基板から汚染を除去するための方法および装置
【解決手段】基板の上方に洗浄剤が配される。洗浄剤は、液体媒質の中に分散された固体成分を含む。液体媒質の中の固体成分に力が加えられ、固体成分を基板の上に存在する汚染物質に接近させる。固体成分に加えられる力は、液体媒質の中の不混和成分によって作用される。固体成分が汚染物質に十分に接近すると、固体成分と汚染物質との間に相互作用が確立される。次いで、固体成分と相互作用した汚染物質が基板から除去されるように、固体成分は基板から遠ざけられる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路およびメモリセルなどの半導体デバイスの製作では、半導体ウエハ(「ウエハ」)上に特徴を定めるために、一連の製造動作が実施される。ウエハは、シリコン基板上に定められた多重レベル構造の形態をとる集積回路デバイスを含む。基板レベルでは、拡散領域をともなうトランジスタデバイスが形成される。後続のレベルでは、所望の集積回路デバイスを定めるために、相互接続用の金属配線がパターン形成されてトランジスタデバイスと電気的に接続される。また、パターン形成された導電層は、誘電体材料によってその他の導電層から絶縁される。
【0002】
一連の製造動作の間、ウエハ表面は、各種の汚染物質に曝される。汚染源としては、製造動作中に存在する基本的に任意の材料が考えられる。例えば、汚染源は、数あるなかでも、とりわけ、プロセスガス、化学剤、堆積材料、および液体を含むであろう。各種の汚染物質は、微粒子の形態で、ウエハ表面上に堆積することができる。粒子状汚染が除去されないと、汚染付近のデバイスが動作不可能になる恐れがある。このため、ウエハ上に定められた特徴を損なうことなく、実質的に完璧な手法で、ウエハ表面から汚染を取り除く必要がある。しかしながら、粒子状汚染のサイズは、ウエハ上に製作される特徴の微小寸法とおおよそ同程度であることが多い。ウエハ上の特徴に悪影響を及ぼすことなくこのような小さい粒子状汚染を除去することは、極めて困難となる恐れがある。
【0003】
従来のウエハ洗浄方法は、ウエハ表面から粒子状汚染を除去するために、機械力に大きく依存してきた。特徴の小型化および脆弱化は、ウエハ表面に対する機械力の付与に起因して特徴が損傷される確率を増大させる。例えば、高アスペクト比を有する特徴は、十分な大きさの機械力の影響を受けたときに転倒および破壊を発生しやすい。洗浄の問題をさらに複雑化するのは、特徴の小型化に向けた動きが、粒子状汚染のサイズの縮小をも引き起こすことである。十分に小サイズの粒子状汚染は、例えば高アスペクト比の特徴によって囲まれた溝などの、ウエハ表面上の到達困難な領域に入り込む恐れがある。このため、最新の半導体製作中に高効率でなおかつ無害な汚染物質の除去を行うことは、ウエハ洗浄技術での連続的進歩によって立ち向かうべき継続的努力を表している。
【発明の開示】
【0004】
一実施形態では、基板から汚染を除去するための方法が開示される。方法は、基板の上方に洗浄剤を配する動作を含む。洗浄剤は、液体媒質の中に分散された固体成分を含む。方法は、また、固体成分に力を加えて固体成分を基板の上に存在する汚染物質に接近させ、固体成分と汚染物質との間に相互作用が確立されるようにする動作を含む。方法は、さらに、固体成分と相互作用した汚染物質が基板から除去されるように、固体成分を基板から遠ざける動作を含む。
【0005】
別の一実施形態では、基板から汚染を除去するための装置が開示される。装置は、基板を受けるための溝型材を含む。溝型材は、汚染を除去されるべき基板の表面に対向する実質的に平行な向きに配置された抑制表面を含むように形成される。装置は、また、溝型材によって受けられるべき基板を中に浸漬させるように溝型材の中に配された洗浄剤を含む。洗浄剤は、分散した固体成分を含む液体媒質として定められる。装置は、さらに、洗浄剤の中に不混和成分を生成するための、溝型材の中に配された不混和成分生成器を含む。不混和成分は、不混和成分を溝型材の抑制表面と汚染を除去されるべき基板の表面との間で移動させる推進力が加えられるように、洗浄剤の中に生成される。
【0006】
別の一実施形態では、基板から汚染を除去するための方法が開示される。方法は、洗浄剤に基板を浸漬させ、汚染を除去されるべき基板の表面が抑制表面に対向する実質的に平行な向きに配置されるようにする動作を含む。洗浄剤は、液体媒質の中に分散された固体成分を含むものとして定められる。方法は、また、基板を抑制表面とともに水平平面に対して傾ける動作を含む。方法は、さらに、基板より低い高度に対応する位置で洗浄剤の中に不混和成分を生成する動作を含む。不混和成分に作用する浮力は、不混和成分を、基板の上方でなおかつ抑制表面と基板との間で移動させる。基板の上方での不混和成分の移動は、液体媒質の中の固体成分に力を加え、固体成分が基板の上に存在する汚染物質と相互作用するようにする。
【0007】
本発明を例として示した添付の図面と関連させた、以下の詳細な説明から、本発明のその他の態様および利点がより明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下の説明では、本発明の完全な理解を可能にするために、多くの詳細が特定されている。しかしながら、当業者ならば明らかなように、本発明は、これらの一部または全部の詳細を特定しなくても実施可能である。また、本発明が不必要に不明瞭になるのを避けるため、周知のプロセス動作の詳細な説明は省略される。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態にしたがった、半導体ウエハ(「ウエハ」)105から汚染103を除去するための洗浄剤101を具体的に示した図である。本発明の洗浄剤101は、連続液体媒質107と、固体成分109と、不混和成分111とを含む。固体成分109および不混和成分111は、連続液体媒質107の中に分散されている。各種の実施形態では、連続液体媒質107は、水性または非水性のいずれかであることが可能である。特定の実施形態に応じて、不混和成分は、気相、液相、固相、または気相、液相、および固相の組み合わせのいずれかで定めることができる。一実施形態では、不混和成分111は、不混和成分111の混合として定められ、混合の中の各不混和成分111は、共通の物理的状態または異なる物理的状態のいずれかを有する。例えば、各種の実施形態では、不混和成分111の混合の中の不混和成分111の物理的状態は、気体と液体、気体と固体、液体と固体、または複数の気体、複数の液体、および複数の固体の任意の組み合わせを含むことができる。
【0010】
不混和成分111は、連続液体媒質107と混ざらないことを理解されるべきである。代表的な一実施形態では、不混和成分111は、連続液体媒質107の中の気泡として定められる。代表的な別の一実施形態では、不混和成分111は、連続液体媒質107の中の液滴として定められる。連続液体媒質107および不混和成分111に関連付けられた特定の実施形態にかかわらず、固体成分109は、懸濁した状態で連続液体媒質107の中に分散される。
【0011】
特定の実施形態に応じて、洗浄剤101の中の固体成分109は、固相の中の基本的に任意のサブ相を表すような物理的性質を持ちうることを理解されるべきである。ここで、固相は、液体でも気体でもない相として定められる。例えば、弾力性および可塑性などの物理的性質は、洗浄剤101の中の様々な異なるタイプの固体成分109の間で可変である。また、各種の実施形態では、固体成分109は、結晶性の固体または非晶質の固体として定められることを理解されるべきである。それらの特定の物理的性質にかかわらず、洗浄剤101の中の固体成分109は、ウエハ105表面に近接近してまたは接触して配置された際に、ウエハ105表面に対する付着を回避できることが望ましい。また、固体成分109の機械的性質は、洗浄プロセス中に、ウエハ105表面を損傷させないことが望ましい。さらに、固体成分109は、汚染物質103に近接近してまたは接触して配置された際に、ウエハ105表面上に存在する汚染103物質との間に相互作用を確立できることが望ましい。例えば、固体成分109のサイズおよび形状は、固体成分109と汚染物質103との間に相互作用を確立するのに好都合なものであることが望ましい。
【0012】
洗浄剤101の中の固体成分109は、ウエハ105に対する付着および損傷の両方を回避しつつウエハ105上の汚染物質103と相互作用できることが望ましい。また、固体成分109は、液体媒質107への溶解を回避できることが望ましく、なおかつ、液体媒質107全体への分散を可能にする表面機能性を有することが望ましい。液体媒質107全体への分散を可能にする表面機能性を有さない固体成分109については、それらの固体成分109の分散を可能にするために、液体媒質107に化学分散剤を加えることができる。固体成分109は、それらの特定の化学的特性およびそれらを取り囲む液体媒質107との相互作用に応じて、いくつかの異なる形態のうちの1つまたは複数の形態をとることができる。例えば、各種の実施形態では、固体成分109は、集合体、コロイド、ゲル、合体球、または基本的にその他の任意のタイプの膠着、凝結、凝集、集塊、もしくは合体を形成することができる。なお、上で挙げられた代表的な固体成分109の形態の一覧は、包括的な一覧を表していないことを理解されるべきである。その他の実施形態では、固体成分109は、本明細書に明記されていない形態をとることができる。したがって、理解されるべきは、固体成分109は、ウエハ105および汚染物質103との相互作用について上述された方式で機能することができる、基本的に任意の固形材料として定められることである。
【0013】
代表的な一部の固体成分109は、脂肪族酸、カルボン酸、パラフィン、ワックス、高分子、ポリスチレン、ポリペプチド、およびその他の粘弾性材料を含む。固体成分109材料は、液体媒質107の中でのその溶解限度を超える濃度で存在することが望ましい。また、特定の固体成分109材料に関連した洗浄の有効性は、温度の関数として可変であることを理解されるべきである。
【0014】
脂肪族酸は、炭素原子が開鎖を形成するような有機化合物によって定められる基本的に任意の酸を表している。脂肪酸は、洗浄剤101の中の固体成分109として使用できる脂肪族酸の一例である。固体成分109として使用できる脂肪酸の例は、数あるなかでも、とりわけ、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、およびセロチン酸を含む。一実施形態では、固体成分109は、C−1から約C−26に到るまでの様々な炭素鎖長によって定められる脂肪酸の混合を表すことができる。カルボン酸は、1つまたは複数のカルボキシル基(COOH)を含む基本的に任意の有機酸によって定められる。固体成分109として使用されるときに、カルボン酸は、C−1から約C−100に到るまでの様々な炭素鎖長の混合を含むことができる。また、カルボン酸は、長鎖のアルコール、エーテル、および/またはケトンを、液体媒質107の中での溶解限度を超える量で含むことができる。
【0015】
一部の実施形態では、脂肪酸などの特定のタイプの固体成分109が液体媒質107全体に分散することを可能にするために、液体媒質107に分散剤を加えることが必要とされることがある。例えば、化学量論的量未満の量で存在するカルボン酸またはステアリン酸などの材料で形成された固体成分109の懸濁を可能にするために、液体媒質107に塩基を加えることができる。また、カルボン酸塩、リン酸塩、硫酸基、ポリオール基、エチレンオキシドなどの、液体媒質107と混ざる部分を内包させることによって、固体成分109材料の表面機能性に影響を及ぼすことが可能である。理解されるべき点は、固体成分109は、ウエハ105上に存在する汚染物質103と相互作用させられないような形態に固まることのないように、液体媒質107全体に実質的に均一に分散可能であることが望ましいことである。
【0016】
前述のように、連続液体媒質107は、水性または非水性のいずれかであることが可能である。例えば、水性の液体媒質107は、一実施形態では、脱イオン水によって定めることができる。別の一実施形態では、非水性の液体媒質107を、数あるなかでも、とりわけ、炭化水素、フッ化炭素、鉱油、またはアルコールによって定めることができる。液体媒質107が水性であるか非水性であるかにかかわらず、液体媒質107は、イオン性または非イオン性の溶媒およびその他の化学添加剤を含むように調整できることを理解されるべきである。例えば、液体媒質107への化学添加剤は、共溶媒、pH調整剤、キレート剤、極性溶媒、界面活性剤、水酸化アンモニウム、過酸化水素、フッ化水素酸、水酸化テトラメチルアンモニウム、ならびに高分子、微粒子、およびポリペプチドなどのレオロジー調整剤を、任意の組み合わせで含むことができる。
【0017】
前述のように、洗浄剤101の中の不混和成分111は、気相、液相、固相、またはそれらの組み合わせのいずれかで定めることができる。気相で定められた不混和成分111を有するような実施形態では、不混和成分111は、連続液体媒質107全体に分散された気泡として定められる。一実施形態では、気泡は、洗浄剤101の5〜99.9%の容量パーセントを占めるものとして定められる。別の一実施形態では、気泡は、洗浄剤101の50〜95%の重量パーセントを占めるものとして定められる。不混和成分111を定める気体は、例えばN2、Arなどのように不活性、あるいはO2、O3、H2O2、空気、H2、NH3、HFなどのように反応性のいずれかであることが可能である。
【0018】
液相で定められた不混和成分111を有するような実施形態では、不混和成分111は、連続液体媒質107全体に分散した、液体媒質107に混ざらない液滴として定められる。不混和成分111を定める液体は、不活性または反応性のいずれかであることが可能である。例えば、液体媒質107が水性の場合は、不混和成分111を定めるための不活性な液体として、ヘキサンまたは鉱油を使用することが可能である。別の一例では、不混和成分111を定めるための反応性の液体として、油溶性の表面改質剤を使用することが可能である。
