説明

基板搬送装置および基板搬送システム

【課題】基板カセットと基板受け渡し先との間でガラス基板の受け渡しを効率良く行うことのできる廉価でコンパクトな構成の基板搬送装置を提案すること。
【解決手段】基板搬送装置2は、ガラス基板7の縁端をクランプしエアー浮上させた状態で、基板カセットからガラス基板7を引き抜くので、狭い間隔で高密度に収納されているガラス基板を引き抜くことができ、エアー浮上状態でガラス基板7を移動させるので、ガラス基板に損傷、異物付着が生じない。基板載置面に引き込まれたガラス基板を基板支持アームで支持し、この状態で基板搬送装置2が収納先の基板カセットまで移動し、基板支持アームによってガラス基板を引き渡し先に渡す。一台で基板カセットからのガラス基板の引き抜き、移送、基板受け渡し先への引き渡しを行うことができ、設置スペースが少なくて済む廉価でコンパクトな基板搬送システムを構築できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に多段に形成された基板収納棚を備えた基板カセットと、基板コンベヤ、基板処理装置などの基板受け渡し部との間で基板の受け渡しを行う基板搬送装置および基板搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、LCDなどの基板製造工程においては、基板カセットと呼ばれる基板収納容器に収納されている基板を取り出して次段の処理工程に移送する移送作業、処理を終えた基板を基板収納容器に収納する収納作業などを行うために、基板搬送機構が用いられている。特許文献1(特開平09−94787号公報)には、基板カセットから取り出したガラス基板を次段の処理装置に搬入するためのロボットが開示されている。このロボットは、基板カセットの基板収納棚の間に吸着パット付きのハンドを挿入してガラス基板を吸着保持して取り出すように構成されている。
【0003】
また、基板カセット間、あるいは、基板カセットと次段の処理装置の間が離れている場合には、基板カセットから取り出した基板をコンベアによって搬送するようにしている。コンベアとしては、特許文献2(特開2010−222103号公報)、特許文献3(特開2010−123970号公報)に記載されているようなエアー浮上型のものを用いることが、基板への異物付着の回避、基板損傷の回避、基板搬送速度の高速化等の点から望ましい。
【0004】
一方、ガラス基板などの基板を収納するための基板カセットとしては、特許文献4(特許第3453677号公報)に開示されているように、多段に形成された基板収納棚が、同一平面上において一定の間隔で平行に架け渡したワイヤによって規定された構成のものが知られている。この構成の基板カセットは一般にワイヤカセットと呼ばれており、一定厚さの棚板を用いて多段の基板収納棚を構成する場合に比べて、小さな寸法で、より多くの棚を形成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−94787号公報
【特許文献2】特開2010−222103号公報
【特許文献3】特開2010−123970号公報
【特許文献4】特許第3453677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、基板搬送効率の向上、基板搬送システムのコスト低減化の観点からは、狭い設置スペースにおいてより多数枚の基板の収納および搬送処理を行い得るようにすることが望ましい。このためには、基板カセットとしてワイヤカセットを使用して、多数枚の基板を上下に高密度に収納することが望ましい。この場合、ワイヤカセットに収納されている基板間の隙間は狭いので、特許文献1に記載されているような吸着式のロボットハンドを基板間の隙間に差し込むことができないので、基板を吸着して基板収納棚から引き出すことができない。したがって、基板搬送機構によって基板の縁端をクランプして基板収納棚から基板を引き出して、特許文献2に記載されているようなエアー浮上式のコンベヤに移し、コンベヤの他方の端に配置した別の基板搬送機構によってコンベアから基板を受け取って次段のワイヤカセット、処理装置などに収納する必要がある。
【0007】
しかしながら、このような搬送システムは、2台の基板搬送機構と、これらの間に配置した中間コンベアとが必要であり、設置スペースを多く必要とし、基板の移送に時間を要し、搬送効率を高めることが困難であり、設備コストの低減化も困難である。
【0008】
本発明の課題は、基板カセットとの間での基板の受け渡し、および、基板処理装置などの基板受け渡し部との間での基板の受け渡しの双方を、効率良く行うことができる廉価でコンパクトな構成の基板搬送装置および基板搬送システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の基板搬送装置は、
基板載置台と、
前記基板載置台を、待機位置からその前方の前進位置までの間で、水平にスライドさせるスライド機構と、
前記基板載置台に搭載されている昇降・スライド式基板支持機構と、
前記基板載置台に搭載されているスライド式基板クランプ機構と、
前記の各部の駆動を制御する駆動制御部とを有し、
前記基板載置台は、
水平な基板載置面と、前記基板載置面において、その前端から後端まで直線状に延びている所定幅および深さの複数条のアーム配置溝とを備え、
前記昇降・スライド式基板支持機構は複数本の水平な基板支持アームを備え、当該基板支持アームは、前記アーム配置溝内に位置するアーム降下位置から前記基板載置面よりも上の高さ位置に上昇したアーム上昇位置までの間を昇降可能であると共に、前記アーム上昇位置の高さにある状態において、前記基板支持アームの先端が前記基板載置面の前端に位置するアーム後退位置から前方のアーム前進位置までの間を、前記アーム配置溝に平行な水平方向にスライド可能であり、
