説明

変性ポリオレフィンエマルション及びその製造方法

【課題】 貯蔵安定性、ポリオレフィン接着性、耐水性、及び塗膜強度が優れた変性ポリオレフィンエマルションを提供する。
【解決手段】 窒素含有ノニオン乳化剤、及びスルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンを含有する変性ポリオレフィンエマルションであり、当該変性ポリオレフィン粒子内に粘着付与樹脂が共存することを特徴とする変性ポリオレフィンエマルション、並びにその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性ポリオレフィンエマルション及びその製造方法に関するものであり、より詳しくは貯蔵安定性、ポリオレフィン接着性、耐水性、及び塗膜強度が改良された、変性ポリオレフィンエマルション及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩素化ポリオレフィン、クロロスルホン化ポリオレフィン、マレイン酸変性ポリオレフィン、アクリル変性ポリオレフィン、ウレタン変性ポリオレフィンなどの変性ポリオレフィンは、ポリプロピレンに代表される難接着性、難塗装性のポリオレフィン素材に対する接着性、塗装性を有しながら、塩素、クロロスルホン基、マレイン酸、アクリル、ウレタンなどの極性基を有するため、ポリオレフィン素材向けの接着剤、コーティング剤、塗料、プライマー等への用途に使用されている。これらは、各種配合剤と共に有機溶剤に均一溶解させた溶剤型、又は水に分散させた所謂エマルション型の何れかの型で使用されているが、昨今の環境問題に対する意識の高まりから、エマルション型の使用が推進されている。
【0003】
しかしながら、エマルション故の課題がある。例えば、エマルションには、粒子を水中に乳化安定化させるため、多量の乳化剤が含まれている。これら乳化剤の内、比較的HLB(親水性−疎水性バランス)が低い乳化剤は、エマルションの造膜助剤としても作用するため、必ずしもエマルション塗膜の接着性、耐水性に悪影響を及ぼすものではない。一方、比較的HLBが高い乳化剤は、エマルションの安定性を確保するために不可欠だが、エマルション塗膜の接着性、耐水性に悪影響を及ぼす問題がある。HLBが比較的高く、乳化力が強い乳化剤は、変性ポリオレフィンとの相溶性が悪いため、塗膜形成時、エマルション塗膜中の欠陥の原因となったり、ポリオレフィン基材の界面や塗膜表面へブリードするためと考えられる。
【0004】
また、ポリオレフィン素材への接着性、塗装性を高める目的で、テルペン樹脂など低極性樹脂のエマルションを配合することがある。この場合、両者は数μmオーダーの粒子状で混合した状態であり、溶剤型に比べて均一性がはるかに低く、テルペン樹脂の配合効果が発現し難い問題があった。また、テルペン樹脂エマルションに含まれる乳化剤は、ほとんどの場合、変性ポリオレフィンとの相溶性が悪く、塗膜の接着性、耐水性に悪影響を及ぼすものだった。
【0005】
特許文献1には、クロロスルホン化ポリオレフィンを、当該クロロスルホン化ポリオレフィンと相溶性のあるカルボキシル基含有ポリオレフィンと少量の乳化剤を用いて水中に乳化分散させ、クロロスルホン化ポリオレフィンエマルションを製造する方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、当該クロロスルホン化ポリオレフィンは自己乳化能が弱いため、生成するエマルションの粒径は0.3μm以上と大きく、保存安定性、造膜性、接着性は必ずしも満足できるものではなかった。
【0007】
また、従来の変性ポリオレフィンエマルションは、架橋性が低く、塗膜強度は必ずしも満足できるものではなく、改良が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3154723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は貯蔵安定性、ポリオレフィンへの接着性、耐水性及び塗膜強度が優れた変性ポリオレフィンエマルションを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィン、粘着付与樹脂、及び窒素含有ノニオン乳化剤の混合物を水中に乳化分散させることにより、変性ポリオレフィンとの相溶性が劣る乳化剤の含有量が少なく、かつ、同一粒子内に変性ポリオレフィンと粘着付与樹脂が共存した変性ポリオレフィンエマルションが得られ、更に、当該変性ポリオレフィンエマルションに多価アミン類などの架橋剤を添加することによって優れた塗膜強度が得られ、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至ったものである。すなわち、本発明は、窒素含有ノニオン乳化剤、及びスルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンを含有する変性ポリオレフィンエマルションであり、当該変性ポリオレフィン粒子内に粘着付与樹脂が共存することを特徴とする変性ポリオレフィンエマルション、並びにその製造方法である。
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の変性ポリオレフィンエマルションは、窒素含有ノニオン乳化剤、及びスルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンを含有する変性ポリオレフィンエマルションであり、当該変性ポリオレフィン粒子内に粘着付与樹脂が共存するものである。
【0013】
本発明の変性ポリオレフィンエマルションに含有される窒素含有ノニオン乳化剤とは、スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンとの相溶性に優れ、かつ、変性ポリオレフィンエマルションを乳化安定化するものであれば特に限定するものではないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤、アルキルアルカノールアミド系ノニオン乳化剤等が挙げられる。これらは1種含有してもよく、2種以上含有していてもよい。ポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤としては、例えば、ライオン・アクゾ(株)製の「エソミン(登録商標)」、「エソデュオミン(登録商標)」、「エソプロポミン(登録商標)」シリーズ、花王(株)製の「アミート(登録商標)」シリーズ、日油(株)製の「ナイミーン(登録商標)」シリーズ、(株)ADEKA製の「プルロニック(登録商標)」シリーズ等が挙げられ、アルキルアルカノールアミド系ノニオン乳化剤としては、例えば、ライオン・アクゾ(株)製の「エソマイド(登録商標)」、「エソファット(登録商標)」シリーズ、花王(株)製の「アミノーン(登録商標)」シリーズ、第一工業製薬(株)製の「ダイヤノール(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンとの相溶性に優れる窒素含有ノニオン乳化剤は、ラテックスの造膜助剤としても作用し、ラテックス塗膜界面への偏析も少ないため、塗膜物性への悪影響が少ない。窒素含有ノニオン乳化剤の量は、特に限定するものではないが、塗膜強度及び耐水性を損なわないために、スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンに対して30重量部以下であることが好ましく、25重量部以下であることが更に好ましい。
