説明

回転制御装置及び回転制御方法

【課題】 コンパクトな構成で作業台の回転制御の精度の向上を図ることができる回転制御装置及び回転制御方法を提供する。
【解決手段】 回転体の回転に連動して回転するロータリーエンコーダの読取信号を処理して回転ムラ信号と回転ブレ量信号とを生成し、回転駆動部において回転ムラ信号に応じて回転体の回転速度サーボ制御をなすステップと、処理部において回転ブレ量信号に応じてワークに対する位置サーボ制御をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターンテーブル等の回転体を備えた回転制御装置及び回転制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基盤技術の高機能化・高精度化に伴い、回転系の高精度加工または高精度な位置計測のためには、モータなどの部品精度を向上させるだけでは不十分である。そのため回転ムラ量や回転ブレ量を検出し、補正量を求め加工機または計測器にフィードバックする必要がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
回転ムラ量の検出にはロータリーエンコーダが、回転ブレ量の検出にはレーザ測長器が用いられている。従来の高精度回転型エンコーダーから検出される信号は、内部に組み込まれる同心円状に配置されたスリット列の各スリットの位置を検出して生成される(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/111260公報
【特許文献2】国際公開第2007/111261公報
【特許文献3】特開平6−76293号公報
【特許文献4】特開平8−212552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、技術の高度化により要求される精度はナノメータレベルとなり、従来のエンコーダーでは十分な性能を得られない。その要因は、スリットの製造工程および検出器の性能(分解能)に依存しているからである。高精度なスリットの製造は、レーザを光源とした回転型描画装置にて作製されるが、レーザ光源の波長限界で決定される分解能により、スリットの不鮮明さ、および長サイズかによるパルス数制限が挙げられる。また、従来のレーザ測長器では検出精度が悪いという問題がある。
【0006】
更に、高精度化のために、ロータリーエンコーダとレーザ測長器の2つの検出器とそのシステムを狭い場所に収めて設計する必要があった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題には、上記の欠点が一例として挙げられ、コンパクトな構成で回転体(作業台)の回転制御の精度の向上を図ることができる回転制御装置及び回転制御方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の回転体制御装置は、回転自在な回転体を回転させる回転駆動部と、前記回転体に載置されたワークに対して処理する処理部と、を含む回転作業台装置であって、前記回転体の回転に連動して回転するロータリーエンコーダと、前記ロータリーエンコーダの読取信号を処理して回転ムラ信号と回転ブレ量信号とを得る信号処理回路と、を含み、前記回転駆動部は、前記回転ムラ信号に応じて前記回転体の回転速度サーボ制御をなし、前記処理部は、前記回転ブレ量信号に応じて前記ワークに対する位置サーボ制御をなすことを特徴としている。
【0009】
請求項4に係る発明の回転制御方法は、回転自在な回転体を回転させる回転駆動部と、前記回転体上に載置されたワークに対して処理する処理部と、を含む回転制御装置の回転制御方法であって、前記回転体の回転に連動して回転するロータリーエンコーダからの読取信号を処理して回転ムラ信号と回転ブレ量信号とを生成するステップと、前記回転駆動部において前記回転ムラ信号に応じて前記回転体の回転速度サーボ制御をなすステップと、前記処理部において前記回転ブレ量信号に応じて前記ワークに対する位置サーボ制御をなすステップと、を備えることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
請求項1及び4に係る発明によれば、回転体の回転に連動して回転するロータリーエンコーダからの読取信号を処理して回転ムラ信号と回転ブレ量信号とを生成し、回転駆動部において回転ムラ信号に応じて回転体の回転速度サーボ制御をなし、処理部において回転ブレ量信号に応じてワークに対する位置サーボ制御をなすので、コンパクトな構成で回転体の回転制御の精度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による回転制御装置のシステム図である。
【図2】図1の装置中のロータリーエンコーダの構成図である。
