説明

固体撮像素子及び画像入力装置

【課題】可視光から赤外光までの光を受光して、適切な画像を形成することができる固体撮像素子及び画像入力装置の提供。
【解決手段】第1のフォトダイオード4が、可視光について光電変換を行い、第2のフォトダイオード4’が、第1のフォトダイオード4を通過した赤外光を光電変換する。可視光成分が多い場合でも、第2のフォトダイオード4’の画素が飽和することが抑制され、赤外光の成分が多い場合でも、第1のフォトダイオード4の画素が飽和することが抑制される。第1のフォトダイオード4により光電変換される可視光は、急峻なカットオフ特性のフィルタFを用いて、各色成分毎に分離することができ、高画質RGB画像を形成できる。第2のフォトダイオード4’全体で光電変換された赤外光を用い赤外光専用センサと同等な解像度の赤外光画像を形成できる。第1のフォトダイオード4と第2のフォトダイオード4’は、別個に露光制御を行うことも出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及び画像入力装置に関し、可視光から赤外光までを受光して、画像を形成するために用いられる固体撮像素子及び画像入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、夜間の監視用の監視カメラとして、赤外線を投射して被写体からの反射光を受光しモノクロ画像を形成するものが知られている。一方、昼間の監視用の監視カメラとしては、被写体から反射した自然光を受光してカラー画像を形成するものが知られている。しかるに、従来の監視カメラにおいては、夜間撮影用の撮像素子と昼間撮影用の撮像素子とで異なるものを用いているために、コストが高くなるという問題がある。
【0003】
これに対し特許文献1には、ホワイト(W)、イエロー(Ye)、レッド(Ri)、ブラック(Ir)のフィルタを有する撮像素子を用いて、可視光から赤外光までの広帯域の光を受光して、可視光画像と赤外光画像とを形成できる画像信号処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−288629号公報
【特許文献2】特開2007−515011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1の技術によれば、各色フィルタ(W、Ye、Ri、Ir)を赤外光が透過するようになっていて、投光された赤外光を有効に利用することができるが、ハロゲンランプなどのような可視光に対して赤外光の強度が大幅に強い光が入射した場合、可視光に露出を最適化した場合に、画素の信号が飽和してしまう恐れがある。かかる場合、各色フィルタの信号間での差分が取れなくなり、RGB信号が抽出できなくなる欠点がある。飽和しないまでも、入射光良が大きい場合、画素の信号が大きくなり、各色フィルタの信号間での差分が小さくなり、SNRの良いR、G、B信号が抽出できなくなる欠点がある。また、4種類の色フィルタを各画素にモザイク状に配置する必要があり、モノクロ撮像素子を用いた場合と比較して、解像度が劣化する欠点がある。
【0006】
これに対し特許文献2には、光の入射方向に対してその深さ方向(入射面に対して垂直な方向)に異なる分光特性を持つ光電変換層(フォトダイオードなど)を複数設けることで、異なる波長領域の光を信号(例えばR、G、B信号)として取り出すことができるイメージセンサが開示されている。
【0007】
しかしながら特許文献2のイメージセンサによれば、可視光領域でRGB信号を得るのに加えて、赤外領域の信号を取り出すには、深さ方向に光電変換層(フォトダイオードなど)をさらに追加で形成する必要があり、構造がさらに複雑になるという欠点がある。特に、このようなイメージセンサを用いてRGB画像を得ようとした場合には、3色の波長の光を取り入れるため3層の光電変換層が必要であり、加えて赤外画像まで得ようとすると、赤外波長の光を取り入れるために更に1層必要であるから、合計4層の光電変換層が必要となってしまう。かかるイメージセンサは構造が複雑となり、また読み出し回路も4系統必要となり、製造工程が増え、歩留まりが低下することにより、コストアップとなる欠点がある。また、そもそも、特許文献2のイメージセンサの構造による波長分離機能では、例えば色フィルタを用いた場合のように狭い帯域以外の波長の光をカットするというような急峻なカットオフ特性は得られず、良好な色再現が得られないという問題もある。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、シンプルな構成でありながら、可視光から赤外光までの広帯域の光を受光して、適切な画像を形成することができる固体撮像素子及び画像入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の固体撮像素子は、
第1の光電変換部と、前記第1の光電変換部よりも光の入射方向に対して深い位置に配置された第2の光電変換部とを、光の入射方向に対して重なるように形成した光電変換領域と、
前記光電変換領域よりも光の入射側に配置された色フィルタとを有する固体撮像素子であって、
可視光と赤外光とを含む波長領域の光を入射したときに、前記第1の光電変換部は、前記色フィルタの特性に応じた波長帯域の光について光電変換を行い、前記第2の光電変換部は、前記色フィルタと前記第1の光電変換部を通過した光について光電変換を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の固体撮像素子によれば、可視光と赤外光とを含む波長領域の光を入射したときに、前記第1の光電変換部は、前記フィルタの特性に応じた波長帯域の光について光電変換を行い、前記第2の光電変換部は、前記第1の光電変換部を通過した光について光電変換を行うので、短波長領域の光(例えば可視光)は、前記第1の光電変換部により光電変換され、前記第1の光電変換部を通過した残りの長波長領域の光(例えば赤外光)は、前記第2の光電変換部により光電変換される。