説明

固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置

【課題】1基の無酸素熱分解炉で有機炭素を含む固形廃棄物のチップ状裁断物を連続的に無酸素熱分解可能とし、付帯設備の賦活炉も1基で連続的に処理可能で、比較的安価な設備費用にて連続的に処理可能な有機炭素を含む固形廃棄物の処理装置を提供すること。
【解決手段】固形廃棄物のチップ状裁断物を連続的に第1の圧送機にて移送しながら無酸素熱分解炉にて無酸素熱分解し、前記無酸素熱分解炉で得られた炭化物を賦活炉内の第2の圧送機にて、連続的に移送させると共に賦活処理して活性炭と液体成分と気体成分とを得る有機炭素を含む固形廃棄物の処理装置であり、また、無酸素熱分解ガスのガス成分と無酸素熱分解処理後の高温排ガスとを循環再利用可能とし、大幅な処理経費低減を図った固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形廃棄物の有効利用に関するものであり、無酸素熱分解や賦活処理することにより、有用な気体成分、液体成分、炭素、活性炭、活性炭様物質等を生成するものである。本発明における固形廃棄物とは、廃タイヤ、廃材、生ごみ、廃プラスチック、間伐材、草木(もみ殻、稲藁、麦わら、植木剪定物、野菜くず等を含む)、古紙、汚泥、ぼた、古着等の有機炭素を含有する固形廃棄物である。また、廃棄物で規定される可燃性一般廃棄物の生活系ごみと事業系ごみおよび産業廃棄物の紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残滓、ゴムくず、建築廃材も本発明の対象固形廃棄物となる。
【背景技術】
【0002】
近年、有機炭素を含む固形廃棄物の排出量は、経年的に増加の一途を辿り、特に、廃タイヤ等のゴム製品廃棄物の廃棄物処理として焼却処分すると、黒煙、有毒ガス、悪臭等を発生して環境汚染の原因となるために、従来、その大部分は特定の敷地に野ざらしで保管されている状態であった。これらの廃タイヤ等のゴム製品廃棄物を裁断して、ゴムチップとして、高温ガス放熱用の配管が配設されている熱分解(乾留)炉内に充填して、間接加熱して炭化物と生成ガスとを生成する熱分解法(乾留法)が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−213033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲の特許文献1の特開2003−213033号公報においては、これらの廃タイヤ等のゴム製品廃棄物を裁断して、ゴムチップとして、燃焼ガス用の配管(高温ガス放熱部)が配設されている無酸素熱分解(乾留)炉内に充填して密閉し、ガス燃焼処理装置から、前記燃焼ガス用の配管(パネル本体と称する高温ガス放熱部)に対して高温ガスを循環させて、前記廃タイヤ等のゴム製品廃棄物を間接加熱式に無酸素熱分解(乾留)して、オイル成分と、ガス成分とを抽出した後に、前記無酸素熱分解炉(乾留炉)内に残存した炭化物(無酸素熱分解(乾留)チャーと称する)を、無酸素熱分解炉(乾留炉)の底蓋を開放することにより、その無酸素熱分解炉(乾留炉)内の無酸素熱分解(乾留)チャーを、下方に位置する容器(例えば有底筒状の容器でレトルトと称す。)に投入落下させ、その容器と共に、賦活炉に導入して、賦活処理する方法が提案されている。
【0005】
この特許文献1に開示された処理システムにより、廃タイヤ等のゴム製品廃棄物の無酸素熱分解(乾留)を行うには、1回ずつ毎回無酸素熱分解(乾留)工程の度毎に、廃タイヤ等のゴム製品廃棄物のゴムチップを無酸素熱分解(乾留)炉内に充填しなければならず、無酸素熱分解(乾留)を連続的に行うことが出来ず、従来、莫大な処理経費を必要とするという問題点が存在する。
【0006】
本発明の目的は、少なくとも1基の無酸素熱分解炉(乾留炉)で、廃タイヤ等のゴム製品廃棄物を含み、前記技術分野で規定した固形廃棄物のチップ状裁断物を連続的に無酸素熱分解(乾留)可能とし、無酸素熱分解炉(乾留炉)数に対応した少なくとも1基の付帯設備の賦活炉により、連続的に処理可能となる固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置であって、比較的安価な設備費用にて連続的に処理可能となる固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置を提供することにある。また、本発明のもう一つの目的は、無酸素熱分解に伴って得られる高エネルギーの気体成分(ガス)を無酸素熱分解のエネルギー源として利用し、同時に、無酸素熱分解後の高温排ガスと無酸素熱分解により得られる気体成分を、無酸素熱分解と賦活化処理及び水蒸気発生の熱源として再利用可能にする経済的で比較的安価な設備費用にて、連続的に処理可能な固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、内部に高温ガス通路が備えられ有機炭素を含む固形廃棄物(以下固形廃棄物と称す)を無酸素状態で熱分解(以下無酸素熱分解と称す)する無酸素熱分解炉と、前記高温ガス通路内に循環させる高温ガスを発生するガス燃焼処理装置と、前記無酸素熱分解後の炭化物を賦活処理する賦活炉とを備えた固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置において、
前記無酸素熱分解炉は、耐熱材の外壁に覆われた無酸素熱分解炉本体内に前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し第1の高温ガス通路を形成するように、耐熱材で構成される少なくとも1基の第1の仕切ドラムが架設され、前記第1の仕切ドラムには、夫々専有の第1の投入口より前記固形廃棄物を外方から投入され、内部の無酸素熱分解室に圧送する夫々専有の第1の圧送機と、炭化物を外方に取出す夫々専有の第1の出口と、無酸素熱分解ガスを取出す夫々専有の配管とが配設されていると共に、前記第1の高温ガス通路からの無酸素熱分解後の高温ガスを取出す配管と、を含むことを特徴とする固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置である。
【0008】
上記請求項1の発明の場合、複数種類の原料である固形廃棄物のチップ状裁断物を、一乃至複数の第1の仕切ドラム内の第1の圧送機にて、夫々専有の無酸素熱分解室内に平行して連続的に多量に移送しながら、無酸素熱分解炉の内部の第1の高温ガス通路内の高温ガスにて、夫々専有の第1の仕切ドラム壁を介して、前記夫々専有の無酸素熱分解室内を間接加熱して、多量に固形廃棄物を無酸素熱分解することが出来る。
