説明

基板処理装置

【課題】排気中の処理流体濃度を低減させ、基板処理装置に接続した排気設備へ流れ込む処理流体が低減し、排気設備への負担を軽減させること。
【解決手段】本発明では、基板処理装置(1)において、基板(2)を処理するための基板処理部(21)と、基板(2)を処理する処理流体を基板処理部(21)に供給するための処理流体供給部(22)と、噴霧ノズル(48,49)から処理流体を溶解する溶媒を基板処理部(21)より排出された排気に向けて噴霧することによって排気中の処理流体濃度を低減させるための排気処理部(23)とを設けることにした。また、前記排気処理部(23)は、内部に排気を分散させるための多孔状の分散板(52、53、54)を設けることにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部品やフラットディスプレイなどの基板に対してエッチングや洗浄や乾燥などの処理を行うための基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体部品やフラットディスプレイなどの製造には、半導体ウエハや液晶基板などの基板に対してエッチングや洗浄や乾燥などの各種の処理を施すための基板処理装置が用いられている。
【0003】
たとえば、半導体ウエハの洗浄を行った後に半導体ウエハの表面の乾燥を行う基板処理装置では、基板としての半導体ウエハを処理するための基板処理部と、基板を乾燥処理する処理流体としてのイソプロピルアルコール(IPA)の蒸気を基板処理部に供給するための処理流体供給部と、基板処理部から排出された排気中の水分を分離除去するドレイン処理部とで構成していた。
【0004】
そして、従来の基板処理装置では、IPAの蒸気を基板に噴霧することで基板の表面に付着した水滴中にIPAが溶解して基板と水滴とを剥離させることによって基板の乾燥処理を行い、その後、基板処理部から排出された排気に対してドレイン処理部において気液分離し、水中に溶解したIPAを廃液として廃棄する一方、気体状の排気を排気設備を介して外部に排出していた(たとえば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−110621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の基板処理装置では、基板処理部から排出された排気に対して水分の分離除去を行うドレイン処理部が設けられていただけであるため、水中に溶解した処理流体(IPA)は廃液として処理されるものの、水中に溶解することなく気体として存在する処理流体(IPA)はそのまま排気設備に送られていた。
【0007】
そのため、従来の基板処理装置では、排気を処理するために設けられた排気設備に処理流体が流れ込み、排気設備が処理流体で汚染されてしまったり、排気設備で処理流体を別途処理する必要があり、排気設備への負荷が増大していた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、基板処理装置において、基板を処理するための基板処理部と、基板を処理する処理流体を基板処理部に供給するための処理流体供給部と、噴霧ノズルから処理流体を溶解する溶媒を基板処理部より排出された排気に向けて噴霧することによって排気中の処理流体濃度を低減させるための排気処理部とを有することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に係る本発明において、前記排気処理部に流入する排気に対して排気の流れと直交する向きに向けて前記溶媒を噴霧する第1の噴霧ノズルを設けたることにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記排気処理部に流入する排気に対して排気の流れと平行な向きに向けて前記溶媒を噴霧する第2の噴霧ノズルを設けることにした。
【0011】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項2又は請求項3に係る本発明において、前記排気処理部に排気を分散させるための多孔状の分散板を設けることにした。
【0012】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項4に係る本発明において、前記分散板に向けて前記溶媒の少なくとも一部を噴霧することにした。
【0013】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項2〜請求項5のいずれかに係る本発明において、前記排気処理部に排気が流入する排気流入口の近傍に前記第1又は/及び第2の噴霧ノズルを配置することにした。
【0014】
また、請求項7に係る本発明では、前記請求項1〜請求項6のいずれかに係る本発明において、前記排気処理部は、流入する排気に向けて前記噴霧ノズルから溶媒を噴霧する排気処理流路の下流側に下方から上方に向けて排気を流す排気上昇流路を形成することにした。
【0015】
また、請求項8に係る本発明では、前記請求項7に係る本発明において、前記排気上昇流路に気液分離フィルターを設けることにした。
【0016】
また、請求項9に係る本発明では、前記請求項7又は請求項8に係る本発明において、前記排気上昇流路の断面積を前記排気処理流路の断面積よりも大きくして、前記排気上昇流路を流れる排気の流速を前記排気処理流路を流れる排気の流速よりも遅くなるようにした。
