説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】リンス処理時間の低減、及び、リンス液の使用量を低減させることが可能な基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【解決手段】第1の処理液で処理してから第2の処理液で処理する基板処理装置100は、第1、第2の処理液を半導体ウェーハに向けて供給する上部ノズル体51及び斜方ノズル体71と、半導体ウェーハW上面の膜厚を検出可能な膜厚検出手段81,82と、各処理液及び処理の特性等の情報を記憶したデータベース90と、膜厚検出手段により検出された膜厚とデータベース90に記憶された情報とに基いて、半導体ウェーハW上の液膜が第1の処理液から第2の処理液へと置換されたか否かを判定する制御装置7と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板を処理液によって処理する基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体装置の製造工程においては、円盤状の半導体ウェーハ等の基板に回路パターンを形成するための成膜プロセスやフォトプロセスがある。これらのプロセスでは基板を回転テーブルに保持して回転させる、いわゆるスピン処理装置等の基板処理装置を用いて基板を処理するということが行なわれている。また、基板を回転させずに、ころ等で基板を搬送しながら基板処理を行う基板処理装置も知られている。
【0003】
上記スピン処理装置を用いて基板を処理する場合には、例えば、基板を薬液であるエッチング液などの処理液で処理した後、同じく処理液としての純水などのリンス液でリンス処理を行う。次いで、回転テーブルを高速回転させることで、上記基板に付着残留した洗浄液を除去する乾燥処理が行なわれる。
【0004】
上記スピン処理装置は、周知のように処理槽を有し、この処理槽内にはカップ体が設けられている。このカップ体内には駆動源によって回転駆動される上記回転テーブルが設けられている。この回転テーブルには上記基板の外周部を保持する複数の保持部材が周方向に沿って所定間隔で設けられ、これらの保持部材によって上記基板が回転テーブルに対して着脱可能に保持される。
【0005】
従って、回転テーブルに基板を保持し、この回転テーブルを回転させて基板に処理液を供給すれば、この基板を処理することができ、また処理後に回転テーブルを高速回転させれば、基板を乾燥処理することができる。
【0006】
なお、処理液を供給して基板を処理する処理としては、ケミカル処理、物理処理、置換処理、乾燥処理等が知られている。例えば、基板のリンス処理ではミスト状の液滴を基板に供給し、液滴と基板が衝突する際のエネルギを用いて基板上の処理液をリンス液に置換するとともに、汚染物を基板から除去する物理処理が用いられる。このリンス処理により基板から汚染物を除去後、さらに回転テーブルを回転させて汚染物を含む処理液を基板外に排出させて基板を乾燥処理する方法が知られている。
【0007】
このようなリンス処理後の乾燥処理中に基板上表面に液滴の発生を防止するために、リンス処理において、液膜形成用回転数で基板を回転させて基板の上面に洗浄液を供給し、液膜を基板の上面全体に形成する処理装置及び処理方法も知られている(例えば特許文献1参照)。また、基板に供給する液量を制御するものも知られている。
【0008】
さらに、基板の周囲の雰囲気が基板の周縁部に巻き込まれることを抑制するために、遮蔽板の周縁部にスポンジ部材を対向させるとともに、空間を窒素ガス雰囲気に維持する処理装置及び処理方法も知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−17461号公報
【特許文献2】特開2008−166574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した基板処理装置及び基板処理方法では以下の問題があった。即ち、上述したリンス処理では、薬液を純水等のリンス液で置換するが、リンス処理を確実に行なうため、リンス処理を長めの時間行なうことで対応していた。しかし、リンス処理の時間が長くなると、リンス処理に用いる水等のリンス液の使用量が増大する。また、リンス液だけでなく、基板の生産性の低下にもなる。しかし、リンス処理の時間を短縮すると、汚染物が基板上に残存することもある。
【0011】
そこで本発明は、リンスの処理時間の短縮が可能な基板処理装置及び基板処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、基板を第1の処理液で処理してから第2の処理液で処理する基板処理装置であって、上記基板上に上記第1の処理液を供給する第1の処理液供給手段と、上記第1の処理液が供給された上記基板上に上記第2の処理液を供給する第2の処理液供給手段と、上記第2の処理液が供給された上記基板上の液膜厚さ(膜厚)を検出する膜厚検出手段と、この膜厚検出手段の検出に基いて上記基板に供給された上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定する判定部を有する制御手段と、を具備することを特徴とする基板処理装置にある。
【0013】
上記第2の処理液が供給された上記基板上の液膜を乾燥させる乾燥手段と、上記第2の処理液の乾燥時の乾燥特性が記憶された記憶手段と、をさらに具備し、上記制御手段は、上記乾燥手段により上記液膜を乾燥させたときに上記膜厚検出手段の検出に基いて上記液膜の膜厚の乾燥特性と、上記記憶手段に記憶された上記第2の処理液の乾燥時の特性とを比較することで、上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定することが好ましい。
【0014】
