説明

基板保持回転装置および基板処理装置

【課題】基板の一方面中央部を保護しつつ基板に処理を施すことができるとともに、回転軸線方向に異なる複数の位置で所定の回転処理を基板に良好に施すことが可能な基板保持回転装置および基板処理装置を提供すること。
【解決手段】スピンチャック3は、ウエハWの下面中央部を支持するためのセンターチャック7と、ウエハWの下面周縁部を支持するための外周リング部材8と、ウエハWの下面周縁部と外周リング部材8との間をシールするための第1シール部材9とを備える。吸着ベース10は昇降モータによって、処理位置と、下面リンス位置と、取合位置との間で昇降されるようになっている。吸着ベース10の上面10aには、吸引口26と吸引溝27とが形成されている。吸引溝27には、吸着ベース10の側面に開口するオリフィス30が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を保持しつつ回転させるための基板保持回転装置、および基板に対して処理液を用いた処理を施すことができる基板処理装置に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板などの基板が含まれる。
【背景技術】
【0002】
基板を一枚ずつ処理する枚葉型の基板処理装置は、たとえば、基板を水平姿勢で保持して回転させるスピンチャックと、このスピンチャックに保持された基板に対して処理液(薬液またはリンス液)を供給する処理液ノズルとを備えている。このような基板処理装置を用いた基板処理工程は、たとえば、薬液処理工程、リンス工程および乾燥工程を含む。薬液処理工程では、スピンチャックに保持された基板に薬液が供給される。この薬液は、基板上で遠心力を受けて基板表面の全域に広がる。リンス工程では、スピンチャックに保持された基板に純水などのリンス液が供給される。このリンス液は基板上で遠心力を受けて基板表面の全域に広がる。これにより、基板表面の薬液がリンス液に置換される。乾燥工程では、スピンチャックが高速回転(たとえば3000〜4000rpm)されることにより、基板表面のリンス液が遠心力によって振り切られる。
【0003】
薬液処理工程において、薬液が基板の周端から基板の裏面(下面)に回り込むことがある。この場合、薬液として極めて酸化力の強い薬液が用いられると、基板の下面に腐食などの不具合が生じるおそれがある。
そのため、基板の下面周縁部とスピンベースの上面との間を、円環状のリップパッキンを用いてシールする構成のスピンチャックが提案されている(たとえば特許文献1)。この構成では、リップパッキンは基板の周端面から下方に回り込んだ処理液と接触し、この処理液を堰き止める。これにより、基板の下面中央部への処理液の進入を阻止することができる。
【0004】
基板の下面周縁部とスピンベースの上面との間をシールする構成を採用する場合、複数のチャックピンで基板の周端面と点接触するメカニカルチャックは使用できないので、基板の下面を真空吸着するバキュームチャックが用いられる(たとえば特許文献2)。このバキュームチャックでは、スピンベース(吸着ベース)の上面中央に吸引口が形成されている。そして、吸引口内を吸引することにより、基板の下面全域とスピンベースの上面との間の空間が減圧されて、基板の下面がスピンベースの上面に吸着される。この吸着力により、基板がスピンベースに保持される。このスピンベースによる保持状態において、基板には強い吸着力が作用しており、そのため、スピンベースに基板を保持しつつ、基板を高速(たとえば3000〜4000rpm)で回転させることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−206485号公報
【特許文献2】特開平7−263325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
たとえば、薬液処理工程では、基板の下面周縁部とリップパッキンとの接触によって、薬液が堰き止められる。そのため、基板の下面周縁部とリップパッキンとの境界部分には微量ながら薬液が存在する。当該当接部分に存在する薬液はリップパッキンと基板下面との間に挟まれているので、前記のようなリンス工程では、当接部分に存在する薬液を十分に除去することができない。そのため、リンス工程および乾燥工程後の基板の下面周縁部には、微量ながら薬液が残留するおそれがある。
【0007】
したがって、薬液処理時に基板下面周縁部をシールする構成のスピンチャックでは、薬液処理後に基板をリップパッキンから一旦離し、基板の下面周縁部を洗浄することが望ましい。そのためには、薬液処理時とは異なる高さ位置で基板を保持しつつ、その基板をその高さ位置で回転させる必要がある。
すなわち、基板下面周縁部をシールしつつ基板を保持しつつ、複数の高さ位置で基板を回転処理可能な構成が望まれている。
【0008】
そこで、この発明の目的は、基板の一方面中央部を保護しつつ基板に処理を施すことができるとともに、回転軸線方向に関して異なる複数の位置で所定の回転処理を基板に良好に施すことが可能な基板保持回転装置および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、基板(W)の一方面の中央部と対向する中央部対向面(10a)と、前記中央部対向面に形成された吸引口(26)とを有し、基板の一方面の中央部を支持するための基板支持プレート(10)と、前記吸引口内を吸引する吸引手段(32,33,34)と、前記基板支持プレートに支持された基板の一方面の周縁部と対向する周縁部対向面(45)を有する周縁部対向部材(8)と、前記基板支持プレートを所定の回転軸線まわりに回転させるための回転機構(78,79)と、前記基板支持プレートおよび前記周縁部対向部材の少なくとも一方を移動させて、前記基板支持プレートに支持された基板が前記周縁部対向面に近接する近接状態と、前記基板支持プレートに支持された基板が前記周縁部対向面から離間する離間状態とを切り換える移動機構(86,89,94)と、前記周縁部対向部材に設けられ、前記近接状態において基板の一方面の周縁部と接触して基板の一方面の周縁部と前記周縁部対向面との間をシールする第1シール部材(9)とを含み、前記近接状態において、基板の一方面、前記第1シール部材、前記周縁部対向面および前記基板支持プレートの側方によって、閉塞された空間(99)が区画されるようになっており、前記基板支持プレートには、前記近接状態において前記空間と前記吸引口とを連通する連通路(27,30)が形成されている、基板保持回転装置(3;100;110)である。
【0010】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この構成によれば、基板支持プレートおよび周縁部対向部材は、周縁部対向面に基板が近接する近接状態と、周縁部対向面から基板が離間する離間状態との間で切り換えられる。
【0011】
基板支持プレートおよび周縁部対向部材が近接状態にあるとき、基板の一方面周縁部に第1シール部材が接触する。そして、基板の一方面周縁部、第1シール部材、周縁部対向面および基板支持プレートの側方によって閉塞空間が区画されるとともに、その閉塞空間と吸引口とが連通路によって連通される。この状態で、吸引口内が吸引されると、基板の一方面中央部と基板支持プレートの中央部対向面との間の空間内が減圧されて、基板の一方面中央部が基板支持プレートの中央部対向面に吸着される。また、閉塞空間と吸引口とが連通されているので、吸引口内が吸引されると、閉塞空間内が減圧され、基板の一方面周縁部が周縁部対向部材の周縁部対向面に吸着される。すなわち、吸引口内が吸引されると、基板支持プレートの中央部対向面または周縁部対向部材の周縁部対向面に基板の下面全域が吸着される。そのため、近接状態において、基板支持プレートおよび周縁部対向部材は、基板を吸着保持することができる。したがって、基板を保持させつつ基板を高速で回転させることができる。
【0012】
また、基板支持プレートおよび周縁部対向部材が近接状態にあるときは、基板の一方面周縁部と周縁部対向部材の周縁部対向面との間がシールされる。したがって、基板の他方面に処理液を用いた処理が施される場合に、基板の周端面を回り込んだ処理液が基板の一方面に進入するのを抑制することができる。これにより、基板の一方面中央部を保護し、当該中央部における腐食などの不具合の発生を抑制することができる。
【0013】
一方、基板支持プレートおよび周縁部対向部材が離間状態にあるとき、基板支持プレートに保持された基板の一方面が、周縁部対向部材の周縁部対向面から離間している。このとき、吸引口内が吸引されると、基板の一方面中央部と基板支持プレートの中央部対向面との間の空間が減圧され、基板の一方面中央部が、基板支持プレートの中央部対向面に吸着される。これにより、基板支持プレートおよび周縁部対向部材が離間状態にある場合であっても、基板支持プレートに基板を吸着保持させることができる。したがって、基板支持プレートに基板を吸着保持させつつ当該基板支持プレートを回転させることにより、この離間状態においても、基板に所定の回転処理を施すことが可能である。これにより、基板を保持しつつ、所定の回転軸線方向に関して異なる少なくとも2つの位置で、当該基板をその回転軸線まわりに回転させることができる。
【0014】
請求項2に記載のように、前記周縁部対向部材が、前記近接状態において、前記基板支持プレートに支持された基板の周端面と対向する周端面対向面(47)をさらに含むものであってもよい。
前記基板支持プレートには、前記回転軸線と同軸に延び、前記基板支持プレートに先端が固定された回転軸(11)が取り付けられている場合は、請求項3に記載のように、前記周縁部対向部材は、前記回転軸が内挿する筒部(66)を有していてもよい。
【0015】
請求項4に記載のように、前記筒部の内周および前記回転軸の外周の間に隙間(G)が形成されており、前記隙間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段(83,84,98)をさらに含んでいてもよい。
この構成によれば、筒部の内周および回転軸の外周の間の隙間から不活性ガスが吐出される。したがって、隙間の周囲に処理液などの液が存在する場合であっても、その液が当該隙間から離反する方向に促され、これにより、当該隙間への液の進入を抑制または防止することができる。
【0016】
