説明

基板処理装置の洗浄方法

【課題】例えばスピン式のウェットエッチング処理装置等の基板処理装置のチャンバ内を効率的に洗浄する。
【解決手段】基板処理装置の洗浄方法は、遮断板(30)を回転させながら、遮断板の上方に設けられた洗浄液供給手段(70)から洗浄液を遮断板に対して吐出させることにより、遮断板から飛散される洗浄液によってチャンバ(500)内を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスピン方式のウェットエッチング処理装置等の基板処理装置の洗浄方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板処理装置の一例として、チャンバ内で、例えば半導体基板、液晶パネル用基板等の被処理基板を回転させつつ、該被処理基板に薬液や純水を供給することでウェットエッチング処理や洗浄処理(即ちリンス処理)等を行うスピン方式(或いは枚葉式)のウェットエッチング処理装置が知られている(例えば特許文献1から3参照)。このような基板処理装置には、ウェットエッチング処理や洗浄処理が行われる際に被処理基板の回転によって飛散される薬液や純水を回収するために、被処理基板が載置されるステージ側に開口した環状の多段カップが設けられる場合がある(例えば特許文献3参照)。また、このような基板処理装置では、一般的に、洗浄処理が行われる際に被処理基板に対して供給される純水が被処理基板の基板面において跳ねて飛散するのを防止すること(即ち、リンス処理の際における液跳ねを防止すること)を主たる目的として、遮断板が設けられている。遮断板は、ステージの上方に設けられ、上下動及び回転可能に構成される。洗浄処理の際には、遮断板は、ステージ上の被処理基板を覆うようにステージに近接して配置されると共に、ステージの回転に応じて回転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−170804号公報
【特許文献2】特開平11−102884号公報
【特許文献3】特開2008−129378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような基板処理装置では、ウェットエッチング処理が行われる際に被処理基板の回転によって飛散された薬液が、チャンバの内側壁や多段カップに付着する。チャンバの内側壁や多段カップに付着した薬液が乾燥して結晶化すると、パーティクルとなってチャンバ内が汚染されてしまう。このため、チャンバ内を洗浄して、チャンバの内側壁や多段カップに付着した薬液を除去する必要がある。しかしながら、上述した基板処理装置には、一般的には、チャンバ内を洗浄する洗浄機能が搭載されていないので、チャンバ内の洗浄としては、例えばハンドシャワー或いは水拭きによる洗浄が行われる。このため、チャンバ内の洗浄を効率的に行うことが困難であるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、チャンバ内を効率的に洗浄することが可能な基板処理装置の洗浄方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る基板処理装置の洗浄方法は上記課題を解決するために、チャンバ内に、被処理基板が載置されると共に回転可能に構成されたステージと、該ステージの上方に設けられると共に上下動及び回転可能に構成された遮断板とを備え、前記ステージを回転させることにより前記被処理基板を回転させながら前記被処理基板に対して処理液を供給することにより前記被処理基板を処理する基板処理装置を洗浄する基板処理装置の洗浄方法であって、前記遮断板を回転させながら、前記遮断板の上方に設けられた洗浄液供給手段から洗浄液を前記遮断板に対して吐出させることにより、前記遮断板から飛散される洗浄液によって前記チャンバ内を洗浄する洗浄工程を含む。
【0007】
本発明では、基板処理装置は、例えばスピン方式(枚葉式)のウェットエッチング処理装置等であり、チャンバ内に、ステージと、該ステージの上方に設けられると共に上下動及び回転可能に構成された遮断板とを備える。基板処理装置は、その処理時には、ステージを回転させることにより被処理基板を回転させながら被処理基板に対して処理液(例えば薬液、純水等)を供給することにより被処理基板を処理(例えばウェットエッチング処理、リンス処理等)する。遮断板は、被処理基板に対して処理液として純水を供給するリンス処理が行われる際に、被処理基板に対して供給される純水が被処理基板の基板面において跳ねて飛散するのを防止すること(即ち、リンス処理の際における液跳ねを防止すること)を主たる目的として設けられている。尚、遮断板は、「遮蔽板」、「液跳ね防止板」、「飛散防止板」などと呼ぶこともできる。
【0008】
