説明

地図表示方法およびナビゲーション装置

【課題】任意のタイミングで地図画面上に分割画面として広域地図を表示することができる地図表示方法およびナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】タッチパネル17に表示されているスケールバー10を指301で押圧する。次に、指で押圧したまま詳細地図が表示されている表示地図領域16aまで指303を動かす。そして、表示地図領域16a上で押圧を止め、指を離す。その結果、分割地図表示領域16cに分割画面として広域地図が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図の表示画面に広域地図を分割画面表示する地図表示方法およびナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面に表示した地図画面をスクロールすると分割画面に広域地図が表示される地図表示装置が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−186392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されている地図表示装置は、予め定めたタイミングで広域地図の分割画面表示を行い、広域地図を予め定めた縮尺率で表示するようにしている。そのため、操作者が任意のタイミングで広域地図の分割画面を表示させたり、その広域地図の縮尺率を自由に選択することができないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明は、タッチパネル画面上に表示されている地図の縮尺率を変更する複数のボタン群を備えるナビゲーション装置の地図表示方法に適用され、ボタン群のいずれか一つを指で押圧しながら押圧位置を移動することにより、タッチパネル画面上に表示されている主地図とともに、その主地図よりも縮尺率の小さい広域地図を表示することを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1の地図表示方法において、ボタン群は主地図が表示されている領域のいずれか一辺に配置され、広域地図は、指によるタッチパネル押圧位置が主地図の表示領域まで移動して離したときに、主地図の一部を覆って表示されることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2項に記載の地図表示方法において、広域地図は、指で押圧を開始したいずれか一つのボタンに割り当てられている縮尺率で表示されることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の地図表示方法において、
主地図の縮尺率は、広域地図が表示される前後で変更しないことを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の地図表示方法において、
広域地図は半透明であることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の地図表示方法において、いずれか一つのボタンを所定時間以上押圧し続けると、主地図の縮尺率は、押圧されたボタンに割り当てられている縮尺率に変更されることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の地図表示方法において、
前記ボタン群は、一辺で2列に並んで配置され、タッチパネルの外側の列に配置されているボタンを押圧しながら主地図の表示領域へ指を移動させるとき、タッチパネルの内側の列に配置されているボタンを押圧したときの信号を無効化することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の地図表示方法において、広域地図の任意の地点を指で押圧すると、主地図は、その縮尺率を変更せずに、押圧された地点を中心とする周辺地図に切換えられることを特徴とする。
(9)請求項9の発明によるナビゲーション装置は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の地図表示方法によって主地図と広域地図を表示する地図表示手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、操作者は、所望のタイミングで地図画面上に分割画面表示された広域地図を表示することができ、また広域地図の縮尺率を自由に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1のナビゲーション装置1は、地図表示などの通常のナビゲーション機能をタッチパネルによる入力操作で行うようにしている。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、タッチパネル17、VICS(道路交通情報システム)情報受信部19およびディスクドライブ20を有している。タッチパネル17は、表示モニタ16の表面に積層される透明のタッチスイッチである。