説明

基板把持ハンド装置と基板把持方法及びそれを用いた基板搬送装置並びに基板処理装置

【課題】基板搬送の際、基板への異物の付着を最小限に止め、ハンドの動作領域を小さくする最小限の外形寸法に抑えた軽量でコンパクトな基板把持ハンド装置と基板把持方法及びそれを用いた基板搬送装置並びに基板処理装置を提供する。
【解決手段】ハンド基板200と、該ハンド基板上に設けられ左右に配置され前記基板100の側面に接触する一対のアーム208と、該アーム208による前記基板100への接触側に対して対向側で前記基板100に接触するように前記ハンド基板上に設けられた駆動プレート204とを有し、前記アーム208と駆動プレート204との連動によって前記基板100を把持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体、電子部品関連製品、光ディスク等の製造プロセスにおいて、装置内及びクリーンルーム内のロボットエンドエフェクターとして設置され、半導体ウェーハなどの基板を、処理装置との間で授受を行うための新規な基板把持ハンド装置と基板把持方法及びそれを用いた基板搬送装置並びに基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体の製造装置又は検査装置において、処理を行う基板を搬送するには次のように行っていた。基板は専用のカセットに収納された状態で各工程間を搬送され、各工程において搬送ロボットに取り付けられた基板把持ハンド装置によってカセットより取り出され、処理が終わると再びカセットに収納される。
【0003】
図4は裏面吸着方式の基板搬送ハンド装置の平面図、図5はエッジクランプ方式の基板搬送ハンド装置の平面図、図6はエッジクランプ方式の基板搬送ハンド装置の平面図で、基板ハンドの代表的な従来例を示す図である。
【0004】
図4の基板把持ハンド装置は、ハンド基板110の表面にはウェーハ100を真空吸着するための吸着口111が設けられている。基板搬送時にはハンド基板110の上にウェーハ100を載せ吸着口111から真空引きすることにより基板とハンドを密着させ基板が動くことなく目的搬送場所まで搬送可能となる。
【0005】
図5の基板把持ハンド装置においては、ハンド基板123の表面に把持爪121と可動爪120が設置されている。基板搬送時には可動部122を伸ばし、可動爪120がウェーハ100を側面より押すことにより把持爪121までウェーハ100を押し付けることができ、基板が動くことなく搬送することが出来る。基板把持を解除する動作のリリースは可動部122を縮めることにより可動爪120と把持爪121の側面からの基板の拘束が外れることにより可能となる。この構造に関する基板把持ハンド装置は特許文献1及び2に示されている。
【0006】
図6の基板搬送ハンド装置は、ウェーハ100より下に設けられた支点303を中心として左右に開閉する可動アーム301により基板の把持、リリースが可能となる。この構造に関する基板把持ハンド装置は特許文献3に示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−22502号公報
【特許文献2】特開2002−134586号公報
【特許文献3】特開平7−142560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上、従来例においては、図4の吸着パットにより真空吸着搬送する方式のものと、図5、6の把持爪にて基板側面を把持し搬送を行うものが一般的に使用されている。吸着パットにより吸着搬送を行うハンドは、真空吸着口を設け真空引きをすることにより基板固定ができるためハンド本体に駆動部を設ける必要がない。従ってハンド本体を薄くかつ軽く製作することが可能であるが、基板の裏面に直接ハンドが接触し吸着を行うため、基板裏面に吸着部の痕やハンドが摺れることによりキズが付いたり、異物が付着すること、更に、吸着不良時の基板の位置のズレや落下が問題であった。
【0009】
このキズの発生と、異物の付着の問題を解決する方法として、図5のような基板外周部を把持爪により把持し搬送する方法が使用されるようになった。把持爪により基板を側面から把持する方式の場合、ハンド本体をカセットに進入可能な厚さとするために駆動部をハンドの根元に近い場所に設け、カセットに進入する基板及び把持爪を薄く構成し、そのハンド先端部に配置した把持爪に駆動部によって動作する可動爪により基板側面を押しつけ基板の固定を行う構造になっているものが一般的である。