また、請求項5に記載のように、前記基板支持プレートが前記中央部対向面と反対側の反対面(10b)を有し、前記基板保持回転装置が、前記近接状態において前記反対面と前記周縁部対向部材との間をシールする第2シール部材(36)をさらに含むものであってもよい。この場合、この第2シール部材によって基板支持プレートの反対面と周縁部対向部材との間がシールされているので、その反対面と周縁部対向部材との間の空間への処理液などの進入を食い止めることができる。
【0017】
請求項6に記載のように、前記回転機構が、前記基板支持プレートおよび前記周縁部対向部材を同軸に回転させるものであってもよい。
請求項7に記載のように、前記回転機構が、前記周縁部対向部材に回転駆動力を付与するための第1回転駆動源(78)と、前記周縁部対向部材に付与された前記第1回転駆動源からの回転駆動力を、前記基板支持プレートに伝達する第1伝達手段(61,69)とを含むものであってもよい。
【0018】
また、請求項8に記載のように、前記回転機構が、前記基板支持プレートに回転駆動力を付与するための第2回転駆動源(78)と、前記基板支持プレートに付与された前記第2回転駆動源からの回転駆動力を、前記周縁部対向部材に伝達する第2伝達手段(61,69)とを含むものであってもよい。
第1および第2伝達手段は、それぞれ、筒部の内周または回転軸の外周の一方に形成されたキー(61)と、筒部の内周または回転軸の外周の他方に形成されたキー溝(69)とを備えていてもよい。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板保持回転装置(3;100;110)と、前記近接状態において、前記基板支持プレートに支持された基板の他方面に処理液を供給する処理液供給手段(4,5)とを含む、基板処理装置(1)である。
この構成によれば、基板の一方面中央部への処理液の進入を抑制しつつ、基板の他方面を処理液で処理することができる。
【0020】
請求項10に記載のように、前記処理液供給手段が、エッチング液を供給するエッチング液供給手段(4)を含むものであってもよい。
エッチング液として、たとえばふっ酸硝酸混合液を用いることができる。
また、請求項11に記載のように、前記離間状態において、基板の一方面の周縁部に向けて処理液を吐出する周縁部処理液吐出手段(6)をさらに含むものであってもよい。
【0021】
この場合、離間状態にある基板支持プレートにより基板を回転させつつ、基板の一方面の周縁部に向けて処理液が吐出される。これにより、基板の周縁部の一方面に付着する処理液により処理される。これにより、基板の下面周縁部における第1シール部材との当接部分を洗浄することができる。
請求項12に記載のように、前記第1シール部材に向けて洗浄液を吐出する洗浄液吐出手段(5)をさらに含むものであってもよい。
【0022】
この場合、第1シール部材に付着した処理液を、洗浄液を用いて洗い流すことができる。これにより、第1シール部材の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の構成を図解的に示す平面図である。
【図3】図1に示すスピンチャックの要部構成を図解的に示す斜視図である。
【図4】図1に示すセンターチャックの構成を示す斜視図である。
【図5A】図1に示す外周リング部材の構成を示す斜視図である。
【図5B】センターチャックと外周リング部材とを示す斜視図である。
【図6】図1に示すスピンチャックの内部の構成を示す分解図である。
【図7】図1に示すスピンチャックの内部の構成を示す斜視図である。
【図8】図1に示す基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図9A】図1に示す基板処理装置による基板の処理例を説明するための図解的な断面図である。
【図9B】図9Aの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9C】図9Bの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9D】図9Cの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9E】図9Dの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9F】図9Eの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9G】図9Fの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9H】図9Gの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9I】図9Hの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9J】図9Iの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9K】図9Jの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9L】図9Kの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9M】図9Lの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図9N】図9Mの次の工程を示す図解的な断面図である。
【図10A】下面周縁部リンス工程を説明するための図解的な斜視図である。
【図10B】下面周縁部リンス工程を説明するための図解的な平面図である。
【図11】第1シール部材洗浄処理を示す図解的な図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置のスピンチャックの構成を図解的に示す斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る基板処理装置のスピンチャックの構成を図解的に示す斜視図である。
【図14】第1シール部材洗浄処理の他の例を示す図解的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る基板処理装置1の構成を示す断面図である。
基板処理装置1は、たとえばシリコンウエハからなる円形のウエハWにおけるデバイス形成領域側の表面とは反対側の裏面(上面)に対して、ウエハWにエッチング処理を施すための枚葉式の装置である。第1実施形態では、エッチング処理として、たとえばウエハWに薄化処理(シンニング処理)を施す。この実施形態では、エッチング液として、ふっ酸硝酸混合液(以下、「ふっ硝酸」という)が用いられるが、その他のエッチング液(たとえば、ふっ酸やバッファードふっ酸(緩衝ふっ酸))が用いられてもよい。
【0025】
この基板処理装置1は、隔壁(図示せず)により区画された処理室2内に、ウエハWの下面(一方面)を支持して、ウエハWを水平姿勢に保持しつつウエハWの中心を通る鉛直軸線まわりに回転させるためのスピンチャック(基板保持回転装置)3と、スピンチャック3に保持されたウエハWの上面(他方面)にエッチング液を供給するためのスリットノズル(エッチング液供給手段)4と、スピンチャック3に保持されたウエハWに向けて純水(脱イオン化された水:deionized water)を供給するための第1純水ノズル(処理液供給手段、洗浄液吐出手段)5と、スピンチャック3に保持されたウエハWの下面周縁部に向けて純水を供給するための第2純水ノズル6(周縁部処理液吐出手段)とを備えている。
【0026】
スピンチャック3は真空吸着式チャックである。スピンチャック3は、ウエハWの下面中央部をほぼ水平な姿勢で支持するためのセンターチャック7と、ウエハWの下面周縁部を支持するための外周リング部材(周縁部対向部材)8と、外周リング部材8に設けられ、ウエハWの下面周縁部と外周リング部材8との間をシールするための第1シール部材9とを備えている。
【0027】
センターチャック7は、ウエハWの下面中央部を吸着保持する吸着ベース(基板支持プレート)10と、鉛直に延びる円筒状のセンター回転軸(回転軸)11とを備えている。吸着ベース10は、センター回転軸11の回転中心を中心とする円板状をなしており、センター回転軸11の上端に固定的に取り付けられている。
センターチャック7は昇降可能な構成とされている。そして、吸着ベース10は昇降モータ94(図7参照)などの昇降機構によって、処理位置(図1に示す位置)と、下面リンス位置(図9J参照)と、取合位置(図9Bおよび図9Mに示す位置)との間で昇降されるようになっている。処理位置は、吸着ベース10に吸着保持されたウエハWに対してエッチング処理またはリンス処理を施すための位置である。下面リンス位置は、処理位置から上方に離反し、当該ウエハWに対して下面周縁部リンス処理を施すための位置である。取合位置は、下面リンス位置から上方に離反し、搬送ロボットTRとの間でウエハWを受け渡すための位置である。一方、外周リング部材8は、昇降しない。
【0028】
センターチャック7および外周リング部材8は、一体回転可能な構成である。この実施形態では、吸着ベース10が処理位置にあるときだけでなく、吸着ベース10が下面リンス位置または取合位置にあるときも、吸着ベース10および外周リング部材8は一体的に回転する。
なお、この基板処理装置1によるエッチング処理によりウエハWは薄化される(たとえば40μm)。薄化されたウエハWを変形や破損なく吸着ベース10で吸着保持することができるように、この実施形態では、ガラス基板に一体化されたウエハWが用いられる。ガラス基板がウエハWの表面(デバイス形成面)に貼り合わせられることにより、ウエハWが補強される。以降の説明では、説明の便宜上、ガラス基板が貼り合わされた状態のウエハWを単に「ウエハW」という。
【0029】
図2は、基板処理装置1の構成を図解的に示す平面図である。図1および図2を参照して、スリットノズル4の構成および動作について説明する。
スリットノズル4は、所定の水平方向に沿う直方体状の外形を有したノズル本体50を備えている。ノズル本体50の下面には、水平方向に沿って直線状に開口するスリット吐出口51が形成されている。スリット吐出口51の長さ(長手方向の大きさ)は、ウエハWの直径よりも大きい。スリット吐出口51は、ノズル本体50の長手方向に沿う帯状にエッチング液を吐出する。
【0030】
