説明

堆積されたコーティングを有するアパーチャを備えた半導体処理部品、及びその形成方法。

【課題】保護材料でコーティングされた開口を有する半導体処理装置部品及びその形成方法を提供する。
【解決手段】半導体処理反応器部品200のホール210は、大気圧化学気相成長のような方法による保護コーティングの成膜を促進するようなサイズを有する。いくつかの実施の形態では、ホール210は各々、該ホール210を部分的に狭くし、且つ、該ホールを1つ以上の他の部分に分割するフロー狭窄212を有する。いくつかの実施の形態では、1つ以上の他の部分のアスペクト比は約15:1以下であり、あるいは約7:1以下であり、円筒か円錐の横断面形状を有する。ホール210は、大気圧化学気相成長法を含む化学気相成長法によって、炭化けい素コーティングのような保護コーティングでコートされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理装置、特に、保護材料でコーティングされた開口を有する半導体処理装置部品に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理反応器は、典型的には処理する基板を収容する1つ以上の処理室を含んでいる。処理室の内部において、基板は様々なプロセスにさらされ得る。例えば、基板は、非常に反応的な化学種にさらされることを伴う気相成長プロセス、あるいは窒化又は酸化プロセスにさらされることがある。
【0003】
処理室内部の化学種、温度及び圧力が、処理室の内表面を形成する反応器部品に対して過酷な環境を呈しうる。基板の処理の間に、それらの部品は、損傷され得る。反応器部品へのこの損傷は、処理結果に悪影響を及ぼし、あるいは処理室壁又は他の反応器部品の高価な取替えを必要にする可能性がある。
【0004】
従って、基板処理中に半導体反応器部品を損傷から保護する方法及び装置が必要である。
【発明の開示】
【0005】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、半導体処理反応器用のガス・ディバイダーを製造する方法が提供される。この方法は、反応器の処理室を少なくとも部分的に画定する壁を形成するように構成されている、部分的に形成されたガス・ディバイダーを提供するステップを含む。ホールが前記ガス・ディバイダーに形成される。ホールがそれぞれ、前記ガス・ディバイダーを貫通して伸び、前記ガス・ディバイダーの第1の側面上に開口を有する。この開口は第1の幅を有する。また、各ホールは、狭窄長さ、及び前記狭窄長さ方向に対して直交する狭窄幅を有する通路を備えた狭窄を有する。狭窄幅は、前記第1の幅の平面と実質的に平行な平面にある。前記狭窄幅が、前記第1の幅より小さい。前記狭窄長さの前記狭窄幅に対する狭窄比が、15:1以下である。また、ホールは、前記ガス・ディバイダーの前記第1の側面に向かって直接に開く第1の部分を有する。第1の部分は、前記第1の幅と第1の長さとを有する。前記第1の長さは、前記狭窄及び前記開口の間に伸びる。前記第1の長さの前記第1の幅に対する第1の比が、15:1以下である。この方法は、化学気相成長法によって、前記ホールの表面を含む前記ガス・ディバイダーの表面をコーティングするステップを含む。
【0006】
前記狭窄比、前記第1の比、及び前記第2の比が、実質的に同じである。
【0007】
本発明の別の実施の形態によれば、半導体処理反応器部品の製造方法が提供される。この方法は、前記反応器部品を貫通して伸びるホールを備えた、部分的に製造された前記反応器部品を提供するステップを含む。前記ホールは、反応器部品の第1の表面上の第1の開口を有する。前記ホールは、また、ホールの壁上を内部方向へ伸びる突部によって画定される通路を有する絞りを有する。通路は絞りアスペクト比を有する。ホールは、第1の開口と絞りとの間で画定された第1のホール部分を有する。第1のホール部分は第1のアスペクト比を有する。この方法は、さらに、前記第1のアスペクト比及び前記第1のホール部分中の堆積された物質のステップカバレージ間の関係を決定するステップを含む。S第1の部分が、前記ステップカバレージであり、tout/t第1の部分の比と等しい。前記toutが、前記第1の表面上に堆積された物質の表面厚さであり、前記t第1の部分が、前記絞りに隣接する前記第1のホール部分の底面上に堆積された物質の底面厚さである。目標値t第1の部分目標が選択される。いくつかの実施の形態では、前記絞りに隣接する第1のホール部分の底面における十分な保護となるような厚さのコーティングを提供するように目標値t第1の部分目標を選択する。tout≧S第1の部分・t第1の部分目標となるようなtoutの値を選択する。第1の表面及びホールの壁の上に物質を堆積する。前記第1の表面上に堆積された前記物質の厚さが、選択された前記toutの値以上である。
