説明

基板処理装置及び半導体装置の製造方法

【課題】各部品の破壊や接触不良を検出する安定で信頼性の高い装置を提供する。
【解決手段】 基板を処理する処理室と、基板を加熱するヒータと、ヒータを内包し処理室内に設けられた基板支持台と、基板支持台を支持するシャフトと、シャフト内に挿通された配線と、配線を保持する保持部と、保持部に接続された温度検出部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板支持台に設けた加熱機構によって基板を処理する基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する過程では、基板を所定の温度に加熱して、基板を処理する。
枚葉装置の場合、例えば、基板を支持する基板支持部近辺にランプや抵抗加熱などの加熱機構を設けて、基板を加熱する方法が知られている。
【特許文献1】WO2004/95560号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
抵抗加熱機構の場合、電源からある程度の電力を供給することで抵抗加熱機構そのものを加熱し、加熱された抵抗加熱機構からの熱伝導により基板を加熱している。
ところが、装置を稼動し続けることで、抵抗加熱機構や、それまでに経由する部品が破壊もしくは劣化し、接触不良となってしまうことがあった。それにより、基板を所望の温度に加熱できない、もしくは加熱そのものができないなど、装置の信頼性を著しく低下させてしまうという問題がある。
【0004】
以上の問題を解決するために、各部品の破壊や接触不良等による不安定な加熱を無くし、安定で信頼性の高い基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室と、基板を加熱するヒータと、前記ヒータを内包し、前記処理室内に設けられた基板支持台と、前記基板支持台を支持するシャフトと、前記シャフト内に挿通された配線と、前記配線を保持する保持部と、前記保持部に接続された温度検出部と、を有する基板処理装置が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、基板を加熱するヒータと、前記ヒータを内包し、前記処理室内に設けられた基板支持台と、前記基板支持台を支持するシャフトと、前記シャフト内に挿通された配線と、前記配線を保持する保持部と、前記保持部に接続された温度検出部と、を有する基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、前記処理室内の基板支持台に基板を支持する基板支持工程と、前記支持された基板を前記基板支持台に内包されたヒータで加熱する加熱工程と、前記加熱工程の間、前記保持部の温度を前記温度検出部が検出する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
各部品の破壊や接触不良等による不安定な加熱を無くし、安定で信頼性の高い基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態にかかる基板処理装置の断面構成図である。
【図2】本実施形態にかかる基板処理装置のシャフトの垂直断面図である。
【図3】本実施形態にかかる基板処理装置のシャフトの水平断面図である。
【図4】本実施形態にかかる基板処理装置におけるヒータ端子接続部の部分拡大図である。
【図5】本実施形態にかかる基板処理装置における基板支持台に配設されたヒータ及びその周辺の説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る基板処理装置であるICP方式プラズマ処理装置を示す概略構成図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態に係る基板処理装置であるECR方式プラズマ処理装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述のように、装置を稼動し続けることで、抵抗加熱機構や、それまでに経由する部品が破壊もしくは接触不良となってしまうことがあった。これは、熱による部品の変形、部品の経時劣化などによるものと考えられる。
【0010】
以下に、熱や経時劣化による部品の変形が起きても、安定した信頼性の高い基板処理装置について説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
まず、本実施形態にかかる半導体装置の製造方法を実施する基板処理装置の構成例について、図1を用いて説明する。図1は、かかる基板処理装置としてのMMT装置の断面構成図である。MMT装置とは、電界と磁界とにより高密度プラズマを発生できる変形マグネトロン型プラズマ源(Modified Magnetron Typed Plasma Source)を用い、例えばシリコンウエハ等のシリコン基板200をプラズマ処理する装置である。
【0012】
MMT装置は、基板としてのシリコン基板200をプラズマ処理する処理炉202を備えている。そして、処理炉202は、処理室201を構成する処理容器203と、サセプタ217と、ゲートバルブ244と、シャワーヘッド236と、ガス排気口235と、プラズマ生成機構(筒状電極215、上部磁石216a及び下部磁石216b)と、コントローラ121とを備えている。
【0013】
処理室201を構成する処理容器203は、第1の容器であるドーム型の上側容器210と、第2の容器である碗型の下側容器211とを備えている。そして、上側容器210が下側容器211の上に被せられることにより、処理室201が形成される。なお、上側容器210は、酸化アルミニウム又は石英等の非金属材料で形成されており、下側容器211はアルミニウムで形成されている。
【0014】
処理室201の底側中央には、シリコン基板200を保持する基板保持部としてのサセプタ217が配置されている。サセプタ217は、シリコン基板200上に形成する膜の金属汚染を低減することが出来るように、例えば、窒化アルミニウム、セラミックス、石英等の非金属材料で形成されている。サセプタ217は、基板を水平姿勢で下方から支持する平板状の基板支持台500(図5参照)と、基板支持台500を水平姿勢で下方から支持する筒状、例えば円筒状のシャフト268(図2参照)と、を備えている。
【0015】
サセプタ217の内部(具体的には基板支持台500の内部)には、加熱部としてのヒータ217bが内包され一体的に埋め込まれており、シリコン基板200を加熱できるようになっている。ヒータ217bには、ヒータ配線217cの一端が接続されている。ヒータ配線217cの他端は、ヒータ電力供給線219を経由してヒータ用電源218に接続されている。ヒータ電力供給線219及びヒータ配線217cを経由して、ヒータ用電源218から電力が供給されると、ヒータ217bが加熱され、その輻射熱によりシリコン基板200表面を、たとえば450℃〜900℃程度にまで加熱できるようにしている。ヒータ217b、ヒータ配線217c及びヒータ電力供給線219の詳細は後述する。
【0016】
サセプタ217は下側容器211と電気的に絶縁されている。サセプタ217の内部には、インピーダンスを変化させる電極としての第2の電極(図中省略)が装備されている。この第2の電極は、インピーダンス可変部274を介して接地されている。インピーダンス可変部274は、コイルや可変コンデンサから構成されており、コイルのパターン数や可変コンデンサの容量値を制御することにより、第2の電極(図中省略)及びサセプタ217を介してシリコン基板200の電位を制御できるようになっている。
【0017】
