説明

回路装置およびその検査方法

【課題】 回路と接続端子を接続する信号線にさらに検査用端子を接続すると、寄生容量が増加して回路動作を行う際の負荷が大きくになる。
【解決手段】 基板(8)に設けられた回路(2)と、
前記基板の前記回路とは離れた位置に設けられ、前記回路の入力または出力信号を中継する接続端子(4)と、
前記回路と前記接続端子とを接続する信号配線(3)と、
前記基板に前記接続端子とは別に設けられた複数の検査用端子(6)と、
前記信号配線から分岐し、前記複数の検査用端子の1つに接続された分岐配線(31)と、
を有する回路装置であって、
前記分岐配線の、前記分岐と前記検査用端子との間にスイッチ(1)が設けられていることを特徴とする回路装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置、特に表示素子とそれを駆動する回路を備えた回路装置と、その検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、液晶表示装置、有機EL表示装置等が知られている。これらの表示装置の表示領域には表示素子がマトリックス状に配置され、表示素子に対応して配置された画素回路によって表示素子が制御されて表示が行われる。表示装置には、走査線に走査信号を供給する走査線駆動回路、データ線にデータ信号を供給するデータ線駆動回路が備えられており、画素回路は走査線およびデータ線を介して供給される信号によって駆動されて表示が行われる。また、これら駆動回路に接続される外部接続端子が設けられ、外部接続端子から駆動回路に制御信号を供給することで駆動回路は制御されている。
【0003】
一般的に上記駆動回路は薄膜トランジスタ(TFT)で構成され、TFT不良により駆動回路が不良となる可能性があることから、製造工程において駆動回路の動作を前もって検査している。この駆動回路の検査の際、検査用プローブを直接外部接続端子に接触させて検査信号を入力すると、端子表面が擦られて表面上の導電膜が剥離して外部接続端子が劣化し、外部接続端子と実装部品との間で接続不良が生じる可能性がある。また、剥離した導電膜が隣接する外部接続端子間に付着することで短絡を生じさせ、表示装置の信頼性を低下させるといった問題がある。
【0004】
そのため特許文献1の表示装置では、駆動回路と外部接続端子を接続する信号線に分岐を設けて、分岐を設けた箇所から接続した検査用端子を備えている。これによって駆動回路の検査の際は、検査用端子に検査用プローブを当てて検査信号を入力し、駆動回路の動作を前もって検査する。製品完成後に使用する外部接続端子には検査用プローブの接触が無いので、その部分の接続不良や短絡が防止される。
【特許文献1】特開2008−065015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、駆動回路と外部接続端子を接続する信号線にさらに検査用端子を接続するので、検査用端子の追加による寄生容量が増加して表示を行う際の負荷になる。そのため、駆動マージンが低下し、誤動作が発生する恐れが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表示装置他の回路装置の信頼性を低下させずにそれに含まれる回路の検査が実施可能であり、かつ動作時の駆動マージンの大きい回路装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る回路装置は、
基板に設けられた回路と、
前記基板の前記回路とは離れた位置に設けられ、前記回路の入力または出力信号を中継する接続端子と、
前記回路と前記接続端子とを接続する信号配線と、
前記基板に前記接続端子とは別に設けられた検査用端子と、
前記信号配線から分岐し、前記検査用端子に接続された分岐配線と、
を有する回路装置であって、
前記分岐配線の、前記分岐と前記検査用端子との間にスイッチが設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる回路装置の検査方法は、
基板に、
回路と、
前記回路とは離れた位置にある接続端子と、
前記回路と前記接続端子とをつなぐ信号配線と、
検査用端子と、
前記信号配線の分岐と前記検査用端子とをつなぐ分岐配線と、
前記分岐と前記検査用端子との間に設けられたスイッチと、
を備えた回路装置の検査方法であって、
A. 前記スイッチの開閉を制御する制御線に前記スイッチを閉じる信号をあたえる工程、
B. 前記検査用端子を通じて、前記分岐配線に前記回路の入力信号を与える、または前記分岐配線から前記回路の出力信号を検出する工程、ならびに
C. 前記検査用端子をオープンにする工程
