説明

地図データ配信システム

【課題】 通信データ量を小さくするために道路を特定のエリア単位で更新すると、道路のネットワークが非連結になるなど、品質を低下することがある。
【解決手段】 地図データに対する変更を更新対象のリンクのネットワークが接続する単位の地図更新データにまとめ、それぞれにIDを振る。過去の全ての地図更新データの中から、非連結にする可能性のある地図更新データとその連結成分間を接続させる地図更新データを検出し、それらの地図更新データは常に同時に適用するように配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ配信システムにおけるデータ更新の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地図データをいくつかの領域ごとに更新する装置としては、特許文献1および特許文献2の地図データ更新システムが知られている。特許文献1の装置は、地図データをいくつかの領域ごとに更新する際に、領域間での不接続を解消するための接続情報のみを同時送信することによって道路間の接続を保持するようにすることを特徴としている。特許文献2の装置は、更新領域境界にて道路の不接続が検出されるか否かを事前に検出しておき、更新処理の開始前に取得することを特徴としている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−279437号公報
【特許文献2】特開2005−122003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1によれば、更新領域境界において道路が接続しなくなった場合でも、隣接領域に存在する道路との接続を保つことができる。しかし、新設道路の場合や、道路が複数領域を跨って移動する場合、隣接領域に接続可能な道路がないことがあるため、常には領域境界の接続が保証できない。また、この装置では道路ネットワークが非連結になるのを防止することはできない。上記特許文献2によれば、更新領域の境界に不接続が発生する場合に更新を中止するなどの対応をとることが可能である。しかし、この装置では地図更新を継続する場合に隣接領域も更新するため、さらに隣接領域まで更新が波及するなどして通信データ量が大きくなるという問題がある。
【0005】
これらの問題を解決するために、道路間の接続は維持しながら、地図の限られた領域だけに抑えて更新する機能が必要となる。この方法としては、常に道路間の接続が正しくなる単位で地図を更新する方法が考えられるが、それにはいくつかの問題がある。本発明は、この課題のうち以下に示す二つの問題を解決するものである。
【0006】
第一の問題は、道路ネットワークを辿っても到達し得ない道路が発生してしまう問題である。例えば、ある道路区間へ進入する唯一の道路を削除し他の進入道路を追加するという、付け替えの更新が行われたとき、道路ネットワークの更新のうち進入道路の削除のみが実行されてしまうと、該道路区間に進入する経路がなくなってしまう。その結果、該道路区間を目的地に設定して経路探索を行った場合に、存在しない解を長時間探索することになってしまう。
【0007】
第二の問題は、地図データのバージョン管理の問題である。道路の一部のみを更新した場合、該道路ネットワークには古い地図データと新しい地図データが混在することになる。そのため、次に更新を行う際に、どの更新が未適用であるかを判断する方法が必要である。この方法の一つとしては、地図データを矩形(メッシュ)単位で管理し、各メッシュの更新時刻を記録、送信する方法が公知である。しかし、道路の接続を維持する更新単位はメッシュ単位ではないため、この方法では管理できない。一方、道路の更新単位ごとに識別番号を振る方法もあるが、この方法では適用済みの更新単位の番号を送付する必要があるため、通信量が大きくなってしまう。そこで本発明では、道路の接続を維持した単位で地図データを更新する場合でも、地図配信サーバと端末が行う通信の通信データ量を低減するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
地図データを配信するサーバとそれを受信するナビゲーション端末によって構成されるシステムであって、上記サーバが地図データを更新するための地図更新データと該地図更新データのIDを対応づけて保持する地図更新データ記憶部と、地図データの特定領域と該領域のバージョンと適用済みでなければならない地図更新データのIDとを対応づけて保持する地図更新データ管理部と、上記地図更新データ管理部を用いて特定領域の更新に必要な地図更新データIDを選択する機能をもった地図更新データ管理部と、地図更新データIDを受信すると地図更新データを返送する機能をもった地図更新データ配信部とをもつことにより解決する。
【0009】
また、上記地図配信サーバの地図更新データ管理部が更新対象の道路データを除外したネットワークを連結成分ごとに分割する機能と、該連結成分間の道路を切断または接続する地図更新データを検出する機能と、上記連結成分間の道路を切断する地図更新データが適用される場合に常に該連結成分間の道路を接続する複数もしくは単数の地図更新データを配信するように地図更新管理データ記憶部を書き換える機能とをもつことによって、道路ネットワークが非連結になるのを防ぐことができる。
【0010】
なお、上記サーバとは常時ネットワークに接続しており、ネットワークに接続した他の装置からデータ配信の要求を受け付け、返答を返す装置である。また、上記ナビゲーション端末とは地図データ記憶部に保持している地図データを用い地図表示やルート探索やルート誘導等のナビゲーションを行う装置である。また、上記でいう連結とは、道路ネットワークをグラフと見なした場合に道路ネットワーク上の任意の2地点間をむすぶ経路が存在することを意味し、連結成分とは非連結な道路ネットワークを、連結した部分ごとに切り分けたそれぞれの要素を指す。
【0011】
また、上記地図配信サーバの地図更新データ管理部が更新対象の道路データを除外したネットワークを連結成分ごとに分割する機能と、該連結成分間の道路を切断または接続する地図更新データを検出する機能と、上記連結成分間の道路を切断する地図更新データが適用される場合に常に該連結成分間の道路を接続する複数もしくは単数の地図更新データを配信するように