【0019】
洗浄プロセス中は、固体成分109がウエハ105上の汚染物質103に近接近するまたは接触するように、液体媒質107の中の固体成分109に対して押し下げ力が作用される。洗浄剤101の中の不混和成分111は、固体成分109に対して押し下げ力を作用させるためのメカニズムを提供する。固体成分109が汚染物質103に十分に接近するまたは接触すると、固体成分109と汚染物質103との間に相互作用が確立される。固体成分109と汚染物質103との間の相互作用は、汚染物質103とウエハ105との間の付着力に打ち勝つのに十分である。したがって、固体成分109がウエハ105から遠ざけられる際は、固体成分109と相互作用した汚染物質103もまた、ウエハ105から遠ざけられる、すなわち、汚染物質103は、ウエハ105から除去される。
【0020】
図2A〜2Bは、本発明の一実施形態にしたがった、ウエハ105から汚染物質103を除去するために洗浄剤101がどのように機能するかを示した図である。図2A〜2Bに示された洗浄剤101は、図1に関連して上述されたのと同じ特性を保持していることを理解されるべきである。図2Aに示されるように、洗浄剤101の液体媒質107の中で、汚染物質103と不混和成分111との間には、固体成分109が介在している。液体媒質の中の不混和成分111は、それが気泡であれ液滴であれ、関連の表面張力を有している。したがって、不混和成分111は、固体成分109に押し付けられると変形され、固体成分109に対して押し下げ力(F)を作用させる。この押し下げ力(F)は、固体成分109をウエハ105およびその上の汚染物質103に向けて移動させる働きをする。一実施形態では、固体成分109が汚染物質103に十分に近づけられたときに、固体成分109と汚染物質103との間に相互作用が生じる。別の一実施形態では、固体成分109が汚染物質103に実際に接触したときに、固体成分109と汚染物質103との間に相互作用が生じる。
【0021】
固体成分109と汚染物質103との間の相互作用の力は、汚染物質103をウエハ105につなぐ力よりも強い。また、固体成分109が汚染物質103と結合するような一実施形態では、固体成分109をウエハ105から遠ざけるために使用される力が、汚染物質103をウエハ105につなぐ力よりも強い。したがって、図2Bに示されるように、固体成分109がウエハ105から遠ざけられる際に、固体成分109と結合された汚染物質103もまた、ウエハ105から遠ざけられる。固体成分109は、汚染103と相互作用することによって洗浄プロセスに影響を及ぼすので、ウエハ105全体にわたる汚染103の除去は、固体成分109がウエハ105全体に如何に良く分布しているかに依存することを理解されるべきである。好ましい一実施形態では、固体成分109は、非常に良く分布しているので、ウエハ105上の基本的にどの汚染物質103も、少なくとも1つの固体成分109に接近している。また、1つの固体成分109は、同時的であれ順次的であれ、2つ以上の汚染物質103と接触できるまたは相互作用できることも理解されるべきである。
【0022】
固体成分109と汚染物質103との間の相互作用は、数あるなかでも、とりわけ、付着、衝突、および引力を含む1つまたは複数のメカニズムを通じて確立することができる。固体成分109と汚染物質103との間の付着は、化学的および/または物理的相互作用を通じて確立することができる。例えば、一実施形態では、化学的相互作用が、固体成分109と汚染物質103との間に糊に似た効果を生じさせる。別の一実施形態では、固体成分109の機械的性質によって、固体成分109と汚染物質103との間の物理的相互作用が促進される。例えば、固体成分109は、汚染物質103に押し付けられたときに汚染物質103が固体成分109の中に刷り込まれるように、可展性であることが可能である。別の一実施形態では、固体成分109網の中に汚染物質103を巻き込ませることが可能である。この実施形態では、固体成分109網を通じて機械的応力を汚染物質103に伝えることによって、ウエハ105からの汚染物質103の除去に必要とされる機械力を提供することができる。
【0023】
汚染物質103による刷り込みに起因する固体成分109の変形は、固体成分109と汚染物質103との間に機械的結合を形成する。例えば、汚染物質103の表面トポグラフィは、汚染物質103が固体成分109の中に押し込まれるにつれて、固体成分109材料の部分が汚染物質103の表面トポグラフィの中の領域に入り、そこから容易に脱出することができなくなることによって、固定のメカニズムを形成するような、表面トポグラフィである。また、汚染物質103が固体成分109の中に押し込まれるにつれて、固体成分109からの汚染物質103の排除に抵抗する真空力を確立することができる。
【0024】
別の一実施形態では、直接的または間接的な接触を通じて固体成分109から汚染物質103へと伝えられるエネルギによって、ウエハ105からの汚染物質103の撤去を引き起こすことができる。この実施形態では、固体成分109は、汚染物質103より柔らかいまたは堅いことが可能である。もし固体成分109が汚染物質103より柔らかい場合は、固体成分109は、衝突の最中に、より大きな変形を生じやすくなり、その結果、汚染物質103をウエハ105から撤去するための運動エネルギの伝達が減少する。しかしながら、固体成分109が汚染物質103より柔らかい場合は、固体成分109と汚染物質103との間の付着結合が強くなるであろう。反対に、もし固体成分109が少なくとも汚染物質103と同程度に堅い場合は、固体成分109と汚染物質103との間に実質的に完璧なエネルギ伝達を生じることができるので、汚染物質103をウエハ105から撤去する働きをする力が増大する。しかしながら、固体成分109が汚染物質103と少なくとも同程度に堅い場合は、固体成分109の変形に依存する相互作用の力は低減されるであろう。なお、固体成分109および汚染物質103に関連した物理的性質ならびに相対速度は、それらの間における衝突の相互作用に影響を及ぼすことを理解されるべきである。
【0025】
上記に加えて、一実施形態では、固体成分109と汚染物質103との間の相互作用は、静電気引力に起因することができる。例えば、もし固体成分109と汚染物質103とが反対の表面電荷を有する場合は、それらは、互いに電気的に引きつけられる。固体成分109と汚染物質103との間の静電気引力は、汚染物質103をウエハ105につなぐ力に打ち勝つのに十分であることが可能である。
【0026】
別の一実施形態では、固体成分109と汚染物質103との間に静電反発力が存在することができる。例えば、固体成分109および汚染物質103は、ともに、負の表面電荷または正の表面電荷のいずれかを有することができる。もし、固体成分109と汚染物質103とを十分に近接近させることが可能であれば、それらの間の静電反発力をファンデルワールス力を通じて打ち負かすことが可能である。不混和成分111によって固体成分109に加えられる力は、静電反発力を打ち負かして固体成分109と汚染物質103との間にファンデルワールス引力を確立させるのに十分である。また、別の一実施形態では、固体成分109および汚染物質103の一方の上または両方の上に存在する表面電荷を相殺することによって、固体成分109と汚染物質103との間の静電反発力が低減されてそれらの間の相互作用が促進されるように、液体媒質107のpHを調整することができる。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態にしたがった、基板から汚染を除去するための方法のフローチャートを示した図である。なお、図3の方法において言及される基板は、半導体ウエハ、または半導体製造プロセスに関連した汚染物質の除去を必要とするその他の任意のタイプの基板を表しうることを理解されるべきである。また、図3の方法において言及される汚染物質は、粒子状汚染、微量金属汚染、有機汚染、フォトレジストのデブリ、ウエハ取り扱い機器からの汚染、およびウエハ背面の粒子状汚染を非限定的に含む、半導体ウエハ製造プロセスに関連した基本的に任意のタイプの汚染物質を表すことができる。
【0028】
図3の方法は、液体媒質の中に固体成分を分散された洗浄剤を、基板の上方に配する動作301を含む。図3の方法において言及される洗浄剤は、図1、図2A、および図2Bに関連して上述されたものと同じである。したがって、洗浄剤の中の固体成分は、懸濁した状態で液体媒質の中に分散される。また、固体成分は、基板を損傷させることおよび基板に付着することを回避するように定められる。一実施形態では、固体成分は、結晶性の固体として定められる。別の一実施形態では、固体成分は、非晶質の固体として定められる。さらに別の一実施形態では、固体成分は、結晶性の固体と非晶質の固体との組み合わせとして表される。また、各種の実施形態において、液体媒質は、水性または非水性のいずれかであることが可能である。
【0029】
方法は、また、固体成分に力を加えて固体成分を基板の上に存在する汚染物質に接近させ、固体成分と汚染物質との間に相互作用が確立されるようにする動作303を含む。前述のように、固体成分に、その固体成分を汚染物質に接近させるために必要とされる力を加えるために、洗浄剤の中に、不混和成分が提供される。一実施形態では、方法は、制御された量の力を固体成分に加えるために、不混和成分を制御する動作を含むことができる。不混和成分は、液体媒質の中の気泡または不混和液滴として定めることができる。また、不混和成分は、液体媒質の中の気泡と不混和液滴との組み合わせとして表すことができる。
【0030】
方法の一実施形態では、不混和成分は、基板の上方に洗浄剤を配する前に、液体媒質の中に定められる。しかしながら、別の一実施形態では、方法は、基板の上方に洗浄剤を配することに続いて、その場で不混和成分を形成する動作を含むことができる。例えば、不混和成分は、洗浄剤と相対的な周囲圧力の減少に際して液体媒質の中の溶解ガスから形成することができる。その場での不混和成分の形成は、汚染除去プロセスを向上できることを理解されるべきである。例えば、一実施形態では、重力が、不混和成分の形成に先立って固体成分を基板に引き寄せる働きをする。次いで、液体媒質の中に予め溶解されていたガスが気泡となって溶液から出てくるように、周囲圧力が低減される。固体成分は、重力によって基板に引き寄せられているので、気泡の大半は、固体成分の上方に形成される。固体成分が既に基板に向けて沈降された状態における、固体成分の上方での気泡の形成は、固体成分を基板上の汚染物質に接近させる動きを向上させる働きをする。
【0031】
各種の実施形態において、固体成分と汚染物質との間の相互作用は、付着力、衝突力、引力、またはそれらの組み合わせによって確立することができる。また、一実施形態では、方法は、固体成分と汚染物質との間の相互作用を向上させるために、液体媒質の化学的性質を調整する動作を含むことができる。例えば、固体成分および汚染物質の一方または両方の表面電荷を打ち消すことによって、静電反発力が低減されるように、液体媒質のpHを調整することができる。
【0032】
また、一実施形態では、方法は、固体成分と汚染物質との間の相互作用を向上させるために、洗浄剤の温度を制御する動作を含むことができる。より具体的に言うと、固体成分の性質を制御するために、洗浄剤の温度を制御することができる。例えば、固体成分は、温度が高いほど可展性が増し、汚染物質に押し付けられた際に形状的になじみやすくなる。そして、固体成分がひとたび汚染物質に押し付けられて、形状的になじむと、今度は、固体成分の可展性を下げて、汚染物質になじんだ形状をより良く維持するために、温度を引き下げることによって、固体成分と汚染物質とを効果的に固定する。温度は、また、固体成分の可溶性を、ひいては濃度を制御するためにも使用することができる。例えば、固体成分は、温度が高いほど、液体媒質に溶解しやすいであろう。温度は、また、ウエハ上においてその場での液液懸濁から固体成分を形成することを制御するためおよび/または可能にするためにも使用することができる。
【0033】
別の一実施形態では、方法は、連続液体媒質の中に溶解した固体を沈殿させる動作を含むことができる。この沈殿動作は、固体を溶媒に溶解させ、次いで、溶媒とは混ざるが固体とは混ざらない成分を追加することによって、実現することができる。溶媒とは混ざるが固体とは混ざらない成分の追加は、固体成分の沈殿を引き起こす。
【0034】
方法は、さらに、固体成分と相互作用した汚染物質が基板から除去されるように、基板から固体成分を遠ざける動作305を含む。一実施形態では、方法は、基板から遠ざかる固体成分および/もしくは汚染物質の動きを制御するまたは向上させるために、基板の上方での洗浄剤の流量を制御する動作を含む。
【0035】
基板から汚染を除去するための本発明の方法は、固体成分と除去されるべき汚染物質との間に相互作用が確立されるように、洗浄剤の固体成分に力を加える手段がある限り、多くの異なる手法で実現することができる。図4Aは、本発明の一実施形態にしたがった、ウエハから汚染を除去するための装置を示した図である。装置は、矢印403に示されるようにウエハ105を受けるための、溝型材401を含む。溝型材401の内側の長さ402および高さ404は、ウエハ105を収容できるように定められることを理解されるべきである。また、一実施形態では、溝型材401の高さ404は調整可能である。前述のように、溝型剤401は、洗浄剤101を内包するように定められる。したがって、ウエハ105は、溝型材401の中へと移動すると、洗浄剤101に浸漬される。溝型材401は、洗浄剤101およびウエハ105と化学的に共存可能であるような十分な強さの任意の材料で作成できることを理解されるべきである。
