基板搬送装置
【課題】基板の搬送方向の曲がりを搬送しながら補正する基板搬送装置を提供する。
【解決手段】コロによって基板を搬送する基板搬送装置であって、載置された基板を搬送し、基準速度で回転するコロと、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロで構成される複数の搬送コロと、前記搬送コロを備えた複数のコロ軸と、前記コロ軸を回転駆動させる駆動用モータと、搬送中の基板の曲がりを検知するセンサーと、前記センサーからの出力信号によって基板の曲がり度合いを検出する基板曲がり検出装置と、前記基板曲がり検出装置からの出力信号を得て、前記搬送コロの内、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロの回転速度を調整するための調整用モータを制御する制御装置と、前記調整用モータの回転によってコロの回転速度を加減速させる差動装置を備え、基板の搬送中の曲がりを補正することを特徴とする基板搬送装置。
【解決手段】コロによって基板を搬送する基板搬送装置であって、載置された基板を搬送し、基準速度で回転するコロと、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロで構成される複数の搬送コロと、前記搬送コロを備えた複数のコロ軸と、前記コロ軸を回転駆動させる駆動用モータと、搬送中の基板の曲がりを検知するセンサーと、前記センサーからの出力信号によって基板の曲がり度合いを検出する基板曲がり検出装置と、前記基板曲がり検出装置からの出力信号を得て、前記搬送コロの内、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロの回転速度を調整するための調整用モータを制御する制御装置と、前記調整用モータの回転によってコロの回転速度を加減速させる差動装置を備え、基板の搬送中の曲がりを補正することを特徴とする基板搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ等のガラス基板(以下、基板)を搬送する装置に関するもので、更に詳細には、搬送中の基板の曲がりを修正する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に基板の一例としてカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板の一例を断面で示す。カラーフィルタ1は、基板2上にブラックマトリックス(以下、BM)3、レッドRの着色画素(以下、R画素)4−1、グリーンGの着色画素(以下、G画素)4−2、ブルーBの着色画素(以下、B画素)4−3、透明電極5、及びフォトスペーサー(Photo Spacer)(以下、PS)6、バーテイカルアライメント(Vertical Alignment)(以下、VA)7が順次形成されたものである。
【0003】
上記構造のカラーフィルタの製造方法は、フォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法を用いることが知られているが、図2は一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程を示すフロー図である。カラーフィルタは、先ず、基板上にBMを形成処理する工程(C1)、基板を洗浄処理する工程(C2)、着色フォトレジストを塗布および予備乾燥処理する工程(C3)、着色フォトレジストを乾燥、硬化処理するプリベーク工程(C4)、露光処理する工程(C5)、現像処理する工程(C6)、着色フォトレジストを硬化処理する工程(C7)、透明電極を成膜処理する工程(C8)、PS、VAを形成処理する工程(C9)がこの順に行われ製造される。
【0004】
例えば、R画素、G画素、B画素の順に画素が形成される場合には、カラーフィルタ用基板を洗浄処理する工程(C2)から、着色フォトレジストを硬化処理する工程間(C7)ではレッドR、グリーンG、ブルーBの順に着色フォトレジストを変更して3回繰り返されてR画素、G画素、B画素が形成される。
【0005】
上記カラーフィルタの製造工程では、処理工程内の各処理装置内や処理装置間で搬送装置が用いられている。搬送装置による基板の搬送方法としては図3(a)に示されるコロ11上に基板10を乗せ、コロを回転させることにより矢印12の方向に搬送するコロ方式や、図3(b)に示されるエアー13により基板10を浮かせガイド等で基板を支持しながら矢印12の方向に搬送するエアー浮上方式が多く用いられている。特に、処理装置間で用いる搬送方法としては、安価で制御しやすいことからコロ方式が多く採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−63144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記コロ方式の搬送装置に使用されるコロ14は、図4に示すように基板10の走行方向16に対して直交する方向に設けられた全てのコロ軸15の同じ位置に配列されている場合(図4(a))や、基板10の走行方向に対して直交する方向に設けられたコロ軸15の1列おきに交互同じ位置に配列されている場合(図4(b))が一般的に用いられている。