前記スライド式基板クランプ機構は、先端に上下に開閉するクランプ爪を具備した基板クランパーを備え、当該基板クランパーは、前記基板載置面の上方において、その後端の後方側のクランプ後退位置からその前端よりも前方のクランプ前進位置までの間を、前記アーム配置溝に平行な水平方向にスライド可能であることを特徴としている。
【0010】
本発明の基板搬送装置では、駆動制御部の制御の下に、基板載置台を基板カセットの基板収納棚の隣接位置までスライドさせ、この状態で基板クランパーによって基板の縁端をクランプして基板を基板収納棚から水平に引く抜くことができ、基板収納棚から引き抜かれる基板を基板載置面に引き込むことができる。また、基板載置面上に引き込まれた基板は、基板載置面に形成したアーム配置溝内に待機している基板支持アームを持ち上げることにより、当該基板支持アームに載せることができる。
【0011】
この後は、基板支持アームによって支持されている基板を、そのまま、移送先の基板受け渡し部に引き渡すことができる。また、基板処理装置あるいは基板製造装置などにおいて処理の終わった基板を、基板支持アームに受け取り、基板カセットの側に移送することができる。なお、基板支持アームによって基板を引き渡すことができない基板受け渡し部に対しては、基板カセットに対する場合と同様に、基板載置面に載置されている基板を基板クランパーによってクランプして、基板受け渡し部に引き渡すことができる。
【0012】
このように、本発明の基板搬送装置は、基板クランパーおよび基板支持アームを備えているので、相手側の基板受け渡し部の基板受け渡し形態の如何に拘わらず、基板の引き抜き、収納動作共に、基板を収納先に移動させる移送動作を行うことができる。よって、従来の基板搬送機構、コンベヤ等から構成される基板搬送システムを用いる場合に比べて、設置スペースを多く必要としない廉価でコンパクトな基板搬送システムを構築することができる。
【0013】
ここで、基板クランパーを用いて大型の基板の受け渡しを行う場合には、基板を確実に支持することができるように、前記基板載置面に形成された複数のエアー吹き出し口を配置し、前記エアー吹き出し口から吹き出されるエアーによって基板を前記基板載置面から浮上させた状態で、基板の抜き取り、差し込み動作を行うようにすればよい。エアー浮上機構を採用する代わりに、基板載置面にローラー、コロなどの転動体を配列し、これらの上に載せた状態で基板の抜き取り、差し込み動作を行うようにしてもよい。
【0014】
このように、本発明では、基板の縁端をクランプしてエアー浮上状態、あるいは転動体によって支持した状態で、基板の引き抜き、差し込み動作を行うようにしているので、基板カセットに収納されている基板の間に、アームあるいはハンドなどを挿入して基板を支持あるいは吸着保持して、基板の引き抜きあるいは差し込み動作を行う必要が無い。よって、ワイヤカセットのように狭い間隔で高密度に基板が収納されている場合においても、任意の位置にある基板の引き抜き、差し込み動作を行うことができる。また、エアー浮上状態、あるいは基板裏面を転動体で支持した状態で基板を移動させているので、基板の引き抜き、差し込み動作における基板の損傷、基板表面への異物付着を回避できる。
【0015】
また、基板載置面上に引き出された基板は、基板載置面に形成したアーム配置溝内に待機している基板支持アームを持ち上げて当該基板支持アームに載せ、この状態で、基板載置台を基板収納先に向けて移動させることができる。基板がエアー浮上状態のまま、あるいは転動体に載ったまま基板載置台の旋回移動等を行うと、基板の振動、位置ずれなどが発生しやすい。基板載置台の移動時(昇降、旋回、スライド時)に、基板を基板支持アームに載せておくと、基板の振動、位置ずれが発生することがなく、高速で基板載置台を移動させることができる。
【0016】
次に、基板載置台の向き、および高さを任意に設定することができるように、本発明の基板搬送装置は、前記基板載置台を昇降させる昇降機構と、前記基板載置台を垂直軸線回りに旋回させる旋回機構とを有していることが望ましい。
【0017】
ここで、基板クランパーを用いて、上下方向に多段に形成された基板収納棚を備えた基板カセット、あるいは、基板コンベア、基板処理装置などの基板受け渡し部から基板を取り出す動作は、例えば、次のように行うことができる。
【0018】
まず、前記昇降機構および前記旋回機構により、前記基板載置台を、基板カセットにおける取り出し対象の基板に位置決めする位置決め動作を行う。次に、前記スライド機構により前記基板載置台を前方に送り出すと共に、前記基板クランパーを前記クランパー前進位置に送り出して前記基板の縁部をクランプさせる基板クランプ動作を行う。次に、基板クランパーを前記クランパー後退位置に戻して基板載置面上にエアー浮上状態で前記基板を位置決めし、前記スライド機構により前記基板載置台を前記待機位置に戻す基板抜き取り動作を行う。そして、前記基板支持アームを前記アーム上昇位置に持ち上げて、当該基板支持アームにエアー浮上状態の前記基板を載せた後にエアーの吹き出しを止めて前記基板のクランプを解除する基板支持動作を行う。
【0019】
また、基板支持アームに載っている基板を、基板クランパーを用いて、前記基板カセットの基板収納棚あるいは基板受け渡し部の基板受け渡し面に引き渡す動作は次のように行うことができる。
【0020】
まず、前記昇降機構および前記旋回機構により、前記基板載置台を移動させることにより、前記基板支持アームによって支持されている前記基板を前記基板収納棚あるいは前記基板受け渡し面に位置決めする位置決め動作を行う。次に、前記エアー吹き出し口からエアーの吹き出しを開始し、前記ガラス基板を前記基板クランパーによってクランプした後に、前記基板支持アームを前記アーム降下位置に降下させて、前記基板を前記基板載置面の上にエアー浮上状態に保持する基板保持動作を行う。次に、前記スライド機構により前記基板載置台を前進位置に送り出した後に前記基板クランパーを前記クランパー前進位置に送り出して前記基板を前記基板収納棚あるいは前記基板受け渡し面に送り出し、前記基板のクランプを解除する基板差し込み動作を行う。しかる後に、前記スライド機構により前記基板載置台を前記待機位置に戻すと共に前記基板クランパーを前記クランパー後退位置に戻す戻し動作を行う。