【図3】図2のロータリーエンコーダの作成方法を示す図である。
【図4】回転ムラ量を生成する方法を示す図である。
【図5】回転振れ量を生成する方法を示す図である。
【図6】本発明が適用された回転型電子線描画装置を示す図である。
【図7】図6の装置のロータリーエンコーダ及びコントローラを具体的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明のロータリーエンコーダを用いた回転制御のシステムを示したブロック図である。システムは、スリット列またはピット列が形成されたロータリーエンコーダ1と、スリットまたはピットを読取る光ピックアップと、モータ3と、軸4、ターンテーブル(回転体である回転作業台)5からなり、ロータリーエンコーダ1とターンテーブル5は軸4で結合され、軸4はモータ5の駆動軸でありモータ5の回転によって、ロータリーエンコーダ1とターンテーブル5は回転する。
【0015】
光ピックアップ2が読取った読取信号は、信号生成部6に供給され、回転ムラ量に応じた回転ムラ信号S1と回転ブレ量(軸ブレ量)に応じた回転振れ信号S2を生成する。生成された回転ムラ信号S1はモータ制御部7に供給され、検出された回転ムラ量S1に基づいて、回転ムラ量を補正しモータの回転を制御する。また、回転ブレ量信号S2は図示せぬ回路または各種のコントロールを行う制御部へ供給され、回転ブレの補正を行う。
【0016】
図2はロータリーエンコーダ5の構造を示した図である。
【0017】
ロータリーエンコーダ5はガラス基板から構成され、ガラス基板の一方の表面にスリットまたはピットからなるパターン部が形成されている。図2の例はパターン部にスリット1・・・nが形成されている例を示している。各スリットは周方向に等間隔で配置されている。1つのスリットは、周方向の長さが半径方向の長さより長い長方形状をしている。
【0018】
図3はロータリーエンコーダ5の製造工程を示した図である。
【0019】
ロータリーエンコーダ5は、電子線描画工程S100、パターンニング工程S200、金属層エッチング工程S300、レジスト除去工程S400、基板エッチング工程S500、金属層除去工程S600からなる。
【0020】
電子線描画工程S100でのスリットの描画には、例えば、解像度の高い加速電圧100kV電子カラムを備えた回転型電子線描画装置を用いる。100keVの高エネルギー電子を用いて電子線レジストに描画することでレジスト内での電子前方散乱を低減するとともに、電子線レジストおよび基板からの後方散乱を低減することが可能となる。基板100上に金属層101が形成され、金属層101上に電子線レジスト102が形成された基板に電子線を照射する。基板100は平坦性が確保され、硬度のある材料である例えばガラス基板を用いる。
【0021】
また、スリット形状をパターニングする際には、電子線描画にて作製するパターンを半径方向に連結する必要がある。さらに回転方向に対して連続間隔で精度よく整列配置することが必要となる。電子線描画においては光源のパワー変調を実施することは精度劣化を引き起こすことから、一定パワーでの描画となる。よって連続描画にて高精度にパターニングを実施するためには、CLV(線速度一定)制御にて描画する。つまり、スリットは一回の電子線照射で形成されるのではなく、まずスリットの最内周側を一回転目で描画し、2回転目で次の部分を1回転目の描画位置と接するように描画する。そしてさらに複数回点目の描画を行い、最終回転目でスリットの最外周側の描画を完了し(図2での例では、六回転で1つのスリットに相当するパターンが描画されることになる)、図2に示すスリットを形成する。
【0022】
次に、パターンニング工程S200にて、電子線が照射された部分を処理し、電子レジストのパターニングを行い、電子線レジストからなるマスクを作成する。
【0023】
次に、金属層エッチング工程S300にて、電子線レジストをマスクとして、電子線レジスト下方に位置する基板エッチング用マスクとして機能する金属層101、例えばクロム(Cr)をエッチングする。これにより基板エッチング用金属マスクを形成する。
【0024】
次に、レジスト除去工程S400にて、残ったレジストをアッシングなどの工程で除去し、形成した金属マスクを露出させる。
【0025】
次に、形成した金属マスク用いて、ガラス基板100のエッチングを実施する。ガラス基板100のエッチング深さに関しては、検出器の開発にて必要とされる深さに合わせる。エッチングにおいては、大面積の一括エッチングを実施する。
最後に、金属層除去工程S600にて残った金属マスクを除去し洗浄し、ガラス基板上にスリットが形成されたロータリーエンコーダ5が完成する。
【0026】
