説明

基板処理方法および基板処理装置

【課題】パターンの倒壊を抑制または防止することができる基板処理方法および基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板に疎水化剤が供給され、当該基板の表面が疎水化される(S104,S108)。その後、基板が乾燥される(S110)。処理対象の基板は、疎水化されてから乾燥するまで水が接触しない状態に保たれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板がたとえば一枚ずつ処理される。具体的には、薬液が基板に供給されることにより、基板の表面が薬液によって処理される。その後、純水が基板に供給されることにより、基板に付着している薬液が洗い流される。薬液が洗い流された後は、水よりも沸点が低いIPA(イソプロピルアルコール)が基板に供給され、基板に付着している純水がIPAに置換される。その後、基板が高速回転されることにより、基板に付着しているIPAが基板から除去され、基板が乾燥する。
【0003】
しかしながら、このような基板処理方法では、基板を乾燥させるときに、基板の表面に形成されたパターンが倒壊する場合がある。そのため、特許文献1では、パターンの倒壊を防止するために、基板の表面を疎水化させた後に乾燥させる方法が開示されている。具体的には、疎水化剤が基板に供給されることにより、基板の表面が疎水化される。その後、IPAが基板に供給され、基板に付着している疎水化剤がIPAに置換される。疎水化剤がIPAに置換された後は、純水が基板に供給されることにより、基板に付着しているIPAが、純水に置換される。その後、基板が高速回転されることにより、基板が乾燥する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4403202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板の表面を十分に疎水化させれば、パターンの倒壊を抑制することができる。しかしながら、基板の表面が十分に疎水化されていない場合には、パターンの倒壊を抑制することができない。すなわち、基板の表面が部分的にしか疎水化されていない場合や、基板に対する処理液の接触角が十分に大きくない場合には、基板を疎水化させた後に乾燥させても、パターンの倒壊を抑制することができない。
【0006】
また、基板に付着している処理液の表面張力が大きいと、この基板を乾燥させるときにパターンに加わる力が大きい。特許文献1記載の基板処理方法では、純水が付着している基板を乾燥させる。ところが、純水の表面張力が大きいから、基板を疎水化させても、パターンの倒壊を十分に抑制することができないことがある。さらに、疎水化された基板に純水を供給すると、基板の疎水性が低下することがある。
【0007】
そこで、この発明の目的は、パターンの倒壊を抑制または防止することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、疎水化剤を基板(W)に供給して前記基板の表面を疎水化させる疎水化工程(S104、S108、S204、S207)と、前記疎水化工程が行われた後に前記基板を乾燥させる乾燥工程(S106、S110、S205、S208)と、前記疎水化工程が終了してから前記乾燥工程が終了するまで、前記基板を水が接触しない状態に保つ工程とを含む、基板処理方法である。この基板処理方法において、基板の表面は、基板自体の表面であり、基板の表面にパターンが形成されている場合には、パターンの表面も含まれる。
【0009】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
この発明によれば、基板に疎水化剤が供給され、当該基板の表面が疎水化される。その後、基板が乾燥される。処理対象の基板は、疎水化されてから乾燥するまで水が接触しない状態に保たれる。したがって、疎水化剤が基板に供給された後に、水が接触することにより基板の疎水性が大幅に低下することを防止することができる。これにより、パターンの倒壊を抑制または防止することができる。
【0010】
さらに、この基板処理方法において、基板は、請求項2記載の発明のように、金属膜を含む基板であってもよい。
この発明によれば、金属膜を含む基板に疎水化剤が供給され、当該基板の金属膜が疎水化される。その後、基板が乾燥される。処理対象の基板は、疎水化されてから乾燥するまで水が接触しない状態に保たれる。金属膜を疎水化させる疎水化剤によって疎水化された基板に水が接触すると、基板の疎水性が大幅に低下してしまう場合がある。したがって、このような疎水化剤が基板に供給された場合であっても、基板の疎水性が大幅に低下することを防止することができる。これにより、パターンの倒壊を抑制または防止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記疎水化工程は、前記疎水化剤の液体を前記基板に供給する工程(S104、S108)を含み、前記疎水化工程が行われた後であって前記乾燥工程が行われる前に、前記疎水化剤を溶解させることができ、かつ水より表面張力が小さい溶剤を前記基板に供給する乾燥前リンス工程(S105、S109)をさらに含む、請求項1または2に記載の基板処理方法である。
【0012】
この発明によれば、疎水化剤の液体が基板に供給された後に、当該疎水化剤を溶解させることができる溶剤が基板に供給される。これにより、基板に付着している疎水化剤が溶剤に置換される。そして、溶剤が基板から除去され、基板が乾燥される。乾燥前リンス処理において基板に供給される溶剤は、水より表面張力が小さい。したがって、乾燥前リンス処理において水を含む液体が基板に供給される場合よりもパターンの倒壊を抑制または防止することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記疎水化工程は、前記疎水化剤の蒸気を前記基板に供給する蒸気供給工程(S204、S207)を含み、前記乾燥工程は、前記基板に付着している前記疎水化剤を蒸発させる蒸発工程(S205、S208)を含む、請求項1または2に記載の基板処理方法である。
この発明によれば、疎水化剤の蒸気が基板に供給される。基板に供給された疎水化剤の蒸気の一部は液滴に変化して、基板に付着する。しかし、この疎水化剤の液滴は短時間で蒸発して、基板から除去される。したがって、疎水化工程が行われた後に基板に付着している疎水化剤を蒸発させることにより基板を乾燥させることができる。これにより、基板を速やかに乾燥させて、基板の処理時間を短縮することができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、基板を保持する基板保持手段(2)と、前記基板保持手段に保持された基板に疎水化剤を供給する疎水化剤供給手段(16、17、216、217)と、基板を乾燥させる基板乾燥手段(2)と、前記疎水化剤供給手段を制御することにより、疎水化剤を前記基板保持手段に保持された基板に供給して前記基板の表面を疎水化させる疎水化工程(S104、S108、S204、S207)を行い、前記基板乾燥手段を制御することにより、前記疎水化工程が行われた後に前記基板を乾燥させる乾燥工程(S106、S110、S205、S208)を行い、前記疎水化工程が終了してから前記乾燥工程が終了するまで、前記基板を水が接触しない状態に保つ工程を行う制御手段(22)とを備える、基板処理装置(1、201)である。この発明によれば、請求項1に関連して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0015】
請求項6記載の発明は、前記疎水化剤供給手段は、前記基板保持手段に保持された基板に前記疎水化剤の液体を供給する手段(16、17)を含み、前記疎水化剤を溶解させることができ、かつ水より表面張力が小さい溶剤を前記基板保持手段に保持された基板に供給する溶剤供給手段(18)をさらに含み、前記制御手段は、前記疎水化剤供給手段を制御することにより、前記基板保持手段に保持された基板に前記疎水化剤の液体を供給する工程(S104、S108)を含む前記疎水化工程を行い、前記溶剤供給手段を制御することにより、前記疎水化工程が行われた後であって前記乾燥工程が行われる前に、前記基板保持手段に保持された基板に前記溶剤を供給する乾燥前リンス工程(S105、S109)を行う、請求項5記載の基板処理装置である。この発明によれば、請求項3に関連して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0016】
請求項7記載の発明は、前記疎水化剤供給手段は、前記基板保持手段に保持された基板に前記疎水化剤の蒸気を供給する手段(216、217)を含み、前記制御手段は、前記疎水化剤供給手段を制御することにより、前記基板保持手段に保持された基板に前記疎水化剤の蒸気を供給する蒸気供給工程(S204、S207)を含む前記疎水化工程を行い、前記基板乾燥手段を制御することにより、前記基板保持手段に保持された基板に付着している前記疎水化剤を蒸発させる蒸発工程(S205、S208)を含む前記乾燥工程を行う、請求項5記載の基板処理装置である。この発明によれば、請求項4に関連して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る第1疎水化剤供給ユニットの概略構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置によって基板を処理するときの第1処理例について説明するための工程図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置によって基板を処理するときの第2処理例について説明するための工程図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置によって処理される基板の一例を示す断面図である。
【図8】第1膜、第2膜、および第3膜が、それぞれ、シリコンを含む膜、シリコンを含む膜、金属膜であるときに用いられる疎水化剤について説明するための表である。
