説明

地図移動装置

【課題】地図画面表示領域を移動するに際して、継続的に操作を行うことなく、簡単な入力操作により所望の地図移動を確実に行うことができる地図移動装置とする。
【解決手段】利用者が地図画面表示領域に対して行った入力操作から、操作方向、操作位置、操作速度等を検出し、地図画面表示領域入力操作形状認識部7でその形状を認識する。入力操作形状同一ポリゴン図形識別部8では前記認識した入力形状と、地図表示データ20におけるポリゴンデータ21からマッチング手法を用いてほぼ同一形状のデータを抽出する。ほぼ同一形状のデータが存在するときにはそのポリゴンの種別を識別し、ポリゴン種別対応移動形態選択部15では、ポリゴン種別が線状である時には、地図の移動が端部に到達したときUターンして地図の移動を継続し、環状である時には循環して地図の移動を継続する。地図の移動中に案内情報を検出した場合、画面や音声で案内を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地図表示画面を利用者の簡単な操作を契機として、特定の地図表示ポリゴンに沿って自動的に地図画面表示領域を移動することができるようにした地図移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は車両にナビゲーション装置を搭載することが広く普及している。車両等に搭載する一般のナビゲーション装置においては、地図を描画するための地図データ及び施設等を検索するための施設情報データを記録したCD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の地図・情報データ記憶媒体と、この地図・情報データ記憶媒体のデータを取り込むデータ取込装置と、地図等を表示するモニタと、GPS受信機及び走行距離センサやジャイロ等を用いた自律航法装置を用い、車両の現在位置及び進行方向の方位を検出する車両位置検出装置を有し、車両の現在位置を含む地図データを地図・情報データ記憶媒体から取り込み、この地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像をモニタの画面に描画すると共に、車両位置マークをモニタ画面の中央或いは特定の位置に表示し、車両の移動に応じて地図画像を移動させたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両の現在位置を一目で分かるようにしている。
【0003】
CD−ROMやDVD−ROM、或いはハードディスク等の地図・情報データ記憶媒体に記憶されている地図データは、各種の縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、道路等の地図上に表示されるポリゴンは経度及び緯度で表現されたノードの座標集合として記憶されている。また地図データは、道路リスト及びノードテーブル等からなる道路レイヤ、地図画面上に道路、建築物、施設、公園及び河川等を表示するための主として多角形データとしてのポリゴンデータからなる背景レイヤ、市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名及び施設の名前等の、文字や地図記号等を表示するための文字レイヤなどから構成される。
【0004】
前記道路リスト及びノードテーブルは、ある単位領域(パーセルやメッシュ)毎にまとめられている。ノードテーブルに含まれるノードは地点の情報であり、地点の位置および高速ジャンクション・一般交差点などの地点の種別を示した情報で構成される。道路リストに含まれる道路リンクは道路の情報であり、道路の始点・終点の位置、道路の長さ・属性で構成される。一般的に道路リンクの始点および終点はノードとして表現されており、属性には、高速道路・一般道路などの道路の種別や幅員などが含まれる。ナビゲーション装置は前述の地図データを利用して地図を広域から狭域まで種々の縮尺によって表示することができるものであるが、地図データベースやナビゲーション装置の性質上、広域(縮尺小)を表示した場合は詳細な情報を表示できず、また、狭域(縮尺大)を表示した場合、全体像、即ち周囲との位置関係が捉えにくくなるため、利用者はそのときの最適と思われる縮尺を任意に選択して地図画面を表示することとなる。
【0005】
また、一般のナビゲーション装置は、利用者が所望の目的地或いは経由地(以下「目的地」と称する)に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるようにするための経路誘導機能を備えている。この経路誘導機能によれば、種々の手段により目的地を設定し、出発地から目的地まで、これらの地点を結ぶ経路の内、利用する道路の種別・走行距離・移動時間・料金など利用者が優先したい項目の各種の条件を加味して適切な経路を演算して提示するようになっている。また、利用者が選択した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上に誘導経路を他の経路とは色を変えて太く描画して画面表示したり、車両が誘導経路上の進路を変更すべき交差点に一定距離以内に近づいたときに、交差点を拡大表示し、進路を変更すべき方向を示す矢印等を描画して画面表示したり、音声で右左折の誘導を行うことで、利用者を目的地まで案内することができるようにしている。なお、前もって設定した経路に沿って、地図を自動スクロールさせ、出発点から目的地までの表示を行う技術が、特許文献1に開示されている。しかしながら、前記特許文献1はルートに沿って地図画面表示領域を移動させるので、ルート周辺に存在しない地点に関する情報を利用者に提供することはできない。
【特許文献1】特開平07−55482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなナビゲーション装置において、例えば、利用者が現在走行中の道路沿いのレストランを探そうとした場合、地図画面上に現在表示されている特定の道路について、その道路の周囲の状況等を知ることができるので、道路沿いのレストランの有無を容易に確認することができる。しかしながら、現在画面上に表示されている地図に道路沿いのレストランが存在しないとき、利用者はその道路沿いのレストランを探すために、地図の画面表示領域を道路に沿って移動する必要がある。
