説明

基板処理方法および基板処理装置

【課題】シリコン基板の面荒れを防止しつつ、シリコン基板を薄化させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供すること。
【解決手段】研削工程(図(b)参照)では、研削装置80の研削砥石によってウエハWの裏面が研削される。ウエハWの研削の進行に伴って、研削砥石が磨耗し、研削砥石から破砕された結合剤が、ウエハWの裏面に付着するおそれがある。その後、UV照射工程が実行される。UV照射工程(図(c)参照)では、紫外線ランプ32からの紫外線がウエハWの裏面に照射される。ウエハWの裏面に有機付着物が付着していても、この紫外線の照射により、有機付着物の内部結合が切断されて、この有機付着物が分子レベルで破壊される。その後、ふっ硝酸供給工程(図(d)参照)が実行され、ウエハWの裏面がふっ硝酸を用いてエッチングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハなどのシリコン基板に薄化処理を施すための基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、シリコンウエハに対して処理液を用いた液処理が行われる。このような液処理の一つは、エッチング液をシリコンウエハの一方面に供給して行うエッチング処理である。このようなエッチング処理により、シリコンウエハを薄化(シンニング)することが知られている。具体的には、エッチング力の極めて高いふっ酸硝酸混合液を、シリコンウエハの裏面(デバイス形成領域側の表面とは反対側の裏面)に供給することにより、裏面の表層部からウエハ材料を均一にエッチング除去することができる(たとえば特許文献1参照)。このようなシリコンウエハの薄化では、たとえば725μmのシリコンウエハの厚みを、40μm程度まで薄くするのが一般的である。
【0003】
また、シリコンウエハの裏面に研削処理を施してシリコンウエハを薄化させる方法も知られている。この研削処理では、高速回転される研削砥石がシリコンウエハの裏面に接触させられることにより、シリコンウエハの裏面が平坦に研削される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−88381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者らは、ふっ酸硝酸混合液によるエッチング処理に先立って、シリコンウエハの裏面に研削処理を施すことを検討している。すわなち、研削処理によりシリコンウエハは所定厚みまで薄くされた後、エッチング処理によりさらに一層薄くされる。研削処理はエッチング処理に比べて薄化の処理レートが大きいので、エッチング処理のみで薄化を図る場合と比較して、処理の効率化を図ることができる。
【0006】
ところが、シリコンウエハの裏面に研削処理を施し、その後、その裏面にふっ酸硝酸混合液によるエッチング処理を施す場合、エッチング処理後のシリコンウエハの裏面にキズや凹凸(エッチピット)、曇りなどの面荒れが生じることがある。薄化処理後のシリコンウエハの裏面に面荒れがあると、以降のプロセスや実装後において、半導体デバイスの破損の原因になる。
【0007】
そこで、この発明の目的は、シリコン基板の面荒れを防止しつつ、シリコン基板を薄化させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、シリコン基板(W)を、研削砥石(85)を用いて研削する研削工程(S3)と、前記研削工程実行後のシリコン基板から、前記研削工程において生じる有機付着物を除去する有機付着物除去工程(S6)と、前記有機付着物除去工程後のシリコン基板の一方面に、ふっ酸硝酸混合液を供給するふっ酸硝酸混合液供給工程(S9)とを含む、基板処理方法である。
【0009】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
研削工程では、研削砥石によってシリコン基板の一方面が研削される。この研削砥石は、たとえば、砥粒(86)が樹脂製の結合剤(B)により固められることによって形成されている。研削工程では、研削砥石に含まれる樹脂製の結合剤が破砕されて周囲に分散する。破砕された樹脂製の結合剤がシリコン基板の一方面に付着して有機付着物となると、この有機付着物がその後のふっ酸硝酸混合液供給工程においてエッチングマスクとして機能し、ふっ酸硝酸混合液によるエッチングを阻害するおそれがある。このため、シリコン基板の一方面に面荒れが生じるおそれがある。
【0010】
この発明の方法によれば、ふっ酸硝酸混合液供給工程に先立って、有機付着物除去工程が実行される。有機付着物除去工程では、研削工程において生じた有機付着物がシリコン基板から除去される。そして、有機付着物が除去された後にふっ酸硝酸混合液供給工程が実行されるので、ふっ酸硝酸混合液によるシリコン基板の一方面へのエッチングが有機付着物によって阻害されることがない。これにより、シリコン基板の一方面への面荒れの発生を防止または抑制しつつ、シリコン基板を薄化させることができる。
【0011】
なお、この明細書において「有機付着物を除去」とは、有機付着物を基板表面から離脱させることの他、有機付着物を分子レベルで破壊することや有機付着物を部分的に除去して縮小化させることを含む趣旨である。
また、「ふっ酸硝酸混合液」とは、ふっ酸および硝酸の混合液だけでなく、ふっ酸および硝酸の混合液に燐酸など他の酸が混合されたものも含む趣旨である。
請求項2記載の方法は、前記研削工程に先立って、シリコン基板を補強するための補強基板(S)を、シリコン基板の前記一方面とは反対の他方面に接着剤(A)を介して貼り合わせる貼合工程(S1)をさらに含む、請求項1記載の基板処理方法である。
【0012】
この発明の方法によれば、シリコン基板の他方面に補強基板が貼り合わせられる。シリコン基板と補強基板が貼り合わせられることにより、シリコン基板が補強基板により補強されて、変形し難くなる。
この補強後のシリコン基板に対して研削工程が施される。研削砥石によりシリコン基板が研削される研削工程ではシリコン基板に比較的大きな力が作用するが、シリコン基板が補強されているので、研削工程におけるシリコン基板の変形を防止することができる。
【0013】
また、貼合工程では、たとえば樹脂製の接着剤を介して補強基板がシリコン基板に貼り合わせられる。したがって、シリコン基板と補強基板との間から接着剤がはみ出すと、この接着剤が、研削砥石により破砕されて周囲に分散し、シリコン基板の一方面に有機付着物として付着するおそれがある。
この発明の方法によれば、研削工程において、シリコン基板の一方面に、接着剤が有機付着物として付着しても、この接着剤は、ふっ酸硝酸混合液供給工程の実行に先立って除去される。このため、ふっ酸硝酸混合液によるシリコン基板の一方面へのエッチングが、接着剤によって阻害されることはない。
【0014】
請求項3に記載のように、前記有機付着物除去工程が、シリコン基板に紫外線を照射する紫外線照射工程(S6)を含むものであってもよい。この方法によれば、シリコン基板に紫外線を照射することにより、当該シリコン基板の一方面に付着する有機付着物の内部結合を切断して、当該有機付着物を分子レベルで破壊することができる。
また、請求項4に記載のように、前記有機付着物除去工程が、シリコン基板に対してオゾンガスを供給するオゾンガス供給工程を含むものであってもよい。この方法によれば、シリコン基板にオゾンガスを供給することにより、当該シリコン基板の一方面に付着する有機付着物を酸化させて、当該有機付着物を分子レベルで破壊することができる。
【0015】
請求項5に記載のように、前記有機付着物除去工程が、シリコン基板に対して硫酸過酸化水素水混合液を供給する硫酸過酸化水素水供給工程を含むものであってもよい。この方法によれば、シリコン基板に硫酸過酸化水素水混合液を供給することにより、当該シリコン基板の一方面に付着する有機付着物を、硫酸過酸化水素水混合液に含まれるペルオキソ一硫酸(HSO)の強酸化力によって剥離させることができる。
