説明

姿勢検出装置の補正パラメーター作成方法、姿勢検出装置の補正パラメーター作成用装置及び姿勢検出装置

【課題】センサーの取付角誤差に起因する検出値の誤差を補正するための補正パラメーターをより低コストで作成可能な姿勢検出装置の補正パラメーター作成方法、補正パラメーター作成用装置及び補正機能付きの姿勢検出装置を提供すること。
【解決手段】回転板230を上面231が水平になるように設置し(S10)、立方体治具210の面211に、X軸(第1の軸)が面212(第2の面)に垂直になり、Y軸(第2の軸)が面213(第3の面)に垂直になり、Z軸(第3の軸)が面211(第1の面)に垂直になるように、姿勢検出装置1を固定する(S12)。そして、立方体治具の面212、213、211と対向する各面を回転板の上面に順次固定し(S14、S20、S26)、回転板を静止又は所定の角速度で回転させて姿勢検出装置の検出値を取得し(S16、S18、S22、S24、S28、S30)、補正パラメーターを作成する(S32)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3軸の角速度又は加速度を検出するセンサーを含む姿勢検出装置の検出値を所定の直交座標系における検出値に補正するための補正パラメーター作成方法、補正パラメーター作成用装置及び補正機能付き姿勢検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、角速度センサーや加速度センサーにより物体の姿勢を検出する姿勢検出装置が様々な用途に使用されている。例えば、特許文献1には、ユーザーの頭の姿勢を検出することにより、目前にあるディスプレイに表示された映像が頭の動きに連動して変化し、仮想空間を体験できるヘッドマウントディスプレイが記載されている。ユーザーの頭の姿勢角にあった映像がヘッドマウントディスプレイに映し出される。この姿勢角を検出するために角速度センサーや加速度センサーを備えた姿勢検出装置がヘッドマウントディスプレイの所定の位置に取り付けられる。姿勢検出装置を取り付ける場合、センサーの検出軸が頭の姿勢角を表すための直交座標系の3軸とそれぞれ平行になるように取り付けられていなければ、この取付角の誤差に起因して姿勢検出装置の検出値が誤差を含むことになる。そのため、姿勢検出装置を取り付ける位置や角度が厳密に規定される。
【特許文献1】特開平9−106322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、姿勢検出装置の内部にセンサーが取り付けられる際に取付角にわずかなずれがあると、姿勢検出装置を取り付ける位置や角度が厳密に規定されていたとしても高精度の検出結果を得ることができない。センサーの取付角誤差が無いようにするのはコスト面から現実的ではないため、あらかじめ取付角誤差を算出して姿勢検出装置の検出値を取付角誤差に応じた補正パラメーターで補正することが行われる。式(1)及び式(2)は、それぞれ補正パラメーターを用いた角速度センサー用の補正式及び加速度センサー用の補正式を表している。
【0004】
【数1】