【0007】
従来のナビゲーション装置では、地図の表示領域を変更する場合、利用者は表示画面のタッチパネル機能や、リモコンのスクロールキー等の入力機器を利用して画面移動の方向を指定し、現在表示されている画面領域から、特定の道路に沿って画面を順に移動させることによって、道路沿い、或いは道路周辺のレストランを探すこととなるので、操作が煩わしくなり、利用者に相当の負担を強いてしまうという課題があった。
【0008】
また、利用者が湖の周辺を走行中に、その湖の周囲の道路上に存在する通行止めの有無や、湖周辺の商店やレストラン等の施設の位置を知りたいとした場合、現在の表示画面上ではその湖の一部しか表示されていないときには、前述の操作によりその湖に沿って地図画面表示領域を移動させながら、湖の周囲の通行止め、商店、レストラン等を地図上から探すこととなるので、走行中の安全性を損ねるという問題があった。
【0009】
このように、従来のナビゲーション装置等の地図画面表示装置では、利用者が任意の道路の先々の状況や、湖や公園などの周囲の道路状況を確認しようとした場合、利用者は参照したいと考える道路や地点が常に画面内に表示されるように、地図の表示画面領域を移動させながら道路状況や周囲に存在する施設の種類や位置を確認することとなる。また、ドライブ中に山や川、海岸周辺の道路の有無を確認したり、周辺の観光施設を探す場合、利用者は山や川あるいは海岸沿いに地図を移動させながら、自身が必要とする情報を地図から取得することになる。
【0010】
上記のように、例えば、道路、川、海岸など、ある対象の周辺の情報を利用者が取得したいと考えた場合、利用者は自身の要求する情報が取得できるまでの間、継続的にナビゲーション装置の操作を行うこととなり、利用者に負担をかけるばかりか、操作する人が運転中である場合は安全運転の妨げになってしまうという問題があった。このことは、ナビゲーション装置等の地図画面表示装置に限らず、例えばパソコンで地図を表示し、その地図の画面表示領域を移動するときも同様である。
【0011】
したがって本発明は、地図画面表示領域を移動するに際して、継続的に移動のための操作を行うことなく、簡単な入力操作により所望の地図移動を確実に行うことができるようにすると共に、地図画面表示領域の移動によって種々の案内情報を提供することができるようにすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る地図移動装置は、上記課題を解決するため、利用者が地図画面表示領域に対して入力操作した形状を認識する入力操作形状認識手段と、地図画面に表示されているポリゴンデータからなるポリゴン図形と前記入力操作した形状とを比較して、前記入力操作した形状と近似したポリゴン図形を識別する入力操作形状同一ポリゴン図形識別手段と、前記識別されたポリゴン図形に沿って地図画面表示領域を移動する地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記ポリゴン図形が端部のある線状ポリゴン或いは環状ポリゴンであることを識別するポリゴン種別識別手段を備え、前記ポリゴン種別識別手段で線状ポリゴンであることを識別したとき、地図画面表示領域が前記端部に至ったときには地図画面表示領域を逆方向に移動するポリゴン種別対応移動手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記ポリゴンデータからなる図形が端部のある線状ポリゴン或いは環状ポリゴンであることを識別するポリゴン種別識別手段を備え、前記ポリゴン種別識別手段で線状ポリゴンであることを識別したとき、地図画面表示領域が前記端部に至ったときには地図画面表示領域の移動を停止するポリゴン種別対応移動手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記ポリゴンデータからなる図形が端部のある線状ポリゴン或いは環状ポリゴンであることを識別するポリゴン種別識別手段を備え、前記ポリゴン種別識別手段で端部の無い環状ポリゴンであることを識別したとき、地図画面表示領域を前記環状ポリゴンに沿って循環して表示するポリゴン種別対応移動手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記ポリゴンデータからなる図形が端部のある線状ポリゴン或いは環状ポリゴンであることを識別するポリゴン種別識別手段を備え、前記ポリゴン種別識別手段で端部の無い環状ポリゴンであることを識別したとき、地図画面表示領域が環状ポリゴンに沿って1周したときには地図移動を停止することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、利用者が地図画面表示領域に対して形状を入力操作した時の速度を検出する入力操作速度検出手段を備え、地図画面表示領域を移動させる速度を前記形状を入力したときの速度に対応して設定する移動速度設定手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、利用者が地図画面表示領域に対して形状を入力操作した時の方向を検出する入力操作方向検出手段を備え、地図画面表示領域を移動させる方向を前記形状を入力したときの方向と同一方向に設定する移動方向設定手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記入力操作形状同一ポリゴン図形識別手段で入力した形状と近似したポリゴン図形を識別したとき、画面表示領域の中心が前記ポリゴン図形の一部となるように地図画面表示領域を移動する地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記入力操作形状同一ポリゴン図形識別手段で前記入力操作形状認識手段によって認識された形状と形状が近似したポリゴン図形が複数存在することを検出したとき、最も近似したポリゴン図形を選択する入力操作形状同一ポリゴン図形識別手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記移動する地図画面表示領域中に利用者に対する案内情報が存在するとき、画面または音声により利用者に該案内情報を出力する案内情報出力手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