地図更新管理データ記憶部を書き換える機能と、をもつことによって、更新後の道路ネットワークが非連結になることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地図を一部地域のみ更新する際、道路ネットワークの接続を保障しつつ、更新を行うために必要な通信データのサイズを小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に本発明の一実施形態である地図データ配信システムの概略図を示す。本実施形態の地図データ配信システムは、ネットワーク40に接続された地図配信サーバ10と、ナビゲーション端末20とを有している。ナビゲーション端末20には無線通信装置30が接続されている。ナビゲーション端末20は無線通信装置30を用い、無線基地局50を経由してネットワーク40に接続することができる。これにより、ナビゲーション端末20は地図配信サーバ10に地図を更新するためのデータを要求できる。なお、無線通信装置30は、ナビゲーション端末20に内蔵してもよい。
【0014】
地図配信サーバ10は、地図を更新するデータを記憶する記憶装置11と、各種処理を行う演算処理装置12と、ナビゲーション端末20との通信を行う通信装置13と、本サーバを操作するための入出力装置14を有する。通信装置13は、ネットワーク40と通信を行うためのネットワークIF部101を有する。記憶装置11は、地図を更新するために必要なデータを記憶するため、地図更新データ記憶部102と、更新管理データ記憶部103とを有する。演算処理装置は、地図を更新するためのデータ配信に必要とされる機能を実現するために、更新管理データ配信部104と、更新管理データ管理部105と、地図更新データ生成部106とを有する。
【0015】
他方のナビゲーション端末20は、無線通信装置30および無線基地局50を介してネットワーク40に接続するための通信装置21、演算処理装置22、記憶装置23、ユーザへの情報表示およびユーザからの指示受付を行う入出力装置24を有する。通信装置21は無線通信装置30と無線基地局50を介してネットワーク40へ接続するためのネットワークIF部107を有する。演算処理装置22は、地図データの更新を行うために必要となる、地図更新部108と配信要求部109とを有しており、また、ナビゲーション機能を実現するためのナビゲーション処理部110をも有する。記憶装置23は、地図表示などに用いるための地図データ記憶部112と、地図データのバージョンを管理するデータバージョン管理部113とを有する。また入出力装置24はユーザから入力を受け付けたり、地図を表示したりするためのGUI(Graphical User Interface)部111を有する。
【0016】
本システムの実施形態の一例として、コンピュータを用いたシステムの構成を図2に示す。地図配信サーバ10は、CPU201と、メモリ202と、HDD等の外部記憶装置203と、CD-ROMやDVD-ROM等の記憶媒体204から情報を読み出す読取装置205と、キーボードやマウスなどの入力装置206と、ディスプレイなどの出力装置207と、通信ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)208とを備えている。記憶装置11として外部記憶装置203や記憶媒体204が、通信装置13としては通信装置208が、利用できる。また、演算処理装置12としてはCPU201が所定のプログラムをメモリ202上に読み出し実行することで実現できる。このプログラムは、記憶媒体204に記憶されているものを読み出す、通信装置208を介してネットワークから取得する、ネットワークから取得したプログラムを一度外部記憶装置203に記憶しておき後に読み出す、などの方法により実行できる。なお、地図配信サーバ10は複数のコンピュータから構成されてもよい。
【0017】
一方、ナビゲーション端末20は、図2のナビゲーション端末20に示すように、CPU209と、メモリ210と、ネットワークに接続するための通信装置211と、キーボードやマウスなどの入力装置212と、ディスプレイなどの出力装置213と、HDD等の外部記憶装置215と、CD-ROMやDVD-ROM等の記憶媒体204から情報を読み出す読取装置215とを備えており、また、GPS受信機、方位センサ、速度センサなどによる現在位置計測装置25も備えている。記憶装置23としては外部記憶装置214や記憶媒体204を、通信装置23としてはNIC211を、入出力装置24としては入力装置212および出力装置213を、それぞれ利用できる。また、演算処理装置22は、CPU209がメモリ210に所定のプログラムを読み出し実行することにより実現できる。この所定のプログラムを実行する方法としては、記憶媒体204の記録を読取装置205によって読み出す、通信装置211を用いネットワークから取得して外部記憶装置214に記録しておきそれを読み出す、などの方法がある。
【0018】
ナビゲーション端末20は、地図データ記憶部112に保持している地図データを用い地図表示やルート探索やルート誘導等のナビゲーションを行う装置である。この地図データに記録されている道路データは、交差点から交差点までの道路を意味するリンクと交差点を意味するノードからなるネットワークのデータ構造で記録されており、それぞれにID番号が振られている。この地図データの地図領域は例えば矩形領域に分割されID番号がつけられており、この領域ごとに地図データの更新が可能である。以下では、この分割された地図領域のそれぞれを「エリア」と呼び、各領域のIDをエリアIDと呼ぶ。なお、このエリアは矩形でなくともよく、多角形や円形などであってもよい。また、地図配信サーバ10からエリアの変更情報を配信することにより、運用開始後であってもエリア形状を変更できる。このようにある程度の大きさに地図を分割することによって、例えば現在地を含むエリアのみ更新する、経路を含むエリアのみ更新するなど、各用途に適した単位で地図更新を行うことができる。
【0019】
図3および図4にこの地図データの記録形式の一例を示す。リンクの記録形式の一例が図3に示すリンクデータテーブルである。「リンク」とは、上述の通り交差点間の道路を意味するデータである。このテーブルの各レコード300は、リンクを識別する番号であるリンクIDを記録したフィールド301と、リンクが所属するエリアのエリアIDを登録するフィールド302と、リンクの幅員を登録するフィールド303と、一般道路、有料道路といったリンクの道路種別を示す種別フラグを登録するフィールド304と、リンクの形状を示す点列(開始ノード、終了ノード、および、リンクの屈折地点等に所在する中間ノードからなる点列)の座標データである点列データを登録するためのフィールド305と、リンクの開始ノードに付与されたノードIDを登録するフィールド306と、リンクの終了ノードに付与されたノードIDを登録するフィールド307と、を有する。