【0008】
本発明の別の実施の形態によれば、半導体基板を処理する反応室を画定する半導体処理反応器部品が提供される。該反応器部品が、少なくとも前記反応室の一部の境界を定めるように構成された前面を含む。背面が、前記反応器部品の、前記前面とは反対側に位置する。複数のホールが反応器部品に配置される。ホールは、前記前面から前記背面まで伸びる。各ホールは、前記背面上に開口を有する。該開口部は第1の幅を有する。ホールは、狭窄長さ、及び前記狭窄長さ方向に対して直交する狭窄幅を有する通路を備えた狭窄を含む。狭窄幅は、前記第1の幅の平面と実質的に平行な平面にある。狭窄幅が第1の幅より小さい。狭窄長さが狭窄幅に対する狭窄比が、約15:1以下である。ホールは、前記背面に向かって直接に開く第1の部分をさらに含む。該第1の部分は第1の長さ及び第1の幅を有する。第1の長さは狭窄と開口との間に伸びる。第1の長さが第1の幅に対する第1の比が、約15:1以下である。保護コーティングが、前記ホールの壁、前記前面、及び前記背面上に提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
反応器部品が、プロセスガスに晒されることにより損傷され得る物質から作られることがある。例えば、これらの部品はグラファイトから作られることがありうる。これらのグラファイト部品は酸素に晒されることにより損傷されうる。酸素は、グラファイトを「燃焼させる」燃焼反応でグラファイトと反応する。
【0010】
従って、半導体処理の間に反応的な化学種に晒されることから反応器部品を保護するために、ホールの壁を含む反応器部品の表面を、保護材料でコーティングすることが可能である。保護コーティングは、それらの部品自体の材料よりも処理室の過酷な処理環境に対して強い。炭化けい素が保護コーティングによく使用されている保護材料である。
【0011】
例えば、基板を支持する支持台、反応器ブロック、あるいは処理室の内表面を画定するガス・ディバイダーのような反応器部品が、グラファイトから作られることが可能であり、また、気体導入口のような開口を含む可能性がある。保護コーティングは、反応器部品の表面に適用することができる。反応器内の部品が反応器の寿命の間に、繰り返し取り外され再取り付け(リアセンブリ)されうるので、保護コーティングの摩耗及び除去は反応器のアセンブリ及びサービス中に生じうる。さらに、堆積されたコーティングの不十分なステップカバレージ、特に、反応器のホールでの不十分なステップカバレージが、反応器の一部の部品を露出するようにさらしてしまう可能性がある。その結果、プロセスガスがコーティング下の材料(例えばグラファイト)と接触し、且つ、望ましくない反応をし、反応器部品が焼損してしまうことを引き起こす。
【0012】
種々のコーティング方法がコーティングを形成するために使用されることができる。しかしながら、それらのコーティング方法は、様々な問題点を呈していることが既に分かっている。
【0013】
保護材料の大気圧化学気相成長(CVD)法が、経済的なコーティング方法である。この大気圧CVDコーティング法は高価なポンプ機構を要求することなく、高い成膜速度を達成できる。しかしながら、大気圧CVD法の共形性が低くなりうることが既に認識されている。結果的に、高アスペクト比を有する深いフィーチャ内にコーティングを形成することが難しい。
【0014】
低圧力CVDは、深いホールでのコーティングを形成する1つの可能な代案である。しかし、低圧CVDは高価な遅いプロセスであるため、典型的には、薄いコーティングに適用される。薄いコーティングは、反応器部品を適切に保護するための十分な機械的強度を持たないことがある。例えば、コーティングは、機械摩耗によって、特に別の反応器部品と接触する反応器部品の表面上での機械摩耗によって容易に損傷され得る。この損傷により、望ましくないことに、反応器部品が、プロセスガスにさらされることになる。例えば、グラファイト部品が酸素への暴露によって損傷されうる。
【0015】