記案内情報が存在するとき、地図を移動する速度を遅くする移動速度設定手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、通信手段により外部から前記案内情報を取り込む地図・情報入力手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記案内情報を、地図の移動に従い蓄積して出力することを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、利用者により予め設定した種類の案内情報を選択して出力する案内情報選択手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記ポリゴンデータからなる図形が建物であり、該建物に沿って地図を移動するとき、周囲の駐車場を探索して出力する案内情報出力手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記ポリゴンデータからなる図形が駐車場であり、該駐車場に沿って地図を移動するとき、入口、出口、食事場所のいずれかを探索して出力することを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置を車両用ナビゲーション装置に適用したことを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、観光エリアを示す疑似ポリゴンを地図データベースに格納することにより、前記ナビゲーション装置に目的地が設定されたときに、該目的地が含まれる該疑似ポリゴンに沿って地図を移動することを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係る他の地図移動装置は、前記地図移動装置において、前記識別した図形に沿って地図を移動するとき、地図表示画面を2分割し、片側には識別した図形を含む詳細地図を表示するとともに、他側には該詳細地図表示範囲を含む広域地図を表示する地図表示手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
上記のように本発明は、利用者の簡単な操作により、地図が選択したポリゴンに沿って移動するので、利用者は選択されたポリゴンの周辺の施設などを地図上から容易に見つけることができるようになる。また、地図が選択したポリゴンに沿って移動するので、利用者はナビゲーション装置を継続的に操作することなしに、周囲の詳細な地勢情報や渋滞・規制のような交通情報を入手できるようになる。更に利用者はナビゲーション装置を継続的に操作することなしに走行中の道路や海岸線など先々の情報を取得できるようになるので、運転者が操作を行ったときでも走行の安全性を高めることができる。
【0032】
また、選択された対象に渋滞や規制などが発生した場合、地図の移動を一時停止したり、移動速度を落として案内を行うこともできるので、利用者は参照したいと考えた対象に発生した事象の情報を容易に取得できるようになるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以上説明したように本発明は、地図画面表示領域を移動するに際して、継続的に地図移動操作を行うことなく、簡単な入力操作により利用者の所望する地図移動を確実に行うと共に、地図画面表示領域の移動によって種々の案内情報を提供することを、利用者が地図画面表示領域に対して入力操作した形状を認識する入力操作形状認識手段と、地図画面に表示されているポリゴンデータからなるポリゴン図形と前記入力操作した形状とを比較して、前記入力操作した形状と近似したポリゴン図形を識別する入力操作形状同一ポリゴン図形識別手段と、識別されたポリゴン図形に沿って地図画面表示領域を移動する地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理手段とを備え、地図画面表示領域の移動によって種々の案内情報を取り込み、出力することによって実現する。
【実施例1】
【0034】
本発明の実施例について、最初本発明において行われる地図移動の手法を具体例に基づいて説明する。図4は本発明の動作例を示したものである。矩形は画面上の地図の表示領域を示す。(1)及び(2)は利用者が入力した形状を示し、P1及びP2はそれぞれ利用者が入力した形状(1)或いは(2)を元に本発明によって選択されたポリゴンを示す。
【0035】
ポリゴンとは、経度・緯度等の座標値で表される複数の点を結ぶ多角形形状の位置情報であり、地図等において行政区画の境界等を表示するために一般的に用いられている多角形形状のデータと同様のものである。このポリゴンは、ナビゲーション用地図データにおいて、山、川、湖、砂漠、貯水池などの土地を示す領域、ショッピンピングモール、空港、学校などのような構造物やその領域を表示するために用いられ、特に地図の高速描画のために従来から広く用いられている。
【0036】
地図は(1)’及び(2)’のようにP1、P2のポリゴンの輪郭或いはその形状に沿って移動する。M0は表示中の地図画面を示し、M1−1・M1−2は利用者が(1)を入力した場合の本発明による地図の移動の様子を示し、M2−1・M2−2は利用者が(2)を入力した場合の本発明による地図の移動の様子を示す。
【0037】
図4に示したように、本発明による地図移動の方式は利用者がタッチパネルやリモコンなどを利用して、例えば道路・線路・湖といった画面上に表示された周辺の状況を確認したい対象に沿ってその形状を入力すると、利用者の入力した形状に最も近い形状を持つポリゴンを画面上に表示されたポリゴンの中から選択し、選択したポリゴン沿いに地図を移動させる。
【0038】
例えば、利用者が(1)の形状を入力した場合、(1)’のように道路ポリゴンP1が常に地図の中心に表示されるように表示領域を(M0→M1−1→M1−2)のように移動させる。選択されたポリゴンが道路ポリゴンのような線状ポリゴンであった場合、(1)’に示したように道路の終端まで移動し、逆方向に移動を開始する(Uターン)。この動作により、利用者は、例えば国道や県道といった選択した道路の状況や形状を操作することなしに継続して参照することができるようになる。
【0039】
