説明

基板処理装置

【課題】基板に対して最終薬液処理の後に洗浄処理を行う場合に、薬液処理室の寸法上の設計の共通化を達成しつつ薬液除去効果を高めることができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】搬送される基板Wに対して最終薬液処理を行う薬液処理室36と、薬液処理室36の基板搬送方向下流側に設置され基板Wに対して置換水洗処理を行う置換水洗室40とを備えた基板処理装置300において、薬液処理室36内に設けられ薬液処理を終えた基板Wに対して高圧の気体を噴出することにより基板に付着した薬液の除去を行う上下エアーナイフ37、37と、基板搬送方向下流側において薬液処理室36と隣接する薬液除去領域73内に設けられさらに基板に付着した薬液の除去を行う上下エアーナイフ71、71とを備え、薬液処理室36において薬液処理が行われた後、二対の上下エアーナイフ37、37、71、71により薬液除去が行われた基板に対して置換水洗処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置(LCD)用、プラズマディスプレイ(PDP)用、有機発光ダイオード(OLED)用、電界放出ディスプレイ(FED)用、真空蛍光ディスプレイ(VFD)用、太陽電池パネル用等のガラス基板、磁気/光ディスク用のガラス/セラミック基板、半導体ウエハ、電子デバイス基板等の各種の基板に対して、レジスト剥離処理、エッチング処理等の薬液処理のうち最終の薬液処理を行いその後に洗浄処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばLCD、PDP等のデバイスの製造プロセスにおいて、基板の主面へ各種薬液を供給してレジスト剥離処理、エッチング処理等の薬液処理を行った後に、基板を水洗処理する場合、まず、置換水洗室(循環水水洗処理部)において薬液処理直後の基板の主面へ洗浄水を供給して基板上の薬液を洗浄水で置換し、続いて、直水洗室(新水水洗処理部)において基板の主面へ純水を供給して基板を水洗し、その後に基板を乾燥処理するようにしている。このとき、直水洗室での基板の洗浄には純水(新水)を使用し、置換水洗室での基板の洗浄には、直水洗室で使用された水を循環水タンクに回収してそれを洗浄水(循環水)として使用することにより、純水の使用量を節減している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、薬液処理後の基板を水洗処理する水洗処理部を置換水洗室(第1水洗部)と第2水洗室(第2水洗部)と直水洗室(第3水洗部)とで構成し、まず、置換水洗室において、第2水洗室で使用された水を第1循環水タンクに回収してそれを洗浄水として使用し、薬液処理直後の基板の主面へ洗浄水を供給して基板上の薬液を洗浄水で置換した後、第2水洗室において、直水洗室で使用された水を第2循環水タンクに回収してそれを洗浄水として使用し、主面上の薬液が洗浄水で置換された基板を水洗処理し、最後に、直水洗室において基板の主面へ純水を供給して基板を仕上げ水洗する、といった装置も使用されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−162918号公報(第4−6頁、図1)
【特許文献2】特開平10−284379号公報(第3−4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図9に、従来の基板処理装置700の概略構成の1例を示す。図9は、基板処理装置700を模式的に示したものである。
【0006】
この基板処理装置700は、複数の薬液処理のうち最終の薬液処理を行う薬液処理部1とその後段側に配置された置換水洗部(第1水洗部)5とから構成されている。置換水洗部5の後段には、第2水洗部3(一部のみを図示)と直水洗部(図示せず)と乾燥処理部(図示せず)とがこの順に連設されている。
【0007】
最終薬液処理部1は、薬液を貯留する薬液タンク31と、基板1に薬液を供給するための複数の薬液供給スプレーノズル32とポンプ35を備え、薬液タンク31に貯留された薬液を薬液供給スプレーノズル32に送液する薬液供給路33とを有する。
【0008】
薬液供給スプレーノズル32は、基板搬送方向に沿ってかつ平行に複数本設けられ、スプレーノズル32には、基板搬送方向に複数個の吐出口が一列に形設されており、薬液処理室36内へ搬入されてきた基板Wを、水平方向へ往復移動させる搬送ローラ(図示せず)により搬送される基板Wの上面に薬液を噴出する構成を有する。これらの薬液供給スプレーノズル32は、薬液処理室36内に配設されている。また、この薬液処理室36内の基板搬出口70の近傍には、基板Wの両面に対して高圧の気体を噴出することにより、基板Wの両面に付着する薬液を除去するための、一対の上下エアーナイフ37、37が配設されている。この一対の上下エアーナイフ37、37には、エアー供給源に流路接続されたエアー供給管38が連通接続されており、搬送される基板を挟んで上下エアーナイフ37、37から基板Wの上・下両面へエアーが基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出される。また、薬液処理室36の底部には、薬液処理室36の内底部に流下した使用済みの薬液を排出するための循環排水路76が設けられており、循環排水路76は、薬液タンク31に連通接続されている。
【0009】
置換水洗部5は、薬液処理部1の薬液処理室36に隣接して設置され基板搬入口42および基板搬出口43を有する置換水洗室(第1水洗室)40、この置換水洗室40内へ搬入されてきた薬液処理後の基板Wを、水平面に対し基板搬送方向と直交する方向に傾斜させた姿勢で支持し置換水洗室40内において水平方向へ往復移動させる複数の搬送ローラ(図示せず)、置換水洗室40内の基板搬入口42付近に配設され、置換水洗室40内へ搬入されてきた基板Wの上面へ洗浄水を基板Wの幅方向全体にわたってカーテン状に吐出するスリットノズル44、ならびに、置換水洗室40内において水平方向へ往復移動する基板Wの上・下両面へそれぞれ洗浄水を吐出する上部スプレーノズル45および下部スプレーノズル46などを備えている。上部スプレーノズル45および下部スプレーノズル46は、基板搬送方向に沿ってかつ互いに平行にそれぞれ複数本設けられ、各スプレーノズル45、46には、基板搬送方向に複数個の吐出口が一列に形設されている。置換水洗室40の底部には、置換水洗室40の内底部に流下した使用済みの洗浄水を排出するための排液路47が設けられている。置換水洗室40の底部には、洗浄水タンク49が設けられており、純水(新水)の供給源に流路接続された純水供給路50が連通接続されている。さらに、第2水洗部3の水洗室60の底部に設けられた洗浄水供給路61が連通接続されている。洗浄水タンク49の底部には、送液ポンプ51が介設され置換水洗室40内のスリットノズル44に流路接続された洗浄水供給路53が連通接続されている。さらに、洗浄水タンク49の底部には、送液ポンプ52が介設され置換水洗室40内の上部スプレーノズル45および下部スプレーノズル46にそれぞれ流路接続された洗浄水供給路54がそれぞれ連通接続されている。
【0010】
第2水洗部の構成は、一部だけしか図示されていないが、第1水洗部5と同様である。
【0011】
上述のとおり、従来では薬液処理室36内の基板搬出口70の近傍に設けられた一対の上下エアーナイフ37、37から薬液処理された基板Wの両面に対して高圧の気体を噴出することにより、基板Wの両面に付着する薬液除去を行っていたが、十分な除去効果が得られず、その結果薬液処理室36外への薬液の持出し量の十分な低減化を図ることができなかった。
【0012】
そこで、基板Wの両面に付着する薬液の除去効果を高めるために、図10に示すように、一対の上下エアーナイフ37、37の基板搬送方向下流側に隣接して薬液処理室36内にもう一対の上下エアーナイフ39、39を近接して設け、二対の上下エアーナイフ37、37、39、39から高圧の気体を噴出することより、基板Wの両面に付着する薬液の除去を行う構成も考えられる。