上記第2の処理液の特性が記憶された記憶手段と、をさらに具備し、上記制御手段は、上記第2の処理液供給手段により上記基板上に上記第2の処理液が供給されているときに、上記膜厚検出手段の検出に基いて上記基板上の上記液膜の特性を予測するとともに、この予測した上記第2の処理液の特性と、上記記憶手段に記憶された上記第2の処理液の特性とを比較することで、上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定することが好ましい。
【0015】
上記制御手段は、上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されていない場合に、上記第2の処理液供給手段により、上記基板上に上記第2の処理液をさらに供給させることが好ましい。
【0016】
この発明は、基板を第1の処理液で処理してから第2の処理液で処理する基板処理方法であって、上記基板上に上記第1の処理液を供給する工程と、上記第1の処理液が供給された上記基板上に上記第2の処理液を供給する工程と、上記第2の処理液が供給された上記基板上の液膜の膜厚を検出する工程と、この膜厚の検出に基いて上記基板に供給された上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定する工程と、を具備することを特徴とする基板処理方法にある。
【0017】
上記第2の処理液が供給された上記基板上の液膜を乾燥させる工程と、と具備し、上記液膜を乾燥させたときに検出された上記液膜の乾燥特性と、上記第2の処理液の乾燥時の乾燥特性とを比較することで、上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定することが好ましい。
【0018】
上記第2の処理液供給手段により上記基板上に上記第2の処理液が供給されているときに、検出された上記基板上の液膜厚さからこの液膜の特性を予測する工程と、をさらに具備し、上記予測した上記液膜の特性と、上記第2の処理液の特性とを比較することで、上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定することが好ましい。
【0019】
上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されていない場合に、上記基板上に上記第2の処理液をさらに供給させる工程をさらに具備することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、リンス処理及び乾燥処理における置換状態の確認、及び、複数回のリンス処理及び乾燥処理によって、リンス処理時間の低減、及び、リンス液の使用量の低減が可能となる。これにより、半導体ウェーハWの生産性を向上させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理槽を用いた処理装置の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同基板処理槽の構成を示す断面図。
【図3】同基板処理槽に用いる処理液の残留処理液量とリンス時間の関係の一例を示す説明図。
【図4】同基板処理槽に用いる処理液及びリンス液の基板上液膜厚さと乾燥時間の関係の一例を示す説明図。
【図5】同基板処理槽におけるリンス処理及び乾燥処理の流れの一例を示す流れ図。
【図6】同リンス処理及び乾燥処理における基板上液膜厚さと時間の関係の一例を示す説明図。
【図7】同リンス処理及び乾燥処理における基板の付着汚染物量と時間との関係の一例を示す説明図。
【図8】同リンス処理及び乾燥処理における基板上液膜厚さと時間の関係の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は基板処理装置100を示す。基板処理装置100は、枚葉式の半導体ウェーハ(基板)Wの処理装置である。基板処理装置100は、カセットステーション101を有する。このカセットステーション101はカセット102に未処理の半導体ウェーハWが収容されたローダ部103と、後述するようにリンス処理された半導体ウェーハWをカセット102に回収するアンローダ部104とを備えている。
【0023】
カセットステーション101には受け渡しユニット105が隣接して設けられている。この受け渡しユニット105には2つの基板処理槽1が設けられている。
【0024】
受け渡しユニット105にはX、Y及びθ方向に駆動されるロボット106を備えている。このロボット106は処理前の半導体ウェーハWと処理後の半導体ウェーハWを別々に扱い一対のアーム107を有し、一方のアーム107によってローダ部103のカセット102に収容された未処理の半導体ウェーハWを取り出して基板処理槽1に供給する。基板処理槽1に供給された半導体ウェーハWはここで洗浄処理及び乾燥処理がなされる。
【0025】
基板処理槽1で処理された半導体ウェーハWは上記ロボット106の他方のアーム107によって取り出され、カセットステーション101のアンローダ部104のカセット102に収納される。
【0026】
ローダ部103に収納された半導体ウェーハW全てが基板処理槽1により処理され、アンローダ部104に収容されたら、アンローダ部104を次工程の処理を行う装置へと搬送させる。
【0027】
次に、図2を用いて、基板処理槽1について説明する。基板処理槽1内には、カップ体2が配置されている。このカップ体2は、基板処理槽1の底板上に設けられた下カップ3と、この下カップ3に対して図示しない上下駆動機構により上下動可能に設けられた上カップ4とからなる。
【0028】
下カップ3の底壁には、周方向に所定間隔で複数の排出管5が接続されている。これら排出管5は排気ポンプ6に連通している。また、基板処理槽1には、制御装置(制御手段)7が設けられている。排気ポンプ6はこの制御装置7によって発停及び回転数が制御可能に形成されている。
【0029】
カップ体2の下面側にはベース板8が配置されている。このベース板8には、上記下カップ3と対応する位置に取付孔9が形成されている。この取付孔9には駆動手段を構成する制御モータ11の固定子12の上端部が嵌入固定されている。制御モータ11は、制御装置7によって発停及び回転数が制御可能に構成されている。
【0030】
