基板装填脱装方法および半導体装置の製造方法
【課題】キャリアの開放時における基板への自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着、基板搬送室の汚染や酸素濃度の上昇等の弊害の発生を防止する。
【解決手段】ポッド10の収納室10cからウエハ9を取り出す際に、収納室10cの出し入れ口10bを塞ぐ蓋体10aを出し入れ口10bから移動させ、出し入れ口10bが開かれ、ポッド10と連設されたポッドオープナ室61を密封した状態で、ポッドオープナ室61へ不活性ガスを流し、収納室10cに不活性ガスを供給する。空のポッド10の収納室10cにウエハ9を収納する際に、空のポッド10の収納室10cにウエハ9を収納する前に、収納室10cの蓋体10aを出し入れ口10bから移動させて、出し入れ口10bを開き、ポッドオープナ室61を密封した状態で、ポッドオープナ室61に不活性ガスを流し、収納室10cに不活性ガスが供給する。
【解決手段】ポッド10の収納室10cからウエハ9を取り出す際に、収納室10cの出し入れ口10bを塞ぐ蓋体10aを出し入れ口10bから移動させ、出し入れ口10bが開かれ、ポッド10と連設されたポッドオープナ室61を密封した状態で、ポッドオープナ室61へ不活性ガスを流し、収納室10cに不活性ガスを供給する。空のポッド10の収納室10cにウエハ9を収納する際に、空のポッド10の収納室10cにウエハ9を収納する前に、収納室10cの蓋体10aを出し入れ口10bから移動させて、出し入れ口10bを開き、ポッドオープナ室61を密封した状態で、ポッドオープナ室61に不活性ガスを流し、収納室10cに不活性ガスが供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板装填脱装方法および半導体装置の製造方法に関し、特に、蓋体を有するキャリアを開閉する技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという)の製造方法において、半導体素子を含む半導体集積回路を作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという)に絶縁膜や金属膜および半導体膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりするバッチ式縦形拡散・CVD装置に利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
ICの製造方法において、ウエハに絶縁膜や金属膜および半導体膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりする工程には、半導体製造装置の一例であるバッチ式縦形拡散・CVD装置(以下、バッチ式CVD装置という)が広く使用されている。
このバッチ式CVD装置においては、複数枚のウエハがキャリア(ウエハ搬送容器)に収納された状態で扱われる。
従来のこの種のキャリアとしては、互いに対向する一対の面が開口された略立方体の箱形状に形成されているオープンカセットと、一つの面が開口された略立方体形状の箱である容器の開口面に蓋体が着脱自在に装着されているFOUP(front opening unified pod 。以下、ポッドという)と、がある。
【0003】
ウエハのキャリアとしてポッドが使用される場合には、ウエハが密閉された状態で搬送されることになるため、周囲の雰囲気にパーティクル等が存在していたとしてもウエハの清浄度は維持することができる。
したがって、バッチ式CVD装置が設置されるクリーンルーム内の清浄度をあまり高く設定する必要がなくなるために、クリーンルームに要するコストを低減することができる。
そこで、最近のバッチ式CVD装置においてはウエハのキャリアとしてポッドが使用されて来ている。
【0004】
ウエハのキャリアとしてポッドを使用するバッチ式CVD装置においては、蓋体を着脱してポッドのウエハ出し入れ口を開閉するためのポッド開閉装置(以下、ポッドオープナという)が、ポッドに対してウエハを出し入れするためのウエハ授受ポートに設置されている。
従来のこの種のポッドオープナはポッドを保持する載置台と、載置台が保持したポッドの蓋体を保持するクロージャとを備えており、クロージャが蓋体を保持した状態でポッドに対して進退することにより、蓋体をポッドのウエハ出し入れ口に対して着脱するように構成されている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−7801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のバッチ式CVD装置においては、ポッドのウエハ収納室に不活性ガスを充填する場合もあるが、シール部でリークしてポッドのウエハ収納室は大気雰囲気になってしまうのが通例である。
このように、ウエハ収納室が大気雰囲気になっていると、ポッドが開放された際に、ポッドのウエハ収納室の大気がバッチ式CVD装置におけるウエハ授受ポートの内側空間に侵入してしまうために、内側空間を汚染したり酸素濃度を上昇させてしまうという問題点が発生する。
【0007】
また、従来のバッチ式CVD装置においては、ポッドがポッドオープナによって開放されると、ポッドのウエハ収納室が大気雰囲気に晒される状態になるために、ウエハ収納室に収納されたウエハに自然酸化膜が堆積したりパーティクルが付着したりする場合がある。
そこで、ポッドのウエハ収納室に不活性ガスを充填する場合もある。
しかし、ポッドのウエハ収納室は大気(空気)雰囲気になっているのが、通例である。大気雰囲気になっている場合には、ポッドが開放された際に、ポッドのウエハ収納室の大気がバッチ式CVD装置におけるウエハ授受ポートの内側空間であるウエハ移載室に侵入してしまうため、ウエハ移載室を汚染したり酸素濃度を上昇させてしまうという問題点が、発生する。
【0008】
本発明の目的は、基板の自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着、内側空間の汚染や酸素濃度の上昇等のポッドの開放時における弊害の発生を防止することができる基板装填脱装方法および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
(1)キャリアの基板収納室から基板が取り出される際に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する基板取り出しステップと、
空のキャリアの基板収納室に基板が収納される際に、前記空のキャリアの前記基板収納室に基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設された前記キャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスが供給する基板収納ステップと、有する基板装填脱装方法。
(2)キャリアの基板収納室から基板が取り出される際に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第一ステップと、
前記基板を基板処理室へ搬送し、該基板処理室で前記基板を処理する第二ステップと、 空のキャリアの基板収納室に前記基板処理室で処理された処理済基板が収納される際に、前記空のキャリアに前記処理済基板が収納される前に、前記蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設された前記キャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第三ステップと、を有する半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
前記した(1)(2)の手段によれば、基板の自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着、内側空間の汚染や酸素濃度の上昇等のポッドの開放時における弊害の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態であるバッチ式CVD装置を示す一部省略斜視図である。
【図2】ポッドオープナを示す正面側から見た斜視図である。
【図3】そのポッド載置状態を示す斜視図である。
【図4】ポッドオープナを示す背面側から見たポッドオープナ室筐体を取り除いた一部省略斜視図である。
【図5】図4の省略したV部を示す斜視図である。
【図6】ポッドオープナを示す背面側から見たポッドオープナ室筐体を設備した斜視図である。
【図7】バッチ式CVD装置を示す一部省略平面断面図である。
【図8】ポッドオープナ室の作用を説明するための一部省略平面断面図であり、蓋体の取外し前を示している。
【図9】同じくポッドオープナ室の密封時を示す一部省略平面断面図である。
【図10】同じくマッピング時を示す一部省略平面断面図である。
【図11】窒素ガスパージ後の酸素濃度の変化を示すグラフである。
【図12】6個のポッドの開閉操作を連続して実施させた時の酸素濃度の変化を示すグラフである。
【図13】本発明の他の実施の形態であるバッチ式CVD装置を示す一部省略平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0013】
本実施の形態において、本発明に係る半導体製造装置は、バッチ式CVD装置すなわちバッチ式縦形拡散・CVD装置として図1に示されているように構成されている。
【0014】
図1に示されたバッチ式CVD装置1は気密室構造に構築された筐体2を備えている。筐体2内の一端部(以下、後端部とする)の上部にはヒータユニット3が垂直方向に据え付けられており、ヒータユニット3の内部にはプロセスチューブ4が同心に配置されている。
プロセスチューブ4にはプロセスチューブ4内に原料ガスやパージガス等を導入するためのガス導入管5と、プロセスチューブ4内を真空排気するための排気管6とが接続されている。
筐体2の後端部の下部には電動モータによって駆動される送りねじ装置等によって構成されたボートエレベータ7(図7参照)が設置されており、ボートエレベータ7はプロセスチューブ4の真下に配置されたボート8を垂直方向に昇降させるように構成されている。
ボート8は多数枚のウエハ9を中心を揃えて水平に配置した状態で支持して、プロセスチューブ4の処理室に対して搬入搬出するように構成されている。
【0015】
筐体2の正面壁にはポッド出し入れ口(図示せず)が開設されており、ポッド出し入れ口はフロントシャッタによって開閉されるようになっている。ポッド出し入れ口にはポッド10の位置合わせを実行するポッドステージ11が設置されており、ポッド10はポッド出し入れ口を通してポッドステージ11に出し入れされるようになっている。
【0016】
筐体2内の前後方向の中央部の上部には回転式のポッド棚12が設置されており、回転式のポッド棚12は合計十六個のポッド10を保管するように構成されている。すなわち、回転式のポッド棚12は略卍形状に形成された四段の棚板が上下方向に配置されて水平面内で回転自在に支承されており、モータ等の間欠回転駆動装置(図示せず)によってピッチ送り的に一方向に回転されるようになっている。
筐体2内のポッド棚12の下側には、図7に示されているように、基板搬送室としてのウエハ移載室16を形成したウエハ移載室筐体17が構築されており、ポッド棚12はウエハ移載室筐体17の上に設置されている。
図1に示されているように、ウエハ移載室筐体17の正面壁には基板としてのウエハ9をポッド10に対して授受するためのウエハ授受ポート13が一対、垂直方向に上下二段に配置されて設置されており、両ウエハ授受ポート13、13には後記するポッドオープナ20がそれぞれ設置されている。
【0017】
図1に示されているように、筐体2内のポッド搬送装置設置室18には、ポッド搬送装置14が設置されており、ポッド搬送装置14はポッドステージ11とポッド棚12およびウエハ授受ポート13との間、およびポッド棚12とウエハ授受ポート13との間でポッド10を搬送するように構成されている。
また、ウエハ移載室16にはウエハ移載装置15が設置されており、ウエハ移載装置15はウエハ授受ポート13とボート8との間でウエハ9を搬送するように構成されている。
図7に示されているように、ウエハ移載室筐体17の背面壁にはウエハ移載室16を排気する排気装置19が設置されている。
【0018】
上下のウエハ授受ポート13、13に設置されたポッドオープナ20、20は同一に構成されているため、ポッドオープナ20の構成については上段のウエハ授受ポート13に設置されたものについて説明する。
【0019】
図1に示されているように、キャリア開閉装置としてのポッドオープナ20はベース21を備えており、ベース21は筐体2内においてウエハ授受ポート13とウエハ移載装置15とを仕切るように垂直に立脚された側壁を構成している。
図2および図3に示されているように、ベース21にはポッド10の蓋体10aに対して若干大きめに相似する四角形に形成されたウエハ出し入れ口22が開設されている。ベース21は上下のポッドオープナ20、20で共用されているため、ベース21には上下で一対のウエハ出し入れ口22、22が垂直方向で縦に並ぶように開設されている。
【0020】
図2に示されているように、ベース21のウエハ授受ポート13側の主面(以下、正面とする)におけるウエハ出し入れ口22の下側には、アングル形状の支持台23が水平に固定されており、支持台23の平面視の形状は一部が切り欠かれた略正方形の枠形状に形成されている。
支持台23の上面には一対のガイドレール24、24がベース21の正面と平行方向(以下、左右方向とする)に配置されて、ベース21の正面と直角方向(以下、前後方向とする)に延在するように敷設されており、左右のガイドレール24、24には載置台27が複数個のガイドブロック25を介して前後方向に摺動自在に支承されている。
載置台27は支持台23の上面に据え付けられたエアシリンダ装置26によって前後方向に往復移動されるようになっている。
【0021】
図2に示されているように、載置台27は一部が切り欠かれた略正方形の枠形状に形成されており、載置台27の上面には位置決めピン28が三本、正三角形の頂点に配置されて垂直に突設されている。
三本の位置決めピン28はポッド10が図3に示されているように載置台27の上に載置された状態において、ポッド10の下面に没設された三箇所の位置決め凹部(図示せず)に嵌入するようになっている。
【0022】
図4に示されているように、ベース21のウエハ移載装置15側の主面(以下、背面とする)におけるウエハ出し入れ口22の下側には、ガイドレール30が左右方向に水平に敷設されており、ガイドレール30にはアングル形状に形成された左右方向移動台(以下、第一移動台という)31が、左右方向に往復移動し得るように摺動自在に支承されている。
第一移動台31の垂直部材にはエアシリンダ装置32が左右方向に水平に据え付けられており、エアシリンダ装置32のピストンロッド32aの先端はベース21に固定されている。すなわち、第一移動台31はエアシリンダ装置32の往復作動によって左右方向に往復駆動されるようになっている。
【0023】
図5に示されているように、第一移動台31の水平部材の上面には一対のガイドレール33、33が左右に配されて前後方向に延在するように敷設されており、両ガイドレール33、33には前後方向移動台(以下、第二移動台という)34が前後方向に往復移動し得るように摺動自在に支承されている。第二移動台34の片側端部にはガイド孔35が左右方向に延在するように開設されている。
第一移動台31の一側面にはブラケット36が固定されており、ブラケット36にはロータリーアクチュエータ37が垂直方向上向きに据え付けられている。ロータリーアクチュエータ37のアーム37aの先端に垂直に立脚されたガイドピン38は、第二移動台34のガイド孔35に摺動自在に嵌入されている。すなわち、第二移動台34はロータリーアクチュエータ37の往復回動によって前後方向に往復駆動されるように構成されている。
【0024】
第二移動台34の上面にはブラケット39が垂直に立脚されており、ブラケット39の正面にはクロージャ40が垂直に固定されている。クロージャ40はウエハ出し入れ口22に若干大きめに相似する長方形の平盤形状に形成されている。つまり、クロージャ40は第二移動台34によって前後方向に往復移動されるようになっているとともに、第一移動台31によって左右方向に往復移動されるようになっている。
クロージャ40は前進移動してそのベース側を向いた主面(以下、正面とする)がベース21の背面に当接することにより、ウエハ出し入れ口22を閉塞し得るようになっている。
【0025】
なお、図5に示されているように、ベース21の正面におけるウエハ出し入れ口22の周りには、第一パッキン54が敷設されている。第一パッキン54はポッド10の押し付け時にポッド10のウエハ出し入れ口およびベース21のウエハ出し入れ口22をシールするように構成されている。
クロージャ40の正面における外周縁近傍には、第二パッキン55が敷設されている。第二パッキン55はクロージャ40の押し付け時にベース21のウエハ出し入れ口22をシールするように構成されている。
クロージャ40の正面における外周縁の第二パッキン55の内側には、第三パッキン56が敷設されている。第三パッキン56は蓋体10aに付着した異物がウエハ移載装置15の設置室側へ侵入するのを防止するように構成されている。
クロージャ40の背面における外周縁には、第四パッキン57が敷設されている。第四パッキン57はポッドオープナ室筐体60のウエハ出し入れ口62をシールするように構成されている。
便宜上、図4および図5においては、ポッドオープナ室筐体60の図示が省略されている。
【0026】
図4に示されているように、クロージャ40の上下方向の中心線上には、一対の解錠軸41、41が左右に配置され前後方向に挿通されている。両解錠軸41、41はそれぞれ回転自在に支承されている。