【0013】
図10は、図9に示した従来の基板処理装置700の改善例に係る構成の要部を模式的に示したものである。
【0014】
しかしながら、図10に示す基板処理装置800のように二対のエアーナイフを近接して連設すると、基板搬送方向の上流側でかつ基板の上方に位置するエアーナイフ37からの噴出気体の気流が、搬送される基板の上面上において、基板搬送方向下流側でかつ基板上方に位置するエアーナイフ39からの噴出気体によって押し上げられてしまう。同様に、基板搬送方向の上流側でかつ基板の下方に位置するエアーナイフ37からの噴出気体の気流が、搬送される基板の下面下において、基板搬送方向下流側でかつ基板の下方に位置するエアーナイフ39からの噴出気体によって押し上げられてしまう。その結果、薬液除去効果が減殺され、一対の上下エアーナイフと変わらない程度の薬液処理室36外への薬液持出し量の低減しか図れない。
【0015】
基板搬送方向下流側の一対の上下エアーナイフ39、39から噴出される気体による作用を回避するためには、薬液処理室内における二対の上下エアーナイフの設置位置の、基板搬送方向における離間距離を大きく設定すれば良いが、そうするとこの二対の上下エアーナイフが設置される薬液処理室の基板搬送方向における長さを延長する必要がある。ここで、通常基板処理装置は、複数の薬液処理を行うために複数の薬液処理部から構成されるが、最終の薬液処理を行う薬液処理部の薬液処理室のみを他の薬液処理部の薬液処理室と異なる寸法で設計・製造することが必要になる。そのため、複数の薬液処理室の共通設計が不可能となり、設計・製造コストが増大することになる。
【0016】
図10では、薬液除去のための高圧気体噴出手段として、二対の上下エアーナイフを用いた例について説明したが、この二対の上下エアーナイフ代えて二対のエアーノズルを用いた場合でも同様の問題が発生する。
【0017】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、レジスト剥離処理、エッチング処理等の薬液処理のうち最終の薬液処理を行い、その後に洗浄処理を行う場合において、薬液処理室の寸法上の設計の共通化を達成しつつ薬液除去効果を高めることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に係る発明は、基板に対して最終薬液処理を行う薬液処理室と、前記薬液処理室内に配設されて基板を搬送する基板搬送手段と、前記薬液処理室内に配設される基板搬送手段によって搬送される基板の主面へ最終薬液処理のための薬液を供給する薬液供給手段と、前記薬液処理室の基板搬送方向下流側に設置され最終薬液処理後の基板に対して水洗処理を行う水洗室と、前記水洗室内に配設されて基板を搬送する基板搬送手段と、前記水洗室内に配設される基板搬送手段によって搬送される基板の主面へ洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、を備えた基板処理装置を以下のように構成したことを特徴とする。すなわち、前記基板処理装置は、前記薬液処理室内に設けられ、最終薬液処理を終えた基板に対して高圧の気体を噴出することにより基板に付着した薬液の除去を行う第1高圧気体噴出手段と、基板搬送方向下流側において前記薬液処理室と隣接する薬液除去領域内に設けられ、前記第1高圧気体噴出手段により薬液除去が行われた基板に付着した薬液の除去をさらに行う第2高圧気体噴出手段とをさらに備え、前記薬液処理室において最終薬液処理が行われた後前記第1および第2高圧気体噴出手段により薬液除去が行われた基板に対して、水洗処理を行うことを特徴とする。
【0019】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、前記水洗室内には、当該水洗室内を基板搬送方向上流側の薬液除去領域と基板搬送方向下流側の水洗処理領域との2つの領域に仕切るための仕切部材が設けられ、前記水洗室内の前記薬液除去領域内に前記第2高圧気体噴出手段が設けられることを特徴する。
【0020】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の基板処理装置において、前記水洗処理領域は、基板搬送方向における長さが基板の基板搬送方向における寸法より短くされ、基板が搬入される入口および基板が搬出される出口を有する閉鎖形態であり、 前記基板搬送手段は、前記水洗処理領域内へ搬入されてきた基板を一方向へ連続して搬送し水洗処理領域内から搬出するものであり、前記洗浄水供給手段は、前記水洗処理領域内の入口付近に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板の主面へ洗浄水を基板の幅方向全体にわたって吐出するスリットノズルと、このスリットノズルより基板搬送方向における下流側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板上の薬液が基板搬送方向における下流側へ流動するのをせき止めて基板上の薬液が洗浄水で急速に置換されるように基板の主面へ洗浄水を高圧で吐出する高圧ノズルと、を備えて構成され、前記水洗処理領域内の出口側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板に薬液が付着して水洗処理領域外へ持ち出されるのを阻止するように基板の主面へ気体を直下方向ないし基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出する気体ノズルと、前記水洗処理領域の内底部に流下した洗浄水を排出する排水手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の基板処理装置において、前記スリットノズルは、長手方向に沿ったスリット状吐出口を有し、そのスリット状吐出口から基板の主面へ洗浄水を、直下方向に対して基板搬送方向における下流側へ傾斜した方向にカーテン状に吐出することを特徴とする。
【0022】
請求項5に係る発明は、請求項3または請求項4に記載の基板処理装置において、前記高圧ノズルは、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ扇状に洗浄水を高圧で吐出する直列高密度扇形スプレーノズルであることを特徴とする。
【0023】
請求項6に係る発明は、請求項3または請求項4に記載の基板処理装置において、前記高圧ノズルは、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ気体の圧力で洗浄水をミスト化して吐出する2流体スプレーノズルであることを特徴とする。
【0024】
請求項7に係る発明は、請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の基板処理装置において、前記高圧ノズルに、その吐出口から吐出される洗浄水のミストが飛散するのを防止するためのフードが付設されたことを特徴とする。
【0025】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の基板処理装置において、前記フードを通して洗浄水のミストを吸引し排出するミスト吸引装置が併設されたことを特徴とする。
【0026】
請求項9に係る発明は、請求項3ないし請求項7のいずれかに記載の基板処理装置において、前記水洗室の後段側に設けられる第2水洗室において使用され回収された洗浄水の一部が前記スリットノズルおよび前記高圧ノズルへ供給されることを特徴とする。
【0027】
請求項10に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、前記薬液処理室と前記水洗室との間に、当該水洗室とは独立した薬液除去室を設置し、当該薬液除去室内に前記第2高圧気体噴出手段を設けて前記薬液除去領域を構成することを特徴とする。
【0028】
