領域である。バンプ31の径は、領域Sで最も小さく、領域S→領域Sと中心から遠くになるほど、径は大きくなる。これによって、最も外側の領域Sにおいて領域面積当たりのバンプの占有面積が最も大きくなる。領域SとSとは境界線Lにより、また領域SとSとは境界線Lによって分けられている。バンプ31の径の大きさを領域ごとに変える場合、領域の区分けの特定は、容易である。
各領域の代表点P,P,Pは、それぞれ中心からr,r,rの距離にあるとする。このとき、バンプ31の径は、たとえば次のように設定するのがよい。
<領域S>:バンプの面積A
<領域S>:バンプの面積A=A×(r/r
<領域S>:バンプの面積A=A×(r/r
たとえば領域Sのバンプの面積A=20μm(半径2.5μm)のとき、領域Sのバンプの面積A=41μm(半径3.6μm)、領域Sではバンプの面積=53μm(半径4.1μm)とするのがよい。
【0021】
図1(b)は、図1(a)の化合物半導体で形成された受光素子アレイ50と、シリコンに形成された読み出し回路のCMOS70とを組み合わせたハイブリッド型検出装置を示す図である。図1(a)のIB−IB線に対応するような断面図としている。受光素子アレイは、InP基板上に形成され、III−V族化合物半導体の積層体によって形成されている。図1(b)において、バンプ31,39が画素電極11と読み出し電極(パッド)71との間に介在している。すなわち電極同士の接続前、受光素子アレイ50の画素電極11にも、またCMOS70の読み出し電極71にも、バンプが設けられていた。図1(b)では、受光素子アレイ50のバンプ31およびCMOS70の接合バンプ39は、同じように、外側ほどバンプ径を大きくしている。しかし、CMOS70のバンプ39の径については、受光素子アレイ50に応じて大きくする必要はない。受光素子アレイ50のバンプ31の径を中心からの距離に応じて領域に分け、外側の領域ほどバンプの径を大きくするだけで、CMOS70のバンプ39の径は一定でも、外側の領域ほど熱応力を抑制することは可能である。ただし、受光素子アレイ50およびCMOS70、双方とも、バンプ31,39の径を外側領域ほど大きくすることで、外側の領域における熱応力を確実に大きく低減することができる。
【0022】
(実施の形態2)
図2(a)は、本発明の実施の形態2における受光素子アレイ50を示す図である。本実施の形態では、バンプ31または画素電極11の径は全領域で同じとしながら、中心からの距離が大きい領域では電極の数の密度を高くしている点に特徴を有する。上述のように、受光素子アレイ50には、領域の境界線L,Lなどは明示されているわけではない。領域の特定は、たとえば中心から最も遠い外縁部のバンプ31のピッチを、x方向およびy方向でチェックしながら、そのようなチェックを、次第に、中央側の領域に移動しながら行う。
図2(a)では、4つのコーナー部ごとに分かれて領域(第3の領域)Sがあり、x方向、y方向ともに領域Sのピッチが最も小さい。したがって、電極の個数の密度が最も大きく、かつ領域面積当たりのバンプの占有面積が最も大きい。領域Sでは、y方向のピッチは領域Sと比べて同じであるが、x方向のピッチが大きくなる。また、中心を含む領域Sではy方向のピッチが領域Sのそれより大きくなる。感覚によって大体の境界線引きを行い、さらに試行錯誤によって境界線L,Lの精度を高めて、最終決定することができる。
【0023】
本実施の形態においては、バンプ31または画素電極11の配置密度は、代表点P,P,Pの中心からの距離r,r,rとして、以下のように設定するのがよい。
<領域S>:バンプの配置密度B
<領域S>:バンプの配置密度B=B×(r/r
<領域S>:バンプの配置密度B=B×(r/r
たとえば、方形の短辺が8mm、長辺が10mmのチップ(受光素子アレイ)の場合、図2(a)と同様な区分けの場合、r=2mm、r=3mm、r=5mmとなる(図4(a)参照)。したがって、バンプの配置密度B=B×1.5とし、またバンプの配置密度B=B×2.5とするのがよい。コーナー部の領域Sでの配置密度の増加がいちじるしい。
【0024】
図2(b)は、図2(a)の受光素子アレイ50と、シリコンに形成された読み出し回路のCMOS70とを組み合わせたハイブリッド型検出装置を示す図である。図2(a)のIIB−IIB線に対応するような断面図としている。受光素子アレイは、InP基板に形成され、III−V族化合物半導体の積層体によって形成されている。この図2(b)において、バンプ31,39が画素電極11と読み出し電極71との間に介在している。すなわち電極同士の接続前、受光素子アレイ50の画素電極11にも、またCMOS70の読み出し電極71にも、バンプが設けられていた。