固定子12は筒状に形成されている。固定子12の内部には、同じく筒状の回転子13が回転自在に嵌挿されている。この回転子13の上端面には筒状の連結体14が下端面を接触させて一体的に固定されている。この連結体14の下端には固定子12の内径寸法よりも大径な鍔部15が設けられている。この鍔部15は固定子12の上端面に摺動自在に接触しており、それによって回転子13の回転を阻止することなくこの回転子13が固定子12から抜け落ちるのを防止している。
【0031】
下カップ3には回転子13と対応する部分に通孔3aが形成され、連結体14は通孔3aからカップ体2内に突出している。この連結体14の上端には回転テーブル16が取付けられている。この回転テーブル16の周辺部には周方向に所定間隔、この実施の形態では60度間隔で6本(2本のみ図示)の円柱状の保持部材17が図示しない駆動機構によって回転可能に設けられている。
【0032】
上記保持部材17の上端面には、この保持部材17の回転中心から偏心した位置にテーパ面を有する支持ピン18が設けられている。回転テーブル16には、基板としての半導体ウェーハWが周縁部の下面を上記支持ピン18のテーパ面に当接するよう供給される。その状態で上記保持部材17を回転させれば、支持ピン18が偏心回転するから、回転テーブル16に供給された半導体ウェーハWは、上記支持ピン18によって保持される。
【0033】
上記回転テーブル16は乱流防止カバー21によって覆われている。この乱流防止カバー21は上記回転テーブル16の外周面を覆う外周壁22と、上面を覆う上面壁23とを有し、外周壁22は上側が小径部22a、下側が大径部22bに形成されている。この乱流防止カバー21は回転テーブル16を回転させたときに、回転テーブル16の上面で乱流が発生するのを防止するように形成されている。上カップ4の上面は開口しており、その内周面にはリング状部材25が設けられている。
【0034】
回転テーブル16に未処理の半導体ウェーハWを供給するとき、及び、乾燥処理された半導体ウェーハWを取り出すときには、上カップ4が後述するごとく下降させられる。
【0035】
基板処理槽1の上部壁には開口部31が形成されている。この開口部31にはULPAやHEPAなどのファン・フィルタユニット32が設けられている。このファン・フィルタユニット32はクリーンルーム内の空気をさらに清浄化して基板処理槽1内に導入するもので、その清浄空気の導入量は上記ファン・フィルタユニット32の駆動部33を上記制御装置7によって制御して行う。つまり、上記駆動部33により、ファン・フィルタユニット32のファン(図示せず)の回転数を制御することで、基板処理槽1内への清浄空気の供給量を制御可能に構成されている。
【0036】
基板処理槽1の一側には出し入れ口34が開口形成されている。この出し入れ口34は、基板処理槽1の一側に上下方向にスライド可能に設けられたシャッタ35によって開閉される。このシャッタ35は圧縮空気で作動するシリンダ36によって駆動される。つまり、上記シリンダ36には圧縮空気の流れを制御する制御弁37が設けられ、この制御弁37を制御装置7によって切換え制御することで、シャッタ35を上下動可能に設けられている。
【0037】
回転テーブル16に保持された半導体ウェーハWの上方には、各処理時に半導体ウェーハWの上面に処理液(第1の処理液及び第2の処理液)を供給する、上部ノズル体51及び斜方ノズル体71が配置されている。これら上部ノズル体51及び斜方ノズル体71は、各処理時において、異なる第1の処理液及び第2の処理液を半導体ウェーハW上に供給可能な第1の処理液供給手段及び第2の処理液供給手段の両方の機能をそれぞれ有している。即ち、上部ノズル体51及び斜方ノズル体71は、異なる処理液を半導体ウェーハW上に供給可能に設けられている。
【0038】
上部ノズル体51は水平に配置されたアーム体52の先端に設けられた第1取付部材53に取付けられている。
【0039】
アーム体52の基端は軸線を垂直にして配置された回転軸55の上端部に連結されている。この回転軸55の下端は回転駆動源56の出力軸57に連結されている。回転駆動源56は制御装置7によって上記回転軸55の回転角度及び回転速度を制御可能に設けられている。
【0040】
揺動するアーム体52の先端に設けられた上部ノズル体51は回転テーブル16に保持され半導体ウェーハWの径方向一端側の外方から中心を通過して径方向他端の外方にわたる間で揺動駆動される。
【0041】
上部ノズル体51の揺動軌跡の移動速度である揺動速度は、半導体ウェーハWの周辺部から中心部に向かうときは次第に増加し、中心部から周辺部に向かうときは次第に減速するよう制御される。
【0042】
上部ノズル体51は、処理液を供給する供給源が接続された第1の供給管58と、ガスを供給する供給源が接続された第2の供給管59と、を備えている。上部ノズル体51は、その先端から処理液をミストにて半導体ウェーハW上に噴射(供給)可能に形成されている。即ち、上部ノズル体51は、そのミスト状の処理液を半導体ウェーハWに供給し、処理液と半導体ウェーハWが衝突する際のエネルギを用いて半導体ウェーハW上に物理処理が可能に設けられている。
【0043】
第1の供給管58のその中途部には、第1電磁弁60、及び、処理液の物性値を調整可能な調整ユニットが設けられている。第1の供給管58の中途部には、調整ユニットとして、例えば、処理液の温度を調整可能な第1温度調整ユニット61と、処理液の濃度を調整可能な第1濃度調整ユニット62が設けられている。このような調整ユニットは、処理液の物性値を調整することで、処理液の液膜の膜厚を調整可能に設けられている。
【0044】
第2の供給管59の中途部には、第2電磁弁63及び第2温度調整ユニット64が設けられている。なお、上部ノズル体51に接続された第1,第2の供給管58、59は、例えば、アーム体52、回転駆動源56及び出力軸57内部に設けられ、上部ノズル体51に接続されている。
【0045】
第1の供給管58は、純水(以下「水」)、過酸化水素水やアンモニア加水等のSC−1及びレジスト剥離を行うエッチング液等の処理液を上部ノズル体51に供給する。第1電磁弁60は、制御装置7に接続されており、この制御装置7により第1の供給管58の流路の開閉が可能に設けられている。