【図9】第1膜、第2膜、および第3膜が、それぞれ、SiN膜、BSG膜、ポリシリコン膜であるときに用いられる疎水化剤について説明するための表である。
【図10】第1膜、第2膜、および第3膜が、それぞれ、SiN膜、金属膜、任意の膜であるときに用いられる疎水化剤について説明するための表である。
【図11】シリコン系疎水化剤に浸漬されたSiO2およびTiNの試験片に対する純水の接触角を示すグラフである。
【図12】メタル系疎水化剤に浸漬されたSiO2およびTiNの試験片に対する純水の接触角を示すグラフである。
【図13】シリコン系疎水化剤およびメタル系疎水化剤に順次浸漬されたSiO2、TiNおよびWの試験片に対する純水の接触角を示すグラフである。
【図14】メタル系疎水化剤に浸漬された金属を含む化合物のリンス処理前後での接触角を示すグラフである。
【図15】シリコン系疎水化剤Iおよびシリコン系疎水化剤IIをSiNに順次供給したときのSiNの表面状態の変化を示す模式図である。
【図16】パターンに加わる力について説明するための基板の断面図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係る第1疎水化剤供給ユニットの概略構成を示す模式図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置によって基板を処理するときの第3処理例について説明するための工程図である。
【図20】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置によって基板を処理するときの第4処理例について説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す模式図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
基板処理装置1は、薬液やリンス液などの処理液によって半導体ウエハ等の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。図1および図2に示すように、基板処理装置1は、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック2(基板保持手段、基板乾燥手段)と、スピンチャック2の上方に配置された遮断板3と、スピンチャック2に保持された基板Wに処理液を供給する処理液供給機構4とを備えている。
【0019】
スピンチャック2は、たとえば、基板Wを挟持して保持する挟持式の基板保持機構である。スピンチャック2は、たとえば、水平に配置された円盤状のスピンベース5と、スピンベース5上に配置された複数個の挟持部材6と、スピンベース5に連結されたスピンモータ7とを含む。スピンチャック2は、各挟持部材6を基板Wの周端面に接触させること
により、基板Wを周囲から挟むことができる。さらに、スピンチャック2は、基板Wを保持した状態でスピンモータ7の駆動力をスピンベース5に入力することにより、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線まわりに基板Wを回転させることができる。スピンチャック2は、挟持式の基板保持機構に限らず、基板Wの下面(裏面)を吸着して保持するバキューム式などの他の形式の基板保持機構であってもよい。
【0020】
また、遮断板3は、たとえば、円板状である。遮断板3の直径は、たとえば、基板Wの直径とほぼ同じ、または基板Wの直径よりもやや大きい。遮断板3は、遮断板3の下面が水平になるように配置されている。さらに、遮断板3は、遮断板3の中心軸線がスピンチャック2の回転軸線上に位置するように配置されている。遮断板3の下面は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面に対向している。遮断板3は、水平な姿勢で支軸8の下端に連結されている。遮断板3および支軸8は、遮断板昇降機構9によって、鉛直方向に昇降される。遮断板昇降機構9は、遮断板3の下面がスピンチャック2に保持された基板Wの上面に近接する処理位置(図2に示す位置)と、処理位置の上方に設けられた退避位置(図1に示す位置)との間で遮断板3を昇降させる。
【0021】
また、処理液供給機構4は、薬液ノズル10と、薬液供給配管11と、薬液バルブ12とを含む。薬液供給配管11は、薬液ノズル10に接続されている。薬液バルブ12は、薬液供給配管11に介装されている。薬液バルブ12が開かれると、薬液供給配管11から薬液ノズル10に薬液が供給される。また、薬液バルブ12が閉じられると、薬液供給配管11から薬液ノズル10への薬液の供給が停止される。薬液ノズル10は、ノズル移動機構13に連結されている。ノズル移動機構13は、スピンチャック2の上方に設けられた処理位置(図1に示す位置)と、処理位置から離れた位置に設けられた退避位置(図2に示す位置)との間で薬液ノズル10を移動させる。処理位置は、薬液ノズル10から吐出された薬液がスピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に供給されるように設定されている(図1参照)。
【0022】
また、処理液供給機構4は、中心軸ノズル14と、処理液供給配管15とを含む。中心軸ノズル14は、遮断板3の中心軸線に沿って配置されている。中心軸ノズル14は、支軸8の内部で上下に延びている。中心軸ノズル14は、遮断板3および支軸8と共に昇降する。処理液供給配管15は、遮断板3の上方で中心軸ノズル14に接続されている。処理液供給配管15から中心軸ノズル14には、たとえば、疎水化剤、溶剤、およびリンス液などの処理液が供給される。中心軸ノズル14に供給された処理液は、中心軸ノズル14の下端から下方に吐出される。そして、中心軸ノズル14から吐出された処理液は、遮断板3の中央部を上下に貫通する貫通孔(図示せず)を通って、遮断板3の下面中央部から下方に吐出される(図2参照)。これにより、スピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に処理液が供給される。
【0023】
処理液供給機構4は、2つの疎水化剤供給ユニット16、17と、溶剤バルブ18(溶剤供給手段)が介装された溶剤供給配管19と、リンス液バルブ20が介装されたリンス液供給配管21とを含む。処理液供給配管15は、各疎水化剤供給ユニット16、17、溶剤供給配管19、およびリンス液供給配管21に接続されている。第1疎水化剤供給ユニット16(疎水化剤供給手段)から処理液供給配管15には、第1疎水化剤(液体)が供給される。第2疎水化剤供給ユニット17(疎水化剤供給手段)から処理液供給配管15には、第2疎水化剤(液体)が供給される。また、溶剤バルブ18が開かれると、溶剤(液体)が、溶剤供給配管19から処理液供給配管15に供給される。同様に、リンス液バルブ20が開かれると、リンス液が、リンス液供給配管21から処理液供給配管15に供給される。
【0024】
リンス液は、水を含む液体である。リンス液は、たとえば、純水(脱イオン水)、炭酸
水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかである。
また、第1疎水化剤および第2疎水化剤は、互いに種類の異なる疎水化剤である。第1疎水化剤および第2疎水化剤は、水を含まない液体である。第1疎水化剤は、たとえば、シリコン自体およびシリコンを含む化合物を疎水化させるシリコン系疎水化剤、または金属自体および金属を含む化合物を疎水化させるメタル系疎水化剤である。第2疎水化剤についても同様である。
【0025】
メタル系疎水化剤は、たとえば、疎水基を有するアミン、および有機シリコン化合物の少なくとも一つを含む。
シリコン系疎水化剤は、たとえば、シランカップリング剤である。シランカップリング剤は、たとえば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)、TMS(テトラメチルシラン)、フッ素化アルキルクロロシラン、アルキルジシラザン、および非クロロ系疎水化剤の少なくとも一つを含む。
【0026】
非クロロ系疎水化剤は、たとえば、ジメチルシリルジメチルアミン、ジメチルシリルジエチルアミン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、N,N−ジメチルアミノトリメチルシラン、N−(トリメチルシリル)ジメチルアミンおよびオルガノシラン化合物の少なくとも一つを含む。
また、溶剤は、疎水化剤および水を溶解させることができ、かつ水を含まない液体である。溶剤は、たとえば、アルコール、ケトン、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、EGMEA(エチレングリコールモノメチルエーテル)、およびフッ素系溶剤の少なくとも一つを含む。溶剤は、水よりも表面張力が小さく、かつ水よりも沸点が低い。
【0027】
アルコールは、たとえば、メチルアルコール、エタノール、プロピルアルコール、およびIPA(イソプロピルアルコール)の少なくとも一つを含む。
ケトンは、たとえば、アセトン、およびジエチルケトンの少なくとも一つを含む。
フッ素系溶剤は、たとえば、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)の少なくとも一つを含む。
【0028】
図3に示すように、基板処理装置1は、制御装置22を備えている。スピンモータ7、遮断板昇降機構9、ノズル移動機構13、および各疎水化剤供給ユニット16、17は、制御装置22によって制御される。また、基板処理装置1に備えられた各バルブの開閉は、制御装置22によって制御される。図1に示すように、制御装置22は、スピンチャック2によって基板Wを回転させた状態で、薬液ノズル10を処理位置に位置させ、薬液ノズル10から薬液を吐出させる。薬液ノズル10から吐出された薬液は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に供給される。そして、基板Wの上面中央部に供給された薬液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板W上を外方に広がっていく。これにより、基板Wの上面全域に薬液が供給され、基板Wが薬液によって処理される。