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検査用端子を使用して回路の動作を調べる検査をおこない、通常の回路動作の際は、スイッチによって検査用端子を切り離して寄生容量を取り除くので、製造工程では歩留まりが向上し、通常動作時の駆動可能範囲を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る表示装置を実施するための最良の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
本発明に用いられる回路装置としては、液晶表示素子、有機EL素子、無機EL素子、発光ダイオードなどを用いた表示装置が挙げられる。表示装置は、これらの表示素子を駆動するために、画素ごとに設けられる回路や、画素のマトリクス配列の周辺に設けられた回路を含む回路装置である。しかし、本発明は表示装置にのみ適用されるものではなく、基板の上に回路と接続端子とがあり、接続端子を通じて回路に入力信号を与えるかもしくは回路から出力される信号を検出するように構成された回路装置のすべてに適用できる。
【0012】
表示装置の場合、表示領域には表示素子がマトリックス状に配置され、表示素子に対応して配置された画素回路によって表示素子が制御されて表示が行われる。表示装置には、走査線に走査信号を供給する走査線駆動回路、データ線にデータ信号を供給するデータ線駆動回路が備えられており、画素回路は走査線およびデータ線を介して供給される信号によって駆動されて表示が行われる。また、これら駆動回路に接続される外部接続端子が設けられ、外部接続端子から駆動回路に制御信号を供給することで駆動回路は制御されている。
【0013】
表示装置はこのように各種の回路を含んでおり、回路装置とみなすことができる。回路装置を構成する画素回路、駆動回路、信号線などはガラス基板上に形成される。ガラス基板の代わりにプラスチック基板を用いても良い。
【0014】
ガラス基板やプラスチック基板上の回路は、キャパシタなどの受動素子と配線は別として大抵は薄膜トランジスタ(TFT)で構成される。TFTの活性層としては、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶半導体が好適に用いられる。単結晶シリコンのような単結晶半導体を活性層に用いても良い。
【0015】
しかし、すべての回路をTFTで形成するのでなく、表示装置の走査線駆動回路、あるいはデータ線駆動回路の少なくとも一部が集積回路(IC)チップで構成され、基板上に実装されていることもある。本発明はこのような回路装置にも適用できる。
【0016】
図1は本発明の回路装置の構成を示す概略図である。
【0017】
回路装置10は、回路2と、外部との接続端子4とが設けられた基板8で構成されている。外部接続端子4は、回路2を動作させる際に、外部回路(不図示)から送られる信号を信号配線に伝え、信号配線3を通じて駆動回路2に入力する。信号配線3が複数あり、その一部が、駆動回路で発生した信号を外部接続端子4を通じて外部回路(不図示)に伝えるための信号配線であってもよい。このように、外部接続端子4は、回路2の入出力信号と外部の回路の信号とを中継する役割を果たしている。
【0018】
外部接続端子は基板の一辺の端部に設けられ、そこから回路2までは基板上で離れているため、両者をつなぐ信号配線3は、その長さに応じて周囲の配線や電源との間に寄生容量を持つ。寄生容量は信号の遅延と波形のなまりを生むので、できるだけ小さくしなければならない。
【0019】
信号配線3には、分岐5から別の配線(以下、分岐配線という)31が分岐しており、スイッチ1を介して外部接続端子4とは別に設けられた検査用端子6に導かれている。
【0020】
スイッチ1は制御線7の信号で開閉される。制御線7は、検査用端子6のうちの、分岐配線が接続されていない端子に接続され、この端子をつうじて外部の信号発生回路(不図示)に接続される。したがって、検査用端子6は複数個あって、一部は分岐配線31につながり、残りがスイッチ1の制御線7につながっている。
【0021】
検査用端子6も、回路2の信号を外部に中継する役割を持っている点で、外部接続端子4と同じである。しかし、外部接続端子4が、回路装置10を使用するために信号を中継するものであるのに対し、検査用端子6は、回路装置10を製造する途中で回路2の検査のために使われるだけで、実際の回路装置10の使用時に用いることがない。この違いがあるので、以下、実使用時に信号を伝達する外部接続端子4を単に接続端子4、検査時にのみ信号を伝える端子を検査用端子6として区別する。
【0022】
検査用端子6は必ずしも接続端子4と同じ基板8の辺になくてもよく、別の辺にあってもよい。また、基板8の端部でなく内部の空きスペースに配置されていてもよい。
【0023】