【0036】
図4Bは、本発明の一実施形態にしたがった、ウエハ105を中に配された溝型材401の垂直断面を示した図である。溝型材401は、汚染を除去されるべきウエハ105の表面に対向する実質的に平行な向きに配置された抑制表面406を含む。溝型材401およびウエハ105は、水平平面408に対してとある角度412で傾けられる。溝型材401の低い方の端/高度には、液体媒質107の中に不混和成分111を生成するための不混和成分生成器409が提供される。
【0037】
前述のように、不混和成分111は、液体媒質107に混ざらない気体または液体のいずれかで形成することができる。不混和成分111材料は、ソース405からライン407を通って不混和成分生成器409へと提供される。洗浄動作中は、不混和成分111をウエハ105の上方で速度Vで移動させるために、推進力が加えられる。不混和成分111がウエハ105の上方を移動される際に、ウエハ105に対する不混和成分の位置は、溝型材401の抑制表面406によって制約されることを理解されるべきである。一実施形態では、不混和成分111をウエハ105の上方で移動させるために加えられる推進力は、浮力である。別の一実施形態では、不混和成111をウエハ105の上方で移動させる推進力は、不混和成分生成器409の分配圧力によって提供される。
【0038】
各種の実施形態において、不混和成分生成器409は、単一の生成ポイントまたは複数の生成ポイントのいずれかを有するように構成することができる。例えば、一実施形態では、不混和成分生成器409は、数々の不混和成分111生成ポイントを含むように構成された多岐管として定められる。また、装置は、洗浄プロセス中にウエハ105を回転させるおよび/または並進させるように定められた基板ホルダを含みうることを理解されるべきである。
【0039】
図4Cは、不混和成分111と、固体成分109と、汚染物質103と、ウエハ105との間の関係を示した図である。不混和成分111がウエハ105表面の上方を移動する際は、洗浄剤の厚さ410が、不混和成分と液体媒質との界面をウエハ105表面から隔てる。ウエハ105の上方での不混和成分111の移動が浮力によって駆動されるような実施形態では、傾斜角412の増大が、相応する浮力の増大を引き起こすことを理解されるべきである。浮力および対応する不混和成分111の速度Vが増すにつれて、不混和成分111は細長くなり、そうして、洗浄剤の厚さ410を増大させる。洗浄剤の厚さ410が十分に大きくなると、不混和成分111は、固体成分109に対して、汚染物質103との相互作用を可能にする十分な力を作用させることができなくなる。また、不混和成分111の速度Vが増すにつれて、ウエハ105表面の上方の所定の位置における不混和成分111の滞在時間が減少する。したがって、傾斜角412は、不混和成分111の速度Vを適切に制御するように設定されることが望ましい。また、抑制表面406とウエハ105との間の分離距離404は、洗浄剤の厚さ410が大きくなり過ぎないように制御されることが望ましい。
【0040】
図4Dは、本発明の一実施形態にしたがった、不混和成分111がどのように固体成分109を汚染物質103に接近させる働きをするかを示した図である。不混和成分111が液体媒質107の中で固体成分109および汚染物質103の上方を横断するにつれて、不混和成分は、力Fによって、固体成分109を汚染物質103へと向かわせる。前述のように、固体成分109と汚染物質103との間には、両者が互いに十分に接近したときに相互作用が生じる。不混和成分111によって固体成分109に作用される力Fは、不混和成分111と液体媒質107との間の圧力差に関連する。また、汚染物質103は、洗浄剤厚さ410の中で、さらにせん断応力にも曝される。また、汚染物質103は、不混和成分111と液体媒質107との間の境界に存在する界面張力にも曝される。これらのせん断応力および界面張力は、汚染物質103をウエハ105表面から撤去するのを助ける働きをする。
【0041】
図4Eは、本発明の一実施形態にしたがった、ウエハ105表面の上方での不混和成分111の横断に続く、ウエハ105表面からの汚染物質103の除去を示した図である。図4Eの実施形態では、固体成分109および汚染物質103は、前述のようなせん断応力および界面張力の影響下において、合体した一単位のかたちでウエハ105から除去される。別の一実施形態では、固体成分109は、汚染物質103と実際に合体することなくウエハ105から汚染物質103を除去するために、汚染物質103と相互作用する。この実施形態では、固体成分109および汚染物質103は、それぞれ個別にウエハ105から遠ざかる。一実施形態では、ウエハ105からの汚染物質103の除去は、溝型材401を通る洗浄剤の流れに関連したせん断応力によって向上される。この実施形態では、装置は、固体成分109と相互作用した汚染物質103がウエハ105から遠ざけられるように、洗浄剤の中に流れを導入するように定められた洗浄剤循環器を含むことができる。
【0042】
図4Fは、本発明の別の一実施形態にしたがった、ウエハ105表面からの汚染物質103の除去を示した図である。図4Fの実施形態では、液体媒質107は水性、不混和成分111は非水性、そして固体成分109は表面活性である。不混和成分111が固体成分109の上方を横断する際に、不混和成分は、固体成分109に力Fを作用させるのみならず、固体成分109が不混和成分111と液体媒質107との間の界面領域に引き込まれるように固体成分109を濡らすことも行う。このため、固体成分109と汚染物質103との合体のウエハ105からの除去は、不混和−液体界面への固体成分109の吸収によって向上される。
【0043】
図4A〜4Fの装置は、特定の代表的実施形態に関して説明されてきたが、ウエハからの汚染物質の除去に関する原理は、その他の実施形態の装置にも等しく適用可能であることを理解されるべきである。例えば、図4A〜4Fの装置は、不混和成分111のための推進力が提供され、固体成分109と汚染物質103との相互作用を可能にするための力Fが不混和成分111によって固体成分109に及ぼされる限り、ウエハを水平の向き、垂直の向き、または逆さの向きに維持するように変更することができる。また、各種の実施形態では、ウエハ105の上方での不混和成分111の横断と組み合わせて、ウエハ105を回転させる、引く、押す、または別の方法で撹拌することが可能である。
【0044】
また、図3の方法と合わせて図4A〜4Fの装置を使用して実施される洗浄プロセスは、温度、圧力、流量、および時間などのパラメータについての特定の制御設定を規定するレシピにしたがって実施することができる。一実施形態では、装置は、固体成分109と汚染物質103との間の相互作用を向上させるとともにウエハ105からの汚染物質103の除去を向上させるために、洗浄剤の化学的性質を監視および調整するように定められた洗浄剤制御システムを含むことができる。また、一実施形態では、装置は、溝型材401の中の洗浄剤の温度を制御するように定められた温度制御システムを含むことができる。さらに、図3の方法と合わせて図4A〜4Fの装置を使用して実施される洗浄プロセスは、反復方式で、すなわち多段階方式で実施することができる。また、図4A〜4Fの単一ウエハ105装置に関して説明された原理は、複数ウエハ105を同時的に処理するように構成された装置に拡大適用することができる。
【0045】
図5は、本発明の別の一実施形態にしたがった、基板から汚染を除去するための方法のフローチャートを示した図である。方法は、基板を洗浄剤に浸漬させ、汚染を除去されるべき基板の表面が抑制表面に対向する実質的に平行な向きに配置されるようにする動作501を含む。図4A〜4Fは、前述のように、洗浄剤に浸漬されつつ抑制表面に対向する実質的に平行な向きに配置された基板の一例を示している。図5の方法において言及される洗浄剤は、前述のものと同じ洗浄剤101を表すことを理解されるべきである。したがって、洗浄剤は、液体媒質107の中に分散された固体成分109を含む。
【0046】
方法は、また、基板を抑制表面とともに水平平面に対して傾ける動作503を含む。各種の実施形態では、この傾けは、基板を抑制表面に対向する実質的に平行な向きに配置する前または後のいずれかに実施することができる。方法は、さらに、基板より低い高度に対応する位置で洗浄剤の中に不混和成分を生成する動作505を含む。図4Bは、前述のように、基板より低い高度で洗浄剤の中に生成された不混和成分111の一例を示している。ここで、ウエハ105は、基板を表している。
【0047】
不混和成分に作用する浮力は、不混和成分を、基板の上方でなおかつ抑制表面と基板との間で移動させる。基板の上方での不混和成分の移動は、液体媒質の中の固体成分に力を加え、その固体成分が基板の上に存在する汚染物質と相互作用するようにする。図4C〜4Fは、前述のように、固体成分と汚染物質との間の相互作用を促進し、汚染物質が基板から除去されるようにするために、不混和成分がどのように固体成分に力を作用させるかについての一例を示している。
【0048】
図5のフローチャートで説明された方法は、汚染除去プロセスを向上させるために、数々の追加の動作を含むことができる。一実施形態では、基板の上方での不混和成分の速度の制御を可能にするために、基板を抑制表面とともに傾ける角度を調整する動作を含むことができる。また、不混和成分が基板の上方を移動する際に、不混和成分と基板との間の距離を制御することを可能にするために、抑制表面と基板との間の距離を調整する動作を含むことができる。
【0049】
別の動作では、基板の上方に洗浄剤の流れを導入するために、洗浄剤を循環させることができる。基板の上方への洗浄剤の流れの導入は、洗浄剤の中での化学種の補充を可能にするとともに、除去された汚染物質が基板から遠ざかる動きを向上させることを理解されるべきである。方法は、さらに、固体成分と汚染物質との間の相互作用を向上させ、そうして基板からの汚染物質の除去を向上させるために、洗浄剤の化学的性質を監視および調整する動作を含むことができる。洗浄剤の温度もまた、固体成分と汚染物質との間の相互作用を向上させるために、監視および調整することができる。また、基板の上方で不混和成分が移動する際に、回転、並進、または回転と並進との両方のいずれかを通じて基板を操作する動作が実施できることも理解されるべきである。
【0050】
本発明は、半導体ウエハから汚染物質を除去するという背景のもとで説明されてきたが、前述の本発明の原理および技術は、半導体ウエハ以外の表面の洗浄にも等しく適用可能であることを理解されるべきである。例えば、本発明は、半導体製造で使用される任意の機器表面を洗浄するために使用することができる。ここで、任意の機器表面とは、例えばウエハと空気空間を共有するなどウエハと環境的に通じている任意の表面を意味するものとする。本発明は、また、汚染の除去が重要であるようなその他の技術分野で使用することもできる。例えば、本発明は、宇宙計画、または表面科学、エネルギ、光学、マイクロエレクトロニクス、MEMS、フラットパネル処理、太陽電池、メモリデバイスなどのその他のハイテク分野で使用される部品上の汚染を除去するために使用することができる。本発明を使用可能であるものとして挙げられた上記の代表的な分野の一覧は、包括的な一覧を表すことを意図していないことを理解されるべきである。さらに、本明細書での代表的な説明で使用されるウエハは、基板、部品、パネルなどの基本的にその他の任意の構造を表すように一般化可能であることを理解されるべきである。
【0051】
以上では、いくつかの実施形態の観点から本発明の説明がなされてきたが、当業者ならば、先立つ明細書を読み、図面を検討することによって、各種の代替、追加、置換、および等価の形態を認識できるであろう。したがって、本発明は、本発明の真の趣旨および範囲に含まれるものとして、このようなあらゆる代替、追加、置換、および等価の形態を含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態にしたがった、半導体ウエハから汚染を除去するための洗浄剤を具体的に示した図である。
【図2A】本発明の一実施形態にしたがった、ウエハから汚染物質を除去するために洗浄剤がどのように機能するかを示した図である。
【図2B】本発明の一実施形態にしたがった、ウエハから汚染物質を除去するために洗浄剤がどのように機能するかを示した図である。
【図3】本発明の一実施形態にしたがった、基板から汚染を除去するための方法のフローチャートを示した図である。
【図4A】本発明の一実施形態にしたがった、ウエハから汚染を除去するための装置を示した図である。
【図4B】本発明の一実施形態にしたがった、ウエハを中に配された溝型材の垂直断面を示した図である。
【図4C】本発明の一実施形態にしたがった、不混和成分と、固体成分と、汚染物質と、ウエハとの間の関係を示した図である。
【図4D】本発明の一実施形態にしたがった、不混和成分がどのように固体成分を汚染物質に接近させる働きをするかを示した図である。
【図4E】本発明の一実施形態にしたがった、ウエハ表面の上方での不混和成分の横断に続く、ウエハ表面からの汚染物質の除去を示した図である。
【図4F】本発明の別の一実施形態にしたがった、ウエハ表面からの汚染物質の除去を示した図である。
【図5】本発明の別の一実施形態にしたがった、基板から汚染を除去するための方法のフローチャートを示した図である。
【背景技術】
【0001】
集積回路およびメモリセルなどの半導体デバイスの製作では、半導体ウエハ(「ウエハ」)上に特徴を定めるために、一連の製造動作が実施される。ウエハは、シリコン基板上に定められた多重レベル構造の形態をとる集積回路デバイスを含む。基板レベルでは、拡散領域をともなうトランジスタデバイスが形成される。後続のレベルでは、所望の集積回路デバイスを定めるために、相互接続用の金属配線がパターン形成されてトランジスタデバイスと電気的に接続される。また、パターン形成された導電層は、誘電体材料によってその他の導電層から絶縁される。