この明細書中、表示モニタ16に表示される画像がタッチパネル17に表示されると表現する。タッチパネル17には、タッチパネル17からの信号によりタッチパネル17の押圧位置を算出するタッチパネルコントロール部18が接続されている。ディスクドライブ20には、地図データが記録されたDVD−ROM21が装填される。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺率の地図データを有し、操作者の要求にしたがって、表示地図の縮尺率を変更することができる。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM21に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、車両の進行方位を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14cなどからなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはディスクドライブ20によって読み込まれるDVD−ROM21に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示など行うことができる。
【0010】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報を画面表示としてナビゲーション装置1の操作者に提供する。上述したとおり、タッチパネル17は表示モニタ16のモニタ画面上に設けられた透明パネルであり、表示モニタ16に表示したモニタ画面はタッチパネル17を通して表示される。タッチパネル17は入力機能を有し、タッチパネル17に表示された地図画面や各種ボタン、表示メニューなどを指で押圧すると、タッチパネルコントロール部18によって押圧位置が算出される。算出された押圧位置は制御回路11に入力され、目的地を設定したり、各種ボタンや表示メニューに対応する機能を実行する。たとえば、タッチパネル17に表示されたスクロールボタンを押圧すると、地図画面や選択メニューなどの表示をスクロールすることができる。
【0011】
目的地が操作者により設定されると、ナビゲーション装置1は、GPSセンサ14cにより検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められたルート(以下、探索ルートという)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、操作者は地図上の探索ルートを画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、探索ルートに従って車両が走行できるように、操作者に対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を誘導する。
【0012】
VICS情報受信部19は、図示しないVICS情報センターから供給される渋滞情報などのVICS情報を受信し、制御回路11に出力する。このVICS情報は主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって送信される。ナビゲーション装置1は、これらによって送信されたVICS情報をVICS情報受信部19により受信する。
【0013】
ディスクドライブ20は、装填されたDVD−ROM21から、表示モニタ16に地図を表示させるための地図データを読み出す。なお、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0014】
次に、本発明の実施形態の地図表示方法およびナビゲーション装置における操作者の操作を図2〜6を参照して説明する。
図2は、車両を走行中に表示されるナビゲーション装置1の表示画面であり、通常、地図画面の中央に自車位置201を表示した地図が地図表示領域16aに表示される。この明細書では、地図表示領域16aに表示される地図を主地図と呼ぶ。そして、地図表示領域16aの隣に設けた表示領域16bにはスケールバー203〜215が表示される。スケールバー203〜215は、表示領域16b内においてタッチパネル16の左辺に沿って2列に並んで配置されている。スケールバー203〜215は地図表示領域16aに表示される主地図の縮尺率を選択する複数のボタンであり、スケールバー203〜215を所定時間、たとえば、0.5秒間、指で押圧し続けると、地図縮尺率が変更され、新たな縮尺率の地図が表示される。たとえば、スケールバー215を所定時間押圧し続けると、地図の横の長さが、スケールバー215に表示されている10mに相当する縮尺率の主地図が表示される。このように、押圧するスケールバー203〜215を選択することによって、主地図の縮尺率を選択することができる。
【0015】