即ち、単一の固体撮像素子において光の入射方向に対して重なるように積層された2つの光電変換部を用いることでシンプルな構造ながら有効な波長分離機能を持たせることができるため、入射光に可視光の成分が多い場合でも、前記第2の光電変換部の画素が飽和することが抑制され、また入射光に赤外光の成分が多い場合でも、前記第1の光電変換部の画素が飽和することが抑制される。尚、前記第1の光電変換部全体により光電変換される可視光については、急峻なカットオフ特性を有する色フィルタを用いることで、各色成分毎に分離することができ、SNRの良い高画質なR、G、B三原色信号を抽出することができる。又、前記第2の光電変換部全体で光電変換された赤外光を用いて、例えば赤外光専用センサと同等な解像度の赤外光画像を形成できる。また前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部は独立しているので、別個に露光制御を行うことも出来、最適な条件で光電変換された信号を取り出すことができる。
【0011】
更に、本発明の一態様としては、前記光電変換領域は、半導体基板内に前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部が一体的に形成されていると好ましい。
【0012】
更に、本発明の一態様としては、前記光電変換領域は、半導体基板上に前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部がそれぞれ光電変換膜として形成されていると好ましい。上段(浅い側)の光電変換部を有機光導電膜や、CIGS光導電膜などの薄膜を利用することもできる。両方の光電変換部を薄膜化することも可能である。薄膜化することで、光電変換部を浅いところに形成することができ、また、配線領域上に形成できるので開口が大きく取れる。これによりマイクロレンズを不要とすることができ、また、入射角度が大きくても良く、テレセン性の悪いレンズも使用でき、レンズの小型化、カメラの低背化に有利である。また、シリコン以外の光電変換材料を使用することで、シリコンでは実現できない機能を持たせることができる。例えば、赤外領域の感度はシリコンでは1100nm位までであるが、更に長波長側に感度を持たせることもできる。また、例えば青波長光のみ光電変換し、それ以外の波長の光は透過したり、緑波長光のみ光電変換し、それ以外の波長の光は透過したり、赤波長光のみ光電変換し、それ以外の波長の光は透過したり、といった特性を持たせることも可能である。
【0013】
更に、本発明の一態様としては、前記光電変換領域は一体的に構成されており、前記第1の光電変換部は、半導体基板上に光電変換膜として形成され、前記第2の光電変換部は前記半導体基板内に形成されていると好ましい。その利点は上と同様である。加えて、光電変換膜とシリコンの分光感度特性を使い分けることができる。
【0014】
更に、本発明の一態様としては、前記第1の光電変換部は主として可視光の波長帯域の光を光電変換し、前記第2の光電変換部は主として赤外光の波長帯域の光を光電変換する。かかる場合、前記フィルタは赤外光を透過させる特性を有すると好ましい。
【0015】
更に、本発明の一態様としては、前記第1の光電変換部で光電変換された第1の信号と、前記第2の光電変換部で光電変換された第2の信号とは、独立した信号線を介して読み出される。これにより、2つの光電変換領域の信号の読み出しタイミングを独立して設定でき、高速度で読み出しが可能となる。
【0016】
更に、本発明の一態様としては、前記第1の光電変換部で光電変換された第1の信号と、前記第2の光電変換部で光電変換された第2の信号とは、共通の信号線を介して交互に読み出される。これにより、信号線の数を減少させることが出来、固体撮像素子の簡素化、小型化を図ることができる。
【0017】
更に、本発明の一態様としては、前記第2の光電変換部からの信号に基づいて輝度信号が作成される。夜間などにおいても、前記第2の光電変換部には比較的多量の赤外光が到達するので、前記第2の光電変換部からの信号の高周波成分を用いることで、有効な輝度信号を作成できる。
【0018】
更に、本発明の一態様としては、前記第1の光電変換部からの信号が基準値以上の場合には、前記第1の光電変換部の信号を用いて露光制御を行うが、前記第1の光電変換部からの信号が基準値を下回る場合には、前記第2の光電変換部の信号を用いて露光制御を行う。これにより撮像条件に関わらず、最適な信号を取り出すことができる。より具体的には、前記第1の光電変換部からの信号の平均値あるいは、画面をいくつかのブロックに分割し、そのブロックの一つまたは複数のブロックの平均値がある基準値以上の場合、すなわち、前記第1の光電変換部で受光する光量が十分大きい場合には、前記第1の光電変換部の信号を用いて露光制御を行う。前記第1の光電変換部で受光する光量が十分無く、前記第1の光電変換部からの信号の平均値あるいは、画面をいくつかのブロックに分割し、そのブロックの一つまたは複数のブロックの平均値がある基準値以下の場合、には前記第2の光電変換部からの信号を用いて露光制御を行う。
【0019】
更に、本発明の一態様としては、前記第1の光電変換部における光電変換と、前記第2の光電変換部における光電変換とは、互いに独立して露光制御を行うことが可能である。これにより撮像条件に関わらず、最適な信号を取り出すことができる。前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部はお互いに独立して駆動タイミングの制御を行うことが可能な構成にすることができ、電荷蓄積時間を独立して設定することにより、独立した露光制御が可能である。
更に、本発明の一態様としては、前記第1の光電変換部からの信号に基づいて作成された第1の輝度信号と、前記第2の光電変換部からの信号に基づいて作成された第2の輝度信号を重み付けして加算することで、露光条件に関わらず安定した輝度信号を取り出すことができる。加算するときにそれぞれの輝度信号に係数を掛けて加算する。例えば、前記第1の輝度信号が十分大きいときはこれを利用し、小さいときはこれを補うように前記第2の輝度信号を加算する。
