説明

基板処理装置

【課題】基板の表面に形成された複雑な構造(トレンチやホール)による乾燥不良を防止する。
【解決手段】処理槽31において基板9に対する純水による洗浄処理を終了した後に、アルコール供給部37から処理槽31にアルコールを供給することにより、処理槽31内の処理液91をアルコールで置換する。また、チャンバ40内の処理槽41において基板9に対するフッ素系溶媒の液体による洗浄を行い、その後、処理槽41から基板9を引き上げて、チャンバ40内でフッ素系溶媒のガスで乾燥処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板の表面に残留する純水を除去する技術に関する。より詳しくは、基板の表面に形成されたトレンチやホールといった構造における乾燥不良を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、塗布処理やエッチング処理等によって様々な処理液が使用される。そのため、半導体デバイスの製造工程では、各工程の間に、適宜、基板を洗浄することが必要となる。例えば、特許文献1に、基板を洗浄する基板処理装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−252201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、半導体デバイスの製造工程においては、基板の表面にトレンチやホールといった複雑な構造が形成され、基板の表面が平坦とはならない場合がある。
【0005】
ところが、このような複雑な構造は、基板表面から突出したり窪んだりする構造であるため、基板表面に洗浄に使用された純水が残留しやすく、乾燥不良を生じるという問題があった。すなわち、特許文献1に記載された技術では、純水の除去が不十分となる虞があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板の表面の乾燥不良を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、基板を処理する基板処理装置において、フッ素系溶媒の液体を貯留する処理槽と、前記処理槽を収容するチャンバと、前記チャンバ内において基板を保持した状態で、基板が前記処理槽内に配置される第1位置と前記処理槽の上方に配置される第2位置との間を移動する保持機構と、前記第1位置において、フッ素系溶媒の液体で処理された基板を保持した前記保持機構を前記第1位置から前記第2位置へ移動させて前記保持機構に保持された基板にフッ素系溶媒のガスを供給するガス供給手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記チャンバ内において、前記処理槽を収容する第1空間を、前記第2位置に移動した前記保持機構を収容する第2空間に対して開閉する開閉機構と、基板を保持した前記保持機構が前記第1位置に移動した場合および基板を保持した前記保持機構が前記第2位置に移動した場合には前記第1空間と前記第2空間とを遮断するように前記開閉機構を制御し、基板を保持した前記保持機構が前記第1位置と前記第2位置との間で移動する場合には前記第1空間と前記第2空間とを連通するように前記開閉機構を制御する開閉制御手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る基板処理装置において、前記処理槽を第1処理槽とし、前記保持機構を第1保持機構とし、処理液を貯留する第2処理槽と、処理液としての純水を前記第2処理槽に供給する第1供給機構と、処理液としての純水が貯留されている状態の前記第2処理槽内に、処理液としてのアルコールを供給する第2供給機構と、基板を保持した状態で、基板が前記第2処理槽内に配置される位置と前記第2処理槽の上方の位置との間を移動する第2保持機構と、前記第2保持機構から基板を受け取り、前記チャンバに向けて搬送するとともに前記第1保持機構に基板を受け渡す搬送機構とをさらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1または2の発明に係る基板処理装置において、純水を前記処理槽に供給する第1供給機構と、アルコールを前記処理槽に供給する第2供給機構と、前記処理槽に貯留されるフッ素系溶媒の液体を前記処理槽に供給する第3供給機構とをさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る基板処理装置において、前記第2供給機構は、純水が貯留されている状態の前記処理槽内にアルコールを供給することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項4または5の発明に係る基板処理装置において、前記第3供給機構は、アルコールが貯留されている状態の前記処理槽内にフッ素系溶媒の液体を供給することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項3ないし6のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記アルコールは、イソプロピルアルコール、エタノールまたはメタノールを含むことを特徴とする。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記フッ素系溶媒は、ハイドロフルオロエーテルまたはハイドロフルオロカーボンを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1ないし8に記載の発明では、フッ素系溶媒の液体とフッ素系溶媒のガスとを使用して、洗浄に使用した純水等の処理液を基板表面から除去するので、トレンチやホールといった複雑な構造が基板表面に形成されている場合でも、処理液を良好に乾燥させることができ、乾燥不良(特に処理液による乾燥不良)を抑制できる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、第2処理槽において基板に対して純水による処理を行った後、アルコールによる処理を行う。