説明

含フッ素単量体、高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法

【課題】機能性材料、医薬・農薬等の原料として、中でも感放射線レジスト材料のベース樹脂を製造するための含フッ素単量体、及び、該含フッ素単量体を極めて容易にかつ安価に製造可能な製造方法を提供する。
【解決手段】相当するフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる一般式(5)で示される含フッ素単量体。


(RはH、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の一価炭化水素基を示し、この時、−CH−は−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R、RはそれぞれH、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状の一価炭化水素基を示し、RはH、F、−CH又は−CFを示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性材料、医薬・農薬等の原料として有用なフッ素アルコール化合物の製造方法、及びこれに由来する含フッ素単量体(モノマー、即ち重合性化合物)に関する。この含フッ素単量体は、波長500nm以下、特に波長300nm以下の放射線、例えばKrFレーザー光、ArFレーザー光、F2レーザー光に対して優れた透明性を有し、かつ現像特性に優れた感放射線レジスト材料のベース樹脂を製造するための重合体(ポリマー)の原料単量体として非常に有用である。
【0002】
更に、本発明は、この含フッ素単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体(高分子化合物)、この高分子化合物を含むフォトレジスト材料、及びこのフォトレジスト材料を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィーが有望視されている。中でもKrFレーザー光、ArFレーザー光、F2レーザー光を光源としたフォトリソグラフィーは、0.3μm以下の超微細加工に不可欠な技術としてその実現が切望されている。これらのレジスト組成物のベース樹脂としては種々のアルカリ可溶性樹脂が用いられている。
【0004】
KrFレジスト組成物のベース樹脂としては、アルカリ可溶性官能基としてフェノール性水酸基を有するポリヒドロキシスチレン樹脂が事実上の標準となっている。ArFレジスト組成物用ベース樹脂では、カルボキシル基をアルカリ可溶性基として用いるポリ(メタ)アクリレート樹脂やノルボルネン等の脂肪族環状オレフィンを重合単位として用いた樹脂が検討されている。これらのうち、ポリ(メタ)アクリレートは重合の容易さから実用が有望視されている。しかしながら、フェノール性水酸基に比べ酸性度の高いこれらのカルボキシル基をアルカリ可溶性官能基として用いるレジスト樹脂の場合には、溶解の制御が課題で、膨潤等によるパターン崩壊を起こし易い。
【0005】
フェノール性水酸基様の酸性度を有する官能基として、α位、α’位に複数のフッ素原子置換されたアルコール(例えば、部分構造−C(CF32OHを有するもの)をアルカリ可溶性官能基として用いる樹脂も提案されている。非特許文献1:2nd International Symposium on 157nm LithographyにおけるG. WallraffらのActive Fluororesists for 157nm Lithography等にその例をみることができる。彼らはベース樹脂の製造に用いられるモノマーとして、スチレンやノルボルネンにフルオロアルコール−C(CF32OHを導入した化合物を提案している。同様に、フルオロアルコール置換ノルボルネンの例は、特許文献1:特開2003−192729号公報や特許文献2:特開2002−72484号公報にも見られるが、ノルボルネンモノマーは同種のモノマー同士のラジカル重合は困難で、特殊な遷移金属触媒を用いた配位重合、開環メタセシス重合等の特殊な重合法が必要とされる。ノルボルネンモノマーと無水マレイン酸又はマレイミド等のコモノマーとの交互重合はラジカル重合で実施できるが、コモノマーの存在は樹脂設計の自由度を大きく制限する。
【0006】
フルオロアルコール置換アクリレートモノマーについては、特許文献3:特開2003−040840号公報に記載がある。これらの製造方法は必ずしも明確ではないが、出発原料としてヘキサフルオロアセトン(沸点−27℃)を用いており、このものは常温で気体のため取り扱いにくく、また、重合性化合物合成のための工程が長く、高コストかつ工業的な製造が難しい等の問題点を有している。
【0007】
低コスト、かつ工業的に製造(重合)が容易な(メタ)アクリレート構造等の重合性不飽和基とフェノール性水酸基様の酸性度を有する官能基をあわせもつ重合性化合物(単量体)の出現が強く望まれていた。
【0008】
また、10年ほど前から精力的に検討されてきたArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトグラフィーは、当初180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーが130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジストのエッチング耐性低下等の種々の問題により、F2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献2:Proc. SPIE Vol. 4690 xxix)。
【0009】
ArF液浸リソグラフィーにおいて、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44にまで上げることができる。NAの向上分だけ解像力が向上し、NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示されている(非特許文献3:Proc. SPIE Vol. 5040 p724)。
【0010】
ここで、レジスト膜の上に水が存在することによる様々な問題が指摘されている。発生した酸や、クエンチャーとしてレジスト膜に添加されているアミン化合物が水に溶解してしまうことによる投影レンズの汚染やパターン形状の変化などである。また、これとは反対にレジスト膜への水の浸入による膨潤やウォーターマークと呼ばれる円形欠陥の発生も指摘されている。これら問題点の解決策として、レジスト膜と水との間に保護膜を導入する手法(非特許文献4:2nd Immersion Work Shop, July 11, 2003, Resist and Cover Material Investigation for Immersion Lithography)や、酸発生剤(PAG)やベース樹脂等のレジスト材料の撥水性をコントロールし、水への溶出、水の浸入を抑制する手法(非特許文献5:J.Photopolymer Sci. and Technol. Vol.18 No.5 p603 (2005))が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−192729号公報
【特許文献2】特開2002−72484号公報
【特許文献3】特開2003−040840号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】2nd International Symposium on 157nm Lithography
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol. 4690 xxix
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 5040 p724
【非特許文献4】2nd Immersion Work Shop, July 11, 2003, Resist and Cover Material Investigation for Immersion Lithography
【非特許文献5】J.Photopolymer Sci. and Technol. Vol.18 No.5 p603 (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ArFエキシマレーザー光等の高エネルギー線を光源としたフォトリソグラフィー、特に液浸リソグラフィーにおいて、高解像性かつ液浸媒体への溶出及び液浸媒体の浸入を抑制するレジスト材料のベース樹脂用の単量体として有用な含フッ素化合物、その含フッ素単量体から得られる高分子化合物、その高分子化合物をベース樹脂として含有するレジスト材料及びこのレジスト材料を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で示されるフッ素化合物を極めて容易にレジスト材料の原料として有用なフッ素アルコール化合物及び含フッ素単量体に変換できることを知見した。
また、この含フッ素単量体から得られた高分子化合物をベース樹脂として用いたレジスト材料が、高解像性、膨潤抑止効果に優れ、かつ液浸液である水への溶出及び水の浸入を抑制し、この高分子化合物がレジスト材料として精密な微細加工に極めて有効であることを知見するに至った。
【0015】
即ち、本発明は下記の含フッ素単量体、高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
【0016】
請求項1:
下記一般式(4)
【化1】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(5)で示される含フッ素単量体。
【化2】

(式中、R1、R3及びR4は上記と同様である。R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。)
請求項2:
請求項1記載の一般式(4)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(6)で示される含フッ素単量体。
【化3】

(式中、R1、R3及びR4は上記と同様である。R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
請求項3:
下記一般式(8)
【化4】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R7は炭素数2〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(9)で示される含フッ素単量体。
【化5】

(式中、R1及びR7は上記と同様である。R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。)
請求項4:
請求項3記載の一般式(8)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(10)で示される含フッ素単量体。
【化6】

(式中、R1及びR7は上記と同様である。R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
請求項5:
下記一般式(12)
【化7】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。k2は1又は2である。)
で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(13)で示される含フッ素単量体。
【化8】

(式中、R1及びk2は上記と同様である。R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。)
請求項6:
請求項5記載の一般式(12)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(14)で示される含フッ素単量体。
【化9】

(式中、R1及びk2は上記と同様である。R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
請求項7:
下記一般式(16)
【化10】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。)
で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(17)で示される含フッ素単量体。
【化11】

(式中、R1は上記と同様である。R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。)
請求項8:
請求項7記載の一般式(16)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(18)で示される含フッ素単量体。
【化12】

(式中、R1は上記と同様である。R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
請求項9:
請求項1乃至8のいずれか1項記載の含フッ素単量体から得られる繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
請求項10:
下記一般式(1a)〜(1c)で示されるいずれかの繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化13】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。R5及びR6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
請求項11:
下記一般式(2a)〜(2c)で示されるいずれかの繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化14】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R5及びR6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R7は炭素数2〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
請求項12:
下記一般式(3a)〜(3c)で示されるいずれかの繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化15】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R5及びR6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1、k2は1又は2である。)
請求項13:
下記一般式(4a)〜(4c)で示されるいずれかの繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化16】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R5及びR6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
請求項14:
更に下記一般式(19)〜(22)で表される繰り返し単位をいずれか1種以上含有することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項記載の高分子化合物。
【化17】

[式中、R5は上記と同様である。R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す。
Xは下記一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基から選ばれる酸不安定基を示す。
【化18】

(ここで、破線は結合手を示す。式中、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。RL03は炭素数1〜18のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示す。RL01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。RL04は炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示す。yは0〜6の整数である。RL05は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。mは0又は1、nは0、1、2、3のいずれかであり、2m+n=2又は3を満足する数である。RL06は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。RL07〜RL16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の一価の炭化水素基を示す。RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14は互いに結合して環を形成していてもよく、その場合には炭素数1〜15の二価の炭化水素基を示す。また、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。)
Yは、下記ラクトン構造を有する置換基で、一般式(21)で表される繰り返し単位は、下記式から選ばれる。
【化19】