【0014】
このほか、エマルションの安定性を高めたり、表面張力や粘性を調整するため、エマルション塗膜の接着性、耐水性を損なわない範囲で、ロジン酸塩、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキルアミン塩、アルキル型四級アンモニウム塩、脂肪酸アミドアミン塩、アルキルアミノ酸塩、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノスルホベタイン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコキシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリビニルアルコール等の乳化剤を少量含有していても良い。
【0015】
本発明の変性ポリオレフィンエマルションが含有するスルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンとは、塩素化ポリオレフィン、クロロスルホン化ポリオレフィン、マレイン酸変性ポリオレフィン、アクリル変性ポリオレフィン、ウレタン変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンのポリオレフィン骨格に、スルホン酸及び又はスルホン酸塩が結合した構造を有し、自己乳化能を有するものであり、例えば、スルホン化塩素化ポリプロピレン、スルホン化アクリルグラフト塩素化ポリプロピレン、スルホン化塩素化ポリプロピレン/エチレンランダム共重合体、スルホン化塩素化ポリプロピレン/1−ブテンランダム共重合体、スルホン化塩素化ポリプロピレン/1−ペンテンランダム共重合体、スルホン化塩素化ポリプロピレン/1−ヘキセンランダム共重合体、スルホン化塩素化ポリプロピレン/4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体、スルホン化塩素化ポリプロピレン/1−オクテンランダム共重合体、スルホン化塩素化ポリプロピレン/1−デセンランダム共重合体、スルホン化塩素化ポリエチレン、スルホン化プロピレン、スルホン化ポリエチレン、スルホン化マレイン酸変性ポリプロピレン、スルホン化マレイン酸変性ポリエチレン、スルホン化ポリエチレン酢酸ビニルコポリマー、スルホン化アクリルグラフトポリプロピレン、スルホン化アクリルグラフトポリエチレン、スルホン化ウレタン変性ポリプロピレン、スルホン化ウレタン変性ポリエチレン等があげられる。中でも、製造コストと性能の面で、スルホン化塩素化ポリプロピレン、スルホン化塩素化ポリプロピレン/エチレンランダム共重合体、スルホン化塩素化ポリプロピレン/1−ブテンランダム共重合体等のスルホン化塩素化ポリオレフィンが好ましい。本発明の変性ポリオレフィンエマルションは、スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンを含有することにより、変性ポリオレフィン中のスルホン酸塩で安定化されているものである。
【0016】
当該変性ポリオレフィン中のプロピレン含量は、特に制限するものではないが、ポリプロピレンに対する接着性を考慮すると、50モル%以上が好ましい。
【0017】
当該変性ポリオレフィン中のスルホン酸量は、特に限定するものではないが、粘着付与樹脂の共存下、自己乳化力を発揮して安定なエマルションを形成し、かつ、エマルション塗膜形成時、架橋点として十分な塗膜強度を発現するためには、スルホン酸(分子量81)として0.5〜6重量%が好ましく、1〜5重量%が更に好ましい。
【0018】
当該変性ポリオレフィンのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で求めた重量平均分子量は、特に限定するものではないが、十分な塗膜強度を得た上で、乳化分散性の低下と不安定な粗大粒子の生成を防止するため、1万〜50万が好ましく、4万〜25万が更に好ましい。
【0019】
本発明の変性ポリオレフィンエマルションは、変性ポリオレフィンエマルション粒子内に粘着付与樹脂が共存するものである。粘着付与樹脂が変性ポリオレフィンエマルション粒子内に共存することにより、変性ポリオレフィンエマルションのポリオレフィン接着性、造膜性をさらに向上させるものである。ここに、粘着付与樹脂とは、変性ポリオレフィンと部分的に相溶し、ポリオレフィンへの接着性を高めたり、造膜性を向上させるものであれば特に限定するものではなく、例えば、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族−芳香族共重合系石油樹脂、これらの樹脂の水素添加物、これらの樹脂の酸変性物、ロジン酸エステル等があげられる。粘着付与樹脂が変性ポリオレフィンエマルション粒子内に共存する量は、特に限定するものではないが、ポリオレフィン接着性と塗膜強度のバランスをとるため、スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンに対して5〜30重量部が好ましい。
【0020】
本発明の変性ポリオレフィンエマルションの平均粒径は特に限定するものではないが、エマルションの貯蔵安定性を維持するため、0.2μm以下であることが好ましく、エマルションの貯蔵安定性を維持し、エマルションの粘度上昇を防止するため、0.02〜0.15μmがさらに好ましい。
【0021】
次に、スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンの製造法について説明する。
【0022】
スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンの製造法としては、変性ポリオレフィンを、バナジウム触媒存在下、二酸化イオウと酸素を反応させて直接スルホン化する方法(Journal of American Chemical Society、vol.122、7390−7391、2000年)、変性ポリオレフィンを、クロロスルホン酸で直接スルホン化する方法(Bulletin of the Chemical Society of Japan、52(1)、255−256、1979年)、塩素化ポリオレフィンをチオール化した後、過酸化物を用いてチオールを酸化することにより、スルホン酸へ変換する方法(Journal of Applied Polymer Science,109(2)、736−748,2008年)、塩素化ポリオレフィンと亜硫酸ナトリウムを直接反応させてスルホン酸ナトリウムを導入する方法(Journal of Organic Chemistry,52(11)、2162−2166,1987年)等がある。また、変性ポリオレフィンをクロロスルホン化した後、クロロスルホン基を加水分解してスルホン酸へ変換することもできる。クロロスルホン化の方法としては、例えば、ポリオレフィンをクロロホルム、四塩化炭素、1,1,2−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、クロロフルオロベンゼン等のクロロスルホン化反応に対して不活性な溶媒に溶解し均一溶液とした後、α、α’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチル、過酸化アセチル等のラジカル発生剤、及び必要に応じてピリジン、キノリン、ジメチルアニリン、ニコチン、ピペリジン等のアミン化合物(クロロスルホン化反応の助触媒として作用)存在下、30〜180℃で塩化スルフリルを反応させ、変性ポリオレフィンをクロロスルホン化する方法、紫外線照射下、二酸化イオウと塩素を反応させることによってクロロスルホン化する方法の他、ポルフィリン触媒存在下、変性ポリオレフィンに塩化スルフリルを選択的に反応させる方法(Tetrahedron Letter、vol.35、No.32,5935−5938,1994年)等がある。続いて、クロロスルホン基を導入した変性ポリオレフィンを、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、クロロフルオロベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサン等の溶剤に溶解した後、クロロスルホン基の2倍モル程度の塩基性化合物と水を添加し、攪拌下、50〜100℃で1〜5時間加熱することによりクロロスルホン基が加水分解され、スルホン酸塩へ変換できる。クロロスルホン基含有変性ポリオレフィン溶液への塩基性化合物、及び水の分散が悪い場合には、ノニオン乳化剤やアミン塩等の相間移動触媒を添加することにより、加水分解反応を促進させることができる。当該ノニオン乳化剤としては、前記したものが使用でき、相間移動触媒としては、テトラブチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム塩等の長鎖アルキルアンミニウムカチオンの他、クラウンエーテル等が使用できる。
【0023】
上記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸ナトリウム、イソプロポキシナトリウム、エトキシナトリウム、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリン、トリエタノールアミン等があげられる。
【0024】
上記塩基性化合物と水を用いてクロロスルホン基含有変性ポリオレフィンを加水分解すると、クロロスルホン基はスルホン酸塩へ変換されると同時に、塩基性化合物と塩酸との塩が生成する(上記塩基性化合物としてアミン以外を用いる場合には、クロロスルホン基はスルホン酸基へ変換されると同時に、塩基性化合物と塩酸との塩が生成する)。本発明の変性ポリオレフィンエマルション塗膜の接着性、耐水性を考慮すると、ここで生成した塩は、濾過、遠心分離等の方法で可能な限り除去する方が良い。
【0025】
さらに、変性ポリオレフィンエマルションの製造方法(スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンをエマルション化する方法)について説明する。
【0026】
上記で得られたスルホン酸塩を有する変性ポリオレフィン(スルホン酸塩含有変性ポリオレフィン)、粘着付与樹脂、窒素含有ノニオン乳化剤、及び必要に応じてエポキシ樹脂等の受酸剤を有機溶剤に溶解し(混合溶液)、攪拌下、徐々に水を添加して転相乳化した後、有機溶剤と水を留去することにより、変性ポリオレフィンエマルションを得ることができる。また、混練機等を用いて、スルホン酸塩含有変性ポリオレフィン、粘着付与樹脂、窒素含有ノニオン乳化剤、及び必要に応じてエポキシ樹脂等の受酸剤を加熱溶融混合しながら(混合融液)水を添加して転相乳化することにより、変性ポリオレフィンエマルションを得ることもできる。
【0027】
ここで用いる有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の親水性溶剤、又はクロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、クロロフルオロベンゼン、トルエン、メチルシクロヘキサン等の疎水性溶剤に上記親水性溶剤や一価アルコール、多価アルコール、又はこれらの誘導体等を混合して用いることができる。一価アルコール、多価アルコール、又はこれらの誘導体としては、例えば、エタノール、プロパノール、2−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルキレングリコール系溶剤、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのグリコールモノエーテル系溶剤、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、グリセリンエーテルなどのグリセリン系溶剤等があげられる。
【0028】
エポキシ樹脂としては、受酸剤として作用するものであれば特に制限はないが、例えば、天然の不飽和基を有する植物油をエポキシ化したエポキシ化大豆油やエポキシ化アマニ油、オレイン酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸等の不飽和脂肪酸をエポキシ化したエポキシ化脂肪酸エステル類、シクロヘキセンオキサイド、α−ピネンオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物、ビスフェノールAや多価アルコールとエピクロルヒドリンを縮合した、ビスフェノールAグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、s−ブチルフェニルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェノールポリエチレンオキサイドグリシジルエーテル等のモノエポキシ化合物類等が例示される。これらエポキシ樹脂は、単独、又は2種類以上をブレンドして使用できる。これらエポキシ樹脂の使用量は特に制限はないが、変性ポリオレフィンエマルションのポリオレフィン接着性を維持するため、スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンに対して5重量部以下が好ましい。
【0029】
粘着付与樹脂、窒素含有ノニオン乳化剤としては、先に説明したものと同じである。粘着付与樹脂の使用量は、特に限定するものではないが、ポリオレフィン接着性と塗膜強度のバランスをとるため、スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンに対して5〜30重量部が好ましい。窒素含有ノニオン乳化剤の使用量は、特に限定するものではないが、エマルション塗膜の強度及び耐水性を考慮すると、スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンに対して30重量部以下が好ましく、25重量部以下が更に好ましい。