ノズル本体50の一方側側面(図1に示す左面)には、長方形状の可撓性の第1シート52が鉛直姿勢に取り付けられている。また、ノズル本体50の他方側側面(図1に示す右面)には、長方形状の可撓性の第2シート53が鉛直姿勢に取り付けられている。第1および第2シート52,53のシート幅(ウエハWの法線方向の長さ)は、その先端面が吸着ベース10に支持されるウエハWの上面(または、ウエハWの上面に形成された処理液の液膜)に当接して、第1および第2シート52,53が撓む程度の幅に設定されている。
【0031】
スリットノズル4は、ほぼ水平に延びる第1アーム54に取り付けられている。この第1アーム54は、スピンチャック3の側方でほぼ鉛直に延びた第1アーム支持軸55に支持されている。第1アーム支持軸55には、第1揺動機構56が結合されており、この第1揺動機構56の駆動力によって、第1アーム支持軸55を回動させて、第1アーム54を揺動させることができるようになっている。
【0032】
スリットノズル4には、スリット吐出口51に連通するエッチング液供給管57が接続されている。エッチング液供給管57には、エッチング液供給源からのエッチング液(たとえば、ふっ硝酸)が供給されるようになっている。エッチング液供給管57の途中部には、エッチング液供給管57を開閉するためのエッチング液バルブ58が介装されている。
【0033】
第1揺動機構56の駆動により、第1アーム54が揺動されて、スリットノズル4が、スピンチャック3に保持されたウエハWの側方にある第1スキャン位置P1(図2にて実線で図示)と、この第1スキャン位置P1とウエハWの回転中心を中心として90°離間し、スピンチャック3に保持されたウエハWの側方にある第2スキャン位置P2(図2にて二点鎖線で図示)との間を、水平方向に沿って往復移動する。
【0034】
再び図1を参照して、第1純水ノズル5は、たとえば連続流の状態で純水を吐出するストレートノズルであり、スピンチャック3の上方でほぼ水平に延びる第2アーム14の先端に下方を向けて取り付けられている。この第2アーム14は、スピンチャック3の側方でほぼ鉛直に延びた第2アーム支持軸15に支持されている。第2アーム支持軸15には、モータなどの第2揺動機構16が結合されており、この第2揺動機構16の駆動力によって、第2アーム支持軸15を回転させて、第2アーム14を揺動させることができるようになっている。第1純水ノズル5には、第1純水供給管17が接続されている。第1純水供給管17を通して第1純水ノズル5に純水供給源から純水が供給されるようになっている。第1純水供給管17の途中部には、第1純水供給管17を開閉するための第1純水バルブ18が介装されている。
【0035】
第2純水ノズル6は、たとえば連続流の状態で純水を吐出するストレートノズルであり、スピンチャック3の上方でほぼ水平に延びる第3アーム20の先端に鉛直上方に対してたとえば約0〜30°傾斜した方向に向けて取り付けられている。この第3アーム20は、スピンチャック3の側方でほぼ鉛直に延びた第3アーム支持軸21に支持されている。第3アーム支持軸21には、モータなどの第3揺動機構22が結合されており、この第3揺動機構22の駆動力によって、第3アーム支持軸21を回転させて、第3アーム20を揺動させることができるようになっている。第2純水ノズル6は、下面周縁部リンス処理において、所定の配置位置にまで引き出され、ウエハWの下面周縁部における所定の純水吐出位置(図10Aおよび図10Bに×印で図示)に向けて処理液を吐出する。この配置位置における第2純水ノズル6の吐出口の吐出方向は平面視でウエハWの接線方向に沿っている。
【0036】
第2純水ノズル6には、第2純水供給管23が接続されている。第2純水供給管23を通して第2純水ノズル6に純水供給源から純水が供給されるようになっている。第2純水供給管23の途中部には、第2純水供給管23を開閉するための第2純水バルブ24が介装されている。
図3は、スピンチャック3の要部構成を図解的に示す斜視図である。図4は、センターチャック7の構成を示す斜視図である。図1、図3および図4を参照して、センターチャック7の構成について説明する。
【0037】
吸着ベース10は、水平面をなす円形の上面(中央部対向面)10aを有している。上面10aは、保持対象であるウエハW半径のたとえば4/5程度の半径を有している。上面10aの中央には、センター回転軸11の回転軸線(鉛直軸線)上に1つの吸引口26が形成されている。上面10aには吸引溝(連通路)27が形成されている。吸着ベース10はウエハWの下面中央部を吸着保持する。
【0038】
吸引溝27は、上面10a中心から放射状に延びる等間隔の複数本の放射状溝28と、上面10a中心を中心とする複数の同心円環状の円環溝29とを組み合わせたものである。外側の円環溝29は、上面10aの外周縁よりもやや内側に位置している。各放射状溝28は吸引口26と連通しており、各放射状溝28は全ての円環溝29とつながっている。すなわち、全ての吸引溝27が吸引口26につながっている。各放射状溝28の先端(外側の端部)は、外側の円環溝29上に位置している。
【0039】
外側の円環溝29における各放射状溝28との各交点には、その底部から、吸着ベース10の径方向外方に向けて延びる接続孔としてのオリフィス(連通路)30が形成されている。各オリフィス30は、上面10aの直下を水平に延び、吸着ベース10の側面に開口している。各オリフィス30の幅は、0.3mm程度に設定されている。このような小幅に形成されているので、下面周縁部リンス処理(後述する)時に純水が各オリフィス30に噛み込むことはほとんどない(各オリフィス30内にほとんど流入しない)。
【0040】
図3および図4では、4本の放射状溝28が設けられている場合(放射状溝28全体で十字溝を構成している場合)を例に挙げているが、放射状溝28は2本または3本であってもよいし、5本以上であってもよい。また、図3および図4では、円環溝29が2重のである場合を例に挙げているが、3重以上の円環溝が採用されてもよい。なお、3重以上の円環溝が採用される場合、円環溝は等間隔であることが望ましい。
【0041】
吸引口26は、吸着ベース10の下面(反対面)10bに開口する吸引通路31に連通している。吸引通路31は、吸着ベース10の上下面を貫通しており、その下端に、センター回転軸11内を挿通する第1吸引管(吸引手段)32の先端が接続されている。具体的には、図4に示すように、センター回転軸11内には、センター回転軸11に固定された外管64が挿通しており、その外管64内を第1吸引管32が挿通している。外管64の上端は、センター回転軸11の軸方向途中部で閉塞している。第1吸引管32は、外管64の上端の管壁を貫通して、その先端が吸引通路31に接続されている。第1吸引管32には、後述するように、第2吸引管(吸引手段)33を介して、たとえばエジェクター方式の真空発生装置34(図6および図8参照)が接続されている。真空発生装置(吸引手段)34によって第1吸引管32内が減圧されることにより、吸引口26内が吸引される。
【0042】
吸着ベース10の上面10aにウエハWが載置された状態で、吸引口26内が吸引されると、各吸引溝27(放射状溝28、円環溝29)内が減圧され、ウエハWの下面が吸引溝27に吸引される。これにより、ウエハWの下面が吸着ベース10の上面10aに吸着される。また、各オリフィス30が外側の円環溝29につながっているので、吸引口26内が吸引されることにより、オリフィス30内も減圧されるようになる。
【0043】
吸引溝27が、同心円環状の円環溝29と上面10aの中心を通る放射状溝28とを組み合わせた形状であり、しかもその吸引溝27が上面10aの全域で形成されているので、ウエハWの下面を、吸着ベース10の上面に均等に吸着させることができる。そのため、吸着ベース10単独でも、ウエハWを保持することが可能である。
吸着ベース10の下面10bの周縁部には、円環状の第2シール部材36(図1参照)が配設されている。第2シール部材36は、たとえばリップを有するリップパッキンが用いられる。このリップパッキンとしてたとえばカップパッキンタイプのものが採用されている。第2シール部材36は、リップを下方に向けて配設されており、吸着ベース10が処理位置にある状態で、吸着ベース10の下面と、外周リング部材8の次に述べる底面部40の底面部上面43との間の空間をシールする。
【0044】
また、吸着ベース10の下面10bには、第2シール部材36よりも径方向内方に、環状溝48(図1参照)が形成されている。この環状溝48は、センター回転軸11の中心軸線を中心とする環状をなしており、外周リング部材8の堰44(後述する)に対応する位置に形成されている。環状溝48は、吸着ベース10が処理位置にあるときに、堰44の上部分を収容する。
【0045】
センター回転軸11の外周には、雄スプライン部60(図4参照)が形成されている。雄スプライン部60は、軸方向に沿って延びる複数(たとえば4個)のキー61を備えている。これらのキー61は、周方向に等間隔に設けられている。また、センター回転軸11の下端部外周には、第1雌ねじ孔62が周方向に沿って複数形成されている。後述するように、センター回転軸11は、第2固定ボルト73(図7参照)によって昇降動力伝達軸(移動機構)86(図7参照)に連結固定されている。
【0046】
図5Aは、外周リング部材8の構成を示す斜視図である。図1、図3および図5Aを参照して、外周リング部材8の構成について説明する。
外周リング部材8は、処理位置にある吸着ベース10の側面および下面10bを取り囲む略円板状の外周リング本体部200と、鉛直に延びる外周部材回転軸65とを備えている。外周リング本体部200は、外周部材回転軸65の上端部に固定的に取り付けられている。外周部材回転軸65には、スピンモータ78(後述する。図6および図7参照)による回転駆動力が入力されるようになっている。
【0047】
外周リング本体部200は、吸着ベース10の下方を覆う略円環板状の底面部40と、この底面部40の側方を取り囲む第1環状部41と、第1環状部41の側方を取り囲む第2環状部42とを一体的に備えている。
底面部40は、吸着ベース10の下面10bと対向する底面部上面43を有している。底面部上面43は、円形をなす略水平の平坦面である。底面部上面43は、吸着ベース10の下面10bとほぼ同径か下面10bよりも若干大径を有している。底面部上面43には、径方向の途中部に、上方に突出する環状突起からなる堰44が形成されている。堰44は、底面部上面43における堰44よりも径方向外方の領域に付着した処理液(エッチング液または純水)が、底面部上面43を伝って径方向内方に向けて移動することを抑制するためのものである。