なお、ロータリーエンコーダは図3に示した工程の製造方法に限ることなく、S400のレジストを除去した後の金属マスクが残る状態をロータリーエンコーダとしてもよいし、S600の金属層を除去したがラス基板上に、反射率を高めるため新たな金属を反射膜として形成してロータリーエンコーダとしてもよい。
【0027】
ロータリーエンコーダ5のスリットの読取信号から回転ムラ量を生成する方法について説明する。スリットの読取手段としては、青色半導体レーザを搭載した光ピックアップ2を用いる。例えば、波長405nmの半導体レーザを搭載した光ピックアップ2にて検出システムを構成し、ロータリーエンコーダ5の回転軸に対して同心円形状に形成されたスリットからの再生信号の検出を実施する。
【0028】
信号検出の際に、光ピックアップ2の光学システムにてスリット表面にフォーカスをかけるとともに、形成されたスリットにトラッキングをかけ、反射光量差の信号を検出し、回転ステージの回転制御用信号の生成および回転振れ量信号生成を行う。これについては後述する。
【0029】
図4を用いて、スリットの再生信号から、回転誤差として発生する回転ムラを検出し、補正を実施するための回転ムラ信号S1の生成について説明する。
【0030】
光ピックアップからの再生光は、スリット表面にフォーカスがかけられた状態で、連続したスリットを通過する(図中、L1)。これにより、パルス状の回転検出信号(図中、L3)が得られる。従来のロータリーエンコーダを用いた回転検出信号にくらべて、小さいビーム径でフォーカスサーボをかけながらスリットを読取ることにより回転検出信号の精度が向上する。この回転検出信号を回転基準信号(L2)と比較することにより回転ムラ検出信号(L4)を生成する。つまり、回転基準信号(L2)のクロックの立ち上がり位置と回転検出信号(L3)の立ち上がり位置、または、回転基準信号(L2)のクロックの立ち下がり位置と回転検出信号(L3)の立ち下がり位置をそれぞれ比較し、差分を回転ムラ量として検出する。回転ムラ量の大きさを示す信号が回転ムラ検出信号(L4)である。回転ムラ検出信号は、図1の信号生成部6の回転ムラ信号S1としてモータなどの回転制御にフィードバックされる。
【0031】
図5を用いて、スリットの再生信号から、スピンドルモータなどの機械精度誤差として発生する回転ブレ量信号S2の生成について説明する。
【0032】
光ピックアップ2がスリット列を再生するにあたり、トラッキングをかけることでトラッキングサーボ信号を抽出する。トラッキングサーボは光ディスクの記録再生で周知である3ビーム法や位相差法を用いて行われる。
1回転分のトラッキング信号を複数回検出し、平均値化することによりトラッキング信号(L10)を得る。既知である回転基準値(L11)とトラッキング信号(L10)との差分が回転ブレ量の大きさを示す信号が回転ブレ量信号(図示せず)となる。回転ブレ量は、図1の信号生成部6の回転ブレ量信号S2として、例えば同心円状のパターン描画のビーム位置制御や微細加工のための加工器の位置制御にフィードバックされる。
図1〜5の例では、ロータリーエンコーダ5に形成されたスリット列またはピット列が形成された面を、光ピックアップで読取る構成を用いて説明したが、これに限らない。例えば、スリット列またはピット列が形成された面側から光を照射し、ロータリーエンコーダを透過した光を、スリット列またはピット列が形成された面とは反対の面側で受光するように、ピックアップを構成してもよい。
【0033】
図6は、本発明が適用された電子ビーム描画装置10の構成を模式的に示すブロック図である。電子ビーム描画装置10は、電子ビームを用い、ハードディスク製造用の原盤を作成するディスクマスタリング装置である。
【0034】
電子ビーム描画装置10は、真空チャンバ11、及び真空チャンバ11内に配された基板15を載置及び回転、並進駆動する駆動装置、及び真空チャンバ11に取り付けられた電子ビームカラム20、及び基板の駆動制御及び電子ビーム制御等をなす種々の回路、制御系が設けられている。
【0035】
より詳細には、ディスク原盤用の基板15は、その表面にレジストが塗布され、ターンテーブル(回転作業台、回転体)16上に載置されている。ターンテーブル16は、基板15を回転駆動する回転駆動装置であるスピンドルモータ17によってディスク基板主面の垂直軸に関して回転駆動される。また、スピンドルモータ17は送りステージ(以下、Xステージともいう。)18上に設けられている。Xステージ18は、移送(並進駆動)装置である送りモータ19に結合され、スピンドルモータ17及びターンテーブル16を基板15の主面と平行な面内の所定方向(x方向)に移動することができるようになっている。従って、Xステージ18、スピンドルモータ17及びターンテーブル16によってXθステージが構成されている。
【0036】