【0005】
【数2】

式(1)において、関数行列式(ヤコビアン)JfGは角速度センサー用の補正パラメーターであり、f(x)及びf(p)はそれぞれ角速度センサーの今回及び前回の補正値(理想値)である。同様に、式(2)において、関数行列式(ヤコビアン)JfAは加速度センサー用の補正パラメーターであり、f(x)及びf(p)はそれぞれ加速度センサーの今回及び前回の補正値(理想値)である。また、式(1)、式(2)において、x及びpはそれぞれ角速度センサー又は角速度センサーの今回及び前回の検出値であり、oはランダウの記号である。
【0006】
センサーの取付角誤差は姿勢検出装置毎に異なるため、出荷テスト時等に各姿勢検出装置に対して式(1)、式(2)の補正パラメーター(JfG、JfA)が作成される。図13(A)〜図13(C)及び図14(A)〜図14(C)は、補正パラメーター(JfG、JfA)を作成する従来方法を示している。従来方法では、まず、テーブル510に取り付けられたソケット520に姿勢検出装置をセットし、図13(A)〜図13(C)に示す順に、回転腕530をX軸回り、Y軸回り、Z軸回りに所定の角速度で回転させて姿勢検出装置の各検出値を取得し、各検出値と各理想値を式(1)に代入して得られる連立方程式を解いて角速度センサー用の補正パラメーターを作成する。さらに、図14(A)〜図14(C)に示す順に、回転腕530を操作してX軸、Y軸、Z軸の正方向が鉛直上向きになる状態(鉛直下向きに重力加速度が加わる状態)で静止させて姿勢検出装置の各検出値を取得し、各検出値と各理想値を式(2)に代入して得られる連立方程式を解いて加速度センサー用の補正パラメーターを作成する。
【0007】
図13(A)〜図13(C)及び図14(A)〜図14(C)に示す回転腕530の操作において、X軸、Y軸、Z軸に対してテーブル510を所定の角度に正確に固定しなければ、角速度センサーおよび加速度センサーの取付角誤差が正確に反映された検出値を取得することができない。しかし、X軸、Y軸、Z軸に対してテーブル510を所定の角度に正確に固定するためには、テーブル510及び回転腕530を含む補正パラメーター作成用装置500が大がかりな装置になる傾向がある。また、X軸、Y軸、Z軸に対してテーブル510を所定の角度に正確に固定するために相当の時間がかかる。角速度センサーと加速度センサーをともに含む姿勢検出装置に対する補正パラメーターを作成するためには、図13(A)〜図13(C)に示す回転腕530の操作と図14(A)〜図14(C)に示す回転腕530の操作を別々に行う必要があるためさらに時間がかかる。そのため、従来方法では、補正パラメーターの作成にかかるコストが大きいという問題がある。
【0008】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、センサーの取付角誤差に起因する検出値の誤差を補正するための補正パラメーターをより低コストで作成することができる姿勢検出装置の補正パラメーター作成方法、より低コストで実現可能な補正パラメーター作成用装置及び補正機能付きの姿勢検出装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、検出軸が互いに直交する第1の軸、第2の軸及び第3の軸とそれぞれ略平行になるように取り付けられ角速度又は加速度を検出する第1のセンサー、第2のセンサー及び第3のセンサーを含み、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの検出信号に基づいて物体の姿勢を検出する姿勢検出装置の検出値を、前記第1の軸、前記第2の軸及び前記第3の軸を座標軸とする直交座標系における検出値に補正する補正式の補正パラメーターを作成する方法であって、上面が水平になるように回転板を設置するステップと、互いに直交する第1の面、第2の面、第3の面を有する直方体形状の治具の前記第1の面に、前記第1の軸が前記第2の面に垂直になり、前記第2の軸が前記第3の面に垂直になり、前記第3の軸が前記第1の面に垂直になるように、前記姿勢検出装置を固定するステップと、前記治具の前記第2の面と対向する面を前記回転板の前記上面に固定し、前記回転板を静止又は所定の角速度で回転させて前記姿勢検出装置の検出値を取得する第1検出値取得ステップと、前記治具の前記第3の面と対向する面を前記回転板の前記上面に固定し、前記回転板を静止又は所定の角速度で回転させて前記姿勢検出装置の検出値を取得する第2検出値取得ステップと、前記治具の前記第1の面と対向する面を前記回転板の前記上面に固定し、前記回転板を静止又は所定の角速度で回転させて前記姿勢検出装置の検出値を取得する第3検出値取得ステップと、取得した検出値に基づいて、前記補正パラメーターを作成する補正パラメーター作成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
X軸、Y軸、Z軸を座標軸とする直交座標系を考えた場合、第1の軸、第2の軸、第3の軸とX軸、Y軸、Z軸の対応関係は特に限定されない。
【0011】
本発明によれば、直方体形状の治具を用いるので、第1の軸、第2の軸、第3の軸が治具のそれぞれ第1の面、第2の面、第3の面と垂直になるように第1の面に姿勢検出装置を固定することが容易である。そして、上面が水平になるように回転板を設置すれば、治具の第2の面、第3の面、第1の面と対向する面をそれぞれ回転板の上面に固定するだけで、簡単に、第1の軸、第2の軸、第3の軸をそれぞれ鉛直方向と平行にすることができる。さらに、第1の軸、第2の軸、第3の軸をそれぞれ鉛直方向と平行にした状態において、回転板を静止又は回転させることにより、加速度センサー又は角速度センサーの検出値を簡単に短時間で取得することができる。
【0012】
すなわち、最初に一度だけ、上面が水平になるように回転板を設置すれば回転板の回転方向が固定されるので、第1の軸、第2の軸、第3の軸に関する検出値を取得するためのセッティング時間を大幅に短縮することができる。従って、本発明によれば、センサーの取付角誤差に起因する検出値の誤差を補正するための補正パラメーターをより低コストで作成することができる。
【0013】
(2)本発明の姿勢検出装置の補正パラメーター作成方法において、前記補正式は、前記補正パラメーターとして前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出値を前記直交座標系における各検出値に補正するための第1の補正行列、第2の補正行列及び第3の補正行列を含み、前記第1の補正行列、前記第2の補正行列及び前記第3の補正行列の各々と、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出値がA/D変換されたデジタル値をそれぞれ要素として含む行列の各々と、の積により得られる3つの行列の和として与えられるようにしてもよい。
【0014】
(3)本発明の姿勢検出装置の補正パラメーター作成方法において、前記第1の補正行列、前記第2の補正行列及び前記第3の補正行列は、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出軸をそれぞれ前記第1の軸、前記第2の軸及び前記第3の軸に変換する回転行列の逆行列であるようにしてもよい。
【0015】
(4)本発明の姿勢検出装置の補正パラメーター作成方法において、前記補正パラメーター作成ステップは、前記第1検出値取得ステップにおいて取得した前記検出値に基づいて、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの前記第1の軸回りの各取付角誤差を算出するステップと、前記第2検出値取得ステップにおいて取得した前記検出値に基づいて、前記第1のセンサー及び前記第3のセンサーの前記第2の軸回りの各取付角誤差を算出するステップと、前記第3検出値取得ステップにおいて取得した前記検出値に基づいて、前記第1のセンサー及び前記第2のセンサーの前記第3の軸回りの各取付角誤差を算出するステップと、前記第1のセンサーの前記第2の軸回りの前記取付角誤差及び前記第3の軸回りの前記取付角誤差に基づいて、前記第1の補正行列を作成するステップと、前記第2のセンサーの前記第1の軸回りの前記取付角誤差及び前記第3の軸回りの前記取付角誤差に基づいて、前記第2の補正行列を作成するステップと、前記第3のセンサーの前記第1の軸回りの前記取付角誤差及び前記第2の軸回りの前記取付角誤差に基づいて、前記第3の補正行列を作成するステップと、を含むようにしてもよい。
【0016】
(5)本発明は、検出軸が互いに直交する第1の軸、第2の軸及び第3の軸とそれぞれ略平行になるように取り付けられ角速度又は加速度を検出する第1のセンサー、第2のセンサー及び第3のセンサーを含み、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの検出信号に基づいて物体の姿勢を検出する姿勢検出装置の検出値を、前記第1の軸、前記第2の軸及び前記第3の軸を座標軸とする直交座標系における検出値に補正する補正式の補正パラメーターを作成するために使用される補正パラメーター作成用装置であって、互いに直交する第1の面、第2の面、第3の面を有し、前記第1の面に、前記第1の軸が前記第2の面に垂直になり、前記第2の軸が前記第3の面に垂直になり、前記第3の軸が前記第1の面に垂直になるように前記姿勢検出装置を固定可能な直方体形状の治具と、上面に、前記治具の前記第1の面、前記第2の面、前記第2の面とそれぞれ対向する面のいずれかを固定可能な回転板と、前記回転板を所定の角速度で回転させる回転制御部と、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、直方体形状の治具と回転板を用いることにより、回転腕を必要としないので、よりコンパクトかつ低コストの補正パラメーター作成用装置を提供することができる。本発明に係る補正パラメーター作成用装置を用いることにより、上記の通り、姿勢検出装置に取り付けられた各センサーの検出値の補正パラメーターを簡単に短時間で取得することができる。
【0018】
(6)本発明は、検出軸が互いに直交する第1の軸、第2の軸及び第3の軸とそれぞれ略平行になるように取り付けられ角速度又は加速度を検出する第1のセンサー、第2のセンサー及び第3のセンサーと、