【0009】
請求項2の発明は、前記賦活炉において、賦活炉本体の外壁内面との間に所定距離の空間を離間し、第2の高温ガス通路を形成するように、且つ、前記無酸素熱分解室数に対応するように、耐熱材で構成される少なくとも1基の第2の仕切ドラムが架設され、前記第2の仕切ドラムには、夫々専有の第2の投入口より前記無酸素熱分解炉で得られた夫々の炭化物が外方から投入され、内部の夫々専有の賦活室に圧送する夫々専有の第2の圧送機と、水蒸気等と高温ガスとにより賦活処理すると共に、活性炭或いは活性炭様物質を外方へ取出す夫々専有の第2の出口と、賦活後の余剰の気体成分(水蒸気、高温ガス、窒素)を排出する配管と、を有することを特徴とする請求項1記載の固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置である。
【0010】
上記請求項2の発明の場合、複数種類の固形廃棄物を連続的に多量に前記並列して配設された無酸素熱分解室にて無酸素熱分解し、前記無酸素熱分解炉で得られた夫々の炭化物を、賦活炉本体内に設けた一乃至複数箇所の第2の仕切ドラム内の夫々専有の第2の圧送機にて、夫々専有の賦活室に連続的に移送させると共に、水蒸気等と高温ガスとにより賦活処理する賦活炉を含む、ことを特徴とする固形廃棄物の処理装置であるから、良質の活性炭或いは活性炭様物質と液体成分と気体成分とを得ることが出来る。また、無酸素熱分解に伴って得られる高エネルギーの気体成分(高温ガス)を無酸素熱分解のエネルギー源として利用するものである。同時に、高温排気ガスを無酸素熱分解や水蒸気発生のエネルギー源として再利用できる経済的な固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置を提供できる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、無酸素熱分解炉において、内部に備えられた一乃至複数の第1の仕切ドラムの夫々専有の第1の圧送機と無酸素熱分解室との周囲に、所定距離の空間を離間して覆設された第1の高温ガス通路と、無酸素熱分解ガスを取出す夫々専有の配管と、炭化物の夫々専有の第1の出口とを備えた無酸素熱分解炉であるから、固形廃棄物のチップ状裁断物を第1の圧送機にて無酸素熱分解室に連続的に移送しながら、無酸素熱分解炉の内部の前記第1の高温ガス通路内の高温ガスにて間接加熱して、固形廃棄物を無酸素熱分解することが出来る。1基の無酸素熱分解炉でも、一乃至複数種類の固形廃棄物を平行して連続的に多量に無酸素熱分解出来るので、設備費用の比較的安価で、且つ、経済効率の良く多量の固形廃棄物の無酸素熱分解が出来る。
【0012】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様に無酸素熱分解炉においては、第1の圧送機と無酸素熱分解室との周囲に、所定距離の空間を離間して覆設された第1の高温ガス通路と、無酸素熱分解ガスを取出す夫々専有の配管と、炭化物の一乃至複数の第1の出口とを備えた無酸素熱分解炉であるから、請求項1と同様な効果を奏し得る他、前記無酸素熱分解炉で得られた炭化物を、粉砕機、磁選機を経由してから、賦活炉内の第2の圧送機と賦活室との周囲に所定距離の空間を離間して覆設された第2の高温ガス通路を備え、前記第2の圧送機と賦活室にて直接加熱させながら連続的に移送させると共に、水蒸気等と高温ガスとにより(賦活剤の水素を発生させて)賦活処理して良質の活性炭或いは活性炭様物質を得ることが出来る。また、無酸素熱分解ガスのガス成分を無酸素熱分解処理、賦活処理の熱源として利用可能にすると共に、無酸素熱分解処理後の高温排ガスを、無酸素熱分解処理、賦活処理及び賦活剤の水素発生の熱源として循環させて再利用可能としたことにより、大幅な処理経費の低減化が図かれた。更に、各々の無酸素熱分解炉と賦活炉とにより、連続的に多量に処理可能な固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理を実現出来るから、設備費用の比較的安価で、且つ、対費用効率の良い固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置の構成図である。図2は、本発明に係る無酸素熱分解炉と賦活炉の平面図である。図3は、図2の右側面図である。図4は、本発明に係る無酸素熱分解炉の要部の横断面図である。図5は、本発明に係る賦活炉の要部の横断面図である。
【0015】
図1、図2、図3、図4を参照するに、原料容器11内に収容されている固形廃棄物(固形廃棄物のチップ状裁断物)10を、原料用コンベア(例えばバケットコンベア)12により無酸素熱分解炉(乾留炉)2の一端上方に設けてある第1のホッパ13内に搬送して、更に、シャッタ付の第1の投入口13aからシャッタ(図示せず)を開いて、無酸素熱分解炉2の無酸素熱分解炉本体3の耐熱外壁を貫き、そして、第1の高温ガス通路5及び第1の仕切ドラム4内の無酸素熱分解室6a内に装填する。無酸素熱分解炉2は、耐火煉瓦等耐熱材の外壁に覆われた無酸素熱分解炉本体3内に、前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し、第1の高温ガス通路5を形成するように、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される少なくとも1基の第1の仕切ドラム4が架設されている。前記仕切ドラム4内には、無酸素熱分解室6aが形成され、そこに第1の圧送機として第1のねじコンベア6が配設されている。即ち、第1の駆動軸7とその長手方向の外周面に溶接等により固着された螺旋状の第1のねじ羽根8とよりなる第1のねじコンベア6は、前記無酸素熱分解炉本体3の耐火煉瓦等の耐熱外壁の両側壁端部に軸シール部材を備えた軸受9により、回転自在に支承されている。図1の左方から見て、螺旋状の前記第1のねじ羽根8は右巻としているので、反時計方向に回転する。左巻ならば時計方向回転とする。(そうでないと圧送出来ない。)
【0016】
そして、前記仕切りドラム4内の前記無酸素熱分解室6aの上側面には、無酸素熱分解(乾留)時に原料10から発生する気体成分を前記耐火煉瓦等の外壁部を貫いて前記無酸素熱分解炉本体3外に導出するための取出案内ダクト31a、31aが複数個所設けられており、気体成分は集合ダクト31を介して冷却装置33内に導入され、この気体成分は更に、気体配管34により気液分離装置37に導かれ、気体成分(ガス成分)38と液体成分(オイル成分)39とに分けられる。一方のこの無酸素熱分解ガス成分(気体成分)38は、気体配管37aにより気液分離装置37から外部に取出されて流量調節弁(図示せず)を持つガス容器(ガスタンク)X1に蓄えられ、この蓄えられた気体成分(ガス成分)38は、ガスタンクX1から分岐配管X2,X3により無酸素熱分解用のガス燃焼処理装置20と賦活処理用ガス燃焼処理装置X4に送られる。他方の液体成分(オイル成分)39は、前記冷却装置33からの液体配管35(途中に図示しない切換弁を設ける)に液体配管37bを接続して、液体成分容器(図示せず)に収容する。