両解錠軸41、41におけるクロージャ40のベースと反対側の主面(以下、背面とする)側の端部には、一対のプーリー42、42が固定されており、両プーリー42、42間には連結片44を有するベルト43が巻き掛けられている。クロージャ40の背面における一方のプーリー42の上側にはエアシリンダ装置45が水平に据え付けられており、エアシリンダ装置45のピストンロッドの先端はベルト43の連結片44に連結されている。すなわち、両解錠軸41、41はエアシリンダ装置45の伸縮作動によって往復回動されるようになっている。
図2に示されているように、両解錠軸41、41のクロージャ40の正面側の端部には、蓋体10aの錠前(図示せず)に係合する係合部41aが直交して突設されている。
【0027】
図2に示されているように、クロージャ40の正面における一方の対角付近には、蓋体10aの表面に吸着する吸着具(吸盤)46が二個、吸込口部材47によってそれぞれ固定されている。吸着具46を固定する吸込口部材47は中空軸によって構成されており、吸込口部材47の背面側端は給排気路(図示せず)に接続されている。
吸込口部材47の正面側端の外径は蓋体10aに没設された位置決め穴(図示せず)に嵌入するように設定されている。すなわち、吸込口部材47は蓋体10aの位置決め穴に嵌入して蓋体10aを機械的に支持するための支持ピンを兼用するように構成されている。
【0028】
図2、図4および図6に示されているように、ベース21の正面におけるウエハ出し入れ口22の片脇にはロータリーアクチュエータ50(図2参照)が、その回転軸50a(図2参照)が垂直方向になるように据え付けられており、回転軸50aには略C字形状に形成されたアーム51の一端が水平面内で一体回動するように固定されている。
アーム51はベース21に開設された挿通孔52(図4参照)を挿通されており、アーム51のベース21の背面側の先端部にはマッピング装置53が固定されている。
【0029】
図6および図7に示されているように、ベース21の背面にはポッドオープナ室筐体(以下、オープナ筐体という)60が設備されている。オープナ筐体60はキャリア開閉室としてのポッドオープナ室61を形成し、かつ、クロージャ40を収容するように構成されている。オープナ筐体60のポッドオープナ室61の水平方向の長さは、クロージャ40が横に移動してウエハ出し入れ口22を完全に開口させるのを許容し得るように設定されている。
オープナ筐体60の背面壁におけるウエハ出し入れ口22に対向する位置には、オープナ筐体60のウエハ出し入れ口62が開設されており、ウエハ出し入れ口62はクロージャ40の背面部によって閉塞され得る大きさの四角形の開口に形成されている。
なお、ウエハ出し入れ口62はマッピング装置53を背面側から挿入し得るように設定されている。
【0030】
図7に示されているように、オープナ筐体60の正面壁であるベース21のウエハ出し入れ口22と反対側の位置には、ポッドオープナ室61を排気する排気手段としての排気管63の吸引口がポッドオープナ室61に連通するように接続されており、排気管63の吐出端は真空引きするポンプ64に接続されている。
排気管63にはバイパスライン66が介設されており、バイパスライン66は排気量調整手段としての開閉弁65および固定絞りを形成している。開閉弁65はコントローラ70によって制御されるようになっている。
オープナ筐体60の背面壁における排気管63と反対側の位置には、不活性ガス導入手段としての給気管67の一端が接続されており、給気管67の他端には給気装置67Aが接続されている。
また、基板搬送室としてのウエハ移載室16内には不活性ガス導入手段としての給気装置68が設置されており、給気装置68は不活性ガスとしての窒素ガス69を吹き出すように構成されている。
【0031】
図7に示されているように、筐体2には第一圧力計71、第二圧力計72および、第三圧力計73が接続されており、それらの圧力計71、72、73はコントローラ70に測定結果を送信するようになっている。第一圧力計71は、ポッドオープナ室61外の室としてのポッド搬送装置設置室18の圧力P1 を測定するように構成されている。第二圧力計72はポッドオープナ室61内の圧力P2 を測定するように構成されている。第三圧力計73はポッドオープナ室61に連設された基板搬送室としてのウエハ移載室16の圧力P3 を測定するように構成されている。
コントローラ70はパネルコンピュータやパーソナルコンピュータおよびマイクロコンピュータ等のハードウエアと、それらにプログラミングされたソフトウエアとから構成されており、各圧力計71、72、73等の測定結果に基づいて後述する作用を実行させるようになっている。
【0032】
次に、本発明の一実施の形態であるICの製造方法における成膜工程を、前記構成に係るバッチ式CVD装置を使用した場合について説明する。
なお、説明を理解し易くするために、以下の説明においては、一方のウエハ授受ポート13を上段ポートAとし、他方のウエハ授受ポート13を下段ポートBとする。
【0033】
図1に示されているように、筐体2内のポッドステージ11にポッド出し入れ口から搬入されたポッド10は、ポッド搬送装置14によって指定されたポッド棚12に適宜に搬送されて保管される。
ポッド棚12に保管されたポッド10はポッド搬送装置14によって適宜にピックアップされ、上段ポートAに搬送されて、図3に示されているように、ポッドオープナ20の載置台27に移載される。
この際、ポッド10の下面に没設された位置決め凹部が載置台27の三本の位置決めピン28とそれぞれ嵌合されることにより、ポッド10と載置台27との位置合わせが実行される。
【0034】
ポッド10が載置台27に載置されて位置合わせされると、載置台27がエアシリンダ装置26によってベース21の方向に押され、図8に示されているように、ポッド10の開口側端面がベース21の正面におけるウエハ出し入れ口22の開口縁辺部に押し付けられる。また、ポッド10がベース21の方向に押されると、クロージャ40の解錠軸41が蓋体10aの鍵穴に挿入される。
続いて、負圧がクロージャ40の吸込口部材47に給排気路から供給されることにより、ポッド10の蓋体10aが吸着具46によって真空吸着保持される。
この状態で、解錠軸41がエアシリンダ装置45によって回動されると、解錠軸41は蓋体10a側の錠前に係合した係合部41aによって蓋体10aの錠前の施錠を解除する。
【0035】
ここで、ポッド10とベース21との間の第一パッキン54によるシール、および、ベース21とクロージャ40との間の第二パッキン55によるシールは、簡略的なものであるために、ポッド搬送装置設置室(以下、設置室という)18の圧力P1 とポッドオープナ室61の圧力P2 との差が大きくなると、リークが発生する。
このようなリークが発生してもよいように、本実施の形態においては、設置室18の圧力P1 がポッドオープナ室61の圧力P2 よりも小さく(P1 <P2 )なるように、コントローラ70は開閉弁65を閉じる。すなわち、開閉弁65が閉じると、排気管63の排気量はバイパスライン66による少量に抑制されるため、P1 <P2 、に制御することができる。
このようにして、P1 <P2 に制御することにより、圧力差が大きくなってリークが発生したとしても、設置室18の酸素等の汚染物質を含む雰囲気がポッドオープナ室61に侵入するのは防止することができるので、ポッドオープナ室61の汚染の発生は未然に防止することができる。
ちなみに、設置室18の圧力P1 は筐体2の外部の圧力すなわちクリーンルームの圧力と同じであって、略大気圧であるために、排気管63からの排気量が大きいと、P1 <P2 およびP1 <P3 の関係が崩れる。したがって、この関係を維持するためには、大量の窒素ガス69を給気管67および給気装置68から供給しなければならなくなるので、コストアップになってしまう。
しかし、本実施の形態においては、排気管63の排気量を開閉弁65を閉じてバイパスライン66による少量に抑えることにより、窒素ガス69の供給量を抑制することができるために、コストアップを防止することができる。しかも、排気量調整手段を開閉弁65およびバイパスライン66によって構成することにより、構造や制御を簡単化することができるので、コストアップをより一層抑制することができる。
【0036】
そして、ポッド10の蓋体10aが解錠された後に、第二移動台34がベース21から離れる方向にロータリーアクチュエータ37の作動によって移動されると、図9で参照されるように、クロージャ40はポッド10の蓋体10aを真空吸着保持した状態で、ポッドオープナ室61を後退することにより、蓋体10aをポッド10のウエハ出し入れ口10bから抜き出す。これにより、ポッド10のウエハ出し入れ口10bは開放された状態になる。
【0037】
図9に示されているように、クロージャ40が第二移動台34によってさらに後退されると、クロージャ40の背面壁のパッキン57がオープナ筐体60の背面壁に開設されたウエハ出し入れ口62の周辺部にポッドオープナ室61の内側から押接するために、ポッドオープナ室61はクロージャ40およびポッド10によって密封された状態になる。
【0038】
クロージャ40およびポッド10がポッドオープナ室61を密封すると、図9に示されているように、ポッドオープナ室61には窒素ガス69が給気管67から供給されるとともに、排気管63によって排気されることにより流通される。
ポッドオープナ室61を流通する窒素ガス69はウエハ出し入れ口10bからポッド10のウエハ収納室10cに流入した後に流出することにより、ウエハ収納室10cの大気を排気するとともに、ウエハ収納室10cに充満する。その結果、ポッドオープナ室61およびポッド10のウエハ収納室10cにおける大気中の空気や水分は、窒素ガス69によってパージされた状態になる。
さらに、窒素ガス69を強制的に流通させることにより、窒素ガス69の噴出量や流速を速めることができ、パージ時間を短縮することもできる。このときの酸素濃度は、20ppm以下であることが好ましい。
【0039】
ところで、クロージャ40が蓋体10aをポッド10から脱装すると、ポッド10のウエハ収納室10cはポッドオープナ室61と連通する状態になる。
そこで、本実施の形態においては、ポッドオープナ室61の圧力P2 がウエハ移載室16の圧力P3 よりも小さく(P2 <P3 )になるように、コントローラ70は開閉弁65を制御する。
まず、クロージャ40の遷移状態すなわちクロージャ40がベース21のウエハ出し入れ口22およびオープナ筐体60の背面壁のウエハ出し入れ口62のいずれをも閉じていない中間状態(1〜1.5秒程度存在する)においては、ポッド10のウエハ収納室10cの酸素や水分等の汚染物質が両方のウエハ出し入れ口22と62とを通ってウエハ移載室16に侵入する可能性がある。
本実施の形態においては、ポッドオープナ室61の圧力P2 がウエハ移載室16の圧力P3 よりも小さく(P2 <P3 )になるように制御されていることにより、ポッド10のウエハ収納室10cからポッドオープナ室61に流れ込んだ汚染物質がウエハ移載室16に侵入することはないので、ウエハ移載室16の汚染は未然に防止することができる。
図9に示されたクロージャ40が最も後退した状態においては、クロージャ40のパッキン57がウエハ出し入れ口62をシールした状態になるので、ポッドオープナ室61の汚染物質がウエハ移載室16に侵入することはないと思われる。
ところが、第四パッキン57によるシールは簡易なものであるために、ポッドオープナ室61の圧力P2 がウエハ移載室16の圧力P3 よりも大きく(P2 >P3 )になると、ポッドオープナ室61からウエハ移載室16へのリークが発生してしまう。
本実施の形態においては、ポッドオープナ室61の圧力P2 がウエハ移載室16の圧力P3 よりも小さく(P2 <P3 )になるように制御されているため、クロージャ40のパッキン57によるシールが簡易なものであっても、ポッドオープナ室61からウエハ移載室16へのリークの発生は防止することができるので、ウエハ移載室16の汚染の発生は未然に防止することができる。
【0040】
以上のようにしてポッドオープナ室61およびポッド10のウエハ収納室10cが窒素ガス69によってパージされると、第一移動台31がエアシリンダ装置32の作動によってウエハ出し入れ口22から離れる方向に移動される。これにより、図10で参照されるように、蓋体10aを吸着具46によって真空吸着保持したクロージャ40は、ポッドオープナ室61をウエハ出し入れ口62から離間した退避位置に移動される。
このクロージャ40の退避移動により、オープナ筐体60のウエハ出し入れ口62、ベース21のウエハ出し入れ口22およびポッド10のウエハ出し入れ口10bがそれぞれ開放された状態になる。
この際、予め、ポッドオープナ室61およびポッド10のウエハ収納室10cが窒素ガス69によってパージされているため、大気中の空気や水分がウエハ移載室16に放出されることはなく、それらによるウエハ移載室16の汚染や酸素濃度の上昇等の弊害の発生は防止されることになる。
【0041】
ここで、ポッド10とベース21との間の第一パッキン54によるシールは簡略的なものであるために、設置室18の圧力P1 とポッドオープナ室61の圧力P2 およびウエハ移載室16の圧力P3 との差が大きくなると、リークが発生する。
そこで、本実施の形態においては、設置室18の圧力P1 とポッドオープナ室61の圧力P2 とウエハ移載室16の圧力P3 との関係が、P1 <P2 <P3 、になるように、コントローラ70は開閉弁65、給気管67の給気装置67Aおよび給気装置68を制御する。この制御により、設置室18の雰囲気がポッドオープナ室61およびウエハ移載室16にリークするのは防止することができるので、ウエハ移載室16の汚染の発生は未然に防止することができる。
ところで、ポッドオープナ室61の側面とクロージャ40の側面および蓋体10aの主面とのクリアランスは、それぞれ5〜20mm程度であるので、蓋体10aを保持したクロージャ40がポッドオープナ室61をスライドすると、ポッドオープナ室61の排気管63側の空間は圧縮されることになる。
この圧縮現象が起こると、ポッドオープナ室61のパーティクルや汚染物質を巻き上げて、ポッドオープナ室61とクロージャ40の側面および蓋体10aの主面とのクリアランスを通ってウエハ移載室16側へ流れ込むために、ウエハ移載室16が汚染される可能性がある。
本実施の形態においては、排気管63の排気量が大きくなるように制御されているために、ポッドオープナ室61のクロージャ40のスライド前方空間における圧縮の発生を防止することができ、その結果、圧縮に伴う弊害の発生を未然に防止することができる。
また、排気管63の排気量が大きく設定されていることにより、ポッドオープナ室61とクロージャ40の側面および蓋体10aの主面とのクリアランスにおける窒素ガス69の流量が多くなるために、ポッドオープナ室61におけるクロージャ40のスライド前方空間から同後方空間への逆流を防止することができる。つまり、万一、巻き上げが起こったとしても、ウエハ移載室16への侵入は防止することができる。
【0042】
以上のようにしてクロージャ40が退避されると、図10に示されているように、マッピング装置53がロータリーアクチュエータ50の作動によって移動されて、マッピング装置53がポッド10のウエハ収納室10cへオープナ筐体60の背面壁のウエハ出し入れ口62、ベース21のウエハ出し入れ口22およびポッド10のウエハ出し入れ口10bを潜り抜けて挿入される。
ポッド10のウエハ収納室10cへ挿入されたマッピング装置53はウエハ収納室10cに収納された複数枚のウエハ9を検出することによってマッピングする。
指定されたマッピング作業が終了すると、マッピング装置53はロータリーアクチュエータ50の作動によって元の待機位置に戻される。
なお、マッピングはポッド10のウエハ収納室10cにおけるウエハ9の所在位置(ウエハ9がどの保持溝にあるのか)を確認する作業のことである。
【0043】
マッピング装置53が待機位置に戻ると、上段ポートAにおいて開けられたポッド10の複数枚のウエハ9はボート8にウエハ移載装置15によって順次装填(チャージング)されて行く。この際、ウエハ移載室16の汚染や酸素濃度の上昇等の弊害の発生は防止されているため、移載中のウエハ9の自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着等の弊害の発生は防止されることになる。
【0044】
この上段ポートAにおけるウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業中に、下段ポートBにはポッド棚12から別のポッド10がポッド搬送装置14によって搬送されて移載され、ポッドオープナ20による前述した位置決め作業からマッピング作業が同時進行される。
このように下段ポートBにおいてマッピング作業迄が同時進行されると、上段ポートAにおけるウエハ9のボート8への装填作業の終了と同時に、下段ポートBに待機させたポッド10についてのウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業を開始することができる。すなわち、ウエハ移載装置15はポッド10の入替え作業についての待ち時間を浪費することなくウエハ移載作業を連続して実施することができるため、バッチ式CVD装置1のスループットを高めることができる。
【0045】
翻って、上段ポートAにおいてウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業が終了すると、空ポッド閉じ作業が前述したポッド開放作業と略逆の順序で実行される。