【0016】
また、請求項6に記載のように、前記有機付着物除去工程が、シリコン基板に対してオゾン水を供給するオゾン水供給工程を含むものであってもよい。この方法によれば、シリコン基板にオゾン水を供給することにより、当該シリコン基板の一方面に付着する有機付着物を、オゾン水の酸化力によって剥離させることができる。
さらに、請求項7に記載のように、前記有機付着物除去工程が、シリコン基板に対してプラズマを照射するプラズマ照射工程(S20)を含むものであってもよい。この方法によれば、シリコン基板にプラズマを照射することにより、当該シリコン基板の一方面に付着する有機付着物の内部結合を切断して、当該有機付着物を分子レベルで破壊することができる。
【0017】
請求項8記載の発明は、研削砥石(85)を用いて研削されたシリコン基板(W)から有機付着物を除去する有機付着物除去手段(32;92;111,112;121,122,123;131)と、前記有機付着物除去手段により有機付着物が除去された後のシリコン基板の一方面に、ふっ酸硝酸混合液を供給するふっ酸硝酸混合液供給手段(41;132)とを含む、基板処理装置である。
【0018】
この構成によれば、請求項1の発明に関連して述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
請求項9記載の発明は、シリコン基板を収容可能な基板収容器(C)を保持するための収容器保持部(5)をさらに含み、前記有機付着物除去手段が、前記基板収容器に収容されたシリコン基板に対して紫外線を照射する紫外線照射手段(111,112)を含む、請求項8記載の基板処理装置である。
【0019】
この構成によれば、基板収容器に収容されたシリコン基板に対して紫外線が照射される。これにより、シリコン基板から有機付着物を除去することができる。シリコン基板を基板収容器に収容した状態で有機付着物を除去することができるので、専用の処理室を別途設ける必要がない。また、処理前のシリコン基板を基板収容器内に待機させている期間を利用して有機物除去処理を行うことができるので、効率的な基板処理が可能になる。
【0020】
請求項10記載の発明は、シリコン基板を収容可能な基板収容器(C)を保持するための収容器保持部(5)をさらに含み、前記有機付着物除去手段が、前記基板収容器に収容されたシリコン基板に対してオゾンガスを供給するオゾンガス供給手段(121,122,123)を含む、請求項8または9記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板収容器に収容されたシリコン基板に対してオゾンガスが供給される。このオゾンガスによって、シリコン基板から有機付着物を除去することができる。
【0021】
請求項11記載の発明は、シリコン基板を所定の搬送方向(R1)に搬送する基板搬送機構(130)をさらに含み、前記有機付着物除去手段(131)が、前記基板搬送機構による基板搬送経路の第1の位置(P3)でシリコン基板から有機付着物を除去するように設けられており、前記ふっ酸硝酸混合液供給手段が、前記基板搬送経路において、前記基板搬送方向に関し前記第1の位置よりも下流側の第2の位置(P4)に向けてふっ酸硝酸混合液を供給するように設けられている、請求項8記載の基板処理装置である。
【0022】
この構成によれば、基板搬送機構によるシリコン基板の搬送中に、シリコン基板に付着する有機付着物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。
【図2】図1に示すUV処理室の構成を図解的に示す断面図である。
【図3】図1に示すふっ硝酸処理室の構成を図解的に示す断面図である。
【図4】図1に示すふっ硝酸処理室の内部構成を図解的に示す平面断面図である。
【図5】図1に示す基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】ウエハに施される薄化処理を説明するための工程図である。
【図7】貼合工程、研削工程、UV照射工程およびふっ硝酸供給工程を説明するための図である。
【図8】研削装置を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の構成を示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る基板処理装置の一部の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る基板処理装置の一部の構成を示す断面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る基板処理方法を説明するための工程図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図解的な斜視図である。
【図14】図13の基板処理装置による処理の様子を説明するための図解的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。この基板処理装置は、円形のシリコンウエハ(シリコン基板)W(以下、単に「ウエハW」という。)におけるデバイス形成領域側の表面とは反対側の裏面に対して、ウエハWの薄化(シンニング)のためのエッチング処理を施すための枚葉式の装置である。このエッチング処理では、エッチング液として、たとえばふっ酸硝酸混合液(以下、「ふっ硝酸」という。)が用いられる。
【0025】
この基板処理装置は、ウエハWの裏面に紫外線を照射するためのUV処理室2と、ウエハWの裏面にふっ硝酸を供給するためのふっ硝酸処理室3と、ウエハWを搬送するための搬送室4とを備えている。搬送室4は、UV処理室2とふっ硝酸処理室3との間に挟まれた状態で配置されている。UV処理室2、搬送室4およびふっ硝酸処理室3は、所定の水平方向(X方向)に沿ってこの順で一列に並んでいる。搬送室4の側方(図1に示す上方)には、基板収容器Cを載置するための収容器載置台(収容器保持部)5が設けられている。
【0026】
収容器載置台5には、複数(図1では2つ)の基板収容器CがX方向に沿って並べて配置される。基板収容器Cには、複数枚のウエハWが多段に積層した状態で収容される。収容器載置台5は、搬送室4から見てY方向(X方向に直交する水平方向)の一方に配置されている。
UV処理室2と搬送室4とを仕切る隔壁6には、UV処理室2内にウエハWを搬出入するための第1開口11が形成されている。この隔壁6の内面(搬送室4に臨む面)には、第1開口11を開閉するための第1ドア14が設けられている。
【0027】
ふっ硝酸処理室3と搬送室4とを仕切る隔壁7には、ふっ硝酸処理室3内にウエハWを搬出入するための第2開口12が形成されている。この隔壁7の内面(搬送室4に臨む面)には、第2開口12を開閉するための第2ドア15が設けられている。
搬送室4と収容器載置台5とを仕切る隔壁8には、基板収容器Cに対してウエハWを出し入れするための第3開口13が複数(図1では2つ)形成されている。この隔壁8の内面(搬送室4に臨む面)には、第3開口13を開閉するための第3ドア16が設けられている。
【0028】
搬送室4内には、ウエハWを搬送するための搬送ロボット17が配置されている。搬送ロボット17は、搬送室4でY方向に沿って延びるY方向レール18と、鉛直方向に延びて、Y方向レール18上をY方向に沿ってスライド可能に設けられた支持軸19と、この支持軸19に、支持軸19まわりに回転可能に支持されて、水平方向に延びるハンドアーム20と、ハンドアーム20の先端部に結合されて、ウエハWを保持するためのハンド21とを備えている。Y方向レール18は、X方向に沿って延びるX方向レール22上に、X方向に沿う方向にスライド可能に保持されている。X方向レール22は、Y方向レール18の両端部と接触し、搬送室4の下壁(搬送室4の下面に相当する隔壁)に固定されている。