【0021】
次に、前記スライド式基板クランプ機構が、当該基板クランパーのスライド方向に直交する方向に所定の間隔で配置されている複数個の基板クランパーを備えている場合には、各基板クランパーには、前記クランプ爪の間に差し込まれる前記基板の縁端の位置を検出するセンサーが搭載されていることが望ましい。センサー出力に基づき、各基板クランパーによって正確に基板がクランプされたか否かを知ることができるので、クランプ不良などによって基板の引き出し、差し込み動作が正確に行われなくなるという弊害を防止できる。
【0022】
また、前記基板クランパーによって前記基板載置面の真上に引き込まれた前記基板における引き込み方向とは直交する幅方向の位置決めを行うために、前記基板載置面の幅方向の両端部に配置された少なくとも1組の位置決め用ガイドローラーを備え、これらの位置決め用ガイドローラーを前記幅方向に開閉可能にしておき、基板を両側から位置決め用ガイドローターによってクランプすればよい。
【0023】
次に、2枚の基板の引き抜き、移送、差し込み動作を同時的に行うために、本発明の基板搬送装置は、上記構成に加えて、
前記基板載置台に搭載されている第2昇降・スライド式基板支持機構を有し、
前記第2昇降・スライド式基板支持機構は複数本の水平な第2基板支持アームを備え、当該第2基板支持アームは、前記アーム配置溝内に位置する第2アーム降下位置から前記基板載置面よりも上の高さ位置に上昇した第2アーム上昇位置までの間を昇降可能であると共に、前記第2アーム上昇位置の高さにある状態において、前記基板支持アームの先端が前記基板載置面の前端に位置する第2アーム後退位置から前方の第2アーム前進位置までの間を、前記アーム配置溝に平行な水平方向にスライド可能であり、
前記第2基板支持アームは前記基板支持アームの上方に位置していることを特徴としている。
【0024】
次に、離れた場所の間で基板の移送を行うために、本発明の基板搬送装置は、上記構成に加えて、
水平走行レールに沿って走行する走行台を有し、
前記走行台に、前記昇降機構、前記スライド機構、前記旋回機構、前記基板載置台、前記昇降式基板支持機構および前記スライド式基板クランプ機構を備えた基板搬送機構部が搭載されていることを特徴としている。
【0025】
一方、本発明の基板搬送システムは、
上記構成の基板搬送装置と、
前記水平走行レールの一方の側に配置された基板カセットと、
前記水平走行レールの他方の側に配置された基板受け渡し部とを有し、
前記基板搬送装置は、前記基板カセットの各基板収納棚から基板を取り出す基板取り出し動作、各基板収納棚に基板を収納する基板収納動作、前記基板カセットおよび前記基板受け渡し部の一方から他方に基板を移送する移送動作、前記基板受け渡し部に基板を引き渡す基板引き渡し動作、前記基板受け渡し部から基板を受け取る基板受け取り動作を行うことが可能であり、
前記基板カセットはワイヤカセットであり、
当該ワイヤカセットは、多数本の線材を同一水平面上において一定の間隔で平行に架け渡すことにより形成した基板収納棚が上下方向に多段に配列され、前記線材には、当該線材の軸線方向に沿って所定の間隔で、軸受が配置されており、前記軸受は、前記線材に同軸状態に固定された内輪と、当該内輪の外周面によって回転自在の状態で支持されている外輪とを備えており、前記軸受の前記外輪によって前記基板収納棚における基板載置面が規定されていることを特徴としている。
【0026】
本発明の基板搬送システムを用いれば、狭い設置スペースで、多数枚の基板の移送動作を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を適用した基板搬送システムを示す説明図である。
【図2】図1の基板搬送装置を示す説明図である。
【図3】図2の基板搬送装置の基板載置台の部分を示す説明図である。
【図4】図3の基板載置台に搭載されているスライド式基板クランプ機構の基板クランパーを示す説明図、基板クランパーのクランプ解除状態を示す説明図、および、基板クランパーのクランプ状態を示す説明図である。
【図5】基板クランパーに搭載されている基板センサーの機能を説明する説明図である。
【図6】図2の基板搬送装置の駆動機構部を示すための平面図、側面図、正面図、昇降式基板支持機構の昇降機構を示す説明図、および、スライド式基板クランプ機構のスライド機構を示す説明図である。
【図7】図1の基板搬送システムの基板搬送動作を示す概略フローチャートである。
【図8】基板取り出し位置に位置決めされた基板搬送装置を示す説明図である。
【図9】基板のクランプおよび引き出し動作を示す説明図である。
【図10】基板支持アームを持ち上げて当該基板支持アームに基板を載せた状態を示す説明図である。
【図11】基板搬送装置を収納先の基板受け渡し部に位置決めした状態を示す説明図である。
【図12】基板支持アームを用いて、基板を引き渡し先の基板受け渡し部に引き渡した状態を示す説明図である。
【図13】2枚の基板を保持可能な基板搬送装置の例を示す説明図である。
【図14】図13の基板搬送装置の駆動機構部を示すための平面図、側面図、正面図、上下の昇降式基板支持機構を示す説明図、および、第2昇降・スライド式基板支持機構のアームスライド機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照して本発明を適用した基板搬送装置および基板搬送システムの実施の形態を説明する。
【0029】
(全体構成)