【0020】
更に、本発明の一態様としては、前記色フィルタは、可視光と赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタWiと、緑色光とそれより長い波長の光を透過する画素フィルタYeiと、赤色光とそれより長い波長の光を透過する画素フィルタRiとを、前記光電変換領域の画素に対応して配置しているので、急峻なカットオフ特性を有するフィルタを用いることで、各色成分毎に分離することができ、高画質なR、G、B画像を形成できる。
【0021】
ここで、画素フィルタWiは、無色透明なフィルタであって、可視光及び赤外の波長領域の光の全領域の波長の光を実質的に透過するフィルタである。画素フィルタYeiは、イエローフィルタであって、緑色及び赤色および赤外の波長領域の光を透過し、それ以外の波長の光を実質的に透過しないフィルタである。画素フィルタRiは、レッドフィルタであって、赤色および赤外の波長領域以外の光を実質的に透過しないフィルタである。
【0022】
更に、本発明の一態様としては、前記色フィルタは、更に赤外光の波長領域の光を透過する画素フィルタIrを、前記光電変換領域の画素に対応して配置しているので、更にこのフィルタにより得られた赤外光の成分を用いて演算処理を行うことにより、より最適な色信号を得ることができる。
【0023】
ここで、画素フィルタIrは、赤外フィルタであって、赤外光の波長領域以外の光を実質的に透過しないフィルタである。
【0024】
更に、本発明の一態様としては、前記色フィルタは、可視光と赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタWiと、青色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタBiと、緑色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタGiと、赤色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタRiとを、前記光電変換領域の画素に対応して配置しているので、急峻なカットオフ特性を有するフィルタを用いることで、各色成分毎に分離することができ、高画質なRGB画像を形成できる。
【0025】
更に、本発明の一態様としては、前記色フィルタは、青色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタBiと、緑色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタGiと、赤色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタRiとを、前記光電変換領域の画素に対応して配置しているので、急峻なカットオフ特性を有するフィルタを用いることで、各色成分毎に分離することができ、高画質なR、G、B画像を形成できる。
【0026】
ここで、画素フィルタBiは、ブルーフィルタであって、青色および赤外の波長領域以外の光を実質的に透過しないフィルタである。画素フィルタGiは、グリーンフィルタであって、緑色および赤外の波長領域以外の光を実質的に透過しないフィルタである。また、画素フィルタWi、画素フィルタRiは上述と同様である。
【0027】
更に、本発明の一態様としては、前記色フィルタは、可視光と赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタWiと、青色と緑色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタCYiと、青色と赤色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタMgiと、イエロー色緑色と赤色および赤外の波長領域の光を透過するフィルタ画素Yeiとを、前記光電変換領域の画素に対応して配置しているので、急峻なカットオフ特性を有するフィルタを用いることで、各色成分毎に分離することができ、高画質なR、G、B画像を形成できる。
【0028】
ここで、画素フィルタCYiは、青色および緑色及び赤外の波長領域の光を透過し、それ以外の波長の光を実質的に透過しないフィルタである。画素フィルタMgiは、青色および赤色及び赤外に波長領域の光を透過し、それ以外の波長の光を実質的に透過しないフィルタである。また、画素フィルタWi、画素フィルタYeiは上述と同様である。
【0029】
更に、本発明の一態様としては、前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部のうち少なくとも一方は、光電変換特性の一部が対数特性を有すると好ましい。対数特性を有する画素を備えた固体撮像素子は、例えば特開平05―30350号公報に記載されている。
【0030】
更に、本発明の一態様としては、前記第2の光電変換部よりも光の入射方向に対して深い位置に配線領域を形成していると好ましい。
【0031】
更に、上記固体撮像素子を用いて画像入力装置を構成すると望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施の形態に係る画像入力装置MGの概略図である。
【図2】本実施の形態に係る撮像部102の1画素の断面構造を模式的に示す図である。
【図3】図2の撮像部102をA-A'線で切断した断面図である。
【図4】撮像部102のフィルタを用いない生の分光特性を示す図である。
【図5】撮像部102の全体の電気的構成を示す図である。
【図6】撮像部102の1画素分の回路構成を示す図である。
【図7】撮像部102の有するフィルタFの一部を示す概略図である。
【図8】撮像素子の分光感度特性を含むフィルタFの分光特性を示す図である。
【図9】画像処理部104の詳細な構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態にかかる撮像部の図6と同様な回路図である。
【図11】変形例にかかるフィルタFの構成を示す図である。