【0029】
一方、図2に示すように、制御装置22は、スピンチャック2によって基板Wを回転させた状態で、遮断板3を処理位置に位置させ、中心軸ノズル14から処理液を吐出させる。中心軸ノズル14から吐出された処理液は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に供給される。そして、基板Wの上面中央部に供給された処理液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板W上を外方に広がっていく。これにより、基板Wの上面全域に処理液が供給され、基板Wが処理液によって処理される。また、遮断板3の下面が基板Wの上面に近接した状態で基板Wに処理液が供給されるので、基板Wの周囲に振り切られた処理液が跳ね返って基板Wに付着することが抑制または防止される。
【0030】
図4は、本発明の第1実施形態に係る第1疎水化剤供給ユニット16の概略構成を示す模式図である。以下では、第1疎水化剤供給ユニット16の概略構成について説明する。第2疎水化剤供給ユニット17の概略構成は、第1疎水化剤供給ユニット16と同様であるので、その説明を省略する。
第1疎水化剤供給ユニット16は、第1疎水化剤(液体)が貯留された第1タンク23と、希釈溶剤(液体)が貯留された第2タンク24とを含む。さらに、第1疎水化剤供給ユニット16は、第1タンク23に接続された第1配管25と、第2タンク24に接続された第2配管26と、第1配管25に介装された第1バルブ27および第1流量調整バルブ28と、第2配管26に介装された第2バルブ29および第2流量調整バルブ30と、第1配管25および第2配管26に接続された集合配管31とを含む。
【0031】
第1タンク23に貯留された第1疎水化剤は、たとえば、ポンプによって吸引したり、第1タンク23内に気体を供給して第1タンク23内の気圧を上昇させたりすることにより、第1配管25に供給される。希釈溶剤についても同様である。集合配管31は、処理液供給配管15に接続されている(図1および図2参照)。また、第1バルブ27および第2バルブ29の開閉は、制御装置22によって制御される。また、第1流量調整バルブ28および第2流量調整バルブ30の開度は、制御装置22によって制御される。
【0032】
制御装置22が、第1バルブ27を開くと、第1タンク23に貯留された第1疎水化剤が、第1流量調整バルブ28の開度に応じた流量で集合配管31に供給される。同様に、制御装置22が、第2バルブ29を開くと、第2タンク24に貯留された希釈溶剤が、第2流量調整バルブ30の開度に応じた流量で集合配管31に供給される。これにより、第1疎水化剤および希釈溶剤が、集合配管31内で混合される。そのため、希釈溶剤が第1疎水化剤に溶解し、第1疎水化剤が希釈される。そして、希釈された第1疎水化剤が、集合配管31から処理液供給配管15に供給され、中心軸ノズル14から吐出される。第1疎水化剤は、希釈された状態で中心軸ノズル14に供給されてもよいし、希釈されずに中心軸ノズル14に供給されてもよい。たとえば、第1疎水化剤が、メタル系疎水化剤の一例である有機シリコン化合物である場合には、第1疎水化剤は、希釈されずに中心軸ノズル14に供給されることが好ましい。
【0033】
希釈溶剤は、前述の疎水化剤および溶剤ならびに水を溶解させることができ、かつ水を含まない液体である。希釈溶剤は、たとえば、アルコール(一価アルコール)、多価アルコール、ケトン、PGMEA、EGMEA、およびフッ素系溶剤の少なくとも一つを含む。希釈溶剤は、水よりも表面張力が小さく、かつ水よりも沸点が低い。
アルコールは、たとえば、メチルアルコール、エタノール、プロピルアルコール、およびIPAの少なくとも一つを含む。
【0034】
多価アルコールは、たとえば、エチレングリコールを含む。
ケトンは、たとえば、アセトン、およびジエチルケトンの少なくとも一つを含む。
フッ素系溶剤は、たとえば、HFE、HFCの少なくとも一つを含む。
第1疎水化剤が、メタル系疎水化剤の一例である疎水基を有するアミンである場合には、親水性溶媒が希釈溶剤として用いられる。すなわち、たとえば、メチルアルコール、エタノール、IPA、プロピルアルコールなどの一価アルコールや、エチレングリコールなどの多価アルコールや、アセトン、ジエチルケトンなどのケトンが、希釈溶剤として用いられる。
【0035】
図5は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1によって基板Wを処理するときの第1処理例について説明するための工程図である。以下では、図1、図2および図5を参照して、デバイス形成面である表面にパターンP(図7参照)が形成された基板Wを処理するときの処理例について説明する。また、以下の説明における「基板Wの上面(表面)
」は、基板W自体の上面(表面)およびパターンPの表面を含む。
【0036】
未処理の基板Wは、図示しない搬送ロボットによって搬送され、デバイス形成面である表面をたとえば上に向けてスピンチャック2上に載置される。そして、制御装置22は、スピンチャック2を制御して、載置された基板Wを保持させる。基板Wがスピンチャック2上に搬送されるとき、制御装置22は、搬送ロボットおよび基板Wが薬液ノズル10および遮断板3に衝突することを防止するために、薬液ノズル10および遮断板3をそれぞれの退避位置に位置させている。
【0037】
次に、薬液を基板Wに供給する薬液処理が行われる(S101)。具体的には、制御装置22は、ノズル移動機構13を制御して、遮断板3を退避位置に位置させた状態で、薬液ノズル10を退避位置から処理位置に移動させる。また、制御装置22は、スピンモータ7を制御して、スピンチャック2に保持された基板Wを回転させる。そして、制御装置22は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、薬液ノズル10から基板Wの上面中央部に向けて薬液を吐出させる。これにより、基板Wの上面全域に薬液が供給され、基板Wが薬液によって処理される(薬液処理)。そして、薬液処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、薬液バルブ12を閉じて薬液の吐出を停止させる。その後、制御装置22は、ノズル移動機構13を制御して、薬液ノズル10を退避位置に移動させる。
【0038】
次に、リンス液の一例である純水を基板Wに供給する水リンス処理(水リンス工程)が行われる(S102)。具体的には、制御装置22は、遮断板昇降機構9を制御して、薬液ノズル10を退避位置に位置させた状態で、遮断板3を退避位置から処理位置に移動させる。そして、制御装置22は、リンス液バルブ20を開いて、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、中心軸ノズル14から基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。これにより、基板Wの上面全域に純水が供給され、基板Wに付着している薬液が純水によって洗い流される(水リンス処理)。そして、水リンス処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、リンス液バルブ20を閉じて純水の吐出を停止させる。
【0039】
次に、溶剤を基板Wに供給する第1溶剤リンス処理(第1溶剤リンス工程)が行われる(S103)。具体的には、制御装置22は、溶剤バルブ18を開いて、遮断板3を処理位置に位置させ、さらに、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、中心軸ノズル14から基板Wの上面中央部に向けて溶剤を吐出させる。これにより、中心軸ノズル14から吐出された溶剤が、第1溶剤として基板Wの上面全域に供給される。前述のように、溶剤は、水を溶解させることができる液体であるから、基板Wに付着している純水は、基板Wに供給された溶剤に溶け込む。したがって、基板Wの上面全域に溶剤が供給されることにより、基板Wに付着している純水が、溶剤によって洗い流されて溶剤に置換される(第1溶剤リンス処理)。そして、第1溶剤リンス処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、溶剤バルブ18を閉じて溶剤の吐出を停止させる。
【0040】
次に、第1疎水化剤(液体)を基板Wに供給する第1疎水化処理(疎水化工程)が行われる(S104)。具体的には、制御装置22は、第1疎水化剤供給ユニット16を制御することにより、遮断板3を処理位置に位置させ、さらに、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、中心軸ノズル14から基板Wの上面中央部に向けて第1疎水化剤を吐出させる。これにより、第1疎水化剤が基板Wの上面全域に供給される。前述のように、溶剤は、疎水化剤を溶解させることができる液体であるから、基板Wの上面全域に第1疎水化剤が供給されることにより、基板Wに付着している溶剤が、第1疎水化剤に置換される。これにより、第1疎水化剤がパターンPの内部にまで入り込んで、基板Wの上面が疎水化される(第1疎水化処理)。そして、第1疎水化処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、第1疎水化剤供給ユニット16を制御して第1疎水化剤の吐出を停止させる。
【0041】
次に、溶剤を基板Wに供給する乾燥前リンス処理(乾燥前リンス工程)が行われる(S105)。具体的には、制御装置22は、溶剤バルブ18を開いて、遮断板3を処理位置に位置させ、さらに、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、中心軸ノズル14から基板Wの上面中央部に向けて溶剤を吐出させる。これにより、中心軸ノズル14から吐出された溶剤が、基板Wの上面全域に供給される。そのため、基板Wに付着している第1疎水化剤が、溶剤に置換される(乾燥前リンス処理)。そして、乾燥前リンス処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、溶剤バルブ18を閉じて溶剤の吐出を停止させる。