前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出値を前記第1の軸、前記第2の軸及び前記第3の軸を座標軸とする直交座標系における検出値に補正する補正式の補正パラメーターが記憶された記憶部と、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出信号をデジタル信号に変換する処理を行うA/D変換処理部と、前記デジタル信号の各々と前記補正パラメーターに基づいて前記補正式を計算する処理を行う補正計算処理部と、を含み、前記補正式は、前記補正パラメーターとして前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出値を前記直交座標系における各検出値に補正するための第1の補正行列、第2の補正行列及び第3の補正行列を含み、前記第1の補正行列、前記第2の補正行列及び前記第3の補正行列の各々と、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出値がA/D変換されたデジタル値をそれぞれ要素として含む行列の各々と、の積により得られる3つの行列の和として与えられることを特徴とする。
【0019】
従来の補正式(1)、補正式(2)における関数行列式(ヤコビアン)はセンサーの取付角誤差を直接的に反映する補正パラメーターではなく、また、補正式(1)、補正式(2)では前回の検出値を元に関数行列式(ヤコビアン)を用いて今回の検出値を類推するため、検出値に何らかの写像を施すと補正値が得られるようになっていない。そのため、補正式(1)、補正式(2)では補正精度を上げるのに限界がある。
【0020】
本発明によれば、補正計算処理部が計算する補正式に含まれる3つの補正行列に各センサーの取付角誤差を直接的に反映させることができる。また、本発明によれば、補正計算処理部が計算する補正式は今回の検出値に対する補正値の計算において前回の検出値を必要としないので、今回の検出値が得られれば直ちに補正値を計算することができる。従って、本発明によれば、補正精度がより高く、かつ、補正計算処理がより速い姿勢検出装置を実現することができる。
【0021】
(7)本発明の姿勢検出装置において、前記第1の補正行列、前記第2の補正行列及び前記第3の補正行列は、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出軸をそれぞれ前記第1の軸、前記第2の軸及び前記第3の軸に変換する回転行列の逆行列であるようにしてもよい。
【0022】
(8)本発明の姿勢検出装置は、所定の周期で、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各前記検出信号のいずれか1つを順次選択する処理を行う信号選択処理部を含み、前記A/D変換処理部は、前記信号選択処理部が選択した検出値を順次A/D変換処理するA/D変換回路を含むようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0024】
なお、以下の説明において、本発明における第1の軸、第2の軸、第3の軸はそれぞれX軸、Y軸、Z軸に対応するものとするが、本発明における第1の軸、第2の軸、第3の軸とX軸、Y軸、Z軸の対応関係はこれに限らず、任意の対応関係とすることができる。
【0025】
1.姿勢検出装置
1−1.姿勢検出装置の構成
図1は、本実施形態の補正パラメーター作成方法の対象となる姿勢検出装置の構成の一例を示す図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態における姿勢検出装置1は、X軸、Y軸、Z軸回りの角速度を検出する角速度センサーモジュール2と、X軸、Y軸、Z軸方向の加速度を検出する加速度センサーモジュール3を含んで構成されている。
【0027】
角速度センサーモジュール2は、それぞれX軸、Y軸、Z軸回りの角速度を検出するX軸角速度センサー10a、Y軸角速度センサー10b、Z軸角速度センサー10cを含む。
【0028】
X軸角速度センサー10aは、振動子11a、振動子11aを振動させる駆動回路20a、角速度検出信号38aを生成する検出回路30aを含み、振動子11aの駆動電極12a、13aと駆動回路20a、振動子11aの検出電極14a、15aと検出回路30aがそれぞれ接続されている。
【0029】
同様に、Y軸角速度センサー10bは、振動子11b、振動子11bを振動させる駆動回路20b、角速度検出信号38bを生成する検出回路30bを含み、振動子11bの駆動電極12b、13bと駆動回路20b、振動子11bの検出電極14b、15bと検出回路30bがそれぞれ接続されている。
【0030】
同様に、Z軸角速度センサー10cは、振動子11c、振動子11cを振動させる駆動する駆動回路20c、角速度検出信号38cを生成する検出回路30cを含み、振動子11cの駆動電極12c、13cと駆動回路20c、振動子11cの検出電極14c、15cと検出回路30cがそれぞれ接続されている。
【0031】
加速度センサーモジュール3は、それぞれX軸、Y軸、Z軸方向の加速度を検出するX軸加速度センサー50a、Y軸加速度センサー50b、Z軸加速度センサー50cを含む。
【0032】
X軸加速度センサー50aは、振動子51a、振動子51aを振動させる駆動回路60a、加速度検出信号78aを生成する検出回路70aを含み、振動子51aの駆動電極52a、53aと駆動回路60a、振動子51aの検出電極54a、55aと検出回路70aがそれぞれ接続されている。
【0033】
同様に、Y軸加速度センサー50bは、振動子51b、振動子51bを振動させる駆動回路60b、加速度検出信号78bを生成する検出回路70bを含み、振動子51bの駆動電極52b、53bと駆動回路60b、振動子51bの検出電極54b、55bと検出回路70bがそれぞれ接続されている。
【0034】
同様に、Z軸加速度センサー50cは、振動子51c、振動子51cを振動させる駆動回路60c、加速度検出信号78cを生成する検出回路70cを含み、振動子51cの駆動電極52c、53cと駆動回路60c、振動子51cの検出電極54c、55cと検出回路70cがそれぞれ接続されている。
【0035】
なお、角速度センサー10a、10b、10cは、それぞれ本発明における第1のセンサー、第2のセンサー及び第3のセンサーとして機能する。同様に、加速度センサー50a、50b、50cは、それぞれ本発明における第1のセンサー、第2のセンサー及び第3のセンサーとして機能する。
【0036】
図2は、本実施形態における姿勢検出装置の斜視図である。
【0037】
図2に示すように、姿勢検出装置1において、角速度センサーモジュール2及び加速度センサーモジュール3は、それぞれ立方体(広義には直方体。以下、同じ。)の形状に形成されており、直方体形状のパッケージ4の中に収納されている。
【0038】
X軸、Y軸、Z軸は姿勢検出装置1を基準にして決定される。例えば、姿勢検出装置1を構成するパッケージ4が直方体形状である場合は、パッケージ4の直交する3つの面5a、5b、5cと垂直な軸をそれぞれX軸、Y軸、Z軸とすることができる。また、X軸、Y軸、Z軸の正方向は任意に決定することができ、本実施形態では、図2に示す矢印の先に向かう方向を各軸の正方向とする。
【0039】
1−2.角速度センサーモジュール
図2に示すように、角速度センサーモジュール2において、角速度センサー10a、10b、10cは、検出軸がそれぞれX軸、Y軸、Z軸とほぼ平行になるように絶縁基板80の上に取り付けられ、それぞれ振動子11a、11b、11cがパッケージ82a、82b、82c内に収容されている。パッケージ82a、82b、82cの周囲は樹脂モールド材で覆われている。
【0040】
パッケージ82a、82b、82cは、それぞれパッケージ本体84aと蓋体86a、パッケージ本体84bと蓋体86b、パッケージ本体84cと蓋体86cから構成されている。パッケージ本体84a、84b、84cは、複数のセラミックシートを積層、焼結して直方体の箱状に形成されている。蓋体86a、86b、86cは、ガラス板や金属板、セラミックシート等で形成されており、金属ロウ材、低融点ガラスなどの接合材を介して、振動子11a、11b、11cがそれぞれ収容されたパッケージ本体84a、84b、84cの上面開口部を真空封止している。振動子11a、11b、11cは、絶縁基板80に形成された配線パターン(図示せず)によってそれぞれ駆動回路20a、20b、20cや検出回路30a、30b、30cと接続されている。
【0041】
駆動回路20aと検出回路30a、駆動回路20bと検出回路30b、駆動回路20cと検出回路30cは、3つのチップにIC化してそれぞれパッケージ82a、82b、82c内にそれぞれ収容されていてもよい。また、駆動回路20a、20b、20c、検出回路30a、30b、30cを1チップにIC化して絶縁基板80上に配置するようにしてもよい。
【0042】
なお、図2では図示を省略しているが、検出回路30a、30b、30cからの各検出信号38a、38b、38cは外部出力端子(図示せず)を介して姿勢検出装置1の外部に出力されるようになっている。
【0043】
図3は、角速度センサーに含まれる振動子の一例を示す平面図である。角速度センサー10a、10b、10cにそれぞれ含まれる振動子11a、11b、11cはすべて同一の構造であるため、図3では振動子11aの構造のみが図示されている。なお、図3におけるX軸、Y軸、Z軸は水晶の軸を示し、図2におけるX軸、Y軸、Z軸とは無関係である。
【0044】
振動子11aは、水晶などの圧電材料の薄板から形成され、駆動用基部44aから駆動振動腕41a(広義には、駆動用振動片)が水晶のY軸方向に延出している。駆動振動腕41aの側面及び上面にはそれぞれ駆動電極12a及び13aが形成されている。図1に示したように、駆動電極12a、13aは駆動回路20aに接続される。
【0045】
駆動用基部44aは、水晶のX軸方向に延びる連結腕45aを介して検出用基部47aに接続されている。検出振動腕42a(広義には、検出振動片)は、検出用基部47aから水晶のY軸方向に延出されている。検出振動腕42aの上面には検出電極14a及び15aが形成されており、検出振動腕42aの側面には電極16aが形成されている。図1に示したように、検出電極14a、15aは駆動回路20aに接続される。また、電極16aは接地される。
【0046】
駆動振動腕41aの駆動電極12aと駆動電極13aとの間に交番電圧/交番電流からなる駆動信号が与えられると、図4に示すように、駆動振動腕41aは圧電効果によって矢印Bのように屈曲振動する。
【0047】