すなわち、クロージャ40に保持されて退避されていた蓋体10aがウエハ出し入れ口22の位置に第一移動台31によって戻され、第二移動台34によってウエハ出し入れ口22に挿入されて、ポッド10のウエハ出し入れ口10bに嵌入される。蓋体10aがウエハ出し入れ口10bに嵌入されると、解錠軸41がエアシリンダ装置45によって回動され、蓋体10aの錠前を施錠する。蓋体10aの施錠が終了すると、給排気路から吸込口部材47へ供給されていた負圧が切られて大気に開放されることにより、吸着具46の真空吸着保持が解除される。続いて、載置台27がエアシリンダ装置26によってベース21から離れる方向に移動され、ポッド10の開口側端面がベース21の正面から離座される。
このようにしてウエハ出し入れ口10bが蓋体10aによって閉塞されると、ウエハ収納室10cに充填された窒素ガス69は、ウエハ収納室10cに封入された状態になる。
【0046】
蓋体10aによりウエハ出し入れ口10bが閉塞された上段ポートAの空のポッド10は、ポッド棚12にポッド搬送装置14によって搬送されて一時的に戻される。
空のポッド10が上段ポートAから搬出されると、次の実ポッド10が上段ポートAに搬入される。
以降、上段ポートAおよび下段ポートBにおいて、前述した作業が必要回数繰り返される。
【0047】
以上のようにして上段ポートAと下段ポートBとに対するウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業が交互に繰り返されることによって、複数枚のウエハ9がポッド10からボート8に装填されて行く。
この際、バッチ処理するウエハ9の枚数(例えば、100枚〜150枚)は1台のポッド10に収納されたウエハ9の枚数(例えば、25枚)よりも何倍も多いため、複数台のポッド10が上段ポートAと下段ポートBとにポッド搬送装置14によって交互に繰り返し供給されることになる。
【0048】
ここまでは、ウエハを収納したポッドの収納室からウエハが取り出されるウエハ取り出しステップである。
【0049】
ところで、前述したウエハ取り出しステップにおいて、クロージャ40が蓋体10aをポッド10から脱装すると、ポッド10のウエハ収納室10cはポッドオープナ室61と連通する状態になるので、ポッド10のウエハ収納室10cの雰囲気(大気)とポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の雰囲気(窒素ガス)とが混じり合うことになる。その結果、ポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の酸素濃度は上昇する。
例えば、ポッド10のウエハ収納室10cの容積が0.001m3 (100l)、ウエハ収納室10cの酸素濃度が10000ppm(1%)、ポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の容積が2m3 (2000l)、ポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の酸素濃度が30ppmである場合には、混じり合った時のポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の酸素濃度は、500ppmとなる。
【0050】
このポッド10を開いた時のポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の酸素濃度の上昇を抑制する手段を究明するために、窒素ガスによってポッドオープナ室およびウエハ移載室をパージした際の酸素濃度の変化を実験によって求めたところ、図11のグラフが得られた。
なお、図11において、縦軸は酸素濃度(ppm)を対数目盛りによって表しており、横軸は時間を「分」によって表している。また、図11のグラフは、3個のポッドをそれぞれ開放した都度(3回)の酸素濃度の低下を平均かつ平滑して示したものである。
図11において、10000ppm迄の到達時間は1分、1000ppm迄の到達時間は2分、100ppm迄の到達時間は3分、30ppm迄の到達時間は4分である。
図11によれば、窒素ガスによってポッドオープナ室およびウエハ移載室をパージした際の酸素濃度は対数比例で減少し、その勾配は次第に緩やかになり、やがて横這いになることが判る。そして、酸素濃度の低下は数10ppmから緩やかになることが判る。
【0051】
前述したように、本実施の形態においては、ポッド10の蓋体10aがクロージャ40によって開かれる以前に、給気管67および給気装置68の窒素ガス69の供給量と排気管63の排気量とがコントローラ70によって制御され、ポッドオープナ室61およびウエハ移載室16が窒素ガス69によってパージされる。この窒素ガスパージにより、ポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の酸素濃度が予め設定された値以下に低下される。
この酸素濃度としては、例えば、ボートローディングしてもよい酸素濃度で、かつ、ポッド10を開放した時のウエハ移載室16の酸素濃度の上昇幅を上限値(ここまで上昇してもよいとする値)を超えない値が、設定される。
そして、ウエハ移載室16の酸素濃度が70ppm以下であると、自然酸化膜がウエハに生成する現象を防止することができるので、酸素濃度70ppmをもって予め設定された値とする。
【0052】
他方、ポッド10の蓋体10aをクロージャ40によって開く迄の待機時間が長くなると、バッチ式CVD装置のスループットが低下することになる。そのため、ポッド10の蓋体10aがクロージャ40によって開かれる以前の窒素ガスパージ時間は、可及的に短く設定することが望ましい。
そこで、図11において、酸素濃度の減少勾配が緩やかになる直前すなわち窒素ガスの置換効率が高い時点で、ポッド10の蓋体10aをクロージャ40によって開くことにより、バッチ式CVD装置のスループットを向上させる。
【0053】
次に、ポッドのパージ時間の求め方を具体的に説明する。
ここで、ポッドのウエハ収納室の容積は20l、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の容積は2400l、ポッドのウエハ収納室の酸素濃度はX(ppm)、ポッドのウエハ収納室の酸素容積はXv(l)、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素濃度はY(ppm)、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素容積はYv(l)、ポッドのウエハ収納室とポッドオープナ室とウエハ移載室との酸素濃度はZ(ppm)、とする。
ポッドが閉じられている時は、次の式(1)および式(2)が成り立つ。
Yv/2400×106 =Y ・・・(1)
Xv/20×106 =X ・・・(2)
ポッドが開かれている時は、次の式(3)が成り立つ。
(Xv+Yv)/(20+2400)×106 =Z ・・・(3)
仮に、Y=3.5とすると、式(1)により、Yv=0.0084となる。
Zは70ppm以下であるので、Z=70とし、式(3)により、Xvを求めると、ポッドを開いた時の最大Xvの値が求められる。
Xv=0.161
また、式(2)により、
X=8050ppm、となる。
よって、ポッドのウエハ収納室の酸素濃度が、8050ppm以下であれば、ポッドの蓋体をクロージャによって開くことができる。
図11において、酸素濃度が、8050ppm以下、になるのは、略1分後である。
したがって、窒素ガスパージを1分間実施してから、ポッドの蓋体10aがクロージャによって開くように設定することにより、バッチ式CVD装置のスループットの低下を防止しつつ、ウエハ移載室の酸素濃度を70ppm以下に維持することができる。
【0054】
図12は6個のポッドの開閉操作を連続して実施させた時の酸素濃度の変化を示すグラフである。
なお、図12において、縦軸は酸素濃度(ppm)を対数目盛りによって表しており、横軸は時間を「分」によって表している。
また、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素濃度の上限値を70ppmと仮に決め、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素濃度を3.5ppmおよび28ppmの二通りで予め下げ、ポッド開閉動作を6回連続で実施した。
図12によれば、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素濃度は、6個のポッドが開かれる都度、それぞれ上昇することが判る。3.5ppmの場合には30ppmに上昇する。28ppmの場合には500ppmに上昇する。また、上昇したポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素濃度はその都度、それぞれ緩やかに低下することが判る。
この上昇下降を繰返し、最終的に目標値である酸素濃度が30ppmに到達するには、23分間が必要になる。
図11よれば、ポッドを10000ppmで開放する場合には、30ppmに到達するためには、4分間必要である。これにポッドの搬送時間を含めると、6個のポッドの場合には36分間になる。
したがって、図12の場合には、従来の10000ppmでポッドを開放する場合に比べて、13分間短縮することができる。
【0055】
次に、成膜ステップについて簡単に説明する。
予め指定された複数枚のウエハ9がポッド10からボート8に移載されると、ウエハ授受ポート13にとっては実質的に待機中となる成膜ステップが、プロセスチューブ4において実行される。
すなわち、ボート8はボートエレベータ7によって上昇されてプロセスチューブ4の処理室に搬入(ボートローディング)される。ボート8が上限に達すると、ボート8を保持したシールキャップの上面の周辺部がプロセスチューブ4をシール状態に閉塞するため、処理室は気密に閉じられた状態になる。
プロセスチューブ4の処理室が気密に閉じられた状態で、所定の真空度に排気管6によって真空排気され、ヒータユニット3によって所定の温度に加熱され、所定の原料ガスがガス導入管5によって所定の流量だけ供給される。これにより、所定の膜がウエハ9に形成される。
そして、予め設定された処理時間が経過すると、ボート8がボートエレベータ7によって下降されることにより、処理済みウエハ9を保持したボート8が元の装填および脱装ステーション(以下、装填ステーションという)に搬出(ボートアンローディング)される。
【0056】
以下、空のポッドにウエハが収納されるウエハ収納ステップを説明する。
装填ステーションに搬出されたボート8の処理済みウエハ9は、ウエハ移載装置15によってピックアップされ、上段ポートAに予め搬入されて蓋体10aを外されて開放された空のポッド10に収納される。
上段ポートAでの空のポッド10への所定の枚数のウエハ9の収容が終了すると、クロージャ40に保持されて退避されていた蓋体10aがウエハ出し入れ口22の位置に第一移動台31によって戻される。次いで、蓋体10aは第二移動台34によってウエハ出し入れ口22に挿入され、ポッド10のウエハ出し入れ口10bに嵌入される。
この際においても、窒素ガス69がポッドオープナ室61に給気管67と排気管63とによって流通されることにより、ポッドオープナ室61およびポッド10のウエハ収納室10cが窒素ガス69によってパージされ、ウエハ収納室10cに窒素ガス69が充填される。すなわち、前述したウエハ取り出しステップと同様に、クロージャ40およびポッド10がポッドオープナ室61を密封した状態で窒素ガス69が供給される。
蓋体10aがウエハ出し入れ口10bに嵌入されると、解錠軸41がエアシリンダ装置45によって回動され、蓋体10aの錠前を施錠する。これにより、ウエハ収納室10cには窒素ガス69が密封された状態になる。
蓋体10aの施錠が終了すると、給排気路から吸込口部材47に供給されていた負圧が切られて大気に開放されることにより、吸着具46の蓋体10aの真空吸着保持が解除される。
続いて、載置台27がエアシリンダ装置26によってベース21から離れる方向に移動され、ポッド10の開口側端面がベース21の正面から離座される。
次いで、処理済みのウエハ9が収納された処理済み実ポッド10はポッド棚12にポッド搬送装置14によって搬送されて戻される。
処理済みウエハ9がボート8から全てディスチャージされる迄、この作業が上段ポートAと下段ポートBとにおいて交互に繰り返される。
以上がウエハ収納ステップである。
【0057】
ところで、処理済みウエハ9がポッド10のウエハ収納室10cに収納されるウエハ収納ステップにおいては、ウエハ収納室10cの酸素濃度は大気中の酸素濃度よりも低い。なぜならば、前述した通り、空のポッド10のウエハ収納室10cには窒素ガス69がウエハ取り出しステップにおいて封入されるからである。
ここで、ポッド10のウエハ収納室10cは完全気密性能を具備せずに、数10分間ないし数時間の熱処理時間の間に大気の状態に戻る傾向にあることを考慮しても、ウエハ収納室10cの酸素濃度は大気中の酸素濃度よりも低い。
また、空のポッド10のウエハ収納室10cにはウエハ9が存在しないために、窒素ガス69の吹き込み流量を大きく設定しても、パーティクルを巻き上げる懸念はない。
さらに、空のポッド10のウエハ収納室10cにはウエハ9が存在しないことにより、窒素ガスの澱み箇所がウエハの存在する場合に比べて少ないために、窒素ガス69を容易に実施することができる。
以上のことから、ウエハ収納ステップの初期における窒素ガス69の流量は、前述したウエハ取り出しステップの窒素ガス69の流量よりも大きく設定される。これにより、ウエハ収納ステップにおける窒素ガスパージ時間を短縮することができるので、前述した工程の総時間を短縮することができる。
【0058】
処理済みウエハ9を収納してポッド棚12に戻されたポッド10は、ポッド棚12からポッドステージ11へポッド搬送装置14によって搬送される。
ポッドステージ11に移載されたポッド10はポッド出し入れ口から筐体2の外部に搬出されて、洗浄工程や成膜検査工程等の次工程へ搬送される。
そして、新規のウエハ9を収納したポッド10が筐体2内のポッドステージ11にポッド出し入れ口から搬入される。
【0059】
なお、新旧ポッド10のポッドステージ11への搬入搬出(ポッドローディングおよびポッドアンローディング)作業およびポッドステージ11とポッド棚12との間の入替え作業は、プロセスチューブ4におけるボート8の搬入搬出(ボートローディングおよびボートアンローディング)作業や成膜処理の間すなわち成膜待機ステップの実行中に同時進行されるため、バッチ式CVD装置1の全体としての作業時間が延長されるのを防止することができる。
【0060】
以降、以上説明したウエハ装填脱装方法および成膜方法が繰り返されて、CVD膜がウエハ9にバッチ式CVD装置1によって形成され、ICの製造方法における成膜工程が実施されて行く。
【0061】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0062】
1) ポッドオープナ20のベース21にポッド10のウエハ出し入れ口10bを被覆するオープナ筐体60を設備し、このオープナ筐体60には窒素ガス69をポッドオープナ室61に流通させるための給気管67および排気管63を接続することにより、ポッドオープナ20によるポッド10の開放時に窒素ガス69をポッドオープナ室61に充填することができるため、ポッド10のウエハ収納室10cに閉じ込められていた大気を窒素ガス69によって排気するとともに、ポッド10のウエハ収納室10cおよびポッドオープナ室61における大気中の空気や水分を窒素ガス69によってパージすることができる。
【0063】
2) ポッドオープナ室61やポッド10のウエハ収納室10cを窒素ガス69によってパージすることにより、ポッド10のウエハ収納室10cに閉じ込められていた大気中の空気や水分がウエハ移載室16に放出されるのを防止することができるため、それらによるウエハ移載室16の汚染や酸素濃度の上昇等の弊害の発生は防止することができる。
【0064】
3) ポッド10のウエハ出し入れ口10bの閉鎖時に、ポッド10のウエハ収納室10cに窒素ガス69を充填して密封することにより、収納中のウエハの自然酸化等を抑制することができる。
【0065】
4) 排気管63に排気量調整手段を介設することにより、設置室18の圧力P1 <ポッドオープナ室61の圧力P2 <ウエハ移載室16の圧力P3 になるように制御することができるので、ポッド10のウエハ収納室10cの酸素や水分および汚染物質がウエハ移載室16に侵入するのを確実に防止することができる。
【0066】
5) 排気量調整手段を開閉弁65およびバイパスライン66の組み合わせによって構成することにより、構造および制御を簡単化することができるので、コストアップを防止することができる。
【0067】
6) ウエハ収納ステップの窒素ガス69の流量をウエハ取り出しステップの窒素ガス69の流量よりも大きく設定することにより、ウエハ収納ステップにおける窒素ガスパージ時間を短縮することができるので、工程の総時間を短縮することができる。
【0068】
7) ウエハ収納ステップの初期においては、空のポッド10のウエハ収納室10cにはウエハ9が存在しないために、パーティクルを巻き上げる懸念はなく、かつまた、空のポッド10のウエハ収納室10cにはウエハ9が存在しないことにより、窒素ガスの澱み箇所がウエハの存在する場合に比べて少ないために、ウエハ収納ステップにおける窒素ガス69の吹き込み流量を大きく設定しても、パーティクルやウエハの損傷の発生を回避することができる。
【0069】
図13は本発明の他の実施の形態であるバッチ式CVD装置を示す一部省略平面断面図である。
【0070】
本実施の形態が前記実施の形態と異なる点は、コントローラ70によって制御される排気量調整手段として可変流量制御弁65Aが使用されている点である。
【0071】
本実施の形態においても、可変流量制御弁65Aにより、設置室18の圧力P1 <ポッドオープナ室61の圧力P2 <ウエハ移載室16の圧力P3 になるように制御することができるので、ポッド10のウエハ収納室10cの酸素や水分および汚染物質がウエハ移載室16に侵入するのを確実に防止することができる。