それに対して利用者が(2)の形状を入力した場合、地図は湖ポリゴンP2の外周が常に画面の中心に表示されるように表示領域を(M0→M2−1→M2−2→M0)のように移動させる。P2のように対象のポリゴンが閉じた形状の環状ポリゴンの場合、利用者が停止の指示を行うまで地図の移動を継続する。この動作により、利用者は湖や公園、遊園地周辺等の道路状況やその周囲に存在する施設の位置をナビゲーション装置を操作することなしに参照することができるようになる。
【0040】
上記のように利用者が入力した形状と地図画面表示領域に表示されている各種ポリゴンとをマッチングさせて選択する際には、例えば最小二乗誤差などを用いた従来の形状マッチング方式を利用しても良く、またそれ以外の各種の方式を利用してもよい。その際には、山、川、海、湖、遊園地などの敷地、県、市区町村などの行政区会、鉄道、フェリーの航路、建物などの地図に表示される面、線など、地図データベースに含まれるすべての形状情報をマッチングの対象とする。
【0041】
次に案内動作を説明する。図5は選択された道路上に渋滞が発生している場合の案内動作を示している。矩形はナビゲーション装置の案内の表示例を示す。同図に示したように選択した道路上に渋滞や規制などが発生している場合、当該渋滞地点で地図の移動を一時停止したり、地図の移動の速度を下げると共に、渋滞や規制の情報を音声や画像によって案内する。選択された対象が海、川、湖などの場合、対象周辺の津波や増水などの各種警報、注意報を案内する。案内後地図画面を停止させた場合、本発明は利用者に地図の移動の継続の有無を問い合わせる。
【0042】
上記のような地図を移動させる速度は、利用者が形状を入力した際の速度によって決定してもよいし、従来のナビゲーション装置のように、地図の移動を開始してから経過した時間に伴い移動速度を上げてもよい。
【0043】
図6は本発明の利用例を示した図である。破線は地図が移動する様子を示している。公園、温泉などの四角形は施設を示す。同図に示したように、本発明を利用することによって、地図に表示された山、川、海岸などのポリゴンに沿って地図を移動させることが可能となるので、山の周辺にある温泉や名所などの観光地周辺の施設を探したり、海岸沿いや川沿いにある海水浴場や食事ができる施設などを容易に探すことができるようになる。
【0044】
更に、インターネットなどから取得した等圧線などの情報を利用して、気圧が同じ領域に沿って地図を移動させることによって、利用者が悪天候の地域を容易に確認できるようになる。以上説明したように、地図に表示される図形を地図の移動用の情報として利用することによって、簡単な操作で利用者が参照したい道路や施設或いは観光地などの周辺の状況を確認できるようになる。
【0045】
上記のような本発明の各種の動作は、例えば図1に示す機能ブロック構成、及び図2及び図3に示す動作フローにしたがって動作させることにより実施することができる。即ち、図1には本発明の実施例の機能ブロック図を示しており、本発明を種々の態様で実施するために、各種の機能ブロックを示している。なお、同図における各機能を行う機能部は、各々各機能を行う手段ということもできる。
【0046】
図1に示す実施例においては、利用者が各種の指示を入力する外部指示入力部1を備え、前記外部指示入力部1は、例えば利用者が現在位置周辺の道路沿いに存在する施設の位置・種別、或いは湖の周囲をドライブする際に、湖周辺の道路状況や周辺の施設の有無や位置などを知りたいとき、タッチパネルやリモコンのジョイスティックを用いて、現在表示されている地図の道路に沿って、或いは湖に沿ってなぞる等により入力された輪郭や形状を信号に変換し地図画面表示領域入力装置検出部2に出力する。
【0047】
地図画面表示領域入力操作検出部2においては、図示実施例では入力操作方向検出部3を備え、前記のように外部指示入力部1に利用者による地図画面表示領域内での入力操作があったとき、その入力操作の方向を検出する。また、入力操作位置検出部4では、利用者による入力操作の起点近傍の地図上の位置を検出し、入力操作速度検出部5では利用者の入力操作の速度を検出している。
【0048】
地図画面表示領域入力操作検出部2は更に入力操作形状記憶部6を備え、利用者がタッチパネルやリモコンのジョイスティックを用いて所定形状の入力を行うとき、入力操作を行った点を順に記憶し、利用者によって入力された入力操作形状を記憶する。その際の記憶データは、例えばタッチパネルによる入力操作である時には地図画面表示領域における画面上の座標として記憶しておくことができ、リモコンのジョイスティックによる入力操作であるときには、地図の位置座標の移動として記憶しておくこともできる。
【0049】
前記入力操作に際しては、例えば図8に示すようにして行われる。即ち図8の例においては最初(a)のように地図画面が表示されているとき画面移動モードに入り、利用者はタッチパネル等により例えば同図(b)に示すように、起点P1から入力操作形状D1のように入力し、或いは同図(c)に示すように起点P2から入力操作形状D2のような入力を行う。これらの入力中の位置データが地図画面表示領域入力操作検出部2における入力操作位置検出部4で検出され、順に入力操作形状記憶部6に記憶される。また、そのときの入力操作方向を入力操作方向検出部3で検出し、そのときの入力操作速度が入力操作速度検出部5で検出される。
【0050】
上記のような入力に際しては、前記のようなタッチパネルによる所定形状の入力の他、例えば地図画面表示中の道路近傍にリモコンのジョイスティック等でカーソルを移動し、その道路に沿ってカーソルを移動することにより地図画面を移動させる機能を備えているナビゲーション装置においては、このカーソルを道路に沿って適宜移動することによって所定の形状を入力するようにしても良い。その際には、例えば湖の周辺に沿ってカーソルを適宜の距離移動することにより所定の形状を入力する等、によって、画面中の任意のポリゴンを選択できるようにしても良い。
【0051】
地図画面表示領域入力操作形状認識部7においては、地図画面表示領域入力操作検出部2の入力操作形状記憶部6に記憶されたデータに基づき、これを入力操作形状として認識する。入力操作形状同一ポリゴン図形識別部8は、後に詳述するように地図画面表示領域内データ記憶部19に記憶されている地図表示データ20に含まれるポリゴンデータ21と比較し、利用者が入力した形状と最も近似した形状のポリゴンを選択する。その識別に際しては、最小二乗誤差法などを用いた従来の形状マッチング方式等、従来から用いられている種々の手法を用いることができる。