図1に示すように、本実施の形態に係る基板搬送システム1は、基板搬送装置2と、この基板搬送装置2の一方の側に配置されている複数台、例えば3台の基板カセット3、4、5と、基板搬送装置2の他方の側に配置されている基板受け渡し部6とを備えている。基板カセット3、4、5は上下方向に多段に形成された基板収納棚を備えている。基板搬送装置2は、基板カセット3〜5と、基板受け渡し部6との間で、矩形輪郭の一定厚さの基板、例えばガラス基板7の受け渡しを行う。基板受け渡し部6は、例えば、ガラス基板7の表面に所定の処理を施すための処理工程との間でガラス基板7の受け渡しを行うための部位であり、一定間隔で水平に架け渡したワイヤによって基板受け渡し面6aが規定されており、各ワイヤには一定間隔でローラーが取り付けられている。基板受け渡し部6は基板コンベアにおける基板受け渡し部などであってもよい。
【0030】
(基板搬送装置)
図1、図2に示すように、基板搬送装置2は、例えば直線状に延びる一対の水平走行レール10を備えたベース11と、この水平走行レール10に沿って走行する走行台12と、この走行台12に搭載されている基板搬送機構部13と、制御盤14とを備えている。基板搬送機構部13は矩形形状をした水平な基板載置台15を有しており、この基板載置台15と走行台12の間には、基板載置台15を昇降させる昇降機構16と、基板載置台15をその中心を通る垂直軸線回りに旋回させる旋回機構17と、基板載置台15をその前後方向に水平にスライドさせるスライド機構18が組み込まれている。基板載置台15には、昇降・スライド式基板支持機構19とスライド式基板クランプ機構20が搭載されている。
【0031】
図3に示すように、基板載置台15は略矩形輪郭の水平な表面15aを備えており、この表面15aには、基板載置台15の前後方向に多数個のエアー吹き出しユニット21が配列されている。各エアー吹き出しユニット21は同一形状であり、細長い直方体形状のケース21aと、このケース21aにおける上向きの水平な一つの側面21bに一定間隔で形成した複数個のエアー吹き出し口21cとを備えている。これらのエアー吹き出しユニット21は、基板載置台15の前後方向に直線状に3個配列された構成のユニット列が、基板載置台15の幅方向に一定の間隔で複数形成されている(なお、図3においては中間部分を省略して示してある。)。
【0032】
各エアー吹き出しユニット21の上向きの側面21bによって、水平な基板載置面が規定されている。したがって、以下の説明では、基板載置面を「基板載置面21b」として説明するものとする。各エアー吹き出し口21cからエアーを吹き出すことにより、図に示すように、基板載置面21bから浮き上がった状態でガラス基板7を水平に保持することができる。なお、ガラス基板7をエアー浮上させる機構の代わりに、基板載置台15の表面15aに、その幅方向に水平に延びる中心軸線回りに回転自在な状態で多数個のローラー、コロなどの転動体を配列し、これらによって基板載置面を規定することも可能である。
【0033】
基板載置台15における前端部の両側、および後端部の両側には、それぞれ基板位置決め用のガイドローラー対23が取り付けられている。後述のように、これら4組のガイドローラー対23は基板載置台15の幅方向に移動可能である。基板載置面21bに対して前方からガラス基板7を水平に差し込む際には、幅方向の外方に離れた位置に保持されている。ガラス基板7が差し込まれると相互に接近する方向に移動して、ガラス基板7を両側からクランプして、基板載置面21b上においてガラス基板7の幅方向の位置決めを行う。
【0034】
次に、昇降・スライド式基板支持機構19は、基板載置台15の前後方向に一定間隔で水平に延びている複数本の基板支持アーム24を備えた基板支持部材25と、この基板支持部材25を昇降させるアーム昇降機構26(図6参照)と、基板支持部材をスライドさせるスライド機構33(図6参照)とを備えている。
【0035】
基板支持アーム24は、前後方向に配列したエアー吹き出しユニット21の列の間に形成されている基板載置台15の前後方向に延びる溝27(アーム配置溝)内に位置している。アーム昇降機構26によって、各基板支持アーム24は、図3に示す溝27内に位置するアーム降下位置から、基板載置面21bよりも上の高さ位置に上昇したアーム上昇位置(図10参照)までの間を昇降可能である。また、スライド機構33によって、各基板支持アーム24は、アーム上昇位置の高さにある状態において、基板支持アーム24の先端が基板載置面21bの前端に位置するアーム後退位置から前方のアーム前進位置までの間を、溝27(アーム配置溝)に平行な水平方向にスライド可能である。
【0036】
スライド式基板クランプ機構20は、基板載置面21bの上方に配置された複数個、例えば、3個の基板クランパー31と、これらの基板クランパー31を支持している支持部材32と、支持部材32を基板載置台15の前後方向に水平にスライドさせるスライド機構33(図6参照)とを備えている。スライド機構33によって、各基板クランパー31は、基板載置面21bの上方において、その後端の後方側に位置する図示のクランパー後退位置からその前端よりも前方のクランパー前進位置(図9(a)参照)までの間をスライド可能である。
【0037】
図4に示すように、各基板クランパー31は、上下に開閉する一対のクランプ爪31a、31bを備えており、前方から、これらのクランプ爪31a、31bの間にガラス基板7の縁端部を受け入れてクランプするものである。本例では、上側のクランプ爪31aの側面に基板センサー34が取り付けられている。基板センサー34によってクランプ爪31a、31bの間に差し込まれたガラス基板7の縁端7aが検出される。この基板センサー34の検出信号に基づき、基板クランパー31によって確実にガラス基板7の縁端部をクランプすることができる。
【0038】