低圧CVDによって形成されたコーティングの機械的完全性を向上するために、ツーステップ・コーティングを使用することができる。例えば、大気圧CVDは、何よりも先に、比較的厚い膜の保護材料を堆積するために使用され得る。ホールの内部のカバレージは、当然のことながら、不十分になりうる。ホールのよりよいカバレージを提供するために、低圧CVDは第2の成膜ステップの中で使用される。ツーステップ成膜は、形成された2つの層の間の粘着が望ましくなく不十分であることが分かっている。例えば、低圧CVDによって堆積された膜が、同じく低圧CVDによって堆積された膜からはがれがちである。ツーステップ・コーティングに関する別の問題点は、製造プロセスの複雑さの増大、及びツーステップ・コーティング方法を使用して形成された部品のコスト高をもたらすことである。
【0016】
好都合なことに、ホールのサイズを特定の値に設定することにより、ワンステップの成膜で良好なステップカバレージを達成できることが分かった。いくつかの実施の形態では、ホールが、ガス・ディバイダーのような、基板を支持する支持台を含む反応器部品を完全に通って伸びる。ホールは、それぞれ自体を狭くする狭窄か絞りを有する。狭窄内の通路がガスのフローを可能にする。狭窄は、ホールを1つ以上の部分に分割する。例えば、狭窄はホールの中央部位の近くに配置され、それによって、狭窄のいずれの一側にも1つの部分があるようにホールを2つの部分に分割する。別のいくつかの実施の形態では、狭窄がホールの片端に配置される。残りのホールは1つの部分のみを形成する。いくつかの実施の形態では、ホール、及び狭窄を通る通路の様々な部分のアスペクト比が、約15:1以下である。いくつかの実施の形態では、アスペクト比が、約7:1以下である。いくつかの実施の形態では、様々な部分が円筒形か円錐形の横断面形状を有する。好都合に、本発明の実施の形態によるホールが、良好なステップカバレージを有するコーティングの形成を可能にする。成膜が、シングル・ステップ成膜でありながら保護コーティングに使用されるのに十分なステップカバレージをもって、炭化けい素のような保護材料を堆積する。好都合に、大気圧CVD(約大気圧で行われる化学気相成長)は、大きな成膜速度及び比較的低コストでコーティングを形成するために使用されることができる。さらに、堆積された多層膜の粘着及びピーリング(はがれ)に関する問題点も回避され得る。
【0017】
いくつかの実施の形態では、狭窄がホールの長さに沿って中央部に配置される。狭窄の両側にあるホールの第1及び第2部分のアスペクト比が、およそ同じとなるように選択される。第1及び第2部分のアスペクト比とホールにおいて堆積された材料のステップカバレージとの関係が決定される。この関係に基づいて、ホールの外側の反応器部品の表面に堆積される膜の厚さ(tout)を決定することができる。この厚さtoutは、典型的に、ホールの内部に堆積されたコーティングの厚さより容易に測定される。toutが、ホールの内部に堆積されたコーティングの所望の厚さ(t)とステップカバレージ(S)との積より大きくなるように選択される。すなわち、いくつかの実施の形態では、tout ≧ S・tである。この関係は、好ましくは、第1の部分及び第2の部分の両方においてともに満たされる。ここでは、Sは、各部分のステップカバレージであり、tは、各部分の底面に堆積されたコーティングの厚さであり、toutは、第1及び第2の部分のうち対応するいずれか1つに直接に隣接し、ホールの外側に堆積された膜の厚さである。狭窄内の通路も、好ましくは、ホールの第1及び第2の部分のアスペクト比と同様の値を有するように選択される。
【0018】
以下にて図面を参照する。ここでは、全体を通じて、同じ符号は、同じ部分を指す。なお、図面は必ずしも正しいスケールで作成されていない。
【0019】
当然のことながら、好ましい実施の形態は、当業者にとって既知の様々な反応器に適用されることができるが、浮遊基板反応器に使用されるときは特別の利点を有する。例えば、図1に示す反応器の設計は、処理中に基板21が機械的にサポートされることを必要としない;すなわち、基板21は固体支持体によって直接に接触されずに処理されることができる。これは、基板が半導体製造プロセスの間に機械的に接触を受ける反応器において生じうるコールド・スポット(Cold Spot)をもたずに基板21の非常に一様で急速な加熱を可能にする。さらに、反応器1の基板を囲む上部及び下部ブロック13及び14は、好ましくは、各々が基板21に関して高い熱容量を有するように比較的に巨大な質量を有する。よって、基板の温度を安定させ、反応器1中への基板21の取り入れ及び取り出しによる温度変動に対する反応器1の感受性を最小限にするのを促進する。反応器1の基本構成を有する反応器が、オランダのエーエスエム インターナショナル エヌ.ヴェー.から登録商標Levitorで商業的に入手可能である。
【0020】