【0048】
第1環状部41は、底面部上面43よりも高い環状の水平平坦面からなる第1環状面(周縁部対向面)45を有している。この第1環状面45は、吸着ベース10に支持されたウエハWの下面周縁部と対向する。
第2環状部42は、底面部上面43よりも高い環状の水平のほぼ平坦面からなる第2環状面46と、第2環状面46の内周と連続する円筒状の内周面(周端面対向面)47とを有している。
【0049】
外周部材回転軸65は、鉛直に延びる略円筒状の内軸(筒部)66と、内軸66の外周を取り囲み、内軸66と同軸に形成された円筒状の外軸67とを備えている。内軸66の上端部は、底面部40に内嵌固定されている。
内軸66の内周には雌スプライン部68が形成されている。雌スプライン部68は、雄スプライン部60のキー61と噛み合う複数(図5Aではたとえば4個)のキー溝69を備えている。各キー溝69は、内軸66の軸長全域にわたって軸方向に沿って延びている。これらのキー溝69は周方向に等間隔に設けられている。
【0050】
外軸67の上端は、円環状の底面部40に固定されている。外軸67には、外軸67内を軸方向に延びる複数(たとえば4つ。図5Aでは2つのみ図示)の第1挿通孔71が周方向に等間隔に形成されている。各第1挿通孔71は、外軸67の上端面と下端面とを貫通している。また、外周リング部材8の底面部40には、底面部40の上下面を貫通する複数(たとえば4つ)の第2雌ねじ孔72が形成されている。各第2雌ねじ孔72は、第1挿通孔71に連通している。第1固定ボルト70(図5Aでは1本のみ図示)が、第1挿通孔71内および第2雌ねじ孔72を挿通している。第1固定ボルト70の先端部には雄ねじ85が形成されている。
【0051】
外軸67の下部には、第2固定ボルト73(図7参照)を挿通させるための複数(たとえば4個)の第2挿通孔74が、周方向に沿って複数形成されている(図5Aでは2つのみ図示)。各第2挿通孔74は、たとえば、軸方向(すなわち、鉛直方向)に沿って延びる長孔からなる。第2挿通孔74の幅は、第2固定ボルト73の軸径よりも大きい幅に設定されている。この第2挿通孔74は第1ねじ孔62に対応する周方向位置に配置されている。
【0052】
第1シール部材9には、たとえばリップを有するリップパッキンが用いられる。このリップパッキンとしてたとえばカップパッキンタイプのものが採用されている。第1シール部材9は、リップを上方に向けて、第1環状面45上に配設されている。第1シール部材9は、ウエハWと同外径を有する円環状に形成されており、エッチング液に対する耐薬液性を有する樹脂材料(たとえばフッ素ゴム)を用いて形成されている。吸着ベース10が処理位置にあるときは、第1シール部材9のリップがウエハWの下面周縁部に接触することにより、ウエハWの下面周縁部と第1環状面45との間がシールされるとともに、第1シール部材9によってウエハWの下面周縁部が支持される。
【0053】
図5Bは、センターチャック7のセンター回転軸11と外周リング部材8の外周部材回転軸65(内軸66)とを示す斜視図である。センター回転軸11は、円筒状の内軸66内を挿通している。この状態で、キー61は対応するキー溝69と噛み合っている。このキー61とキー溝69との噛合により、センター回転軸11と外周部材回転軸65(内軸66)との間、言い換えればセンターチャック7と外周リング部材8との間で、回転駆動力を互いに伝達することができる。
【0054】
その一方で、キー61およびキー溝69が軸方向に沿って延びているので、センター回転軸11および外周部材回転軸65の相対的な軸方向移動が許容されている。そのため、センターチャック7と外周リング部材8とが相対的に昇降可能とされている。
底面部上面43上には、内軸66の上端内周とセンター回転軸11の外周との間の隙間Gが露出している。この隙間Gから、不活性ガスとしての窒素ガスが吐出される。内軸66およびセンター回転軸11には、それぞれ主回転軸79(図6および図7参照)や昇降動力伝達軸86(図7参照)が連結されているので、内軸66とセンター回転軸11との隙間Gから処理液(ふっ硝酸または純水)が進入すると、内軸66やセンター回転軸11はもちろんのこと、主回転軸79や昇降動力伝達軸86にも、錆や腐食などが発生するおそれがある。しかしながら、隙間Gから窒素ガスが吐出されているので、底面部上面43上における隙間Gの周囲に処理液が存在していても、この処理液が当該隙間Gから離反する方向(たとえば径方向外方)に促される。そのため、処理液が隙間Gに進入するのを抑制することができる。
【0055】
図6は、スピンチャック3の内部の構成を示す分解図である。図7は、スピンチャック3の内部の構成を示す斜視図である。
内軸66(外周部材回転軸65)に回転駆動力を入力するためのスピンモータ(第1回転駆動源、第2回転駆動源)78は、水平方向に沿って延びる板状のハウジング77の上面に固定されている。スピンモータ78には、鉛直に延びる円筒状の主回転軸(回転機構)79がスピンモータ78のロータに一体回転可能に取り付けられている。主回転軸79の上端には、第1フランジ80が形成されている。第1フランジ80の円環状の上面には、複数(たとえば4つ)の第3雌ねじ孔81が周方向に等間隔に形成されている。
【0056】
ハウジング77の下面には、密閉空間を内部に有するパージボックス82が配設されている。パージボックス82内には、窒素ガスを供給するための窒素ガス供給管(不活性ガス供給手段)83の先端が接続されている。窒素ガス供給管83には、窒素ガス供給源からの窒素ガスが供給されるようになっている。窒素ガス供給管83の途中部には、窒素ガス供給管83を開閉するための窒素ガスバルブ(不活性ガス供給手段)84が介装されている。
【0057】
スピンモータ78の内部には、ハウジング77に対して固定的に設けられ、そのハウジング77を貫通して延びる2重配管が挿通されている。2重配管の外側の配管は、パージボックス82内と主回転軸79の内部とを連通し、パージボックス82内の窒素ガスを主回転軸79の内部に供給するための窒素ガス流通管(不活性ガス供給手段)98である。また、2重配管の内側の配管は、主回転軸79の回転軸線と同軸に延びる第2吸引管33である。第2吸引管33の先端は、スピンモータ78の内部および主回転軸79内を挿通して、第1フランジ80よりも上方で開口している。また、第2吸引管33は、窒素ガス流通管98の管壁およびパージボックス82の隔壁を貫通して、その基端が真空発生装置34(図6参照)に接続されている。
【0058】
窒素ガスバルブ84が開かれると、窒素ガス供給管83から供給される窒素ガスがパージボックス82内に充満し、その窒素ガスが、窒素ガス流通管98の内周と第2吸引管33の外周との間の空間、および主回転軸79の内周と第2吸引管33の外周との間の空間を通って、外周部材回転軸65の外軸67の内部に充満した窒素ガスは、外軸67の内部から、内軸66の内周とセンター回転軸11の外周との間を通って、内軸66の上端内周とセンター回転軸11の外周との間の隙間G(図5B参照)に供給され、その隙間Gからほぼ上方に向けて吐出される。
【0059】
真空発生装置34は、その作動状態において圧縮エアが供給することにより、内部に真空状態を発生させるものである。真空発生装置34には、エアバルブ97の開閉により圧縮エアが与えられるようになっている。真空発生装置34の作動状態においてエアバルブ97を開かれることにより、真空発生装置34により第2吸引管33内を減圧することができる。
【0060】
第1吸引管32は第2吸引管33内に挿通しており、外管64が第2吸引管33の周囲を取り囲んでいる。すなわち、第1吸引管32の内部と第2吸引管33の内部とが、外部からほぼ閉塞された状態で連通している。そのため、エアバルブ97が開かれると、真空発生装置34により、第1吸引管32、第2吸引管33および吸引通路31内が減圧される。これにより吸引口26内が吸引される。
【0061】
4本の第1固定ボルト70(図6では1本のみ図示)がそれぞれ第1固定ボルト70が第1挿通孔71および第2雌ねじ孔72を挿通して、主回転軸79の第1フランジ80に形成された第3雌ねじ孔81(図6参照)に螺合され、これにより、外周リング部材8の下端が主回転軸79の上端と固定される。すなわち、外周リング部材8と主回転軸79とが固定連結されている。
【0062】
外周リング部材8の外軸67の外周は、略円筒状の昇降動力伝達軸86(図7参照)によって取り囲まれている。昇降動力伝達軸86には、第4雌ねじ孔(図示せず)が周方向に沿って複数形成されている。各第4雌ねじ孔は、第1雌ねじ孔62に対応する軸方向位置に設けられている。昇降動力伝達軸86の下端には第2フランジ87が形成されている。第2フランジ87の下面には、転がり軸受88の内輪が固定されている。
【0063】
そして、第2固定ボルト73が、第4雌ねじ孔と外周リング部材8の第2挿通孔74とを介して、センター回転軸11の第1雌ねじ孔62にねじ込まれている。これにより、センター回転軸11(センターチャック7)と昇降動力伝達軸86とが固定されている。この状態において、第2挿通孔74が軸方向(鉛直方向)に沿う長孔であるので、外周部材回転軸65(外周リング部材8)は、センター回転軸11および昇降動力伝達軸86に対して上下動が許容されている。
【0064】
転がり軸受88の外輪には、ボールねじ機構(移動機構)89(図7にのみ図示)のボールナット90が固定されている。ボールねじ機構89のねじ軸91は、鉛直方向に沿って延びている。このねじ軸91は、スピンモータ78のステータに固定された固定アーム92によって、回転可能かつ上下動不能に支持されている。ねじ軸91の下端部には従動ギア93が固定されている。この従動ギア93は、昇降モータ(移動機構)94の出力軸に固定された駆動ギア95と噛合している。昇降モータ94は、スピンモータ78のステータ部分に固定されている。
【0065】
スピンモータ78が回転駆動されると、主回転軸79がその中心軸線まわりに回転する。外周部材回転軸65が主回転軸79に固定されているので、外周リング部材8がスピンモータ78の回転駆動力により回転駆動される。外周リング部材8に付与された回転駆動力は、キー61とキー溝69との噛合によって、センターチャック7に伝達される。これにより、スピンモータ78の回転駆動により、センターチャック7および外周リング部材8が回転される。
【0066】