図5に示すように、一方の基板クランパー31(1)ではガラス基板7の縁端7aが検出され、他方の基板クランパー31(2)ではガラス基板7の縁端7aが検出されていない場合には、ガラス基板7が基板載置台前後方向に対して斜めにずれていると判断できる。この場合には、基板クランパー31を個別に前後に移動させることにより、ガラス基板7を確実にクランプして、ガラス基板7の前後方向に対するずれを解消できる。
【0039】
(基板搬送装置の各駆動機構の構成)
ここで、図6を参照して、走行台12および基板搬送機構部13の内部に組み込まれている各駆動機構の構成例を説明する。まず、走行台12の裏面には走行用モーター41が取り付けられており、当該走行用モーター41を駆動することにより、走行台12は水平走行レール10に沿って走行する。走行台12には、昇降旋回台42がその垂直中心軸線42aを中心として旋回可能な状態で搭載されており、当該昇降旋回台42は走行台12の側部に取り付けた旋回機構17の旋回用モーター17aによって旋回する。昇降旋回台42には昇降機構16の昇降用モーター16aが搭載されており、この昇降用モーター16aの上側には、当該昇降用モーター16aによって昇降する架台43が配置されており、この架台43に基板載置台15が前後方向にスライド可能な状態で搭載されている。架台43にはスライド機構18が搭載されており、スライド機構18は、スライド用モーター18a、当該モーターの回転を基板載置台15の前後方向のスライド運動に変換するボールねじ・ボールナットなどの直動機構18bを備えている。スライド機構18によって、基板載置台15は、待機位置からストロークL1だけ前方にスライドした前進位置までの間をスライド可能である。
【0040】
図6(b)に示すように、架台43における基板載置台15の後側の部位には、昇降用モーター26aを備えた昇降・スライド式基板支持機構19のアーム昇降機構26が搭載されており、アーム昇降機構26を介して基板支持アーム24を備えた基板支持部材25が架台43に対して昇降可能である。すなわち、架台43に搭載されている基板載置台15に対して昇降可能である。
【0041】
図6(c)、(e)に示すように、昇降・スライド式基板支持機構19およびスライド式基板クランプ機構20のスライド機構33が架台43に搭載されている。スライド機構33は、基板クランパー31の側に取り付けられているモーター33aと、この出力軸に取り付けたピニオン33bと、架台43において基板載置台15の前後方向に直線状に延びるラック33cとを備えている。ピニオン33bがラック33cにかみ合っており、モーター33aが回転すると、基板支持アームの側が基板載置台15の前後方向にスライドする。図6(b)に示すように、スライド機構33によって、基板クランパー31はクランパー後退位置からストロークL2まで前方にスライドしたクランパー前進位置までの間をスライド可能であり、基板支持アーム24もアーム後退位置からストロークL2だけ前方にスライドしたアーム前進位置までの間をスライド可能である。
【0042】
ここで、本例では、スライド機構33は、接断機構33dを介して、基板支持アーム24を備えた基板支持部材25の側に対する連結が切断可能能となっている。接断機構33dを介してスライド機構33が基板支持部材25の側に連結されている状態では、スライド機構33によって基板支持部材25がアーム後退位置からアーム前進位置までの間を基板クランパー31と共にスライドする。この場合には、スライド機構33は、クランパースライド機構およびアームスライド機構として機能する。接断機構33dによって、スライド機構33と基板支持部材25の間が切り離されている場合には、スライド機構33によって基板クランパー31のみがクランパー後退位置からクランパー前進位置までの間をスライドする。この場合は、スライド機構33はクランパースライド機構としてのみ機能する。
【0043】
なお、図6(d)に示すように、基板支持アーム24がアーム後退位置にある状態においては、左右一対の保持用シリンダ24aによって、基板支持アーム24がアーム後退位置に位置決め可能となっている。
【0044】
(ガラス基板の取り出し、移送、収納動作)
次に、図7に示すフローチャートおよび図8〜図12に示す説明図を参照して、基板クランパー31を用いて、基板カセット5からガラス基板7を取り出して基板受け渡し部6の基板受け渡し面6aに収納する基板搬送動作を説明する。
【0045】
まず、基板搬送装置2を水平走行レール10に沿ってスライドさせて基板カセット5に対峙する位置まで移動させる。また、旋回機構17によって基板載置台15の前端が基板カセット5の側を向く状態を形成し、昇降機構16によって基板載置台15を取り出し対象のガラス基板7が収納されている基板収納棚の高さ位置に移動する(この代わりに、基板カセット5の側を昇降させるようにしてもよい)。このようにして、基板載置台15が基板カセット5に位置決めされる(図7のステップST1:位置決め動作、図8)。
【0046】
次に、基板載置台15をスライド機構18によって待機位置から図9(a)に示す前進位置までスライドさせると共に、基板クランパー31をクランパー後退位置から図9(a)に示すクランパー前進位置までスライドさせる。この結果、基板クランパー31のクランプ爪31a、31bの間にガラス基板7の縁端部が差し込まれた状態となる。この状態が形成された後に、基板クランパー31によってガラス基板7の縁端部をクランプする(図7のステップST2:基板クランプ動作)。この後は、基板クランパー31をクランパー後退位置に戻す動作を開始すると共に、基板載置台15の各エアー吹き出し口21cからエアーの吹き出しを開始する(図7のステップST3:基板抜き取り動作)。
【0047】