したがって、基板表面に多くの純水が存在する状況で基板を酸素存在下の雰囲気に曝すことがないので、ウォーターマーク等の乾燥不良を抑制できる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、純水を処理槽に供給する第1供給機構と、アルコールを処理槽に供給する第2供給機構と、処理槽に貯留されるフッ素系溶媒の液体を処理槽に供給する第3供給機構とをさらに備えることにより、洗浄処理から乾燥処理までの処理を1つの処理槽で実行できる。したがって、最終的な乾燥処理が完了するまで、基板を搬送する必要がなく、基板表面に未だ純水が存在する状況で基板を搬送する必要がないので、純水が酸素存在下で乾燥することを抑制でき、ウォーターマーク等の乾燥不良を抑制できる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、処理槽において基板に対して純水による処理を行った後、アルコールによる処理を行う。したがって、基板表面に未だ多くの純水が存在する状況で基板を酸素存在下の雰囲気中に曝すことがないので、ウォーターマーク等の乾燥不良を抑制できる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、第3供給機構はアルコールが貯留されている状態の処理槽内にフッ素系溶媒の液体を供給することによってアルコールとフッ素系溶媒の液体とを置換する。これにより、アルコールによる処理からフッ素系溶媒の液体による処理に移行する間に基板が処理槽内において酸素等を含む雰囲気に曝されることがない。したがって、基板表面に未だ純水が存在する状況で基板を酸素存在下の雰囲気中に曝すことがなく、ウォーターマーク等の乾燥不良を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0021】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態における基板処理装置1を示す図である。基板処理装置1は、搬送ロボット10、第1処理部2、第2処理部3、第3処理部4および制御部8を備えている。なお、図1において図示を簡略化しているが、基板処理装置1において、各構成は制御部8と接続されており、制御部8からの制御信号に基づいて動作する。
【0022】
搬送ロボット10は、後述するリフタ22,32,42との間で複数枚の基板9の受け渡しを行う。また、搬送ロボット10は、保持した複数の基板9を第1処理部2、第2処理部3および第3処理部4の間で搬送し、本発明における搬送機構に相当する。
【0023】
第1処理部2は、薬液90を貯留する処理槽21、基板9を保持した状態で上下方向に昇降させるリフタ22、処理槽21内の薬液90を循環させる際の流路となる循環配管23および薬液90を循環させるためのポンプ24を備え、基板9を薬液90によって処理する機能を有する。なお、本実施の形態における第1処理部2は、薬液90としてBHF液を使用する。
【0024】
リフタ22は、搬送ロボット10から受け取った基板9を下降させて、処理槽21内に搬入する。この動作によって、リフタ22に保持された基板9は、処理槽21内に貯留されている薬液90に浸漬される。
【0025】
また、リフタ22は、保持した基板9を上昇させて、処理槽21内の基板9を搬出する。この動作によって、基板9は薬液90から引き上げられるため、基板9に対する薬液90による処理が終了する。このようにして、処理槽21から搬出された基板9は、リフタ22から搬送ロボット10に受け渡され、第2処理部3に向けて搬送される。
【0026】
第2処理部3は、処理液91を貯留する処理槽31、基板9を保持した状態で上下方向に昇降させるリフタ32、処理液91を処理槽31に供給する際の流路となるとともに、下流側が処理槽31の底部に連通接続された供給配管33、処理液91を処理槽31に向けて送液するためのポンプ34、供給配管33を選択的に開閉する三方弁35、純水を供給する純水供給部36およびアルコールを供給するアルコール供給部37を備え、基板9を処理液91によって洗浄処理する機能を有する。
【0027】
処理槽31は、処理液91として、純水またはアルコールを貯留する。すなわち、処理槽31は、本発明の第2処理槽に相当する。
【0028】
リフタ32は、搬送ロボット10から受け取った基板9を下降させて、処理槽31内に搬入する。また、リフタ32は、保持した基板9を上昇させて、処理槽31内の基板9を搬出する。
【0029】
ポンプ34は、制御部8からの制御信号に応じて駆動される。ポンプ34が駆動されると、三方弁35の状態に応じて、純水またはアルコールが供給配管33を介して処理槽31に向けて送液される。
【0030】
三方弁35は、制御部8からの制御信号に応じて、純水供給部36またはアルコール供給部37を供給配管33に連通接続する。すなわち、制御部8が三方弁35を制御することにより、供給配管33から処理槽31に供給される処理液91が選択される。
【0031】
純水供給部36は、供給配管33を介して処理槽31に処理液91として「純水」を供給する。すなわち、純水供給部36および供給配管33は本発明における第1供給機構に相当する。
【0032】
アルコール供給部37は、供給配管33を介して処理槽31に処理液91として「アルコール」を供給する。すなわち、アルコール供給部37および供給配管33は本発明における第2供給機構に相当する。
【0033】