本発明では特に、洗浄工程において、遮断板を回転させながら、遮断板の上方に設けられた例えばノズル等の洗浄液供給手段から例えば純水等の洗浄液を遮断板に対して吐出させることにより、遮断板から飛散される洗浄液によってチャンバ内を洗浄する。即ち、洗浄工程では、回転している遮断板に対して上方から例えば純水等の洗浄水を供給するので、洗浄水を遮断板によって周囲に飛散させることができ、チャンバ内を洗浄することができる(即ち、例えばチャンバの内側壁や、チャンバ内に設けられた部材(例えば多段カップ)に付着した処理液(或いはこれが結晶化されたもの)を除去することができる)。このような本発明に係る洗浄方法によれば、例えば、一般的なスピン方式のウェットエッチング処理装置において、一般的に設けられる遮断板を用いて、チャンバ内を洗浄することができる。よって、チャンバ内の洗浄を自動化することも可能であり、仮に、チャンバ内を、例えばハンドシャワー或いは水拭きによって洗浄する場合と比較して、チャンバ内を洗浄するために要する人員や時間を節減することができる(即ち、チャンバ内の洗浄の効率化を図ることができる)。更に、チャンバ内の洗浄を自動化することで、容易に、比較的短い周期で定期的にチャンバ内を洗浄することが可能となるので、処理液として結晶化しやすい薬液を用いた場合にも、薬液が結晶化することによるパーティクルの発生を確実に抑制或いは防止できる。
【0009】
以上説明したように、本発明に係る基板処理装置の洗浄方法によれば、例えばスピン方式のウェットエッチング処理装置等の基板処理装置のチャンバ内を効率的に洗浄することができる。
【0010】
本発明に係る基板処理装置の洗浄方法の一態様では、前記洗浄工程は、前記遮断板から飛散される洗浄液によって、前記チャンバの内側壁を洗浄するチャンバ洗浄工程を含む。
【0011】
この態様によれば、例えば、遮断板を、チャンバの内側壁における洗浄すべき部分の位置に応じて上下動させて、チャンバの内側壁を洗浄する。即ち、回転している遮断板によって飛散される洗浄液が、チャンバの内側壁に付着した薬液(或いはこれが結晶化されたもの)に当たるように、遮断板の上下位置を調節することにより、チャンバの内側壁を洗浄する。よって、チャンバの内側壁に付着した薬液が結晶化し、パーティクルとなってチャンバ内が汚染されてしまうことを抑制或いは防止できる。
【0012】
本発明に係る基板処理装置の洗浄方法の他の態様では、前記基板処理装置は、前記チャンバ内に、前記ステージを囲むように環状に夫々形成された複数の環状部材が上下方向に処理液案内部を隔てて積み重なるように配置された構成を有する処理液回収カップを備えており、
前記洗浄工程は、前記遮断板から飛散される洗浄液によって、前記複数の環状部材を洗浄する処理液回収カップ洗浄工程を含む。
【0013】
この態様によれば、例えば、遮断板を、例えば多段カップ等の処理液回収カップの複数の環状部材のうち洗浄すべき一の環状部材の位置に応じて上下動させて、該一の環状部材を洗浄する。そして、このような洗浄を他の環状部材の全てについて繰り返す。即ち、回転している遮断板によって飛散される洗浄液が、処理液回収カップの環状部材に付着した薬液(或いはこれが結晶化されたもの)に当たるように、遮断板の上下位置を調節することにより、例えば多段カップ等の処理液回収カップの環状部材を洗浄する。よって、処理液回収カップの環状部材に付着した薬液が結晶化し、パーティクルとなってチャンバ内が汚染されてしまうことを抑制或いは防止できる。
【0014】
上述した洗浄工程が処理液回収カップ洗浄工程を含む態様では、前記処理液回収カップ洗浄工程は、前記遮断板を上下動させることにより、前記複数の環状部材を1つずつ順番に洗浄してもよい。
【0015】
この場合には、例えば多段カップ等の処理液回収カップの複数の環状部材の全てを確実に洗浄することができる。
【0016】
上述した洗浄工程が処理液回収カップ洗浄工程を含む態様では、前記処理液回収カップ洗浄工程は、前記遮断板から飛散される洗浄液によって、前記複数の環状部材を洗浄した後に、前記遮断板と前記ステージとの間隔が所定間隔となるように、前記遮断板を移動させると共に、前記遮断板及び前記ステージ間に、前記遮断板の中央及び前記ステージの中央の少なくとも一方から乾燥ガスを供給することにより、前記複数の環状部材を乾燥させる乾燥工程を含んでもよい。
【0017】
この場合には、処理液回収カップに洗浄液が残留してしまうのを乾燥工程によって低減或いは防止できる。よって、後に基板処理装置によって被処理基板が処理される際に、処理液回収カップに残留した洗浄液が、薬液に混入してしまう事態を回避することができる。
【0018】
上述した洗浄工程が処理液回収カップ洗浄工程を含む態様では、前記基板処理装置は、前記複数の処理液案内部の各々に対して1つずつ夫々設けられた処理液回収タンク及び廃液回収タンクと、前記複数の処理液案内部の各々に前記処理液回収タンク及び前記廃液回収タンクの一方を選択的に連通させる切替手段とを有し、前記洗浄工程は、前記処理液案内部と前記廃液回収タンクとが連通するように、前記切替手段を制御する。
【0019】
この場合には、洗浄液が処理液回収タンク内に進入してしまうことを防止できる。よって、洗浄液が、処理液回収カップによって回収された処理液回収タンク内の薬液等の処理液と混じってしまうことを防止できる。
【0020】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
【図2】第1実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法の流れを示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法を説明するための模式図である。