サセプタ217には、サセプタ217を昇降させる図示しないサセプタ昇降部が設けられている。サセプタ217には、貫通孔217aが設けられている。前述の下側容器211底面には、シリコン基板200を突上げるウエハ突上げピン266が、少なくとも3箇所設けられている。そして、貫通孔217a及びウエハ突上げピン266は、サセプタ昇降部によりサセプタ217が下降させられた時にウエハ突上げピン266がサセプタ217とは非接触な状態で貫通孔217aを突き抜けるように、互いに配置されている。
【0018】
下側容器211の側壁には、仕切弁となるゲートバルブ244が設けられている。ゲートバルブ244が開いている時には、搬送部(図中省略)を用いて処理室201内へシリコン基板200を搬入し、または処理室201外へとシリコン基板200を搬出することができるようになっている。ゲートバルブ244を閉めることにより、処理室201内を気密に閉塞することができるようになっている。
【0019】
処理室201の上部には、処理室201内へ供給するガスを分散させるシャワーヘッド236が設けられている。シャワーヘッド236は、キャップ状の蓋体233と、ガス導入口234と、バッファ室237と、開口238と、遮蔽プレート240と、ガス吹出口239と、を備えている。
【0020】
ガス導入口234には、バッファ室237内へガスを供給するガス供給管232が接続されている。バッファ室237は、ガス導入口234より導入される反応ガス230を分散する分散空間として機能する。
【0021】
尚、ガス供給管232は、開閉弁であるバルブ243aと、流量制御器であるマスフローコントローラ241とを介して、窒素含有ガス(反応ガス)としての窒素(N)ガスを供給するNガスボンベ(図示しない)に接続されている。また、ガス供給管232は、処理室201内に水素含有ガス(反応ガス)を供給するように、水素含有ガスとしての水素(H)ガスを供給するHガスボンベ(図示しない)にも接続されている。また、同様に、ガス供給管232は、処理室201内に希釈ガスとしての希ガスを供給するように、希ガス用ガスボンベ(図示しない)にも接続されている。それぞれのガスボンベは、それぞれ開閉弁であるバルブを備えている。これらのバルブ及びバルブ243aを開閉させることにより、ガス供給管232を介して処理室201内へ反応ガス及び/又は希ガスをそれぞれ供給自在に構成されている。主に、ガス供給管232、バルブ243a、マスフローコントローラ241により、ガス供給部が構成されている。
【0022】
ここではNガス、Hガス、希ガスごとにガスボンベを用いることを記載したが、それに限るものではなく、替わりにアンモニア(NH)のガスボンベを設けても良い。また、反応ガスにおいて窒素の割合を多くする場合、更に窒素ガスのガスボンベを設けても良い。
【0023】
下側容器211の側壁には、処理室201内からガスを排気するガス排気口235が設けられている。ガス排気口235には、ガスを排気するガス排気管231が接続されている。ガス排気管231には、上流側から順に、圧力調整器であるAPC(auto pr
essure controller)242、開閉弁であるバルブ243b、排気装置である真空ポンプ246が設けられている。主に、ガス排気管231、APC242、バルブ243bにより、排気部が構成されている。
【0024】
処理容器203(上側容器210)の外周には、処理室201内のプラズマ生成領域224を囲うように、第1の電極としての筒状電極215が設けられている。筒状電極215は、筒状、例えば円筒状に形成されている。筒状電極215は、インピーダンスの整合を行う整合器272を介して、高周波電力を印加する高周波電源273に接続されている。筒状電極215は、処理室201に供給される反応ガスをプラズマ励起させる放電部として機能する。
【0025】
筒状電極215の外側表面の上下端部には、上部磁石216a及び下部磁石216bがそれぞれ取り付けられている。上部磁石216a及び下部磁石2は、それぞれ筒状、例えばリング状に形成された永久磁石として構成されている。
【0026】
上部磁石216a及び下部磁石216bは、処理室201の半径方向に沿った両端(すなわち内周端と外周端)にそれぞれ磁極を有している。上部磁石216a及び下部磁石216bの磁極の向きは、上下で互いに逆向きになるよう配置されている。すなわち、上部磁石216a及び下部磁石216bの内周部の磁極同士は異極となっている。これにより、筒状電極215の内側表面に沿って、円筒軸方向の磁力線が形成されている。
【0027】
処理室201内に反応ガスを導入した後、筒状電極215に高周波電力を供給して電界を形成するとともに、上部磁石216a及び下部磁石216bを用いて磁界を形成することにより、処理室201内にマグネトロン放電プラズマが生成される。この際、放出された電子を上述の電磁界が周回運動させることにより、プラズマの電離生成率が高まり、長寿命かつ高密度のプラズマを生成させることができる。
【0028】
なお、筒状電極215、上部磁石216a及び下部磁石216bの周囲には、これらが形成する電磁界が外部環境や他の処理炉等の装置に悪影響を及ぼさないように、電磁界を有効に遮蔽する金属製の遮蔽板223が設けられている。
【0029】
また、制御部としてのコントローラ121は、信号線Aを通じてAPC242、バルブ243b、及び真空ポンプ246を、信号線Bを通じてサセプタ昇降部を、信号線Cを通じてゲートバルブ244を、信号線Dを通じて整合器272、及び高周波電源273を、信号線Eを通じてマスフローコントローラ241、及びバルブ243aを、さらに図示しない信号線を通じてサセプタに埋め込まれたヒータ用電源218やインピーダンス可変部274を、それぞれ制御するように構成されている。
【0030】
続いて、図2、3、4、5を用いて、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続部、及びその周辺の構成について説明する。図2は、シャフト268の垂直断面図であり、図3は、シャフト268の水平断面図である。なお、図3は、図2のF−Fの水平面断面であり、図2は、図3のG−Gの垂直断面図である。図4は、ヒータ端子接続部、すなわち、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続部の部分拡大図である。図5は、基板支持台500内に配設されたヒータ217b及びその周辺を説明する図である。
【0031】
図5に示すように、基板支持台500内に配設されたヒータ217bは、第一のヒータとしての外側ヒータ501と、他のヒータとしての内側ヒータ504とを備えている。外側ヒータ501及び内側ヒータ504はそれぞれ環状に構成され、外側ヒータ501が外側に、内側ヒータ504が内側になるように、互いに同心円状に配置されている。外側ヒ
ータ501の両端には、電力が入力される入力端子502及び電力を出力する出力端子503が設けられる。また、内側ヒータ504の両端には、電力が入力される入力端子505及び電力を出力する出力端子506が設けられる。入力端子から出力端子に向けてそれぞれ電力を供給することで、各ヒータは加熱される。
【0032】