【0010】
図7は基板搬送を目的としたチャンバの平面図及び図8は基板搬送を目的としたチャンバに実装されたゲートバルブの正面図(a)及び側面図(b)である。前述の図6のサイドクランプ方式である基板把持ハンド装置において、基板把持及び基板リリースの際、左右に可動アーム301が開く構造のため、図7に示すようにチャンバ開口部401の幅をその分大きくする必要があった。そのため図8に示すゲートバルブの閉止部品403の幅も大きくする必要があった。又、この基板把持ハンド装置をロボットに搭載した際、基板把持ハンド装置の大きさに比例して動作領域も大きくなってしまい、ロボットを搭載する装置の内容積もそれに伴い大きくなり装置全体の大型化につながってしまう。更に、サイドクランプ方式の基板把持ハンド装置は、基板表面裏面には異物が付きにくいが、ハンド基板やその他の部品が必ず基板表面あるいは裏面に存在するため異物付着の問題は避けられなかった。
【0011】
以上のように、従来技術である真空吸着ハンドの問題点は基板搬送の際、基板裏面をハンドが直接接触してしまうため、接触部に異物が付着してしまう点であった。また、異物の付着を抑えるサイドクランプ方式は基板表面又は裏面にハンドの要素が配置されているため基板に異物が付着する問題が解決されていない。又、装置自体が基板をサイドクランプするために、基板をクランプするための部材や駆動源をハンドに実装することが必要となりハンドの大型化に繋がってしまい、ハンドを含めたロボットの動作領域が大きく、限定された領域へのハンドの侵入が不可能となっていた。
【0012】
本発明の目的は、基板搬送の際、基板への異物の付着を最小限にし、動作領域が小さく、最小限の外形寸法に抑えた軽量でコンパクトな構造を有する基板把持ハンド装置と基板把持方法及びそれを用いた基板搬送装置並びに基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、基板把持ハンド装置において、アーム部の幅を基板左右に近接させて設置し、基板中心部よりハンド先端に基板をクランプするクランプアームを設置し、基板の把持及びリリースの際にはハンドの幅を変化させない構造とすることによりハンド自体を最小限の大きさに留めることができる。さらにハンドを含めたロボットの動作領域を小さくすることが出来る。また基板を完全に側面から把持することにより基板把持、リリース時に基板上下面に存在するのは基板把持用のコマのみとなり基板に付着する異物を少なくすることが可能である。
【0014】
本発明は、具体的には、基板を把持する基板把持ハンド装置において、ハンド基板と、該ハンド基板の両側端部に設けられた支点を中心に回転可能で該回転によって前記基板の側面に接する一対のアームと、該アームによる前記基板への接触側に対して対向側で前記基板に接するように前記ハンド基板上に可動可能に設けられた駆動プレートとを有し、前記アームと駆動プレートとの前記基板への接触によって前記基板を把持することを特徴とする。
【0015】
前記ハンド基板は、前記支点から前記駆動プレート部がU字型構造を有し、前記支点の幅が前記基板の直径より大きく、前記駆動プレート部が前記U字型部分より狭幅構造を有することが好ましい。
【0016】
前記アームは、前記駆動プレート側に回転可能に接続された第一アームと、該第一アームに回転可能に連結され前記ハンド基板の前記支点を中心に回転可能で該回転によって前記基板に接する第二アームとを有すること、又、前記第二アームは、前記基板との接触位置が前記基板の中心線位置より前記駆動プレート側に対して反対側に形成されていること、前記シリンダシャフトの動作により前記第一アーム及び第二アームが連動して動作し、前記シリンダシャフトの上方への動作により前記基板が把持され、前記シリンダシャフトの下方への動作により前記基板の把持が解除されること、が好ましい。
【0017】
前記アームは、前記ハンド基板の両側端部に設けられたハンドアームと、該ハンドアームの一端に前記支点を中心に回転可能に連結され前記基板に接するクランプアームと、該クランプアームの前記回転によって前記基板に接するように駆動するトーションバネと、一端が前記クランプアームの前記回転によって前記クランクアームを前記基板より引き離すように前記支点に巻回され多端が前記駆動プレート側に固定されたワイヤとを有すること、又、前記ワイヤは前記ピストンに接続されていること、又、前記クランプアームは前記基板との接触位置が前記基板の中心線位置より前記駆動プレート側に対して反対側に形成されていること、又、前記シリンダシャフトの動作により前記クランクアームが連動して動作し、前記シリンダシャフトの上方への動作により前記基板が把持され、前記シリンダシャフトの下方への動作により前記基板の把持が解除されることが好ましい。