次に、表示中の主地図より広域を表示した広域地図を地図表示領域16a内に分割画面として表示させる手順を説明する。たとえば、分割画面として表示する広域地図を地図の横の長さが200mに相当する縮尺率で表示させる場合について、図3を参照して説明する。まず、スケールバー210を指301で押圧し、所定時間経過する前に、指301でタッチパネル17を押圧したまま、符号302で示すように、地図表示領域16aまで指303を動かす。そして、地図表示領域16aの適宜の位置で押圧を止めて指303を離す。その結果、図4に示すように、地図表示領域16aの右下の分割画面領域16cに広域地図が表示される。すなわち、地図表示領域16aに表示されている主地図の一部を覆うように分割画面領域16cに広域地図が表示される。この広域地図の縮尺率は、分割画面領域16cの横幅が200mに相当する縮尺率である。つまり、分割画面領域16cに表示される広域地図の縮尺率は、スケールバー203〜215のうち、指301を最初に押し下げしたスケールバーに基づいて選択される。
【0016】
ここで、広域地図とは、地図表示領域16aの地図より縮尺率が小さく、地図表示領域16aに表示されている地図範囲を含む地図をいう。広域地図が表示されても、地図表示領域16aに表示中の主地図の縮尺率は変更されない。また、分割画面領域16cに広域地図が表示されるのと同時に、スケールバー203〜215は非表示になるとともに、広域地図にも自車位置402が表示される。広域地図は半透明で表示され、地図表示領域16aに表示されている道路やランドマークなどは、分割画面領域16c内でも薄く表示さ
れる。また、分割画面領域16cの右上には非表示マーク403が表示されており、非表示マーク403を押圧すると、分割画面領域16c全体が非表示になる。分割画面領域16cが非表示になると、図2に示すスケールバー203〜215が表示される画面となる。
【0017】
次に、広域地図を地図表示領域16a内に分割表示するための処理手順を図5のフローチャートを参照して説明する。この処理は制御回路11においてプログラムを実行して行われる。
【0018】
ステップS501では、タッチパネルコントロール部18から出力された信号が、スケールバー203〜215を押圧したときの信号(スケールバー信号)であるか判定する。スケールバー信号でないと判定された場合は、ステップS501に戻る。スケールバー信号と判定された場合はステップS502へ進み、スケールバー信号が主地図の横幅に相当する距離よりも大きい距離を表示したスケールバー203〜215を押圧したときのものであるか、つまり主地図よりも広域の地図を表示するスケールバー203〜215を押圧したときのスケールバーの信号であるか判定する。ステップS502が肯定されるとステップS503へ進み、否定されるとステップS501へ戻る。このように、スケールバー信号が主地図の横幅に相当する距離よりも大きい距離を表示したスケールバー203〜215を押圧したときのものであるか判定するのは、広域地図により主地図がどの地域を表示しているものであるかを理解し易くすることが、新たに表示させる地図の目的であるからである。
【0019】
ステップS503では、ステップS501で検出されたスケールバー信号と異なるスケールバー信号がタッチパネルコントロール部18から出力されている場合、そのスケールバー信号を無効とする。これは、スケールバー203〜215のいずれか一つを押圧しながら指を移動させる際、別のスケールバー203〜215を押圧することがあり、その場合、最初のスケールバー信号のみを有効化するためである。
【0020】
ステップS504では、所定時間、たとえば0.5秒間待機する。そして、ステップS505でタッチパネルコントロール部18からスケールバー信号を読み込み、ステップS501で検出したスケールバー信号と同一のスケールバー信号であるか判定する。同一信号と判定された場合は、スケールバー203〜215のいずれか一つを所定時間押圧し続けたと判定し、ステップS506へ進む。
【0021】
ステップS506では、地図表示領域16aの主地図の縮尺率を、主地図の横幅が押圧したスケールバー203〜215に表示されている距離になるような縮尺率に変更する。同一信号でない場合は、押圧位置が押圧しながら移動したと判定し、ステップS507へ進む。そして、タッチパネルコントロール部18から地図表示領域16aを押圧したときの信号、すなわち地図領域信号が出力されたか判定する。地図領域信号ではないと判定されるとステップS501へ戻り、地図領域信号と判定された場合はステップS508へ進む。
【0022】
ステップS508では、タッチパネルコントロール部18から地図領域信号の出力が停止したか判定する。停止しないと判定された場合はステップS508に止まり、停止した場合は、地図表示領域16aで押圧した指をタッチパネル17から離したと判断してステップS509に進む。ステップS509では、ステップS501で検出されたスケールバー信号に応じた縮尺率で広域地図を分割画面領域16cに表示する。
【0023】
以上のようにして、スケールバー203〜215のいずれか一つを指で押圧しながら地図表示領域16aまで移動して指をタッチパネルから離すと、広域地図が地図表示領域16aの右隅の分割画面領域16cに表示される。
【0024】
次に図5のフローチャートのステップS501で判定されるスケールバー信号および、ステップS506で判定される地図領域信号について説明する。