【図12】変形例にかかるフィルタFの分光特性を示す図である。
【図13】変形例にかかるフィルタFを用いた画像処理部104の詳細な構成を示すブロック図である。
【図14】第3の実施の形態に係る撮像部102’の1画素の断面構造を模式的に示す図である。
【図15】図14の撮像部102’をB-B'線で切断した断面図である。
【図16】別なフィルタを示す図である。
【図17】更に別なフィルタを示す図である。
【図18】変形例にかかる配線例を示す1画素の断面構造を模式的に示す図である。
【図19】別な変形例にかかる配線例を示す1画素の断面構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、第1の実施の形態に係る画像入力装置MGの概略図である。かかる画像入力装置MGは、車載カメラや監視カメラに用いることができるが、用途はそれに限られない。画像入力装置MGは、レンズ101、撮像部102、可視光用A/D変換部103A,赤外光用A/D変換部103B,画像処理部104、制御部105,タイミング制御部106を備えている。尚、撮像部102、可視光用A/D変換部103A,赤外光用A/D変換部103B,タイミング制御部106により固体撮像素子IMを構成する。固体撮像素子IMは、リニアログ特性を有すると好ましいが、それに限られない。
【0034】
詳細は後述する撮像部102は、PD(フォトダイオード)からなる受光部と、受光部により光電変換された信号を出力する出力回路と、撮像部102を駆動する駆動回路とを含み、タイミング制御部106からのタイミング制御信号に同期して、光量に応じたレベルを有する原画像データを生成する。ここで、撮像部102としては、CMOSイメージセンサ、及びCCDイメージセンサ等の種々の撮像センサを採用することができる。
【0035】
本実施の形態において、撮像部102は、後述するように可視光を光電変換する第1の光電変換部と、赤外光を光電変換する第2の光電変換部とを、光の入射方向に積層して有し、更に可視光について色成分を分離するためのフィルタを有している。
【0036】
演算手段である画像処理部104は、演算回路及び演算回路の作業領域として用いられるメモリ等を含み、撮像部102から出力されたアナログ信号を、可視光用A/D変換部103A,赤外光用A/D変換部103BでA/D変換したデジタル信号を入力して、後述する画像処理を実行した後、例えば図略のメモリや表示装置に出力する機能を有する。
【0037】
制御部105は、CPU及びCPUが実行するプログラムを格納するメモリ等を含み、外部からの制御信号に応答し、画像入力装置MGの全体制御を司る機能を有する。
【0038】
画像入力装置MGの動作を説明する。被写体光は、レンズ101を介して撮像部102の受光面に受光される。被写体光は、撮像部102の画素で光電変換され、可視光と赤外光それぞれについて、入射光量に応じたアナログ信号となって可視光用A/D変換部103A,赤外光用A/D変換部103Bに入力され、それぞれデジタル信号に変換される。可視光用A/D変換部103A,赤外光用A/D変換部103Bからのデジタル信号は、画像処理部104に入力され、画像信号(RGB、YCC等)として出力され、不図示のモニタに表示されたり、メモリに記憶される。
【0039】
一方、画像処理部104は、被写体の明るさ情報や波長情報に基づいて、撮像素子のポテンシャルを制御するための露光データや光源データを作成し、制御部105に入力する。露光データや光源データに基づいて、制御部105は、タイミング制御部106を制御して、タイミング信号を撮像部102に供給し、駆動制御するようになっている。
【0040】
図2は、本実施の形態に係る撮像部102の1画素の断面構造を模式的に示す図である。この画素構造では、板状体であるp型の基板2の浅い部分に、第1の光電変換部となるn型領域を設けることで、第1のフォトダイオード4を形成し、更にp型の基板2の内部(深い部分)において、素子分離領域3によって区画された領域に、入射光の方向において第1のフォトダイオード4に重なるようにして、第2の光電変換部となるn型領域を設けることで、第2のフォトダイオード4’を形成したCMOSイメージセンサの例を示している。
【0041】
図3は、図2の撮像部102をA-A'線で切断した断面図であり、1画素のエネルギーポテンシャル分布を示す図である。第1のフォトダイオード4は、基板2の表面付近の第1のn型領域ポテンシャル井戸21で形成されており、第2のフォトダイオード4’は、基板2の内部にある第2のn型領域ポテンシャル井戸21’で形成されており、発生した電荷はこのポテンシャル井戸21、21’にそれぞれ蓄積される。この際、波長の短い光(可視光)は基板2の表面近くで吸収され、これにより発生した信号電荷は、第1のn型領域ポテンシャル井戸21に蓄積し、波長の長い光(赤外光)は基板2の深い部分まで浸透し吸収され、これにより発生した信号電荷は、第2のn型領域ポテンシャル井戸21’に蓄積される。このときの、撮像部102の生の分光特性を図4に示す。尚、バイアス電圧Bを変更する、あるいは、第2のn型領域の形成条件を変更することにより、たとえば境界dで表す、第1のフォトダイオード4のn型領域と第2のフォトダイオード4’のn型領域との間にあるp型領域22の位置を光の入射方向に移動させることで、可視光と赤外光の分離特性を変更することができる。
【0042】
図5は、撮像部102の全体の電気的構成を示す図であり、図6はその1画素分の回路構成を示す図である。これら図5および図6で示す構成と同等の機能を有するものであれば、図に示す構成に限らない。本例では垂直信号線LV1,LV2が独立している。図6を参照して、可視光を入射して第1のフォトダイオード4で得られた電荷は、転送ゲート8にハイレベルの転送パルスφTX1が与えられることで、転送トランジスタ11がONしてFD9へ転送され、このFD9における容量で電圧値に変換されて、増幅トランジスタ12に入力される。増幅トランジスタ12において、電源電圧VDDを用いて増幅された電圧は、行選択信号線LHから行選択トランジスタ13のゲートに選択信号φVが与えられることで、該行選択トランジスタ13がONして、垂直信号線LV1へ出力される。一方、FD9に蓄積された電荷は、行選択信号線LHからリセットトランジスタ14のリセットゲート19へハイレベルのリセットパルスφRST1が与えられることで、該リセットトランジスタ14がONしてリセット電圧VRSB1にリセットされる。