ヒータ配線217cは、外側ヒータ501用のヒータ配線307と、内側ヒータ504用のヒータ配線308と、を有する。各ヒータ配線307,308は、それぞれ、入力側のヒータ配線307a,308aと、出力側のヒータ配線307b,308bと、を有する。また、ヒータ電力供給線219は、外側ヒータ電力供給線(入力)321、外側ヒータ電力供給線(出力)322、内側ヒータ電力供給線(入力)323、内側ヒータ電力供給線(出力)324を有する。ヒータ配線307の内、入力側のヒータ配線307aは、一端が外側ヒータ501の入力端子502に接続され、他端が外側ヒータ電力供給線(入力)321に接続されている。ヒータ配線307の内、出力側のヒータ配線307bは、一端が外側ヒータ501の出力端子503に接続され、他端が外側ヒータ電力供給線(出力)322に接続されている。ヒータ配線308の内、入力側のヒータ配線308aは、一端が内側ヒータ504の入力端子505に接続され、他端が内側ヒータ電力供給線(入力)323に接続されている。ヒータ配線308の内、出力側のヒータ配線308bは、一端が内側ヒータ504の出力端子506に接続され、他端が内側ヒータ電力供給線(出力)324に接続されている。ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構の構成については後述する。
【0033】
主に、ヒータ配線217c、ヒータ電力供給線219、及びこれらの接続機構(後述)により、シャフト268内に挿通された配線が構成される。また、主に、ヒータ配線307(ヒータ配線307a,307b)、外側ヒータ電力供給線321、外側ヒータ電力供給線322、及びこれらの接続機構(後述)により、第一のヒータとしての外側ヒータ501に電力を供給する第一の配線が構成される。また、主に、ヒータ配線308(ヒータ配線308a,308b)、内側ヒータ電力供給線323、内側ヒータ電力供給線324、及びこれらの接続機構(後述)により、他のヒータとしての内側ヒータ504に電力を供給する他の配線が構成される。
【0034】
図2に示すように、ヒータ配線217c(図2では307a,308aが示されている)は、上述のシャフト268が備える円筒状のシャフトトップ301の内側に配設されている。また、ヒータ電力供給線219(図2では321,323が示されている)は、シャフト268が備える円筒状のシャフトベース302の内側に配設されている。シャフトトップ301はシャフトベース302上に配置され、シャフト固定部材303がシャフトトップ301のフランジ311に固定されることで、シャフトトップ301がシャフトベース302に固定されている。主に、シャフトトップ301、シャフトベース302、シャフト固定部材303及びフランジ311により、シャフト268が構成されている。
【0035】
各配線(ヒータ配線217c、ヒータ電力供給線219、及びこれらの接続機構(後述))は、保持部としての保持具306によって保持される。具体的には、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構が保持具306によって保持される。保持具306は、シャフト268の内部、具体的には、シャフトトップ301とシャフトベース302との接続部の内部に設けられており、各配線の延伸方向に延伸されている。
【0036】
保持具306が設けられたシャフト268の内壁(具体的にはシャフトベース302の内壁)と保持具306との間であり、外側ヒータ501用のヒータ配線307a,307bに接続される外側ヒータ電力供給線321と外側ヒータ電力供給線322の近傍には、ガス供給部としてのパージガス供給部が備えるパージガス供給管314が配設されている。具体的には、図3に示すように、パージガス供給管314は、内側ヒータ電力供給線3
23、内側ヒータ電力供給線324から見て、外側ヒータ電力供給線321と外側ヒータ電力供給線322を介した位置に設けられている。言い換えるならば、パージガス供給管314と、内側ヒータ電力供給線323、内側ヒータ電力供給線324との間に、外側ヒータ電力供給線321と外側ヒータ電力供給線322とが設けられている。
【0037】
パージガス供給管314の上端には、パージガスを噴射するガス供給機構としてのパージガス供給孔314aが開設されている。外側ヒータ501に接続された接続機構(外側ヒータ電力供給線321,322とヒータ配線307a,307bとの接続機構)とパージガス供給孔314aとの距離は、内側ヒータ504に接続された接続機構(内側ヒータ電力供給線323,324とヒータ配線308a,308bとの接続機構)とパージガス供給孔314aとの距離より短くなるよう構成されている。従って、パージガス供給孔314aから噴射されたパージガスは、外側ヒータ電力供給線321,322側から、内側ヒータ電力供給線323,324側に向かって流れる。すなわち、パージガス供給孔314aから噴射されたパージガスは、外側ヒータ電力供給線321,322とヒータ配線307a,307bとの接続機構の周辺を先にパージした後、内側ヒータ電力供給線323,324側に向かって流れ、内側ヒータ電力供給線323,324とヒータ配線308a,308bとの接続機構の周辺をパージする。このようにパージガスを供給することで、各配線や接続機構が冷却されると共に、接続機構の酸化が防止される。
【0038】
ところで、前述のように、外側ヒータ501と内側ヒータ504とは石英製の基板支持台500に内包されている。外側ヒータ501は、基板支持台500の側面から近い位置にあるため、基板支持台500の側面から熱が逃げやすく、温度が上昇し難い。基板処理装置においては、シリコン基板200の面内加熱を均一とすることが求められているが、外側ヒータ501は上述のように熱逃げが発生するため、内側ヒータ504と外側ヒータ501の電力を一定(同一の電力)とした場合、シリコン基板200の外側(外周側)の温度が内側(中央側)より低くなる、という問題が起きる。そこで、本実施形態では、外側ヒータ501の電力を、内側ヒータ504の電力よりも高くする。これにより、基板支持台500側面からの熱逃げを補填でき、その結果、シリコン基板200の面内加熱を均一にすることができる。
【0039】
外側ヒータ501の電力を内側ヒータ504の電力より高くした場合、外側ヒータ501に接続された各配線(ヒータ配線307a,307b、外側ヒータ電力供給線321,322)の方が、内側ヒータ504に接続された各配線(ヒータ配線308a,308b、内側ヒータ電力供給線323,324)と比較して、熱的負荷が高くなり、熱負荷による破損率が高くなる。特に、後述するように、外側ヒータ電力供給線321,322とヒータ配線307a,307bとの接続機構では、温度が上昇し易く、破損率が顕著に高くなる。そこで、上述のように、外側ヒータ電力供給線321,322側から、内側ヒータ電力供給線323,324側に向けてパージガスを流し、外側ヒータ電力供給線321,322とヒータ配線307a,307bとの接続機構の周辺を先にパージし、内側ヒータ電力供給線323,324とヒータ配線308a,308bとの接続機構の周辺を後でパージすることで、外側ヒータ501に接続される各配線や接続機構を優先的に冷却することができ、破損率を低下させることができる。
【0040】
図2、図3に示すように、保持具306の側面であって、接続機構と離れた位置には、第一の熱電対304と、温度検出部としての第二の熱電対305と、が一緒に配設されている。第一の熱電対304の先端は、基板支持台500に設けられ、シリコン基板200の温度を計測するように構成されている。第二の熱電対305は、先端305aが保持具306に固定された状態であり、保持具306の温度を計測するように構成されている。
【0041】
保持具306は、温度をリニアに伝達する材質、例えばセラミック等で構成されている
。そのため、第二の熱電対305は、保持具306の温度を検出することで、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構の温度を間接的に検出することができる。すなわち、保持具306は接続機構の温度をリニアに伝達することから、保持具306の温度(温度変化)を検出することで、接続機構の温度(温度変化)を容易に検出(推定)することができる。なお、第二の熱電対305は接続機構から離れた位置に設けられていることから、第二の熱電対305により検出される保持具306の温度は、接続機構の実際の温度よりも低温となる。