【0072】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0073】
不活性ガスは窒素ガスに限らず、例えば、He、Ar、Kr、Xe等の他の不活性ガスを使用してもよい。
【0074】
キャリアとしてのポッドは、複数枚のウエハを直接的に収納するように構成するに限らず、複数枚のウエハを積層したカセットを収納するように構成してもよい。
【0075】
バッチ式CVD装置は成膜処理に使用するに限らず、酸化膜形成処理や拡散処理等の他の熱処理(thermal treatment )にも使用することができる。
【0076】
前記実施の形態ではバッチ式縦形拡散・CVD装置の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、酸化装置、拡散装置、アニール装置、その他の熱処理装置(furnace )等の半導体製造装置全般に適用することができる。
【0077】
本発明の好ましい態様を付記する。
(1)基板が基板出し入れ口から収納されこの基板出し入れ口には蓋体が着脱自在に装着されたキャリアと、前記キャリアと連設されるキャリア開閉室と、前記キャリア開閉室に連設された基板搬送室と、前記基板搬送室に連設された基板処理室と、前記キャリア開閉室内の雰囲気を吸引排気する排気手段と、前記排気手段の吸引排気量を調整する排気量調整手段と、を備えていることを特徴とする半導体製造装置。
(2)前記キャリア開閉室に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、前記不活性ガス導入手段から不活性ガスを前記キャリア開閉室に導入している時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整するコントローラと、を備えていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(3)前記キャリア開閉室に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、前記不活性ガス導入手段から不活性ガスを前記キャリア開閉室に導入している時には、前記不活性ガス導入手段の排気量が不活性ガスを供給していない時よりも多くなるように、前記排気量調整手段を制御するコントローラと、を備えていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(4)前記キャリア開閉室に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、前記キャリア開閉室と連通する前記基板搬送室の開口部を塞いでいる時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整するコントローラと、を備えていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(5)装置内の雰囲気が前記搬送室→前記キャリア開閉室→装置外へと流れるように、前記排気量調整手段の排気量が調整されることを特徴とする前項(1)ないし(4)のいずれかに記載の半導体製造装置。
(6)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室と連通する前記基板搬送室の開口部が閉塞されている時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整するコントローラと、を備えていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(7)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室に形成された蓋体退避室に退避されて、前記キャリア開閉室と前記基板搬送室とが連通して前記基板が通過可能な基板搬送空間が形成されている時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整するコントローラを備えており、前記排気手段は前記基板搬送空間から前記蓋体退避室を通って前記排気手段に気流が形成される位置に配置されていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(8)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室に形成された蓋体退避室に退避されて、前記キャリア開閉室と前記基板搬送室とが連通して前記基板が通過可能な基板搬送空間が形成されている時には、装置内の雰囲気が前記搬送室→前記キャリア開閉室→装置外へと流れるように、前記排気量調整手段の排気量が調整され、前記排気手段は前記基板搬送空間から前記蓋体退避室を通って前記排気手段に気流が形成される位置に配置されていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(9)前記キャリア開閉室にはキャリア開閉装置によって開放された前記蓋体が退避する蓋体退避室と、前記キャリアと前記キャリア開閉室と前記基板搬送室とが連通して前記基板が通過可能な基板搬送空間とが形成されており、前記排気手段は前記基板搬送空間から前記蓋体退避室を通って前記排気手段に気流が形成される位置に配置されており、さらに、前記キャリア開閉室には前記不活性ガス導入手段が設けられており、前記不活性ガス導入手段から不活性ガスを前記キャリア開閉室に導入している時には、前記不活性ガス導入手段の排気量が不活性ガスを供給していない時よりも多くなるように、前記排気量調整手段を制御するコントローラと、を備えていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(10)前記キャリアは複数枚の基板を直接的に収納するように構成されていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(11)前記キャリアは複数枚の基板を積層したカセットを収納するように構成されていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(12)基板が基板出し入れ口から収納されこの基板出し入れ口には蓋体が着脱自在に装着されたキャリアと、前記キャリアと連設されるキャリア開閉室と、前記キャリア開閉室に連設された基板搬送室と、前記基板搬送室に連設された基板処理室と、前記キャリア開閉室内の雰囲気を吸引排気する排気手段と、前記排気手段の吸引排気量を調整する排気量調整手段と、前記キャリア開閉室に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、前記排気量調整手段の排気量を調整するコントローラとを備えている半導体製造装置を使用した半導体装置の製造方法であって、
前記不活性ガス導入手段から不活性ガスを前記キャリア開閉室に導入している時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(13)前記不活性ガス導入手段から不活性ガスを前記キャリア開閉室に導入している時には、前記不活性ガス導入手段の排気量が不活性ガスを供給していない時よりも多くなるように、前記排気量調整手段を制御することを特徴とする前項(12)に記載の半導体装置の製造方法。
(14)前記キャリア開閉室と連通する前記基板搬送室の開口部を塞いでいる時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように前記排気量調整手段の排気量を調整することを特徴とする前項(12)に記載の半導体装置の製造方法。
(15)装置内の雰囲気が前記搬送室→前記キャリア開閉室→装置外へと流れるように、前記排気量調整手段の排気量を調整することを特徴とする前項(12)ないし(14)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(16)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室と連通する前記基板搬送室の開口部が閉塞されている時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整することを特徴とする前項(12)に記載の半導体装置の製造方法。
(17)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室に形成された蓋体退避室に退避されて、前記キャリア開閉室と前記基板搬送室とが連通して前記基板が通過可能な基板搬送空間が形成されている時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整し、前記排気手段は前記基板搬送空間から前記蓋体退避室を通って前記排気手段に気流を形成することを特徴とする前項(12)に記載の半導体装置の製造方法。
(18)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室に形成された蓋体退避室に退避されて、前記キャリア開閉室と前記基板搬送室とが連通して前記基板が通過可能な基板搬送空間が形成されている時には、装置内の雰囲気が前記搬送室→前記キャリア開閉室→装置外へと流れるように、前記排気量調整手段の排気量を調整し、前記排気手段は前記基板搬送空間から前記蓋体退避室を通って前記排気手段に気流が形成することを特徴とする前項(12)に記載の半導体装置の製造方法。
(19)基板を収納したキャリアの基板収納室から前記基板が取り出される際に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体がポッドオープナによって移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記ポッドオープナの設置されたポッドオープナ室が密封された状態で、不活性ガスが流され、前記基板収納室に不活性ガスが供給される基板取り出しステップと、
空のキャリアに基板が収納される際に、前記空のキャリアに基板が収納される前に前記蓋体がポッドオープナによって移動されて前記基板出し入れ口が開かれ、前記ポッドオープナ室が密封された状態で、不活性ガスが流され、前記基板収納室に不活性ガスが供給される基板収納ステップとを備えている半導体装置の製造方法。
(20)前記基板収納ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量が前記基板取り出しステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量よりも大きく設定されていることを特徴とする前項(19)に記載の半導体装置の製造方法。
【0078】
前記した(1)の手段によれば、キャリア開閉室外の圧力P1 <キャリア開閉室内の圧力P2 <基板搬送室の圧力P3 になるように制御することができるので、基板の自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着、基板搬送室の汚染や酸素濃度の上昇等のポッドの開放時における弊害の発生を防止することができる。
【0079】
前記した(19)(20)の手段によれば、キャリア内の酸素濃度を効果的に低減することができるので、基板の自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着、基板搬送室の汚染や酸素濃度の上昇等のポッドの開放時における弊害の発生を防止することができる。
しかも、基板取り出しステップにおける不活性ガスの流量を小さく抑えることにより、キャリアの基板収納室に収納された基板の所謂ばたつきを防止することができるので、パーティクルや基板の損傷の発生を防止することができる。
逆に、基板収納ステップにおける不活性ガスの流量を大きく設定することにより、不活性ガスのパージ時間を短縮することができるので、工程全体としての作業時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0080】
1…バッチ式CVD装置(半導体製造装置)、2…筐体、3…ヒータユニット、4…プロセスチューブ、5…ガス導入管、6…排気管、7…ボートエレベータ、8…ボート、9…ウエハ(基板)、10…ポッド(キャリア)、10a…蓋体、10b…ウエハ出し入れ口(基板出し入れ口)、10c…ウエハ収納室(ウエハ収納室)、11…ポッドステージ、12…ポッド棚、13…ウエハ授受ポート、14…ポッド搬送装置、15…ウエハ移載装置、16…ウエハ移載室(基板搬送室)、17…ウエハ移載室筐体、18…ポッド搬送装置設置室(設置室)、19…排気装置、20…ポッドオープナ(開閉装置)、21…ベース、22…ウエハ出し入れ口、23…支持台、24…ガイドレール、25…ガイドブロック、26…エアシリンダ装置、27…載置台、28…位置決めピン、30…ガイドレール、31…左右方向移動台(第一移動台)、32…エアシリンダ装置、32a…ピストンロッド、33…ガイドレール、34…前後方向移動台(第二移動台)、35…ガイド孔、36…ブラケット、37…ロータリーアクチュエータ、37a…アーム、38…ガイドピン、39…ブラケット、40…クロージャ、41…解錠軸、41a…係合部、42…プーリー、43…ベルト、44…連結片、45…エアシリンダ装置、46…吸着具、47…吸込口部材、50…ロータリーアクチュエータ、50a…回転軸、51…アーム、52…挿通孔、53…マッピング装置、54、55、56、57…パッキン、60…ポッドオープナ室筐体(オープナ筐体)、61…ポッドオープナ室(キャリア開閉室)、62…ウエハ出し入れ口、63…排気管(排気手段)、64…ポンプ、65…開閉弁(排気量調整手段)、65A…可変流量制御弁(排気量調整手段)66…バイパスライン(排気量調整手段)、67…給気管、67A、68…給気装置、69…窒素ガス、70…コントローラ、71、72、73…圧力計。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板装填脱装方法および半導体装置の製造方法に関し、特に、蓋体を有するキャリアを開閉する技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという)の製造方法において、半導体素子を含む半導体集積回路を作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという)に絶縁膜や金属膜および半導体膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりするバッチ式縦形拡散・CVD装置に利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
ICの製造方法において、ウエハに絶縁膜や金属膜および半導体膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりする工程には、半導体製造装置の一例であるバッチ式縦形拡散・CVD装置(以下、バッチ式CVD装置という)が広く使用されている。
このバッチ式CVD装置においては、複数枚のウエハがキャリア(ウエハ搬送容器)に収納された状態で扱われる。
従来のこの種のキャリアとしては、互いに対向する一対の面が開口された略立方体の箱形状に形成されているオープンカセットと、一つの面が開口された略立方体形状の箱である容器の開口面に蓋体が着脱自在に装着されているFOUP(front opening unified pod 。以下、ポッドという)と、がある。
【0003】
ウエハのキャリアとしてポッドが使用される場合には、ウエハが密閉された状態で搬送されることになるため、周囲の雰囲気にパーティクル等が存在していたとしてもウエハの清浄度は維持することができる。
したがって、バッチ式CVD装置が設置されるクリーンルーム内の清浄度をあまり高く設定する必要がなくなるために、クリーンルームに要するコストを低減することができる。
そこで、最近のバッチ式CVD装置においてはウエハのキャリアとしてポッドが使用されて来ている。
【0004】
ウエハのキャリアとしてポッドを使用するバッチ式CVD装置においては、蓋体を着脱してポッドのウエハ出し入れ口を開閉するためのポッド開閉装置(以下、ポッドオープナという)が、ポッドに対してウエハを出し入れするためのウエハ授受ポートに設置されている。
従来のこの種のポッドオープナはポッドを保持する載置台と、載置台が保持したポッドの蓋体を保持するクロージャとを備えており、クロージャが蓋体を保持した状態でポッドに対して進退することにより、蓋体をポッドのウエハ出し入れ口に対して着脱するように構成されている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−7801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のバッチ式CVD装置においては、ポッドのウエハ収納室に不活性ガスを充填する場合もあるが、シール部でリークしてポッドのウエハ収納室は大気雰囲気になってしまうのが通例である。
このように、ウエハ収納室が大気雰囲気になっていると、ポッドが開放された際に、ポッドのウエハ収納室の大気がバッチ式CVD装置におけるウエハ授受ポートの内側空間に侵入してしまうために、内側空間を汚染したり酸素濃度を上昇させてしまうという問題点が発生する。
【0007】
また、従来のバッチ式CVD装置においては、ポッドがポッドオープナによって開放されると、ポッドのウエハ収納室が大気雰囲気に晒される状態になるために、ウエハ収納室に収納されたウエハに自然酸化膜が堆積したりパーティクルが付着したりする場合がある。
そこで、ポッドのウエハ収納室に不活性ガスを充填する場合もある。
しかし、ポッドのウエハ収納室は大気(空気)雰囲気になっているのが、通例である。大気雰囲気になっている場合には、ポッドが開放された際に、ポッドのウエハ収納室の大気がバッチ式CVD装置におけるウエハ授受ポートの内側空間であるウエハ移載室に侵入してしまうため、ウエハ移載室を汚染したり酸素濃度を上昇させてしまうという問題点が、発生する。