続けて図1を参照する。反応器1の熱処理装置が、ハウジング23内の上部ブロック13及び下部ブロック14を含んでいる。当然のことながら、ブロック13及び14の互いに対向する表面が基板21を処理する、或いは処置するためのチャンバの境界を定める。図1に示すように、ハウジング23は、基板21をローディングし、また続いて除去するために開くことができるフラップ22を備えている。下部ブロック14及び上部ブロック13が、ロッド27及び28を上げることにより互いの方へ移動することができる。代替的に、ブロックのうちの1つだけが移動可能である。
【0021】
上部ブロック13は、上部炉体130、断熱ジャケット131、断熱ジャケット131の内部上に配置される加熱コイル又は炉体ヒーター132、及び外側ジャケット133から構成される。同様に、下部ブロック14は、下部炉体140、断熱ジャケット141、断熱ジャケット141内部上に配置される加熱コイル142、及び外側ジャケット143から構成される。いくつかの実施の形態では、炉体130及び140がそれぞれ、反応器1が収容するように設計されている基板の質量より10倍、あるいは40倍より大きい質量を有する。
【0022】
上部炉体130は、好ましくは少なくとも1つの温度センサー134を備える。また、下部炉体140も、好ましくは、少なくとも1つの温度センサー144を備える。温度センサー134及び144は、炉体130、140の、基板21に隣接する表面146及び148に近い箇所の温度をそれぞれ測定するために配置される。温度センサー134及び144は、炉体表面146及び148に十分に接近して配置される。それは、熱処理中に基板21が受けている処理温度を測定し、また、熱処理のために基板21が炉体の近辺に配置されることによって引き起こされた炉体130及び140の温度の低下を検出するためである。
【0023】
上部炉体130は、上部炉体130のヒーター側147に近接して配置される少なくとも1つの別の温度センサー135を備えてもよい。同様のやり方で、下部炉体140は、下部炉体140のヒーター側149に近接して配置される温度センサー145を備えてもよい。温度センサー135及び145が、炉体130、140の厚さを横切る温度勾配をそれぞれ測定するために使用されることができる。
【0024】
(不活性ガスを含む)プロセスガスが、開口25を通じて上部炉体130から、また開口24を通じて下部炉本体140の両方から供給される。ガスは反応器ハウジング23に形成された吐出開口部26を通じて放出されることができる。
【0025】
図1に示すように、上部ブロック13及び下部ブロック14は、好ましくは、基板21を反応器1へ導入する前に互いから離れるように移動される。基板21が反応器1へ導入された後、ブロック13及び14は、基板21と炉本体130及び140のそれぞれの対応する隣接面146及び148との間の距離が小さくなるようにロッド27及び28を上げることにより、互いの方へ移動される。熱処理位置に位置されるとき、基板21は、好ましくは、表面146及び148から約2mm未満であり、より好ましくは、約1mm未満である。図1に示す実施の形態では、基板は更なる機械的なサポートを必要とせずに、開口24及び25から出るガスフローによって安定する位置に保持されている。しかし、当然のことながら、別の構成では、サポートピンのようなサポート構造は、基板を支持し、炉体130及び140から一定間隔で基板を隔てるように使用されることができる。さらに、炉体130及び140から基板までの間隔が対称的である場合を示しているが、別の構成では、基板21は、炉体130か140の何れか一方に、より接近して配置されることができる。
【0026】
図2Aは、反応器部品200の一部を示す図である。反応器部品200は、反応室の様々な構造を形成することができる。例えば、部品200が、支持台、あるいは炉体130及び140(図1)のうちの何れか1つのような炉体であることができる。当然のことながら、炉体は、雰囲気、プロセスガス・ソースあるいはガス配送システムのような他のガス体から反応室を画定及び分離するガス・ディバイダーとして機能することができる。反応器部品200は、グラファイトに限定されないが、グラファイトを含む半導体製造と適合できる様々な物質から作られることができる。いくつかの実施の形態では、反応器部品200は、ステンレス鋼、Inconel(登録商標)、Hastelloy(登録商標)及び高温鋼材のような金属から製造されることができる。反応器部品200は、反応室の壁を画定するように構成される、また、いくつかの実施の形態の中で反応室(図示せず)中の基板の表面と直接に面する前面又は第1の表面202を有する。反応器部品200は、さらに前面202の反対側に背面又は第2の表面204を有する。