【化20】

【化21】

Zは、水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。]
請求項15:
請求項9乃至14のいずれか1項記載の高分子化合物をベース樹脂として含有することを特徴とするレジスト材料。
請求項16:
(A)ベース樹脂として請求項9乃至14のいずれか1項記載の高分子化合物、
(B)酸発生剤、
(C)有機溶剤
を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項17:
更に、(D)含窒素有機化合物を含有する請求項16記載のレジスト材料。
請求項18:
請求項15乃至17のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項19:
下記式から選ばれる含フッ素単量体。
【化22】

(式中、R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Meはメチル基を示す。)
【発明の効果】
【0017】
本発明の含フッ素単量体は、機能性材料、医薬・農薬等の原料として有用であり、中でも波長500nm以下、特に波長300nm以下の放射線に対して優れた透明性を有し、現像特性の良好な感放射線レジスト材料のベース樹脂を製造するための単量体として非常に有用である。また、本発明の方法によれば、本発明の単量体を極めて容易にかつ安価に製造可能である。更には、本発明の高分子化合物を感放射線レジスト材料のベース樹脂として用いた場合、高解像性、膨潤抑止効果に優れ、かつ液浸媒体である水への溶出及び水の浸入を抑制し、この高分子化合物がレジスト材料として精密な微細加工に極めて有効である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1のフッ素アルコール化合物の製造方法は、下記一般式(1)で示されるフッ素化合物に対する下記一般式(2)、(3)で示される還元剤又は有機金属試薬との反応により得ることを特徴とする下記一般式(4)で示されるフッ素アルコール化合物の製造方法である。
【0019】
【化23】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R2は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。M1は置換されていてもよいLi、Na、K、Mg、Zn、Al、B、Siの1種又は2種以上を示す。)
【0020】
上記一般式(1)で示される3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシプロピオン酸誘導体は、例えばヘキサフルオロプロペンなどを合成した際に副生するオクタフルオロイソブチレンを原料として得られるが、供給源が工業製品の副生物であることから、大量に比較的安価に入手可能なフッ素化合物である。
【0021】
1の1価炭化水素基としては、アルコール性水酸基の保護基を種々用いることができるが、具体的には下記一般式(R1−1)、(R1−2)で示される基、炭素数4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜5のトリアルキルシリル基、炭素数4〜15のオキソアルキル基、炭素数1〜10のアシル基等を挙げることができる。
【0022】
【化24】

【0023】
ここで、破線は結合手を示す(以下、同様)。式中、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等が例示できる。RL03は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0024】
【化25】

【0025】
L01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0026】
L04は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(R1−1)で示される基を示し、三級アルキル基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示でき、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示でき、アシル基としては、具体的にはフォルミル、アセチル、エチルカルボニル、ピバロイル、
.0メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル等を例示できる。yは0〜6の整数である。
【0027】
上記式(R1−1)で示される保護基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【0028】
【化26】

【0029】
上記式(R1−1)で示される保護基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
【0030】
上記式(R1−2)の保護基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0031】
2として具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が例示できる。
【0032】
炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基のR3、R4として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R3、R4は互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
用いられる還元剤又は有機金属試薬として具体的には、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ−s−ブチルホウ素リチウム、水素化トリ−s−ブチルホウ素カリウム等の錯水素化塩類(Complex hydride)やそれらのアルコキシあるいはアルキル誘導体、メチルリチウム、n−ブチルリチウム等の有機リチウム試薬、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、イソプロピルマグネシウムクロライド等のGrignard試薬、ジメチル亜鉛等の有機亜鉛試薬、トリエチルシラン等を例示できる。
【0034】
還元剤又は有機金属試薬(2)及び(3)の使用量は、条件により種々異なるが、例えば、上記式(1)中のR1が水素原子の場合は、フッ素化合物(1)1モルに対して、2.0〜5.0モル、特に2.0〜3.0モルとすることが望ましい。溶媒としてテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒類が好ましく、これらの溶媒を単独もしくは混合して使用することができる。反応温度、反応時間は、条件により種々異なるが、例えば、有機金属試薬としてGrignard試薬{式(2)及び(3)において、M1がMgPの場合、Pはハロゲン原子を示す。}を用いる場合は、反応温度を0〜100℃、好ましくは20〜70℃で行う。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜10時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)によりフッ素アルコール化合物(4)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶等の常法に従って精製することができる。
【0035】
本発明の第1の含フッ素単量体は、上記一般式(4)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(5)で示される化合物である。
【化27】

(式中、R1、R3及びR4は上記と同様である。R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。)
【0036】
上記一般式(5)で示される含フッ素単量体は、下記反応式に示すように上記一般式(4)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる。
【化28】

(式中、R1、R3〜R5は上記と同様である。R10はハロゲン原子又は−OR11を示す。R11は水素原子、−C(=O)R5C=CH2、メチル基又はエチル基を示す。)
【0037】
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(23)としては、酸クロリド{式(23)において、R10が塩素原子の場合}、カルボン酸{式(23)において、R10が−OR11、R11が水素原子の場合}又は酸無水物{式(23)において、R10が−OR11、R11が−C(=O)R5C=CH2等の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(4)、メタクリル酸クロリド、α−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(4)、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸等の対応するカルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を加え、加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除く等して行う方法、もしくは無溶媒又はトルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(4)、メタンスルホニルクロライドなどの脂肪族スルホニルクロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド等の芳香族スルホニルクロライド、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸等の酸無水物、必要に応じて、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。酸無水物を用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(4)、メタクリル酸無水物、α−トリフルオロメチルアクリル酸無水物などの対応する酸無水物、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸又はトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。
【0038】
なお、用いられる酸無水物は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、フェノール、p−ニトロフェノール等のフェノール類等の他の酸との混合酸無水物を用いてもよい。
【0039】
また、ここで上記一般式(5)においてR1が水素原子の場合は、対応するフッ素アルコール化合物{式(4)において、R1が水素原子の場合}を用い、望む側の水酸基を選択的にモノエステル化し、目的物を得るか、又は両方をエステル化し、下記一般式(24)で示されるジエステル化合物とした後、加水分解反応等の脱保護を行い、目的物(5)へ導くことも可能である。
【0040】
【化29】

(式中、R3〜R5は上記と同様である。)
【0041】
上記一般式(5)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化30】


(式中、R5は上記と同様である。)
【0042】
【化31】

(式中、R5は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0043】
本発明の第2の含フッ素単量体は、上記一般式(4)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(6)で示される化合物である。
【化32】

(式中、R1、R3及びR4は上記と同様である。R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
【0044】
上記一般式(6)で示される含フッ素単量体は、下記反応式に示すように上記一般式(4)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる。
【化33】

(式中、R1、R3、R4、R6、R10、W及びk1は上記と同様である。)
【0045】
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(25)としては、酸クロリド{式(25)において、R10が塩素原子の場合}、カルボン酸{式(25)において、R10が−OR11、R11が水素原子の場合}又は酸無水物{式(25)において、R10が−OR11、R11が下記式
【化34】

等の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(4)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロリド、7−オキサ−5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(4)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、7−オキサ−5−ノルボルネン−2−カルボン酸等の対応するカルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を加え、加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除く等して行う方法、もしくは無溶媒又はトルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(4)、メタンスルホニルクロライドなどの脂肪族スルホニルクロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド等の芳香族スルホニルクロライド、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸等の酸無水物、必要に応じて、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。酸無水物を用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(4)、ノルボルネンカルボン酸無水物、テトラシクロドデセンカルボン酸無水物などの対応する酸無水物、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸又はトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。
【0046】
なお、用いられる酸無水物は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、フェノール、p−ニトロフェノール等のフェノール類等の他の酸との混合酸無水物を用いてもよい。
【0047】
また、含フッ素単量体(5)とフラン又はシクロペンタジエン等の対応するジエン化合物とのDiels−Alder反応により目的物(6)へ導くことも可能である。
【0048】
上記一般式(6)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化35】

(式中、R6は上記と同様である。)
【0049】
【化36】

(式中、R6は上記と同様である。)
【0050】
【化37】

(式中、R6は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0051】
【化38】

(式中、R6は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0052】
本発明の第2のフッ素アルコール化合物の製造方法は、上記一般式(1)で示されるフッ素化合物に対する下記一般式(7)で示される有機金属試薬の付加反応、続く還元反応により得ることを特徴とする下記一般式(8)で示されるフッ素アルコール化合物の製造方法である。
【0053】
【化39】

(式中、R1は上記と同様である。R7は炭素数2〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。M2は、Li、Na、K、MgP又はZnPを示し、Pはハロゲン原子を示す。)
【0054】
この場合、第1段階として化合物(1)のエステルカルボニル基へのR72の求核付加反応(R7の導入)に続き、第2段階としてR72のβ−ヒドリドによる還元反応(ヒドリドの導入)が進行することにより化合物(8)が得られる。
【0055】
7として具体的には、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。特に、イソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の二級アルキル基、tert−ブチル基等の三級アルキル基が、第2段階のβ−ヒドリドによる還元反応が進行し易いため好ましい。M2としては、MgPが特に好ましい。
【0056】
有機金属試薬(7)の使用量は、条件により種々異なるが、例えば、上記式(1)中のR1が水素原子の場合は、フッ素化合物(1)1モルに対して、2.0〜5.0モル、特に2.0〜3.0モルとすることが望ましい。溶媒としてテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類が好ましく、これらの溶媒を単独もしくは混合して使用することができる。反応温度、反応時間は、条件により種々異なるが、例えば、有機金属試薬としてGrignard試薬{式(7)において、M2がMgPの場合。}を用いる場合は、反応温度を0〜100℃、好ましくは20〜70℃で行う。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜10時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)によりフッ素アルコール化合物(8)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶等の常法に従って精製することができる。
【0057】
本発明の第3の含フッ素単量体は、上記一般式(8)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(9)で示される化合物である。
【化40】