【0046】
第1温度調整ユニット61は、制御装置7に接続されている。第1温度調整ユニット61は、供給源から供給された処理液の温度を調整可能に形成された、流体(液体)加熱用のヒータが用いられる。
【0047】
第1濃度調整ユニット62は、制御装置7に接続されている。第1濃度調整ユニット62は、処理液の濃度を調整可能に設けられている。具体的には、第1濃度調整ユニット62には、液体を供給する複数の供給源が接続されている。第1濃度調整ユニット62は、これら供給源のいずれか一つから水が供給されるとともに、他の供給源から処理を行う薬液が供給される。第1濃度調整ユニット62は、これら水と薬液との比率を変えて混合することで、濃度を調整して処理液を上部ノズル体51に供給する。
【0048】
第2の供給管59は、供給源から供給された窒素ガスを上部ノズル体51に供給する。第2電磁弁63は、制御装置7に接続されており、この制御装置7により第2の供給管59の流路の開閉が可能に形成されている。
【0049】
第2温度調整ユニット64は、制御装置7に接続されている。第2温度調整ユニット64は、供給源から供給された窒素ガスの温度を調整可能に形成された、流体(ガス)加熱用のヒータが用いられる。なお、供給源から供給されるガスは、窒素ガスでなくともよく、例えば、アルゴンガスであってもよい。
【0050】
斜方ノズル体71は、半導体ウェーハWの主面に向って半導体ウェーハWの斜め上方に設けられた第2取付部材72に取付けられている。なお、第2取付部材72は、斜方ノズル体71が半導体ウェーハWの主面に向って処理液を噴射可能に、斜方ノズル体71を取付可能に形成されている。
【0051】
斜方ノズル体71は、処理液を供給する供給源が接続された第3の供給管74を備えている。第3の供給管74は、その中途部に、第3電磁弁75、及び、処理液の物性値を調整可能な調整ユニットが設けられている。第3の供給管74の中途部には、調整ユニットとして、第3温度調整ユニット76及び第3濃度調整ユニット77が設けられている。なお、第3の供給管74は、例えば、第2取付部材72内部に設けられ、斜方ノズル体71に接続されている。
【0052】
第3の供給管74は、水、過酸化水素水やアンモニア加水等のSC−1及びレジスト剥離剤等の処理液等を斜方ノズル体71に供給可能に形成されている。第3電磁弁75は、制御装置7に接続されており、この制御装置7により、第3の供給管74の流路の開閉が可能に形成されている。
【0053】
第3温度調整ユニット76は、制御装置7に接続されている。第3温度調整ユニット76は、供給源から供給された処理液の温度を調整可能に形成された、流体(液体)加熱用のヒータが用いられる。
【0054】
第3濃度調整ユニット77は、制御装置7に接続されている。第3濃度調整ユニット77は、処理液の濃度を調整可能に設けられている。具体的には、第3濃度調整ユニット77には、液体を供給する複数の供給源が接続されている。第3濃度調整ユニット77は、これら供給源のひとつから水が供給されるとともに、他の供給源から処理を行う薬液が供給される。第3濃度調整ユニット77は、これら水と薬液との比率を変えて混合することで、濃度を調整して処理液を斜方ノズル体71に供給する。
【0055】
また、基板処理槽1内には、回転テーブル16の上方に配置され、半導体ウェーハW上面の全体の液膜の膜厚を検出(モニタ)可能な膜厚検出手段であるモニタユニットが設けられている。このモニタユニットは、半導体ウェーハWに光を照射する光源81と、光を認識するセンサであるカメラ82と、制御装置7により構成されている。
【0056】
なお、このようなモニタユニットは、まず、光源81により半導体ウェーハWに照射する。液膜により照射された光が反射され、この反射された光をカメラ82により認識する。具体的には、光源81により照射された光の反射、及び、液膜の変化により発する干渉縞をカメラ82により認識する。カメラ82により認識された情報から、制御装置7が、半導体ウェーハW上の液膜の変化に伴って、半導体ウェーハWの液膜をモニタし、液膜の厚さを検出する。このように、モニタユニットは、光源81、カメラ82及び制御装置7により、常時液膜の厚さを検出可能に形成されている。
【0057】
光源81は、制御装置7に接続されるとともに、半導体ウェーハWの処理時に常時半導体ウェーハW上面へと光を照射可能に形成されている。
【0058】
カメラ82は、制御装置7に接続されるとともに、半導体ウェーハWの上面で反射した反射光を認識するとともに、認識した反射光の情報を制御装置7に送信可能に形成されている。
【0059】
また、制御装置7には、記憶手段であるデータベース90が接続されている。データベース90は、例えば、液膜厚さ、前処理時使用処理液の特性、前処理時条件及びリンス液等の情報から予想される現在の半導体ウェーハW上の液膜の特性等の情報が記憶されている。この特性は、例えば、粘性、表面張力、温度、粘性及び濃度等である。また、データベース90には、各液膜の特性から必要なリンス処理の条件等の情報が記憶されている。
【0060】
データベース90に記憶されている情報の一例を、図3を用いて説明する。データベース90には、図3に示すように、例えば、処理液の種類や温度、回転テーブル16の回転数等のリンス処理条件を同一条件として異なる処理液A,Bを供給し、供給停止した時の時間経過による残留処理液量の関係が記憶されている。
【0061】
なお、図3に示す処理液A、Bの特性としては、処理液Aは粘度の高い処理液であり、処理液Bは、粘度の低い処理液である。これら処理液としては、例えば、硫酸、塩酸、有機溶剤等の粘度の高い処理液や、アルコール、IPA、アセトン、アンモニア等の粘度の低い処理液等がある。また、同様に、図示しないが、各リンス処理条件による各処理液の残留処理液量の変化や、各処理液の情報等も記憶されている。このように、データベース90には、処理液、リンス液、各処理等の情報が記憶されている。
【0062】