【0027】
ホール210は反応器部品200に配置されている。ホール210は狭窄または絞り212を有する。狭窄212はホール210の側壁上の突部あるいは別の材料によって形成されることができる。突部あるいは別の材料は、ホール210を狭くして通路220を形成する。ホール210はさらに、狭窄212及びホール開口214間に伸びる第1の部分230と、狭窄212及びホール開口216間に伸びる第2の部分240とを有する。示した実施の形態では、ホール210は、前面202上のホール開口216から背面204上のホール開口214まで反応器部品200を貫通して伸びる。
【0028】
続けて図2Aを参照する。反応器部品200の厚さ及びホール210の全長が、Dtotalである。狭窄通路220は、長さL及び幅Dを有する。第1の部分230は、長さL及び開口214での幅Dを有する。第2の部分240は、長さL及び開口216での幅Dを有する。
【0029】
いくつかの実施の形態では、特に反応器部品200が浮動基板反応器中の反応器ブロックである場合、Dは約0.2〜1mmである。それは、基板にガス・クッションを提供し、また基板全面上にガスを一様に散布することに有利である。長さLは広い範囲にわたって変わることが可能であり、いくつかの実施の形態では約0.5〜2mmである。
【0030】
好都合なことに、ホール210の長さに沿った中央部に絞り212を配置することは、通路220からのガスの拡散を促進し、よって、基板表面へのガスの一様分布を促進する。さらに、ホール210の中央部に絞り212を配置することは、絞り212と外表面202、204のそれぞれとの間の距離を短くする。好都合ことに、絞り212のそのような配置は、比較的小さなアスペクト比となるように幅D及びDを選択することを可能にし、それによって、所望のホール径を超過せずに、ホール210の内表面における良好なカバレージを可能にする。好ましくは、開口216は、約2mm以下の幅Dを有する。このことは、基板を一様に熱するために好都合である。基板を熱するために部品200が使用される実施の形態では、幅の増大に伴う部品200の表面から基板までの距離の増加により、2mmより大きな幅は、基板の非一様な加熱及びコールド・スポットを引き起こし得ることが既に分かっている。
【0031】
ホール210内の保護コーティングの堆積を促進するために、第1の部分230のアスペクト比(L:D)が、好ましくは約15:1以下、あるいは約7:1以下である。例えば、いくつかの実施の形態では、アスペクト比が約10:1、あるいは約8:1である。第2の部分240のアスペクト比(L:D)は、好ましくは、約15:1以下、あるいは約7:1以下である。通路220のアスペクト比(L:D)は、好ましくは、約15:1以下、あるいは約7:1以下である。したがって、第1の部分230、第2の部分240及び通路220が、好ましくは、同じ範囲内のアスペクト比を有する。好都合ことに、これらの範囲にホール210のそれらの様々な部分のアスペクト比を維持することは狭窄通路220の壁を含むホール210の壁上の保護コーティングの堆積及び一様なカバレージを促進することが既に見出されている。いくつかの実施の形態では、1つ以上のアスペクト比が実質的に同じ値を有することができる。例えば、すべてのアスペクト比が実質的に同じ値を有することができる。
【0032】
図2Bに示すように、保護コーティング250は、反応器部品200の露出面上に形成されることができる。有利ことに、大気圧CVDは成膜を達成するために使用されることができ、膜250で部品200の露出面を完全にコーティングすることができる。いくつかの実施の形態では、前面202及び/または背面204上の膜250が、約500μm以上、あるいは約600μm以上の厚さに形成される。
【0033】
当然のことながら、ホール210が別の形を呈することもできる。図3〜図5は、限定を意図しないが、別の形の例を提供する。これらの別の形は、ここに説明されるようなアスペクト比を有し、またここに説明されるように、例えば、図2A及び図2Bに関して説明されるようにコーティングされることができる。
【0034】
図3に示すように、絞り212は、ホール210の一端に配置されている。その結果、絞り212は、絞り212と開口214との間の第1の部分230だけを画定する。当然のことながら、示している断面図から分かるように、図2A、図2B及び/又は図3に示した第1の部分230及び第2の部分240は、概して円筒形状を有する。
【0035】