(式中、R1、R5及びR7は上記と同様である。)
【0058】
上記一般式(9)で示される含フッ素単量体は、下記反応式に示すように上記一般式(8)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる。
【化41】

(式中、R1、R5、R7、R10は上記と同様である。)
【0059】
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(23)としては、酸クロリド{式(23)において、R10が塩素原子の場合}、カルボン酸{式(23)において、R10が−OR11、R11が水素原子の場合}又は酸無水物{式(23)において、R10が−OR11、R11が−C(=O)R5C=CH2等の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(8)、メタクリル酸クロリド、α−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(8)、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸等の対応するカルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を加え、加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除く等して行う方法、もしくは無溶媒又はトルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(8)、メタンスルホニルクロライドなどの脂肪族スルホニルクロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド等の芳香族スルホニルクロライド、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸等の酸無水物、必要に応じて、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。酸無水物を用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(8)、メタクリル酸無水物、α−トリフルオロメチルアクリル酸無水物などの対応する酸無水物、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸又はトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。
【0060】
なお、用いられる酸無水物は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、フェノール、p−ニトロフェノール等のフェノール類等の他の酸との混合酸無水物を用いてもよい。
【0061】
また、上記一般式(9)においてR1が水素原子の場合は、対応するフッ素アルコール化合物{式(8)において、R1が水素原子の場合}を用い、望む側の水酸基を選択的にモノエステル化し、目的物を得るか、又は両方をエステル化し、下記一般式(26)で示されるジエステル化合物とした後、加水分解反応等の脱保護を行い、目的物(9)へ導くことも可能である。
【化42】

(式中、R5、R7は上記と同様である。)
【0062】
上記一般式(9)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化43】


(式中、R5は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0063】
本発明の第4の含フッ素単量体は、上記一般式(8)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(10)で示されるものである。
【化44】

(式中、R1、R6、R7、W及びk1は上記と同様である。)
【0064】
上記一般式(10)で示される含フッ素単量体は、下記反応式に示すように上記一般式(8)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる。
【化45】

(式中、R1、R6、R7、R10、W及びk1は上記と同様である。)
【0065】
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(25)としては、酸クロリド{式(25)において、R10が塩素原子の場合}、カルボン酸{式(25)において、R10が−OR11、R11が水素原子の場合}又は酸無水物{式(25)において、R10が−OR11、R11が下記式
【化46】

等の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(8)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロリド、7−オキサ−5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(8)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、7−オキサ−5−ノルボルネン−2−カルボン酸等の対応するカルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を加え、加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除く等して行う方法、もしくは無溶媒又はトルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(8)、メタンスルホニルクロライドなどの脂肪族スルホニルクロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド等の芳香族スルホニルクロライド、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸等の酸無水物、必要に応じて、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。酸無水物を用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(8)、ノルボルネンカルボン酸無水物、テトラシクロドデセンカルボン酸無水物などの対応する酸無水物、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸又はトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。
【0066】
なお、用いられる酸無水物は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、フェノール、p−ニトロフェノール等のフェノール類等の他の酸との混合酸無水物を用いてもよい。
【0067】
また、含フッ素単量体(9)とフラン又はシクロペンタジエン等の対応するジエン化合物とのDiels−Alder反応により目的物(10)へ導くことも可能である。
【0068】
上記一般式(10)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化47】

(式中、R6は上記と同様である。)
【0069】
【化48】

(式中、R6は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0070】
本発明の第3のフッ素アルコール化合物の製造方法は、上記一般式(1)で示されるフッ素化合物に対する下記一般式(11)で示される有機金属試薬の求核付加反応により得ることを特徴とする下記一般式(12)で示されるフッ素アルコール化合物の製造方法である。
【化49】

(式中、R1及びM2は上記と同様である。k2は1又は2である。)
【0071】
有機金属試薬(11)の使用量は、条件により種々異なるが、例えば、上記式(1)中のR1が水素原子の場合は、フッ素化合物(1)1モルに対して、1.0〜5.0モル、特に1.0〜3.0モルとすることが望ましい。溶媒としてテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類が好ましく、これらの溶媒を単独もしくは混合して使用することができる。反応温度、反応時間は、条件により種々異なるが、例えば、有機金属試薬としてGrignard試薬{式(11)において、M2がMgPの場合。}を用いる場合は、反応温度を0〜100℃、好ましくは20〜70℃で行う。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜10時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)によりフッ素アルコール化合物(12)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶等の常法に従って精製することができる。
【0072】
本発明の第5の含フッ素単量体は、上記一般式(12)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(13)で示される化合物である。
【化50】

(式中、R1、R5及びk2は上記と同様である。)
【0073】
上記一般式(13)で示される含フッ素単量体は、下記反応式に示すように上記一般式(12)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる。
【化51】

(式中、R1、R5、R10、k2は上記と同様である。)
【0074】
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(23)としては、酸クロリド{式(23)において、R10が塩素原子の場合}、カルボン酸{式(23)において、R10が−OR11、R11が水素原子の場合}又は酸無水物{式(23)において、R10が−OR11、R11が−C(=O)R5C=CH2等の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(12)、メタクリル酸クロリド、α−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(8)、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸等の対応するカルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を加え、加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除く等して行う方法、もしくは無溶媒又はトルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(12)、メタンスルホニルクロライドなどの脂肪族スルホニルクロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド等の芳香族スルホニルクロライド、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸等の酸無水物、必要に応じて、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。酸無水物を用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(12)、メタクリル酸無水物、α−トリフルオロメチルアクリル酸無水物などの対応する酸無水物、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸又はトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。
【0075】
なお、用いられる酸無水物は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、フェノール、p−ニトロフェノール等のフェノール類等の他の酸との混合酸無水物を用いてもよい。
【0076】
また、上記一般式(13)においてR1が水素原子の場合は、対応するフッ素アルコール化合物{式(12)において、R1が水素原子の場合}を用い、望む側の水酸基を選択的にモノエステル化し、目的物を得るか、又は両方をエステル化し、下記一般式(27)で示されるジエステル化合物とした後、加水分解反応等の脱保護を行い、目的物(13)へ導くことも可能である。
【化52】

(式中、R5、k2は上記と同様である。)
【0077】
上記一般式(13)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【0078】
【化53】

(式中、R5は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0079】
本発明の第6の含フッ素単量体は、上記一般式(12)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(14)で示される化合物である。
【化54】

(式中、R1、R6、W、k1及びk2は上記と同様である。)
【0080】
上記一般式(14)で示される含フッ素単量体は、下記反応式に示すように上記一般式(12)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる。
【化55】

(式中、R1、R6、R10、W、k1及びk2は上記と同様である。)
【0081】
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(25)としては、酸クロリド{式(25)において、R10が塩素原子の場合}、カルボン酸{式(25)において、R10が−OR11、R11が水素原子の場合}又は酸無水物{式(25)において、R10が−OR11、R11が下記式
【化56】

等の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(12)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロリド、7−オキサ−5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(12)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、7−オキサ−5−ノルボルネン−2−カルボン酸等の対応するカルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を加え、加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除く等して行う方法、もしくは無溶媒又はトルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(12)、メタンスルホニルクロライドなどの脂肪族スルホニルクロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド等の芳香族スルホニルクロライド、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸等の酸無水物、必要に応じて、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。酸無水物を用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(12)、ノルボルネンカルボン酸無水物、テトラシクロドデセンカルボン酸無水物などの対応する酸無水物、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸又はトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。
【0082】
なお、用いられる酸無水物は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、フェノール、p−ニトロフェノール等のフェノール類等の他の酸との混合酸無水物を用いてもよい。
【0083】
また、含フッ素単量体(13)とフラン又はシクロペンタジエン等の対応するジエン化合物とのDiels−Alder反応により目的物(14)へ導くことも可能である。
【0084】
上記一般式(14)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化57】

(式中、R6は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0085】
本発明の第4のフッ素アルコール化合物の製造方法は、上記一般式(1)で示されるフッ素化合物に対する下記一般式(15)で示される有機金属試薬の付加反応により得ることを特徴とする下記一般式(16)で示されるフッ素アルコール化合物の製造方法である。
【化58】

(式中、R1、M2は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0086】
有機金属試薬(15)の使用量は、条件により種々異なるが、例えば、上記式(1)中のR1が水素原子の場合は、フッ素化合物(1)1モルに対して、2.0〜5.0モル、特に2.0〜3.0モルとすることが望ましい。溶媒としてテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類が好ましく、これらの溶媒を単独もしくは混合して使用することができる。反応温度、反応時間は、条件により種々異なるが、例えば、有機金属試薬としてGrignard試薬{式(15)において、M2がMgPの場合。}を用いる場合は、反応温度を0〜100℃、好ましくは20〜70℃で行う。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜10時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)によりフッ素アルコール化合物(16)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶等の常法に従って精製することができる。
【0087】
本発明の第7の含フッ素単量体は、上記一般式(16)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(17)で示される化合物である。
【化59】

(式中、R1及びR5は上記と同様である。)
【0088】
上記一般式(17)で示される含フッ素単量体は、下記反応式に示すように上記一般式(16)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる。
【化60】

