説明

基板移載ロボット

【課題】基板の位置決めの際に、基板に生じる傷を軽減できる基板移載ロボットを提供すること。
【解決手段】基板が載置されるハンドユニットと、前記ハンドユニット上に載置された前記基板の位置決めを行なう位置決め手段と、を備えた基板移載ロボットにおいて、前記ハンドユニットが、ハンド本体部と、前記ハンド本体部から上方へ突出し、前記基板が載置される複数の載置部材と、を備え、各々の前記載置部材は、その上端において回転自在に支持されて自由回転する回転体を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等の基板を移載する基板移載ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
薄型ディスプレイの製造において使用される薄板状のガラス基板に代表される基板は一般に基板収納カセットに複数枚収納される。そして、その処理時には一枚ずつ基板収納カセットから取り出されて基板処理装置へ搬送され、処理後には基板処理装置から基板収納カセットへ搬入される。この種の設備の場合、基板収納カセットや基板処理装置へガラス基板を搬入出するために基板移載ロボットが用いられる。
【0003】
この種の基板移載ロボットとしては、例えば、特許文献1にはロボットハンド上でガラス基板を浮遊させ、ガラス基板の位置決めをロボットハンド上で行うものが開示されている。また、特許文献2や3には、ロボットハンド上でガラス基板を支持するにあたり、ロボットハンド上に設けたピンや樹脂製の突起上にガラス基板を載置するものが開示されている。また、特許文献4にはガラス基板の位置決めをロボットハンド上で行い、また、ロボットハンドに駆動ローラを設け、駆動ローラの回転によりガラス基板の受け渡しを行なうものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−253536号公報
【特許文献2】特開平7−10314号公報
【特許文献3】特開2000−6073号公報
【特許文献4】特開2005−317854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や4に記載の基板移載ロボットのように、ロボットハンド上でガラス基板の位置決めを行なうことは、ガラス基板を位置決めされた状態で搬送できる点で有益である。しかし、ガラス基板の位置決めの際、ロボットハンド上をガラス基板が摺動してガラス基板に傷がつく畏れがある。特許文献1の基板移載ロボットではロボットハンド上でガラス基板を浮遊させてその位置決めを行なうため、ガラス基板に傷がつくことが防止される。しかし、大型のガラス基板の場合、ガラス基板に撓みが生じるため、ガラス基板を均一に浮遊させることは困難である。また、ガラス基板に傷がつくことを防止するため、特許文献2や3に記載のように、ピンや突起によりガラス基板を点支持とすることはロボットハンドとガラス基板との接触面積を低減する点で効果的である。しかし、このような構成であっても、ガラス基板の位置決めの際にガラス基板に傷がつく場合があり、特に、大型のガラス基板の場合には、位置決め時のガラス基板の変位量も大きくなることからガラス基板に傷がつき易い。特許文献4に記載のものでは、駆動ローラはガラス基板の受け渡しのために機能するものであって、ガラス基板の位置決めの際に駆動ローラとガラス基板との摩擦を低減させるものではない。このため、ガラス基板の位置決めの際、駆動ローラとガラス基板との間に摩擦が生じてガラス基板に傷がつく場合がある。
【0006】
そこで、本発明では、基板の位置決めの際に、基板に傷が生じることを低減できる基板移載ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板が載置されるハンドユニットと、前記ハンドユニット上に載置された前記基板の位置決めを行なう位置決め手段と、を備えた基板移載ロボットにおいて、前記ハンドユニットが、ハンド本体部と、前記ハンド本体部から上方へ突出し、前記基板が載置される複数の載置部材と、を備え、各々の前記載置部材は、その上端において回転自在に支持されて自由回転する回転体を有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、前記載置部材の上端に回転自在に支持されて自由回転する前記回転体を有することにより、位置決めの際に前記基板の移動に従動して前記回転体が回転するため、前記基板と前記載置部材との間の摩擦が低減する。従って、基板の位置決めの際に、基板に傷が生じることを低減することができる。
【0009】