【0008】
多数のコロで基板を支持し搬送する場合には、コロとの接触により搬送させているため
基板が撓み、搬送方向からずれて曲がり(搬送方向と並行ではなくなり)、図5に模式的に示すように点線で示す正規の位置の基板20に対して実線で示す基板21のように曲がりが発生して位置ずれを起こし搬送が不安定になり、その結果基板が破損するといった問題が発生しやすい。
【0009】
また、上記コロ方式で下流装置に基板を渡したり、上流から受け取った際には基板の位置ずれを直す必要があり、図6に示すように基板の位置決めには、例えば基板21の四隅をエアシリンダ等を使用して矢印22−1、22−2、22−3、22−4で示す方向に押し込んで行われる。
【0010】
しかしながら、上記基板位置決め機構によって矢印22−1〜22−4で示される方向に基板21を押し込んで位置決めを行う場合には、基板はコロとの摩擦によって傷や汚れが発生するといった問題が発生し、また位置決めを行うため工程の処理時間そのものを長くしてしまうといった問題がある。
【0011】
以上の問題点に鑑みて本発明は、基板の搬送方向の曲がりを搬送しながら補正する基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、コロによって基板を搬送する基板搬送装置であって、
載置された基板を搬送し、基準速度で回転するコロと、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロで構成される複数の搬送コロと、
前記搬送コロを備えた複数のコロ軸と、
前記コロ軸を回転駆動させる駆動用モータと、
搬送中の基板の曲がりを検知するセンサーと、
前記センサーからの出力信号によって基板の曲がり度合いを検出する基板曲がり検出装置と、
前記基板曲がり検出装置からの出力信号を得て、前記搬送コロの内、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロの回転速度を調整するための調整用モータを制御する制御装置と、
前記調整用モータの回転によってコロの回転速度を加減速させる差動装置を備え、
基板の搬送中の曲がりを補正することを特徴とする基板搬送装置である。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明は、基板の、搬送方向に対して左右の片側部のうち、一方の片側部には前記基準速度で回転するコロを、他方の片側部には前記基準速度に対して加減速された速度で回転するコロを備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置である。
【0014】
本発明の請求項3に係る発明は、前記搬送コロは基板の搬送方向に対して直交する基板の幅方向の中央部には前記基準速度で回転するコロを、中央部の左右には前記基準速度に対して加減速された速度で回転するコロを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬送装置である。
【0015】
本発明の請求項4に係る発明は、前記搬送中の基板の曲がりを検知するセンサーは、基板の搬送方向の前後に少なくとも2個設けられ、且つ基板の搬送方向に対して直交する基板の幅方向の2つの基板端のどちらか一方もしくは両方の基板端を検出することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の基板搬送装置によれば、基板を搬送しながら基板の搬送方向の曲がりを補正す
ることが出来るため、搬送中の基板を安定して搬送することが出来、基板の破損を防ぎ、また、下流装置に基板を渡したり、上流から受け取った際に基板の位置決めを行う必要がなく、その結果、位置決めの際に発生していた基板の傷つきや汚れを抑制することが出来、また基板位置決めの為に要していた時間を省くことが出来るため、工程の処理時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カラーフィルタ基板の一例を断面で示す図。
【図2】一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程のフロー図。
【図3】従来の搬送装置での基板の搬送方法を示す図。(a)はコロ方式を示す図。(b)はエアー浮上方式を示す図。
【図4】コロ方式の搬送装置に使用されるコロの配列を示す図。(a)は基板の走行方向に対して直交する方向に設けられた全てのコロ軸の同じ位置に配列されている場合を示す図。(b)は基板の走行方向に対して直交する方向に設けられたコロ軸の1列おきに交互同じ位置に配列されている場合を示す図。