【0052】
ポリゴン種別識別部9では、入力操作形状同一ポリゴン図形識別部8で地図画面表示領域内のポリゴンのうち特定のポリゴンが識別できたとき、そのポリゴンが例えば道路のポリゴンであるか或いは湖のポリゴンであるか、等のポリゴンの種別を識別し、その識別結果を地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理部10に出力する。
【0053】
地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理部10においては、上記のように識別されたポリゴンに対応して地図画面表示領域を移動する処理を行うものであり、その中の画面表示中心設定部11では、入力操作形状同一ポリゴン図形識別部8で利用者が入力した形状が、例えば前記図8(b)に示すような〇〇道のポリゴンの一部と一致しているときには、現在表示している画面の中心にこの道路の一部が表示されるように、画面の移動処理を行う。また、前記図8(c)に示すような△△湖のポリゴンの一部と一致しているときには、現在表示している画面の中心に湖の周縁の一部が表示されるように、画面の移動処理を行う。
【0054】
その移動処理に際しては、例えば前述の選択された道路、或いは湖周縁の部分において、画面の表示中心に最も近い部分が画面の表示中心にくるように移動しても良く、或いは利用者の入力起点P1、P2に近い道路部分が画面中心になるようにしても良い。
【0055】
移動方向設定部12においては、ポリゴンに沿って地図画面表示領域を移動するとき、その移動方向を設定するものであり、その際には入力操作方向検出部3で検出した入力操作方向と同じに設定する。それにより、例えば前記図8(b)に示すような入力操作を行ったときには、その矢印方向を入力操作方向検出部3が検出し、移動方向設定部12では、前記画面表示中心設定部11でポリゴンの一部を画面表示中心に表示した後に、図4の画面表示移動方向(1)’のように移動させる。
【0056】
移動速度設定部13においては、地図画面表示領域の移動速度を設定するものであり、その移動速度の設定に際しては種々の手法を採用することができ、例えば入力操作速度検出部5で検出した入力操作時の操作速度を用いて、その速度に対応した速度で地図画面表示領域をポリゴンに沿って移動させてもよい。その際には、利用者が素早く入力を行ったときには、地図画面表示領域は速く移動し、ゆっくりと入力を行ったときには地図画面表示領域は遅く移動することとなる。移動速度の設定に際しては、例えば従来のナビゲーション装置の地図画面表示で一部行われているように、最初の移動は遅く、次第にその移動速度を速くする、等の手法を採用することもできる。
【0057】
移動停止・再移動指示入力部14においては、利用者による地図画面表示領域移動の停止、及びその後の再移動指示によって地図画面表示領域の移動を制御するほか、例えば地図画面表示領域の移動中に利用者に対する案内情報が存在したときには停止し、その後利用者による再移動指示、或いは所定時間後の自動再移動等の手法によって、停止と再移動を行うように設定しても良い。
【0058】
ポリゴン種別対応移動形態選択部15は、例えば道路のような端部が存在する線状のポリゴン、或いは湖のような端部の存在しない環状ポリゴンといった前記のポリゴン種別識別部9で識別されたポリゴンの種別によって、地図画面表示領域の移動形態を選択する。その移動形態の設定に際しては、線状ポリゴンの場合は線状ポリゴン対応移動部16において、例えば図4の道路ポリゴン上の移動のように、その道路の端部において折り返して移動するように設定し、環状ポリゴンの場合は環状ポリゴン対応移動部17において、同図の湖ポリゴン周縁の移動のように、その湖の周縁を利用者の停止指示があるまで循環した表示をする、等の設定がなされる。その他、線状ポリゴンの場合は端部に到達したときそこで停止し、環状ポリゴンの場合は1周したときに停止する、等の設定を行うこともできる。
【0059】
上記のようなポリゴンに対応して自動的に地図画面表示領域を移動するに際しては、その移動に対応して地図データを取り込み、地図画面表示を行うために、地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理部10が指定した地点を、地図表示位置指示部18が地図・情報入力部23及び、実際に画面表示を行うデータが存在する地図画面表示領域内データ記憶部19に通知する。
【0060】
地図・情報入力部23においては、内部データ読み込み部24が、ナビゲーション装置が備えているCD、DVD、HDD等の地図・情報記録媒体から指定された地点近傍の所定範囲のデータを読み込み、更に、地図画面表示領域内データ記憶部19が、地図表示位置と地図縮尺に対応した地図画面表示領域のデータを取り込む。地図画面表示領域内データ記憶部19が取り込んだ地図表示領域のデータである地図表示データ20は、主として画面表示のために用い、案内データ22は後述する案内情報選択部26に出力するため等に用いる。
【0061】
上述したように取り込んだ地図表示データ20には前記のようにポリゴンデータ21も存在し、地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理部10がこのポリゴンデータを用いて、前記ポリゴンに対応して地図画面表示領域を移動する処理を行うことで、所望の地図画面表示領域の移動がなされることとなる。なお、このポリゴンデータ21は、先に詳述したように、入力操作形状同一ポリゴン図形識別部8において、地図画面表示領域入力操作形状認識部7で認識した、利用者が入力した形状と比較するためにも用いられる。
【0062】
案内データ22は、前記のように内部データ取込部24で取り込んだ各種施設情報の他、外部データ取込部25から地図表示位置指示部18で指示された地点の近傍の各種外部情報を取り込むことができ、例えば地図表示位置に対応した道路情報を含む交通情報をVICS等によって取り込み、そのような情報が存在したときには案内データ22に記憶し、記憶した案内データを案内情報選択部26が出力すべき情報と判断したとき、案内情報出力部27から外部に出力することもできる。前述した動作により、前記図5に示すような交通情報を出力することが可能となる。