基板クランパー31によるガラス基板7の保持高さは、基板載置台15の基板載置面21bよりも僅かに上である。したがって、ガラス基板7は基板載置台15の基板載置面21bの上方にエアーによって僅かに浮き上がった状態で、基板クランパー31によって基板載置台15の側に引き出され、図9(b)に示すように、当該基板載置台15の真上に移動する(図7のステップST4)。ここで、左右のガイドローラー23によってガラス基板7の幅方向の位置決めが自動的に行われる。すなわち、幅方向に開いている左右のガイドローラー23を相互に接近する方向に移動させて、ガラス基板7の前後の位置において左右両側から当該ガラス基板7をクランプして幅方向の位置決めを行う。ガラス基板7の前後方向の位置決めは基板クランパー31によって行われる。基板クランパー31の後退動作と同時に、スライド機構18によって基板載置台15を前進位置から待機位置に後退させる。
【0048】
次に、図10に示すように、溝27内のアーム降下位置に待機している基板支持アーム24をアーム上昇位置まで持ち上げる。この結果、エアー浮上状態のガラス基板7が基板支持アーム24によって支持された状態が形成される。それと同時に、基板クランパー31によるクランプを解除する(図7のステップST5:基板支持動作)。このようにして、基板カセット5からのガラス基板7の引き抜き動作が終了し、引き抜かれたガラス基板7が基板搬送装置2によって支持された状態が形成される。この後にエアーの吹き出しを止める。
【0049】
この後は、図11に示すように、水平走行レール10に沿って、基板搬送装置2を基板引き渡し先の基板受け渡し部6に対峙する位置まで移動させる。この走行時に、旋回機構17によって基板載置台15を180度旋回させ、その前端が基板受け渡し部6の側に面するようにする(図7のステップST6:基板移送動作)。
【0050】
次に、基板支持アーム24に乗っているガラス基板7を基板受け渡し部6における引き渡し先の基板受け渡し面6aに引き渡す基板引き渡し動作が行われる。この場合においても、まず、昇降機構16によって基板載置台15を昇降させて、基板支持アーム24によって支持されているガラス基板7を、引き渡し先の基板受け渡し面6aに位置決めする(図7のステップST7:位置決め動作)。
【0051】
この後は、スライド機構33を、接断機構33dによって、基板支持アーム24の側に連結した状態にし、この状態でスライド機構33を駆動する。すなわち、スライド機構33をクランパースライド機構およびアームスライド機構として機能させる。これにより、基板支持アーム24をアーム後退位置からアーム前進位置にスライドさせることができる。この結果、ガラス基板7を載せた状態の基板支持アーム24をアーム後退位置からアーム前進位置までスライドして、基板載置台15の前方にガラス基板7を送り出すことができ、この状態で、基板載置台15を降下させることにより、基板支持アーム24上のガラス基板7を基板受け渡し先の基板受け渡し面6aに引き渡すことができる。(図7のステップST8:基板送り出し、図12)。
【0052】
基板受け渡し面6aにガラス基板7を引き渡した後は、基板支持アーム24を引き戻し、スライド機構18により基板載置台15を待機位置まで引き戻す(図7のステップST9:戻し動作)。これによりガラス基板の引き渡し動作が終了する。
【0053】
なお、ガラス基板7を、基板搬送装置2から基板カセット3〜5の基板収納棚に収納する動作は、基板クランパー31を用いて行うことができる。
【0054】
(基板カセットの構成例)
なお、基板カセット6をワイヤカセットとすることが望ましい。ワイヤカセットは、多数本のワイヤ(線材)を同一水平面上において一定の間隔で平行に架け渡すことにより形成した基板収納棚が上下方向に多段に配列され、ワイヤには、当該ワイヤの軸線方向に沿って所定の間隔で、軸受が配置されており、軸受は、ワイヤに同軸状態に固定された内輪と、当該内輪の外周面によって回転自在の状態で支持されている外輪とを備えており、軸受の外輪によって基板収納棚における基板載置面が規定されている。この構成のワイヤカセットを用いれば、ガラス基板を高密度に収納することができ、ガラス基板の出し入れも、ガラス基板等に殆ど負荷が作用することなく円滑に行うことができる。
【0055】
(基板搬送装置の別の例)
図13は基板搬送装置の別の例を示す概略斜視図であり、図14はその駆動機構を示す説明図である。これらの図に示す基板搬送装置100は、実施の形態1に係る基板搬送装置2に、第2昇降・スライド式基板支持機構が追加された構成となっており、同時に2枚のガラス基板を移送可能な二段式の基板搬送装置である。以下の説明においては、基板搬送装置2の各部に対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0056】
二段式の基板搬送装置100は、直線状に延びる一対の水平走行レール10を備えたベース11と、この水平走行レール10に沿って走行する走行台12と、この走行台12に搭載されている基板搬送機構部13Aと、制御盤(図示せず)とを備えている。基板搬送機構部13Aは矩形形状をした水平な基板載置台15を有しており、この基板載置台15と走行台12の間には、基板載置台15を昇降させる昇降機構16と、基板載置台15をその中心を通る垂直軸線回りに旋回させる旋回機構17と、基板載置台15をその前後方向に水平にスライドさせるスライド機構18が組み込まれている。基板載置台15には、昇降・スライド式基板支持機構19とスライド式基板クランプ機構20が搭載されている。これに加えて、基板載置台15には、第2昇降・スライド式基板支持機構119が搭載されている。
【0057】
第2昇降・スライド式基板支持機構119は、昇降・スライド式基板支持機構19と同様に構成されており、基板載置台15の溝127内に位置する第2アーム降下位置から基板載置面21bよりも上の高さ位置に上昇した第2アーム上昇位置までの間を昇降する複数本の水平な第2基板支持アーム124を備えている。また、スライド機構33と同様な構成のアームスライド機構133を備えている。