スピンドルモータ17及びXステージ18は、ステージ駆動部37によって駆動され、その駆動量であるXステージ18の送り量、及びターンテーブル16(すなわち、基板15)の回転角はコントローラ30によって制御される。
【0037】
ターンテーブル16は誘電体、例えば、セラミックからなり、基板15を保持する静電チャッキング機構(図示しない)などのチャッキング機構を有している。かかるチャッキング機構によって、ターンテーブル16上に載置された基板15はターンテーブル16に確実に固定される。
【0038】
Xステージ18上には、レーザ干渉計35の一部である反射鏡35Aが配されている。
【0039】
真空チャンバ11は、エアーダンパなどの防振台(図示しない)を介して設置され、外部からの振動の伝達が抑制されている。また、真空チャンバ11は、真空ポンプ(図示しない)が接続されており、これによってチャンバ内を排気することによって真空チャンバ11の内部が所定圧力の真空雰囲気となるように設定されている。
【0040】
電子ビームカラム20内には、電子ビームを射出する電子銃(エミッタ)21、収束レンズ22、ブランキング電極23、アパーチャ24、ビーム偏向電極25、フォーカスレンズ27、対物レンズ28がこの順で配置されている。
【0041】
電子銃21は、加速高圧電源(図示しない)から供給される高電圧が印加される陰極(図示しない)により、例えば、数10KeVに加速された電子ビーム(EB)を射出する。収束レンズ22は、射出された電子ビームを収束する。ブランキング電極23は、ブランキング制御部31からの変調信号に基づいて電子ビームのオン/オフ切換(ON/OFF)を行う。すなわち、ブランキング電極23間に電圧を印加して通過する電子ビームを大きく偏向させることにより、電子ビームがアパーチャ24を通過するのを阻止し、電子ビームをオフ状態とすることができる。
【0042】
ビーム偏向電極25は、ビーム偏向部33からの制御信号に基づいて電子ビームを高速で偏向制御することができる。かかる偏向制御により、基板15に対する電子ビームスポットの位置制御を行う。フォーカスレンズ28は、フォーカス制御部34からの駆動信号に基づいて駆動され、電子ビームのフォーカス制御が行われる。
【0043】
また、真空チャンバ11には、基板15の表面の高さを検出するための高さ検出部36が設けられている。光検出器36Bは、例えば、ポジションセンサやCCD(Charge Coupled Device)などを含み、光源36Aから射出され、基板15の表面で反射された光ビームを受光し、その受光信号を高さ検出部36に供給する。高さ検出部36は、受光信号に基づいて基板15の表面の高さを検出し、検出信号を生成する。基板15の表面の高さを表す検出信号は、フォーカス制御部34に供給され、フォーカス制御部34は当該検出信号に基づいて電子ビームのフォーカス制御を行う。
【0044】
レーザ干渉計35は、レーザ干渉計35内の光源から照射されるレーザ光を用いてXステージ18の変位を測長し、その測長データ、すなわちXステージ18の送り(X方向)位置データをステージ駆動部37に送る。
【0045】
さらに、スピンドルモータ17の回転信号も、ステージ駆動部37に供給される。より詳細には、当該回転信号は、基板15の基準回転位置を表す原点信号、及び基準回転位置からの所定回転角ごとのパルス信号(ロータリエンコーダ信号)を含んでいる。ステージ駆動部37は、当該回転信号によりターンテーブル16(基板15)の回転角、回転速度等を得る。
【0046】
ステージ駆動部37は、Xステージ18からの送り位置データ及びスピンドルモータ17からの回転信号に基づいて、電子ビームスポットの基板上の位置を表す位置データを生成し、コントローラ30に供給する。また、ステージ駆動部37は、コントローラ30からの制御信号に基づいて、スピンドルモータ17及び送りモータ19を駆動し、回転及び送り駆動がなされる。
【0047】
コントローラ30には、ディスクリートトラックメディアやパターンドメディア等の用いられるトラックパターン・データや記録(露光)すべきデータ(記録データ)RDが供給される。
【0048】
コントローラ30は、ブランキング制御部31、ビーム偏向部33及びフォーカス制御部34にそれぞれブランキング制御信号CB、偏向制御信号CD及びフォーカス制御信号CFを送出し、当該記録データRDに基づいてデータ記録(露光又は描画)制御を行う。すなわち、記録データRDに基づいて基板15上のレジストに電子ビーム(EB)が照射され、電子ビームの照射によって露光された箇所にのみ潜像が形成されて記録(露光)がなされる。
【0049】
さらに、電子ビーム描画装置10には、ターンテーブル16の回転時における半径方向(以下、ラジアル方向という。)における回転振れを検出するために上記の回転作業台装置が利用される。コントローラ30は検出された回転振れに基づいてビーム偏向部33を制御し、電子ビームの照射位置を調整(補正)する。