【0017】
ところで、前記無酸素熱分解炉2の前記高温ガス通路5内には、前記気体成分38と燃料21を用いてガス燃焼処理装置20で燃焼させた高温ガスが、第1の配管22を介して、つぎの第2の配管24から複数の第3の配管(分岐配管)25により、前記無酸素熱分解炉2の前記無酸素熱分解炉本体3内の第1の高温ガス通路5内に導入される。一方、後述する前記無酸素熱分解炉本体3の第1の高温ガス通路5内からの戻り気体成分で再利用される高温ガスは、第5の配管27(途中コイル部27aを形成し、第2の配管24に巻付けて再加熱される)、送風機28を経由して、一部は再び第6の配管29を経由して、ガス燃焼処理装置20に導かれる。そして、前記気体成分38と燃料21とが混合されて、ガス燃焼処理装置20で燃焼させて、高温ガスとして、第1の配管22に導かれ、この第1の配管22に接続する第2の配管24等を経由して、前記無酸素熱分解炉本体3の高温ガス通路内に輸送される。(前記第2の配管24にはコイル部27aが巻き付けられていて、第1の高温ガス通路5内からの戻り気体成分を再加熱している。)
【0018】
高温ガス通路5内に放出された高温ガスは、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される前記仕切ドラム4壁を通して伝熱し、無酸素熱分解室6a内部の固形廃棄物原料10を200〜600℃の高温に加熱して(第1の仕切ドラム4壁を介して間接加熱して)無酸素熱分解し、複数の第4の配管(集合配管)26を経由して第5の配管(ヘッダ配管)27に案内され、コイル部27aが形成された前記第2の配管24の周囲に巻付けられて再加熱されて、その高温ガスは、送風機28を介して第6の配管29を経て一部はガス燃焼処理装置20へ導かれ、この高温ガスの他の一部は、前記第6の配管29の途中で分岐している廃熱ボイラ配管29aに導かれ、その後、排気管72に合流して屋外に排気される。
【0019】
無酸素熱分解炉2の無酸素熱分解炉本体3の無酸素熱分解室6a内の第1の圧送機としての第1のねじコンベア6の第1の駆動軸7は、図示しないが、左方端部から減速装置付電動機により回転駆動され、0.2〜3回転/時間程度の緩やかな搬送速度であり、原料の固形廃棄物10が、無酸素熱分解炉2の無酸素熱分解炉本体3の一端にある第1のホッパ13の原料投入口(シャッタ付き)13aから無酸素熱分解炉本体3の無酸素熱分解室6a内に投入されてから、無酸素熱分解炉本体3の他端下方に設けられている第1の出口14から炭化物15として無酸素熱分解炉本体3の外に取出される時間は、例えば、数時間〜8時間程度というような短時間で処理出来る。図3において、ちなみに第1のねじコンベア6の回転方向は時計方向とする(図1の左方から見た方向と逆である)。勿論、第1のねじコンベア6の第1のねじ羽根8が左巻ならば反時計方向回転となる。
【0020】
次に、第1の実施形態の続きとして、ここでは第2の圧送機52が第2のねじコンベア52である賦活炉50について述べる。図1、図5を参照するに、賦活炉50は、耐火煉瓦等の耐熱材の外壁に覆われた賦活炉本体51の前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し、第2の高温ガス通路45を形成するように、且つ、前記無酸素熱分解室6aの数に対応するように、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される少なくとも1基の第2の仕切ドラム44が架設され、前記第2の仕切ドラム44内には、賦活室52aが形成され、そこに第2の圧送機として第2のねじコンベア52が配設されている。即ち、第2の駆動軸53とその長手方向の外周面に溶接等により固着された螺旋状の第2のねじ羽根54とからなる第2のねじコンベア52が、前記賦活炉本体51の耐火煉瓦等の耐熱外壁の両側壁端部に軸シール部材を備えた軸受55により回転自在に支承されている。前記賦活炉本体51の一端上方に、前記賦活室52aに通じ夫々専有の第2の投入口(図示せぬシャッタ付き)58aを有する夫々専有の第2のホッパ58を配置し、前記賦活炉本体51の他端下方に、夫々専有の第2の出口(図示せぬシャッタ付き)59を配置している。図3において、第2のねじ羽根54は右巻きとすれば、第2のねじコンベア52の回転方向は反時計方向となる。勿論、図3にて、第2のねじコンベア52の第2のねじ羽根54が左巻ならば時計方向回転となる。(そうでないと圧送出来ない。)
【0021】
そして、前記ガスタンクX1から分岐配管X3により輸送された気体成分38と燃料21を用いてガス燃焼処理装置X4で燃焼させた高温ガスは、配管X5により賦活炉本体51の一方の下方側部から、賦活炉本体51内の前記第2の高温ガス通路45に接続導入されている。そして、前記賦活炉本体51の一端側の上方側部であって前記一端側の第2のホッパ58の左方近傍には、送気管78から分岐された複数の送気分岐配管78aが、前記第2の高温ガス通路45を貫通し更に前記第2の仕切ドラムを突き通して前記賦活炉本体51内に設けられた賦活室52a内の第2のねじコンベア52に面して接続されている。この送気管78は切換弁75を介して、一方は前記廃熱ボイラ70の水蒸気配管74に接続され、この切換弁75を介して、他方は窒素ガスタンク76(図示せず)から窒素ガスを供給するための窒素ガス配管77に接続されている。
【0022】
賦活化用ガス燃焼処理装置X4で発生させた高温ガスは、賦活炉本体51内の前記第2の高温ガス通路45内の下方から、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される前記第2の仕切ドラム44に導入され、第2の仕切ドラム壁の多数の孔を通して賦活炉本体51内の賦活室52a内に流入し、この賦活室52a内を直接加熱して内部の炭化物15を900〜1000℃程度とする。
【0023】
前記賦活炉50内の第2の圧送機である第2のねじコンベア52の第2の駆動軸53は、図示しないが左方端部から減速装置付き電動機により回転駆動され、第2のホッパ58から投入された炭化物15が、数時間後に第2の出口(シャッター付き)59により良質の活性炭或いは活性炭様物質60として取出せる。
【0024】