【0029】
Y方向レール18には、X方向駆動機構23が結合されている。X方向駆動機構23の駆動力によって、Y方向レール18を支持軸19ごと、X方向に沿ってスライドさせることができるようになっている。支持軸19には、Y方向駆動機構24が結合されている。Y方向駆動機構24の駆動力によって、支持軸19をY方向に沿ってスライドさせることができるようになっている。ハンドアーム20には、ハンドアーム揺動駆動機構25が結合されている。ハンドアーム揺動駆動機構25の駆動力によって、ハンドアーム20を支持軸19まわりに回転させることができるようになっている。
【0030】
ハンドアーム20が支持軸19まわりに回転されることにより、ハンド21を各開口(第1開口11、第2開口12および第3開口13)に対向させることができる。ハンド21が第3開口13に対向している状態でY方向駆動機構24が駆動されることにより、ハンド21を第3開口13を通して、収容器載置台5に配置された基板収容器C内に進入させることができる。これにより、搬送ロボット17は、基板収容器CからウエハWを取り出したり、基板収容器CにウエハWを収納したりすることができる。
【0031】
また、ハンド21が第1開口11に対向している状態でX方向駆動機構23が駆動されることにより、ハンド21を第1開口11を通してUV処理室2内に進入させることができる。これにより、搬送ロボット17は、UV処理室2にウエハWを搬入したり、UV処理室2からウエハWを搬出したりすることができる。
さらに、ハンド21が第2開口12に対向している状態でX方向駆動機構23が駆動されることにより、ハンド21を第2開口12を通してふっ硝酸処理室3の内部に進入させることができる。これにより、搬送ロボット17は、ふっ硝酸処理室3にウエハWを搬入したり、ふっ硝酸処理室3からウエハWを搬出したりすることができる。
【0032】
図2は、UV処理室2の構成を図解的に示す断面図である。UV処理室2は、隔壁により区画されており、その内部に、ウエハWを載置するためのウエハ載置台30と、このウエハ載置台30に載置されたウエハWの裏面(上面)に紫外線を照射するための紫外線照射装置31とが収容されている。
紫外線照射装置31は、ウエハ載置台30の上方に配置されており、複数(この実施形態では3つ)の紫外線ランプ(有機付着物除去手段)32を備えている。紫外線ランプ32は水平方向に延び、紫外線ランプ32とウエハ載置台30の上面との間の間隔は、たとえば50mm程度である。各紫外線ランプ12としては、ピーク波長が184.9nmおよび253.7nmの紫外線を発生する低圧水銀ランプ(たとえばセン特殊光源株式会社製)が採用されている。これらにより、ウエハ載置台30の上面における184.9nmの紫外線の照度は、たとえば4nW/cmであり、253.7nmの紫外線の照度は、たとえば14nW/cmになる。
【0033】
なお、各紫外線ランプ32から発生される紫外線をウエハ載置台30に向けて反射させるための反射板が紫外線照射装置31に設けられていてもよい。
図3は、ふっ硝酸処理室3の構成を図解的に示す断面図である。図4は、ふっ硝酸処理室3の内部構成を図解的に示す平面断面図である。
ふっ硝酸処理室3は、隔壁により区画されており、その内部に、ウエハWをほぼ水平姿勢に保持するための基板保持機構40と、基板保持機構40に保持されたウエハWの上面にふっ硝酸を供給するためのスリットノズル(ふっ酸硝酸混合液供給手段)41と、基板保持機構40に保持されたウエハWの上面に向けてDIW(deionized water:脱イオン化された純水)を供給するためのDIWノズル42とを備えている。
【0034】
基板保持機構40は、鉛直軸線まわりに回転される回転軸43と、回転軸43の上端に固定された円盤状のスピンベース44と、スピンベース44上に固定された基板支持部材45とを備えている。スピンベース44の中央部には、スピンベース44の上下面を貫通する貫通孔46が形成されている。回転軸43には、モータを含む回転駆動機構59からの回転駆動力が入力されている。
【0035】
基板支持部材45は、水平方向に延びる略円盤状の底壁部47と、底壁部47の周縁部から上方に向けて立ち上がる円筒状の外周リング部48と、外周リング部48よりも径方向外方に設けられて、スピンベース44に固定される円筒状の固定部49と、底壁部47と固定部49とを接続する接続部50とを一体的に備えて形成されている。固定部49は、複数本のボルト51によってスピンベース44に固定されている。底壁部47の上面と外周リング部48の内周面とで区画される円筒状の収容凹部52内に、ウエハWが収容保持される。外周リング部48は、収容凹部52に収容されるウエハWの外周端を取り囲む。外周リング部48の上面は、収容凹部52に収容されるウエハWの上面よりも、微小高さだけ高くなるように設定されている。
【0036】
底壁部47の上面には、リング状のシール部材53が、底壁部47の周縁に沿って配置されている。このシール部材53によって、ウエハWの下面が支持される。シール部材53は、リップパッキンであってもよいし、面パッキンであってもよい。
底壁部47の中央には、吸引用の吸引ノズル54が配置されている。吸引ノズル54の先端部(上端部)は、底壁部47の上面に開口する吸引口を有している。吸引ノズル54からは、鉛直下方に向けて吸引管55が延びている。吸引管55は、スピンベース44の貫通孔46および回転軸43内を挿通して、その他端が、真空発生装置などの吸引装置56に接続されている。
【0037】
基板保持機構40には、複数本(たとえば、4つ)のリフトピン57が設けられている(図3では、2つのリフトピン57のみ図示)。各リフトピン57は、スピンベース44を上下に貫通して形成された貫通孔46に挿通されて、スピンベース44に対して昇降可能に設けられている。これらのリフトピン57には、リフトピン57を一括して昇降させるためのリフトピン昇降駆動機構(図示しない)が結合されている。リフトピン昇降駆動機構が駆動されることにより、ウエハWを、収容凹部52に収容された状態と、収容凹部52から上方に離脱された状態との間で昇降させることができる。
【0038】
スリットノズル41は、所定の水平方向に沿う直方体状の外形を有した本体60を備えている。本体60の下面には、水平方向に沿って直線状に開口するスリット吐出口61が形成されている。スリット吐出口61の長さ(長手方向の大きさ)は、ウエハWの直径よりも大きい。スリット吐出口61は、本体60の長手方向に沿う帯状にふっ硝酸を吐出する。
【0039】
本体60の一方側側面(図3に示す左側)には、長方形状の可撓性の第1シート62が鉛直姿勢に取り付けられている。また、本体60の反対側側面(図3に示す右側)には、長方形状の可撓性の第2シート63が鉛直姿勢に取り付けられている。第1および第2シート62,63のシート幅(ウエハWの法線方向の長さ)は、その先端縁が基板支持部材45に支持されるウエハWの上面に当接して、第1および第2シート62,63が撓む程度の幅に設定されている。
【0040】
スリットノズル41は、ほぼ水平に延びるノズルアーム64に取り付けられている。このノズルアーム64は、基板保持機構40の側方でほぼ鉛直に延びたノズルアーム支持軸71に支持されている。ノズルアーム支持軸71には、ノズルアーム揺動駆動機構65が結合されており、このノズルアーム揺動駆動機構65の駆動力によって、ノズルアーム支持軸71を回動させて、ノズルアーム64を揺動させることができるようになっている。
【0041】
スリットノズル41には、スリット吐出口61に連通するふっ硝酸供給管66が接続されている。ふっ硝酸供給管66には、ふっ硝酸供給源からのふっ硝酸が供給されるようになっており、その途中部には、スリットノズル41へのふっ硝酸の供給および供給停止を切り換えるためのふっ硝酸バルブ67が介装されている。
