説明

基板処理方法及び装置

【課題】 例えば配線等の下地金属の内部にボイドを発生させることなく、下地金属の露出表面に無電解めっきによって金属膜を確実に形成でき、しかも、スループットを向上させることができるようにする。
【解決手段】 下地金属を形成した基板の表面に無電解めっきにより金属膜を形成するに際し、基板の表面を、カルボキシル基を有する有機酸またはその塩の水溶液に界面活性剤を添加した洗浄液で洗浄し、洗浄後の基板の表面を、金属触媒イオンを含む溶液に前記洗浄液を混合した処理液に接触させて基板の表面に触媒を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法及び装置に係り、特に半導体ウエハ等の基板の表面に設けた配線用の微細な凹部に、銅や銀等の導電体を埋込んで構成する埋込み配線の底面及び側面、または露出表面に、配線材料の層間絶縁膜中への熱的拡散を防止する機能あるいは配線と層間絶縁膜の密着性を向上させる機能を有する導電膜や、配線を覆う磁性膜等の保護膜を無電解めっきで形成するのに使用される基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の配線形成プロセスとして、配線溝及びコンタクトホールに金属(導電体)を埋込むようにしたプロセス(いわゆる、ダマシンプロセス)が使用されつつある。これは、層間絶縁膜に予め形成した配線溝やコンタクトホールに、アルミニウム、近年では銅や銀等の金属を埋込んだ後、余分な金属を化学的機械研磨(CMP)によって除去し平坦化するプロセス技術である。
【0003】
従来この種の配線、例えば配線材料として銅を使用した銅配線にあっては、信頼性向上のため、層間絶縁膜への配線(銅)の熱的拡散を防止しかつエレクトロマイグレーション耐性を向上させるためのバリア膜を配線の底面及び側面に形成したり、その後絶縁膜(酸化膜)を積層して多層配線構造の半導体装置を作る場合の酸化性雰囲気における配線(銅)の酸化を防止したりするため酸化防止膜を形成するなどの方法が採用されている。従来、この種のバリア膜としては、タンタル、チタンまたはタングステンなどの金属あるいはその窒化物が一般に採用されており、また酸化防止膜としては、シリコンの窒化物などが一般に採用されていた。
【0004】
これに変わるものとして、最近になってコバルト合金やニッケル合金等からなる配線保護膜で埋込み配線の底面及び側面、または露出表面を選択的に覆って、配線の熱拡散、エレクトロマイグレーション及び酸化を防止することが検討されている。また、不揮発磁気メモリにおいては、微細化に伴う書込み電流の増加を抑制するため、記録用配線の周囲をコバルト合金やニッケル合金等の磁性膜で覆うことが考えられている。このコバルト合金やニッケル合金等は、例えば無電解めっきによって得られる。
【0005】
図1は、半導体装置における銅配線形成例を工程順に示すもので、先ず、図1(a)に示すように、半導体素子を形成した半導体基材1上の導電層1aの上に、例えばSiOからなる酸化膜やLow−k材膜等の絶縁膜(層間絶縁膜)2を堆積し、この絶縁膜2の内部に、例えばリソグラフィ・エッチング技術により、配線用の微細凹部としてのコンタクトホール3と配線溝4を形成し、その上にTaN等からなるバリア層5、更にその上に電解めっきの給電層としてのシード層6をスパッタリング等により形成する。
【0006】
そして、図1(b)に示すように、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、基板Wのコンタクトホール3及び配線溝4内に銅を充填させるとともに、絶縁膜2上に銅層7を堆積させる。その後、化学的機械研磨(CMP)などにより、絶縁膜2上のバリア層5,シード層6及び銅層7を除去して、コンタクトホール3及び配線溝4内に充填させた銅層7の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図1(c)に示すように、絶縁膜2の内部にシード層6と銅層7からなる配線(銅配線)8を形成する。
【0007】
次に、図1(d)に示すように、基板Wの表面に無電解めっきを施して、配線8の表面に、例えばCoWP合金からなる配線保護膜(蓋材)9を選択的に形成し、これによって、配線8の表面を配線保護膜9で覆って保護する。
【0008】
一般的な無電解めっきによって、このようなCoWP合金膜からなる配線保護膜(蓋材)9を配線8の表面に選択的に形成する工程を説明する。先ず、CMP処理を施した半導体ウエハ等の基板Wを、例えば常温の希硫酸中に1分程度浸漬させて、絶縁膜2の表面に残った銅等のCMP残渣や配線上の酸化膜等を除去する。そして、基板Wの表面を純水等の洗浄液で洗浄した後、例えば常温のPdSO/HSOまたはPdCl/HCl混合溶液中に基板Wを1分間程度浸漬させ、これにより、配線8の表面に触媒としてのPdを付着させて配線8の露出表面を活性化させる。
【0009】
次に、基板Wの表面を純水等で洗浄(リンス)した後、例えば液温が80℃のCoWPめっき液中に基板Wを120秒程度浸漬させて、活性化させた配線8の表面に選択的な無電解めっきを施し、しかる後、基板Wの表面を純水等の洗浄液で洗浄して乾燥する。これによって、配線8の露出表面に、CoWP合金膜からなる配線保護膜9を選択的に形成して配線8を保護する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のPd等の触媒付与は、原理的に配線(下地金属)のエッチングによって放出される電子(e)を反応の駆動力としており、一般的な「置換めっき」によって行われる。このため、触媒付与の際に、下地金属である配線の、特に脆弱な結晶粒界や配線とバリア層との界面が触媒処理液によって過剰にエッチングされ、この配線の過剰エッチングによって配線中にボイドが発生し、配線の信頼性の低下や配線抵抗の上昇を招く場合があった。
【0011】
つまり、例えばPdSO/HSO混合溶液中に基板を浸漬させて、基板表面の、例えば銅からなる配線の表面に、触媒としてのPdを担持させたPd触媒層を形成すると、下記の式(2),(3)に示すように、銅がエッチングされて電子が放出され、この電子を受けてPd触媒層が形成される。このため、特に脆弱な銅の結晶粒界や配線とバリア層との界面に沿って、銅が過剰にエッチングされてしまう。
Cu→Cu2++2e (2)
Pd2++2e→Pd (3)
【0012】
また、CMP処理後から、配線の表面を配線保護膜で保護するまでの時間が長くなると、CMP処理した後の配線の表面状態が変化し、無電解めっきに先だって行われる基板のめっき前処理に悪影響を与えてしまう。更に、CMPの後処理と無電解めっきの前処理とを異なる装置で別々に行うと、類似した工程を重複して行うこととなり、処理効率の低下に繋がってしまう。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、例えば配線等の下地金属の内部にボイドを発生させることなく、下地金属の露出表面に無電解めっきによって金属膜を確実に形成でき、しかも、スループットを向上させることができるようにした基板処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、下地金属を形成した基板の表面に無電解めっきにより金属膜を形成するに際し、基板の表面を、カルボキシル基を有する有機酸またはその塩の水溶液に界面活性剤を添加した洗浄液で洗浄し、洗浄後の基板の表面を、金属触媒イオンを含む溶液に前記洗浄液を混合した処理液に接触させて基板の表面に触媒を付与することを特徴とする基板処理方法である。
【0015】