【0043】
一方、赤外光を入射して第2のフォトダイオード4’で得られた電荷は、転送ゲート8’にハイレベルの転送パルスφTX2が与えられることで、転送トランジスタ11’がONしてFD9’へ転送され、このFD9’における容量で電圧値に変換されて、増幅トランジスタ12’に入力される。増幅トランジスタ12’において、電源電圧VDDを用いて増幅された電圧は、行選択信号線LHから行選択トランジスタ13’のゲートに選択信号φVが与えられることで、該行選択トランジスタ13’がONして、垂直信号線LV2へ出力される。一方、FD9’に蓄積された電荷は、行選択信号線LHからリセットトランジスタ14’のリセットゲート19’へハイレベルのリセットパルスφRST2が与えられることで、リセットトランジスタ14’がONしてリセット電圧VRSB2にリセットされる。
【0044】
図5を参照して、撮像部102の中央部には、多数の画素が二次元に配列されており、周縁部に配置された垂直走査回路15が前記行選択信号線LHに選択出力を与え、それによって各画素から垂直信号線LV1,LV2に出力された電圧は、第1水平走査回路16及び第2水平走査回路16’の選択走査によって、第1読出し回路17及び第2読出し回路17’から順次読出される(出力1,出力2)。垂直走査回路15および水平走査回路16、16’は、シフトレジスタなどで実現される。
【0045】
図示していないが、読出し回路17、17’はそれぞれ、各列、すなわち前記垂直信号線LVに接続される2つのサンプルホールド回路と、負荷トランジスタとを備えて構成される。各サンプルホールド回路は、2つのスイッチと、2つの容量と、2つのアンプとを備えて構成される。各垂直信号線LVは、スイッチを介して容量に接続され、そのホールド電圧がアンプを介して引算器に与えられる。各列の各アンプは、水平走査回路16、16’によって駆動される。
【0046】
このような読出し回路17、17’において、相関二重サンプルを行うために、スイッチの一方がONし、各画素に前記転送パルスφTX1,φTX2が与えられることで容量の一方に前記各画素からの出力電圧がホールドされる。また、スイッチの他方は、各画素に前記リセットパルスφRST1、φRST2が与えられたときにONし、各画素からの出力電圧がホールドされる。そのホールド電圧は、水平走査回路16、16’によって、各アンプが一対で選択されて引算器に与えられ、こうして引算器からは、ノイズの影響の少ない前記相関二重サンプル値が順次出力されてゆく。このような読出し回路17,17’については、例えば特開2008−283057号公報に開示されている。
【0047】
図7は、撮像部102の有するフィルタFの一部を示す概略図である。図8は、撮像素子の分光感度特性を含むフィルタFの分光特性を示す図である。これらの構成と同等の機能を有するものであれば、図に示す構成に限らない。
【0048】
図7に示すように、画素単位にマトリクス状に繰り返し配設されるフィルタは、4種類の画素フィルタ(光学フィルタ又は色フィルタともいう)Wi、Yei、Ri、Irからなっている。より具体的には、第1行第1列に画素フィルタWiが配列され、第2行第1列に画素フィルタYeiが配列され、第1行第2列に画素フィルタRiが配列され、第2行第2列に画素フィルタIrが配列されるというように、繰り返し配列されている。但し、これは一例であり、他のパターンで繰り返し配列してもよい。尚、画素フィルタWiは素通し(開口)でもよく、その場合にはフィルタFは3種類の光学フィルタからなるともいえる。
【0049】
画素フィルタWiは、可視光と赤外光を全て透過し、画素フィルタYeiは緑色光から赤外光までを透過し、画素フィルタRiは赤色と赤外光とを透過し、画素フィルタIrは赤色光のみを透過する。これらの各フィルタは、それぞれ一つの画素に対応している。具体的には図8において、フィルタ(Wi,Yei,Ri,Ir)の分光特性の一例を示しているが、例えば画素フィルタYeiは500nm前後のカットオフ周波数を持ち、画素フィルタRiは600nm前後にカットオフ周波数を持ち、画素フィルタIrは700nm前後にカットオフ周波数を持つ。フィルタWはカットオフ周波数を有していない。この様なフィルタFは、通常、撮像素子の前面に配置される。ここでは、400nm〜700nmを可視光波長領域とし、700nm〜1100nmを赤外光波長領域とする。
【0050】
図9は、画像処理部104の詳細な構成を示すブロック図である。画像処理部104は、可視光用露出補正部104a、赤外光用露出補正部104a’、輝度信号生成部104b、色信号生成部104c、色空間変換部104d、及び露出制御部104eを備えている。
【0051】
可視光用露出補正部104aは、撮像部102から可視光の信号を入力して、可視光用露光データを生成して露出制御部104eを介して制御部105に出力する。制御部105(図1)は、可視光用露光データに基づき、露出が適正になるように第1のフォトダイオード4の露光時間等を調整する。但し、第1のフォトダイオード4からの信号が基準値以上の場合には、第1のフォトダイオード4の信号を用いて露光制御を行い、第1のフォトダイオード4からの信号が基準値を下回る場合には、第2のフォトダイオード4’の信号を用いて露光制御を行ってもよい。一方、赤外光用露出補正部104a’は、撮像部102から赤外光の信号を入力して、赤外光用露光データを生成して露出制御部104eを介して制御部105に出力する。制御部105(図1)は、赤外光用露光データに基づき、露出が適正になるように第2のフォトダイオード4’の露光時間等を調整する。このとき、色情報を重視する場合は、可視光量が最適になるよう露出制御する。
【0052】