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の基板処理装置において、前記薬液除去室を前記薬液処理室と前記水洗室との間に複数連設し、各薬液除去室内にそれぞれ高圧気体噴出手段を設けて前記薬液除去領域を構成することを特徴とする。
【0029】
請求項12に係る発明は、請求項10または11に記載の基板処理装置において、前記水洗室は、基板搬送方向における長さが基板の基板搬送方向における寸法より短くされ、基板が搬入される入口および基板が搬出される出口を有する閉鎖形態であり、前記基板搬送手段は、前記水洗室内へ搬入されてきた基板を一方向へ連続して搬送し水洗室内から搬出するものであり、前記洗浄水供給手段は、前記水洗室内の入口付近に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板の主面へ洗浄水を基板の幅方向全体にわたって吐出するスリットノズルと、このスリットノズルより基板搬送方向における下流側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板上の薬液が基板搬送方向における下流側へ流動するのをせき止めて基板上の薬液が洗浄水で急速に置換されるように基板の主面へ洗浄水を高圧で吐出する高圧ノズルと、を備えて構成され、前記水洗室内の出口側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板に薬液が付着して水洗室外へ持ち出されるのを阻止するように基板の主面へ気体を直下方向ないし基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出する気体ノズルと、前記水洗室の内底部に流下した洗浄水を排出する排水手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0030】
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の基板処理装置において、前記スリットノズルは、長手方向に沿ったスリット状吐出口を有し、そのスリット状吐出口から基板の主面へ洗浄水を、直下方向に対して基板搬送方向における下流側へ傾斜した方向にカーテン状に吐出することを特徴とする。
【0031】
請求項14に係る発明は、請求項12または請求項13に記載の基板処理装置において、前記高圧ノズルは、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ扇状に洗浄水を高圧で吐出する直列高密度扇形スプレーノズルであることを特徴とする。
【0032】
請求項15に係る発明は、請求項12または請求項14に記載の基板処理装置において、前記高圧ノズルは、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ気体の圧力で洗浄水をミスト化して吐出する2流体スプレーノズルであることを特徴とする。
【0033】
請求項16に係る発明は、請求項12ないし請求項15のいずれかに記載の基板処理装置において、前記高圧ノズルに、その吐出口から吐出される洗浄水のミストが飛散するのを防止するためのフードが付設されたことを特徴とする。
【0034】
請求項17に係る発明は、請求項16に記載の基板処理装置において、前記フードを通して洗浄水のミストを吸引し排出するミスト吸引装置が併設されたことを特徴とする。
【0035】
請求項18に係る発明は、請求項12ないし請求項17のいずれかに記載の基板処理装置において、前記水洗室の後段側に設けられる第2水洗室において使用され回収された洗浄水の一部が前記スリットノズルおよび前記高圧ノズルへ供給されることを特徴とする。
【0036】
請求項19に係る発明は、請求項1ないし請求項18のいずれかに記載の基板処理装置において、前記第1および第2高圧気体噴出手段は、それぞれ、基板を挟んで配置され、基板の両面へ高圧の気体を噴出することにより付着する薬液を除去するための一対の上下エアーナイフまたはエアーノズルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
請求項1に係る発明の基板処理装置においては、第1および第2高圧気体噴出手段を、薬液処理室6内と薬液除去領域73内とにそれぞれに分割して設置し、かつ、前段の第1高圧気体噴出手段からの噴出気体による薬液の除去作用を、後段の第2高圧気体噴出手段からの噴出気体が阻害しない距離だけ基板搬送方向において両者を離間して配置している。このため、第1および第2高圧気体噴出手段からの噴出気体による重畳した薬液除去効果が得られ、薬液除去領域外への薬液の持出し量の低減化を図ることができる。これにより、最終薬液処理に続いて行われる水洗処理に使用されるべき洗浄水の使用量を低減することができ、ひいては基板処理装置全体のランニングコストの低減を図ることができる。また、第1および第2高圧気体噴出手段として例えば二対の上下エアーナイフを用い、最終の薬液処理を行う薬液処理部の薬液処理室内にこの二対の上下エアーナイフを、前段のエアーナイフからの噴出気体による薬液除去作用を後段のエアーナイフからの噴出気体が阻害しない距離だけ基板搬送方向に関して両者を離間して配置させるために、最終の薬液処理を行う薬液処理部の薬液処理室のみを他の薬液処理部の薬液処理室より基板搬送方向に関して長い寸法で設計・製造することが不要となり、他の薬液処理部の薬液処理室と設計・製造の共通化を図ることができ、これにより薬液処理室の設計・製造コストの低減化を達成することができる。
【0038】
請求項2に係る発明の基板処理装置においては、第2高圧気体噴出手段からの噴出気体により基板Wから除去された薬液は、仕切部材により水洗室の薬液除去領域内に留まり、基板搬送方向下流側に位置する水洗処理領域内へ飛散することが効果的に阻止される。
【0039】
請求項3または請求項12に係る発明の基板処理装置においては、水洗処理領域内または水洗室内へ搬入されてきた薬液処理後の基板に対し、入口付近に設けられたスリットノズルから基板の幅方向全体にわたって洗浄水が吐出されることにより、第1および第2高圧気体噴出手段からの高圧気体によって付着量が低減された基板上の残留している薬液が洗浄水で希釈され洗い流される。スリットノズルの配設位置を通過した後に基板上に残留した薬液と洗浄水の混合液は、スリットノズルの前方側に設けられた高圧ノズルから基板の主面へ高圧で吐出される洗浄水によって前方への流動がせき止められる。このように前方への希釈薬液の流動がせき止められた状態で基板が前方へ移動するので、高圧ノズルの配設位置を基板が通過する間に、基板上の薬液が洗浄水で急速に置換される。そして、水洗領域内または水洗室内から基板が搬出される前に、気体ノズルから基板の主面へ噴出される気体の圧力によって基板上の液が前方へ流動するのがせき止められる。この結果、基板に薬液が付着して水洗処理領域外または水洗室外へ持ち出されることが効果的に阻止される。これらの一連の水洗処理は、基板搬送方向における長さが基板の基板搬送方向における寸法より短くされた水洗処理領域内または水洗室内へ基板が搬入され水洗処理領域内または水洗室内を一方向へ連続して搬送されて水洗処理領域内または水洗室内から搬出されるまでの短い時間内に行われる。また、高圧ノズルから基板の主面へ高圧で吐出される洗浄水によって基板上の薬液が洗浄水で急速に置換されるので、比較的小量の洗浄水の使用により効率良く水洗処理が行われる。そして、水洗処理領域または水洗室の内底部に流下した洗浄水は、排水手段によって排出される。
【0040】
したがって、請求項3または請求項12に係る発明の基板処理装置を使用すると、薬液処理後の基板を水洗処理するときの純水の使用量を大幅に節減するとともに、排液量を少なくすることができ、また、水洗処理時間を大幅に短縮することができる。
【0041】
