説明

圧力制御装置

【課題】精密かつ高速に圧力制御を行なうことができる圧力制御装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の圧力制御装置は、バルブと、前記バルブに接続されている軸部と、ソレノイド部と、マイクロメータ部と、制御部と、を備えている。前記ソレノイド部は、前記軸部をソレノイド駆動によって軸方向に移動させることにより、前記軸部を介して前記バルブのゲート開度を調整し、前記マイクロメータ部は、前記軸部に着脱自在に取り付けられるとともに、前記軸部に取り付けられた場合には前記軸部をねじ機構によって軸方向に移動させることにより、前記軸部を介して前記バルブのゲート開度を調整する。前記制御部は、前記マイクロメータ部を用いて前記ガス圧力を制御する際には、前記マイクロメータ部を前記軸部に取り付け、前記ガス圧力を制御する際には、前記マイクロメータ部を前記軸部から取り外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、圧力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造に用いられる半導体製造装置では、プロセスガスをプロセスチャンバ内に流す際のガス圧力を正確に制御する必要がある。
【0003】
しかしながら、ソレノイドバルブを用いた圧力制御では、半導体製造装置毎に圧力制御のばらつきが生じていたので、精密な圧力制御が困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−116380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、精密かつ高速に圧力制御を行なうことができる圧力制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、圧力制御装置が提供される。圧力制御装置は、バルブと、前記バルブに接続されている軸部と、ソレノイド部と、マイクロメータ部と、制御部と、を備えている。前記バルブは、上流側ガス配管と下流側ガス配管との間のゲート開度を調整することによって前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力を調整する。前記ソレノイド部は、前記軸部をソレノイド駆動によって軸方向に移動させることにより、前記軸部を介して前記バルブのゲート開度を調整する。前記マイクロメータ部は、前記軸部に着脱自在に取り付けられるとともに、前記軸部に取り付けられた場合には前記軸部をねじ機構によって軸方向に移動させることにより、前記軸部を介して前記バルブのゲート開度を調整する。前記制御部は、前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力が所望のガス圧力となるよう、前記ソレノイド部および前記マイクロメータ部を制御する。また、前記制御部は、前記マイクロメータ部を用いて前記ガス圧力を制御する際には、前記マイクロメータ部を前記軸部に取り付けるとともに、前記ソレノイド部を用いて前記ガス圧力を制御する際には、前記マイクロメータ部を前記軸部から取り外す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施形態に係る圧力制御装置を備えた半導体製造装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、実施形態に係る圧力制御装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、実施形態に係るマイクロメータの構成例を示す図である。
【図4】図4は、軸部の移動制御を説明するための図である。
【図5】図5は、ソレノイドバルブを用いた圧力制御特性を示す図である。
【図6】図6は、軸部の中央部で軸部を回転させる場合の回転機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係る圧力制御装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る圧力制御装置を備えた半導体製造装置の構成を示す図である。半導体製造装置100は、プロセスチャンバCと、配管(上流側ガス配管)6Pと、圧力制御装置1と、配管(下流側ガス配管)6Qと、排気ポンプ30と、を備えている。本実施形態の圧力制御装置1は、所望のタイミングで、マイクロメータ40による配管内のガス圧力制御と、ソレノイドコイル3による配管内のガス圧力制御と、を切替える。圧力制御装置1は、例えば、配管内のガス圧力が所定値よりも低い場合には、マイクロメータ40によって配管内のガス圧力を制御し、配管内のガス圧力が所定値よりも高い場合には、ソレノイドコイルによって配管内のガス圧力を制御する。