【0020】
図4にはノードを記録するためのノードデータテーブルを示す。ノードデータのレコード400は、ノードを識別するノードIDを登録するフィールド401と、ノードが位置する領域を識別する領域IDを登録するフィールド402と、ノードの座標データを登録するフィールド403と、ノードを開始ノードあるいは終了ノードとするリンクのリンクIDを登録するフィールド404と、を有する。この2つのテーブルを参照すれば、2つの道路リンクが共通のノードIDを持っているかを調べることによって、道路同士が繋がっているかどうかを判断することができる。以下、本明細では、複数の道路リンクが共通のノードIDをもっていることを、道路が接続していると呼ぶ。道路の接続を調べることによって、ある道路から他の道路へ行くためには途中どの道路を通ればよいかが、公知の経路探索手法によって取得できる。
【0021】
ナビゲーション端末20は、上記地図データのうち更新対象エリア内のリンクデータを最新のデータに更新する機能を持つ。そのためナビゲーション端末20は、ネットワーク40を介して地図配信サーバ10から更新対象エリアの地図を最新にするためのデータを取得する。このデータは、地図の構成物である地物(リンクや、誘導案内情報、VICS情報、広域地図データとの対応情報等)を単位として過去の地図と最新の地図との差分を表すデータであり、地物の削除、追加、形状や名称の変更等の処理命令から構成される。本明細では、このデータを差分更新データと呼ぶ。ナビゲーション端末20は、GUI部111などを通じ、ユーザから指定エリアの地図更新を指示されると、該エリアを最新にするのに必要な差分更新データを地図配信サーバ10に要求する。以下本明細では、この最新にしようとしているエリアを「更新対象エリア」と呼ぶ。ナビゲーション端末20は地図配信サーバ10より取得した差分更新データを構成する各処理命令に従い地図データ記憶部112のデータを書き換えることにより、更新対象エリアの地図データを最新にすることができる。
【0022】
ナビゲーション端末20が有用なナビゲーションを行うには、エリア単位更新を行った後でも実世界で接続している道路はデータ上でも接続されていなければならない。また、同じ道路がデータ上で二重に登録されていてはならない。あるいは、更新対象エリア外まで接続する道路は少なくとも更新対象エリア以外の道路に自然に接続するのが望ましい。以上の課題を解決するため、地図配信サーバ10は道路間の接続がとぎれないような集合の単位で差分更新データを配信する。本明細では、このようなネットワークを切断しないようにまとめて更新する差分更新データの集合を「地図更新データ」と呼ぶ。
【0023】
図5に地図更新処理の例を示す。この例は直線道路をT字路に変更する例である。直線道路を構成するリンクLink1を削除し(501)、一方のノードをリンクLink1の一方のノードnode1とし、他方のノードをT字路に接続するノードnode3とするリンクLink2を追加すると共に(502)、一方のノードをリンクLink1の他方のノードnode2とし、他方のノードをT字路に接続するノードnode3とするリンクLink3を追加し(503)、最後に、一方のノードをノードnode3とするリンクLink4を追加する(504)。この一連の追加・削除を表す各差分更新データをまとめたものが、地図更新データとなる。
【0024】
以下では、図6および図7を用いて、本システムによるエリア単位更新の例を示す。本システムでは、定期的に新しい地図データがリリースされ、それぞれの地図データが以下の2つの条件を満たすことを想定している。第一の条件は、現実に変更のない道路のリンクIDや交差点のノードIDは各リリース間で同一であるということである。これにより、道路データの差分を適切にとることができる。第二の条件は、どの地図データ内でも道路のネットワークがつながっていることである。したがって、一つの地図データ内で経路探索を行えば少なくとも一つは経路が存在する。この定期的にリリースされる地図データに振られた通し番号をバージョン番号と呼ぶ。以下、本明細書ではバージョン番号が大きいものほど後にリリースされた地図データであるものとする。
【0025】
図6に4つのエリアからなる地図データのバージョン1の地図とバージョン2の地図の例を示す。この2つを比較すると、バージョン1の地図中に含まれるリンク601の削除と、リンク602、603、604、606、607、ノード605の追加がバージョン1から2への差分として得られる。これらの差分更新データの中から、追加、削除、変更されるリンク同士がネットワークとして接続しているものを集め、それを地図更新データとする。この例では、第一の地図更新データ608はリンク602の追加のみによって構成される。また、第二の地図更新データ609は、リンク601の削除と、リンク603、604、606、607、ノード605の追加によって構成される。更新対象エリアの地図データを更新するには、更新対象エリアに一部でも含まれる地図データが適用されればよい。
【0026】
図7は、ナビゲーション端末20の地図データがバージョン1であるときに、エリアID 4のエリアのみをバージョン2に更新した例である。この例では、上述の第一の地図更新データ608はエリアIDが4のエリアにかからないため適用されず、第二の地図更新データ609のみが適用されている。
【0027】
図8に本システムによる地図データの更新フローを示す。地図配信センタ10は、新しいバージョンの地図がリリースされる度に地図更新データ生成処理801およびエリア単位更新データ管理処理802を実行し、地図更新データ記憶部と更新管理データ記憶部に更新に必要となるデータを格納する。一方、ナビゲーション端末20ではGUI部111に対するユーザ操作などが起点となり、地図データの更新処理が開始される。まず、地図更新要求処理810において、ナビゲーション端末20から地図配信センタ10に対して地図更新要求806が送信される。地図更新要求806にはナビゲーション端末20が持っている地図データのエリアごとのバージョンが含まれている。地図配信センタ10は地図更新要求受付処理803によってこのエリア単位のバージョン情報を取得する。次に、差分更新データID通知処理804によって該バージョンの地図データを更新するのに必要な地図更新データIDを取得し、この地図更新データIDの一覧である地図更新データIDリスト807をナビゲーション端末20に返送する。ナビゲーション端末20は、受け取った地図更新データIDリストから未取得のものを選び、未取得のものそれぞれの地図更新データIDを地図更新データ要求808として地図配信センタ10に送付することにより要求する。この処理が地図更新データ要求処理811である。地図更新データ要求を受け取った地図配信センタ10は地図更新データ配信処理805を実行し、地図更新データ809を返送する。地図更新データ809を受け取ったナビゲーション端末20は地図更新処理812を行い、地図データを更新する。