次に、第2処理部3における基板9に対する処理動作を説明する。搬送ロボット10によって第2処理部3に基板9が搬送されると、処理槽31の上方位置において、搬送ロボット10から、上昇したリフタ32に基板9が受け渡され、第2処理部3における処理が開始される。
【0034】
基板9を受け取ったリフタ32は基板9を保持したまま下降する。この動作によって、リフタ32に保持された基板9は、処理槽31内に搬入され、このとき処理槽31内に貯留されている処理液91に浸漬される。
【0035】
基板処理装置1では、リフタ32によって基板9が処理槽31に搬入される前に、予め純水供給部36から供給配管33を介して処理槽31に向けて純水が供給される。すなわち、基板9が処理槽31に搬入されるときには、処理液91としての「純水」が処理槽31に貯留されている。言い換えれば、第2処理部3における洗浄処理は、純水による洗浄によって開始される。
【0036】
純水による処理が充分に進行した時点で、制御部8からの制御信号により三方弁35が切り替わり、処理槽31に対してアルコール供給部37からのアルコールの供給が供給配管33を介して開始される。
【0037】
このように、本実施の形態における基板処理装置1では、純水による処理とアルコールによる処理とが、いずれも処理槽31内において連続的に実行され、この間、基板9を純水から引き上げて搬送することはない。
【0038】
また、第2処理部3では、処理槽31の純水を完全に排出してからアルコールを処理槽31に供給(液交換)するのではなく、純水が貯留されたままの状態の処理槽31に対してアルコール供給部37からアルコールを処理槽31に供給(液置換)する。このとき、純水は処理槽31の上部からオーバーフローによって排出され、処理槽31内において徐々にアルコール濃度が上昇する。
【0039】
このようにして純水からアルコールへ液置換を行う間、制御部8は、アルコール供給部37から処理槽31にアルコールを供給させつつ、処理槽31内に設けられた濃度計5によって処理液91におけるアルコール濃度を監視する。そして、処理液91のアルコール濃度が所定の値(例えば50%以上)となった時点で、アルコール供給部37から処理槽31へのアルコールの供給を停止させる。
【0040】
アルコールから純水への「液置換」ではなく、処理槽31からの純水の排水を行うと、純水の貯留量の減少に伴って純水の液面が下がり、徐々に基板9の表面が純水から露出する。すなわち、アルコールを供給することなく純水を排出すると、基板9の表面に形成されたトレンチやホールの内部等に純水が残留した状態で、基板9の表面が酸素等が存在する雰囲気中に曝されることとなる。特に、雰囲気中に酸素が存在する状態で純水が蒸発すると、基板9にウォーターマーク等の乾燥不良を生じる虞がある。
【0041】
しかし、本実施の形態における基板処理装置1は、純水から酸素のある雰囲気中に基板9を曝すことなく、アルコールによる脱水処理に移行する。これにより、酸素存在下の雰囲気中で純水が乾燥することを防止するため、乾燥不良を抑制できる。なお、詳細は図示していないが、液置換を終了した後、アルコールによる処理が充分に進行するまでの間、制御部8はアルコールを含む処理液91を処理槽31に対して循環させる。
【0042】
アルコールによる処理が充分に進行すると、制御部8からの制御信号に応じて、リフタ32が基板9を保持したまま上昇する。この動作によって、基板9は処理液91(所定の濃度以上のアルコール)から引き上げられ、基板9に対するアルコールによる処理が終了する。なお、アルコールによる処理が充分に進行したか否かは、予め充分な処理時間を決定しておいて、その処理時間が経過することにより制御部8が判断する。
【0043】
本実施の形態では、純水との液置換を行う処理液としてアルコールを用いると説明したが、アルコールとしては、イソプロピルアルコール((CH3)2CHOH)、エタノール(C2HOH)、メタノール(CH3OH)が適している。しかし、これらに限定されるものではない。このような処理液としては、純水より表面張力が低いだけでなく、純水との親和性(脱水効果)が高く、乾燥が容易かつ固体が残らない揮発性の高い液体が好ましい。
【0044】
このようにして、リフタ32によって処理槽31から搬出された基板9は、搬送ロボット10に受け渡され、第3処理部4側に向けて搬送される。以上が第2処理部3における処理動作の説明である。
【0045】
第3処理部4は、チャンバ40、処理槽41、リフタ42、処理槽41内の処理液92を循環させる循環配管43、循環配管43内の処理液92を送液するポンプ44および循環配管43内を流れる処理液92を加熱するヒーター45を備える。循環配管43の上流側は処理槽41の底部に連通接続され、下流側から処理槽41に処理液を供給する。
【0046】
なお、リフタ42について、図1において二点鎖線で示す位置を「第1位置」、図1において実線で示す位置を「第2位置」と称する。また、チャンバ40内の空間を上下方向に第1空間93と第2空間94に分け、第1空間93は処理槽41を収容する空間とし、第2空間94は第2位置に移動したリフタ42を収容する空間とする。
【0047】
処理槽41は、フッ素系溶媒の液体を処理液92として貯留する。すなわち、処理槽41は、本発明における第1処理槽に相当する。処理槽41に貯留された処理液92は、循環配管43およびポンプ44によって循環し、循環配管43に設けられたヒーター45によって所定の温度に保温される。
【0048】
なお、本実施の形態における第3処理部4は、フッ素系溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(HFE)またはハイドロフルオロカーボン(HFC)を使用する。また、ハイドロフルオロエーテルまたはハイドロフルオロカーボンを含む処理液92の使用温度が20℃ないし沸点までの間となるように、ヒーター45は循環する処理液92を保温する。
