変位検出装置
【課題】高い回折効率を示し、精度良く位置検出を行える変位検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】台形または矩形のレリーフ形状をした回折格子を用いる。また、可干渉光を出射する光源部と、光源部から出射された光束を二つの光束に分割する光束分割部と、を含み、二つの光束をP偏光として回折格子上に照射させる照射光学系と、二つの光束が回折格子により回折されることによって生じる二つの第1回折光をそれぞれ反射し、回折格子上にP偏光として再入射させる反射光学系を備える。また、回折格子に再入射した二つの第1回折光が回折されて生じる二つの第2回折光を干渉させる干渉光学系と、干渉光学系により干渉した光を受光する受光部と、受光部において取得した干渉信号に基づいて、回折格子の位置情報を検出する位置検出部を備えるものとする。そして、回折格子のレリーフの周期を、回折格子に入射する可干渉光の波長の1.5倍以下とする。
【解決手段】台形または矩形のレリーフ形状をした回折格子を用いる。また、可干渉光を出射する光源部と、光源部から出射された光束を二つの光束に分割する光束分割部と、を含み、二つの光束をP偏光として回折格子上に照射させる照射光学系と、二つの光束が回折格子により回折されることによって生じる二つの第1回折光をそれぞれ反射し、回折格子上にP偏光として再入射させる反射光学系を備える。また、回折格子に再入射した二つの第1回折光が回折されて生じる二つの第2回折光を干渉させる干渉光学系と、干渉光学系により干渉した光を受光する受光部と、受光部において取得した干渉信号に基づいて、回折格子の位置情報を検出する位置検出部を備えるものとする。そして、回折格子のレリーフの周期を、回折格子に入射する可干渉光の波長の1.5倍以下とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いた非接触センサにより、高精度に被測定面の変位を検出する変位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被測定面の変位や形状を測定する装置として変位検出装置が広く利用されている。
この変位検出装置には、測定対象面上に固定された回折格子に光を照射し、測定対象の移動に伴って生じる回折光の位相変化を検出するものがある。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、光源から出射された可干渉光を二つの可干渉光に分割し、この二つの可干渉光を回折格子に入射させることが開示されている。回折格子に入射した二つの可干渉光が生じる二つの回折光を反射光学系によって反射し、回折格子に再び入射させるものである。
この方法では、一度回折した光を反射光学系によって反射し、回折格子にて再び回折させることで、検出分解能を高めることが可能である。
【0004】
特に、下記特許文献1では、回折格子に入射する可干渉光を回折格子上において結像させている。また、回折格子によって回折された回折光を結像手段によって平行光にコリメートし、反射器に対して常に垂直に入射させることで、回折光を反射している。
これにより、回折光が回折格子に再入射する際の結像位置や、回折光が回折格子に再入射することによって生じる回折光の光軸がずれるのを防止できる。このため、高精度な一検出を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4023923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された方法では、回折格子によって回折された回折光を回折格子に再入射させる際に、偏光方向を90度回転させている。これは、回折格子に最初に入射する可干渉光と、回折格子によって2回回折された後の回折光の偏光方向を90度異ならせ、両者の分離を効率良く行うためである。
【0007】
一方で、変位検出の精度を向上させるためには、回折格子を微細化することが必要である。しかし、回折格子を微細化していくと、回折効率は入射光の偏光方向に対して依存性が生じる。
したがって、上記特許文献1に開示された方法において、回折格子に可干渉光を最初に入射させたときの回折効率が高かったとしても、その回折光を再び回折格子に入射させる時には偏光方向が異なるため、2回目の回折では回折効率が低下してしまう。このため、取得される干渉信号が小さくなり、精度の高い位置検出には限界がある。
【0008】
上述のような点を鑑みて、本発明は、回折格子によって一度回折された光を回折格子によって再び回折させる構成であっても、高い回折効率を示し、精度良く位置検出を行える変位検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明による変位検出装置は、台形または矩形のレリーフ形状をした回折格子を用いる。
また、本発明による変位検出装置は、可干渉光を出射する光源部と、光源部から出射された光束を二つの光束に分割する光束分割部と、を含み、二つの光束をP偏光として上述の回折格子上に照射させる照射光学系を備える。
また、上述の二つの光束が回折格子により回折されることによって生じる二つの第1回折光をそれぞれ反射し、回折格子上にP偏光として再入射させる反射光学系と、回折格子に再入射した二つの第1回折光が回折されて生じる二つの第2回折光を干渉させる干渉光学系を備える。
また、干渉光学系により干渉した光を受光する受光部と、受光部において取得した干渉信号に基づいて、回折格子の位置情報を検出する位置検出部を備える。
そして、回折格子のレリーフの周期は、回折格子に入射する可干渉光の波長の1.5倍以下とする。
【0010】
本発明の変位検出装置は、レリーフの周期が、入射する光の波長の1.5倍以下とされた回折格子を用いる。このため、入射するP偏光に対して高い回折効率を実現することができる。
またさらに、一度回折格子によって回折された光は、P偏光として回折格子に再入射する。したがって、回折格子への再入射時においても、高い回折効率が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の変位検出装置によれば、回折格子に入射させた光に対して高い回折効率を実現することができる。このため、大きな干渉信号を取得することが可能であり、精度良く位置検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部の構成を示す概略斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部の構成を示す概略構成図である。
【図3】回折格子に入射する光の角度を示す説明図である。
【図4】A,B 第2の回折光が反射光学系によって反射される光路を示す説明図である。
【図5】回折格子を傾けた時の干渉信号の強さを示す説明図である。
【図6】位置情報検出部の構成を示すブロック図である。
【図7】回折格子の概略断面図である。
【図8】回折格子のレリーフ形状と、回折光強度の関係を示す説明図である。
【図9】回折格子に入射する光を示す説明図である。
【図10】二次元回折格子に対して、ふたつの信号取得部を配置した状態を示す説明図である。
【図11】二次元回折格子によって生じる回折光を示す説明図である。
【図12】二次元回折格子の概略断面図である。
【図13】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図14】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図15】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図16】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図17】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図18】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図19】回折格子に入射する光の角度を示す説明図である。
【図20】第2の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部を示す概略斜視図である。
【図21】第2の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部の構成を示す概略構成図である。
【図22】第2の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部の構成を示す概略構成図である。
【図23】回折格子を傾けた時の干渉信号の強さを示す説明図である。
【図24】A,B 第3の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部を示す概略構成図である。
【図25】二次元回折格子に対して、二つの信号取得部により光を照射する位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
説明は以下の順で行う。
1.第1の実施形態
1−1.信号取得部の構成
1−2.検出部の構成
1−3.回折格子の構成
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
【0014】
1.第1の実施形態
1−1.信号取得部の構成
図1は、第1の実施形態に係る変位検出装置100の構成を示す概略斜視図である。また、図2は、変位検出装置100の概略正面図である。ここでは変位検出装置100のうち、回折格子1と、回折格子1に光を照射して干渉信号を生じさせ、その干渉信号を受光する信号取得部50についてまず図示し、説明する。
なお、本実施形態に係る変位検出装置100は、この回折格子1と、信号取得部50と、後述する取得された干渉信号から位置情報を検出する位置情報検出部60とによって構成される。
【0015】
回折格子1は反射型回折格子であり、図1中において、周期構造がX軸方向に形成されている。回折格子1は、変位を検出したい対象物に固定され、対象物の移動に伴って回折格子1も移動する。
また、信号取得部50は、照射光学系10と、反射光学系20と、干渉光学系30と、受光部40とを有する。
【0016】
照射光学系10は、可干渉光を出射する光源部2と、光源部2から出射された光の光路上に配置された光束分割素子4と、光束分割素子4によって分割された二つの光束を反射し、回折格子1上に導くミラー5,6を備える。
光源部2は、例えば半導体レーザダイオードやスーパールミネッセンスダイオード、発光ダイオード等によって構成される。
【0017】
光源部2から出射された可干渉光は、レンズ3を透過した後、光束分割素子4に入射する。レンズ3は、光源部2から出射された可干渉光を回折格子1上に結像させるためのものである。
また、光束分割素子4には、例えば無偏光ビームスプリッタが用いられる。この光束分割素子4によって、光源部2からの可干渉光は第1の光束L1と第2の光束L2に分割される。
【0018】
光束分割素子4によって反射された第1の光束L1は、ミラー5によって反射されることによって光路を変え、回折格子1上の点P1に入射する。また、光束分割素子4を透過した第2の光束L2はミラー6によって反射され、回折格子1上の点P2に入射する。
これらの点P1,P2は、回折格子1の周期方向(X軸方向)上に位置している。
【0019】
ここで、第1の光束L1と第2の光束L2は、回折格子1の面に垂直で、かつ回折格子1の周期方向(X軸方向)に平行な面S1に対して、角度γだけ傾いた面S2上に位置している。
【0020】
また、光束L1,L2は、回折格子1に対してP偏光として入射される。特に、本発明において回折格子1に入射するP偏光とは、その偏光方向が、光束L1,L2がなす面S2に沿っている光として定義する。
例えば、光源部2の光源に半導体レーザを用いる場合には、直線偏光が出射されるので、出射される光の光軸を中心に半導体レーザを回転させることにより、光束L1,L2の偏光方向を上述の偏光方向に合わせることが可能である。
LED等の無偏光光源を用いる場合には、光源部2を無偏光光源と偏光フィルタによって構成し、光源部2を回転させることで光束L1,L2の偏光方向を調整できる。
【0021】