【0030】
本発明の変性ポリオレフィンエマルションは、そのまま使用することもできるし、また、必要に応じて、加硫剤・加硫促進剤、架橋剤・架橋促進剤、pH緩衝剤、受酸剤、補強剤、充填剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、樹脂、成膜助剤、基材に対する濡れ性を改善する濡れ性改善剤、防錆顔料、着色顔料、体質顔料、金属粉顔料等の顔料類、染料、チキソ剤、粘度調整剤、流動助剤、表面調整剤、一次防錆剤、凍結防止剤、消泡剤、防腐剤、防かび剤、有機金属配位化合物、水性樹脂等を配合したものでもよい。
【0031】
架橋剤としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド等の有機アンモニウム塩類、臭化アリルトリフェニルホスホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、塩化アリルトリブチルホスホニウム等の有機ホスホニウム塩類、m−ジニトロソベンゼン、p−ジニトロソベンゼン、m−ジニトロソナフタレン、p−ジニトロソナフタレン、2,5−ジニトロソ−p−シメン等のポリニトロソ化合物、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタン、トリエチレンジアミン等のアミン類、2−メルカプトベンゾチゾールのジシクロヘキシルアミン塩の他、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5及び6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7及びこれらの炭酸,フェノール類,カルボン酸などとの塩、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾエート、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、ヒドラジン誘導体、アジリジン化合物、シラン化合物等が挙げられる。
【0032】
防錆顔料としては、例えば、鉛丹、シアナミド鉛、亜酸化鉛、塩基性硫酸鉛、鉛酸カルシウム、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、亜鉛華等が挙げられ、着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、モリブデートオレンジ、酸化チタン、カップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等が挙げられ、体質顔料としては、例えば、粘土粉、炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ粉、珪藻土、タルク、アルミナホワイト、塩基性炭酸マグネシウム、バライト粉等が挙げられ、金属粉顔料としては、例えば、亜鉛末、アルミニウム粉、パール雲母粉、真鍮粉、鱗片状酸化鉄粉等が挙げられる。
【0033】
成膜助剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等の他、前記のテルペン樹脂等が挙げられる。
【0034】
濡れ性改善剤としては、例えば、アセチレングリコール系、シリコン系、アクリル系等が例示される。
【0035】
水性樹脂としては、例えば、水性ウレタン樹脂、水性ブロックイソシアネート、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性フェノール樹脂、水性アミノ樹脂、水性アルキド樹脂、水性塩化ゴム、水性ポリブタジエン樹脂、水性シリコン樹脂等が挙げられる。
【0036】
本発明の変性ポリオレフィンエマルションは、そのまま又は上記添加剤を添加することにより、コーティング剤、塗料、インク、シーリング剤、ポリオレフィンの接着剤、繊維処理剤又はプライマーとすることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の変性ポリオレフィンエマルションは貯蔵安定性、ポリオレフィン素材に対する接着性、耐水性、及び塗膜強度が優れているため、コーティング材、塗料、インク、シーリング剤、接着剤又はプライマーとして、広範囲な用途での使用が期待される。
【実施例】
【0038】
以下に実施例にもとづき本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例は本発明の理解を助けるための例であって、本発明はこれらにより何等制限を受けるものではない。
【0039】
なお、これらの実施例で用いた値は以下の測定法に準拠したものである。
【0040】
<密度の測定>
ポリオレフィンの密度は、JIS−K−7112に準拠し、23℃の条件で測定した。
【0041】
<メルトインデックスの測定>
ポリオレフィンのメルトインデックスは、JIS−K−7210に準拠し、ポリエチレンについては190℃、ポリプロピレンについては230℃の条件で測定した。
【0042】
<塩素量、硫黄量の測定>
変性ポリオレフィンの塩素量及び硫黄量は、燃焼フラスコ法にて測定した。塩素量の測定は、変性ポリオレフィン30mgを1.7重量%硫酸ヒドラジニウム水溶液15mlを吸収液として用い、酸素フラスコ燃焼法に従い燃焼させた後30分静置した。この操作後の吸収液を、純水100mlで洗い出した後、濃度0.05Nの硝酸銀水溶液で電位差滴定法により塩素イオンを定量し、塩素量を測定した。
【0043】
変性ポリオレフィンの硫黄量の測定は、1.7重量%硫酸ヒドラジニウム水溶液15mlの代わりに、3重量%の過酸化水素水10mlを吸収液として用い、純水40mlで洗い出した後、酢酸1ml、2−プロパノール100ml、アルセナゾIII0.47mlを加えた。これを濃度0.01Nの酢酸バリウム溶液で光度滴定法により硫酸イオンを測定した。
【0044】
<重量平均分子量の測定>
東ソー製HLC−8220GPCにカラム(TSK guard column HXL−H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL、TSK gel GMHXLの計4本)を付け、試料をTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し、40℃で測定し、ポリスチレン標準物質で作成した検量線から分子量を求めた。
【0045】
<平均粒径の測定>
エマルションを蒸留水で希釈し、MICROTRAC 9320HRAを用いて、粒子径測定を行った。粒子径としてD50%粒子径(メジアン径)を用いた。
【0046】
<ポリプロピレン接着性試験>