【0058】
ここで、第2基板支持アーム124は基板支持アーム24の上方に位置している。また、基板載置台15には、エアー吹き出しユニットとして丈の高いエアー吹き出しユニット21Aが配列されており、これらの間に深い溝127(アーム配置溝)が形成されており、上側の第2基板支持アーム124および下側の基板支持アーム24の双方を溝127内の待機位置に待機させることが可能となっている。
【0059】
基板載置台15には、その四隅に支柱101が取り付けられており、これらの4本の支柱101の先端には水平枠体102が取り付けられている。この水平枠体102に取り付けた昇降用モーター103によって第2基板支持アーム124が昇降可能に吊り下げられている。また、第2基板支持アーム124は、水平枠体102から吊り下げられている水平なガイド枠104にスライド可能な状態で取り付けられており、ガイド枠104は基板載置台15と同一方向に延びている。アームスライド機構133は、第2基板支持アーム124の側に搭載されているモーター133aと、この出力軸に取り付けたピニオン133bと、基板載置台15の前後方向に水平に延びる状態にガイド枠104に取り付けたラック133cとを備えている。
【0060】
この構成の基板搬送装置100では、下側の基板支持アーム24と上側の第2基板支持アーム124のそれぞれがガラス基板7を支持することができる。よって、2組の基板支持アーム24、124と基板クランパー31の駆動制御を適切に行うことにより、効率良くガラス基板7の引き抜き、移送および引き渡し動作を行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
1 基板搬送システム
2 基板搬送装置
3、4、5 基板カセット
6 基板受け渡し部
6a 基板受け渡し面
7 ガラス基板
7a 縁端
10 走行レール
11 ベース
12 走行台
13、13A 基板搬送機構部
14 制御盤
15 基板載置台
15a 表面
16 昇降機構
16a 昇降用モーター
17 旋回機構
17a 旋回用モーター
18 スライド機構
18a スライド用モーター
18b 直動機構
L1 ストローク
19 昇降・スライド式基板支持機構
20 スライド式基板クランプ機構
21、21A エアー吹き出しユニット
21a ケース
21b 側面(基板載置面)
21c エアー吹き出し口
23 ガイドローラー対
24 基板支持アーム
24a 保持用シリンダ
25 基板支持部材
26 アーム昇降機構
26a 昇降用モーター
27 溝(アーム配置溝)
31、31(1)、31(2) 基板クランパー
31a、31b クランプ爪
32 支持部材
33 スライド機構(アームスライド機構、クランパースライド機構)
33a モーター
33b ピニオン
33c ラック
33d 接断機構
L2 ストローク
34 基板センサー
41 走行用モーター
42 昇降旋回台
42a 垂直中心軸線
43 架台
100 基板搬送装置
101 支柱
102 水平枠体
103 昇降用モーター
104 ガイド枠
119 第2昇降・スライド式基板支持機構
124 第2基板支持アーム
127 溝
133 アームスライド機構
133a モーター
133b ピニオン
133c ラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板載置台と、
前記基板載置台を、待機位置からその前方の前進位置までの間で、水平にスライドさせるスライド機構と、
前記基板載置台に搭載されている昇降・スライド式基板支持機構と、
前記基板載置台に搭載されているスライド式基板クランプ機構と、
前記の各部の駆動を制御する駆動制御部とを有し、
前記基板載置台は、
水平な基板載置面と、
前記基板載置面において、その前端から後端まで直線状に延びている所定幅および深さの複数条のアーム配置溝とを備え、
前記昇降・スライド式基板支持機構は複数本の水平な基板支持アームを備え、当該基板支持アームは、前記アーム配置溝内に位置するアーム降下位置から前記基板載置面よりも上の高さ位置に上昇したアーム上昇位置までの間を昇降可能であると共に、前記アーム上昇位置の高さにある状態において、前記基板支持アームの先端が前記基板載置面の前端に位置するアーム後退位置から前方のアーム前進位置までの間を、前記アーム配置溝に平行な水平方向にスライド可能であり、
前記スライド式基板クランプ機構は、先端に上下に開閉するクランプ爪を具備した基板クランパーを備え、当該基板クランパーは、前記基板載置面の上方において、その後端の後方側のクランプ後退位置からその前端よりも前方のクランプ前進位置までの間を、前記アーム配置溝に平行な水平方向にスライド可能であることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記基板載置台は、前記基板載置面に形成された複数のエアー吹き出し口を備え、
前記エアー吹き出し口から吹き出されるエアーによって基板を前記基板載置面から浮上させることが可能であることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記基板載置台を昇降させる昇降機構と、
前記基板載置台を垂直軸線回りに旋回させる旋回機構とを有していることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
前記スライド式基板クランプ機構は、前記基板クランパーとして、当該基板クランパーのスライド方向に直交する方向に所定の間隔で配置されている複数個の基板クランパーを備えており、