ところで、賦活工程の準備段階として、初めに前記第2の出口59のシャッタ(図示せず)と第2のホッパ58のシャッタ(図示せず)とを閉じておき、切換弁75を介して窒素ガスタンク76(図示せず)から、前記賦活炉本体51内には窒素ガスを充満させておき、次に前記炭化物用コンベア(例えばバケットコンベア)57から搬送されてくる炭化物15が第2のホッパ58内に到着した場合に、第2のホッパ58のシャッタ(図示せず)を開いて第2の投入口58aから炭化物15を賦活炉本体51の賦活室52a内に投入し、同時に前記賦活炉本体51への分岐配管65から高温ガスを第2の高温ガス通路45内に放出させ、同時に前記切換弁75を切り換えて、水蒸気を送気分岐配管78aから賦活炉本体51の賦活室52a内に供給し、賦活炉本体51の賦活室52a内で賦活処理を開始する。賦活炉本体51内の温度は900〜1000℃程度とする。そして、前記賦活炉本体51の上部からは、前記賦活炉本体51内の高温ガスが、複数の配管66から集合配管67により廃熱ボイラ70に導入された後に、排気管72を経て装置外又は屋外に排気される。
【0025】
図1、図2、図3、図4、図5を参照して、本発明に係る固形廃棄物の処理装置の動作の概要を説明する。初めに、固形廃棄物10を原料容器11に収容し、原料用コンベア12により固形廃棄物10を第1のホッパ13に供給し、第1のホッパ13の図示しないシャッタを開いて原料の第1の投入口(シャッタ付き)13aから無酸素熱分解炉2の無酸素熱分解炉本体3内に、更に、内部の仕切ドラム4内の第1のねじコンベア(第1の圧送機)6にて無酸素熱分解室6aに充填する。
【0026】
同時に、ガス燃焼装置20からの高温ガスを、第3の配管(分岐配管)25により無酸素熱分解炉本体3内の第1の高温ガス通路5に導入して、前記第1の仕切りドラム4壁を通して伝熱し、無酸素熱分解室6a内部の第1のねじコンベア6上にて、搬送される固形廃棄物10を200〜600℃に加熱しながら、連続的に無酸素熱分解させる。数時間〜8時間後程度に、第1の出口14の図示しないシャッタを開いて、炭化物(無酸素熱分解残滓)15を貯留所(図示してないが粉砕機能を有する)16内に放出する。次に、前記貯留所(図示してないが粉砕機能を有する)16内の粉砕された炭化物(無酸素熱分解残滓)15を、磁気による金属選別機17内に移動させ(図示しないコンベア使用)、炭化物15内に混入した磁性金属(例えば使用済み廃タイヤのビードワイヤ)を磁石(図示しない電磁石)に吸着させて、その後、搬送される炭化物15内に磁性金属が混入しないようにして、賦活炉本体51賦活室52aの内壁面が傷つくことから保護する。この磁気による金属選別機17の部分は、蓋を開いて吸着した磁性金属等を取出せるような構造になっている。そして、炭化物15は、炭化物用コンベア(例えばバケットコンベア)57により賦活炉50の賦活炉本体51へと搬送される。
【0027】
一方、無酸素熱分解炉本体3からの無酸素熱分解ガスは、取出ダクト31aからダクト31経由で冷却装置33に導入されて、一部は液体成分(使用済みの廃タイヤの場合は灯油と同質のもの)を分離し、途中に設けられた切換弁(図示せず)を介して液体配管35を経由して液体成分(廃タイヤの場合は灯油と同質のもの)39として取出される。その後、無酸素熱分解ガスは気液分離装置37に導入されて、更に、液体成分(廃タイヤの場合は灯油と同質のものであり、液体配管37bから前記液体配管35に案内される)39と気体成分(廃タイヤの場合は都市ガスと同等のものであり、気体配管37aに案内される)38とに別けられて、夫々収容容器(気体成分38はガスタンクX1内に、液体成分39は図示せず)に収蔵され、再利用される。
【0028】
他方、炭化物用コンベア(例えばバケットコンベア)57により、賦活炉50の賦活炉本体51の上方端部の第2のホッパ58内に搬送された炭化物15は、第2のホッパ58のシャッタ付き(図示せず)の第2の投入口58aを開いて、窒素ガスの充満している賦活炉本体51内の賦活室52aの内に投入され、同時に前記賦活炉本体51へ高温ガスを第2の高温ガス通路45内に放出し、同時に前記切換弁75を切り換えて、水蒸気を送気分岐配管78aから賦活炉本体51内の賦活室52a内に供給し(賦活剤の水素を発生させる)、前記第2の高温ガス通路45内の高温ガスの温度とにより、賦活炉本体51内の賦活室52aの内で賦活処理を開始する。賦活室52aを含む賦活炉本体51内の温度は900〜1000℃程度とする。約数時間後に第2の出口59のシャッタを開いて良質の活性炭或いは活性炭様物質60が取出され、貯留槽61に収容される。
【0029】
そして、前記賦活炉本体51の上部からは、前記賦活炉本体51内の高温ガスが、複数の配管66から集合配管67により廃熱ボイラ70に導入された後に、ガスは排気管72を経て屋外に排気される。そして、賦活化用ガス燃焼装置X4で発生させた高温ガスは、賦活炉本体51内の前記第2の高温ガス通路45内を経由して、前記第2の仕切ドラム44に導入され、この第2の仕切ドラム44壁の多数の孔を通して伝熱し、賦活室52a内部の炭化物15を900〜1000℃程度に加熱する。
【0030】
本発明の固形廃棄物の無酸素熱分解炉2によれば、耐熱材の外壁に覆われた無酸素熱分解炉本体3内に、前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し第1の高温ガス通路5を形成するように、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される少なくとも1基の第1の仕切ドラム4が架設され、前記第1の仕切ドラム4には、夫々専有の第1の投入口13aより前記固形廃棄物10を外方から投入され、内部の無酸素熱分解室6aに圧送する夫々専有の第1の圧送機である第1のねじコンベア6が配設され、無酸素熱分解ガスを取出す配管(取出ダクト)31a、(集合ダクト)31と、炭化物15のシャッタ(図示せず)を有する第1の出口14とを備えた無酸素熱分解炉2であるから、シャッタ付きの第1の投入口13aからシャッタを開いて、第1のねじコンベア6にて固形廃棄物10を無酸素熱分解室6a内に連続的に移送しながら、高温ガス通路5内の高温ガスによる間接加熱にて、固形廃棄物10を無酸素熱分解することが出来る。即ち、1基の無酸素熱分解炉2で固形廃棄物10を連続的に無酸素熱分解出来るので、設備費用が比較的安価で、且つ、経済効率の良い固形廃棄物の無酸素熱分解が出来る。
【0031】