請求項4または請求項13に係る発明の基板処理装置では、水洗処理領域内または水洗室内へ搬入されてきた薬液処理後の基板に対し、スリットノズルのスリット状吐出口から基板の幅方向全体にわたってカーテン状に洗浄水を吐出することにより、基板上の薬液を洗浄水で効率良く希釈して洗い流すことができる。
【0042】
請求項5および請求項14に係る発明の基板処理装置では、直列高密度扇形スプレーノズルの複数の吐出口から基板の主面へ洗浄水を高圧で吐出することにより、基板上に残留した薬液と洗浄水の混合液が前方へ流動するのを確実にせき止めることができる。
【0043】
請求項6および請求項15に係る発明の基板処理装置では、2流体スプレーノズルの複数の吐出口からエアー等の気体の圧力で洗浄水をミスト化して気体と共に基板の主面へ吐出することにより、基板上に残留した薬液と洗浄水の混合液が前方へ流動するのを確実にせき止めることができる。
【0044】
請求項7および請求項16に係る発明の基板処理装置では、高圧ノズルの吐出口から洗浄水が高圧で吐出されることによって洗浄水のミストを生じるが、フードによってそのミストの飛散を防止することができる。
【0045】
請求項8および請求項17に係る発明の基板処理装置では、ミスト吸引装置によって洗浄水のミストを吸引し排出することにより、薬液を含んだ洗浄水のミストが基板に再付着することを防止することができる。
【0046】
請求項9および請求項18に係る発明の基板処理装置では、純水の利用効率を高めることができる。
【0047】
請求項10に係る発明の基板処理装置では、第2高圧気体噴出手段からの噴出気体により基板Wから除去された薬液は、薬液除去室から構成された薬液除去領域内に留まり、基板搬送方向下流側に位置する水洗室内へ飛散することが効果的に阻止される。
【0048】
請求項11に係る発明の基板処理装置では、複数連設された薬液処理室によって構成された薬液除去領域外への薬液持出し量の大幅な低減を図ることができる。
【0049】
請求項19に係る発明の基板処理装置では、簡易な構成により基板からの薬液除去効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置300を模式的に示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の変形例に係る基板処理装置400の要部を模式的に示す概略構成図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置500の要部を模式的に示す概略構成図である。
【図4】図3に示した基板処理装置500の置換水洗部5の構成要素である高圧ノズルの1例を示す図であって、直列高密度扇形スプレーノズルを基板搬送方向における下流側から見た模式的正面図である。
【図5】図3に示した基板処理装置500の置換水洗部の構成要素である高圧ノズルの1例を示す図であって、2流体スプレーノズルを基板搬送方向における前方側から見た模式的正面図である。
【図6】図3に示した置換水洗部5における処理の様子を示す模式的側面図である。
【図7】図3に示した置換水洗部5における処理の様子を示す模式的側面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の変形例に係る基板処理装置600の要部を模式的に示す概略構成図である。
【図9】従来の基板処理装置700の構成に係る1例を模式的に示す概略構成図である。
【図10】図9に示した従来の基板処理装置700の改善例に係る構成の要部を模式的に示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0052】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置300を模式的に示したものである。なお、図9において示した構成要素および部材と同一または対応する構成要素および部材については、図1においても同一の符号を使用する。
【0053】
この基板処理装置300は、複数の薬液処理のうち最終の薬液処理を行う薬液処理部1とその後段側に配置された置換水洗部(第1水洗部)5とから構成されている。置換水洗部5の後段には、第2水洗部3(一部のみを図示)と直水洗部(図示せず)と乾燥処理部(図示せず)とがこの順に連設されている。
【0054】
最終の薬液処理部1は、薬液を貯留する薬液タンク31と、基板1に薬液を供給するための複数の薬液供給スプレーノズル32とポンプ35を備え、薬液タンク31に貯留された薬液を薬液供給スプレーノズル32に送液する薬液供給路33とを有する。
【0055】
薬液供給スプレーノズル32は、基板搬送方向に沿ってかつ平行に複数本設けられ、それぞれのスプレーノズル32には、基板搬送方向に複数個の吐出口が一列に形設されており、薬液処理室36内へ搬入されてきた基板Wを、水平方向へ往復移動させる搬送ローラ(図示せず)により搬送される基板Wの上面に薬液を噴出する構成を有する。これらの薬液供給スプレーノズル32は、薬液処理室36内に配設されている。また、この薬液処理室36内の基板搬出口70の近傍には、基板Wの両面に対して高圧の気体を噴出することにより、基板Wの両面に付着する薬液を除去するための、一対の上下エアーナイフ37、37が配設されている。この一対の上下エアーナイフ37、37には、エアー供給源に流路接続されたエアー供給管38が連通接続されており、エアーナイフ37、37から基板Wの上・下両面へエアーが基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出される。また、薬液処理室36の底部には、薬液処理室36の内底部に流下した使用済みの薬液を排出するための循環排水路76が設けられており、循環排水路76は、薬液タンク31に連通接続されている。
【0056】
置換水洗部5は、薬液処理部1の薬液処理室36に隣接して設置され基板搬入口42および基板搬出口43を有する置換水洗室(第1水洗室)40、この置換水洗室40内の基板搬入口42近傍に配設され基板Wの両面に対して高圧の気体を噴出することにより、基板Wの両面に付着する薬液を除去するための、一対の上下エアーナイフ71、71、この置換水洗室40内へ搬入されてきた薬液処理後の基板Wを、水平面に対し基板搬送方向と直交する方向に傾斜させた姿勢で支持し置換水洗室40内において水平方向へ往復移動させる複数の搬送ローラ(図示せず)、置換水洗室40内を薬液除去領域73と水洗処理領域74との2つの領域に仕切るための仕切部材72付近に配設され、置換水洗室40内へ搬入されてきた基板Wの上面へ洗浄水を基板Wの幅方向全体にわたってカーテン状に吐出するスリットノズル44、ならびに、置換水洗室40内において水平方向へ往復移動する基板Wの上・下両面へそれぞれ洗浄水を吐出する上部スプレーノズル45および下部スプレーノズル46などを備えている。
【0057】
一対の上下エアーナイフ71、71には、エアー供給源に流路接続されたエアー供給管77が連通接続されており、エアーナイフ71、71から基板Wの上・下両面へエアーが基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出される。
【0058】
スリットノズル44は、その長手方向に沿ったスリット状吐出口を有する。このスリットノズル44は、基板Wの上面と平行にかつ基板搬送方向と直交するように配置され、鉛直方向から斜め前方に傾斜するように設置されている。そしてスリットノズル44のスリット状吐出口からは、置換水洗室47の水洗処理領域74内へ搬入されてきた基板Wの上面へ基板Wの幅方向全体にわたって洗浄水がカーテン状に、かつ、その直下方向に対して基板搬送方向における下流側へ傾斜した方向に吐出される。なお、スリットノズルに代えて、多数の微小吐出口が長手方向に沿って一列に形設されたノズルを用い、そのノズルの多数の微小吐出口から基板Wの幅方向全体にわたって洗浄水が吐出されるようにしてもよい。
【0059】
上部スプレーノズル45および下部スプレーノズル46は、基板搬送方向に沿ってかつ互いに平行にそれぞれ複数本設けられ、各スプレーノズル45、46には、基板搬送方向に複数個の吐出口が一列に形設されている。