【0025】
この実施の形態では、スケールバー203〜215を押圧したか否か、そして、地図表示領域16aを押圧したか否かを判定できるように、図6に示すように、タッチパネル17にタッチエリア601と602〜614を設定する。タッチエリア601は、押圧した位置が地図表示領域16aであることを判定するための領域で、このタッチエリア601内の位置信号が地図領域信号である。タッチエリア602〜614はスケールバー203〜215が表示されている位置に押圧されたことを判断するための領域である。タッチエリア602〜614内の位置信号がスケールバー信号である。
【0026】
そして、タッチパネルコントロール部18から地図領域信号が出力されれば、制御回路11は、地図表示領域16aが押圧されたと判定し、タッチパネルコントロール部18からスケールバー信号が出力されれば、制御回路11は、スケールバー203〜215のいずれかが押圧されたことを判定することができる。
【0027】
上記タッチパネルコントロール部18からの各種信号について説明する。まず、タッチパネルの原理を、図7を参照して説明する。図7はタッチパネルの断面を示す図であり、タッチパネル17は、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電膜71を形成したガラス基板72に、スペーサ73をはさんで、ITO膜などの透明導電膜74を形成したPET(Polyethylene Terephalate)フィルム75を貼り合わせることによって作製する。PETフィルム75は可撓性を有するので、PETフィルム75の表面を押圧すると、ガラス基板72に形成された透明導電膜71とPETフィルム75に形成された透明導電膜74は押圧した位置で短絡を起こす。
【0028】
次に、図8を参照してタッチパネルコントロール部18の押圧位置の信号の出力原理を説明する。この押圧をして短絡を起こした位置を図8のA点とする。PETフィルム75に形成されている透明導電膜74にX軸電極81,82を形成する。ガラス基板72に形成されている透明導電膜71にY軸電極83,84を形成する。そして、X軸電極81,82およびY軸電極83,84はタッチパネルコントロール部18に接続されている。
【0029】
Aの位置で押圧されるとき、X軸電極81,82に電圧を印加すると、透明導電膜71と74は短絡されているので、Y軸電極83,84において電圧が検出される。この検出された電圧値から押圧位置のX座標がタッチパネルコントロール部18にて算出される。一方、Y軸電極83,84に電圧を印加すると、同様にしてX軸電極81,82において電圧が検出される。この検出された電圧値により押圧位置のY座標がタッチパネルコントロール部18にて算出される。以上より、X軸電極81,82とY軸電極83,84に交互に電圧を印加することにより、押圧位置Aの位置(X,Y)が算出される。このように算出された押圧位置Aは位置信号としてタッチパネルコントロール部18から制御回路11へ出力される。
【0030】
この位置信号がタッチエリア601内の位置信号であると判定された場合は、制御回路11は地図領域信号と認識し、タッチエリア602〜613内からの位置信号であると判定された場合は、制御回路11はスケールバー信号と認識する。
【0031】
以上の実施の形態によるナビゲーション装置は次のような作用効果を奏する。
(1)タッチパネル17に表示されているスケールバー203〜215のいずれか一つのボタンを押圧し、押圧しながら押圧位置を移動する(こすりだす)だけで、広域地図が表示される。したがって、操作者が任意にしかも簡単に広域地図を表示させることができ、操作者の利便性が向上する。
(2)タッチパネル17に表示されているスケールバー203〜215を押圧し、押圧しながら押圧位置を地図表示領域16aに移動する操作は、ある見方をすれば、スケールバー203〜215から地図表示領域16aに広域地図を移動させる操作に見える。よって、操作者は操作に違和感なく広域地図を表示させることができる。
【0032】
(3)地図表示領域16aでタッチパネル17の押圧を止めたことにより広域地図を表示させるようにしたので、地図表示領域16aに表示されている地図の縮尺率を変更しようとスケールバー203〜215を押圧したとき多少指が動いてしまっても、広域地図が表示されることはない。よって、不必要な広域地図の表示を防止することができる。
(4)地図縮尺率を変更するスケールバー203〜215を用いて、所定の縮尺率の広域地図を表示させることができる。このように、タッチパネル17に表示されているスケールバー203〜215のボタンの押圧方法、すなわち、所定時間押圧し続けるか、または押圧した後に押圧したまま押圧位置を移動させるかによって、一つのボタンに二つの機能すなわち、主地図の縮尺率を変更させる機能と、所定の縮尺率の広域地図を分割表示(2画面表示)する機能を付与するようにしたので、広域地図を分割画面として表示させるボタンや分割画面領域106c内に表示する広域地図の縮尺率を決定するボタンを新たに設ける必要はない。したがって、タッチパネルに表示するボタンの数を減らせるので、タッチパネルの表示が見やすくなり、安全にナビゲーション装置を操作することができる。