DIWノズル42は、たとえば連続流の状態でDIWを吐出するストレートノズルであり、基板保持機構40の上方で、その吐出口をウエハWの中央部に向けて配置されている。このDIWノズル42には、DIW供給管68が接続されており、DIW供給源からのDIWがDIW供給管68を通して供給されるようになっている。DIW供給管68の途中部には、DIWノズル42へのDIWの供給および供給停止を切り換えるためのDIWバルブ69が介装されている。
【0042】
ノズルアーム揺動駆動機構65の駆動により、ノズルアーム64が揺動されて、スリットノズル41が、基板保持機構40の上方領域外にある第1スキャン位置P1(図4にて実線で図示)と、この第1スキャン位置P1とウエハWの回転中心を中心として90°離間し、基板支持部材45の上方領域外にある第2スキャン位置P2(図4にて二点鎖線で図示)との間を、水平方向に沿って往復移動する。
【0043】
たとえば、スリットノズル41が第1スキャン位置P1から第2スキャン位置P2に向けて移動する際には、第1シート62が、ウエハWの上面におけるふっ硝酸の着液位置よりも進行方向の前方側の領域に接触しつつ移動する。これにより、ウエハWの上面から失活したふっ硝酸を掻き取り、排除することができる。また、第2シート63が、ウエハWの上面におけるふっ硝酸の着液位置よりも進行方向の後方側の領域に接触しつつ移動する。これにより、ウエハWの上面に供給されたふっ硝酸を均すことができる。
【0044】
また、スリットノズル41が第2スキャン位置P2から第1スキャン位置P1に向けて戻る際には、第2シート63が、ウエハWの上面におけるふっ硝酸の着液位置よりも進行方向の前方側の領域に接触しつつ移動する。これにより、ウエハWの上面から失活したふっ硝酸を掻き取り、排除することができる。また、第1シート62が、ウエハWの上面におけるふっ硝酸の着液位置よりも進行方向の後方側の領域に接触しつつ移動する。これにより、ウエハWの上面に供給されたふっ硝酸を均すことができる。
【0045】
図5は、図1に示す基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。基板処理装置は、たとえば、マイクロコンピュータで構成される制御装置70を備えている。制御装置70には、紫外線ランプ32、回転駆動機構59、ノズルアーム揺動駆動機構65、ふっ硝酸バルブ67、吸引装置56、DIWバルブ69、X方向駆動機構23、Y方向駆動機構24およびハンドアーム揺動駆動機構25が制御対象として接続されている。
【0046】
図6は、ウエハWに施される薄化処理を説明するための工程図である。図7は、薄化処理に含まれる工程を説明するための図である。
この薄化処理では、ウエハWの裏面を研削する研削工程が実行されるとともに、研削工程実行後のウエハWの裏面にふっ硝酸を供給するふっ硝酸供給工程が実行される。これら研削工程およびふっ硝酸供給工程により、ウエハWの厚みが725μmから40μm程度まで薄くされる。
【0047】
研削工程に先立って、ウエハWを補強するための補強基板としてのガラス基板Sが、接着剤Aを介して、ウエハWの表面(デバイス形成面)に貼り合わせられる(S1:貼合工程。図7(a)参照)。ガラス基板Sは、ウエハWと同径の円板状をなしており、厚みがたとえば500〜700μmである。このウエハWとガラス基板Sとの貼り合わせは、作業者の手作業によって行われる。この接着剤Aは、フェノキシポリエチレンングリコールアクリレート、ジシクロベンタニルジアクリレートなどのアクリル樹脂を主成分としている。
【0048】
その後、所定の紫外線照射装置(図示しない)により、ウエハWおよびガラス基板Sに紫外線が照射される(ステップS2)。これにより、ウエハWとガラス基板Sとの間に介在する接着剤Aが硬化して、ウエハWとガラス基板Sとが強固に接合される。これにより、ウエハWがガラス基板Sにより補強されてウエハWの強度が上昇し、ウエハWが変形しにくくなる。
【0049】
次いで、研削工程(ステップS3。図7(b)参照)が実行される。この研削工程では、研削装置80が用いられる。
図8は、研削装置80を示す斜視図である。研削装置80は、ウエハWを保持して、所定の鉛直軸線まわりに回転させる回転機構(図示しない)と、回転機構に保持されたウエハWの裏面を研削する研削機構81と、研削機構81を回転機構に向けて送るための送り機構(図示しない)とを備えている。
【0050】
研削機構81は、回転機構の上方に配置される円筒状のグラインドホイール82と、グラインドホイール82を上方から支持する円盤83と、円盤83の中心から上方に延びる回転支持軸84とを備えている。このグラインドホイール82の下端縁に複数のチップ状の研削砥石85が環状に分割して配設されている。各研削砥石85は、刃面からなる下面を有している。回転支持軸84には、モータなどの回転駆動機構(図示しない)が結合されている。
【0051】
研削砥石85は、高硬度の砥粒86を、結合剤Bによって固めて形成されている。この結合剤Bとして、たとえばレジノイド結合剤が採用される。このレジノイド結合剤は、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分としている。また、砥粒86の材料としては、ダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素焼結体)などを例示することができる。
ウエハWは、その裏面を上方に向けた状態で回転機構にセットされる。この状態で、ウエハWの裏面が、研削砥石85の下面に対向する。回転機構の回転駆動により、ウエハWは、そのウエハWの中心を通る所定の回転軸線まわりに回転される。また、回転駆動機構の回転駆動により、回転支持軸84が回転されて、グラインドホイール82がその中心を通る所定の回転軸線まわりに高速で回転される。ウエハWの回転軸線とグラインドホイール82の回転軸線とはずれている。そして、研削機構81が回転機構に向けて送られることにより、高速で回転する研削砥石85の下面(刃面)がウエハWの裏面に接触して、ウエハWの裏面が研削される。そして、ウエハWの回転軸線とグラインドホイール82の回転軸線とがずれているので、ウエハWの裏面の全域が研削される。研削工程ではウエハWに比較的大きな力が作用するが、ウエハWがガラス基板Sによって補強されているので、ウエハWの変形を防止することができる。
【0052】
ウエハWの研削の進行に伴って、研削砥石85に含まれる結合剤Bが破砕されて周囲に分散する。このため、この破砕された結合剤Bが、ウエハWの裏面に付着するおそれがある。
また、ウエハWとガラス基板Sとの間に介在する樹脂製の接着剤Aが、ウエハWとガラス基板Sとの間からはみ出している場合がある。この接着剤Aが研削砥石85により破砕されて、周囲に分散し、ウエハWの裏面に付着するおそれがある。
【0053】
図示しない送り機構によるグラインドホイール82の送り量が所定量に達すると、グラインドホイール82の回転が停止される。その後、グラインドホイール82がウエハWの裏面から離反される。研削工程実行後のウエハWの裏面には、研削痕が形成されている。また、研削工程実行後のウエハWの裏面には、結合剤Bや接着剤Aの破砕片が有機付着物として付着しているおそれがある。
【0054】
次いで、研削工程実行後のウエハWに水洗処理が施される(ステップS4)。これにより、研削工程によって生じたシリコンの研削カスがウエハWから除去される。しかし、ウエハWの裏面に付着する有機付着物は、この水洗処理によっては取り除かれない。
水洗処理後のウエハWが基板収容器Cに収容される。基板収容器Cは、図示しない収容器搬送機構によって収容器載置台5にまで搬送され、この収容器載置台5に保持される。
【0055】
収容器載置台5に基板収容器Cが保持されると、搬送ロボット17によって基板収容器Cから1枚のウエハWずつ取り出される。基板収容器Cから取り出されたウエハWは、まず、UV処理室2に搬入され(ステップS5)、その裏面を上方に向けた状態でウエハ載置台30上に載置される。