イソプロパノールで表面を洗浄乾燥後、超高剛性ポリプロピレン板(幅70mm×50mm、厚さ3mm)に固形分30重量%の変性ポリオレフィンエマルションをスプレー塗布した後、室温で一晩放置後、ギヤオーブンで90℃×30分加熱乾燥した。室温で半日放置後、塗面上にカッターナイフを用い2mm間隔で素地に達する100個の碁盤目を作り、その上にセロハン粘着テープを密着させて引き剥がす操作を10回繰り返し、塗膜の残存するマス数で判定した。
【0047】
<塗膜の耐水性試験>
イソプロパノールで表面を洗浄乾燥後、超高剛性ポリプロピレン板(幅70mm×50mm、厚さ3mm)に固形分30重量%の変性ポリオレフィンエマルションをスプレー塗布した後、室温で一晩放置後、ギヤオーブンで90℃×30分加熱乾燥した。この時の試験片の重量=耐水前重量とした。この試験片を40℃の温水中に3日間浸漬後、表面の水分を軽く拭き取った後の試験片の重量=耐水後重量とした。この耐水後の試験片を室温で一晩放置後、100℃×60分オーブン乾燥した後の試験片の重量=乾燥後重量とした。塗膜吸水率=(耐水後重量−乾燥後重量)/乾燥後重量×100(重量%)とし、塗膜溶出率=(耐水前重量−乾燥後重量)/乾燥後重量×100(重量%)と定義した。
【0048】
<塗膜の引張り物性>
ラテックス(配合物)をテフロン(登録商標)板上で常温乾燥してキャストフィルムを作製し、これを更に、厚さ0.5mm、幅80mm×80mmの型を用いて90℃×30分プレス成型した(ゲージ圧10MPa)。プレス膜をJIS1号ダンベル型で打ち抜き、200mm/minの速度で引張り物性を測定した。
【0049】
<貯蔵安定性試験>
容量200mlのガラス容器に変性ポリオレフィンエマルション(固形分30重量%)を入れ、40℃で1月静置後のエマルションの外観変化から安定性を評価した。
【0050】
実施例1
(スルホン酸塩含有変性ポリオレフィンの合成)
40リッターのグラスライニング製オートクレーブに1,1,2−トリクロロエタンを17.3kgと、メルトインデックス87g/10分、密度0.90g/ccのプロピレン−エチレン共重合体(プロピレン成分95モル%、エチレン5モル%)1.0kg仕込んだ。
【0051】
空気で0.15MPaに加圧後、反応器のジャケットに蒸気を通し、120℃でプロピレン−エチレン共重合体を溶解後、更に120℃で3時間攪拌した。
【0052】
クロロスルホン化反応の助触媒としてピリジンを0.3g添加した後、ラジカル開始剤として2.0gのα,α’−アゾビスイソブチロニトリルを1,1,2−トリクロロエタン1.0kgに溶解した溶液を連続的に反応器へと添加しつつ、1.5kgの塩化スルフリルを別の投入口より反応器へ添加することにより、クロロスルホン化反応を行なった。この間1時間30分を要したが、反応器の圧力を0.2MPaに保った。
【0053】
反応の終了後、圧力を常圧に戻し反応器の温度を70℃まで低下させて、70℃に保ちながら窒素を導入して反応液に残存する亜硫酸ガスと塩化水素ガスを除く脱酸処理を行った。
【0054】
反応溶液を、165℃に加熱したドラムドライヤーにフィードして、溶剤を蒸発させることにより、クロロスルホン化ポリオレフィン−Aを単離した。
【0055】
クロロスルホン化ポリオレフィン−Aの塩素量は18.3重量%、イオウ量は1.5重量%、重量平均分子量は4.2万だった。
【0056】
次に、撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、クロロスルホン化ポリオレフィン−A100gとテトラヒドロフラン400gを仕込み、67℃に加熱して溶解した。この溶液に水を1.70g(クロロスルホン基に対して2倍モル)、トリエタノールアミン14.00g(クロロスルホン基に対して2倍モル)添加し、67℃で2時間撹拌してクロロスルホン化ポリオレフィン中のクロロスルホン基を加水分解した。その後、溶液を室温まで放冷後、そのまま一晩静置して、アミン塩酸塩を沈殿させた。200メッシュの金網で上澄みを濾過し、スルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−A(固形分20重量%に調整)を得た。
(変性ポリオレフィンエマルションの合成)
次に、撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、上記で得たスルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−A(固形分20重量%)100g、テルペン樹脂1g(ヤスハラケミカル(株)製マイティーエースG−125)を仕込み、内温67℃でテルペン樹脂を溶解した。
【0057】
内温を65℃に保ちながら、滴下ロートより水200gを40分かけて徐々に滴下し、転相乳化を行った(スルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの自己乳化能により、乳化剤を含まないにも関らず安定なエマルションが生成した)。室温まで放冷後、ポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤(ライオン・アクゾ(株)製エソミン(登録商標)T−25)30重量%水溶液15gを攪拌下添加した後、ロータリーエバポレータでテトラヒドロフランと水を減圧留去し、テルペン樹脂を含む変性ポリオレフィンエマルション−A(固形分30重量%、平均粒径0.03μm)を得た。
【0058】
貯蔵安定性を評価したところ、凝集物の沈殿や、粘度上昇は見られず、極めて安定だった。ポリプロピレンへの接着性、耐水性等の評価の結果を表1に示した。比較例のエマルションと比べて、接着性、耐水性、及び塗膜強度が優れていることが明らかである。
【0059】
【表1】

実施例2
(変性ポリオレフィンエマルションの合成)
撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、実施例1で得たスルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−A(固形分20重量%)100g、テルペン樹脂2g(ヤスハラケミカル(株)製マイティーエースG−150)、ポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤2.5g(ライオン・アクゾ(株)製エソミン(登録商標)SA2Y−103)及び2.0g(ライオン・アクゾ(株)製エソミン(登録商標)T−15)を仕込み、内温67℃でテルペン樹脂を溶解した。その後、内温を65℃に保ちながら滴下ロートより水200gを40分かけて徐々に滴下し、転相乳化を行った。その後、ロータリーエバポレータでテトラヒドロフランと水を減圧留去し、テルペン樹脂を含む変性ポリオレフィンエマルション−B(固形分30重量%、平均粒径0.03μm)を得た。
【0060】
貯蔵安定性を評価したところ、凝集物の沈殿や、粘度上昇は見られず、極めて安定だった。ポリプロピレンへの接着性、耐水性等の評価の結果を表1に合わせて示した。比較例のエマルションと比べて、接着性、耐水性、及び塗膜強度が優れていることが明らかである。
【0061】
実施例3