(式中、R1、R5、R10は上記と同様である。)
【0089】
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(23)としては、酸クロリド{式(23)において、R10が塩素原子の場合}、カルボン酸{式(23)において、R10が−OR11、R11が水素原子の場合}又は酸無水物{式(23)において、R10が−OR11、R11が−C(=O)R5C=CH2等の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(16)、メタクリル酸クロリド、α−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(8)、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸等の対応するカルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を加え、加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除く等して行う方法、もしくは無溶媒又はトルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(16)、メタンスルホニルクロライドなどの脂肪族スルホニルクロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド等の芳香族スルホニルクロライド、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸等の酸無水物、必要に応じて、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。酸無水物を用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(16)、メタクリル酸無水物、α−トリフルオロメチルアクリル酸無水物などの対応する酸無水物、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸又はトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。
【0090】
なお、用いられる酸無水物は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、フェノール、p−ニトロフェノール等のフェノール類等の他の酸との混合酸無水物を用いてもよい。
【0091】
また、上記一般式(17)においてR1が水素原子の場合は、対応するフッ素アルコール化合物{式(16)において、R1が水素原子の場合}を用い、望む側の水酸基を選択的にモノエステル化し、目的物を得るか、又は両方をエステル化し、下記一般式(28)で示されるジエステル化合物とした後、加水分解反応等の脱保護を行い、目的物(17)へ導くことも可能である。
【化61】

(式中、R5は上記と同様である。)
【0092】
上記一般式(17)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化62】

(式中、R5は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0093】
本発明の第8の含フッ素単量体は、上記一般式(16)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(18)で示される化合物である。
【化63】

(式中、R1、R6、W及びk1は上記と同様である。)
【0094】
上記一般式(18)で示される含フッ素単量体は、下記反応式に示すように上記一般式(16)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる。
【化64】

(式中、R1、R6、R10、W及びk1は上記と同様である。)
【0095】
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(25)としては、酸クロリド{式(25)において、R10が塩素原子の場合}、カルボン酸{式(25)において、R10が−OR11、R11が水素原子の場合}又は酸無水物{式(25)において、R10が−OR11、R11が下記式
【化65】

等の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(16)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロリド、7−オキサ−5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(16)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、7−オキサ−5−ノルボルネン−2−カルボン酸等の対応するカルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を加え、加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除く等して行う方法、もしくは無溶媒又はトルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(16)、メタンスルホニルクロライドなどの脂肪族スルホニルクロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド等の芳香族スルホニルクロライド、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸等の酸無水物、必要に応じて、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。酸無水物を用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール(16)、ノルボルネンカルボン酸無水物、テトラシクロドデセンカルボン酸無水物などの対応する酸無水物、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸又はトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱する等して行うのがよい。
【0096】
なお、用いられる酸無水物は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、フェノール、p−ニトロフェノール等のフェノール類等の他の酸との混合酸無水物を用いてもよい。
【0097】
また、含フッ素単量体(17)とフラン又はシクロペンタジエン等の対応するジエン化合物とのDiels−Alder反応により目的物(18)へ導くことも可能である。
【0098】
上記一般式(18)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化66】

(式中、R6は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0099】
なお、特許文献3には、概念として本発明の上記一般式(5)、(9)、(13)、(17)を含有する構造が開示されているが、合成法の開示はなく、本発明の化合物のように、トリフルオロメチル基が置換している炭素とCH2=CR5C(=O)O−が置換している炭素との間に炭素が介在しない化合物を、当時の技術として、どのように得ればよいのか不明である。本特許文献では具体的構造として、介在する炭素数が0である構造{本特許文献中一般式(2)}を挙げており、それに対応するポリマーの例示{本特許文献中一般式(12)}があるが、このポリマーの原料となるモノマー{本特許文献中一般式(6)}は、介在する炭素数が1であり、かつそのモノマーを合成する原料アルコールの記載が実施例にあるが、それは介在する炭素数が1である本特許文献中一般式(6)の構造を支持するものである。よって、本特許文献には、少なくとも介在する炭素数が0である化合物については事実上開示がされていない。
【0100】
従って、トリフルオロメチル基が置換している炭素とCH2=CR5C(=O)O−が置換している炭素との間に炭素が介在しない化合物の実質的開示は本発明が最初のものであり、その合成法についての開示も最初のものである。
【0101】
本発明の高分子化合物は、一般式(5)、(6)、(9)、(10)、(13)、(14)、(17)、(18)で示される含フッ素単量体から得られる繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物である。
【0102】
一般式(5)、(6)で示される含フッ素単量体から得られる繰り返し単位として、具体的には下記式(1a)〜(1c)を挙げることができる。
【化67】

(式中、R1、R3〜R6、W及びk1は上記と同様である。)
【0103】
一般式(9)、(10)で示される含フッ素単量体から得られる繰り返し単位として、具体的には下記式(2a)〜(2c)を挙げることができる。
【化68】

(式中、R1、R5〜R7、W及びk1は上記と同様である。)
【0104】
一般式(13)、(14)で示される含フッ素単量体から得られる繰り返し単位として、具体的には下記式(3a)〜(3c)を挙げることができる。
【化69】

(式中、R1、R5、R6、W、k1及びk2は上記と同様である。)
【0105】
一般式(17)、(18)で示される含フッ素単量体から得られる繰り返し単位として、具体的には下記式(4a)〜(4c)を挙げることができる。
【化70】

(式中、R1、R5、R6、W及びk1は上記と同様である。)
【0106】
また、本発明の高分子化合物には、上記一般式(1a)〜(1c)、(2a)〜(2c)、(3a)〜(3c)及び(4a)〜(4c)で示される繰り返し単位等の一般式(5)、(6)、(9)、(10)、(13)、(14)、(17)、(18)で示される化合物の繰り返し単位に加え、下記一般式(19)〜(22)で示される繰り返し単位をいずれか1種以上含有することができる。
【0107】
【化71】

(式中、R5は上記と同様である。R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す。Xは酸不安定基を示す。Yはラクトン構造を有する置換基を示す。Zは、水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。)
【0108】
上記一般式(19)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる重合体を与える。酸不安定基Xとしては種々用いることができるが、具体的には下記一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0109】
【化72】

【0110】
ここで、破線は結合手を示す(以下、同様)。式中、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等が例示できる。RL03は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0111】
【化73】

【0112】
L01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0113】
L04は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示し、三級アルキル基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示でき、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。yは0〜6の整数である。
【0114】
L05は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、置換されていてもよいアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示でき、置換されていてもよいアリール基としては、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。式(L3)において、mは0又は1、nは0、1、2、3のいずれかであり、2m+n=2又は3を満足する数である。
【0115】
L06は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL05と同様のもの等が例示できる。RL07〜RL16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の一価の炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。RL07〜RL16は互いに結合して環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合には炭素数1〜15の二価の炭化水素基を示し、具体的には上記一価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
【0116】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【化74】

【0117】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
【0118】
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0119】
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−n−プロピルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−n−ブチルシクロペンチル、1−sec−ブチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルシクロペンチル、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル等が例示できる。
【0120】
上記式(L4)の酸不安定基としては、下記式(L4−1)〜(L4−4)で示される基が特に好ましい。
【化75】

【0121】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)中、破線は結合位置及び結合方向を示す。RL41はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。
【0122】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在しえるが、前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、これらの立体異性体の全てを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0123】
例えば、前記一般式(L4−3)は下記一般式(L4−3−1)、(L4−3−2)で示される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
【化76】

【0124】
また、上記一般式(L4−4)は下記一般式(L4−4−1)〜(L4−4−4)で示される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
【化77】

【0125】
上記一般式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)及び(L4−4−1)〜(L4−4−4)は、それらのエナンチオ異性体及びエナンチオ異性体混合物をも代表して示すものとする。
【0126】
なお、(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)及び(L4−4−1)〜(L4−4−4)の結合方向がそれぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開平12−336121号公報参照)。これらビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する3級exo−アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記一般式(L4−1−endo)〜(L4−4−endo)で示されるendo−アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50%以上であることが好ましく、exo比率が80%以上であることが更に好ましい。
【0127】
【化78】

(特開2000−336121号公報参照)
【0128】
上記式(L4)の酸不安定基としては、具体的には下記の基が例示できる。
【化79】

【0129】
また、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、具体的にはRL04で挙げたものと同様のもの等が例示できる。
【0130】
前記一般式(19)で表される繰り返し単位として具体的には下記のものを例示できるがこれらに限定されない。
【0131】
【化80】