このように、例えばPdイオン等の金属触媒イオンの他に、キレート剤としてカルボキシル基を有する有機酸を含む処理液(触媒処理液)で触媒付与処理を行うことで、例えばPdイオンに比べてサイズが大きいPd錯体を形成し、例えば配線を形成する銅の結晶粒界や配線とバリア層との間等の隙間にPd錯体が入り難くして、特に脆弱な銅の結晶粒界や配線とバリア層との界面等に沿って銅等が局部的に過剰にエッチングされてしまうことを防止することができる。しかも、触媒付与に際して、例えば銅等の配線材料との錯体を形成し、その錯体を配線表面や銅の結晶粒界、配線とバリア層との間等の隙間に付着させることで、この錯体に保護膜の役割を果たさせることができる。これによって、銅等からなる配線の内部にボイドが発生することを防止して、配線抵抗の上昇を抑えることができる。
【0016】
また、金属触媒イオンの他に、カルボキシル基を有する有機酸(キレート剤)と界面活性剤を含有することで、処理液(触媒処理液)の性状を安定させて、処理液の循環させた使用が可能となる。つまり、前述のように、例えばキレート剤で安定なPd錯体を形成し、しかも、界面活性剤でPd錯体間の表面張力を小さく抑えて、Pd錯体が互い合体する確率を低くして、Pd錯体が互いに合体し微粒子になって沈殿したり、絶縁膜等に付着したりすることを抑えることができる。更に、界面活性剤で処理液の表面張力を減らし、例えばPd錯体が配線表面に接近するチャンスを増やして、銅からなる配線表面にPdを有効に置換させることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記下地金属は、基板の表面に設けた凹部内に埋込んだ配線材料の表面をCMPで平坦化して形成した埋込み配線であることを特徴とする請求項1記載の基板処理方法である。
これにより、埋込み配線の露出表面に、配線抵抗の上昇を抑えつつ、金属膜(配線保護膜)を選択的に形成して該配線を保護することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、前記金属触媒イオンはパラジウムイオンで、金属触媒イオンを含む溶液は、パラジウム塩を無機酸または有機酸の水溶液に溶かしたものであることを特徴とする請求項1または2記載の基板処理方法である。
金属触媒イオンとしては、Snイオン、Agイオン、Ptイオン等、様々な物質があるが、反応速度、その他制御のし易さ等から、Pdイオンを使用することが好ましい。
【0019】
触媒を付与する方式としては、例えば(1)処理槽内に保持した処理液中に基板を浸漬させる、(2)基板を回転させながら、スプレーノズルから加圧した処理液を基板に向けて噴射する、(3)表面(被処理面)を上向きして保持した基板を回転させながら、ノズルから処理液を基板に向けて噴射する、(4)例えば、基板上方に配置したノズルから処理液を供給したり、ロール内部から処理液を染み出させたりして、処理液で濡らした基板を回転させながら、多孔質材からなるロールを基板表面に接触させる、(5)処理槽内に流動させながら保持した処理液中に基板を浸漬させる等、任意の方式が採用される。
【0020】
請求項4に記載の発明は、前記カルボキシル基を有する有機酸は、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、マロン酸、フマル酸またはフタル酸、またはこれらの有機塩であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基板処理方法である。
【0021】
請求項5に記載の発明は、前記洗浄液は、カルボキシル基以外の基を有する第2キレート剤を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の基板処理方法である。
【0022】
請求項6に記載の発明は、前記第2キレート剤は、アミノポリカルボン酸類、ホスホン酸類、縮合リン酸類、ジケトン類、アミン類、ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、チオ硫酸イオン及びアンモニウムイオンの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項5記載の基板処理方法である。
【0023】
請求項7に記載の発明は、前記第2キレート剤は、ポリアミノカルボン酸類またはメチレンホスホン酸類、またはそれらのアンモニウム塩であることを特徴とする請求項5記載の基板処理方法である。
ポリアミノカルボン酸類としては、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)またはN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−トリ酢酸(EDTA−OH)、またはこれらを含む化合物が挙げられる。
メチレンホスホン酸類としては、エチレンジアミンテトラキスまたはこれらを含む化合物が挙げられる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、前記界面活性剤は、イオン性長鎖アルキルエステル系の界面活性剤からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の基板処理方法である。
その他の界面活性剤としては、硫酸エステル、例えばC9H19PhO(CH2CH2O)4SO3H、C12H25O(CH2CH2O)2SO3H、C12H25O(CH2CH2O)4SO3Hまたはこれらのアンモニウム塩、硫酸エステル第一、第二、もしくは第三アミン塩、例えばC8H17N(CH3)3Br、C12H25N(CH3)2Brが挙げられる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、金属触媒イオンを含む溶液に、カルボキシル基を有する有機酸及び界面活性剤を添加したことを特徴とする触媒処理液である。
請求項10に記載の発明は、前記金属触媒イオンはパラジウムイオンで、金属触媒イオンを含む溶液は、パラジウム塩を無機酸または有機酸の水溶液に溶かしたものであることを特徴とする請求項9記載の触媒処理液である。
【0026】
請求項11に記載の発明は、前記カルボキシル基を有する有機酸は、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、マロン酸、フマル酸またはフタル酸、またはこれらの有機塩であることを特徴とする請求項9または10記載の触媒処理液である。
請求項12に記載の発明は、カルボキシル基以外の基を有する第2キレート剤を更に有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の触媒処理液である。
【0027】
請求項13に記載の発明は、前記第2キレート剤は、アミノポリカルボン酸類、ホスホン酸類、縮合リン酸類、ジケトン類、アミン類、ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、チオ硫酸イオン及びアンモニウムイオンの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項12記載の触媒処理液である。
請求項14に記載の発明は、前記第2キレート剤は、ポリアミノカルボン酸類またはメチレンホスホン酸類、またはそれらのアンモニウム塩であることを特徴とする請求項12記載の触媒処理液である。
【0028】
請求項15に記載の発明は、前記界面活性剤は、イオン性長鎖アルキルエステル系の界面活性剤からなることを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載の触媒処理液である。