【0018】
前記第二アームの前記基板に接する部分又は前記クランクアームの前記基板に接する部分は、前記基板の上下面の角部で接する部分がV字又はU字型構造のコマからなること、又、前記駆動プレートは真空シリンダと、該真空シリンダ内に設けられた押しバネ、前記押しバネと前記真空シリンダに接続された真空ポンプによる減圧とによって往復摺動するように設けられたピストンと、該ピストンと前記駆動プレートとを接続するシリンダシャフトとを有するとことが好ましい。
【0019】
前記駆動プレートの変位を検出するセンサを有することが好ましい。
【0020】
本発明は、基板を把持する基板把持方法において、ハンド基板の両側端部に設けられた支点を中心に回転可能で該回転によって前記基板の側面に押圧接触する一対のアームと、該アームによる前記基板への接触側に対して対向側で前記基板に押圧接触するように前記ハンド基板上に可動可能に設けられた駆動プレートとの前記基板への前記押圧接触によって前記基板を把持することを特徴とし、前記アームの前記基板への接触位置を前記基板の中心線より前記駆動プレート側に対して反対側にすること、又、前記駆動プレートの前記基板との接触を複数箇所にすることが好ましい。
【0021】
本発明は、関節を介して接続された複数のアームと、該アームの先端に回動可能に接続されたハンドを有する基板搬送装置において、前記ハンドが前述に記載の基板把持ハンド装置からなることを特徴とする基板搬送装置にある。
【0022】
更に、本発明は、搬送室と、該搬送室にゲートバルブを介して接続され基板に対して各種処理を行う複数の処理室と、前記搬送室にゲートバルブを介して接続され前記基板を保管する基板保管室と、前記搬送室に設置され前記基板を前記処理室と基板保管室とに対して搬送する基板搬送装置とを有し、該基板搬送装置が前述に記載の基板搬送装置からなることを特徴とする基板処理装置にある。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、基板への異物の付着を最小限にし、ハンドの動作領域が小さく、最小限の外形寸法に抑えた構造によりより軽量でコンパクトな構造を有する基板把持ハンド装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的な実施例によって説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明に係る基板把持ハンド装置の平面図である。図1に示すように、ハンド基板200には真空ポンプ(図示省略)に接続された真空シリンダ201が設置されており、真空シリンダ201の内部には押しバネ203及び押しばね203に接して真空シリンダ201内を摺動可能なピストンに固定されたシリンダシャフト202が装着されている。シリンダシャフト202先端には駆動プレート204が連結されている。駆動プレート204は、ハンド基板200に固定された直進用リニアガイド(図示省略)を通して2点差線に示すように、上方向に直進運動が出来るようになっている。ハンドアームとなる第一アーム205は、駆動プレート204に固定されたベアリング206を介して取り付けられており、第一アーム205はベアリング206を中心に旋回運動が可能になっている。
【0026】
又、図1に示すように、ハンド基板200は、ベアリング209が固定される2つのアーム型構造を有するU字型の平面構造を有し、U字型部分のアーム部上にはウェーハ100が掛からないように広がっている。
【0027】
第一アーム205の他端にはクランクアームとなる第二アーム208がベアリング207を介して互いに連結されており、同様にベアリング207を中心に旋回可能となっている。第二アーム208はハンド基板200に設置されているベアリング209を介して互いに連結されており、ベアリング209は第二アーム208の旋回中心を有している。第二アーム208の先端には基板となるウェーハ100の上半分においてその側面から把持するための部品である基板サイドクランプ用コマ211及び駆動プレート204には2個のサイドクランプ用コマ210を配置している。基板サイドクランプ用コマ211及びサイドクランプ用コマ210の断面形状は後述する実施例2の図2(c)と同様である。駆動プレート204のウェーハ100側にはウェーハ100をサイドクランプできるように基板サイドクランプ用コマ211と同様の断面構造を有するコマ210が配置されている。これらのコマに構造によって基板を把持できる。