【0010】
プロセスチャンバCは、半導体装置(半導体集積回路)が形成される基板(ウェハ)に対し、ウェハ上に薄膜を形成する処理室である。プロセスチャンバCへは、真空状態でプロセスガスが導入されてウェハ上に薄膜が形成される。そして、プロセスチャンバCからは、所定量のガスが排ガスとして排出される。プロセスチャンバCからの排ガスは、配管6P,6Qを介して排気ポンプ30に送られ、排気ポンプ30を介して外部(排ガス処理装置)などに送られる。
【0011】
半導体製造装置100では、配管6Pと配管6Qとの間に圧力制御装置1が設けられており、圧力制御装置1によって配管6P内のガス圧力が制御される。そして、配管6P内のガス圧力が制御されることにより、プロセスチャンバC内のプロセスガス圧力が制御される。
【0012】
本実施形態の圧力制御装置1は、バルブ21と、ソレノイドコイル3と、マイクロメータ40と、切替部5と、を有している。ソレノイドコイル3は、配管6P,6Q内のバルブ21をソレノイド駆動によって軸方向に移動させることにより、配管6Pから配管6Qへの排ガス流量を調整する。マイクロメータ40は、ねじ機構によってバルブ21を軸方向に移動させることにより、配管6Pから配管6Qへのガス排出量を調整する。
【0013】
切替部5は、ソレノイドコイル3、マイクロメータ40に接続されている。切替部5は、バルブ21の動作を制御するマイコン10Xを備えている。マイコン10Xは、ソレノイドコイル3、マイクロメータ40のそれぞれに、動作指示(ON/OFFの切替え)を送ることにより、ソレノイドコイル3、マイクロメータ40の動作を制御する。
【0014】
本実施形態のマイコン10Xは、ソレノイドコイル3によるバルブ21の開閉制御と、マイクロメータ40によるバルブ21の開閉制御と、を切替える。マイコン10Xは、例えば、配管6Pから配管6Qへ少量の排ガスを排出させる場合にマイクロメータ40によってバルブ21を動作させ、配管6Pから配管6Qへ多量の排ガスを排出させる場合にソレノイドコイル3によってバルブ21を動作させる。これにより、少量の排ガスを排出させる場合には、マイクロメータ40によって精密な排圧制御が可能となり、多量の排ガスを排出させる場合には、ソレノイドコイル3によって高速な排圧制御が可能となる。
【0015】
つぎに、圧力制御装置1の構成について説明する。図2は、実施形態に係る圧力制御装置の構成を示す図である。圧力制御装置1は、配管6Pと配管6Qとの間に配置され、配管6Pから配管6Qへの排ガス流量を制御する。
【0016】
圧力制御装置1は、筐体25と、軸部11,12,13と、ソレノイドコイル3と、バルブ21と、真空シールド22と、マイクロコンピュータ(マイコン)10Xと、ガイド部4Xと、モータMと、を備えている。軸部11〜13、ガイド部4X、モータMを用いてマイクロメータ40が構成されている。
【0017】
軸部11,12,13は、同軸上に並ぶよう棒状部材で一体に形成されており、その一方の先端部(図2では軸部11の左端部)にバルブ21が配置されている。軸部11〜13は、軸部11〜13の軸方向(図内の左右方向)に移動することにより、バルブ21を軸部11の軸方向に移動させる。
【0018】
バルブ21は、配管6P,6Q内で軸部11〜13の軸方向に移動することにより、配管6Pと配管6Qとの間の隙間量を調節する。例えば、バルブ21が図内の左側に移動することにより、配管6Pと配管6Qとの間の隙間(ゲート開度)は狭くなる。これにより、配管6Pから配管6Qに流れる排ガス流量が少なくなり、その結果、プロセスチャンバC内の圧力が上昇する。また、バルブ21が図内の右側に移動することにより、配管6Pと配管6Qとの間の隙間は広くなる。これにより、配管6Pから配管6Qに流れる排ガス流量が多くなり、その結果、プロセスチャンバC内の圧力が減少する。
【0019】
配管6P内には、バラトロンセンサSが設けられている。バラトロンセンサSは、配管6P内のガス圧力を計測する。バラトロンセンサSは、ガス圧力の計測結果をマイコン10Xに送る。
【0020】