【図5】正規の位置の基板に対して曲がりが発生した基板を模式的に示す図
【図6】基板の四隅を押し込んで基板の位置決めを行う場合を示す図。
【図7】本発明に係る基板搬送装置の実施形態を示す図。
【図8】本発明に係る基板搬送装置に備えられたセンサーの配置例を示す図。
【図9】本発明に係る基板搬送装置に備えられたセンサーを説明するための図。
【図10】本発明に係る基板搬送装置によって曲がりを補正する方法を説明する図。
【図11】本発明に係る基板搬送装置の図7とは別の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る基板搬送装置を実施するための形態を説明する。
【0019】
図7に本発明に係る基板搬送装置の概略構成例を示す。基板搬送装置は、基板を載置して搬送する搬送コロ31−1、31−2と、搬送コロ31−1、31−2を備えたコロ軸32−1、32−2と、コロ軸32−1、32−2を回転駆動させる駆動用モータ33と、搬送中の基板30の搬送方向の曲がりを検知するセンサー34−1、34−2と、センサー34−1、34−2からの出力信号によって基板の搬送方向の曲がり度合いを検出する基板曲がり検出装置35と、基板曲がり検出装置35からの出力信号を得て搬送コロ31−1、31−2のどちらかのコロ(図7の場合は搬送コロ31−2)の回転速度を調整するための調整用モータ37と、調整用モータ37を制御する制御装置36と、調整用モータ37の回転によってコロの回転速度を加減速させる差動装置38を備えている。
【0020】
上述した図7を用いて基板30の搬送方向に対する曲がりを補正する方法を説明する。コロ軸32−1、32−2に備えられた搬送コロ31−1及び31−2には、基板30が載置され搬送方向39に搬送される。図7の例では、コロ31−1と31−2の内、搬送コロ31−1は、基板30の搬送方向に対して左側部に設けられ基準速度で回転するコロで、駆動用モータ33によって回転数がR1回転/分の基準速度で回転駆動される。尚、駆動用モータ33の回転は、回転軸変換装置40〜44を経て、コロ31−1を回転させている。尚、回転軸変換装置40〜44はこれに限定されるものではなく、直接、駆動用モータ33でコロ31−1を回転させるなど他の駆動方法を適宜採用することが出来る。
【0021】
一方、搬送コロ31−2は、基板30の、搬送方向39に対して右側部に設けられ、前記基準速度に対して加減速された速度で回転するコロである。駆動用モータ33の回転が回転軸変換装置45〜49を経て伝えられる。コロ31−2の回転数は、通常、コロ31
−1と同じ基準速度のR1回転/分で駆動されるが、調整用モータ37が回転することによって加速あるいは減速してR2回転/分で回転する。
【0022】
搬送コロ31−1と搬送コロ31−2の配置は図7の例では、基板の搬送方向39に対して左側部に基準速度で回転駆動されるコロ31−1が、右側部に加速あるいは減速して回転駆動されるコロ31−2が設けられているが、左右逆でも良い。
【0023】
調整用モータ37が直結されている差動機構38には、例えばハーモニックドライブ(登録商標)を用い、調整用モータを正転あるいは逆転させることによってコロ31−2を精度良くR2回転/分で回転することが出来る。
【0024】
基板30の曲がりはセンサー34−1、34−2によって検出される。センサー34は基板の搬送方向39の前後に少なくとも2個設けられ、図7の例では、搬送される基板30の幅方向の2つの基板端の一方が通過する位置に設けられているが、これとは別に図8に示すように両方の基板端を検出するようにセンサー34−2をセンサー34−1が検出する基板端の他の一方の基板端に設けても良い。
【0025】
センサー34−1、34−2は図9に示すように例えばCCDラインセンサーのような複数の受光部を有するセンサーが望ましく、複数の受光部によって基板の曲がり度合いを正確に検出することが出来る。図9は8個の受光部を有する光センサーの場合を示している。
【0026】
基板30の曲がりは、2つのセンサー34−1、34−2の受光状態によって検出される。図10は基板30の曲がりを検出し、曲がりを補正する方法を説明するための図である。図10の場合は、基板の搬送方向39の前側のセンサー34−1は受光部No.1〜No.4で基板を検知し、No.5〜No.8は基板以外の部分を検知しているため、基板30の基板端はNo.4によって検出され、一方、基板の搬送方向の後側のセンサー34−2は受光部No.1〜No.2で基板を検知し、No.3〜No.8は基板以外の部分を検知しているため、基板30の基板端はNo.2によって検出されていることを示している。
【0027】
この場合は、基板の搬送方向39に対して基板は時計の回転方向とは逆の方向に曲がっているため、図7の搬送装置では搬送コロ31−2を、基準速度で回転している搬送コロ31−1よりも減速させることによって、搬送コロ31−2の円周速度は搬送コロ31−1よりも遅くなり、その結果、曲がりを補正することが出来る。この場合の減速させる度合いと減速駆動する時間は、基板の曲がり度合いによって異なり、制御装置36によって制御される。センサー34−1、34−2はこれに限定されるのではなく、基板の基板端を検出できるものであれば、適宜用いることが出来る。