ウエハWがウエハ載置台10上に載置されると、制御装置70は、紫外線ランプ32を点灯させる。これにより、各紫外線ランプ32が発生する紫外線がウエハ載置台30上のウエハWの裏面に照射される(S6:UV照射工程。図7(c)参照)。ウエハWの裏面に有機付着物が付着していても、この紫外線の照射により、有機付着物の内部結合が切断されて、この有機付着物が分子レベルで破壊される。
【0056】
UV処理室2における紫外線の照射が所定時間(たとえば15分間)にわたって行われると、ウエハWは、搬送ロボット17によってUV処理室2から搬出され(ステップS7)、次に、ふっ硝酸処理室3に搬入され(ステップS8)、その裏面を上方に向けた状態でリフトピン57上に載置される。なお、ウエハWの搬入に先立って、スリットノズル41は、基板保持機構40の側方の退避位置に退避させられている。その後、リフトピン昇降駆動機構(図示しない)が駆動されて、リフトピン57が下降されて、ウエハWを収容凹部52内に収容される。これにより、基板支持部材45にウエハWが受け渡される。ウエハWが基板支持部材45へ受け渡された後、制御装置70は、吸引装置56を作動させ、これにより、ウエハWが基板支持部材45に吸着保持される。
【0057】
ウエハWが基板支持部材45に吸着保持された後、制御装置70は、回転駆動機構59を駆動して、スピンベース44および基板支持部材45を低回転速度(たとえば5rpm)で等速回転させる。また、制御装置70は、ノズルアーム揺動駆動機構65を駆動して、スリットノズル41をウエハWの上方へと導く。
スリットノズル41がウエハWの上方に到達すると、制御装置70は、ふっ硝酸バルブ67を開き、スリット吐出口61から、帯状のプロファイルでふっ硝酸を吐出する(S9:ふっ硝酸供給工程。図7(d)参照)。スリット吐出口61から吐出されるふっ硝酸は、たとえば、硝酸とふっ酸とを容積比3.2:1の割合で混合して作製されたものであり、その吐出流量はたとえば2L/minである。また、制御装置70は、ノズルアーム揺動駆動機構65を駆動して、スリットノズル41を、基板支持部材45の上方領域外にある第1スキャン位置P1(図4にて実線で図示)と、基板支持部材45の上方領域外にある第2スキャン位置P2(図4にて二点鎖線で図示)との間を、往復揺動(往復スキャン)させる。
【0058】
UV照射工程(図6のステップS6)において分子レベルで破壊されたウエハWの裏面上の有機付着物は、ふっ硝酸によって洗い流され、ウエハWの裏面から剥離される。そして、ふっ硝酸によるエッチングにより、ウエハWの裏面の表層部のウエハ材料が除去されて、ウエハWが薄化される。
所定の処理時間(たとえば15分間)の経過後、制御装置70は、ふっ硝酸バルブ67を閉じ、スリットノズル41からのふっ硝酸の吐出を停止する。また、制御装置70は、ノズルアーム揺動駆動機構65を駆動して、スリットノズル41を基板保持機構40の側方の退避位置に退避させる。ふっ酸硝酸混合液供給工程後のウエハWの裏面には、研削痕は存在しない。
【0059】
次に、制御装置70は、回転駆動機構59を制御して、スピンベース44および基板支持部材45の回転速度を所定のリンス処理回転速度(100rpm程度)に加速するとともに、DIWバルブ69を開いて、DIWノズル42から、回転状態のウエハWの上面の回転中心に向けてDIWを供給する。これにより、ウエハWの裏面上のふっ硝酸が洗い流されて、ウエハWにリンス処理が施される(ステップS10)。このリンス処理におけるDIWノズル42からのDIWの吐出流量は、たとえば2.0L/minである。
【0060】
このリンス処理を所定時間(たとえば60秒間)行った後に、制御装置70は、DIWバルブ69を閉じてリンス処理を終了させる。制御装置70は、さらにチャック回転駆動機構59を制御して、スピンベース44および基板支持部材45の回転速度を所定の乾燥回転速度(2500rpm程度)に加速する。これによって、ウエハWの上面のDIWが遠心力によって振り切られ、ウエハWがスピンドライ処理される(ステップS11)。
【0061】
スピンドライ処理を所定時間(たとえば30秒間)行った後、制御装置70は、回転駆動機構59を制御して、スピンベース44および基板支持部材45の回転を停止させる。その後、制御装置70が吸引装置56の駆動を停止させて、ウエハWと基板支持部材45の底壁部47の上面との間の空間の減圧状態が解除されて、ウエハWの吸着保持が解除される。次いで、リフトピン昇降駆動機構が駆動されてリフトピン57を上昇され、処理済みのウエハWが収容凹部52から上方に離脱される。
【0062】
その後、処理済みのウエハWが搬送ロボット17によってふっ硝酸処理室3から搬出され(ステップS12)、次に、収容器載置台5に保持された基板収容器Cに収容される。
薄化処理の終了後、紫外線照射装置(図示しない)を用いて、薄化処理後のウエハWとガラス基板Sとを分離させる(ステップS13)。ウエハWおよびガラス基板Sは、比較的照射量の大きな紫外線が照射され、その後、所定温度(たとえば90℃)の温水中で所定時間(たとえば1分間)浸漬される。このとき、ウエハWとガラス基板Sとの間の熱膨張率の差により、ウエハWとガラス基板Sとの間に両者を離脱する力が作用して、ウエハWとガラス基板Sとが分離される。
【0063】
以上によりこの実施形態によれば、ステップS9のふっ硝酸供給工程に先立って、UV照射工程(図6のステップS6)が実行される。UV照射工程では、ステップS3の研削工程において生じた有機付着物が分子レベルで破壊される。そして、有機付着物の破壊後にふっ硝酸供給工程が実行されるので、ふっ硝酸によるウエハWの裏面のエッチングが有機付着物によって阻害されることがない。これにより、ウエハWの裏面への面荒れの発生を防止または抑制しつつ、ウエハWを薄化させることができる。
【0064】
図9は、本発明の他の実施形態(第2実施形態)に係る基板処理装置の構成を示す断面図である。この第2実施形態に係る基板処理装置では、図1〜図8に示す第1実施形態の基板処理装置のUV処理室2に代えて、SPM処理室90が設けられている。
SPM処理室90は、隔壁によって取り囲まれて設けられており、その内部には、ウエハWをほぼ水平に保持して回転させるためのスピンチャック91と、スピンチャック91に保持されたウエハWの裏面(上面)に向けて、SPM(硫酸過酸化水素水混合液)を吐出するためのノズル(有機付着物除去手段)92と、スピンチャック91に保持されたウエハWの裏面の中央部にDIWを供給するためのDIWノズル102とが収容されている。
【0065】
スピンチャック91は、モータ93と、このモータ93の回転駆動力によって鉛直軸線まわりに回転される円盤状のスピンベース94と、スピンベース94の周縁部の複数箇所にほぼ等間隔で設けられ、ウエハWをほぼ水平な姿勢で挟持するための複数個の挟持部材95とを備えている。これにより、スピンチャック91は、複数個の挟持部材95によってウエハWを挟持した状態で、モータ93の回転駆動力によってスピンベース94を回転させることにより、そのウエハWを、ほぼ水平な姿勢を保った状態で、スピンベース94とともに鉛直軸線まわりに回転させることができる。
【0066】
ノズル92は、スピンチャック91の上方でほぼ水平に延びるノズルアーム96の先端に取り付けられており、いわゆるストレートノズルの構成を有している。ノズルアーム96の基端部は、スピンチャック91の側方においてほぼ鉛直に延びるアーム支持軸97の上端部に支持されている。アーム支持軸97には、モータ(図示せず)を含むノズル駆動機構98が結合されている。ノズル駆動機構98からアーム支持軸97に回転力を入力して、アーム支持軸97を回動させることにより、スピンチャック91の上方でノズルアーム96を揺動させることができる。
【0067】
ノズル92には、SPM供給源からのSPMが供給されるSPM供給管99が接続されている。SPM供給管99の途中部には、SPM供給管99を開閉するためのSPMバルブ100が介装されている。
DIWノズル102には、DIWバルブ101を介してDIWが供給されるようになっている。