不図示の色補間部において、画素フィルタYeiを通過した光束を受光した画素の出力信号である画像成分Yei、画素フィルタRiを通過した光束を受光した画素の出力信号である画像成分Ri、画素フィルタIrを通過した光束を受光した画素の出力信号である画像成分Ir、及び画素フィルタWiを通過した光束を受光した画素の出力信号である画像成分Wiのそれぞれに欠落画素データを補間するための補間処理を施し、画像成分Ri、画像成分Ir、画像成分Wi、及び画像成分Yeiのそれぞれを撮像部102の画素数と同一画素数からなる画像データにすることができる。補間処理としては、例えば線形補間処理を採用すればよい。
【0053】
輝度信号生成部104bは、撮像部102から可視光の信号(Wi+Yei+Ri+Ir)と、赤外光の信号IR2とを入力して、適切な重み付けを行って、式(1)に基づき輝度信号Yを出力する演算を行う。α、βは任意の係数である。但し、赤外光比率が高い撮影条件では、赤外光で輝度信号を求めることが望ましい(α=0とする)。一方、可視光が比較的強い撮影条件では、画素Wiの信号から輝度信号の高周波成分を抽出すると良い。
Y=α・(Wi+Yei+Ri+Ir)+β・IR2 ・・・(1)
【0054】
色信号生成部104cは、色補間部により補間処理が施された画像成分Yeiと、画像成分Riと、画像成分Irと、画像成分Wiとを式(2)により合成して、色信号dR、dG、dB(RGB色信号)を生成する。
dR=Ri−Ir
dG=Yei−Ri ・・・・・(2)
dB=Wi−Yei
【0055】
色空間変換部104dは、式(3)に示すように、色信号dR,dG,dBを、色差信号Cb’、Cr’とを含む色空間に変換する、ここで、色差信号Cb’は青の色差信号を示し、色差信号Cr’は赤の色差信号を示す。
Cb’=dB−Yc
Cr’=dR−Yc ・・・・・(3)
また、輝度信号Yは以下の式で求める。
Yc=0.3dR+0.59dG+0.11dB ・・・(3’)
YcはYで置き換えるが、この時Cb,Crは以下のように計算しなおす。
Cb = Cb’*(Y/Yc)
Cr = Cr’*(Y/Yc)
【0056】
更に、色空間変換部104dは、式(3)で求めた色差信号Cb、Crをスムージング処理しても良い。ここで,スムージング処理としては、例えば、5×5等の比較的小サイズのローパスフィルタを用いて繰り返し処理し、色差信号Cb、Crを多重解像度化するフィルタ処理であるカスケードフィルタ処理を採用してもよい。また、比較的サイズの大きな所定サイズのローパスフィルタを用いたフィルタ処理を採用してもよい。
【0057】
また、発光する被写体に対してはぼけることなく、エッジ以外の領域を平滑化するエッジ保存フィルタ(画素間の信号レベル差がある基準値より小さい場合いに平滑化し、基準値より大きい部分は平滑化しないフィルタ)処理を採用してもよい。なお、発光していることを検出するのは、赤外成分と可視光成分とを比較することにより推測できる。
【0058】
このように、色差信号Cb,Crにスムージング処理を行うことで、色差信号Cb、Crに含まれるノイズ成分がぼかされ、色差信号Cb、CrのS/N比を向上させることができる。
【0059】
尚、不図示のRGB色信号生成部が、式(3)、(3’)を逆変換することで、輝度信号Y、色差信号Cr、Cbから色信号dR´、dG´、dB´を算出する。これを画像データとして、適切な画像を形成できる。
【0060】
本実施の形態によれば、可視光と赤外光とを含む波長領域の光を入射したときに、第1のフォトダイオード4が、フィルタFの特性に応じた可視光について光電変換を行い、第2のフォトダイオード4’が、第1のフォトダイオード4を通過した赤外光について光電変換を行うことができるので、シンプルな構造ながら有効な波長分離機能を持たせることができるため、入射光に可視光の成分が多い場合でも、第2のフォトダイオード4’の画素が飽和することが抑制され、また入射光に赤外光の成分が多い場合でも、第1のフォトダイオード4の画素が飽和することが抑制される。更に、第1のフォトダイオード4により光電変換される可視光については、急峻なカットオフ特性を有するフィルタFを用いることで、各色成分毎に分離することができ、高画質なR、G、B画像を形成できる。又、第2のフォトダイオード4’全体で光電変換された赤外光を用いて、例えば赤外光専用センサと同等な解像度の赤外光画像を形成できる。第1のフォトダイオード4と第2のフォトダイオード4’は独立しているので、別個に露光制御を行うことも出来、最適な条件で光電変換された信号を取り出すことができる。
【0061】
図10は、第2の実施の形態にかかる撮像部の図6と同様な回路図である。本実施の形態においては、第1のフォトダイオード4と第2のフォトダイオード4’の電荷を読み出す転送路を共通としている。具体的には、図10において、垂直信号線LVを共通としており、これを介して第1のフォトダイオード4と第2のフォトダイオード4’の信号を交互に読み出している。従って、本実施の形態では、リセット電圧VSRB及びリセットパルスφRSTを与えるための配線、増幅トランジスタ12,行選択トランジスタ13,リセットトランジスタ14を共通にできるため、構成がより簡素化される。
【0062】
図11は、変形例にかかるフィルタFの構成を示す図であり、図12は、変形例にかかるフィルタFの分光特性を示す図であり、図13は、変形例にかかるフィルタFを用いた画像処理部104の詳細な構成を示すブロック図である。以下、異なる点を中心に説明を行う。
【0063】
図11に示すように、画素単位にマトリクス状に繰り返し配設されるフィルタは、3種類の画素フィルタ(光学フィルタともいう)Wi、Yei、Riからなっている。より具体的には、第1行第1列に画素フィルタWiが配列され、第2行第1列に画素フィルタYeiが配列され、第1行第2列に画素フィルタRiが配列され、第2行第2列に画素フィルタWiが配列されるというように、繰り返し配列されている。但し、これは一例であり、他のパターンで繰り返し配列してもよい。尚、各画素フィルタの分光特性は、図12に示すように上述の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0064】