【0028】
図11は本発明に係る基板搬送装置の別の実施形態を示す図で、50は基板の搬送方向に対して直交する基板の幅方向の中央部に設けられた基準速度で回転するコロで、駆動用モータ33で駆動される。51及び52は搬送コロ50の左右に設けられた搬送コロで、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロである。搬送コロ51は、センサー34−1、34−2からの出力信号によって基板の搬送方向に対する曲がりを検出する基板曲がり検出装置35からの出力信号を得て制御装置36によって制御される調整用モータ37−1の回転と差動装置38−1によってコロの回転速度が加減速される。
【0029】
同様に、搬送コロ52は、センサー34−1、34−2からの出力信号によって基板の搬送方向に対する曲がりを検出する基板曲がり検出装置35からの出力信号を得て、制御装置36によって制御される調整用モータ37−2の回転と差動装置38−2によってコ
ロの回転速度が加減速される。
【0030】
図11に示す本発明に係る基板搬送装置の場合にも、図9に示される8個の受光窓を有する光センサーを用いて、基板の曲がりを検出することが出来る。
【0031】
基板の曲がりの検出が上記図10の場合には、図11に示す本発明に係る基板搬送装置は、搬送コロ51の回転速度を基準速度で回転する搬送コロ50よりも速め、一方、搬送コロ52の回転速度を搬送コロ50よりも遅くすることによって曲がりを補正することが出来る。
【0032】
上記実施する形態としてカラーフィルタの基板を例示して説明したが、これに限定されず半導体製造工程で用いられる基板の搬送や、基板を収納した基板トレーの搬送などに広く適用することが出来る。
【0033】
以上のように本発明の基板搬送装置によれば、基板の搬送方向の曲がりを基板を搬送しながら補正することが出来るため、基板を破損することなく高速で搬送することが可能で、また、下流装置に基板を渡したり上流から受け取った際に基板の位置決めを行う必要がなく、その結果、位置決めの際に発生していた基板の傷つきや汚れを抑制することが出来、更に基板位置決めの為に要していた時間を省くことが出来るため、工程の処理時間を短縮することが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・カラーフィルタ
2・・・基板
3・・・ブラックマトリックス(BM)
4−1・・・レッドRの着色画素(R画素)
4−2・・・グリーンGの着色画素(G画素)
4−3・・・ブルーBの着色画素(B画素)
5・・・透明電極
6・・・フォトスペーサー(PS)
7・・・バーテイカルアライメント(VA)
10・・・基板
11・・・コロ
12・・・基板を搬送する方向を示す矢印
13・・・エアー
14・・・コロ
16・・・基板を搬送する方向を示す矢印
15・・・コロ軸
20・・・正規の位置の基板
21・・・曲がりが発生して位置ずれを起こした基板
22−1〜22−4・・・基板を位置決めする為に押し込む方向
31−1、31−2・・・搬送コロ
32−1、32−2・・・コロ軸
33・・・駆動用モータ
34−1、34−2・・・センサー
35・・・基板曲がり検出装置
36・・・制御装置
37・・・調整用モータ
37−1、37−2・・・調整用モータ
38・・・差動装置
38−1,38−2・・・差動装置
39・・・基板が載置され搬送される方向を示す矢印
40〜49・・・回転軸変換装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ等のガラス基板(以下、基板)を搬送する装置に関するもので、更に詳細には、搬送中の基板の曲がりを修正する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に基板の一例としてカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板の一例を断面で示す。カラーフィルタ1は、基板2上にブラックマトリックス(以下、BM)3、レッドRの着色画素(以下、R画素)4−1、グリーンGの着色画素(以下、G画素)4−2、ブルーBの着色画素(以下、B画素)4−3、透明電極5、及びフォトスペーサー(Photo Spacer)(以下、PS)6、バーテイカルアライメント(Vertical Alignment)(以下、VA)7が順次形成されたものである。
【0003】