図2は、図1に示した変位検出装置100を、Y軸方向から見た正面図である。図2に示すように、光束L1,L2の入射点P1,P2は、光束分割素子4の光束分割面4aに対して対称な位置にある。
点P1に入射した光束L1は、回折格子1によって回折され、第1の回折光L3が生じる。
【0022】
Y軸方向から見た図2において、第1の光束L1の入射角度をΘ1、第1の回折光L3の回折角をΘ2とすると、回折角Θ2は下記式1によって表わされる。
【数1】
ここで、Λは回折格子1の格子周期であり、λは光の波長、mは回折次数、Φは入射する光束L1と、面S1のなす角度である。例えば本実施例では、第1の回折光L3として1次回折光を用いるので、m=1である。
【0023】
このΦについて、図3を用いて詳細に説明する。既述のように、光束L1は面S2内にあり、また、面S2は、回折格子1の面に垂直で、かつその周期方向に沿った面S1に対して角度γだけ傾いている。
この光束L1を面S1に投影した光束L1’の入射角がΘ1であり、光束L1と光束L1’とがなす角がΦである。
【0024】
第1の回折光L3は、レンズ7によってコリメートされ、例えばミラー8に対してほぼ垂直に入射する。
図4Aに示すように、レンズ7の回折格子1側の焦点は、回折格子1上に配置される。これにより、回折格子1が、ヨーイング方向(回折格子1の面内方向、図1においてX−Y面内方向)やピッチング方向(X−Z面内方向)に回転したとしても、ミラー8によって反射された第1の回折光L3が回折格子1に再入射する角度は変化しない。したがって、干渉信号の低下を小さくすることができる。
【0025】
ただし、本実施の形態においてレンズ7は、回折格子1の点P1から生じた第1の回折光L3に対して、レンズ7の光軸Axを距離dだけ僅かにずらして配置される。
これにより、ミラー8に入射した第1の回折光L3は、図4Aに示すように入射時と異なる光路上に反射される。そして、反射された第1の回折光L3は、第1の回折光L3の回折角Θ2と異なる入射角Θ3で、回折格子1上の点P2に入射する。
【0026】
もしくは、図4Bに示すように、回折格子1上の点P1からレンズ7に入射する第1の回折光L3の光軸とレンズ7の光軸を一致させてレンズ7を配置し、ミラー8の反射面を、レンズ7の光軸に対して90度からΔΘだけ傾けて配置してもよい。
この構成によっても、ミラー8により反射された第1の回折光L3を、回折格子1上の点P1とは異なる点P2に入射させること可能である。なお、レンズ7の焦点は、回折格子1の点P上に配置されている。
【0027】
このように、回折格子1からレンズ7に入射する第1の回折光L3の光路と、ミラー8によって反射された第1の回折光L3の光路とが異なる場合であっても、上述のようにレンズ7の焦点を回折格子1上に配置することで、同様に干渉信号の低下を小さくできる。
【0028】
図5は、本実施の形態による変位検出装置100において、回折格子1をヨーイング方向、及びピッチング方向に回転させた時における干渉信号の変化をシミュレーションしたものである。
レンズ7の焦点距離は25mmとして、その焦点位置は回折格子1上に配置した状態としている。また、点P1と点P2間の距離は1mmである。縦軸は干渉信号の強度であり、回折格子1の回転角が0度の時の干渉信号強度を1とした。また、横軸は回折格子1の回転角である。
【0029】
図5の線B1に示すように、ヨーイング方向に回折格子1が回転した場合には、干渉信号の強度にはほとんど変化が見られない。
また、線B2に示すピッチング方向では、0.5度の回転角においても、0.5以上の干渉信号を維持している。
例えば、レンズ7が配置されていない場合には、ピッチング方向の回転角が1分以下であっても干渉信号はゼロになる。したがって、回折格子1からレンズ7に入射する第1の回折光L3の光路と、ミラー8によって反射された第1の回折光L3の光路とが異なる場合であっても、十分に干渉信号の低下を抑制できることがわかる。
【0030】
図1,2に戻ると、回折格子1上の点P2に入射角Θ3で入射した第1の回折光L3は、回折格子1によって回折され、回折角Θ4の第2の回折光L4が生じる。この第2の回折光L4は、本実施の形態では1次回折光である。
【0031】
この第2の回折光L4は、ミラー5に再入射する。ただし、本実施の形態において、図2中の点P1及び点P2に示すように、第1の光束L1が回折格子1に入射する位置と、第2の回折光L4が生じる回折格子1上の位置は異なっている。このため、第1の光束L1と第2の回折光L4の光路を別々にすることが可能であり、第1の光束L1と第2の回折光L4の分離を容易に行うことができる。
【0032】
また、第1の光束L1が回折格子1に入射する入射角Θ1と、第2の回折光L4の回折角Θ4を異なる値に設定することで、第1の光束L1と第2の回折光L4の光路をより大きく離すこと可能である。例えばミラー5の角度や、上述したレンズ7の光軸のずれ量等を調整することで、第1の光束L1の入射角Θ1や第2の回折光L4の回折角Θ4を変更できる。
ただし、この入射角Θ1及び第2の回折角Θ4は、第1の光束L2と第2の回折光L4との分離を十分に行える範囲で、できるだけ小さくすることが好ましい。
【0033】
一方、光束分割素子4を透過した第2の光束L2は、ミラー6によって反射され、入射角Θ1で回折格子1上の点P2に入射する。図2に示すように、ミラー6、レンズ9及びミラー11は、光束分割素子4の光束分割面4aに対して、ミラー5、レンズ7、ミラー8と対称に配置される。
したがって、回折格子1上の点P2に入射した第2の光束L2は、回折格子1の点P1に入射した第1の光束L1と対称の光路をたどる。
【0034】
例えば、回折格子1上の点P2に入射した第2の光束L2は、回折格子1によって回折され、回折角Θ2の第1の回折光L5を生じる。第1の回折光L5は、レンズ9を透過するとミラー11によって反射され、再びレンズ9に入射する。レンズ9を透過した第1の回折光L5は、入射角Θ3で回折格子1上の点P1に入射し、回折角Θ4の第2の回折光L6を生じる。
そして、第2の回折光L6は、ミラー6に再入射する。
【0035】
このように、点P1に入射した第1の光束L1が第2の回折光L4としてミラー5に再入射するまでの光路と、点P2に入射した第2の光束L2が第2の回折光L6としてミラー6に再入射するまでの光路は、ともに回折格子1上の点P1及び点P2を経由する。
したがって、回折格子1に形状の誤差が局所的に存在した場合であっても、第2の回折光L4,L6は互いに同じ影響を受けるので、位置検出の誤差要因となるのを抑制できる。
【0036】
ミラー5またはミラー6によって反射された第2の回折光L4,L6は、干渉光学系30に入射する。
干渉光学系30は、第2の回折光L6の光路上に配置された1/2波長板12と、二つの第2の回折光L4,L6を同一光路上に合成する光合成部13と、光合成部13により合成された光束の光路上に配置された1/4波長板16を含む。
また、1/4波長板16を透過した光束を分割する無偏光ビームスプリッタ17と、無偏光ビームスプリッタ17によって分割された光束の光路上にそれぞれ配置される偏光ビームスプリッタ18,19を含む。
【0037】
第2の回折光L6は、1/2波長板12を透過することにより偏光方向が90度回転し、S偏光として光合成部13に入射する。また、第2の回折光L4は、ダミーガラス14を透過した後、光合成部13にP偏光として入射する。
ダミーガラス14は、1/2波長板12と同じ光路長を有している。したがって、1/2波長板12を透過した第2の回折光L6と、ダミーガラス14を透過した第2の回折光L4の光路長は等しい。
【0038】
第2の回折光L4は、偏光ビームスプリッタ等の光合成部13をP偏光として透過し、S偏光である第2の回折光L6は、光合成部13によって反射される。これにより、第2の回折光L4と第2の回折光L6とが同一光路上に合成される。
【0039】
本実施の形態では、回折格子1に対して二つの光束をP偏光として入射させるために、光束分割素子4として無偏光ビームスプリッタが配置されている。
既述のように、第2の回折光L4,L6は、第1の光束L1,L2の光路と異なる光路でミラー5,6に反射されるので、光合成部13と光束分割素子4を、互いの障害になることなく配置することが可能である。
【0040】
合成された第2の回折光L4,L6は、レンズ15を透過すると、1/4波長板16に入射する。なお、レンズ15は、第2の回折光L4,L6を受光素子21,22,23,24上に集光させるためのものである。
1/4波長板16は、第2の回折光L4,L6の偏光方向に対して、光学軸を45度傾けて配置される。したがって、第2の回折光L4,L6は、1/4波長板16を透過することにより、互いに逆周りの円偏光となる。
【0041】
また、第2の回折光L4,L6は、同一光路上にあるので、これらの光が重ね合わされることにより、偏光方向が、第2の回折光L4,L6の位相差の変化(回折格子1の移動による位相の変化)に伴って回転する直線偏光となる。
【0042】
この直線偏光は、ハーフミラー等の無偏光ビームスプリッタ17によって二つの光束に分割される。
無偏光ビームスプリッタ17によって反射された光束は、偏光ビームスプリッタ18に入射し、そのS偏光成分とP偏光成分とに分割される。
また同様に、無偏光ビームスプリッタ17を透過した光束は、偏光ビームスプリッタ19に入射し、S偏光成分とP偏光成分とに分割される。
【0043】
これらのS偏光成分とP偏光成分は、受光部40によって受光される。受光部40は、偏光ビームスプリッタ18によって分割された光束をそれぞれ受光する受光素子21,22と、偏光ビームスプリッタ19によって分割された光束をそれぞれ受光する受光素子23,24とによって構成される。これらの受光素子21〜24には、例えばフォトダイオード等が用いられる。
【0044】
偏光ビームスプリッタ18を透過したP偏光成分は、受光素子21に受光され、偏光ビームスプリッタ18によって反射されたS偏光成分は、受光素子22に受光される。
直線偏光から、偏光ビームスプリッタ等の偏光子によって互いにα度異なる偏光方向の成分を取り出すと、取り出された光の強度から検出される信号は、互いに2α度だけ位相が異なる信号となる。
ここでは、偏光ビームスプリッタ18によって、偏光方向が互いに90度異なる偏光成分を取り出しており、受光素子21,22によって検出される光の強度信号は、位相が180度異なっている。
したがって、受光素子21,22によって取得された光の強度信号の差をとることにより、信号の直流成分の変動を除くことができる。
【0045】
一方、偏光ビームスプリッタ19に入射した光束のうち、偏光ビームスプリッタ19によって反射されたS偏光成分は、受光素子23に受光される。また、偏光ビームスプリッタ19を透過したP偏光成分は、受光素子24に受光される。
ここでも、受光素子23,24において検出される光の強度信号は、互いに位相が180度異なっている。
【0046】
また、偏光ビームスプリッタ19は、偏光ビームスプリッタ18によって取り出される偏光成分の偏光方向に対して、45度偏光方向が異なる偏光成分を取り出すように、傾けて配置される。
したがって、偏光ビームスプリッタ19によって反射されたS偏光が、受光素子23によって受光されると、その光の強度信号は、受光素子21において取得された信号に対して位相が90度ずれた信号となる。
また、偏光ビームスプリッタ19を透過したP偏光が、受光素子24によって受光されると、その光の強度信号は、受光素子22において取得された信号に対して位相が90度異なる。
【0047】
これにより、例えば受光素子21,22で得られる信号をsin信号、受光素子23,24において得られる信号をcos信号として用いることによりリサージュ信号を取得することができる。
【0048】
なお、受光素子21〜24で取得される干渉信号は、下記式2で表される電流信号となる。
【数2】
I1,I2は、受光素子21〜24でそれぞれ取得された第2の回折光L4,L6の強度であり、Kは回折格子1の波数、δは初期位相である。回折格子1の格子周期をΛとすると、波数Kは、K=2Π/Λによって表される。また、xは、回折格子1の移動量である。
したがって、回折格子1がx軸方向にΛ/4だけ移動すると、干渉信号が一周期分だけ変化する。
【0049】
また、可干渉距離が一定の範囲にある光源部2を用いる場合には、第1の光束L1が、第2の回折光L4として光合成部13に入射するまでの光路と、第2の光束L2が、第2の回折光L6として光合成部13に入射するまでの光路を等しくすることが好ましい。
