説明

基板処理装置

【課題】一括処理される基板群中の基板間における処理のバラツキを抑制する。
【解決手段】加熱された処理液中に基板W群を保持したリフター20を浸漬する前に、リフター20を加熱された燐酸溶液中に浸漬して燐酸溶液と略同じ温度にまで予め加熱しておくことにより、このリフター20に基板W群を保持して燐酸溶液中に浸漬したときに、リフター20の影響で燐酸溶液の温度が低下するのを阻止することができる。その結果、一括処理される基板W群中の基板間における処理のバラツキを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板(以下、単に「基板」という)に所定の処理を施す基板処理方法およびその装置に係り、特に、加熱された処理液中に複数枚の基板を一括して浸漬することにより所定の処理を施す基板処理方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、半導体ウエハ等の基板の表面に形成されたシリコン窒化膜を選択的にエッチング処理する基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、加熱された燐酸溶液を貯留した処理槽内に、複数枚(例えば、50枚)の基板をリフターと呼ばれる昇降自在の基板保持機構に起立姿勢で保持させ、この基板保持機構を処理槽内に下降浸漬させることにより、基板群を一括処理している。
【特許文献1】特開平11−145107号公報(第1頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、シリコン窒化膜のエッチングレートは、燐酸溶液の濃度および温度によって影響を受けるので、その濃度および温度は厳格に管理されているのであるが、一括処理される基板群中の基板間でエッチング量にバラツキが生じるという問題点がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、一括処理される基板群中の基板間における処理のバラツキを抑制することができる基板処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記従来の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
すなわち、本発明者は、図7に示すように、リフター20に50枚の基板(ここでは、半導体ウエハ)Wを保持させ、これを150℃に加熱された燐酸溶液を貯留した処理槽22に浸漬して、基板表面に形成されているシリコン窒化膜のエッチングレートを調査した。ここで、リフター20は、一括処理される基板W群を起立姿勢で保持する細長い複数本の保持棒20aと、これらの保持棒20aを片持ち支持する板状の背板20bとを備えている。保持棒20aおよび背板20bは共に石英で形成されている。基板Wのエッチングレートは、背板20bに最も近い側の基板(スロットNo.1)と、中間に位置する基板(スロットNo.25)と、背板20bから最も離れて位置する基板(スロットNo.50)とについて調査した。一括処理される基板群の単位であるロットを3ロット(第1ロット〜第3ロット)用いて、各ロットについてエッチングレートを調査した。その結果を図7に示す。図7中の表内の数字は、エッチングレート(オングストローム/分)である。
【0006】
図7から明らかなように、第1ロットでは基板間で最大1.7オングストローム/分のエッチングレートの差があり、第2ロットでは1.51オングストローム/分の差、第3ロットでは1.77オングストローム/分の差が、それぞれ認められた。
【0007】
さらに図7の結果を検討すると、背板20bから遠ざかるに従ってエッチングレートが上昇している、逆に言えば背板20bに近くなるに従ってエッチングレートが低下していることが判る。本発明者は、その原因を背板20bの大きな熱容量に起因した燐酸溶液の局部的な温度低下にあると考えた。背板20bの容量は1リットル程度あり、基板W群を保持する細長い保持棒20aに比べると、その熱容量は各段に大きい。実際にリフター20を150℃の燐酸溶液に浸漬したときの温度低下を測定すると、約1℃の低下が見られた。背板20bの付近では、それ以上の温度低下があると考えられる。その結果、背板20bに近い程、燐酸溶液の温度低下の幅が大きくなって、エッチングレートが低下していると考えられる。
【0008】
以上の知見に基づく本発明は、次のような構成を備えている。