そして、本発明の固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置1において、無酸素熱分解炉2に対応して設けられた賦活炉50は、耐火煉瓦等の耐熱材等の外壁に覆われた賦活炉本体51の前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し、第2の高温ガス通路45を形成するように、且つ、前記無酸素熱分解室6aの数に対応するようにステンレス鋼等の耐熱材で構成される少なくとも1基の第2の仕切ドラム44が架設され、前記第2の仕切ドラム44には、夫々専有の第2の投入口(シャッタ付き)58aより、前記無酸素熱分解炉2で得られた夫々の炭化物15が外方から投入され、内部の夫々専有の賦活室52aに圧送する夫々専有の第2の圧送機52と、水蒸気等と高温ガスとにより賦活処理すると共に、活性炭或いは活性炭様物質60を外方へ取出す各々専有の第2の出口59と、賦活後の余剰の気体成分(水蒸気、高温ガス、窒素)を排出する配管66,67を有する無酸素熱分解・賦活処理装置1を形成する。
【0032】
即ち、無酸素熱分解炉2で得られた炭化物15を、賦活炉50の賦活炉本体51内の第2の圧送機(第2のねじコンベア)52と賦活室52aにて、連続的に移送させると共に、賦活処理して活性炭或いは活性炭様物質60を得ることが出来、且つ、高温の排出ガスを廃熱ボイラ70に導入し、賦活処理に使用する水蒸気を得るように再利用しているために、各々1基ずつの前記無酸素熱分解炉2と賦活炉50とにより、連続的に処理可能な廃タイヤ等を含めた固形廃棄物10の無酸素熱分解・賦活処理装置1であるから、設備費用の比較的安価で、且つ、経済効率の良い固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理ができる。
【0033】
図6は、本発明に係る第2の実施形態の無酸素熱分解炉と賦活炉の構成図である。図6を参照して、図1の無酸素熱分解炉2に対して無酸素熱分解炉102(図6)と、無酸素熱分解炉本体3に対して無酸素熱分解炉本体103(図6)と、そして、第1の圧送機である第1のねじコンベア6に対して第1のピストン式圧送機105(図6)と読み替える。更に、賦活炉50に対して賦活炉150(図6)と、賦活炉本体51に対して賦活炉本体151(図6)と、そして、第2の圧送機である第2のねじコンベア52に対して第2のピストン式圧送機152(図6)と夫々読み替えれば良い。
【0034】
図6を参照して、無酸素熱分解炉102を構成する無酸素熱分解炉本体103は、耐火煉瓦等の耐熱材の外壁に覆われた無酸素熱分解炉本体103内に、前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し、第1の高温ガス通路104aを形成するように、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される少なくとも1基の第1の仕切ドラム104が架設され、この第1の仕切ドラム104は、やや拡径して左方に延在し、第1のピストン式圧送機105の第1のシリンダ106の内壁に連続している。第1のシリンダ106の上左方に、原料(固形廃棄物のチップ状裁断物)10をシャッタ付きの第1の投入口13aから、シャッタ(図示せず)を開いて前記第1のシリンダ106内に投入する第1のホッパ13を備え、前記第1のシリンダ106内に投入された原料の固形廃棄物10を、前記第1のピストン107により、前記無酸素熱分解炉本体103内の第1の仕切ドラム4の内部右方に形成されている無酸素熱分解室105a内に圧送する。
【0035】
即ち、シャッタ付きの第1の投入口13aの左方において第1のピストン式圧送機105が設けられている。第1のシリンダ106内に、第1のピストン107が、第1のピストンピン108に一端が枢支された第1の連接棒109が他端を第1のクランクピン110に枢支されて、第1の軸112を中心に回転する被駆動歯車113に回動自在に止められている。この被駆動歯車113は、第1のモータ軸114に固着されている駆動歯車115に噛合っている。往復運動をする第1のピストン107は、上部より落下する原料(固形廃棄物のチップ状裁断物)10を必要な形状に圧縮して、無酸素熱分解炉本体103の第1の仕切ドラム4内の無酸素熱分解室105a内部に圧送する。その他の配管等の構成は、図1に示す第1の実施形態の無酸素熱分解炉2と同様なので説明を省略する。そして、第1のピストン式圧送機105では、硬い原料の固形廃棄物10でも軟らかい原料の固形廃棄物10でも、確実にほぼ連続的に圧送可能であり、その後の工程が確実に推進できるので便利である。
【0036】
次に、図6を参照すると、賦活炉150は、耐火煉瓦等の耐熱材の外壁に覆われた賦活炉本体151内に、前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し、第2の高温ガス通路151bを形成するように、且つ、前記無酸素熱分解室105aの数に対応するようにステンレス鋼等の耐熱材で構成される少なくとも1基の第2の仕切ドラム151aが架設され、この第2の仕切ドラム151aの内壁面は、やや拡径して右方に延在して、第2のピストン式圧送機152の第2のシリンダ153の内壁に連続し、内部左方には賦活室152aを形成している。第2のシリンダ153の上右方に、前記無酸素熱分解炉102から輸送されてくる炭化物15を、シャッタ付きの第2の投入口58aから、シャッタ(図示せず)を開いて前記第2のシリンダ153内に投入する第2のホッパ58を備え、前記投入された炭化物15を、前記第2のシリンダ153内の前記第2のピストン154により、前記賦活炉150の賦活室152a内に圧送する。
【0037】
即ち、シャッタ付きの第2の投入口58aの右方において、第2のピストン式圧送機152が設けられている。第2のシリンダ153内に、第2のピストン154が、第2のピストンピン155に一端が枢支された第2の連接棒156が他端を第2のクランクピン157に枢支されて、第2の軸158を中心に回転する第2の被駆動歯車159に回動自在に止められている。この第2の被駆動歯車159は、第2のモータ軸160に固着されている第2の駆動歯車161に噛合っている。往復運動をする第2のピストン154は、上部より落下する炭化物15を必要な形状に圧縮して、賦活炉本体151内の賦活室152a内に圧送すると共に、賦活室52aへの配管78,78aからの水蒸気と第2の高温ガス通路45内の高温ガスとにより連続的に賦活処理され、前記賦活炉150の左方下に第2の出口59が配置されていて、活性炭或いは活性炭様物質60を得ることが出来、且つ、高温の排出ガスを廃熱ボイラ70に導入し、賦活処理に使用する水蒸気を得るように再利用しているために、各々1基ずつの前記無酸素熱分解炉102と賦活炉150とにより、連続的に処理可能な廃タイヤ等を含めた固形廃棄物10の無酸素熱分解・賦活処理装置101であるから、設備費用の比較的安価で、且つ、経済効率の良い固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理ができる。