【0028】
以下では、この地図データ更新フローについて、それぞれ詳細に説明する。まず、図9に地図更新データ生成処理801およびエリア単位更新データ管理処理802の処理フローを示す。地図更新データ生成処理が開始されると、最初に差分データ抽出処理901が実行され、地図データの差分が抽出される。この処理では、当該エリアの前バージョンの地図データと新バージョンのデータを比較し、差分を生成する。例えば、前バージョンに存在するリンクが新バージョンに存在しない場合は、そのリンクの削除命令を差分データとして生成する。前バージョンに存在しなかったリンクが新バージョンでは存在する場合には、そのリンクの追加命令を差分データとする。前バージョンと新バージョンの両方に存在するリンクの形状や種別などが異なっていた場合には、新バージョンのリンクへの変更命令が差分更新データとなる。
【0029】
次に地図更新データ生成処理902を実行する。この処理は、差分データ抽出処理901で生成された差分更新データを地図更新データ単位に分類する処理である。例えば、差分更新データから一つを選び出し、命令等の実行対象になっているリンクを起点に差分更新データが更新対象としている道路を辿り、ネットワークが接続しているリンクに対する差分更新データを集めることにより、地図更新データを生成する。次に依存関係構築処理903によって、各地図更新データに対し、その地図更新データの適用前に適用しておかなければならない他の地図更新データの一覧を作成する。その後この一覧を用い、エリア単位更新データ管理テーブル生成処理904にて、各エリアが最新であるために適用済みでなければならない地図更新データの一覧を生成し、その時のそのエリアの最新バージョンのバージョン番号と対応付ける。
【0030】
図10に依存関係構築処理903の一例を示す。この依存関係構築処理は、各地図更新データを適用する際に常に適用されていなければならない地図更新データの一覧を作成する処理である。まず、過去依存関係構築処理1001にて、ある地図更新データが適用される前に適用済みでなければならない過去の地図更新データを検出する。次に、連結成分間依存関係構築処理1002を実行する。この処理は、エリア単位の更新によってネットワークが複数に分割されてしまう場合に、分割を発生しないように地図更新データに依存関係を生成する処理である。
【0031】
図11に過去依存関係構築処理1001の一例を示す。過去の依存関係とは、例えばバージョン1の地図データの特定エリアをバージョン3にするときにバージョン1のデータをバージョン2にするための地図更新データの一部が適用済みでなければならない場合などを指す。この処理では、各地図更新データに対し、依存する地図更新データのIDを記録したテーブルである地図更新データ管理テーブルを作成する。
【0032】
その例を図12に示す。この地図更新データ管理テーブルは、各地図更新データID1201と、該地図更新データが生成された地図データのバージョン1202と、該地図更新データが依存する他の地図更新データIDの一覧1203と、差分更新データの集合を記載したファイル名1204とを対応づけたテーブルである。地図更新データ管理テーブルの情報があれば、1201の欄にある地図更新データIDの更新をする場合に、まず対応する1203の欄にある地図更新データIDの更新が必要であることがわかる。図12の地図更新データ管理テーブルには、後述する過去依存関係構築処理1001と連結成分間依存関係構築処理1002の両方の処理結果を格納することができる。
【0033】
過去依存関係構築処理1001は、エリアの新バージョンの地図データにて生成された各地図更新データを一つ選び、その地図更新データの依存先となる地図更新データIDを検出する処理である。まず、1101に示すように一つの地図更新データをID順などの適当な順番で選び、その地図更新データをIとする。次に、1102に示すように地図更新データIにて更新対象となるリンクを一つ適当に選ぶ。このリンクをLとする。このLに対して最後の更新が行われた地図更新データのIDを、1103に示すように図13のリンク最終更新テーブルから検索し該当するレコードがあるかを判定する。このリンク最終更新テーブルは、各リンクID1301と、そのリンクを最後に更新した地図更新データID1302を対応づけるものである。もしこのテーブルにLに該当するレコードがすでに存在するならば(地図更新データIより以前の地図更新データでそのリンクが更新対象になっているならば)、Iは1302の地図更新データに対し依存関係があることになる。そのため1105に示すように、この地図更新データIDを地図更新データ対応テーブル中のIのレコードの依存する地図更新データID1203に追加し、リンク最終更新テーブルのLに該当するレコードの最終地図更新データID1302をIとする。もしLがリンク最終更新テーブルに存在しないならば、1105に示すように、リンクIDをL、最終地図更新データをIとしたレコードを追加する。この処理を地図更新データの全ての更新リンクをLに代入しながらループさせる。以上の処理を、Iを各地図更新データに置き換えながら全ての地図更新データに対し実行する。
【0034】
依存関係構築処理の後、各地図更新データの依存関係を用いて図14に示すエリア単位地図更新データ管理テーブルを生成する処理が、図9のエリア単位更新データ生成処理904である。このテーブルはエリアID1401がバージョン1402と、その時に適用済の地図更新データのリストである必要地図更新データIDリスト1403を対応づけるテーブルである。エリア単位更新データ生成処理904では、各エリアについて新バージョンのレコードをこのテーブルに生成する。
【0035】
以下に、一つのエリアX、新たなバージョンをnとしてこの処理手順を説明する。まず、エリア単位地図更新データ管理テーブルからそのエリアXのバージョンn-1と対応する必要地図更新データIDリスト1403を取得する。このリストと、バージョンnにて生成された地図更新データのうちエリアXにかかる地図更新データのIDをあわせたリストYを作成する。最後に、エリア単位地図更新データ管理テーブルにエリアID1401をエリアX、バージョン1402をバージョンn、必要地図更新データIDリスト1403をリストYとしたレコードを追加する。この手順を、全てのエリアに対して行うことでエリア単位地図更新データ管理テーブルに新たなバージョンのレコードが追加できる。