【0050】
かかる電子ビーム描画装置10の記録制御は、上記した送り位置データ及び回転位置データに基づいて行われる。なお、ブランキング制御部31、ビーム偏向部33、フォーカス制御部34、ステージ駆動部37に関して主たる信号線について示したが、これら各構成部はコントローラ30に双方的に接続され、必要な信号を送受信し得るように構成されている。
【0051】
電子ビーム描画装置10においては、ターンテーブル16はその主面(xy平面)上に描画されるべき基板(図示しない)を載置し、その基板と共にスピンドルモータ17によって回転される。
【0052】
図7に示すように、スピンドルモータ17の回転軸53には円板状のロータリーエンコーダ54が取り付けられている。ロータリーエンコーダ54のガラス基板55には図2に示されたように複数のスリットからなるパターン(図示せず)が形成されている。ロータリーエンコーダ54の光ピックアップ56はガラス基板55のスリットを読取ってパルス状のロータリーエンコーダ信号を生成する。
【0053】
ターンテーブル16を回転させるスピンドルモータ17は、コントローラ30によってその回転が制御される。
【0054】
コントローラ30は、回転ムラ検出部62、回転ブレ量検出部63、ビーム照射位置修正器64及びモータ回転制御部65を備えている。
【0055】
回転ムラ検出部62は図示しない基準信号発生器からの基準信号とロータリーエンコーダ54からのロータリーエンコーダ信号とに基づいて動作する。すなわち、回転ムラ検出部62は基準信号とロータリーエンコーダ信号との差量を回転ムラを示す回転ムラ信号として生成する。
【0056】
モータ回転制御部65は回転ムラ信号を入力し、その回転ムラ信号が示す回転ムラを減少させるようにステージ駆動部37を介してスピンドルモータ17を駆動する。モータ回転制御部65はステージ駆動部37を介して例えば、スピンドルモータ17の印加電圧を制御することにより回転ムラ信号が示す回転ムラを減少させるように動作する。
【0057】
回転ブレ量検出部63はロータリーエンコーダ54からのロータリーエンコーダ信号に基づいてガラス盤55のスリット列からなるトラックの中心に対するトラッキングエラーを回転ブレ量信号として検出する。
【0058】
ビーム照射位置修正器64は回転ブレ量信号を入力し、その回転ブレ量信号に応じてx方向及びy方向の偏向修正信号を生成してビーム偏向部33に供給する。これにより、ビーム偏向部33はビーム偏向電極25を介して電子ビームの偏向を制御するので、x方向及びy方向の回転ブレが補正される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在な回転体を回転させる回転駆動部と、前記回転体上に載置されたワークに対して処理する処理部と、を含む回転制御装置であって、
前記回転体の回転に連動して回転するロータリーエンコーダと、
前記ロータリーエンコーダの読取信号を処理して回転ムラ信号と回転ブレ量信号とを得る信号処理回路と、を含み、
前記回転駆動部は、前記回転ムラ信号に応じて前記回転体の回転速度サーボ制御をなし、
前記処理部は、前記回転ブレ量信号に応じて前記ワークに対する位置サーボ制御をなすことを特徴とする回転制御装置。
【請求項2】
前記回転ブレ量信号は、前記ロータ上に設けられたスリット列又はピット列のトラッキングサーボ信号であることを特徴とする請求項1記載の回転制御装置。
【請求項3】
前記回転ムラ信号は、前記ロータ上に設けられたスリット列又はピット列のスリット又はピットのピッチに応じた周波数を有する周波数信号であることを特徴とする請求項1記載の回転制御装置。
【請求項4】
回転自在な回転体を回転させる回転駆動部と、前記回転体上に載置されたワークに対して処理する処理部と、を含む回転制御装置の回転制御方法であって、
前記回転体の回転に連動して回転するロータリーエンコーダの読取信号を処理して回転ムラ信号と回転ブレ量信号とを生成するステップと、
前記回転駆動部において前記回転ムラ信号に応じて前記回転体の回転速度サーボ制御をなすステップと、
前記処理部において前記回転ブレ量信号に応じて前記ワークに対する位置サーボ制御をなすステップと、を備えることを特徴とする回転制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−141249(P2012−141249A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−828(P2011−828)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【Fターム(参考)】