【0042】
ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構の近辺は、後述するように接続機構の構成部品であるワッシャ407等(図4参照)が劣化して発熱した場合、非常に高温になる。高温状態で温度を直接検出する場合、高温用の高価な熱電対を用いざるを得ず、それは安価な装置を提供するための障害となってしまう。また、接続機構の近辺に熱電対を配置した場合、メンテナンス時にある程度の高温状態でメンテナンスをするか、非常に長い冷却時間をかけて冷却した後メンテナンスをする必要がある。従って、メンテナンスを考慮するうえでも好ましくない。これに対し、本実施形態では、第一の熱電対304を接続機構から離れた位置に設けており、上述したように第二の熱電対305により検出される保持具306の温度は、接続機構の実際の温度よりも低温となる。そのため、第二の熱電対305として高温用の高価な熱電対を用いる必要がなく、基板処理装置のコストを低減できる。また、第二の熱電対305を低温に出来ることから、第二の熱電対305の劣化を防ぐことができ、また、メンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0043】
また、外側ヒータ501や内側ヒータ504の温度を上昇させると、熱伝導や輻射によって保持具306の温度も上昇する。そのため、保持具306の温度を検出することで、外側ヒータ501や内側ヒータ504の温度を間接的に検出することも出来る。例えば、保持具306の温度を検出することで、外側ヒータ501や内側ヒータ504が破損する可能性のある温度に上昇していることを検出することもできる。なお、第二の熱電対305は外側ヒータ501、内側ヒータ504から離れた位置に設けられていることから、第二の熱電対305により検出される保持具306の温度は、外側ヒータ501、内側ヒータ504の実際の温度よりも低温となる。
【0044】
第二の熱電対305によって検出された温度データは、コントローラ121に送信される。コントローラ121は、保持具306の温度、すなわち、間接的に検出されたヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構の温度、或いは間接的に検出された外側ヒータ501や内側ヒータ504の温度が所定の温度を超えた場合に、その温度を下げるよう、内側ヒータ504及び外側ヒータ501への電力供給量を調整する。ここでいう所定の温度とは、後述するようにヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構が破損しない温度であり、または内側ヒータ504、外側ヒータ501が破損しない程度の温度を言う。かかる制御については後述する。
【0045】
なお、図3に示すように、本実施形態では、第一の熱電対304,305を保持具306の側面に配設している。すなわち、本実施形態では、第一の熱電対304,305を隣接させるため、保持具306に貫通孔を追加する(第一の熱電対304,305用にそれぞれ貫通孔を設ける)などの手間がかからず、また第一の熱電対304,305の固定具も共有化できることから、部品点数を削減できるという効果がある。
【0046】
また、図3に示すように、本実施形態に係る保持具306の側面には、電極用配線310が配設されている。電極用配線310の一端はインピーダンス可変部274に接続され、他端はサセプタ217に内蔵されている図示しない第二の電極に接続されている。上述したように、インピーダンス可変部274を調整することでサセプタ217のインピーダンス(シリコン基板200の電位)を調整することができる。
【0047】
また、図3に示すように、本実施形態に係る保持具306では、各ヒータ電力供給線219の間に、仕切りを設けている。具体的には、外側ヒータ電力供給線321、322と内側ヒータ電力供給線323、324との間に仕切り327を設けている。更に、仕切り327と交差するように、外側ヒータ電力供給線321と外側ヒータ電力供給線322との間、及び内側ヒータ電力供給線323と内側ヒータ電力供給線324との間に仕切り326を設けている。言い換えるならば、電力供給線の入力側配線と出力側配線の間に仕切り326を設けている。これらの仕切りによって、たとえ配線や接続機構が破損したとしても、隣接する配線との接触を防止することができる。即ち、配線が接触した場合の更なる電気的な悪影響(過電流による故障など)を防止することができる。
【0048】
なお、パージガスの流れに対して対向するよう構成された仕切り327は、交差する仕切り326より短く構成される。これは、第一の熱電対304、第二の熱電対305、電極用配線310の配設スペースを確保する目的の他に次のような目的がある。即ち、パージガス供給孔314aから供給されるパージガスを内側ヒータ電力供給線326、内側ヒータ電力供給線327に効率よく供給するために、パージガスの流れを阻害しないような構造となっている。
【0049】
また、図2に示すように、シャフト268内には、シャフトベース302とシャフト固定部材303とにより構成された空間C1が、保持具306を囲むように設けられている。空間C1内には、保持具306、各配線、更には接続機構が所定以上の温度にならないよう冷却する冷却剤が流れるように構成されている。
【0050】
続いて、図4を用いて、ヒータ配線217c(ヒータ配線307a,307b,308a,308b)とヒータ電力供給線219(外側ヒータ電力供給線321、外側ヒータ電力供給線322、内側ヒータ電力供給線323、内側ヒータ電力供給線324)との接続機構の構成について説明する。
【0051】
ヒータ配線217cの端部(ヒータ電力供給線219との接続箇所)は、平板状のヒータ配線接続端子217dを有している。ヒータ配線接続端子217dには、止め孔401が設けられている。ヒータ配線217c及びヒータ配線接続端子217dはそれぞれ耐酸化性、導電性を有する材料で形成することが好ましく、例えば炭化珪素(SiC)で形成されている。シャフトベース302内は酸素成分が含まれた雰囲気であり、またシャフトトップ301内も完全に気密にすることは難しく、同様に酸素成分が含まれた雰囲気である。そこで、ヒータ配線217c及びヒータ配線接続端子217dは、前述のように酸化し難い導電性材料から構成することが望ましい。仮に酸化してしまうと、それにより劣化が起こり、ヒータ217bへの電力供給が不十分となる。その結果、シリコン基板200に対して十分な加熱ができなくなってしまう。
【0052】
ヒータ電力供給線219の端部(ヒータ配線接続端子217dとの接続箇所)は、平板状の接続端子402を有している。接続端子402には固定孔403が設けられている。ヒータ電力供給線219及び接続端子402は、それぞれ耐酸化性、導電性を有し、且つ安価な材料で形成することが好ましく、例えば鉄やニッケルなどの材料を用いて形成されている。
【0053】
接続端子402とヒータ配線接続端子217dとの接触面には、ヒータ配線接続端子217dと接続端子402とを接続する熱膨張率吸収部材としてのワッシャ407が配置されている。ワッシャ407は、導電性、耐熱性を有する材料で形成することが好ましく、例えばカーボン材を用いて形成されている。接続端子402、ワッシャ407、ヒータ配線接続端子217dを重ね合わせた状態で、締結ボルト406の軸部を、接続端子402