すなわち、請求項1に記載の発明は、加熱された処理液中に複数枚の基板を一括して浸漬することにより、複数枚の基板に所定の処理を一括して施す基板処理装置において、加熱された処理液を貯留する処理槽と、一括処理される複数枚の基板を搬送する基板搬送機構と、基板搬送機構から基板群を受け取って保持した状態で、処理槽内の加熱された処理液中に浸漬させる基板保持手段と、を備え、前記基板保持手段は、一括処理される複数枚の基板を起立姿勢で保持する複数本の保持棒と、これらの保持棒を片持ち支持する背板とを備え、前記基板保持手段の背板は、加熱手段を備えているとともに、前記加熱手段は、基板搬送機構から基板保持手段が基板群を受け取る前に、背板を予め加熱しておくことを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、基板保持手段において比較的に熱容量の大きな背板に加熱手段が付設されて背板が予め加熱されるので、この基板保持手段に基板群を保持させて加熱された処理液中に浸漬せた場合に、背板の熱的影響により処理液の温度が低下するのを抑えることができ、もって、基板間の処理のバラツキを抑制することができる。
【0010】
また、本発明において、前記加熱手段は、処理槽の上方位置において背板を予め加熱することが好ましい(請求項2)。
【0011】
また、本発明において、前記加熱手段がヒーターであることが好ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る基板処理装置によれば、加熱された処理液中に複数枚の基板を保持した基板保持手段を浸漬する前に、基板保持手段を予め加熱しておくので、この基板保持手段に基板群を保持して、加熱された処理液中に浸漬したときに、基板保持手段の影響で処理液の温度が低下するのを阻止することができる。その結果、一括処理される基板群中の基板間における処理のバラツキを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明に係る基板処理方法の一実施例を示した図である。ここでは、加熱された燐酸溶液中に複数枚の基板W(例えば、半導体ウエハ)を一括して浸漬することにより、基板Wの表面に形成されたシリコン窒化膜をエッチング処理する場合を例に採って説明する。ただし、本発明は、燐酸溶液を用いた処理に限定されず、加熱された処理液であれば任意の薬液(例えば、硫酸)による処理に適用することができる。また、処理の内容も、エッチング処理に限定されるものではない。
【0014】
図1において、符号5は一括処理される基板W群を搬送する基板搬送機構、符号20は一括処理される基板Wを保持して、加熱された燐酸溶液中に浸漬させるリフター、符号22は加熱された燐酸溶液を貯留した処理槽である。リフター20は、本発明における基板保持手段に相当する。
【0015】
本実施例に係る基板処理方法は、加熱された燐酸溶液中に複数枚の基板Wを保持した状態でリフター20を浸漬する前に、リフター20を処理槽22内の加熱された燐酸溶液中に浸漬して、リフター20を予め加熱しておくことに特徴がある(図1(a)参照)。基板搬送機構5によって基板W群が処理槽22にまで搬送されてくると、処理槽22内のリフター20が上昇して基板搬送機構5から基板W群を受け取る(図1(b)参照)。基板W群を受け取ったリフター20は速やかに下降して、基板W群を処理槽22内の加熱された燐酸溶液に浸漬することにより、基板W群を一括してエッチング処理する。
【0016】
以上のように本実施例方法によれば、加熱された処理液中に基板W群を保持したリフター20を浸漬する前に、リフター20を加熱された燐酸溶液中に浸漬して燐酸溶液と略同じ温度にまで予め加熱しておくので、このリフター20に基板W群を保持して燐酸溶液中に浸漬したときに、リフター20の影響で燐酸溶液の温度が低下するのを阻止することができる。その結果、一括処理される基板W群中の基板間における処理のバラツキを抑制することができる。
【0017】
図2は、基板Wを受け取るまえにリフター20を30秒間、加熱にされた(ここでは、150℃)燐酸溶液中に浸漬(プレディップ)させ、その後、50枚の基板Wをリフター20に保持して一括処理したときの各基板(スロットNo.1、No.25、No.50の基板)のエッチングレートを測定した結果である。また、図3は、同様にリフター20を1分30秒間プレディップしたときのエッチングレートを測定した結果である。
【0018】