請求項16に記載の発明は、酸性であることを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の触媒処理液である。
【0029】
請求項17に記載の発明は、下地金属を形成した基板の表面を、カルボキシル基を有する有機酸の水溶液に界面活性剤を添加した洗浄液で洗浄する洗浄ユニットと、洗浄後の基板の表面を、金属触媒イオンを含む溶液に前記洗浄液を混合した処理液に接触させて基板の表面に触媒を付与する触媒付与ユニットと、洗浄後の基板の表面に金属膜を形成する無電解めっきユニットと、めっき処理後基板を洗浄および乾燥するユニットを有することを特徴とする基板処理装置である。
【0030】
請求項18に記載の発明は、基板の表面に設けた凹部内に埋込んだ配線材料の表面を研磨し平坦化するCMPユニットを更に有することを特徴とする請求項17記載の基板処理装置である。
このように、CMPユニット、触媒付与ユニット及びと無電解めっきユニットを同一の装置フレーム内に設置することで、各プロセスステップ間での配線等を形成する金属膜の膜質の管理を容易に行って、綜合的にスループットを向上させ、しかもフットプリントをより小さく抑えることができる。
【0031】
請求項19に記載の発明は、前記洗浄ユニット及び触媒付与ユニットを一つのユニットに統合したことを特徴とする請求項17または18記載の基板処理装置である。
洗浄ユニットで洗浄に使用する洗浄液を、触媒付与ユニットで触媒付与に使用する処理液の一つの主成分とすることで、クロスコンタミネーションの懸念を生じさせることなく、洗浄ユニットと触媒付与ユニットを一つのユニットに統合することができる。この統合したユニットを、例えばCMPユニットと無電解めっきユニットを内部に設置した装置フレーム内に設置することで、CMP後の後処理(洗浄)を行う後処理ユニット(洗浄ユニット)を省くことができる。また、この統合したユニットを、例えばCMP装置内に設置することで、無電解めっき装置内にめっき工程以後のユニットのみを設置するようにすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、例えば特に脆弱な結晶粒界や配線とバリア層の界面等に沿って銅等が局部的に過剰にエッチングされてしまうことを防止して、配線(下地金属)の露出表面に金属膜(配線保護膜)を無電解めっきで確実に形成することができる。これによって、例えば、埋込み配線構造を有する半導体装置の配線の表面を、配線の信頼性の低下や配線の抵抗の増加を招くことなく、配線保護膜で選択的に覆って保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の例では、図1に示すように、金属下地としての配線8の露出表面を、CoWP合金からなる配線保護膜(蓋材)9で選択的に覆って、配線(金属下地)8を配線保護膜(合金膜)9で保護するようにした例を示す。なお、例えば銅や銀の表面に、Co合金膜やNi合金膜等の金属膜(めっき膜)を成膜して、銅や銀等の表面を金属膜で被覆するようにした例に適用してもよいことは勿論である。
【0034】
図2は、本発明の実施の形態における基板処理装置の平面配置図を示す。図2に示すように、この基板処理装置には、図1(c)の状態にあたる、表面に銅等からなる配線(下地金属)8を形成した半導体装置等の基板Wを収容した基板カセットを載置収容するロード・アンロードユニット10が備えられている。そして、排気系統を備えた矩形状の装置フレーム12の内部に、基板Wの表面を洗浄(CMP後洗浄またはめっき前洗浄)する洗浄ユニットと、洗浄後の基板表面に、例えばPd等の触媒を付与する触媒付与ユニットとを一つのユニットに統合した2基の統合ユニット(洗浄兼触媒付与ユニット)14が配置されている。
【0035】
装置フレーム12の内部には、基板Wの表面(被処理面)に無電解めっきを行う2基の無電解めっきユニット16、無電解めっき処理によって配線8の表面に形成された配線保護膜(合金膜)9(図1(d)参照)の選択性を向上させるため、基板Wのめっき後処理を行うめっき後処理ユニット18、後処理後の基板Wを乾燥させる乾燥ユニット20及び仮置台22が配置されている。更に、装置フレーム12の内部には、ロード・アンロードユニット10に搭載された基板カセットと仮置台22との間で基板Wの受渡し行う第1基板搬送ロボット24と、仮置台22と各ユニット14,16,18,20との間で基板の受渡しを行う第2基板搬送ロボット26が、それぞれ走行自在に配置されている。
【0036】
次に、この基板処理装置による一連の基板処理(無電解めっき処理)について、図3を参照して説明する。
先ず、図1(c)に示す、表面に配線8を形成し乾燥させた基板Wを、該基板Wの表面を上向き(フェースアップ)で収納してロード・アンロードユニット10に搭載した基板カセットから、1枚の基板Wを第1基板搬送ロボット24で取出し、仮置台22に搬送してこの上に置く。そして、仮置台22上の基板Wを第2基板搬送ロボット26で統合ユニット14に搬送する。この統合ユニット14では、基板Wをフェースダウンで保持して、この表面に、先ず、基板のめっき前処理としての洗浄液(薬品)による洗浄処理を行う。
【0037】
この洗浄液として、カルボキシル基を有する有機酸(第1キレート剤)の水溶液に、界面活性剤と、必要に応じてカルボキシル基以外の基を有する第2キレート剤を添加したものを使用する。
このカルボキシル基を有する有機酸(第1キレート剤)としては、例えばクエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、マロン酸、フマル酸またはフタル酸、またはこれらの有機塩が挙げられる。
【0038】
第2キレート剤としては、例えばアミノポリカルボン酸類、ホスホン酸類、縮合リン酸類、ジケトン類、アミン類、ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、チオ硫酸イオンまたはアンモニウムイオンが挙げられる。
この第2キレート剤は、ポリアミノカルボン酸類またはメチレンホスホン酸類、またはそれらのアンモニウム塩であってもよい。ポリアミノカルボン酸類としては、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)またはN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−トリ酢酸(EDTA−OH)、またはこれらを含む化合物が挙げられる。メチレンホスホン酸類としては、エチレンジアミンテトラキスまたはこれらを含む化合物が挙げられる。
【0039】
界面活性剤は、イオン性長鎖アルキルエステル系の界面活性剤からなることが好ましい。その他の界面活性剤としては、硫酸エステル、例えばC9H19PhO(CH2CH2O)4SO3H、C12H25O(CH2CH2O)2SO3H、C12H25O(CH2CH2O)4SO3Hまたはこれらのアンモニウム塩、硫酸エステル第一、第二、もしくは第三アミン塩、例えばC8H17N(CH3)3Br、C12H25N(CH3)2Brが挙げられる。
【0040】
この洗浄液を、例えば1分間、基板Wの表面に向けて噴射し、配線8上の酸化物等をエッチング除去して配線8の表面を活性化させ、同時に基板Wの表面に残ったCMP残渣を除去し、しかる後、基板Wの表面に残った洗浄液を、必要に応じて純水等のリンス液でリンス(洗浄)する。
【0041】