【0033】
(5)最初に押圧するスケールバー203〜215に割り当てられている地図縮尺率を選択するようにしたので、操作者の望む縮尺率で広域地図を表示することができ、操作者の利便性が向上する。
(6)分割画面領域16cに広域地図を表示する前後においても、地図表示領域16aの地図の縮尺率は変更しない。その結果、操作者は、広域地図の表示後においても違和感なく地図表示領域16aの主地図を見ることができる。
【0034】
(7)タッチパネル16の外側の列に配置されているスケールバー203,205,207,209,211,213,215を押圧しながら主地図の表示領域16aへ指を移動したとき、タッチパネル16の内側の列に配置されているスケールバー204,206,208,210,212,214を押圧することになるが、このときスケールバー204,206,208,210,212,214から出力される信号を無効化することにより、広域地図の縮尺率を操作者の希望する縮尺率に正しく設定することができる。
(8)分割画面領域11c内の広域地図を半透明で表示するようにしたので、主地図を隠しているという、操作者に与える圧迫感を柔らげることができる。
【0035】
次に本発明の他の実施形態のナビゲーション装置について説明する。このナビゲーション装置では、分割画面領域16c内に表示されている広域地図上の任意の位置を押圧すると、押圧した位置を中心とする主地図を地図表示領域16aに表示することができる。この場合の地図の縮尺率は、もともと地図表示領域16aに表示する地図縮尺率である。
【0036】
図9および図10を参照して説明する。図9は、操作者が分割画面領域16c内の広域地図を指902で押圧した様子を示した図であり、押圧する位置は自車位置402から離れた位置901である。この位置901は、地図表示領域16aに表示している主地図の範囲外の位置である。
【0037】
広域地図上の位置901を指902で押圧すると、図10に示すように、分割画面領域16c内の広域地図上で押圧した位置901を中心とする周辺地図が地図表示領域16aに表示される。表示された周辺地図の縮尺率は、広域地図を押圧する前に地図表示領域16aに表示されていた主地図の縮尺率と同じである。広域地図上で指定した位置901は、地図表示領域16aに表示された周辺地図上に指定地点102として表示される。
以上のようにして、操作者は、自車位置201から離れている位置901の周辺地図を地図表示領域16aに表示させることができる。
【0038】
再び自車位置201を表示した地図を地図表示領域16aに表示させたい場合は、広域地図に表示されている自車位置402を押圧すれば、すぐに自車位置201を中心とする周辺地図を地図表示領域16aに表示させることができる。また、自車位置201から離れている別の位置を中心とする周辺地図を地図表示領域16aに表示させたい場合は、広域地図上の別の位置を押圧すればよい。すなわち、分割画面領域16cに表示されている広域地図に表示されている範囲内であれば、どこでも、その地点を中心とする周辺地図を地図表示領域16aに簡単に表示させることができる。
【0039】
次に、分割画面領域16c内の広域地図を押圧することによって、押圧位置を中心とする周辺地図を地図表示領域16aに表示させる仕組みについて説明する。
広域地図上を押圧すると、タッチパネルコントロール部18から位置信号が制御回路11に出力される。そして、その位置信号から広域地図のどの位置が押圧されたか計算され、地図表示領域16aに表示される地図の中心座標が決定される。そして、その中心座標が地図表示領域16aに表示される地図の中心に表示されるように、DVD−ROM21に記憶されている地図データから地図画面が生成され、広域地図上で押圧した位置901を中心とする周辺地図が地図表示領域16aに表示される。
【0040】
以上の本発明の別の実施の形態によるナビゲーション装置は次のような作用効果を奏する。
(1)操作者は、分割画面領域16cに表示される広域地図上の任意の位置を押圧することによって、地図表示領域16aの主地図に表示されていない地点を中心とする周辺地図をスクロールすることなしで表示させることができる。よって、操作者は、地図表示領域16aの主地図に地図表示されていない地点をすぐに表示させることができ、操作者の利便性が向上する。
(2)操作者は、自車位置402から離れている位置を中心とする周辺地図を地図表示領域16aに表示させた上で、広域地図上での自車位置402を押圧することによって、すぐに自車位置201を中心とする主地図を地図表示領域16aに再び表示させることができる。よって、自車位置201を中心とする主地図を表示しているとき、一時的に短時間、自車位置402から離れている地点を中心とする周辺地図を見たい場合にも対応することができ、操作者の利便性が向上する。
【0041】
以上の実施形態では、スケールバー203〜215を指で押圧し、指で押圧しながら地図表示領域16aまで移動し、そして地図表示領域16aで押圧を止めて離すと、広域地図を表示するものとしたが、押圧しながら地図表示領域16aに移動するだけで広域地図を表示させてもよい。