また、センターチャック7および外周リング部材8の回転に伴って第1吸引管32および外管64は回転するが、第2吸引管33は回転しない。このため、センターチャック7および外周リング部材8の回転状態/非回転状態に拘わらず、吸引口26内を吸引することができる。
また、昇降モータ94が正方向(一方向)に回転されると、ボールナット90が上昇する。ボールナット90の上昇に伴って、転がり軸受88および昇降動力伝達軸86が上昇し、昇降動力伝達軸86に固定されたセンターチャック7も上昇する。昇降モータ94が逆方向(他方向)に回転されると、ボールナット90が下降する。ボールナット90の下降に伴って、転がり軸受88および昇降動力伝達軸86が下降し、昇降動力伝達軸86に固定されたセンターチャック7も下降する。
【0067】
一方、昇降動力伝達軸86は、外周リング部材8に対して上下方向に移動可能に設けられている。そのため、昇降モータ94の回転駆動によっては、外周リング部材8は昇降しない。これにより、外周リング部材8を昇降させることなく、吸着ベース10(センターチャック7)のみを昇降させることができる。
また、キー61がセンター回転軸11における軸方向途中部に配置されており、しかも、キー溝69が内軸66の軸長全域にわたって形成されているので、センターチャック7が外周リング部材8に対していずれの上下位置にあっても、スピンモータ78の回転駆動力を、センターチャック7および外周リング部材8の双方に伝達することができる。
【0068】
図8は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
基板処理装置1は、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置96を備えている。制御装置96は、スピンモータ78、昇降モータ94、第1〜第3アーム54,14,20、真空発生装置34などの動作を制御する。また、基板処理装置1に備えられた各バルブ58,18,24,84,97の開閉は、制御装置96によって制御される。
【0069】
図9A〜図9Nは、基板処理装置1によるウエハWの処理の一例を説明するための工程図である。図10Aおよび図10Bは、下面周縁部リンス処理を説明するための図である。なお、図9A〜図9Nでは、第1吸引管32および外軸67の図示を省略している。
ウエハWの処理に先立って、スリットノズル4、第1純水ノズル5および第2純水ノズル6は、スピンチャック3の側方の退避位置に退避させられている。バルブ58,18,24,84,97は、いずれも閉じられている。また、真空発生装置34が作動状態にある。また、図9Aに示すように、吸着ベース10(センターチャック7)が下面リンス位置まで上昇させられ、その下面リンス位置で待機させられている。
【0070】
未処理のウエハWが、搬送ロボットTRによって処理室2内に搬入される。具体的には、未処理のウエハWを保持した搬送ロボットTRのハンドが、下面リンス位置にある吸着ベース10の上方に進出される。
次いで、図9Bに示すように、制御装置96は昇降モータ94を駆動して吸着ベース10を取合位置まで上昇させる。これにより、搬送ロボットTRのハンドから吸着ベース10にウエハWが引き渡され、吸着ベース10の上面10aにウエハWが載置される。その後、制御装置96はエアバルブ97を開いて吸着ベース10の吸引口26内を吸引する。吸引口26内の吸引により、ウエハWの下面中央部が、吸着ベース10の上面10aに吸着される。これにより、吸着ベース10によってウエハWが吸着保持される。
【0071】
次いで、図9Cに示すように、制御装置96は昇降モータ94を駆動して吸着ベース10(センターチャック7)を処理位置まで下降させる。
吸着ベース10が図9Cに示す処理位置に達したとき、第1環状面45上に配設された第1シール部材9のリップがウエハWの下面周縁部に接触する。これにより、ウエハWの下面周縁部と外周リング部材8の第1環状面45との間がシールされるとともに、第1シール部材9によってウエハWの下面周縁部がシールされる。
【0072】
また、吸着ベース10が処理位置に達したとき、吸着ベース10の下面10bに配設された第2シール部材36のリップが外周リング部材8の底面部上面43に接触する。これにより、吸着ベース10の下面10bと外周リング部材8の底面部上面43との間がシールされる。
また、吸着ベース10の側方に、ウエハWの下面周縁部、第1シール部材9、第1環状面45および吸着ベース10の側面によって区画された閉塞空間(閉塞された空間)99が形成されるとともに、吸引溝27(放射状溝28、円環溝29)およびオリフィス30によって、その閉塞空間99と吸引口26とが連通される。この状態で、吸引口26内が吸引されると、ウエハWの下面中央部と吸着ベース10の上面10aとの間の空間内が減圧されて、ウエハWの下面中央部が吸着ベース10の上面10aに吸着される。また、閉塞空間99と吸引口26とが連通されているので、吸引口26内が吸引されると、閉塞空間99内が減圧され、ウエハWの下面周縁部が第1シール部材9を介して外周リング部材8の第1環状面45に吸着される。すなわち、吸引口26内が吸引されると、吸着ベース10の上面10aまたは外周リング部材8の第1環状面45にウエハWの下面全域が吸着される。そのため、処理位置において、吸着ベース10および外周リング部材8は、強くウエハWを保持することができる。
【0073】
吸着ベース10が処理位置まで達した後、制御装置96はスピンモータ78を制御して、吸着ベース10および外周リング部材8を低速度(たとえば10rpm)で等速回転させる。
また、制御装置96は窒素ガスバルブ84を開く。これにより、内軸66の上端内周とセンター回転軸11の外周との間の隙間G(図5B参照)から、窒素ガスが吐出される。窒素ガスの吐出は、下面周縁部リンス処理の終了後における吸着ベース10の回転停止(図9L参照)まで続行される。
【0074】
また、制御装置96は、第1揺動機構56を駆動して、スリットノズル4をウエハWの上方へと導く。
図9Dに示すように、スリットノズル4がウエハWの上方に到達すると、制御装置96はエッチング液バルブ58を開き、スリット吐出口51から帯状のプロファイルでエッチング液を吐出する。スリット吐出口51から吐出されたエッチング液は、内周面47とウエハW上面とによって区画される溝に溜められる。これにより、ウエハWの上面にエッチング液の液膜を形成することができる。
【0075】
また、制御装置96は第1揺動機構56を駆動して、スリットノズル4を、外周リング部材8の上方領域外にある第1スキャン位置P1(図2にて実線で図示)と、スピンチャック3の上方領域外にある第2スキャン位置P2(図2にて二点鎖線で図示)との間を、往復揺動(往復スキャン)させる。
たとえば、スリットノズル4が第1スキャン位置P1から第2スキャン位置P2に向けて移動する際には、第1シート52(図9Dでは不図示。図2参照)が、ウエハW上面の液膜上におけるエッチング液の着液位置よりも進行方向の前方側の領域に接触しつつ移動する。これにより、ウエハWの上面から失活したエッチング液が掻き取られる。また、第2シート53(図9Dでは不図示。図2参照)が、ウエハW上面の液膜上におけるエッチング液の着液位置よりも進行方向の後方側の領域に接触しつつ移動する。これにより、ウエハWの上面に供給されたエッチング液を均すことができる。
【0076】
また、スリットノズル4が第2スキャン位置P2から第1スキャン位置P1に向けて戻る際には、第2シート53が、ウエハW上面の液膜上におけるエッチング液の着液位置よりも進行方向の前方側の領域に接触しつつ移動する。これにより、ウエハWの上面から失活したエッチング液が掻き取られる。また、第1シート52が、ウエハW上面の液膜上におけるエッチング液の着液位置よりも進行方向の後方側の領域に接触しつつ移動する。これにより、ウエハWの上面に供給されたエッチング液を均すことができる。
【0077】
これにより、ウエハWの上面をエッチング液の液膜によって均一にエッチング処理することができ、かかるエッチング処理によって、ウエハWの裏面(上面)の表層部のシリコン材料がエッチング除去され、ウエハWの薄化を図ることができる。
また、ウエハWの下面周縁部と外周リング部材8の第1環状面45との間が第1シール部材9によってシールされているので、ウエハWの周端面からウエハWの下面に回り込んだエッチング液がウエハWの下面中央部に進入するのを抑制することができる。
【0078】
さらに、吸着ベース10の下面と、外周リング部材8の底面部上面43の間が第2シール部材36によってシールされているとともに、第1および第2シール部材9,36の径方向内方には堰44が設けられており、かつ内軸66の上端内周とセンター回転軸11の外周との間の隙間Gから窒素ガスが吐出されている。これらにより、第1シール部材9の不良などにより、吸着ベース10の下面と外周リング部材8の底面部40との間の空間にエッチング液が進入した場合であっても、エッチング液の隙間Gへの進入を抑制または防止することができる。これにより、内軸66、センター回転軸11、主回転軸79または昇降動力伝達軸86におけるエッチング液による腐食などの発生を抑制することができる。
【0079】
エッチング処理の開始(エッチング液の吐出開始)から予め定めるエッチング液処理時間(たとえば30分間)が経過すると、制御装置96は、エッチング液バルブ58を閉じ、スリットノズル4からのエッチング液の吐出を停止する。また、制御装置96は、第1揺動機構56を駆動して、スリットノズル4をスピンチャック3の側方の退避位置に退避させる。
【0080】
次いで、制御装置96は、第2揺動機構16を駆動して、第1純水ノズル5をウエハWの周縁部の上方へと導く。そして、図9Eに示すように、吸着ベース10および外周リング部材8の回転速度が低速度(たとえば10rpm)に維持されたまま、制御装置96は第1純水バルブ18を開いて、第1純水ノズル5からウエハWの上面の周縁部に向けて純水を吐出する。第1純水ノズル5から吐出された純水は、内周面47とウエハW上面とによって区画される溝に溜められる。このとき、第1純水ノズル5からウエハWの上面に供給される純水の供給圧によって、ウエハWの上面の全域に純水の流れができる。これにより、ウエハWの裏面(上面)上のエッチング液が純水に置換される(リンス処理)。
【0081】
このとき、ウエハWの下面周縁部と外周リング部材8の第1環状面45との間が第1シール部材9によってシールされているので、ウエハWの周端面からウエハWの下面に回り込んだ純水がウエハWの下面中央部に進入するのを抑制することができる。