また、図4及び図5に示す断面図から分かるように、第1の部分230及び/又は第2の部分240は、概して円錐形状を有することができる。図4に示すように、第1の部分230は円錐形状を有することができる。第1の部分230は、該第1の部分230の細い先端にある絞り212によって画定される。開口214は、円錐の広い端を画定する。
【0036】
図5に示すように、絞り212は、ホール210の長さに沿ってより中心に配置されることができる。図示しているように、第1の部分230及び第2の部分240の両方は、絞り212が第1の部分230及び第2の部分240の先端にある状態で、円錐の形状を有することができる。
【0037】
当然、第1の部分230、第2の部分240及び通路220が、別の形あるいは形の組合せを有することができる。例えば、第1の部分230、第2の部分240及び通路220が、相違する形の組合せを有することができる。例えば、第1の部分230及び第2の部分240のうちの一方は円筒形で、他方は円錐形であることができる。さらに、通路220も円錐の形状を有することができる。
【0038】
本発明の実施の形態がガスを流すホールに好適に適用され得る一方、いくつかの実施の形態では、ホールは別の反応器部品を収容することができる。例えば、熱電対はホールの内部に配置されることができる。さらに、ホールの側壁を損傷から一層保護するために、保護挿入物が、側壁とホールに配置されたいかなる反応器部品との間に提供されることができる。そのような挿入物は、2007年7月17日に出願した、番号が11/779,033である米国特許出願に記載されており、その開示全体は、参照によってここに取り入れられる。
【実施例】
【0039】
保護コーティングは、反応器ブロックの露出面上に形成された。該反応器ブロックは、オランダ国のエーエスエム インターナショナル エヌ.ヴェー.から入手可能なLevitor(登録商標)浮遊基板反応器用の反応器ブロックである。反応器ブロックはそれ自体を貫通して伸びるホールを備えている。ホールは、図2Aに示したホール210とほぼ同じ形を有する。従って、図2Aの参照符号及び変数が説明のしやすさのためにこの例の中でも使用される。
【0040】
堆積されたコーティングは、絞り212の近くの第2の部分240の底面で約70〜90μmの厚さであった。幅Dは約2mmであり、長さLは約15mmであった。外側表面202上のコーティングの厚さは600μmであるように選択された。絞り212の向こう側では、絞りと背面204との間の長さLが35mmであり、幅Dが6mmであった。グラファイト部分の厚さLtotalは、約50mmであった。絞り直径は0.5mmであり、絞り長さは1mmであった。
【0041】
図6は、コーティングのステップカバレージをテストするために使用された反応器部品の断面を示す写真である。狭窄に隣接する、反応器部品内のホールの一部は分離された状態で示されている。図6の反応器部品では、DとDが等しく、2mmであった。好都合なことに、堆積したコーティングが、ホールの表面を完全にカバーしているのが分かる。
【0042】
従って、当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上記説明された方法及び構造に対して様々な省略、追加及び修正がなされるのが可能であることは、当業者にとって容易に理解できるであろう。そのような修正及び変更はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあるように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態による、半導体処理反応器の概略的な横断側面図である。
【図2A】本発明の実施の形態による、半導体処理反応器部品のホールの、隔離された状態での概略的な横断側面図である。
【図2B】本発明の実施の形態による、保護コーティングの成膜の後の、図2Aの半導体処理反応器部品の、隔離された状態での概略的な横断側面図である。
【図3】本発明の実施の形態による、半導体処理反応器部品の別のホールの、隔離された状態での概略的な横断側面図である。
【図4】本発明の実施の形態による、半導体処理反応器部品の更なる別のホールの、隔離された状態での概略的な横断側面図である。
【図5】本発明の実施の形態による、半導体処理反応器部品の別のホールの、隔離された状態での概略的な横断側面図である。
【図6】本発明の実施の形態による、保護コーティングを備えた半導体処理反応器部品の断面を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器の処理室を少なくとも部分的に画定する壁を形成するように構成されている、部分的に形成されたガス・ディバイダーを提供するステップと、