【0017】
また、請求項10に係る本発明では、前記請求項1〜請求項9に係る本発明において、前記処理流体として有機溶剤の蒸気又はミストを用いることにした。
【0018】
また、請求項11に係る本発明では、前記請求項1〜請求項10のいずれかに係る本発明において、前記溶媒として水を用いることにした。
【発明の効果】
【0019】
そして、本発明では、噴霧ノズルから処理流体を溶解する溶媒を基板処理部より排出された排気に向けて噴霧することによって排気中の処理流体濃度を低減させることができ、基板処理装置に接続した排気設備へ流れ込む処理流体が低減し、排気設備への負担を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の具体的な実施例について、半導体ウエハ(基板)の洗浄処理や乾燥処理を施す基板処理装置を例に挙げて図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1に示すように、基板処理装置1は、複数枚の半導体ウエハ(以下、「基板2」という。)を収容したキャリア3の搬入及び搬出を行うキャリア搬入出ユニット4と、キャリア3に収容された基板2の搬入及び搬出を行う基板搬入出ユニット5と、基板2の洗浄処理及び乾燥処理を行う基板処理ユニット6とで構成している。
【0022】
キャリア搬入出ユニット4は、キャリア3を載置するキャリアステージ7に密閉状の開閉扉8を形成し、この開閉扉8の内側にキャリア搬送機構9とキャリアストック10とキャリア載置台11を配設している。
【0023】
そして、キャリア搬入出ユニット4では、キャリア搬送機構9によってキャリアステージ7に載置されたキャリア3を必要に応じてキャリアストック10に一時的に保管するとともに、キャリア載置台11に搬入するようにしている。また、キャリア搬入出ユニット4では、基板処理ユニット6で処理が完了した基板2が収容されたキャリア3に対し、搬入時とは逆に、キャリア載置台11に載置されたキャリア3を必要に応じてキャリア搬送機構9によってキャリアストック10に一時的に保管するとともに、キャリアステージ7に搬出するようにしている。
【0024】
基板搬入出ユニット5は、キャリア搬入出ユニット4との間に密閉状の開閉扉12を形成するとともに、この開閉扉12の内側に基板搬入出機構13と基板搬送機構14の始端部とを配設している。
【0025】
そして、基板搬入出ユニット5では、キャリア搬入出ユニット4のキャリア載置台11に載置したキャリア3に収容された基板2を基板搬入出機構13によって基板搬送機構14に搬入するとともに、基板搬送機構14によって基板処理ユニット6に基板2を搬送し、一方、基板処理ユニット6で処理が完了した基板2を基板搬送機構14によって基板処理ユニット6から基板搬入出機構13に搬送するとともに、基板搬入出機構13によって基板搬送機構14からキャリア搬入出ユニット4のキャリア載置台11に載置したキャリア3に搬出するようにしている。
【0026】
基板処理ユニット6は、基板2の洗浄処理及び乾燥処理を行う基板洗浄乾燥装置15と、基板2の洗浄処理を行う基板洗浄装置16,17,18と、基板搬送機構14に設けた基板2を保持する保持体19の洗浄を行う洗浄装置20とを並べて配設するとともに、これら各装置15,16,17,18,20に沿って基板搬送機構14を配設している。
【0027】
そして、基板処理ユニット6では、基板搬送機構14によって基板搬入出ユニット5から基板2を基板洗浄乾燥装置15や基板洗浄装置16,17,18に搬送して、基板2の洗浄処理や乾燥処理を行い、その後、処理後の基板2を基板搬送機構14によって基板搬入出ユニット5へ再び搬送するようにしている。
【0028】
また、基板処理ユニット6では、基板搬送機構14の保持体19を洗浄装置20で洗浄して、保持体19に付着した汚染物質が基板2に転写しないようにしている。
【0029】
次に、本発明の要部となる基板洗浄乾燥装置15の構成について説明する。
【0030】
基板洗浄乾燥装置15は、図2に示すように、基板2に対して洗浄処理及び乾燥処理を施すための基板処理部21と、基板処理部21に処理流体としてのイソプロピルアルコール(IPA)の蒸気を供給するための処理流体供給部22と、基板処理部21から排出された排気を処理するための排気処理部23とで構成している。
【0031】
基板処理部21は、上端を開口した中空箱型状の洗浄槽24の上部に下端を開口した中空箱型状の乾燥室25を左右にスライド自在の開閉蓋26を介して昇降自在に取付けるとともに、洗浄槽24及び乾燥室25の内部に基板2を保持する保持体27を昇降自在に収容している。なお、基板処理部21としては、基板2の洗浄及び乾燥を行うものに限られず、基板2の洗浄のみを行うものや乾燥のみを行うものであってもよい。
【0032】
そして、基板処理部21は、洗浄槽24の内部に貯留した洗浄液に保持体27で保持した基板2を浸漬させることで基板の洗浄処理を行い、その後、保持体27で基板2を洗浄槽24から乾燥室25に移動させ、乾燥室25の内部で処理流体供給部22から供給されたIPA蒸気を用いて基板2の乾燥処理を行うようにしている。
【0033】