本発明においては、前記回転体は、前記位置決め手段による前記基板の位置決め方向に自由回転する構成を採用することができる。この構成によれば、前記位置決め手段による位置決め動作により前記位置決め方向に移動する前記基板と前記載置部材との間の摩擦を低減できる。
【0010】
本発明においては、前記回転体が球体であってもよい。この構成によれば、前記回転体が任意の方向に回転可能であることから、前記基板の位置決めの際、前記基板の移動方向に関わらず前記基板と前記載置部材との間の摩擦を低減できる。
【0011】
また、本発明においては、前記回転体は、前記基板の位置決め方向と直交する回転軸回りに回転する構成としてもよい。この構成によれば、前記基板がその位置決め方向に移動する際、前記基板と前記載置部材との間の摩擦を低減することができる。この場合、前記回転体としてローラを採用できる。ローラは比較的安価なので、コストの低減を図れる。また、この場合、前記ローラは、その回転軸方向の中央部において相対的に大径であり、その回転軸方向の両端部において相対的に小径である構成を採用できる。この構成によれば、前記ローラと前記基板との接触面積を小さくして、更に摩擦を低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上述べた通り、本発明によれば、基板の位置決めの際に、基板に傷が生じることを低減できる基板移載ロボットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る基板移載ロボット100を用いた基板処理システムの概略図である。この基板処理システムにおいて、基板移載ロボット100は基板収納装置200に収納された基板Wを基板処理装置300へ搬送し、また、基板処理装置300で処理された基板Wを基板収納装置200へ搬送する。基板Wは例えばガラス基板であるが、他の種類の基板にも本発明の基板移載ロボットは適用可能である。
【0014】
基板移載ロボット100は、走行ユニット1と、昇降ユニット10と、旋回ユニット20と、移載ユニット30と、を備える。走行ユニット1は、基板処理システムが配設された床上に敷設され、Y方向に延びるレールRに沿って基板移載ロボット100をY方向に往復移動させるユニットである。昇降ユニット10
は走行ユニット1上に設けられ、旋回ユニット20及び移載ユニット30をZ方向に昇降するユニットであり、例えば、エアシリンダ等から構成される。
【0015】
旋回ユニット20は移載ユニット30をX−Y平面で回転させるユニットであり、例えば、モータと減速機構等から構成される。移載ユニット30は、旋回ユニット20に支持されたベースユニット40と、ベースユニット40上を移動するスライドユニット50と、スライドユニット50上を移動するハンドユニット60と、を備える。
【0016】
ベースユニット40は、そのY方向の両側部に位置決めユニット41を備える。各々の位置決めユニット41はハンドユニット60上に載置された基板WのY方向の互いに対向する端縁にそれぞれ当接する当接部材41aと、当接部材41aをY方向に往復移動させるプッシャ41bと、を備える。プッシャ41bは例えばエアシリンダである。位置決めユニット41は当接部材41aをハンドユニット60上に載置された基板Wの端縁に当接することで、ハンドユニット60上で基板WのY方向の位置決めを行なう。
【0017】
スライドユニット50は、そのX方向の一端部に一対の位置決めユニット51を備える。位置決めユニット51は位置決めブロック52とによりハンドユニット60上に載置された基板WのX方向の位置決めを行なう。詳細は後述する。
【0018】
ハンドユニット60は、基板Wが載置される複数のハンド本体部61と、ハンド本体部61を片持ち支持する支持部62と、を備える。ハンドユニット60はスライドユニット50に対してY方向に往復移動可能となっている。また、スライドユニット50はベースユニット40に対してY方向に移動可能となっている。これらの往復移動に関わる構成を図2を参照して説明する。図2は図1の線A−Aに沿う断面図である。
【0019】
支持部62の下面には、スライドユニット50の上面に設けられ、Y方向に延びるスリット50aを通過してスライドユニット50内に延びる一対の支持部材62aが固定されている。一対の支持部材62aには、それぞれ、スライドユニット50内部においてスライド部材62bが固定されている。スライドユニット50の内部の側面にはY方向に延びるレール部材50bが固定されており、スライド部材62bはレール部材50bを摺動可能になっている。
【0020】
一対の支持部材62aの一方には、モータ53により回転駆動される、Y方向に延びたボールネジ54に螺合するボールナット62cが固定されている。モータ53の回転駆動により、ハンドユニット60はレール50bに案内されてスライドユニット50に対してY方向に往復移動する。