上記構造のカラーフィルタの製造方法は、フォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法を用いることが知られているが、図2は一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程を示すフロー図である。カラーフィルタは、先ず、基板上にBMを形成処理する工程(C1)、基板を洗浄処理する工程(C2)、着色フォトレジストを塗布および予備乾燥処理する工程(C3)、着色フォトレジストを乾燥、硬化処理するプリベーク工程(C4)、露光処理する工程(C5)、現像処理する工程(C6)、着色フォトレジストを硬化処理する工程(C7)、透明電極を成膜処理する工程(C8)、PS、VAを形成処理する工程(C9)がこの順に行われ製造される。
【0004】
例えば、R画素、G画素、B画素の順に画素が形成される場合には、カラーフィルタ用基板を洗浄処理する工程(C2)から、着色フォトレジストを硬化処理する工程間(C7)ではレッドR、グリーンG、ブルーBの順に着色フォトレジストを変更して3回繰り返されてR画素、G画素、B画素が形成される。
【0005】
上記カラーフィルタの製造工程では、処理工程内の各処理装置内や処理装置間で搬送装置が用いられている。搬送装置による基板の搬送方法としては図3(a)に示されるコロ11上に基板10を乗せ、コロを回転させることにより矢印12の方向に搬送するコロ方式や、図3(b)に示されるエアー13により基板10を浮かせガイド等で基板を支持しながら矢印12の方向に搬送するエアー浮上方式が多く用いられている。特に、処理装置間で用いる搬送方法としては、安価で制御しやすいことからコロ方式が多く採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−63144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記コロ方式の搬送装置に使用されるコロ14は、図4に示すように基板10の走行方向16に対して直交する方向に設けられた全てのコロ軸15の同じ位置に配列されている場合(図4(a))や、基板10の走行方向に対して直交する方向に設けられたコロ軸15の1列おきに交互同じ位置に配列されている場合(図4(b))が一般的に用いられている。
【0008】
多数のコロで基板を支持し搬送する場合には、コロとの接触により搬送させているため
基板が撓み、搬送方向からずれて曲がり(搬送方向と並行ではなくなり)、図5に模式的に示すように点線で示す正規の位置の基板20に対して実線で示す基板21のように曲がりが発生して位置ずれを起こし搬送が不安定になり、その結果基板が破損するといった問題が発生しやすい。
【0009】
また、上記コロ方式で下流装置に基板を渡したり、上流から受け取った際には基板の位置ずれを直す必要があり、図6に示すように基板の位置決めには、例えば基板21の四隅をエアシリンダ等を使用して矢印22−1、22−2、22−3、22−4で示す方向に押し込んで行われる。
【0010】
しかしながら、上記基板位置決め機構によって矢印22−1〜22−4で示される方向に基板21を押し込んで位置決めを行う場合には、基板はコロとの摩擦によって傷や汚れが発生するといった問題が発生し、また位置決めを行うため工程の処理時間そのものを長くしてしまうといった問題がある。
【0011】
以上の問題点に鑑みて本発明は、基板の搬送方向の曲がりを搬送しながら補正する基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、コロによって基板を搬送する基板搬送装置であって、
載置された基板を搬送し、基準速度で回転するコロと、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロで構成される複数の搬送コロと、
前記搬送コロを備えた複数のコロ軸と、
前記コロ軸を回転駆動させる駆動用モータと、
搬送中の基板の曲がりを検知するセンサーと、
前記センサーからの出力信号によって基板の曲がり度合いを検出する基板曲がり検出装置と、
前記基板曲がり検出装置からの出力信号を得て、前記搬送コロの内、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロの回転速度を調整するための調整用モータを制御する制御装置と、
前記調整用モータの回転によってコロの回転速度を加減速させる差動装置を備え、
基板の搬送中の曲がりを補正することを特徴とする基板搬送装置である。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明は、基板の、搬送方向に対して左右の片側部のうち、一方の片側部には前記基準速度で回転するコロを、他方の片側部には前記基準速度に対して加減速された速度で回転するコロを備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置である。
【0014】
本発明の請求項3に係る発明は、前記搬送コロは基板の搬送方向に対して直交する基板の幅方向の中央部には前記基準速度で回転するコロを、中央部の左右には前記基準速度に対して加減速された速度で回転するコロを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬送装置である。