ここで、図5に示すように振動子11aが水晶のZ軸を回転軸とした回転運動をすると、駆動振動腕41aは、矢印Bの屈曲振動の方向と水晶のZ軸の両方に垂直な方向にコリオリの力を得る。その結果、連結腕45aは矢印Cで示すような振動をする。そして、検出振動腕42aは、連結腕45aの振動(矢印C)に連動して、連結腕45aと矢印Dのような屈曲振動をする。
【0048】
そして、これらの屈曲振動に基づいて発生する逆圧電効果によって、検出振動腕42aの検出電極14a、15aと電極16aとの間には、それぞれ逆方向の交番電圧/交番電流が発生する。以上のようにして、振動子11aは、水晶のZ軸を検出軸としてコリオリの力に基づく角速度成分を検出し、検出電極14a、15aを介して検出信号を出力する。
【0049】
なお、図3の構成では、振動子11aのバランスを良くするために、検出用基部47aを中央に配置し、検出用基部47aから+Y軸と−Y軸の両方向に検出振動腕42aを延出させている。さらに、検出用基部47aから+X軸と−X軸の両方向に連結腕45aを延出させ、連結腕45aのそれぞれから、+Y軸と−Y軸の両方向に駆動振動腕41aを延出させている。
【0050】
また、駆動振動腕41aの先端を幅広の幅広部43aにし、さらに、錘を付けることでコリオリの力を大きくしている。また、錘効果によって、所望の共振周波数を、短い振動腕で得ることができる。同様の理由で、検出振動腕42aの先端を幅広の幅広部46aにし、さらに、錘を付けている。
【0051】
なお、振動子11aは、上述の構成に限らず、コリオリの力に基づく角速度成分を含む検出信号を出力する振動子であれば良い。例えば、駆動振動腕と検出振動腕とを兼ねる構成であっても良く、また、駆動振動腕や検出振動腕に圧電膜を形成した構成であっても良い。
【0052】
図6は、角速度センサーに含まれる駆動回路及び検出回路の構成の一例を示す図である。駆動回路20a、20b、20cはすべて同じ構成であり、検出回路30a、30b、30cはすべて同じ構成であるので、図3では駆動回路20a及び検出回路30aの構成のみを図示している。
【0053】
図6に示すように、駆動回路20aは、電流電圧変換器(I/V変換器)21a、AC増幅器22a、自動利得制御回路(AGC)23a、コンパレータ24aを含んで構成されている。
【0054】
振動子11aが振動すると、圧電効果に基づく交流電流がフィードバック信号として駆動電極13aから出力され、電流電圧変換器(I/V変換器)21aに入力される。電流電圧変換器(I/V変換器)21aは、入力された交流電流を振動子11aの振動周波数と同一の周波数の交流電圧信号に変換して出力する。
【0055】
電流電圧変換器(I/V変換器)21aから出力された交流電圧信号は、AC増幅器22aに入力される。AC増幅器aは、入力された交流電圧信号を増幅して出力する。
【0056】
AC増幅器22aから出力された交流電圧信号は自動利得制御回路(AGC)23aに入力される。自動利得制御回路(AGC)23aは、入力された交流電圧信号の振幅を一定値に保持するように利得を制御し、利得制御後の交流電圧信号を振動子11aの駆動電極12aに出力する。この駆動電極12aに入力される交流電圧信号により振動子11aが振動する。
【0057】
AC増幅器22aが増幅した交流電圧信号はコンパレータ24aに入力され、交流電圧信号の振幅中心を基準電圧として、交流電圧信号と基準電圧信号との比較結果に応じて出力レベルを切り替える方形波電圧信号を、検出回路30aの同期検波回路35aに出力する。
【0058】
図6に示すように、検出回路30aは、チャージアンプ31a、32a、差動増幅器33a、AC増幅器34a、同期検波回路35a、DC増幅器36a及び積分回路(LPF)37aを含んで構成されている。
【0059】
チャージアンプ31a、32aには、振動子11aにより検出された互いに逆位相の検出信号(交流電流)が検出電極12a、13aを介して入力される。そして、チャージアンプ31a、32aは、入力された検出信号(交流電流)を基準電圧を中心とする交流電圧信号に変換する。
【0060】
差動増幅器33aはチャージアンプ31aの出力信号とチャージアンプ32aの出力信号を差動増幅する。差動増幅器33aの出力信号は、さらにAC増幅器34aで増幅される。
【0061】
同期検波回路35aは、コンパレータ24aが出力する方形波電圧信号を基に、AC増幅器34aの出力信号を同期検波することにより角速度成分を抽出する。同期検波回路35aは、例えば、方形波電圧信号の電圧レベルが基準電圧よりも高い時はAC増幅器34aの出力信号をそのまま出力し、方形波電圧信号の電圧レベルが基準電圧よりも低い時はAC増幅器34aの出力信号を基準電圧に対して反転して出力するスイッチ回路として構成することができる。
【0062】
同期検波回路35aで抽出された角速度成分信号は、DC増幅器36aで増幅されて積分回路(LPF)37aに入力される。
【0063】
積分回路(LPF)37aは、DC増幅器35aの出力信号から高周波成分を減衰させて直流成分を抽出することにより角速度検出信号38aを生成して外部に出力する。
【0064】
1−3.加速度センサーモジュール
図2に示すように、加速度センサーモジュール3は、ベース90、ウエイト100、3つの加速度センサー50a、50b、50cを有する。なお、図2では、図1に示した駆動回路60a、60b、60c及び検出回路70a、70b、70cの図示を省略しているがパッケージ4の中の適当な位置に配置され、検出回路70a、70b、70cからの各検出信号78a、78b、78cは外部出力端子(図示せず)を介して姿勢検出装置1の外部に出力されるようになっている。
【0065】
ベース90は、立方形を作るように3つの正方形の壁部を互いに直交させて形成され、X軸、Y軸、Z軸方向に互いに直交する3つの取付面91、92、93を有する。ウエイト100は、所定の質量を有する立方体からなり、互いに直交する3つの接合面101、102、103を有する。ベース90及びウエイト100は、例えばアルミニウム合金などの適当な材料を用いて形成される。
【0066】
本実施形態では、加速度センサー50a、50b、50cは、それぞれ、水晶などの圧電材料の薄板から形成された双音叉型の振動子51a、51b、51cを含んで構成されている。
【0067】
振動子51a、51b、51cは、検出軸がそれぞれX軸、Y軸、Z軸とほぼ平行になるように、一方の基端部56a、56b、56cがそれぞれベース90の素子取付面91、92、93に取り付けられ、ベース90の各壁部に垂直に支持されている。振動子51a、51b、51cの他方の基端部57a、57b、57cは、それぞれ素子取付面91、92、93に対応するウエイト100の素子接合面101〜103に接合されている。これにより、ウエイト100が、X軸、Y軸、Z軸方向から振動子51a、51b、51cによって浮遊した状態に支持される。
【0068】
振動子51aの2つの駆動振動腕58aには、その上下主面及び両側面に駆動電極52a、53aが設けられており(図示省略)、駆動回路60aにより駆動電極52a、53a間に所定の交流電圧が印加されると、2つの駆動振動腕58aは互いに逆向きに即ち近接または離反する向きに所定の周波数で屈曲振動する。
【0069】
振動子51aを所定の周波数で振動させた状態で、加速度センサーモジュール3に外力が作用してウエイト100にX軸方向の加速度が加わると、その大きさ及び向きに対応して、振動子51aには長手方向(すなわち、X軸方向)に圧縮または引張する力が作用する。振動子51aの周波数は、圧縮する力が作用すると減少し、引張する力が作用すると増加するように変化する。従って、検出回路70aにより振動子51aにおける周波数の変化量を検出し、周波数の変化量からX軸方向に作用する荷重を算出することにより、ウエイト100に作用したX軸方向の加速度の大きさ及び向きを計算することができる。
【0070】
振動子51b、51cの構造も振動子51aの構造と同一であり、同様にしてY軸及びZ軸方向の加速度の大きさ及び向きを計算することができる。
【0071】
なお、駆動回路60a、60b、60cは図6に示した駆動回路20aと同様の構成であり、また、検出回路70a、70b、70cは周波数の変化量を検出する既知の回路と同様の構成にすることができるので、その説明を省略する。
【0072】
2.補正パラメーター作成方法
2−1.センサー取付角誤差
角速度センサー10a、10b、10cは、理想的には、検出軸がそれぞれX軸、Y軸、Z軸と厳密に平行になるように取り付けられる。同様に、加速度センサー50a、50b、50cは、理想的には、検出軸がそれぞれX軸、Y軸、Z軸と厳密に平行になるように取り付けられる。しかし、角速度センサー10a、10b、10c及び加速度センサー50a、50b、50cをそのように厳密に取り付けるのはコスト面から難しい。そのため、X軸角速度センサー10aは、実際には、図7(A)に示すように、検出軸がY軸回りに微小角Δθ2x、Z軸回りに微小角Δθ3x回ったX’軸と平行になるように取り付けられている。同様に、Y軸角速度センサー10bは、実際には、図7(B)に示すように、検出軸がZ軸回りに微小角Δθ3y、X軸回りに微小角Δθ1y回ったY’軸と平行になるように取り付けられており、Z軸角速度センサー10cは、実際には、図7(C)に示すように、検出軸がX軸回りに微小角Δθ1z、Y軸回りに微小角Δθ2z回ったZ’軸と平行になるように取り付けられている。すなわち、X軸角速度センサー10aのY軸回りの取付角誤差及びZ軸回りの取付角誤差はそれぞれΔθ2x、Δθ3xであり、Y軸角速度センサー10bのZ軸回りの取付角誤差及びX軸回りの取付角誤差はそれぞれΔθ3y、Δθ1yであり、Z軸角速度センサー10cのX軸回りの取付角誤差及びY軸回りの取付角誤差はそれぞれΔθ3z、Δθ1zである。
【0073】
加速度センサー50a、50b、50cについても同様に取付角誤差が存在する。そのため、角速度センサー10a、10b、10c、加速度センサー50a、50b、50cの各検出値は理想値とずれている。
【0074】
2−2.数学的考察
従来の補正式(1)、補正式(2)における関数行列式(ヤコビアン)はセンサーの取付角誤差を直接的に反映する補正パラメーターではなく、また、補正式(1)、補正式(2)では前回の検出値を元に関数行列式(ヤコビアン)を用いて今回の検出値を類推するため、検出値に何らかの写像を施すと補正値が得られるようになっていない。そのため、補正式(1)、補正式(2)では補正精度を上げるのに限界がある。そこで、以下では、より精度の高い補正について数学的に考察する。
【0075】
3次元ユークリッド空間において、X軸、Y軸、Z軸の回りにそれぞれ角度θの回転を施す回転行列T、T、Tは式(3)によって与えられる。
【0076】
【数3】