各基板クランパーには、前記クランプ爪の間に差し込まれる前記基板の縁端の位置を検出するセンサーが搭載されていることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記基板クランパーによって前記基板載置面の真上に引き込まれた前記基板における引き込み方向とは直交する幅方向の位置決めを行うために、前記基板載置面の幅方向の両端部に配置された少なくとも1組の位置決め用ガイドローラーを備えており、
これらの位置決め用ガイドローラーは前記幅方向に開閉可能であることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちのいずれかの項において、
前記基板載置台に搭載されている第2昇降・スライド式基板支持機構を有し、
前記第2昇降・スライド式基板支持機構は複数本の水平な第2基板支持アームを備え、当該第2基板支持アームは、前記アーム配置溝内に位置する第2アーム降下位置から前記基板載置面よりも上の高さ位置に上昇した第2アーム上昇位置までの間を昇降可能であると共に、前記第2アーム上昇位置の高さにある状態において、前記基板支持アームの先端が前記基板載置面の前端に位置する第2アーム後退位置から前方の第2アーム前進位置までの間を、前記アーム配置溝に平行な水平方向にスライド可能であり、
前記第2基板支持アームは前記基板支持アームの上方に位置していることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項において、
水平走行レールに沿って走行する走行台を有し、
前記走行台に、前記昇降機構、前記スライド機構、前記旋回機構、前記基板載置台、前記昇降式基板支持機構および前記スライド式基板クランプ機構を備えた基板搬送機構部が搭載されていることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板搬送装置と、
前記水平走行レールの一方の側に配置された基板カセットと、
前記水平走行レールの他方の側に配置された基板受け渡し部とを有し、
前記基板搬送装置は、前記基板カセットの各基板収納棚から基板を取り出す基板取り出し動作、各基板収納棚に基板を収納する基板収納動作、前記基板カセットおよび前記基板受け渡し部の一方から他方に基板を移送する移送動作、前記基板受け渡し部に基板を引き渡す基板引き渡し動作、前記基板受け渡し部から基板を受け取る基板受け取り動作を行うことが可能であり、
前記基板カセットはワイヤカセットであり、
当該ワイヤカセットは、多数本の線材を同一水平面上において一定の間隔で平行に架け渡すことにより形成した基板収納棚が上下方向に多段に配列され、前記線材には、当該線材の軸線方向に沿って所定の間隔で、軸受が配置されており、前記軸受は、前記線材に同軸状態に固定された内輪と、当該内輪の外周面によって回転自在の状態で支持されている外輪とを備えており、前記軸受の前記外輪によって前記基板収納棚における基板載置面が規定されていることを特徴とする基板搬送システム。
【請求項9】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項に記載の基板搬送装置を用いて、上下方向に多段に形成された基板収納棚を備えた基板カセットの前記基板収納棚または基板受け渡し部の基板受け渡し面から基板を取り出す基板の取り出し方法であって、
前記昇降機構および前記旋回機構により、前記基板載置台を、基板カセットにおける取り出し対象の基板に位置決めする位置決め動作と、
前記スライド機構により前記基板載置台を前方に送り出すと共に、前記基板クランパーを前記クランパー前進位置に送り出して前記基板の縁部をクランプさせる基板クランプ動作と、
基板クランパーを前記クランパー後退位置に戻して基板載置面上にエアー浮上状態で前記基板を位置決めし、前記スライド機構により前記基板載置台を前記待機位置に戻す基板抜き取り動作と、
前記基板支持アームを前記アーム上昇位置に持ち上げると同時に、前記基板のクランプを解除しエアーの吹き出しを止める基板支持動作とを含むことを特徴とする基板搬送装置の基板取り出し方法。
【請求項10】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項に記載の基板搬送装置を用いて、前記基板支持アームに引き渡された前記基板を、上下方向に多段に形成された基板収納棚を備えた基板カセットの前記基板収納棚または基板受け渡し部の基板受け渡し面に引き渡す基板の引き渡し方法であって、
前記昇降機構および前記旋回機構により、前記基板載置台を移動させることにより、前記基板支持アームによって支持されている前記基板を前記基板カセットの前記基板収納棚あるいは前記基板受け渡し部の前記基板受け渡し面に位置決めする位置決め動作と、
前記エアー吹き出し口からエアーの吹き出しを開始し、前記基板支持アームを前記アーム降下位置に降下させると同時に前記ガラス基板を前記基板クランパーによってクランプし、前記基板を前記基板載置面の上にエアー浮上状態に保持する基板保持動作と、
前記スライド機構により前記基板載置台を前進位置に送り出した後に前記基板クランパーを前記クランパー前進位置に送り出して前記基板を前記基板収納棚あるいは前記基板受け渡し面に送り出し、前記基板のクランプを解除する基板差し込み動作と、
前記スライド機構により前記基板載置台を前記待機位置に戻すと共に前記基板クランパーを前記クランパー後退位置に戻す戻し動作とを含むことを特徴とする基板搬送装置の基板引き渡し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−84825(P2012−84825A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277464(P2010−277464)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(510231640)株式会社Siti (3)
【Fターム(参考)】