【0060】
また、置換水洗室40の底部には、置換水洗室40の内底部に流下した使用済みの洗浄水を排出するための排液路47が設けられている。置換水洗室40の底部には、洗浄水タンク49が設けられており、純水(新水)の供給源に流路接続された純水供給路50が連通接続されている。さらに、第2水洗部3の水洗室60の底部に設けられた洗浄水供給路61が連通接続されている。 洗浄水タンク49の底部には、送液ポンプ51が介設され置換水洗室40内のスリットノズル44に流路接続された洗浄水供給路53が連通接続されている。さらに、洗浄水タンク49の底部には、送液ポンプ52が介設され置換水洗室40内の上部スプレーノズル45および下部スプレーノズル46にそれぞれ流路接続された洗浄水供給路54がそれぞれ連通接続されている。
【0061】
第2水洗部の構成は、一部だけしか図示されていないが、置換水洗部(第1水洗部)5と同様である。
【0062】
上述した構成を備えた基板処理装置300においては、まず、薬液処理室36内へ搬入されてきた基板Wを搬送ローラにより水平方向へ往復移動させながらその上面に薬液供給スプレーノズル32から薬液を噴出することにより、最終の薬液処理が行なわれる。
【0063】
最終の薬液処理を終えた基板Wは、搬送ローラにより薬液処理室36の基板搬出口70から搬出される前に、基板搬出口70近傍に配設された一対の上下エアーナイフ37、37からその両面に噴出される高圧の気体により、付着している薬液の除去が行われる。一対の上下エアーナイフ37、37から噴出される高圧の気体により基板Wの両面から除去された薬液は、薬液処理室36の内底部に流下し循環排水路76を介して薬液タンク31に回収される。
【0064】
基板搬出口70を通過し基板搬入口42から置換水洗室40へ搬入されてきた基板Wは、その両面に一対の上下エアーナイフ71、71から高圧の気体を噴出されることにより、残留している薬液の除去がさらに行われる。このとき、一対の上下エアーナイフ71、71からの噴出気体により基板Wの両面から除去された薬液は、仕切部材72により置換水洗室40の薬液除去領域73内に留まり、基板搬送方向下流側に位置する水洗処理領域74内へ飛散することが阻止される。なお、 薬液除去領域73において除去された薬液は、薬液除去領域73の底部に設けられ薬液タンク31に連通接続された循環排水路78を介して薬液タンク31に回収される。
【0065】
薬液除去領域73から仕切部材に形成された基板搬入口83を通過して水洗処理領域74内に搬送されてきた基板Wの上面へは、スリットノズル44から洗浄水を基板Wの幅方向全体にわたってカーテン状に吐出するとともに、上部スプレーノズル45および下部スプレーノズル46から水平方向へ往復移動する基板Wの上・下両面へそれぞれ洗浄水を間断なく吐出することにより基板W上に残留する薬液を洗浄水で置換する。置換水洗部5での置換水洗処理を終えた基板Wは、基板搬出口43から第2水洗部へ搬出される。
【0066】
上記した構成を備えた基板処理装置300においては、二対の上下エアーナイフ37、37、71、71を、薬液処理室36内と置換水洗室40の薬液除去領域73内にそれぞれに一対ずつ分割して設置し、かつ、前段のエアーナイフ37、37からの噴出気体による薬液の除去作用を、後段のエアーナイフ71、71からの噴出気体が阻害しない距離だけ基板搬送方向において両者を離間して配置している。このため、二対のエアーナイフからの噴出気体による薬液除去効果が得られ、薬液除去領域73外への薬液の持出し量の低減化を図ることができる。これにより、最終薬液処理に続いて行われる置換水洗処理に使用されるべき洗浄水の使用量を低減することができ、ひいては基板処理装置全体のランニングコストの低減を図ることができる。また、最終の薬液処理を行う薬液処理部の薬液処理室内に、二対の上下エアーナイフを、前段のエアーナイフからの噴出気体による薬液除去作用を後段のエアーナイフからの噴出気体が阻害しない距離だけ基板搬送方向に関して両者を離間して配置させるために、最終の薬液処理を行う薬液処理部の薬液処理室のみを他の薬液処理部の薬液処理室より基板搬送方向に関して長い寸法で設計・製造することが不要となり、他の薬液処理部の薬液処理室と設計・製造の共通化を図ることができ、これにより薬液処理室の設計・製造コストの低減化を達成することができる。
【0067】
上記第1の実施の形態では、置換水洗室40内を仕切部材72によって薬液除去領域73と水洗処理領域74との2つの領域に仕切り、二対の上下エアーナイフ37、37、71、71を薬液処理室36内と置換水洗室40における薬液除去領域73内にそれぞれ一対ずつ配設したが、例えば、図2に示すように、基板搬送方向下流側において薬液処理室36に隣接して、置換水洗室40とは独立した薬液除去室6を配置し、この薬液除去室6内に後段の上下エアーナイフ71、71を設置して薬液除去領域73を構成し、置換水洗室40で水洗処理領域74を構成するようにしてもよい。
【0068】
図2は、上記第1の実施の形態の変形例に係る基板処理装置400の要部を模式的に示したものである。なお、図1において示した構成要素および部材と同一または対応する構成要素および部材は、図2においても同一の符号を使用してその説明を省略する。
【0069】
図2図示の変形例では、最終の薬液処理を終え、一対の上下エアーナイフ37、37からその両面へ噴出される高圧の気体により、付着している薬液の除去が行われた基板Wは、基板搬出口70を通過し薬液除去室6の基板搬入口80から薬液除去室6内へ搬入されてくると、その両面に一対の上下エアーナイフ71、71から高圧の気体を噴出されることにより、残留している薬液の除去が行われる。このとき、一対の上下エアーナイフ71、71からの噴出気体により基板Wの両面から除去された薬液は、薬液除去室6(薬液除去領域73)内に留まり、基板搬送方向下流側に隣接する置換水洗室40内へ飛散することが阻止される。なお、薬液除去室6(薬液除去領域73)において除去された薬液は、薬液除去室6の底部に設けられ薬液タンク31に連通接続された循環排水路82を介して薬液タンク31に回収される。 薬液除去室6の基板搬出口81を通過しさらに基板搬入口42を経て置換水洗室40(水洗処理領域74)内に搬送されてきた基板Wには、上記第1の実施の形態と同様の置換水洗処理が行われる。
【0070】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置500について説明する。
【0071】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置500の要部を模式的に示したものである。
【0072】
この基板処理装置500は、複数の薬液処理のうち最終の薬液処理を行う薬液処理部1とその後段側に配置された置換水洗部(第1水洗部)5とから構成されている。置換水洗部5の後段には、何れも図示されていない第2水洗部3と直水洗部と乾燥処理部とがこの順に連設されている。この基板処理装置500において、置換水洗部5以外の薬液処理部1および第2水洗部の構成は、図1により上記説明した第1の実施の形態に係る基板処理装置300と同様であり、図3においても図1で使用した符号と同一符号を各構成要素および部材に付して、それらについての説明を省略する。
【0073】
この基板処理装置500における置換水洗室40の水洗処理領域74には、スリットノズル44より基板搬送方向における下流側に配設された高圧ノズル84、置換水洗室40内の基板搬出口43側に基板搬送路を挟んで上・下に配設された一対のエアーノズル85、85を備えている。水洗処理領域74は閉鎖形態であり、仕切部材72の基板搬入口83には開閉シャッター(図示せず)が設けられている。
【0074】