処理流体供給部22は、IPA蒸気を供給するIPA蒸気供給源28と窒素ガスを供給する窒素ガス供給源29とを連通管30,31を介して切換器32に接続し、切換器32に供給管33の基端部を接続するとともに、供給管33の先端部を基板処理部21の乾燥室25の内部に取付けた供給ノズル34,34に接続している。処理流体供給部22としては、基板2を処理するための処理流体を供給するものであればよく、処理流体としては、蒸気状のIPAに限られず、蒸気状や液体状やミスト状の有機溶剤などを用いることができる。
【0034】
そして、処理流体供給部22は、IPA蒸気供給源28から供給されたIPA蒸気を供給ノズル34,34から乾燥室25の内部に供給し、乾燥室25の内部でIPA蒸気によって基板2を乾燥処理するようにし、乾燥処理後に窒素ガス供給源29から供給された窒素ガスで乾燥室25の内部をパージするようにしている。
【0035】
排気処理部23は、基板処理部21の乾燥室25に排出管35の基端部を接続するとともに、排出管35の先端部に矩形中空箱型状の排気処理室36を接続し、排気処理室36に排気管37と排水管38とを接続しており、排気管37は排気設備(図示省略)に接続する一方、排水管38は排水設備(図示省略)に接続している。
【0036】
排気処理室36は、図3〜図5に示すように、上端左側後部に排出管35を接続した排気流入口39を形成するとともに、右下部に排気管37を接続した排気流出口40と排水管38を接続した排水流出口41とを形成し、排気流入口39と排気流出口40及び排水流出口41の近傍に仕切壁42,43をそれぞれ形成している。
【0037】
これにより、排気処理室36は、内部に、排気流入口39から下方に向けて排気が流れる排気処理流路44と、排気処理流路44から流入する液体(排液)が排水流出口41に向けて左から右向きに流れる排水流路45と、排気処理流路44から流入する気体(排気)が下から上向きに流れる排気上昇流路46と、排気上昇流路46から流入する気体(排気)が排気流出口40に向けて上から下向きに流れる排気流路47とが形成される。なお、仕切壁42,43の間隔をあけることによって排気上昇流路46のほうが排気処理流路44よりも断面積が広くなるようにしている。
【0038】
そして、排気処理流路44には、排気流入口39の近傍位置に2個の第1及び第2の噴霧ノズル48,49を取付けるとともに、各噴霧ノズル48,49に溶媒供給源50を連通管51を介して接続しており、排気流入口39から排気処理室36の内部に流入する排気に向けて各噴霧ノズル48,49から溶媒を噴霧するようにしている。なお、溶媒とは、基板処理部21で基板2を処理するために使用される処理流体(ここでは、IPA)を溶解することができる溶媒(ここでは、純水)である。
【0039】
また、排気処理流路44には、排気処理室36の内壁と仕切壁42との間に3枚の多孔状の分散板52,53,54を上下に間隔をあけて水平に取付けている。この分散板52,53,54には、複数の矩形状の貫通孔55が形成されており、しかも、上下の分散板52,53,54の貫通孔55の位置を左右にずらして配置して、排気処理流路44を流れる排気が蛇行するようにしている。
【0040】
ここで、排気処理室36の側部に取付けた第1の噴霧ノズル48は、前方に向けて水平に溶媒を噴霧するように取付けられており、排気処理室36に流入する排気に対して排気の流れと直交する向きに向けて溶媒を噴霧するようにしている。しかも、第1の噴霧ノズル48は、溶媒の噴霧方向を分散板52と平行とし、分散板52の近傍位置に取付けている。
【0041】
また、排気処理室36の上部に取付けた第2の噴霧ノズル49は、下方に向けて溶媒を噴霧するように取付けられており、排気処理室36に流入する排気に対して排気の流れと平行な向きに向けて溶媒を噴霧するようにしている。しかも、第2の噴霧ノズル49は、噴霧した溶媒が第1の噴霧ノズル48から噴霧された溶媒と交差する位置に取付けている。
【0042】
また、各噴霧ノズル48,49は、排気流入口39から流入する排気に直接的に噴霧するようにしており、噴霧した溶媒の一部が最上段(最も上流側)の分散板52に直接的に噴霧されるようにしている。
【0043】
なお、各噴霧ノズル48,49は、分散板52,53,54よりも下流側に設けてもよい。また、各噴霧ノズル48,49は、溶媒を噴霧するものであればよく、噴霧形態は円錐形状や扇形状などのものを用いることができる。
【0044】
また、排気上昇流路46には、仕切壁42,43の間に気液分離フィルター56を取付けて、排気上昇流路46を上昇する排気に含有される水分(特に処理流体)を捕捉するようにしている。
【0045】
排気処理部23は、以上に説明したように構成しており、基板処理部21での基板2の処理中や処理後に基板処理部21から排出された排気が排気処理室36に流入し、排気処理流路44において噴霧ノズル48,49から噴霧された溶媒によって排気中に含有される処理流体が溶解され、排液となったものは排水流路45を通って排水流出口41から外部に排水され、一方、排気は排気上昇流路46を上昇し、気液分離フィルター56を通過し、その後、排気流路47を通って排気流出口40から外部に排気される。
【0046】
そのため、基板処理部21から排出された排気中に含有される処理流体は、排気処理部23で溶媒によって捕捉されて排液として処理されることになり、排気中に含有される処理流体の濃度を低減させることができる。なお、基板処理部21から液体となって排出される処理流体は、そのまま排液として排水流出口41から排出される。