【0068】
この第2実施形態では、搬送ロボット17によって基板収容器Cから取り出された水洗処理(図6に示すステップS4)後のウエハWはSPM処理室90に搬入され、その裏面を上方に向けて、スピンチャック91に保持される。ウエハWがスピンチャック91に保持されると、モータ93が駆動されて、スピンチャック91が所定の液処理速度で回転される。
【0069】
ウエハWの回転開始後、ノズル駆動機構98が制御されて、ノズル92が、スピンチャック91の側方の待機位置からスピンチャック91に保持されているウエハWの上方に移動される。そして、SPMバルブ100が開かれてノズル92から回転中のウエハWの裏面に向けてSPMが吐出される。
このSPM処理では、ノズル駆動機構98が制御されて、ノズルアーム96が所定の角度範囲内で揺動される。これによって、ノズル92からのSPMが導かれるウエハWの裏面上の供給位置は、ウエハWの回転中心からウエハWの周縁部に至る範囲内を、ウエハWの回転方向と交差する円弧状の軌跡を描きつつ往復移動する。また、ウエハWの裏面に供給されたSPMは、ウエハWの裏面の全域に拡がる。したがって、ウエハWの裏面の全域に、SPMがむらなく供給される。ウエハWの裏面に有機付着物が付着していても、SPMに含まれるペルオキソ一硫酸の強酸化力が有機付着物に作用し、ウエハWの裏面から有機付着物が剥離されて除去される。
【0070】
SPM供給位置の往復移動が所定回数行われると、SPMバルブ100が閉じられ、ウエハWへのSPMの供給が停止されて、ノズル92がスピンチャック91の側方の退避位置に戻される。
次に、ウエハWの回転が継続されたまま、DIWバルブ101が開かれて、回転中のウエハWの裏面の中央部に向けてDIWノズル9からDIWが吐出される。ウエハWの裏面上に供給されたDIWは、ウエハWの裏面の全域に拡がり、ウエハWの裏面に付着しているSPMがDIWによって洗い流される。
【0071】
また、モータ93が駆動されて、ウエハWの回転速度が所定の乾燥回転速度(2500rpm程度)に上げられて、ウエハWに付着しているDIWの液滴が除去される。その後、ウエハWが搬送ロボット17によってSPM処理室90から搬出され、図6のステップS8のように、ふっ硝酸処理室3に搬入される。その後、ふっ硝酸供給工程(図6のステップS9)が実行される。
【0072】
図10は、本発明の他の実施形態(第3実施形態)に係る基板処理装置の一部の構成を示す断面図である。この図10において、前述の図1〜図8の実施形態(第1実施形態)に示された各部に対応する部分には、図1〜図8の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。この第3実施形態に係る基板処理装置が第1実施形態の基板処理装置と相違する点は、搬送室4内に紫外線ランプ(紫外線照射手段)111,112が収容されている点である。
【0073】
搬送室4と収容器載置台5とを仕切る隔壁8の第3開口13は、正面視でほぼ正方形状に形成されている。第3開口13の上辺および下辺は水平方向に沿って形成され、第3開口13の両側辺は鉛直方向に沿って形成されている。搬送室4内には、隔壁8に近接する位置に、上下一対の紫外線ランプ111,112が配置されている。紫外線上ランプ111は、第3開口13の上辺に沿って配置されている。紫外線上ランプ111は、第3開口13の下辺に沿って配置されている。これらの紫外線ランプ111,112には、前述の第1実施形態の紫外線ランプ32と同様のものが採用されている。
【0074】
収容器載置台5に載置される基板収容器Cは、その内部に複数枚の基板Wを、所定の間隔を隔てて積層状態で収容することができるものである。基板収容器Cは、基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)である。すなわち、基板収容器Cは、一側面に基板Wの出し入れのための基板出入口113を有するほぼ立方体形状の本体114と、基板出入口113を開閉するための蓋(図示しない。図10では、蓋の開状態を示している)とを備えている。基板収容器Cが収容器載置台5に載置された状態では、基板出入口113が第3開口13に対向する。
【0075】
第3ドア16(図1参照。図10では図示を省略)は、第3開口13を覆う閉状態と、隔壁8における第3開口13の下方部に退避する開状態との間で移動可能に設けられている。第3ドア16の開状態では、第3開口8のほぼ全域が開放される。
水洗処理(図6のステップS4)後のウエハWが、基板収容器Cに収容される。この基板収容器Cは、図示しない収容器搬送機構によって収容器載置台5にまで搬送され、この収容器載置台5に保持される。その後、第3ドア16および蓋が開状態にされる(図10参照)とともに、紫外線ランプ111,112が点灯される。紫外線ランプ111,112から照射される紫外線は、基板収容器Cの基板出入口113を通って、基板収容器C内に収容されているウエハWに対して照射される。ウエハWの裏面に有機付着物が付着していても、この紫外線の照射により、有機付着物の内部結合が切断されて、この有機付着物が分子レベルで破壊される。これにより、ウエハWを基板収容器C内に収容した状態で、当該ウエハWに付着した有機付着物を分子レベルで破壊することができる。
【0076】
所定時間の経過後、ウエハWが搬送ロボット17によって基板収容器Cから取り出され、図6のステップS5のようにUV処理室2に搬入される。そして、UV照射工程(図6のステップS6)が実行される。その後、ふっ硝酸処理室3に搬入される。ふっ硝酸供給工程(図6のステップS9)が実行される。
なお、この第3実施形態では、ウエハWを基板収容器C内に収容した状態でウエハWに紫外線が照射されるので、UV処理室2におけるステップS6の紫外線照射工程を省略することもできる。この場合、基板収容器C内のウエハWは、搬送ロボット17によって直接ふっ硝酸処理室3に搬入される。
【0077】
また、前述の説明では、上下一対の紫外線ランプ111,112を配置する場合を例に挙げて説明したが、いずれか一方の紫外線ランプ111,112のみを設ける構成とすることもできる。さらに、紫外線ランプを、第3開口13の左右側辺に沿って配置することもできる。
図11は、本発明の他の実施形態(第4実施形態)に係る基板処理装置の一部の構成を示す断面図である。この図11において、前述の図1〜図8の実施形態(第1実施形態)および図10の実施形態(第3実施形態)に示された各部に対応する部分には、図1〜図8および図10の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。この図11に示す構成が、図10に示す構成と大きく相違する点は、紫外線ランプ111,112に代えて、基板収容器C内にオゾンガスを導入するオゾンガス導入機構120を設けた点にある。
【0078】
オゾンガス導入機構120は、オゾンガス上ノズル(オゾンガス供給手段)121、オゾンガス下ノズル(オゾンガス供給手段)122およびオゾンガス導入ノズル(オゾンガス供給手段)123を備えている。オゾンガス上ノズル121およびオゾンガス下ノズル122は、搬送室4内の隔壁8に近接する位置に、その吐出口を基板収容器Cの基板出入口113に向けて配置されている。オゾンガス上ノズル121は、第3開口13の上辺に沿って複数設けられている(図11では1つのみ図示)。オゾンガス下ノズル122は、第3開口13の下辺に沿って複数設けられている(図11では1つのみ図示)。オゾンガス上ノズル121およびオゾンガス下ノズル122には、オゾンガスバルブ127を介してオゾンガスが供給されるようになっている。
【0079】
オゾンガス導入ノズル123は、収容器載置台5に設けられている。オゾンガス導入ノズル123の先端には、上方に向く吐出口が形成されている。オゾンガス導入ノズル123は、収容器載置台5の内部に埋設されて、その先端部分だけが収容器載置台5の上面よりも上方に突出している。オゾンガス導入ノズル123には、オゾンガス供給源からのオゾンガスが供給されるオゾンガス供給管124が接続されている。