図2に示した30秒間のプレディップの場合、第1ロットでは基板間で最大0.53オングストローム/分のエッチングレートの差があり、第2ロットでは0.65オングストローム/分の差、第3ロットでは0.74オングストローム/分の差がある。図7に示したプレディップ無しの場合に比べて、基板間のエッチングレートのバラツキが相当に改善されている。しかし、背板20bに近い側では、幾分、エッチングレートの低下が見られる。
【0019】
図3に示した1分30秒間のプレディップの場合、第1ロットでは基板間で最大0.26オングストローム/分のエッチングレートの差があり、第2ロットでは0.32オングストローム/分の差、第3ロットでは0.39オングストローム/分の差がある。この例では、基板間のエッチングレートのバラツキはほとんど無く、リフター20のプレディップによって、燐酸溶液の局部的な温度降下はほとんど生じていないと考えられる。
【0020】
次に、上記の実施例に係る基板処理方法を用いた基板処理装置の一例を説明する。図4は実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した平面図、図5は、実施例装置の要部の外観斜視図である。
【0021】
図4に示すように、この基板処理装置は、大きく分けて、一括処理される基板Wを収納した収納容器Cが載置される収納容器載置部1と、収納容器C内から未処理の基板Wを取り出したり、処理済の基板Wを収納容器C内へ搬入したりする基板移載ロボット2と、基板W群を一括して水平姿勢から垂直(起立)姿勢(あるいは、その逆)に変換する姿勢変換機構3と、この姿勢変換機構3との間で基板W群の受け渡しを行なうプッシャー4と、このプッシャー4との間で基板W群の受け渡しを行なうとともに、基板W群を搬送する基板搬送機構5と、この基板搬送機構5によって搬送されてきた基板W群を一括して処理する処理部6とを備えている。また、収納容器載置部1と基板移載ロボット2との間に、後述する隔壁8の開口8aを開閉するためのシャッター駆動機構7を備えている。
【0022】
以下、各部の構成を詳しく説明する。
収納容器Cは、複数枚(例えば、25枚)の基板W群を水平姿勢で収納し、その取り出し開口部には容器C内を外部雰囲気と遮断するための蓋(図示せず)が着脱自在に取り付けられている。
【0023】
図5に示すように、収納容器載置部1と処理部6側との間には雰囲気遮断用の隔壁8が介在しており、この隔壁8に基板Wを出し入れするための開口8aが設けられている。この開口8aに対向するように、収納容器Cが収納容器載置部1に載置される。基板Wを処理していないとき、開口8aはシャッター9で閉じられている。
【0024】
基板移載ロボット2は、昇降・旋回・前後の移動が可能な多関節アーム10を備えている。この多関節アーム10の先端部に基板Wを保持する「U」の字状の保持アーム11が多段に設けられている。基板移載ロボット2は、この保持アーム11を使って、収納容器Cに対して基板W群を一括して取り出し、あるいは収納する。もちろん、基板移載ロボット2は、基板Wを一枚ずつ取り出し・収納するものであってもよい。
【0025】
姿勢変換機構3は、支持台12と、この支持台12上に配設されたベース13と、このベース13に軸線P1周りに回動自在に支持された回転台14とを備えている。この回転台14に基板Wを多段に支持する一対の第1保持機構15と一対の第2保持機構16などが備えられている。図示しない駆動機構によって、回転台14は図5に示した水平姿勢と、90度回転した起立姿勢とをとることができる。その結果、第1、第2保持機構15,16で支持された基板W群が水平姿勢から垂直姿勢(あるいは、その逆)に姿勢変換されるようになっている。
【0026】
回転台14の傍らにプッシャー4がある。プッシャー4は、昇降(Z方向)移動および水平(Y方向)移動可能であり、その上部に基板W群を起立姿勢で保持する保持具17が取り付けられている。プッシャー4は、姿勢変換機構3と基板搬送機構5との間で基板W群の受け渡しを行なう。
【0027】
基板搬送機構5は、処理部6に沿った水平(X方向)移動および昇降移動可能な搬送ロボット18と、この搬送ロボット18から水平に延び出た開閉自在の一対の挟持機構19とを備えている。基板搬送機構5は、図4および図5で示した待機位置で、プッシャー4との間で基板W群の受け渡しを行なうとともに、受け取った基板W群を処理部6へ搬送する。また、基板搬送機構5は、処理部6に備えられたリフター20との間で基板Wの受け渡しを行なう。なお、基板搬送機構5の待機位置には、一対の挟持機構19を水洗するための一対の水洗槽21が配設されている。この一対の水洗槽21の間隙部にプッシャー4が進入できるようになっている。
【0028】