図2(b)では、受光素子アレイ50のバンプ31およびCMOS70の接合バンプ39は、同じように、外側領域ほどバンプのピッチを短くしている。しかし、CMOS70のバンプ39は設けずに、受光素子アレイ50のバンプ31だけでもよい。ただし、受光素子アレイ50およびCMOS70、双方とも、バンプ31,39を設けて、ピッチを外側領域ほど大きくすることで、外側の領域における熱応力をより確実に大きく低減することができる。
【0025】
コーナー部は、中間距離の領域Sよりも代表点が中心から遠い位置に位置する。このため、当該コーナー部を限定して一つの領域にすることで、配置密度(または径を大きくする場合は、その径)が、中間領域Sや中心領域Sより、非常に大きくなる。この結果、はがれが非常に生じやすいコーナー部のオープン不良を防止する上で効果的である。
【0026】
(実施の形態3)
図3(a)は、本発明の実施の形態3における受光素子アレイ50を示す図である。この受光素子アレイ50の電極には、ダミー電極11dと、当該ダミー電極上に設けられたダミーバンプ31dが含まれており、ダミー電極11dおよび真の画素電極11の両方に、同等のバンプ31,31dが設けられている。図3(a)では、線で示す格子点に位置する電極を真の電極11、およびバンプ31として、格子点にない電極をダミー電極11d、およびダミーバンプ31dとしている。ダミー電極11dは隣接する1つの真の画素電極11と短絡していてもよい。ダミー電極11dは、領域Sには配置されていないが、領域Sにおいて配置され、その配置密度は、領域Sにおいて最大となる。すなわち単位面積当たりに占めるダミー電極の配置密度は、領域Sで最も大きい。真の画素電極11は、全領域で均等な密度で配置されている。
【0027】
図3(b)は、(a)の受光素子アレイ50と、CMOS70とをバンプ31,39,31d,39dを介在させて圧着したときの断面図であり、受光素子アレイ50におけるIIIB−IIIB線に対応させている。CMOS70側には、バンプ39,39dを設けずに受光素子アレイ50側にのみバンプを設けてもよい。この場合、CMOS70の読み出し電極については、ダミー電極71dは隣接する1つの真の読み出し電極71と連続したもの、または真の読み出し電極71が延びたものであってもよい。
【0028】
図3(b)のハイブリッド型検出装置では、真の画素電極11,71を全領域で均等な密度で配置してダミーバンプ31,39を設け、ダミーの電極11d,71dを外側の領域ほど高い密度で配置してダミーバンプ31d,39dを設ける。これによって、熱圧着して冷却した後、応力が大きい外側領域において応力を負担するバンプが増える。この結果、バンプ一つ当たりの応力は低減され、オープン不良を抑制することができる。
【実施例】
【0029】
次に実施例によって本発明の効果を検証した。用いた試験体はつぎの3体である。本発明の実施の形態2の図2において説明したように、バンプ31の径はすべて同じであり、領域ごとに電極またはバンプの配置密度を変えている。チップの外形は、8mm×10mmの方形である。
<本発明例(a)>:図4(a)に示す領域に区分した。画素電極11は、領域Sには平均30μmピッチ、領域Sに平均24μmピッチ、そして領域Sに平均19μmピッチで画素電極11を配置して、その上にバンプ31を設けた。
<本発明例(b)>:図4(b)に示す領域に区分した。画素電極11は、領域Sには平均30μmピッチ、そして領域Sに平均19μmピッチで画素電極11を配置して、その上にバンプ31を設けた。
<比較例(c)>:図4(c)に示す単一の領域S1に平均30μmピッチで画素電極11を配置し、その上にバンプ31を設けた。
<ハイブリッド型検出装置相当の接続体、および評価>:
シリコンに設けた同じ電極71の配列で、かつその上にバンプ39を設けたCMOS相当体を形成して、バンプ31,79を介在させて熱圧着を行って、その後、冷却した。室温まで冷却した後、画素データを読み出し、接続の状態を検査した。評価は、読み出されたブランクデータの画像によって行った。欠陥部がなく正常な場合、白色のみであるのに対して、オープン不良があると黒く現れる。全体画面に対する黒い部分の割合(%)を求めて、不良率とした。結果は、表1に示すとおりであった。
【0030】
【表1】

【0031】