スイッチ1をオンさせると分岐5と検査用端子6が電気的に接続され、スイッチ1をオフさせると分岐5と検査用端子6は電気的に切断される。
【0024】
スイッチ1は、オフのときの信号配線3の寄生容量を減らすために、分岐5の近傍に配置するのが好ましい。スイッチ1としてはTFTが好適に用いられ、回路2その他を構成するTFTと同一プロセスで形成される。
【0025】
図2にスイッチ1の構成を示す。図2(A)はN型TFT、図2(B)はP型TFT、図2(C)はN型TFT及びP型TFTからなるトランスファーゲートである。図2のS1、S2、S3、S4はスイッチのオン/オフを制御する制御端子(TFTのゲート端子)であり、図1に示した制御線7を介して検査用端子6の一つに接続されている。
【0026】
回路装置10の製造工程中で、回路2の動作やそれを通じて他の部分の動作を検査する際は、検査用プローブを検査用端子6に接触させて、検査用端子6の1つから制御線7の信号を入力してスイッチ1をオンにする。同時に、その他の検査用端子6から検査信号を回路2に入力する。また、検査用端子6から回路2の出力を検出することもある。検査終了後は、検査用端子6をすべてオープンにし、代わりに接続端子4にフレキシブルケーブルを接着し、外部回路を接続する。
【0027】
製品完成後の回路装置10としての動作の際は、分岐5と検査用端子6を電気的に切断させるためにスイッチ1をオフにする。検査用端子6は、製品完成後の動作には使用せずオープン(外部回路に接続されていない状態)になっているので、そのときでもスイッチ1を開いておく必要がある。このため、スイッチの制御線7は、パネル内で次のようになっている。
(1)スイッチ1が図2(A)のN型TFTである場合は、抵抗を介してS1をオフ電位にプルダウンする。
(2)スイッチ1が図2(B)のP型TFTである場合は、抵抗を介してS2をオフ電位にプルアップする。
(3)スイッチ1が図2(C)のN型TFTとP型TFTからなるトランスファーゲートである場合は、抵抗を介してS4をオフ電位にプルダウンし、かつ、抵抗を介してS3をオフ電位にプルアップする。
【0028】
図2(C)の場合は、図3(A)(B)に示したようにインバータを用いてスイッチ1の制御線を1本にする構成を採用しても良い。図3(A)の場合、S5に接続されたスイッチ1の制御線7はプルダウン、図3(B)の場合、S6に接続された制御線7はプルアップされていることが好ましい。
【0029】
また検査用端子6のサイズは、接続端子4のサイズより大きくし、隣接端子間の間隔も大きくしておくことが好ましい。これにより、検査用プローブを接触させる際の位置合わせが容易になり、検査の信頼性が向上する。
【実施例1】
【0030】
図4は、本発明の実施例であるアクティブマトリクス方式の有機EL表示装置の平面構成図である。図1と同じ機能をもつもの、または同じ作用をするものには同じ符号を付した。
【0031】
本実施例の有機EL表示装置20においては、有機EL素子がマトリックス状に配置され、有機EL素子に対応して配置された画素回路が同じマトリクス状に配列して、画像を形成している。画素回路によって有機EL素子が駆動され、画像で表示が行われる。
【0032】
画像の2辺に沿ってデータ線駆動回路11と走査線駆動回路12が形成されている。データ線駆動回路11および走査線駆動回路12の出力は画像の画素回路(不図示)に入力される。データ線駆動回路11は画像の各画素回路に画像データ信号を供給する。走査線駆動回路12は、画像の各画素回路に走査信号を供給する。
【0033】
本実施例においては、画像の画素回路、データ線駆動回路11、走査線駆動回路12をあわせたものが図1の回路2に相当する。
【0034】
基板8の端部には、接続端子4と検査用端子6が形成されている。
【0035】
接続端子4の各々からは信号配線3が延びて、データ線駆動回路11と走査線駆動回路12とに接続されている。信号配線3は基板上に延びて設けられた配線であり、その途中に分岐5が設けられている。分岐5から分かれて延びた配線は、スイッチ1を介して検査用端子6に接続されている。また、別の検査用端子6からは、スイッチ1の制御線7が延びて、スイッチ1のオン/オフ制御端子に接続されている。本実施例では、データ線駆動回路11と走査線駆動回路12とを別々に検査することができるよう、スイッチ1の制御線7が2本設けられて、それぞれが別の検査用端子6に導かれている。
【0036】
接続端子4は、フレキシブルなフラットケーブル(不図示)を介して、画像処理回路や電源回路やタイミングコントローラなどの外部回路(不図示)に接続される。
【0037】
データ線駆動回路11、走査線駆動回路12などの周辺回路を駆動するための電源と制御信号、およびに供給される電源と画像信号、が、これらの外部回路から接続端子4に供給される。