【0002】
一連の製造動作の間、ウエハ表面は、各種の汚染物質に曝される。汚染源としては、製造動作中に存在する基本的に任意の材料が考えられる。例えば、汚染源は、数あるなかでも、とりわけ、プロセスガス、化学剤、堆積材料、および液体を含むであろう。各種の汚染物質は、微粒子の形態で、ウエハ表面上に堆積することができる。粒子状汚染が除去されないと、汚染付近のデバイスが動作不可能になる恐れがある。このため、ウエハ上に定められた特徴を損なうことなく、実質的に完璧な手法で、ウエハ表面から汚染を取り除く必要がある。しかしながら、粒子状汚染のサイズは、ウエハ上に製作される特徴の微小寸法とおおよそ同程度であることが多い。ウエハ上の特徴に悪影響を及ぼすことなくこのような小さい粒子状汚染を除去することは、極めて困難となる恐れがある。
【0003】
従来のウエハ洗浄方法は、ウエハ表面から粒子状汚染を除去するために、機械力に大きく依存してきた。特徴の小型化および脆弱化は、ウエハ表面に対する機械力の付与に起因して特徴が損傷される確率を増大させる。例えば、高アスペクト比を有する特徴は、十分な大きさの機械力の影響を受けたときに転倒および破壊を発生しやすい。洗浄の問題をさらに複雑化するのは、特徴の小型化に向けた動きが、粒子状汚染のサイズの縮小をも引き起こすことである。十分に小サイズの粒子状汚染は、例えば高アスペクト比の特徴によって囲まれた溝などの、ウエハ表面上の到達困難な領域に入り込む恐れがある。このため、最新の半導体製作中に高効率でなおかつ無害な汚染物質の除去を行うことは、ウエハ洗浄技術での連続的進歩によって立ち向かうべき継続的努力を表している。
【発明の開示】
【0004】
一実施形態では、基板から汚染を除去するための方法が開示される。方法は、基板の上方に洗浄剤を配する動作を含む。洗浄剤は、液体媒質の中に分散された固体成分を含む。方法は、また、固体成分に力を加えて固体成分を基板の上に存在する汚染物質に接近させ、固体成分と汚染物質との間に相互作用が確立されるようにする動作を含む。方法は、さらに、固体成分と相互作用した汚染物質が基板から除去されるように、固体成分を基板から遠ざける動作を含む。
【0005】
別の一実施形態では、基板から汚染を除去するための装置が開示される。装置は、基板を受けるための溝型材を含む。溝型材は、汚染を除去されるべき基板の表面に対向する実質的に平行な向きに配置された抑制表面を含むように形成される。装置は、また、溝型材によって受けられるべき基板を中に浸漬させるように溝型材の中に配された洗浄剤を含む。洗浄剤は、分散した固体成分を含む液体媒質として定められる。装置は、さらに、洗浄剤の中に不混和成分を生成するための、溝型材の中に配された不混和成分生成器を含む。不混和成分は、不混和成分を溝型材の抑制表面と汚染を除去されるべき基板の表面との間で移動させる推進力が加えられるように、洗浄剤の中に生成される。
【0006】
別の一実施形態では、基板から汚染を除去するための方法が開示される。方法は、洗浄剤に基板を浸漬させ、汚染を除去されるべき基板の表面が抑制表面に対向する実質的に平行な向きに配置されるようにする動作を含む。洗浄剤は、液体媒質の中に分散された固体成分を含むものとして定められる。方法は、また、基板を抑制表面とともに水平平面に対して傾ける動作を含む。方法は、さらに、基板より低い高度に対応する位置で洗浄剤の中に不混和成分を生成する動作を含む。不混和成分に作用する浮力は、不混和成分を、基板の上方でなおかつ抑制表面と基板との間で移動させる。基板の上方での不混和成分の移動は、液体媒質の中の固体成分に力を加え、固体成分が基板の上に存在する汚染物質と相互作用するようにする。
【0007】
本発明を例として示した添付の図面と関連させた、以下の詳細な説明から、本発明のその他の態様および利点がより明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下の説明では、本発明の完全な理解を可能にするために、多くの詳細が特定されている。しかしながら、当業者ならば明らかなように、本発明は、これらの一部または全部の詳細を特定しなくても実施可能である。また、本発明が不必要に不明瞭になるのを避けるため、周知のプロセス動作の詳細な説明は省略される。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態にしたがった、半導体ウエハ(「ウエハ」)105から汚染103を除去するための洗浄剤101を具体的に示した図である。本発明の洗浄剤101は、連続液体媒質107と、固体成分109と、不混和成分111とを含む。固体成分109および不混和成分111は、連続液体媒質107の中に分散されている。各種の実施形態では、連続液体媒質107は、水性または非水性のいずれかであることが可能である。特定の実施形態に応じて、不混和成分は、気相、液相、固相、または気相、液相、および固相の組み合わせのいずれかで定めることができる。一実施形態では、不混和成分111は、不混和成分111の混合として定められ、混合の中の各不混和成分111は、共通の物理的状態または異なる物理的状態のいずれかを有する。例えば、各種の実施形態では、不混和成分111の混合の中の不混和成分111の物理的状態は、気体と液体、気体と固体、液体と固体、または複数の気体、複数の液体、および複数の固体の任意の組み合わせを含むことができる。
【0010】
不混和成分111は、連続液体媒質107と混ざらないことを理解されるべきである。代表的な一実施形態では、不混和成分111は、連続液体媒質107の中の気泡として定められる。代表的な別の一実施形態では、不混和成分111は、連続液体媒質107の中の液滴として定められる。連続液体媒質107および不混和成分111に関連付けられた特定の実施形態にかかわらず、固体成分109は、懸濁した状態で連続液体媒質107の中に分散される。
【0011】
特定の実施形態に応じて、洗浄剤101の中の固体成分109は、固相の中の基本的に任意のサブ相を表すような物理的性質を持ちうることを理解されるべきである。ここで、固相は、液体でも気体でもない相として定められる。例えば、弾力性および可塑性などの物理的性質は、洗浄剤101の中の様々な異なるタイプの固体成分109の間で可変である。また、各種の実施形態では、固体成分109は、結晶性の固体または非晶質の固体として定められることを理解されるべきである。それらの特定の物理的性質にかかわらず、洗浄剤101の中の固体成分109は、ウエハ105表面に近接近してまたは接触して配置された際に、ウエハ105表面に対する付着を回避できることが望ましい。また、固体成分109の機械的性質は、洗浄プロセス中に、ウエハ105表面を損傷させないことが望ましい。さらに、固体成分109は、汚染物質103に近接近してまたは接触して配置された際に、ウエハ105表面上に存在する汚染103物質との間に相互作用を確立できることが望ましい。例えば、固体成分109のサイズおよび形状は、固体成分109と汚染物質103との間に相互作用を確立するのに好都合なものであることが望ましい。
【0012】
洗浄剤101の中の固体成分109は、ウエハ105に対する付着および損傷の両方を回避しつつウエハ105上の汚染物質103と相互作用できることが望ましい。また、固体成分109は、液体媒質107への溶解を回避できることが望ましく、なおかつ、液体媒質107全体への分散を可能にする表面機能性を有することが望ましい。液体媒質107全体への分散を可能にする表面機能性を有さない固体成分109については、それらの固体成分109の分散を可能にするために、液体媒質107に化学分散剤を加えることができる。固体成分109は、それらの特定の化学的特性およびそれらを取り囲む液体媒質107との相互作用に応じて、いくつかの異なる形態のうちの1つまたは複数の形態をとることができる。例えば、各種の実施形態では、固体成分109は、集合体、コロイド、ゲル、合体球、または基本的にその他の任意のタイプの膠着、凝結、凝集、集塊、もしくは合体を形成することができる。なお、上で挙げられた代表的な固体成分109の形態の一覧は、包括的な一覧を表していないことを理解されるべきである。その他の実施形態では、固体成分109は、本明細書に明記されていない形態をとることができる。したがって、理解されるべきは、固体成分109は、ウエハ105および汚染物質103との相互作用について上述された方式で機能することができる、基本的に任意の固形材料として定められることである。
【0013】
代表的な一部の固体成分109は、脂肪族酸、カルボン酸、パラフィン、ワックス、高分子、ポリスチレン、ポリペプチド、およびその他の粘弾性材料を含む。固体成分109材料は、液体媒質107の中でのその溶解限度を超える濃度で存在することが望ましい。また、特定の固体成分109材料に関連した洗浄の有効性は、温度の関数として可変であることを理解されるべきである。
【0014】
脂肪族酸は、炭素原子が開鎖を形成するような有機化合物によって定められる基本的に任意の酸を表している。脂肪酸は、洗浄剤101の中の固体成分109として使用できる脂肪族酸の一例である。固体成分109として使用できる脂肪酸の例は、数あるなかでも、とりわけ、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、およびセロチン酸を含む。一実施形態では、固体成分109は、C−1から約C−26に到るまでの様々な炭素鎖長によって定められる脂肪酸の混合を表すことができる。カルボン酸は、1つまたは複数のカルボキシル基(COOH)を含む基本的に任意の有機酸によって定められる。固体成分109として使用されるときに、カルボン酸は、C−1から約C−100に到るまでの様々な炭素鎖長の混合を含むことができる。また、カルボン酸は、長鎖のアルコール、エーテル、および/またはケトンを、液体媒質107の中での溶解限度を超える量で含むことができる。
【0015】
一部の実施形態では、脂肪酸などの特定のタイプの固体成分109が液体媒質107全体に分散することを可能にするために、液体媒質107に分散剤を加えることが必要とされることがある。例えば、化学量論的量未満の量で存在するカルボン酸またはステアリン酸などの材料で形成された固体成分109の懸濁を可能にするために、液体媒質107に塩基を加えることができる。また、カルボン酸塩、リン酸塩、硫酸基、ポリオール基、エチレンオキシドなどの、液体媒質107と混ざる部分を内包させることによって、固体成分109材料の表面機能性に影響を及ぼすことが可能である。理解されるべき点は、固体成分109は、ウエハ105上に存在する汚染物質103と相互作用させられないような形態に固まることのないように、液体媒質107全体に実質的に均一に分散可能であることが望ましいことである。
【0016】
前述のように、連続液体媒質107は、水性または非水性のいずれかであることが可能である。例えば、水性の液体媒質107は、一実施形態では、脱イオン水によって定めることができる。別の一実施形態では、非水性の液体媒質107を、数あるなかでも、とりわけ、炭化水素、フッ化炭素、鉱油、またはアルコールによって定めることができる。液体媒質107が水性であるか非水性であるかにかかわらず、液体媒質107は、イオン性または非イオン性の溶媒およびその他の化学添加剤を含むように調整できることを理解されるべきである。例えば、液体媒質107への化学添加剤は、共溶媒、pH調整剤、キレート剤、極性溶媒、界面活性剤、水酸化アンモニウム、過酸化水素、フッ化水素酸、水酸化テトラメチルアンモニウム、ならびに高分子、微粒子、およびポリペプチドなどのレオロジー調整剤を、任意の組み合わせで含むことができる。
【0017】
前述のように、洗浄剤101の中の不混和成分111は、気相、液相、固相、またはそれらの組み合わせのいずれかで定めることができる。気相で定められた不混和成分111を有するような実施形態では、不混和成分111は、連続液体媒質107全体に分散された気泡として定められる。一実施形態では、気泡は、洗浄剤101の5〜99.9%の容量パーセントを占めるものとして定められる。別の一実施形態では、気泡は、洗浄剤101の50〜95%の重量パーセントを占めるものとして定められる。不混和成分111を定める気体は、例えばN2、Arなどのように不活性、あるいはO2、O3、H2O2、空気、H2、NH3、HFなどのように反応性のいずれかであることが可能である。
【0018】
液相で定められた不混和成分111を有するような実施形態では、不混和成分111は、連続液体媒質107全体に分散した、液体媒質107に混ざらない液滴として定められる。不混和成分111を定める液体は、不活性または反応性のいずれかであることが可能である。例えば、液体媒質107が水性の場合は、不混和成分111を定めるための不活性な液体として、ヘキサンまたは鉱油を使用することが可能である。別の一例では、不混和成分111を定めるための反応性の液体として、油溶性の表面改質剤を使用することが可能である。
【0019】
洗浄プロセス中は、固体成分109がウエハ105上の汚染物質103に近接近するまたは接触するように、液体媒質107の中の固体成分109に対して押し下げ力が作用される。洗浄剤101の中の不混和成分111は、固体成分109に対して押し下げ力を作用させるためのメカニズムを提供する。固体成分109が汚染物質103に十分に接近するまたは接触すると、固体成分109と汚染物質103との間に相互作用が確立される。固体成分109と汚染物質103との間の相互作用は、汚染物質103とウエハ105との間の付着力に打ち勝つのに十分である。したがって、固体成分109がウエハ105から遠ざけられる際は、固体成分109と相互作用した汚染物質103もまた、ウエハ105から遠ざけられる、すなわち、汚染物質103は、ウエハ105から除去される。
【0020】