真空シールド22は、配管6P,6Qと筐体25とが接合される接合位置に配置されている。真空シールド22は、軸部11,12を貫通させる貫通孔を有しており、貫通孔に軸部11,12が貫通自在(挿入自在)に挿入されている。真空シールド22は、配管6P,6Qと筐体25との間で気体の流出入が起こらないよう気密を保ちつつ軸部11,12を軸方向に移動可能なよう構成されている。本実施形態では、説明の便宜上、軸部のうち真空シールド22とバルブ21との間の軸部を軸部11とし、真空シールド22とガイド部4Xとの間の軸部を軸部12とし、ガイド部4Xよりもソレノイドコイル3側の軸部を軸部13として説明する。したがって、軸部12,13の間には、ガイド部4Xが配置され、軸部13の右端側には、ソレノイドコイル3が巻きつけられている。
【0021】
ソレノイドコイル3は、ソレノイド駆動によって軸部11〜13を軸方向に移動させる。ソレノイドコイル3は、マイコン10Xからの指示(信号Cx)に従って、軸部13を軸方向に移動させる。ソレノイドコイル3は、信号Cxに応じた位置に軸部13を移動させる。
【0022】
モータMは、マイコン10Xからの指示(信号Ax)に従い、回転動力を用いて軸部13を軸回転させる。モータMは、例えば、軸部13の端部側(軸部12と反対側)(図2では右端部側)に接続されており、軸部13を端部側から回転させる。ガイド部4Xは、マイコン10XからモータMへの信号Axに応じた位置に軸部13を移動させる。
【0023】
本実施形態のガイド部4Xは、2つの半円筒状部材で構成された開閉機構を有している。2つの半円筒状部材は、その内壁面が軸部12,13の外周部を囲うように配置されており、マイコン10Xからガイド部4Xへの信号Bxに応じて開閉する。ガイド部4Xは、半円筒状部材を軸部12,13に近付けることにより閉状態となり、半円筒状部材を軸部12,13から遠ざけることにより開状態となる。
【0024】
ガイド部4Xを用いて軸部13を移動させる際には、半円筒状部材が閉状態となり、ソレノイドコイル3を用いて軸部13を移動させる際には、半円筒状部材が開状態となる。
【0025】
軸部12,13の外壁面には、おねじのねじ溝が設けられており、半円筒状部材の内壁面には、めねじのねじ溝が設けられている。換言すると、軸部12,13は、ボルトとして機能し、半円筒状部材はナットとして機能する。半円筒状部材を閉状態にする場合、各半円筒状部材のねじ溝が軸部12,13のねじ溝へ嵌め合わされる。軸部12,13は、モータMの回転により、ねじ溝に沿って回転し、ねじ溝に沿った回転により軸方向に移動する。
【0026】
マイコン10Xは、バラトロンセンサSからの圧力値(ガス圧力)に基づいて、配管6P内が所望のガス圧力となるようソレノイドコイル3、モータM、ガイド部4Xに指示を送る。具体的には、マイコン10Xは、ソレノイドコイル3に軸部13の移動指示(信号Cx)を送信する。また、マイコン10Xは、モータMに軸部13の移動指示(信号Ax)を送信し、ガイド部4Xに開閉指示(信号Bx)を送信する。
【0027】
マイコン10Xは、軸部13の移動指示をモータMに送信する際には、半円筒状部材を閉状態にする指示をガイド部4Xに送信する。また、マイコン10Xは、軸部13の停止指示をモータMに送信する際には、半円筒状部材を開状態にする指示をガイド部4Xに送信する。
【0028】
また、マイコン10Xは、軸部13の移動指示をソレノイドコイル3に送信する際には、軸部13の停止指示をモータMに送信するとともに、半円筒状部材を開状態にする指示をガイド部4Xに送信する。
【0029】
筐体25は、概略筒状をなしており、軸部12,13、ソレノイドコイル3、真空シールド22、ガイド部4X、モータMを格納する。筐体25は、真空シールド22を介して配管6P,6Qに接続されている。
【0030】
圧力制御装置1では、ガイド部4Xおよびソレノイドコイル3の何れか一方の動作が軸部12に伝えられることによって軸部12が軸方向に移動する。これにより、軸部11が軸方向に移動し、バルブ21が、軸部11の軸方向に移動する。
【0031】
このように、バルブ21は、マイコン10Xからの指示に応じた位置に移動する。そして、配管6P内の排ガスは、バルブ21の位置に応じて設けられた配管6Pと配管6Qとの間の隙間から配管6Qへ流れていく。
【0032】
本実施形態では、所望の位置、所望のタイミングでガイド部4Xによる圧力制御とソレノイドコイル3による圧力制御が切替えられる。例えば、マイコン10Xは、精密な圧力制御を行なう場合にガイド部4Xに圧力制御を行なわせ、高速な圧力制御を行なう場合にソレノイドコイル3に圧力制御を行なわせる。具体的には、配管6P,6QのAPC(Air Pressure Control)開度が所定値よりも低い場合(配管6P内のガス圧力が所定値よりも低い場合)には、ガイド部4Xによって配管6P内の圧力が制御される。また、配管6P,6QのAPC開度が所定値よりも高い場合(配管6P内のガス圧力が所定値よりも高い場合)には、ソレノイドコイル3によって配管6P内の圧力を制御される。