【0036】
連結成分間依存関係構築処理1002の手順の一例を図15に示す。この処理はエリア単位で地図を更新した場合に、常に道路が非連結にならないような組み合わせで地図更新データを適用するように依存関係を書き換える処理である。図16にこの処理の例を図示する。この図は、バージョン1からバージョン2への変更にあたり、道路の付け替えが発生している例である。この例の第一の地図更新データは、リンク1601とリンク1602の削除、およびリンク1603の追加である。第二の地図更新データはリンク1603の削除、およびリンク1605とリンク1606の追加である。この時、バージョン1の地図データをもつナビゲーション端末20が、エリアID=4だけをバージョン2に更新しようとした場合、上記第一の地図更新データのみを適用することになるため、非連結になる。
【0037】
その例を図17に示す。この例ではネットワーク1701とネットワーク1702は接続していない。そのため、現在地がネットワーク1702上にあるときにネットワーク1701内に目的地を設定した場合、経路が存在しないために経路探索が終了せず、案内ができなくなる。本発明では、連結成分間依存関係構築処理1002の実行により、上記の第一の地図更新データの依存地図更新データに第二の地図更新データが追加されるため、道路ネットワークは全て連結されるような仕組みを提供する。
【0038】
以下では図15の連結成分間依存関係構築処理1002の手順を説明する。まず、1501にて過去の地図更新データにおいて削除・追加が行われたリンクを取り除き、1502にて連結成分を検出して各連結成分にIDを振る。その例を図18に示す。この例は、図16の2バージョン間において更新が行われたリンクを除去したネットワークであり、2つの連結成分に分断されている。図に示すように、それぞれに対し連結成分A、連結成分BというIDをつける。なお、この処理において、削除・追加された道路だけでなく一方通行や通行止めなどの交通規制が変更された道路も除外することで、実質的に連結しなくなっている連結成分も検出できる。
【0039】
次に、1503の処理にて、各地図更新データを連結成分間の接続への影響という観点から分類する。この処理では、まず各更新データにおいて削除対象のリンクがどの連結成分間を接続するリンクを削除するかを検出し、次に追加対象のリンクについてどの連結成分間を接続するか検出する。この2つを重ねることによって、該地図更新データが連結成分間を切断するか、接続するか、あるいは影響しないかを判断できる。図16の上記第一の地図更新データの例では、削除対象のリンクは連結成分A、B間の接続を切断しており、追加対象のリンクはAにしか接続しない。従って、この地図更新データは連結成分A、B間を切断するということになる。また、図16の上記第二の地図更新データで同様の判定を行うと、連結成分AとBの間を接続する地図更新データであると判定できる。
【0040】
次のステップ1504では、1503の処理にて連結成分間を切断すると判定された地図更新データ全てに対し、ループ変数Rとしてループさせて、以下の処理を行う。まず、1505にて、Rが切断する連結成分間を接続する地図更新データの組み合わせを検索する。この際、複数の組み合わせが存在する場合には、例えば連結成分間を行き来する経路の距離が小さくなる組み合わせや、配信データが最小になる組み合わせなど、いくつかの基準を用いる。次に1506の処理において、Rの地図更新データ管理テーブルの依存地図更新データID1203に上記地図更新データの組み合わせに登場する更新データのIDを追加する。図16の例では、第一の地図更新データのレコードに第二の地図更新データのIDを追加することになる。これによって、例えば図16のエリアID=4のエリアを更新しようとした場合に、エリアID=4のエリアにかかっている第一の更新データを適用する際には、その依存地図更新データである第二の更新データ(1603の削除、1606と1605の追加)が必ず適用されることになり、図17のような非連結成分を発生させないことができる。以上の1505と1506の2つのステップを全更新データに対し実行すると、本処理は終了となる。
【0041】
なお、図16の例では2つのバージョン間におけるものを示したが、3つ以上のバージョンが存在する場合でも、該バージョン間で更新が行われた全ての地図更新データに対し上記の処理を行うことで、ネットワークが非連結になることを防止できる。なお、このとき地図更新データが登場するバージョンを比較することにより、新しい更新データへの依存関係生成を防止することができる。
【0042】
以上の処理を、地図配信サーバ10の事前処理として行い、その結果として、各地図更新データを地図更新データ記憶部101に、エリア単位更新データ管理テーブルを更新管理データ記憶部に、それぞれ記録しておく。
【0043】
次に、図8の810以降のステップについて説明する。ユーザ操作などによって、ナビゲーション端末20が地図データの更新を開始すると、地図更新要求806を地図配信センタ10に送信する。地図更新要求806のデータ構造の例を図19に示す。この地図更新要求には、更新を行おうとしているエリアである更新対象エリアのIDと、ナビゲーション端末20の初期データバージョンである基本バージョンと、過去に更新したことのあるエリアのバージョンである更新済みエリアバージョンが含まれている。なお、地図配信センタ10の負荷を小さくするために、全エリアについてそれぞれのエリアの現在の最近更新したバージョンをそのまま送ってもよい。
【0044】