【0038】
検査用端子6は、有機EL表示装置20の製造途中で、データ線駆動回路11、走査線駆動回路12、の画素回路を検査する際に検査信号を供給するための端子である。端子は複数個あり、検査のための制御信号や画像信号が供給され、検査対象の回路から返ってくる出力信号を受け取る。検査のための制御信号としては、スイッチ1をオンさせるためのスイッチ制御信号も含まれる。
【0039】
検査に際しては、先端が針状の検査用プローブを検査用端子6に接触させ、これを介して検査用の電源と信号が授受される。
【0040】
検査は、に表示素子が形成される前、または後、またはその両方で行われる。に表示素子が形成され、表示の様子を見て検査するときは、検査対象の回路から返ってくる出力信号を受け取る端子はなくてもよい。
【0041】
逆に、表示素子を形成する前に検査を行うことにより、回路に不良がある品を取り除くことができる。検査後は検査用端子6への外部回路の接続を取り外し、検査用端子6をすべてオープンにする。検査用端子6は製品完成後の表示動作時は使用しないので、ケーブルなどは接続されない。
【0042】
検査用端子6を設けることにより、ケーブルなどを接続する接続端子4に検査用プローブを接触させることがなくなる。その結果、端子表面が擦られて表面上の導電膜が剥離して接続端子4が劣化し、接続端子4とケーブルなどの実装部品との間で接続不良が生じる可能性がない。また、剥離した導電膜が、隣接する接続端子間に付着することで短絡を生じさせ、有機EL表示装置20の信頼性を低下させるといった問題も無くなる。検査用端子6にはケーブルなどは接続しないので、上記問題は考慮する必要が無い。
【0043】
接続端子4は、実装する接続ケーブルを小型化にしてコストダウンを図るため、狭ピッチで配置されることが多く、接続端子4に検査用プローブを位置合わせして接触させることは困難である。検査用端子6は、プローブの位置合わせが容易に出来る程度に、接続端子4より大きな寸法(サイズ)と間隔で配置される。
【0044】
表示装置として完成した後は、接続ケーブルが実装された接続端子4から制御信号や画像信号や電源が供給されて表示が行われる。
【0045】
このとき、スイッチ1の制御線7は、抵抗を介してプルアップあるいはプルダウンされており、スイッチ1もオープン状態である。
【0046】
このように、製品完成後、スイッチ1がオフになり、信号配線3と検査用端子6とは電気的に切断された状態となるので、検査用端子6の持つ大きな寄生容量は、信号配線3に影響しない。この結果、駆動マージンの低下が抑制されて表示装置の誤作動を防ぐことができる。
【実施例2】
【0047】
図5は、本発明の第2の実施例であるアクティブマトリクス方式の有機EL表示装置の平面構成図である。
【0048】
本実施例の有機EL表示装置30は、実施例1と同様に、に有機EL素子がマトリックス状に配置され、有機EL素子に対応して配置された画素回路によって有機EL素子が制御されて表示が行われる。
【0049】
に画像データ信号を供給するデータ線駆動回路11が表示領域の下辺に沿って形成されている。また、の右辺に沿って走査線駆動回路12が形成されている。データ線駆動回路11および走査線駆動回路12の出力は画素回路に入力される。
【0050】
本実施例が図1の回路装置10および実施例1の有機EL表示装置20と異なるのは、有機EL表示装置30に集積回路チップ(ICチップ)28が搭載されていることである。基板上にICチップ実装用端子29が設けられ、このICチップ実装用端子29とICチップ28のパッドとは、直接の接触によって、または異方性導電材料を介して電気的及び機械的に接続される。
【0051】
ICチップ28は、ICチップ実装用端子29に接続された信号配線23を通してデータ線駆動回路11および走査線駆動回路12に制御信号や画像信号を供給している。
【0052】
ICチップ28は、実施例1におけるデータ線駆動回路11の機能を一部備えた形態であり、特に高い駆動周波数を要する機能を備える。
【0053】
本実施例においても、画像の画素回路、データ線駆動回路11、走査線駆動回路12をあわせたものが、図1の回路2に相当する。
【0054】
データ線駆動回路11、走査線駆動回路12に信号を送る信号配線23は、図1の信号配線3に該当し、信号配線23の終端であるICチップ実装用端子29が、図1の接続端子4に該当する。その他、図1と同じ符号を付したものは同じ機能を持っている。
【0055】
基板8の端部には、IC信号を中継する外部取り出し端子14と検査用端子6とが形成されている。外部取り出し端子14は信号配線23Aを介してICチップ実装用端子29に接続され、結果的にICチップ28と接続されている。
【0056】