次に、統合ユニット14で基板Wをフェースダウンで保持したまま、この表面にPd等の触媒を付与する触媒付与処理を連続して行う。つまり、金属触媒イオンを含む溶液、例えば、触媒金属供給源としてのPdSOを、HSO等の無機酸の水溶液に溶かした溶液に、前述の洗浄に使用した洗浄液を混合して調整した処理液(触媒処理液)を、例えば1分間、基板Wの表面に向けて噴射し、これにより、配線8の表面に触媒としてのPdを付与する。つまり配線8の表面に触媒核(シード)としてのPd核を形成して、配線8の表面配線の露出表面を活性化させる。しかる後、基板Wの表面に残った処理液を純水等のリンス液でリンス(洗浄)する。
【0042】
このように、基板に触媒を付与する処理液として、金属触媒イオンの他に、カルボキシル基を有する有機酸(第1キレート剤)、界面活性剤及び必要に応じてカルボキシル基以外の基を有する第2キレート剤を添加した洗浄液を混合したものを使用することで、例えばPdイオンに比べてサイズが大きく、例えば図1(c)に示す、配線8を形成する銅の結晶粒界や配線8とバリア層5との間等の隙間に入りにくいPd錯体を形成することができる。これによって、特に脆弱な配線8を形成する銅の結晶粒界や配線8とバリア層5との界面に沿って銅等が局部的に過剰にエッチングされてしまうことを防止することができる。しかも、触媒付与に際して、例えば銅等の配線材料との錯体(銅錯体)を形成し、その錯体を配線8の表面や銅の結晶粒界、配線8とバリア層5との間等の隙間に付着させることで、この銅錯体に保護膜の役割を果たさせることができる。これによって、銅等からなる配線8の内部にボイドが発生することを防止して、配線抵抗の上昇を抑えることができる。
【0043】
また、処理液(触媒処理液)の性状を安定させて、処理液の循環させた使用が可能となる。つまり、前述のように、例えばキレート剤で安定なPd錯体を形成し、しかも、界面活性剤でPd錯体間の表面張力を小さく抑えて、Pd錯体が互い合体する確率を低くして、Pd錯体が互いに合体し微粒子になって沈殿したり、絶縁膜等に付着したりすることを抑えることができる。更に、界面活性剤で処理液の表面張力を減らし、例えばPd錯体が配線8の表面に接近するチャンスを増やして、銅からなる配線8の表面にPdを有効に置換させることができる。
【0044】
触媒金属イオンとしては、この例におけるPdイオンの他に、Snイオン、Agイオン、Ptイオン、Auイオン、Cuイオン、CoイオンまたはNiイオン等が使用される。反応速度、その他制御のし易さなどの点からPdイオンを使うことが特に好ましい。また、金属触媒イオンを溶かす水溶液としては、この例におけるHSOの他に、HCl、HNOまたはHF等の無機酸や、カルボン酸やアルカンスルホン酸等の有機酸が使用される。
【0045】
そして、この触媒を付与した基板Wの表面を純水などのリンス液でリンス(洗浄)した後、基板Wを第2基板搬送ロボット26で無電解めっきユニット16に搬送し、ここでこの表面に無電解めっき処理を施す。つまり、例えば、液温が80℃のCoWPめっき液に基板Wの表面を、例えば120秒程度接液させて、触媒としてのPdを担持させた配線8の表面に選択的な無電解めっき(無電解CoWP蓋めっき)を施して、配線保護膜(蓋材)9を選択的に形成する。このめっき液の組成は、例えば以下の通りである。
【0046】
・CoSO・7HO:23g/L
・Na・2HO:145g/L
・(NHSO:31g/L
・NaHPO・HO:18g/L
・NaWO・2HO:10g/L
・pH:8.8(NaOH水溶液で調整)
【0047】
そして、基板Wをめっき液から引き上げた後、pHが6〜7.5の中性液からなる停止液を基板Wの表面に接触させて、無電解めっき処理を停止させる。これにより、基板Wをめっき液から引き上げた直後にめっき反応を迅速に停止させて、めっき膜にめっきむらが発生することを防止する。この処理時間は、例えば1〜5秒であることが好ましく、この停止液としては、純水、水素ガス溶解水、または電解カソード水が挙げられる。
【0048】
しかる後、基板の表面に残っためっき液を純水等のリンス液でリンス(洗浄)する。これによって、配線8の表面に、CoWP合金膜からなる配線保護膜9を選択的に形成して配線8を保護する。
【0049】
次に、この無電解めっき処理後の基板Wを第2基板搬送ロボット26でめっき後処理ユニット18に搬送し、ここで、基板Wの表面に形成された配線保護膜(金属膜)9の選択性を向上させて歩留りを高めるためのめっき後処理(後洗浄)を施す。つまり、基板Wの表面に、例えばロールスクラブ洗浄やペンシル洗浄による物理的な力を加えつつ、めっき後処理液(薬液)を基板Wの表面に供給し、これにより、層間絶縁膜2上に残っている金属微粒子等のめっき残留物を完全に除去して、めっきの選択性を向上させる。
【0050】
そして、このめっき後処理後の基板Wを第2基板搬送ロボット26で乾燥ユニット20に搬送し、ここで必要に応じてリンス処理を行い、しかる後、基板Wを高速で回転させてスピン乾燥させる。
このスピン乾燥後の基板Wを、第2基板搬送ロボット26で仮置台22の上に置き、この仮置台22の上に置かれた基板を、第1基板搬送ロボット24でロード・アンロードユニット10に搭載された基板カセットに戻す。
【0051】
なお、上記の例では、配線材料として銅(Cu)を使用し、この銅からなる配線8の表面に、CoWP合金膜からなる配線保護膜9を選択的形成した例を示しているが、配線材料として、Cu合金、AgまたはAg合金を使用してもよく、また配線保護膜9として、CoWB、CoP、CoB、Co合金、NiWP、NiWB、NiP、NiBまたはNi合金からなる膜を使用してもよい。
【0052】
次に、図2に示す基板処理装置に備えられている各種ユニットの詳細を以下に説明する。
統合ユニット(洗浄兼触媒付与ユニット)14は、異なる液体の混合を防ぐ2液分離方式を採用したもので、フェースダウンで搬送された基板Wの処理面(表面)である下面の周縁部をシールし、裏面側を押圧して基板Wを固定するようにしている。
【0053】
この統合ユニット14は、図4乃至図7に示すように、フレーム50の上部に取付けた固定枠52と、この固定枠52に対して相対的に上下動する移動枠54を備えており、この移動枠54に、下方に開口した有底円筒状のハウジング部56と基板ホルダ58とを有する処理ヘッド60が懸架支持されている。つまり、移動枠54には、ヘッド回転用サーボモータ62が取付けられ、このサーボモータ62の下方に延びる出力軸(中空軸)64の下端に処理ヘッド60のハウジング部56が連結されている。
【0054】
この出力軸64の内部には、図7に示すように、スプライン66を介して該出力軸64と一体に回転する鉛直軸68が挿着され、この鉛直軸68の下端に、ボールジョイント70を介して処理ヘッド60の基板ホルダ58が連結されている。この基板ホルダ58は、ハウジング部56の内部に位置している。また鉛直軸68の上端は、軸受72及びブラケットを介して、移動枠54に固定した固定リング昇降用シリンダ74に連結されている。これにより、この昇降用シリンダ74の作動に伴って、鉛直軸68が出力軸64とは独立に上下動するようになっている。
【0055】
また、固定枠52には、上下方向に延びて移動枠54の昇降の案内となるリニアガイド76が取付けられ、ヘッド昇降用シリンダ(図示せず)の作動に伴って、移動枠54がリニアガイド76を案内として昇降するようになっている。
【0056】
処理ヘッド60のハウジング部56の周壁には、この内部に基板Wを挿入する基板挿入窓56aが設けられている。また、処理ヘッド60のハウジング部56の下部には、図80及び図9に示すように、例えばPEEK製のメインフレーム80と、ガイドフレーム82との間に周縁部を挟持されてシールリング84aが配置されている。このシールリング84aは、基板Wの下面の周縁部に当接し、ここをシールするためのものである。