この第2の実施の形態に係る基板処理装置500における置換水洗部5の置換水洗室40では、水洗処理領域74の全長(基板搬送方向における長さ)が基板Wの長さ寸法(基板搬送方向に沿った方向における寸法)より短くされている。例えば、処理される基板Wの長さが2.4m〜2.5mであるときに、水洗処理領域74の全長を1m〜1.5mに設定する。そして、基板Wは、水洗処理領域74内において往復移動したり一時停止したりすることなく、例えば、全長が1mである水洗処理領域74の内部を、2.5mの搬送方向長さを有する基板Wが3秒〜20秒間で通過するように、搬送ローラによって基板Wの高速搬送が行われる。また、基板Wは、基板搬送方向において例えば1枚分位の間隔を空けて次々と水洗処理領域74内へ搬入されてくる。また、置換水洗室40の天井部には、置換水洗室40内から洗浄水のミストを含む空気を排出するための排気管86が設けられている。
【0075】
高圧ノズル84としては、例えば図4に基板搬送方向における下流側から見た模式的正面図を示すように、基板搬送方向に対して交差する方向に配置されるスプレーパイプ92aに、その長手方向に沿って一列に互いに近接して複数のノズル部94aが形設され、その各ノズル部94aの吐出口からそれぞれ扇状に洗浄水を高圧で吐出する直列高密度扇形スプレーノズル84aが用いられる。この直列高密度扇形スプレーノズル84aのスプレーパイプ92aには、洗浄水タンク49に連通接続され送液ポンプ92が介設された洗浄水供給路90が連通接続される。直列高密度扇形スプレーノズル84aは、例えば、そのノズル部94aの吐出口から基板Wの上面までの距離が10mm〜300mmとなるような高さ位置に設置され、複数のノズル部94aは、例えば20mm〜200mmのピッチで設けられる。このような高圧ノズル84は、基板Wの上面と平行に、かつ、基板搬送方向に対して直交するように、あるいは、基板搬送方向と直交する方向に対し斜め方向に配置(スリットノズル44に対し手前側が開く方向に傾けて配置)される。この高圧ノズル84の吐出口からは、搬送される基板Wの上面へ高圧、例えば0.2MPaの圧力の洗浄水が基板Wの幅方向全体にわたって吐出される。
【0076】
なお、直列高密度扇形スプレーノズル84aに代えて、同等の作用をなす高圧ノズルを用いるようにしてもよい。例えば、図5に基板搬送方向における下流側から見た模式的正面図を示すように、基板搬送方向に対して交差する方向に配置される2流体スプレーヘッダー管92bに、その長手方向に沿って一列に互いに近接して複数の2流体ノズル部94bが形設され、その各2流体ノズル部94bの吐出口からそれぞれエアー等の気体の圧力で洗浄水をミスト化して吐出する2流体スプレーノズル84bを用いることができる。この2流体スプレーノズル84bの2流体スプレーヘッダー管92bには、洗浄水供給路90が連通接続されるとともに、例えばエアー供給源に流路接続されたエアー供給路96が連通接続される。2流体スプレーノズル84bは、例えば、その2流体ノズル部94bの吐出口から基板Wの上面までの距離が10mm〜100mmとなるような高さ位置に設置され、複数の2流体ノズル部94bは、例えば20mm〜100mmのピッチで設けられる。
【0077】
また、高圧ノズル84に、その吐出口から吐出される洗浄水のミストが飛散するのを防止するためのフード97を付設するようにしてもよい。さらに、フード97に排気管86を連通接続し、その排気管86およびフード97を通して洗浄水のミストを真空吸引し排出するミスト吸引装置を併設するようにしてもよい。
【0078】
上下一対のエアーノズル85、85は、傾斜姿勢の基板Wの上・下面とそれぞれ平行に、かつ、基板搬送方向と直交する方向に対し手前側が開くように斜めに配置される。このエアーノズル85には、エアー供給源に流路接続されたエアー供給管99が連通接続されており、エアーノズル85から基板Wの上・下両面へエアー(カウンターエアー)が基板搬送方向に対して斜め逆方向ないし直下方向に噴出される。なお、エアーに代えて他の気体、例えば窒素ガス等を基板Wの各面へ噴出するようにしてもよい。
【0079】
上記した構成を備えた基板処理装置500においては、最終の薬液処理を終えた基板Wは、搬送ローラにより薬液処理室36の基板搬出口70から搬出される前に、基板搬出口70近傍に配設された一対の上下エアーナイフ37、37からその両面に噴出される高圧の気体により、付着している薬液の除去が行われる。一対の上下エアーナイフ37、37から噴出される高圧の気体により基板Wの両面から除去された薬液は、薬液処理室36の内底部に流下し循環排水路76を介して薬液タンク31に回収される。
【0080】
基板搬出口70を通過し基板搬入口42から置換水洗室40へ搬入されてきた基板Wは、その両面に一対の上下エアーナイフ71、71から高圧の気体を噴出されることにより、残留している薬液の除去がさらに行われる。このとき、一対の上下エアーナイフ71、71からの噴出気体により基板Wの両面から除去された薬液は、仕切部材72により置換水洗室40の薬液除去領域73内に留まり、基板搬送方向下流側に位置する水洗処理領域74内へ飛散することが阻止される。なお、 薬液除去領域73において除去された薬液は、薬液除去領域73の底部に設けられ薬液タンク31に連通接続された循環排水路78を介して薬液タンク31に回収される。
【0081】
薬液除去領域73から仕切部材72に形成された基板搬入口83を通過して水洗処理領域74内へ基板Wが搬入されてくると、スリットノズル44のスリット状吐出口から基板Wの上面へその幅方向全体にわたってカーテン状に洗浄水が吐出される。
【0082】
図6に模式的側面図を示すように、二対の上下エアーナイフ37、37、71、71からの高圧気体によって付着量が低減された基板W上の残留している薬液が、このスリットノズル44からカーテン状に吐出される洗浄水Aによって、希釈され、基板W上から薬液Bの一部が洗い流される。続いて、高圧ノズル84の吐出口から高圧の洗浄水が基板Wの上面に向けて吐出される。図6に示すように、この高圧ノズル84から吐出される洗浄水Aで形成される水の壁により、スリットノズル44の配設位置を通過した後に基板W上になお残留した薬液と洗浄水の混合液Cが前方へ流動するのがせき止められる。このように薬液と洗浄水の混合液Cの前方への流動がせき止められた状態で基板Wが前方へ移動するので、高圧ノズル84の配設位置を基板Wが通過する間に、基板W上の薬液が洗浄水で急速に置換されることとなる。また、この間、基板Wの下面に対し下部スプレーノズル46の吐出口から連続して洗浄水が吐出され、基板Wの下面が水洗される。そして、置換水洗室40内から基板Wが搬出される前に、上・下一対のエアーノズル85、85から基板Wの上下両面に向けてそれぞれエアーが吹き付けられる。図7に模式的側面図を示すように、この一対のエアーノズル85、85から基板Wの上下両面へ噴出されるエアーDの圧力により、基板Wの上・下面に付着した液Eが前方へ流動するのがせき止められ、基板Wに薬液が付着して置換水洗室40外へ持ち出されることが効果的に阻止される。
【0083】
以上の一連の水洗処理は、基板Wが置換水洗室40の水洗処理領域74内へ搬入され水洗処理領域74内を一方向へ連続搬送されて置換水洗室40内から搬出されるまでの短い時間、例えば3秒〜20秒で行われる。また、高圧ノズル84から基板Wの上面へ高圧で吐出される洗浄水によって基板W上の薬液が洗浄水で急速に置換されるので、比較的小量の洗浄水の使用により効率良く水洗処理が行われる。そして、薬液が基板W上に残留して置換水洗室40外へ持ち出されることが効果的に阻止されるので、第2水洗室60内で基板Wの水洗に使用された後の洗浄水の汚染が低減される。この結果、第2水洗室60で使用された洗浄水の循環使用率が高まり、ひいてはそれが純水使用量のさらなる節減につながることとなる。
【0084】
上記第2の実施の形態では、置換水洗室40内を仕切部材72によって薬液除去領域73と水洗処理領域74との2つの領域に仕切り、二対の上下エアーナイフ37、37、71、71を薬液処理室36内と置換水洗室40における薬液除去領域73内にそれぞれ一対ずつ配設したが、例えば、図8に示すように、基板搬送方向下流側において薬液処理室36に隣接して、置換水洗室40とは独立した薬液除去室100を配置し、この薬液除去室100内に後段の上下エアーナイフ71、71を設置して薬液除去領域73を構成し、置換水洗室40で水洗処理領域74を構成するようにしてもよい。