【0049】
リフタ42は、リフタ22,32と同様に、複数枚の基板9を保持する機能を有しており、チャンバ40の上方位置において、搬送ロボット10との間で基板9の受け渡しを行う。また、チャンバ40内において基板9を保持した状態で、基板9が処理槽41内に上下方向に配置される第1位置と、処理槽41外に配置される第2位置との間を移動する。すなわち、リフタ42は、チャンバ40内において、基板9を第1空間93と第2空間94との間で移動させる機能を有してる。
【0050】
また、第3処理部4は、開閉機構46、吐出ノズル47、第1ガス供給部48、第2ガス供給部49、および開閉バルブ50,51を備える。
【0051】
開閉機構46は、第1空間93と第2空間94との間に一対設けられており、制御部8からの制御信号に応じて、チャンバ40内において、第1空間93を、第2空間94に対して開閉する。すなわち、開閉機構46が、開状態のとき第1空間93と第2空間94は連通接続され、閉状態のとき第1空間93と第2空間94は遮断される。
【0052】
吐出ノズル47は、第2空間94内の両側に一対設けられ、第1ガス供給部48および第2ガス供給部49から供給されたガス(フッ素系溶媒のガスまたは窒素ガス)を、チャンバ40内の第2空間94に向けて吐出する。
【0053】
第1ガス供給部48は、吐出ノズル47に向けてフッ素系溶媒のガスを供給する。これにより、第1ガス供給部48は、吐出ノズル47を介して、第2位置に移動したリフタ42に保持された基板9にフッ素系溶媒のガスを供給する。
【0054】
第2ガス供給部49は、吐出ノズル47に窒素ガスを供給する。これにより、第1ガス供給部49は、吐出ノズル47を介して、第2位置に移動したリフタ42に保持された基板9に窒素ガスを供給する。
【0055】
開閉バルブ50は、制御部8からの制御信号に応じて、吐出ノズル47と第1ガス供給部48との間のガス管を開閉する。開閉バルブ50が開状態のとき、第1ガス供給部48からフッ素系溶媒のガスが吐出ノズル47に供給され、チャンバ40の第2空間94内に供給される。一方、開閉バルブ50が閉状態のとき、第1ガス供給部48による供給は停止する。
【0056】
開閉バルブ51は、制御部8からの制御信号に応じて、吐出ノズル47と第2ガス供給部49との間のガス管を開閉する。開閉バルブ51が開状態のとき、第2ガス供給部49から窒素ガスが吐出ノズル47に供給され、チャンバ40の第2空間94内に供給される。一方、開閉バルブ51が閉状態のとき、第2ガス供給部49による供給は停止する。
【0057】
なお、詳細は図示しないが、第3処理部4は、第1空間93および第2空間94からそれぞれ排気する排気機構をさらに備えている。
【0058】
次に、第3処理部4における基板9に対する処理動作を説明する。搬送ロボット10によって第3処理部4に基板9が搬送されると、搬送ロボット10から上昇したリフタ42に基板9が受け渡され、第3処理部4における処理が開始される。このとき、第3処理部4において、開閉機構46は開状態となっており、処理槽41には既にフッ素系溶媒の液体である処理液92が貯留されている。
【0059】
基板9を受け取ったリフタ42は基板9を保持したまま、処理槽41内の第1位置まで下降する。この動作によって、リフタ42に保持された基板9は、処理槽41内に搬入され、処理槽41内に貯留されている処理液92に浸漬される。すなわち、フッ素系溶媒の液体による基板9の処理が開始される。
【0060】
第2処理部3で処理された基板9の表面には第2処理部3で使用した処理液91(アルコール)が残留している。特に、基板9にトレンチ構造やホール構造が形成されている場合には、これらの構造の隙間にアルコールが残留しやすい。しかし、このような状態の基板9をフッ素系溶媒の液体である処理液92に浸漬することにより、基板9に残留しているアルコールを効果的に取り除くことができる。
【0061】
リフタ42が第1位置まで下降すると、制御部8は開閉機構46を閉状態とする。これにより、フッ素系溶媒の液体による基板9の処理中において第1空間93と第2空間94とが遮断され、この間、第1空間93の雰囲気の第2空間94への混入を抑制できる。このときの第1空間93内の雰囲気は、処理液92による処理が実行される前の基板9が搬入されたことによって、比較的汚れた雰囲気となっている。したがって、第1空間93と第2空間94とを遮断することにより、第2空間94内を清潔に保つことができる。
【0062】
処理液92による処理が充分に進行すると、制御部8は開閉機構46を開状態にする。これにより、第1空間93と第2空間94とが再び連通接続される。なお、フッ素系溶媒の液体による基板9の洗浄処理中において、第1空間93の雰囲気は、先述の排気機構によって外部に排気されている。したがって、この時点で第1空間93の雰囲気は比較的清浄化されており、第1空間93内の雰囲気が第2空間94に混入する弊害は低下している。
【0063】
開閉機構46が開状態になると、リフタ42が基板9を保持した状態で第2位置に向けて移動を開始する。これにより、基板9が処理液92から引き上げられ、基板9に対する処理液92による処理が終了する。
【0064】
リフタ42が第2位置に移動すると、開閉機構46が閉状態となり、第1空間93と第2空間94とが再び遮断される。
【0065】
次に、開閉バルブ50が開状態となり、第1ガス供給部48からフッ素系溶媒のガスが吐出ノズル47を介して第2空間94内に吐出される。すなわち、第2位置に移動したリフタ42に保持された基板9にフッ素系溶媒のガスが供給される。これにより、基板9のフッ素系溶媒のガスによる乾燥処理が開始される。
【0066】