【0028】
次に、図1に基づきウェーハ100の把持、リリース動作について説明する。先ず、ウェーハ100を把持する場合、駆動源である真空シリンダ201への真空の動作を止め、空気の供給により、シリンダ201内部の押しバネ203の復元力によってシリンダシャフト202がウェーハ100方向に移動し、駆動プレート204は直進用リニアガイドに沿って動作することによって駆動プレート204に設置されたサイドクランプ用コマ210がウェーハ100のエッジに押し当てられる。それと同時に、駆動プレート204に連結された第一アーム205は駆動プレート204の動きに応じてウェーハ100から離れる方向にベアリング206を旋回中心とし動作することにより第二アーム208との連結部である両側のベアリング207を左右方向へと押し、第二アーム208はベアリング209を旋回中心とし回転運動を行う。その動作により第二アーム208の先端はウェーハ100に近づく方向へと動作し、第二アーム208先端に設置された基板サイドクランプ用コマ211がウェーハ100のエッジに押し当てられ、把持されることになる。
【0029】
以上の一連の動作により第二アーム208先端の基板サイドクランプ用コマ211と駆動プレート204に設置されたサイドクランプ用コマ210がウェーハ100に同時に接触しウェーハ100のエッジクランプが可能となる。一方、ウェーハ100のリリースについては、真空シリンダ201内を押しバネ203の復元力以上の力で吸引することによりシリンダシャフト202がウェーハ100から離れる方向に動作し、シリンダシャフト202に連結された駆動プレート204がウェーハ100から離れる。それと同時に駆動プレート204に連結された第一アーム205の先端がウェーハ100から離れる方向に旋回し、第一アーム205に連結された第二アーム208がウェーハ100に遠ざかる方向に動作することによりいずれのコマもウェーハ100から離れる方向に動き、ウェーハ100のリリースが可能になる。
【0030】
本実施例によれば、基板となるウェーハ100の把持の際、基板への異物の付着を最小限にし、把持の動作領域が小さく、最小限の外形寸法に抑えた構造によりより軽量でコンパクトな構造を有する基板把持ハンド装置が得られる。
【実施例2】
【0031】
図2は、本発明に係る基板把持ハンド装置の平面図(a)、クランプアーム部の拡大図(b)及び基板サイドクランプ用コマの側面図である。図2に示すように、ハンド基板131、駆動プレート143、駆動源である真空シリンダ138を有する。この駆動部である真空シリンダ138は、真空ポンプ(図示省略)に接続され、ハンド基板131に固定される。ハンドアーム133は中空部材によって構成され、ハンド基板131に固定されている。ハンドアーム133の先端にはクランプアーム132が装着されており、クランプアーム132はベアリングにより旋回可能となっている。クランプアーム132の先端には基板サイドクランプ用コマ134が先端に設置している。クランプアーム132とハンドアーム133の連結部にはトーションバネ136が装着されており、クランプアーム132とハンドアーム133それぞれの固定ピン137によってトーションバネ136の力がクランプアーム132に加わる構造になっており、クランプアーム132はこのトーションバネ139の復元力によってウェーハ100を把持する。駆動プレート143は、上方向に直進運動が出来るようにハンド基板131に固定された直進用リニアガイドを通して移動できる。
【0032】
又、図2(a)に示すように、ハンド基板200は、プーリ142が固定される2つのアームからなるU字型アーム構造の平面構造を有し、U字型部分のアーム部上にはウェーハ100が掛からないように広がっている。
【0033】
ハンドアーム133とクランプアーム132の連結部にはベアリング構造を有するプーリー142が装着されており、ワイヤー135が巻かれている。ワイヤー135の他端はハンドアーム133の中空部を通り、プーリ141、142を介してシリンダシャフト140に連結されている。真空シリンダ138の内部には押しバネ139を装着し、リリース時の動力源としている。