【0042】
以上の実施形態では、地図分割表示領域16cに表示される広域地図401は半透明であるが、半透明でなくてもよい。また、広域地図は地図表示領域16aの右下隅に表示したが、とくに右下隅に限定されない。
【0043】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
主地図は地図表示領域16aに表示される地図に対応し、広域地図は分割画面領域16cに表示される広域地図に対応する。ボタン群はスケールバー203〜215に対応し、主地図の表示領域は地図表示領域16aに対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】操作者が走行中、通常表示するナビゲーション装置の表示画面を示す図である。
【図3】広域地図を主地図の表示範囲内に表示するための操作を説明するための図である。
【図4】広域地図を主地図の表示範囲内に分割画面として表示したときのタッチパネルの表示画面である。
【図5】広域地図を主地図の表示範囲内に表示するための制御回路における処理を示すフローチャートである。
【図6】タッチパネルに設定されたタッチエリアを示す図である。
【図7】タッチパネルの断面を示す図である。
【図8】タッチパネルの押圧位置の信号の出力原理を説明する図である。
【図9】操作者が広域地図を指で押圧した様子を示した図である。
【図10】広域地図を押圧した位置の周辺地図が表示されたナビゲーション装置の表示画面を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
16a 地図表示領域
16b 表示領域
16c 分割画面領域
17 タッチパネル
18 タッチパネルコントロール部
201、402 自車位置
203〜215 スケールバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル画面上に表示されている地図の縮尺率を変更する複数のボタン群を備えるナビゲーション装置の地図表示方法において、
前記ボタン群のいずれか一つを指で押圧しながら押圧位置を移動することにより、前記タッチパネル画面上に表示されている主地図とともに、その主地図よりも縮尺率の小さい広域地図を表示することを特徴とする地図表示方法。
【請求項2】
請求項1の地図表示方法において、
前記ボタン群は前記主地図が表示されている領域のいずれか一辺に配置され、前記広域地図は、前記指によるタッチパネル押圧位置が前記主地図の表示領域まで移動して離したときに、前記主地図の一部を覆って表示されることを特徴とする地図表示方法。
【請求項3】
請求項1または2項に記載の地図表示方法において、
前記広域地図は、前記指で押圧を開始したいずれか一つのボタンに割り当てられている縮尺率で表示されることを特徴とする地図表示方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の地図表示方法において、
前記主地図の縮尺率は、前記広域地図が表示される前後で変更しないことを特徴とする地図表示方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の地図表示方法において、
前記広域地図は半透明であることを特徴とする地図表示方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の地図表示方法において、
前記いずれか一つのボタンを所定時間以上押圧し続けると、前記主地図の縮尺率は、押圧されたボタンに割り当てられている縮尺率に変更されることを特徴とする地図表示方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の地図表示方法において、
前記ボタン群は、前記一辺に沿って2列に並んで配置され、前記タッチパネルの外側の列に配置されているボタンを押圧しながら前記主地図の表示領域へ指を移動させるとき、前記タッチパネルの内側の列に配置されているボタンを押圧したときの信号を無効化することを特徴とする地図表示方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の地図表示方法において、
前記広域地図の任意の地点を指で押圧すると、前記主地図は、その縮尺率を変更せずに、前記押圧された地点を中心とする周辺地図に切換えられることを特徴とする地図表示方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の地図表示方法によって前記主地図と広域地図を表示する地図表示手段を備えることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−220884(P2006−220884A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33897(P2005−33897)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】