【0132】
【化81】

【0133】
【化82】

【0134】
【化83】

【0135】
【化84】

【0136】
前記一般式(20)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化85】

【0137】
前記一般式(21)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化86】

【0138】
【化87】

【0139】
【化88】

【0140】
前記一般式(22)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化89】

【0141】
本発明の高分子化合物は、上記以外の炭素−炭素二重結合を含有する単量体から得られる繰り返し単位、例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.177,10]ドデセン誘導体などの環状オレフィン類、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、その他の単量体から得られる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0142】
なお、本発明の高分子化合物の重量平均分子量はポリスチレン換算でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した場合、1,000〜500,000、好ましくは3,000〜100,000である。この範囲を外れると、エッチング耐性が極端に低下したり、露光前後の溶解速度差が確保できなくなって解像性が低下したりすることがある。
【0143】
本発明の高分子化合物において、各単量体から得られる各繰り返し単位の好ましい含有割合は、例えば以下に示す範囲(モル%)とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0144】
(I)上記式(5)、(6)、(9)、(10)、(13)、(14)、(17)、(18)の単量体に基づく式(1a)〜(1c)、(2a)〜(2c)、(3a)〜(3c)及び(4a)〜(4c)で示される構成単位の1種又は2種以上を0モル%を超え100モル%、好ましくは5〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%含有し、
(II)上記式(19)〜(22)で示される構成単位の1種又は2種以上を0モル%以上、100モル%未満、好ましくは1〜95モル%、より好ましくは20〜80モル%含有し、必要に応じ、
(III)その他の単量体に基づく構成単位の1種又は2種以上を0〜80モル%、好ましくは0〜70モル%、より好ましくは0〜50モル%含有することができる。
【0145】
本発明の高分子化合物の製造は、上記一般式(5)、(6)、(9)、(10)、(13)、(14)、(17)、(18)で示される化合物を第1の単量体に、重合性二重結合を含有する化合物を第2以降の単量体に用いた共重合反応により行う。
本発明の高分子化合物を製造する共重合反応は種々例示することができるが、好ましくはラジカル重合、アニオン重合又は配位重合である。
【0146】
ラジカル重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール等のアルコール類、又はメチルイソブチルケトン等のケトン類を用い、(イ)重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、又は過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0147】
アニオン重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、又は液体アンモニアを用い、(イ)重合開始剤としてナトリウム、カリウム等の金属、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等のアルキル金属、ケチル、又はグリニャール反応剤を用い、(ウ)反応温度を−78℃〜0℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とし、(オ)停止剤としてメタノール等のプロトン供与性化合物、ヨウ化メチル等のハロゲン化物、その他求電子性物質を用いるのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0148】
配位重合の反応条件は、(ア)溶剤としてn−ヘプタン、トルエン等の炭化水素類を用い、(イ)触媒としてチタン等の遷移金属とアルキルアルミニウムからなるチーグラー−ナッタ触媒、クロム及びニッケル化合物を金属酸化物に担持したフィリップス触媒、タングステン及びレニウム混合触媒に代表されるオレフィン−メタセシス混合触媒等を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0149】
本発明の高分子化合物は、レジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベースポリマーとして好適に用いられ、本発明は、上記高分子化合物を含有するレジスト材料、とりわけポジ型レジスト材料を提供する。この場合、レジスト材料としては、
(A)ベース樹脂として上記高分子化合物、
(B)酸発生剤、
(C)有機溶剤
必要により、
(D)含窒素有機化合物
(E)界面活性剤
を含有するものが好ましい。
【0150】
上記(A)成分のベース樹脂として、本発明の高分子化合物以外に、必要に応じて他の、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂を加えてもよい。例としては、i)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ii)ノルボルネン誘導体−無水マレイン酸の共重合体、iii)開環メタセシス重合体の水素添加物、iv)ビニルエーテル−無水マレイン酸−(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体などを挙げることができるがこれに限定されない。
【0151】
このうち、開環メタセシス重合体の水素添加物の合成法は特開2003−66612号公報の実施例に具体的な記載がある。また、具体例としては以下の繰り返し単位を有するものを挙げることができるがこれに限定されない。
【0152】
【化90】

【0153】
【化91】

【0154】
本発明の高分子化合物と別の高分子化合物との配合比率は、100:0〜10:90、特に100:0〜20:80の質量比の範囲内にあることが好ましい。本発明の高分子化合物の配合比がこれより少ないと、レジスト材料として好ましい性能が得られないことがある。上記の配合比率を適宜変えることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0155】
なお、上記高分子化合物は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0156】
本発明で使用される(B)成分の酸発生剤として光酸発生剤を添加する場合は、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでもかまわない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するがこれらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0157】
スルホニウム塩はスルホニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、スルホニウムカチオンとしてトリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4’−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アダンマンタンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしてはビストリフルオロメチルスルホニルイミド、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミド、ビスヘプタフルオロプロピルスルホニルイミド、1,3−プロピレンビススルホニルイミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリストリフルオロメチルスルホニルメチドが挙げられ、これらの組み合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
【0158】
ヨードニウム塩はヨードニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオンとスルホネートとしてトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アダンマンタンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしてはビストリフルオロメチルスルホニルイミド、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミド、ビスヘプタフルオロプロピルスルホニルイミド、1,3−プロピレンビススルホニルイミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリストリフルオロメチルスルホニルメチドが挙げられ、これらの組み合わせのヨードニウム塩が挙げられる。
【0159】
スルホニルジアゾメタンとしては、ビス(エチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(パーフルオロイソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−アセチルオキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メタンスルホニルオキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−(4−トルエンスルホニルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−n−ヘキシルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチル−4−(n−ヘキシルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,5−ジメチル−4−(n−ヘキシルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−(n−ヘキシルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチル−5−イソプロピル−4−(n−ヘキシルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン4−メチルフェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tertブチルカルボニル−4−メチルフェニルスルホニルジアゾメタン、2−ナフチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、4−メチルフェニルスルホニル2−ナフトイルジアゾメタン、メチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tertブトキシカルボニル−4−メチルフェニルスルホニルジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタンとスルホニル−カルボニルジアゾメタンが挙げられる。
【0160】
N−スルホニルオキシイミド型光酸発生剤としては、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボン酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボン酸イミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸イミド等のイミド骨格とトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アダンマンタンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等の組み合わせの化合物が挙げられる。
【0161】
ベンゾインスルホネート型光酸発生剤としては、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレートベンゾインブタンスルホネート等が挙げられる。
【0162】
ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤としては、ピロガロール、フロログリシノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンのヒドロキシル基のすべてをトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アダンマンタンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等で置換した化合物が挙げられる。
【0163】
ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤としては、2,4−ジニトロベンジルスルホネート、2−ニトロベンジルスルホネート、2,6−ジニトロベンジルスルホネートが挙げられ、スルホネートとしては、具体的にトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アダンマンタンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等が挙げられる。またベンジル側のニトロ基をトリフルオロメチル基で置き換えた化合物も同様に用いることができる。
【0164】
スルホン型光酸発生剤の例としては、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)メタン、2,2−ビス(フェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(2−ナフチルスルホニル)プロパン、2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等が挙げられる。
【0165】
グリオキシム誘導体型の光酸発生剤は、特許第2906999号公報や特開平9−301948号公報に記載の化合物を挙げることができ、具体的にはビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(10−カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−ニオキシム、ビス−O−(2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル)−ニオキシム、ビス−O−(10−カンファースルホニル)−ニオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−ニオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−ニオキシム、ビス−O−(p−トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)−ニオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−ニオキシム等が挙げられる。
【0166】
また、米国特許第6004724号明細書記載のオキシムスルホネート、特に(5−(4−トルエンスルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル、(5−(10−カンファースルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル、(5−n−オクタンスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル、(5−(4−トルエンスルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−(10−カンファースルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−n−オクタンスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)(2−メチルフェニル)アセトニトリル等が挙げられ、更に米国特許第6916591号明細書記載の(5−(4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル、(5−(2,5−ビス(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル等が挙げられる。
【0167】
米国特許第6261738号明細書、特開2000−314956号公報記載のオキシムスルホネート、特に、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(1−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(2−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(メチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルチオフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−フェニル−ブタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−10−カンホリルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(2,4,6−トリメチルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メチルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−ドデシルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−オクチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−ドデシルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−オクチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−フェニルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−クロロフェニル)−エタノンオキシム−O−フェニルスルホナート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−(フェニル)−ブタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−ナフチル−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−2−ナフチル−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−ベンジルフェニル]−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(フェニル−1,4−ジオキサ−ブト−1−イル)フェニル]−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−ナフチル−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−2−ナフチル−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−ベンジルフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メチルスルホニルフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、1,3−ビス[1−(4−フェノキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノンオキシム−O−スルホニル]フェニル、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メチルスルホニルオキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メチルカルボニルオキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[6H,7H−5,8−ジオキソナフト−2−イル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メトキシカルボニルメトキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(メトキシカルボニル)−(4−アミノ−1−オキサ−ペンタ−1−イル)−フェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[3,5−ジメチル−4−エトキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−ベンジルオキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−チオフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、及び2,2,2−トリフルオロ−1−[1−ジオキサ−チオフェン−2−イル]]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(3−(4−(2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメタンスルホニルオキシイミノ)−エチル)−フェノキシ)−プロポキシ)−フェニル)エタノンオキシム(トリフルオロメタンスルホネート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(3−(4−(2,2,2−トリフルオロ−1−(1−プロパンスルホニルオキシイミノ)−エチル)−フェノキシ)−プロポキシ)−フェニル)エタノンオキシム(1−プロパンスルホネート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(3−(4−(2,2,2−トリフルオロ−1−(1−ブタンスルホニルオキシイミノ)−エチル)−フェノキシ)−プロポキシ)−フェニル)エタノンオキシム(1−ブタンスルホネート)等が挙げられ、更に米国特許第6916591号明細書記載の2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(3−(4−(2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニルスルホニルオキシイミノ)−エチル)−フェノキシ)−プロポキシ)−フェニル)エタノンオキシム(4−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニルスルホネート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(3−(4−(2,2,2−トリフルオロ−1−(2,5−ビス(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ベンゼンスルホニルオキシ)フェニルスルホニルオキシイミノ)−エチル)−フェノキシ)−プロポキシ)−フェニル)エタノンオキシム(2,5−ビス(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ベンゼンスルホニルオキシ)フェニルスルホネート)等が挙げられる。
【0168】
特開平9−95479号公報、特開平9−230588号公報あるいは文中の従来技術として記載のオキシムスルホネートα−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2−チエニルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−[(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−3−チエニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル等が挙げられる。
【0169】
下記式
【化92】