【0047】
このように、上記基板処理装置1では、基板2を処理するための基板処理部21と、基板2を処理する処理流体を基板処理部21に供給するための処理流体供給部22と、処理流体を溶解する溶媒を基板処理部21より排出された排気に向けて噴霧ノズル48,49から噴霧することによって排気中の処理流体濃度を低減させるための排気処理部23とを有する構成となっている。
【0048】
そのため、上記基板処理装置1では、噴霧ノズル48,49から噴霧した溶媒の作用によって排出中に含有された処理流体を排液として処理することができ、排気中の処理流体濃度を低減させることができるので、基板処理装置1に接続した排気設備へ流れ込む処理流体が低減し、排気設備への負担を軽減させることができる。
【0049】
しかも、上記基板処理装置1では、排気処理部23に流入する排気に対して排気の流れと直交する向きに向けて溶媒を噴霧する第1の噴霧ノズル48を設けている。
【0050】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、第1の噴霧ノズル48から噴霧した溶媒が排気と衝突することになり、排気と溶媒との接触が良好なものとなり、溶媒によって排気中の処理流体を良好に溶解させることができ、排気中の処理流体濃度を低減させることができる。特に、第1の噴霧ノズル48の噴霧形態を円錐形状や扇形状とした場合には、排気に対して溶媒を面状に噴霧することができ、排気と溶媒との接触面積が増大して効率良く排気中の処理流体を溶解することができる。
【0051】
さらに、上記基板処理装置1では、排気処理部23に流入する排気に対して排気の流れと平行な向きに向けて溶媒を噴霧する第2の噴霧ノズル49も設けている。
【0052】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、第2の噴霧ノズル49から噴霧した溶媒が排気の流れに沿って流れることになり、排気と溶媒との接触が良好なものとなり、溶媒によって排気中の処理流体を良好に溶解させることができ、排気中の処理流体濃度を低減させることができる。特に、第2の噴霧ノズル49の噴霧形態を円錐形状や扇形状とした場合には、排気に対して溶媒を面状に噴霧することができ、排気と溶媒との接触面積が増大して効率良く排気中の処理流体を溶解することができる。また、第2の噴霧ノズル49から噴霧する溶媒を第1の噴霧ノズル48から噴霧された溶媒と交差させた場合には、排気に対して溶媒を高密度で接触させることができ、これによっても効率良く排気中の処理流体を溶解することができる。この場合、第2の噴霧ノズル49の噴霧形態を円錐形状としたほうが第1の噴霧ノズル48から噴霧される溶媒と交差する面積が増大しより効率良く排気中の処理流体を溶解することができる。
【0053】
また、上記基板処理装置1では、排気処理部23に排気が流入する排気流入口39の近傍に噴霧ノズル48,49を配置している。
【0054】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、排気処理部23に流入した排気が分散する前に集中的に溶媒を噴霧することができ、これによっても排気と溶媒との接触が良好なものとなり、溶媒によって排気中の処理流体を良好に溶解させることができ、排気中の処理流体濃度を低減させることができる。
【0055】
また、上記基板処理装置1では、排気処理部23の内部に排気を分散させるための多孔状の分散板52,53,54を設けている。
【0056】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、排気が分散板52,53,54によって分散することによって排気と溶媒との接触面積が増大し、これによっても排気と溶媒との接触が良好なものとなり、溶媒によって排気中の処理流体を良好に溶解させることができ、排気中の処理流体濃度を低減させることができる。
【0057】
また、上記基板処理装置1では、噴霧ノズル48,49から分散板52,53,54に向けて溶媒の少なくとも一部を噴霧するように構成している。
【0058】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、排気が分散板52,53,54を通過するときに溶媒と直接的に接触することになり、これによっても排気と溶媒との接触が良好なものとなり、溶媒によって排気中の処理流体を良好に溶解させることができ、排気中の処理流体濃度を低減させることができる。特に、第1の噴霧ノズル48からの溶媒の噴霧方向と分散板52とを平行とするとともに、第1の噴霧ノズル48と分散板52とを近接して配置した場合には、第1の噴霧ノズル48から噴霧した溶媒を分散板52に良好に噴霧することができ、分散板52での排気と溶媒との接触面積が増大し、処理流体をより一層良好に溶解させることができる。この場合、第1の噴霧ノズル48の噴霧形態を円錐形状としたほうが分散板52の全体にわたって溶媒を噴霧することができ、より効率良く排気中の処理流体を溶解することができる。
【0059】
また、上記基板処理装置1では、流入する排気に向けて噴霧ノズル48,49から溶媒を噴霧する排気処理流路44の下流側に下方から上方に向けて排気を流す排気上昇流路46を排気処理部23に形成している。