【0034】
次に、基板把持ハンド装置による把持動作について説明する。真空ポンプの減圧を解除することによって押しバネ139の動作による駆動プレート143の上方向への駆動とトーションバネ136の復元力によって両側の基板サイドクランプ用コマ134がウェーハ100をサイドから把持する機構となっている。このとき駆動部であるクランプアーム132と真空シリンダ138内を摺動移動するピストンに固定されたシリンダシャフト140とはワイヤー135によって連結されているため全て同時に動作しウェーハ100が把持される。
【0035】
図2(c)に示すように、ウェーハ100を把持するクランプアーム132に設けられた基板サイドクランプ用コマ134はウェーハ100を把持し、落下しないように、溝が形成されている。又、駆動プレート143においても、ウェーハ100の把持部には、ウェーハ100を把持し、落下しないように、溝が形成されている。基板サイドクランプ用コマ134はクランプアーム132に固定又は回転可能に設けられ、サイドクランプ用コマ134は駆動プレート143に同様に設けられ、それらの溝はV字、U字のいずれでも良い。
【0036】
ウェーハ100のリリース時には、真空シリンダ138を減圧動作させることによりシリンダシャフト140に固定された駆動プレート143の下降とシリンダシャフト140に連結されたワイヤー135が引かれることによりクランプアーム132がウェーハ100から離れる方向に旋回し、駆動プレート143がウェーハ100から離れる方向に動作することによってウェーハ100のリリースを可能にしている。ここでクランプアーム132の動作範囲はウェーハ100のリリース時にハンドアーム133と直線状の位置まで旋回し、クランプアーム132側面はハンドアーム133外側を越えない位置で停止するようなワイヤー135の長さで調整されている。
【0037】
本実施例においては、クランプアーム132の開閉センサをシリンダ138に設置することによりクランプアーム132の開閉及びウェーハ100の把持、リリース動作の異常を検知することができる。又、駆動源をソレノイドやモータなど真空中で動作できるものに変えることにより真空中でも駆動可能となる。大気中にて使用する場合、基板把持ハンド装置の駆動部及び機構部をカバーし密閉することにより摺動部からの異物が外に漏れ出さない構造とする。
【0038】
本実施例においても、基板となるウェーハ100の把持の際、基板への異物の付着を最小限にし、把持の動作領域が小さく、最小限の外形寸法に抑えた構造によりより軽量でコンパクトな構造を有する基板把持ハンド装置が得られる。
【実施例3】
【0039】
図3は、本発明に係るマルチチャンバ方式の基板処理装置の平面図である。図3に示すように、搬送室21のほぼ中央に基板搬送装置1を設置し、その周囲に、複数の処理室23、及び、2個のカセット室22を配置して、基板としてのウェーハを1枚ごとに連続処理するマルチチャンバ方式の処理装置である。水平多関節形の基板搬送装置1は、実施例1及び2に記載の基板把持ハンド装置が設置される。基板処理装置には、他に、ウェーハを収納するウェーハカセット室22、処理室23を有し、搬送室21、ウェーハカセット室22、各処理室23が、ゲートバルブ24によって開閉される接続口21a、22a、23aを介して、気密に接続されている。ウェーハカセット室22内のウェーハカセットCには等間隔に支持棚が設けてあり、処理前後のウェーハ100が収納されている。
【0040】
基板搬送装置1には、ロボットアーム3の先端に回動可能にハンド4が取り付けてあり、ハンド4は実施例1及び2に記載のウェーハ100を把持して搬送する基板把持ハンド装置によって構成される。また、基板搬送装置1は、ウェーハカセット室22、処理室23のゲートバルブ24が開口した後、ロボットアーム2、3を伸長し、ハンド4を、接続口21a、22a、23aを通して、ウェーハカセット室22内、処理室23内に進入させて、ウェーハ100の搬出、搬入を行うようになっている。又、基板搬送装置1は、ウェーハカセットCに対して、ハンド4をウェーハの間隙に進入させて、その搬出、搬入を行う。
【0041】