フッ素系溶媒のガスによる処理が充分に進行すると、開閉バルブ50が閉状態となりフッ素系溶媒のガスの供給が停止されるとともに、開閉バルブ51が開状態となり第2ガス供給部49から窒素ガスが吐出ノズル47を介して第2空間94内に吐出される。これにより、第2空間94内の雰囲気がフッ素系溶媒のガスから窒素ガスに置換され、窒素ガスによる乾燥処理が開始される。
【0067】
このとき、第1空間93と第2空間94とは遮断されているため、処理液92が蒸発することによって第1空間93内に生成されるフッ素系溶媒のガスは、第2空間94内に混入することなく、第1空間93内にとどまる。
【0068】
また、第1空間93と第2空間94とが開閉機構46により遮断されていることにより、第2位置に移動したリフタ42に保持された基板9に対する処理空間の容積が減少する。したがって、乾燥処理において消費される窒素ガスの量が抑制される。
【0069】
窒素ガスによる処理が充分に進行すると、開閉バルブ51が閉状態となるとともに、リフタ42が上昇し、リフタ42に保持された基板9を搬送ロボット10に受け渡す。搬送ロボット10は、受け取った基板9を基板処理装置1から払い出す。以上が第3処理部4における処理動作の説明である。
【0070】
制御部8は、図示しないCPUと記憶装置とから構成され、記憶装置に記憶されているプログラムに従ってCPUが動作することにより、基板処理装置1の各構成を制御する。
【0071】
例えば、制御部8は、処理液91としての純水が貯留されている状態の処理槽31に向けてアルコールを供給するようにアルコール供給部37を制御する。すなわち、制御部8は、本発明における供給制御手段に相当する機能を有する。
【0072】
また、制御部8は、基板9を保持したリフタ42が第1位置に移動した場合および第2位置に移動した場合には第1空間93と第2空間94とを遮断するように開閉機構46を制御する。一方、基板9を保持したリフタ42が第1位置93と第2位置94との間で移動する間は、第1空間93と第2空間94とを連通するように開閉機構46制御する。すなわち、制御部8は、本発明における開閉制御手段に相当する機能を有する。
【0073】
また、制御部8は、図示しない操作部(キーボードやボタン類)と表示部(液晶ディスプレイ)とを備えている。そして、オペレータは、操作部を操作することにより基板処理装置1に適宜指示を与えることが可能であり、表示部の表示を確認することにより基板処理装置1の状態等を確認できる。
【0074】
以上のように、第1の実施の形態における基板処理装置1は、第3処理部4において、フッ素系溶媒の液体を使用した後に、かつ、フッ素系溶媒のガスを使用して乾燥させることにより、基板の表面に複雑な構造が形成されている場合でも、良好に乾燥させることができる。
【0075】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、純水やアルコールによる処理を行う槽(処理槽31)と、フッ素系溶媒の液体による処理を行う槽(処理槽41)とが異なる槽として設けられていた。しかし、これらの処理は同一の槽で実行されてもよい。
【0076】
図2は、第2の実施の形態における基板処理装置1aを示す図である。なお、第2の実施の形態における基板処理装置1aにおいて、第1の実施の形態における基板処理装置1と同様の構成については、同符号を付し、適宜説明を省略する。以下の実施の形態においても同様である。
【0077】
本実施の形態における基板処理装置1aは、基板処理装置1における第2処理部3に相当する構成を備えておらず、第3処理部4の代わりに第3処理部4aを備えている。したがって、第1処理部2において処理された基板9は、搬送ロボット10によって第3処理部4a側に搬送される。
【0078】
第3処理部4a内には処理槽41aと補助槽41bとを備えている。処理槽41aは、第3処理部4における処理槽41にほぼ相当する槽であり、リフタ42によって内部に基板9が搬入される。補助槽41bは、処理槽41aの上部に、処理槽41aの周囲を囲むように配置され、処理槽41aの上部からオーバーフローした処理液92aを回収する機能を有する。
【0079】
第3処理部4aは、液体の流路を形成する配管として、循環配管43a、供給配管43bおよび排液配管43cを備える。また、それぞれが所定の位置に配置され制御部8からの制御に応じて配管を開閉する開閉バルブ52ないし56と、制御部8からの制御に応じて2系統の配管を選択的に供給配管43bに連通させる三方弁58とを備える。
【0080】
なお、図2に示す例では、循環配管43aからの配管および純水供給部60からの配管が三方弁58における第1系統の配管であり、アルコール供給部61およびフッ素系溶媒供給部62からの配管が三方弁58における第2系統の配管となっている。ただし、これに限定されるものではない。
【0081】
循環配管43aは、処理液92aを循環させるために使用される配管であり、主に開閉バルブ52によって開閉される。開閉バルブ52が開状態で、かつ三方弁58が第1系統の配管を選択しているときに、処理槽41aからオーバーフローすることにより補助槽41bによって回収された処理液92aは、上流側が補助槽41bの底部に連通接続された循環配管43aに導かれて、供給配管43bを介して再び処理槽41aに戻る。
【0082】
供給配管43bは、処理槽41aに供給される液体の流路となる配管である。すなわち、供給配管43bを通過する液体は、処理槽41aに供給されて処理液92aとなる。供給配管43bに向けて供給される液体としては、上記の循環配管43aから供給される液体(循環する処理液92a)と、純水供給部60から供給される純水と、アルコール供給部61から供給されるアルコールと、フッ素系溶媒供給部62から供給されるフッ素系溶媒の液体とがある。なお、第2の実施の形態においても、フッ素系溶媒の液体として第1の実施の形態と同様にHFEを使用する例で説明する。