さらに、吸着ベース10の下面と、外周リング部材8の底面部上面43の間が第2シール部材36によってシールされているとともに、第1および第2シール部材9,36の径方向内方には堰44が設けられており、かつ内軸66の上端内周とセンター回転軸11の外周との間の隙間Gから窒素ガスが吐出されている。これらにより、第1シール部材9の不良などにより、吸着ベース10の下面と外周リング部材8の底面部40との間の空間に純水が進入した場合であっても、純水の隙間Gへの進入を抑制または防止することができる。これにより、内軸66、センター回転軸11、主回転軸79または昇降動力伝達軸86における錆などの発生を抑制することができる。
【0082】
リンス処理の開始から予め定めるリンス時間(たとえば60秒間)が経過すると、制御装置96は、第1純水バルブ18を閉じ、第1純水ノズル5からの純水の吐出を停止する。また、制御装置96は、第2揺動機構16を駆動して、第1純水ノズル5をスピンチャック3の側方の退避位置に退避させる。
次いで、スピンドライ処理(1回目のスピンドライ処理)が実行される。処理位置では、吸着ベース10および外周リング部材8は、ウエハWを、強い吸着力で保持している。そのため、ウエハWを極めて高速(たとえば3000〜4000rpm程度)で回転させても、吸着ベース10および外周リング部材8からウエハWが離脱しない。スピンドライ処理では、図9Fに示すように、制御装置96は、スピンモータ78を制御して、吸着ベース10および外周リング部材8の回転速度を第1乾燥速度(3000〜4000rpm程度)まで加速する。これによって、ウエハWの上面に付着していた純水が回転による遠心力によって振り切られ、ウエハWがスピンドライ処理される(1回目のスピンドライ処理)。
【0083】
スピンドライ処理の開始から予め定める第1乾燥処理時間(たとえば60秒間)が経過すると、制御装置96は、スピンモータ78を制御して、図9Gに示すように、吸着ベース10および外周リング部材8の回転を停止させる。
この実施形態では、スピンドライ処理の終了後、ウエハWの下面周縁部に純水を供給して、当該部分に付着したエッチング液を洗い流すための下面周縁部リンス処理が行われる。この下面周縁部リンス処理は、吸着ベース10を下面リンス位置に配置して行われる。
【0084】
密閉空間99が減圧状態にあると、吸引ベース10およびウエハWを移動させることはできない。そのため、吸着ベース10およびウエハWを上昇させるには、密閉空間99内を一旦大気圧に戻す必要がある。
吸着ベース10および外周リング部材8の回転停止後、制御装置96はエアバルブ97を閉じて、吸着ベース10の吸引口26内の吸引を停止させる。そのため、ウエハWと吸着ベース10との間の減圧状態が解除され、これにより、吸着ベース10の上昇が可能になる。その後、制御装置96は昇降モータ94を駆動して、吸着ベース10を処理位置から下面リンス位置まで上昇させる。吸着ベース10の上昇に伴って、外周リング部材8の上面の上方が開放される。
【0085】
次いで、図9Hに示すように、制御装置96は昇降モータ94を駆動して、吸着ベース10を下面リンス位置まで上昇させる。そして、吸着ベース10が下面リンス位置に達すると、制御装置96はエアバルブ97を開いて、吸着ベース10の吸引口26内を吸引開始する。これにより、図9Iに示すように、ウエハWの下面が吸着ベース10の上面10aに再び吸着され、ウエハWが吸着ベース10に保持される。
【0086】
吸着ベース10が下面リンス位置に配置されている場合、オリフィス30の開口の周囲雰囲気は閉塞されていない。そのため、吸引口26内を吸引した場合にオリフィス30を介して吸引口26への雰囲気の流入が多少ある。したがって、吸着ベース10がかかる位置にある場合は、ウエハWを保持する吸着力は、処理位置に配置されているときと比べ多少弱まるが、第1乾燥速度よりも少し低い回転速度(たとえば1500rpm)程度であれば、ウエハWを吸着保持したまま吸着ベース10を回転させることが可能である。
【0087】
次いで、図9Jに示すように、制御装置96はスピンモータ78を制御して、吸着ベース10および外周リング部材8を下面リンス速度(たとえば200rpm)で等速回転させる。
また、制御装置96は、第3揺動機構22を駆動して、第2純水ノズル6を所定の配置位置まで引き出す(図10Aおよび図10B参照)。第2純水ノズル6が所定の配置位置まで引き出されると、制御装置96は第2純水バルブ24を開き、第2純水ノズル6からウエハWの下面周縁部に向けて純水を吐出する。この配置位置では、ウエハWの下面周縁部における所定の純水吐出位置(図10Aおよび図10Bに×印で図示)に向けて、その純水吐出位置よりもウエハWの回転方向上流側から純水が吐出される。このときの第2純水ノズル6から吐出される純水の吐出方向は平面視で接線方向に沿い、かつ鉛直方向に対して所定角度(たとえば0〜30°)だけ上方に向けて傾斜した方向である。ウエハWの下面周縁部に供給される純水は、ウエハWの下面周縁部からウエハWの周端面および上面周縁部にまで回り込み、ウエハWの下面周縁部およびウエハWの周端面に付着したエッチング液が洗い流される(下面周縁部リンス処理)。
【0088】
ウエハWの下面周縁部に供給された純水は、ウエハWの下面周縁部を伝って回転方向に向けて移動しつつ、ウエハWの下面周縁部から側方に向けて飛散する。したがって、第2純水ノズル6からウエハWに供給された純水が、ウエハWの回転半径内方にはほとんど進入しない。
この下面周縁部リンス処理によって、ウエハWから飛散する純水が、外周リング部材8の底面部上面43に僅かながら付着することも考えられる。しかしながら、底面部上面43に堰44が設けられているので、純水が底面部上面43を隙間Gに向けて移動することはほとんどない。また、内軸66の上端内周とセンター回転軸11の外周との間の隙間Gから窒素ガスが吐出されているので、ウエハWから飛散する純水が、底面部上面43における隙間G付近に付着した場合であっても、純水の隙間Gへの進入が抑制または防止される。これにより、内軸66、センター回転軸11、主回転軸79または昇降動力伝達軸86における錆などの発生を抑制することができる。
【0089】
下面周縁部リンス処理の開始から予め定める下面リンス時間(たとえば15〜30秒間)が経過すると、制御装置96は、第2純水バルブ24を閉じ、第2純水ノズル6からの純水の吐出を停止する。また、制御装置96は、第3揺動機構22を駆動して、第2純水ノズル6をスピンチャック3の側方の退避位置に退避させる。
次いで図9Kに示すように、制御装置96はスピンモータ78を制御して、吸着ベース10および外周リング部材8の回転速度を第2乾燥速度(1500rpm程度)まで加速する。1回目のスピンドライ処理によりウエハWの上面および下面中央部は乾燥しており、ウエハWの下面周縁部および周端面にだけ純水が付着している。ウエハWの下面周縁部に付着していた純水が回転による遠心力によって振り切られ、ウエハWがスピンドライ処理される(2回目のスピンドライ処理)。ウエハWの周縁部ではウエハWの中央部と比較して回転による遠心力が作用し易いので、前記の第2乾燥速度(1500rpm程度)でウエハWを回転させても、ウエハWの周縁部に付着した純水を十分に振り切ることができる。
【0090】
2回目のスピンドライ処理の開始から予め定める第2乾燥処理時間(たとえば30秒間)が経過すると、制御装置96は、スピンモータ78を制御して、図9Lに示すように、吸着ベース10および外周リング部材8の回転を停止させる。
また、制御装置96は窒素ガスバルブ84を閉じる。これにより、内軸66の上端内周とセンター回転軸11の外周との間の隙間G(図5B参照)からの窒素ガスの吐出が停止される。
【0091】
その後、制御装置96は、図9Mに示すように、昇降モータ94を駆動して吸着ベース10を取合位置まで上昇させる。吸着ベース10が取合位置に達した後、制御装置96はエアバルブ97を閉じて、吸着ベース10の吸引口26内の吸引を停止させる。この吸引停止により、ウエハWと吸着ベース10との間の減圧状態が解除されて、ウエハWの吸着が解除される。
【0092】
また、図9Nに示すように、搬送ロボットTRによって処理室2内に搬入される。具体的には、ウエハ未保持の搬送ロボットTRのハンドが、取合位置にある吸着ベース10に保持されたウエハWの下方に進出される。そして、制御装置96は昇降モータ94を駆動して、吸着ベース10を下面リンス位置まで下降させる。これにより、吸着ベース10から搬送ロボットTRのハンドにウエハWが引き渡される。その後、処理済みのウエハWが搬送ロボットTRによって処理室2から搬出され、ウエハWに対する一連の処理が終了する。
【0093】
処理室2からのウエハWの搬出後は、第1シール部材9を洗浄するための第1シール部材洗浄処理が実行される。この実施形態では第1シール部材9としてリップパッキン(カップパッキン)が採用されている。リップパッキン(カップパッキン)はくびれ部を有しており、ウエハWに対する一連の処理の終了後にこのくびれ部にエッチング液が残留していると、第1シール部材9が劣化するおそれがある。この実施形態では、処理済みのウエハWの搬出後、第1シール部材9を洗浄するための第1シール部材洗浄処理が実行される。
【0094】
図11は、第1シール部材洗浄処理を示す図解的な図である。第1シール部材洗浄処理は、吸着ベース10が下面リンス位置にある状態で実行される。第1シール部材洗浄処理が実行開始されるタイミングになると、制御装置96はスピンモータ78を制御して、吸着ベース10および外周リング部材8をリップパッキン洗浄速度(たとえば100rpm)で等速回転させる。
【0095】
また、制御装置96は、第2揺動機構16を駆動して、第1純水ノズル5をウエハWの上方へと導く。
第1純水ノズル5が第1シール部材9の上方に到達すると、制御装置96は、第1純水バルブ18を開いて、第1純水ノズル5からウエハWの第1シール部材9(より詳しくはくびれ部)に向けて純水を吐出する。第1純水ノズル5からの第1シール部材9への純水の供給により、第1シール部材9に付着するエッチング液が洗い流される。
【0096】