図2A〜2Bは、本発明の一実施形態にしたがった、ウエハ105から汚染物質103を除去するために洗浄剤101がどのように機能するかを示した図である。図2A〜2Bに示された洗浄剤101は、図1に関連して上述されたのと同じ特性を保持していることを理解されるべきである。図2Aに示されるように、洗浄剤101の液体媒質107の中で、汚染物質103と不混和成分111との間には、固体成分109が介在している。液体媒質の中の不混和成分111は、それが気泡であれ液滴であれ、関連の表面張力を有している。したがって、不混和成分111は、固体成分109に押し付けられると変形され、固体成分109に対して押し下げ力(F)を作用させる。この押し下げ力(F)は、固体成分109をウエハ105およびその上の汚染物質103に向けて移動させる働きをする。一実施形態では、固体成分109が汚染物質103に十分に近づけられたときに、固体成分109と汚染物質103との間に相互作用が生じる。別の一実施形態では、固体成分109が汚染物質103に実際に接触したときに、固体成分109と汚染物質103との間に相互作用が生じる。
【0021】
固体成分109と汚染物質103との間の相互作用の力は、汚染物質103をウエハ105につなぐ力よりも強い。また、固体成分109が汚染物質103と結合するような一実施形態では、固体成分109をウエハ105から遠ざけるために使用される力が、汚染物質103をウエハ105につなぐ力よりも強い。したがって、図2Bに示されるように、固体成分109がウエハ105から遠ざけられる際に、固体成分109と結合された汚染物質103もまた、ウエハ105から遠ざけられる。固体成分109は、汚染103と相互作用することによって洗浄プロセスに影響を及ぼすので、ウエハ105全体にわたる汚染103の除去は、固体成分109がウエハ105全体に如何に良く分布しているかに依存することを理解されるべきである。好ましい一実施形態では、固体成分109は、非常に良く分布しているので、ウエハ105上の基本的にどの汚染物質103も、少なくとも1つの固体成分109に接近している。また、1つの固体成分109は、同時的であれ順次的であれ、2つ以上の汚染物質103と接触できるまたは相互作用できることも理解されるべきである。
【0022】
固体成分109と汚染物質103との間の相互作用は、数あるなかでも、とりわけ、付着、衝突、および引力を含む1つまたは複数のメカニズムを通じて確立することができる。固体成分109と汚染物質103との間の付着は、化学的および/または物理的相互作用を通じて確立することができる。例えば、一実施形態では、化学的相互作用が、固体成分109と汚染物質103との間に糊に似た効果を生じさせる。別の一実施形態では、固体成分109の機械的性質によって、固体成分109と汚染物質103との間の物理的相互作用が促進される。例えば、固体成分109は、汚染物質103に押し付けられたときに汚染物質103が固体成分109の中に刷り込まれるように、可展性であることが可能である。別の一実施形態では、固体成分109網の中に汚染物質103を巻き込ませることが可能である。この実施形態では、固体成分109網を通じて機械的応力を汚染物質103に伝えることによって、ウエハ105からの汚染物質103の除去に必要とされる機械力を提供することができる。
【0023】
汚染物質103による刷り込みに起因する固体成分109の変形は、固体成分109と汚染物質103との間に機械的結合を形成する。例えば、汚染物質103の表面トポグラフィは、汚染物質103が固体成分109の中に押し込まれるにつれて、固体成分109材料の部分が汚染物質103の表面トポグラフィの中の領域に入り、そこから容易に脱出することができなくなることによって、固定のメカニズムを形成するような、表面トポグラフィである。また、汚染物質103が固体成分109の中に押し込まれるにつれて、固体成分109からの汚染物質103の排除に抵抗する真空力を確立することができる。
【0024】
別の一実施形態では、直接的または間接的な接触を通じて固体成分109から汚染物質103へと伝えられるエネルギによって、ウエハ105からの汚染物質103の撤去を引き起こすことができる。この実施形態では、固体成分109は、汚染物質103より柔らかいまたは堅いことが可能である。もし固体成分109が汚染物質103より柔らかい場合は、固体成分109は、衝突の最中に、より大きな変形を生じやすくなり、その結果、汚染物質103をウエハ105から撤去するための運動エネルギの伝達が減少する。しかしながら、固体成分109が汚染物質103より柔らかい場合は、固体成分109と汚染物質103との間の付着結合が強くなるであろう。反対に、もし固体成分109が少なくとも汚染物質103と同程度に堅い場合は、固体成分109と汚染物質103との間に実質的に完璧なエネルギ伝達を生じることができるので、汚染物質103をウエハ105から撤去する働きをする力が増大する。しかしながら、固体成分109が汚染物質103と少なくとも同程度に堅い場合は、固体成分109の変形に依存する相互作用の力は低減されるであろう。なお、固体成分109および汚染物質103に関連した物理的性質ならびに相対速度は、それらの間における衝突の相互作用に影響を及ぼすことを理解されるべきである。
【0025】
上記に加えて、一実施形態では、固体成分109と汚染物質103との間の相互作用は、静電気引力に起因することができる。例えば、もし固体成分109と汚染物質103とが反対の表面電荷を有する場合は、それらは、互いに電気的に引きつけられる。固体成分109と汚染物質103との間の静電気引力は、汚染物質103をウエハ105につなぐ力に打ち勝つのに十分であることが可能である。
【0026】
別の一実施形態では、固体成分109と汚染物質103との間に静電反発力が存在することができる。例えば、固体成分109および汚染物質103は、ともに、負の表面電荷または正の表面電荷のいずれかを有することができる。もし、固体成分109と汚染物質103とを十分に近接近させることが可能であれば、それらの間の静電反発力をファンデルワールス力を通じて打ち負かすことが可能である。不混和成分111によって固体成分109に加えられる力は、静電反発力を打ち負かして固体成分109と汚染物質103との間にファンデルワールス引力を確立させるのに十分である。また、別の一実施形態では、固体成分109および汚染物質103の一方の上または両方の上に存在する表面電荷を相殺することによって、固体成分109と汚染物質103との間の静電反発力が低減されてそれらの間の相互作用が促進されるように、液体媒質107のpHを調整することができる。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態にしたがった、基板から汚染を除去するための方法のフローチャートを示した図である。なお、図3の方法において言及される基板は、半導体ウエハ、または半導体製造プロセスに関連した汚染物質の除去を必要とするその他の任意のタイプの基板を表しうることを理解されるべきである。また、図3の方法において言及される汚染物質は、粒子状汚染、微量金属汚染、有機汚染、フォトレジストのデブリ、ウエハ取り扱い機器からの汚染、およびウエハ背面の粒子状汚染を非限定的に含む、半導体ウエハ製造プロセスに関連した基本的に任意のタイプの汚染物質を表すことができる。
【0028】
図3の方法は、液体媒質の中に固体成分を分散された洗浄剤を、基板の上方に配する動作301を含む。図3の方法において言及される洗浄剤は、図1、図2A、および図2Bに関連して上述されたものと同じである。したがって、洗浄剤の中の固体成分は、懸濁した状態で液体媒質の中に分散される。また、固体成分は、基板を損傷させることおよび基板に付着することを回避するように定められる。一実施形態では、固体成分は、結晶性の固体として定められる。別の一実施形態では、固体成分は、非晶質の固体として定められる。さらに別の一実施形態では、固体成分は、結晶性の固体と非晶質の固体との組み合わせとして表される。また、各種の実施形態において、液体媒質は、水性または非水性のいずれかであることが可能である。
【0029】
方法は、また、固体成分に力を加えて固体成分を基板の上に存在する汚染物質に接近させ、固体成分と汚染物質との間に相互作用が確立されるようにする動作303を含む。前述のように、固体成分に、その固体成分を汚染物質に接近させるために必要とされる力を加えるために、洗浄剤の中に、不混和成分が提供される。一実施形態では、方法は、制御された量の力を固体成分に加えるために、不混和成分を制御する動作を含むことができる。不混和成分は、液体媒質の中の気泡または不混和液滴として定めることができる。また、不混和成分は、液体媒質の中の気泡と不混和液滴との組み合わせとして表すことができる。
【0030】
方法の一実施形態では、不混和成分は、基板の上方に洗浄剤を配する前に、液体媒質の中に定められる。しかしながら、別の一実施形態では、方法は、基板の上方に洗浄剤を配することに続いて、その場で不混和成分を形成する動作を含むことができる。例えば、不混和成分は、洗浄剤と相対的な周囲圧力の減少に際して液体媒質の中の溶解ガスから形成することができる。その場での不混和成分の形成は、汚染除去プロセスを向上できることを理解されるべきである。例えば、一実施形態では、重力が、不混和成分の形成に先立って固体成分を基板に引き寄せる働きをする。次いで、液体媒質の中に予め溶解されていたガスが気泡となって溶液から出てくるように、周囲圧力が低減される。固体成分は、重力によって基板に引き寄せられているので、気泡の大半は、固体成分の上方に形成される。固体成分が既に基板に向けて沈降された状態における、固体成分の上方での気泡の形成は、固体成分を基板上の汚染物質に接近させる動きを向上させる働きをする。
【0031】
各種の実施形態において、固体成分と汚染物質との間の相互作用は、付着力、衝突力、引力、またはそれらの組み合わせによって確立することができる。また、一実施形態では、方法は、固体成分と汚染物質との間の相互作用を向上させるために、液体媒質の化学的性質を調整する動作を含むことができる。例えば、固体成分および汚染物質の一方または両方の表面電荷を打ち消すことによって、静電反発力が低減されるように、液体媒質のpHを調整することができる。
【0032】
また、一実施形態では、方法は、固体成分と汚染物質との間の相互作用を向上させるために、洗浄剤の温度を制御する動作を含むことができる。より具体的に言うと、固体成分の性質を制御するために、洗浄剤の温度を制御することができる。例えば、固体成分は、温度が高いほど可展性が増し、汚染物質に押し付けられた際に形状的になじみやすくなる。そして、固体成分がひとたび汚染物質に押し付けられて、形状的になじむと、今度は、固体成分の可展性を下げて、汚染物質になじんだ形状をより良く維持するために、温度を引き下げることによって、固体成分と汚染物質とを効果的に固定する。温度は、また、固体成分の可溶性を、ひいては濃度を制御するためにも使用することができる。例えば、固体成分は、温度が高いほど、液体媒質に溶解しやすいであろう。温度は、また、ウエハ上においてその場での液液懸濁から固体成分を形成することを制御するためおよび/または可能にするためにも使用することができる。
【0033】
別の一実施形態では、方法は、連続液体媒質の中に溶解した固体を沈殿させる動作を含むことができる。この沈殿動作は、固体を溶媒に溶解させ、次いで、溶媒とは混ざるが固体とは混ざらない成分を追加することによって、実現することができる。溶媒とは混ざるが固体とは混ざらない成分の追加は、固体成分の沈殿を引き起こす。
【0034】
方法は、さらに、固体成分と相互作用した汚染物質が基板から除去されるように、基板から固体成分を遠ざける動作305を含む。一実施形態では、方法は、基板から遠ざかる固体成分および/もしくは汚染物質の動きを制御するまたは向上させるために、基板の上方での洗浄剤の流量を制御する動作を含む。
【0035】
基板から汚染を除去するための本発明の方法は、固体成分と除去されるべき汚染物質との間に相互作用が確立されるように、洗浄剤の固体成分に力を加える手段がある限り、多くの異なる手法で実現することができる。図4Aは、本発明の一実施形態にしたがった、ウエハから汚染を除去するための装置を示した図である。装置は、矢印403に示されるようにウエハ105を受けるための、溝型材401を含む。溝型材401の内側の長さ402および高さ404は、ウエハ105を収容できるように定められることを理解されるべきである。また、一実施形態では、溝型材401の高さ404は調整可能である。前述のように、溝型剤401は、洗浄剤101を内包するように定められる。したがって、ウエハ105は、溝型材401の中へと移動すると、洗浄剤101に浸漬される。溝型材401は、洗浄剤101およびウエハ105と化学的に共存可能であるような十分な強さの任意の材料で作成できることを理解されるべきである。
【0036】
図4Bは、本発明の一実施形態にしたがった、ウエハ105を中に配された溝型材401の垂直断面を示した図である。溝型材401は、汚染を除去されるべきウエハ105の表面に対向する実質的に平行な向きに配置された抑制表面406を含む。溝型材401およびウエハ105は、水平平面408に対してとある角度412で傾けられる。溝型材401の低い方の端/高度には、液体媒質107の中に不混和成分111を生成するための不混和成分生成器409が提供される。
【0037】
前述のように、不混和成分111は、液体媒質107に混ざらない気体または液体のいずれかで形成することができる。不混和成分111材料は、ソース405からライン407を通って不混和成分生成器409へと提供される。洗浄動作中は、不混和成分111をウエハ105の上方で速度Vで移動させるために、推進力が加えられる。不混和成分111がウエハ105の上方を移動される際に、ウエハ105に対する不混和成分の位置は、溝型材401の抑制表面406によって制約されることを理解されるべきである。一実施形態では、不混和成分111をウエハ105の上方で移動させるために加えられる推進力は、浮力である。別の一実施形態では、不混和成111をウエハ105の上方で移動させる推進力は、不混和成分生成器409の分配圧力によって提供される。