【0015】
本発明の請求項4に係る発明は、前記搬送中の基板の曲がりを検知するセンサーは、基板の搬送方向の前後に少なくとも2個設けられ、且つ基板の搬送方向に対して直交する基板の幅方向の2つの基板端のどちらか一方もしくは両方の基板端を検出することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の基板搬送装置によれば、基板を搬送しながら基板の搬送方向の曲がりを補正す
ることが出来るため、搬送中の基板を安定して搬送することが出来、基板の破損を防ぎ、また、下流装置に基板を渡したり、上流から受け取った際に基板の位置決めを行う必要がなく、その結果、位置決めの際に発生していた基板の傷つきや汚れを抑制することが出来、また基板位置決めの為に要していた時間を省くことが出来るため、工程の処理時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カラーフィルタ基板の一例を断面で示す図。
【図2】一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程のフロー図。
【図3】従来の搬送装置での基板の搬送方法を示す図。(a)はコロ方式を示す図。(b)はエアー浮上方式を示す図。
【図4】コロ方式の搬送装置に使用されるコロの配列を示す図。(a)は基板の走行方向に対して直交する方向に設けられた全てのコロ軸の同じ位置に配列されている場合を示す図。(b)は基板の走行方向に対して直交する方向に設けられたコロ軸の1列おきに交互同じ位置に配列されている場合を示す図。
【図5】正規の位置の基板に対して曲がりが発生した基板を模式的に示す図
【図6】基板の四隅を押し込んで基板の位置決めを行う場合を示す図。
【図7】本発明に係る基板搬送装置の実施形態を示す図。
【図8】本発明に係る基板搬送装置に備えられたセンサーの配置例を示す図。
【図9】本発明に係る基板搬送装置に備えられたセンサーを説明するための図。
【図10】本発明に係る基板搬送装置によって曲がりを補正する方法を説明する図。
【図11】本発明に係る基板搬送装置の図7とは別の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る基板搬送装置を実施するための形態を説明する。
【0019】
図7に本発明に係る基板搬送装置の概略構成例を示す。基板搬送装置は、基板を載置して搬送する搬送コロ31−1、31−2と、搬送コロ31−1、31−2を備えたコロ軸32−1、32−2と、コロ軸32−1、32−2を回転駆動させる駆動用モータ33と、搬送中の基板30の搬送方向の曲がりを検知するセンサー34−1、34−2と、センサー34−1、34−2からの出力信号によって基板の搬送方向の曲がり度合いを検出する基板曲がり検出装置35と、基板曲がり検出装置35からの出力信号を得て搬送コロ31−1、31−2のどちらかのコロ(図7の場合は搬送コロ31−2)の回転速度を調整するための調整用モータ37と、調整用モータ37を制御する制御装置36と、調整用モータ37の回転によってコロの回転速度を加減速させる差動装置38を備えている。
【0020】
上述した図7を用いて基板30の搬送方向に対する曲がりを補正する方法を説明する。コロ軸32−1、32−2に備えられた搬送コロ31−1及び31−2には、基板30が載置され搬送方向39に搬送される。図7の例では、コロ31−1と31−2の内、搬送コロ31−1は、基板30の搬送方向に対して左側部に設けられ基準速度で回転するコロで、駆動用モータ33によって回転数がR1回転/分の基準速度で回転駆動される。尚、駆動用モータ33の回転は、回転軸変換装置40〜44を経て、コロ31−1を回転させている。尚、回転軸変換装置40〜44はこれに限定されるものではなく、直接、駆動用モータ33でコロ31−1を回転させるなど他の駆動方法を適宜採用することが出来る。
【0021】
一方、搬送コロ31−2は、基板30の、搬送方向39に対して右側部に設けられ、前記基準速度に対して加減速された速度で回転するコロである。駆動用モータ33の回転が回転軸変換装置45〜49を経て伝えられる。コロ31−2の回転数は、通常、コロ31
−1と同じ基準速度のR1回転/分で駆動されるが、調整用モータ37が回転することによって加速あるいは減速してR2回転/分で回転する。
【0022】
搬送コロ31−1と搬送コロ31−2の配置は図7の例では、基板の搬送方向39に対して左側部に基準速度で回転駆動されるコロ31−1が、右側部に加速あるいは減速して回転駆動されるコロ31−2が設けられているが、左右逆でも良い。
【0023】
調整用モータ37が直結されている差動機構38には、例えばハーモニックドライブ(登録商標)を用い、調整用モータを正転あるいは逆転させることによってコロ31−2を精度良くR2回転/分で回転することが出来る。
【0024】