【0057】
一方、基板ホルダ58の下面周縁部には、基板固定リング86が固着され、この基板ホルダ58の基板固定リング86の内部に配置したスプリング88の弾性力を介して、円柱状のプッシャ90が基板固定リング86の下面から下方に突出するようになっている。更に、基板ホルダ58の上面とハウジング部56の上壁部との間には、内部を気密的にシールする、例えばテフロン(登録商標)製で屈曲自在な円筒状の蛇腹板92が配置されている。
【0058】
これにより、基板ホルダ58を上昇させた状態で、基板Wを基板挿入窓56aからハウジング部56の内部に挿入する。すると、この基板Wは、ガイドフレーム82の内周面に設けたテーパ面82aに案内され、位置決めされてシールリング84aの上面の所定の位置に載置される。この状態で、基板ホルダ58を下降させ、この基板固定リング86のプッシャ90を基板Wの上面に接触させる。そして、基板ホルダ58を更に下降させることで、基板Wをスプリング88の弾性力で下方に押圧し、これによって基板Wの表面(下面)の周縁部にシールリング84aで圧接させて、ここをシールしつつ、基板Wをハウジング部56と基板ホルダ58との間で挟持して保持するようになっている。
【0059】
なお、このように、基板Wを基板ホルダ58で保持した状態で、ヘッド回転用サーボモータ62を駆動すると、この出力軸64と該出力軸64の内部に挿着した鉛直軸68がスプライン66を介して一体に回転し、これによって、ハウジング部56と基板ホルダ58も一体に回転する。
【0060】
処理ヘッド60の下方に位置して、該処理ヘッド60の外径よりもやや大きい内径を有する上方に開口した、外槽100aと内槽100bを有する処理槽100が備えられている。処理槽100の外周部には、蓋体102に取付けた一対の脚部104が回転自在に支承されている。更に、脚部104には、クランク106が一体に連結され、このクランク106の自由端は、蓋体移動用シリンダ108のロッド110に回転自在に連結されている。これにより、蓋体移動用シリンダ108の作動に伴って、蓋体102は、処理槽100の上端開口部を覆う処理位置と、側方の待避位置との間を移動するように構成されている。この蓋体102の表面(上面)には、例えば純水を外方(上方)に向けて噴射する多数の噴射ノズル112aを有するノズル板112が備えられている。
【0061】
更に、図10に示すように、処理槽100の内槽100bの内部には、薬液タンク120から薬液ポンプ122の駆動に伴って供給された薬液、つまり洗浄液または処理液(触媒処理液)を上方に向けて噴射する複数の噴射ノズル124aを有するノズル板124が、該噴射ノズル124aが内槽100bの横断面の全面に亘ってより均等に分布した状態で配置されている。この内槽100bの底面には、薬液(排液)を外部に排出する排水管126が接続されている。この排水管126の途中には、三方弁128が介装され、この三方弁128の一つの出口ポートに接続された戻り管130を介して、必要に応じて、この薬液(排液)を薬液タンク120に戻して再利用できるようになっている。
【0062】
なお、図示では、一つの薬液タンク120のみが図示されているが、前述の洗浄液を保持する第1薬液タンクと前述の処理液(触媒処理液)を保持する第2薬液タンクの2つの薬液タンクが備えられ、この第1薬液タンクまたは第2薬液タンクの一方から、洗浄液または処理液が選択的に噴射ノズル124aに供給されて噴射されるようになっている。
更に、この例では、蓋体102の表面(上面)に設けられたノズル板112は、例えば純水等のリンス液を供給するリンス液供給源132に接続されている。また、外槽100aの底面にも、排水管127が接続されている。
【0063】
これにより、基板を保持した処理ヘッド60を下降させて、処理槽100の上端開口部を処理ヘッド60で塞ぐように覆い、この状態で、処理槽100の内槽100bの内部に配置したノズル板124の噴射ノズル124aから薬液、つまり前述の洗浄処理に際して洗浄液を、触媒付与処理に際しては処理液(触媒処理液)を、基板Wに向けて噴射することで、基板Wの下面(処理面)の全面に亘って薬液を均一に噴射し、しかも薬液の外部への飛散を防止しつつ薬液を排水管126から外部に排出できる。
【0064】
この例によれば、洗浄に使用する洗浄液を、触媒付与に使用する処理液の一つの主成分とすることで、一つの統合ユニット14で洗浄処理と触媒付与処理をクロスコンタミネーションの懸念を生じさせることなく、行うことができる。
【0065】
更に、処理ヘッド60を上昇させ、処理槽100の上端開口部を蓋体102で閉塞した状態で、処理ヘッド60で保持した基板Wに向けて、蓋体102の上面に配置したノズル板112の噴射ノズル112aからリンス液を噴射することで、基板表面に残った薬液のリンス処理(洗浄処理)を行い、しかもこのリンス液は外槽100aと内槽100bの間を通って、排水管127を介して排出されるので、内槽100bの内部に流入することが防止され、リンス液が薬液に混ざらないようになっている。
【0066】
この統合ユニット14によれば、図4に示すように、処理ヘッド60を上昇させた状態で、この内部に基板Wを挿入して保持し、しかる後、図5に示すように、処理ヘッド60を下降させて処理槽100の上端開口部を覆う位置に位置させる。そして、処理ヘッド60を回転させて、処理ヘッド60で保持した基板Wを回転させながら、処理槽100の内部に配置したノズル板124の噴射ノズル124aから薬液、すなわち洗浄液または処理液(触媒処理液)を基板Wに向けて噴射することで、基板Wの全面に亘って薬液を均一に噴射する。また、処理ヘッド60を上昇させて所定位置で停止させ、図6に示すように、待避位置にあった蓋体102を処理槽100の上端開口部を覆う位置まで移動させる。そして、この状態で、処理ヘッド60で保持して回転させた基板Wに向けて、蓋体102の上面に配置したノズル板112の噴射ノズル112aからリンス液を噴射する。これにより、基板Wの薬液による処理と、リンス液によるリンス処理とを、2つの液体が混ざらないようにしながら行うことができる。
【0067】
無電解めっきユニット16を図11乃至図15に示す。この無電解めっきユニット16は、めっき槽200(図15参照)と、このめっき槽200の上方に配置されて基板Wを着脱自在に保持する基板ヘッド204を有している。
【0068】
基板ヘッド204は、図11に詳細に示すように、ハウジング部230とヘッド部232とを有し、このヘッド部232は、吸着ヘッド234と該吸着ヘッド234の周囲を囲繞する基板受け236から主に構成されている。そして、ハウジング部230の内部には、基板回転用モータ238と基板受け駆動用シリンダ240が収納され、この基板回転用モータ238の出力軸(中空軸)242の上端はロータリジョイント244に、下端はヘッド部232の吸着ヘッド234にそれぞれ連結され、基板受け駆動用シリンダ240のロッドは、ヘッド部232の基板受け236に連結されている。更に、ハウジング部230の内部には、基板受け236の上昇を機械的に規制するストッパ246が設けられている。
【0069】
ここで、吸着ヘッド234と基板受け236との間には、同様なスプライン構造が採用され、基板受け駆動用シリンダ240の作動に伴って基板受け236は吸着ヘッド234と相対的に上下動するが、基板回転用モータ238の駆動によって出力軸242が回転すると、この出力軸242の回転に伴って、吸着ヘッド234と基板受け236が一体に回転するように構成されている。
【0070】