第1シール部材洗浄処理の開始から予め定める第1シール部材洗浄処理時間(たとえば30秒間)が経過すると、制御装置96は第1純水バルブ18を閉じ、第1純水ノズル5からの純水の吐出を停止する。また、制御装置96は第2揺動機構16を駆動して、第1純水ノズル5をスピンチャック3の側方の退避位置に退避させる。次いで、制御装置96は、スピンモータ78を制御して、吸着ベース10および外周リング部材8の回転速度を第3乾燥速度(2000rpm程度)まで加速する。これによって、第1シールまたは外周リング部材8におけるその周囲に付着する純水が回転による遠心力によって振り切られる。スピンドライ処理の開始から予め定める第3乾燥処理時間(たとえば30秒間)が経過すると、制御装置96はスピンモータ78を制御して、吸着ベース10および外周リング部材8の回転を停止させる。これにより、第1シール部材洗浄処理が終了する。
【0097】
以上説明した第1シール部材洗浄処理は、一連の基板処理の実行が終了する毎に実行されるものであってもよいし、予め定める回数の基板処理の実行が終了する毎に実行されるものであってもよい。また、予め定められるタイミングにおいて実行されるものであってもよい。
以上によりこの実施形態によれば、吸着ベース10は昇降可能に設けられている。吸着ベース10は、処理位置(図1および図9C〜図9Gに示す位置)と、下面リンス位置(図9A、図9H〜図9Lおよび図9Nに示す位置)と、取合位置(図9Bおよび図9Mに示す位置)との間で昇降される。
【0098】
吸着ベース10が処理位置にある状態で、吸引口26内が吸引されると、ウエハWの下面中央部と吸着ベース10の上面10aとの間の空間内が減圧されて、吸着ベース10の上面10aまたは外周リング部材8の第1環状面45にウエハWの下面全域が吸着される。そのため、処理位置において、吸着ベース10および外周リング部材8は、ウエハWを、強い吸着力で保持することができる。
【0099】
また、吸着ベース10が処理位置にあるときは、ウエハWの下面周縁部に第1シール部材9が接触し、ウエハWの下面周縁部と外周リング部材8の第1環状面45との間が第1シール部材9によってシールされる。これにより、ウエハWの周端面を回り込んだ処理液(エッチング液または純水)がウエハWの下面中央部に進入するのを抑制することができる。そのため、ウエハWの下面中央部における腐食などの不具合の発生を抑制できるとともに、処理液の隙間Gへの進入を抑制または防止することができ、ゆえに、内軸66、センター回転軸11、主回転軸79または昇降動力伝達軸86における錆および腐食などの発生を抑制することができる。
【0100】
また、吸着ベース10が、外周リング部材8の第1環状面45から離間する下面リンス位置にある場合であっても、吸着ベース10にウエハWを吸着保持させることができる。そして、吸着ベース10でウエハWを吸着保持しつつ吸着ベース10を回転させることにより、ウエハWの下面周縁部にリンス処理を施し、ウエハWの下面周縁部に付着しているエッチング液を洗い流すことができる。これにより、鉛直方向に異なる2つの位置でウエハWに対してそれぞれエッチング処理および下面周縁部リンス処理を施すことができる。
【0101】
また、内軸66の上端内周とセンター回転軸11の外周との間の隙間Gから窒素ガスが吐出される。そのため、隙間Gの周囲に存在する処理液は、当該隙間Gから離反する方向(たとえば径方向外方)に促される。そのため、処理液(エッチング液または純水)が隙間Gに進入するのを抑制することができる。
また、処理位置よりも上方にあるリンス下面位置または取合位置において、吸着ベース10と搬送ロボットTRのハンドとの間でウエハWの受け渡しが行われる。そのため、ウエハWの搬出入を良好に行うことができる。
【0102】
しかも、この実施形態では、吸着ベース10の昇降動作により、搬送ロボットTRのハンドからウエハWを受け取り、また搬送ロボットTRのハンドに対してウエハWを引き渡すことができる。そのため、ウエハWの受け渡しの際に搬送ロボットTRのハンドを昇降させる必要がなく、搬送ロボットTRの構成を簡素化することも可能である。
図12は、本発明の第2実施形態に係る基板回転保持装置が適用されたスピンチャック100の構成を図解的に示す斜視図である。図12では、吸引ベース10が下面リンス位置にある場合を示している。
【0103】
この第2実施形態において、図1〜図11に示す実施形態(第1実施形態)に示された各部に対応する部分には、第1実施形態と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。このスピンチャック100が、第1実施形態のスピンチャック3と相違する主たる点は、スピンモータ78がセンターチャック7に回転駆動力を付与し、このセンターチャック7に付与された回転駆動力が、外周リング部材8に伝達されるようになっている点である。以下、具体的に説明する。
【0104】
センターチャック7のセンター回転軸11は、主回転軸79に連結固定されている。スピンモータ78は、ハウジング77ではなく、円環板状の支持板101の上面に固定されている。この支持板101には、シリンダやボールねじ機構などの昇降機構102が結合されている。
外周リング部材8は、転がり軸受104を介して、水平に延びる板状のハウジング77に支持されている。ハウジング77には、その上下面を貫通する貫通孔103が形成されている。その貫通孔103に、センター回転軸11が挿通している。外周リング部材8の底部には、固定部105を介して転がり軸受104の外輪が固定されている。転がり軸受の内輪104はハウジング77の上面に固定されている。
【0105】
また、外周部材回転軸65の外軸67の下端部には、センター回転軸11の周囲を取り囲む円板部108が固定されている。円板部108は、センター回転軸11に近接して対向する周端面を有している。内軸66、外軸67、底面部40および円板部108によって、ほぼ密閉された空間が形成されている。この空間内には、窒素ガスを供給するための窒素ガス供給管106の先端が接続されている。窒素ガス供給管106には、窒素ガス供給源からの窒素ガスが供給されるようになっている。窒素ガス供給管106の途中部には、窒素ガス供給管106を開閉するための窒素ガスバルブ107が介装されている。窒素ガスバルブ107が開かれると、窒素ガス供給管106からの窒素ガスが、その空間内に充満し、内軸66の上端内周とセンター回転軸11の外周との間の隙間Gに供給されるようになっている。
【0106】
また、雄スプライン部60は、内軸66の上端部付近にのみ形成されている。したがって、吸着ベース10が処理位置にあるときは、キー61とキー溝69とが噛み合うが、吸着ベース10が下面リンス位置や取合位置にあるときは、キー61とキー溝69との噛合いは解除される。
吸着ベース10が処理位置にある状態で、スピンモータ78が回転駆動されると、主回転軸79およびセンター回転軸11が回転され、センターチャック7(吸着ベース10)がスピンモータ78の回転駆動力により回転駆動される。また、センターチャック7に付与された回転駆動力は、キー61とキー溝69との噛合によって、外周リング部材8に伝達される。これにより、スピンモータ78の回転駆動により、センターチャック7および外周リング部材8が回転される。
【0107】
一方、吸着ベース10が下面リンス位置または取合位置にある状態で、スピンモータ78が回転駆動されると、主回転軸79およびセンター回転軸11が回転され、センターチャック7(吸着ベース10)がスピンモータ78の回転駆動力により回転駆動される。このとき、キー61とキー溝69とは噛み合っていないので、センターチャック7の回転駆動力は外周リング部材8に伝達されない。これにより、スピンモータ78の回転駆動により、センターチャック7のみが回転される。
【0108】
図13は、本発明の第3実施形態に係る基板回転保持装置が適用されたスピンチャック3の構成を図解的に示す斜視図である。図13では、吸引ベース10が下面リンス位置にある場合を示している。
この第3実施形態において、図12に示す実施形態(第2実施形態)に示された各部に対応する部分には、第2実施形態と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。このスピンチャック110が、第2実施形態のスピンチャック3と相違する主たる点は、センターチャック7は昇降動作せず、外周リング部材8が昇降動作する点である。以下、具体的に説明する。
【0109】
スピンモータ78は、板状のハウジング111に固定されている。
転がり軸受104の内輪は、円環板状の支持板112の上面に固定されている。この支持板112には、シリンダやボールねじ機構などの昇降機構113が結合されている。
また、雄スプライン部60は、第1実施形態と同様、内軸66の軸長全域にわたって形成されている。そのため、吸着ベース10が処理位置、下面リンス位置および取合位置の場合のいずれにおいても、キー61とキー溝69とは噛み合っている。
【0110】
スピンモータ78が回転駆動されると、主回転軸79およびセンター回転軸11が回転され、センターチャック7(吸着ベース10)がスピンモータ78の回転駆動力により回転駆動される。また、センターチャック7に付与された回転駆動力は、キー61とキー溝69との噛合によって、外周リング部材8に伝達される。
また、昇降機構113が駆動されると、支持板112が昇降し、これに伴って、転がり軸受104および外周リング部材8が昇降する。一方、センターチャック7は、センター回転軸11および主回転軸79を介してハウジング111に連結されているので昇降可能な構成とはなっていない。したがって、外周リング部材8のみを昇降させることができる。
【0111】
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明は他の形態でも実施することができる。
図14は、第1シール部材洗浄処理の他の例を示す図解的な図である。外周リング部材8におけるウエハWの周端面と対向する内周面120を図14に示すようなテーパ面によって形成することもできる。この場合、第1シール部材洗浄処理の際に、リップパッキンに供給された純水が径方向外方に促され易い。そのため、かかる洗浄処理後に当該部分を容易に乾燥させることができる。
【0112】
また、第2実施形態において、雄スプライン部60が内軸66の軸長全域にわたって形成されていてもよい。この場合、吸着ベース10が処理位置、下面リンス位置および取合位置の場合のいずれにおいても、キー61とキー溝69とは噛み合っている。
そのため、吸着ベース10の上下方向の位置に拘わらず、スピンモータ78が回転駆動されると、主回転軸79およびセンター回転軸11が回転され、センターチャック7(吸着ベース10)がスピンモータ78の回転駆動力により回転駆動される。そして、センターチャック7に付与された回転駆動力は、キー61とキー溝69との噛合によって、外周リング部材8に伝達される。