【0085】
図8は、上記第2の実施の形態の変形例に係る基板処理装置600の要部を模式的に示したものである。なお、図3において示した構成要素および部材と同一または対応する構成要素および部材は、図8においても同一の符号を使用してその説明を省略する。
【0086】
この基板処理装置600における置換水洗室40(水洗処理領域74)は閉鎖形態であり、基板搬入口42には開閉シャッター(図示せず)が設けられている。置換水洗室40の全長(基板搬送方向における長さ)が基板Wの長さ寸法(基板搬送方向に沿った方向における寸法)より短くされている。例えば、処理される基板Wの長さが2.4m〜2.5mであるときに、置換水洗室40の全長を1m〜1.5mに設定する。そして、基板Wは、置換水洗室40内において往復移動したり一時停止したりすることなく、例えば、全長が1mである置換水洗室40の内部を、2.5mの搬送方向長さを有する基板Wが3秒〜20秒間で通過するように、搬送ローラによって基板Wの高速搬送が行われる。また、基板Wは、基板搬送方向において例えば1枚分位の間隔を空けて次々と置換水洗室40内へ搬入されてくる。
【0087】
図8図示の変形例では、最終の薬液処理を終え、一対の上下エアーナイフ37、37からその両面へ噴出される高圧の気体により、付着している薬液の除去が行われた基板Wは、基板搬出口70を通過し薬液除去室100の基板搬入口101から薬液除去室100内へ搬入されてくると、その両面に一対の上下エアーナイフ71、71から高圧の気体を噴出されることにより、残留している薬液の除去が行われる。このとき、一対の上下エアーナイフ71、71からの噴出気体により基板Wの両面から除去された薬液は、薬液除去室100(薬液除去領域73)内に留まり、基板搬送方向下流側に隣接する置換水洗室40内へ飛散することが阻止される。なお、薬液除去室100(薬液除去領域73)において除去された薬液は、薬液除去室100の底部に設けられ薬液タンク31に連通接続された循環排水路78を介して薬液タンク31に回収される。薬液除去室100の基板搬出口102を通過しさらに基板搬入口42を経て置換水洗室40(水洗処理領域74)内に搬送されてきた基板Wには、上記第2の実施の形態と同様の置換水洗処理が行われる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明してきたが、本発明は実施の形態および変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形が可能である。
【0089】
例えば、上記した実施の形態および変形例では、最終薬液処理を終えた基板に対する薬液除去のための高圧気体噴出手段として、エアー供給源に流路接続されたエアー供給管に連通接続された二対の上下エアーナイフを用いたが、この二対の上下エアーナイフ代えて、エアー供給源に流路接続されたエアー供給管に連通接続された二対のエアーノズルを用いて、基板Wの上・下両面へエアーを基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出するようにしてもよい。
【0090】
また、要求される薬液除去効果の程度に応じては、2対の上下エアーナイフまたはエアーノズルのうち、基板搬送方向上流側または下流側であって基板の下方に位置するエアーナイフまたはエアーノズルの方を省く構成としても良い。
【0091】
さらに、薬液除去領域を、最終の薬液処理を行う薬液処理部の薬液処理室と置換水洗室(第1水洗室)との間に設置した1つの薬液除去室によって構成したが、最終の薬液処理を行う薬液処理部の薬液処理室と置換水洗室(第1水洗室)との間に複数の薬液除去室を連続して設置し、それぞれの薬液除去室内に一対の上下エアーナイフまたはエアーノズルを設け、この複数の薬液除去室によって薬液除去領域を構成してよい。
【0092】
また、上記した実施の形態および変形例では、基板Wを傾斜姿勢に支持して置換水洗室内を水平方向へ搬送するようにしているが、基板を水平姿勢に支持して搬送するようにしてもよい。また、この発明は、レジスト剥離処理やエッチング処理のほか、各種の薬液処理のうち最終薬液処理を行った後の基板の水洗処理に広く適用し得るものである。
【符号の説明】
【0093】
1 薬液処理部
3 第2水洗部
5 置換水洗部(第1水洗部)
6、100 薬液除去室
31 薬液タンク
32 薬液供給スプレーノズル
33 薬液供給路
35 ポンプ
36 薬液処理室
37、39、71 エアーナイフ
38 エアー供給管
40 置換水洗室(第1水洗室)
42、80、83、101 基板搬入口
43、70、81、102 基板搬出口
44 スリットノズル
45 上部スプレーノズル
46 下部スプレーノズル
47 排水路
49 洗浄水タンク
50 純水供給路
51、52、92 送液ポンプ
53、54、61、90 洗浄水供給路
60 第2水洗室
72 仕切部材
73 薬液除去領域
74 水洗処理領域
76、78、82 循環排水路
77、99 エアー供給管
84 高圧ノズル
84a 直列高密度扇形スプレーノズル
84b 2流体スプレーノズル
85 エアーノズル
86 排気管
92a スプレーパイプ
92b 2流体スプレーヘッダー管
94a ノズル部
94b 2流体ノズル部
96 エアー供給路
97 フード
300、400、500、600、700、800 基板処理装置
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して最終薬液処理を行う薬液処理室と、
前記薬液処理室内に配設されて基板を搬送する基板搬送手段と、
前記薬液処理室内に配設される基板搬送手段によって搬送される基板の主面へ最終薬液処理のための薬液を供給する薬液供給手段と、
前記薬液処理室の基板搬送方向下流側に設置され最終薬液処理後の基板に対して水洗処理を行う水洗室と、
前記水洗室内に配設されて基板を搬送する基板搬送手段と、
前記水洗室内に配設される基板搬送手段によって搬送される基板の主面へ洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、
を備えた基板処理装置において、
前記基板処理装置は、
前記薬液処理室内に設けられ、最終薬液処理を終えた基板に対して高圧の気体を噴出することにより基板に付着した薬液の除去を行う第1高圧気体噴出手段と、
基板搬送方向下流側において前記薬液処理室と隣接する薬液除去領域内に設けられ、前記第1高圧気体噴出手段により薬液除去が行われた基板に付着した薬液の除去をさらに行う第2高圧気体噴出手段と、
をさらに備え、
前記薬液処理室において最終薬液処理が行われた後前記第1および第2高圧気体噴出手段により薬液除去が行われた基板に対して、水洗処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記水洗室内には、当該水洗室内を基板搬送方向上流側の薬液除去領域と基板搬送方向下流側の水洗処理領域との2つの領域に仕切るための仕切部材が設けられ、前記水洗室内の前記薬液除去領域内に前記第2高圧気体噴出手段が設けられることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記水洗処理領域は、基板搬送方向における長さが基板の基板搬送方向における寸法より短くされ、基板が搬入される入口および基板が搬出される出口を有する閉鎖形態であり、
前記基板搬送手段は、前記水洗処理領域内へ搬入されてきた基板を一方向へ連続して搬送し水洗処理領域内から搬出するものであり、
前記洗浄水供給手段は、
前記水洗処理領域内の入口付近に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板の主面へ洗浄水を基板の幅方向全体にわたって吐出するスリットノズルと、