処理部6は、加熱された燐酸溶液を貯留した処理槽22と、燐酸溶液で処理された基板W群を洗浄処理する洗浄槽23とからなるユニットを2組備えている。また、基板搬送機構5の待機位置の側に乾燥処理部24を備えている。各ユニットには、基板搬送機構5から受け取った基板W群を処理槽22に一括して浸漬させたり、処理された基板W群を洗浄槽23に一括して浸漬させる、昇降およびX方向に水平移動可能なリフター20が備えられている。リフター20は、一括処理される基板W群を起立姿勢で保持する細長い複数本の保持棒20aと、これらの保持棒20aを片持ち支持する板状の背板20bとを備えている。保持棒20aおよび背板20bは共に石英で形成されている。
【0029】
また、本実施例に係る基板処理装置は、基板移載ロボット2、姿勢変換機構3、プッシャー4、基板搬送機構5、およびリフター20などの動きを制御する制御部30を備えている。
【0030】
以上のように構成された基板処理装置において、複数枚の基板Wを一括して処理する際の動作を説明する。
【0031】
複数枚の基板Wを水平姿勢で収納した収納容器Cが収納容器載置部1に載置されると、シャッター駆動機構7が隔壁8のシャッター9および収納容器Cの蓋を開けて下降する。シャッター9が開けられると、基板移載ロボット2の保持アーム11が収納容器C内に前進移動して、収納容器C内の基板W群を一括して取り出す。基板移載ロボット2は取り出した基板W群を姿勢変換機構3に受け渡す。このとき姿勢変換機構3の回転台14は水平姿勢にあるので、受け渡された基板W群は第1保持機構15および第2保持機構16によって水平に支持される。
【0032】
基板W群を受け取ると姿勢変換機構3の回転台14はプッシャー4側に向けて90度回転する。これに伴って第1、第2保持機構15,16で支持されている基板W群も90度回転して起立姿勢になる。このときプッシャー4は下降位置にある。続いてプッシャー4が上昇して第1、第2保持機構15,16から基板W群を受け取る。以上でプッシャー4への1回目の基板W群の受け渡しが完了する。
【0033】
本実施例では、最大で50枚の基板Wを一括処理できるようになっている。収納容器Cは最大で25枚の基板Wを収納するので、1回目の基板W群の受け渡しが完了すると、別の収納容器Cを収納容器載置部1に載置して上述と同様に、収納容器Cからの基板W群の一括取りだし、姿勢変換機構3への受け渡し、基板W群の姿勢変換、プッシャー4への基板W群の受け渡しを行なう。2回目のプッシャー4への基板W群の受け渡しの際には、プッシャー4は僅かに水平方向(Y方向)に変位した状態で上昇することにより、1回目に受け取った基板W群の隙間に2回目の基板W群の各基板を受け取る。
【0034】
以上のようにして複数枚(本実施例では最大50枚)の基板Wを受け取ったプッシャー4は、一対の水洗槽21の間に設けられた隙間に向かって水平移動する。一対の水洗槽21の間に移動した後、プッシャー4は上昇する。このとき基板搬送機構5は待機位置にあり、一対の挟持機構19は開状態にある。プッシャー4が挟持機構19の下端よりも上方の所定位置に達すると、挟持機構19が閉じる。続いてプッシャー4が下降することにより、プッシャー4上の基板W群が一対の挟持機構19に受け渡される。
【0035】
基板W群を受け取った基板搬送機構5は、処理部6に沿って水平移動する。収納容器Cからの基板W群の一括取りだし、姿勢変換機構3への基板W群の受け渡しと姿勢変換、プッシャー4への基板W群の受け渡し、基板搬送機構5への基板W群の受け渡しを行なっている間、基板Wの処理を行なっていない処理部6のリフター20は、処理槽22内の加熱された燐酸溶液中に浸漬して待機している(図1(a)参照)。加熱された燐酸溶液中で待機することにより、リフター20は燐酸溶液と略同じ温度に加熱される。基板搬送機構5が一括処理される基板W群を処理部6に搬送してくると、リフター20が処理槽20から上昇して基板搬送機構5から基板W群を受け取る(図1(b)参照)。基板W群を受け取ったリフター20は速やかに処理槽22内に下降し、加熱された燐酸溶液のよって基板Wを一括して処理する。このようなリフター20の動きは制御部30のよって制御される。
【0036】
所定の処理時間が経過すると、リフター20は上昇して基板W群を燐酸溶液から引き上げる。続いてリフター20は洗浄槽23まで水平移動し、燐酸溶液で処理された基板W群を洗浄槽23内の純水中に浸漬する。純水による洗浄処理が終わるとリフター20が上昇して基板Wを洗浄槽23から引き上げる。引き上げられた基板Wをリフター20から基板搬送機構5が受け取り、この基板W群を乾燥処理部24に搬送する。空のリフター20は処理槽22に戻り、加熱された燐酸溶液中で待機する。一方、乾燥処理部24に受け渡されて乾燥処理された基板W群は再び基板搬送機構5に受け渡される。基板搬送機構5は、乾燥処理された基板W群を待機位置にまで搬送する。