【0038】
図6において、その他の配管等の構成は、図1に示す第1の実施形態の賦活炉50と同様なので説明を省略する。そして、第2のピストン式圧送機152では、硬い原料である炭化物(無酸素熱分解残滓)15でも、軟らかい原料である炭化物(無酸素熱分解残滓)15でも、確実にほぼ連続的に圧送可能であり、その後の工程が確実に推進できるので便利である。尚、第1の圧送機である第1のピストン式圧送機105と第2の圧送機である第2のピストン圧送機152の駆動を、モータの代わりに油圧シリンダ等の油圧駆動にしてもよい。
【0039】
図7は、本発明に係る第3の実施形態の無酸素熱分解炉と賦活炉の構成図である。図7を参照すると、図1の無酸素熱分解炉2に対して無酸素熱分解炉302(図7の)と、無酸素熱分解炉本体3に対して無酸素熱分解炉本体303(図7の)と、そして、第1の圧送機である第1のねじコンベア6に対して第1のピストン式圧送機(油圧式)305、305′(図7の)と読み替える。更に、賦活炉50に対して賦活炉350(図7の)と、賦活炉本体51に対して賦活炉本体351(図7の)と、そして、第2の圧送機である第2のねじコンベア52に対して第2のピストン式圧送機(油圧式)352(図7の)と夫々読み替えれば良い。
【0040】
図7を参照して、無酸素熱分解炉302を構成する無酸素熱分解炉本体303は、耐火煉瓦等の耐熱材の外壁に覆われた無酸素熱分解炉本体303内に、前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し、第1の高温ガス通路304aを形成するように、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される夫々専有の第1の仕切ドラム304、304′が架設され、夫々の前記第1の仕切ドラム304、304′は、やや拡径して左方に延在して、夫々専有の第1のピストン式圧送機305、305′の夫々専有の第1のシリンダ306、306′の内壁に連続し、内部右方には夫々専有の無酸素熱分解室305a、305a′を形成している。夫々専有の第1のシリンダ306、306′の上方に、複数種類の夫々の原料の固形廃棄物210、210′を、夫々専有のシャッタ付きの第1の投入口213a,213a′から、夫々専有のシャッタ(図示せず)を開いて夫々専有の前記第1のシリンダ306、306′内に投入する夫々専有の第1のホッパ213、213′を備え、夫々の前記第1のシリンダ306、306′内に投入された原料の固形廃棄物210、210′を、前記第1のピストン307、307′により、前記無酸素熱分解炉本体303内の夫々の第1の仕切ドラム304、304′内の内部右方に形成されている夫々の無酸素熱分解室305a,305a′内に圧送する。
【0041】
即ち、シャッタ付きの夫々専有の第1の投入口213a,213a′の左方において、夫々の第1のピストン式圧送機305、305′が設けられている。夫々専有の第1のシリンダ306、306′内に、夫々専有の第1のピストン307、307′が油圧駆動される。往復運動をする夫々専有の第1のピストン307、307′は、上部より落下する複数種類の原料の固形廃棄物210、210′を種類別に平行してほぼ連続的に必要な形状に圧縮して、無酸素熱分解炉本体303内の夫々専有の第1の仕切ドラム304、304′内部右方の夫々専有の無酸素熱分解室305a,305a′内に圧送する。その他の配管等の構成は、図1に示す第1の実施形態の無酸素熱分解炉2と同様なので、説明を略記する。そして、第1のピストン式圧送機305、305′では、硬い原料の固形廃棄物210、210′でも軟らかい原料の固形廃棄物210、210′でも、確実に種類別に平行してほぼ連続的に圧送可能であり、その後の工程が確実に推進でき、多量に無酸素熱分解処理できるので便利である。
【0042】
そして、本発明に係る第3の実施態様の固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置301の動作の概要を説明する。初めに、夫々専有の第1のホッパ213、213′の下部のシャッタ付きの夫々専有の第1の投入口213a,213a′と、シャッタ付きの夫々専有の第1の出口214、214′との各シャッタを閉じておき、窒素ガスタンク276から切換弁279を介して、窒素ガス配管277にて導かれた窒素ガスにて、無酸素熱分解炉本体303内の夫々専有の無酸素熱分解室305a,305a′の内部を充満させておき、複数種類の各々の原料の固形廃棄物210、210′を夫々の原料容器211(図示せず)に収容し、夫々専有の原料用コンベア212、212′(夫々図示せず)により、各々の原料210、210′を夫々専有の第1のホッパ213、213′に供給し、夫々専有の第1のホッパ213、213′の図示しないシャッタを開いて、夫々専有の原料投入口(シャッタ付きの第1の投入口)213a、213a′から無酸素熱分解炉302の無酸素熱分解炉本体303内に投下し、更に、夫々専有の第1のシリンダ306,306′に入れ、そこで夫々専有の第1のピストン式圧送機(第1の圧送機)305、305′の夫々専有の第1のピストン307,307′により、夫々専有の第1の仕切ドラム304、304′内の夫々専有の無酸素熱分解室305a、305a′に、夫々の原料210、210′を圧送させ、窒素ガスと置換させる。
【0043】
同時に、ガス燃焼処理装置220から出口配管(第1の配管)222、そして、これに接続する第2の配管224を経由して、高温ガスを第3の配管(分岐配管)225により無酸素熱分解炉本体303内の第1の高温ガス通路304aに導入して、夫々の前記第1の仕切りドラム304、304′壁を通して伝熱し(間接加熱し)、夫々専有の無酸素熱分解室305a、305a′内部の油圧駆動の夫々専有の第1のピストン式圧送機305、305′にて搬送される夫々の原料(固形状廃棄物のチップ状裁断物)210、210′部分を、200〜600℃に加熱しながら連続的に無酸素熱分解させる。数時間〜8時間後程度に夫々専有の第1の出口214、214′の図示しないシャッタを開いて、夫々の炭化物(無酸素熱分解残滓)215を夫々専有の貯留所(図示してないが粉砕機能を有する)216、216′内に放出する。次に夫々の前記貯留所(図示してないが粉砕機能を有する)216、216′内の粉砕された夫々の炭化物(無酸素熱分解残滓)215を、磁気による夫々の金属選別機217、217′内に移動させ(図示しないコンベア使用)、夫々の炭化物215内に混入した磁性体(例えば、廃タイヤのビードワイヤ等)を磁石(図示しない電磁石)に吸着させて、その後、搬送される夫々の炭化物215内にビードワイヤ等の磁性体が混入しないようにして、賦活炉本体351の内壁面が傷つくことから保護する。この磁気による夫々の金属選別機217、217′の部分は、蓋を開いて吸着したビードワイヤ等の磁性体を取出せるような構造になっている。そして、夫々の炭化物215は、炭化物用コンベア(例えばバケットコンベア)257により、賦活炉350の賦活炉本体351へと搬送される。