【図4】第2実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法の流れを示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法を説明するための模式図である。
【図6】第2実施形態における乾燥工程を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0023】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法について、図1から図3を参照して説明する。
【0024】
先ず、本実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法による洗浄の対象となる基板処理装置の構成について、図1を参照して説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。尚、図1においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0026】
図1において、本実施形態に係る基板処理装置1は、スピン方式(枚葉式)のウェットエッチング処理装置であり、例えば半導体基板、液晶パネル用基板等の被処理基板に対して、ウェットエッチング処理やリンス処理を行う。基板処理装置1は、被処理基板に対してウェットエッチング処理を行う際には、後述するステージ10を回転させることにより、ステージ10上に載置された被処理基板を回転させながら被処理基板に対して、後述するノズル20から薬液を供給する。基板処理装置1は、被処理基板に対してリンス処理を行う際には、後述するステージ10を回転させることにより、該ステージ10上に載置された被処理基板を回転させながら被処理基板に対して、後述するノズル60から純水を供給する。
【0027】
基板処理装置1は、チャンバ500内に、ステージ10と、ノズル20と、遮断板30と、ノズル50と、ノズル60と、多段カップ40と、ノズル70とを備えている。
【0028】
ステージ10は、被処理基板が載置される円板状のステージであり、鉛直軸を中心軸として回転可能に構成されている。ステージ10は、図示しないモーター等の回転駆動手段によって回転駆動される。
【0029】
ノズル20は、ステージ10上に載置される被処理基板に対して、例えばエッチング液(エッチャント)等として機能する薬液を供給するためのノズルである。薬液としては、例えば、フッ酸、希フッ酸、フッ酸と硝酸との混合液である混酸(フッ硝酸)、水酸化カリウムなどが挙げられる。ノズル20は、薬液を貯蔵する薬液貯蔵タンク等を含む薬液供給部21に接続されている。基板処理装置1によるウェットエッチング処理時には、薬液供給部21に貯蔵されていた薬液がノズル20からステージ10上に載置された被処理基板に対して供給される。ノズル20は、水平方向に移動可能に構成されている。
【0030】
遮断板30は、ステージ10の上方に、ステージ10に対向するように設けられた円板状部材である。遮断板30は、鉛直方向に上下動可能に且つ鉛直軸を中心軸として回転可能に構成されている。遮断板30は、リンス処理が行われる際に、被処理基板に対して後述するノズル60から供給される純水が被処理基板の基板面において跳ねて飛散するのを防止すること(即ち、リンス処理の際における液跳ねを防止すること)を主たる目的として設けられている。基板処理装置1によるリンス処理時には、遮断板30は、被処理基板に対して近接して配置されると共に、ステージ10の回転に応じて回転駆動される。
【0031】
ノズル60は、リンス処理が行われる際に、ステージ10上に載置される被処理基板に対して純水を供給するためのノズルである。ノズル60は、純水を貯蔵する純水貯蔵タンク等を含む純水供給部61に接続されている。基板処理装置1によるリンス処理時には、純水供給部61に貯蔵されていた純水がノズル60からステージ10上に載置された被処理基板に対して供給される。ノズル70の噴出口は、遮断板30の中央に、ステージ10に向かうように設けられている。
【0032】
ノズル50は、チャンバ500内に例えば窒素ガス等の乾燥ガスを供給するためのノズルである。ノズル50は、乾燥ガスを貯蔵する乾燥ガス貯蔵タンク等を含む乾燥ガス供給部51に接続されている。ノズル50の噴出口は、遮断板30の中央に、ステージ10に向かうように設けられている。
【0033】
多段カップ40は、本発明に係る「処理液回収カップ」の一例であり、基板処理装置1によるウェットエッチング処理やリンス処理が行われる際に被処理基板の回転によって飛散される薬液や純水を回収するための回収カップである。多段カップ40は、ステージ10を囲むように環状に夫々形成された複数の環状部材41(即ち、環状部材41a、41b、41c及び41d)が上下方向に、処理液案内部42(即ち、処理液案内部42a、42b及び42c)を隔てて積み重なるように配置された構成を有している。
【0034】