【0033】
つぎに、ガイド部4Xの構成について説明する。図3は、実施の形態に係るガイド部の構成例を示す図である。ガイド部4Xは、半円筒状部材4A,4Bを含んで構成されている。図3の上側に示した半円筒状部材が半円筒状部材4Aであり、下側に示した半円筒状部材が半円筒状部材4Bである。半円筒状部材4A,4Bは、円筒部材を、中心軸を含む平面で切断した形状をなしている。
【0034】
半円筒状部材4A,4Bは、中心軸方向に近付く方向または遠ざかる方向に移動可能なよう構成されている。換言すると、半円筒状部材4A,4Bは、着脱自在に軸部12,13に取り付けられている。半円筒状部材4A,4Bは、互いに中心軸方向に近付くことにより当接すると、半円筒状部材4Aと半円筒状部材4Bとで円筒形状をなす。このとき、半円筒状部材4A,4Bは、自身の内壁面で軸部12,13を挟み込む。
【0035】
半円筒状部材4A,4Bの内壁面には、ねじ山が設けられており、軸部12,13に設けられているねじ溝と嵌め合わされる。なお、半円筒状部材4A,4Bのねじ山と、軸部12,13のねじ溝と、の嵌め合わせにずれが生じている場合には、モータMが軸部13を回転させることによって嵌め合わせ位置の調整を行なってもよい。
【0036】
本実施形態では、ガイド部4Xを用いて軸部12,13を移動させる場合には、半円筒状部材4A,4Bが中心軸方向に近付けられ、これにより、半円筒状部材4A,4Bのねじ山と、軸部12,13のねじ溝とが嵌め合わされる。一方、ソレノイドコイル3を用いて軸部12,13を移動させる場合には、半円筒状部材4A,4Bが中心軸方向から遠ざけられ、これにより、半円筒状部材4A,4Bのねじ山が軸部12,13のねじ溝から外される。
【0037】
半円筒状部材4A,4Bが軸部12,13に嵌め合わされた状態では、軸部12,13が、半円筒状部材4A,4Bのねじ山に沿って回転しながら軸方向に移動する。一方、半円筒状部材4A,4Bが軸部12,13から外された状態では、軸部12,13が、半円筒状部材4A,4Bとは無関係に移動する。
【0038】
図4は、軸部の移動制御を説明するための図である。図4の(a)は、軸部13が停止している状態を示している。また、図4の(b)は、軸部13をソレノイドコイル3によって移動させている状態を示し、図4の(c)は、軸部13をガイド部4Xによって移動させている状態を示している。
【0039】
図4の(a)に示すように、モータMへ送る信号Ax、ソレノイドコイル3へ送る信号Cx、ガイド部4Xへ送る信号Bxを、それぞれをOFFにすることにより、軸部13は停止する。これにより、バルブ21の開閉動作も停止する。
【0040】
図4の(b)に示すように、モータMへ送る信号AxをOFFにし、且つ半円筒状部材4A,4Bを開にした状態でガイド部4Xへ送る信号BxをOFFにし、且つソレノイドコイル3へ送る信号CxをONにすることにより、軸部13はソレノイドコイル3によって移動させられる。このとき、ソレノイドコイル3へは、バルブ21を移動させる位置に応じた信号Cxが送られる。これにより、バルブ21の開閉動作は、ソレノイドコイル3によって制御されることとなる。
【0041】
図4の(c)に示すように、モータMへ送る信号Ax、ガイド部4Xへ送る信号Bxを、それぞれをONにし、且つソレノイドコイル3へ送る信号CxをOFFにすることにより、軸部13はガイド部4XおよびモータMによって移動させられる。このとき、ガイド部4Xへは、バルブ21を移動させる位置に応じた信号Axが送られる。これにより、バルブ21の開閉動作は、ガイド部4XおよびモータMによって制御されることとなる。
【0042】
このように、本実施形態では、ガイド部4Xによるバルブ21の開閉動作と、ソレノイドコイル3によるバルブ21の開閉動作と、が切替えられる。これにより、半導体製造装置100では、ガイド部4Xおよびソレノイドコイル3の何れかを一方を用いた圧力制御が行なわれる。
【0043】