【0042】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(乾燥工程)が行われる(S106)。具体的には、制御装置22は、スピンモータ7を制御して、遮断板3を処理位置に位置させた状態で、基板Wを高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させる。これにより、基板Wに付着している溶剤に大きな遠心力が作用して、溶剤が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、溶剤が基板Wから除去され、基板Wが乾燥する(乾燥処理)。そして、乾燥処理が所定時間にわたって行われた後は、制御装置22は、スピンモータ7を制御して、スピンチャック2による基板Wの回転を停止させる。さらに、制御装置22は、遮断板昇降機構9を制御して、遮断板3を処理位置から退避位置に移動させる。その後、処理済みの基板Wが搬送ロボットによってスピンチャック2から搬出される。
【0043】
図6は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1によって基板Wを処理するときの第2処理例について説明するための工程図である。以下では、図1、図2、および図6を参照して、デバイス形成面である表面にパターンPが形成された基板Wを処理するときの処理例について説明する。第2処理例では、2種類の疎水化剤が基板Wに供給される。第2処理例において、第1疎水化処理(S104)までの工程は第1処理例と同様であるので、第1処理例と同一の参照符号を付してその説明を省略する。したがって、以下では、第1疎水化処理が行われた後の工程について説明する。
【0044】
第1疎水化処理(S104)が行われた後は、溶剤を基板Wに供給する第2溶剤リンス処理(第2溶剤リンス工程)が行われる(S107)。具体的には、制御装置22は、溶剤バルブ18を開いて、遮断板3を処理位置に位置させ、さらに、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、中心軸ノズル14から基板Wの上面中央部に向けて溶剤を吐出させる。これにより、中心軸ノズル14から吐出された溶剤が、第2溶剤として基板Wの上面全域に供給される。前述のように、溶剤は、疎水化剤を溶解させることができる液体であるから、基板Wの上面全域に溶剤が供給されることにより、基板Wに付着している第1疎水化剤が、溶剤に置換される(第2溶剤リンス処理)。そして、第2溶剤リンス処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、溶剤バルブ18を閉じて溶剤の吐出を停止させる。
【0045】
次に、第2疎水化剤(液体)を基板Wに供給する第2疎水化処理(疎水化工程)が行われる(S108)。具体的には、制御装置22は、第2疎水化剤供給ユニット17を制御することにより、遮断板3を処理位置に位置させ、さらに、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、中心軸ノズル14から基板Wの上面中央部に向けて第2疎水化剤を吐出させる。これにより、第2疎水化剤が基板Wの上面全域に供給される。前述のように、溶剤は、疎水化剤を溶解させることができる液体であるから、基板Wの上面全域に第2疎水化剤が供給されることにより、基板Wに付着している溶剤が、第2疎水化剤に置換される。これにより、第2疎水化剤がパターンPの内部にまで入り込んで、基板Wの上面が疎水化される(第2疎水化処理)。そして、第2疎水化処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、第2疎水化剤供給ユニット17を制御して第2疎水化剤の吐出を停止させる。
【0046】
次に、溶剤を基板Wに供給する乾燥前リンス処理(乾燥前リンス工程)が行われる(S109)。具体的には、制御装置22は、溶剤バルブ18を開いて、遮断板3を処理位置に位置させ、さらに、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、中心軸ノズル14から基板Wの上面中央部に向けて溶剤を吐出させる。これにより、中心軸ノズル14から吐出された溶剤が、基板Wの上面全域に供給される。そのため、基板Wに付着している第2疎水化剤が、溶剤に置換される(乾燥前リンス処理)。そして、乾燥前リンス処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、溶剤バルブ18を閉じて溶剤の吐出を停止させる。
【0047】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(乾燥工程)が行われる(S110)。具体的には、制御装置22は、スピンモータ7を制御して、遮断板3を処理位置に位置させた状態で、基板Wを高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させる。これにより、基板Wに付着している溶剤に大きな遠心力が作用して、溶剤が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、溶剤が基板Wから除去され、基板Wが乾燥する(乾燥処理)。そして、乾燥処理が所定時間にわたって行われた後は、制御装置22は、スピンモータ7を制御して、スピンチャック2による基板Wの回転を停止させる。さらに、制御装置22は、遮断板昇降機構9を制御して、遮断板3を処理位置から退避位置に移動させる。その後、処理済みの基板Wが搬送ロボットによってスピンチャック2から搬出される。
【0048】
図7は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1によって処理される基板Wの一例を示す断面図である。
基板処理装置1によって処理される基板Wは、たとえば、積層膜32のパターンPが形成された基板Wである。積層膜32は、たとえば、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cを含む。これらの膜32a、32b、32cは、基板W自体の表面に近い側から第3膜32c、第2膜32b、第1膜32aの順番で積層されている。すなわち、第1膜32aは、第2膜32bおよび第3膜32cに対して上層膜に相当し、第2膜32bおよび第3膜32cは、第1膜32aに対して下層膜に相当する。また、第2膜32bは、第3膜32cに対して上層膜に相当し、第3膜32cは、第2膜32bに対して下層膜に相当する。第1膜32aは、たとえば、シリコンを含む膜、窒化膜、および金属膜のいずれかである。第2膜32bおよび第3膜32cについても同様である。
【0049】
シリコンを含む膜は、たとえば、ポリシリコン膜、SiO2膜、SiN膜、BSG膜(ホウ素を含むSiO2膜)、およびTEOS膜(TEOS(テトラエトキシシラン)を用いてCVD法で形成されたSiO2膜)のいずれかである。SiO2膜、BSG膜、およびTEOS膜は、酸化膜でもある。
窒化膜は、たとえば、SiN膜である。SiN膜は、シリコンを含む膜でもある。
【0050】
金属膜は、たとえば、Ti、W、Cu、およびAlの少なくとも一つを含む膜である。金属膜は、たとえば、TiN膜、およびW膜のいずれかである。
第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cの組み合わせの具体例は、「シリコンを含む膜(第1膜32a)、シリコンを含む膜(第2膜32b)、金属膜(第3膜32c)」や、「金属膜(第1膜32a)、シリコンを含む膜(第2膜32b)、シリコンを含む膜(第3膜32c)」、「SiN膜(第1膜32a)、BSG膜(第2膜32b)、ポリシリコン膜(第3膜32c)」、「BSG膜(第1膜32a)、TEOS膜(第2膜32b)、ポリシリコン膜(第3膜32c)」、「SiN膜(第1膜32a)、金属膜(第2膜32b)、任意の膜(第3膜32c)」である。第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cは、これらの組み合わせに限らず、他の組み合わせであってもよい。
【0051】
シリコンを含む膜は、シリコン系疎水化剤によって疎水化される。同様に、酸化膜および窒化膜は、シリコン系疎水化剤によって疎水化される。また、金属膜は、メタル系疎水化剤によって疎水化される。
以下では、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cの具体的な組み合わせと、各組み合わせにおいて用いられる第1疎水化剤および第2疎水化剤の具体例について説明する。
【0052】
図8は、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが、それぞれ、シリコンを含む膜、シリコンを含む膜、金属膜であるときに用いられる疎水化剤について説明するための表である。
第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが、それぞれ、シリコンを含む膜、シリコンを含む膜、金属膜である場合、第1処理例では、たとえば、シリコン系疎水化剤またはメタル系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられる。したがって、シリコンを含む膜または金属膜が疎水化される。図示はしないが、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが、それぞれ、金属膜、シリコンを含む膜、シリコンを含む膜である場合にも、第1処理例では、たとえば、シリコン系疎水化剤またはメタル系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられる。
【0053】