【0021】
スライドユニット50の下面には、ベースユニット40の上面に設けられ、Y方向に延びるスリット40aを通過してベースユニット40内に延びる一対の支持部材50cが固定されている。一対の支持部材50cには、それぞれ、ベースユニット40内部においてスライド部材50dが固定されている。ベースユニット40の内部の側面にはY方向に延びるレール部材40bが固定されており、スライド部材50dはレール部材40bを摺動可能になっている。
【0022】
一対の支持部材50cの一方には、モータ43により回転駆動される、Y方向に延びたボールネジ44に螺合するボールナット50eが固定されている。モータ43の回転駆動により、スライドユニット50はレール40bに案内されてベースユニット40に対してY方向に往復移動する。
【0023】
なお、本実施形態ではこのようにハンドユニット60をスライドさせて移動させる形式の基板移載ロボット100を例示するが、本発明は多関節形式の基板移載ロボットにも適用可能である。
【0024】
次に、ハンドユニット60の構成について説明する。図3(a)はハンドユニット60の平面図、図3(b)は図3(a)の線B−Bに沿う断面図、図4は図3(b)の線C−Cに沿う断面図である。
【0025】
ハンド本体部61は、上板61a、下板61b、一対の側板61c及び端板61dから中空の棒状に構成されており、ハンドユニット60の移動方向と平行な方向に延びている。ハンド本体部61の内部には複数の載置部材63と複数の吸着パッド70とが配設されている。
【0026】
図4に示すように載置部材63は、その上端において支持部63bにより回転自在に支持されて自由回転する回転体である球体63aを備える。球体63aの一部は、上板61aに形成された開口を通ってハンド本体部61の上面から上方へ突出している。支持部63bは球殻状をなし、その内部に複数の小球63b’が封入されたボールベアリング状の支持構造をなしている。複数の小球62b’は球体63aの下半分を囲包するよう設けられており、球体63aは支持部63bに支持されて任意の方向に回転可能に構成されている。
【0027】
載置部材63はその下部がハンド本体部61の下板61bに螺着されてハンド本体部61に固定され、また、その下部には配管71の通過空間63dが形成されている。
【0028】
吸着パッド70は、その上面に開口部70aを有して中空状に形成され、また、その上面が上板61aに形成された開口からハンド本体部61の上面に露出して設けられている。吸着パッド70はゴム等の可撓性を有する材料から構成されており、吸着パッド70にはハンド本体部61の内部に設けられた配管71に接続されている。配管71はコンプレッサ等の不図示のエア吸引装置に接続されており、エア吸引装置の作動により吸着パッド70は開口部70aから外気を吸引する。これにより吸着パッド70はハンド本体部61上に載置された基板Wをハンド本体部61に吸着する吸着手段として機能する。
【0029】
図3(a)に示すようにハンドユニット60はY方向の同一直線状に位置する一対のセンサ64a、64bを備える。本実施形態の場合、各センサ64はハンド本体部61の側面に取り付けられている。一対のセンサ64はハンド本体部61上に載置される基板Wを検出するセンサであり、例えば、光センサである。
【0030】
次に、係る構成からなる基板移載ロボット100による基板Wの移載動作について説明する。図5(a)乃至(e)、図6(a)及び(b)及び図7(a)乃至(d)は基板移載ロボット100の動作説明図である。同図は基板収納装置200から基板Wを取り出す場合の動作を例示している。基板移載ロボット100は不図示の制御装置に制御されて以下の動作を実行する。
【0031】
まず、走行ユニット1の作動により基板移載ロボット100は基板収納装置200の正面に移動する。続いて昇降ユニット10の作動により移載ユニット30を昇降し、取り出す基板Wとハンドユニット60とのZ方向の位置を合わせる。次に、図5(a)に示すようにスライドユニット50を+X方向に前進させる。更に、図5(b)に示すようにハンドユニット60を一定速度で+X方向に前進させ、取り出す基板Wの下にハンド本体部61が位置するようにする。
【0032】
ここで、基板Wは基板収納装置200内において必ずしも一定方向を向いているとは限らず、斜めを向いて収納されている場合がある。基板Wが斜めを向いて収納されている場合、そのまま基板Wを取り出すと基板Wと基板収納装置200のフレームとが接触する場合がある。
【0033】
そこで、ハンド本体部61の長手方向、つまりハンドユニット60及びスライドユニット50の移動方向を基板Wの向きに合わせる制御を行なう。この制御動作を図6(a)及び(b)を参照して説明する。図6(a)は斜めを向いて収納された基板Wの下にハンド本体部61が前進している途中の図である。