【0083】
処理槽41aに循環配管43aからの液体または純水を供給する場合、供給配管43bには三方弁58によって先述の第1系統の配管が接続される。一方、処理槽41aにアルコールまたはHFEを供給する場合、供給配管43bには三方弁58によって先述の第2系統の配管が接続される。
【0084】
排液配管43cは、基板処理装置1aの外部に液体を排液するための配管であり、主に開閉バルブ53によって開閉される。開閉バルブ53が開状態のときに、処理槽41aからオーバーフローすることにより補助槽41bによって回収された処理液92aは、排液配管43cに導かれて、外部に排液される。なお、処理液92aの排液を効率よく行うために、排液配管43cにポンプを設けてもよい。
【0085】
第3処理部4aは、処理槽41aに様々な液体を供給するための構成として、純水供給部60、アルコール供給部61およびフッ素系溶媒供給部62を備えている。純水供給部60は、開閉バルブ54が開状態となることにより、純水を処理槽41aに供給する。また、アルコール供給部61は、開閉バルブ55が開状態となることにより、アルコールを処理槽41aに供給する。また、フッ素系溶媒供給部62は、開閉バルブ56が開状態となることにより、フッ素系溶媒の液体であるHFEを処理槽41aに供給する。
【0086】
以上が第2の実施の形態における基板処理装置1aの構成および機能の説明である。次に、基板処理装置1aの第3処理部4aによって基板9を処理する方法を説明する。
【0087】
図3は、第2の実施の形態の第3処理部4aにおける基板9の処理手順を示す流れ図である。図3に示す処理が開始されるまでに、第3処理部4aでは処理槽41aに処理液92a(純水)を満たすための所定の準備工程が実行される。
【0088】
準備工程において制御部8は、三方弁58に第1系統の配管を選択させるとともに、開閉バルブ52を閉状態とし、かつ開閉バルブ54を開状態に制御する。この状態でポンプ44を駆動して、純水供給部60からの純水の供給を開始させる。純水供給部60から所定量の純水が供給されると、制御部8は、開閉バルブ54を閉状態に制御して純水供給部60からの純水の供給を停止させるとともに、開閉バルブ52を開状態として純水の循環を開始させる。なお、このとき循環する純水の温度を一定に保つために、ヒーター45による温調を行ってもよい。
【0089】
このような準備工程が完了した後に、搬送ロボット10が、第3処理部4aに基板9を搬送する(ステップS1)。基板9が搬送されると、制御部8は開閉機構46を開状態に制御するとともに、リフタ42が搬送された基板9を搬送ロボット10から受け取って下降を開始する。
【0090】
リフタ42が第1位置まで下降することにより、処理槽41a内に貯留された処理液92a(純水)に基板9を浸漬する(ステップS2)。これにより、第3処理部4aにおいて、基板9の純水による洗浄処理が開始される。なお、制御部8は、リフタ42が第1空間93に移動した時点で、開閉機構46を閉状態に制御する。
【0091】
所定の時間が経過し、純水による洗浄処理が充分に進行すると、処理槽41a内の処理液92a(純水)をアルコールに置換して(ステップS3)、基板9に対するアルコールによる脱水処理を実行する。
【0092】
ステップS3において、まず、制御部8は、三方弁58に第2系統の配管を選択させるとともに、開閉バルブ52を閉状態に制御して処理液92aの循環を停止する。また、開閉バルブ53を開状態に制御して処理液92aの排液を開始する。この動作と並行して、制御部8は、開閉バルブ55を開状態に制御して、アルコール供給部61からのアルコールの供給を開始させる。
【0093】
アルコール供給部61からアルコールが供給されることによって、比較的アルコール濃度の低い処理液92aは処理槽41aの上部からオーバーフローし、補助槽41bに回収される。このようにして回収された処理液92a(比較的アルコール濃度の低い処理液92a)は排液配管43cを通過して外部に排液される。したがって、処理槽41aにおいても、第1の実施の形態における処理槽31において行われたのと同様に、処理液92aが純水から徐々にアルコールへと置換される。
【0094】
さらに、第1の実施の形態と同様に濃度計5からの出力に基づいてアルコールが所定の濃度(例えば50%以上)になったことを検出すると、制御部8は、アルコールへの置換が完了したと判定する。そして、三方弁58に第1系統の配管を選択させるとともに、開閉バルブ52を開状態に、かつ、開閉バルブ53を閉状態に制御する。これにより、処理液92a(アルコール)の循環が開始され、第1の実施の形態と同様に、基板9に対するアルコールによる脱水処理が進行する。
【0095】
このように、第2の実施の形態における基板処理装置1aでは、第1の実施の形態における基板処理装置1が第2処理部3において実行した処理と同等の処理(ステップS1ないしS3)を、第3処理部3aにおいて実行する。
【0096】
アルコールによる処理が充分に進行すると、処理槽41a内の処理液92a(アルコール)をHFEに置換して(ステップS4)、基板9に対するHFEによる処理を実行する。
【0097】
ステップS4において、まず、制御部8は、三方弁58に第2系統の配管を選択させるとともに、開閉バルブ52を閉状態に制御して処理液92aの循環を停止する。また、開閉バルブ53を開状態に制御して処理液92aの排液を開始する。この動作と並行して、制御部8は、開閉バルブ56を開状態に制御して、フッ素系溶媒供給部62からのHFEの供給を開始させる。
【0098】