一方、第2処理例では、たとえば、メタル系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられ、シリコン系疎水化剤が第2疎水化剤として用いられる。すなわち、下層膜(第3膜32c)を疎水化させた後に上層膜(第1膜32aおよび第2膜32b)を疎水化させて、下層膜、上層膜の順番で基板Wを疎水化させる。したがって、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが、それぞれ、金属膜、シリコンを含む膜、シリコンを含む膜である場合には、第2処理例では、たとえば、シリコン系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられ、メタル系疎水化剤が第2疎水化剤として用いられる。
【0054】
シリコンを含む膜と金属膜を有する基板Wの場合、塩素を含む疎水化剤(たとえば、フッ素化アルキルクロロシラン)が第1疎水化剤または第2疎水化剤として用いられると、疎水化剤が反応することにより発生する塩酸と金属膜が反応してしまう。したがって、シリコンを含む膜と金属膜を有する基板Wの場合、第1処理例および第2処理例のいずれの処理においても、塩素を含まない疎水化剤(たとえば、前述の非クロロ系疎水化剤)が第1疎水化剤または第2疎水化剤として用いられることが好ましい。これにより、塩酸と金属膜との反応が防止される。
【0055】
図9は、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが、それぞれ、SiN膜、BSG膜、ポリシリコン膜であるときに用いられる疎水化剤について説明するための表である。
第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが、それぞれ、SiN膜、BSG膜、ポリシリコン膜である場合、第1処理例では、たとえば、シリコン系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられる。シリコン系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられる場合、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが疎水化される。一方、メタル系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられる場合、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cのいずれもが、シリコンを含む膜であるため、疎水化性能は低い。したがって、第1処理例では、シリコン系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられることが好ましい。
【0056】
一方、第2処理例では、たとえば、シリコン系疎水化剤Iが第1疎水化剤として用いられ、シリコン系疎水化剤IIが第2疎水化剤として用いられる。シリコン系疎水化剤Iが第1疎水化剤として基板Wに供給されると、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが疎水化される。その後、シリコン系疎水化剤IIが第2疎水化剤として基板Wに
供給されると、第1膜32a(SiN膜)がさらに疎水化される。すなわち、SiN膜は、シリコン系疎水化剤Iによって疎水化された後、シリコン系疎水化剤Iとは異なる種類のシリコン系疎水化剤IIによってさらに疎水化される。このように、上層膜および下層膜が疎水化された後、上層膜がさらに疎水化される。シリコン系疎水化剤Iおよびシリコン系疎水化剤IIによる疎水化処理の詳細は後述する。
【0057】
図10は、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが、それぞれ、SiN膜、金属膜、任意の膜であるときに用いられる疎水化剤について説明するための表である。
第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが、それぞれ、SiN膜、金属膜、任意の膜である場合、第1処理例では、たとえば、シリコン系疎水化剤(好ましくは、非クロロ系疎水化剤)またはメタル系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられる。シリコン系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられる場合、第1膜32a(SiN膜)が疎水化される。一方、メタル系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられる場合、第2膜32b(金属膜)が疎水化される。
【0058】
一方、第2処理例では、たとえば、メタル系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられ、シリコン系疎水化剤(好ましくは、非クロロ系疎水化剤)が第2疎水化剤として用いられる。メタル系疎水化剤が第1疎水化剤として基板Wに供給されると、第2膜32bが疎水化される。その後、シリコン系疎水化剤が第2疎水化剤として基板Wに供給されると、第1膜32a(SiN膜)が疎水化される。このように、下層膜が疎水化された後、上層膜が疎水化される。
【0059】
図11は、シリコン系疎水化剤に浸漬されたSiO2およびTiNの試験片に対する純水の接触角を示すグラフである。また、図12は、メタル系疎水化剤に浸漬されたSiO2およびTiNの試験片に対する純水の接触角を示すグラフである。また、図13は、シリコン系疎水化剤およびメタル系疎水化剤に順次浸漬されたSiO2、TiNおよびWの試験片に対する純水の接触角を示すグラフである。
【0060】
図11に示すように、シリコン系疎水化剤に浸漬されたSiO2の試験片に対する純水の接触角は、いずれの浸漬時間においても70度以上である。また、図11に示すように、シリコン系疎水化剤に浸漬されたTiNの試験片に対する純水の接触角は、浸漬時間が2分以下では20度以下であり、浸漬時間が3分以上では30度以下である。
一方、図12に示すように、メタル系疎水化剤に浸漬されたSiO2の試験片に対する純水の接触角は、いずれの浸漬時間においても約40度である。また、図12に示すように、メタル系疎水化剤に浸漬されたTiNの試験片に対する純水の接触角は、いずれの浸漬時間においても約80度である。
【0061】
図11および図12に示す測定値から、シリコン系疎水化剤は、シリコンを含む化合物(SiO2)を十分に疎水化できるものの、金属を含む化合物(TiN)を十分に疎水化できないことが分かる。また、メタル系疎水化剤は、金属を含む化合物(TiN)を十分に疎水化できるものの、シリコンを含む化合物(SiO2)を十分に疎水化できないことが分かる。
【0062】
一方、図13に示すように、シリコン系疎水化剤およびメタル系疎水化剤に順次浸漬されたSiO2、TiNおよびWの試験片に対する純水の接触角は、それぞれ、約80度、約70度、および約60度である。したがって、シリコン系疎水化剤およびメタル系疎水化剤の両方の疎水化剤を基板Wに供給することにより、シリコンを含む膜および金属膜を含む基板Wを十分に疎水化させることができる。
【0063】
図14は、メタル系疎水化剤に浸漬された金属を含む化合物のリンス処理前後での接触
角を示すグラフである。図14におけるリンス前の接触角は、メタル系疎水化剤の一例である疎水基を有するアミンに浸漬された、金属を含む化合物が、リンスされる前の接触角である。また、図14におけるリンス後の接触角は、疎水基を有するアミンに浸漬された金属を含む化合物が、溶剤A、溶剤B、および純水のいずれかによってリンスされた後の接触角である。溶剤Aおよび溶剤Bは、種類の異なる溶剤である。溶剤Aは、第1処理例および第2処理例において第1溶剤および第2溶剤として用いられる溶剤である。溶剤Bについても同様である。
【0064】
図14に示すように、疎水基を有するアミンに浸漬された、金属を含む化合物に対する純水の接触角(リンス前の接触角)は、約90度である。この金属を含む化合物が溶剤Aによって洗われると、接触角が約10度減少する。また、この金属を含む化合物が溶剤Bによって洗われると、接触角が約15度減少する。また、この金属を含む化合物が純水によって洗われると、接触角が約50度減少する。
【0065】
図14に示す測定値から、疎水基を有するアミンに浸漬された、金属を含む化合物に、純水(OH基を含む液体)を供給すると、溶剤Aおよび溶剤Bを供給した場合に比べて、接触角が大幅に減少することが分かる。したがって、疎水基を有するアミンを基板Wに供給した後に基板Wに純水を供給しない、すなわち、純水が基板Wに接触しない状態に保つことにより、基板Wに対する純水の接触角の減少を抑制することができる。
【0066】
図15は、シリコン系疎水化剤Iおよびシリコン系疎水化剤IIをSiNに順次供給したときのSiNの表面状態の変化を示す模式図である。
前述のように、SiNは、シリコン系疎水化剤Iおよびシリコン系疎水化剤IIの両方の疎水化剤によって疎水化される。シリコン系疎水化剤IIの疎水基は、シリコン系疎水化剤Iの疎水基よりも短い。つまり、シリコン系疎水化剤IIの疎水基の分子量は、シリコン系疎水化剤Iの疎水基の分子量よりも小さい。SiNに対する疎水化剤の反応性は、疎水基が短いほど高い。したがって、シリコン系疎水化剤IIは、シリコン系疎水化剤IよりもSiNに対する反応性が高い。一方、SiNに対する反応性が同じであれば、疎水基が長いほど、SiNに対する純水の接触角を増加させることができる。したがって、シリコン系疎水化剤Iは、シリコン系疎水化剤IIよりもSiNを効率的に疎水化させることができる。
【0067】
たとえばSiNとSiO2を比較すると、両者はいずれもシリコンを含む化合物であるが、SiNは、SiO2よりも官能基(反応性に富む基)の数が少ない。そのため、シリコン系疎水化剤IIをSiNに供給して、SiNの官能基とシリコン系疎水化剤IIの疎水基を効率的に反応させても、SiNの官能基が少なく、かつシリコン系疎水化剤IIの疎水基が短いため、SiNの表面が十分に疎水化されない。つまり、接触角が十分に増加しない。
【0068】