【0038】
各種の実施形態において、不混和成分生成器409は、単一の生成ポイントまたは複数の生成ポイントのいずれかを有するように構成することができる。例えば、一実施形態では、不混和成分生成器409は、数々の不混和成分111生成ポイントを含むように構成された多岐管として定められる。また、装置は、洗浄プロセス中にウエハ105を回転させるおよび/または並進させるように定められた基板ホルダを含みうることを理解されるべきである。
【0039】
図4Cは、不混和成分111と、固体成分109と、汚染物質103と、ウエハ105との間の関係を示した図である。不混和成分111がウエハ105表面の上方を移動する際は、洗浄剤の厚さ410が、不混和成分と液体媒質との界面をウエハ105表面から隔てる。ウエハ105の上方での不混和成分111の移動が浮力によって駆動されるような実施形態では、傾斜角412の増大が、相応する浮力の増大を引き起こすことを理解されるべきである。浮力および対応する不混和成分111の速度Vが増すにつれて、不混和成分111は細長くなり、そうして、洗浄剤の厚さ410を増大させる。洗浄剤の厚さ410が十分に大きくなると、不混和成分111は、固体成分109に対して、汚染物質103との相互作用を可能にする十分な力を作用させることができなくなる。また、不混和成分111の速度Vが増すにつれて、ウエハ105表面の上方の所定の位置における不混和成分111の滞在時間が減少する。したがって、傾斜角412は、不混和成分111の速度Vを適切に制御するように設定されることが望ましい。また、抑制表面406とウエハ105との間の分離距離404は、洗浄剤の厚さ410が大きくなり過ぎないように制御されることが望ましい。
【0040】
図4Dは、本発明の一実施形態にしたがった、不混和成分111がどのように固体成分109を汚染物質103に接近させる働きをするかを示した図である。不混和成分111が液体媒質107の中で固体成分109および汚染物質103の上方を横断するにつれて、不混和成分は、力Fによって、固体成分109を汚染物質103へと向かわせる。前述のように、固体成分109と汚染物質103との間には、両者が互いに十分に接近したときに相互作用が生じる。不混和成分111によって固体成分109に作用される力Fは、不混和成分111と液体媒質107との間の圧力差に関連する。また、汚染物質103は、洗浄剤厚さ410の中で、さらにせん断応力にも曝される。また、汚染物質103は、不混和成分111と液体媒質107との間の境界に存在する界面張力にも曝される。これらのせん断応力および界面張力は、汚染物質103をウエハ105表面から撤去するのを助ける働きをする。
【0041】
図4Eは、本発明の一実施形態にしたがった、ウエハ105表面の上方での不混和成分111の横断に続く、ウエハ105表面からの汚染物質103の除去を示した図である。図4Eの実施形態では、固体成分109および汚染物質103は、前述のようなせん断応力および界面張力の影響下において、合体した一単位のかたちでウエハ105から除去される。別の一実施形態では、固体成分109は、汚染物質103と実際に合体することなくウエハ105から汚染物質103を除去するために、汚染物質103と相互作用する。この実施形態では、固体成分109および汚染物質103は、それぞれ個別にウエハ105から遠ざかる。一実施形態では、ウエハ105からの汚染物質103の除去は、溝型材401を通る洗浄剤の流れに関連したせん断応力によって向上される。この実施形態では、装置は、固体成分109と相互作用した汚染物質103がウエハ105から遠ざけられるように、洗浄剤の中に流れを導入するように定められた洗浄剤循環器を含むことができる。
【0042】
図4Fは、本発明の別の一実施形態にしたがった、ウエハ105表面からの汚染物質103の除去を示した図である。図4Fの実施形態では、液体媒質107は水性、不混和成分111は非水性、そして固体成分109は表面活性である。不混和成分111が固体成分109の上方を横断する際に、不混和成分は、固体成分109に力Fを作用させるのみならず、固体成分109が不混和成分111と液体媒質107との間の界面領域に引き込まれるように固体成分109を濡らすことも行う。このため、固体成分109と汚染物質103との合体のウエハ105からの除去は、不混和−液体界面への固体成分109の吸収によって向上される。
【0043】
図4A〜4Fの装置は、特定の代表的実施形態に関して説明されてきたが、ウエハからの汚染物質の除去に関する原理は、その他の実施形態の装置にも等しく適用可能であることを理解されるべきである。例えば、図4A〜4Fの装置は、不混和成分111のための推進力が提供され、固体成分109と汚染物質103との相互作用を可能にするための力Fが不混和成分111によって固体成分109に及ぼされる限り、ウエハを水平の向き、垂直の向き、または逆さの向きに維持するように変更することができる。また、各種の実施形態では、ウエハ105の上方での不混和成分111の横断と組み合わせて、ウエハ105を回転させる、引く、押す、または別の方法で撹拌することが可能である。
【0044】
また、図3の方法と合わせて図4A〜4Fの装置を使用して実施される洗浄プロセスは、温度、圧力、流量、および時間などのパラメータについての特定の制御設定を規定するレシピにしたがって実施することができる。一実施形態では、装置は、固体成分109と汚染物質103との間の相互作用を向上させるとともにウエハ105からの汚染物質103の除去を向上させるために、洗浄剤の化学的性質を監視および調整するように定められた洗浄剤制御システムを含むことができる。また、一実施形態では、装置は、溝型材401の中の洗浄剤の温度を制御するように定められた温度制御システムを含むことができる。さらに、図3の方法と合わせて図4A〜4Fの装置を使用して実施される洗浄プロセスは、反復方式で、すなわち多段階方式で実施することができる。また、図4A〜4Fの単一ウエハ105装置に関して説明された原理は、複数ウエハ105を同時的に処理するように構成された装置に拡大適用することができる。
【0045】
図5は、本発明の別の一実施形態にしたがった、基板から汚染を除去するための方法のフローチャートを示した図である。方法は、基板を洗浄剤に浸漬させ、汚染を除去されるべき基板の表面が抑制表面に対向する実質的に平行な向きに配置されるようにする動作501を含む。図4A〜4Fは、前述のように、洗浄剤に浸漬されつつ抑制表面に対向する実質的に平行な向きに配置された基板の一例を示している。図5の方法において言及される洗浄剤は、前述のものと同じ洗浄剤101を表すことを理解されるべきである。したがって、洗浄剤は、液体媒質107の中に分散された固体成分109を含む。
【0046】
方法は、また、基板を抑制表面とともに水平平面に対して傾ける動作503を含む。各種の実施形態では、この傾けは、基板を抑制表面に対向する実質的に平行な向きに配置する前または後のいずれかに実施することができる。方法は、さらに、基板より低い高度に対応する位置で洗浄剤の中に不混和成分を生成する動作505を含む。図4Bは、前述のように、基板より低い高度で洗浄剤の中に生成された不混和成分111の一例を示している。ここで、ウエハ105は、基板を表している。
【0047】
不混和成分に作用する浮力は、不混和成分を、基板の上方でなおかつ抑制表面と基板との間で移動させる。基板の上方での不混和成分の移動は、液体媒質の中の固体成分に力を加え、その固体成分が基板の上に存在する汚染物質と相互作用するようにする。図4C〜4Fは、前述のように、固体成分と汚染物質との間の相互作用を促進し、汚染物質が基板から除去されるようにするために、不混和成分がどのように固体成分に力を作用させるかについての一例を示している。
【0048】
図5のフローチャートで説明された方法は、汚染除去プロセスを向上させるために、数々の追加の動作を含むことができる。一実施形態では、基板の上方での不混和成分の速度の制御を可能にするために、基板を抑制表面とともに傾ける角度を調整する動作を含むことができる。また、不混和成分が基板の上方を移動する際に、不混和成分と基板との間の距離を制御することを可能にするために、抑制表面と基板との間の距離を調整する動作を含むことができる。
【0049】
別の動作では、基板の上方に洗浄剤の流れを導入するために、洗浄剤を循環させることができる。基板の上方への洗浄剤の流れの導入は、洗浄剤の中での化学種の補充を可能にするとともに、除去された汚染物質が基板から遠ざかる動きを向上させることを理解されるべきである。方法は、さらに、固体成分と汚染物質との間の相互作用を向上させ、そうして基板からの汚染物質の除去を向上させるために、洗浄剤の化学的性質を監視および調整する動作を含むことができる。洗浄剤の温度もまた、固体成分と汚染物質との間の相互作用を向上させるために、監視および調整することができる。また、基板の上方で不混和成分が移動する際に、回転、並進、または回転と並進との両方のいずれかを通じて基板を操作する動作が実施できることも理解されるべきである。
【0050】
本発明は、半導体ウエハから汚染物質を除去するという背景のもとで説明されてきたが、前述の本発明の原理および技術は、半導体ウエハ以外の表面の洗浄にも等しく適用可能であることを理解されるべきである。例えば、本発明は、半導体製造で使用される任意の機器表面を洗浄するために使用することができる。ここで、任意の機器表面とは、例えばウエハと空気空間を共有するなどウエハと環境的に通じている任意の表面を意味するものとする。本発明は、また、汚染の除去が重要であるようなその他の技術分野で使用することもできる。例えば、本発明は、宇宙計画、または表面科学、エネルギ、光学、マイクロエレクトロニクス、MEMS、フラットパネル処理、太陽電池、メモリデバイスなどのその他のハイテク分野で使用される部品上の汚染を除去するために使用することができる。本発明を使用可能であるものとして挙げられた上記の代表的な分野の一覧は、包括的な一覧を表すことを意図していないことを理解されるべきである。さらに、本明細書での代表的な説明で使用されるウエハは、基板、部品、パネルなどの基本的にその他の任意の構造を表すように一般化可能であることを理解されるべきである。
【0051】
以上では、いくつかの実施形態の観点から本発明の説明がなされてきたが、当業者ならば、先立つ明細書を読み、図面を検討することによって、各種の代替、追加、置換、および等価の形態を認識できるであろう。したがって、本発明は、本発明の真の趣旨および範囲に含まれるものとして、このようなあらゆる代替、追加、置換、および等価の形態を含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態にしたがった、半導体ウエハから汚染を除去するための洗浄剤を具体的に示した図である。
【図2A】本発明の一実施形態にしたがった、ウエハから汚染物質を除去するために洗浄剤がどのように機能するかを示した図である。
【図2B】本発明の一実施形態にしたがった、ウエハから汚染物質を除去するために洗浄剤がどのように機能するかを示した図である。
【図3】本発明の一実施形態にしたがった、基板から汚染を除去するための方法のフローチャートを示した図である。
【図4A】本発明の一実施形態にしたがった、ウエハから汚染を除去するための装置を示した図である。
【図4B】本発明の一実施形態にしたがった、ウエハを中に配された溝型材の垂直断面を示した図である。
【図4C】本発明の一実施形態にしたがった、不混和成分と、固体成分と、汚染物質と、ウエハとの間の関係を示した図である。
【図4D】本発明の一実施形態にしたがった、不混和成分がどのように固体成分を汚染物質に接近させる働きをするかを示した図である。
【図4E】本発明の一実施形態にしたがった、ウエハ表面の上方での不混和成分の横断に続く、ウエハ表面からの汚染物質の除去を示した図である。
【図4F】本発明の別の一実施形態にしたがった、ウエハ表面からの汚染物質の除去を示した図である。
【図5】本発明の別の一実施形態にしたがった、基板から汚染を除去するための方法のフローチャートを示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板から汚染を除去するための方法であって、
液体媒質の中に複数の固体成分を分散された洗浄剤を、基板の上方に配する工程と、
前記複数の固体成分の一固体成分に力を加えて前記固体成分を前記基板の上に存在する汚染物質に接近させ、前記固体成分と前記汚染物質との間に相互作用が確立されるようにする工程と、
前記固体成分と相互作用した前記汚染物質が前記基板から除去されるように、前記固体成分を前記基板から遠ざける工程と、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記複数の固体成分は、懸濁した状態で前記液体媒質の中に分散される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記複数の固体成分は、前記基板を損傷させることおよび前記基板に付着することを回避するように定められる、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、結晶性の固体である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、非晶質の固体である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、脂肪族酸、カルボン酸、高分子、ワックス、パラフィン、ポリスチレン、ポリペプチド、または粘弾性材料のいずれかである、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、膠着、凝結、凝集、集塊、または合体のいずれかとして形成される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記複数の固体成分の一部は、前記液体媒質の中に固体成分網を形成し、前記固体成分網を通じて伝わる機械的応力は、前記固体成分と前記汚染物質との間に相互作用を確立する、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記液体媒質は、水性である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記液体媒質は、非水性である、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記洗浄剤は、さらに、前記固体成分に力を加えて前記固体成分を前記汚染物質に接近させ、前記固体成分と前記汚染物質との間に相互作用が確立されるようにするように定められた複数の不混和成分を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