(上式中、RS1は置換又は非置換の炭素数1〜10のハロアルキルスルホニル、又はハロベンゼンスルホニル基を表す。RS2は炭素数1〜11のハロアルキル基を表す。ArS1は置換又は非置換の芳香族基又はヘテロ芳香族基を表す。)
で示されるオキシムスルホネート(例えば国際公開第2004/074242号パンフレットに具体例記載)、具体的には、2−[2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ペンチル]−フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ブチル]−フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ヘキシル]−フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ペンチル]−4−ビフェニル、2−[2,2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ブチル]−4−ビフェニル、2−[2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ヘキシル]−4−ビフェニルなどが挙げられる。
【0170】
また、ビスオキシムスルホネートとして特開平9−208554号公報記載の化合物、特にビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(ベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(メタンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリルビス(α−(ブタンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(10−カンファースルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(ベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(メタンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリルビス(α−(ブタンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(10−カンファースルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル等が挙げられる。
【0171】
中でも好ましく用いられる光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ビススルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート、グリオキシム誘導体である。より好ましく用いられる光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ビススルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネートである。具体的にはトリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムペンタフルオロベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−(4’−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム4−(4’−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、カンファースルホネート、トリス(4−tertブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−1−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロへキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−n−ヘキシルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチル−4−(n−ヘキシルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,5−ジメチル−4−(n−ヘキシルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−(n−ヘキシルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチル−5−イソプロピル−4−(n−ヘキシルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、N−カンファースルホニルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、N−p−トルエンスルホニルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−[2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ペンチル]−フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ブチル]−フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ヘキシル]−フルオレン等が挙げられる。
【0172】
本発明の化学増幅型レジスト材料における光酸発生剤の添加量はいずれでもよいが、レジスト材料中のベース樹脂100部(質量部、以下同じ)中0.1〜20部、好ましくは0.1〜10部である。光酸発生剤の割合が多すぎる場合には解像性の劣化や、現像/レジスト剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。上記光酸発生剤は単独でも2種以上混合して用いることができる。更に露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量でレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
【0173】
また、本発明のレジスト材料に、酸により分解し酸を発生する化合物(酸増殖化合物)を添加してもよい。これらの化合物についてはJ.Photopolym.Sci.and Tech.,8.43−44,45−46(1995)、J.Photopolym.Sci.and Tech.,9.29−30(1996)において記載されている。
【0174】
酸増殖化合物の例としては、tert−ブチル2−メチル2−トシロキシメチルアセトアセテート、2−フェニル2−(2−トシロキシエチル)1,3−ジオキソラン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。公知の光酸発生剤の中で安定性、特に熱安定性に劣る化合物は酸増殖化合物的な性質を示す場合が多い。
【0175】
本発明のレジスト材料における酸増殖化合物の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部中2部以下、好ましくは1部以下である。添加量が多すぎる場合は拡散の制御が難しく解像性の劣化、パターン形状の劣化が起こる。
【0176】
本発明で使用される(C)成分の有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert―ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ―ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0177】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100部に対して200〜1,000部、特に400〜800部が好適である。
【0178】
更に、本発明のレジスト材料には、(D)成分として含窒素有機化合物を1種又は2種以上配合することができる。
含窒素有機化合物としては、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。含窒素有機化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0179】
このような含窒素有機化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。
【0180】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0181】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0182】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、1−シクロヘキシルピロリドン等が例示される。イミド類としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。カーバメート類としては、N−t−ブトキシカルボニル−N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、オキサゾリジノン等が例示される。
【0183】
更に、下記一般式(B)−1で示される含窒素有機化合物が例示される。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
(上式中、nは1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。)
【0184】
【化93】


(上式中、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0185】
上記一般式(B)−1で表される化合物として具体的には、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンが例示される。
【0186】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ含窒素有機化合物が例示される。
【化94】


(上式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0187】
上記式(B)−2としては具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル、2−メトキシ酢酸2−モルホリノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−モルホリノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−モルホリノエチル、ヘキサン酸2−モルホリノエチル、オクタン酸2−モルホリノエチル、デカン酸2−モルホリノエチル、ラウリン酸2−モルホリノエチル、ミリスチン酸2−モルホリノエチル、パルミチン酸2−モルホリノエチル、ステアリン酸2−モルホリノエチルが例示される。
【0188】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物が例示される。
【化95】


(上式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0189】
上記(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物として具体的には、3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)が例示される。
【0190】
更に、下記一般式(B)−7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化96】


(上式中、R310は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基として水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基、アセタール基を1個あるいは複数個含む。R311、R312、R313は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
【0191】
更に、下記一般式(B)−8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化97】


(上式中、R314は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。R315は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としてエステル基、アセタール基、シアノ基を一つ以上含み、その他に水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基を一つ以上含んでいてもよい。)
【0192】
更に、下記一般式(B)−9及び(B)−10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
【化98】


(上式中、Aは窒素原子又は≡C−R322である。Bは窒素原子又は≡C−R323である。R316は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基又はアセタール基を一つ以上含む。R317、R318、R319、R320は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基であるか、又はR317とR318、R319とR320はそれぞれ結合してベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R321は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R322、R323は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R321とR323は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
【0193】
更に、下記一般式(B)−11〜(B)−14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化99】


(上式中、R324は炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、又は、炭素数1〜10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R325はCO2326、OR327又はシアノ基である。R326は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。R327は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基である。R328は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は−O(CH2CH2O)n−基である。n=0,1,2,3又は4である。R329は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Xは窒素原子又はCR330である。Yは窒素原子又はCR331である。Zは窒素原子又はCR332である。R330、R331、R332はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR330とR331又はR331とR332が結合して、炭素数6〜20の芳香環又は炭素数2〜20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0194】
更に、下記一般式(B)−15で示される7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化100】


(上式中、R333は水素又は炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基である。R334及びR335はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、スルフィド、ニトリル、アミン、イミン、アミドなどの極性官能基を一つ又は複数含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であって水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R334とR335は互いに結合して、炭素数2〜20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0195】
なお、含窒素有機化合物の配合量は全ベース樹脂100部に対して0.001〜2部、特に0.01〜1部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果がなく、2部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0196】
本発明のレジスト材料には、上記成分以外に任意成分として塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤を添加することができる。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0197】
ここで、界面活性剤としては非イオン性のものが好ましく、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルEO付加物、含フッ素オルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。例えばフロラード「FC−430」、「FC−431」(いずれも住友スリーエム(株)製)、サーフロン「S−141」、「S−145」、「KH−10」、「KH−20」、「KH−30」、「KH−40」(いずれも旭硝子(株)製)、ユニダイン「DS−401」、「DS−403」、「DS−451」(いずれもダイキン工業(株)製)、メガファック「F−8151」(大日本インキ工業(株)製)、「X−70−092」、「X−70−093」(いずれも信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。好ましくは、フロラード「FC−430」(住友スリーエム(株)製)、「KH−20」、「KH−30」(いずれも旭硝子(株)製)、「X−70−093」(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0198】
本発明のレジスト材料の基本的構成成分は、上記の重合体、酸発生剤、有機溶剤及び含窒素有機化合物であるが、上記成分以外に任意成分として必要に応じて更に、溶解阻止剤、酸性化合物、安定剤、色素などの他の成分を添加してもよい。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0199】
本発明のレジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えば、シリコンウエハー等の基板上にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.05〜2.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜140℃、1〜5分間プリベークする。次いで目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線又は電子線を露光量1〜200mJ/cm2、好ましくは10〜100mJ/cm2となるように照射する。露光は通常の露光法の他、場合によってはマスクとレジストの間を液浸するImmersion法を用いることも可能である。次いで、ホットプレート上で、60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜140℃、1〜3分間ポストエクスポウジャーベーク(PEB)する。更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像して、基板上に目的のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも250〜190nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、X線及び電子線による微細パターニングに最適である。また、上記範囲が上限又は下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
【実施例】
【0200】
以下、合成例及び実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記式中、Meはメチル基を示す。
【0201】
[合成例1]
本発明の含フッ素単量体を以下に示す処方で合成した。
[合成例1−1]モノマー1の合成
【化101】