一方、シリコン系疎水化剤Iの疎水基は長いが、シリコン系疎水化剤Iは、シリコン系疎水化剤IIよりもSiNに対する反応性が低い。そのため、シリコン系疎水化剤IをSiNに供給しても、SiNの官能基の一部がシリコン系疎水化剤Iの疎水基とは反応しないため、SiNの疎水性が全体として十分に上がらない。したがって、シリコン系疎水化剤Iおよびシリコン系疎水化剤IIの両方をSiNに供給することにより、シリコン系疎水化剤Iおよびシリコン系疎水化剤IIの両方をSiNに反応させて、SiNを十分に疎水化させることができる。
【0069】
特に、図15に示すように、シリコン系疎水化剤IをSiNに供給した後に、反応性の高いシリコン系疎水化剤IIをSiNに供給することにより、シリコン系疎水化剤Iの疎水基をSiNの官能基に反応させることができるとともに、シリコン系疎水化剤Iの疎水
基と反応せずに残ったSiNの官能基に、シリコン系疎水化剤IIの疎水基を反応させることができる。これにより、SiNを十分に疎水化させることができる。したがって、SiN膜に対しては、疎水基の長いシリコン系疎水化剤Iを供給した後に、疎水基の短いシリコン系疎水化剤IIを供給することが好ましい。
【0070】
図16は、パターンPに加わる力について説明するための基板Wの断面図である。
パターンPが形成された基板Wを乾燥させると、基板Wが乾燥していく過程でパターンP同士を引き付ける力が加わって、パターンPが倒壊する場合がある。このときパターンPに加わる力Fは、たとえば、以下の式(1)により表される。
F=(2×σ×Hcosθ)/L・・・(式1)
「σ」は、処理液の表面張力であり、「θ」は、接触角であり、「H」は、パターンPの高さであり、「L」は、パターンP間の間隔である。
【0071】
この式(1)から、処理液の表面張力σが小さいほどパターンPに加わる力Fが減少することが分かる。したがって、処理液の表面張力σを低下させることにより、パターンPに加わる力Fを減少させて、パターンPの倒壊を抑制または防止できる。
また、接触角θが90度に近づくほどパターンPに加わる力Fが減少することが分かる。したがって、基板Wの表面を疎水化させて接触角θを90度に近づけることにより、パターンPの倒壊を抑制または防止することができる。
【0072】
一方、基板Wの表面の疎水化が不十分な場合には、パターンPに加わる力Fが十分に減少せず、パターンPの倒壊を十分に抑制することができない。したがって、パターンPの倒壊を十分に抑制するために、基板Wの表面全体を十分に疎水化させることが好ましい。
前述の第1処理例および第2処理例では、疎水化剤によって基板Wが疎水化される(第1疎水化処理および第2疎水化処理)。これにより、基板Wに対する処理液の接触角が90度に近づけられる。したがって、パターンPに加わる力を減少させて、パターンPの倒壊を抑制または防止することができる。
【0073】
また、第2処理例では、複数種類の疎水化剤が基板Wに供給される(第1疎水化処理および第2疎水化処理)。したがって、シリコンを含む膜と金属膜を含む積層膜32のパターンPが形成された基板Wを処理する場合に、基板Wの表面全体を十分に疎水化させることができる。さらに、SiN膜などの窒化膜を有する基板Wを処理する場合に、基板Wの疎水性を十分に上昇させることができる。これにより、パターンPの倒壊を抑制または防止することができる。
【0074】
また、第1処理例および第2処理例では、基板Wが疎水化されてから乾燥するまで(第1疎水化処理が終了してから乾燥処理が終了するまで)、溶剤、または疎水化剤および溶剤が基板Wに供給される。疎水化剤および溶剤は、水を含まない液体である。したがって、第1処理例および第2処理例では、基板Wが疎水化されてから乾燥するまで、基板Wに純水が接触しない状態が保たれる。
【0075】
図14を参照して説明したように、金属膜を含む基板Wにメタル系疎水化剤の一例である疎水基を有するアミンを供給した後に、当該基板Wに純水を供給すると、基板Wの疎水性が大幅に低下してしまう。したがって、基板Wが疎水化されてから乾燥するまで、基板Wに純水が接触しない状態が保たれることにより、疎水基を有するアミンが基板Wに供給された場合に、基板Wの疎水性が大幅に低下することが防止される。これにより、パターンPの倒壊を抑制または防止することができる。
【0076】
また、基板Wが疎水化されてから乾燥するまで、基板Wに純水が接触しない状態が保たれることにより、ウォーターマークの生成も抑制または防止することができる。
また、第2処理例では、第1疎水化剤によって下層膜が疎水化された後、または第1疎水化剤によって下層膜および上層膜が疎水化された後に、第2疎水化剤によって上層膜が疎水化される。たとえば、上層膜が疎水化された後にさらに疎水化剤を基板Wに供給すると、上層膜が疎水化されているので、疎水化剤が下層膜まで十分に供給されない場合がある。したがって、下層膜が疎水化された後、または下層膜および上層膜が疎水化された後に、上層膜を疎水化する第2疎水化剤を基板Wに供給することにより、上層膜および下層膜を十分に疎水化させることができる。これにより、基板Wを十分に疎水化させることができる。
【0077】
また、第1処理例および第2処理例では、リンス液の一例である純水が基板Wに供給される(水リンス処理)。その後、溶剤が、第1溶剤として基板Wに供給される(第1溶剤リンス処理)。これにより、基板Wに付着している純水が溶剤に置換される。したがって、第1疎水化剤および第2疎水化剤は、純水が除去された状態で基板Wに供給される。そのため、第1疎水化剤および第2疎水化剤が純水に接触することが防止される。よって、水に接触することによって活性が低下する疎水化剤が、第1疎水化剤および第2疎水化剤として用いられている場合に、第1疎水化剤および第2疎水化剤の活性が低下することが防止される。これにより、基板Wを十分に疎水化させることができる。
【0078】
また、第2処理例では、第1疎水化処理が行われた後であって第2疎水化処理が行われる前に、第1疎水化剤および第2疎水化剤を溶解させることができる溶剤が、第2溶剤として基板Wに供給される(第2溶剤リンス工程)。第1疎水化剤と第2疎水化剤とが容易に混ざり合わない場合、第1疎水化剤が基板Wに付着している状態で第2疎水化剤を基板Wに供給しても、基板Wに付着している第1疎水化剤を容易に第2疎水化剤に置換することができない。そのため、第2疎水化剤が基板Wの表面に十分に接触しない。
【0079】
一方、溶剤(第2溶剤)は、第1疎水化剤および第2疎水化剤を溶解させることができる。したがって、第1疎水化処理が行われた後に溶剤を基板Wに供給することにより、基板Wに付着している第1疎水化剤を溶剤に置換して、基板Wから第1疎水化剤を除去することができる。そして、第2溶剤リンス処理が行われた後に第2疎水化剤を基板Wに供給することにより、基板Wに付着している溶剤を第2疎水化剤に置換して、基板Wから溶剤を除去することができる。したがって、第1疎水化剤と第2疎水化剤とが容易に混ざり合わない場合であっても、基板Wに付着している第1疎水化剤を第2疎水化剤に置換することができる。これにより、第2疎水化剤を基板Wに反応させて、第2疎水化剤によって基板Wを疎水化することができる。
【0080】
また、第1処理例および第2処理例では、乾燥前リンス処理において基板Wに溶剤が供給される。そして、基板Wに付着している溶剤が除去され、基板Wが乾燥される。乾燥前リンス処理において基板Wに供給される溶剤は、水より表面張力が小さい。したがって、乾燥前リンス処理において純水が基板Wに供給される場合よりもパターンPの倒壊を抑制または防止することができる。さらに、乾燥前リンス処理において基板Wに供給される溶剤は、水より沸点が低い。したがって、乾燥前リンス処理において純水が基板Wに供給される場合よりも基板Wを速やかに乾燥させることができる。
【0081】
また、第1処理例および第2処理例では、希釈溶剤によって希釈された第1疎水化剤および第2疎水化剤が基板Wに供給される。希釈溶剤は、第1溶剤および第2溶剤として用いられる溶剤を溶解させることができる。したがって、第1疎水化剤および第2疎水化剤が希釈溶剤によって希釈されることにより、第1疎水化剤および第2疎水化剤と第1溶剤および第2溶剤との親和性が高まる。そのため、基板Wに付着している溶剤(第1溶剤および第2溶剤)を第1疎水化剤および第2疎水化剤に容易に置換することができる。
【0082】
また、第1処理例および第2処理例では、集合配管31内で疎水化剤(第1疎水化剤および第2疎水化剤)と希釈溶剤が混合される。すなわち、第1疎水化剤および第2疎水化剤は、基板Wに供給される直前で希釈溶剤によって希釈される。したがって、希釈溶剤によって希釈されることにより活性が次第に低下する疎水化剤が、第1疎水化剤および第2疎水化剤として用いられている場合に、第1疎水化剤および第2疎水化剤の活性が大幅に低下することが防止される。これにより、基板Wを十分に疎水化させることができる。
【0083】
図17は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置201の概略構成を示す模式図である。図18は、本発明の第2実施形態に係る第1疎水化剤供給ユニット216の概略構成を示す模式図である。この図17および図18において、前述の図1〜図16に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0084】
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、図17に示すように、第1疎水化剤の蒸気および第2疎水化剤の蒸気をそれぞれ供給する第1疎水化剤供給ユニット216(疎水化剤供給手段)および第2疎水化剤供給ユニット217(疎水化剤供給手段)が基板処理装置201に備えられていることである。第1疎水化剤供給ユニット216の概略構成と第2疎水化剤供給ユニット217の概略構成は同様であるので、以下では、第1疎水化剤供給ユニット216の概略構成について説明する。
【0085】