これにより、波長変動による誤差の発生を小さくすることができる。このような光源としては、例えばマルチモードの半導体レーザやスーパールミネッセンスダイオード等が挙げられる。
こうした光源を用いることにより、光路長の差を干渉縞の変調率の変化として容易に検出することが可能である。また、光路長の調整は、ミラー5,6またはミラー8,11の位置を調節することによる行うことができる。
【0050】
1−2.検出部の構成
これらの受光素子21〜24によって得られる信号は、図6に示す位置情報検出部60によって演算され、被測定面の変位量がカウントされる。
【0051】
受光素子21,22によって取得された電流信号は、I/V変換器25,26によって電圧信号に変換される。I/V変換器25,26によって変換された電圧信号は、差動増幅器29によって差動増幅され、干渉信号の直流成分がキャンセルされる。
そして、この信号はA/D変換器31によってA/D変換され、デジタル信号処理部33に入力される。デジタル信号処理部33では、入力された信号の信号振幅やオフセット、位相が補正され、例えばA相のインクリメンタル信号として出力される。
【0052】
また同様に、受光素子23,24で得られた電流信号は、I/V変換器27,28によって電圧信号に変換される。そして、この信号は、差動増幅器37によって差動増幅された後、A/D変換器32によってA/D変換される。
A/D変換された信号は、デジタル信号処理部33により信号振幅、オフセット及び位相が補正され、A相と位相が90度異なるB相のインクリメンタル信号として出力される。
【0053】
こうして得られた2相のインクリメンタル信号は、図示しないパルス弁別回路等により正逆の判別が行われ、これにより、被測定面のX軸方向(図1参照)の変位量が、プラス方向であるかマイナス方向であるかを検出できる。
また、図示しないカウンタによってインクリメンタル信号の単位時間の位相変化をカウントすることにより、第2の回折光L4と第2の回折光L6との干渉光強度が上述の周期の何周期分変化したのかを計測できる。したがって、これにより被測定面のX軸方向の変位量を検出することができる。
【0054】
なお、本実施形態の位置情報検出部60が出力する位置情報は、上述の2相のインクリメンタル信号であってもよいし、それから算出された変位量、変位方向を含む信号であってもよい。
また、上述のパルス弁別回路やカウンタは、デジタル信号処理部33内に内蔵されていてもよい。
【0055】
1−3.回折格子の構成
(1)1次元回折格子
1次元方向の位置検出を行う場合には、図7に示すように、矩形のレリーフが1次元方向(X軸方向)に並べられた回折格子1を用いることができる。回折格子1の格子周期をΛとすると、格子周期Λは、回折格子1に入射させる光の波長λの1.5倍以下とされる。
なお、λは回折格子1への入射時における波長であり、真空中での波長をλ0、回折格子1の周囲の雰囲気の屈折率をnとすると、λ=λ0/nである。
【0056】
例えば、図8は、γ=0°(図3参照)、Λ/λ=1とし、Θ1=20°で波長0.79μmの光を回折格子1に入射させた場合の1次回折光の光量を、シミュレーションにより求めたものである。
シミュレーションには、RCWA(Rigorous Coupled Wave Theory)法を用いた。RCWA法は、格子の構造が光の波長と同程度、もしくはそれ以下の場合でも回折光を正確にシミュレーションできる手法である。
なお、縦軸に示す光の光量は、回折格子1への入射光の光量を1としている。また、横軸は、回折格子1の溝の深さdと、波長λの比を示している。また、この回折格子1には、矩形のレリーフが形成されたガラスの基板34上に金薄膜35が形成されたものを用いた。
【0057】
回折格子1に対して、偏光方向が回折格子1の周期方向に沿ったP偏光を入射した場合である線B3では、最大で0.8を超える光量が得られることがわかる。
これに対して、回折格子1に対してS偏光が入射した場合である線B4では、d/λが0.2〜0.3の範囲において光量がほぼゼロとなっている。
【0058】
したがって、上記引用文献1のように、回折格子への一回目の入射と二回目の入射とで偏光方向が90度異なる場合には、例えば一回目の入射をP偏光により行ったとしても、二回目にはS偏光が入射されるので、二回目の回折光量は非常に小さくなる。
このため、P偏光による高い回折効率を生かすことができない。
また、回折格子1に対するP偏光及びS偏光のこうした傾向は、Λ/λが1.5以下になるとより顕著に表れる。
【0059】
一方、本実施の形態による変位検出装置では、回折格子1への一回目の入射及び二回目の入射の両方において、P偏光を入射させている。このため、一回目の回折及び二回目の回折の両方において、高い回折効率を実現することが可能であり、受光素子21〜24は、より強度の大きな干渉光を受光することができる。すなわち、S/N比の大きな検出信号を取得することが可能である。
検出信号の高いS/N比は、信号の1周期を数千分の1に分割して高い分解能を得るために必要となる重要な条件である。
【0060】
(2)2次元回折格子
2次元方向の変位を検出したい場合には、図9に示すような、2次元方向にレリーフの周期構造が設けられた回折格子1を用いることができる。この回折格子1には、X軸方向及びY軸方向から見て、断面が矩形または台形となるレリーフが周期的に形成されている。
図10は、この回折格子1をZ軸方向から見た上面図である。このX軸方向及びY軸方向に対応して、二つの信号取得部50a及び50bをそれぞれ配置することにより、X軸方向及びY軸方向の変位を検出することが可能になる。
【0061】
信号取得部50a,50bは、図1に示した信号取得部50と同一のものである。ただし、信号取得部50aから光が入射する回折格子1上の2点は、Y軸方向に並んでいる。また、信号取得部50bから光が入射する回折格子1上の2点は、X軸方向に並んでいる。
これにより、信号取得部50aは、矢印A1に示すY軸方向への変位による干渉信号を取得し、信号取得部50bは、矢印A2に示すX軸方向への変位による干渉信号を取得する。
信号取得部50a,50bには、図6において示した位置情報検出部60をそれぞれ接続することで、X軸方向及びY軸方向の位置情報を検出することができる。
【0062】
このような2次元の回折格子1に光を入射させると、その回折光は2次元方向に生じる。例えば、図9の矢印A3に示すように、回折格子1に対してX軸方向に光が入射した時に生じる可能性がある回折光を図11に示す。
図11の矢印a〜矢印hに示すように、回折格子1の面内において8方向に回折光が生じ得る。ここで、図2における第1の回折光L3に相当する1次回折光は、矢印bに示す回折光である。したがって、変位の検出において、この矢印bに示す回折光以外は不要であり、もし矢印a,c〜hに示す回折光が信号取得部50a,50bに受光されると、正確な干渉信号を取得することができない。
【0063】
このため、矢印bに示す回折光の強度が大きく、矢印a,c〜hに示す回折光はなるべく小さくなるようにすることが望ましい。
そこで、図12に示すように、X軸方向またはY軸方向から見て、回折格子1のレリーフを形成する突起36の側面と、回折格子1の格子面に対する法線とがなす角Θ5を変化させた場合において、上述の方向に生じる回折光の強度をシミュレーションした。
シミュレーションには、上述のRCWA法を用い、また、回折格子1の基板34はガラス基板とし、基板34上に反射膜として金薄膜35を形成したものを用いた。
【0064】
また、Λは回折格子1のレリーフの周期であり、Dは突起36の幅、Hは突起36の高さである。
なお、この突起36は、X軸方向及びY軸方向から見て同一の形状をしており、いわゆる正四角錐台形状とする。また、Θ5の値が0度である時には、突起36はX軸方向及びY軸方向から見て矩形をした直方体形状となる。
【0065】
Θ5の値を0度、10度、20度、30度、40度、50度とし、回折格子1にP偏光を入射した場合における回折光強度を図13〜図18にそれぞれ示す。横軸はΛ/λであり、縦軸は、入射光の強度を1とした場合における回折光の強度である。
このシミュレーションでは、1次回折光が最大となる条件での各回折光の強度を求めた。回折格子1の周期Λ/λの値によって回折1次光が最大となるH、入射角、Dの条件は異なる。しかし、Dは概ねD/Λ=0.7〜0.9、入射角は、1次回折光の回折角と入射角とが近い値になる角度(Θ2?Θ1)、Hについては、0.1λ〜0.3λの範囲にあるとき、1次回折光が最大となる。
【0066】
図13〜図18では、図11において示した矢印a〜hの方向に対応して、プロットされたシンボルにa〜hの符号を付している。また、シンボルkは回折格子1からの反射光である。
また、シンボルmは、回折格子1にS偏光を入射した場合において、矢印bの方向(図11参照)に生じた回折光の強度を示している。
【0067】
Θ5の値を0度とした場合である図13では、Λ/λの値が1.5以下において、線B5(シンボルb)に示す1次回折光が0.6以上となり、高い回折効率を示している。一方で、その他の方向への回折光の強度は、線B5に示す1次回折光の1/10以下となっていることがわかる。
また、Λ/λが1.5を超えると、線B5に示す回折光の強度は急激に低下し、その分、その他の回折光強度が大きくなっている。
【0068】
また、線B6(シンボルm)に示したS偏光の回折光では、1<Λ/λ<1.5の範囲において、回折光強度が非常に小さくなっている。このことから、回折格子1に対する一回目の入射及び二回目の入射の両方において、P偏光を入射させる本実施の形態は、高い回折光強度を得るうえで非常に有効であることがわかる。
なお、Λ/λ=0.6においては、線B6(シンボルm)に示すS偏光の回折光強度は0.8と高くなっている。したがって、このときには回折格子1への入射光としてS偏光を用いることも可能である。しかし、それでも線B5に示すP偏光の回折光に比べて10%以上回折光強度は小さくなる。
【0069】
また、突起36の角度Θ5を10度、20度、30度、40度、50度とした場合である図14〜図18においても、線B7〜L11に示すように、Λ/λが1.5以下では、回折格子1に入射したP偏光の1次回折光強度は0.6以上の大きな値となっている。
一方で、その他のP偏光の回折光は、Λ/λが1.5以下においてほとんど生じていない。
また、Λ/λが1.5より大きくなると、線B7〜L11に示すP偏光の1次回折光強度は、急激に低下している。
【0070】
なお、Θ5が50度の場合には、最適のHの条件では回折格子1の突起36の形状がほとんど四角錐に近くなる。
これらのことから、回折格子1の突起36の形状が直方体もしくは正四角錐台の時、Λ/λの値が1.5以下であれば、Θ5の値に関わらず、不要なP偏光の回折光は生じないことがわかる。
また、Θ5の値に関わらず、Λ/λの値が1.5以下であれば、P偏光の1次回折光は、S偏光の回折光よりも回折効率が高くなると言える。
【0071】
したがって、本実施の形態において2次元の回折格子を用いる場合にも、Λ/λの値が1.5以下とした回折格子を用いることが好ましい。これにより、高い強度の干渉信号を取得することができ、変位検出の精度を高めることが可能である。
【0072】
ただし、本実施の形態では、図1,3に示したように、回折格子1に入射させる第1の光束L1及び第2の光束L2は、面S2が面S1に対して角度γ傾いている分だけ、Y軸方向への傾きを有している。このY軸方向への傾きが大きくなり過ぎると、回折光量は、上述の図13〜図18に示した値からずれてくる。
【0073】
ここで、図19に示すように、回折格子1に入射する第1の光束L1を、YZ面である面S4に投影した光束L1aの入射角をΘs(=γ)、第1の光束L1と面S4がなす角度をΦsとする。
この時、1<ΛcosΦs/λ<1.5の場合には、下記式3を満たすように、γの値を設定するとよい。
【数3】
γの値を大きくしていくと、Y軸方向において−1次の回折光が出なくなり、+1次の回折光のみが生じるようになる。式3は、Y軸方向において±1次光の両方が生じるγの範囲を示している。図13〜図18に示したシミュレーション結果では、このような条件を仮定した。したがって、同様にY軸方向に±1次光の両方が生じるように、γを上述の式3の範囲内に設定することで、上述の図13〜図18に示した値と同様の回折光量を得ることができる。
【0074】