【0008】
本発明の目的は、基板の自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着、内側空間の汚染や酸素濃度の上昇等のポッドの開放時における弊害の発生を防止することができる基板装填脱装方法および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
(1)キャリアの基板収納室から基板が取り出される際に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する基板取り出しステップと、
空のキャリアの基板収納室に基板が収納される際に、前記空のキャリアの前記基板収納室に基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設された前記キャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスが供給する基板収納ステップと、有する基板装填脱装方法。
(2)キャリアの基板収納室から基板が取り出される際に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第一ステップと、
前記基板を基板処理室へ搬送し、該基板処理室で前記基板を処理する第二ステップと、 空のキャリアの基板収納室に前記基板処理室で処理された処理済基板が収納される際に、前記空のキャリアに前記処理済基板が収納される前に、前記蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設された前記キャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第三ステップと、を有する半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
前記した(1)(2)の手段によれば、基板の自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着、内側空間の汚染や酸素濃度の上昇等のポッドの開放時における弊害の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態であるバッチ式CVD装置を示す一部省略斜視図である。
【図2】ポッドオープナを示す正面側から見た斜視図である。
【図3】そのポッド載置状態を示す斜視図である。
【図4】ポッドオープナを示す背面側から見たポッドオープナ室筐体を取り除いた一部省略斜視図である。
【図5】図4の省略したV部を示す斜視図である。
【図6】ポッドオープナを示す背面側から見たポッドオープナ室筐体を設備した斜視図である。
【図7】バッチ式CVD装置を示す一部省略平面断面図である。
【図8】ポッドオープナ室の作用を説明するための一部省略平面断面図であり、蓋体の取外し前を示している。
【図9】同じくポッドオープナ室の密封時を示す一部省略平面断面図である。
【図10】同じくマッピング時を示す一部省略平面断面図である。
【図11】窒素ガスパージ後の酸素濃度の変化を示すグラフである。
【図12】6個のポッドの開閉操作を連続して実施させた時の酸素濃度の変化を示すグラフである。
【図13】本発明の他の実施の形態であるバッチ式CVD装置を示す一部省略平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0013】
本実施の形態において、本発明に係る半導体製造装置は、バッチ式CVD装置すなわちバッチ式縦形拡散・CVD装置として図1に示されているように構成されている。
【0014】
図1に示されたバッチ式CVD装置1は気密室構造に構築された筐体2を備えている。筐体2内の一端部(以下、後端部とする)の上部にはヒータユニット3が垂直方向に据え付けられており、ヒータユニット3の内部にはプロセスチューブ4が同心に配置されている。
プロセスチューブ4にはプロセスチューブ4内に原料ガスやパージガス等を導入するためのガス導入管5と、プロセスチューブ4内を真空排気するための排気管6とが接続されている。
筐体2の後端部の下部には電動モータによって駆動される送りねじ装置等によって構成されたボートエレベータ7(図7参照)が設置されており、ボートエレベータ7はプロセスチューブ4の真下に配置されたボート8を垂直方向に昇降させるように構成されている。
ボート8は多数枚のウエハ9を中心を揃えて水平に配置した状態で支持して、プロセスチューブ4の処理室に対して搬入搬出するように構成されている。
【0015】
筐体2の正面壁にはポッド出し入れ口(図示せず)が開設されており、ポッド出し入れ口はフロントシャッタによって開閉されるようになっている。ポッド出し入れ口にはポッド10の位置合わせを実行するポッドステージ11が設置されており、ポッド10はポッド出し入れ口を通してポッドステージ11に出し入れされるようになっている。
【0016】
筐体2内の前後方向の中央部の上部には回転式のポッド棚12が設置されており、回転式のポッド棚12は合計十六個のポッド10を保管するように構成されている。すなわち、回転式のポッド棚12は略卍形状に形成された四段の棚板が上下方向に配置されて水平面内で回転自在に支承されており、モータ等の間欠回転駆動装置(図示せず)によってピッチ送り的に一方向に回転されるようになっている。
筐体2内のポッド棚12の下側には、図7に示されているように、基板搬送室としてのウエハ移載室16を形成したウエハ移載室筐体17が構築されており、ポッド棚12はウエハ移載室筐体17の上に設置されている。
図1に示されているように、ウエハ移載室筐体17の正面壁には基板としてのウエハ9をポッド10に対して授受するためのウエハ授受ポート13が一対、垂直方向に上下二段に配置されて設置されており、両ウエハ授受ポート13、13には後記するポッドオープナ20がそれぞれ設置されている。
【0017】
図1に示されているように、筐体2内のポッド搬送装置設置室18には、ポッド搬送装置14が設置されており、ポッド搬送装置14はポッドステージ11とポッド棚12およびウエハ授受ポート13との間、およびポッド棚12とウエハ授受ポート13との間でポッド10を搬送するように構成されている。
また、ウエハ移載室16にはウエハ移載装置15が設置されており、ウエハ移載装置15はウエハ授受ポート13とボート8との間でウエハ9を搬送するように構成されている。
図7に示されているように、ウエハ移載室筐体17の背面壁にはウエハ移載室16を排気する排気装置19が設置されている。
【0018】
上下のウエハ授受ポート13、13に設置されたポッドオープナ20、20は同一に構成されているため、ポッドオープナ20の構成については上段のウエハ授受ポート13に設置されたものについて説明する。
【0019】
図1に示されているように、キャリア開閉装置としてのポッドオープナ20はベース21を備えており、ベース21は筐体2内においてウエハ授受ポート13とウエハ移載装置15とを仕切るように垂直に立脚された側壁を構成している。
図2および図3に示されているように、ベース21にはポッド10の蓋体10aに対して若干大きめに相似する四角形に形成されたウエハ出し入れ口22が開設されている。ベース21は上下のポッドオープナ20、20で共用されているため、ベース21には上下で一対のウエハ出し入れ口22、22が垂直方向で縦に並ぶように開設されている。
【0020】
図2に示されているように、ベース21のウエハ授受ポート13側の主面(以下、正面とする)におけるウエハ出し入れ口22の下側には、アングル形状の支持台23が水平に固定されており、支持台23の平面視の形状は一部が切り欠かれた略正方形の枠形状に形成されている。
支持台23の上面には一対のガイドレール24、24がベース21の正面と平行方向(以下、左右方向とする)に配置されて、ベース21の正面と直角方向(以下、前後方向とする)に延在するように敷設されており、左右のガイドレール24、24には載置台27が複数個のガイドブロック25を介して前後方向に摺動自在に支承されている。
載置台27は支持台23の上面に据え付けられたエアシリンダ装置26によって前後方向に往復移動されるようになっている。
【0021】
図2に示されているように、載置台27は一部が切り欠かれた略正方形の枠形状に形成されており、載置台27の上面には位置決めピン28が三本、正三角形の頂点に配置されて垂直に突設されている。
三本の位置決めピン28はポッド10が図3に示されているように載置台27の上に載置された状態において、ポッド10の下面に没設された三箇所の位置決め凹部(図示せず)に嵌入するようになっている。
【0022】
図4に示されているように、ベース21のウエハ移載装置15側の主面(以下、背面とする)におけるウエハ出し入れ口22の下側には、ガイドレール30が左右方向に水平に敷設されており、ガイドレール30にはアングル形状に形成された左右方向移動台(以下、第一移動台という)31が、左右方向に往復移動し得るように摺動自在に支承されている。
第一移動台31の垂直部材にはエアシリンダ装置32が左右方向に水平に据え付けられており、エアシリンダ装置32のピストンロッド32aの先端はベース21に固定されている。すなわち、第一移動台31はエアシリンダ装置32の往復作動によって左右方向に往復駆動されるようになっている。
【0023】
図5に示されているように、第一移動台31の水平部材の上面には一対のガイドレール33、33が左右に配されて前後方向に延在するように敷設されており、両ガイドレール33、33には前後方向移動台(以下、第二移動台という)34が前後方向に往復移動し得るように摺動自在に支承されている。第二移動台34の片側端部にはガイド孔35が左右方向に延在するように開設されている。
第一移動台31の一側面にはブラケット36が固定されており、ブラケット36にはロータリーアクチュエータ37が垂直方向上向きに据え付けられている。ロータリーアクチュエータ37のアーム37aの先端に垂直に立脚されたガイドピン38は、第二移動台34のガイド孔35に摺動自在に嵌入されている。すなわち、第二移動台34はロータリーアクチュエータ37の往復回動によって前後方向に往復駆動されるように構成されている。
【0024】
第二移動台34の上面にはブラケット39が垂直に立脚されており、ブラケット39の正面にはクロージャ40が垂直に固定されている。クロージャ40はウエハ出し入れ口22に若干大きめに相似する長方形の平盤形状に形成されている。つまり、クロージャ40は第二移動台34によって前後方向に往復移動されるようになっているとともに、第一移動台31によって左右方向に往復移動されるようになっている。
クロージャ40は前進移動してそのベース側を向いた主面(以下、正面とする)がベース21の背面に当接することにより、ウエハ出し入れ口22を閉塞し得るようになっている。
【0025】
なお、図5に示されているように、ベース21の正面におけるウエハ出し入れ口22の周りには、第一パッキン54が敷設されている。第一パッキン54はポッド10の押し付け時にポッド10のウエハ出し入れ口およびベース21のウエハ出し入れ口22をシールするように構成されている。
クロージャ40の正面における外周縁近傍には、第二パッキン55が敷設されている。第二パッキン55はクロージャ40の押し付け時にベース21のウエハ出し入れ口22をシールするように構成されている。
クロージャ40の正面における外周縁の第二パッキン55の内側には、第三パッキン56が敷設されている。第三パッキン56は蓋体10aに付着した異物がウエハ移載装置15の設置室側へ侵入するのを防止するように構成されている。
クロージャ40の背面における外周縁には、第四パッキン57が敷設されている。第四パッキン57はポッドオープナ室筐体60のウエハ出し入れ口62をシールするように構成されている。
便宜上、図4および図5においては、ポッドオープナ室筐体60の図示が省略されている。
【0026】
図4に示されているように、クロージャ40の上下方向の中心線上には、一対の解錠軸41、41が左右に配置され前後方向に挿通されている。両解錠軸41、41はそれぞれ回転自在に支承されている。
両解錠軸41、41におけるクロージャ40のベースと反対側の主面(以下、背面とする)側の端部には、一対のプーリー42、42が固定されており、両プーリー42、42間には連結片44を有するベルト43が巻き掛けられている。クロージャ40の背面における一方のプーリー42の上側にはエアシリンダ装置45が水平に据え付けられており、エアシリンダ装置45のピストンロッドの先端はベルト43の連結片44に連結されている。すなわち、両解錠軸41、41はエアシリンダ装置45の伸縮作動によって往復回動されるようになっている。
図2に示されているように、両解錠軸41、41のクロージャ40の正面側の端部には、蓋体10aの錠前(図示せず)に係合する係合部41aが直交して突設されている。
【0027】
図2に示されているように、クロージャ40の正面における一方の対角付近には、蓋体10aの表面に吸着する吸着具(吸盤)46が二個、吸込口部材47によってそれぞれ固定されている。吸着具46を固定する吸込口部材47は中空軸によって構成されており、吸込口部材47の背面側端は給排気路(図示せず)に接続されている。
吸込口部材47の正面側端の外径は蓋体10aに没設された位置決め穴(図示せず)に嵌入するように設定されている。すなわち、吸込口部材47は蓋体10aの位置決め穴に嵌入して蓋体10aを機械的に支持するための支持ピンを兼用するように構成されている。
【0028】
図2、図4および図6に示されているように、ベース21の正面におけるウエハ出し入れ口22の片脇にはロータリーアクチュエータ50(図2参照)が、その回転軸50a(図2参照)が垂直方向になるように据え付けられており、回転軸50aには略C字形状に形成されたアーム51の一端が水平面内で一体回動するように固定されている。
アーム51はベース21に開設された挿通孔52(図4参照)を挿通されており、アーム51のベース21の背面側の先端部にはマッピング装置53が固定されている。
【0029】
図6および図7に示されているように、ベース21の背面にはポッドオープナ室筐体(以下、オープナ筐体という)60が設備されている。オープナ筐体60はキャリア開閉室としてのポッドオープナ室61を形成し、かつ、クロージャ40を収容するように構成されている。オープナ筐体60のポッドオープナ室61の水平方向の長さは、クロージャ40が横に移動してウエハ出し入れ口22を完全に開口させるのを許容し得るように設定されている。
オープナ筐体60の背面壁におけるウエハ出し入れ口22に対向する位置には、オープナ筐体60のウエハ出し入れ口62が開設されており、ウエハ出し入れ口62はクロージャ40の背面部によって閉塞され得る大きさの四角形の開口に形成されている。
なお、ウエハ出し入れ口62はマッピング装置53を背面側から挿入し得るように設定されている。
【0030】
図7に示されているように、オープナ筐体60の正面壁であるベース21のウエハ出し入れ口22と反対側の位置には、ポッドオープナ室61を排気する排気手段としての排気管63の吸引口がポッドオープナ室61に連通するように接続されており、排気管63の吐出端は真空引きするポンプ64に接続されている。
排気管63にはバイパスライン66が介設されており、バイパスライン66は排気量調整手段としての開閉弁65および固定絞りを形成している。開閉弁65はコントローラ70によって制御されるようになっている。
オープナ筐体60の背面壁における排気管63と反対側の位置には、不活性ガス導入手段としての給気管67の一端が接続されており、給気管67の他端には給気装置67Aが接続されている。
また、基板搬送室としてのウエハ移載室16内には不活性ガス導入手段としての給気装置68が設置されており、給気装置68は不活性ガスとしての窒素ガス69を吹き出すように構成されている。
【0031】
図7に示されているように、筐体2には第一圧力計71、第二圧力計72および、第三圧力計73が接続されており、それらの圧力計71、72、73はコントローラ70に測定結果を送信するようになっている。第一圧力計71は、ポッドオープナ室61外の室としてのポッド搬送装置設置室18の圧力P1 を測定するように構成されている。第二圧力計72はポッドオープナ室61内の圧力P2 を測定するように構成されている。第三圧力計73はポッドオープナ室61に連設された基板搬送室としてのウエハ移載室16の圧力P3 を測定するように構成されている。
コントローラ70はパネルコンピュータやパーソナルコンピュータおよびマイクロコンピュータ等のハードウエアと、それらにプログラミングされたソフトウエアとから構成されており、各圧力計71、72、73等の測定結果に基づいて後述する作用を実行させるようになっている。
【0032】
次に、本発明の一実施の形態であるICの製造方法における成膜工程を、前記構成に係るバッチ式CVD装置を使用した場合について説明する。
なお、説明を理解し易くするために、以下の説明においては、一方のウエハ授受ポート13を上段ポートAとし、他方のウエハ授受ポート13を下段ポートBとする。
【0033】
図1に示されているように、筐体2内のポッドステージ11にポッド出し入れ口から搬入されたポッド10は、ポッド搬送装置14によって指定されたポッド棚12に適宜に搬送されて保管される。
ポッド棚12に保管されたポッド10はポッド搬送装置14によって適宜にピックアップされ、上段ポートAに搬送されて、図3に示されているように、ポッドオープナ20の載置台27に移載される。
この際、ポッド10の下面に没設された位置決め凹部が載置台27の三本の位置決めピン28とそれぞれ嵌合されることにより、ポッド10と載置台27との位置合わせが実行される。
【0034】