制御された量の力を前記固体成分に加えるために、前記不混和成分を制御する工程を備える方法。
【請求項13】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記液体媒質の中の気泡として定められる、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記液体媒質の中の液滴として定められる、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記複数の不混和成分は、不混和成分の混合として定められ、前記不混和成分の混合の中の各不混和成分は、共通の物理的状態または異なる物理的状態のいずれかを有する、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記基板の上方に前記洗浄剤を配する前に、前記液体媒質の中に定められる、方法。
【請求項17】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板の上方に前記洗浄剤を配するのに続いて、前記液体媒質の中に前記不混和成分を形成する工程を備える方法。
【請求項18】
請求項17に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記洗浄剤と相対的な周囲圧力の減少に際して前記液体媒質の中の溶解ガスから形成される、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用は、付着力、衝突力、および引力の1つまたは複数によって確立される、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用を向上させるために、前記液体媒質の化学的性質を調整する工程を備える方法。
【請求項21】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用を向上させるために、前記洗浄剤の温度を制御する工程を備える方法。
【請求項22】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板から遠ざかる前記固体成分の動きを制御するために、前記基板の上方での前記洗浄剤の流量を制御する工程を備える方法。
【請求項23】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記基板は、半導体ウエハである、方法。
【請求項24】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板上の前記液体媒質内の中で前記複数の固体成分のその場での形成を可能にするために、前記液体媒質の温度を制御する工程を備える方法。
【請求項25】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記液体媒質の中で前記複数の固体成分の形成を生じさせるために、前記液体媒質に沈殿剤を導入する工程を備える方法。
【請求項26】
請求項25に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記固体成分は、前記沈殿剤を導入する前に前記液体媒質の中で溶媒に溶解され、前記沈殿剤は、前記溶媒とは混ざるが前記固体成分とは混ざらない、方法。
【請求項27】
基板から汚染を除去するための装置であって、
基板を受けるための溝型材であって、汚染を除去されるべき前記基板の表面に対向する実質的に平行な向きに配置された抑制表面を含むように定められた溝型材と、
前記溝型材によって受けられるべき前記基板を中に浸漬させるように、前記溝型材の中に配された洗浄剤であって、分散した固体成分を含む液体媒質として定められた洗浄剤と、
前記洗浄剤の中に不混和成分を生成し、前記不混和成分を前記溝型材の前記抑制表面と汚染を除去されるべき前記基板の前記表面との間で移動させる推進力が加えられるようにするための、前記溝型材の中に配された不混和成分生成器と、
を備える装置。
【請求項28】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記不混和成分は、前記液体媒質の中の前記固体成分に力を加えて前記固体成分を前記基板の上に存在する汚染物質に接近させ、前記固体成分と前記汚染物質との間に相互作用が確立されるようにする、装置。
【請求項29】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記溝型材の前記抑制表面と前記基板の前記表面との間での前記不混和成分の動きは、汚染物質と相互作用した前記固体成分を前記基板から遠ざけて、前記汚染物質が前記基板から除去されるようにする、装置。
【請求項30】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、さらに、
汚染物質と相互作用した固体成分が前記基板から遠ざけられるように、前記洗浄剤の中に流れを導入するように定められた洗浄剤循環器を備える装置。
【請求項31】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記溝型材は、前記不混和成分を移動させるための前記推進力が浮力であるように、水平に対してある角度で配置されるように定められる、装置。
【請求項32】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記溝型材は、前記溝型材の前記抑制表面と前記基板の前記表面との間で分離距離の調整を可能にするように定められる、装置。
【請求項33】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、さらに、
前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用を向上させるとともに前記基板からの前記汚染物質の除去を向上させるために、前記洗浄剤の化学的性質を監視および調整するように定められた洗浄剤制御システムを備える装置。
【請求項34】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、さらに、
前記溝型材の中の前記洗浄剤の温度を制御するように定められた温度制御システムを備える装置。
【請求項35】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記不混和成分生成器は、不混和成分を液相または気相のいずれかで生成するように定められる、装置。
【請求項36】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記不混和成分生成器は、前記基板の前記表面の全体に数々の不混和成分の連なりを生成するための多岐管として定められる、装置。
【請求項37】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、さらに、
前記基板を前記溝型材の中で回転、並進、または回転および並進のいずれかをさせるように定められた基板ホルダを備える装置。
【請求項38】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
複数の基板から同時的に汚染を除去するように定められた装置。
【請求項39】
基板から汚染を除去するための方法であって、
液体媒質の中に分散された固体成分を含む洗浄剤に、基板を浸漬させ、汚染を除去されるべき前記基板の表面が抑制表面に対向する実質的に平行な向きに配置されるようにする工程と、
前記基板を、前記抑制表面とともに水平平面に対して傾ける工程と、
前記基板より低い高度に対応する位置で前記洗浄剤の中に前記不混和成分を生成し、前記不混和成分に作用する浮力が前記不混和成分を前記基板の上方でなおかつ前記抑制表面と前記基板との間で移動させるようにする工程であって、前記基板の上方での前記不混和成分の移動は、前記液体媒質の中の前記固体成分に力を加え、前記固体成分が前記基板の上に存在する汚染物質と相互作用するようにする、工程と、
を備える方法。
【請求項40】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、脂肪族酸、カルボン酸、高分子、ワックス、パラフィン、ポリスチレン、ポリペプチド、および粘弾性材料の1つまたは複数として定められる、方法。
【請求項41】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、膠着、凝結、凝集、集塊、および合体の1つまたは複数として形成される、方法。
【請求項42】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、前記液体媒質の中に固体成分網を形成し、前記固体成分網を通じて伝わる機械的応力は、前記汚染物質と相互作用する、方法。
【請求項43】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記液体媒質の中の気泡として定められる、方法。
【請求項44】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記液体媒質の中の液滴として定められる、方法。
【請求項45】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、不混和成分の混合として定められ、前記不混和成分の混合の中の各不混和成分は、共通の物理的状態または異なる物理的状態のいずれかを有する、方法。
【請求項46】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板の上方での前記不混和成分の速度を制御するために、前記基板を前記抑制表面とともに傾ける角度を調整する工程を備える方法。
【請求項47】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記不混和成分が前記基板の上方を移動する際に、前記不混和成分と前記基板との間の距離を制御するために、前記抑制表面と前記基板との間の分離距離を調整する工程を備える方法。
【請求項48】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板の上方に洗浄剤の流れを導入するために、前記洗浄剤を循環させる工程を備える方法。
【請求項49】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記洗浄剤の化学的性質を監視する工程と、
前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用を向上させるとともに前記基板からの前記汚染物質の除去を向上させるために、前記洗浄剤の化学的性質を調整する工程と、
を備える方法。
【請求項50】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記洗浄剤の温度を監視する工程と、
前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用を向上させるとともに前記基板からの前記汚染物質の除去を向上させるために、前記洗浄剤の温度を調整する工程と、
を備える方法。
【請求項51】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板の上方で前記不混和成分が移動する際に、回転、並進、または回転と並進との両方のいずれかを通じて前記基板を操作する工程を備える方法。
【請求項1】
基板から汚染を除去するための方法であって、
液体媒質の中に複数の固体成分を分散された洗浄剤を、基板の上方に配する工程と、
前記複数の固体成分の一固体成分に力を加えて前記固体成分を前記基板の上に存在する汚染物質に接近させ、前記固体成分と前記汚染物質との間に相互作用が確立されるようにする工程と、