吸着ヘッド234の下面周縁部には、図12乃至図14に詳細に示すように、下面をシール面として基板Wを吸着保持する吸着リング250が押えリング251を介して取付けられ、この吸着リング250の下面に円周方向に連続させて設けた凹状部250aと吸着ヘッド234内を延びる真空ライン252とが吸着リング250に設けた連通孔250bを介して互いに連通するようになっている。これにより、凹状部250a内を真空引きすることで、基板Wを吸着保持するのであり、このように、小さな幅(径方向)で円周状に真空引きして基板Wを保持することで、真空による基板Wへの影響(たわみ等)を最小限に抑え、しかも吸着リング250をめっき液(処理液)中に浸すことで、基板Wの表面(下面)のみならず、エッジについても、全てめっき液に浸すことが可能となる。基板Wのリリースは、真空ライン252にNを供給して行う。
【0071】
一方、基板受け236は、下方に開口した有底円筒状に形成され、その周壁には、基板Wを内部に挿入する基板挿入窓236aが設けられ、下端には、内方に突出する円板状の爪部254が設けられている。更に、この爪部254の上部には、基板Wの案内となるテーパ面256aを内周面に有する突起片256が備えられている。
【0072】
これにより、図12に示すように、基板受け236を下降させた状態で、基板Wを基板挿入窓236aから基板受け236の内部に挿入する。すると、この基板Wは、突起片256のテーパ面256aに案内され、位置決めされて爪部254の上面の所定位置に載置保持される。この状態で、基板受け236を上昇させ、図13に示すように、この基板受け236の爪部254上に載置保持した基板Wの上面を吸着ヘッド234の吸着リング250に当接させる。次に、真空ライン252を通して吸着リング250の凹状部250aを真空引きすることで、基板Wの上面の周縁部を該吸着リング250の下面にシールしながら基板Wを吸着保持する。そして、めっき処理を行う際には、図14に示すように、基板受け236を数mm下降させ、基板Wを爪部254から離して、吸着リング250のみで吸着保持した状態となす。これにより、基板Wの表面(下面)の周縁部が、爪部254の存在によってめっきされなくなることを防止することができる。
【0073】
図15は、めっき槽200の詳細を示す。このめっき槽200は、底部において、めっき液供給管308(図17参照)に接続され、周壁部にめっき液回収溝260が設けられている。めっき槽200の内部には、ここを上方に向かって流れるめっき液の流れを安定させる2枚の整流板262,264が配置され、更に底部には、めっき槽200の内部に導入されるめっき液の液温を測定する温度測定器266が設置されている。また、めっき槽200の周壁外周面のめっき槽200で保持しためっき液の液面よりやや上方に位置して、直径方向のやや斜め上方に向けてめっき槽200の内部に、pHが6〜7.5の中性液からなる停止液、例えば純水を噴射する噴射ノズル268が設置されている。これにより、めっき終了後、ヘッド部232で保持した基板Wをめっき液の液面よりやや上方まで引き上げて一旦停止させ、この状態で、基板Wに向けて噴射ノズル268から純水(停止液)を噴射して基板Wを直ちに冷却し、これによって、基板Wに残っためっき液によってめっきが進行してしまうことを防止することができる。
【0074】
更に、めっき槽200の上端開口部には、アイドリング時等のめっき処理の行われていない時に、めっき槽200の上端開口部を閉じて該めっき槽200からのめっき液の無駄な蒸発を防止するめっき槽カバー270が開閉自在に設置されている。
【0075】
このめっき槽200は、図17に示すように、底部において、めっき液貯槽302から延び、途中にめっき液供給ポンプ304と三方弁306とを介装しためっき液供給管308に接続されている。これにより、めっき処理中にあっては、めっき槽200の内部に、この底部からめっき液を供給し、溢れるめっき液をめっき液回収溝260からめっき液貯槽302へ回収することで、めっき液が循環できるようになっている。また、三方弁306の一つの出口ポートには、めっき液貯槽302に戻るめっき液戻り管312が接続されている。これにより、めっき待機時にあっても、めっき液を循環させることができるようになっており、これによって、めっき液循環系が構成されている。このように、めっき液循環系を介して、めっき液貯槽302内のめっき液を常時循環させることにより、単純にめっき液を貯めておく場合に比べてめっき液の濃度の低下率を減少させ、基板Wの処理可能数を増大させることができる。
【0076】
めっき槽200の底部付近に設けられた温度測定器266は、めっき槽200の内部に導入されるめっき液の液温を測定して、この測定結果を元に、下記のヒータ316及び流量計318を制御する。
つまり、この例では、別置きのヒータ316を使用して昇温させ流量計318を通過させた水を熱媒体に使用し、熱交換器320をめっき液貯槽302内のめっき液中に設置して該めっき液を間接的に加熱する加熱装置322と、めっき液貯槽302内のめっき液を循環させて攪拌する攪拌ポンプ324が備えられている。これは、めっきにあっては、めっき液を高温(約80℃程度)にして使用することがあり、これと対応するためであり、この方法によれば、インライン・ヒーティング方式に比べ、非常にデリケートなめっき液に不要物等が混入するのを防止することができる。
【0077】
図16は、めっき槽200の側方に付設されている洗浄槽202の詳細を示す。この洗浄槽202の底部には、純水等のリンス液を上方に向けて噴射する複数の噴射ノズル280がノズル板282に取付けられて配置され、このノズル板282は、ノズル上下軸284の上端に連結されている。更に、このノズル上下軸284は、ノズル位置調整用ねじ287と該ねじ287と螺合するナット288との螺合位置を変えることで上下動し、これによって、噴射ノズル280と該噴射ノズル280の上方に配置される基板Wとの距離を最適に調整できるようになっている。
【0078】
更に、洗浄槽202の周壁外周面の噴射ノズル280より上方に位置して、直径方向のやや斜め下方に向けて洗浄槽202の内部に純水等の洗浄液を噴射して、基板ヘッド204のヘッド部232の、少なくともめっき液に接液する部分に洗浄液を吹き付けるヘッド洗浄ノズル286が設置されている。
【0079】
この洗浄槽202にあっては、基板ヘッド204のヘッド部232で保持した基板Wを洗浄槽202内の所定の位置に配置し、噴射ノズル280から純水等の洗浄液(リンス液)を噴射して基板Wを洗浄(リンス)するのであり、この時、ヘッド洗浄ノズル286から純水等の洗浄液を同時に噴射して、基板ヘッド204のヘッド部232の、少なくともめっき液に接液する部分を該洗浄液で洗浄することで、めっき液に浸された部分に析出物が蓄積してしまうことを防止することができる。
【0080】
この無電解めっきユニット16にあっては、基板ヘッド204を上昇させた位置で、前述のようにして、基板ヘッド204のヘッド部232で基板Wを吸着保持し、めっき槽200のめっき液を循環させておく。
そして、めっき処理を行うときには、めっき槽200のめっき槽カバー270を開き、基板ヘッド204を回転させながら下降させ、ヘッド部232で保持した基板Wをめっき槽200内のめっき液に浸漬させる。
【0081】
そして、基板Wを所定時間めっき液中に浸漬させた後、基板ヘッド204を上昇させて、基板Wをめっき槽200内のめっき液から引き上げ、必要に応じて、前述のように、基板Wに向けて噴射ノズル268から純水(停止液)を噴射して基板Wを直ちに冷却し、更に基板ヘッド204を上昇させて基板Wをめっき槽200の上方位置まで引き上げて、基板ヘッド204の回転を停止させる。
【0082】