ポッド10が載置台27に載置されて位置合わせされると、載置台27がエアシリンダ装置26によってベース21の方向に押され、図8に示されているように、ポッド10の開口側端面がベース21の正面におけるウエハ出し入れ口22の開口縁辺部に押し付けられる。また、ポッド10がベース21の方向に押されると、クロージャ40の解錠軸41が蓋体10aの鍵穴に挿入される。
続いて、負圧がクロージャ40の吸込口部材47に給排気路から供給されることにより、ポッド10の蓋体10aが吸着具46によって真空吸着保持される。
この状態で、解錠軸41がエアシリンダ装置45によって回動されると、解錠軸41は蓋体10a側の錠前に係合した係合部41aによって蓋体10aの錠前の施錠を解除する。
【0035】
ここで、ポッド10とベース21との間の第一パッキン54によるシール、および、ベース21とクロージャ40との間の第二パッキン55によるシールは、簡略的なものであるために、ポッド搬送装置設置室(以下、設置室という)18の圧力P1 とポッドオープナ室61の圧力P2 との差が大きくなると、リークが発生する。
このようなリークが発生してもよいように、本実施の形態においては、設置室18の圧力P1 がポッドオープナ室61の圧力P2 よりも小さく(P1 <P2 )なるように、コントローラ70は開閉弁65を閉じる。すなわち、開閉弁65が閉じると、排気管63の排気量はバイパスライン66による少量に抑制されるため、P1 <P2 、に制御することができる。
このようにして、P1 <P2 に制御することにより、圧力差が大きくなってリークが発生したとしても、設置室18の酸素等の汚染物質を含む雰囲気がポッドオープナ室61に侵入するのは防止することができるので、ポッドオープナ室61の汚染の発生は未然に防止することができる。
ちなみに、設置室18の圧力P1 は筐体2の外部の圧力すなわちクリーンルームの圧力と同じであって、略大気圧であるために、排気管63からの排気量が大きいと、P1 <P2 およびP1 <P3 の関係が崩れる。したがって、この関係を維持するためには、大量の窒素ガス69を給気管67および給気装置68から供給しなければならなくなるので、コストアップになってしまう。
しかし、本実施の形態においては、排気管63の排気量を開閉弁65を閉じてバイパスライン66による少量に抑えることにより、窒素ガス69の供給量を抑制することができるために、コストアップを防止することができる。しかも、排気量調整手段を開閉弁65およびバイパスライン66によって構成することにより、構造や制御を簡単化することができるので、コストアップをより一層抑制することができる。
【0036】
そして、ポッド10の蓋体10aが解錠された後に、第二移動台34がベース21から離れる方向にロータリーアクチュエータ37の作動によって移動されると、図9で参照されるように、クロージャ40はポッド10の蓋体10aを真空吸着保持した状態で、ポッドオープナ室61を後退することにより、蓋体10aをポッド10のウエハ出し入れ口10bから抜き出す。これにより、ポッド10のウエハ出し入れ口10bは開放された状態になる。
【0037】
図9に示されているように、クロージャ40が第二移動台34によってさらに後退されると、クロージャ40の背面壁のパッキン57がオープナ筐体60の背面壁に開設されたウエハ出し入れ口62の周辺部にポッドオープナ室61の内側から押接するために、ポッドオープナ室61はクロージャ40およびポッド10によって密封された状態になる。
【0038】
クロージャ40およびポッド10がポッドオープナ室61を密封すると、図9に示されているように、ポッドオープナ室61には窒素ガス69が給気管67から供給されるとともに、排気管63によって排気されることにより流通される。
ポッドオープナ室61を流通する窒素ガス69はウエハ出し入れ口10bからポッド10のウエハ収納室10cに流入した後に流出することにより、ウエハ収納室10cの大気を排気するとともに、ウエハ収納室10cに充満する。その結果、ポッドオープナ室61およびポッド10のウエハ収納室10cにおける大気中の空気や水分は、窒素ガス69によってパージされた状態になる。
さらに、窒素ガス69を強制的に流通させることにより、窒素ガス69の噴出量や流速を速めることができ、パージ時間を短縮することもできる。このときの酸素濃度は、20ppm以下であることが好ましい。
【0039】
ところで、クロージャ40が蓋体10aをポッド10から脱装すると、ポッド10のウエハ収納室10cはポッドオープナ室61と連通する状態になる。
そこで、本実施の形態においては、ポッドオープナ室61の圧力P2 がウエハ移載室16の圧力P3 よりも小さく(P2 <P3 )になるように、コントローラ70は開閉弁65を制御する。
まず、クロージャ40の遷移状態すなわちクロージャ40がベース21のウエハ出し入れ口22およびオープナ筐体60の背面壁のウエハ出し入れ口62のいずれをも閉じていない中間状態(1〜1.5秒程度存在する)においては、ポッド10のウエハ収納室10cの酸素や水分等の汚染物質が両方のウエハ出し入れ口22と62とを通ってウエハ移載室16に侵入する可能性がある。
本実施の形態においては、ポッドオープナ室61の圧力P2 がウエハ移載室16の圧力P3 よりも小さく(P2 <P3 )になるように制御されていることにより、ポッド10のウエハ収納室10cからポッドオープナ室61に流れ込んだ汚染物質がウエハ移載室16に侵入することはないので、ウエハ移載室16の汚染は未然に防止することができる。
図9に示されたクロージャ40が最も後退した状態においては、クロージャ40のパッキン57がウエハ出し入れ口62をシールした状態になるので、ポッドオープナ室61の汚染物質がウエハ移載室16に侵入することはないと思われる。
ところが、第四パッキン57によるシールは簡易なものであるために、ポッドオープナ室61の圧力P2 がウエハ移載室16の圧力P3 よりも大きく(P2 >P3 )になると、ポッドオープナ室61からウエハ移載室16へのリークが発生してしまう。
本実施の形態においては、ポッドオープナ室61の圧力P2 がウエハ移載室16の圧力P3 よりも小さく(P2 <P3 )になるように制御されているため、クロージャ40のパッキン57によるシールが簡易なものであっても、ポッドオープナ室61からウエハ移載室16へのリークの発生は防止することができるので、ウエハ移載室16の汚染の発生は未然に防止することができる。
【0040】
以上のようにしてポッドオープナ室61およびポッド10のウエハ収納室10cが窒素ガス69によってパージされると、第一移動台31がエアシリンダ装置32の作動によってウエハ出し入れ口22から離れる方向に移動される。これにより、図10で参照されるように、蓋体10aを吸着具46によって真空吸着保持したクロージャ40は、ポッドオープナ室61をウエハ出し入れ口62から離間した退避位置に移動される。
このクロージャ40の退避移動により、オープナ筐体60のウエハ出し入れ口62、ベース21のウエハ出し入れ口22およびポッド10のウエハ出し入れ口10bがそれぞれ開放された状態になる。
この際、予め、ポッドオープナ室61およびポッド10のウエハ収納室10cが窒素ガス69によってパージされているため、大気中の空気や水分がウエハ移載室16に放出されることはなく、それらによるウエハ移載室16の汚染や酸素濃度の上昇等の弊害の発生は防止されることになる。
【0041】
ここで、ポッド10とベース21との間の第一パッキン54によるシールは簡略的なものであるために、設置室18の圧力P1 とポッドオープナ室61の圧力P2 およびウエハ移載室16の圧力P3 との差が大きくなると、リークが発生する。
そこで、本実施の形態においては、設置室18の圧力P1 とポッドオープナ室61の圧力P2 とウエハ移載室16の圧力P3 との関係が、P1 <P2 <P3 、になるように、コントローラ70は開閉弁65、給気管67の給気装置67Aおよび給気装置68を制御する。この制御により、設置室18の雰囲気がポッドオープナ室61およびウエハ移載室16にリークするのは防止することができるので、ウエハ移載室16の汚染の発生は未然に防止することができる。
ところで、ポッドオープナ室61の側面とクロージャ40の側面および蓋体10aの主面とのクリアランスは、それぞれ5〜20mm程度であるので、蓋体10aを保持したクロージャ40がポッドオープナ室61をスライドすると、ポッドオープナ室61の排気管63側の空間は圧縮されることになる。
この圧縮現象が起こると、ポッドオープナ室61のパーティクルや汚染物質を巻き上げて、ポッドオープナ室61とクロージャ40の側面および蓋体10aの主面とのクリアランスを通ってウエハ移載室16側へ流れ込むために、ウエハ移載室16が汚染される可能性がある。
本実施の形態においては、排気管63の排気量が大きくなるように制御されているために、ポッドオープナ室61のクロージャ40のスライド前方空間における圧縮の発生を防止することができ、その結果、圧縮に伴う弊害の発生を未然に防止することができる。
また、排気管63の排気量が大きく設定されていることにより、ポッドオープナ室61とクロージャ40の側面および蓋体10aの主面とのクリアランスにおける窒素ガス69の流量が多くなるために、ポッドオープナ室61におけるクロージャ40のスライド前方空間から同後方空間への逆流を防止することができる。つまり、万一、巻き上げが起こったとしても、ウエハ移載室16への侵入は防止することができる。
【0042】
以上のようにしてクロージャ40が退避されると、図10に示されているように、マッピング装置53がロータリーアクチュエータ50の作動によって移動されて、マッピング装置53がポッド10のウエハ収納室10cへオープナ筐体60の背面壁のウエハ出し入れ口62、ベース21のウエハ出し入れ口22およびポッド10のウエハ出し入れ口10bを潜り抜けて挿入される。
ポッド10のウエハ収納室10cへ挿入されたマッピング装置53はウエハ収納室10cに収納された複数枚のウエハ9を検出することによってマッピングする。
指定されたマッピング作業が終了すると、マッピング装置53はロータリーアクチュエータ50の作動によって元の待機位置に戻される。
なお、マッピングはポッド10のウエハ収納室10cにおけるウエハ9の所在位置(ウエハ9がどの保持溝にあるのか)を確認する作業のことである。
【0043】
マッピング装置53が待機位置に戻ると、上段ポートAにおいて開けられたポッド10の複数枚のウエハ9はボート8にウエハ移載装置15によって順次装填(チャージング)されて行く。この際、ウエハ移載室16の汚染や酸素濃度の上昇等の弊害の発生は防止されているため、移載中のウエハ9の自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着等の弊害の発生は防止されることになる。
【0044】
この上段ポートAにおけるウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業中に、下段ポートBにはポッド棚12から別のポッド10がポッド搬送装置14によって搬送されて移載され、ポッドオープナ20による前述した位置決め作業からマッピング作業が同時進行される。
このように下段ポートBにおいてマッピング作業迄が同時進行されると、上段ポートAにおけるウエハ9のボート8への装填作業の終了と同時に、下段ポートBに待機させたポッド10についてのウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業を開始することができる。すなわち、ウエハ移載装置15はポッド10の入替え作業についての待ち時間を浪費することなくウエハ移載作業を連続して実施することができるため、バッチ式CVD装置1のスループットを高めることができる。
【0045】
翻って、上段ポートAにおいてウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業が終了すると、空ポッド閉じ作業が前述したポッド開放作業と略逆の順序で実行される。
すなわち、クロージャ40に保持されて退避されていた蓋体10aがウエハ出し入れ口22の位置に第一移動台31によって戻され、第二移動台34によってウエハ出し入れ口22に挿入されて、ポッド10のウエハ出し入れ口10bに嵌入される。蓋体10aがウエハ出し入れ口10bに嵌入されると、解錠軸41がエアシリンダ装置45によって回動され、蓋体10aの錠前を施錠する。蓋体10aの施錠が終了すると、給排気路から吸込口部材47へ供給されていた負圧が切られて大気に開放されることにより、吸着具46の真空吸着保持が解除される。続いて、載置台27がエアシリンダ装置26によってベース21から離れる方向に移動され、ポッド10の開口側端面がベース21の正面から離座される。
このようにしてウエハ出し入れ口10bが蓋体10aによって閉塞されると、ウエハ収納室10cに充填された窒素ガス69は、ウエハ収納室10cに封入された状態になる。
【0046】
蓋体10aによりウエハ出し入れ口10bが閉塞された上段ポートAの空のポッド10は、ポッド棚12にポッド搬送装置14によって搬送されて一時的に戻される。
空のポッド10が上段ポートAから搬出されると、次の実ポッド10が上段ポートAに搬入される。
以降、上段ポートAおよび下段ポートBにおいて、前述した作業が必要回数繰り返される。
【0047】
以上のようにして上段ポートAと下段ポートBとに対するウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業が交互に繰り返されることによって、複数枚のウエハ9がポッド10からボート8に装填されて行く。
この際、バッチ処理するウエハ9の枚数(例えば、100枚〜150枚)は1台のポッド10に収納されたウエハ9の枚数(例えば、25枚)よりも何倍も多いため、複数台のポッド10が上段ポートAと下段ポートBとにポッド搬送装置14によって交互に繰り返し供給されることになる。
【0048】
ここまでは、ウエハを収納したポッドの収納室からウエハが取り出されるウエハ取り出しステップである。
【0049】
ところで、前述したウエハ取り出しステップにおいて、クロージャ40が蓋体10aをポッド10から脱装すると、ポッド10のウエハ収納室10cはポッドオープナ室61と連通する状態になるので、ポッド10のウエハ収納室10cの雰囲気(大気)とポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の雰囲気(窒素ガス)とが混じり合うことになる。その結果、ポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の酸素濃度は上昇する。
例えば、ポッド10のウエハ収納室10cの容積が0.001m3 (100l)、ウエハ収納室10cの酸素濃度が10000ppm(1%)、ポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の容積が2m3 (2000l)、ポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の酸素濃度が30ppmである場合には、混じり合った時のポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の酸素濃度は、500ppmとなる。
【0050】
このポッド10を開いた時のポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の酸素濃度の上昇を抑制する手段を究明するために、窒素ガスによってポッドオープナ室およびウエハ移載室をパージした際の酸素濃度の変化を実験によって求めたところ、図11のグラフが得られた。
なお、図11において、縦軸は酸素濃度(ppm)を対数目盛りによって表しており、横軸は時間を「分」によって表している。また、図11のグラフは、3個のポッドをそれぞれ開放した都度(3回)の酸素濃度の低下を平均かつ平滑して示したものである。
図11において、10000ppm迄の到達時間は1分、1000ppm迄の到達時間は2分、100ppm迄の到達時間は3分、30ppm迄の到達時間は4分である。
図11によれば、窒素ガスによってポッドオープナ室およびウエハ移載室をパージした際の酸素濃度は対数比例で減少し、その勾配は次第に緩やかになり、やがて横這いになることが判る。そして、酸素濃度の低下は数10ppmから緩やかになることが判る。
【0051】
前述したように、本実施の形態においては、ポッド10の蓋体10aがクロージャ40によって開かれる以前に、給気管67および給気装置68の窒素ガス69の供給量と排気管63の排気量とがコントローラ70によって制御され、ポッドオープナ室61およびウエハ移載室16が窒素ガス69によってパージされる。この窒素ガスパージにより、ポッドオープナ室61およびウエハ移載室16の酸素濃度が予め設定された値以下に低下される。
この酸素濃度としては、例えば、ボートローディングしてもよい酸素濃度で、かつ、ポッド10を開放した時のウエハ移載室16の酸素濃度の上昇幅を上限値(ここまで上昇してもよいとする値)を超えない値が、設定される。
そして、ウエハ移載室16の酸素濃度が70ppm以下であると、自然酸化膜がウエハに生成する現象を防止することができるので、酸素濃度70ppmをもって予め設定された値とする。
【0052】
他方、ポッド10の蓋体10aをクロージャ40によって開く迄の待機時間が長くなると、バッチ式CVD装置のスループットが低下することになる。そのため、ポッド10の蓋体10aがクロージャ40によって開かれる以前の窒素ガスパージ時間は、可及的に短く設定することが望ましい。
そこで、図11において、酸素濃度の減少勾配が緩やかになる直前すなわち窒素ガスの置換効率が高い時点で、ポッド10の蓋体10aをクロージャ40によって開くことにより、バッチ式CVD装置のスループットを向上させる。
【0053】
次に、ポッドのパージ時間の求め方を具体的に説明する。