制御装置7は、上述したように、排気ポンプ6、制御モータ11、駆動部33、制御弁37、第1〜第3電磁弁60、63、75、第1〜第3温度調整ユニット61、64、76、第1、第3濃度調整ユニット62、77、光源81、カメラ82及びデータベース90に、それぞれ信号線Sを介して接続されている。制御装置7は、これら信号線Sを介して接続された各構成品をそれぞれ独立して制御可能に構成されている。
【0063】
制御装置7は、半導体ウェーハW上の液膜をリンス液に置換するリンス処理、及び、半導体ウェーハWの乾燥処理が可能に構成されている。詳しくは、制御装置7は、半導体ウェーハW上のリンス処理の前処理における処理液(第1の処理液)を、リンス処理を行うことで、リンス液(第2の処理液)に置換することが可能に構成されている。また、制御装置7は、回転テーブル16を回転させることで、置換されたリンス液を飛散させ、半導体ウェーハW上を乾燥させる乾燥処理が可能に構成されている。即ち、制御装置7及び回転テーブル16により半導体ウェーハWの乾燥手段が構成される。
【0064】
さらに、制御装置7は、置換の状態を判定する判定部7aを有しており、この判定部により、リンス処理中及び乾燥処理中において、処理液がリンス液に置換されたか否かを判定可能に構成されている。
【0065】
また、制御装置7は、主要な機能として、以下の機能を有している。
(1)半導体ウェーハW上の液膜の特性を予測する機能
(2)半導体ウェーハWの処理の条件を設定する機能
(3)半導体ウェーハWの処理中の液膜の特性をモニタし、処理時間の最適化を行なう機能
(4)処理液乾燥時の液膜の特性をモニタする機能
なお、制御装置7は、上記各機能(1)〜(4)以外の他の機能も適宜有している。
【0066】
次に、制御装置7の上記機能(1)〜(4)について説明する。なお、これら機能(1)〜(4)をリンス処理に用いた場合について説明する。
【0067】
制御装置7の機能(1)は、モニタユニットにより半導体ウェーハW上の膜厚を検出して、検出した膜厚から、半導体ウェーハW上の液膜(第1の処理液)の特性を予測する機能である。詳しくは、制御装置7は、光源81及びカメラ82により、リンス処理の前処理時における半導体ウェーハWの処理時において、半導体ウェーハWの上面に液膜を形成する処理液(第1の処理液)の液膜の膜厚を測定する。
【0068】
制御装置7は、この膜厚の測定結果、前処理時における処理液の情報、各調整ユニット61、62、64、76及び77の前処理時使用状況、前処理の処理条件、及び、各処理液の情報に基いて、半導体ウェーハW上の液膜の粘性、表面張力、温度、粘性及び濃度等の特性を予測する機能である。
【0069】
制御装置7の機能(2)は、制御装置7が、機能(1)で予測した半導体ウェーハW上の液膜の特性とデータベース90に記憶された情報から、リンス条件の決定を行う機能である。即ち、機能(1)で予測した液膜の特性と、データベース90に記憶された液膜の特性等から、半導体ウェーハWの最適なリンス条件を決定するものである。例えば、制御装置7は、データベース90に記憶された処理液及び処理液に対するリンス処理の処理条件等の情報から、最適な処理液切り時間、処理液切り回転数、リンス時間、リンス回転数及びリンス処理液種類選定等を行う。
【0070】
つまり、リンス処理の条件は、処理液等によって必要なリンス処理となるようにデータベース90の情報に基いて設定される。図3を用いて説明すると、リンス時間の設定においては、液膜が処理液Aではリンス時間を長くし、液膜が処理液Bではリンス時間を短くする等、リンス処理の条件が設定(決定)される。
【0071】
なお、リンス処理は、複数回行うことで、リンス処理を終了するように、リンス条件が設定される。即ち、リンス処理は、一度のリンス処理で、半導体ウェーハW上の処理液をリンス液に置換終了させるのではなく、最低2回のリンス処理により、処理液をリンス液に置換させるように、制御装置7は、リンス条件を決定する。
【0072】
制御装置7の機能(3)は、機能(2)で決定したリンス条件により行う半導体ウェーハWのリンス処理中の液膜の特性をモニタし、リンス時間の最適化を行なう機能である。
【0073】
即ち、制御装置7は、設定されたリンス条件により半導体ウェーハWのリンス処理を行うとともに、常時、モニタユニットにより半導体ウェーハ(基板)W上の液膜の膜厚を検出する。この検出した半導体ウェーハW上の液膜の特性から、制御装置7により、上記機能(2)で決定されたリンス時間を最適なリンス時間へと再設定してリンス処理する機能である。
【0074】
詳しくは、リンス処理中に、常時リンス液の液膜をモニタすることで、リンス処理中の液膜を機能(1)と同様に、処理液の特性を予測し、予測した特性から、置換状況を判定部7aにより判定し、リンス処理を行う時間を再設定する。即ち、予め設定したリンス時間を、リンス処理による液膜の置換状況に応じて再設定することで、不必要なリンス処理を防止する。このように、機能(3)は、モニタした液膜の特性から、フィードバック制御によりリンス処理を行う機能である。つまり、実際の測定結果と予測とを比較して、再設定を行う。
【0075】
制御装置7の機能(4)は、機能(3)で再設定されたリンス時間経過後に行うリンス液の乾燥処理における、リンス液の乾燥特性をモニタする機能である。詳しくは、図4の各液の乾燥時間と半導体ウェーハW上膜液膜厚さの関係に示すように、リンス液を乾燥させた場合には、リンス液の乾燥時の特性から、リンス液は所定の膜厚を乾燥させるのに、所定の乾燥時間が必要となる。即ち、リンス液の液膜の膜厚と乾燥時間の関係は、所定の傾きとなる。
【0076】
データベース90は、図4に示すリンス液の液膜厚さと乾燥時間の関係(傾き)であるリンス液の乾燥時の特性(乾燥特性)を記憶しており、制御装置7は、半導体ウェーハW上の液膜の乾燥特性とデータベース90に記憶されたリンス液の乾燥特性を比較し、半導体ウェーハW上の処理液がリンス液に置換されているか否かの判定を行う。
【0077】