【0060】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、排気処理流路44で処理された後の排気中に霧状の排液が含有されていても、排気上昇流路46を通って上昇する際に水分の重量の作用で霧状の排液が落下して排水として処理されることになり、これによっても排気中の処理流体濃度を低減させることができる。
【0061】
さらに、上記基板処理装置1では、排気上昇流路46の断面積を排気処理流路44の断面積よりも大きくして、排気上昇流路46を流れる排気の流速を排気処理流路44を流れる排気の流速よりも遅くなるようにしている。
【0062】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、排気が排気上昇流路46を上昇する時間が長くなり、霧状の排液をより多く落下させることができ、これによっても排気中の処理流体濃度を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】基板処理装置を示す平面図。
【図2】基板洗浄乾燥装置を示す模式図。
【図3】排気処理部を示す正面断面図。
【図4】同平面断面図。
【図5】同側面断面図。
【符号の説明】
【0064】
1 基板処理装置 2 基板
3 キャリア 4 キャリア搬入出ユニット
5 基板搬入出ユニット 6 基板処理ユニット
7 キャリアステージ 8 開閉扉
9 キャリア搬送機構 10 キャリアストック
11 キャリア載置台 12 開閉扉
13 基板搬入出機構 14 基板搬送機構
15 基板洗浄乾燥装置 16,17,18 基板洗浄装置
19 保持体 20 洗浄装置
21 基板処理部 22 処理流体供給部
23 排気処理部 24 洗浄槽
25 乾燥室 26 開閉蓋
27 保持体 28 IPA蒸気供給源
29 窒素ガス供給源 30,31 連通管
32 切換器 33 供給管
34 供給ノズル 35 排出管
36 排気処理室 37 排気管
38 排水管 39 排気流入口
40 排気流出口 41 排水流出口
42,43 仕切壁 44 排気処理流路
45 排水流路 46 排気上昇流路
47 排気流路 48,49 噴霧ノズル
50 溶媒供給源 51 連通管
52,53,54 分散板 55 貫通孔
56 気液分離フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための基板処理部と、
基板を処理する処理流体を基板処理部に供給するための処理流体供給部と、
噴霧ノズルから処理流体を溶解する溶媒を基板処理部より排出された排気に向けて噴霧することによって排気中の処理流体濃度を低減させるための排気処理部と、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記排気処理部に流入する排気に対して排気の流れと直交する向きに向けて前記溶媒を噴霧する第1の噴霧ノズルを設けたことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記排気処理部に流入する排気に対して排気の流れと平行な向きに向けて前記溶媒を噴霧する第2の噴霧ノズルを設けたことを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記排気処理部に排気を分散させるための多孔状の分散板を設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記分散板に向けて前記溶媒の少なくとも一部を噴霧することを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記排気処理部に排気が流入する排気流入口の近傍に前記第1又は/及び第2の噴霧ノズルを配置したことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記排気処理部は、流入する排気に向けて前記噴霧ノズルから溶媒を噴霧する排気処理流路の下流側に下方から上方に向けて排気を流す排気上昇流路を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記排気上昇流路に気液分離フィルターを設けたことを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記排気上昇流路の断面積を前記排気処理流路の断面積よりも大きくして、前記排気上昇流路を流れる排気の流速を前記排気処理流路を流れる排気の流速よりも遅くなるようにしたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記処理流体として有機溶剤の蒸気又はミストを用いることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記溶媒として水を用いることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−114307(P2010−114307A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286543(P2008−286543)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】