【0044】
一方、無酸素熱分解炉本体303からの無酸素熱分解ガスを、夫々の取出ダクト231a,231a′からダクト231経由で冷却装置233に導入されて、一部は液体成分(原料が使用済みの廃タイヤの場合は灯油と同質のもの)239を分離し、途中に設けられた切換弁(図示せず)を介して、液体配管235を経由して、液体成分(原料が廃タイヤの場合は灯油と同質のもの)239として取出される(収容容器は図示せず)。その後、無酸素熱分解ガスは気液分離装置237に導入されて、更に、液体成分(原料が廃タイヤの場合に灯油と同質のものであり、液体配管237bから前記液体配管235に案内される)239と気体成分(原料が廃タイヤの場合は都市ガスと同等のものであり、気体配管237aに案内される)238とに別けられて、夫々収容容器(図示せず)に収蔵され、再利用される。
【0045】
他方、図7を参照すると、賦活炉350は、耐火煉瓦等の耐熱材の外壁に覆われた賦活炉本体351内に、前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し、第2の高温ガス通路351bを形成するように、且つ、夫々専有の前記無酸素熱分解室305a、305a′の数に対応するように、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される第2の仕切ドラム351a(ここでは1基)が架設され、この第2の仕切ドラム351aの内壁面は、やや拡径して右方に延在して、第2のピストン式圧送機352の第2のシリンダ353の内壁に連続しており、内部左方には賦活室352aを形成している。そして、炭化物用コンベア(例えばバケットコンベア)257により、賦活炉350の賦活炉本体351の上右方部の第2のホッパ258内に搬送された炭化物215は、第2のホッパ258のシャッタ(図示せず)を開いて、第2の投入口258aから窒素ガスの充満している賦活炉本体351内に投入され、窒素ガスと置換される。そして、前記投入された炭化物215は、前記第2のシリンダ353内の前記第2のピストン354により、前記第4の賦活炉350内の第2の仕切ドラム351aの賦活室352a内に圧送される。
【0046】
それと同時に、ガス燃焼処理装置220から出口配管(第1の配管)222、そして、これに接続する第2の配管224からの分岐管224aを経由して、前記賦活炉本体351への分岐配管265に導かれた高温ガスを、第2の高温ガス通路351b内に放出し、同時に前記切換弁275を切り換えて、水蒸気を送気分岐配管278aから賦活炉本体351の賦活室352a内に供給し、前記第2の高温ガス通路351b内の高温ガスの温度とにより、賦活炉本体351の賦活室352a内で賦活処理を開始する。賦活炉本体351の賦活室352a内の温度は900〜1000℃程度とする。約数時間後に第2の出口259のシャッタを開いて、良質の活性炭或いは活性炭様物質260が取出され貯留槽261に収容される。
【0047】
そして、前記賦活炉本体351の上部からは、前記賦活炉本体351内の高温ガスが、複数の配管266から集合配管267により廃熱ボイラ270に導入された後に、ガスは排気管272を経て屋外に排気される。そして、賦活炉本体351内の前記第2の高温ガス通路351b内に放出された高温ガスの一部は、前記第2の仕切ドラム351aの多数の孔を通して挿入され、内部の炭化物215を900〜1000℃程度に加熱する。そして、賦活炉本体351内の上方部の複数の配管268から外部に導かれ、更に、集合させた配管269を配管227に接続し、コイル部227aに合流させ、前記第2の配管224の周囲に巻付けて再加熱されて、その高温ガスは、送風機228を介して第6の配管229を経て、一部はガス燃焼処理装置220内に導かれ、燃料221と混合されて燃焼されて、ガス燃焼処理装置220の出口配管(第1の配管)222に導かれて、第1の高温ガス通路304aや第2の高温ガス通路351bへと導かれる。他の一部は第6の配管229から分岐し、廃熱ボイラ配管229aに導かれ、その後、前記排気管272に合流して屋外に排気される。
【0048】
本発明の無酸素熱分解炉302によれば、無酸素熱分解炉302の内部に備えられた夫々専有の第1の仕切ドラム304、304′の第1の圧送機である夫々専有の第1のピストン式圧送機305、305′の周囲に、所定距離の空間を離間して覆設された無酸素熱分解炉本体303の外壁内面との間の第1の高温ガス通路304aと、無酸素熱分解ガスを取出す夫々専有の配管231a,231と、夫々の炭化物215のシャッタ(図示せず)を有する夫々専有の第1の出口214、214′とを備えた無酸素熱分解炉302であるから、夫々の原料(固形廃棄物のチップ状裁断物)210、210′を、夫々専有の前記第1のピストン式圧送機305、305′にて連続的に移送しながら、無酸素熱分解炉本体303の内部の高温ガス通路304a内の高温ガスにて、夫々の原料である固形廃棄物210、210′を無酸素熱分解することが出来る。即ち、1基の無酸素熱分解炉302で、複数の原料である固形廃棄物210、210′を平行して連続的に無酸素熱分解出来るので、設備費用が比較的安価で、且つ、経済効率の良い固形廃棄物の無酸素熱分解が出来る。
【0049】
本発明の前記無酸素熱分解炉2は、また、夫々専有の第1の圧送機(第1のピストン式圧送機)305、305′の周囲に、所定距離の空間を離間して覆設された無酸素熱分解炉本体303の外壁内面との間の第1の高温ガス通路304aと、配管231a、231と、炭化物215のシャッタ(図示せず)を有する夫々専有の第1の出口214、214′とを備えた無酸素熱分解炉302で得られた夫々の炭化物215を、賦活炉350の賦活炉本体351の第2の仕切ドラム351a内の第2の圧送機(第2のピストン式圧送機)352及び賦活室352aの周囲に、所定距離の空間を離間して覆設された賦活炉本体351の外壁内面との間の第2の高温ガス通路351bを配設していて、第2の圧送機(第2のピストン式圧送機)352にて、賦活室352a内に連続的に移送させると共に賦活処理して、活性炭或いは活性炭様物質260と液体成分239と気体成分238とを得ることが出来る。各々の前記無酸素熱分解炉302と賦活炉350とにより、連続的に処理可能な廃タイヤ等を含めた固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置301であるから、設備費用の比較的安価で、且つ、経済効率の良い固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理が出来る。