ここで、ポッドのウエハ収納室の容積は20l、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の容積は2400l、ポッドのウエハ収納室の酸素濃度はX(ppm)、ポッドのウエハ収納室の酸素容積はXv(l)、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素濃度はY(ppm)、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素容積はYv(l)、ポッドのウエハ収納室とポッドオープナ室とウエハ移載室との酸素濃度はZ(ppm)、とする。
ポッドが閉じられている時は、次の式(1)および式(2)が成り立つ。
Yv/2400×106 =Y ・・・(1)
Xv/20×106 =X ・・・(2)
ポッドが開かれている時は、次の式(3)が成り立つ。
(Xv+Yv)/(20+2400)×106 =Z ・・・(3)
仮に、Y=3.5とすると、式(1)により、Yv=0.0084となる。
Zは70ppm以下であるので、Z=70とし、式(3)により、Xvを求めると、ポッドを開いた時の最大Xvの値が求められる。
Xv=0.161
また、式(2)により、
X=8050ppm、となる。
よって、ポッドのウエハ収納室の酸素濃度が、8050ppm以下であれば、ポッドの蓋体をクロージャによって開くことができる。
図11において、酸素濃度が、8050ppm以下、になるのは、略1分後である。
したがって、窒素ガスパージを1分間実施してから、ポッドの蓋体10aがクロージャによって開くように設定することにより、バッチ式CVD装置のスループットの低下を防止しつつ、ウエハ移載室の酸素濃度を70ppm以下に維持することができる。
【0054】
図12は6個のポッドの開閉操作を連続して実施させた時の酸素濃度の変化を示すグラフである。
なお、図12において、縦軸は酸素濃度(ppm)を対数目盛りによって表しており、横軸は時間を「分」によって表している。
また、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素濃度の上限値を70ppmと仮に決め、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素濃度を3.5ppmおよび28ppmの二通りで予め下げ、ポッド開閉動作を6回連続で実施した。
図12によれば、ポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素濃度は、6個のポッドが開かれる都度、それぞれ上昇することが判る。3.5ppmの場合には30ppmに上昇する。28ppmの場合には500ppmに上昇する。また、上昇したポッドオープナ室およびウエハ移載室の酸素濃度はその都度、それぞれ緩やかに低下することが判る。
この上昇下降を繰返し、最終的に目標値である酸素濃度が30ppmに到達するには、23分間が必要になる。
図11よれば、ポッドを10000ppmで開放する場合には、30ppmに到達するためには、4分間必要である。これにポッドの搬送時間を含めると、6個のポッドの場合には36分間になる。
したがって、図12の場合には、従来の10000ppmでポッドを開放する場合に比べて、13分間短縮することができる。
【0055】
次に、成膜ステップについて簡単に説明する。
予め指定された複数枚のウエハ9がポッド10からボート8に移載されると、ウエハ授受ポート13にとっては実質的に待機中となる成膜ステップが、プロセスチューブ4において実行される。
すなわち、ボート8はボートエレベータ7によって上昇されてプロセスチューブ4の処理室に搬入(ボートローディング)される。ボート8が上限に達すると、ボート8を保持したシールキャップの上面の周辺部がプロセスチューブ4をシール状態に閉塞するため、処理室は気密に閉じられた状態になる。
プロセスチューブ4の処理室が気密に閉じられた状態で、所定の真空度に排気管6によって真空排気され、ヒータユニット3によって所定の温度に加熱され、所定の原料ガスがガス導入管5によって所定の流量だけ供給される。これにより、所定の膜がウエハ9に形成される。
そして、予め設定された処理時間が経過すると、ボート8がボートエレベータ7によって下降されることにより、処理済みウエハ9を保持したボート8が元の装填および脱装ステーション(以下、装填ステーションという)に搬出(ボートアンローディング)される。
【0056】
以下、空のポッドにウエハが収納されるウエハ収納ステップを説明する。
装填ステーションに搬出されたボート8の処理済みウエハ9は、ウエハ移載装置15によってピックアップされ、上段ポートAに予め搬入されて蓋体10aを外されて開放された空のポッド10に収納される。
上段ポートAでの空のポッド10への所定の枚数のウエハ9の収容が終了すると、クロージャ40に保持されて退避されていた蓋体10aがウエハ出し入れ口22の位置に第一移動台31によって戻される。次いで、蓋体10aは第二移動台34によってウエハ出し入れ口22に挿入され、ポッド10のウエハ出し入れ口10bに嵌入される。
この際においても、窒素ガス69がポッドオープナ室61に給気管67と排気管63とによって流通されることにより、ポッドオープナ室61およびポッド10のウエハ収納室10cが窒素ガス69によってパージされ、ウエハ収納室10cに窒素ガス69が充填される。すなわち、前述したウエハ取り出しステップと同様に、クロージャ40およびポッド10がポッドオープナ室61を密封した状態で窒素ガス69が供給される。
蓋体10aがウエハ出し入れ口10bに嵌入されると、解錠軸41がエアシリンダ装置45によって回動され、蓋体10aの錠前を施錠する。これにより、ウエハ収納室10cには窒素ガス69が密封された状態になる。
蓋体10aの施錠が終了すると、給排気路から吸込口部材47に供給されていた負圧が切られて大気に開放されることにより、吸着具46の蓋体10aの真空吸着保持が解除される。
続いて、載置台27がエアシリンダ装置26によってベース21から離れる方向に移動され、ポッド10の開口側端面がベース21の正面から離座される。
次いで、処理済みのウエハ9が収納された処理済み実ポッド10はポッド棚12にポッド搬送装置14によって搬送されて戻される。
処理済みウエハ9がボート8から全てディスチャージされる迄、この作業が上段ポートAと下段ポートBとにおいて交互に繰り返される。
以上がウエハ収納ステップである。
【0057】
ところで、処理済みウエハ9がポッド10のウエハ収納室10cに収納されるウエハ収納ステップにおいては、ウエハ収納室10cの酸素濃度は大気中の酸素濃度よりも低い。なぜならば、前述した通り、空のポッド10のウエハ収納室10cには窒素ガス69がウエハ取り出しステップにおいて封入されるからである。
ここで、ポッド10のウエハ収納室10cは完全気密性能を具備せずに、数10分間ないし数時間の熱処理時間の間に大気の状態に戻る傾向にあることを考慮しても、ウエハ収納室10cの酸素濃度は大気中の酸素濃度よりも低い。
また、空のポッド10のウエハ収納室10cにはウエハ9が存在しないために、窒素ガス69の吹き込み流量を大きく設定しても、パーティクルを巻き上げる懸念はない。
さらに、空のポッド10のウエハ収納室10cにはウエハ9が存在しないことにより、窒素ガスの澱み箇所がウエハの存在する場合に比べて少ないために、窒素ガス69を容易に実施することができる。
以上のことから、ウエハ収納ステップの初期における窒素ガス69の流量は、前述したウエハ取り出しステップの窒素ガス69の流量よりも大きく設定される。これにより、ウエハ収納ステップにおける窒素ガスパージ時間を短縮することができるので、前述した工程の総時間を短縮することができる。
【0058】
処理済みウエハ9を収納してポッド棚12に戻されたポッド10は、ポッド棚12からポッドステージ11へポッド搬送装置14によって搬送される。
ポッドステージ11に移載されたポッド10はポッド出し入れ口から筐体2の外部に搬出されて、洗浄工程や成膜検査工程等の次工程へ搬送される。
そして、新規のウエハ9を収納したポッド10が筐体2内のポッドステージ11にポッド出し入れ口から搬入される。
【0059】
なお、新旧ポッド10のポッドステージ11への搬入搬出(ポッドローディングおよびポッドアンローディング)作業およびポッドステージ11とポッド棚12との間の入替え作業は、プロセスチューブ4におけるボート8の搬入搬出(ボートローディングおよびボートアンローディング)作業や成膜処理の間すなわち成膜待機ステップの実行中に同時進行されるため、バッチ式CVD装置1の全体としての作業時間が延長されるのを防止することができる。
【0060】
以降、以上説明したウエハ装填脱装方法および成膜方法が繰り返されて、CVD膜がウエハ9にバッチ式CVD装置1によって形成され、ICの製造方法における成膜工程が実施されて行く。
【0061】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0062】
1) ポッドオープナ20のベース21にポッド10のウエハ出し入れ口10bを被覆するオープナ筐体60を設備し、このオープナ筐体60には窒素ガス69をポッドオープナ室61に流通させるための給気管67および排気管63を接続することにより、ポッドオープナ20によるポッド10の開放時に窒素ガス69をポッドオープナ室61に充填することができるため、ポッド10のウエハ収納室10cに閉じ込められていた大気を窒素ガス69によって排気するとともに、ポッド10のウエハ収納室10cおよびポッドオープナ室61における大気中の空気や水分を窒素ガス69によってパージすることができる。
【0063】
2) ポッドオープナ室61やポッド10のウエハ収納室10cを窒素ガス69によってパージすることにより、ポッド10のウエハ収納室10cに閉じ込められていた大気中の空気や水分がウエハ移載室16に放出されるのを防止することができるため、それらによるウエハ移載室16の汚染や酸素濃度の上昇等の弊害の発生は防止することができる。
【0064】
3) ポッド10のウエハ出し入れ口10bの閉鎖時に、ポッド10のウエハ収納室10cに窒素ガス69を充填して密封することにより、収納中のウエハの自然酸化等を抑制することができる。
【0065】
4) 排気管63に排気量調整手段を介設することにより、設置室18の圧力P1 <ポッドオープナ室61の圧力P2 <ウエハ移載室16の圧力P3 になるように制御することができるので、ポッド10のウエハ収納室10cの酸素や水分および汚染物質がウエハ移載室16に侵入するのを確実に防止することができる。
【0066】
5) 排気量調整手段を開閉弁65およびバイパスライン66の組み合わせによって構成することにより、構造および制御を簡単化することができるので、コストアップを防止することができる。
【0067】
6) ウエハ収納ステップの窒素ガス69の流量をウエハ取り出しステップの窒素ガス69の流量よりも大きく設定することにより、ウエハ収納ステップにおける窒素ガスパージ時間を短縮することができるので、工程の総時間を短縮することができる。
【0068】
7) ウエハ収納ステップの初期においては、空のポッド10のウエハ収納室10cにはウエハ9が存在しないために、パーティクルを巻き上げる懸念はなく、かつまた、空のポッド10のウエハ収納室10cにはウエハ9が存在しないことにより、窒素ガスの澱み箇所がウエハの存在する場合に比べて少ないために、ウエハ収納ステップにおける窒素ガス69の吹き込み流量を大きく設定しても、パーティクルやウエハの損傷の発生を回避することができる。
【0069】
図13は本発明の他の実施の形態であるバッチ式CVD装置を示す一部省略平面断面図である。
【0070】
本実施の形態が前記実施の形態と異なる点は、コントローラ70によって制御される排気量調整手段として可変流量制御弁65Aが使用されている点である。
【0071】
本実施の形態においても、可変流量制御弁65Aにより、設置室18の圧力P1 <ポッドオープナ室61の圧力P2 <ウエハ移載室16の圧力P3 になるように制御することができるので、ポッド10のウエハ収納室10cの酸素や水分および汚染物質がウエハ移載室16に侵入するのを確実に防止することができる。
【0072】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0073】
不活性ガスは窒素ガスに限らず、例えば、He、Ar、Kr、Xe等の他の不活性ガスを使用してもよい。
【0074】
キャリアとしてのポッドは、複数枚のウエハを直接的に収納するように構成するに限らず、複数枚のウエハを積層したカセットを収納するように構成してもよい。
【0075】
バッチ式CVD装置は成膜処理に使用するに限らず、酸化膜形成処理や拡散処理等の他の熱処理(thermal treatment )にも使用することができる。
【0076】
前記実施の形態ではバッチ式縦形拡散・CVD装置の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、酸化装置、拡散装置、アニール装置、その他の熱処理装置(furnace )等の半導体製造装置全般に適用することができる。
【0077】
本発明の好ましい態様を付記する。
(1)基板が基板出し入れ口から収納されこの基板出し入れ口には蓋体が着脱自在に装着されたキャリアと、前記キャリアと連設されるキャリア開閉室と、前記キャリア開閉室に連設された基板搬送室と、前記基板搬送室に連設された基板処理室と、前記キャリア開閉室内の雰囲気を吸引排気する排気手段と、前記排気手段の吸引排気量を調整する排気量調整手段と、を備えていることを特徴とする半導体製造装置。
(2)前記キャリア開閉室に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、前記不活性ガス導入手段から不活性ガスを前記キャリア開閉室に導入している時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整するコントローラと、を備えていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(3)前記キャリア開閉室に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、前記不活性ガス導入手段から不活性ガスを前記キャリア開閉室に導入している時には、前記不活性ガス導入手段の排気量が不活性ガスを供給していない時よりも多くなるように、前記排気量調整手段を制御するコントローラと、を備えていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(4)前記キャリア開閉室に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、前記キャリア開閉室と連通する前記基板搬送室の開口部を塞いでいる時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整するコントローラと、を備えていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(5)装置内の雰囲気が前記搬送室→前記キャリア開閉室→装置外へと流れるように、前記排気量調整手段の排気量が調整されることを特徴とする前項(1)ないし(4)のいずれかに記載の半導体製造装置。
(6)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室と連通する前記基板搬送室の開口部が閉塞されている時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整するコントローラと、を備えていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(7)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室に形成された蓋体退避室に退避されて、前記キャリア開閉室と前記基板搬送室とが連通して前記基板が通過可能な基板搬送空間が形成されている時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整するコントローラを備えており、前記排気手段は前記基板搬送空間から前記蓋体退避室を通って前記排気手段に気流が形成される位置に配置されていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(8)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室に形成された蓋体退避室に退避されて、前記キャリア開閉室と前記基板搬送室とが連通して前記基板が通過可能な基板搬送空間が形成されている時には、装置内の雰囲気が前記搬送室→前記キャリア開閉室→装置外へと流れるように、前記排気量調整手段の排気量が調整され、前記排気手段は前記基板搬送空間から前記蓋体退避室を通って前記排気手段に気流が形成される位置に配置されていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(9)前記キャリア開閉室にはキャリア開閉装置によって開放された前記蓋体が退避する蓋体退避室と、前記キャリアと前記キャリア開閉室と前記基板搬送室とが連通して前記基板が通過可能な基板搬送空間とが形成されており、前記排気手段は前記基板搬送空間から前記蓋体退避室を通って前記排気手段に気流が形成される位置に配置されており、さらに、前記キャリア開閉室には前記不活性ガス導入手段が設けられており、前記不活性ガス導入手段から不活性ガスを前記キャリア開閉室に導入している時には、前記不活性ガス導入手段の排気量が不活性ガスを供給していない時よりも多くなるように、前記排気量調整手段を制御するコントローラと、を備えていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(10)前記キャリアは複数枚の基板を直接的に収納するように構成されていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(11)前記キャリアは複数枚の基板を積層したカセットを収納するように構成されていることを特徴とする前項(1)に記載の半導体製造装置。