画像データの例を図5(a)、(b)に示す。本発明例(a)では、4つのコーナー部においても、はがれがなく、全体的にオープン不良はほとんどなく、不良率1%未満であった。これに対して、比較例(c)ではコーナー部にはがれが生じており、随所にオープン不良が認められた。比較例(c)は全体の平均としては、不良率5%程度であったが、この画像データに関する限り5%を超えていた。上記の試験によって、本発明によって、オープン不良を確実に低減できることが検証できた。
【0032】
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の半導体素子等によれば、近赤外域に感度を持ち、冷却することなく暗電流を抑制することができ、今後、小型化および高感度化が可能になり、生体等への急激な利用に資することができる。
本発明の受光素子等によれば、正孔を信号電荷に用いて、基板入射でもエピタキシャル面入射でも、近赤外域に良好な感度を持つことができる。このため、工業、医学、生活物資等の分野において、高品質の製品を得ることができるようになる。
【符号の説明】
【0034】
10 ハイブリッド型検出装置、11 画素電極、11d ダミー電極、31 受光素子アレイの接合バンプ、31d ダミーバンプ、39 CMOSのバンプ、39d ダミーバンプ、50 受光素子アレイ、70 CMOS(読み出し回路)、71 読み出し電極(パッド)、71d ダミー電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み出し回路と接続されてハイブリッド型検出装置を構成するためにバンプが設けられた電極が複数配列された、化合物半導体の受光素子アレイであって、
前記電極が配列された領域は、中心から距離に応じて2つ以上の領域に分けられており、
前記外側の領域の、領域面積当たりの前記バンプの占有面積が、前記中心側の領域のそれより大きいことを特徴とする、受光素子アレイ。
【請求項2】
前記電極の個数の密度は全領域において均等であり、前記外側の領域の前記バンプの径を、前記中心側の領域のそれより大きくすることを特徴とする、請求項1に記載の受光素子アレイ。
【請求項3】
前記バンプの径が同じであり、前記外側の領域の前記電極の個数の密度を、前記中心側の領域のそれよりも大きくすることを特徴とする、請求項1に記載の受光素子アレイ。
【請求項4】
前記電極は、ダミーの電極を含み、前記ダミーの電極の個数の密度を、前記外側の領域ほど大きくしていることを特徴とする、請求項3に記載の受光素子アレイ。
【請求項5】
前記電極が配列される領域は方形であり、前記分けられた領域が、該方形の辺に平行な境界で分けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の受光素子アレイ。
【請求項6】
前記電極が配列される領域は方形であり、該方形の4つのコーナー部を前記中心から最も外側に位置する領域とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の受光素子アレイ。
【請求項7】
前記化合物半導体の積層体がInP基板上に形成され、かつ前記受光層がタイプ2型の多重量子井戸構造であり、その多重量子井戸構造が、(GaAsSb/InGaAs)、(GaAsSb/InGaAsN)、(GaAsSb/InGaAsNSb)、および(GaAsSb/InGaAsNP)のうちのいずれか1つの繰り返しであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の受光素子アレイ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の受光素子アレイと、シリコンに形成された読み出し回路とを備えたハイブリッド型検出装置であって、前記受光素子アレイの電極と、前記読み出し回路の読出電極とが、前記バンプを介在させて導電接続されていることを特徴とする、ハイブリッド型検出装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の受光素子アレイ、または請求項8に記載のハイブリッド検出装置を用いたことを特徴とする、光学センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−9607(P2012−9607A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143865(P2010−143865)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】