フッ素系溶媒供給部62からHFEが供給されることによって、比較的HFE濃度の低い処理液92aは処理槽41aの上部からオーバーフローし、補助槽41bに回収される。このようにして回収された処理液92a(比較的HFE濃度の低い処理液92a)は排液配管43cを通過して外部に排液される。したがって、処理槽41aにおいて、処理液92aがアルコールから徐々にHFEへと置換される。
【0099】
さらに、濃度計5からの出力に基づいてアルコールが所定の濃度以下(例えば数%以下)になったことを検出すると、制御部8は、HFEへの置換が完了したと判定する。そして、三方弁58に第1系統の配管を選択させるとともに、開閉バルブ52を開状態に制御し、かつ、開閉バルブ53を閉状態に制御する。これにより、処理槽41aにおける処理液92a(HFE)の循環が開始され、第1の実施の形態と同様に、基板9に対するHFEによる処理が進行する。
【0100】
第1の実施の形態における基板処理装置1では、アルコールによる脱水処理が終了した時点で、基板9をアルコールから取り出し、搬送ロボット10によって搬送した。しかし、第2の実施の形態における基板処理装置1aでは、基板9を搬送することなく、アルコールを上記手順(ステップS4)によりHFEに置換してHFEによる処理を実行する。
【0101】
HFEによる基板9の処理が終了すると、制御部8は、処理槽41a内にアルコール(10%程度)添加する(ステップS5)。これにより、基板9の表面の複雑な構造内に残留した純水をさらに取り除くことができる。
【0102】
ステップS5において、まず、制御部8は、三方弁58に第2系統の配管を選択させるとともに、開閉バルブ52を閉状態に制御して処理液92aの循環を停止する。また、開閉バルブ53を開状態に制御して処理液92a(HFE)の排液を開始する。この動作と並行して、制御部8は、開閉バルブ55を開状態に制御して、アルコール供給部61からのアルコールの供給を開始させる。
【0103】
アルコール供給部61からアルコールが供給されることによって、比較的HFE濃度の高い処理液92aは処理槽41aの上部からオーバーフローし、補助槽41bに回収される。このようにして回収された処理液92a(比較的HFE濃度の高い処理液92a)は排液配管43cを通過して外部に排液される。
【0104】
そして、濃度計5からの出力に基づいてアルコールが所定の濃度(10%程度)になったことを検出すると、制御部8は、三方弁58に第1系統の配管を選択させるとともに、開閉バルブ52を開状態に制御し、かつ、開閉バルブ53を閉状態に制御する。これにより、処理槽41aにおける処理液92a(HFE+アルコール)の循環が開始される。
【0105】
所定の時間が経過すると、制御部8が開閉機構46を開状態にする。そして、リフタ42が基板9を保持したまま第2位置へと上昇を開始し、基板9を処理槽41aから引き上げる(ステップS6)。
【0106】
リフタ42が第2位置に移動し基板9が第2空間94に移動すると、開閉機構46が閉状態となり、第1空間93と第2空間94とが再び遮断される。
【0107】
次に、開閉バルブ50が開状態となり、第1ガス供給部48からフッ素系溶媒のガスが吐出ノズル47を介して第2空間94内に吐出される。すなわち、第2位置に移動したリフタ42に保持された基板9にフッ素系溶媒のガスが供給される。これにより、第1の実施の形態における基板処理装置1と同様に、フッ素系溶媒のガスによる基板9の乾燥処理が実行される(ステップS7)。
【0108】
フッ素系溶媒のガスによる処理が充分に進行すると、開閉バルブ50が閉状態となりフッ素系溶媒のガスの供給が停止されるとともに、開閉バルブ51が開状態となり第2ガス供給部49から窒素ガスが吐出ノズル47を介して第2空間94内に吐出される。これにより、第1の実施の形態における基板処理装置1と同様に、窒素ガスによる基板9の乾燥処理が実行される(ステップS8)。
【0109】
窒素ガスによる処理が充分に進行すると、開閉バルブ51が閉状態となるとともに、リフタ42が上昇し、リフタ42に保持された基板9を搬送ロボット10に受け渡す。搬送ロボット10は、受け取った基板9を基板処理装置1aから払い出す(ステップS9)。
【0110】
以上のように、第2の実施の形態における基板処理装置1aであっても、第1の実施の形態における基板処理装置1と同様の効果を得ることができる。
【0111】
また、基板処理装置1aは、純水を処理槽41aに供給する純水供給機構60と、アルコールを処理槽41aに供給するアルコール供給機構61と、処理槽41aに貯留されるHFEを処理槽41aに供給するフッ素系溶媒供給機構62とを備えることにより、純水による洗浄処理からHFEによる処理までを、1つの処理槽41aで実行することにより、装置を小型化できる。
【0112】
また、洗浄処理から乾燥処理までの処理を1つの処理槽で実行できることにより、最終的な乾燥処理が完了するまで、基板9を搬送する必要がない。したがって、基板表面に未だ純水が存在する状況で基板9を搬送する必要がないので、純水が酸素存在下で乾燥することを抑制でき、ウォーターマーク等の乾燥不良を抑制できる。
【0113】
また、フッ素系溶媒供給機構62はアルコールが貯留されている状態の処理槽41a内にHFEを供給する。このように、アルコールとHFEとを交換せず置換することにより、アルコールから基板9が取り出されることがない。一般に第1空間93(第2空間94)内の雰囲気は低酸素濃度に調整されているが、完全な無酸素状態とは限らない。しかし、本実施の形態における基板処理装置1aでは、全ての乾燥処理が完了するまで(可能な限り純水を除去するまで)基板9を第1空間93(第2空間94)内の雰囲気に曝さないように構成する。したがって、酸素存在下で純水が乾燥することを抑制でき、ウォーターマーク等の乾燥不良を抑制できる。
【0114】
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0115】