【0202】
[合成例1−1−1]1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−3−メチル−2,3−ブタンジオールの合成
1Mメチルマグネシウムクロリドのテトラヒドロフラン溶液1,260mlをフラスコに収め、50℃以下にて、2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピオン酸メチル73.0gを滴下した。室温で1時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、通常の後処理操作を行った。n−ヘプタンより再結晶を行い、目的物59.1gを得た(収率81%)。
融点:48℃(36℃開始 昇温1℃/分)
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.31(6H,s),5.25(1H,s),7.43(1H,s)ppm
【0203】
[合成例1−1−2]メタクリル酸3−ヒドロキシ−2−メチル−4,4,4−トリフルオロ−3−トリフルオロメチルブタン−2−イルの合成
[1−1−1]で得たアルコール55.0g及びトリエチルアミン32.0gをトルエン300mlに溶解した。10℃にてメタクリル酸クロリド26.7gを加え、そのままの温度で3時間撹拌した。水100mlを30℃以下で加え、通常の後処理操作を行った。減圧蒸留を行い、目的物57.2gを得た(収率80%)。
沸点:54−55℃/500Pa
IR(薄膜):ν=3255,3039,3014,2966,2935,1697,1635,1475,1456,1338,1315,1257,1238,1226,1193,1170,1153,1137,987,946,904cm-1
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.72(6H,s),1.81(3H,s),5.67(1H,t様),5.97(1H,t様),8.41(1H,s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−70.1(6F,s)ppm
【0204】
[合成例1−2]モノマー2の合成
メタクリル酸クロリドの代わりにアクリル酸クロリドを使用した以外は合成例1−1−2と同様な方法でアクリル酸3−ヒドロキシ−2−メチル−4,4,4−トリフルオロ−3−トリフルオロメチルブタン−2−イルを得た(収率74%)。
沸点:48−50℃/500Pa
IR(薄膜):ν=3259,3039,3014,2967,1704,1637,1619,1475,1448,1407,1307,1226,1193,1155,1137,1049,1022,987,956,925cm-1
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.72(6H,s),5.94(1H,dd),6.03(1H,dd),6.26(1H,dd),8.39(1H,s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−70.2(6F、s)ppm
【0205】
[合成例1−3]モノマー3の合成
メタクリル酸クロリドの代わりにα−トリフルオロメチルアクリル酸クロリドを使用した以外は合成例1−1−2と同様な方法でα−トリフルオロメチルアクリル酸3−ヒドロキシ−2−メチル−4,4,4−トリフルオロ−3−トリフルオロメチルブタン−2−イルを得た(収率70%)。
【0206】
[合成例1−4]モノマー4の合成
メタクリル酸クロリドの代わりにα−フルオロアクリル酸クロリドを使用した以外は合成例1−1−2と同様な方法でα−フルオロアクリル酸3−ヒドロキシ−2−メチル−4,4,4−トリフルオロ−3−トリフルオロメチルブタン−2−イルを得た(収率60%)。
【0207】
[合成例1−5]モノマー5の合成
メタクリル酸クロリドの代わりに5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロリドを使用した以外は合成例1−1−2と同様な方法で5−ノルボルネン−2−カルボン酸3−ヒドロキシ−2−メチル−4,4,4−トリフルオロ−3−トリフルオロメチルブタン−2−イルを得た(収率80%)。
沸点:65℃/16Pa
IR(NaCl):ν=3241,2979,1706,1257,1236,1193,1172,1153,1137,987,723cm-1
主要異性体の1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.23−1.29(3H,m),1.62(3H,s),1.63(3H,s),1.76(1H,dt),2.84(1H,br),2.94(1H,q),3.08(1H,br),5.84(1H,dd)6.17(1H,dd),8.31(1H,s)ppm
主要異性体の19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−70.1(3F,t),−70.0(3F,t)ppm
【0208】
[合成例1−6]モノマー6の合成
【化102】

【0209】
[合成例1−6−1]4−メチル−1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2,3−ペンタンジオールの合成
マグネシウム9.5gとテトラヒドロフラン300mlをフラスコに収め、イソプロピルクロライド35.0gを50℃にて滴下した。滴下終了後、60℃にて1時間撹拌した後、50℃以下にて、2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピオン酸メチル22.6gを滴下した。室温で1時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、通常の後処理操作を行った。減圧蒸留を行い、目的物20.2gを得た(収率84%)。
沸点:96−98℃/13kPa
【0210】
[合成例1−6−2]メタクリル酸2−ヒドロキシ−4−メチル−1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルペンタン−3−イルの合成
[1−6−1]で得たアルコール18.9g及びトリエチルアミン10.4gをトルエン60mlに溶解した。10℃にてメタクリル酸クロリド9.1gを加え、そのままの温度で3時間撹拌した。水40mlを30℃以下で加え、通常の後処理操作を行った。減圧蒸留を行い、目的物19.9gを得た(収率82%)。
沸点:72−75℃/270Pa
IR(薄膜):ν=3413,2977,2939,2885,1716,1639,1469,1456,1398,1382,1324,1214,1166,1076,1016,950,925cm-1
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=0.82(3H,d),1.03(3H,d),1.88(3H,t様),2.28(1H,sept),5.16−5.18(1H,m),5.77(1H,t様),6.09(1H,t様),8.46(1H,s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−75.3(3F,m),−72.3(3F,m)ppm
【0211】
[合成例1−7]モノマー7の合成
メタクリル酸クロリドの代わりにアクリル酸クロリドを使用した以外は合成例1−6−2と同様な方法でアクリル酸2−ヒドロキシ−4−メチル−1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルペンタン−3−イルを得た(収率81%)。
【0212】
[合成例1−8]モノマー8の合成
メタクリル酸クロリドの代わりに5−ノルボルネン−2−カルボン酸クロリドを使用した以外は合成例1−6−2と同様な方法で5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−4−メチル−1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルペンタン−3−イルを得た(収率84%)。
【0213】
[合成例1−9]モノマー9の合成
【化103】

【0214】
[合成例1−9−1]3−シクロペンチル−3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−1,2−プロパンジオールの合成
マグネシウム16.8gとテトラヒドロフラン300mlをフラスコに収め、シクロペンチルクロライド75.8gを60℃にて滴下した。滴下終了後、60℃にて1時間撹拌した後、50℃以下にて、2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピオン酸メチル40.0gを滴下した。室温で1時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、通常の後処理操作を行った。減圧蒸留を行い、目的物39.1gを得た(収率83%)。
沸点:88−90℃/1.3kPa
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.32−1.62(6H,m),1.65−1.77(2H,m),2.07−2.15(1H,m),3.72(1H,dt),5.53(1H,d),5.77(1H,t様),7.50(1H,s)ppm
【0215】
[合成例1−9−2]メタクリル酸1−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルの合成
[1−9−1]で得たアルコール29.0g及びトリエチルアミン13.2gをトルエン120mlに溶解した。10℃にてメタクリル酸クロリド11.0gを加え、そのままの温度で3時間撹拌した。水40mlを30℃以下で加え、通常の後処理操作を行った。n−ヘプタンより再結晶を行い、目的物28.4gを得た(収率85%)。
融点:59.0℃(50℃開始 昇温1℃/分)
IR(薄膜):ν=3382,2983,2958,2877,1706,1637,1627,1457,1440,1409,1384,1353,1330,1272,1240,1218,1168,1151,1137,1066,1014,954,931cm-1
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.23−1.63(7H,m),1.82−1.89(4H,m),2.27−2.37(1H,m),2.28(1H,sept),5.34(1H,dd),5.76(1H,t様),6.07(1H,t様),8.41(1H,s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−75.0(3F,m),−72.1(3F,m)ppm
【0216】
[合成例1−10]モノマー10の合成
シクロペンチルクロライドの代わりにシクロヘキシルクロライドを使用した以外は合成例[1−9−1]〜[1−9−2]と同様な方法でメタクリル酸1−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルを得た(二工程収率64%)。
IR(薄膜):ν=3388,2985,2954,2939,2865,1708,1637,1457,1438,1405,1384,1348,1332,1321,1301,1274,1251,1230,1214,1189,1168,1151,1132,1105,1066,1014,968,954,937cm-1
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=0.78−0.88(1H,m),1.00−1.24(4H,m),1.56(1H,d),1.66(3H,m),1.86−1.92(4H,m),1.97(1H,m),5.14(1H,dd),5.76(1H,t様),6.08(1H,t様),8.46(1H,s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−75.3(3F,m),−72.2(3F,m)ppm
【0217】
[合成例1−11]モノマー11の合成
シクロペンチルクロライドの代わりにブロモエタンを使用した以外は合成例[1−9−1]〜[1−9−2]と同様な方法でメタクリル酸2−ヒドロキシ−1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルペンタン−3−イルを得た(二工程収率61%)。
【0218】
[合成例1−12]モノマー12の合成
【化104】

【0219】
[合成例1−12−1]1−[1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]シクロペンタノールの合成
マグネシウム9.7gとテトラヒドロフラン200mlをフラスコに収め、1,4−ジブロモブタン43.2gを60℃にて滴下した。滴下終了後、60℃にて1時間撹拌した後、50℃以下にて、2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピオン酸メチル22.6gを滴下した。室温で1時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、通常の後処理操作を行った。減圧蒸留を行い、目的物22.4gを得た(収率89%)。
沸点:111−113℃/8.4kPa
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.50−1.58(2H,m),1.61−1.72(4H,m),1.92−2.02(2H,m),5.00(1H,s),7.55(1H,s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−70.7(6F,m)ppm
【0220】
[合成例1−12−2]メタクリル酸1−[1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]シクロペンチルの合成
[1−12−1]で得たアルコール19.2g及びトリエチルアミン12.3gをトルエン100mlに溶解した。10℃にてメタクリル酸クロリド11.1gを加え、そのままの温度で3時間撹拌した。水40mlを30℃以下で加え、通常の後処理操作を行った。減圧蒸留を行い、目的物19.5gを得た(収率80%)。
沸点:49−50℃/23Pa
IR(薄膜):ν=3236,2967,2885,1695,1635,1456,1405,1382,1344,1313,1213,1170,1151,1066,1025,1012,931cm-1
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.58−1.65(2H,m),1.81(3H,t),1.88−1.95(2H,m),2.14−2.22(2H,m),2.26−2.34(2H,m),5.66(1H,t様),5.96(1H,t様),8.45(1H,s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−70.3(6F、s)ppm
【0221】
[合成例1−13]モノマー13の合成
メタクリル酸クロリドの代わりにアクリル酸クロリドを使用した以外は合成例1−12−2と同様な方法でアクリル酸1−[1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]シクロペンチルを得た(収率78%)。
【0222】
[合成例1−14]モノマー14の合成
1,4−ジブロモブタンの代わりに1,5−ジブロモペンタンを使用した以外は合成例[1−12−1]〜[1−12−2]と同様な方法でメタクリル酸1−[1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]シクロヘキシルを得た(二工程収率62%)。
【0223】
[合成例1−15]モノマー15の合成
【化105】