次に、基板ヘッド204のヘッド部232で基板Wを吸着保持したまま、基板ヘッド204を洗浄槽202の直上方位置に移動させる。そして、基板ヘッド204を回転させながら洗浄槽202内の所定の位置まで下降させ、噴射ノズル280から純水等の洗浄液(リンス液)を噴射して基板Wを洗浄(リンス)し、同時に、ヘッド洗浄ノズル286から純水等の洗浄液を噴射して、基板ヘッド204のヘッド部232の、少なくともめっき液に接液する部分を該洗浄液で洗浄する。
【0083】
この基板Wの洗浄が終了した後、基板ヘッド204の回転を停止させ、基板ヘッド204を上昇させて基板Wを洗浄槽202の上方位置まで引き上げ、更に基板ヘッド204を第2基板搬送ロボット26との受渡し位置まで移動させ、この第2基板搬送ロボット26に基板Wを受渡して次工程に搬送する。
図18は、めっき後処理ユニット18を示す。めっき後処理ユニット18は、基板W上のパーティクルや不要物をロール状ブラシで強制的に取り除くようにしたユニットで、基板Wの外周部を挟み込んで基板Wを保持する複数のローラ410と、ローラ410で保持した基板Wの表面に処理液(2系統)を供給する薬液用ノズル412と、基板Wの裏面に純水(1系統)を供給する純水用ノズル(図示せず)がそれぞれ備えられている。
【0084】
これにより、基板Wをローラ410で保持し、ローラ駆動モータを駆動してローラ410を回転させて基板Wを回転させ、同時に薬液用ノズル412及び純水ノズルから基板Wの表裏面に所定の処理液を供給し、図示しない上下ロールスポンジ(ロール状ブラシ)で基板Wを上下から適度な圧力で挟み込んで洗浄するようになっている。なお、ロールスポンジを単独にて回転させることにより、洗浄効果を増大させることもできる。
【0085】
更に、めっき後処理ユニット18は、基板Wのエッジ(外周部)に当接しながら回転するスポンジ(PFR)419が備えられ、このスポンジ419を基板Wのエッジに当てて、ここをスクラブ洗浄するようになっている。
【0086】
図19は、乾燥ユニット20を示す。この乾燥ユニット20は、先ず化学洗浄及び純水洗浄を行い、しかる後、スピンドル回転により洗浄後の基板Wを完全乾燥させるようにしたユニットで、基板Wのエッジ部を把持するクランプ機構420を備えた基板ステージ422と、このクランプ機構420の開閉を行う基板着脱用昇降プレート424を有している。この基板ステージ422は、スピンドル回転用モータ426の駆動に伴って高速回転するスピンドル428の上端に連結されている。
【0087】
更に、クランプ機構420で把持した基板Wの上面側に位置して、超音波発振器により特殊ノズルを通過する際に超音波を伝達して洗浄効果を高めた純水を供給するメガジェットノズル430と、回転可能なペンシル型洗浄スポンジ432が、旋回アーム434の自由端側に取付けられて配置されている。これにより、基板Wをクランプ機構420で把持して回転させ、旋回アーム434を旋回させながら、メガジェットノズル430から純水を洗浄スポンジ432に向けて供給しつつ、基板Wの表面に洗浄スポンジ432を擦り付けることで、基板Wの表面を洗浄するようになっている。なお、基板Wの裏面側にも、純水を供給する洗浄ノズル(図示せず)が備えられ、この洗浄ノズルから噴射される純水で基板Wの裏面も同時に洗浄される。
そして、このようにして洗浄した基板Wは、スピンドル428を高速回転させることでスピン乾燥させられる。
【0088】
また、クランプ機構420で把持した基板Wの周囲を囲繞して処理液の飛散を防止する洗浄カップ436が備えられ、この洗浄カップ436は、洗浄カップ昇降用シリンダ438の作動に伴って昇降するようになっている。
なお、この乾燥ユニット20にキャビテーションを利用したキャビジェット機能も搭載するようにしてもよい。
【0089】
図20は、本発明の他の実施の形態の基板処理装置を示す。この基板処理装置の前述の図2に示す基板処理装置と異なる点は、2基の統合ユニット(洗浄兼触媒付与ユニット)14のうちの一方を第1CMPユニット30aに、2基の無電解めっきユニット16の一方を第2CMPユニット30bにそれぞれ置換ている。そして、ロード・アンロードユニット10に、図1(b)に示す、コンタクトホール3及び配線溝4内、絶縁膜2上に配線材料の銅層7を堆積させた基板Wを収容した基板カセットを載置収容するようにしている。その他の構成は、図2に示す例とほぼ同様である。
【0090】
次に、この基板処理装置による一連の基板処理(無電解めっき処理)について、図21を参照して説明する。
先ず、図1(b)に示す、表面に銅層7を形成し乾燥させた基板Wを、該基板Wの表面を上向き(フェースアップ)で収納してロード・アンロードユニット10に搭載した基板カセットから、1枚の基板Wを第1基板搬送ロボット24で取出し、仮置台22に搬送してこの上に置く。そして、仮置台22上の基板Wを第2基板搬送ロボット26で第1CMPユニット30aに搬送する。この第1CMPユニット30aでは、基板Wをフェースダウンで保持して、基板Wを回転させながら、回転中の研磨面に所定の押圧力で押圧し、同時に研磨面に研磨液を供給して、基板Wの表面の余剰な配線材料の銅層7を主に研磨除去する。つまり、図1(b)に示す、バリア層5の表面を露出させ、この時点で第1CMPユニット30aによる研磨を終了する。
【0091】
そして、必要に応じて、基板Wの表面を純水でリンス(洗浄)した後、基板Wを第2基板搬送ロボット26で第2CMPユニット30bに搬送する。この第2CMPユニット30bでは、前述の第1CMPユニット30aとほぼ同様にして、絶縁膜2上のバリア層5を主に研磨除去し、コンタクトホール3及び配線溝4内に充填させた銅層7の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図1(c)に示すように、絶縁膜2の内部にシード層6と銅層7からなる配線(銅配線)8を形成する。
【0092】
この配線8を形成した基板Wを、前述の図2に示す基板処理装置とほぼ同様に、第2基板搬送ロボット26で統合ユニット14に搬送し、この統合ユニット14で、基板Wをフェースダウンで保持して、この表面に、CMPの後処理(またはめっき前処理)としての洗浄を行う。つまり、基板Wの表面に、前述と同様な、カルボキシル基を有する有機酸(第1キレート剤)の水溶液に、界面活性剤と、必要に応じてカルボキシル基以外の基を有する第2キレート剤を添加した組成の洗浄液(薬品)による洗浄処理を行う。これによって、配線8上の酸化物等をエッチング除去して配線8の表面を活性化させ、同時に基板Wの表面に残ったCMP残渣を除去する。
その後の処理は、前述の図2に示す例とほぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0093】
この例によれば、統合ユニット14を、CMPユニット30a,30bと無電解めっきユニット16を内部に設置した装置フレーム12内に設置することで、CMP後の後処理(洗浄)を行う後処理ユニット(洗浄ユニット)を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】無電解めっきによって配線保護膜を形成した状態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における基板処理装置の平面配置図である。
【図3】図2に示す基板処理装置によって本発明の実施の形態の基板処理方法を行うプロセスフロー図である。
【図4】統合ユニットの基板受渡し時における正面図である。
【図5】統合ユニットの薬液処理時における正面図である。
【図6】統合ユニットのリンス時における正面図である。