それぞれ前記ガス・ディバイダーの第1の側面上に第1の幅を有する開口を有し、前記ガス・ディバイダーを貫通して伸びるホールを、前記ガス・ディバイダーに形成するステップと、
化学気相成長法によって、前記ホールの表面を含む前記ガス・ディバイダーの表面をコーティングするステップと、を含み、
各前記ホールが、
狭窄長さ、及び前記狭窄長さ方向に対して直交する、前記第1の幅の平面と平行な平面にある狭窄幅を有する通路を備えた狭窄と、
前記第1の幅と前記狭窄及び前記開口の間に伸びる第1の長さとを有する、前記ガス・ディバイダーの前記第1の側面に向かって直接に開く第1の部分と、を備え、
前記狭窄幅が、前記第1の幅より小さく、
前記狭窄長さの前記狭窄幅に対する狭窄比が、15:1以下であり、
前記第1の長さの前記第1の幅に対する第1の比が、15:1以下である
半導体処理反応器用のガス・ディバイダーの製造方法。
【請求項2】
前記表面をコーティングする前記ステップが、大気圧で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面をコーティングする前記ステップが、炭化けい素を堆積するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ホールを形成する前記ステップが、
各前記ホールに、長さの幅に対する第2の比を定義する第2の長さ及び第2の幅を有する、前記ガス・ディバイダーの第2の側面に向かって直接開く第2の部分を形成するステップを含み、
前記第2の比が、15:1以下である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記狭窄比、前記第1の比、及び前記第2の比が、同じである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記狭窄比、前記第1の比、及び前記第2の比が、7:1以下である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
部分的に形成された前記ガス・ディバイダーが、グラファイトから形成される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
反応器部品の第1の表面上の第1の開口、絞り、並びに、前記第1の開口及び前記絞りの間に画定され、第1のアスペクト比を有する第1のホール部分を有する、前記反応器部品を貫通して伸びるホールを備えた、部分的に製造された前記反応器部品を提供するステップと、前記絞りが、前記ホールの壁上を内部方向へ伸びる突部によって画定され、絞りアスペクト比を有する通路を有し、
前記第1のアスペクト比及び前記第1のホール部分中の堆積された物質のステップカバレージ間の関係を決定するステップと、S第1の部分が、前記ステップカバレージであり、tout/t第1の部分の比と等しく、前記toutが、前記第1の表面上に堆積された物質の表面厚さであり、前記t第1の部分が、前記絞りに隣接する前記第1のホール部分の底面上に堆積された物質の底面厚さであり、
前記t第1の部分に目標値t第1の部分目標を選択するステップと、
前記tout≧S第1の部分・t第1の部分目標となるような前記toutの値を選択するステップと、
前記第1の表面及び前記ホールの壁の上に前記物質を堆積するステップと、を含み、
前記第1の表面上に堆積された前記物質の厚さが、選択された前記toutの値以上である
半導体処理反応器部品の製造方法。
【請求項9】
堆積した前記toutが、500μm以上であり、
堆積した前記t第1の部分が、70μm以上である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ホールが、
前記部品の第2の表面上の第2の開口と、
前記第2の開口及び前記絞りの間に画定され、第2のアスペクト比を有する第2のホール部分と、
をさらに備え、
前記方法が、
前記第2のアスペクト比及び前記第2のホール部分中の堆積された物質のステップカバレージ間の関係を決定するステップであって、S第2の部分が、前記ステップカバレージであり、t第2のout/t第2の部分の比と等しく、前記t第2のoutが、前記第2の表面上に堆積された物質の表面厚さであり、前記t第2の部分が、前記絞りに隣接する前記第2のホール部分の底面上に堆積された物質の底面厚さであるステップと、
第2の部分に目標値t第2の部分目標を選択するステップと、