そして、3次元ユークリッド空間における任意の回転は回転行列T、T、Tの積の組み合わせにより表すことができる。例えば、Z軸の回りに角度θだけ回転させ、Y軸の回りに角度θだけ回転させ、X軸の回りに角度θだけ回転させることにより、XYZ座標系をX’Y’Z’座標系に変換する行列Tδは式(4)によって与えられる。以下では、Tδを「変換行列」ということにする。
【0077】
【数4】

3つの角速度センサー10a、10b、10cを、検出軸がそれぞれX軸、Y軸、Z軸と平行になるように取り付けたとき、取付角誤差のために実際には検出軸がそれぞれX’軸、Y’軸、Z’軸と平行になるように取り付けられていると仮定する。この場合、角速度センサー10a、10b、10cの各検出値G’、G’、G’と理想値G、G、Gの間には変換行列Tδによる関係式(5)が成立する。
【0078】
【数5】

従って、次の式(6)により、角速度センサー10a、10b、10cの各検出値G’、G’、G’から理想値G、G、Gを計算することができる。
【0079】
【数6】

すなわち、何らかの方法でTδ−1を得ることができれば、式(6)を用いて角速度センサー10a、10b、10cの各検出値を理想値に補正することができる。以下では、Tδ−1を「補正行列」ということにする。
【0080】
角速度センサー10a、10b、10cの取付角を光学観測できる場合は、直接θ、θ、θを導出して式(3)を用いて回転行列T、T、Tを計算し、その逆行列T−1、T−1、T−1を用いて補正行列Tδ−1を得ることができる。
【0081】
一方、光学観測ができない場合は、例えば、X軸、Y軸、Z軸を中心に角速度センサー10a、10b、10cを回転させる等、X軸、Y軸、Z軸に関する取付角誤差が検出値に反映されるような3通りの入力条件を選択し、その入力条件に対する角速度センサー10a、10b、10cの検出値G’、G’、G’及び理想値G、G、Gをそれぞれ式(6)に代入することにより得られる3つの連立方程式を解けばθ、θ、θを導出することができる。しかし、この連立方程式は非常に複雑であるためθ、θ、θを簡単に導出することができない。
【0082】
一方、仮にθが非常に小さい値であれば、次の式(7)が成り立つ。
【0083】
【数7】

従って、取付角誤差θ、θ、θが非常に小さい値であれば、変換行列Tδは次の式(8)のように表される。
【0084】
【数8】

従って、次の式(9)に示すように、変換行列Tδは3つの基底となる行列J、J、Jの線形和で表すことができる。
【0085】
【数9】

前記のように、X軸角速度センサー10aは、Y軸回りに微小角Δθ2x、Z軸回りに微小角Δθ3x回ったX’軸が検出軸になるように取り付けられている。X軸回りの取付角誤差Δθ1x=0であるので、式(9)より、変換行列Tδxは次の式(10)のように表される。
【0086】
【数10】

同様に、Y軸角速度センサー10bは、X軸回りに微小角Δθ1y、Z軸回りに微小角Δθ3y回ったY’軸が検出軸になるように取り付けられている。Y軸回りの取付角誤差Δθ2y=0であるので、式(9)より、変換行列Tδyは次の式(11)のように表される。
【0087】
【数11】

同様に、Z軸角速度センサー10cは、X軸回りに微小角Δθ1z、Y軸回りに微小角Δθ2z回ったZ’軸が検出軸になるように取り付けられている。Z軸回りの取付角誤差Δθ3z=0であるので、式(9)より、変換行列Tδzは次の式(12)のように表される。
【0088】
【数12】

式(10)、(11)、(12)によれば、何らかの方法でΔθ2x、Δθ3x、Δθ1y、Δθ3y、Δθ1z、Δθ2zを得ることができれば、変換行列Tδx、Tδy、Tδzを計算することができる。そして、変換行列Tδx、Tδy、Tδzの逆行列を計算すれば、補正行列Tδx−1、Tδy−1、Tδz−1を作成することができる。そうすると、次の式(13)より、X軸角速度センサー10a、Y軸角速度センサー10b、Z軸角速度センサー10cの各検出値G’、G’、G’をそれぞれ理想値G、G、Gに補正することができる。
【0089】
【数13】

補正式(13)における補正行列Tδx−1、Tδy−1、Tδz−1は、角速度センサー10a、10b、10cの各取付角誤差Δθ2x、Δθ3x、Δθ1y、Δθ3y、Δθ1z、Δθ2zを直接的に反映している。また、補正式(13)によれば、前回の検出値を必要とせず、今回の検出値G’、G’、G’が得られれば直ちに補正値(理想値)G、G、Gを計算することができる。従って、補正式(13)によれば、補正精度の向上及び補正計算処理の高速化を実現することができる。
【0090】
なお、補正行列Tδx−1、Tδy−1、Tδz−1は、それぞれ本発明における第1の補正行列、第2の補正行列及び第3の補正行列に相当する。
【0091】
次に、Δθ2x、Δθ3x、Δθ1y、Δθ3y、Δθ1z、Δθ2zを得るための方法について説明する。
【0092】
X軸角速度センサー10aをX軸回りに角度Δθxx、Y軸回りに角度Δθxy、Z軸回りに角度Δθxzだけ移動させたときに、X’軸回りに角度Δθxx’、Y’軸回りに角度Δθxy’、Z’軸回りに角度Δθxz’だけ移動することを示す検出値が得られる関係にあるとすると、式(10)より次の式(14)が成立する。
【0093】
【数14】