【0034】
基板Wが斜めを向いている場合、一対のセンサ64a、64bにより基板Wの端縁が検出されるタイミングに差が生じる。図6(a)の場合、センサ64aには基板Wが検出されているが、センサ64bでは未だ基板Wが検出されていない。
【0035】
図6(a)の状態から双方のセンサ64a、64bが基板Wが検出されるまでハンドユニット60を+X方向に一定速度で前進させると共に、センサ64a及び64bの一方により基板Wの端縁が検出されてから他方により基板Wの端縁が検出されるまでの時間差を計測する。続いて、計測した時間差に基づき、ハンド本体部61の長手方向と基板Wの向きとの角度θを演算する。
【0036】
角度θは、ハンドユニット60の移動速度をV、センサ64a、64bの間の距離をL、センサ64a、64bが基板Wの端縁を検出した時間差をTとすると、
tanθ=V・T/L
の式から演算できる。
【0037】
そして、演算した角度θ分だけ旋回ユニット20により移載ユニット30を旋回させ、基板Wとハンド本体部61との向きの位置合わせを行なう。
【0038】
このような動作により、ハンド本体部61の長手方向を基板Wの向きに合わせることができる。図6(b)はこの制御動作後の基板Wとハンドユニット60との位置関係を示す図である。
【0039】
次に、図5(c)に示すように昇降ユニット20の作動により移載ユニット30を僅かに上昇させ、ハンド本体部61上に基板Wを載置する。基板Wは載置部材63の球体63a上で点支持されることになる。更に、吸着パッド70からエアを吸引し、ハンド本体部61で基板Wを保持する。
【0040】
次に、図5(d)及び(e)に示すようにハンドユニット60を−X方向に後退させ、また、スライドユニット50を−X方向に後退させる。これにより、基板収納装置200からの基板Wの取り出しが終了する。なお、図6(b)を参照して説明したように移載ユニット30を旋回していた場合は、基板Wの取り出し後、移載ユニット30の向きを元の向きに戻す。
【0041】
次に、ハンドユニット60上で取り出した基板Wの位置決めを行なう。図7(a)に示すように基板収納装置200から基板Wを取り出した状態では基板WはX、Y方向に規定位置からずれてハンドユニット60上に載置されている場合がある。そこで、まず、吸着パッド70によるエアの吸引を解除して基板Wの保持を一旦解除し、図7(b)に示すように位置決めユニット41を作動させて基板WのY方向の位置決めを行なう。
【0042】
続いて、位置決めユニット51を作動して基板WのX方向の位置決めを行なう。位置決めユニット51は、スライドユニット50内に配設された伸縮アクチュエータ51aと、伸縮アクチュエータ51aのロッドに支持されたロータリアクチュエータ51bと、ロータリアクチュエータ51bにより回動される当接部材51cと、から構成されている。
【0043】
伸縮アクチュエータ51aとロータリアクチュエータ51bは例えば複合型のエアシリンダから構成される。当接部材51cは通常時には図7(c)において破線で示すようにスライドユニット50から上下にはみ出さない位置にあり、位置決め時にはロータリアクチュエータ51bの作動により、図7(c)において実線で示すように90度回動し、その一部がハンド本体部61の上面から上方へ突出する。
【0044】
しかして位置決めユニット51は、まず、図7(b)に示すように伸縮アクチュエータ51aが伸長する。次に、図7(c)に示すようにロータリアクチュエータ51bの作動により当接部材51cが破線位置から実線位置へ回動する。続いて図7(d)に示すように伸縮アクチュエータ51aが収縮する。これにより、当接部材51cがハンド本体部61上の基板Wの端縁に当接してこれを押圧し、基板Wを−X方向に移動させる。基板Wは位置決めブロック52に当接する位置まで移動し、そのX方向の位置決めが完了する。
【0045】
これらの位置決め動作の際、基板Wはハンド本体部61に対して相対的に変位することになり、載置部材63と基板Wとの間に摩擦が生じ易くなる。しかし、本実施形態では基板Wは回転自在な球体63aにより点支持されているので、基板Wの相対的な移動に従動して球体63aが回転し、基板Wと載置部材63との間の摩擦が低減する。
【0046】
従って、基板Wの位置決めの際に、基板に傷が生じることを低減することができる。球体63aは位置決めユニット41の位置決め方向(Y方向)及び位置決めユニット51の位置決め方向(X方向)を含む任意の方向に回転可能であり、基板Wの位置決めの際、基板Wの変位方向に関わらず基板Wと載置部材63との間の摩擦を低減できる。