基板30の曲がりはセンサー34−1、34−2によって検出される。センサー34は基板の搬送方向39の前後に少なくとも2個設けられ、図7の例では、搬送される基板30の幅方向の2つの基板端の一方が通過する位置に設けられているが、これとは別に図8に示すように両方の基板端を検出するようにセンサー34−2をセンサー34−1が検出する基板端の他の一方の基板端に設けても良い。
【0025】
センサー34−1、34−2は図9に示すように例えばCCDラインセンサーのような複数の受光部を有するセンサーが望ましく、複数の受光部によって基板の曲がり度合いを正確に検出することが出来る。図9は8個の受光部を有する光センサーの場合を示している。
【0026】
基板30の曲がりは、2つのセンサー34−1、34−2の受光状態によって検出される。図10は基板30の曲がりを検出し、曲がりを補正する方法を説明するための図である。図10の場合は、基板の搬送方向39の前側のセンサー34−1は受光部No.1〜No.4で基板を検知し、No.5〜No.8は基板以外の部分を検知しているため、基板30の基板端はNo.4によって検出され、一方、基板の搬送方向の後側のセンサー34−2は受光部No.1〜No.2で基板を検知し、No.3〜No.8は基板以外の部分を検知しているため、基板30の基板端はNo.2によって検出されていることを示している。
【0027】
この場合は、基板の搬送方向39に対して基板は時計の回転方向とは逆の方向に曲がっているため、図7の搬送装置では搬送コロ31−2を、基準速度で回転している搬送コロ31−1よりも減速させることによって、搬送コロ31−2の円周速度は搬送コロ31−1よりも遅くなり、その結果、曲がりを補正することが出来る。この場合の減速させる度合いと減速駆動する時間は、基板の曲がり度合いによって異なり、制御装置36によって制御される。センサー34−1、34−2はこれに限定されるのではなく、基板の基板端を検出できるものであれば、適宜用いることが出来る。
【0028】
図11は本発明に係る基板搬送装置の別の実施形態を示す図で、50は基板の搬送方向に対して直交する基板の幅方向の中央部に設けられた基準速度で回転するコロで、駆動用モータ33で駆動される。51及び52は搬送コロ50の左右に設けられた搬送コロで、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロである。搬送コロ51は、センサー34−1、34−2からの出力信号によって基板の搬送方向に対する曲がりを検出する基板曲がり検出装置35からの出力信号を得て制御装置36によって制御される調整用モータ37−1の回転と差動装置38−1によってコロの回転速度が加減速される。
【0029】
同様に、搬送コロ52は、センサー34−1、34−2からの出力信号によって基板の搬送方向に対する曲がりを検出する基板曲がり検出装置35からの出力信号を得て、制御装置36によって制御される調整用モータ37−2の回転と差動装置38−2によってコ
ロの回転速度が加減速される。
【0030】
図11に示す本発明に係る基板搬送装置の場合にも、図9に示される8個の受光窓を有する光センサーを用いて、基板の曲がりを検出することが出来る。
【0031】
基板の曲がりの検出が上記図10の場合には、図11に示す本発明に係る基板搬送装置は、搬送コロ51の回転速度を基準速度で回転する搬送コロ50よりも速め、一方、搬送コロ52の回転速度を搬送コロ50よりも遅くすることによって曲がりを補正することが出来る。
【0032】
上記実施する形態としてカラーフィルタの基板を例示して説明したが、これに限定されず半導体製造工程で用いられる基板の搬送や、基板を収納した基板トレーの搬送などに広く適用することが出来る。
【0033】
以上のように本発明の基板搬送装置によれば、基板の搬送方向の曲がりを基板を搬送しながら補正することが出来るため、基板を破損することなく高速で搬送することが可能で、また、下流装置に基板を渡したり上流から受け取った際に基板の位置決めを行う必要がなく、その結果、位置決めの際に発生していた基板の傷つきや汚れを抑制することが出来、更に基板位置決めの為に要していた時間を省くことが出来るため、工程の処理時間を短縮することが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・カラーフィルタ
2・・・基板
3・・・ブラックマトリックス(BM)
4−1・・・レッドRの着色画素(R画素)
4−2・・・グリーンGの着色画素(G画素)
4−3・・・ブルーBの着色画素(B画素)
5・・・透明電極
6・・・フォトスペーサー(PS)
7・・・バーテイカルアライメント(VA)
10・・・基板
11・・・コロ
12・・・基板を搬送する方向を示す矢印
13・・・エアー
14・・・コロ
16・・・基板を搬送する方向を示す矢印
15・・・コロ軸
20・・・正規の位置の基板
21・・・曲がりが発生して位置ずれを起こした基板