の固定孔403側からヒータ配線接続端子217dの止め孔401側へと貫通させ、ワッシャ405を介してナット404と締結させることで、ヒータ配線接続端子217dと接続端子402とが電気的に、且つ物理的に接続される。主に、接続端子402、ワッシャ407、ヒータ配線接続端子217d、締結ボルト406、ワッシャ405、ナット404により、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構が構成される。
【0054】
上述の構成により、ヒータ配線接続端子217dと接続端子402とが違う材料、すなわち熱膨張率の異なる材料から形成されていても、ワッシャ407がそれらの熱膨張差を吸収し、ヒータ配線接続端子217dと接続端子402との電気的接続を維持し、常に所望の電力を供給することができる。また、ヒータ配線接続端子217dや接続端子402の熱応力による破損を回避することができる。
【0055】
ただし、ワッシャ407はカーボン材から形成されているため、酸化してしまうことが考えられる。ワッシャ407が酸化した場合、過度の熱負荷がかかるとワッシャ407そのものの劣化や変形が起き、その結果、接続端子402からヒータ配線接続端子217dに、所望の電力を供給できなくなってしまう。また、接触不良等により、ワッシャ407近辺で急激に温度が上昇し、周囲の機器に悪影響を与える可能性がある。
【0056】
そこで、本実施形態では、上述したように、第二の熱電対である第二の熱電対305を保持具306に隣接するよう配置し、第二の熱電対305によりヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構の温度を間接的に検出するようにし、係る温度が所定の温度を超えた場合に、内側ヒータ504、外側ヒータ501への電力供給量を調整する。このように調整することで、ワッシャ407に過度の熱負荷が加わるのを回避するようにしている。
【0057】
(2)半導体装置の製造方法
次に、本発明の基板処理装置における半導体装置の製造方法の一工程として、シリコン基板200上に形成されているゲート絶縁膜の窒化処理の方法を例に説明する。なお、以下の説明において、MMT装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。ここでは、キャパシタのゲート絶縁膜を一例とし、説明する。
【0058】
(シリコン基板の搬入工程)
シリコン基板200の搬送位置までサセプタ217を下降させて、サセプタ217の貫通孔217aにウエハ突上げピン266を貫通させる。その結果、突き上げピン266が、サセプタ217表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。搬入されるシリコン基板には、他のCVD装置やALD装置を用いて、CVD法やALD法によって、キャパシタのゲート絶縁膜が予め形成されている。ゲート絶縁膜は例えばシリコン酸化膜によって形成されている。
【0059】
次に、ゲートバルブ244を開き、図中省略の搬送部を用いて、サセプタ217の表面から突出させたウエハ突上げピン266上に、シリコン基板200を支持させる。続いて、搬送部を処理室201の外へ退避させ、ゲートバルブ244を閉じて処理室201を密閉する。続いて、シャフト268を、図示しないモータ等のサセプタ昇降部を用いてサセプタ217を上昇させる。その結果、サセプタ217の上面にシリコン基板200を配置させる。その後、シリコン基板200をその処理位置まで上昇させる。
【0060】
(シリコン基板の加熱工程)
続いて、サセプタの内部に埋め込まれたヒータ217bに電力を供給し、シリコン基板200の表面を加熱する。シリコン基板200の表面温度は、室温より高く、例えば750℃(デバイスの性能を劣化させる温度)より低い温度とすることが好ましい。より好ま
しくは、200℃以上であって700℃未満の温度が望ましい。
【0061】
後述する窒化処理の間、第一の熱電対304によって検出された温度データは、コントローラ121によって受信される。コントローラ121は、第一の熱電対304から受信した温度データに基づいて、シリコン基板200の温度が所望の処理温度になるようヒータ用電源218の電力を制御する。
【0062】
なお、ヒータ217bに電力を供給すると、ヒータ配線217c、ヒータ電力供給線219、及びこれらの接続機構の温度が上昇し、保持具306の温度も上昇することがある。また、ヒータ217bの温度を上昇させると、熱伝導や輻射によって保持具306の温度も上昇する。第二の熱電対305によって検出された保持具306の温度データは、コントローラ121によって受信される。コントローラ121は、第二の熱電対305から受信した温度データ(保持具306の温度)に応じて、基板処理装置の動作を以下のように第一レベルから第三レベルに振分けて制御する。
【0063】
(第一レベル)
第一レベルとは、第二の熱電対305によって検出された保持具306の温度が「第一の温度」以上であった場合に実施される制御である。
【0064】
ここで、「第一の温度」とは、外側ヒータ501、内側ヒータ504、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構の少なくともいずれかが破損する可能性のある温度をいう。なお、「第一の温度」とは、外側ヒータ501、内側ヒータ504、接続部の自体の温度ではなく、あくまでも、これらの温度変化をリニアに伝達する保持具306の温度である。「第一の温度」は、実験的に求めることができる。例えば、発明者等の実験によれば、SiCにより形成された外側ヒータ501や内側ヒータ504は、保持具306の温度が310℃以上となった場合に破損してしまう可能性があることが分かった。また、例えば、発明者等の実験によれば、カーボン材から形成されたワッシャ407は、保持具306の温度が450℃以上の温度となると破損してしまう可能性があることが分かった。この場合、実験的に求めた温度のうち、最も低い温度(この場合はワッシャ407が破損される時の保持具306の温度:310℃)を「第一の温度」とすればよい。
【0065】
保持具306の温度が「第一の温度」以上であった場合、コントローラ121は、基板処理装置が備える表示装置や警報装置を用いてアラームを発信し(例えばDANGER等と表示し)、オペレータに注意を促す。そして、コントローラ121は、外側ヒータ501、内側ヒータ504への電力供給と、高周波電源273から筒状電極215への電力供給を停止してプラズマ生成とをそれぞれ停止し、現在進行中の生産ロットの処理を中断する。そして、基板処理装置を停止する。
【0066】
このように、保持具306の温度が「第一の温度」以上となった場合に第一レベルの制御を実施することで、外側ヒータ501や内側ヒータ504、ワッシャ407の破損を回避することができ、基板処理装置の故障やメンテナンス周期を伸ばすことが出来る。また、「第一の温度」を、外側ヒータ501や内側ヒータ504が破損する可能性の温度、或いはヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構が破損する可能性のある温度のうち、最も低い温度とすることで、外側ヒータ501、内側ヒータ504、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219の全ての破損を回避することが出来る。
【0067】
(第二レベル)
第二レベルとは、保持具306の温度が「第一の温度」未満であって「第二の温度」以上であった場合に実施される制御である。
【0068】