同様に、Y軸角速度センサー10bをX軸回りに角度Δθyx、Y軸回りに角度Δθyy、Z軸回りに角度Δθyzだけ移動させたときに、X’軸回りに角度Δθyx’、Y’軸回りに角度Δθyy’、Z’軸回りに角度Δθyz’だけ移動することを示す検出値が得られる関係にあるとすると、式(11)より次の式(15)が成立する。
【0094】
【数15】

同様に、Z軸角速度センサー10cをX軸回りに角度Δθzx、Y軸回りに角度Δθzy、Z軸回りに角度Δθzzだけ移動させたときに、X’軸回りに角度Δθzx’、Y’軸回りに角度Δθzy’、Z’軸回りに角度Δθzz’だけ移動することを示す検出値が得られる関係にあるとすると、式(12)より次の式(16)が成立する。
【0095】
【数16】

まず、姿勢検出装置1をY軸及びZ軸回りには回転させずにX軸回りにのみ角度Δθだけ回転させた場合、式(15)においてΔθyx=Δθ、Δθyy=0、Δθyz=0なので、Δθyx’=Δθ、Δθyz’=0とともに以下の関係式(17)を得ることができる。
【0096】
【数17】

Y軸角速度センサー10bの検出値(Y’軸回りの角速度)に所定時間を掛けることによりΔθyy’を得ることができるので、式(17)にΔθyy’とΔθを代入することにより、Δθ3yを得ることができる。
【0097】
同様に、式(16)においてΔθzx=Δθ、Δθzy=0、Δθzz=0なので、Δθzx’=Δθ、Δθzy’=0とともに以下の関係式(18)を得ることができる。
【0098】
【数18】

Z軸角速度センサー10cの検出値(Z’軸回りの角速度)に所定時間を掛けることによりΔθzz’を得ることができるので、式(18)にΔθzz’とΔθを代入することにより、Δθ2zを得ることができる。
【0099】
次に、姿勢検出装置1をX軸及びZ軸回りには回転させずにY軸回りにのみ角度Δθだけ回転させた場合、式(14)においてΔθxx=0、Δθxy=Δθ、Δθxz=0なので、Δθxy’=Δθ、Δθxz’=0とともに以下の関係式(19)を得ることができる。
【0100】
【数19】

X軸角速度センサー10aの検出値(X’軸回りの角速度)に所定時間を掛けることによりΔθxx’を得ることができるので、式(19)にΔθxx’とΔθを代入することにより、Δθ3xを得ることができる。
【0101】
同様に、式(16)においてΔθzx=0、Δθzy=Δθ、Δθzz=0なので、Δθzx’=0、Δθzy’=Δθとともに以下の関係式(20)を得ることができる。
【0102】
【数20】

Z軸角速度センサー10cの検出値(Z’軸回りの角速度)に所定時間を掛けることによりΔθzz’を得ることができるので、式(20)にΔθzz’とΔθを代入することにより、Δθ1zを得ることができる。
【0103】
最後に、姿勢検出装置1をX軸及びY軸回りには回転させずにZ軸回りにのみ角度Δθだけ回転させた場合、式(14)においてΔθxx=0、Δθxy=0、Δθxz=Δθなので、Δθxy’=0、Δθxz’=Δθとともに以下の関係式(21)を得ることができる。
【0104】
【数21】

X軸角速度センサー10aの検出値(X’軸回りの角速度)に所定時間を掛けることによりΔθxx’を得ることができるので、式(21)にΔθxx’とΔθを代入することにより、Δθ2xを得ることができる。
【0105】
同様に、式(15)においてΔθyx=0、Δθyy=0、Δθyz=Δθなので、Δθyx’=0、Δθyz’=Δθとともに以下の関係式(22)を得ることができる。
【0106】
【数22】

Y軸角速度センサー10bの検出値(Y’軸回りの角速度)に所定時間を掛けることによりΔθyy’を得ることができるので、式(22)にΔθyy’とΔθを代入することにより、Δθ1yを得ることができる。
【0107】
以上のようにして得られたΔθ2x、Δθ3x、Δθ1y、Δθ3y、Δθ1z、Δθ2zから計算される逆行列Tδx−1、Tδy−1、Tδz−1を式(13)に代入すれば、角速度センサー10a、10b、10cの各検出値G’、G’、G’をそれぞれ理想値G、G、Gに補正することができる。
【0108】
なお、実際には、式(13)の補正計算はCPU又は専用回路によりデジタル値で行われる。そのため、角速度センサー10a、10b、10cの検出値G’、G’、G’のA/D変換値にA/D変換のサンプル周期Δtを掛けて得られるX’軸、Y’軸、Z’軸回りの微小回転角Δθx’、Δθy’、Δθz’が、次の式(23)により、X軸、Y軸、Z軸回りの微小回転角Δθ、Δθ、Δθに補正される。
【0109】
【数23】

X軸加速度センサー50a、Y軸加速度センサー50b、Z軸加速度センサー50cの各検出値の補正においても、同様の理論が成り立つ。
【0110】
X軸加速度センサー50aは、Y軸回りに微小角Δφ2x、Z軸回りに微小角Δφ3x回ったX’軸が検出軸になるように取り付けられており(Δφ2x、Δφ3xが取付角誤差になる)、変換行列Tγxは次の式(24)のように表される。
【0111】
【数24】

同様に、Y軸加速度センサー50bは、X軸回りに微小角Δφ1y、Z軸回りに微小角Δφ3y回ったY’軸が検出軸になるように取り付けられており(Δφ1y、Δφ3yが取付角誤差になる)、変換行列Tγyは次の式(25)のように表される。
【0112】
【数25】

同様に、Z軸加速度センサー50cは、X軸回りに微小角Δφ1z、Y軸回りに微小角Δφ2z回ったZ’軸が検出軸になるように取り付けられており(Δφ1z、Δφ2zが取付角誤差になる)、変換行列Tγzは次の式(26)のように表される。
【0113】
【数26】

式(24)〜式(26)は角速度センサー10a、10b、10cにおける式(10)〜式(12)と対応している。
【0114】
X軸加速度センサー50aをX軸方向に速度Δvxx、Y軸方向に速度Δvxy、Z軸方向に速度Δvxzで移動させたときに、X’軸方向に速度Δvxx’、Y’軸方向に速度Δvxy’、Z’軸方向に速度Δvxz’で移動することを示す検出値が得られる関係にあるとすると、次の式(27)が成立する。
【0115】
【数27】

Y軸加速度センサー50bをX軸方向に速度Δvyx、Y軸方向に速度Δvyy、Z軸方向に速度Δvyzで移動させたときに、X’軸方向に速度Δvyx’、Y’軸方向に速度Δvyy’、Z’軸方向に速度Δvyz’で移動することを示す検出値が得られる関係にあるとすると、次の式(28)が成立する。
【0116】
【数28】

Z軸加速度センサー50cをX軸方向に速度Δvzx、Y軸方向に速度Δvzy、Z軸方向に速度Δvzzで移動させたときに、X’軸方向に速度Δvzx’、Y’軸方向に速度Δvzy’、Z’軸方向に速度Δvzz’で移動することを示す検出値が得られる関係にあるとすると、次の式(29)が成立する。
【0117】
【数29】

式(27)〜式(29)は角速度センサー10a、10b、10cにおける式(14)〜式(16)と対応している。そして、角速度センサー10a、10b、10cにおける式(17)〜式(22)の導出と同様の方法により以下の(30)〜式(35)が得られる。
【0118】
【数30】

【0119】
【数31】

【0120】
【数32】

【0121】
【数33】

【0122】
【数34】

【0123】
【数35】

そして、Δφ2x、Δφ3x、Δφ1y、Δφ3y、Δφ1z、Δφ2zから計算される逆行列Tγx−1、Tγy−1、Tγz−1を次の式(36)に代入すれば、加速度センサー50a、50b、50cの各検出値A’、A’、A’をそれぞれ理想値A、A、Aに補正することができる。なお、式(36)は角速度センサー10a、10b、10cにおける式(13)と対応している。
【0124】
【数36】

なお、実際には、式(36)の補正計算はCPU又は専用回路によりデジタル値で行われる。そのため、加速度センサー50a、50b、50cの検出値A’、A’、A’のA/D変換値にA/D変換のサンプル周期Δtを掛けて得られるX’軸、Y’軸、Z’軸方向の微小速度Δvx’、Δvy’、Δvz’が、次の式(37)により、X軸、Y軸、Z軸方向の微小速度Δv、Δv、Δvに補正される。
【0125】
【数37】