【0063】
外部データ取込部25は、インターネットなどを利用して取得した気象情報から等圧線や前線データを取り込み、等圧線や前線等のデータを地図に表示するためのポリゴンデータ21として記録することもできる。取り込んだデータは地図表示位置指示部18が、地図画面表示領域入力操作検出部2から取得した位置情報を前記外部データ取込部25に通知することにより実施される。更に、利用者が例えば画面に表示された等圧線や前線に沿って入力操作を行うことにより前記画面に表示された等圧線や前線に沿って地図画面表示領域を移動させることが可能となる。
【0064】
外部データ取込部25で取り込むデータとしては、その他種々の情報を取り込むように設定することができ、例えば対象ポリゴンが海岸線であるときには津波情報、現在盛況の釣り場情報、遊泳禁止情報、花火打ち上げ情報等の取り込みも可能であり、川であるときには増水情報、河川敷運動施設情報、釣り場情報等の取り込みも可能である。
【0065】
これらの案内情報は案内データ22として記録されており、案内情報選択部26が任意に要求された情報を種々の情報から選択し、案内情報出力部27に出力する。但し、案内データ22に入力する情報は、予め案内情報選択部26で選択した情報のみを記録するようにしても良い。案内情報出力部27は、画面表示部28から画面表示用のデータを出力し、音声出力部29からは音声で案内するデータを出力する。
【0066】
上記のような機能ブロックからなる本発明の実施例としては、例えば図2及び図3に示す動作フローにしたがって順に動作させることができる。図2に示すポリゴン利用地図画面表示領域移動処理の例においては、最初利用者によって地図の画面表示領域内で何らかの形状の入力がなされる(ステップS1)。この入力に際しては、前記のようにタッチパネル操作、カーソル移動操作等によって行われる。次いで、形状入力操作速度の検出が行われ(ステップS2)、その後入力した形状を認識する(ステップS3)。
【0067】
次いで、画面上の入力形状とほぼ同じ形状を持つポリゴンの有無を判別する(ステップS4)。この判別は、図1の入力操作形状同一ポリゴン図形識別部8が前記のような処理を行うことによってなされる。また、この判別は、利用者による形状入力が開始されたとき直ちに行われるため、入力途中での判別も行われることとなり、特に入力初期の段階では適切なものが見つからないことが多いので、前記判別では未だほぼ同じ形状を持つポリゴンが見つからないと判別され、再びステップS1に戻って地図の画面表示領域内での形状入力がなされる。
【0068】
上記動作の継続によりステップS4で画面中に入力形状とほぼ同じ形状を持つポリゴンが見つかったと判別したときには、見つかったほぼ同一形状を持つポリゴンの数を判別する(ステップS5)。ここで1つだけであると判別したときにはステップS8に進み、形状が近似するポリゴンが複数見つかったときには、入力形状が所定の長さ以上であることを判別し(ステップS6)、未だ入力形状が僅かであると判別した時には再びステップS1に戻り、前記ステップS1から前記ステップS6までの処理を繰り返す。
【0069】
ステップS5でほぼ同一形状を持つポリゴンが複数あると判別され、ステップS6で入力形状が所定以上の長さとなって、これ以上長い入力は実質的に困難であることを判別したときには、入力形状に最も近い形状を持つポリゴンを、利用者が入力した形状を持つポリゴンであるとして選択する(ステップS7)。
【0070】
ステップS8の判別に際しては、選択したポリゴンの種別(端部を持つ線状のポリゴン、或いは環状のポリゴン)を判別し、地図画面表示領域の移動態様を変化させるデータとして用いることができる。その外、選択したポリゴンが線状ポリゴンであっても道路ポリゴン、川ポリゴンであるか等の識別、環状ポリゴンであっても湖ポリゴン、等高線ポリゴン、等圧線ポリゴンであるか等の識別を行っても良く、これらの識別データによって案内する情報を適切に選別することができる。次いでポリゴンに沿った地図画面表示領域の移動及び情報提供処理が図3に示すように行われる(ステップS9)。
【0071】
図3に示すポリゴンに沿った地図画面表示領域の移動及び情報提供処理に際しては、最初に表示画面中心を、選択した近接するポリゴンの一部に移動する(ステップS11)。その際には前記のように、表示画面中心に最も近いポリゴンの一部分を画面中心に移動しても良く、利用者の指示入力の起点に近いポリゴンの一部分を表示画面中心に移動する等、各種の手法を用いることができる。この動作は図1の地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理部10における、画面表示中心設定部11において行われる。なお、このような画面の移動操作により、利用者はこれから地図画面表示領域が画面中心に存在するポリゴンに沿って移動することが判り、その際に所望のポリゴンではないと思ったときにはこの動作を中止し、もう一度やり直す、等の操作を行うことができるようになる。
【0072】
次いで、地図画面表示領域を入力操作した方向に、入力操作に対応した速度で、ポリゴンに沿って移動する(ステップS12)。移動中に画面内に提供する情報があることを検出した場合(ステップS13)、検出した情報を画面表示または音声案内として出力する(ステップS14)。特に音声案内に際しては、緊急情報等の特に注意を要する情報を出力するように設定しても良い。
【0073】
前記ステップS13において画面内に提供する情報がないと判別したときには、地図画面表示領域移動の停止指示の有無を判別する(ステップS15)。ここで利用者による停止指示があったと判別したときには、ステップS20に進んで表示画面領域の移動を停止する。その後、図示されていないが、再び移動を行う指示等によって移動処理を再開させることができる。ステップS15において未だ地図画面表示領域移動の停止指示がないと判別したときには、選択したポリゴンの種別(線状ポリゴン或いは環状ポリゴン)を判別し(ステップS16)、道路等の線状のポリゴンであると判別したときには、線状ポリゴンの端部に到達した事の有無を判別し(ステップS17)、端部に到達していないときには前記ステップS12に戻って、地図画面表示領域のポリゴンに沿った移動と前記動作を繰り返す。