第2のout≧S第2の部分・t第2の部分目標となるような前記t第2のoutの値を選択するステップと、をさらに含む
請求項に8に記載の方法。
【請求項11】
前記反応器部品が、前記反応室に収容された基板の表面と少なくとも同じ広さの平面を備えている請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記反応器部品が、別の反応器ブロックと適合するように構成される反応器ブロックを形成し、
前記別の反応器ブロックが、一旦前記半導体反応器のアセンブリ及び前記基板の収容がなされた後、前記反応器ブロックが前記基板の前記表面を横切って伸び、前記別の反応器ブロックが前記基板の反対側の表面を横切って伸びるように前記反応器ブロックと向かい合って配置される
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
半導体基板を処理する反応室を画定する半導体処理反応器部品であって、
少なくとも前記反応室の一部の境界を定めるように構成された前面と、
前記反応器部品の、前記前面とは反対側の背面と、
各々前記背面上に第1の幅を有する開口を有し、前記前面から前記背面まで伸びる、前記反応器部品の複数のホールと、
前記ホールの壁、前記前面、及び前記背面上の保護コーティングと、を備え、
各前記ホールが、
狭窄長さ、及び前記狭窄長さ方向に対して直交する、前記第1の幅の平面と平行な平面にある狭窄幅を有する通路を備えた狭窄と、
前記第1の幅、及び前記狭窄及び前記開口の間に伸びる第1の長さを有する、前記背面に向かって直接に開く第1の部分と、を備え、
前記狭窄幅が、前記第1の幅より小さく、
前記狭窄長さの前記狭窄幅に対する狭窄比が、15:1以下であり、
前記第1の長さの前記第1の幅に対する第1の比が、15:1以下である
半導体処理反応器部品。
【請求項14】
前記狭窄比及び前記第1の比が、等しい
請求項13に記載の半導体処理反応器部品。
【請求項15】
前記狭窄比及び前記第1の比が、7:1以下である
請求項13に記載の半導体処理反応器部品。
【請求項16】
前記ホールが、前記背面上の第2の幅を有する第2の開口と前記狭窄との間に伸びる第2の長さを有する第2の部分をさらに備え、
前記第2の長さの前記第2の幅に対する第2の比が、15:1以下である
請求項13に記載の半導体処理反応器部品。
【請求項17】
前記第1の部分が、円錐形を呈し、
前記狭窄が、前記円錐形の先端に位置する
請求項13に記載の半導体処理反応器部品。
【請求項18】
前記第1の部分が、円筒形状を有し、
前記開口が、前記円筒の一端に位置する
請求項13に記載の半導体処理反応器部品。
【請求項19】
前記保護コーティングが、炭化けい素から形成される
請求項13に記載の半導体処理反応器部品。
【請求項20】
前記反応器部品が、グラファイトから形成される
請求項13に記載の半導体処理反応器部品。
【請求項21】
前記反応器部品が、基板保持ブロックであり、
前記前面が、前記基板に面するように構成される平面であり、前記基板の表面と少なくとも同じ広さを有し、
前記基板保持ブロックが、第2の基板保持ブロックと適合するように構成され、
前記第2の基板保持ブロックが、一旦前記反応器のアセンブリ及び前記基板の収容が完了した後、前記基板保持ブロックが前記基板の前記表面を横切って伸び、前記第2の基板保持ブロックが反対側の前記基板の表面を横切って伸びるように、前記基板保持ブロックと向かい合って配置される
請求項13に記載の半導体処理反応器部品。
【請求項22】
前記ホールのうちの何れの1つに配置された熱電対をさらに含む
請求項13に記載の半導体処理反応器部品。
【請求項23】
請求項13に記載の半導体処理反応器部品が基板保持ブロックであって、
前記反応器部品が、グラファイトから形成される
半導体処理反応器部品。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−71303(P2009−71303A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223284(P2008−223284)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(501380070)エーエスエム インターナショナル エヌ.ヴェー. (26)
【氏名又は名称原語表記】ASM INTERNATIONAL N.V.
【住所又は居所原語表記】The Netherlands 3723 BG Bilthoven Rembrandtlaan 7−9
【Fターム(参考)】