処理液案内部42aは、環状部材41a及び41b間に形成された空洞部であり、処理液案内部42bは、環状部材41b及び41c間に形成された空洞部であり、処理液案内部42cは、環状部材41c及び41d間に形成された空洞部である。処理液案内部42aは、薬液回収経路81aに連通されており、処理液案内部42bは、薬液回収経路81bに連通されており、処理液案内部42cは、薬液回収経路81cに連通されている。薬液回収経路81a、81b及び81cは、それぞれ、薬液回収タンク80a、80b及び80cに連通されている。基板処理装置1によるウェットエッチング処理時には、薬液回収経路81a、81b及び81cから導かれた薬液は、それぞれ、薬液回収タンク80a、80b及び80cに貯留される。
【0035】
薬液回収経路81aは、その途中に設けられた切替バルブ100aを介して廃液回収経路91aに接続されている。薬液回収経路81bは、その途中に設けられた切替バルブ100bを介して廃液回収経路91bに接続されている。薬液回収経路81cは、その途中に設けられた切替バルブ100cを介して廃液回収経路91cに接続されている。尚、切替バルブ100a、100b及び100cは、本発明に係る「切替手段」の一例である。
【0036】
切替バルブ100aは、処理液案内部42aに処理液回収タンク80a及び廃液回収タンク90aの一方を選択的に連通させるバルブであり、切替バルブ100bは、処理液案内部42bに処理液回収タンク80b及び廃液回収タンク90bの一方を選択的に連通させるバルブであり、切替バルブ100cは、処理液案内部42cに処理液回収タンク80c及び廃液回収タンク90cの一方を選択的に連通させるバルブである。
【0037】
多段カップ40は、チャンバ500内において、上下動可能に構成されている。具体的には、多段カップ40は、チャンバ500内に設けられた上下方向に移動可能な昇降手段であるサーボモーター等から構成される単軸駆動機構43の上下動ステージ44に固定されている。多段カップ40は、チャンバ500内において、単軸駆動機構43によって上下方向に駆動される。
【0038】
ノズル70は、本発明に係る「洗浄水供給手段」の一例であり、遮断板30の上方に設けられている。ノズル70は、本発明に係る「洗浄水」の一例としての純水を貯蔵する純水貯蔵タンク等を含む純水供給部71に接続されている。ノズル70は、遮断板30の上方から遮断板30の上側面に対して純水を吐出可能に構成されている。ノズル70は、水平方向に移動可能に構成されている。
【0039】
次に、上述のように構成された基板処理装置1を洗浄する、本実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法について、図2及び図3を参照して説明する。尚、本実施形態では、基板処理装置1のチャンバ500の内側壁を洗浄する場合を例として説明する。
【0040】
図2は、本実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法の流れを示すフローチャートである。図3は、本実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法を説明するための模式図である。
【0041】
図2において、先ず、遮断板30を回転させ始める(ステップS110)。
【0042】
次に、回転している遮断板30に対してノズル70から純水を吐出させる(ステップS120)。これにより、図3に示すように、遮断板30に対してノズル70から供給された純水を、回転している遮断板30によって周囲に飛散させることができる。ここで、ノズル70から遮断板30に供給される純水は、先ず、矢印P1で示すようにノズル70から遮断板30の上側面に向かい、遮断板30の回転によって矢印P2で示すように飛散されてチャンバ500の内側壁500aに向かう。よって、チャンバ500の内側壁500aに付着した薬液(或いはこれが結晶化されたもの)700を、回転している遮断板30によって飛散された純水によって除去することができる。即ち、チャンバ500の内側壁500aを、回転している遮断板30によって飛散された純水によって洗浄することができる。
【0043】
次に、遮断板30を上下動させる(ステップS130)。即ち、遮断板30を、チャンバ500の内側壁500aにおける洗浄すべき部分の位置に応じて上下動させる。これにより、回転している遮断板30によって飛散された純水によってチャンバ500の内側壁500aをより確実に洗浄することができる。
【0044】
このように、本実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法によれば、遮断板30を回転させながら、遮断板30の上方に設けられたノズル70から洗浄液としての純水を遮断板30に対して吐出させるので、遮断板30から飛散される純水によってチャンバ500内を洗浄することができる(即ち、チャンバ500の内側壁500aに付着した薬液700を除去することができる)。よって、チャンバ500内の洗浄を自動化することも可能であり、仮に、チャンバ500内を、例えばハンドシャワー或いは水拭きによって洗浄する場合と比較して、チャンバ500内を洗浄するために要する人員や時間を節減することができる(即ち、チャンバ500内の洗浄の効率化を図ることができる)。更に、チャンバ500内の洗浄を自動化することで、容易に、比較的短い周期で定期的にチャンバ500内を洗浄することが可能となるので、ノズル20から供給する薬液として結晶化しやすい薬液を用いた場合にも、薬液が結晶化することによるパーティクルの発生を確実に抑制できる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法によれば、基板処理装置1のチャンバ500内を効率的に洗浄することができる。