ここで、「第二の温度」とは、「第一の温度」より低い温度であって、外側ヒータ501、内側ヒータ504、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構が即座に破損する可能性は低いものの、その温度で連続して使用すると劣化が進んでしまい、消耗を促してしまうような温度、或いは、既に消耗が進んでおり、次の生産ロットの開始前にはメンテナンスが必要な温度をいう。なお、「第二の温度」とは、外側ヒータ501、内側ヒータ504、接続部の自体の温度ではなく、あくまでも、これらの温度変化をリニアに伝達する保持具306の温度である。「第二の温度」は「第一の温度」から所定温度を差し引くことで求めることが出来る。すなわち、「第一の温度」が310℃である場合、所定温度として例えば10℃差し引いた300℃を「第二の温度」とすることができる。所定温度としてどの程度差し引くかは実験的に求めてもよい。
【0069】
保持具306の温度が「第一の温度」未満であって「第二の温度」以上であった場合、コントローラ121は、基板処理装置が備える表示装置や警報装置を用いてアラームを発信し(例えばWARNING、Information等と表示し)、オペレータに注意を促す。そして、コントローラ121は、外側ヒータ501、内側ヒータ504の温度を低下させるように、ヒータ用電源218の電力を低下させつつ、高周波電源273から筒状電極215への電力供給を継続し、以後の基板処理動作を継続する。そして、現在進行中の生産ロットの処理が完了したら、基板処理装置を停止する。
【0070】
このように、保持具306の温度が「第一の温度」未満であって「第二の温度」以上であった場合に第二レベルの制御を実施することで、外側ヒータ501、内側ヒータ504、ワッシャ407の消耗が進んでいることをオペレータに速やかに通知することができ、メンテナンスを促すことが出来る。また、基板処理装置を即座に停止するわけではないので、現在進行中の生産ロットの無駄を回避できる。
【0071】
(第三レベル)
第二レベルとは、保持具306の温度が「第二の温度」未満であった場合に実施される制御である。保持具306の温度が「第二の温度」未満であった場合、外側ヒータ501、内側ヒータ504、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構のいずれかも破損する可能性が低いので、コントローラ121は、以後の基板処理動作を継続する。
【0072】
(反応ガスの供給)
ここでは、反応ガスとして、アンモニア及び窒素の混合ガスを例として説明する。
ガス噴出孔234aから処理室201内へアンモニア及び窒素の混合ガスをシャワー状に導入する。このとき、アンモニアガスの供給量を300sccm、窒素ガスの供給量を300sccmとする。
【0073】
アンモニアガスと窒素ガスとの混合ガスの導入後は、真空ポンプ246及びAPC242を用いて、処理室201内の圧力が0.1〜300Paの範囲内、例えば30Paになるように調整する。
【0074】
(アンモニアガス及び窒素ガスの混合ガスの励起)
アンモニアガスと窒素ガスとの混合ガスを導入後、筒状電極215に対して、整合器272を介して高周波電源273から高周波電力を印加するとともに、上部磁石216a及び下部磁石216bによる磁力を処理室201内に印加することにより、処理室201内にマグネトロン放電を発生させる。その結果、シリコン基板200の上方のプラズマ発生領域に高密度プラズマが発生する。なお、筒状電極215に印加する電力は例えば100〜1000W程度の範囲内とし、例えば800Wとする。このときのインピーダンス可変部274は予め所望のインピーダンス値に制御しておく。
【0075】
(ゲート絶縁膜の窒化処理)
上述のようにプラズマ状態とすることにより、処理室201内に供給されたアンモニアガスや窒素ガスが活性化され、励起される。そして生成された窒素ラジカル(N)及び水素ラジカル(H)がシリコン基板200上に形成されたゲート絶縁膜と反応する。
この反応では、水素による還元効果とシリコン酸化膜表面に対する窒素原子の衝突と補充が行なわれる。その結果、酸素成分が反応して水蒸気(HO)が形成され、更に窒素がゲート絶縁膜に導入されることにより、リーク電流の少ない良質なゲート絶縁膜が形成される。
【0076】
(残留ガスの排気)
シリコン酸化膜の窒化が終了したら、筒状電極215に対する電力供給と、処理室201内へのガス供給を停止する。そして、ガス排気管231を用いて、処理室201内の残留ガスを排気する。そして、サセプタ217をシリコン基板200の搬送位置まで下降させ、サセプタ217の表面から突出させたウエハ突上げピン266上にシリコン基板200を支持させる。そして、ゲートバルブ244を開き、図中省略の搬送部を用いてシリコン基板200を処理室201の外へ搬出し、本実施形態にかかる半導体装置の製造を終了する。
【0077】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0078】
(a)本実施形態によれば、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構を、保持具306によって支持している。そして、保持具306の側面であって、接続機構と離れた位置に、第二の熱電対305を配設している。そして、保持具306を、温度をリニアに伝達する材質、例えばセラミック等で構成している。そのため、保持具306の温度を検出することで、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構の温度を、間接的に検出することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態によれば、外側ヒータ501や内側ヒータ504の温度を上昇させると、熱伝導や輻射によって保持具306の温度も上昇する。そのため、保持具306の温度を検出することで、外側ヒータ501や内側ヒータ504の温度を間接的に検出することが出来る。例えば、保持具306の温度を検出することで、外側ヒータ501や内側ヒータ504が破損する可能性のある温度に上昇していることを検出することもできる。
【0080】
すなわち、保持具306は、接続機構、外側ヒータ501、内側ヒータ504の温度をリニアに伝達することから、第二の熱電対305により保持具306の温度(温度変化)を検出することで、接続機構、外側ヒータ501、内側ヒータ504の温度(温度変化)を容易に検出(推定)することができる。
【0081】
(b)本実施形態では、第二の熱電対305を接続機構から離れた位置(保持具306の側面)に設けていることから、第二の熱電対305により検出される保持具306の温度は、接続機構の実際の温度よりも低温となる。また、第二の熱電対305は外側ヒータ501、内側ヒータ504から離れた位置に設けられていることから、第二の熱電対305により検出される保持具306の温度は、外側ヒータ501、内側ヒータ504の実際の温度よりも低温となる。そのため、第二の熱電対305として高温用の高価な熱電対を用いる必要がなく、基板処理装置のコストを低減できる。また、第二の熱電対305を低温に出来ることから、第二の熱電対305の劣化を防ぐことができ、また、メンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0082】
(c)本実施形態によれば、コントローラ121は、第二の熱電対305により検出された保持具306の温度、すなわち、間接的に検出されたヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構の温度が所定の温度を超えた場合に、その温度を下げるよう、内側ヒータ504及び外側ヒータ501への電力供給量を調整する。具体的には、コントローラ121は、第二の熱電対305から受信した温度データ(保持具306の温度)に応じて、基板処理装置の動作を第一レベルから第三レベルに振分けて制御する。