有機EL表示装置30は、検査用端子6を複数備えている。ICチップ28とデータ線駆動回路11あるいは走査線駆動回路12と接続している信号配線23には分岐5が設けられており、分岐5と検査用端子6はスイッチ1を介して接続して配置されている。検査用端子6の少なくとも1つはスイッチ1の制御線7を介して前記スイッチ1のオン/オフ制御端子に接続されている。これら複数の検査用端子6は、基板上の空きスペースに配置される。
【0057】
外部取り出し端子14には、ICチップ28を駆動するための制御信号や画像信号や電源が供給される。外部取り出し端子14は、異方性導電材料を介してフレキシブル基板からなる接続ケーブルと電気的及び機械的に接続される。接続先としては画像処理回路や電源回路やタイミングコントローラなどを備える外部基板(不図示)があるが、ICチップ28内に画像処理回路や電源回路やタイミングコントローラの機能を含めることで外部基板の小型化を図ることが可能である。
【0058】
本実施例によれば、検査用端子6はスイッチ1を介してデータ線駆動回路11あるいは走査線駆動回路12に接続されており、ICチップ28の実装前においても、データ線駆動回路11あるいは走査線駆動回路12の検査が可能である。
【0059】
検査としては、ICチップ28の実装前の段階において、針状の検査用プローブを検査用端子6に接触させ、スイッチ1の制御線7に接続された検査用端子6にスイッチ1をオンさせる信号を入力する。同時に、データ線駆動回路11と走査線駆動回路12にスイッチ1を介して接続された検査用端子6から検査信号を供給する。
【0060】
このように検査を行うと、ICチップ実装用端子29に検査用プローブを接触させることがない。その結果、端子表面が擦られて表面上の導電膜が剥離してICチップ実装用端子29が劣化し、ICチップ実装用端子29とICチップ28との間で接続不良が生じる可能性が少なくなる。また、剥離した導電膜が隣接するICチップ実装用端子29に付着することで短絡を生じさせ、表示装置の信頼性を低下させるといった問題も無くなる。一方、検査用端子6は検査用プローブを接触させても実装部品は接続しないので、上記問題は考慮する必要が無い。
【0061】
ICチップ実装用端子29は一般的に狭ピッチで配置されることが多く、これに検査用プローブを位置合わせして接触させることは困難である。そのため、ICチップ実装用端子29自体を検査用端子とすることはできない。代わりに、検査用端子6を設け、これをICチップ実装用端子29より比較的大きなサイズで配置することで信頼性の高い検査を容易に実施することができる。
【0062】
検査後、表示装置の動作に問題がないようであればICチップ28を実装すればよく、表示装置に不良が見つかれば、ICチップ28は実装しない。これにより、回路に不良のある表示装置にICチップ28を実装するという無駄が排除できる。
【0063】
通常の表示装置としての動作においては、検査用端子6はオープンであり、ケーブルが接続された外部取り出し端子14からICチップ28に制御信号や画像信号や電源が供給されることでICチップ28が動作する。そしてICチップ28からデータ線駆動回路11と走査線駆動回路12に制御信号や画像信号が供給されて表示が行われる。スイッチ1としては前述した図2(A)(B)(C)のいずれも採用可能である。スイッチ1の制御線7は、抵抗を介してスイッチをオフする電位にプルアップあるいはプルダウンされている。
【0064】
このように表示動作を行うことにより、表示動作の際はスイッチ1がオフの状態であり、検査用端子6は電気的に切断されている状態となるので、検査用端子6の追加による寄生容量が増加はなく、誤動作が発生する恐れを回避し、駆動マージンの低下を抑制できる。
【実施例3】
【0065】
上述した各実施例の表示装置は各種電子機器に適用できる。
【0066】
図6は、本発明が用いられる電子機器としてのデジタルスチルカメラシステムのブロック図である。図中、50はデジタルスチルカメラシステム、51は撮像部、52は映像信号処理回路、53は表示パネル、54はメモリ、55はCPU、56は操作部を示す。
【0067】
図6において、撮像部51で撮影した映像または、メモリ54に記録された映像を、映像信号処理回路52で信号処理し、表示パネル53で見ることができる。CPU55では、操作部56からの入力によって、撮像部51、メモリ54、映像信号処理回路52などを制御して、状況に適した撮影、記録、再生、表示を行う。また、表示パネル53は、この他にも各種電子機器の表示部として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明を説明する概略図である。
【図2】本発明に係るスイッチの構成例である。
【図3】本発明に係るスイッチの構成例である。