2−3.補正パラメーター作成用装置
図8は、本実施形態の補正パラメーター作成用装置の構成を示す図である。
【0126】
補正パラメーター作成用装置200は、姿勢検出装置1に含まれる各センサーの取付角誤差に起因する誤差を含む検出値を理想値に補正するための補正パラメーター(補正行列)を作成するために使用される。
【0127】
補正パラメーター作成用装置200は、立方体治具210、ソケット220、回転板230、回転モーター240、支持台250、ケーブル260等により構成される。
【0128】
立方体治具210は、金属等の材料により立法体形状(直方体形状でもよい)に成型され、3つの面211、212、213が互いに直交するように厳密に面取りがされており、面211にはソケット220が固着されている。立方体治具210の3つの面211、212、213は、それぞれ本発明における治具の第1の面、第2の面及び第3の面に相当する。
【0129】
ソケット220は、ソケット本体222と開閉可能な蓋体224で構成されており、ソケット本体220は姿勢検出装置1を所定の向きに隙間無く収容できるようになっている。
【0130】
立方体治具210は、姿勢検出装置1をソケット220にセットすることにより、X軸、Y軸及びZ軸がそれぞれ面212、213及び211と垂直になるように、姿勢検出装置1を固定可能になっている。また、立方体治具210の面211、212、213とそれぞれ対向する3つの面214、215、216にはそれぞれ固定金具(図示せず)が設けられている。
【0131】
回転板230は、上面231の凹凸が無視できるほど小さく、上面231には固定金具(図示せず)が設けられており、立方体治具210のいずれかの固定金具を回転板230の固定金具に接合することにより、立法体治具210の面214、215、216のいずれかを上面231に固定可能になっている。
【0132】
また、回転板230は傾きを調整することができるようになっており、データ補正装置200が設置された状態で回転板230の上面231が水平になるように厳密に調整される。
【0133】
回転モーター240は、支持台250に取り付けられており、鉛直方向を軸として時計回り又は半時計回りに所定範囲の角速度で回転できるようになっている。
【0134】
ケーブル260は回転モーター240の制御回路(図示せず)に接続されている。ケーブル260にはパーソナルコンピュータ等の制御装置(図示せず)が接続され、GPIB(General Purpose Interface Bus)等のインターフェースにより回転モーター250の回転速度が調整できるようになっている。
【0135】
なお、回転モーター240は、本発明における回転制御部として機能する。
【0136】
本実施形態によれば、立方体治具210と回転板230を用いることにより、図13(A)等に示した回転腕530を必要としないので、よりコンパクトかつ低コストの補正パラメーター作成用装置200を提供することができる。本実施形態に係る補正パラメーター作成用装置200を用いることにより、後述するように、補正行列Tδx−1、Tδy−1、Tδz−1、Tγx−1、Tγy−1、Tγz−1を簡単に短時間で取得することができる。
【0137】
2−4.補正パラメーター作成手順
次に、図8に示した補正パラメーター作成用装置200を用いて、補正パラメーター(補正行列)を作成する手順の一例について説明する。
【0138】
図9は、本実施形態における補正パラメーター作成手順の一例を示すフローチャート図である。
【0139】
まず、回転板230を上面231が水平になるように設置する(ステップS10)。
【0140】
次に、立方体冶具210の面211に取り付けられているソケット220に姿勢検出装置1をセットする(ステップS12)。
【0141】
次に、立方体治具210の面212と対向する面215を回転板230の上面231に固定する(ステップS14)。これにより、補正パラメーター作成用装置200は図10(A)のようにセッティングされ、X軸の正方向が鉛直上向きになるように、立方体冶具210が回転板230に固定される。
【0142】
次に、回転板230を静止させた状態でY軸加速度センサー50b、Z軸加速度センサー50cの各検出値を取得し、式(30)、式(31)よりΔφ3y、Δφ2zを計算する(ステップS16)。具体的には、加速度センサー50b、50cの各検出値A’、A’をサンプリングしてA/D変換した値にサンプル周期Δtを掛けて得られる微小速度Δvy’、Δvz’を計算する。ここで、Δvy’及びΔvz’は、それぞれ式(30)におけるΔvyy’及び式(31)におけるΔvzz’に相当する。また、加速度センサー50b、50cにはX軸の負方向に重力加速度gが加わるため、式(30)、式(31)におけるΔv=−g×Δtである。従って、式(30)、式(31)よりΔφ3y、Δφ2zを計算することができる。
【0143】
次に、回転板230を角速度ωで回転させてY軸角速度センサー10b、Z軸角速度センサー10cの各検出値を取得し、式(17)、式(18)よりΔθ3y、Δθ2zを計算する(ステップS18)。具体的には、角速度センサー10b、10cの各検出値G’、G’をサンプリングしてA/D変換した値にサンプル周期Δtを掛けて得られる微小回転角Δθy’、Δθz’を計算する。ここで、Δθy’及びΔθz’は、それぞれ式(17)におけるΔθyy’及び式(18)におけるΔθzz’に相当する。また、角速度センサー10b、10cはX軸回りに角速度ωで回転するため、式(17)、式(28)におけるΔθ=ω×Δtである。従って、式(17)、式(18)よりΔθ3y、Δθ2zを計算することができる。
【0144】
次に、立方体治具210の面213と対向する面216を回転板230の上面231に固定する(ステップS20)。これにより、補正パラメーター作成用装置200は図10(B)のようにセッティングされ、Y軸の正方向が鉛直上向きになるように、立方体冶具210が回転板230に固定される。
【0145】
次に、回転板230を静止させた状態でX軸加速度センサー50a、Z軸加速度センサー50cの各検出値を取得し、式(32)、式(33)よりΔφ3x、Δφ1zを計算する(ステップS22)。ステップS22における具体的な処理は、ステップS16と同様であるため説明を省略する。
【0146】
次に、回転板230を角速度ωで回転させてX軸角速度センサー10a、Z軸角速度センサー10cの各検出値を取得し、式(19)、式(20)よりΔθ3x、Δθ1zを計算する(ステップS24)。ステップS24における具体的な処理は、ステップS18と同様であるため説明を省略する。
【0147】
次に、立方体治具210の面211と対向する面214を回転板230の上面231に固定する(ステップS26)。これにより、補正パラメーター作成用装置200は図10(C)のようにセッティングされ、Z軸の正方向が鉛直上向きになるように、立方体冶具210が回転板230に固定される。
【0148】
次に、回転板230を静止させた状態でX軸加速度センサー50a、Y軸加速度センサー50bの各検出値を取得し、式(34)、式(35)よりΔφ2x、Δφ1yを計算する(ステップS28)。ステップS28における具体的な処理は、ステップS16と同様であるため説明を省略する。
【0149】
次に、回転板230を角速度ωで回転させてX軸角速度センサー10a、Y軸角速度センサー10bの各検出値を取得し、式(21)、式(22)よりΔθ2x、Δθ1yを計算する(ステップS30)。ステップS30における具体的な処理は、ステップS18と同様であるため説明を省略する。
【0150】
最後に、補正行列Tδx−1、Tδy−1、Tδz−1、Tγx−1、Tγy−1、Tγz−1を作成する(ステップS32)。具体的には、ステップS24、S30でそれぞれ計算したΔθ3x、Δθ2xを式(10)に代入して得られる変換行列Tδxの逆行列を計算することにより補正行列Tδx−1を作成することができる。同様に、ステップS18、S30でそれぞれ計算したΔθ3y、Δθ1yを式(11)に代入して得られる変換行列Tδyの逆行列を計算することにより補正行列Tδy−1を作成することができる。同様に、ステップS18、S24でそれぞれ計算したΔθ2z、Δθ1zを式(12)に代入して得られる変換行列Tδzの逆行列を計算することにより補正行列Tδz−1を作成することができる。同様に、ステップS22、S28でそれぞれ計算したΔφ3x、Δφ2xを式(24)に代入して得られる変換行列Tγxの逆行列を計算することにより補正行列Tγx−1を作成することができる。同様に、ステップS16、S28でそれぞれ計算したΔφ3y、Δφ1yを式(25)に代入して得られる変換行列Tγyの逆行列を計算することにより補正行列Tγy−1を作成することができる。同様に、ステップS16、S22でそれぞれ計算したΔφ2z、Δφ1zを式(26)に代入して得られる変換行列Tγzの逆行列を計算することにより補正行列Tγz−1を作成することができる。
【0151】
なお、以上の処理は、補正パラメーター作成用装置200のケーブル260に接続されたパーソナルコンピュータ等により行われる。そして、本実施形態を用いて作成した補正パラメーターは、例えば、姿勢検出装置1の後段に接続されるユーザー側のマイコンに実装される補正計算処理用のタスクにおいて使用される。
【0152】
本実施形態によれば、立方体治具210を用いることにより、X軸、Y軸、Z軸が立方体治具210のそれぞれ面212、面213、面211と垂直になるように、面211に姿勢検出装置1を容易に固定することができる。そして、上面231が水平になるように回転板230を設置すれば、立方体治具210の面215、216、214をそれぞれ回転板230の上面231に固定するだけで、簡単に、X軸、Y軸、Z軸をそれぞれ鉛直方向と平行にすることができる。さらに、X軸、Y軸、Z軸をそれぞれ鉛直方向と平行にした状態において、回転板230を静止させることにより加速度センサー50a、50b、50cの各検出値を、回転板230を回転させることにより角速度センサー10a、10b、10cの各検出値を、それぞれ簡単に短時間で取得することができる。
【0153】
すなわち、最初に一度だけ、上面231が水平になるように回転板230を設置すれば回転板230の回転方向が固定されるので、X軸、Y軸、Z軸に関する検出値を取得するためのセッティング時間を大幅に短縮することができる。従って、本実施形態によれば、補正行列Tδx−1、Tδy−1、Tδz−1、Tγx−1、Tγy−1、Tγz−1をより低コストで作成することができる。
【0154】
なお、本実施形態では、例えば、X軸角速度センサー10aの補正行列Tδx−1は、Y軸及びZ軸回りの回転時のX軸角速度センサー10aの検出値に基づいて作成される。そのため、各検出軸に対する取付角誤差と他軸感度誤差の両方が考慮された補正パラメーターが作成される。
【0155】
本実施形態を用いて作成した補正パラメーターは、移動体やロボットの姿勢検出、姿勢制御を行う装置、バーチャルリアリティー等に使用されるヘッドマウントディスプレイ、頭の姿勢角度を検出するトラッカー、3Dゲームパッド等を使用するゲーム機、デジタルカメラ、携帯電話機、携帯型情報端末、カーナビゲーションシステム等の種々の電子機器に組み込まれる姿勢検出装置の検出値の補正に使用することができる。
【0156】
3.補正機能付き姿勢検出装置
図11は、本実施形態の姿勢検出装置の構成を示す図である。
【0157】
補正機能付き姿勢検出装置300は、角速度センサーモジュール2、加速度センサーモジュール3、アンチエリアスフィルター310a、310b、310c、350a、350b、350c、A/D変換回路320a、320b、320c、360a、360b、360c、補正計算処理部370、記憶部380を含んで構成されている。
【0158】
角速度センサーモジュール2及び加速度センサーモジュール3は図1及び図2と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0159】
アンチエリアスフィルター310a、310b、310c、350a、350b、350cは、それぞれA/D変換回路320a、320b、320c、360a、360b、360cの前段に配置され、角速度検出信号38a、38b、38c及び加速度検出信号78a、78b、78cに対して、それぞれA/D変換回路320a、320b、320c、360a、360b、360cのサンプリングによりDC付近の周波数帯域に折り返すノイズをあらかじめ無視できる程度にまで減衰させる。
【0160】
なお、アンチエリアスフィルター310a、310b、310c、360a、360b、360cは、例えば、スイッチトキャパシタフィルター(Switched Capacitor Filter(SCF))として構成することができる。
【0161】
A/D変換回路320a、320b、320c、360a、360b、360cは、角速度検出信号38a、38b、38c及び加速度検出信号78a、78b、78cがアンチエリアスフィルター310a、310b、310c、350a、350b、350cによってそれぞれフィルター処理された信号をそれぞれ所定ビット数の角速度検出信号322a、322b、322c及び加速度検出信号362a、362b、362cに変換する。A/D変換回路320a、320b、320c、360a、360b、360cは、本発明におけるA/D変換処理部として機能し、フラッシュ型(並列比較型)、パイプライン型、逐次比較型、デルタシグマ方式等の既知の様々なタイプのAD変換回路により構成することができる。
【0162】
記憶部380には、角速度センサーの補正パラメーター382と加速度センサーの補正用パラメーター384が記憶されている。具体的には、補正パラメーター382は補正行列Tδx−1、Tδy−1、Tδz−1であり、補正パラメーター384は補正行列Tγx−1、Tγy−1、Tγz−1である。
【0163】
補正計算処理部370は、角速度検出信号322a、322b、322cと補正パラメーター382に基づいて補正式(23)を計算することにより、角速度センサー10a、10b、10cの取付角誤差に起因する角速度検出信号38a、38b、38cの誤差が補正された角速度検出信号302a、302b、302cを生成する。具体的には、補正計算処理部370は、角速度検出信号322a、322b、322cのデジタル値にA/D変換のサンプル周期Δtを掛けた値を補正式(23)の微小回転角Δθx’、Δθy’、Δθz’にそれぞれ代入して微小回転角Δθ、Δθ、Δθを計算し、さらに微小回転角Δθ、Δθ、ΔθをΔtで割ったデジタル値に対応する角速度検出信号302a、302b、302cを生成する。
【0164】
同様に、補正計算処理部370は、加速度検出信号362a、362b、362cと補正パラメーター384に基づいて補正式(37)を計算することにより、加速度センサー50a、50b、50cの取付角誤差に起因する加速度検出信号78a、78b、78cの誤差が補正された角速度検出信号304a、304b、304cを生成する。具体的には、補正計算処理部370は、加速度検出信号362a、362b、362cのデジタル値にA/D変換のサンプル周期Δtを掛けた値を補正式(37)の微小速度Δvx’、Δvy’、Δvz’にそれぞれ代入して微小速度Δv、Δv、Δvを計算し、さらに微小速度Δv、Δv、ΔvをΔtで割ったデジタル値に対応する加速度検出信号304a、304b、304cを生成する。
【0165】
補正計算処理部370は補正計算処理を行う専用回路として実現することもできるし、CPU(Central Processing Unit)が記憶部380等に記憶されたプログラムを実行することにより補正計算処理部370の機能を実現することもできる。
【0166】
図12は、本実施形態の姿勢検出装置の他の構成を示す図である。
【0167】
図12において、角速度センサーモジュール2、加速度センサーモジュール3、アンチエリアスフィルター310a、310b、310c、350a、350b、350c、記憶部380の構成は図11と同様であるため、その説明を省略する。
【0168】
マルチプレクサ390は、角速度検出信号38a、38b、38c及び加速度検出信号78a、78b、78cがアンチエリアスフィルター310a、310b、310c、350a、350b、350cによってそれぞれフィルター処理された信号を所定周期で時分割に順次選択する。