地図更新要求806を受け取った地図配信サーバ10は、ナビゲーション端末20が必要とする地図更新データのIDリストを作成し、それを返送する。この手順を図20に示す。まず、エリア単位バージョン取得処理2001にて、地図更新要求806のエリア単位の持つ、エリアごとのバージョンと更新対象エリアIDを取得する。このデータと地図配信センタ10のもつ地図データを比較し、ナビゲーション端末がもつデータの更新対象エリアが最新データであるかを比較する。この比較は図中の2005にあたり、もしナビゲーション端末の持つデータが最新であれば処理を終了する。もしナビゲーション端末20のデータが最新でない場合、適用済地図更新データID取得処理を開始する。この処理は、ナビゲーション端末20が既に適用済みである地図更新データIDのリストを取得する処理である。エリア単位バージョン取得処理2001にて取得した各エリアとそのバージョンを用いて図14のエリア単位地図更新データ管理テーブルのエリアID1401とバージョン1402のカラムを検索し、必要地図更新データIDリスト1403を取得する。全エリアの分を合わせた集合が、ナビゲーション端末20が既に適用済みの地図更新データである。(全エリア分を合わせなくても、更新対象エリア周辺のエリアの分を合わせた集合でもよい。)次に、必要地図更新データID選択処理2003を実行する。この処理は、更新対象エリアを最新にするための必要地図更新データIDリストを取得する処理である。更新対象エリアIDと最新のバージョンを用いて図14のエリア単位地図更新データ管理テーブルのエリアID1401とバージョン1402のカラムを検索し、必要地図更新データIDリスト1403を取得する。この地図更新データリストから、適用済地図更新データIDリストにも登場するものを除外する。これにより、すでに取得済みの地図更新データを重複して取得することがなくなる。最後に10501にて、このリストを地図更新データIDリスト807として返送する。
【0045】
ナビゲーション端末20は、地図更新データIDリスト807を受け取ると、それ記載された各地図更新データを取得する。この処理が地図更新データ要求処理811である。この手順を図21に示す。まず、必要地図更新データIDリスト取得処理2101にて、地図配信サーバ10より配信されてきた地図更新データIDリストを取得する。適用済み地図更新データID除外処理2102にて、地図更新データIDリストからすでに取得済みのものを除外する。最後に地図更新データ取得処理2103にて、地図更新データ要求を地図配信センタ10に送付する。地図配信センタ10は、この地図更新データ要求をうけると、地図更新データ記憶部を参照しながら各地図更新データを返送する。ナビゲーション端末20は受け取った地図更新データを用いて、更新対象エリアの地図データを最新にすることができる。
【0046】
以上の実施形態により、ナビゲーション端末20は道路の接続を維持しながら、エリア単位で地図が更新できる。ただし、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、上記の実施形態において、地図データ記憶部206のリンクIDおよびノードIDと道路名称や通行規制などのデータとの対応関係を示すテーブルを保持し、地図データの更新に併せてこのテーブルの対応関係も更新することで、新たな地図に適したデータでナビゲーションできる。また、上記の実施形態では、道路を構成するリンクの更新を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば鉄道の路線データなど、ネットワークで表現される地図要素の地図更新データであれば、配信対象とできる。また、上記の実施形態において、例えばナビゲーション端末20からナビゲーション処理部207を省略すると共に地図データ記憶部206を取り外し可能とした端末を、ネットワーク40に接続することで、地図データ記憶部206を更新するようにしてもよい。そして、地図データ記憶部206を端末から取り外し、別途用意されたナビゲーション装置に取り付けて使用するようにしてもよい。
【0047】
また、地図配信サーバ10には、更新データ管理テーブルやエリア単位地図更新データ管理テーブルをオペレータの操作によって編集する機能を持たせても良い。図22にその画面の表示例を示す。この例は、2つの地図更新データを同時に選択できるようにしたことで、2つの地図更新データの間の依存関係を容易に編集できるようにした例である。この例では、画面左側2202に地図更新データを表示し、右側には選択中の地図更新データの詳細が表示している。地図更新データの表示では2バージョンの地図の差を表示する必要があるため、この画面左側の図では2バージョンの地図を重ねて表示し変更があった道路が分かるようになっている。この左側の地図上において、マウスポインタ2205によって道路を選択すると、該道路の更新を含む地図更新データが点線囲み2201で表示され、選択状態になる。選択状態になった地図更新データの詳細情報は、画面右側の地図更新データ詳細情報表示画面2203に表示される。この左右の組み合わせが、画面の上下に2つ表示されており、上画面で選択された地図更新データ2201の詳細情報は2203に、下画面で選択された地図更新データ2202の詳細情報は2204にそれぞれ表示される。この状況において、例えば依存関係追加ボタン2206を押下すると、地図更新データ2203の依存地図更新データに2201が追加される。
【0048】
この例のように、二つの地図更新データを同時に画面表示し選択可能とすることで、それらの間の依存関係が容易に編集できる。また、この方法によれば、図23に示すように依存関係が複数バージョンに跨る場合であっても容易に編集できる。この際、古いバージョンでの地図更新データを適用するために新しいバージョンの地図更新データが必要であるという状況を避けるために、依存関係追加ボタン2302を使用不能にすることで、依存関係を誤って編集することを避けられる。また、道路を選択したときに最終地図更新データ検索機能を呼び出すメニュー2301を表示させることもできる。このメニューから最終地図更新データ検索機能を呼び出すと、地図配信サーバ10は図13のリンク最終更新テーブルを検索し、該道路を最後に更新した地図更新データを検索し、表示する。これにより、この編集作業を効率化することができる。
【0049】
以上の操作によって地図更新データ間の依存関係を編集した後、最後に図9のエリア単位更新データ管理テーブル904を実行させ、エリア単位地図更新データ管理テーブルを更新する。これにより、例えば新しい高速道路が開通したことによって他の道路の規制が解除された場合など、判断しきれなかった依存関係を作ることができるようになる。
【0050】
また、ナビゲーション端末20が複数のエリアを組み合わせて更新を要求することにより、図24に示すように市町村単位、あるいは経路沿いなど、各種用途に応じた単位で更新を行うことができる。2401は市町村単位の更新の例である。市町村単位で更新を行う場合、例えば図中の斜線エリア2403のように市全域を含むようにエリアを組み合わせることによって、市町村単位での更新が行える。2402には、経路沿いのエリアを更新する例を示す。この例は現在地2405から目的地2404までの経路を探索し、その経路と接触する斜線部エリアを更新する例である。これらの例のように、エリアを細かくすることによって利用者の希望する更新単位に近い範囲で地図データの更新が行える。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の地図データ配信システムの構成例。