【0046】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法について、図4から図6を参照して説明する。尚、本実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法による洗浄の対象となる基板処理装置は、上述した第1実施形態と同様に、基板処理装置1である。尚、本実施形態では、基板処理装置1の多段カップ40を洗浄する場合を例として説明する。
【0047】
図4は、第2実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法の流れを示すフローチャートである。図5は、第2実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法を説明するための模式図である。図6は、第2実施形態における乾燥工程を説明するための模式図である。
【0048】
図5及び図4において、先ず、切替バルブ100a、100b及び100cを、それぞれ廃液側に切り替える(ステップS210)。即ち、切替バルブ100aによって処理液案内部42aに廃液回収タンク90aを連通させ、切替バルブ100bによって処理液案内部42bに廃液回収タンク90bを連通させ、切替バルブ100cによって処理液案内部42cに廃液回収タンク90cを連通させる。つまり、多段カップ40の洗浄時には、処理液案内部42aに連通される回収タンクを、薬液回収タンク80aから廃液回収タンク90aへ切替バルブ100aによって切り替え、処理液案内部42bに連通される回収タンクを、薬液回収タンク80bから廃液回収タンク90bへ切替バルブ100bによって切り替え、処理液案内部42cに連通される回収タンクを、薬液回収タンク80cから廃液回収タンク90cへ切替バルブ100cによって切り替える。これにより、多段カップ40の洗浄時に、洗浄液としての純水が薬液回収タンク90a、90b及び90c内の進入してしまうことを防止できる。よって、洗浄液としての純水が、薬液回収タンク90a、90b及び90c内の薬液と混じってしまうことを防止できる。
【0049】
次に、多段カップ40と遮断板30との位置合わせを行う(ステップS220)。即ち、多段カップ40及び遮断板30を上下動させて、図5に示すように、多段カップ40の複数の環状部材41a、41b、41c及び41dのうちの一の環状部材(本実施形態では、一番上方側に位置する環状部材41aとする。)と、遮断板30との高さを揃える。
【0050】
次に、遮断板30を回転させ始める(ステップS230)。
【0051】
次に、回転している遮断板30に対してノズル70から純水を吐出させる(ステップS240)。これにより、図5に示すように、遮断板30に対してノズル70から供給された純水を、回転している遮断板30によって周囲に飛散させることができる。ここで、ノズル70から遮断板30に供給される純水は、先ず、矢印P3で示すようにノズル70から遮断板30の上側面に向かい、遮断板30の回転によって矢印P4で示すように飛散されて多段カップ40の環状部材41aに向かう。よって、多段カップ40の環状部材41aに付着した薬液(或いはこれが結晶化されたもの)710及び720を、回転している遮断板30によって飛散された純水によって除去することができる。即ち、多段カップ40の環状部材41aを、回転している遮断板30によって飛散された純水によって洗浄することができる。尚、薬液710は、環状部材41aにおける遮断板30に対向する端面に付着した薬液であり、薬液720は、環状部材41aにおける端面とは異なる面(例えば、環状部材41aにおける環状部材41bに対向する面)に付着した薬液である。
【0052】
次に、遮断板30を上下に揺動させる(ステップS250)。即ち、回転している遮断板30を、上下方向に所定の振幅(例えば、隣り合う環状部材41間の間隔程度の振幅)でゆり動かす。これにより、回転している遮断板30によって飛散された純水を、環状部材41aの端面に加えて、環状部材41aにおける端面とは異なる面に当てることができる。よって、環状部材41aの端面に付着した薬液710に加えて、環状部材41aにおける端面とは異なる面に付着した薬液720を、回転している遮断板30によって飛散された純水によってより確実に除去することができる。
【0053】
次に、全ての環状部材41の洗浄が終了したか否かを判定する(ステップS260)。全ての環状部材41の洗浄が終了していない場合には(ステップS260:No)、洗浄が終了してない環状部材41の洗浄を行うために、再び多段カップ40と遮断板30との位置合わせを行う(ステップS220)。この際、多段カップ40及び遮断板30を上下動させて、多段カップ40の複数の環状部材41a、41b、41c及び41dのうち洗浄が終了していない環状部材(本実施形態では、例えば環状部材41b)と、遮断板30との高さを揃える。