【0080】
基板収容器Cの底面には、導入孔125が形成されている。また、基板収容器Cの底面には、基板収容器C内から、この基板収容器C内の雰囲気を当該容器C外に排出するための導出孔126が形成されている。
基板収容器Cが収容器載置台5に載置された状態では、基板収容器Cの底面に形成された導入孔125にオゾンガス導入ノズル123が挿入される。導入孔125内に挿入されたオゾンガス導入ノズル123の吐出口は、基板収容器Cの内部空間に臨むようになる。一方、基板収容器Cが収容器載置台5から離脱されると、オゾンガス導入ノズル123が導入孔125から引き抜かれる。導入孔125には、導入開閉機構(図示しない)が配置されている。この導入開閉機構は、通常時は導入孔125を閉塞しており、オゾンガス導入ノズル123の挿入動作に連動して導入孔125を開放し、オゾンガス導入ノズル123の引き抜き動作によって導入孔125を閉塞する。また、導出孔126には、導出開閉機構(図示しない)が配置されている。この導出開閉機構は、通常時は導出孔126を閉塞しており、導入開閉機構の開放動作に連動して導出孔126を開放し、導入開閉機構の閉塞動作に連動して導入孔125を閉塞する。
【0081】
水洗処理(図6のステップS4)後のウエハWが、基板収容器Cに収容される。この基板収容器Cは、図示しない収容器搬送機構によって収容器載置台5にまで搬送される。
基板収容器Cの底部に形成された溝(図示しない)に、収容器載置台5に設けられた係合ピン(図示しない)が係合されることにより、収容器載置台5に基板収容器Cが固定される。基板収容器Cが収容器載置台5に載置された状態では、オゾンガス導入ノズル123が基板収容器Cの導入孔125に挿入されて、吐出口が基板収容器Cの内部空間に臨むようになる。この際、前述の導入開閉機構(図示しない)によってオゾンガス導入ノズル123の挿入動作に連動して導入孔125が開放される。これにより、オゾンガス導入ノズル123の吐出口からオゾンガスが吐出されて、基板収容器C内にオゾンガスが導入される。このオゾンガス導入ノズル123からのオゾンガスの吐出は、基板収容器Cが収容器載置台5上に載置されている間中継続される。
【0082】
その後、第3ドア16および蓋(図示しない。図11では、蓋の開状態を示している)が開状態にされて、第3開口13および基板出入口113が開放される。第3開口13および基板出入口113が開放されると、オゾンガスバルブ127が開かれて、オゾンガス上ノズル121およびオゾンガス下ノズル122から、基板収容器Cの基板出入口113にオゾンガスが吹き付けられる。このオゾンガス上ノズル121およびオゾンガス下ノズル122によるオゾンガスの吹き付けは、第3開口13が開放されている間継続される。
【0083】
したがって、基板収容器Cに収容されている複数枚のウエハWにオゾンガスが供給される。ウエハWの裏面に有機付着物が付着していても、オゾンガスにより有機付着物が酸化されて、この有機付着物が分子レベルで破壊される。これにより、ウエハWを基板収容器C内に収容した状態で、当該ウエハWに付着した有機付着物を分子レベルで破壊することができる。
【0084】
所定時間の経過後、ウエハWが搬送ロボット17によって基板収容器Cから取り出され、図6のステップS5のようにUV処理室2に搬入されて、UV照射工程(図6のステップS6)が実行される。その後、ふっ硝酸処理室3でふっ硝酸供給工程(図6のステップS9)が実行される。
なお、この第4実施形態では、ウエハWを基板収容器C内に収容した状態でウエハWに紫外線が照射されるので、UV処理室2におけるステップS6の紫外線照射工程を省略することもできる。この場合、基板収容器C内のウエハWは、搬送ロボット17によって直接ふっ硝酸処理室3に搬入される。
【0085】
また、前述の説明では、オゾンガス上ノズル121およびオゾンガス下ノズル122によって、基板収容器Cの基板出入口113へのオゾンガスの吹き付けが行われる場合を例に挙げて説明したが、他のノズル、たとえば第3開口13の側辺の近傍位置に配設されたオゾンガスノズルによって行われていてもよい。さらに、オゾンガス導入機構120として、基板収容器Cの基板出入口113にオゾンガスを吹き付けるノズル121,122と、基板収容器Cの底面に形成された導入孔125を介して基板収容器Cにオゾンガスを導入するオゾンガス導入ノズル123との双方を例に挙げて説明したが、いずれか一方のみを設ける構成とすることもできる。
【0086】
図12は、本発明のさらに他の実施形態(第5実施形態)に係る基板処理方法(薄化処理)を説明するための工程図である。この図12において、前述の図6(第1実施形態)に示された各工程と対応する工程には、図6の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。この図12に示す薄化処理が、図6に示す薄化処理と相違する点は、UV照射工程(図6のステップS6)に代えて、ステップS20のプラズマ照射工程が実行される点にある。このプラズマ照射工程の実行には、図示しないプラズマ装置(図示しない)が用いられる。
【0087】
ステップS4の水洗処理後、ウエハWがプラズマ装置のプラズマ処理室(図示しない)に収容される。処理ガスが充満した状態で、高周波電源(図示しない)から高周波電力としてのマイクロ波が出力されることにより、マイクロ波がプラズマ処理室に放射される。そして、その放射されるマイクロ波のエネルギーにより、プラズマ処理室に処理ガスの高密度プラズマが励起される。
【0088】
ウエハWの裏面に有機付着物が付着していても、プラズマの照射によって有機付着物の内部結合が切断されて、この有機付着物が分子レベルで破壊される。その後、ウエハWが基板収容器Cに収容される。基板収容器Cは、図示しない収容器搬送機構によって収容器載置台5にまで搬送され、この収容器載置台5に保持される。
収容器載置台5に保持された基板収容器Cに収容されたウエハWは、搬送ロボット17によって基板収容器Cから取り出される。そして、基板収容器Cから取り出されたウエハWは、ふっ硝酸処理室3に搬入される(ステップS8)。
【0089】
図13は、本発明の他の実施形態(第6実施形態)に係る基板処理装置の構成を説明するための図解的な斜視図である。この基板処理装置は、ウエハWの裏面に対して、ウエハWの薄化のためのエッチング処理を施すための装置である。
この基板処理装置は、ウエハWを所定の搬送方向R1に沿って搬送するためのコロ搬送機構(基板搬送機構)130と、このコロ搬送機構130によって搬送されている過程のウエハWの裏面に対して紫外線を照射する紫外線ランプ(有機付着物除去手段)131と、コロ搬送機構130によって搬送されている過程のウエハWの裏面に対してふっ硝酸を供給するふっ硝酸ノズル(ふっ酸硝酸混合液供給手段)132とを備えている。
【0090】
紫外線ランプ131およびふっ硝酸ノズル132は、コロ搬送機構130の上方に配置されている。紫外線ランプ131は、前述の第1実施形態の紫外線ランプ32と同様のものが採用されている。ふっ硝酸ノズル132は、ウエハWの搬送方向R1にほぼ直交する方向に延びたスリット状の吐出口を下方に有している。ふっ硝酸ノズル132の吐出口からは、幕状(カーテン状)のふっ硝酸が下方に向けて吐出される。したがって、図14の図解的な平面図に示すように、コロ搬送機構130上における紫外線照射位置(第1の位置)P3は、ウエハWの搬送方向R1に直交している。コロ搬送機構130上におけるエッチング液供給位置(第2の位置)P4は、ウエハWの搬送方向R1に直交して基板Wの全幅に及んで延在する洗浄の形態を有している。図14に明らかに示されている通り、ふっ硝酸供給位置P4は、紫外線照射位置P3に対して、基板搬送方向R1に関し、所定距離Dだけ下流側に配置されている。
【0091】
搬送ロボット17によって基板収容器Cから取り出された水洗処理(図6に示すステップS4)後のウエハWが、その裏面を上方に向けてコロ搬送機構130機構上に載置される。