【0047】
次に、吸着パッド70によるエアの吸引を再開して、基板Wをハンド本体部61に保持する。また、位置決めユニット41及び51による位置決め動作を解除する。吸着パッド70により基板Wは位置決めされた状態で保持され、吸着パッド70はハンドユニット60上で位置決めされた基板Wを位置決めされた状態に保持する保持手段として機能する。続いて、走行ユニット1を作動して基板処理装置300へ基板Wを搬送することになる。基板移載ロボット100の移動中、基板Wは吸着パッド70により保持されるので、基板Wの位置決め状態が損なわれることはない。
【0048】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、載置部材63をハンド本体部61の内部に配設する構成としたが、外部に配設する構成とすることもできる。また、上記第1実施形態では載置部材63の上端の回転体を球体63aとしたが、球体63a以外の回転体も採用できる。
【0049】
図8(a)は本発明の第2実施形態におけるハンドユニット160の平面図、図8(b)はハンドユニット160の正面図である。同図において上記第1実施形態のハンドユニット60と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0050】
本実施形態においてはハンド本体部61の上板61a’には吸着パッド70を露出させる開口のみが形成され、載置部材163はハンド本体部61の側板61c’に取り付けられている。載置部材163はその上端において回転体であるローラ163aが回転自在に支持されて、自由回転可能に構成されている。ローラ163aの一部はハンド本体部61の上面から上方へ突出している。図7は、載置部材163の斜視図である。
【0051】
ローラ163aは位置決めユニット41による位置決め方向であるY方向と直交するX方向を回転軸として回転自在に支持されており、位置決めユニット41の位置決め方向であるY方向に自由回転可能に構成されている。また、ローラ163aはX方向の中央部において相対的に大径であって、その両端部に至る程小径になったテーパ形状をなしている。これにより基板Wとの接触面積を低減することができる。ローラ163aはその周面が平滑な樹脂材料から構成されることが望ましい。
【0052】
図8(a)及び(b)に戻り、本実施形態では上記第1実施形態における位置決めブロック52は設けられておらず、また、本実施形態のスライドユニット50には上記第1実施形態における位置決めユニット51は設けられていない。すなわち、本実施形態ではハンドユニット60上での基板Wの位置決めは、位置決めユニット41によるY方向の位置決めのみ行なう。
【0053】
これらに代わってハンドユニット160にはセンサ65が設けられている。センサ65はセンサ64と同様にハンド本体部61上に載置される基板Wを検出する光センサ等のセンサであるが、センサ64が基板Wが斜めを向いて収納されているか否かを検出するために用いられるのに対し、センサ65はハンド本体部61上における基板WのX方向の位置を検出するために用いられる。
【0054】
次に係る構成からなるハンドユニット160を用いた基板移載ロボット100による基板Wの移載動作について説明する。本実施形態における基板移載ロボット100の移載動作は基本的に上記第1実施形態の基板移載ロボット100の移載動作と同じであり、図5(a)乃至(e)及び図6(a)及び(b)に示した動作を行なう。
【0055】
但し、基板収納装置200へのハンドユニット160の前進動作をセンサ65が基板Wの端縁を検出した時点で終了する点が異なる。図10(a)及び(b)はその説明図である。
【0056】
図10(a)はハンドユニット160が基板収納装置200へ前進している途中の態様を示す図である。ハンドユニット160はセンサ65により基板Wの端縁が検出されるまで前進し、端縁が検出されると図10(b)に示すように停止する。この動作により、ハンド本体部61に対する基板Wの位置決めがなされたことになる。その後、上述した図5(b)乃至(e)に示す動作を行い、基板Wが基板収納装置200から取り出されることになる。
【0057】
次に、ハンドユニット160上で取り出した基板WのY方向の位置決めを行なう。図11(a)及び(b)はその動作説明図である。図11(a)に示すように基板収納装置200から基板Wを取り出した状態では基板WはY方向に規定位置からずれてハンドユニット160上に載置されている場合がある。そこで、まず、吸着パッド70によるエアの吸引を解除して基板Wの保持を一旦解除し、図11(b)に示すように位置決めユニット41を作動させて基板WのY方向の位置決めを行なう。
【0058】