【0083】
上述したように、保持具306の温度が「第一の温度」以上となった場合に、コントローラ121が第一レベルの制御を実施することで、外側ヒータ501や内側ヒータ504、ワッシャ407の破損を回避することができ、基板処理装置の故障やメンテナンス周期を伸ばすことが出来る。また、「第一の温度」を、外側ヒータ501や内側ヒータ504が破損する可能性の温度、或いはヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構が破損する可能性のある温度のうち、最も低い温度とすることで、外側ヒータ501、内側ヒータ504、及びこれらの接続機構の全ての破損を回避することが出来る。
【0084】
また、上述したように、保持具306の温度が「第一の温度」未満であって「第二の温度」以上であった場合に、コントローラ121が上述の第二レベルの制御を実施することで、外側ヒータ501、内側ヒータ504、ワッシャ407の消耗が進んでいることをオペレータに速やかに通知することができ、メンテナンスを促すことが出来る。また、基板処理装置を即座に停止するわけではないので、現在進行中の生産ロットの無駄を回避できる。
【0085】
(d)本実施形態によれば、保持具306が設けられたシャフト268の内壁(具体的にはシャフトベース302の内壁)と保持具306との間に、パージガス供給管314を配設している。パージガス供給管314から噴射されたパージガスは、外側ヒータ電力供給線321,322とヒータ配線307a,307bとの接続機構の周辺を先にパージした後、内側ヒータ電力供給線323,324側に向かって流れ、内側ヒータ電力供給線323,324とヒータ配線308a,308bとの接続機構の周辺をパージする。その結果、各配線や接続機構を冷却でき、接続機構の酸化を防止できる。また、外側ヒータ501に接続される各配線や接続機構を優先的に冷却することで、外側ヒータ501の電力を内側ヒータ504の電力より高くした場合であっても、外側ヒータ501に接続される各配線や接続機構の破損率を低下させることができる。
【0086】
(e)本実施形態に係る保持具306は、各ヒータ電力供給線219の間に、仕切り323,324を備えている。これらの仕切り323,324によって、たとえ配線や接続機構が破損したとしても、隣接する配線との接触を防止することができる。即ち、配線が接触した場合の更なる電気的な悪影響(過電流による故障など)を防止することができる。
【0087】
(f)本実施形態によれば、パージガスの流れに対して対向するよう構成された仕切り327を、交差する仕切り326より短く構成している。これにより、パージガス供給孔314aから供給されるパージガスの流れを阻害せず、内側ヒータ電力供給線326、内側ヒータ電力供給線327に効率よくパージガスを供給することができる。また、第一の熱電対304、305と電極用配線310の配設スペースを確保することができる。
【0088】
(g)本実施形態によれば、接続端子402とヒータ配線接続端子217dとの接触面には、ヒータ配線接続端子217dと接続端子402とを接続する熱膨張率吸収部材としてのワッシャ407が配置されている。これにより、ヒータ配線接続端子217dと接続端子402とが違う材料、すなわち熱膨張率が異なる材料から形成されていても、ワッシャ407がそれらの熱膨張差を吸収し、ヒータ配線接続端子217dと接続端子402との電気的接続を維持し、常に所望の電力を供給することができる。また、ヒータ配線接続端
子217dや接続端子402の熱応力による破損を回避することができる。
【0089】
(h)基板支持台500内に配設されたヒータ217bは、第一のヒータとしての外側ヒータ501と、他のヒータとしての内側ヒータ504とを備えている。外側ヒータ501及び内側ヒータ504はそれぞれ環状に構成され、外側ヒータ501が外側に、内側ヒータ504が内側になるように、同心円状に配置されている。外側ヒータ501は、基板支持台500の側面から近い位置にあるため、基板支持台500の側面から熱が逃げやすいが、外側ヒータ501の電力を内側ヒータ504の電力よりも高くすることで、基板支持台500側面からの熱逃げを補填でき、その結果、シリコン基板200の面内加熱を均一にすることができる。
【0090】
(i)本実施形態によれば、第一の熱電対304,305を保持具306の側面に配設している。すなわち、本実施形態では、第一の熱電対304,305を隣接させるため、保持具306に貫通孔を追加する(第一の熱電対304,305用にそれぞれ貫通孔を設ける)などの手間がかからず、また第一の熱電対304,305の固定具も共有化できることから、部品点数を削減できる。
【0091】
(j)本実施形態によれば、シャフトベース302とシャフト固定部材303とにより構成された空間C1が、保持具306を囲むように設けられている。空間C1内に冷却剤を流すことで、配線、更には接続機構が所定以上の温度にならないよう冷却することができる。
【0092】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0093】
例えば、上述の実施形態ではヒータ217bが外側ヒータ501と内側ヒータ504との2つより構成される場合について説明したが、本発明は係る形態に限定されず、ヒータ217bは3つ以上のヒータにより構成されていてもよい。
【0094】
また例えば、ヒータ配線217cとヒータ電力供給線219との接続機構は、保持具306内にて保持される場合に限らず、保持具306から上下方向に所定離れた場所にて保持されていてもよい。ヒータ配線217c及びヒータ電力供給線219はそれぞれ熱伝導率の高い金属材料により構成されているため、係る場合であっても、保持具306の温度を検出することで、接続機構の温度を間接的に検出することが可能である。
【0095】
また、上述の実施形態では、第二の熱電対305からの温度情報(絶対値)を検出し、この絶対値に応じて基板処理装置の動作を制御する場合を説明したが、本発明は係る形態に限定されない。例えば、第二の熱電対305からの温度情報(絶対値)を用いるのではなく、第二の熱電対305からの温度情報の上昇値(差分)を検出し、この上昇値(差分)に応じて基板処理装置の動作を制御するようにしてもよい。
【0096】
例えば、接続端子402やヒータ配線接続端子217dの温度が安定温度状態(約270℃)から異常上昇を始めるまで(約300℃)、温度差が30℃程度ある。従って、正常時における第二の熱電対305からの温度情報(安定時温度)を記録しておき、第二の熱電対305からの温度情報の上昇値(差分)が安定時温度から20℃未満であったときに、上述の第一レベルの制御(基板処理の継続動作)を実施する。そして、第二の熱電対305からの温度情報の上昇値(差分)が安定時温度から20℃以上30℃未満であったときには、上述の第二レベルの制御(警告を表示させ、進行中の生産ロットのみ継続する等の動作)を実施する。そして、第二の熱電対305からの温度情報の上昇値(差分)が
安定時温度から30℃以上であったときに、上述の第一レベルの制御(外側ヒータ501、内側ヒータ504への電力供給を低下或いは停止させ、進行中の生産ロットを即時停止する等の動作)を実施する。
【0097】
このように、第二の熱電対305からの温度情報(絶対値)ではなく、第二の熱電対305からの温度情報の上昇値(差分)を検出し、この絶対値に応じて基板処理装置の動作を制御することで、第二の熱電対305や基板処理装置の個体差に影響を受けることなく、基板処理装置の動作を再現性良く制御することが可能となる。
【0098】
また、上述の実施形態では、MMT装置を用いて実施する場合を説明したが、本発明は、それに限らずその他の装置、例えばICP(Inductively Coupled