【図2】本発明における地図配信サーバおよびナビゲーション端末の装置構成の一例。
【図3】地図配信サーバおよびナビゲーション端末において、道路データを格納するリンクデータテーブルの一例。
【図4】地図配信サーバおよびナビゲーション端末において、交差点データを格納するノードデータテーブルの一例。
【図5】道路データが分割される場合の差分更新データの例。
【図6】2バージョンの地図を比較した例。
【図7】地図データの一部エリアだけを更新した例。
【図8】本実施形態における更新処理手順の例。
【図9】地図配信サーバにて、新しい地図がリリースされる度に行う処理の例。
【図10】依存関係構築処理の例。
【図11】過去依存関係構築処理の例。
【図12】地図更新データ管理テーブルの一例。
【図13】リンク最終更新テーブルの例。
【図14】エリア単位地図更新データ管理テーブルの例。
【図15】連結成分間の依存関係を構築する手順の一例。
【図16】エリア単位で地図を更新した場合に非連結になりうる地図データの例。
【図17】図16の地図データをエリア単位で更新し、道路が非連結になった例。
【図18】更新があった道路を除外して連結成分を検出することを説明するための図。
【図19】ナビゲーション装置から地図配信サーバに送信される地図更新要求のデータ構造の一例。
【図20】地図更新要求を受け取った地図配信サーバが行う処理の例。
【図21】地図更新データ要求処理の一例。
【図22】地図更新データ管理テーブルを編集するための操作画面の一例。
【図23】選択した道路を最後に更新した地図更新データを検索する機能を実行する画面の一例。
【図24】複数のエリアを組み合わせることによって任意範囲の地図データを更新する機能の一例。
【符号の説明】
【0052】
10 地図配信サーバ、20 ナビゲーション端末、806 エリア単位のバージョンが記載された地図更新要求、906 更新データ間の依存関係を構築する依存関係構築処理、1002 非連結にならないように更新データ間の依存関係を変更する連結成分間依存関係構築処理、1203 各地図更新データが依存する他の地図更新データIDを記録するカラム、1403 あるエリアがあるバージョンである時に適用済みである地図更新データIDを記録するカラム、1801、1802 連結成分を検出する処理において一時的に生成される更新対象道路を除外したネットワークの例、2301 選択した道路を最後に更新した地図更新データを検索する機能を呼び出すインタフェイスの一例。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを配信する地図配信サーバとそれを受信するナビゲーション端末とを有する地図配信システムであって、
上記地図配信サーバが、
更新すべき地図データを含む地図更新データと該地図更新データのIDとを対応づけて保持する地図更新データ管理テーブルと、
地図データの特定領域と、該特定領域のバージョンと、該特定領域のために適用済みでなければならない上記地図更新データのIDとを対応づけて保持するエリア単位地図更新データ管理テーブルとを記憶する記憶部と、
上記エリア単位地図更新データ管理テーブル部を参照して、上記ナビゲーション端末からの入力に基づき選択された特定領域の更新に必要な地図更新データIDを選択する地図更新データ管理部と、
前記選択された地図更新データIDに対応する地図更新データを配信する通信部とを有することを特徴とする地図配信システム。
【請求項2】
請求項1の地図配信システムにおいて、
上記地図配信サーバの上記地図更新データ管理部が、
更新対象の地図更新データである道路データを除外したネットワークを連結成分ごとに分割する機能と、
該連結成分間を切断または接続する地図更新データを検出する機能と、
上記連結成分間を切断する切断地図更新データから、該切断される該連結成分間の道路データを接続する複数もしくは単数の接続地図更新データへの依存属性とを対応付けて、該接続地図更新データを該切断地図更新データのために適用済みでなければならない依存地図更新データとして上記記憶部に格納する機能と、
選択された地図更新データが切断地図更新データを含む場合に、対応する上記依存地図更新データをあわせて配信する機能とを有することを特徴とする地図配信システム。
【請求項3】
請求項2記載の地図配信システムにおいて、上記地図配信サーバの上記地図更新データ管理部が、
2つの地図更新データを一画面に表示部に表示する機能と、
該表示した2つの地図更新データを選択する入力を受け付けた場合に、上記選択した地図更新データ間に、いずれかを他方の依存地図更新データとして対応付ける機能と、を備えることを特徴とする地図配信システム。
【請求項4】
請求項3の地図配信システムにおいて、
上記地図配信サーバが、道路の選択を受け付ける機能と、上記選択された道路を最後に更新した更新データを前記地図更新データ管理テーブルから検索する機能と、を備えることを特徴とする地図配信システム。
【請求項5】
請求項2または3の地図配信システムにおいて、
上記地図配信サーバの上記地図更新データ管理部は、請求項2における連結成分間を切断する地図更新データを配信する際に該連結成分間を接続する道路を追加する地図更新データを配信させる手段として、請求項1に記載の地図更新データ管理部に、上記連結成分間を接続する道路データを追加する地図更新データを追記することを用いること、を特徴とする地図配信システム。
【請求項6】
請求項1記載の地図配信システムであって、上記ナビゲーション端末は、上記地図配信サーバに向けて、該ナビゲーション端末が有する地図データのエリアごとのバージョン番号を含む地図更新要求を送信し、
上記地図配信サーバの上記地図更新データ管理部は該地図データのエリアごとのバージョン番号に基づいて上記更新する特定領域を決定することを特徴とする地図配信システム。
【請求項7】
地図データを配信する地図配信サーバとそれを受信するナビゲーション端末とを有する地図配信システムにおける地図配信管理方法であって、
上記地図配信サーバが、更新すべき地図データを含む地図更新データと該地図更新データのIDとを対応づけて保持する地図更新データ管理テーブルと、地図データの特定領域と、該特定領域のバージョンと、該特定領域のために適用済みでなければならない上記地図更新データのIDとを対応づけて保持するエリア単位地図更新データ管理テーブルとを記憶する記憶部と、地図更新データ管理部と通信部とを有し、