基板Wの位置決めを行なう際、ローラ163aの回転方向(Y方向)が位置決め方向(Y方向)であることから、位置決め動作に伴う基板WのY方向の移動に従動してローラ163aが回転する。従って、基板Wと載置部材163との間の摩擦を低減することができる。
【0059】
基板WのY方向の位置決めが完了すると、吸着パッド70によるエアの吸引を再開して、基板Wをハンド本体部61に保持する。また、位置決めユニット41による位置決め動作を解除する。吸着パッド70により基板Wは位置決めされた状態で保持される。基板移載ロボット100の移動中、基板Wは吸着パッド70により保持されるので、基板Wの位置決め状態が損なわれることはない。
【0060】
本実施形態では、基板Wがローラ163aに載置される構成としたが、上記第1実施形態の球体63aを用いた構成に比べて、ローラ163aを用いた構造は比較的安価なので、コストの低減を図れる。
【0061】
更に、本実施形態では載置部材163をハンド本体部61の外部に配設する構成としたので、組立性、メンテナンス性を向上できる。また、載置部材163を有していない、既存の基板移載ロボットに対しても、僅かな加工により載置部材163を後付けできるという利点もある。なお、上記第1実施形態の載置部材63についてもハンド本体部61の外部に配設する構成としてもよいことはいうまでもない。
【0062】
上記第1及び第2実施形態においては、基板Wを保持するために吸着パッド70を用いたが、例えば、基板Wを挟持するクランプ式の機構により基板Wを保持する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板移載ロボット100を用いた基板処理システムの概略図である。
【図2】図1の線A−Aに沿う断面図である。
【図3】(a)はハンドユニット60の平面図、(b)は図3(a)の線B−Bに沿う断面図である。
【図4】図3(b)の線C−Cに沿う断面図である。
【図5】(a)乃至(e)は基板移載ロボット100の動作説明図である。
【図6】(a)及び(b)は基板移載ロボット100の動作説明図である。
【図7】(a)乃至(d)は基板移載ロボット100の動作説明図である。
【図8】(a)は本発明の第2実施形態におけるハンドユニット160の平面図、(b)はハンドユニット160の正面図である。
【図9】載置部材163の斜視図である。
【図10】(a)及び(b)は本発明の第2実施形態の基板移載ロボット100の動作説明図である。
【図11】(a)及び(b)は本発明の第2実施形態の基板移載ロボット100の動作説明図である。
【符号の説明】
【0064】
W 基板
41、51 位置決めユニット
60、160 ハンドユニット
61 ハンド本体部
70 吸着パッド
63、163 載置部材
63a 球体
100 基板移載ロボット
163a ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置されるハンドユニットと、
前記ハンドユニット上に載置された前記基板の位置決めを行なう位置決め手段と、
を備えた基板移載ロボットにおいて、
前記ハンドユニットが、
ハンド本体部と、
前記ハンド本体部から上方へ突出し、前記基板が載置される複数の載置部材と、
を備え、
各々の前記載置部材は、
その上端において回転自在に支持されて自由回転する回転体を有することを特徴とする基板移載ロボット。
【請求項2】
前記回転体は、前記位置決め手段による前記基板の位置決め方向に自由回転することを特徴とする請求項1に記載の基板移載ロボット。
【請求項3】
前記回転体が、球体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板移載ロボット。
【請求項4】
前記回転体は、前記位置決め手段による前記基板の位置決め方向と直交する回転軸回りに回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板移載ロボット。
【請求項5】
前記回転体が、ローラであることを特徴とする請求項4に記載の基板移載ロボット。
【請求項6】
前記ローラは、その回転軸方向の中央部において相対的に大径であり、その回転軸方向の両端部において相対的に小径であることを特徴とする請求項5に記載の基板移載ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−53643(P2008−53643A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231061(P2006−231061)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【Fターム(参考)】