また、ΛcosΦs/λ<1の場合には、下記式4を満たすように、γの値を設定するとよい。
【数4】
ΛcosΦs/λ<1の場合、すなわち、回折格子1の周期を小さくしていくと、Y軸方向において1次の回折光の回折角が大きくなる。そして、ある所定の値よりも周期が小さくなるとY軸方向に1次回折光が生じず、0次光(反射光)のみが生じるようになる。上述の図13〜図18のシミュレーションでは、このような条件を仮定した。
しかし、γの値を大きくしていくと、回折格子1の周期が小さくても1次の回折光が生じるようになる。上記式4は、回折格子1の周期が小さい場合においても、1次回折光が生じず、0次光のみが生じる角度γの範囲を示しており、この範囲に設定することで、上述の図13〜図18に示したものと同等の回折条件とすることができ、同様の回折光量を得ることが可能である。
【0075】
2.第2の実施の形態
図20は、第2の実施の形態に係る変位検出装置200の概略構成を示す斜視図である。なお、第1の実施の形態(図1参照)において示した部位と対応する部位には同じ符号を付し、重複した説明を避ける。
本実施形態の変位検出装置は、干渉信号を生じさせ、この干渉信号を取得する信号取得部70と、取得された干渉信号から位置情報を検出する位置情報検出部とによって構成される。位置情報検出部は、第1の実施の形態(図6)において示したものと同じであってよく、ここでは図示及び説明を省略する。
【0076】
信号取得部70は、回折格子1と、照射光学系10と、反射光学系20と、干渉光学系30と、受光部40とを有する。
回折格子1、照射光学系10、干渉光学系30、受光部40の構成は、基本的に第1の実施の形態と同じであってよい。ただし、本実施の形態では、回折格子1からの回折光を、反射光学系20によって回折格子1に再入射させる位置が異なる。
【0077】
図21は、この信号取得部70をX軸方向から見たものであり、図22は、Y軸方向から見た場合である。
図21,22に示すように、本実施の形態では、回折格子1からの回折光は、反射光学系20によって、回折格子1からの出射位置とはY軸方向に異なる位置に再入射する。
【0078】
例えば、図21に示すように、光束分割素子4によって分割された第1の光束L1は、回折格子1上の点P3に入射する。これにより生じた第1の回折光L3は、レンズ7を透過した後ミラー8によって反射され、回折格子1上の点P3とはY軸方向に位置が異なる点P4に入射する。
そして、これにより生じた第2の回折光L4は、図示しないミラー6によって反射された後ダミーガラス14を透過し、光合成部13に入射する。
【0079】
このように本実施の形態では、Y軸方向に第1の光束L1と第2の回折光L4の光路をずらしている。このため光束分割素子4と光合成部13は、Y軸方向に重ねて配置されており、ダミーガラス14は、光合成部13の光入射面にのみ設けられる。
【0080】
また、図22に示すように、光束分割素子4によって分割された第2の光束L2(図21では図示を省略)は、回折格子1上の点P3に入射する。これにより生じた第1の回折光L5は、レンズ9を透過した後ミラー11によって反射され、回折格子上の点P4に再入射する。
点P4への再入射によって生じた第2の回折光L6は、ミラー6によって反射され、1/2波長板12を透過した後、光合成部13に入射する。
【0081】
本実施形態では、光を入射させる回折格子1上の点P3、点P4をY軸方向にずらしているので、図22に示すように、第1の光束L1と第2の回折光L4の光路は、Y軸方向から見てほぼ一致している。
また、第2の光束L2と第2の回折光L6の光路も、Y軸方向から見てほぼ一致している。
【0082】
また、光合成部13に入射した第2の回折光L4,L6が受光部40に受光されるまでの経路、及び受光部40によって取得された干渉信号から位置情報を検出する方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0083】
本実施の形態においても、回折格子1のレリーフの周期は、回折格子1に入射する光の波長の1.5倍以下とされる。また第1の光束L1及び第2の光束L2は、回折格子1に対してP偏光として入射し、反射光学系20によって反射された第1の回折光L3,L5もまた、P偏光として回折格子1に入射する。このため、第1の実施の形態と同様に高い回折効率を実現でき、より大きな干渉信号が得られるので、精度の高い位置検出を行うことが可能である。
【0084】
また、その他の構成、効果についても、第1の実施の形態と同様である。
例えば、反射光学系20に入射した回折光を、回折格子1上の異なる点に反射する方法は、第1の実施の形態(図4参照)と同じであってよい。すなわち、レンズ7の光軸をずらすか、もしくはミラー8を傾けることで行える。ただし、光軸をずらす方向、またはミラー8を傾ける方向は、Y軸方向に沿った方向とする。
【0085】
また、レンズ7,9の焦点は、本実施の形態においても回折格子1上に配置される。
図23は、本実施の形態において、回折格子1を、ヨーイング方向(回折格子1の面内方向、図20においてX−Y面内方向)やピッチング方向(X−Z面内方向)に回転させたときに得られる干渉信号の強度を示している。
横軸は回折格子1の回転角であり、縦軸は干渉信号強度である。なお、回転角がゼロのときの干渉信号を1とし、レンズ7,8の焦点距離が25mm、点P3と点P4の間の距離を0.6mmとしている。
【0086】
線B11に示すヨーイング方向では、1度の回転角でも、回転角がゼロの場合と比較して95%以上の干渉信号を維持している。
また、線B11に示すピッチング方向においても、1度の回折角において、90%近い干渉信号を維持している。
したがって、第1の実施の形態において示した図5と比較すると、回折格子1の回転に対しては、本実施の形態による変位検出装置200の方が、許容範囲を大きくとることが可能であると言える。
【0087】
3.第3の実施の形態
また、回折格子1として二次元の回折格子を用いる場合には、測定方向に対応してそれぞれ設けられる二つの信号取得部を、交差させて配置することも可能である。
図24は、第3の実施の形態に係る変位検出装置300の概略構成図である。図24Aは、この変位検出装置300をY軸方向から見たものであり、図24Bは、X軸方向から見たものである。第1の実施の形態(図1参照)と対応する部位には同一符号を付し、重複した説明を避ける。
【0088】
本実施の形態による変位検出装置300は、回折格子1と、二つの信号取得部70a,70bと、図示を省略する位置情報検出部とによって構成される。
回折格子1は、第1の実施の形態(図9,10,12参照)において示したものと同じものが用いられる。したがって、この回折格子のレリーフの周期Λは、入射する光の波長λに対して、Λ/λが1.5以下となるように構成される。また、その他の回折格子1の構成についても、第1の実施の形態と同様である。
【0089】
また、信号取得部70a,70bの基本構成は、それぞれ第2の実施の形態(図20,21,22参照)において示した信号取得部70と同一の構成をとる。
ただし、本実施の形態では、信号取得部70aと信号取得部70bは、交差するように配置される。信号取得部70aと信号取得部70bの交差とは、例えば図24からわかるように、信号取得部70aの照射光学系を構成する二つのミラー5c,6cを結ぶ線と、信号取得部70bの照射光学系を構成する二つのミラー5d,6dとを結ぶ線が交差している状態を指す。
【0090】
図24Aに示すように、信号取得部70aでは、回折格子1に対してX軸方向に異なる二つの点P5,P6にP偏光を照射し、その回折光による干渉信号を取得する。
また、図24Bに示すように、信号取得部70bでは、回折格子1に対してY軸方向に異なる二つの点P7,P8にP偏光を照射し、その回折光による干渉信号を取得する。
【0091】
すなわち、図25に示すように、回折格子1をZ軸方向から見ると、信号取得部70aにより光が照射される二つの点P5,P6を結ぶ線分と、信号取得部70bにより光が照射される二つの点P7,P8を結ぶ線分は交差している。特に、本実施の形態では、この二つの線分の中心位置が互いに一致するように信号取得部70a,70bが配置される。
【0092】
信号取得部70aは、点P5,P6からの干渉信号を取得し、この干渉信号をもとに、図示しない位置情報検出部がX軸方向の位置情報を検出する。
また同様に、信号取得部70bは、点P7,P8からの干渉信号を取得し、この干渉信号をもとに、図示しない位置情報検出部がY軸方向の位置情報を検出する。この位置情報検出部は、第1の実施の形態(図6参照)において示したものと同じであってよく、例えば信号取得部70a,70bにそれぞれ接続される。ただし、一つのデジタル信号処理部33によって信号取得部70a,70b両方の信号を処理してもよい。
【0093】
例えば、図10のように、信号取得部50aと信号取得部50bの間の距離が離れていると、信号取得部50aによる回折格子1上の光照射点と、信号取得部50bによる回折格子1上の光照射点との間の距離が大きくなる。
回折格子1上において、X軸方向の変位を測定する位置と、Y軸方向の変位を測定する位置が大きく異なると、回折格子1が例えばピッチング方向に傾いている場合には、正確な変位検出を行うことが難しくなる。
【0094】
これに対して、本実施の形態では、上述のように二つの信号取得部70a,70bを交差させて配置することにより、回折格子1上への光照射点P5,P6,P7,P8を互いに近づけることができる。このため、誤差の小さい正確な変位検出を行うことが可能である。
【0095】
本実施の形態においても、回折格子1のレリーフの周期は、回折格子1に入射する光の波長の1.5倍以下とされる。また、回折格子1に入射する光は、常にP偏光として回折格子1に入射するので、第1の実施の形態と同様により高い干渉信号を得ることができる。したがって、精度良く二次元方向の位置検出を行うことができる。
また、その他の構成、効果についても、第1の実施の形態と同様である。
なお、本実施形態では、信号取得部70a,70bの基本構成は、それぞれ第2の実施の形態を用いたが、第1の実施の形態を用いても、本実施例と同様に構成することが可能である。
【0096】
以上、変位検出装置の実施の形態について説明した。本技術は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本技術の要旨を逸脱しない限りにおいて、考えられる種々の形態を含むものである。
【符号の説明】
【0097】
1・・・回折格子、2・・・光源部、3・・・レンズ、4・・・光束分割素子、4a・・・光束分割面、5,5c,5d,6,8,11・・・ミラー、7,9,15・・・レンズ、10・・・照射光学系、12・・・1/2波長板、13・・・光合成部、14・・・ダミーガラス、15・・・レンズ、16・・・1/4波長板、17,18,19・・・無偏光ビームスプリッタ、20・・・反射光学系、21,22,23,24・・・受光素子、25,26,27,28・・・I/V変換器、29,34・・・差動増幅器、30・・・干渉光学系、31,32・・・A/D変換器、33・・・デジタル信号処理部、34・・・基板、35・・・金薄膜、36・・・突起、37・・・差動増幅器、40・・・受光部、50,50a,50b,70,70a,70b・・・信号取得部、60・・・位置情報検出部、100,200,300・・・変位検出装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いた非接触センサにより、高精度に被測定面の変位を検出する変位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被測定面の変位や形状を測定する装置として変位検出装置が広く利用されている。
この変位検出装置には、測定対象面上に固定された回折格子に光を照射し、測定対象の移動に伴って生じる回折光の位相変化を検出するものがある。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、光源から出射された可干渉光を二つの可干渉光に分割し、この二つの可干渉光を回折格子に入射させることが開示されている。回折格子に入射した二つの可干渉光が生じる二つの回折光を反射光学系によって反射し、回折格子に再び入射させるものである。
この方法では、一度回折した光を反射光学系によって反射し、回折格子にて再び回折させることで、検出分解能を高めることが可能である。
【0004】