Plasma)、ECR(Electron Cyclotron Resonance)装置を用いても実施可能である。
【0099】
図6は本発明の他の実施形態に係る基板処理装置であるICP方式プラズマ処理装置を示している。本実施の形態にかかる構成の詳細な説明は、上述の実施形態と同様の機能を有する構成要件に同一の符号を付して省略する。
【0100】
本実施形態に係るICP方式プラズマ処理装置10Aは、電力を供給してプラズマを生成するプラズマ生成部としての誘導コイル15Aを備えており、誘導コイル15Aは処理容器203の天井壁の外側に敷設されている。本実施の形態においても、窒素ガスと希ガスとの混合ガスをガス供給管232から、ガス吹出口239を経由して処理容器203内へ供給する。また、ガス供給と前後して、プラズマ生成部である誘導コイル15Aへ高周波電力を流すと、電磁誘導により電界が生じる。この電界をエネルギーとして、供給されたガスはプラズマ化され、このプラズマにより窒素活性種が生成され、シリコン基板200上のゲート絶縁膜を窒化する。
【0101】
図7は本発明の更に他の実施形態に係る基板処理装置であるECR方式プラズマ処理装置を示している。本実施の形態にかかる構成の詳細な説明は、上述の実施形態と同様の機能を有する構成要件に同一符号を付して省略する。
【0102】
本実施形態に係るECR方式プラズマ処理装置10Bは、マイクロ波を供給してプラズマを生成するプラズマ生成部としてのマイクロ波導入管l7Bを備えている。本実施の形態においても、窒素ガスと希ガスとの混合ガスをガス供給管232から、ガス吹出口239を経由して処理容器203内へ供給する。また、ガス供給と前後して、プラズマ生成部であるマイクロ波導入管17Bへマイクロ波18Bを導入し、その後、マイクロ波18Bを処理室201内へ放射させる。供給されたガスは、このマイクロ波18Bによりプラズマ化され、このプラズマにより窒素活性種が生成され、シリコン基板200上のゲート絶縁膜を窒化する。
【0103】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について説明する。
【0104】
本発明の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
基板を加熱するヒータと、
前記ヒータを内包し、前記処理室内に設けられた基板支持台と、
前記基板支持台を支持するシャフトと、
前記シャフト内に挿通された配線と、
前記配線を保持する保持部と、
前記保持部に接続された温度検出部と、を有する
基板処理装置が提供される。
【0105】
好ましくは、
前記配線は、
一端に前記ヒータが接続され、他端にヒータ電力供給線が接続機構を介して接続されるヒータ配線と、
前記接続機構と、
前記ヒータ電力供給線と、を有し、
前記保持部は前記接続機構を保持する。
【0106】
また好ましくは、
前記ヒータは、最も外側に配設された第一のヒータと、他のヒータとを有し、
前記シャフトの内壁と前記保持部との間にはガス供給機構が設けられ、
前記第一のヒータに接続された前記接続機構と前記ガス供給機構との距離は、前記他のヒータに接続された前記接続機構と前記ガス供給機構との距離より短くなるよう構成されている。
【0107】
また好ましくは、
前記配線は、前記第一のヒータに電力を供給する第一の配線と、前記他のヒータに電力を供給する他の配線と、を有し、
前記保持部は前記第一の配線と他の配線との間に設けられた仕切りを備える。
【0108】
また好ましくは、
前記温度検出部によって検出された温度データに応じて前記ヒータへの電力供給を制御する制御部を有する。
【0109】
また好ましくは、
前記ヒータ配線と前記ヒータ電力供給線とは互いに異なる材料から構成され、
前記ヒータ配線と前記ヒータ電力供給線との間には熱膨張率吸収部材が設けられる。
【0110】
本発明の他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
基板を加熱するヒータと、
前記ヒータを内包し、前記処理室内に設けられた基板支持台と、
前記基板支持台を支持するシャフトと、
前記シャフト内に挿通された配線と、
前記配線を保持する保持部と、
前記保持部に接続された温度検出部と、を有する基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記処理室内の基板支持台に基板を支持する基板支持工程と、
前記支持された基板を前記基板支持台に内包されたヒータで加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の間、前記保持部の温度を前記温度検出部が検出する半導体装置の製造方法が提供される。
【0111】
好ましくは、
前記温度検出部によって検出された温度データに応じて、前記制御部が前記ヒータへの電力供給を制御する。
【符号の説明】
【0112】
121 コントローラ(制御部)
200 シリコン基板(基板)
201 処理室
217b ヒータ
217c ヒータ配線
219 ヒータ電力供給線
268 シャフト
305 第二の熱電対(温度検出部)
500 基板支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
基板を加熱するヒータと、
前記ヒータを内包し、前記処理室内に設けられた基板支持台と、
前記基板支持台を支持するシャフトと、
前記シャフト内に挿通された配線と、
前記配線を保持する保持部と、
前記保持部に接続された温度検出部と、を有する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記配線は、
一端に前記ヒータが接続され、他端にヒータ電力供給線が接続機構を介して接続されるヒータ配線と、
前記接続機構と、
前記ヒータ電力供給線と、を有し、
前記保持部は前記接続機構を保持する
ことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ヒータは、最も外側に配設された第一のヒータと、他のヒータとを有し、
前記シャフトの内壁と前記保持部との間にはガス供給機構が設けられ、
前記第一のヒータに接続された前記接続機構と前記ガス供給機構との距離は、前記他のヒータに接続された前記接続機構と前記ガス供給機構との距離より短くなるよう構成されている
ことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板を処理する処理室と、
基板を加熱するヒータと、
前記ヒータを内包し、前記処理室内に設けられた基板支持台と、
前記基板支持台を支持するシャフトと、
前記シャフト内に挿通された配線と、
前記配線を保持する保持部と、
前記保持部に接続された温度検出部と、を有する基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記処理室内の基板支持台に基板を支持する基板支持工程と、
前記支持された基板を前記基板支持台に内包されたヒータで加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の間、前記保持部の温度を前記温度検出部が検出する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−142302(P2011−142302A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233952(P2010−233952)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】