【0169】
A/D変換回路320は、マルチプレクサ390により選択された信号を所定ビット数の検出信号322に変換する。A/D変換回路320及びマルチプレクサ390は、それぞれ本発明におけるA/D変換処理部及び信号選択処理部として機能する。
【0170】
補正計算処理部370は、所定周期毎に検出信号322をサンプリングし、検出信号322が角速度検出信号38a、38b、38cに対応する場合は、検出信号322と補正パラメーター382に基づいて補正式(23)を計算することにより補正された角速度検出信号をそれぞれ生成し、検出信号322として時分割に出力する。
【0171】
同様に、補正計算処理部370は、検出信号322が加速度検出信号78a、78b、78cに対応する場合は、検出信号322と補正パラメーター384に基づいて補正式(37)を計算することにより補正された加速度検出信号をそれぞれ生成し、検出信号322として時分割に出力する。
【0172】
なお、図11又、図12に示した姿勢検出装置300において、補正計算処理部370をバイパスしてA/D変換回路320a等の出力を外部に出力可能なバイパスモードを設ければ、バイパスモードに設定した状態で本実施形態の補正パラメーター作成方法を用いて補正パラメーター382、384を作成することができる。すなわち、姿勢検出装置300も本実施形態の補正パラメーター作成方法の適用対象になり得る。
【0173】
本実施形態によれば、補正計算処理部370は、前記の通り、補正精度の向上及び補正計算処理の高速化を実現可能な補正式(23)及び補正式(37)に従い補正値を計算するので、補正精度がより高く、かつ、補正計算処理がより速い姿勢検出装置を実現することができる。
【0174】
また、本実施形態によれば、姿勢検出装置300の後段に接続されるユーザー側のマイコンに補正計算処理を実装する必要がなくなるため、タスクカプセル化の見地からユーザーに受け入れられやすい。
【0175】
また、本実施形態の姿勢検出装置300はセンサー検出信号をデジタル化して出力するので、姿勢検出装置300とユーザー側のマイコンの間にA/D変換回路を接続する必要がなくなる。
【0176】
本実施形態の姿勢検出装置300は、移動体やロボットの姿勢検出、姿勢制御を行う装置、バーチャルリアリティー等に使用されるヘッドマウントディスプレイ、頭の姿勢角度を検出するトラッカー、3Dゲームパッド等を使用するゲーム機、デジタルカメラ、携帯電話機、携帯型情報端末、カーナビゲーションシステム等の種々の電子機器に組み込むことができる。
【0177】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0178】
例えば、図1に示した姿勢検出装置は、3つの角速度センサー10a、10b、10cと3つの加速度センサー50a、50b、50cを含んでいるが、本発明の補正パラメーター作成方法が適用される姿勢検出装置はこれに限られない。すなわち、本発明の補正パラメーター作成方法が適用される姿勢検出装置は直交する3軸の角速度又は加速度を検出可能な構成であればよく、例えば、角速度センサー10a、10b、10cのみを含む姿勢検出装置、加速度センサー50a、50b、50cのみを含む姿勢検出装置、角速度センサー10a、10bと加速度センサー50cのみを含む姿勢検出装置、角速度センサー10aと加速度センサー50b、50cのみを含む姿勢検出装置等も適用対象に含まれる。
【0179】
また、例えば、図8に示した補正パラメーター作成用装置200は、面211にソケット220が1つだけ取り付けられているが、面211に複数のソケット220を取り付けるようにしてもよい。そして、複数のソケット220の各々に姿勢検出装置1をセットすることにより、各姿勢検出装置1の検出値を同時に取得することができる。
【0180】
また、例えば、図9の手順では、X軸、Y軸、Z軸の順に姿勢検出装置1の検出値を取得するようになっているが、任意の軸の順に姿勢検出装置1の検出値を取得することができる。
【0181】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本実施形態の補正パラメーター作成方法の対象となる姿勢検出装置の構成の一例を示す図。
【図2】本実施形態における姿勢検出装置の斜視図。
【図3】角速度センサーに含まれる振動子の一例を示す平面図。
【図4】角速度センサーに含まれる振動子の動作について説明するための図。
【図5】角速度センサーに含まれる振動子の動作について説明するための図。
【図6】角速度センサーに含まれる駆動回路及び検出回路の構成の一例を示す図。
【図7】センサーの取付角誤差について説明するための図。
【図8】本実施形態の補正パラメーター作成用装置の構成を示す図。
【図9】本実施形態における補正パラメーター作成手順の一例を示すフローチャート図。
【図10】本実施形態における補正パラメーター作成手順について説明するための図。
【図11】本実施形態の姿勢検出装置の構成を示す図。
【図12】本実施形態の姿勢検出装置の他の構成を示す図。
【図13】従来の補正パラメーター作成方法について説明するための図。
【図14】従来の補正パラメーター作成方法について説明するための図。
【符号の説明】
【0183】
1 姿勢検出装置、2 角速度センサーモジュール、3 加速度センサーモジュール、4 パッケージ、5a,5b,5c パッケージの面、10a,10b,10c 角速度センサー、11a,11b,11c 振動子、12a,12b,12c 駆動電極、13a,13b,13c 駆動電極、14a,14b,14c 検出電極、15a,15b,15c 検出電極、20a,20b,20c 駆動回路、21a 電流電圧変換器(I/V変換器)、22a AC増幅器、23a 自動利得制御回路(AGC) 24a コンパレータ、30a,30b,30c 検出回路、31a,32a チャージアンプ、33a 差動増幅器、34a AC増幅器、35a 同期検波回路、36a DC増幅器、37a 積分回路(LPF)、38a,38b,38c 検出信号、41a 駆動振動腕、42a 検出振動腕、43a 幅広部、44a 駆動用基部、45a 連結腕、46a 幅広部、47a 検出用基部、50a,50b,50c 加速度センサー、51a,51b,51c 振動子、52a,52b,52c 駆動電極、53a,53b,53c 駆動電極、54a,54b,54c 検出電極、55a,55b,55c 検出電極、56a,56b,56c 基端部、57a,57b,57c 基端部、58a,58b,58c 駆動振動腕、60a,60b,60c 駆動回路、70a,70b,70c 検出回路、78a,78b,78c 検出信号、80 絶縁基板、82a,82b,82c パッケージ、84a,84b,84c パッケージ本体、86a,86b,86c 蓋体、90 ベース、91,92,93 素子取付面、100 ウエイト、101,102,103 素子接合面、200 補正パラメーター作成用装置、210 立方体治具、211,212,213,214,215,216 立方体治具の面、220 ソケット、222 ソケット本体、224 蓋体、230 回転板、231 回転板の上面、240 回転モーター、250 支持台、260 ケーブル、300 姿勢検出装置、302,302a,302b,302c 検出信号、304a,304b,304c 検出信号、310a,310b,310c アンチエリアスフィルター、310a,310b,310c A/D変換回路、320 A/D変換回路、322a,322b,322c 検出信号、350a,350b,350c アンチエリアスフィルター、360a,360b,360c A/D変換回路、362a,362b,362c 検出信号、370 補正計算処理部、380 記憶部、382 補正パラメーター、384 補正パラメーター、390 マルチプレクサ、500 補正パラメーター作成用装置、510 テーブル、520 ソケット、530 回転腕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出軸が互いに直交する第1の軸、第2の軸及び第3の軸とそれぞれ略平行になるように取り付けられ角速度又は加速度を検出する第1のセンサー、第2のセンサー及び第3のセンサーを含み、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの検出信号に基づいて物体の姿勢を検出する姿勢検出装置の検出値を、前記第1の軸、前記第2の軸及び前記第3の軸を座標軸とする直交座標系における検出値に補正する補正式の補正パラメーターを作成する方法であって、
上面が水平になるように回転板を設置するステップと、
互いに直交する第1の面、第2の面、第3の面を有する直方体形状の治具の前記第1の面に、前記第1の軸が前記第2の面に垂直になり、前記第2の軸が前記第3の面に垂直になり、前記第3の軸が前記第1の面に垂直になるように、前記姿勢検出装置を固定するステップと、
前記治具の前記第2の面と対向する面を前記回転板の前記上面に固定し、前記回転板を静止又は所定の角速度で回転させて前記姿勢検出装置の検出値を取得する第1検出値取得ステップと、
前記治具の前記第3の面と対向する面を前記回転板の前記上面に固定し、前記回転板を静止又は所定の角速度で回転させて前記姿勢検出装置の検出値を取得する第2検出値取得ステップと、
前記治具の前記第1の面と対向する面を前記回転板の前記上面に固定し、前記回転板を静止又は所定の角速度で回転させて前記姿勢検出装置の検出値を取得する第3検出値取得ステップと、
取得した検出値に基づいて、前記補正パラメーターを作成する補正パラメーター作成ステップと、を含むことを特徴とする姿勢検出装置の補正パラメーター作成方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記補正式は、
前記補正パラメーターとして前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出値を前記直交座標系における各検出値に補正するための第1の補正行列、第2の補正行列及び第3の補正行列を含み、前記第1の補正行列、前記第2の補正行列及び前記第3の補正行列の各々と、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出値がA/D変換されたデジタル値をそれぞれ要素として含む行列の各々と、の積により得られる3つの行列の和として与えられることを特徴とする姿勢検出装置の補正パラメーター作成方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の補正行列、前記第2の補正行列及び前記第3の補正行列は、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出軸をそれぞれ前記第1の軸、前記第2の軸及び前記第3の軸に変換する回転行列の逆行列であることを特徴とする姿勢検出装置の補正パラメーター作成方法。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記補正パラメーター作成ステップは、
前記第1検出値取得ステップにおいて取得した前記検出値に基づいて、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの前記第1の軸回りの各取付角誤差を算出するステップと、
前記第2検出値取得ステップにおいて取得した前記検出値に基づいて、前記第1のセンサー及び前記第3のセンサーの前記第2の軸回りの各取付角誤差を算出するステップと、
前記第3検出値取得ステップにおいて取得した前記検出値に基づいて、前記第1のセンサー及び前記第2のセンサーの前記第3の軸回りの各取付角誤差を算出するステップと、
前記第1のセンサーの前記第2の軸回りの前記取付角誤差及び前記第3の軸回りの前記取付角誤差に基づいて、前記第1の補正行列を作成するステップと、
前記第2のセンサーの前記第1の軸回りの前記取付角誤差及び前記第3の軸回りの前記取付角誤差に基づいて、前記第2の補正行列を作成するステップと、
前記第3のセンサーの前記第1の軸回りの前記取付角誤差及び前記第2の軸回りの前記取付角誤差に基づいて、前記第3の補正行列を作成するステップと、を含むことを特徴とする姿勢検出装置の補正パラメーター作成方法。
【請求項5】
検出軸が互いに直交する第1の軸、第2の軸及び第3の軸とそれぞれ略平行になるように取り付けられ角速度又は加速度を検出する第1のセンサー、第2のセンサー及び第3のセンサーを含み、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの検出信号に基づいて物体の姿勢を検出する姿勢検出装置の検出値を、前記第1の軸、前記第2の軸及び前記第3の軸を座標軸とする直交座標系における検出値に補正する補正式の補正パラメーターを作成するために使用される補正パラメーター作成用装置であって、
互いに直交する第1の面、第2の面、第3の面を有し、前記第1の面に、前記第1の軸が前記第2の面に垂直になり、前記第2の軸が前記第3の面に垂直になり、前記第3の軸が前記第1の面に垂直になるように前記姿勢検出装置を固定可能な直方体形状の治具と、
上面に、前記治具の前記第1の面、前記第2の面、前記第2の面とそれぞれ対向する面のいずれかを固定可能な回転板と、
前記回転板を所定の角速度で回転させる回転制御部と、を含むことを特徴とする姿勢検出装置の補正パラメーター作成用装置。
【請求項6】
検出軸が互いに直交する第1の軸、第2の軸及び第3の軸とそれぞれ略平行になるように取り付けられ角速度又は加速度を検出する第1のセンサー、第2のセンサー及び第3のセンサーと、
前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出値を前記第1の軸、前記第2の軸及び前記第3の軸を座標軸とする直交座標系における検出値に補正する補正式の補正パラメーターが記憶された記憶部と、
前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出信号をデジタル信号に変換する処理を行うA/D変換処理部と、
前記デジタル信号の各々と前記補正パラメーターに基づいて前記補正式を計算する処理を行う補正計算処理部と、を含み、
前記補正式は、
前記補正パラメーターとして前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出値を前記直交座標系における各検出値に補正するための第1の補正行列、第2の補正行列及び第3の補正行列を含み、前記第1の補正行列、前記第2の補正行列及び前記第3の補正行列の各々と、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出値がA/D変換されたデジタル値をそれぞれ要素として含む行列の各々と、の積により得られる3つの行列の和として与えられることを特徴とする姿勢検出装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1の補正行列、前記第2の補正行列及び前記第3の補正行列は、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各検出軸をそれぞれ前記第1の軸、前記第2の軸及び前記第3の軸に変換する回転行列の逆行列であることを特徴とする姿勢検出装置。
【請求項8】
請求項6又は7において、
所定の周期で、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー及び前記第3のセンサーの各前記検出信号のいずれか1つを順次選択する処理を行う信号選択処理部を含み、
前記A/D変換処理部は、
前記信号選択処理部が選択した検出値を順次A/D変換処理するA/D変換回路を含むことを特徴とする姿勢検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−117260(P2010−117260A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291213(P2008−291213)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】