特に、下記特許文献1では、回折格子に入射する可干渉光を回折格子上において結像させている。また、回折格子によって回折された回折光を結像手段によって平行光にコリメートし、反射器に対して常に垂直に入射させることで、回折光を反射している。
これにより、回折光が回折格子に再入射する際の結像位置や、回折光が回折格子に再入射することによって生じる回折光の光軸がずれるのを防止できる。このため、高精度な一検出を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4023923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された方法では、回折格子によって回折された回折光を回折格子に再入射させる際に、偏光方向を90度回転させている。これは、回折格子に最初に入射する可干渉光と、回折格子によって2回回折された後の回折光の偏光方向を90度異ならせ、両者の分離を効率良く行うためである。
【0007】
一方で、変位検出の精度を向上させるためには、回折格子を微細化することが必要である。しかし、回折格子を微細化していくと、回折効率は入射光の偏光方向に対して依存性が生じる。
したがって、上記特許文献1に開示された方法において、回折格子に可干渉光を最初に入射させたときの回折効率が高かったとしても、その回折光を再び回折格子に入射させる時には偏光方向が異なるため、2回目の回折では回折効率が低下してしまう。このため、取得される干渉信号が小さくなり、精度の高い位置検出には限界がある。
【0008】
上述のような点を鑑みて、本発明は、回折格子によって一度回折された光を回折格子によって再び回折させる構成であっても、高い回折効率を示し、精度良く位置検出を行える変位検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明による変位検出装置は、台形または矩形のレリーフ形状をした回折格子を用いる。
また、本発明による変位検出装置は、可干渉光を出射する光源部と、光源部から出射された光束を二つの光束に分割する光束分割部と、を含み、二つの光束をP偏光として上述の回折格子上に照射させる照射光学系を備える。
また、上述の二つの光束が回折格子により回折されることによって生じる二つの第1回折光をそれぞれ反射し、回折格子上にP偏光として再入射させる反射光学系と、回折格子に再入射した二つの第1回折光が回折されて生じる二つの第2回折光を干渉させる干渉光学系を備える。
また、干渉光学系により干渉した光を受光する受光部と、受光部において取得した干渉信号に基づいて、回折格子の位置情報を検出する位置検出部を備える。
そして、回折格子のレリーフの周期は、回折格子に入射する可干渉光の波長の1.5倍以下とする。
【0010】
本発明の変位検出装置は、レリーフの周期が、入射する光の波長の1.5倍以下とされた回折格子を用いる。このため、入射するP偏光に対して高い回折効率を実現することができる。
またさらに、一度回折格子によって回折された光は、P偏光として回折格子に再入射する。したがって、回折格子への再入射時においても、高い回折効率が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の変位検出装置によれば、回折格子に入射させた光に対して高い回折効率を実現することができる。このため、大きな干渉信号を取得することが可能であり、精度良く位置検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部の構成を示す概略斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部の構成を示す概略構成図である。
【図3】回折格子に入射する光の角度を示す説明図である。
【図4】A,B 第2の回折光が反射光学系によって反射される光路を示す説明図である。
【図5】回折格子を傾けた時の干渉信号の強さを示す説明図である。
【図6】位置情報検出部の構成を示すブロック図である。
【図7】回折格子の概略断面図である。
【図8】回折格子のレリーフ形状と、回折光強度の関係を示す説明図である。
【図9】回折格子に入射する光を示す説明図である。
【図10】二次元回折格子に対して、ふたつの信号取得部を配置した状態を示す説明図である。
【図11】二次元回折格子によって生じる回折光を示す説明図である。
【図12】二次元回折格子の概略断面図である。
【図13】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図14】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図15】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図16】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図17】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図18】二次元回折格子のレリーフ形状と、干渉光強度の関係を示す説明図である。
【図19】回折格子に入射する光の角度を示す説明図である。
【図20】第2の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部を示す概略斜視図である。
【図21】第2の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部の構成を示す概略構成図である。
【図22】第2の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部の構成を示す概略構成図である。
【図23】回折格子を傾けた時の干渉信号の強さを示す説明図である。
【図24】A,B 第3の実施の形態に係る変位検出装置の信号取得部を示す概略構成図である。
【図25】二次元回折格子に対して、二つの信号取得部により光を照射する位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
説明は以下の順で行う。
1.第1の実施形態
1−1.信号取得部の構成
1−2.検出部の構成
1−3.回折格子の構成
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
【0014】
1.第1の実施形態
1−1.信号取得部の構成
図1は、第1の実施形態に係る変位検出装置100の構成を示す概略斜視図である。また、図2は、変位検出装置100の概略正面図である。ここでは変位検出装置100のうち、回折格子1と、回折格子1に光を照射して干渉信号を生じさせ、その干渉信号を受光する信号取得部50についてまず図示し、説明する。
なお、本実施形態に係る変位検出装置100は、この回折格子1と、信号取得部50と、後述する取得された干渉信号から位置情報を検出する位置情報検出部60とによって構成される。
【0015】
回折格子1は反射型回折格子であり、図1中において、周期構造がX軸方向に形成されている。回折格子1は、変位を検出したい対象物に固定され、対象物の移動に伴って回折格子1も移動する。
また、信号取得部50は、照射光学系10と、反射光学系20と、干渉光学系30と、受光部40とを有する。
【0016】
照射光学系10は、可干渉光を出射する光源部2と、光源部2から出射された光の光路上に配置された光束分割素子4と、光束分割素子4によって分割された二つの光束を反射し、回折格子1上に導くミラー5,6を備える。
光源部2は、例えば半導体レーザダイオードやスーパールミネッセンスダイオード、発光ダイオード等によって構成される。
【0017】
光源部2から出射された可干渉光は、レンズ3を透過した後、光束分割素子4に入射する。レンズ3は、光源部2から出射された可干渉光を回折格子1上に結像させるためのものである。
また、光束分割素子4には、例えば無偏光ビームスプリッタが用いられる。この光束分割素子4によって、光源部2からの可干渉光は第1の光束L1と第2の光束L2に分割される。
【0018】
光束分割素子4によって反射された第1の光束L1は、ミラー5によって反射されることによって光路を変え、回折格子1上の点P1に入射する。また、光束分割素子4を透過した第2の光束L2はミラー6によって反射され、回折格子1上の点P2に入射する。
これらの点P1,P2は、回折格子1の周期方向(X軸方向)上に位置している。
【0019】
ここで、第1の光束L1と第2の光束L2は、回折格子1の面に垂直で、かつ回折格子1の周期方向(X軸方向)に平行な面S1に対して、角度γだけ傾いた面S2上に位置している。
【0020】
また、光束L1,L2は、回折格子1に対してP偏光として入射される。特に、本発明において回折格子1に入射するP偏光とは、その偏光方向が、光束L1,L2がなす面S2に沿っている光として定義する。
例えば、光源部2の光源に半導体レーザを用いる場合には、直線偏光が出射されるので、出射される光の光軸を中心に半導体レーザを回転させることにより、光束L1,L2の偏光方向を上述の偏光方向に合わせることが可能である。
LED等の無偏光光源を用いる場合には、光源部2を無偏光光源と偏光フィルタによって構成し、光源部2を回転させることで光束L1,L2の偏光方向を調整できる。
【0021】
図2は、図1に示した変位検出装置100を、Y軸方向から見た正面図である。図2に示すように、光束L1,L2の入射点P1,P2は、光束分割素子4の光束分割面4aに対して対称な位置にある。
点P1に入射した光束L1は、回折格子1によって回折され、第1の回折光L3が生じる。
【0022】
Y軸方向から見た図2において、第1の光束L1の入射角度をΘ1、第1の回折光L3の回折角をΘ2とすると、回折角Θ2は下記式1によって表わされる。
【数1】
ここで、Λは回折格子1の格子周期であり、λは光の波長、mは回折次数、Φは入射する光束L1と、面S1のなす角度である。例えば本実施例では、第1の回折光L3として1次回折光を用いるので、m=1である。
【0023】
このΦについて、図3を用いて詳細に説明する。既述のように、光束L1は面S2内にあり、また、面S2は、回折格子1の面に垂直で、かつその周期方向に沿った面S1に対して角度γだけ傾いている。
この光束L1を面S1に投影した光束L1’の入射角がΘ1であり、光束L1と光束L1’とがなす角がΦである。
【0024】
第1の回折光L3は、レンズ7によってコリメートされ、例えばミラー8に対してほぼ垂直に入射する。
図4Aに示すように、レンズ7の回折格子1側の焦点は、回折格子1上に配置される。これにより、回折格子1が、ヨーイング方向(回折格子1の面内方向、図1においてX−Y面内方向)やピッチング方向(X−Z面内方向)に回転したとしても、ミラー8によって反射された第1の回折光L3が回折格子1に再入射する角度は変化しない。したがって、干渉信号の低下を小さくすることができる。
【0025】
ただし、本実施の形態においてレンズ7は、回折格子1の点P1から生じた第1の回折光L3に対して、レンズ7の光軸Axを距離dだけ僅かにずらして配置される。
これにより、ミラー8に入射した第1の回折光L3は、図4Aに示すように入射時と異なる光路上に反射される。そして、反射された第1の回折光L3は、第1の回折光L3の回折角Θ2と異なる入射角Θ3で、回折格子1上の点P2に入射する。
【0026】
もしくは、図4Bに示すように、回折格子1上の点P1からレンズ7に入射する第1の回折光L3の光軸とレンズ7の光軸を一致させてレンズ7を配置し、ミラー8の反射面を、レンズ7の光軸に対して90度からΔΘだけ傾けて配置してもよい。
この構成によっても、ミラー8により反射された第1の回折光L3を、回折格子1上の点P1とは異なる点P2に入射させること可能である。なお、レンズ7の焦点は、回折格子1の点P上に配置されている。
【0027】
このように、回折格子1からレンズ7に入射する第1の回折光L3の光路と、ミラー8によって反射された第1の回折光L3の光路とが異なる場合であっても、上述のようにレンズ7の焦点を回折格子1上に配置することで、同様に干渉信号の低下を小さくできる。
【0028】
図5は、本実施の形態による変位検出装置100において、回折格子1をヨーイング方向、及びピッチング方向に回転させた時における干渉信号の変化をシミュレーションしたものである。