コロ搬送機構130によって、ウエハWを搬送方向R1に沿って所定の速度で搬送することにより、ウエハWの裏面が、紫外線照射位置P3およびふっ硝酸供給位置P4によって順次走査される。これにより、ウエハWの裏面において、まず紫外線が照射され、その後所定の時間だけ遅れてふっ硝酸が供給されることになる。これにより、ウエハWの裏面に対し、紫外線の照射とふっ硝酸の供給とを並行して実行することができる。
【0092】
ふっ硝酸を用いた処理後のリンス工程は、図13に示すようにふっ硝酸ノズル132よりも搬送方向R1の下流側に設けたDIWノズル133からウエハWの裏面にDIWを供給することによって行える。DIWノズル133は、ウエハWの搬送方向R1にほぼ直交する方向に延びたスリット状の吐出口を下方に有し、コロ搬送機構130によって搬送されるウエハWの全幅にわたる範囲にDIWを供給することができるものである。
【0093】
以上、本発明の6つの形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
前述の第2実施形態では、SPMに代えてオゾン水を供給することもできる。すなわち、ノズル92には、オゾン水供給源からのオゾン水が供給されるオゾン水供給管140(図9に二点鎖線で図示)が接続されていて、オゾン水供給管140の途中部に、オゾン水供給管140を開閉するためのオゾン水バルブ141(図9に二点鎖線で図示)が介装されていてもよい。
【0094】
そして、オゾン水の供給時は、ノズル92からのオゾン水が導かれるウエハWの裏面上の供給位置は、ウエハWの回転中心からウエハWの周縁部に至る範囲内を、ウエハWの回転方向と交差する円弧状の軌跡を描きつつ往復移動する。また、ウエハWの裏面に供給されたオゾン水は、ウエハWの裏面の全域に拡がる。したがって、ウエハWの裏面の全域に、オゾン水がむらなく供給される。オゾン水のウエハWの裏面への供給により、オゾン水の酸化力が有機付着物に作用し、ウエハWの裏面から有機付着物を剥離させて除去させることができる。
【0095】
また、第3実施形態では、紫外線ランプが第3開口13の上辺および下辺に沿って配置されるとして説明したが、紫外線ランプを第3開口13の左右の側辺に沿うように配置することもできる。
また、第3実施形態の紫外線ランプ111,112と第4実施形態のオゾンガス導入機構120との双方を設ける構成とすることもできる。
【0096】
また、第3および第4実施形態では、基板収容器Cとして、ウエハWを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を例示しているが、これ以外にも、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、OC(Open Cassette)等の他の形態の基板収容器を用いることもできる。
また、第1〜第4実施形態において、ふっ硝酸処理室3内に、紫外線ランプを配置することもできる。このとき、紫外線ランプからの紫外線は、基板保持機構40に保持されるウエハWの裏面に照射される。そして、ウエハWの裏面への紫外線の照射後、ふっ硝酸供給工程を実行することができる。
【0097】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0098】
5 収容器載置台(収容器保持部)
32 紫外線ランプ(有機付着物除去手段)
41 スリットノズル(ふっ酸硝酸混合液供給手段)
85 研削砥石
86 砥粒
92 ノズル(有機付着物除去手段)
111 紫外線上ランプ(紫外線照射手段)
112 紫外線下ランプ(紫外線照射手段)
121 オゾンガス上ノズル(オゾンガス供給手段)
122 オゾンガス下ノズル(オゾンガス供給手段)
123 オゾンガス導入ノズル(オゾンガス供給手段)
130 コロ搬送機構(基板搬送機構)
131 紫外線ランプ(有機付着物除去手段)
132 ふっ硝酸ノズル(ふっ酸硝酸混合液供給手段)
A 接着剤
B 結合剤
C 基板収容器
P3 紫外線照射位置(第1の位置)
P4 ふっ硝酸供給位置(第2の位置)
R1 搬送方向
S ガラス基板(補強基板)
W ウエハ(シリコン基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板を、研削砥石を用いて研削する研削工程と、
前記研削工程実行後のシリコン基板から、前記研削工程において生じる有機付着物を除去する有機付着物除去工程と、
前記有機付着物除去工程後のシリコン基板の一方面に、ふっ酸硝酸混合液を供給するふっ酸硝酸混合液供給工程とを含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記研削工程に先立って、シリコン基板を補強するための補強基板を、シリコン基板の前記一方面とは反対の他方面に接着剤を介して貼り合わせる貼合工程をさらに含む、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記有機付着物除去工程が、シリコン基板に紫外線を照射する紫外線照射工程を含む、請求項1または2記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記有機付着物除去工程が、シリコン基板に対してオゾンガスを供給するオゾンガス供給工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記有機付着物除去工程が、シリコン基板に対して硫酸過酸化水素水混合液を供給する硫酸過酸化水素水供給工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記有機付着物除去工程が、シリコン基板に対してオゾン水を供給するオゾン水供給工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記有機付着物除去工程が、シリコン基板に対してプラズマを照射するプラズマ照射工程を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
研削砥石を用いて研削されたシリコン基板から有機付着物を除去する有機付着物除去手段と、
前記有機付着物除去手段により有機付着物が除去された後のシリコン基板の一方面に、ふっ酸硝酸混合液を供給するふっ酸硝酸混合液供給手段とを含む、基板処理装置。
【請求項9】
シリコン基板を収容可能な基板収容器を保持するための収容器保持部をさらに含み、
前記有機付着物除去手段が、前記基板収容器に収容されたシリコン基板に対して紫外線を照射する紫外線照射手段を含む、請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
シリコン基板を収容可能な基板収容器を保持するための収容器保持部をさらに含み、
前記有機付着物除去手段が、前記基板収容器に収容されたシリコン基板に対してオゾンガスを供給するオゾンガス供給手段を含む、請求項8または9記載の基板処理装置。
【請求項11】
シリコン基板を所定の搬送方向に搬送する基板搬送機構をさらに含み、
前記有機付着物除去手段が、前記基板搬送機構による基板搬送経路の第1の位置でシリコン基板から有機付着物を除去するように設けられており、
前記ふっ酸硝酸混合液供給手段が、前記基板搬送経路において、前記基板搬送方向に関し前記第1の位置よりも下流側の第2の位置に向けてふっ酸硝酸混合液を供給するように設けられている、請求項8記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−225936(P2010−225936A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72732(P2009−72732)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】