【図4】第1の実施例であるアクティブマトリクス方式の有機EL表示装置である。
【図5】第2の実施例であるアクティブマトリクス方式の有機EL表示装置である。
【図6】本発明に係る表示装置を用いたデジタルスチルカメラシステムの全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
1 スイッチ
2 回路
3,23,23A 信号配線
4 接続端子
5 分岐
6 検査用端子
7 スイッチの制御線
8 有機EL表示装置
9 表示領域
10 回路装置
11 データ線駆動回路
12 走査線駆動回路
14 外部取り出し端子
28 ICチップ
29 ICチップ実装用端子
20、30 表示装置
50 デジタルスチルカメラシステム
51 撮像部
52 映像信号処理回路
53 表示パネル
54 メモリ
55 CPU
56 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた回路と、
前記基板の前記回路とは離れた位置に設けられ、前記回路の入力または出力信号を中継する接続端子と、
前記回路と前記接続端子とを接続する信号配線と、
前記基板に前記接続端子とは別に設けられた検査用端子と、
前記信号配線から分岐し、前記検査用端子に接続された分岐配線と、
を有する回路装置であって、
前記分岐配線の、前記分岐と前記検査用端子との間にスイッチが設けられていることを特徴とする回路装置。
【請求項2】
前記検査用端子を複数、有し、前記スイッチの開閉を制御する制御信号が、前記分岐配線が接続されている検査用端子とは別の検査用端子に接続された制御線を通して供給されることを特徴とする請求項1に記載の回路装置。
【請求項3】
前記制御線が接続された検査用端子がオープンになっている結果、前記スイッチが開いていることを特徴とする請求項2に記載の回路装置。
【請求項4】
前記接続端子に集積回路チップが接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の回路装置。
【請求項5】
前記回路が
データ線駆動回路と、
走査線駆動回路と、
画像を表示する領域にマトリクス状に配列し、前記データ線駆動回路および前記走査線駆動回路からの出力信号が供給される画素回路と、
を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の回路装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の回路装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
基板に、
回路と、
前記回路とは離れた位置にある接続端子と、
前記回路と前記接続端子とをつなぐ信号配線と、
検査用端子と、
前記信号配線の分岐と前記検査用端子とをつなぐ分岐配線と、
前記分岐と前記検査用端子との間に設けられたスイッチと、
を備えた回路装置の検査方法であって、
A. 前記スイッチの開閉を制御する制御線に前記スイッチを閉じる信号を与える工程、
B. 前記検査用端子を通じて、前記分岐配線に前記回路の入力信号を与える、または前記分岐配線から前記回路の出力信号を検出する工程、ならびに
C. 前記検査用端子をオープンにする工程
を有することを特徴とする回路装置の検査方法。
【請求項8】
前記回路装置が、前記検査用端子を複数備え、前記スイッチの制御線が、前記分岐配線が接続されている検査用端子とは別の検査用端子に接続されており、
前記Aの工程が、前記別の検査用端子を介して前記スイッチを閉じる信号を与える工程であり、
前記Cの工程が、前記分岐配線が接続されている検査用端子と、前記スイッチの制御線が接続されている別の検査用端子とを、ともにオープンにする工程である
ことを特徴とする請求項7に記載の回路装置の検査方法。
【請求項9】
前記回路装置が表示素子を駆動する回路装置であって、前記A−Cの工程を、前記回路装置に表示素子を形成する前に行うことを特徴とする請求項7または8に記載の回路装置の検査方法。
【請求項10】
前記接続端子が前記基板に集積回路チップを取り付けるための接続端子であって、前記A−Cの工程を、前記集積回路チップを取り付ける前に行うことを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の回路装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−91972(P2010−91972A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264346(P2008−264346)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】