【0050】
次に、図7において、賦活炉350は、耐火煉瓦等の耐熱材の外壁に覆われた賦活炉本体351内に、前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し、第2の高温ガス通路351bを形成するように、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される第2の仕切ドラム351aが架設されている。ここで無酸素熱分解炉302の内部に複数の第1の仕切ドラム304,304′を設けたように、賦活炉350の内部に複数の第2の仕切ドラム351a,351a′を架設することも可能である。これにより無酸素熱分解炉302の内部の複数の第1の仕切ドラム304,304′により、種類の異なる原料の固形廃棄物に対応して、且つ、平行して賦活処理が出来、得られる活性炭や活性炭様物質260の用途等に応じて、例えば、医薬食品関係や建築土木関係等のような、よりきめ細かく、多種類の原料である固形廃棄物に対応した無酸素熱分解・賦活処理が可能である。
【0051】
また、本発明の固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置は、上記した実施の形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置における、固形廃棄物とは、廃タイヤ、廃材、生ごみ、廃プラスチック、間伐材、草木(もみ殻、稲藁、麦わら、植木剪定物、野菜くず等を含む)、古紙、汚泥、鉱山関係のぼた、古着等の有機炭素を含有する固形廃棄物である。また、廃棄物で規定される可燃性一般廃棄物の生活系ごみと事業系ごみおよび産業廃棄物の紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残渣、ゴムくず、建築廃材も、本発明の固形廃棄物の対象となる。このような産業廃棄物処理業界において利用可能である他に、活性炭の製造や使用する産業界でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る第1の実施形態による固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置の構成図である。
【図2】本発明に係る無酸素熱分解炉と賦活炉の平面図である。
【図3】本発明に係る図2の右側面図である。
【図4】本発明に係る無酸素熱分解炉の要部の横断面図である。
【図5】本発明に係る賦活炉の要部の横断面図である。
【図6】本発明に係る第2の実施形態による無酸素熱分解炉と賦活炉との構成図である。
【図7】本発明に係る第3の実施形態による固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置の構成図である。
【符号の説明】
【0054】
1 固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置
2 無酸素熱分解炉
3 無酸素熱分解炉本体
4 第1の仕切ドラム
5 第1の高温ガス通路
6 第1の圧送機
6a 無酸素熱分解室
10 固形廃棄物
13a 第1の投入口
14 第1の出口
15 炭化物
31 配管
20 ガス燃焼処理装置
28 送風機
33 冷却装置
37 木液分離装置
44 第2の仕切ドラム
45 第2の高温ガス通路
50 賦活炉
51 賦活炉本体
52 第2の圧送機
52a 賦活室
57 炭化物用コンベア
58a 第2の投入口
59 第2の出口
60 活性炭
66、67 配管
74 水蒸気配管
77 窒素ガス配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に高温ガス通路が備えられ有機炭素を含む固形廃棄物(以下固形廃棄物と称す)を無酸素状態で熱分解(以下無酸素熱分解と称す)する無酸素熱分解炉と、前記高温ガス通路内に循環させる高温ガスを発生するガス燃焼処理装置と、前記無酸素熱分解後の炭化物を賦活処理する賦活炉と、を備えた固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置において、
前記無酸素熱分解炉は、耐熱材の外壁に覆われた無酸素熱分解炉本体内に前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し第1の高温ガス通路を形成するように、耐熱材で構成される少なくとも1基の第1の仕切ドラムが架設され、前記第1の仕切ドラムには、夫々専有の第1の投入口より前記固形廃棄物を外方から投入され内部の夫々専有の無酸素熱分解室に圧送する夫々専有の第1の圧送機と、炭化物を外方に取出す夫々専有の第1の出口と、無酸素熱分解ガスを取出す夫々専有の配管とが配設されていると共に、前記第1の高温ガス通路からの無酸素熱分解後の高温ガスを取出す配管と、を含むことを特徴とする固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置。
【請求項2】
前記賦活炉は、賦活炉本体の外壁内面との間に所定距離の空間を離間し第2の高温ガス通路を形成するように、且つ、前記無酸素熱分解室数に対応するように、耐熱材で構成される少なくとも1基の第2の仕切ドラムが架設され、前記第2の仕切ドラムには、夫々専有の第2の投入口より前記無酸素熱分解炉で得られた夫々の炭化物が外方から投入され、内部の夫々専有の賦活室に圧送する夫々専有の第2の圧送機と、水蒸気等と高温ガスとにより賦活処理すると共に、活性炭或いは活性炭様物質を外方へ取出す夫々専有の第2の出口と、賦活後の余剰の気体成分(水蒸気、高温ガス、窒素)を排出する配管と、を有することを特徴とする請求項1記載の固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−289340(P2006−289340A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318608(P2005−318608)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(505094102)
【出願人】(505093817)
【出願人】(500174937)
【Fターム(参考)】