このスリットノズルより基板搬送方向における下流側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板上の薬液が基板搬送方向における下流側へ流動するのをせき止めて基板上の薬液が洗浄水で急速に置換されるように基板の主面へ洗浄水を高圧で吐出する高圧ノズルと、
を備えて構成され、
前記水洗処理領域内の出口側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板に薬液が付着して水洗処理領域外へ持ち出されるのを阻止するように基板の主面へ気体を直下方向ないし基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出する気体ノズルと、
前記水洗処理領域の内底部に流下した洗浄水を排出する排水手段と、
をさらに備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記スリットノズルは、長手方向に沿ったスリット状吐出口を有し、そのスリット状吐出口から基板の主面へ洗浄水を、直下方向に対して基板搬送方向における下流側へ傾斜した方向にカーテン状に吐出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の基板処理装置において、
前記高圧ノズルは、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ扇状に洗浄水を高圧で吐出する直列高密度扇形スプレーノズルであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の基板処理装置において、
前記高圧ノズルは、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ気体の圧力で洗浄水をミスト化して吐出する2流体スプレーノズルであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記高圧ノズルに、その吐出口から吐出される洗浄水のミストが飛散するのを防止するためのフードが付設されたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置において、
前記フードを通して洗浄水のミストを吸引し排出するミスト吸引装置が併設されたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項3ないし請求項7のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記水洗室の後段側に設けられる第2水洗室において使用され回収された洗浄水の一部が前記スリットノズルおよび前記高圧ノズルへ供給されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記薬液処理室と前記水洗室との間に、当該水洗室とは独立した薬液除去室を設置し、当該薬液除去室内に前記第2高圧気体噴出手段を設けて前記薬液除去領域を構成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の基板処理装置において、
前記薬液除去室を前記薬液処理室と前記水洗室との間に複数連設し、各薬液除去室内にそれぞれ高圧気体噴出手段を設けて前記薬液除去領域を構成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の基板処理装置において、
前記水洗室は、基板搬送方向における長さが基板の基板搬送方向における寸法より短くされ、基板が搬入される入口および基板が搬出される出口を有する閉鎖形態であり、前記基板搬送手段は、前記水洗室内へ搬入されてきた基板を一方向へ連続して搬送し水洗室内から搬出するものであり、
前記洗浄水供給手段は、
前記水洗室内の入口付近に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板の主面へ洗浄水を基板の幅方向全体にわたって吐出するスリットノズルと、
このスリットノズルより基板搬送方向における下流側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板上の薬液が基板搬送方向における下流側へ流動するのをせき止めて基板上の薬液が洗浄水で急速に置換されるように基板の主面へ洗浄水を高圧で吐出する高圧ノズルと、
を備えて構成され、
前記水洗室内の出口側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板に薬液が付着して水洗室外へ持ち出されるのを阻止するように基板の主面へ気体を直下方向ないし基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出する気体ノズルと、
前記水洗室の内底部に流下した洗浄水を排出する排水手段と、
をさらに備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の基板処理装置において、
前記スリットノズルは、長手方向に沿ったスリット状吐出口を有し、そのスリット状吐出口から基板の主面へ洗浄水を、直下方向に対して基板搬送方向における下流側へ傾斜した方向にカーテン状に吐出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の基板処理装置において、
前記高圧ノズルは、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ扇状に洗浄水を高圧で吐出する直列高密度扇形スプレーノズルであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項15】
請求項12または請求項14に記載の基板処理装置において、
前記高圧ノズルは、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ気体の圧力で洗浄水をミスト化して吐出する2流体スプレーノズルであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項16】
請求項12ないし請求項15のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記高圧ノズルに、その吐出口から吐出される洗浄水のミストが飛散するのを防止するためのフードが付設されたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項17】
請求項16に記載の基板処理装置において、
前記フードを通して洗浄水のミストを吸引し排出するミスト吸引装置が併設されたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項18】
請求項12ないし請求項17のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記水洗室の後段側に設けられる第2水洗室において使用され回収された洗浄水の一部が前記スリットノズルおよび前記高圧ノズルへ供給されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項19】
請求項1ないし請求項18のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記第1および第2高圧気体噴出手段は、それぞれ、基板を挟んで配置され、基板の両面へ高圧の気体を噴出することにより付着する薬液を除去するための一対の上下エアーナイフまたはエアーノズルであることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−129758(P2011−129758A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287721(P2009−287721)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】