図18に示すように、第1疎水化剤供給ユニット216は、第1疎水化剤(液体)が貯留された第1タンク23と、希釈溶剤(液体)が貯留された第2タンク24とを含む。さらに、第1疎水化剤供給ユニット216は、集合配管31に介装されたヒータ233と、バルブ234が介装されたキャリアガス供給配管235とを含む。キャリアガス供給配管235は、集合配管31に接続されている。ヒータ233の温度は、制御装置22(図3参照)によって制御される。また、バルブ234の開閉は、制御装置22によって制御される。バルブ234が開かれると、キャリアガスが集合配管31に供給される。キャリアガスとしては、たとえば、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスが挙げられる。
【0086】
また、希釈溶剤は、前述の第1実施形態と同様である。第2実施形態では、たとえば、HFEを含む溶剤が希釈溶剤として用いられている。HFEは、水よりも沸点が低い。したがって、この希釈溶剤によって第1疎水化剤を希釈することにより、希釈された第1疎水化剤の沸点を低下させることができる。これにより、希釈された第1疎水化剤を容易に蒸発させることができる。また、HFEは、不燃性である。制御装置22は、希釈された第1疎水化剤が不燃性となるように、第1流量調整バルブ28および第2流量調整バルブ30の開度を制御する。したがって、基板処理装置201の爆発を防止するための対策を施さなくてもよい。
【0087】
制御装置22は、第1バルブ27、第2バルブ29、およびバルブ234を開き、さらに、ヒータ233によって集合配管31を加熱させる。第1バルブ27および第2バルブ29が開かれることにより、第1疎水化剤(液体)および希釈溶剤(液体)が集合配管31に供給される。集合配管31に供給された第1疎水化剤および希釈溶剤は、集合配管31内で混合された後、ヒータ233によって加熱される。これにより、第1疎水化剤および希釈溶剤の混合液が蒸発して、希釈された第1疎水化剤の液体が蒸気に変化する。そして、集合配管31内で生成された第1疎水化剤の蒸気は、キャリアガス供給配管235から集合配管31に供給されたキャリアガスによって中心軸ノズル14に向けて流される。これにより、第1疎水化剤の蒸気が中心軸ノズル14から吐出される。
【0088】
図17に示すように、制御装置22は、遮断板3を処理位置に位置させた状態で、中心軸ノズル14から第1疎水化剤の蒸気および第2疎水化剤の蒸気を吐出させる。中心軸ノ
ズル14から吐出された疎水化剤の蒸気は、遮断板3と基板Wとの間を外方に広がり、遮断板3と基板Wとの間から排出される。これにより、遮断板3と基板Wとの間の空間が疎水化剤の蒸気で満たされる。また、中心軸ノズル14から吐出された疎水化剤の蒸気は、基板Wの上面に沿って外方に流れる。これにより、疎水化剤の蒸気が基板Wの上面全域に供給される。疎水化剤の蒸気が中心軸ノズル14から吐出される間、スピンチャック2によって保持された基板Wは、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線まわりに回転されてもよいし、非回転状態で保持されてもよい。
【0089】
図19は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置201によって基板Wを処理するときの第3処理例について説明するための工程図である。以下では、図17および図19を参照して、デバイス形成面である表面にパターンPが形成された基板Wを処理するときの処理例について説明する。第3処理例において、第1溶剤リンス処理(S103)までの工程は第1処理例と同様であるので、第1処理例と同一の参照符号を付してその説明を省略する。したがって、以下では、第1溶剤リンス処理が行われた後の工程について説明する。
【0090】
第1溶剤リンス処理(S103)が行われた後は、第1疎水化剤(蒸気)を基板Wに供給する第1疎水化処理(疎水化工程、蒸気供給工程)が行われる(S204)。具体的には、制御装置22は、第1疎水化剤供給ユニット216を制御することにより、遮断板3を処理位置に位置させた状態で、中心軸ノズル14から基板Wの上面中央部に向けて第1疎水化剤の蒸気を吐出させる。基板Wに付着している溶剤は、基板Wの上面に沿って外方に流れる第1疎水化剤の蒸気に溶け込みながら基板Wから除去されていく。また、第1疎水化剤の蒸気が基板Wの上面に沿って外方に流れることにより、第1疎水化剤の蒸気が基板Wの上面全域に供給され、第1疎水化剤の蒸気がパターンPの内部に入り込む。これにより、基板Wの上面が疎水化される(第1疎水化処理)。そして、第1疎水化処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、第1疎水化剤供給ユニット216を制御して、第1疎水化剤の蒸気の吐出を停止させる。
【0091】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(乾燥工程、蒸発工程)が行われる(S205)。具体的には、制御装置22は、基板Wの上面に付着している第1疎水化剤の液滴を蒸発させることにより、基板Wを乾燥させる(乾燥処理)。制御装置22は、スピンチャック2によって基板Wを回転させることにより、基板Wの回転によって生じる気流によって第1疎水化剤の液滴を蒸発させてもよいし、基板Wを静止させながら第1疎水化剤の液滴を自然に蒸発させてもよい。また、制御装置22は、搬送ロボットによって基板Wを搬送させながら第1疎水化剤の液滴を蒸発させてもよい。
【0092】
図20は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置201によって基板Wを処理するときの第4処理例について説明するための工程図である。以下では、図17および図20を参照して、デバイス形成面である表面にパターンPが形成された基板Wを処理するときの処理例について説明する。第4処理例では、2種類の疎水化剤の蒸気が基板Wに供給される。第4処理例において、第1疎水化処理(S204)までの工程は第3処理例と同様であるので、第3処理例と同一の参照符号を付してその説明を省略する。したがって、以下では、第1疎水化処理が行われた後の工程について説明する。
【0093】
第1疎水化処理(S204)が行われた後は、溶剤を基板Wに供給する第2溶剤リンス処理(第2溶剤リンス工程)が行われる(S206)。具体的には、制御装置22は、溶剤バルブ18を開いて、遮断板3を処理位置に位置させ、さらに、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、中心軸ノズル14から基板Wの上面中央部に向けて溶剤を吐出させる。これにより、中心軸ノズル14から吐出された溶剤が、第2溶剤として基板Wの上面全域に供給される。前述のように、溶剤は、疎水化剤を溶解させることができる
液体であるから、基板Wの上面全域に溶剤が供給されることにより、基板Wに付着している第1疎水化剤の液滴が、溶剤に置換される(第2溶剤リンス処理)。そして、第2溶剤リンス処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、溶剤バルブ18を閉じて溶剤の吐出を停止させる。
【0094】
第2溶剤リンス工程(S206)が行われた後は、第2疎水化剤(蒸気)を基板Wに供給する第2疎水化処理(疎水化工程、蒸気供給工程)が行われる(S207)。具体的には、制御装置22は、第2疎水化剤供給ユニット217を制御することにより、遮断板3を処理位置に位置させた状態で、中心軸ノズル14から基板Wの上面中央部に向けて第2疎水化剤の蒸気を吐出させる。第2疎水化剤の蒸気が基板Wの上面に沿って外方に流れることにより、第2疎水化剤の蒸気が基板Wの上面全域に供給され、第2疎水化剤の蒸気がパターンPの内部に入り込む。これにより、基板Wの上面が疎水化される(第2疎水化処理)。そして、第2疎水化処理が所定時間にわたって行われると、制御装置22は、第2疎水化剤供給ユニット217を制御して、第2疎水化剤の蒸気の吐出を停止させる。
【0095】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(乾燥工程、蒸発工程)が行われる(S208)。具体的には、制御装置22は、基板Wの上面に付着している第2疎水化剤の液滴を蒸発させることにより、基板Wを乾燥させる(乾燥処理)。制御装置22は、スピンチャック2によって基板Wを回転させることにより、基板Wの回転によって生じる気流によって第2疎水化剤の液滴を蒸発させてもよいし、基板Wを静止させながら第2疎水化剤の液滴を自然に蒸発させてもよい。また、制御装置22は、搬送ロボットに搬送させながら第2疎水化剤の液滴を蒸発させてもよい。
【0096】
第3処理例は、前述の第1処理例に対応しており、第4処理例は、前述の第2処理例に対応している。すなわち、基板処理装置201によって処理される基板Wは、たとえば、積層膜32のパターンPが形成された基板W(図7参照)である。第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが、それぞれ、シリコンを含む膜、シリコンを含む膜、金属膜である場合(図8参照)、第3処理例では、たとえば、シリコン系疎水化剤またはメタル系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられる。また、第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cが、それぞれ、シリコンを含む膜、シリコンを含む膜、金属膜である場合(図8参照)、第4処理例では、たとえば、メタル系疎水化剤が第1疎水化剤として用いられ、シリコン系疎水化剤が第2疎水化剤として用いられる。第1膜32a、第2膜32b、および第3膜32cのその他の組み合わせについても同様である。
【0097】
以上のように第2実施形態では、第3処理例および第4処理例のいずれの処理例においても、疎水化剤の蒸気が基板Wに供給される(第1疎水化処理および第2疎水化処理)。基板Wに供給された疎水化剤の蒸気の一部は液滴に変化して、基板Wに付着する。しかし、この疎水化剤の液滴は短時間で蒸発して、基板Wから除去される。そのため、第1処理例および第2処理例のように、溶剤によって疎水化剤を洗い流さなくてもよい。すなわち、乾燥前リンス処理を行わなくてもよい。これにより、基板Wの処理時間を短縮することができる。
【0098】