例えば、上記実施の形態では、第1ガス供給部48および第2ガス供給部49が吐出ノズル47を共有する構造を採用しているとして説明したが、もちろん別々の吐出ノズルを備えていてもよい。
【0116】
また、開閉機構46の代わりに、第1空間93と第2空間94とを遮断するカバーを駆動する機構が採用されてもよい。
【0117】
また、第1の実施の形態では、第3処理部4においてフッ素系溶媒の液体によって所定の時間処理がされた後に、そのまま基板9が引き上げられると説明した。しかし、第2の実施の形態と同様に、基板9を引き上げる前に、処理液92にアルコール(例えば10%程度)を添加してもよい。
【0118】
また、上記実施の形態では、アルコール濃度を濃度計5によって測定しつつ、処理を切り替えるように構成した。しかし、例えば、所定のアルコール濃度になるまでの時間を予め測定しておき、予め測定された時間(設定時間)に基づいて制御部8が処理を切り替えてもよい。
【0119】
さらに、第2の実施の形態では、薬液90による処理を第1処理部2の処理槽21で実行していた。しかし、薬液90を処理槽41aに供給する供給機構を設けることにより、薬液90による処理を第3処理部4aで実行するように構成してもよい。その場合には、1つの処理槽41aにおいて、薬液処理から乾燥処理までを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】第1の実施の形態における基板処理装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態における基板処理装置を示す図である。
【図3】第2の実施の形態の第3処理部における基板の処理手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0121】
1 基板処理装置
10 搬送ロボット(搬送機構)
31 処理槽(第2処理槽)
36,60 純水供給部(第1供給機構)
37,61 アルコール供給部(第2供給機構)
40 チャンバ
41,41a 処理槽
42 リフタ(保持機構)
46 開閉機構
48 第1ガス供給部
62 フッ素系溶媒供給部(第3供給機構)
8 制御部
9 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置において、
フッ素系溶媒の液体を貯留する処理槽と、
前記処理槽を収容するチャンバと、
前記チャンバ内において基板を保持した状態で、基板が前記処理槽内に配置される第1位置と前記処理槽の上方に配置される第2位置との間を移動する保持機構と、
前記第1位置において、フッ素系溶媒の液体で処理された基板を保持した前記保持機構を前記第1位置から前記第2位置へ移動させて前記保持機構に保持された基板にフッ素系溶媒のガスを供給するガス供給手段と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記チャンバ内において、前記処理槽を収容する第1空間を、前記第2位置に移動した前記保持機構を収容する第2空間に対して開閉する開閉機構と、
基板を保持した前記保持機構が前記第1位置に移動した場合および基板を保持した前記保持機構が前記第2位置に移動した場合には前記第1空間と前記第2空間とを遮断するように前記開閉機構を制御し、基板を保持した前記保持機構が前記第1位置と前記第2位置との間で移動する場合には前記第1空間と前記第2空間とを連通するように前記開閉機構を制御する開閉制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記処理槽を第1処理槽とし、
前記保持機構を第1保持機構とし、
処理液を貯留する第2処理槽と、
処理液としての純水を前記第2処理槽に供給する第1供給機構と、
処理液としての純水が貯留されている状態の前記第2処理槽内に、処理液としてのアルコールを供給する第2供給機構と、
基板を保持した状態で、基板が前記第2処理槽内に配置される位置と前記第2処理槽の上方の位置との間を移動する第2保持機構と、
前記第2保持機構から基板を受け取り、前記チャンバに向けて搬送するとともに前記第1保持機構に基板を受け渡す搬送機構と、
をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
純水を前記処理槽に供給する第1供給機構と、
アルコールを前記処理槽に供給する第2供給機構と、
前記処理槽に貯留されるフッ素系溶媒の液体を前記処理槽に供給する第3供給機構と、
をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記第2供給機構は、純水が貯留されている状態の前記処理槽内にアルコールを供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の基板処理装置において、
前記第3供給機構は、アルコールが貯留されている状態の前記処理槽内にフッ素系溶媒の液体を供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記アルコールは、イソプロピルアルコール、エタノールまたはメタノールを含むことを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記フッ素系溶媒は、ハイドロフルオロエーテルまたはハイドロフルオロカーボンを含むことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−109086(P2008−109086A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199027(P2007−199027)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】