制御装置7は、データベース90に記憶されたリンス液の乾燥特性と、検出した液膜の乾燥特性とが同一の場合には、リンス液に置換されていると判定部7aにより判定し、リンス処理を終了する。制御装置7は、リンス液に置換されていない場合、即ち、リンス液の乾燥特性と半導体ウェーハW上の液膜の乾燥特性とが異なる場合には、再びリンス処理を行う。
【0078】
次に、このように構成された基板処理装置100の基板処理槽1による半導体ウェーハWのリンス処理及びリンス処理後の乾燥処理について、図5に示す流れ図を用いて説明する。
図5に示すように、先ず、制御装置7は、リンス処理の前処理において、光源81から光を発射させ、カメラ82により液膜で反射する光の干渉縞を認識させる。制御装置7は、この情報を解析することで半導体ウェーハW上の液膜の膜厚を測定する(ステップST1)。即ち、制御装置7は、リンス処理の前処理に用いられる処理液の液膜厚さを測定する。
【0079】
制御装置7は、膜厚、前処理時使用処理液の特性及び処理液のデータ等の処理液情報と、データベース90に記憶された処理液の特性とを比較する。制御装置7は、処理液情報とデータベース90に記憶された処理液の特性から、機能(1)として、半導体ウェーハW上の液膜である処理液の特性を予測する(ステップST2)。これにより制御装置7は、処理液の特性を決定する。なお、予測する処理液の特性としては、処理液の種類、粘度、表面張力、温度及び濃度等である。
【0080】
制御装置7は、予測(決定)した処理液の特性から、機能(2)として、リンス処理のリンス条件を決定する(ステップST3)。制御装置7は、決定されたリンス条件から、リンス処理を行う(ステップST4)。
【0081】
なお、図6に示すリンス処理の液膜厚さと処理時間の関係を示す説明図では、乾燥時間軸に平行な線において、リンス処理、即ち、処理液の置換及びパーティクルの除去が行われる。詳しくは、時間経過とともに膜厚が厚くなるときには、半導体ウェーハW上にリンス液が供給されることで、膜厚が漸次形成されており、一定量のリンス液が供給されると、供給されたリンス液の一部は半導体ウェーハWから飛散するとともに、他部が一定膜厚の液膜を形成する。このとき、半導体ウェーハWから飛散するリンス液に処理液及びパーティクルが含有されることで、徐々に処理液がリンス液に置換させる。
【0082】
制御装置7は、リンス条件に基いてリンス処理を行うとともに、検出した処理液の特性からリンス処理による置換状態を確認する(ステップST5)。なお、リンス条件の決定時に予測した置換状態と検出した置換状態とが異なる場合(ステップST5のYES)には、制御装置7は、機能(3)として、リンス条件のうち、リンス時間を再度決定する(ステップST6)。
【0083】
リンス条件から予測された置換状態と確認した置換状態とが同じ、即ち、リンス処理が設定されたリンス条件通りに行われている場合(ステップST5のNO)には、リンス処理時間が経過したか否かを判定する(ステップST7)。リンス処理時間が経過していない場合(ステップST7のNO)には、ステップST4へと戻り、リンス処理時間が経過するまでリンス処理が行われる。
【0084】
リンス処理時間が経過した場合(ステップST7のYES)には、リンス処理を停止させる(ステップST8)。その後、半導体ウェーハW上のリンス液を乾燥させて乾燥処理を行う(ステップST9)。制御装置7は、機能(4)として、乾燥処理中の乾燥処理の時間と液膜厚さの変化から、図4,6に示すような乾燥特性をモニタする(ステップST10)。
【0085】
乾燥処理終了後、制御装置7は、図4に示すように、モニタした乾燥特性である乾燥処理時の膜厚と乾燥時間の関係から、置換が終了したか否かの判定を行う(ステップST11)。即ち、データベース90に記憶されたリンス液の乾燥特性と、モニタした乾燥特性とを比較し、同一の場合には、処理液をリンス液に置換終了と判定し(ステップST11のYES)、リンス処理及び乾燥処理が終了する。これにより、半導体ウェーハWは、次工程へと運搬されて、次工程で他の処理が行われる。
【0086】
なお、データベース90に記憶されたリンス液の乾燥特性と、モニタした乾燥特性とが異なる場合には、リンス液への置換が終了していないと判定され(ステップST11のNO)、再びリンス条件を決定(ステップST3)し、リンス処理を行う(ステップST4)。制御装置7は、このように、リンス処理及び乾燥処理を、置換が終了するまで複数回行う。なお、制御装置7は、モニタした半導体ウェーハW上の液膜の乾燥特性が、データベース90に記憶されたリンス液の乾燥特性と同一となることで、置換終了の判定を行う。
【0087】
即ち、図6に示すように、リンス液を供給してリンス処理を行うと共に、リンス液の供給を停止して乾燥処理を行い、乾燥処理時の乾燥特性が、図4に示す(データベース90に記憶された)リンス液の乾燥特性と近似し、最終的に乾燥特性が同一となるまで、リンス処理及び乾燥処理を繰返し行う。このように、複数回リンス処理及び乾燥処理を行い、図6に示すモニタされた乾燥特性がデータベース90に記憶された乾燥特性と同一となることで、置換終了となる。
【0088】
なお、図6に示すリンス処理及び乾燥処理の説明をすると、図6で用いられている処理液は、たとえば、図3,4での処理液Bのような乾燥時間が早い、又は、粘度が低い等の特徴を持つ処理液である。図6に示すように、リンス処理及び乾燥処理が複数回行われることで、漸次リンス液(処理液)の乾燥時間が長くなり、最終的には、図5に示すリンス液と同一の傾きとなる。これにより、リンス処理によって処理液がリンス液に置換されたと判定され、リンス処理が終了する。
【0089】
このように構成された基板処理槽1を用いた基板処理装置100によれば、リンス処理及び乾燥処理を複数回繰返し行うことで、リンス液の置換及び半導体ウェーハWに付着する汚染物量を低減することが可能となる。また、図7に示すように、複数回リンス処理及び乾燥処理を行うことで、従来のようなリンス処理及び乾燥処理を一回だけ行うよりも、置換及び汚染物量の低減することが可能となるとともに、リンス時間が短縮及びリンス液の量を低減することが可能となる。
【0090】