例えば、ソレノイドバルブのみを用いた圧力制御では、半導体製造装置毎に圧力制御のばらつきを生じる場合がある。図5は、ソレノイドバルブを用いた圧力制御特性を示す図である。図5では、横軸がAPC開度であり、縦軸が炉内圧力(チャンバ内の圧力)である。ソレノイドバルブのみを用いてチャンバ内の圧力を制御した場合、APC開度(ゲート開度)が低い場合に、第1の半導体製造装置の圧力特性aと第2の半導体製造装置の圧力特性bとで異なる特性を示している。
【0044】
本実施形態では、APC開度が所定値よりも低い場合には、ガイド部4Xによって圧力を制御することができるので、精密な圧力制御が可能となる。また、APC開度が所定値よりも高い場合には、ソレノイドコイル3によって圧力を制御することができるので、高速な圧力制御が可能となる。
【0045】
なお、本実施形態では、バラトロンセンサSを配管6P内に配置する場合について説明したが、バラトロンセンサSは、配管6Q内に配置してもよい。この場合、バラトロンセンサSは、配管6Q内のガス圧力を計測し、圧力制御装置1は、配管6Q内の圧力を制御する。また、半導体製造装置100において、圧力制御装置1をプロセスガス導入側の配管上に配置してもよい。また、ソレノイドコイル3をガイド部4Xよりもバルブ21側に配置してもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、モータMが軸部13を端部側(軸部12と反対側)から回転させる場合について説明したが、軸部13をガイド部4Xとソレノイドコイル3との間(軸部13の中央部)から回転させてもよい。また、モータMは、軸部12の中央部から軸部12を回転させてもよい。ここで、モータMが軸部12や軸部13を中央部から回転させる場合について説明する。
【0047】
図6は、軸部の中央部で軸部を回転させる場合の回転機構を説明するための図である。図6では、軸部12を軸部12の端部以外の箇所(中央部)で回転させる場合の回転機構を示している。回転機構は、モータMと、回転駆動部20A,20Bと、を含んで構成されている。
【0048】
回転駆動部20A,20Bは、概略円柱状(円板状)をなしている。回転駆動部20A,20Bは、モータMに接続されており、モータMにより、柱軸を回転軸として回転させられる。回転駆動部20A,20Bは、軸部12の近傍に配置されており、モータMを用いて軸部12を回転させる際には、回転駆動部20A,20Bの側面が軸部12に当接させられる。一方、モータMを用いた軸部12の回転を行わない場合には、回転駆動部20A,20Bの側面が軸部12から遠ざけられる。
【0049】
回転駆動部20A,20Bの側面には、例えば滑り止め材を配置しておく。また、回転駆動部20A,20Bの側面には、軸部12との間で摩擦力を大きくするための溝を設けておく。この構成により、回転駆動部20A,20Bの側面が軸部12に当接した状態で回転駆動部20A,20Bが回転すると、回転駆動部20A,20Bと軸部12との間の摩擦力により、軸部12が回転する。なお、ここでは回転駆動部が、回転駆動部20A,20Bの2つである場合について説明したが、回転駆動部は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0050】
半導体装置(半導体集積回路)を製造する際には、種々の半導体製造装置でウェハ処理が行われる。具体的には、成膜装置(半導体製造装置100など)が、ウェハ上に膜を成膜し、その後、レジスト塗布装置がウェハにレジストを塗布する。そして、露光装置がマスクを用いてウェハに露光を行なう。その後、現像装置がウェハを現像してウェハ上にレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをマスクとしてエッチング装置がウェハの下層側をエッチングする。これにより、レジストパターンに対応する実パターンがウェハ上に形成される。半導体装置を製造する際には、成膜処理、レジスト塗布処理、露光処理、現像処理、エッチング処理などがレイヤ毎に繰り返される。
【0051】
このように実施形態によれば、ガイド部4Xを軸部12,13に着脱自在な半円筒状部材4A,4Bで構成しているので、所望のタイミングでガイド部4X(マイクロメータ40)による圧力制御とソレノイドコイル3による圧力制御とを、切替えることができる。したがって、精密かつ高速な圧力制御を行なうことが可能となる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…圧力制御装置、3…ソレノイドコイル、4A,4B…半円筒状部材、4X…ガイド部、5…切替部、6P,6Q…配管、10X…マイコン、11〜13…軸部、20A,20B…回転駆動部、21…バルブ、40…マイクロメータ、100…半導体製造装置、M…モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側ガス配管と下流側ガス配管との間のゲート開度を調整することによって前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力を調整するバルブと、