【0037】
待機位置に搬送された基板W群は、上述した基板W群の搬入時とは逆に、基板搬送機構5からプッシャー4に受け渡される。プッシャー4に受け渡された基板W群は、2回に分けて姿勢変換機構3に受け渡される。姿勢変換機構3に受け渡された基板W群は、起立姿勢から水平姿勢に姿勢変換される。姿勢変換された基板W群は、基板移載ロボット2によって収納容器Cに戻される。以上で一連の基板処理が完了する。
【0038】
本発明は、上記の実施例に限らず、次のように変形実施することもできる。
(1)上記の実施例では、基板W群の処理の前に、リフター20を加熱された燐酸溶液中に浸漬することにより、リフター20を予め加熱した。しかし、本発明はこれに限らず、基板W群の処理の前に、リフター20を加熱雰囲気や加熱液体(例えば、加熱された純水)中に置くことにより、リフター20を予め加熱するようにしてもよい。あるいは、リフター20にヒーターなどの加熱手段を付設して、リフター20を予め加熱するようにしてもよい。
【0039】
(2)図4および図5に示した実施例装置において、リフター20にヒーターなどの加熱手段を付設した例を図6に示す。リフター20の保持棒20aは、その熱容量が比較的に小さいので加熱された燐酸溶液に与える温度影響は比較的小さい。これに対して背板20bは熱容量が大きいので燐酸溶液に与える温度影響が大きい。そこで、リフター20の背板20bにヒーター20cを付設して、背板20bを予め加熱しておくことにより、加熱された燐酸溶液への温度影響を抑えることができ、もって一括処理される基板間の処理のバラツキを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る基板処理方法の一実施例の説明図である。
【図2】実施例方法の効果の説明に供する図である。
【図3】実施例方法の効果の説明に供する図である。
【図4】実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した平面図である。
【図5】実施例装置の要部の外観斜視図である。
【図6】変形例の説明図である。
【図7】従来技術の問題点の説明に供する図である。
【符号の説明】
【0041】
W … 基板
6 … 処理部
20 … リフター
20a … 保持棒
20b … 背板
20c … ヒーター
22 … 処理槽
30 … 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された処理液中に複数枚の基板を一括して浸漬することにより、複数枚の基板に所定の処理を一括して施す基板処理装置において、
加熱された処理液を貯留する処理槽と、
一括処理される複数枚の基板を搬送する基板搬送機構と、
基板搬送機構から基板群を受け取って保持した状態で、処理槽内の加熱された処理液中に浸漬させる基板保持手段と、を備え、
前記基板保持手段は、一括処理される複数枚の基板を起立姿勢で保持する複数本の保持棒と、これらの保持棒を片持ち支持する背板とを備え、
前記基板保持手段の背板は、加熱手段を備えているとともに、
前記加熱手段は、基板搬送機構から基板保持手段が基板群を受け取る前に、背板を予め加熱しておくことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記加熱手段は、処理槽の上方位置において背板を予め加熱することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の基板処理装置において、
前記加熱手段がヒーターであることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−252122(P2008−252122A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156857(P2008−156857)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【分割の表示】特願2003−87683(P2003−87683)の分割
【原出願日】平成15年3月27日(2003.3.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】