【0074】
ステップS17で線状ポリゴンの端部に到達したと判別したときには、この実施例においては到達端部から逆方向に移動する動作を行う(ステップS18)。同様の動作を繰り返すことにより道路の逆側の端部に到達したときも、Uターンして戻すように設定しても良い。但し、このように線状ポリゴンの端部に到達したときには、ステップS20に進んで、表示画面領域の移動を停止するように設定しても良い。
【0075】
前記ステップS16において選択したポリゴンは線状ポリゴンではない、即ち選択したポリゴンは環状ポリゴンであると判別した場合、ステップS19に進んでその環状ポリゴンに沿って移動し、その際の移動はこの例においてはポリゴンに沿って循環移動し、ステップS12に戻って、ステップS15で地図画面表示領域移動の停止指示があるまで前記動作を繰り返す。
【0076】
本発明は上記のような機能ブロックと動作フローにより、前記図4〜6と共に説明した動作を行うことができるものであるが、本発明はそのほか更に種々の態様で実施することができる。図7には本発明の更に別の態様を示しており、破線の矢印は地図の移動の様子を示し、M1及びM2はある時点の画面上の地図の表示領域を示している。また、右の吹き出しは画面上に表示された、或いは、案内データ22に記憶された検索結果を示す。
【0077】
図7に示したように、利用者が海岸線に沿って地図を移動させた場合、画面上に表示された施設などの情報を画面上に表示する。利用者が本発明を用いて地図の移動を開始し、ナビゲーション装置の画面にM1の領域が表示された際に、M1に含まれる〇〇公園と××駐車場が距離と共に検索結果として表示される。更に地図の移動を継続し、M2が画面上に表示された際に、△△海水浴場と□□レストランが検索結果に追加される。
【0078】
上述した例においては、地図の移動に伴い画面上に表示された施設の情報を、順次追加しながら利用者に提供することができる。それにより、利用者が検索結果から目的地や経由地を容易に設定することができるようになる。また、上述の検索結果は、利用者が要求した場合にのみ表示するようにしても良い。
【0079】
以上説明したように、例えば、海岸沿いにあるレストランや線路沿いにある駐車場など、利用者が自身の参照したいポリゴン周辺に存在する施設の情報を、煩わしい操作を行うこと無しに収集し、収集した情報をわかりやすく表示することができるようになる。更に、利用者が情報を収集したい施設の種別やジャンルを指定することによって、利用者が希望する施設を地図上から容易に見つけることが可能となる。
【0080】
本発明が対象とするポリゴンは、地図データベースに記憶されている、山、川、海、湖、市区町村、建物、公園、遊園地、駐車場、観光地エリア、ショッピングモールのポリゴン形状等、種々のものを対象とし、それらに関連した種々の情報を収集することができる。
【0081】
更に、建物や施設のポリゴンの場合には、例えば建物ポリゴン形状に沿ってスクロールし、その建物の周辺の駐車場を探索することもできる。また、駐車場ポリゴンの場合は、その駐車場ポリゴン形状に沿ってスクロールし、入口・出口・食事場所などを探索することもできる。
【0082】
また、目的地を設定したとき、その目的地が含まれる観光エリアを特定し、観光エリアに沿ったスクロールを行い、例えば、有名な観光施設を探索したり、または渋滞箇所の探索も可能となる。このように、「観光エリア」という、実際に地図の地勢データとしては存在しない地域を前記疑似ポリゴンとして作成し、CD−ROM等の地図データベースに格納しておくことにより、その周辺を探索して情報を収集することも可能となる。
【0083】
更に、行政区域等の大きなポリゴンを選択したとき、例えばその表示画面を2画面モードとし、2画面の一方を広域画面とし、選択されたポリゴンの全体を表示し、画面に表示中の地図の領域を容易に認識できるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明による地図移動方法及び装置は、車両用ナビゲーション装置のように運転者が多くの操作を行うことができないときに特に有効に利用することができるが、その外にPDAを初めとする各種の携帯用ナビゲーション装置の地図移動にも利用でき、更にはパソコン等で地図を表示する際においても有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】同実施例におけるポリゴン利用地図画面表示領域移動処理の動作フロー図である。
【図3】前記動作フロー図におけるポリゴンに沿った地図画面表意領域の移動及び情報提供処理の動作フロー図である。
【図4】本発明の動作を地図画面の例で示した第1の実例図である。
【図5】本発明における交通情報の案内出力例を示した第2の実例図である。
【図6】本発明の動作を地図画面の例で示した第3の実例図である。
【図7】本発明の動作を地図画面の例で示した第4の実例図である。
【図8】本発明において利用者が形状を入力するときの状態を示す図であり、(a)は入力の初期画面、(b)は道路ポリゴンの形状を入力したときの図、(c)は湖ポリゴンの形状を入力したときの図である。
【符号の説明】
【0086】
1 外部指示入力部
2 地図画面表示領域入力操作検出部
3 入力操作方向検出部
4 入力操作位置検出部
5 入力操作速度検出部
6 入力操作形状記憶部
7 地図画面表示領域入力操作形状認識部
8 入力操作形状同一ポリゴン図形識別部
9 ポリゴン種別識別部
10 地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理部
11 画面表示中心設定部
12 移動方向設定部
13 移動速度設定部
14 移動停止・再移動指示入力部
15 ポリゴン種別対応移動形態選択部
16 線状ポリゴン対応移動部
17 環状ポリゴン対応移動部
18 地図表示位置指示部
19 地図画面表示領域内データ記憶部
20 地図表示データ
21 ポリゴンデータ
22 案内データ
23 地図・情報入力部
24 内部データ読込部
25 外部データ取込部
26 案内情報選択部
27 案内情報出力部
28 画面表示部
29 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が地図画面表示領域に対して入力操作した形状を認識する入力操作形状認識手段と、