前記バルブに接続された軸部と、
前記軸部をソレノイド駆動によって軸方向に移動させることにより、前記軸部を介して前記バルブのゲート開度を調整するソレノイド部と、
前記軸部に着脱自在に取り付けられるとともに、前記軸部に取り付けられた場合には前記軸部をねじ機構によって軸方向に移動させることにより、前記軸部を介して前記バルブのゲート開度を調整するマイクロメータ部と、
前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力が所望のガス圧力となるよう、前記ソレノイド部および前記マイクロメータ部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記マイクロメータ部を用いて前記ガス圧力を制御する際には、前記マイクロメータ部を前記軸部に取り付けるとともに、前記ソレノイド部を用いて前記ガス圧力を制御する際には、前記マイクロメータ部を前記軸部から取り外し、
前記ゲート開度が所定値以下の場合に、前記マイクロメータ部によって前記バルブのゲート開度を調整させ、前記ゲート開度が前記所定値よりも大きい場合に、前記ソレノイド部によって前記バルブのゲート開度を調整させ、
前記マイクロメータ部は、2つの半円筒状部材を含んで構成され、前記マイクロメータ部が前記軸部に取り付けられる際には、前記軸部の外壁面が前記半円筒状部材の内壁面に嵌め合わされ、
前記半円筒状部材の内壁面には、めねじのねじ溝が設けられ、前記軸部の外壁面には、おねじのねじ溝が設けられていることを特徴とする圧力制御装置。
【請求項2】
上流側ガス配管と下流側ガス配管との間のゲート開度を調整することによって前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力を調整するバルブと、
前記バルブに接続された軸部と、
前記軸部をソレノイド駆動によって軸方向に移動させることにより、前記軸部を介して前記バルブのゲート開度を調整するソレノイド部と、
前記軸部に着脱自在に取り付けられるとともに、前記軸部に取り付けられた場合には前記軸部をねじ機構によって軸方向に移動させることにより、前記軸部を介して前記バルブのゲート開度を調整するマイクロメータ部と、
前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力が所望のガス圧力となるよう、前記ソレノイド部および前記マイクロメータ部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記マイクロメータ部を用いて前記ガス圧力を制御する際には、前記マイクロメータ部を前記軸部に取り付けるとともに、前記ソレノイド部を用いて前記ガス圧力を制御する際には、前記マイクロメータ部を前記軸部から取り外すことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ゲート開度が所定値以下の場合に、前記マイクロメータ部によって前記バルブのゲート開度を調整させ、前記ゲート開度が前記所定値よりも大きい場合に、前記ソレノイド部によって前記バルブのゲート開度を調整させることを特徴とする請求項2に記載の圧力制御装置。
【請求項4】
前記マイクロメータ部は、2つの半円筒状部材を含んで構成され、前記マイクロメータ部が前記軸部に取り付けられる際には、前記軸部の外壁面が前記半円筒状部材の内壁面に嵌め合わされることを特徴とする請求項2または3に記載の圧力制御装置。
【請求項5】
前記半円筒状部材の内壁面には、めねじのねじ溝が設けられ、前記軸部の外壁面には、おねじのねじ溝が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の圧力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−80761(P2013−80761A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218868(P2011−218868)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】