(スルホン酸塩含有変性ポリオレフィンの合成)
40リッターのグラスライニング製オートクレーブに1,1,2−トリクロロエタンを17.3kgと、ポリオレフィンとしてメルトインデックス87g/10分、密度0.90g/ccのプロピレン−エチレン共重合体(プロピレン成分95モル%、エチレン5モル%)1.0kg仕込んだ。
【0062】
空気で0.15MPaに加圧後、反応器のジャケットに蒸気を通し、120℃でプロピレン−エチレン共重合体を溶解後、更に120℃で2.5時間攪拌した。クロロスルホン化反応の助触媒としてピリジンを0.3g添加した後、ラジカル開始剤として2.0gのα,α’−アゾビスイソブチロニトリルを1,1,2−トリクロロエタン1.0kgに溶解した溶液を連続的に反応器へと添加しつつ、1kgの塩化スルフリルを別の投入口より反応器へ添加することによりクロロスルホン化反応を行なった。この間1時間を要したが、反応器の圧力を0.2MPaに保った。
【0063】
反応の終了後、圧力を常圧に戻し反応器の温度を70℃まで低下させて、70℃に保ちながら窒素を導入して反応液に残存する亜硫酸ガスと塩化水素ガスを除く脱酸処理を行った。
【0064】
脱酸工程が終了した反応溶液にビスフェノールAグリシジルエーテル(三井化学(株)製エポミックR−140)10.2gを添加した後、165℃に加熱したドラムドライヤーにフィードして溶剤を蒸発させ、クロロスルホン化ポリオレフィン−Bを単離した。
【0065】
クロロスルホン化ポリオレフィン−Bの塩素量は19.5重量%、イオウ量は1.9重量%、重量平均分子量は6.0万だった。
【0066】
次に、撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、クロロスルホン化ポリオレフィン−B100gとテトラヒドロフラン400gを仕込み、67℃に加熱して溶解した。この溶液に水を2.20g(クロロスルホン基に対して2倍モル)、トリエタノールアミン18.00g(クロロスルホン基に対して2倍モル)添加し、67℃で2時間撹拌してクロロスルホン化ポリオレフィン中のクロロスルホン基を加水分解した。その後、溶液を室温まで放冷後、そのまま一晩静置して、アミン塩酸塩を沈殿させた。200メッシュの金網で上澄みを濾過し、スルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−B(固形分20重量%に調整)を得た。
(変性ポリオレフィンエマルションの合成)
次に、撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、上記で得たスルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−B(固形分20重量%)100g、テルペン樹脂1g(ヤスハラケミカル(株)製マイティーエースG−125)、及びポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤(ライオン・アクゾ(株)製エソミン(登録商標)T−25)4.5gを仕込み、内温67℃でテルペン樹脂を溶解した。内温を65℃に保ちながら滴下ロートより水200gを40分かけて徐々に滴下し、転相乳化を行った。室温まで放冷後、ロータリーエバポレータでテトラヒドロフランと水を減圧留去し、テルペン樹脂を含む変性ポリオレフィンエマルション−C(固形分30重量%、平均粒径0.11μm)を得た。
【0067】
貯蔵安定性を評価したところ、凝集物の沈殿や、粘度上昇は見られず、極めて安定だった。ポリプロピレンへの接着性、耐水性等の評価の結果を表1に合わせて示した。比較例のエマルションと比べて、接着性、耐水性、及び塗膜強度が優れていることが明らかである。
【0068】
実施例4
(スルホン酸塩含有変性ポリオレフィンの合成)
実施例1において、120℃でポリオレフィンを溶解後、更に120℃で攪拌する時間を1時間に変更した以外は実施例1と同じ操作でクロロスルホン化ポリオレフィン−Cを製造した。クロロスルホン化ポリオレフィン−Cの塩素量は24.8重量%、イオウ量は1.7重量%、重量平均分子量は10.2万であることが判った。
【0069】
次に、撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、クロロスルホン化ポリオレフィン−C100gとテトラヒドロフラン400gを仕込み、67℃に加熱して溶解した。この溶液に水を1.92g(クロロスルホン基に対して2倍モル)、トリエタノールアミン16.00g(クロロスルホン基に対して2倍モル)添加し、67℃で2時間撹拌してクロロスルホン化ポリオレフィン中のクロロスルホン基を加水分解した。その後、溶液を室温まで放冷後、そのまま一晩静置して、アミン塩酸塩を沈殿させた。200メッシュの金網で上澄みを濾過し、スルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−C(固形分20重量%に調整)を得た。
(変性ポリオレフィンエマルションの合成)
次に、撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、上記で得たスルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−C(固形分20重量%)100g、テルペン樹脂1g(ヤスハラケミカル(株)製マイティーエースG−125)、及びポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤(花王(株)製アミート(登録商標)320)2.0g及び(ライオン・アクゾ(株)製エソミン(登録商標)SA2Y−103)2.5gを仕込み、内温67℃でテルペン樹脂を溶解した。内温を65℃に保ちながら滴下ロートより水200gを40分かけて徐々に滴下し、転相乳化を行った。室温まで放冷後、ロータリーエバポレータでテトラヒドロフランと水を減圧留去し、テルペン樹脂を含む変性ポリオレフィンエマルション−D(固形分30重量%、平均粒径0.16μm)を得た。
【0070】
貯蔵安定性を評価したところ、凝集物の沈殿や、粘度上昇は見られず、極めて安定だった。ポリプロピレンへの接着性、耐水性等の評価の結果を表1に合わせて示した。比較例のエマルションと比べて、接着性、耐水性、及び塗膜強度が優れていることが明らかである。
【0071】
実施例5
(変性ポリオレフィンエマルションの合成)
撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、実施例3で得たスルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−B(固形分20重量%)100g、テルペン樹脂1g(ヤスハラケミカル(株)製マイティーエースG−150)、及びポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤(ライオン・アクゾ(株)製エソミン(登録商標)T−25)2.0g及び(ライオン・アクゾ(株)製エソミン(登録商標)SA2Y−103)2.5gを仕込み、内温67℃でテルペン樹脂を溶解した。内温を67℃に保ちながら滴下ロートより水200gを40分かけて徐々に滴下し、転相乳化を行った。室温まで放冷後、ロータリーエバポレータでテトラヒドロフランと水を減圧留去し、テルペン樹脂を含む変性ポリオレフィンエマルション−E(固形分30重量%、平均粒径0.15μm)を得た。変性ポリオレフィンエマルション−E100gに対して、架橋剤としてヘキサメチレンジアミンの50重量%水溶液を1.2g添加した。