該地図更新データ管理部において、上記エリア単位地図更新データ管理テーブル部を参照して上記ナビゲーション端末からの入力に基づき選択された特定領域の更新に必要な地図更新データIDを選択する第1のステップと、
上記通信部から、選択された地図更新データIDに対応する地図更新データを配信する第2のステップとを有することを特徴とする地図配信管理方法。
【請求項8】
請求項7の地図配信管理方法であって、
上記地図配信サーバの上記地図更新データ管理部において、
更新対象の地図更新データである道路データを除外したネットワークを連結成分ごとに分割する第3のステップと、
該連結成分間を切断または接続する地図更新データを検出する第4のステップと、
上記連結成分間を切断する切断地図更新データから、該切断される該連結成分間の道路データを接続する複数もしくは単数の接続地図更新データへの依存属性とを対応付けて、該接続地図更新データを該切断地図更新データのために適用済みでなければならない依存地図更新データとして上記記憶部に格納する第5のステップとを有し、
上記第2のステップにおける選択された地図更新データIDの地図更新データが切断地図更新データを含む場合に、対応する上記依存地図更新データをあわせて配信することを特徴とする地図配信管理方法。
【請求項9】
請求項8記載の地図配信管理方法において、上記地図配信サーバの上記地図更新データ管理部 が、2つの地図更新データを一画面に表示部に表示する第6のステップと、
該表示した2つの地図更新データを選択する入力を受け付けた場合に、上記選択した地図更新データ間に、いずれかを他方の依存地図更新データとして対応付けて格納する第7のステップと、を備えることを特徴とする地図配信管理方法。
【請求項10】
請求項9記載の地図配信管理方法において、上記地図配信サーバが、道路の選択を受け付ける第8のステップと、上記選択された道路を最後に更新した更新データを前記地図更新データ管理テーブルから検索する第9のステップとを備えることを特徴とする地図配信管理方法。
【請求項11】
請求項8または9の地図配信管理方法において、
上記地図配信サーバの上記地図更新データ管理部において、請求項8における連結成分間を切断する地図更新データを配信する際に該連結成分間を接続する道路を追加する地図更新データを配信させる手段として、上記連結成分間を接続する道路データを追加する地図更新データを追記する第10のステップを有することを特徴とする地図配信管理方法。
【請求項12】
請求項7記載の地図配信管理方法であって、
上記地図配信サーバにおいて、該ナビゲーション端末から地図データのエリアごとのバージョン番号を含む地図更新要求を受信する第11のステップを有し、
前記第1のステップにおいては、上記地図配信サーバの上記地図更新データ管理部は該地図データのエリアごとのバージョン番号に基づいて上記更新する特定領域を決定することを特徴とする地図配信管理方法。
【請求項13】
ナビゲーション端末と接続可能な、地図データを配信する地図配信サーバであって、
更新すべき地図データを含む地図更新データと該地図更新データのIDとを対応づけて保持する地図更新データ管理テーブルと、
地図データの特定領域と、該特定領域のバージョンと、該特定領域のために適用済みでなければならない上記地図更新データのIDとを対応づけて保持するエリア単位地図更新データ管理テーブルとを記憶する記憶部と、
上記エリア単位地図更新データ管理テーブル部を参照して、上記ナビゲーション端末からの入力に基づき選択された特定領域の更新に必要な地図更新データIDを選択する地図更新データ管理部と、
前記選択された地図更新データIDに対応する地図更新データを配信する地図更新データ配信部とを有することを特徴とする地図配信サーバ。
【請求項14】
請求項13の地図配信サーバにおいて、
上記地図更新データ管理部が、
更新対象の地図更新データである道路データを除外したネットワークを連結成分ごとに分割する機能と、
該連結成分間を切断または接続する地図更新データを検出する機能と、
上記連結成分間を切断する切断地図更新データから、該切断される該連結成分間の道路データを接続する複数もしくは単数の接続地図更新データへの依存属性とを対応付けて、該接続地図更新データを該切断地図更新データのために適用済みでなければならない依存地図更新データとして上記記憶部に格納する機能と、
選択された地図更新データが切断地図更新データを含む場合に、対応する上記依存地図更新データをあわせて配信するよう機能とを有することを特徴とする地図配信サーバ。
【請求項15】
請求項14記載の地図配信サーバにおいて、上記地図更新データ管理部が、
2つの地図更新データを一画面に表示部に表示する機能と、
該表示した2つの地図更新データを選択する入力を受け付けた場合に、上記選択した地図更新データ間に、いずれかを他方の依存地図更新データとして対応付ける機能と、を備えることを特徴とする地図配信サーバ。
【請求項16】
請求項15の地図配信サーバにおいて、
上記地図更新データ管理部が、道路の選択を受け付ける機能と、上記選択された道路を最後に更新した更新データを前記地図更新データ管理テーブルから検索する機能と、を備えることを特徴とする地図配信サーバ。
【請求項17】
請求項14または15の地図配信サーバにおいて、
上記地図更新データ管理部は、請求項2における連結成分間を切断する地図更新データを配信する際に該連結成分間を接続する道路を追加する地図更新データを配信させる手段として、請求項1に記載の地図更新データ管理部に、上記連結成分間を接続する道路データを追加する地図更新データを追記することを用いることを特徴とする地図配信サーバ。
【請求項18】
請求項13記載の地図配信サーバであって、上記地図更新データ管理部は、上記ナビゲーション端末から、該ナビゲーション端末が有する地図データのエリアごとのバージョン番号を含む地図更新要求を受信し、
該地図データのエリアごとのバージョン番号に基づいて上記更新する特定領域を決定することを特徴とする地図配信サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−90195(P2008−90195A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273570(P2006−273570)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】