これは、一般的な流速分布から、液膜の表面側では流速が大きく、半導体ウェーハW表面では液膜の流速が略0と見なされる為、半導体ウェーハW上の処理液の移動は、液膜表面が主である。このため、液体のリンス処理において、回転テーブル16により回転する半導体ウェーハW上の液膜は、半導体ウェーハW表面に位置する処理液が停留することとなり、置換されにくい。また、ミスト状に噴射されたリンス液により、物理処理しても、液膜中で処理液及びリンス液は対流するため、半導体ウェーハW表面側に位置する汚染物や処理液が残存する虞がある。
【0091】
このような要因から、リンス液に置換するために必要な時間が長くなる。これに対し、一端、リンス液の供給を停止し、乾燥処理を行うことで、半導体ウェーハW上の処理液を含むリンス液が回転により飛散するため、半導体ウェーハW上の処理液及び汚染物質の量は低減する。これにより、次回リンス処理における、処理液及び汚染物質の割合がリンス液に対して低減する。このため、効率よくリンス処理行うことが可能となり、処理液をリンス液に置換することが容易となる。このことから、置換時間、及び、リンス液の使用量が低減する。
【0092】
また、リンス液の供給を停止することで、液膜厚さは漸次低減することとなり、回転時の流速分布による半導体ウェーハW表面上での低流速の影響も低減することが可能となる。即ち、乾燥処理終了直前の液膜においては、液膜表面と半導体ウェーハW表面との距離を縮めることができるため、半導体ウェーハW表面側の流速が大きくなり、半導体ウェーハW表面側での低流速の影響も低減し、半導体ウェーハW表面近くの処理液及び汚染物質を効率よく飛散することが可能となる。このため、リンス処理によるリンス液の置換に必要なリンス液の量、及び、リンス処理の時間を低減することが可能となる。
【0093】
また、光源81、カメラ82及び制御装置7により、常時液膜厚さを検出し、データベース90に記憶された処理液の特性と比較することで、液膜の特性を予測し、精度のよいリンス条件を決定することが可能となる。
【0094】
リンス処理前に、半導体ウェーハW上の処理液特性を決定することで、リンス条件の精度を向上させるだけでなく、基板処理槽1の故障の発見も可能となる。即ち、基板処理において、使用している処理液と、検出した液膜の特性とが著しく異なる場合には、リンス処理を行う前に、第1、第3濃度調整ユニット62、77の故障と判定することも可能となる。
【0095】
また、リンス処理中に置換状態を確認することで、リンス時間を最適にすることが可能となるとともに、乾燥処理時に置換状態を確認することで、再度リンス処理を行うことが可能となる。即ち、液膜をモニタして液膜の特性を予測し、予測した特性をフィードバックしてリンス処理を行うことで、従来のリンス時間を予め決定してリンス処理を行う場合に比べ、無駄なリンス処理を防止することが可能となる。即ち、リンス時間を短時間とし、必要に応じて再度リンス処理を行うことが可能となり、精度良くリンス処理を行うことが可能となる。
【0096】
このように、リンス処理を減少させることが可能となり、リンス処理時間の低減となる。リンス処理時間の低減により、リンス液の使用量の低減、及び、生産性の向上となる。
【0097】
上述したように本実施の形態に係る基板処理装置100によれば、リンス処理及び乾燥処理における置換状態の確認、及び、複数回のリンス処理及び乾燥処理を行うことで、リンス処理時間の低減、及び、リンス液の使用量を低減させることが可能となる。これにより、半導体ウェーハWの生産性を向上させることも可能となる。
【0098】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、乾燥処理終了後に、制御装置7は、モニタした乾燥特性とデータベース90のリンス液の乾燥特性とを比較して、置換が終了したか否かの判定を行うとしたが、これに限られない。例えば、図8に示すように、図8に示す乾燥処理中にモニタした乾燥特性と、図4に示すデータベース90のリンス液の乾燥特性とを比較して、置換が終了していない場合には、乾燥処理をその時点で停止させてリンス液を供給し、リンス処理を行ってもよい。
【0099】
また、上述した例では、リンス処理中、及び、乾燥状態において、置換状態の確認を行ったが、リンス処理中又は乾燥状態のいずれか一方でもよい。いずれか一方で置換状態の確認を行うことで、確認を行わない場合に比べ、リンス処理の精度は向上することとなる。
【0100】
さらに、上述した例では、基板処理装置100は、回転テーブル16を有し、半導体ウェーハWを回転させる基板処理槽1を有する構成としたが、回転テーブル16を有する基板処理槽1でなく、例えば、ころ等により半導体ウェーハWを搬送し、ある位置で半導体ウェーハWに処理を行う処理装置であってもよい。
【0101】
また、上述した例では、膜厚検出手段として、モニタユニットは、光源81により半導体ウェーハWに光を照射し、液膜により反射した光をカメラ82により認識する構成としたが、これに限定されない。例えば、光でなくレーザ光や静電容量によって液膜厚さを検出するモニタユニットであってもよく、液膜の厚さを検出可能であれば他の構成であってもよい。
【0102】
さらに、上述した例では、複数のノズル体として、上部ノズル体51及び斜方ノズル体71を有する構成としたが、他にもノズル体を有する構成としてもよい。また、リンス処理に使用する純水のみを噴射可能なノズル体を有する構成であってもよい。このノズル体の場合には、濃度調整を行う調整ユニットを設ける必要はなく、温度調整用の調整ユニットのみを設ける構成でよい。さらに、複数のノズル体でなく、単数、例えば、上部ノズル体51のみを有する構成であってもよい。
【0103】
また、上述した例では、複数回のリンス処理及び乾燥処理を行うとしたが、一度だけリンス処理及び乾燥処理を行う場合であっても良い。複数回のリンス処理及び乾燥処理に比べ、一回だけリンス処理及び乾燥処理を行うと、処理時間の低減効果は期待できない。しかし、液膜の膜厚を検出して処理液の特性を予測(機能(1))するとともに、処理時間の最適化(機能(3))を行うことで、処理の効果及び精度を向上させることが可能となる。