(12)基板が基板出し入れ口から収納されこの基板出し入れ口には蓋体が着脱自在に装着されたキャリアと、前記キャリアと連設されるキャリア開閉室と、前記キャリア開閉室に連設された基板搬送室と、前記基板搬送室に連設された基板処理室と、前記キャリア開閉室内の雰囲気を吸引排気する排気手段と、前記排気手段の吸引排気量を調整する排気量調整手段と、前記キャリア開閉室に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、前記排気量調整手段の排気量を調整するコントローラとを備えている半導体製造装置を使用した半導体装置の製造方法であって、
前記不活性ガス導入手段から不活性ガスを前記キャリア開閉室に導入している時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(13)前記不活性ガス導入手段から不活性ガスを前記キャリア開閉室に導入している時には、前記不活性ガス導入手段の排気量が不活性ガスを供給していない時よりも多くなるように、前記排気量調整手段を制御することを特徴とする前項(12)に記載の半導体装置の製造方法。
(14)前記キャリア開閉室と連通する前記基板搬送室の開口部を塞いでいる時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように前記排気量調整手段の排気量を調整することを特徴とする前項(12)に記載の半導体装置の製造方法。
(15)装置内の雰囲気が前記搬送室→前記キャリア開閉室→装置外へと流れるように、前記排気量調整手段の排気量を調整することを特徴とする前項(12)ないし(14)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(16)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室と連通する前記基板搬送室の開口部が閉塞されている時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整することを特徴とする前項(12)に記載の半導体装置の製造方法。
(17)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室に形成された蓋体退避室に退避されて、前記キャリア開閉室と前記基板搬送室とが連通して前記基板が通過可能な基板搬送空間が形成されている時には、前記キャリア開閉室外の圧力P1 <前記キャリア開閉室内の圧力P2 <前記基板搬送室の圧力P3 になるように、前記排気量調整手段の排気量を調整し、前記排気手段は前記基板搬送空間から前記蓋体退避室を通って前記排気手段に気流を形成することを特徴とする前項(12)に記載の半導体装置の製造方法。
(18)前記蓋体が脱装されて前記キャリアの基板出し入れ口が開かれ、前記キャリア開閉室に形成された蓋体退避室に退避されて、前記キャリア開閉室と前記基板搬送室とが連通して前記基板が通過可能な基板搬送空間が形成されている時には、装置内の雰囲気が前記搬送室→前記キャリア開閉室→装置外へと流れるように、前記排気量調整手段の排気量を調整し、前記排気手段は前記基板搬送空間から前記蓋体退避室を通って前記排気手段に気流が形成することを特徴とする前項(12)に記載の半導体装置の製造方法。
(19)基板を収納したキャリアの基板収納室から前記基板が取り出される際に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体がポッドオープナによって移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記ポッドオープナの設置されたポッドオープナ室が密封された状態で、不活性ガスが流され、前記基板収納室に不活性ガスが供給される基板取り出しステップと、
空のキャリアに基板が収納される際に、前記空のキャリアに基板が収納される前に前記蓋体がポッドオープナによって移動されて前記基板出し入れ口が開かれ、前記ポッドオープナ室が密封された状態で、不活性ガスが流され、前記基板収納室に不活性ガスが供給される基板収納ステップとを備えている半導体装置の製造方法。
(20)前記基板収納ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量が前記基板取り出しステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量よりも大きく設定されていることを特徴とする前項(19)に記載の半導体装置の製造方法。
【0078】
前記した(1)の手段によれば、キャリア開閉室外の圧力P1 <キャリア開閉室内の圧力P2 <基板搬送室の圧力P3 になるように制御することができるので、基板の自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着、基板搬送室の汚染や酸素濃度の上昇等のポッドの開放時における弊害の発生を防止することができる。
【0079】
前記した(19)(20)の手段によれば、キャリア内の酸素濃度を効果的に低減することができるので、基板の自然酸化膜の堆積やパーティクルの付着、基板搬送室の汚染や酸素濃度の上昇等のポッドの開放時における弊害の発生を防止することができる。
しかも、基板取り出しステップにおける不活性ガスの流量を小さく抑えることにより、キャリアの基板収納室に収納された基板の所謂ばたつきを防止することができるので、パーティクルや基板の損傷の発生を防止することができる。
逆に、基板収納ステップにおける不活性ガスの流量を大きく設定することにより、不活性ガスのパージ時間を短縮することができるので、工程全体としての作業時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0080】
1…バッチ式CVD装置(半導体製造装置)、2…筐体、3…ヒータユニット、4…プロセスチューブ、5…ガス導入管、6…排気管、7…ボートエレベータ、8…ボート、9…ウエハ(基板)、10…ポッド(キャリア)、10a…蓋体、10b…ウエハ出し入れ口(基板出し入れ口)、10c…ウエハ収納室(ウエハ収納室)、11…ポッドステージ、12…ポッド棚、13…ウエハ授受ポート、14…ポッド搬送装置、15…ウエハ移載装置、16…ウエハ移載室(基板搬送室)、17…ウエハ移載室筐体、18…ポッド搬送装置設置室(設置室)、19…排気装置、20…ポッドオープナ(開閉装置)、21…ベース、22…ウエハ出し入れ口、23…支持台、24…ガイドレール、25…ガイドブロック、26…エアシリンダ装置、27…載置台、28…位置決めピン、30…ガイドレール、31…左右方向移動台(第一移動台)、32…エアシリンダ装置、32a…ピストンロッド、33…ガイドレール、34…前後方向移動台(第二移動台)、35…ガイド孔、36…ブラケット、37…ロータリーアクチュエータ、37a…アーム、38…ガイドピン、39…ブラケット、40…クロージャ、41…解錠軸、41a…係合部、42…プーリー、43…ベルト、44…連結片、45…エアシリンダ装置、46…吸着具、47…吸込口部材、50…ロータリーアクチュエータ、50a…回転軸、51…アーム、52…挿通孔、53…マッピング装置、54、55、56、57…パッキン、60…ポッドオープナ室筐体(オープナ筐体)、61…ポッドオープナ室(キャリア開閉室)、62…ウエハ出し入れ口、63…排気管(排気手段)、64…ポンプ、65…開閉弁(排気量調整手段)、65A…可変流量制御弁(排気量調整手段)66…バイパスライン(排気量調整手段)、67…給気管、67A、68…給気装置、69…窒素ガス、70…コントローラ、71、72、73…圧力計。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアの基板収納室から基板が取り出される際に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する基板取り出しステップと、
空のキャリアの基板収納室に基板が収納される際に、前記空のキャリアの前記基板収納室に基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設された前記キャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスが供給する基板収納ステップと、有する基板装填脱装方法。
【請求項2】
前記基板収納ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量が前記基板取り出しステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量よりも大きい請求項1に記載の基板装填脱装方法。
【請求項3】
空のキャリアの基板収納室に基板が収納される際に、前記空のキャリアの前記基板収納室に基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する基板装填脱装方法。
【請求項4】
空のキャリアの基板収納室に基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第一ステップと、
前記空のキャリアの基板収容室に基板が収納されている最中に、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第二ステップと、を有し、
前記第一ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量が前記第二ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量よりも大きい基板装填脱装方法。
【請求項5】
キャリアの基板収納室から基板が取り出される際に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第一ステップと、
前記基板を基板処理室へ搬送し、該基板処理室で前記基板を処理する第二ステップと、 空のキャリアの基板収納室に前記基板処理室で処理された処理済基板が収納される際に、前記空のキャリアに前記処理済基板が収納される前に、前記蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設された前記キャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第三ステップと、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第一ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量が前記第三ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量よりも大きい請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基板処理室で基板を処理するステップと、
空のキャリアの基板収納室に前記基板処理室で処理された処理済基板が収納される際に、前記空のキャリアの前記基板収納室に前記処理済基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給するステップと、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
基板処理室で基板を処理する第一ステップと、
空のキャリアの基板収納室に前記基板処理室で処理された処理済基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第二ステップと、
前記空のキャリアの基板収容室に基板が収納されている最中に、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第三ステップと、を有し、
前記第二ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量が前記第三ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量よりも大きい半導体装置の製造方法。
【請求項1】
キャリアの基板収納室から基板が取り出される際に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する基板取り出しステップと、
空のキャリアの基板収納室に基板が収納される際に、前記空のキャリアの前記基板収納室に基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設された前記キャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスが供給する基板収納ステップと、有する基板装填脱装方法。
【請求項2】
前記基板収納ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量が前記基板取り出しステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量よりも大きい請求項1に記載の基板装填脱装方法。
【請求項3】
空のキャリアの基板収納室に基板が収納される際に、前記空のキャリアの前記基板収納室に基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する基板装填脱装方法。
【請求項4】
空のキャリアの基板収納室に基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第一ステップと、
前記空のキャリアの基板収容室に基板が収納されている最中に、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第二ステップと、を有し、
前記第一ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量が前記第二ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量よりも大きい基板装填脱装方法。
【請求項5】
キャリアの基板収納室から基板が取り出される際に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第一ステップと、
前記基板を基板処理室へ搬送し、該基板処理室で前記基板を処理する第二ステップと、 空のキャリアの基板収納室に前記基板処理室で処理された処理済基板が収納される際に、前記空のキャリアに前記処理済基板が収納される前に、前記蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設された前記キャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第三ステップと、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第一ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量が前記第三ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量よりも大きい請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基板処理室で基板を処理するステップと、
空のキャリアの基板収納室に前記基板処理室で処理された処理済基板が収納される際に、前記空のキャリアの前記基板収納室に前記処理済基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給するステップと、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
基板処理室で基板を処理する第一ステップと、
空のキャリアの基板収納室に前記基板処理室で処理された処理済基板が収納される前に、前記基板収納室の基板出し入れ口を塞ぐ蓋体が前記基板出し入れ口から移動されて、前記基板出し入れ口が開かれ、前記キャリアと連設されたキャリア開閉室が密封された状態で、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第二ステップと、
前記空のキャリアの基板収容室に基板が収納されている最中に、前記キャリア開閉室へ不活性ガスを流し、前記基板収納室に不活性ガスを供給する第三ステップと、を有し、
前記第二ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量が前記第三ステップの前記不活性ガスの単位時間当たりの流量よりも大きい半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−166077(P2010−166077A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65642(P2010−65642)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【分割の表示】特願2006−535193(P2006−535193)の分割
【原出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【分割の表示】特願2006−535193(P2006−535193)の分割
【原出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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