【0113】
また、第1〜第3実施形態において、オリフィス30を、吸着ベース10の上面10aの周縁部に溝状に形成することもできる。この場合、オリフィス30の幅が大きすぎると、下面リンス時に純水が噛み込む(流入する)おそれがあるので、オリフィス30の幅は0.3mm程度が望ましい。
また、第1〜第3実施形態において、第1シール部材9として、フランジパッキンや、断面U字形状を有するUパッキン、断面V字形状を有するVパッキンを用いることもできる。これらのリップパッキンもくびれ部を有するので、これらのリップパッキンを第1シール部材9として用いる場合、図11に示す第1シール部材洗浄処理が実行されることが望ましい。
【0114】
さらに第1シール部材9として、面シールする面パッキンを採用することもできる。
また、各実施形態において、吸着ベース10を、処理位置、下面リンス位置および取合位置の間で昇降させる構成を例に挙げて説明したが、搬送ロボットTRのハンドが昇降可能な構成であり、ウエハWの搬出入する際に搬送ロボットTRのハンドを昇降させるのであれば、吸着ベース10が下面リンス位置にある状態で、搬送ロボットTRのハンドと吸着ベース10とのウエハWの受け渡しを行うことができる。この場合、取合位置を省略し、吸着ベース10を処理位置および下面リンス位置の二位置の間で昇降させれば足りる。この場合、吸着ベース10の昇降動作を簡単に制御することもできる。
【0115】
また、ウエハWの搬入時における吸着ベース10の待機位置(図9A参照)を、下面リンス位置とは異なる位置に設定してもよい。
また、吸着ベース10の上下方向の位置を、多数位置の間で変更させることもできる。
第1〜第3実施形態において、第2シール部材36は、吸着ベース10の下面10bでなく、底面部40の底面部上面43に配設されていてもよい。
【0116】
また、スリットノズル4には、第1および第2シート52,53を取り除いた構成のものを適用することができる。
また、外周リング部材8の第2環状面46は平坦面でなく、径方向外方に向かうにつれて低くなるテーパ面で形成されていてもよい。
また、処理液としてエッチング液を用いる場合を例に挙げて説明したが、処理液として、他のものを用いることができる。
【0117】
処理液として、ウエハWの表面(または裏面)に対する処理の内容に応じたものが用いられる。たとえば、ウエハWの表面からパーティクルを除去するための洗浄処理を行うときは、SC1(ammonia-hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水)などの薬液を含む洗浄液が用いられる。また、ウエハWの表面から酸化膜等をエッチングするための洗浄処理を行うときは、ふっ酸やBHF(Bufferd HF)などの薬液を含む洗浄液が用いられ、レジスト剥離後のウエハWの表面にポリマーとなって残留しているレジスト残渣を除去するためのポリマー除去処理を行うときは、SPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水)やSC1(ammonia-hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水)などのポリマー除去液が用いられ、金属汚染物を除去する洗浄処理には、ふっ酸やSC2(hydrochloric acid/hydrogen peroxide mixture:塩酸過酸化水素水)やSPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水)などの薬液が用いられる。
【0118】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0119】
1 基板処理装置
3 スピンチャック(基板保持回転装置)
4 スリットノズル(エッチング液供給手段)
5 第1純水ノズル(処理液供給手段、洗浄液吐出手段)
6 第2純水ノズル(周縁部処理液吐出手段)
8 外周リング部材(周縁部対向部材)
9 第1シール部材
10 吸着ベース(基板支持プレート)
10a 上面(中央部対向面)
10b 下面(反対面)
11 センター回転軸(回転軸)
26 吸引口
27 吸引溝(連通路)
30 オリフィス(連通路)
32 第1吸引管(吸引手段)
33 第2吸引管(吸引手段)
34 真空発生装置(吸引手段)
36 第2シール部材
45 第1環状面(周縁部対向面)
47 内周面(周端面対向面)
61 キー
66 内軸(筒部)
69 キー溝
78 スピンモータ(第1回転駆動源、第2回転駆動源)
79 主回転軸(回転機構)
83 窒素ガス供給管(不活性ガス供給手段)
84 窒素ガスバルブ(不活性ガス供給手段)
86 昇降動力伝達軸(移動機構)
89 ボールねじ機構(移動機構)
94 昇降モータ(移動機構)
98 窒素ガス流通管(不活性ガス供給手段)
99 密閉空間(閉塞された空間)
100 基板保持回転装置
110 基板保持回転装置
G 隙間
W ウエハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方面の中央部と対向する中央部対向面と、前記中央部対向面に形成された吸引口とを有し、基板の一方面の中央部を支持するための基板支持プレートと、
前記吸引口内を吸引する吸引手段と、
前記基板支持プレートに支持された基板の一方面の周縁部と対向する周縁部対向面を有する周縁部対向部材と、
前記基板支持プレートを所定の回転軸線まわりに回転させるための回転機構と、
前記基板支持プレートおよび前記周縁部対向部材の少なくとも一方を移動させて、前記基板支持プレートに支持された基板が前記周縁部対向面に近接する近接状態と、前記基板支持プレートに支持された基板が前記周縁部対向面から離間する離間状態とを切り換える移動機構と、
前記周縁部対向部材に設けられ、前記近接状態において基板の一方面の周縁部と接触して基板の一方面の周縁部と前記周縁部対向面との間をシールする第1シール部材とを含み、
前記近接状態において、基板の一方面、前記第1シール部材、前記周縁部対向面および前記基板支持プレートの側方によって、閉塞された空間が区画されるようになっており、
前記基板支持プレートには、前記近接状態において前記空間と前記吸引口とを連通する連通路が形成されている、基板保持回転装置。
【請求項2】
前記周縁部対向部材が、前記近接状態において、前記基板支持プレートに支持された基板の周端面と対向する周端面対向面をさらに含む、請求項1記載の基板保持回転装置。
【請求項3】
前記基板支持プレートには、前記回転軸線と同軸に延び、前記基板支持プレートに先端が固定された回転軸が取り付けられており、
前記周縁部対向部材は、前記回転軸が内挿する筒部を有している、請求項1または2記載の基板保持回転装置。
【請求項4】
前記筒部の内周および前記回転軸の外周の間に隙間が形成されており、
前記隙間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段をさらに含む、請求項3記載の基板保持回転装置。
【請求項5】
前記基板支持プレートは、前記中央部対向面と反対側の反対面を有し、
前記基板保持回転装置は、前記近接状態において前記反対面と前記周縁部対向部材との間をシールする第2シール部材をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板保持回転装置。
【請求項6】
前記回転機構が、前記基板支持プレートおよび前記周縁部対向部材を同軸に回転させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板保持回転装置。
【請求項7】
前記回転機構が、
前記周縁部対向部材に回転駆動力を付与するための第1回転駆動源と、
前記周縁部対向部材に付与された前記第1回転駆動源からの回転駆動力を、前記基板支持プレートに伝達する第1伝達手段とを含む、請求項6記載の基板保持回転装置。
【請求項8】
前記回転機構が、
前記基板支持プレートに回転駆動力を付与するための第2回転駆動源と、
前記基板支持プレートに付与された前記第2回転駆動源からの回転駆動力を、前記周縁部対向部材に伝達する第2伝達手段とを含む、請求項6記載の基板保持回転装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板保持回転装置と、
前記近接状態において、前記基板支持プレートに支持された基板の他方面に処理液を供給する処理液供給手段とを含む、基板処理装置。
【請求項10】
前記処理液供給手段は、エッチング液を供給するエッチング液供給手段を含む、請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記離間状態において、基板の一方面の周縁部に向けて処理液を吐出する周縁部処理液吐出手段をさらに含む、請求項9または10記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1シール部材に向けて洗浄液を吐出する洗浄液吐出手段をさらに含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図9I】
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【図9J】
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【図9K】
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【図9L】
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【図9M】
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【図9N】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−216520(P2011−216520A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80343(P2010−80343)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】