ウェーハはカセット単位でカセット室22内に運び込まれる。そこで、ウェーハカセット室22内の真空引き又は不活性ガスとの置換などが行なわれた後、搬送室21とウェーハカセット室22間のゲートバルブ24が開き、基板搬送装置1がウェーハカセットCからウェーハを1枚取り出し、搬送室21内に取り込む。次に、所定の処理室23内の真空引き又は不活性ガスとの置換などが行われた後、搬送室21と処理室23間のゲートバルブ24が開き、ウェーハが処理室23内に搬人される。そこで、成膜やエッチング等の処理が行われる。このようにして、順次、各処理が行われ、最終的に処理が終わったウェーハは再び基板搬送装置1により搬送室21内に取り出された後、ウェーハカセット室22内のウェーハカセットCに戻される。このようにして、ウェーハを外気に晒すことなく、所定の雰囲気中で一連の処理が行われる。
【0042】
以上のように、本実施例においても本発明の基板把持ハンド装置によってウェーハを各処理室に搬入、搬送が的確に行われ、又、基板搬送の際、基板への異物の付着を最小限に止め、把持の動作領域を小さくするために最小限の外形寸法に抑えた構造により基板処理装置として軽量でコンパクトなものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る基板把持ハンド装置の平面図である。
【図2】本発明に係る基板把持ハンド装置の平面図(a)、クランプアーム部の拡大図(B)及び基板サイドクランプ用コマの側面図(c)である。
【図3】本発明に係るマルチチャンバ方式のウェーハ処理装置の平面図である。
【図4】従来の裏面吸着方式の基板把持ハンド装置の平面図である。
【図5】従来のエッジクランプ方式の基板把持ハンド装置の平面図である。
【図6】従来のエッジクランプ方式の基板把持ハンド装置の平面図である。
【図7】従来の基板搬送を目的としたチャンバの平面図である。
【図8】従来の基板搬送を目的としたチャンバに実装されたゲートバルブの平面図(a)及びその側面図(b)である。
【符号の説明】
【0044】
1…ウェーハ搬送ロボット、2、3…ロボットアーム、4…ハンド、21…搬送室、21a、22a、23a…接続口、22…ウェーハカセット室、23…処理室、24…ゲートバルブ、100…ウェーハ、110、122、131、200…ハンド基板、132…クランプアーム、133…ハンドアーム、134、210…コマ、135…ワイヤー、138、201…シリンダ、136…トーションバネ、139、203…バネ、140,202…シリンダシャフト、143、204…駆動プレート、144、212…ピストン、205…第一アーム、208…第二アーム、301…可動アーム、400…チャンバ、401…チャンバ開口部、402…ゲートバルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を把持する基板把持ハンド装置において、ハンド基板と、該ハンド基板の両側端部に設けられた支点を中心に回転可能で該回転によって前記基板の側面に接する一対のアームと、該アームによる前記基板への接触側に対して対向側で前記基板に接するように前記ハンド基板上に可動可能に設けられた駆動プレートとを有し、前記アームと駆動プレートとの前記基板への接触によって前記基板を把持することを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ハンド基板は、前記支点から前記駆動プレート部がU字型構造を有し、前記支点の幅が前記基板の直径より大きく、前記駆動プレート部が前記U字型部分より狭幅構造を有することを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記アームは、前記駆動プレート側に回転可能に接続された第一アームと、該第一アームに回転可能に連結され前記ハンド基板の前記支点を中心に回転可能で該回転によって前記基板に接する第二アームとを有することを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記アームは、前記ハンド基板の両側端部に設けられたハンドアームと、該ハンドアームの一端に前記支点を中心に回転可能に連結され前記基板に接するクランプアームと、該クランプアームの前記回転によって前記基板に接するように駆動するトーションバネと、一端が前記クランプアームの前記回転によって前記クランクアームを前記基板より引き離すように前記支点に巻回され多端が前記駆動プレート側に固定されたワイヤとを有することを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項5】