本変形例においては、色信号dR、dG、dB(RGB色信号)を生成する際に、第2のフォトダイオード4’から生成される赤外光の信号IR2を用いる。より具体的には、図13の色信号生成部104cが、色補間部により補間処理が施された画像成分Yeiと、画像成分Riと、画像成分Wiと、赤外光の信号IR2を式(4)により合成して、色信号dR、dG、dBを生成する。尚、γは任意の係数である。
dR=Ri−γ・IR2
dG=Yei−Ri ・・・・・(4)
dB=Wi−Yei
【0065】
本変形例によれば、画素フィルタWiを千鳥配置とすることで、他の画素フィルタに対して、等価的に縦横2倍の数だけ設けたことになり、可視光領域での空間解像度を更に向上させることができる。それ以外の点は、上述した実施の形態と同様である。
【0066】
図14は、第3の実施の形態に係る撮像部102’の1画素の断面構造を模式的に示す図である。図15は、図14の撮像部102’をB-B'線で切断した断面図であり、1画素のエネルギーポテンシャル分布を示す図である。
【0067】
上述の実施の形態においては、基板2に対して、光の入射側に、制御信号を付与する配線が接続される転送ゲート8、8’、FD9、9’、リセットトランジスタ14、14’等の信号読出し部が設けられているが、このため画素に入射する光が通過する開口が制限されている。これに対し、本実施の形態では、基板2の裏面(図14で下面)に配線層(配線領域ともいう)32を形成して、ここに転送ゲート8、8’、FD9、9’、リセットトランジスタ14、14’等を配置してなる。かかる場合、基板2の表面側には配線や信号読出し部が存在しないため、入射光を有効に取り込むことができる。このような撮像部102’は、シリコンウェハ上に積層してフォトダイオードを形成した後、シリコンウェハを研削して内部のフォトダイオードを露出させることで形成できる。それ以外の点では、上述した実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0068】
本実施の形態で用いたフィルタFの代わりに、図16に示すように、全領域の波長の光を透過する画素フィルタWiと、青色の波長の光を透過する画素フィルタBiと、緑色の波長の光を透過する画素フィルタGiと、赤色の波長の光を透過する画素フィルタRiとを、前記光電変換領域の画素に対応して配置したフィルタを用いることもできる。
【0069】
更に、図2に示すように半導体基板内に第1の光電変換部と第2の光電変換部が一体的に形成されていても良いが、半導体基板上に第1の光電変換部と第2の光電変換部がそれぞれ光電変換膜として形成されていても良いし、光電変換領域が一体的に構成されており、第1の光電変換部は、半導体基板上に光電変換膜として形成され、第2の光電変換部は前記半導体基板内に形成されていても良い。
【0070】
図18に、半導体基板上に第1の光電変換部と第2の光電変換部がそれぞれ光電変換膜M1,M2として2層に形成されていている例を示す。ここで、電極ET4からのビアVia2が蓄積ダイオードD2に接続されている。一方、蓄積ダイオードD1にビアVia1を介して接続されている電極ET2は、入射方向奥側に光電変換膜M2があるため必要な波長の光(赤外光)は透過する必要がある。配線領域下のSi基板、蓄積ダイオードは光の入射による不要な電荷の発生を防ぐ必要があり、電極ET4については、光を透過しない材料を使っている。あるいは電極ET4の下に遮光層を設けても良い。
【0071】
図19に、光電変換領域が一体的に構成されており、第1の光電変換部は、半導体基板上に光電変換膜Mとして形成され、第2の光電変換部は半導体基板内に形成されている例を示す。光電変換層の光入射側に透明電極ET1、奥側に画素ごとの電荷を取り出すための電極ET2が配置されている。電極ET2の面積が画素の開口に相当する。また、Si基板上に下層の光電変換部が形成されている。電極ET2から電荷を取り出すためのビアViaが、基板上の蓄積ダイオードDに接続されている。ビアViaを通して電極ET2から蓄積ダイオードDへ電荷が移動する。蓄積ダイオードの電荷はゲート(TX1)をONすることにより、読み出される。配線領域には光が入射しないように、遮光されている。
【符号の説明】
【0072】
3 素子分離領域
4、4’ フォトダイオード
8、8’ 転送ゲート
11、11’ 転送トランジスタ
12、12’ 増幅トランジスタ
13、13’ 行選択トランジスタ
14、14’ リセットトランジスタ
15 垂直走査回路
16、16’ 水平走査回路
17、17’ 読出し回路
19、19’ リセットゲート
21、21’ n型領域ポテンシャル井戸
22 p型領域
101 レンズ
102 撮像部
103A、103B A/D変換部
104 画像処理部
104a、104a’ 露出補正部
104b 輝度信号生成部
104c 色信号生成部
104d 色空間変換部
104e 露出制御部
105 タイミング制御部
F フィルタ
LH 行選択信号線
LV 垂直信号線
MG 画像入力装置
SH1,SH2 サンプルホールド回路
VDD 電源電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光電変換部と、前記第1の光電変換部よりも光の入射方向に対して深い位置に配置された第2の光電変換部とを、光の入射方向に対して重なるように形成した光電変換領域と、
前記光電変換領域よりも光の入射側に配置された色フィルタとを有する固体撮像素子であって、
可視光と赤外光とを含む波長領域の光を入射したときに、前記第1の光電変換部は、前記色フィルタの特性に応じた波長帯域の光について光電変換を行い、前記第2の光電変換部は、前記色フィルタと前記第1の光電変換部を通過した光について光電変換を行うことを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