レンズ7の焦点距離は25mmとして、その焦点位置は回折格子1上に配置した状態としている。また、点P1と点P2間の距離は1mmである。縦軸は干渉信号の強度であり、回折格子1の回転角が0度の時の干渉信号強度を1とした。また、横軸は回折格子1の回転角である。
【0029】
図5の線B1に示すように、ヨーイング方向に回折格子1が回転した場合には、干渉信号の強度にはほとんど変化が見られない。
また、線B2に示すピッチング方向では、0.5度の回転角においても、0.5以上の干渉信号を維持している。
例えば、レンズ7が配置されていない場合には、ピッチング方向の回転角が1分以下であっても干渉信号はゼロになる。したがって、回折格子1からレンズ7に入射する第1の回折光L3の光路と、ミラー8によって反射された第1の回折光L3の光路とが異なる場合であっても、十分に干渉信号の低下を抑制できることがわかる。
【0030】
図1,2に戻ると、回折格子1上の点P2に入射角Θ3で入射した第1の回折光L3は、回折格子1によって回折され、回折角Θ4の第2の回折光L4が生じる。この第2の回折光L4は、本実施の形態では1次回折光である。
【0031】
この第2の回折光L4は、ミラー5に再入射する。ただし、本実施の形態において、図2中の点P1及び点P2に示すように、第1の光束L1が回折格子1に入射する位置と、第2の回折光L4が生じる回折格子1上の位置は異なっている。このため、第1の光束L1と第2の回折光L4の光路を別々にすることが可能であり、第1の光束L1と第2の回折光L4の分離を容易に行うことができる。
【0032】
また、第1の光束L1が回折格子1に入射する入射角Θ1と、第2の回折光L4の回折角Θ4を異なる値に設定することで、第1の光束L1と第2の回折光L4の光路をより大きく離すこと可能である。例えばミラー5の角度や、上述したレンズ7の光軸のずれ量等を調整することで、第1の光束L1の入射角Θ1や第2の回折光L4の回折角Θ4を変更できる。
ただし、この入射角Θ1及び第2の回折角Θ4は、第1の光束L2と第2の回折光L4との分離を十分に行える範囲で、できるだけ小さくすることが好ましい。
【0033】
一方、光束分割素子4を透過した第2の光束L2は、ミラー6によって反射され、入射角Θ1で回折格子1上の点P2に入射する。図2に示すように、ミラー6、レンズ9及びミラー11は、光束分割素子4の光束分割面4aに対して、ミラー5、レンズ7、ミラー8と対称に配置される。
したがって、回折格子1上の点P2に入射した第2の光束L2は、回折格子1の点P1に入射した第1の光束L1と対称の光路をたどる。
【0034】
例えば、回折格子1上の点P2に入射した第2の光束L2は、回折格子1によって回折され、回折角Θ2の第1の回折光L5を生じる。第1の回折光L5は、レンズ9を透過するとミラー11によって反射され、再びレンズ9に入射する。レンズ9を透過した第1の回折光L5は、入射角Θ3で回折格子1上の点P1に入射し、回折角Θ4の第2の回折光L6を生じる。
そして、第2の回折光L6は、ミラー6に再入射する。
【0035】
このように、点P1に入射した第1の光束L1が第2の回折光L4としてミラー5に再入射するまでの光路と、点P2に入射した第2の光束L2が第2の回折光L6としてミラー6に再入射するまでの光路は、ともに回折格子1上の点P1及び点P2を経由する。
したがって、回折格子1に形状の誤差が局所的に存在した場合であっても、第2の回折光L4,L6は互いに同じ影響を受けるので、位置検出の誤差要因となるのを抑制できる。
【0036】
ミラー5またはミラー6によって反射された第2の回折光L4,L6は、干渉光学系30に入射する。
干渉光学系30は、第2の回折光L6の光路上に配置された1/2波長板12と、二つの第2の回折光L4,L6を同一光路上に合成する光合成部13と、光合成部13により合成された光束の光路上に配置された1/4波長板16を含む。
また、1/4波長板16を透過した光束を分割する無偏光ビームスプリッタ17と、無偏光ビームスプリッタ17によって分割された光束の光路上にそれぞれ配置される偏光ビームスプリッタ18,19を含む。
【0037】
第2の回折光L6は、1/2波長板12を透過することにより偏光方向が90度回転し、S偏光として光合成部13に入射する。また、第2の回折光L4は、ダミーガラス14を透過した後、光合成部13にP偏光として入射する。
ダミーガラス14は、1/2波長板12と同じ光路長を有している。したがって、1/2波長板12を透過した第2の回折光L6と、ダミーガラス14を透過した第2の回折光L4の光路長は等しい。
【0038】
第2の回折光L4は、偏光ビームスプリッタ等の光合成部13をP偏光として透過し、S偏光である第2の回折光L6は、光合成部13によって反射される。これにより、第2の回折光L4と第2の回折光L6とが同一光路上に合成される。
【0039】
本実施の形態では、回折格子1に対して二つの光束をP偏光として入射させるために、光束分割素子4として無偏光ビームスプリッタが配置されている。
既述のように、第2の回折光L4,L6は、第1の光束L1,L2の光路と異なる光路でミラー5,6に反射されるので、光合成部13と光束分割素子4を、互いの障害になることなく配置することが可能である。
【0040】
合成された第2の回折光L4,L6は、レンズ15を透過すると、1/4波長板16に入射する。なお、レンズ15は、第2の回折光L4,L6を受光素子21,22,23,24上に集光させるためのものである。
1/4波長板16は、第2の回折光L4,L6の偏光方向に対して、光学軸を45度傾けて配置される。したがって、第2の回折光L4,L6は、1/4波長板16を透過することにより、互いに逆周りの円偏光となる。
【0041】
また、第2の回折光L4,L6は、同一光路上にあるので、これらの光が重ね合わされることにより、偏光方向が、第2の回折光L4,L6の位相差の変化(回折格子1の移動による位相の変化)に伴って回転する直線偏光となる。
【0042】
この直線偏光は、ハーフミラー等の無偏光ビームスプリッタ17によって二つの光束に分割される。
無偏光ビームスプリッタ17によって反射された光束は、偏光ビームスプリッタ18に入射し、そのS偏光成分とP偏光成分とに分割される。
また同様に、無偏光ビームスプリッタ17を透過した光束は、偏光ビームスプリッタ19に入射し、S偏光成分とP偏光成分とに分割される。
【0043】
これらのS偏光成分とP偏光成分は、受光部40によって受光される。受光部40は、偏光ビームスプリッタ18によって分割された光束をそれぞれ受光する受光素子21,22と、偏光ビームスプリッタ19によって分割された光束をそれぞれ受光する受光素子23,24とによって構成される。これらの受光素子21〜24には、例えばフォトダイオード等が用いられる。
【0044】
偏光ビームスプリッタ18を透過したP偏光成分は、受光素子21に受光され、偏光ビームスプリッタ18によって反射されたS偏光成分は、受光素子22に受光される。
直線偏光から、偏光ビームスプリッタ等の偏光子によって互いにα度異なる偏光方向の成分を取り出すと、取り出された光の強度から検出される信号は、互いに2α度だけ位相が異なる信号となる。
ここでは、偏光ビームスプリッタ18によって、偏光方向が互いに90度異なる偏光成分を取り出しており、受光素子21,22によって検出される光の強度信号は、位相が180度異なっている。
したがって、受光素子21,22によって取得された光の強度信号の差をとることにより、信号の直流成分の変動を除くことができる。
【0045】
一方、偏光ビームスプリッタ19に入射した光束のうち、偏光ビームスプリッタ19によって反射されたS偏光成分は、受光素子23に受光される。また、偏光ビームスプリッタ19を透過したP偏光成分は、受光素子24に受光される。
ここでも、受光素子23,24において検出される光の強度信号は、互いに位相が180度異なっている。
【0046】
また、偏光ビームスプリッタ19は、偏光ビームスプリッタ18によって取り出される偏光成分の偏光方向に対して、45度偏光方向が異なる偏光成分を取り出すように、傾けて配置される。
したがって、偏光ビームスプリッタ19によって反射されたS偏光が、受光素子23によって受光されると、その光の強度信号は、受光素子21において取得された信号に対して位相が90度ずれた信号となる。
また、偏光ビームスプリッタ19を透過したP偏光が、受光素子24によって受光されると、その光の強度信号は、受光素子22において取得された信号に対して位相が90度異なる。
【0047】
これにより、例えば受光素子21,22で得られる信号をsin信号、受光素子23,24において得られる信号をcos信号として用いることによりリサージュ信号を取得することができる。
【0048】
なお、受光素子21〜24で取得される干渉信号は、下記式2で表される電流信号となる。
【数2】
I1,I2は、受光素子21〜24でそれぞれ取得された第2の回折光L4,L6の強度であり、Kは回折格子1の波数、δは初期位相である。回折格子1の格子周期をΛとすると、波数Kは、K=2Π/Λによって表される。また、xは、回折格子1の移動量である。
したがって、回折格子1がx軸方向にΛ/4だけ移動すると、干渉信号が一周期分だけ変化する。
【0049】
また、可干渉距離が一定の範囲にある光源部2を用いる場合には、第1の光束L1が、第2の回折光L4として光合成部13に入射するまでの光路と、第2の光束L2が、第2の回折光L6として光合成部13に入射するまでの光路を等しくすることが好ましい。
これにより、波長変動による誤差の発生を小さくすることができる。このような光源としては、例えばマルチモードの半導体レーザやスーパールミネッセンスダイオード等が挙げられる。
こうした光源を用いることにより、光路長の差を干渉縞の変調率の変化として容易に検出することが可能である。また、光路長の調整は、ミラー5,6またはミラー8,11の位置を調節することによる行うことができる。
【0050】
1−2.検出部の構成
これらの受光素子21〜24によって得られる信号は、図6に示す位置情報検出部60によって演算され、被測定面の変位量がカウントされる。
【0051】
受光素子21,22によって取得された電流信号は、I/V変換器25,26によって電圧信号に変換される。I/V変換器25,26によって変換された電圧信号は、差動増幅器29によって差動増幅され、干渉信号の直流成分がキャンセルされる。
そして、この信号はA/D変換器31によってA/D変換され、デジタル信号処理部33に入力される。デジタル信号処理部33では、入力された信号の信号振幅やオフセット、位相が補正され、例えばA相のインクリメンタル信号として出力される。
【0052】
また同様に、受光素子23,24で得られた電流信号は、I/V変換器27,28によって電圧信号に変換される。そして、この信号は、差動増幅器37によって差動増幅された後、A/D変換器32によってA/D変換される。
A/D変換された信号は、デジタル信号処理部33により信号振幅、オフセット及び位相が補正され、A相と位相が90度異なるB相のインクリメンタル信号として出力される。
【0053】
こうして得られた2相のインクリメンタル信号は、図示しないパルス弁別回路等により正逆の判別が行われ、これにより、被測定面のX軸方向(図1参照)の変位量が、プラス方向であるかマイナス方向であるかを検出できる。
また、図示しないカウンタによってインクリメンタル信号の単位時間の位相変化をカウントすることにより、第2の回折光L4と第2の回折光L6との干渉光強度が上述の周期の何周期分変化したのかを計測できる。したがって、これにより被測定面のX軸方向の変位量を検出することができる。
【0054】
なお、本実施形態の位置情報検出部60が出力する位置情報は、上述の2相のインクリメンタル信号であってもよいし、それから算出された変位量、変位方向を含む信号であってもよい。
また、上述のパルス弁別回路やカウンタは、デジタル信号処理部33内に内蔵されていてもよい。
【0055】
1−3.回折格子の構成
(1)1次元回折格子
1次元方向の位置検出を行う場合には、図7に示すように、矩形のレリーフが1次元方向(X軸方向)に並べられた回折格子1を用いることができる。回折格子1の格子周期をΛとすると、格子周期Λは、回折格子1に入射させる光の波長λの1.5倍以下とされる。
なお、λは回折格子1への入射時における波長であり、真空中での波長をλ0、回折格子1の周囲の雰囲気の屈折率をnとすると、λ=λ0/nである。
【0056】