【0104】
また、上述した例では、リンス処理について説明を行ったが、リンス処理だけでなく、他処理に適用することもできる。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0105】
1…基板処理槽、2…カップ体、3…下カップ、3a…通孔、4…上カップ、5…排出管、6…排気ポンプ、7…制御装置(乾燥手段、制御手段、膜厚検出手段)、7a…判定部、8…ベース板、9…取付け孔、11…制御モータ、12…固定子、13…回転子、14…連結体、15…鍔部、16…回転テーブル(乾燥手段)、17…保持部材、18…支持ピン、21…乱流防止カバー、22…外周壁、22a…小径部、22b…大径部、23…上面壁、25…リング状部材、31…開口部、32…ファン・フィルタユニット、33…駆動部、34…出し入れ口、35…シャッタ、36…シリンダ、37…制御弁、51…上部ノズル体(第1、第2の処理液供給手段)、52…アーム体、53…取付部材、55…回転軸、56…回転駆動源、57…出力軸、58…第1の供給管、59…第2の供給管、60…第1電磁弁、61…第1温度調整ユニット、62…第1濃度調整ユニット、63…第2電磁弁、64…第2温度調整ユニット、71…斜方ノズル体(第1、第2の処理液供給手段)、72…第3取付部材、74…第3の供給管、75…第3電磁弁、76…第3温度調整ユニット、77…第3濃度調整ユニット、81…光源(膜厚検出手段)、82…カメラ(膜厚検出手段)、90…データベース(記憶手段)、100…基板処理装置、101…カセットステーション、102…カセット、103…ローダ部、104…アンローダ部、105…ユニット、106…ロボット、107…アーム、W…基板(半導体ウェーハ)、S…信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を第1の処理液で処理してから第2の処理液で処理する基板処理装置であって、
上記基板上に上記第1の処理液を供給する第1の処理液供給手段と、
上記第1の処理液が供給された上記基板上に上記第2の処理液を供給する第2の処理液供給手段と、
上記第2の処理液が供給された上記基板上の液膜の厚さを検出する膜厚検出手段と、
この膜厚検出手段の検出に基いて上記基板に供給された上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定する判定部を有する制御手段と、
を具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
上記第2の処理液が供給された上記基板上の液膜を乾燥させる乾燥手段と、
上記第2の処理液の乾燥時の乾燥特性が記憶された記憶手段と、をさらに具備し、
上記制御手段は、上記乾燥手段により上記液膜を乾燥させたときに上記膜厚検出手段の検出に基いて上記液膜の膜厚の乾燥特性と、上記記憶手段に記憶された上記第2の処理液の乾燥時の特性とを比較することで、上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
上記第2の処理液の特性が記憶された記憶手段と、をさらに具備し、
上記制御手段は、上記第2の処理液供給手段により上記基板上に上記第2の処理液が供給されているときに、上記膜厚検出手段の検出に基いて上記基板上の上記液膜の特性を予測するとともに、この予測した上記第2の処理液の特性と、上記記憶手段に記憶された上記第2の処理液の特性とを比較することで、上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
上記制御手段は、上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されていない場合に、上記第2の処理液供給手段により、上記基板上に上記第2の処理液をさらに供給させることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板を第1の処理液で処理してから第2の処理液で処理する基板処理方法であって、
上記基板上に上記第1の処理液を供給する工程と、
上記第1の処理液が供給された上記基板上に上記第2の処理液を供給する工程と、
上記第2の処理液が供給された上記基板上の液膜の膜厚を検出する工程と、
この膜厚の検出に基いて上記基板に供給された上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定する工程と、
を具備することを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】
上記第2の処理液が供給された上記基板上の液膜を乾燥させる工程と、と具備し、
上記液膜を乾燥させたときに検出された上記液膜の乾燥特性と、上記第2の処理液の乾燥時の乾燥特性とを比較することで、上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
上記第2の処理液供給手段により上記基板上に上記第2の処理液が供給されているときに、検出された上記基板上の液膜厚さからこの液膜の特性を予測する工程と、をさらに具備し、
上記予測した上記液膜の特性と、上記第2の処理液の特性とを比較することで、上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されたか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項8】
上記第1の処理液が上記第2の処理液に置換されていない場合に、上記基板上に上記第2の処理液をさらに供給させる工程をさらに具備することを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−239014(P2010−239014A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86942(P2009−86942)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】