前記固体成分と相互作用した前記汚染物質が前記基板から除去されるように、前記固体成分を前記基板から遠ざける工程と、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記複数の固体成分は、懸濁した状態で前記液体媒質の中に分散される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記複数の固体成分は、前記基板を損傷させることおよび前記基板に付着することを回避するように定められる、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、結晶性の固体である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、非晶質の固体である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、脂肪族酸、カルボン酸、高分子、ワックス、パラフィン、ポリスチレン、ポリペプチド、または粘弾性材料のいずれかである、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、膠着、凝結、凝集、集塊、または合体のいずれかとして形成される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記複数の固体成分の一部は、前記液体媒質の中に固体成分網を形成し、前記固体成分網を通じて伝わる機械的応力は、前記固体成分と前記汚染物質との間に相互作用を確立する、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記液体媒質は、水性である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記液体媒質は、非水性である、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記洗浄剤は、さらに、前記固体成分に力を加えて前記固体成分を前記汚染物質に接近させ、前記固体成分と前記汚染物質との間に相互作用が確立されるようにするように定められた複数の不混和成分を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
制御された量の力を前記固体成分に加えるために、前記不混和成分を制御する工程を備える方法。
【請求項13】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記液体媒質の中の気泡として定められる、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記液体媒質の中の液滴として定められる、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記複数の不混和成分は、不混和成分の混合として定められ、前記不混和成分の混合の中の各不混和成分は、共通の物理的状態または異なる物理的状態のいずれかを有する、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記基板の上方に前記洗浄剤を配する前に、前記液体媒質の中に定められる、方法。
【請求項17】
請求項11に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板の上方に前記洗浄剤を配するのに続いて、前記液体媒質の中に前記不混和成分を形成する工程を備える方法。
【請求項18】
請求項17に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記洗浄剤と相対的な周囲圧力の減少に際して前記液体媒質の中の溶解ガスから形成される、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用は、付着力、衝突力、および引力の1つまたは複数によって確立される、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用を向上させるために、前記液体媒質の化学的性質を調整する工程を備える方法。
【請求項21】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用を向上させるために、前記洗浄剤の温度を制御する工程を備える方法。
【請求項22】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板から遠ざかる前記固体成分の動きを制御するために、前記基板の上方での前記洗浄剤の流量を制御する工程を備える方法。
【請求項23】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記基板は、半導体ウエハである、方法。
【請求項24】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板上の前記液体媒質内の中で前記複数の固体成分のその場での形成を可能にするために、前記液体媒質の温度を制御する工程を備える方法。
【請求項25】
請求項1に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記液体媒質の中で前記複数の固体成分の形成を生じさせるために、前記液体媒質に沈殿剤を導入する工程を備える方法。
【請求項26】
請求項25に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記固体成分は、前記沈殿剤を導入する前に前記液体媒質の中で溶媒に溶解され、前記沈殿剤は、前記溶媒とは混ざるが前記固体成分とは混ざらない、方法。
【請求項27】
基板から汚染を除去するための装置であって、
基板を受けるための溝型材であって、汚染を除去されるべき前記基板の表面に対向する実質的に平行な向きに配置された抑制表面を含むように定められた溝型材と、
前記溝型材によって受けられるべき前記基板を中に浸漬させるように、前記溝型材の中に配された洗浄剤であって、分散した固体成分を含む液体媒質として定められた洗浄剤と、
前記洗浄剤の中に不混和成分を生成し、前記不混和成分を前記溝型材の前記抑制表面と汚染を除去されるべき前記基板の前記表面との間で移動させる推進力が加えられるようにするための、前記溝型材の中に配された不混和成分生成器と、
を備える装置。
【請求項28】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記不混和成分は、前記液体媒質の中の前記固体成分に力を加えて前記固体成分を前記基板の上に存在する汚染物質に接近させ、前記固体成分と前記汚染物質との間に相互作用が確立されるようにする、装置。
【請求項29】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記溝型材の前記抑制表面と前記基板の前記表面との間での前記不混和成分の動きは、汚染物質と相互作用した前記固体成分を前記基板から遠ざけて、前記汚染物質が前記基板から除去されるようにする、装置。
【請求項30】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、さらに、
汚染物質と相互作用した固体成分が前記基板から遠ざけられるように、前記洗浄剤の中に流れを導入するように定められた洗浄剤循環器を備える装置。
【請求項31】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記溝型材は、前記不混和成分を移動させるための前記推進力が浮力であるように、水平に対してある角度で配置されるように定められる、装置。
【請求項32】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記溝型材は、前記溝型材の前記抑制表面と前記基板の前記表面との間で分離距離の調整を可能にするように定められる、装置。
【請求項33】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、さらに、
前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用を向上させるとともに前記基板からの前記汚染物質の除去を向上させるために、前記洗浄剤の化学的性質を監視および調整するように定められた洗浄剤制御システムを備える装置。
【請求項34】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、さらに、
前記溝型材の中の前記洗浄剤の温度を制御するように定められた温度制御システムを備える装置。
【請求項35】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記不混和成分生成器は、不混和成分を液相または気相のいずれかで生成するように定められる、装置。
【請求項36】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
前記不混和成分生成器は、前記基板の前記表面の全体に数々の不混和成分の連なりを生成するための多岐管として定められる、装置。
【請求項37】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、さらに、
前記基板を前記溝型材の中で回転、並進、または回転および並進のいずれかをさせるように定められた基板ホルダを備える装置。
【請求項38】
請求項27に記載の、基板から汚染を除去するための装置であって、
複数の基板から同時的に汚染を除去するように定められた装置。
【請求項39】
基板から汚染を除去するための方法であって、
液体媒質の中に分散された固体成分を含む洗浄剤に、基板を浸漬させ、汚染を除去されるべき前記基板の表面が抑制表面に対向する実質的に平行な向きに配置されるようにする工程と、
前記基板を、前記抑制表面とともに水平平面に対して傾ける工程と、
前記基板より低い高度に対応する位置で前記洗浄剤の中に前記不混和成分を生成し、前記不混和成分に作用する浮力が前記不混和成分を前記基板の上方でなおかつ前記抑制表面と前記基板との間で移動させるようにする工程であって、前記基板の上方での前記不混和成分の移動は、前記液体媒質の中の前記固体成分に力を加え、前記固体成分が前記基板の上に存在する汚染物質と相互作用するようにする、工程と、
を備える方法。
【請求項40】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、脂肪族酸、カルボン酸、高分子、ワックス、パラフィン、ポリスチレン、ポリペプチド、および粘弾性材料の1つまたは複数として定められる、方法。
【請求項41】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、膠着、凝結、凝集、集塊、および合体の1つまたは複数として形成される、方法。
【請求項42】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記固体成分は、前記液体媒質の中に固体成分網を形成し、前記固体成分網を通じて伝わる機械的応力は、前記汚染物質と相互作用する、方法。
【請求項43】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記液体媒質の中の気泡として定められる、方法。
【請求項44】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、前記液体媒質の中の液滴として定められる、方法。
【請求項45】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、
前記不混和成分は、不混和成分の混合として定められ、前記不混和成分の混合の中の各不混和成分は、共通の物理的状態または異なる物理的状態のいずれかを有する、方法。
【請求項46】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板の上方での前記不混和成分の速度を制御するために、前記基板を前記抑制表面とともに傾ける角度を調整する工程を備える方法。
【請求項47】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記不混和成分が前記基板の上方を移動する際に、前記不混和成分と前記基板との間の距離を制御するために、前記抑制表面と前記基板との間の分離距離を調整する工程を備える方法。
【請求項48】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板の上方に洗浄剤の流れを導入するために、前記洗浄剤を循環させる工程を備える方法。
【請求項49】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記洗浄剤の化学的性質を監視する工程と、
前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用を向上させるとともに前記基板からの前記汚染物質の除去を向上させるために、前記洗浄剤の化学的性質を調整する工程と、
を備える方法。
【請求項50】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記洗浄剤の温度を監視する工程と、
前記固体成分と前記汚染物質との間の相互作用を向上させるとともに前記基板からの前記汚染物質の除去を向上させるために、前記洗浄剤の温度を調整する工程と、
を備える方法。
【請求項51】
請求項39に記載の、基板から汚染を除去するための方法であって、さらに、
前記基板の上方で前記不混和成分が移動する際に、回転、並進、または回転と並進との両方のいずれかを通じて前記基板を操作する工程を備える方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5】
【公表番号】特表2009−522771(P2009−522771A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548543(P2008−548543)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/047119
【国際公開番号】WO2007/078642
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/047119
【国際公開番号】WO2007/078642
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
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