前記光電変換領域は、半導体基板内に前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部が一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記光電変換領域は、半導体基板上に前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部がそれぞれ光電変換膜として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記光電変換領域は一体的に構成されており、前記第1の光電変換部は、半導体基板上に光電変換膜として形成され、前記第2の光電変換部は前記半導体基板内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記第1の光電変換部は主として可視光の波長帯域の光を光電変換し、前記第2の光電変換部は主として赤外光の波長帯域の光を光電変換することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記第1の光電変換部で光電変換された第1の信号と、前記第2の光電変換部で光電変換された第2の信号とは、独立した信号線を介して読み出されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記第1の光電変換部で光電変換された第1の信号と、前記第2の光電変換部で光電変換された第2の信号とは、共通の信号線を介して交互に読み出されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記第2の光電変換部からの信号に基づいて輝度信号が作成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記第1の光電変換部からの信号が基準値以上の場合には、前記第1の光電変換部からの信号を用いて露光制御を行い、前記第1の光電変換部からの信号が基準値を下回る場合には、前記第2の光電変換部からの信号を用いて露光制御を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項10】
前記第1の光電変換部における光電変換と、前記第2の光電変換部における光電変換とは、互いに独立して露光制御が行われることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項11】
前記色フィルタは、可視光と赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタWiと、緑色光とそれより長い波長の光を透過する画素フィルタYeiと、赤色光とそれより長い波長の光を透過する画素フィルタRiとを、前記光電変換領域の画素に対応して配置していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項12】
前記色フィルタは、更に赤外光の波長領域の光を透過する画素フィルタIrを、前記光電変換領域の画素に対応して配置していることを特徴とする請求項11に記載の固体撮像素子。
【請求項13】
前記色フィルタは、可視光と赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタWiと、青色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタBiと、緑色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタGiと、赤色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタRiとを、前記光電変換領域の画素に対応して配置していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項14】
前記色フィルタは、青色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタBiと、緑色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタGiと、赤色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタRiとを、前記光電変換領域の画素に対応して配置していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項15】
前記色フィルタは、可視光と赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタWiと、青色と緑色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタCYiと、青色と赤色および赤外の波長領域の光を透過する画素フィルタMgiと、イエロー色緑色と赤色および赤外の波長領域の光を透過するフィルタ画素Yeiとを、前記光電変換領域の画素に対応して配置していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項16】
前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部のうち少なくとも一方は、光電変換特性の一部が対数特性を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項17】
前記第2の光電変換部よりも光の入射方向に対して深い位置に配線領域を形成したことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の固体撮像素子を用いたことを特徴とする画像入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−166477(P2011−166477A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27373(P2010−27373)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】