【0072】
貯蔵安定性を評価したところ、凝集物の沈殿や、粘度上昇は見られず、極めて安定だった。ポリプロピレンへの接着性、耐水性等の評価の結果を表1に合わせて示した。比較例のエマルションと比べて、接着性、耐水性、及び塗膜強度が優れていることが明らかである。特に架橋剤を配合したことにより、塗膜強度が優れているのが明らかである。
【0073】
実施例6
(スルホン酸塩含有変性ポリオレフィンの合成)
クロロスルホン化ポリオレフィンとして東ソー(株)製TOSO−CSM(登録商標)を使用した。東ソー(株)製クロロスルホン化ポリオレフィンCN−1500(塩素含有量30重量%、硫黄含有量1.4重量%、重量平均分子量24万)を用いた。このクロロスルホン化ポリオレフィン10g、テトラヒドロフラン90gを撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに仕込み、65℃に加熱し溶解した。この溶液に水を0.16g、2−ジメチルアミノエタノールを0.82g添加し、65℃で2時間撹拌し、クロロスルホン化ポリオレフィンの加水分解反応を行い、スルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−D(固形分10重量%)を得た。
(変性ポリオレフィンエマルションの合成)
次に、撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、スルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−D(固形分10重量%に調整)100g、テルペン樹脂0.5g(ヤスハラケミカル(株)製マイティーエースG−125)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル系ノニオン乳化剤(窒素非含有ノニオン乳化剤,第一工業製薬(株)製DKS NL−180)0.75g及びポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤(花王(株)製アミート(登録商標)320)1.50gを仕込んだ後、内温を65℃に保ちながら滴下ロートより水200gを徐々に滴下し、転相乳化を行った。室温まで放冷後、ロータリーエバポレータでテトラヒドロフランと水を減圧留去し、テルペン樹脂を含む変性ポリオレフィンエマルション−F(固形分30重量%、平均粒径0.17μm)を得た。
【0074】
貯蔵安定性を評価したところ、凝集物の沈殿や、粘度上昇は見られず、極めて安定だった。ポリプロピレンへの接着性、耐水性等の評価の結果を表1に合わせて示した。比較例のエマルションと比べて、接着性、耐水性、及び塗膜強度が優れていることが明らかである。
【0075】
実施例7
(スルホン酸塩含有変性ポリオレフィンの合成)
40リッターのグラスライニング製オートクレーブに1,1,2−トリクロロエタンを17.3kgと、メルトインデックス87g/10分、密度0.90g/ccのプロピレン−エチレン共重合体(プロピレン成分95モル%、エチレン5モル%)1.0kg仕込んだ。
【0076】
空気で0.15MPaに加圧後、反応器のジャケットに蒸気を通し、120℃でプロピレン−エチレン共重合体を溶解後、更に120℃で3時間攪拌した。
【0077】
クロロスルホン化反応の助触媒としてピリジンを0.35g添加した後、ラジカル開始剤として2.0gのα,α’−アゾビスイソブチロニトリルを1,1,2−トリクロロエタン1.0kgに溶解した溶液を連続的に反応器へと添加しつつ、1.5kgの塩化スルフリルを別の投入口より反応器へ添加することにより、クロロスルホン化反応を行なった。この間1時間30分を要したが、反応器の圧力を0.2MPaに保った。
【0078】
反応の終了後、圧力を常圧に戻し反応器の温度を70℃まで低下させて、70℃に保ちながら窒素を導入して反応液に残存する亜硫酸ガスと塩化水素ガスを除く脱酸処理を行った。
【0079】
反応溶液を、165℃に加熱したドラムドライヤーにフィードして、溶剤を蒸発させることにより、クロロスルホン化ポリオレフィン−Eを単離した。
【0080】
クロロスルホン化ポリオレフィン−Eの塩素量は23.5重量%、イオウ量は1.8重量%、重量平均分子量は4.1万であった。
【0081】
次に、撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、クロロスルホン化ポリオレフィン−E100gとテトラヒドロフラン400gを仕込み、67℃に加熱して溶解した。この溶液に水を2.53g(クロロスルホン基に対して2倍モル)、トリエタノールアミン20.95g(クロロスルホン基に対して2倍モル)添加し、67℃で2時間撹拌してクロロスルホン化ポリオレフィン中のクロロスルホン基を加水分解した。その後、溶液を室温まで放冷後、そのまま一晩静置して、アミン塩酸塩を沈殿させた。200メッシュの金網で上澄みを濾過し、スルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−E(固形分20重量%に調整)を得た。
(変性ポリオレフィンエマルションの合成)
次に、撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、上記で得たスルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−E(固形分20重量%)100g、テルペン樹脂1.5g(ヤスハラケミカル(株)製マイティーエースG−150)、ポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤(ライオン・アクゾ(株)製エソミン(登録商標)SA2Y−103)0.5g、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル系ノニオン乳化剤(窒素非含有ノニオン乳化剤,第一工業製薬(株)製DKS NL−180)0.5gを仕込み、内温67℃でテルペン樹脂を溶解した。内温を65℃に保ちながら滴下ロートより水200gを40分かけて徐々に滴下し、転相乳化を行った。室温まで放冷後、ロータリーエバポレータでテトラヒドロフランと水を減圧留去し、テルペン樹脂を含む変性ポリオレフィンエマルション−G(固形分30重量%、平均粒径0.03μm)を得た。変性ポリオレフィンエマルション−G100gに対して、架橋剤としてヘキサメチレンジアミンの50重量%水溶液を1.2g添加した。
【0082】