【0054】
つまり、ステップS220からステップS260を、環状部材41a、41b、41c及び41dに対して所定の順番で行う。これにより多段カップ40全体を洗浄することができる。
【0055】
一方、全ての環状部材41の洗浄が終了した場合には(ステップS260:Yes)、乾燥工程を行う(ステップS270)。即ち、図6に示すように、遮断板30とステージ10との間隔が所定間隔となるように、遮断板30を移動させると共に、遮断板30及びステージ10間に、ノズル50から乾燥ガスを供給することにより、環状部材41を乾燥させる。よって、多段カップ40の環状部材41に純水が残留してしまうのを乾燥工程によって低減或いは防止できる。よって、後に基板処理装置1によって被処理基板が処理される際に、多段カップ40に残留した純水が、処理液回収タンク90内の薬液に混入してしまう事態を回避することができる。
【0056】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う基板処理装置の洗浄方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1…基板処理装置、10…ステージ、20…ノズル、30…遮断板、40…多段カップ、41a、41b、41c、41d…環状部材、42a、42b、42c…処理液案内部、50、60、70…ノズル、500…チャンバ、80a、80b、80c…処理液回収タンク、90a、90b、90c…廃液回収タンク、100a、100b、100c…切替バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内に、被処理基板が載置されると共に回転可能に構成されたステージと、該ステージの上方に設けられると共に上下動及び回転可能に構成された遮断板とを備え、前記ステージを回転させることにより前記被処理基板を回転させながら前記被処理基板に対して処理液を供給することにより前記被処理基板を処理する基板処理装置を洗浄する基板処理装置の洗浄方法であって、
前記遮断板を回転させながら、前記遮断板の上方に設けられた洗浄液供給手段から洗浄液を前記遮断板に対して吐出させることにより、前記遮断板から飛散される洗浄液によって前記チャンバ内を洗浄する洗浄工程を含む
ことを特徴とする基板処理装置の洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄工程は、前記遮断板から飛散される洗浄液によって、前記チャンバの内側壁を洗浄するチャンバ洗浄工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置の洗浄方法。
【請求項3】
前記基板処理装置は、前記チャンバ内に、前記ステージを囲むように環状に夫々形成された複数の環状部材が上下方向に処理液案内部を隔てて積み重なるように配置された構成を有する処理液回収カップを備えており、
前記洗浄工程は、前記遮断板から飛散される洗浄液によって、前記複数の環状部材を洗浄する処理液回収カップ洗浄工程を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理装置の洗浄方法。
【請求項4】
前記処理液回収カップ洗浄工程は、前記遮断板を上下動させることにより、前記複数の環状部材を1つずつ順番に洗浄することを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置の洗浄方法。
【請求項5】
前記処理液回収カップ洗浄工程は、前記遮断板から飛散される洗浄液によって、前記複数の環状部材を洗浄した後に、前記遮断板と前記ステージとの間隔が所定間隔となるように、前記遮断板を移動させると共に、前記遮断板及び前記ステージ間に、前記遮断板の中央及び前記ステージの中央の少なくとも一方から乾燥ガスを供給することにより、前記複数の環状部材を乾燥させる乾燥工程を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の基板処理装置の洗浄方法。
【請求項6】
前記基板処理装置は、前記複数の処理液案内部の各々に対して1つずつ夫々設けられた処理液回収タンク及び廃液回収タンクと、前記複数の処理液案内部の各々に前記処理液回収タンク及び前記廃液回収タンクの一方を選択的に連通させる切替手段とを有し、
前記洗浄工程は、前記処理液案内部と前記廃液回収タンクとが連通するように、前記切替手段を制御する
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の基板処理装置の洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−171229(P2010−171229A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12682(P2009−12682)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】