【図7】統合ユニットの基板受渡し時における処理ヘッドを示す断面図である。
【図8】図7のA部拡大図である。
【図9】統合ユニットの基板固定時における図8相当図である。
【図10】統合ユニットの系統図である。
【図11】無電解めっきユニットの基板受渡し時における基板ヘッドを示す断面図である。
【図12】図11のB部拡大図である。
【図13】無電解めっきユニットの基板固定時における基板ヘッドを示す図12相当図である。
【図14】無電解めっきユニットのめっき処理時における基板ヘッドを示す図12相当図である。
【図15】無電解めっきユニットのめっき槽カバーを閉じた時のめっき槽を示す一部切断の正面図である。
【図16】無電解めっきユニットの洗浄槽を示す断面図である。
【図17】無電解めっきユニットの系統図である。
【図18】後処理ユニットを示す平面図である。
【図19】乾燥ユニットを示す縦断正面図である。
【図20】本発明の他の実施の形態における基板処理装置の平面配置図である。
【図21】図20に示す基板処理装置によって本発明の他の実施の形態の基板処理方法を行うプロセスフロー図である。
【符号の説明】
【0095】
8 配線
9 配線保護膜
10 ロード・アンロードユニット
12 装置フレーム
14 統合ユニット(洗浄兼触媒付与ユニット)
16 無電解めっきユニット
18 後処理ユニット
20 乾燥ユニット
22 仮置台
24,26 基板搬送ロボット
30a,30b CMPユニット
58 基板ホルダ
60 処理ヘッド
100 処理槽
200 めっき槽
202 洗浄槽
204 基板ヘッド
230 ハウジング部
232 ヘッド部
234 吸着ヘッド
420 クランプ機構
422 基板ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地金属を形成した基板の表面に無電解めっきにより金属膜を形成するに際し、
基板の表面を、カルボキシル基を有する有機酸またはその塩の水溶液に界面活性剤を添加した洗浄液で洗浄し、
洗浄後の基板の表面を、金属触媒イオンを含む溶液に前記洗浄液を混合した処理液に接触させて基板の表面に触媒を付与することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
前記下地金属は、基板の表面に設けた凹部内に埋込んだ配線材料の表面をCMPで平坦化して形成した埋込み配線であることを特徴とする請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記金属触媒イオンはパラジウムイオンで、金属触媒イオンを含む溶液は、パラジウム塩を無機酸または有機酸の水溶液に溶かしたものであることを特徴とする請求項1または2記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記カルボキシル基を有する有機酸は、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、マロン酸、フマル酸またはフタル酸、またはこれらの有機塩であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記洗浄液は、カルボキシル基以外の基を有する第2キレート剤を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記第2キレート剤は、アミノポリカルボン酸類、ホスホン酸類、縮合リン酸類、ジケトン類、アミン類、ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、チオ硫酸イオン及びアンモニウムイオンの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項5記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記第2キレート剤は、ポリアミノカルボン酸類またはメチレンホスホン酸類、またはそれらのアンモニウム塩であることを特徴とする請求項5記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記界面活性剤は、イオン性長鎖アルキルエステル系の界面活性剤からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項9】
金属触媒イオンを含む溶液に、カルボキシル基を有する有機酸及び界面活性剤を添加したことを特徴とする触媒処理液。
【請求項10】
前記金属触媒イオンはパラジウムイオンで、金属触媒イオンを含む溶液は、パラジウム塩を無機酸または有機酸の水溶液に溶かしたものであることを特徴とする請求項9記載の触媒処理液。
【請求項11】
前記カルボキシル基を有する有機酸は、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、マロン酸、フマル酸またはフタル酸、またはこれらの有機塩であることを特徴とする請求項9または10記載の触媒処理液。
【請求項12】
カルボキシル基以外の基を有する第2キレート剤を更に有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の触媒処理液。
【請求項13】
前記第2キレート剤は、アミノポリカルボン酸類、ホスホン酸類、縮合リン酸類、ジケトン類、アミン類、ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、チオ硫酸イオン及びアンモニウムイオンの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項12記載の触媒処理液。
【請求項14】
前記第2キレート剤は、ポリアミノカルボン酸類またはメチレンホスホン酸類、またはそれらのアンモニウム塩であることを特徴とする請求項12記載の触媒処理液。
【請求項15】
前記界面活性剤は、イオン性長鎖アルキルエステル系の界面活性剤からなることを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載の触媒処理液。
【請求項16】
酸性であることを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の触媒処理液。
【請求項17】
下地金属を形成した基板の表面を、カルボキシル基を有する有機酸の水溶液に界面活性剤を添加した洗浄液で洗浄する洗浄ユニットと、
洗浄後の基板の表面を、金属触媒イオンを含む溶液に前記洗浄液を混合した処理液に接触させて基板の表面に触媒を付与する触媒付与ユニットと、
洗浄後の基板の表面に金属膜を形成する無電解めっきユニットと、めっき処理後基板を洗浄および乾燥するユニットを有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項18】
基板の表面に設けた凹部内に埋込んだ配線材料の表面を研磨し平坦化するCMPユニットを更に有することを特徴とする請求項17記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記洗浄ユニット及び触媒付与ユニットを一つのユニットに統合したことを特徴とする請求項17または18記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−9130(P2006−9130A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192060(P2004−192060)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】