貯蔵安定性を評価したところ、凝集物の沈殿や、粘度上昇は見られず、極めて安定だった。ポリプロピレンへの接着性、耐水性等の評価の結果を表1に合わせて示した。比較例のエマルションと比べて、接着性、耐水性、及び塗膜強度が優れていることが明らかである。
【0083】
実施例8
撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに、実施例7で得たスルホン酸塩を有する塩素化ポリオレフィンの溶液−E(固形分20重量%)100g、テルペン樹脂1.0g(ヤスハラケミカル(株)製マイティーエースG−150)、アルキルアルカノールアミド系ノニオン乳化剤(ライオン・アクゾ(株)製エソマイド(登録商標)HT/60)0.5g、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル系ノニオン乳化剤(窒素非含有ノニオン乳化剤,第一工業製薬(株)製DKS NL−180)0.5gを仕込み、内温67℃でテルペン樹脂を溶解した。内温を65℃に保ちながら滴下ロートより水200gを40分かけて徐々に滴下し、転相乳化を行った。室温まで放冷後、ロータリーエバポレータでテトラヒドロフランと水を減圧留去し、テルペン樹脂を含む変性ポリオレフィンエマルション−H(固形分30重量%、平均粒径0.03μm)を得た。変性ポリオレフィンエマルション−H100gに対して、架橋剤としてヘキサメチレンジアミンの50重量%水溶液を1.2g添加した。
【0084】
貯蔵安定性を評価したところ、凝集物の沈殿や、粘度上昇は見られず、極めて安定だった。ポリプロピレンへの接着性、耐水性等の評価の結果を表1に合わせて示した。比較例のエマルションと比べて、接着性、耐水性、及び塗膜強度が優れていることが明らかである。
【0085】
比較例1
実施例1で合成したクロロスルホン化ポリオレフィン−A(加水分解処理していないもの)20g、ポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤(ライオン・アクゾ(株)製エソミン(登録商標)SA2Y−103)3.50g、及びテトラヒドロフラン80gを、撹拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた1L4つ口フラスコに加え、67℃で加熱溶解した。内温を65℃に保ちながら滴下ロートより水200gを徐々に滴下した。その結果、水の滴下中にポリマーが析出し転相乳化できなかった。当該クロロスルホン化ポリオレフィンにはスルホン酸塩が含まれず、自己乳化能がないためである。
【0086】
比較例2
実施例1において、転相乳化後、ポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤(ライオン・アクゾ(株)製エソミン(登録商標)T−25)30重量%水溶液15gを添加する代わりに、ポリオキシエチレンラウリルエーテル系ノニオン乳化剤(窒素非含有ノニオン乳化剤,第一工業製薬(株)製DKS NL−180)30重量%水溶液7.5gとポリオキシエチレンラウリルエーテル系ノニオン乳化剤(窒素非含有ノニオン乳化剤,第一工業製薬(株)製DKS NL−600)30重量%水溶液7.5gを仕込んだ他は、全て実施例1と同じ条件で、テルペン樹脂を含む変性ポリオレフィンエマルション−I(固形分30重量%、平均粒径0.03μm)を得た。
【0087】
貯蔵安定性を評価したところ、凝集物の沈殿や、粘度上昇は見られず、極めて安定だった。しかし、ポリプロピレンへの接着性、耐水性等を評価したところ、ポリプロピレンへの接着性、耐水性は実施例と比べて大きく劣った(結果を表1に合わせて示した)。
【0088】
比較例3
実施例1において、転相乳化前に、テルペン樹脂を添加しなかった他は、全て実施例1と同じ条件で、変性ポリオレフィンエマルション−J(固形分30重量%、平均粒径0.02μm)を得た。
【0089】
貯蔵安定性を評価したところ、凝集物の沈殿や、粘度上昇は見られず、極めて安定だった。しかし、ポリプロピレンへの接着性、耐水性等を評価したところ、ポリプロピレンへの接着性は実施例と比べて劣った(結果を表1に合わせて示した)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素含有ノニオン乳化剤、及びスルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンを含有する変性ポリオレフィンエマルションであり、当該変性ポリオレフィン粒子内に粘着付与樹脂が共存することを特徴とする変性ポリオレフィンエマルション。
【請求項2】
変性ポリオレフィンエマルションの平均粒径が0.2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の変性ポリオレフィンエマルション。
【請求項3】
スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で求めた重量平均分子量が1万〜50万であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の変性ポリオレフィンエマルション。
【請求項4】
スルホン酸塩を有する変性ポリオレフィンが、スルホン酸塩を有する変性クロロスルホン化ポリオレフィンであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載の変性ポリオレフィンエマルション。
【請求項5】
粘着付与樹脂が、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族−芳香族共重合系石油樹脂、これらの樹脂の水素添加物及びロジン酸エステルの群から選ばれる1種以上の物質であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載の変性ポリオレフィンエマルション。
【請求項6】
窒素含有ノニオン乳化剤が、ポリオキシアルキレンアルキルアミン系ノニオン乳化剤及びアルキルアルカノールアミド系ノニオン乳化剤から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載の変性ポリオレフィンエマルション。
【請求項7】
スルホン酸塩を含有する変性ポリオレフィン、粘着付与樹脂、及び窒素含有ノニオン乳化剤の混合溶液又は混合融液に、水を添加して転相乳化することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の変性ポリオレフィンエマルションの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の変性ポリオレフィンエマルションを含有することを特徴とするコーティング剤、塗料、インク、シーリング剤、接着剤、繊維処理剤又はプライマー。

【公開番号】特開2010−215797(P2010−215797A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64661(P2009−64661)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】