例えば、図8は、γ=0°(図3参照)、Λ/λ=1とし、Θ1=20°で波長0.79μmの光を回折格子1に入射させた場合の1次回折光の光量を、シミュレーションにより求めたものである。
シミュレーションには、RCWA(Rigorous Coupled Wave Theory)法を用いた。RCWA法は、格子の構造が光の波長と同程度、もしくはそれ以下の場合でも回折光を正確にシミュレーションできる手法である。
なお、縦軸に示す光の光量は、回折格子1への入射光の光量を1としている。また、横軸は、回折格子1の溝の深さdと、波長λの比を示している。また、この回折格子1には、矩形のレリーフが形成されたガラスの基板34上に金薄膜35が形成されたものを用いた。
【0057】
回折格子1に対して、偏光方向が回折格子1の周期方向に沿ったP偏光を入射した場合である線B3では、最大で0.8を超える光量が得られることがわかる。
これに対して、回折格子1に対してS偏光が入射した場合である線B4では、d/λが0.2〜0.3の範囲において光量がほぼゼロとなっている。
【0058】
したがって、上記引用文献1のように、回折格子への一回目の入射と二回目の入射とで偏光方向が90度異なる場合には、例えば一回目の入射をP偏光により行ったとしても、二回目にはS偏光が入射されるので、二回目の回折光量は非常に小さくなる。
このため、P偏光による高い回折効率を生かすことができない。
また、回折格子1に対するP偏光及びS偏光のこうした傾向は、Λ/λが1.5以下になるとより顕著に表れる。
【0059】
一方、本実施の形態による変位検出装置では、回折格子1への一回目の入射及び二回目の入射の両方において、P偏光を入射させている。このため、一回目の回折及び二回目の回折の両方において、高い回折効率を実現することが可能であり、受光素子21〜24は、より強度の大きな干渉光を受光することができる。すなわち、S/N比の大きな検出信号を取得することが可能である。
検出信号の高いS/N比は、信号の1周期を数千分の1に分割して高い分解能を得るために必要となる重要な条件である。
【0060】
(2)2次元回折格子
2次元方向の変位を検出したい場合には、図9に示すような、2次元方向にレリーフの周期構造が設けられた回折格子1を用いることができる。この回折格子1には、X軸方向及びY軸方向から見て、断面が矩形または台形となるレリーフが周期的に形成されている。
図10は、この回折格子1をZ軸方向から見た上面図である。このX軸方向及びY軸方向に対応して、二つの信号取得部50a及び50bをそれぞれ配置することにより、X軸方向及びY軸方向の変位を検出することが可能になる。
【0061】
信号取得部50a,50bは、図1に示した信号取得部50と同一のものである。ただし、信号取得部50aから光が入射する回折格子1上の2点は、Y軸方向に並んでいる。また、信号取得部50bから光が入射する回折格子1上の2点は、X軸方向に並んでいる。
これにより、信号取得部50aは、矢印A1に示すY軸方向への変位による干渉信号を取得し、信号取得部50bは、矢印A2に示すX軸方向への変位による干渉信号を取得する。
信号取得部50a,50bには、図6において示した位置情報検出部60をそれぞれ接続することで、X軸方向及びY軸方向の位置情報を検出することができる。
【0062】
このような2次元の回折格子1に光を入射させると、その回折光は2次元方向に生じる。例えば、図9の矢印A3に示すように、回折格子1に対してX軸方向に光が入射した時に生じる可能性がある回折光を図11に示す。
図11の矢印a〜矢印hに示すように、回折格子1の面内において8方向に回折光が生じ得る。ここで、図2における第1の回折光L3に相当する1次回折光は、矢印bに示す回折光である。したがって、変位の検出において、この矢印bに示す回折光以外は不要であり、もし矢印a,c〜hに示す回折光が信号取得部50a,50bに受光されると、正確な干渉信号を取得することができない。
【0063】
このため、矢印bに示す回折光の強度が大きく、矢印a,c〜hに示す回折光はなるべく小さくなるようにすることが望ましい。
そこで、図12に示すように、X軸方向またはY軸方向から見て、回折格子1のレリーフを形成する突起36の側面と、回折格子1の格子面に対する法線とがなす角Θ5を変化させた場合において、上述の方向に生じる回折光の強度をシミュレーションした。
シミュレーションには、上述のRCWA法を用い、また、回折格子1の基板34はガラス基板とし、基板34上に反射膜として金薄膜35を形成したものを用いた。
【0064】
また、Λは回折格子1のレリーフの周期であり、Dは突起36の幅、Hは突起36の高さである。
なお、この突起36は、X軸方向及びY軸方向から見て同一の形状をしており、いわゆる正四角錐台形状とする。また、Θ5の値が0度である時には、突起36はX軸方向及びY軸方向から見て矩形をした直方体形状となる。
【0065】
Θ5の値を0度、10度、20度、30度、40度、50度とし、回折格子1にP偏光を入射した場合における回折光強度を図13〜図18にそれぞれ示す。横軸はΛ/λであり、縦軸は、入射光の強度を1とした場合における回折光の強度である。
このシミュレーションでは、1次回折光が最大となる条件での各回折光の強度を求めた。回折格子1の周期Λ/λの値によって回折1次光が最大となるH、入射角、Dの条件は異なる。しかし、Dは概ねD/Λ=0.7〜0.9、入射角は、1次回折光の回折角と入射角とが近い値になる角度(Θ2?Θ1)、Hについては、0.1λ〜0.3λの範囲にあるとき、1次回折光が最大となる。
【0066】
図13〜図18では、図11において示した矢印a〜hの方向に対応して、プロットされたシンボルにa〜hの符号を付している。また、シンボルkは回折格子1からの反射光である。
また、シンボルmは、回折格子1にS偏光を入射した場合において、矢印bの方向(図11参照)に生じた回折光の強度を示している。
【0067】
Θ5の値を0度とした場合である図13では、Λ/λの値が1.5以下において、線B5(シンボルb)に示す1次回折光が0.6以上となり、高い回折効率を示している。一方で、その他の方向への回折光の強度は、線B5に示す1次回折光の1/10以下となっていることがわかる。
また、Λ/λが1.5を超えると、線B5に示す回折光の強度は急激に低下し、その分、その他の回折光強度が大きくなっている。
【0068】
また、線B6(シンボルm)に示したS偏光の回折光では、1<Λ/λ<1.5の範囲において、回折光強度が非常に小さくなっている。このことから、回折格子1に対する一回目の入射及び二回目の入射の両方において、P偏光を入射させる本実施の形態は、高い回折光強度を得るうえで非常に有効であることがわかる。
なお、Λ/λ=0.6においては、線B6(シンボルm)に示すS偏光の回折光強度は0.8と高くなっている。したがって、このときには回折格子1への入射光としてS偏光を用いることも可能である。しかし、それでも線B5に示すP偏光の回折光に比べて10%以上回折光強度は小さくなる。
【0069】
また、突起36の角度Θ5を10度、20度、30度、40度、50度とした場合である図14〜図18においても、線B7〜L11に示すように、Λ/λが1.5以下では、回折格子1に入射したP偏光の1次回折光強度は0.6以上の大きな値となっている。
一方で、その他のP偏光の回折光は、Λ/λが1.5以下においてほとんど生じていない。
また、Λ/λが1.5より大きくなると、線B7〜L11に示すP偏光の1次回折光強度は、急激に低下している。
【0070】
なお、Θ5が50度の場合には、最適のHの条件では回折格子1の突起36の形状がほとんど四角錐に近くなる。
これらのことから、回折格子1の突起36の形状が直方体もしくは正四角錐台の時、Λ/λの値が1.5以下であれば、Θ5の値に関わらず、不要なP偏光の回折光は生じないことがわかる。
また、Θ5の値に関わらず、Λ/λの値が1.5以下であれば、P偏光の1次回折光は、S偏光の回折光よりも回折効率が高くなると言える。
【0071】
したがって、本実施の形態において2次元の回折格子を用いる場合にも、Λ/λの値が1.5以下とした回折格子を用いることが好ましい。これにより、高い強度の干渉信号を取得することができ、変位検出の精度を高めることが可能である。
【0072】
ただし、本実施の形態では、図1,3に示したように、回折格子1に入射させる第1の光束L1及び第2の光束L2は、面S2が面S1に対して角度γ傾いている分だけ、Y軸方向への傾きを有している。このY軸方向への傾きが大きくなり過ぎると、回折光量は、上述の図13〜図18に示した値からずれてくる。
【0073】
ここで、図19に示すように、回折格子1に入射する第1の光束L1を、YZ面である面S4に投影した光束L1aの入射角をΘs(=γ)、第1の光束L1と面S4がなす角度をΦsとする。
この時、1<ΛcosΦs/λ<1.5の場合には、下記式3を満たすように、γの値を設定するとよい。
【数3】
γの値を大きくしていくと、Y軸方向において−1次の回折光が出なくなり、+1次の回折光のみが生じるようになる。式3は、Y軸方向において±1次光の両方が生じるγの範囲を示している。図13〜図18に示したシミュレーション結果では、このような条件を仮定した。したがって、同様にY軸方向に±1次光の両方が生じるように、γを上述の式3の範囲内に設定することで、上述の図13〜図18に示した値と同様の回折光量を得ることができる。
【0074】
また、ΛcosΦs/λ<1の場合には、下記式4を満たすように、γの値を設定するとよい。
【数4】
ΛcosΦs/λ<1の場合、すなわち、回折格子1の周期を小さくしていくと、Y軸方向において1次の回折光の回折角が大きくなる。そして、ある所定の値よりも周期が小さくなるとY軸方向に1次回折光が生じず、0次光(反射光)のみが生じるようになる。上述の図13〜図18のシミュレーションでは、このような条件を仮定した。
しかし、γの値を大きくしていくと、回折格子1の周期が小さくても1次の回折光が生じるようになる。上記式4は、回折格子1の周期が小さい場合においても、1次回折光が生じず、0次光のみが生じる角度γの範囲を示しており、この範囲に設定することで、上述の図13〜図18に示したものと同等の回折条件とすることができ、同様の回折光量を得ることが可能である。
【0075】
2.第2の実施の形態
図20は、第2の実施の形態に係る変位検出装置200の概略構成を示す斜視図である。なお、第1の実施の形態(図1参照)において示した部位と対応する部位には同じ符号を付し、重複した説明を避ける。
本実施形態の変位検出装置は、干渉信号を生じさせ、この干渉信号を取得する信号取得部70と、取得された干渉信号から位置情報を検出する位置情報検出部とによって構成される。位置情報検出部は、第1の実施の形態(図6)において示したものと同じであってよく、ここでは図示及び説明を省略する。
【0076】
信号取得部70は、回折格子1と、照射光学系10と、反射光学系20と、干渉光学系30と、受光部40とを有する。
回折格子1、照射光学系10、干渉光学系30、受光部40の構成は、基本的に第1の実施の形態と同じであってよい。ただし、本実施の形態では、回折格子1からの回折光を、反射光学系20によって回折格子1に再入射させる位置が異なる。
【0077】
図21は、この信号取得部70をX軸方向から見たものであり、図22は、Y軸方向から見た場合である。
図21,22に示すように、本実施の形態では、回折格子1からの回折光は、反射光学系20によって、回折格子1からの出射位置とはY軸方向に異なる位置に再入射する。
【0078】
例えば、図21に示すように、光束分割素子4によって分割された第1の光束L1は、回折格子1上の点P3に入射する。これにより生じた第1の回折光L3は、レンズ7を透過した後ミラー8によって反射され、回折格子1上の点P3とはY軸方向に位置が異なる点P4に入射する。
そして、これにより生じた第2の回折光L4は、図示しないミラー6によって反射された後ダミーガラス14を透過し、光合成部13に入射する。
【0079】
このように本実施の形態では、Y軸方向に第1の光束L1と第2の回折光L4の光路をずらしている。このため光束分割素子4と光合成部13は、Y軸方向に重ねて配置されており、ダミーガラス14は、光合成部13の光入射面にのみ設けられる。
【0080】
また、図22に示すように、光束分割素子4によって分割された第2の光束L2(図21では図示を省略)は、回折格子1上の点P3に入射する。これにより生じた第1の回折光L5は、レンズ9を透過した後ミラー11によって反射され、回折格子上の点P4に再入射する。