22−1〜22−4・・・基板を位置決めする為に押し込む方向
31−1、31−2・・・搬送コロ
32−1、32−2・・・コロ軸
33・・・駆動用モータ
34−1、34−2・・・センサー
35・・・基板曲がり検出装置
36・・・制御装置
37・・・調整用モータ
37−1、37−2・・・調整用モータ
38・・・差動装置
38−1,38−2・・・差動装置
39・・・基板が載置され搬送される方向を示す矢印
40〜49・・・回転軸変換装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロによって基板を搬送する基板搬送装置であって、
載置された基板を搬送し、基準速度で回転するコロと、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロで構成される複数の搬送コロと、
前記搬送コロを備えた複数のコロ軸と、
前記コロ軸を回転駆動させる駆動用モータと、
搬送中の基板の曲がりを検知するセンサーと、
前記センサーからの出力信号によって基板の曲がり度合いを検出する基板曲がり検出装置と、
前記基板曲がり検出装置からの出力信号を得て、前記搬送コロの内、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロの回転速度を調整するための調整用モータを制御する制御装置と、
前記調整用モータの回転によってコロの回転速度を加減速させる差動装置を備え、
基板の搬送中の曲がりを補正することを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
基板の、搬送方向に対して左右の片側部のうち、一方の片側部には前記基準速度で回転するコロを、他方の片側部には前記基準速度に対して加減速された速度で回転するコロを備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記搬送コロは基板の搬送方向に対して直交する基板の幅方向の中央部には前記基準速度で回転するコロを、中央部の左右には前記基準速度に対して加減速された速度で回転するコロを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記搬送中の基板の曲がりを検知するセンサーは、基板の搬送方向の前後に少なくとも2個設けられ、且つ基板の搬送方向に対して直交する基板の幅方向の2つの基板端のどちらか一方もしくは両方の基板端を検出することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項1】
コロによって基板を搬送する基板搬送装置であって、
載置された基板を搬送し、基準速度で回転するコロと、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロで構成される複数の搬送コロと、
前記搬送コロを備えた複数のコロ軸と、
前記コロ軸を回転駆動させる駆動用モータと、
搬送中の基板の曲がりを検知するセンサーと、
前記センサーからの出力信号によって基板の曲がり度合いを検出する基板曲がり検出装置と、
前記基板曲がり検出装置からの出力信号を得て、前記搬送コロの内、基準速度に対して加減速された速度で回転するコロの回転速度を調整するための調整用モータを制御する制御装置と、
前記調整用モータの回転によってコロの回転速度を加減速させる差動装置を備え、
基板の搬送中の曲がりを補正することを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
基板の、搬送方向に対して左右の片側部のうち、一方の片側部には前記基準速度で回転するコロを、他方の片側部には前記基準速度に対して加減速された速度で回転するコロを備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記搬送コロは基板の搬送方向に対して直交する基板の幅方向の中央部には前記基準速度で回転するコロを、中央部の左右には前記基準速度に対して加減速された速度で回転するコロを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記搬送中の基板の曲がりを検知するセンサーは、基板の搬送方向の前後に少なくとも2個設けられ、且つ基板の搬送方向に対して直交する基板の幅方向の2つの基板端のどちらか一方もしくは両方の基板端を検出することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【公開番号】特開2012−86964(P2012−86964A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236288(P2010−236288)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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