請求項3又は4において、前記第二アームの前記基板に接する部分又は前記クランクアームの前記基板に接する部分は、前記基板の上下面の角部で接する部分がV字又はU字型構造のコマからなることを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記駆動プレートは、真空シリンダと、該真空シリンダ内に設けられた押しバネ、前記押しバネと前記真空シリンダに接続された真空ポンプによる減圧とによって往復摺動するように設けられたピストンと、該ピストンと前記駆動プレートとを接続するシリンダシャフトとを有することを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかにおいて、前記ワイヤは、前記ピストンに接続されていることを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項8】
請求項3、5〜7のいずれかにおいて、前記第二アームは、前記基板との接触位置が前記基板の中心線位置より前記駆動プレート側に対して反対側に形成されていることを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項9】
請求項4〜7のいずれかにおいて、前記クランプアームは、前記基板との接触位置が前記基板の中心線位置より前記駆動プレート側に対して反対側に形成されていることを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項10】
請求項3、5〜8のいずれかにおいて、前記シリンダシャフトの動作により前記第一アーム及び第二アームが連動して動作し、前記シリンダシャフトの上方への動作により前記基板が把持され、前記シリンダシャフトの下方への動作により前記基板の把持が解除されることを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項11】
請求項4、5〜7、9のいずれかにおいて、前記シリンダシャフトの動作により前記クランクアームが連動して動作し、前記シリンダシャフトの上方への動作により前記基板が把持され、前記シリンダシャフトの下方への動作により前記基板の把持が解除されることを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかにおいて、前記駆動プレートの変位を検出するセンサを有することを特徴とする基板把持ハンド装置。
【請求項13】
基板を把持する基板把持方法において、ハンド基板の両側端部に設けられた支点を中心に回転可能で該回転によって前記基板の側面に押圧接触する一対のアームと、該アームによる前記基板への接触側に対して対向側で前記基板に押圧接触するように前記ハンド基板上に可動可能に設けられた駆動プレートとの前記基板への前記押圧接触によって前記基板を把持することを特徴とする基板把持方法。
【請求項14】
請求項13おいて、前記アームの前記基板への接触位置を前記基板の中心線より前記駆動プレート側に対して反対側にすることを特徴とする基板把持方法。
【請求項15】
請求項13又は14おいて、前記駆動プレートの前記基板との接触を複数箇所にすることを特徴とする基板把持方法。
【請求項16】
関節を介して接続された複数のアームと、該アームの先端に回動可能に接続された基板把持ハンド装置を有する基板搬送装置において、前記基板把持ハンド装置が請求項1〜12のいずれかにに記載の基板把持ハンド装置からなることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項17】
搬送室と、該搬送室にゲートバルブを介して接続され基板に対して各種処理を行う複数の処理室と、前記搬送室にゲートバルブを介して接続され前記基板を保管する基板保管室と、前記搬送室に設置され前記基板を前記処理室と基板保管室とに対して搬送する基板搬送装置とを有し、該基板搬送装置が請求項16に記載の基板搬送装置からなることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−134526(P2007−134526A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326772(P2005−326772)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】