地図画面に表示されているポリゴンデータからなるポリゴン図形と前記入力操作した形状とを比較して、前記入力操作した形状と近似したポリゴン図形を識別する入力操作形状同一ポリゴン種別識別手段と、
前記識別されたポリゴン図形に沿って地図画面表示領域を移動する地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理手段とを備えたことを特徴とする地図移動装置。
【請求項2】
前記ポリゴン図形が端部のある線状ポリゴン或いは環状ポリゴンであることを識別するポリゴン種別識別手段を備え、
前記ポリゴン種別識別手段で線状ポリゴンであることを識別したとき、地図画面表示領域が前記端部に至ったときには地図画面表示領域を逆方向に移動するポリゴン種別対応移動手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項3】
前記ポリゴンデータからなる図形が端部のある線状ポリゴン或いは環状ポリゴンであることを識別するポリゴン種別識別手段を備え、
前記ポリゴン種別識別手段で線状ポリゴンであることを識別したとき、地図画面表示領域が前記端部に至ったときには地図画面表示領域の移動を停止するポリゴン種別対応移動手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項4】
前記ポリゴンデータからなる図形が端部のある線状ポリゴン或いは環状ポリゴンであることを識別するポリゴン種別識別手段を備え、
前記ポリゴン種別識別手段で端部の無い環状ポリゴンであることを識別したとき、地図画面表示領域を前記環状ポリゴンに沿って循環して表示するポリゴン種別対応移動手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項5】
前記ポリゴンデータからなる図形が端部のある線状ポリゴン或いは環状ポリゴンであることを識別するポリゴン種別識別手段を備え、
前記ポリゴン種別識別手段で端部の無い環状ポリゴンであることを識別したとき、地図画面表示領域が環状ポリゴンに沿って1周したときには地図移動を停止することを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項6】
利用者が地図画面表示領域に対して形状を入力操作した時の速度を検出する入力操作速度検出手段を備え、
地図画面表示領域を移動させる速度を前記形状を入力したときの速度に対応して設定する移動速度設定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項7】
利用者が地図画面表示領域に対して形状を入力操作した時の方向を検出する入力操作方向検出手段を備え、
地図画面表示領域を移動させる方向を前記形状を入力したときの方向と同一方向に設定する移動方向設定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項8】
前記入力操作形状同一ポリゴン図形識別手段で入力した形状と近似したポリゴン図形を識別したとき、画面表示領域の中心が前記ポリゴン図形の一部となるように地図画面表示領域を移動する地図画面表示領域ポリゴン対応移動処理手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項9】
前記入力操作形状同一ポリゴン図形識別手段で前記入力操作形状認識手段によって認識された形状と形状が近似したポリゴン図形が複数存在することを検出したとき、最も近似したポリゴン図形を選択する入力操作形状同一ポリゴン図形識別手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項10】
前記移動する地図画面表示領域中に利用者に対する案内情報が存在するとき、画面または音声により利用者に該案内情報を出力する案内情報出力手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項11】
前記案内情報が存在するとき、地図を移動する速度を遅くする移動速度設定手段を備えたことを特徴とする請求項10記載の地図移動装置。
【請求項12】
通信手段により外部から前記案内情報を取り込む地図・情報入力手段を備えたことを特徴とする請求項10記載の地図移動装置。
【請求項13】
前記案内情報を、地図の移動に従い蓄積して出力することを特徴とする請求項10記載の地図移動装置。
【請求項14】
利用者により予め設定した種類の案内情報を選択して出力する案内情報選択手段を備えたことを特徴とする請求項10記載の地図移動装置。
【請求項15】
前記ポリゴンデータからなる図形が建物であり、該建物に沿って地図を移動するとき、周囲の駐車場を探索して出力する案内情報出力手段を備えたことを特徴とする請求項10記載の地図移動装置。
【請求項16】
前記ポリゴンデータからなる図形が駐車場であり、該駐車場に沿って地図を移動するとき、入口、出口、食事場所のいずれかを探索して出力することを特徴とする請求項10記載の地図移動装置。
【請求項17】
前記地図移動装置を車両用ナビゲーション装置に適用したことを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項18】
観光エリアを示す疑似ポリゴンを地図データベースに格納することにより、前記ナビゲーション装置に目的地が設定されたときに、該目的地が含まれる該疑似ポリゴンに沿って地図を移動することを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。
【請求項19】
前記識別した図形に沿って地図を移動するとき、地図表示画面を2分割し、片側には識別した図形を含む詳細地図を表示するとともに、他側には該詳細地図表示範囲を含む広域地図を表示する地図表示手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−108257(P2007−108257A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297043(P2005−297043)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】