点P4への再入射によって生じた第2の回折光L6は、ミラー6によって反射され、1/2波長板12を透過した後、光合成部13に入射する。
【0081】
本実施形態では、光を入射させる回折格子1上の点P3、点P4をY軸方向にずらしているので、図22に示すように、第1の光束L1と第2の回折光L4の光路は、Y軸方向から見てほぼ一致している。
また、第2の光束L2と第2の回折光L6の光路も、Y軸方向から見てほぼ一致している。
【0082】
また、光合成部13に入射した第2の回折光L4,L6が受光部40に受光されるまでの経路、及び受光部40によって取得された干渉信号から位置情報を検出する方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0083】
本実施の形態においても、回折格子1のレリーフの周期は、回折格子1に入射する光の波長の1.5倍以下とされる。また第1の光束L1及び第2の光束L2は、回折格子1に対してP偏光として入射し、反射光学系20によって反射された第1の回折光L3,L5もまた、P偏光として回折格子1に入射する。このため、第1の実施の形態と同様に高い回折効率を実現でき、より大きな干渉信号が得られるので、精度の高い位置検出を行うことが可能である。
【0084】
また、その他の構成、効果についても、第1の実施の形態と同様である。
例えば、反射光学系20に入射した回折光を、回折格子1上の異なる点に反射する方法は、第1の実施の形態(図4参照)と同じであってよい。すなわち、レンズ7の光軸をずらすか、もしくはミラー8を傾けることで行える。ただし、光軸をずらす方向、またはミラー8を傾ける方向は、Y軸方向に沿った方向とする。
【0085】
また、レンズ7,9の焦点は、本実施の形態においても回折格子1上に配置される。
図23は、本実施の形態において、回折格子1を、ヨーイング方向(回折格子1の面内方向、図20においてX−Y面内方向)やピッチング方向(X−Z面内方向)に回転させたときに得られる干渉信号の強度を示している。
横軸は回折格子1の回転角であり、縦軸は干渉信号強度である。なお、回転角がゼロのときの干渉信号を1とし、レンズ7,8の焦点距離が25mm、点P3と点P4の間の距離を0.6mmとしている。
【0086】
線B11に示すヨーイング方向では、1度の回転角でも、回転角がゼロの場合と比較して95%以上の干渉信号を維持している。
また、線B11に示すピッチング方向においても、1度の回折角において、90%近い干渉信号を維持している。
したがって、第1の実施の形態において示した図5と比較すると、回折格子1の回転に対しては、本実施の形態による変位検出装置200の方が、許容範囲を大きくとることが可能であると言える。
【0087】
3.第3の実施の形態
また、回折格子1として二次元の回折格子を用いる場合には、測定方向に対応してそれぞれ設けられる二つの信号取得部を、交差させて配置することも可能である。
図24は、第3の実施の形態に係る変位検出装置300の概略構成図である。図24Aは、この変位検出装置300をY軸方向から見たものであり、図24Bは、X軸方向から見たものである。第1の実施の形態(図1参照)と対応する部位には同一符号を付し、重複した説明を避ける。
【0088】
本実施の形態による変位検出装置300は、回折格子1と、二つの信号取得部70a,70bと、図示を省略する位置情報検出部とによって構成される。
回折格子1は、第1の実施の形態(図9,10,12参照)において示したものと同じものが用いられる。したがって、この回折格子のレリーフの周期Λは、入射する光の波長λに対して、Λ/λが1.5以下となるように構成される。また、その他の回折格子1の構成についても、第1の実施の形態と同様である。
【0089】
また、信号取得部70a,70bの基本構成は、それぞれ第2の実施の形態(図20,21,22参照)において示した信号取得部70と同一の構成をとる。
ただし、本実施の形態では、信号取得部70aと信号取得部70bは、交差するように配置される。信号取得部70aと信号取得部70bの交差とは、例えば図24からわかるように、信号取得部70aの照射光学系を構成する二つのミラー5c,6cを結ぶ線と、信号取得部70bの照射光学系を構成する二つのミラー5d,6dとを結ぶ線が交差している状態を指す。
【0090】
図24Aに示すように、信号取得部70aでは、回折格子1に対してX軸方向に異なる二つの点P5,P6にP偏光を照射し、その回折光による干渉信号を取得する。
また、図24Bに示すように、信号取得部70bでは、回折格子1に対してY軸方向に異なる二つの点P7,P8にP偏光を照射し、その回折光による干渉信号を取得する。
【0091】
すなわち、図25に示すように、回折格子1をZ軸方向から見ると、信号取得部70aにより光が照射される二つの点P5,P6を結ぶ線分と、信号取得部70bにより光が照射される二つの点P7,P8を結ぶ線分は交差している。特に、本実施の形態では、この二つの線分の中心位置が互いに一致するように信号取得部70a,70bが配置される。
【0092】
信号取得部70aは、点P5,P6からの干渉信号を取得し、この干渉信号をもとに、図示しない位置情報検出部がX軸方向の位置情報を検出する。
また同様に、信号取得部70bは、点P7,P8からの干渉信号を取得し、この干渉信号をもとに、図示しない位置情報検出部がY軸方向の位置情報を検出する。この位置情報検出部は、第1の実施の形態(図6参照)において示したものと同じであってよく、例えば信号取得部70a,70bにそれぞれ接続される。ただし、一つのデジタル信号処理部33によって信号取得部70a,70b両方の信号を処理してもよい。
【0093】
例えば、図10のように、信号取得部50aと信号取得部50bの間の距離が離れていると、信号取得部50aによる回折格子1上の光照射点と、信号取得部50bによる回折格子1上の光照射点との間の距離が大きくなる。
回折格子1上において、X軸方向の変位を測定する位置と、Y軸方向の変位を測定する位置が大きく異なると、回折格子1が例えばピッチング方向に傾いている場合には、正確な変位検出を行うことが難しくなる。
【0094】
これに対して、本実施の形態では、上述のように二つの信号取得部70a,70bを交差させて配置することにより、回折格子1上への光照射点P5,P6,P7,P8を互いに近づけることができる。このため、誤差の小さい正確な変位検出を行うことが可能である。
【0095】
本実施の形態においても、回折格子1のレリーフの周期は、回折格子1に入射する光の波長の1.5倍以下とされる。また、回折格子1に入射する光は、常にP偏光として回折格子1に入射するので、第1の実施の形態と同様により高い干渉信号を得ることができる。したがって、精度良く二次元方向の位置検出を行うことができる。
また、その他の構成、効果についても、第1の実施の形態と同様である。
なお、本実施形態では、信号取得部70a,70bの基本構成は、それぞれ第2の実施の形態を用いたが、第1の実施の形態を用いても、本実施例と同様に構成することが可能である。
【0096】
以上、変位検出装置の実施の形態について説明した。本技術は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本技術の要旨を逸脱しない限りにおいて、考えられる種々の形態を含むものである。
【符号の説明】
【0097】
1・・・回折格子、2・・・光源部、3・・・レンズ、4・・・光束分割素子、4a・・・光束分割面、5,5c,5d,6,8,11・・・ミラー、7,9,15・・・レンズ、10・・・照射光学系、12・・・1/2波長板、13・・・光合成部、14・・・ダミーガラス、15・・・レンズ、16・・・1/4波長板、17,18,19・・・無偏光ビームスプリッタ、20・・・反射光学系、21,22,23,24・・・受光素子、25,26,27,28・・・I/V変換器、29,34・・・差動増幅器、30・・・干渉光学系、31,32・・・A/D変換器、33・・・デジタル信号処理部、34・・・基板、35・・・金薄膜、36・・・突起、37・・・差動増幅器、40・・・受光部、50,50a,50b,70,70a,70b・・・信号取得部、60・・・位置情報検出部、100,200,300・・・変位検出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台形または矩形のレリーフ形状をした回折格子と、
可干渉光を出射する光源部と、前記光源部から出射された光束を二つの光束に分割する光束分割部と、を含み、前記二つの光束をP偏光として前記回折格子上に照射させる照射光学系と、
前記二つの光束が前記回折格子により回折されることによって生じる二つの第1回折光をそれぞれ反射し、前記回折格子上にP偏光として再入射させる反射光学系と、
前記回折格子に再入射した二つの前記第1回折光が回折されて生じる二つの第2回折光を干渉させる干渉光学系と、
前記干渉光学系により干渉した光を受光する受光部と、
前記受光部において取得した干渉信号に基づいて、前記回折格子の位置情報を検出する位置情報検出部と、
を備え、前記回折格子のレリーフの周期は、前記回折格子に入射する前記可干渉光の波長の1.5倍以下である
変位検出装置。
【請求項2】
前記レリーフの周期構造は、前記回折格子の2次元方向に形成され、前記2次元方向の一つの方向ごとに、前記照射光学系と前記反射光学系と前記干渉光学系と、前記受光部と、前記位置情報検出部とがそれぞれ配設される請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
前記反射光学系は、前記回折格子により回折された前記第1回折光を、前記二つの光束が前記回折格子に入射した位置とは異なる位置に結像し、再入射させる請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項1】
台形または矩形のレリーフ形状をした回折格子と、
可干渉光を出射する光源部と、前記光源部から出射された光束を二つの光束に分割する光束分割部と、を含み、前記二つの光束をP偏光として前記回折格子上に照射させる照射光学系と、
前記二つの光束が前記回折格子により回折されることによって生じる二つの第1回折光をそれぞれ反射し、前記回折格子上にP偏光として再入射させる反射光学系と、
前記回折格子に再入射した二つの前記第1回折光が回折されて生じる二つの第2回折光を干渉させる干渉光学系と、
前記干渉光学系により干渉した光を受光する受光部と、
前記受光部において取得した干渉信号に基づいて、前記回折格子の位置情報を検出する位置情報検出部と、
を備え、前記回折格子のレリーフの周期は、前記回折格子に入射する前記可干渉光の波長の1.5倍以下である
変位検出装置。
【請求項2】
前記レリーフの周期構造は、前記回折格子の2次元方向に形成され、前記2次元方向の一つの方向ごとに、前記照射光学系と前記反射光学系と前記干渉光学系と、前記受光部と、前記位置情報検出部とがそれぞれ配設される請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
前記反射光学系は、前記回折格子により回折された前記第1回折光を、前記二つの光束が前記回折格子に入射した位置とは異なる位置に結像し、再入射させる請求項1に記載の変位検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図11】
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【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−237644(P2012−237644A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106684(P2011−106684)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000146847)株式会社森精機製作所 (204)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000146847)株式会社森精機製作所 (204)
【Fターム(参考)】
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