また、第4処理例では、第1疎水化処理の後に、第2疎水化処理に先立って、第2溶剤リンス処理が行われる。第1疎水化処理が終わった段階で、第1疎水化剤の液滴が基板Wから蒸発して、基板Wが乾燥すると、基板Wの疎水性が十分に低下していないため、パターンPが倒壊する恐れがある。したがって、第1疎水化剤の液滴が蒸発して除去される前に、基板Wに溶剤を供給する第2溶剤リンス処理を行うことにより、基板Wが乾燥することを防止する。その後、第2疎水化剤の蒸気が供給されることにより、基板Wに付着している溶剤が第2疎水化剤と置換され、第2疎水化処理が行われる。
【0099】
また、第3処理例および第4処理例では、基板Wが疎水化されてから乾燥するまで(第1疎水化処理が終了してから乾燥処理が終了するまで)、基板Wに純水が接触しない状態が保たれる。したがって、金属膜を含む基板Wにメタル系疎水化剤の一例である疎水基を有するアミンを供給した場合に、基板Wの疎水性が大幅に低下することが防止される。これにより、パターンPの倒壊を抑制または防止することができる。
【0100】
また、基板Wが疎水化されてから乾燥するまで、基板Wに純水が接触しない状態が保たれることにより、ウォーターマークの生成も抑制または防止することができる。
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の第1処理例〜第4処理例では、第1溶剤リンス処理、第2溶剤リンス処理、乾燥前リンス処理において、溶剤を基板Wに供給する場合について説明したが、基板Wに付着している液に十分に溶け込むのであれば、溶剤の蒸気を供給するようにしてもよい。
【0101】
また、前述の第1処理例〜第4処理例では、基板Wに溶剤を供給する第1溶剤リンス処理が行われた後に、第1疎水化剤を基板Wに供給する第1疎水化処理が行われる場合について説明した。しかし、純水が第1疎水化剤に溶解し、かつ第1疎水化剤が純水に接触しても活性が低下しない場合には、基板Wに純水を供給する水リンス処理が行われた後に、第1溶剤リンス処理を行わずに、第1疎水化処理を行ってもよい。
【0102】
また、前述の第2処理例では、第1疎水化処理が行われた後であって第2疎水化処理が行われる前に、溶剤を基板Wに供給する第2溶剤リンス処理が行われる場合について説明した。しかし、第1疎水化剤および第2疎水化剤が容易に混ざり合う場合には、第2溶剤リンス処理を行わずに、第1疎水化剤を基板Wに供給する第1疎水化処理が行われた後に、第2疎水化剤を基板Wに供給する第2疎水化処理が行われてもよい。
【0103】
また、前述の第1処理例〜第4処理例では、第1疎水化処理および第2疎水化処理において、一定の濃度に希釈された疎水化剤の液体または蒸気が基板Wに供給される場合について説明した。しかし、制御装置22が流量調整バルブ28、30(図4および図18参照)の開度を制御することにより、疎水化剤の濃度が連続的にまたは段階的に増加されてもよい。この場合、第1疎水化処理および第2疎水化処理において基板Wに付着している溶剤を疎水化剤にスムーズに置換できるから、溶剤を基板Wから除去する時間を短縮することができる。
【0104】
また、前述の第1処理例〜第4処理例では、薬液ノズル10および中心軸ノズル14から処理液を吐出させながら基板Wを処理する場合について説明した。しかし、基板W上に処理液の液膜を保持させることにより基板Wを処理してもよい。具体的には、スピンチャ
ック2によって10〜30rpm程度の低回転速度で基板Wを回転させながら、または基板Wの回転を停止させながら、薬液ノズル10または中心軸ノズル14から処理液を吐出させる。そして、基板Wの上面を覆う処理液の液膜が形成された後に処理液の吐出を停止させる。その後、処理液の吐出を停止させた状態で、基板Wを前述の低回転速度で回転させながら、または基板Wの回転を停止させながら、処理液の液膜によって基板Wを処理する。
【0105】
また、前述の第1処理例〜第4処理例では、水リンス処理において、リンス液の一例である純水が基板に供給される場合について説明した。しかし、純水に限らず、純水以外のリンス液が基板に供給されてもよい。
また、前述の第1処理例〜第4処理例では、積層膜32のパターンPが形成された基板Wが処理される場合について説明した。しかし、単膜のパターンPが形成された基板Wが処理されてもよい。たとえば、SiN膜のみのパターンPが形成された基板Wに対して、前述のように疎水基の長いシリコン系疎水化剤および疎水基の短いシリコン系疎水化剤を第2処理例もしくは第4処理例で処理されることにより、SiN膜を十分に疎水化することができる。
【0106】
また、第2処理例および第4処理例では、第1疎水化剤および第2疎水化剤を用いて疎水化処理を2回行っているが、さらに第3疎水化剤を用いて疎水化処理を3回行ってもよい。たとえば、図10に示す膜の組合せの場合、第1疎水化剤としてメタル系疎水化剤を用いることにより、金属膜の疎水化処理を行い、第2疎水化剤として疎水基が長いシリコン系疎水化剤Iを用いることにより、SiN膜の疎水化処理を行い、第3疎水化剤として疎水基が短いシリコン系疎水化剤IIを用いることにより、SiN膜のさらなる疎水化処理を行うようにしてもよい。
【0107】
また、前述の第1処理例〜第4処理例では、基板Wが1枚ずつ処理される場合について説明した。しかし、第1処理例〜第4処理例において、複数枚の基板Wが一括して処理されてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 基板処理装置
2 スピンチャック(基板保持手段、基板乾燥手段)
16 第1疎水化剤供給ユニット(疎水化剤供給手段)
17 第2疎水化剤供給ユニット(疎水化剤供給手段)
18 溶剤バルブ(溶剤供給手段)
22 制御装置(制御手段)
32 積層膜
201 基板処理装置
216 第1疎水化剤供給ユニット(疎水化剤供給手段)
217 第2疎水化剤供給ユニット(疎水化剤供給手段)
P パターン
S102 水リンス工程
S103 第1溶剤リンス工程
S104 疎水化工程
S105 乾燥前リンス工程
S106 乾燥工程
S107 第2溶剤リンス工程
S108 疎水化工程
S109 乾燥前リンス工程
S110 乾燥工程
S204 疎水化工程、蒸気供給工程
S205 乾燥工程、蒸発工程
S207 疎水化工程、蒸気供給工程
S208 乾燥工程、蒸発工程
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水化剤を基板に供給して前記基板の表面を疎水化させる疎水化工程と、
前記疎水化工程が行われた後に前記基板を乾燥させる乾燥工程と、
前記疎水化工程が終了してから前記乾燥工程が終了するまで、前記基板を水が接触しない状態に保つ工程とを含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記基板は、金属膜を含む基板である、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記疎水化工程は、前記疎水化剤の液体を前記基板に供給する工程を含み、
前記疎水化工程が行われた後であって前記乾燥工程が行われる前に、前記疎水化剤を溶解させることができ、かつ水より表面張力が小さい溶剤を前記基板に供給する乾燥前リンス工程をさらに含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記疎水化工程は、前記疎水化剤の蒸気を前記基板に供給する蒸気供給工程を含み、
前記乾燥工程は、前記基板に付着している前記疎水化剤を蒸発させる蒸発工程を含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された基板に疎水化剤を供給する疎水化剤供給手段と、
基板を乾燥させる基板乾燥手段と、
前記疎水化剤供給手段を制御することにより、疎水化剤を前記基板保持手段に保持された基板に供給して前記基板の表面を疎水化させる疎水化工程を行い、前記基板乾燥手段を制御することにより、前記疎水化工程が行われた後に前記基板を乾燥させる乾燥工程を行い、前記疎水化工程が終了してから前記乾燥工程が終了するまで、前記基板を水が接触しない状態に保つ工程を行う制御手段とを備える、基板処理装置。
【請求項6】
前記疎水化剤供給手段は、前記基板保持手段に保持された基板に前記疎水化剤の液体を供給する手段を含み、
前記疎水化剤を溶解させることができ、かつ水より表面張力が小さい溶剤を前記基板保持手段に保持された基板に供給する溶剤供給手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記疎水化剤供給手段を制御することにより、前記基板保持手段に保持された基板に前記疎水化剤の液体を供給する工程を含む前記疎水化工程を行い、前記溶剤供給手段を制御することにより、前記疎水化工程が行われた後であって前記乾燥工程が行われる前に、前記基板保持手段に保持された基板に前記溶剤を供給する乾燥前リンス工程を行う、請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記疎水化剤供給手段は、前記基板保持手段に保持された基板に前記疎水化剤の蒸気を供給する手段を含み、
前記制御手段は、前記疎水化剤供給手段を制御することにより、前記基板保持手段に保持された基板に前記疎水化剤の蒸気を供給する蒸気供給工程を含む前記疎水化工程を行い、前記基板乾燥手段を制御することにより、前記基板保持手段に保持された基板に付着している前記疎水化剤を蒸発させる蒸発工程を含む前記乾燥工程を行う、請求項5記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−44144(P2012−44144A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99529(P2011−99529)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【分割の表示】特願2010−185415(P2010−185415)の分割
【原出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】