【0224】
[合成例1−15−1]3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−1,2−プロパンジオールの合成
水素化ホウ素ナトリウム25.0g、水500g、ジエチルエーテル500gの混合物に、撹拌下、2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピオン酸メチル100gを滴下した。10時間撹拌後、塩酸を加えて反応を停止した。分液により得られた有機層を濃縮、続いて蒸留することにより、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−1,2−プロパンジオール83.9gを得た(収率96%)。
沸点:138℃
融点:47℃
【0225】
[合成例1−15−2]メタクリル酸2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロピルの合成
[1−15−1]で得たアルコール50.0g、メタクリル酸メチル76.0g、トルエン15ml、ナトリウムメトキシド300mgの混合物を、反応により生じるメタノールを留去しながら5時間加熱還流した。反応液を冷却後、通常の水系後処理(aqueous work−up)、減圧濃縮を行い、粗生成物を得た。減圧蒸留により精製を行い、メタクリル酸2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロピル51.4gを得た(収率77%)。
沸点:75℃/1,330Pa
IR(薄膜):ν=3411,2973,2937,1714,1639,1457,1407,1382,1328,1268,1220,1157,1089,1041,977,952,873,813cm-1
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.87(3H),4.53(2H),5.77(1H),6.07(1H),8.47(1H)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−76.36(3F),−76.35(3F)ppm
【0226】
[合成例1−16]モノマー16の合成
メタクリル酸メチルの代わりにアクリル酸メチルを使用した以外は合成例1−15−2と同様な方法でアクリル酸2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロピルを得た(収率76%)。
【0227】
[合成例1−17]モノマー17の合成
メタクリル酸メチルの代わりに5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルを使用した以外は合成例1−15−2と同様な方法で5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロピルを得た(収率82%)。
【0228】
【化106】

【0229】
[合成例2]
本発明の高分子化合物を以下に示す処方で合成した。
[合成例2−1]ポリマー1の合成
窒素雰囲気下、80℃で撹拌したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.2gに、モノマー1 25.9gとメタクリル酸3−エチル−3−exo−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル24.1gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1,155mgと2−メルカプトエタノール137mgをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート87.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。更に80℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000mlのn−ヘキサンに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、下記式ポリマー1で示される白色粉末固体状の高分子化合物が得られた。収量は43.5g、収率は87%であった。なお、Mwは、ポリスチレン換算でのGPCを用いて測定した重量平均分子量を表す。
【0230】
【化107】

【0231】
[合成例2−2〜58、比較合成例1−1〜3]ポリマー2〜61の合成
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、合成例2−1と同様の手順により、表1に示した樹脂を製造した。表1中、各単位の構造を表2〜5に示す。
【0232】
【表1】

【0233】
【表2】

【0234】
【表3】

【0235】
【表4】

【0236】
【表5】

【0237】
[実施例、比較例]
レジスト材料の調製
[実施例1−1〜27、比較例1−1〜3]
上記で製造した本発明の樹脂及び比較例用の樹脂(ポリマー59〜61)をベース樹脂として用い、酸発生剤、塩基性化合物、及び溶剤を表6に示す組成で添加し、混合溶解後にそれらをテフロン(登録商標)製フィルター(孔径0.2μm)で濾過し、レジスト材料(R−01〜27)及び比較例用のレジスト材料(R−28〜30)とした。なお、溶剤はすべて界面活性剤としてKH−20(旭硝子(株)製)を0.01質量%含むものを用いた。
【0238】
【表6】

【0239】
表6中、略号で示した酸発生剤、塩基及び溶剤は、それぞれ下記の通りである。
PAG−1:ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
PAG−2:ノナフルオロブタンスルホン酸4−t−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム
PAG−3:1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−シクロへキシルカルボキシプロパンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
Base−1:トリ(2−メトキシメトキシエチル)アミン
Base−2:2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチルモルホリン
Base−3:N−(2−アセトキシエチル)ベンズイミダゾール
PGMEA:酢酸1−メトキシイソプロピル
CyHO:シクロヘキサノン
【0240】
液浸液(水)の浸入抑止効果の評価
[実施例2−1〜27、比較例2−1〜3]
本発明の高分子化合物をベースポリマーとしてレジスト材料に配合した際の液浸液(水)の浸入抑止効果の評価を行った。
【0241】
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理したシリコンウエハー上に実施例1で得られたレジスト材料(R−01〜27)及び比較例用のレジスト材料(R−28〜30)を塗布し、100℃で60秒間ベークして厚さ50nmのレジスト膜を作製した。
【0242】
協和界面科学製の傾斜法接触角計Drip Master 500を用いて、上記方法でレジスト膜を形成して水平に保ったウエハー上に50μLの純水を滴下し、水玉を形成した。次にこのウエハーを徐々に傾斜させ、水玉が転落し始めるウエハーの角度(転落角)と後退接触角を求めた。結果を表7に示す。
【0243】
【表7】

【0244】
表7の結果から、本発明の高分子化合物をベースポリマーとして利用したレジスト材料の転落角が小さく、かつ後退接触角が高く、液浸液(水)の浸入を抑制する高い効果を有することが確認できた。また、転落角が小さいことは、水が流動し易いことを示し、スキャン露光におけるスキャンスピードを高くできる点でも有利であり、後退接触角が大きいことは高速のスキャン露光においても液滴が残りづらいことを示す。
【0245】
レジスト材料の評価
[実施例3−1〜27、比較例3−1〜3]
本発明のレジスト材料(R−01〜27)及び比較例用のレジスト材料(R−28〜30)を、反射防止膜(日産化学工業(株)製ARC29A、78nm)を塗布したシリコンウエハー上へ回転塗布し、110℃、60秒間の熱処理を施して、厚さ170nmのレジスト膜を形成した。これをArFエキシマレーザーステッパー((株)ニコン製、NA=0.68)を用いて露光し、60秒間の熱処理(PEB)を施した後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて30秒間パドル現像を行い、1:1のラインアンドスペースパターンを形成した。PEBにおいては、各レジスト材料に最適化した温度を適用した。現像済ウエハーを上空SEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、0.11μmの1:1のラインアンドスペースを1:1で解像する露光量(最適露光量、mJ/cm2)において分離解像している最小寸法を限界解像性(0.01μm刻み、寸法が小さいほど良好)とした。
各レジスト材料の評価結果(限界解像性)を表8に示す。
【0246】
【表8】

【0247】
表8の結果より、本発明のレジスト材料が、ArFエキシマレーザー露光において、解像性能、溶解特性に優れることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(4)
【化1】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(5)で示される含フッ素単量体。
【化2】

(式中、R1、R3及びR4は上記と同様である。R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。)
【請求項2】
請求項1記載の一般式(4)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(6)で示される含フッ素単量体。
【化3】

(式中、R1、R3及びR4は上記と同様である。R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
【請求項3】
下記一般式(8)
【化4】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R7は炭素数2〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(9)で示される含フッ素単量体。
【化5】

(式中、R1及びR7は上記と同様である。R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。)
【請求項4】
請求項3記載の一般式(8)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(10)で示される含フッ素単量体。
【化6】

(式中、R1及びR7は上記と同様である。R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
【請求項5】
下記一般式(12)
【化7】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。k2は1又は2である。)
で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(13)で示される含フッ素単量体。
【化8】

(式中、R1及びk2は上記と同様である。R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。)
【請求項6】
請求項5記載の一般式(12)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(14)で示される含フッ素単量体。
【化9】

(式中、R1及びk2は上記と同様である。R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
【請求項7】
下記一般式(16)
【化10】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。)
で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(17)で示される含フッ素単量体。
【化11】

(式中、R1は上記と同様である。R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。)
【請求項8】
請求項7記載の一般式(16)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(18)で示される含フッ素単量体。
【化12】

(式中、R1は上記と同様である。R6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項記載の含フッ素単量体から得られる繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【請求項10】
下記一般式(1a)〜(1c)で示されるいずれかの繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化13】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。R5及びR6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
【請求項11】
下記一般式(2a)〜(2c)で示されるいずれかの繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化14】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R5及びR6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R7は炭素数2〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
【請求項12】
下記一般式(3a)〜(3c)で示されるいずれかの繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化15】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R5及びR6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1、k2は1又は2である。)
【請求項13】
下記一般式(4a)〜(4c)で示されるいずれかの繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化16】

(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R5及びR6は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Wは−CH2−又は−O−である。k1は0又は1である。)
【請求項14】
更に下記一般式(19)〜(22)で表される繰り返し単位をいずれか1種以上含有することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項記載の高分子化合物。
【化17】

[式中、R5は上記と同様である。R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す。
Xは下記一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基から選ばれる酸不安定基を示す。
【化18】

(ここで、破線は結合手を示す。式中、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。RL03は炭素数1〜18のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示す。RL01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。RL04は炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示す。yは0〜6の整数である。RL05は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。mは0又は1、nは0、1、2、3のいずれかであり、2m+n=2又は3を満足する数である。RL06は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。RL07〜RL16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の一価の炭化水素基を示す。RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14は互いに結合して環を形成していてもよく、その場合には炭素数1〜15の二価の炭化水素基を示す。また、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。)
Yは、下記ラクトン構造を有する置換基で、一般式(21)で表される繰り返し単位は、下記式から選ばれる。
【化19】

【化20】

【化21】

Zは、水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。]
【請求項15】
請求項9乃至14のいずれか1項記載の高分子化合物をベース樹脂として含有することを特徴とするレジスト材料。
【請求項16】
(A)ベース樹脂として請求項9乃至14のいずれか1項記載の高分子化合物、
(B)酸発生剤、
(C)有機溶剤
を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項17】
更に、(D)含窒素有機化合物を含有する請求項16記載のレジスト材料。
【請求項18】
請求項15乃至17のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項19】
下記式から選ばれる含フッ素単量体。
【化22】

(式中、R5は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Meはメチル基を示す。)

【公開番号】特開2011−42789(P2011−42789A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182027(P2010−182027)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【分割の表示】特願2006−22319(P2006−22319)の分割
【原出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】